説明

短絡検出回路

【課題】本発明は、コストアップや電力損失を招くことなく、プッシュプル回路の出力短絡を検出することが可能な短絡検出回路を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る短絡検出回路は、パルス信号Vxと同期したダミーパルス信号Vyを生成し、両信号間に所定の位相差が生じているか否かに応じて、OUT1P端子の短絡検出を行う構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D級オーディオアンプやスイッチングレギュレータなどの出力短絡を検出する短絡検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランジスタを2つ直列に接続したプッシュプル回路などの出力短絡は、センス抵抗を用いて検出することが一般的である。例えば、特許文献1では、その図1に示されているように、Nチャネル電界効果トランジスタのソース側に接続されたセンス抵抗を用いて、コンプリメンタリ回路に流れる電流を検出し、これが所定の閾値以上であるときに、スイッチ回路を駆動して電源を遮断する技術が開示・提案されている。
【特許文献1】特開平11−239029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の短絡検出回路では、高価なセンス抵抗を用いる必要があるため、コストアップが招かれていた。また、上記従来の短絡検出回路では、センス抵抗に電流が流れることに伴い、不要な電力損失が生じていた。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑み、コストアップや電力損失を招くことなく、プッシュプル回路の出力短絡を検出することが可能な短絡検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る短絡検出回路は、パルス信号を出力する外部端子の短絡検出を行う短絡検出回路であって、前記パルス信号と同期したダミーパルス信号を生成し、両信号間に所定の位相差が生じているか否かに応じて、前記外部端子の短絡検出を行う構成(第1の構成)とされている。
【0006】
なお、上記第1の構成から成る短絡検出回路は、所定のマスク期間に亘って前記位相差が生じているときに、前記外部端子が短絡していると判断する構成(第2の構成)にするとよい。
【0007】
また、上記第1または第2の構成から成る短絡検出回路は、前記外部端子が短絡していると判断したときに、前記パルス信号の出力動作を停止させる構成(第3の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る短絡検出回路であれば、コストアップや電力損失を招くことなく、プッシュプル回路の出力短絡を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明に係る半導体装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0010】
まず、本実施形態の半導体装置10の概要について述べる。
【0011】
図1に示す半導体装置10は、薄型テレビなどの省スペース・低発熱用途向けに開発された17[W]+17[W]のステレオD級パワーアンプICである。そのプロセス技術としては、BCD[Bipolar, CMOS, and DMOS]プロセス技術が採用されており、出力パワー段のオン抵抗や配線抵抗による内部損失をできる限り排除することで、高効率90%(10[W]+10[W]出力、8[Ω]負荷時)が実現されている。さらに、小型裏面放熱タイプのパワーパッケージが採用されており、低消費電力・低発熱量を実現しているため、総合34[W]出力まで外付け放熱器が不要となっている。半導体装置10を用いれば、音声系システムの大幅な小型化・薄型化と、大迫力・高音質再生の両方のニーズに応えることが可能である。
【0012】
次に、半導体装置10の特長について述べる。
【0013】
