説明

画像形成装置

【課題】画像形成ユニットをベルト部材から離間させて非画像形成領域の現像剤量を検出することによって、かぶりトナー量を高い精度で測定することができ、かぶりのレベルに応じて適切にかぶり印刷を回避するように印刷制御することができるようにする。
【解決手段】現像剤像を担持する像担持体をそれぞれ備える複数の画像形成ユニットと、該画像形成ユニットに対向して配設されるベルト部材と、該ベルト部材上の現像剤量を検出する現像剤量検出部と、前記複数の画像形成ユニットと前記ベルト部材とを離接させる離接手段とを有し、該離接手段が前記複数の画像形成ユニットのうちの少なくとも一つを前記ベルト部材から離間させ、前記現像剤量検出部が非画像形成領域の現像剤量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のプリンタ、複写機、ファクシミリ機等の画像形成装置においては、帯電装置によって感光体ドラムの表面を均一に帯電させ、帯電した感光体ドラムの表面を露光装置によって露光して静電潜像を形成し、現像装置によって静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。そして、該トナー像は、印刷用紙等の記録媒体に転写された後、定着装置によって定着させられる。
【0003】
この場合、現像装置では、トナーカートリッジから現像剤としてのトナーが補給され、供給ローラと現像ローラとの間、及び、現像ブレードと現像ローラとの間で摩擦帯電することによってトナーが荷電され、現像ブレードにより現像ローラ上に均一にトナー薄層が形成される。そして、一般的に、非磁性一成分系のトナーを使用して、現像ローラと感光体ドラムとを接触させて配設する非磁性一成分接触現像方式の画像形成装置は、構成の簡素化及び小型化に有利であり、多く実用化されている。
【0004】
このような画像形成装置においては、トナーに所定の帯電量を与えることによって現像ローラから感光体ドラム上の静電潜像へトナーを移動させている。しかし、該トナーの劣化等によって、所定の帯電量が与えられず、該帯電量が著しく低下したり増加したりする異常帯電トナーが発生する場合があった。このような異常帯電トナーは、現像ローラから感光体ドラム上の非露光領域にも移動しやすいので、かぶり印刷や汚れ印刷のような異常画像の原因となる。
【0005】
このようなかぶり印刷を防止するために、白地部の濃度を画像濃度よって測定してかぶり量を検知し、検知したかぶり量に応じてかぶり抑制電位差を設定し、かぶり印刷を回避する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−259101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の画像形成装置においては、かぶりトナー濃度は通常画像の濃度に比べ極端に低いので、かぶりトナー量を高い精度で測定することができなかった。
【0007】
本発明は、前記従来の画像形成装置における問題点を解決して、画像形成ユニットをベルト部材から離間させて非画像形成領域の現像剤量を検出することによって、かぶりトナー量を高い精度で測定することができ、かぶりのレベルに応じて適切にかぶり印刷を回避するように印刷制御することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、現像剤像を担持する像担持体をそれぞれ備える複数の画像形成ユニットと、該画像形成ユニットに対向して配設されるベルト部材と、該ベルト部材上の現像剤量を検出する現像剤量検出部と、前記複数の画像形成ユニットと前記ベルト部材とを離接させる離接手段とを有し、該離接手段が前記複数の画像形成ユニットのうちの少なくとも一つを前記ベルト部材から離間させ、前記現像剤量検出部が非画像形成領域の現像剤量を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置は、画像形成ユニットをベルト部材から離間させて非画像形成領域の現像剤量を検出することができる。これにより、かぶりトナー量を高い精度で測定することができ、かぶりのレベルに応じて適切にかぶり印刷を回避するように印刷制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す断面図である。
【0012】
図において、10は本実施の形態における画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、各種の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類のものであってもよい。なお、本実施の形態においては、前記画像形成装置10がいわゆるタンデム方式のカラー電子写真式プリンタである場合について説明する。
【0013】
この場合、画像形成装置10は、記録用紙としての媒体の搬送路に沿ってタンデムに配設されたブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の4色各々に対応する画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12C、該画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cとそれぞれ対応する転写ローラ20K、20Y、20M及び20C、媒体の搬送を行う無端状のベルト部材としての搬送ベルト23、該搬送ベルト23の回転に合わせて回転し、搬送ベルト23の張りを一定に保つために図示されないスプリングで支持された従動ローラ21及びベルト駆動ローラ22、並びに、内部にハロゲンランプ等の発熱体を備え、媒体を加熱及び加圧して媒体に現像剤の定着を行う定着ローラ24及び定着バックアップローラ25を有する。さらに、搬送ベルト23上に印刷されたパターンの濃度を読み取る現像剤量検出部としての濃度センサ33が配設されている。
【0014】
そして、前記画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム14K、14Y、14M及び14C、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像を印刷するための静電潜像を前記感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に形成する露光手段としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド13K、13Y、13M及び13C、前記感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に電気を供給して帯電させる帯電器としての帯電ローラ15K、15Y、15M及び15C、現像剤としてのトナーを静電潜像が形成された感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に搬送する現像ローラ16K、16Y、16M及び16C、トナータンク17K、17Y、17M及び17C、現像ブレード18K、18Y、18M及び18C、並びに、トナー供給用スポンジローラ19K、19Y、19M及び19Cを有する。
【0015】