第1の特長は、高効率90%(10[W]+10[W]出力、8[Ω]負荷時)、及び低発熱を実現している点である。第2の特長は、外付け放熱器なしで、17[W]+17[W](12[V]、4[Ω]負荷時)の出力を行うことが可能な点である。第3の特長は、最小4[Ω]までの定格負荷を駆動することが可能な点である。第4の特長は、電源オン/オフ時、及び、電源瞬断時のポップ音を低減している点である。第5の特長は、ソフト切換え技術により、高品位な音声ミュートを実現している点である。第6の特長は、スピーカへの過大出力を制限する出力電力制限機能を搭載している点である。第7の特長は、高温保護回路、天絡地絡保護回路、減電圧保護回路、及び、スピーカ直流電圧印加保護回路を内蔵しており、信頼性の高いデザインを採用している点である。第8の特長は、複数個の半導体装置10を同時に使用する際に、これらを同期させるためのマスター/スレーブ機能を搭載しており、ビートノイズの発生を抑えることが可能な点である。第9の特長は、内部PWM[Pulse Width Modulation]用サンプリングクロック周波数の調整機能(250[kHz]〜400[kHz])を搭載しており、AMラジオへの不要輻射対策を容易に実現することが可能な点である。第10の特長は、ステレオ出力をパラレル接続することにより、高出力34[W]モノラルアンプを構成することが可能な点である。第11の特長は、小型裏面放熱タイプのパワーパッケージを使用している点である。
【0014】
上記の特長を有する本実施形態の半導体装置10は、図1に示すように、第1のD級パワーアンプ部1と、第2のD級パワーアンプ部2と、パワーリミット部3と、ミュート制御部4と、保護ロジック部5と、パワーオフ検知部6と、ソフトミュート部7と、ランプ発振部8と、クロック制御部9と、を集積化して成る。
【0015】
第1のD級パワーアンプ部1は、入力増幅回路1aと、PWM変調回路1bと、正相側ドライバ回路1cと、逆相側ドライバ回路1dと、正相側プッシュプル出力回路(Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ1e、1f)と、逆相側プッシュプル出力回路(NチャネルMOS型電界効果トランジスタ1g、1h)と、正相側ブートストラップ用のダイオード1iと、逆相側ブートストラップ用のダイオード1jと、を有して成り、外付けされたLCフィルタ回路と合わせて、BTL形式のD級パワーアンプが形成されている。
【0016】
第2のD級パワーアンプ部2は、入力増幅回路2aと、PWM変調回路2bと、正相側ドライバ回路2cと、逆相側ドライバ回路2dと、正相側プッシュプル出力回路(Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ2e、2f)と、逆相側プッシュプル出力回路(Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ2g、2h)と、正相側ブートストラップ用のダイオード2iと、逆相側ブートストラップ用のダイオード2jと、を有して成り、外付けされたLCフィルタ回路と合わせて、BTL形式のD級パワーアンプが形成されている。
【0017】
このように、スピーカの駆動手段として、BTL形式のD級パワーアンプ1、2を用いる構成であれば、入力されたオーディオ信号の電圧レベルを平衡増幅することができるので、音響機器の電源効率を高めることが可能となる。
【0018】
なお、D級パワーアンプ1、2を構成するPWM変調回路1b、2bは、入力増幅回路2a、2bを介して入力されるアナログ信号を2相(正相、逆相)のデジタル信号に変換する手段であり、積分器、比較器、デッドタイム生成部などを有して成るが、その構成については、周知技術を適用すれば足りるため、ここでは詳細な説明を割愛する。
【0019】
また、本実施形態の半導体装置10では、PWM変調回路1b、2bを採用した構成を例に挙げて説明を行うが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、ΔΣ変調器を用いたPDM[Pulse Density Modulation]変調回路など、その他の形式のA/D変換回路を採用しても構わない。
【0020】
パワーリミット部3は、半導体装置10に接続されるスピーカの能力に応じて、出力電力に制限を加える手段である。なお、パワーリミット部3を用いた出力電力制限機能については、後ほど詳細に説明する。
【0021】
ミュート制御部4は、装置外部(例えばマイコン)からのミュート制御信号を受け付けて、スピーカ出力のミュート制御を行う手段である。
【0022】
保護ロジック部5は、半導体装置10に搭載されている各種の保護機能(減電圧保護機能、高温保護機能、出力短絡保護機能、及び、出力DC電圧保護機能)が働いたときに、スピーカ出力を停止するとともに、ワーニング信号やエラー信号を装置外部に送出する手段である。なお、ワーニング信号は、比較的危険度が低く、異常状態が解除されれば、装置外部からの指示を待つことなく、自動復帰が可能な保護機能(本図の例では、減電圧保護機能と高温保護機能)が働いたときに送出される信号である。一方、エラー信号は、比較的危険度が高く、異常状態が解除されても、装置外部からの指示がない限り、自動復帰が行われない保護機能(本図の例では、出力短絡保護機能と出力DC電圧保護機能)が働いたときに送出される信号である。
【0023】
パワーオフ検知部6は、電源瞬断を検出してスピーカ出力を停止させる手段である。なお、パワーオフ検知部6を用いた電源瞬断検出機能については、後ほど詳細に説明する。
【0024】
ソフトミュート部7は、音声ミュートの時定数(ソフトミュート切換時間)を設定する手段である。なお、ソフトミュート部7の機能については、後ほど詳細に説明する。
【0025】
ランプ発振部8は、PWM信号の周波数を決定するためのランプ波信号(或いは三角波信号)を発生する手段である。
【0026】
クロック制御部9は、半導体装置10を複数用いる際に、各々で用いられるクロック信号の連携制御を行う手段である。なお、クロック制御部9の機能については、後ほど詳細に説明する。
【0027】
また、本実施形態の半導体装置10は、外部との電気的接続を確立する手段として、44本の外部端子(1ピン〜44ピン)を有して成る。
【0028】
図2は、半導体装置10の端子配置図である。また、図3〜図6は、いずれも、外部端子のピン番号、記号(端子名)、端子電圧(typ.値)、端子説明、及び、内部等価回路を示した対応表である。
【0029】
IN1端子(1ピン)、及び、IN2端子(44ピン)は、それぞれ、第1、第2チャネルのアナログ信号入力端子である。なお、IN1端子、及び、IN2端子には、それぞれ、外付けのコンデンサ(図1のC1、C44を参照)を介して、第1、第2チャネルのオーディオ信号が入力される。
【0030】
PLMT1端子(2ピン)、PLMT2端子(3ピン)、PLMT3端子(4ピン)、及び、PLMT4端子(5ピン)は、いずれも、パワーリミット部3の出力電力制限機能を実現するために用いられる外部端子である。なお、PLMT1端子は、電圧/電流変換端子であり、外付けの抵抗(図1のR2を参照)が接続される。PLMT2端子、及び、PLMT3端子は、いずれも電流/電圧変換端子であり、それぞれに外付けの抵抗(図1のR3、R4を参照)が接続される。PLMT5端子は、バイアス端子であり、外付けの抵抗とコンデンサ(図1のR3、R4、C5を参照)が接続される。
【0031】
BSP1P端子(6ピン)は、第1チャネルのプラス側ブートストラップ端子であり、外付けのコンデンサ(図1のC6を参照)が接続される。
【0032】
VCCP1P端子(7ピン、8ピン)は、第1チャネルのプラス側パワー系電源端子である。なお、VCCP1P端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、7ピンと8ピンを1つのVCCP1P端子とみなして使用される。
【0033】
OUT1P端子(9ピン、10ピン)は、第1チャネルのプラス側PWM信号出力端子であり、外付けの出力LPF[Low Pass Filter](図1のL9、C9、C10を参照)が接続される。なお、OUT1P端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、9ピンと10ピンを1つのOUT1P端子とみなして使用される。
【0034】
GNDP1端子(11ピン、12ピン)は、第1チャネルのパワー系接地端子である。なお、GNDP1端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、11ピンと12ピンを1つのGNDP1端子とみなして使用される。また、GNDP1端子の電位は、半導体装置10がいかなる動作状態であっても、常に系内の最低電圧となるように設計すべきである。
【0035】
OUT1N端子(13ピン、14ピン)は、第1チャネルのマイナス側PWM信号出力端子であり、外付けの出力LPF(図1のL13、C13、及び、C10を参照)が接続される。なお、OUT1N端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、13ピンと14ピンを1つのOUT1N端子とみなして使用される。
【0036】
VCCP1N端子(15ピン、16ピン)は、第1チャネルのマイナス側パワー系電源端子である。なお、VCCP1N端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、15ピンと16ピンを1つのVCCP1N端子とみなして使用される。
【0037】
BSP1N端子(17ピン)は、第1チャネルのマイナス側ブートストラップ端子であり、外付けのコンデンサ(図1のC17を参照)が接続される。
【0038】
WARNING端子(18ピン)は、ワーニング出力端子(動作ワーニングを知らせるための端子)であり、外付けの抵抗(図1のR18を参照)が接続される。なお、WARNING端子の信号論理は、ワーニング時にハイレベルとなり、通常動作時にローレベルとなる。