なお、前記画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12C、LEDヘッド13K、13Y、13M及び13C、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14C、帯電ローラ15K、15Y、15M及び15C、現像ローラ16K、16Y、16M及び16C、現像ブレード18K、18Y、18M及び18C、並びに、トナー供給用スポンジローラ19K、19Y、19M及び19Cを統合的に説明する場合には、それぞれ、画像形成ユニット12、LEDヘッド13、感光体ドラム14、帯電ローラ15、現像ローラ16、現像ブレード18及びトナー供給用スポンジローラ19として説明する。
【0016】
また、画像形成装置10は、各ローラを回転駆動するための図示されないモータ、最小媒体間隔以下の距離に敷設された搬送路上の図示されないローラ、搬送路切り替え用の図示されないソレノイド等を有する。
【0017】
なお、前記モータは、後述されるように、ベルト駆動ローラ22を回転させるためのベルトモータ52、定着器26の定着ローラ24及び定着バックアップローラ25を回転させるための定着モータ28、並びに、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cを回転させるためのそれぞれ独立したKモータ48K、Yモータ48Y、Mモータ48M及びCモータ48Cを含む。
【0018】
次に、前記画像形成装置10の制御システムの構成について説明する。
【0019】
図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
図において、30は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等を備え、上位装置から印刷データ及び制御コマンド受信して画像形成装置10全体をシーケンス制御し、印刷動作を行う画像形成制御部である。そして、該画像形成制御部30は、画像形成装置10におけるかぶりトナー量を判別するための現像剤量判別部30a、並びに、搬送ベルト23の速度と感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの周速度差を制御する速度差設定手段としての速度差制御部30bを有する。
【0021】
そして、41は、外部のコンピュータ等の上位装置と通信を行い、該上位装置へプリンタ情報を送信するとともに、上位装置から入力されたコマンドを解析し、上位装置から受信したデータを処理するI/F制御部である。
【0022】
また、42は、上位装置から受信したデータを、前記I/F制御部41の制御に基づいて、色毎に格納する受信メモリである。
【0023】
さらに、31は、画像形成装置10の状態を表示するためのLED及び画像形成装置10へ操作者からの指示を与えるためのスイッチを備える操作部である。
【0024】
さらに、32は、各種センサであり、濃度測定用の濃度センサ33の外に、図示されていないが、媒体の搬送位置を検出する複数のセンサ等を含むものである。各種センサ32の出力は画像形成制御部30へ入力されている。
【0025】
また、43は、I/F制御部41を介して上位装置から入力された印刷データを画データとして編集するための画データ編集メモリである。該画データ編集メモリ43は、受信メモリ42に一時的に格納された印刷データを受け取り、画像形成制御部30へ送信するために編集処理されたイメージデータを格納するメモリである。
【0026】
また、44は帯電電圧制御部であり、画像形成制御部30の指示によって帯電ローラ15に電圧を印加し、感光体ドラム14の表面を帯電させるための制御を行う。
【0027】
45はヘッド制御部であり、画データ編集メモリ43に格納されたイメージデータに従ってLEDヘッド13を作動させ、帯電された感光体ドラム14の表面に光を照射して露光させるための制御を行うものである。
【0028】
46は、感光体ドラム14の表面にLEDヘッド13によって生成された静電潜像にトナーを付着させるための現像電圧制御部であり、現像ローラ16に電圧を印加するための制御を行う。
【0029】
47は、感光体ドラム14の表面に生成されたトナー像を媒体に転写するための転写電圧制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、転写ローラ20に電圧を印加するための制御を行う。
【0030】
48は、各感光体ドラム14、帯電ローラ15及び現像ローラ16を回転駆動するための画像形成駆動制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、Kモータ48K、Yモータ48Y、Mモータ48M及びCモータ48Cの制御を行う。
【0031】
49は、媒体に転写されたトナー像を定着するための定着制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、定着器26に内蔵されたヒータへ電圧を印加するための制御を行う。また、定着器26の温度を測定するためのサーミスタ27からの検出温度を受け、ヒータをオン・オフ制御する。そして、前記定着器26が所定温度に上昇したときに回転駆動させるための定着モータ28を制御する。
【0032】
51は、媒体を搬送するための搬送ベルト23を駆動するための搬送ベルト駆動制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、ベルトモータ52の制御を行う。
【0033】
53は、画像形成ユニット12をアップダウンするための画像形成ユニットアップダウン駆動制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、IDアップダウンモータ66の制御を行う。
【0034】
54は、現像ローラ16の表面に帯電したトナーを供給させるための供給電圧制御部であり、トナー供給用スポンジローラ19に電圧を印加するための制御を行う。
【0035】
次に、前記画像形成ユニット12の離接手段としての昇降機構について詳細に説明する。
【0036】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの昇降機構を示す模式図、図4は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの昇降機構の動作を示す図である。なお、図4において、(a)〜(e)はスライドリンクを移動させたときに各画像形成ユニットがどの位置に移動するかを示している。
【0037】
図3には、画像形成ユニット12を昇降させる昇降機構の主要部が示されている。前記昇降機構は、画像形成ユニット12から搬送ベルト23を離接させる離接手段として機能するものであり、矢印A−Bの方向にスライド可能な左右一対のスライドリンク64を備える。該スライドリンク64の上面には、複数の凹部64a及び該凹部64aに隣接する凸部64bが形成され、前記凹部64a内に感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの回転軸としてのドラムシャフト14a〜14dの両端部が収容されている。なお、図3においては、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14C並びに画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cの他の部分の図示は省略されている。