【0039】
ERROR端子(19ピン)は、エラー出力端子(動作エラーを知らせるための端子)であり、外付けの抵抗(図1のR19)が接続される。なお、ERROR端子の信号論理は、エラー時にハイレベルとなり、通常動作時にローレベルとなる。
【0040】
MUTEX端子(20ピン)は、音声ミュート制御端子である。なお、その信号論理はミュートオフ時にハイレベルとなり、ミュートオン時にローレベルとなる。
【0041】
N.C.端子(21ピン、22ピン)は、半導体装置10の内部で何も接続されていないノンコネクト端子であり、オープン状態とするか、或いは、GNDに接続すればよい。
【0042】
OSC端子(23ピン)は、サンプリングクロック信号の入出力端子であり、半導体装置10を複数個使用する場合には、コンデンサ(図1のC23を参照)を介して、各半導体装置10のOSC端子を相互に接続すればよい。
【0043】
MS端子(24ピン)は、マスター/スレーブ切替端子であり、半導体装置10を複数個使用する場合において、サンプリングクロック信号の供給源(マスター)となるか、供給先(スレーブ)となるかを切り替えるために用いられる。なお、MS端子の信号論理はスレーブ動作時にハイレベルとなり、マスター動作時にローレベルとなる。
【0044】
ROSC端子(25ピン)は、内部PWM用サンプリングクロックの周波数設定端子であり、通常時にはオープン(図1を参照)で使用される。一方、内部PWM用サンプリングクロックの周波数を調整する場合には、外付けの抵抗が接続される。
【0045】
TM端子(26ピン)は、音声ミュートの時定数設定端子であり、外付けのコンデンサ(図1のC26を参照)が接続される。
【0046】
VHOLD端子(27ピン)は、電源瞬断検出機能機能用の検出電圧設定端子であり、通常時には外付けのコンデンサ(図1のC27を参照)のみが接続される。一方、検出電圧を調整する場合には、コンデンサと並列に抵抗が接続される。
【0047】
BSP2N端子(28ピン)は、第2チャネルのマイナス側ブートストラップ端子であり、外付けのコンデンサ(図1のC28を参照)が接続される。
【0048】
VCCP2N端子(29ピン、30ピン)は、第2チャネルのマイナス側パワー系電源端子である。なお、VCCP2N端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、29ピンと30ピンを1つのVCCP2N端子とみなして使用される。
【0049】
OUT2N端子(31ピン、32ピン)は、第2チャネルのマイナス側PWM信号出力端子であり、外付けの出力LPF(図1のL31、C31、及び、C32を参照)が接続される。なお、OUT2N端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、31ピンと32ピンを1つのOUT2N端子とみなして使用される。
【0050】
GNDP2端子(33ピン、34ピン)は、第2チャネルのパワー系接地端子である。なお、GNDP2端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、33ピンと34ピンを1つのGNDP2端子とみなして使用される。また、GNDP2端子の電位は、半導体装置10がいかなる動作状態であっても、常に系内の最低電圧となるように設計すべきである。
【0051】
OUT2P端子(35ピン、36ピン)は、第2チャネルのプラス側PWM信号出力端子であり、外付けの出力LPF(図1のL35、C35、C32を参照)が接続される。なお、OUT2P端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、35ピンと36ピンを1つのOUT2P端子とみなして使用される。
【0052】
VCCP2P端子(37ピン、38ピン)は、第2チャネルのプラス側パワー系電源端子である。なお、VCCP2P端子については、その抵抗値低減や電流能力向上を実現するために、37ピンと38ピンを1つのVCCP2P端子とみなして使用される。
【0053】
BSP2P端子(39ピン)は、第2チャネルのプラス側ブートストラップ端子であって、外付けのコンデンサ(図1のC39を参照)が接続される。
【0054】
VCCA(40ピン)は、アナログ信号系の電源端子である。
【0055】
FILP端子(41ピン)は、PWM信号系のバイアス端子であり、外付けのコンデンサ(図1のC41を参照)が接続される。
【0056】
FILA端子(42ピン)は、アナログ信号系のバイアス端子であり、外付けのコンデンサ(図1のC42を参照)が接続される。
【0057】
GNDA端子(43ピン)は、アナログ信号系の接地端子である。なお、GNDA端子の電位は、半導体装置10がいかなる動作状態であっても、常に系内の最低電圧となるように設計すべきである。
【0058】
次に、半導体装置10を用いたアプリケーション回路について、例を挙げて説明する。
【0059】
図7は、負荷抵抗4[Ω]のスピーカをステレオ動作させる場合のアプリケーション回路図である。なお、図7に示した回路では、電源電圧として、10〜16.5[V]の入力が想定されている。
【0060】
図8は、負荷抵抗4[Ω]のスピーカをモノラル動作させる場合のアプリケーション回路図である。なお、図8に示した回路では、電源電圧として、10〜16.5[V]の入力が想定されている。本図に示すように、モノラル動作時には、ステレオ動作時と比較して、一部の外付け部品(図7、図8の28〜39ピン、及び、44ピンを比較参照)を省略することができる。
【0061】
図9は、負荷抵抗4[Ω]のスピーカをパラレル駆動によってモノラル動作させる場合のアプリケーション回路図である。なお、図9に示した回路では、電源電圧として、10〜16.5[V]の入力が想定されている。本図に示すように、第1、第2チャネルの出力をパラレルで用いることにより、半導体装置10を高出力モノラルアンプとして動作させることが可能である。このような動作をさせる場合には、第1、第2チャネルの両入力端子に同じ信号を入力するとともに、出力LCフィルタの後段で両出力のプラス側同士とマイナス側同士を接続し、これをスピーカの両端に接続すればよい。なお、図9に示した回路において、電源電圧12[V]、負荷抵抗4[Ω]のときの出力は、20[W](全高調波歪みTHD[Total Harmonic Distortion]=10[%])であり、そのときの効率は、92[%]となる。また、電源電圧12[V]、負荷抵抗2[Ω]のときには、34[W](THD=10[%])まで出力することができる。
【0062】
上記構成から成る半導体装置10の電源ラインに関しては、出力コイル(図1のL9、L13、L31、L35を参照)の逆起電力により、回生した電流の戻りが生じるため、回生電流の経路として、電源とGNDとの間にコンデンサ(図1のC7、C8、C15、C29、C37、C38、C40、C43を参照)を入れるなどの対策を施すことが望ましい。その際、電解コンデンサを用いる場合には、低温環境下で容量値の低下が起こることなどを想定し、諸特性に問題のないことを十分に確認した上で、容量値を決定することが望ましい。なお、接続されている電源が十分な電流吸収能力を持たない場合、回生電流によって電源ラインの電圧が上昇し、半導体装置10及びその周辺回路を含めて、絶対最大定格を超えるおそれがあるため、電圧クランプ用のダイオードを電源とGNDとの間に挿入するなど、物理的な安全対策を施すことが望ましい。
【0063】
次に、半導体装置10のパッケージについて、図10〜図12を参照して説明する。
【0064】
図10は、半導体装置10の外形寸法図である。なお、図10中の寸法単位は、ミリメートルである。また、図11は、半導体装置10のフットプリントの一参考例を示す図であり、図12は、フットプリントの設計値の一例を示す表である。
【0065】
図10〜図12に示す通り、半導体装置10は、小型裏面放熱タイプのパワーパッケージを使用しており、パッケージの裏側にはフレームが露出されている。従って、この部分に放熱処理を施すことにより、外付けの放熱器を要することなく、その放熱効率を上げて使用することができる。そのため、基板表面だけでなく、基板裏面にも放熱パターンをできるだけ広くとって使用することが望ましい。なお、フットプリントに関しては、図12の表に例示した設計値に限らず、状況に合わせた適正化を図ればよい。
【0066】
次に、上記構成から成る半導体装置10の電気的特性を図13に示す。
【0067】
図13は、半導体装置10の電気的特性を示す表である。なお、図13に示した電気的特性は、特に指定のない限り、Ta=25[℃]、Vcc=12[V]、fIN=1[kHz]、Rg=0[Ω]、RL=8[Ω]、MUTEX=”H”、MS=”L”での数値を示している。また、最大出力1、最大出力2、並びに、全高調波歪率の代表値に関しては、半導体装置10の標準的な性能を示しており、基板レイアウトや使用部品、電源部に大きく依存する。
【0068】
次に、外付け部品の決め方と制御方法について、詳細な説明を行う。
【0069】
まず、電源端子(7、8、15、16、29、30、37、38、40ピン)に関して図14を参照しながら説明する。
【0070】
図14は、半導体装置10の電源系統図である。