【0038】
また、前記昇降機構は、画像形成ユニット12をアップダウンさせるIDアップダウンモータ66を有する。該IDアップダウンモータ66の出力軸に固定された駆動ギヤの回転は、第1のアイドルギヤ67及び第2のアイドルギヤ68を介して、連結シャフト71の一端に固定された第3のアイドルギヤ69に伝達される。該第3のアイドルギヤ69の回転は、一方のスライドリンク64に形成されたラック65と噛(か)み合う第1のピニオンギヤ70に伝達されるとともに、連結シャフト71の他端に固定された第4のアイドルギヤ72を介して、他方のスライドリンク64に形成されたラック65と噛み合う第2のピニオンギヤ73に伝達される。これにより、IDアップダウンモータ66の出力軸を回転させると、左右一対のスライドリンク64が矢印A−Bの方向にスライドする。
【0039】
一方、前記ドラムシャフト14a〜14dの両端部は、図4に示されるように、板状の支持部材78に形成されたガイド溝79〜82内に収容され、該ガイド溝79〜82に沿って上下方向に移動可能となっている。そして、図4(a)に示されるように、昇降機構が作動していない状態においては、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cの自重によって、ドラムシャフト14a〜14dの両端部はガイド溝79〜82内の最下端に位置する。また、昇降機構が作動していない状態においては、スライドリンク64がスライドしておらず、ガイド溝79〜82の最下端は、スライドリンク64の凹部64a内に対応する位置にある。したがって、前記ドラムシャフト14a〜14dの両端部はガイド溝79〜82内の最下端に位置するとともに、スライドリンク64の凹部64a内に位置する。
【0040】
そして、スライドリンク64を矢印A−Bの方向にスライドさせると、前記凹部64aに隣接する凸部64bが移動し、ガイド溝79〜82の最下端に対応する位置に到達する。すると、前記ガイド溝79〜82内に収容されたドラムシャフト14a〜14dの両端部は、凸部64bの上に乗り上げて上昇し、ガイド溝79〜82に沿って上方に移動する。
【0041】
本実施の形態においては、図4(b)〜(e)に示されるように、ドラムシャフト14a〜14dの各々に対応する凸部64bの位置を調整することによって、スライドリンク64をスライドさせると、ドラムシャフト14a〜14dが順次凸部64bに乗り上げるようになっている。
【0042】
つまり、図4(a)に示されるように、昇降機構が作動していない状態においては、すべてのドラムシャフト14a〜14dは、凸部64bに乗り上げておらず、凹部64a内に収容されている。そして、スライドリンク64がスライドを開始して、その支持部材78に対する相対位置が図4(b)に示されるようになると、ドラムシャフト14bのみが凸部64bに乗り上げて上方に移動する。これにより、ドラムシャフト14bに対応する画像形成ユニット12のみを上昇させ、該画像形成ユニット12の感光体ドラム14から搬送ベルト23を離脱させることができる。
【0043】
続いて、スライドリンク64の支持部材78に対する相対位置が図4(c)に示されるようになると、ドラムシャフト14cのみが凸部64bに乗り上げて上方に移動する。これにより、ドラムシャフト14cに対応する画像形成ユニット12のみを上昇させ、該画像形成ユニット12の感光体ドラム14から搬送ベルト23を離脱させることができる。
【0044】
続いて、スライドリンク64の支持部材78に対する相対位置が図4(d)に示されるようになると、ドラムシャフト14dのみが凸部64bに乗り上げて上方に移動する。これにより、ドラムシャフト14dに対応する画像形成ユニット12のみを上昇させ、該画像形成ユニット12の感光体ドラム14から搬送ベルト23を離脱させることができる。
【0045】
最後に、スライドリンク64の支持部材78に対する相対位置が図4(e)に示されるるようになると、ドラムシャフト14aのみが凸部64bに乗り上げて上方に移動する。これにより、ドラムシャフト14aに対応する画像形成ユニット12のみを上昇させ、該画像形成ユニット12の感光体ドラム14から搬送ベルト23を離脱させることができる。
【0046】
次に、前記構成の画像形成装置10の動作について説明する。まず、印刷工程における動作について説明する。
【0047】
印刷工程において、画像形成制御部30は、まず、帯電ローラ15K、15Y、15M及び15Cに帯電電圧を印加して感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面を一様に帯電させる。続いて、画像形成制御部30は、画データ編集メモリ43からのイメージデータに従ってLEDヘッド13K、13Y、13M及び13Cを発光させ、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に静電潜像パターンを形成する。続いて、画像形成制御部30は、表面にトナー薄層が形成された現像ローラ16K、16Y、16M及び16Cに現像電圧を印加して、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14C上の静電潜像パターンを現像する。ここで、現像ブレード18K、18Y、18M及び18Cには、現像ローラ16K、16Y、16M及び16C上のトナー薄層中のトナーの帯電量を所定の値とするための現像ブレード電圧が印加されている。
【0048】
次に、画像形成制御部30は、転写ローラ20K、20Y、20M及び20Cに転写電圧を印加して、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14C上のトナー像を、搬送ベルト23によって搬送される図示されない媒体上へ転写させる。そして、該媒体が定着器26に送り込まれると、媒体上のトナー像は定着器26によって媒体に定着される。これにより、印刷動作が完了する。
【0049】
次に、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cを個別に昇降させる動作について説明する。
【0050】
IDアップダウンモータ66を作動させると、該IDアップダウンモータ66の出力軸に固定された駆動ギヤの回転は、第1のアイドルギヤ67及び第2のアイドルギヤ68を介して、連結シャフト71の一端に固定された第3のアイドルギヤ69に伝達される。該第3のアイドルギヤ69の回転は、一方のスライドリンク64に形成されたラック65と噛み合う第1のピニオンギヤ70に伝達されるとともに、連結シャフト71の他端に固定された第4のアイドルギヤ72を介して、他方のスライドリンク64に形成されたラック65と噛み合う第2のピニオンギヤ73に伝達される。これにより、図3に示されるように、左右一対のスライドリンク64が矢印A−Bの方向にスライドする。
【0051】