【0071】
図14に示すように、半導体装置10の電源端子は5系統あり、そのうちの4系統は、出力パワー系の電源端子(VCCP1P、VCCP1N、VCCP2P、VCCP2N)であり、1系統は、アナログ信号系の電源端子(VCCA)である。
【0072】
それぞれの電源端子には、デカップリングコンデンサ(C7、C8、C15、C29、C37、C38、C41、C43)を接続して使用することが望ましい。特に、出力パワー用の電源端子については、IC端子の直近に高周波特性の良いコンデンサを配置することが望ましい。また、全ての電源端子は、いずれも同一の電圧とし、同時に立ち上げ、立ち下げを行うことが望ましい。
【0073】
次に、パワーダウンの方法について、詳細な説明を行う。
【0074】
半導体装置10をパワーダウンするには,半導体装置10に印加している電源電圧を0[V]にすればよい。このとき、半導体装置10のMUTEX端子(20ピン)は、ローレベル(L)としておくことが望ましい。MUTEX端子がハイレベル(H)の状態であると、マイコンからMUTEX端子に向けて電流が逆流する形となるからである。このような状態が想定される場合には、図15で示すように、マイコンとMUTEX端子との間に、電流制限抵抗を挿入することが望ましい。ただし、100[kΩ]の電流制限抵抗を接続した場合、MUTEX端子の制御電圧としては、ハイレベル入力電圧が3.5[V]〜Vccとなり、また、ローレベル入力電圧がGND〜1.2[V]となることに留意すべきである。
【0075】
次に、音声ミュート(20、26ピン)について、詳細な説明を行う。
【0076】
半導体装置10では、MUTEX端子(20ピン)をローレベルとすることにより、音声ミュートをかけることができる。なお、音声ミュート中においては、PWM信号出力端子(9、10、13、14、31、32、35、36ピン)の通常サンプリング動作がいずれも停止され、各出力がローレベルに固定される。また、音声ミュート中においては、半導体装置の消費電流を削減することができる(ミュートオフ時:25[mA](typ.)→ミュートオン時:10[mA](typ.))。
【0077】
また、半導体装置10では、音声ミュート制御時のポップ音を低減するために、ソフトミュート部7を用いて、ソフトミュート制御を行うことも可能である。
【0078】
図16は、音声ミュート制御(ソフトミュート制御)の一例を示すタイミングチャートである。
【0079】
なお、ソフトミュート部7には、ソフトミュート切換時間Tswを設定するための時定数回路が内蔵されており、TM端子(26ピン)に接続されるコンデンサC26(図17を参照)の容量値に応じてソフトミュート切換時間Tswを設定することが可能である。このソフトミュート切換時間Tswは、下記の(1)式で求めることができる。
【0080】
【数1】

【0081】
上記(1)式中の符号C26は、TM端子に接続されるコンデンサC26の容量値を示すパラメータであり、その推奨値は0.1[μF]である。コンデンサC26の容量値を小さくすると、ソフトミュート切換時間Tswは短くなるが、音声ミュート制御時のポップ音が発生しやすくなる。一方、コンデンサC26の容量値を大きくすると、ソフトミュート切換時間Tswは長くなるが、音声ミュート制御時におけるポップ音の発生を大幅に低減することが可能となる。また、半導体装置10では、電源瞬断検出時においてもソフトミュート動作が行われるが、このときのソフトミュート切換時間Tswは、上記した通常のソフトミュート切換時間Tswの約1/10となる。
【0082】
なお、電源を立ち上げる場合には、MUTEX端子(20ピン)をローレベルの状態で立ち上げることが望ましい。また、電源を立ち下げる場合にも、同様に、MUTEX端子をローレベルにしてから立ち下げることが望ましい。このようなシーケンスにより、電源オン/オフ時のポップ音を軽減することが可能となる。
【0083】
次に、オーディオ入力回路(1、44ピン)について図18を参照しながら説明する。
【0084】
図18は、オーディオ入力回路(特にそのフロントエンド部分)を示す回路図である。
【0085】
図18に示すように、オーディオ信号が入力されるIN1端子及びIN2端子と前段回路との間には、カップリングコンデンサC1、C44が接続される。従って、これらのコンデンサC1、C44と、半導体装置10の入力インピーダンスR1、R44によって、1次ハイパスフィルタが形成される。なお、オーディオ入力端子の低域カットオフ周波数fc1、fc2は、コンデンサC1、C44の容量値と、入力インピーダンスR1、R44の抵抗値(=20[kΩ](typ.))に応じて、下記の(2)式で決定される。
【0086】