そして、図4(a)〜(e)に示されるように、スライドリンク64の移動した位置に応じて、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cのドラムシャフト14a〜14dが順次アップダウンし、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cが順次アップダウンする。これにより、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cが1つずつ搬送ベルト23から離間する。
【0052】
まず、図4(a)は、すべてのドラムシャフト14a〜14dがダウンした状態、すなわち、4色の画像形成ユニット12の感光体ドラム14が搬送ベルト23に接している状態を示している。
【0053】
そして、図4(a)の位置からスライドリンク64がA方向にスライドすると、図4(b)に示される位置になる。この位置では、4色の画像形成ユニット12のうちのシアンの画像形成ユニット12Cの感光体ドラム14Cが搬送ベルト23から離間し、他の画像形成ユニット12の感光体ドラム14は搬送ベルト23に接している。
【0054】
続いて、図4(b)の位置からスライドリンク64が更にA方向にスライドすると、図4(c)に示される位置になる。この位置では、図4(b)に示されるスライドリンク64の位置で搬送ベルト23と離間していたシアンの画像形成ユニット12Cの感光体ドラム14Cは搬送ベルト23に接し、マゼンタの画像形成ユニット12Mの感光体ドラム14Mが搬送ベルト23から離間する。
【0055】
続いて、図4(c)の位置からスライドリンク64が更にA方向にスライドすると、図4(d)に示される位置になる。この位置では、図4(c)に示される位置で搬送ベルト23と離間したマゼンタの画像形成ユニット12Mの感光体ドラム14Mは搬送ベルト23に接し、イエローの画像形成ユニット12Yの感光体ドラム14Yが搬送ベルト23から離間する。
【0056】
さらに、図4(d)の位置からスライドリンク64が更にA方向にスライドすると、図4(e)に示される位置になる。この位置では、図4(d)に示される位置で搬送ベルト23と離間したイエローの画像形成ユニット12Yの感光体ドラム14Yは搬送ベルト23に接し、ブラックの画像形成ユニット12Kの感光体ドラム14Kが搬送ベルト23から離間する。
【0057】
そして、画像形成を行う際、すなわち、印刷動作を行う際には、スライドリンク64は、スライドして図4(a)の位置に復帰する。
【0058】
なお、本実施の形態においては、4色の画像形成ユニット12の感光体ドラム14のすべてが搬送ベルト23に接する位置と、4色の画像形成ユニット12の感光体ドラム14が1つずつ搬送ベルト23から離間する位置との5つの位置の例について説明したが、これら5つの位置に加え、ブラックの画像形成ユニット12Kの感光体ドラム14Kのみが搬送ベルト23に接し、かつ、シアン、イエロー及びマゼンタの画像形成ユニット12C、12Y及び12Mの感光体ドラム14C、14Y及び14Mが搬送ベルト23から離間する位置を設定してもよい。この場合、ドラムシャフト14aを除いたドラムシャフト14b、14c及び14dは、スライドリンク64の凸部64bに乗り上げて上方に移動し、画像形成ユニット12C、12Y及び12Mがアップした状態となり、感光体ドラム14C、14Y及び14Mが搬送ベルト23から離間する。
【0059】
次に、前記画像形成ユニット12をアップさせた状態の画像形成装置10について説明する。
【0060】
図5は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットをアップさせた状態の画像形成装置の構成を示す断面図である。
【0061】
図5は、画像形成ユニット12Yをアップさせた状態を示している。この状態では、画像形成ユニット12K、12M及び12Cの感光体ドラム14K、14M及び14Cは搬送ベルト23に接触しているが、画像形成ユニット12Yの感光体ドラム14Yは搬送ベルト23の上方に離間している。なお、画像形成ユニット12K、12M及び12Cをそれぞれアップさせた場合も、同様に、感光体ドラム14K、14M及び14Cがそれぞれ搬送ベルト23の上方に離間する。
【0062】
ところで、印刷工程において、現像ローラ16上に形成されたトナー層では、静電潜像パターンに対応したトナーのみが現像に使用されるので、画像データの密度が低い印刷(以降、「低密度印刷」という)の場合、現像に使用されない未現像のトナーが多く存在する。このような未現像のトナーのうちには、現像ローラ16上に付着した状態で残留し、トナー供給用スポンジローラ19による掻(か)き取りや、現像ローラ16とトナー供給用スポンジローラ19との間での摩擦帯電や、現像ローラ16と現像ブレード18との間での摩擦帯電を経て、再び、感光体ドラム14上の静電潜像パターンの現像に使用されるものや、現像ローラ16と現像ブレード18との隙(すき)間を通過することができないものが生じる。そして、低密度印刷が継続された場合、現像されずに現像ローラ16に残留した未現像のトナーは、ダメージを受け、シリカ等の外添剤が剥(はく)離したり埋没したりすることによって、帯電性能が低下したり、逆極性の帯電が生じたりする場合がある。
【0063】
帯電性能の低いトナーは、現像ローラ16の表面との鏡像力による付着力が弱く、感光体ドラム14へ移動しやすいため、未現像のトナーが多くなると、画像の背景部にトナーが付着する、いわゆるかぶり印刷が発生しやすくなる。
【0064】
そこで、本実施の形態においては、画像形成ユニット12をアップさせて感光体ドラム14を搬送ベルト23から離間させ、濃度センサ33を用いて各画像形成ユニット12のかぶりトナー量を検出し、検出したかぶりトナー量に応じてかぶり印刷を回避するための制御を行うようになっている。具体的には、かぶりトナー量から算出したかぶりレベルBxに応じて感光体ドラム14の表面の周速、すなわち、感光体ドラム速度Vd と、搬送ベルト23の搬送速度、すなわち、搬送ベルト速度Vb とに速度差を設定する。なお、Bxは、色(Color)xのかぶりレベルを表し、xには、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の4色に対応して、k、y、m及びcのいずれかが入る。
【0065】
次に、検出したかぶりトナー量に応じて感光体ドラム速度Vd と搬送ベルト速度Vb との速度差を設定する動作について説明する。
【0066】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー量に応じて感光体ドラム速度と搬送ベルト速度との速度差を設定する動作を示すフローチャートである。
【0067】
まず、画像形成制御部30は、帯電電圧制御部44、現像電圧制御部46、転写電圧制御部47、供給電圧制御部54等に指示し、各部に印加される電圧をかぶりレベル検出電圧に設定する。例えば、供給電圧を−80〔V〕、現像電圧を−200〔V〕、現像ブレード電圧を−40〔V〕、転写電圧を4000〔V〕、帯電電圧を−1300〔V〕に設定する。
【0068】
ちなみに、通常の印刷工程においては、例えば、供給電圧は−300〔V〕、現像電圧は−200〔V〕、現像ブレード電圧は−150〔V〕、転写電圧は4000〔V〕、帯電電圧は−1000〔V〕に設定されている。
【0069】
なお、前記かぶりレベル検出電圧の数値、及び、通常の印刷工程における電圧の数値は、一例にすぎないものである。
【0070】
かぶりトナー量を検出する工程では、通常の印刷工程と比較して、現像ブレード電圧の絶対値を低下させる。これは、現像ブレード電圧の絶対値を低下させることによって、現像電圧との電圧差が小さくなり、逆極性に帯電したトナーが現像ブレード18に引き付けられる力が弱くなるので、かぶりトナーが現像ブレード18を通過する確率が増加するためである。また、現像ブレード電圧は、現像電圧と同極性で、かつ、現像電圧より絶対値が低くなるように設定されることが望ましい。これは、現像ローラ16に対して現像ブレード18側には、正規帯電されたトナーと逆極性の電界が形成されるため、正規帯電されたトナーは現像ブレード18に引き付けられ、画像形成ユニット12内に存在するかぶりトナーが現像ブレード18を通過する確率が増加するからである。
【0071】
また、かぶりトナー量を検出する工程では、通常の印刷工程と比較して、供給電圧の絶対値を低下させる。これは、供給電圧を低下させることによって、かぶりトナーが現像ローラ16側に移動しやすくなるためである。
【0072】
さらに、かぶりトナー量を検出する工程では、帯電電圧と現像電圧との電圧差を通常の印刷工程と比較して大きくするために、帯電電圧の絶対値を増加させる。これにより、現像ローラ16上へ排出されたかぶりトナーが、電気的に引き付けられることによって感光体ドラム14へ移動する確率が増加するためである。
【0073】
なお、ここでは、現像電圧を−200〔V〕とする例について説明したが、現像電界を大きくするために、現像電圧の絶対値を低下させてもよい。また、転写電圧は、実験より効果が小さいために、ここでは、通常の印刷工程と同一の値とした。
【0074】
次に、画像形成制御部30は、LEDヘッド13K、13Y、13M及び13Cを発光させない場合の印刷工程と同様にして、感光体ドラム14上の非画像形成領域に移動したトナー、すなわち、かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。つまり、かぶりトナーは、LEDヘッド13が非露光のときに生成された現像パターンに含まれるトナーである。
【0075】
続いて、画像形成制御部30は、濃度センサ33によって搬送ベルト23上のかぶりトナー量を検出し、かぶりトナー量の検出値N1を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
【0076】
続いて、画像形成制御部30は、画像形成ユニットアップダウン駆動制御部53に指示してIDアップダウンモータ66を駆動させ、画像形成ユニット12Cをアップさせる。そして、画像形成制御部30は、かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させ、濃度センサ33によって搬送ベルト23上のかぶりトナー量を検出し、かぶりトナー量の検出値N2を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
【0077】
続いて、画像形成制御部30は、画像形成ユニットアップダウン駆動制御部53に指示してIDアップダウンモータ66を駆動させ、画像形成ユニット12Cをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Mをアップさせる。そして、画像形成制御部30は、かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させ、濃度センサ33によって搬送ベルト23上のかぶりトナー量を検出し、かぶりトナー量の検出値N3を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
【0078】
続いて、画像形成制御部30は、画像形成ユニットアップダウン駆動制御部53に指示してIDアップダウンモータ66を駆動させ、画像形成ユニット12Mをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Yをアップさせる。そして、画像形成制御部30は、かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させ、濃度センサ33によって搬送ベルト23上のかぶりトナー量を検出し、かぶりトナー量の検出値N4を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
【0079】
続いて、画像形成制御部30は、画像形成ユニットアップダウン駆動制御部53に指示してIDアップダウンモータ66を駆動させ、画像形成ユニット12Yをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Kをアップさせる。そして、画像形成制御部30は、かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させ、濃度センサ33によって搬送ベルト23上のかぶりトナー量を検出し、かぶりトナー量の検出値N5を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
【0080】
続いて、画像形成制御部30は、画像形成ユニットアップダウン駆動制御部53に指示してIDアップダウンモータ66を駆動させ、画像形成ユニット12Kをダウンさせ、かぶりトナー量の検出を終了する。
【0081】
次に、画像形成制御部30は、検出したかぶりトナー量から、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12CのかぶりレベルBk、By、Bm及びBcを計算する。該かぶりレベルBxは、次の式(1)によって計算される。
Bk=N1−N5、By=N1−N4、Bm=N1−N3、Bc=N1−N2
・・・式(1)
そして、画像形成制御部30の速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、イエローの画像形成ユニット12Yの感光体ドラム速度Vd-y と搬送ベルト速度Vb とが等しくなるように、すなわち、Vd-y =Vb に設定させる。
【0082】
ここで、Vd-y =Vb と設定するのは、本実施の形態における画像形成装置10ではイエローの画像形成ユニット12Yが最下流に配設されているところ、最下流に配設された画像形成ユニット12の感光体ドラム速度Vd は必ず搬送ベルト速度Vb と一致することが実験結果より分かっているからである。また、一般的に、イエローの画像形成ユニット12Yは、かぶりが目立たないので速度差を設けなくてよいためである。
【0083】
続いて、画像形成制御部30は、マゼンタの画像形成ユニット12MのかぶりレベルBmが閾(しきい)値P2を超えているか否か判断する。そして、かぶりレベルBmが閾値P2を超えている場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とがVd-m =0.97Vb となるように設定させる。
【0084】
また、かぶりレベルBmが閾値P2を超えていない場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とをVd-m =Vb となるように設定させる。
【0085】