【数2】

【0087】
上記(2)式中の符号C1、C44は、コンデンサC1、C44の容量値を示すパラメータであり、符号R1、R44は、半導体装置10の入力インピーダンスR1、R44の抵抗値を示すパラメータである。
【0088】
ただし、コンデンサC1、C44の容量値を大きく設定し過ぎると、電源起動時に入力端子電圧が安定するまでの時間が長くなる。入力端子電圧が安定するまでに、MUTEX端子(20ピン)をハイレベル(ミュートオフ)にしてしまうと、ポップ音が発生しやすくなるので、コンデンサC1、C44の容量値については、これに十分留意した上で、最適値を設定することが望ましい。
【0089】
次に、出力LCフィルタ回路(9、10、13、14、31、32、35、36ピン)について、図19を参照しながら詳細に説明する。
【0090】
図19は、出力LCフィルタ回路を示す回路図である。
【0091】
出力LCフィルタ回路は、負荷(スピーカ)に供給される可聴帯域以外の高周波成分を排除する手段である。半導体装置10の出力PWM信号には、250[kHz]〜400[kHz]のサンプリングクロック周波数が使用されているため,この信号を十分に排除する必要がある。
【0092】
コイルL及びコンデンサCは、−12[dB/oct]の減衰特性を持つ差動フィルタを構成している。スイッチング電流の大部分はコンデンサCを流れ、スピーカ(負荷抵抗RL)に流れる電流はごく僅かになる。従って、このフィルタは不要輻射を低減する。また、コイルL及びコンデンサCgは、同相信号に対するフィルタを構成し、不要輻射をさらに低減する。
【0093】
フィルタ定数は、負荷インピーダンスRLに依存し、Q=0.707におけるL、C、Cgの算出式は、下記(3)式のようになる。
【0094】
【数3】

【0095】
上記(3)式中の符号RLは、負荷インピーダンス[Ω]を示すパラメータであり、符号fcは、LPFカットオフ周波数[Hz]を示すパラメータである。
【0096】
図20は、代表的な負荷インピーダンス時の出力LCフィルタ定数を示した表である。なお、図中(a)は、カットオフ周波数fcを30[kHz]に設定する場合のフィルタ定数を示しており、図中(b)は、カットオフ周波数fcを40[kHz]に設定する場合のフィルタ定数を示している。
【0097】
出力LCフィルタ回路に使用するコイルは、直流抵抗成分が小さく、電流許容値に十分なマージンのある部品を選択することが望ましい。なお、コイルの直流抵抗成分が大きいと、電力損失が発生してしまう。また、不要輻射防止のために、通常は閉磁路タイプを選択することが望ましい。
【0098】
また、出力LCフィルタ回路に使用するコンデンサは、等価直列抵抗(ESR[Equivalent Series Resistance])が小さく、高周波域(100[kHz]以上)でインピーダンス特性が悪化しない部品を選択することが望ましい。また、耐圧については、高周波電流が多量に流れることを鑑み、耐圧に十分な余裕があるものを選択することが望ましい。
【0099】
次に、ブートストラップ回路(6、17、28、39ピン)について詳細に説明する。
【0100】
6ピンと9、10ピンとの間、17ピンと13、14ピンとの間、28ピンと31、32ピンとの間、並びに、39ピンと35、36ピンとの間には、それぞれブートストラップ用のコンデンサ(図1のC6、C17、C28、C39を参照)が接続される。低音を再生したときに、ブートストラップ電圧のリップルが発生しないように、十分大きな容量値のコンデンサを接続することが望ましく、その推奨値は0.68[μF]以上である。
【0101】
次に、出力保護対策(9、10、13、14、31、32、35、36ピン)について詳細に説明する。
【0102】
負荷短絡時や出力天絡地絡時、或いは、PWMサンプリング起動時には、出力に異常な電流が発生する場合がある。このとき、PWM出力のオーバーシュート、アンダーシュートが非常に大きくなり,この電圧が半導体装置10の耐圧を超えると、半導体装置10が破壊することが考えられる。そのため、どのような場合でも各端子にかかる電圧が絶対最大定格を超えないように基板設計を行うことが重要である。なお、最大オーバーシュートの目安として、PWM出力端子(9、10、13、14、31、32、35、36ピン)は20[V]以下、ブートストラップ端子(6、17、28、39ピン)は40[V]以下で設計することが望ましい。
【0103】
図21は、出力保護対策の一例を示す回路図である。
【0104】