続いて、画像形成制御部30は、シアンの画像形成ユニット12CのかぶりレベルBcが閾値P3を超えているか否か判断する。そして、かぶりレベルBcが閾値P3を超えている場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とがVd-c =0.95Vb となるように設定させる。
【0086】
また、かぶりレベルBcが閾値P3を超えていない場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とをVd-c =Vb となるように設定させる。
【0087】
続いて、画像形成制御部30は、ブラックの画像形成ユニット12KのかぶりレベルBkが閾値P4を超えているか否か判断する。そして、かぶりレベルBkが閾値P4を超えている場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とがVd-k =0.935Vb となるように設定させる。
【0088】
また、かぶりレベルBkが閾値P4を超えていない場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とをVd-k =Vb となるように設定させる。
【0089】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 各部に印加される電圧をかぶりレベル検出電圧に設定する。
ステップS2 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS3 かぶりトナー量の検出値N1を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS4 画像形成ユニット12Cをアップさせる。
ステップS5 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS6 かぶりトナー量の検出値N2を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS7 画像形成ユニット12Cをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Mをアップさせる。
ステップS8 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS9 かぶりトナー量の検出値N3を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS10 画像形成ユニット12Mをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Yをアップさせる。
ステップS11 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS12 かぶりトナー量の検出値N4を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS13 画像形成ユニット12Yをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Kをアップさせる。
ステップS14 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS15 かぶりトナー量の検出値N5を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS16 画像形成ユニット12Kをダウンさせる。
ステップS17 Bk=N1−N5、By=N1−N4、Bm=N1−N3、Bc=N1−N2を計算する。
ステップS18 画像形成ユニット12Yの感光体ドラム速度Vd-y と搬送ベルト速度Vb とが等しくなるように設定させる。
ステップS19 画像形成ユニット12MのかぶりレベルBmが閾値P2を超えているか否か判断する。かぶりレベルBmが閾値P2を超えている場合はステップS20に進み、かぶりレベルBmが閾値P2を超えていない場合はステップS25に進む。
ステップS20 画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とがVd-m =0.97Vb となるように設定させる。
ステップS21 画像形成ユニット12CのかぶりレベルBcが閾値P3を超えているか否か判断する。かぶりレベルBcが閾値P3を超えている場合はステップS22に進み、かぶりレベルBcが閾値P3を超えていない場合はステップS26に進む。
ステップS22 画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とがVd-c =0.95Vb となるように設定させる。
ステップS23 画像形成ユニット12KのかぶりレベルBkが閾値P4を超えているか否か判断する。かぶりレベルBkが閾値P4を超えている場合はステップS24に進み、かぶりレベルBkが閾値P4を超えていない場合はステップS27に進む。
ステップS24 画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とがVd-k =0.935Vb となるように設定させて、処理を終了する。
ステップS25 画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とをVd-m =Vb となるように設定させる。
ステップS26 画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とをVd-c =Vb となるように設定させる。
ステップS27 画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とをVd-k =Vb となるように設定させて、処理を終了する。
【0090】
以上のように、本実施の形態においては、各画像形成ユニット12のかぶりトナー量を検出し、検出したかぶりトナー量に応じて感光体ドラム速度Vd と搬送ベルト速度Vb とに速度差を設定する。ここでは、かぶりトナー量に応じて感光体ドラム速度Vd と搬送ベルト速度Vb とに速度差を設定する例について説明したが、速度差を設定せず、かぶりトナー量に応じて帯電電圧やトナー供給電圧を設定するようにしてもよい。
【0091】
次に、かぶりトナー量を検出する方法について説明する。
【0092】
図7は本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー量を検出する方法と、1色のトナーについてかぶりトナー量を検出する方法との比較を示す図である。なお、横軸は時間を表し、縦軸はかぶりトナー濃度を表し、上方ほどトナー濃度が高いことを示す。
【0093】
図において、実線は、本実施の形態における方法によって検出されたかぶりトナー量としてのかぶりトナー濃度を示し、破線は1色のトナーを使用する方法によって検出されたかぶりトナー量としてのかぶりトナー濃度を示している。
【0094】
1色のトナーを使用する方法では、かぶりトナー量が少ないので濃度が低く出力されるため、センサの出力ばらつき範囲内に収まる場合には、各画像形成ユニット12間のかぶりトナー量の差を正確に検出することができない。
【0095】
これに対し、本実施の形態における方法では、かぶりトナー量が多くなるので高い濃度が出力され、センサの出力ばらつきに係わらず、各画像形成ユニット12間のかぶりトナー量を精度よく検出することができる。
【0096】
このように、本実施の形態においては、各画像形成ユニット12のかぶりトナー量を精度よく検出することができ、かぶりレベルBxに応じ、かぶり印刷を回避するための制御を適切に行うことができる。
【0097】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0098】
図8は本発明の第2の実施の形態におけるかぶりトナー量に応じて感光体ドラム速度と搬送ベルト速度との速度差を設定する動作を示すフローチャートである。
【0099】
本実施の形態においては、かぶりトナー量を検出する際にアップさせる画像形成ユニット12の数を前記第1の実施の形態よりも減少させることによって、かぶりトナー量を検出するための時間を短縮するようになっている。具体的には、画像形成ユニット12Kをアップさせず、かぶりトナー量の検出値N5を記録しないようになっている。
【0100】
なお、画像形成制御部30が帯電電圧制御部44及び現像電圧制御部46に指示し、感光体ドラム14の帯電電圧及び現像ローラ16の現像電圧をかぶりレベル検知バイアスに設定してから、かぶりトナー量の検出値N4を画像形成制御部30内のメモリ等に記録するまでの動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0101】
そして、画像形成制御部30は、画像形成ユニットアップダウン駆動制御部53に指示してIDアップダウンモータ66を駆動させ、画像形成ユニット12Yをダウンさせ、かぶりトナー量の検出を終了する。
【0102】
次に、画像形成制御部30は、検出したかぶりトナー量から、画像形成ユニット12Y、12M及び12CのかぶりレベルBy、Bm及びBcを計算する。該かぶりレベルBxは、次の式(2)によって計算される。
By=N1−N4、Bm=N1−N3、Bc=N1−N2 ・・・式(2)
続いて、画像形成制御部30は、画像形成ユニット12Y、12M及び12CのかぶりレベルBy、Bm及びBcから、画像形成ユニット12KのかぶりレベルBkを計算する。該かぶりレベルBkは、次の式(3)によって計算される。
Bk=N1−(By+Bm+Bc) ・・・式(3)
続いて、画像形成制御部30の速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、イエローの画像形成ユニット12Yの感光体ドラム速度Vd-y と搬送ベルト速度Vb とが等しくなるように、すなわち、Vd-y =Vb に設定させる。
【0103】
続いて、画像形成制御部30は、マゼンタの画像形成ユニット12MのかぶりレベルBmが閾値P2を超えているか否か判断する。そして、かぶりレベルBmが閾値P2を超えている場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とがVd-m =0.97Vb となるように設定させる。
【0104】
また、かぶりレベルBmが閾値P2を超えていない場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とをVd-m =Vb となるように設定させる。
【0105】
続いて、画像形成制御部30は、シアンの画像形成ユニット12CのかぶりレベルBcが閾値P3を超えているか否か判断する。そして、かぶりレベルBcが閾値P3を超えている場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とがVd-c =0.95Vb となるように設定させる。
【0106】
また、かぶりレベルBcが閾値P3を超えていない場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とをVd-c =Vb となるように設定させる。
【0107】
続いて、画像形成制御部30は、ブラックの画像形成ユニット12KのかぶりレベルBkが閾値P4を超えているか否か判断する。そして、かぶりレベルBkが閾値P4を超えている場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とがVd-k =0.935Vb となるように設定させる。
【0108】
また、かぶりレベルBkが閾値P4を超えていない場合、速度差制御部30bは、画像形成駆動制御部48に指示し、画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とをVd-k =Vb となるように設定させる。
【0109】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 各部に印加される電圧をかぶりレベル検出電圧に設定する。
ステップS32 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS33 かぶりトナー量の検出値N1を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS34 画像形成ユニット12Cをアップさせる。
ステップS35 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS36 かぶりトナー量の検出値N2を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS37 画像形成ユニット12Cをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Mをアップさせる。
ステップS38 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS39 かぶりトナー量の検出値N3を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS40 画像形成ユニット12Mをダウンさせるとともに画像形成ユニット12Yをアップさせる。
ステップS41 かぶりトナーを搬送ベルト23上に転写させる。
ステップS42 かぶりトナー量の検出値N4を画像形成制御部30内のメモリ等に記録する。
ステップS43 画像形成ユニット12Yをダウンさせる。
ステップS44 By=N1−N4、Bm=N1−N3、Bc=N1−N2を計算する。
ステップS45 Bk=N1−(Bc+Bm+By)を計算する。
ステップS46 画像形成ユニット12Yの感光体ドラム速度Vd-y と搬送ベルト速度Vb とが等しくなるように設定させる。
ステップS47 画像形成ユニット12MのかぶりレベルBmが閾値P2を超えているか否か判断する。かぶりレベルBmが閾値P2を超えている場合はステップS48に進み、かぶりレベルBmが閾値P2を超えていない場合はステップS53に進む。
ステップS48 画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とがVd-m =0.97Vb となるように設定させる。
ステップS49 画像形成ユニット12CのかぶりレベルBcが閾値P3を超えているか否か判断する。かぶりレベルBcが閾値P3を超えている場合はステップS50に進み、かぶりレベルBcが閾値P3を超えていない場合はステップS54に進む。
ステップS50 画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とがVd-c =0.95Vb となるように設定させる。
ステップS51 画像形成ユニット12KのかぶりレベルBkが閾値P4を超えているか否か判断する。かぶりレベルBkが閾値P4を超えている場合はステップS52に進み、かぶりレベルBkが閾値P4を超えていない場合はステップS55に進む。
ステップS52 画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とがVd-k =0.935Vb となるように設定させて、処理を終了する。
ステップS53 画像形成ユニット12Mの感光体ドラム速度Vd-m と搬送ベルト速度Vb とをVd-m =Vb となるように設定させる。
ステップS54 画像形成ユニット12Cの感光体ドラム速度Vd-c と搬送ベルト速度Vb とをVd-c =Vb となるように設定させる。
ステップS55 画像形成ユニット12Kの感光体ドラム速度Vd-k と搬送ベルト速度Vb とをVd-k =Vb となるように設定させて、処理を終了する。
【0110】
このように、本実施の形態においては、かぶりトナー量を検出する際に、3回のかぶりトナー量の検出によってすべての画像形成ユニット12のかぶりレベルBxを計算することができるので、かぶりトナー量の検出時間を短縮することができる。
【0111】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、カラー電子写真式プリンタを例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子写真方式を採用しているファクシミリ機、複写機、プリンタ、MFP(複合型プリンタ:Multi Function Printer)等にも適用することができる。
【0112】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの昇降機構を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの昇降機構の動作を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットをアップさせた状態の画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー量に応じて感光体ドラム速度と搬送ベルト速度との速度差を設定する動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー量を検出する方法と、1色のトナーについてかぶりトナー量を検出する方法との比較を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるかぶりトナー量に応じて感光体ドラム速度と搬送ベルト速度との速度差を設定する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
10 画像形成装置
12K、12Y、12M、12C 画像形成ユニット
13K、13Y、13M、13C LEDヘッド
14K、14Y、14M、14C 感光体ドラム
15K、15Y、15M、15C 帯電ローラ
23 搬送ベルト
30a 現像剤量判別部
30b 速度差制御部
33 濃度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)現像剤像を担持する像担持体をそれぞれ備える複数の画像形成ユニットと、
(b)該画像形成ユニットに対向して配設されるベルト部材と、
(c)該ベルト部材上の現像剤量を検出する現像剤量検出部と、
(d)前記複数の画像形成ユニットと前記ベルト部材とを離接させる離接手段とを有し、
(e)該離接手段が前記複数の画像形成ユニットのうちの少なくとも一つを前記ベルト部材から離間させ、前記現像剤量検出部が非画像形成領域の現像剤量を検出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤量検出部によって検出された非画像形成領域の現像剤量が境界値を超えたか否かを判別する現像剤量判別部を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
すべての画像形成ユニットの非画像形成領域の現像剤量から、前記ベルト部材から離間させた画像形成ユニット以外の画像形成ユニットの非画像形成領域の現像剤量を差し引いた現像剤量を前記ベルト部材から離間させた画像形成ユニットの非画像形成領域の現像剤量とし、該現像剤量が境界値を超えたか否かを判別する現像剤量判別部を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成ユニットを駆動する画像形成駆動部と、
前記ベルト部材を駆動するベルト駆動部と、
前記現像剤量検出部とによって検出された非画像形成領域の現像剤量に応じて、前記画像形成駆動部と前記ベルト駆動部とを制御して前記像担持体と前記ベルト部材との速度差を設定する速度差設定手段とを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体上に静電潜像を形成するための露光手段を有し、
前記ベルト部材上に付着し、前記現像剤量検出部によって検出される現像剤は、前記露光手段が非露光のときに生成された現像パターンに含まれる現像剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体と接触し、該像担持体の表面を一様に帯電する帯電器と、
前記像担持体に現像剤を付着させて現像する現像器と、
前記帯電器に供給する帯電電圧を制御する電圧制御部とを有し、
前記現像剤量検出部によって検出された現像剤量に基づいて前記帯電器に供給する帯電電圧を決定する請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体と接触し、該像担持体の表面を一様に帯電する帯電器と、
前記像担持体に現像剤を付着させて現像する現像器と、
該現像器と接触し、該現像器の表面へ帯電した現像剤を供給するための現像剤供給器と、
該現像剤供給器に供給する供給電圧を制御する電圧制御部とを有し、
前記現像剤量検出部によって検出された現像剤量に基づいて前記現像剤供給器に供給する供給電圧を決定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の画像形成ユニットのうちの最下流に位置する画像形成ユニットの像担持体と前記ベルト部材との速度を一致させる請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記複数の画像形成ユニットのうちの最下流に位置する画像形成ユニットはイエローの現像剤像を担持する像担持体を備え、前記複数の画像形成ユニットのうちの最上流に位置する画像形成ユニットはブラックの現像剤像を担持する像担持体を備える請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−265201(P2009−265201A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111932(P2008−111932)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】