符号aで示すように、高周波用デカップリングコンデンサを接続する場合には、端子から数[mm]以内の直近に配置することが望ましい。また、符号bで示すように、ショットキーダイオードを使用する場合には、PWM出力端子と電源及びGNDとの間で、端子の直近に接続することが望ましい。また、符号cで示す区間に配置すべき部品は、できる限り半導体装置10の近くに配置することが望ましい。
【0105】
次に、最大出力電力について、図22を参照しながら詳細に説明する。
【0106】
図22は、BTL[Bridge-Tied Load]形式で接続された出力部を示す回路図である。
【0107】
BTL接続において、出力波形にクリップを生じることなく(THD+N≦1%)、その出力を行うことが可能な最大出力電力Po(1%)の概算値は、下記の(4)式で求めることができる。
【0108】
【数4】

【0109】
上記(4)式中の符号RL、Vcc、rDS、及び、rDCは、それぞれ、負荷インピーダンス[Ω]、電源電圧[V]出力MOSトランジスタのオン抵抗[Ω]、及び、出力LPF用コイルの直流抵抗成分[Ω]を示すパラメータである。
【0110】
また、このときの最大電流Io(max)は、下記の(5)式で求めることができる。
【0111】
【数5】

【0112】
さらに出力波形をクリップするまでドライブすると,歪みが無い場合よりも大きな出力電力が得られる。クリップした状態は、一般的にTHD+N=10%で定量化され、そのときの最大出力電力Po(10%)は、下記の(6)式で求めることができる。
【0113】
【数6】

【0114】
なお、実際の最大出力電力は、半導体装置10の最大許容損失Pd、及び、接合部温度Tjを考慮して決める必要がある。
【0115】
図23は、最大出力電力と電源電圧との関係を示す図である。また、図24は、最大許容損失Pd及び接合部温度Tjを考慮したときの連続最大出力電力と電源電圧との関係を示す図である。
【0116】
図24では、パッケージ熱抵抗θjaが27.8[℃/W]の基板(2層基板、裏面銅箔サイズ70[mm]×70[mm])を使用し、周囲温度Taが25[℃]であるときの連続最大出力電力を示している。図中の点線で示した範囲については、最大許容損失Pd及び接合部温度Tjに対するマージンがなく、実使用上は出力を行うことができない。
【0117】
例えば、負荷抵抗RLが4[Ω]である場合について、図25及び図26を参照しながら、連続最大出力電力の検討を行う。
【0118】
図25は、負荷4Ω時の効率−出力電力特性を示す図である。また、図26は、周囲温度25℃時における最大出力電力とパッケージ熱抵抗との関係を示す図である。
【0119】
負荷抵抗RLが4[Ω]である場合、電源電圧Vccが10[V]であるときの出力電力は、図23に基づいて、12[W]であることが分かる。また、電源電圧Vccが10[V]で、出力電力が12[W]であるときの効率ηは、図25に基づいて、85[%]であることが分かる。また、周囲温度Taが25[℃]で、パッケージ熱抵抗θjaが27.8[℃/W]で、効率ηが85[%]であるときの最大出力電力は、図26に基づいて、12.9[W]であることが分かる。従って、電源電圧Vccが10[V]であるときには、出力電力12[W]で連続出力を行うことが可能である。
【0120】
次に、内部PWM用サンプリングクロックの周波数設定(25ピン)について、詳細に説明する。
【0121】
ROSC端子(25ピン)は、通常オープンで使用することができる。また、図27で示すように、ROSC端子に抵抗R25を接続することにより、ランプ発振部8で生成される内部PWM用サンプリングクロックの周波数を調整することが可能である。なお、周波数の可変範囲は、250[kHz]〜400[kHz]である。
【0122】
例えば、PWM信号の高調波がAM(中波)ラジオに妨害を与える場合には、ROSC端子に適切な抵抗R25を接続し、サンプリングクロックの周波数を変更することで、上記の妨害を回避することが可能となる。ただし、ROSC端子を何らかの対策に使用する場合には、サンプリングクロックの周波数が半導体装置10の製造バラツキや周囲温度、電源電圧の変化によって変動することを十分考慮した上で、抵抗R25の抵抗値を決定することが望ましい。
【0123】
なお、サンプリングクロックの周波数fsは、下記の(7)式で求めることが可能であり、その算出結果をまとめると、図28の周波数表を得ることができる。
【0124】
【数7】

【0125】
次に、マスター/スレーブ機能(23、24ピン)について、図29を参照しながら詳細に説明する。
【0126】
図29は、マスター/スレーブ接続方法を説明するためのブロック図である。
【0127】
6チャネルアンプなど、半導体装置10を複数個同時に使用する場合、各IC間で内部PWM用サンプリングクロックの周波数が異なると、それらが互いに干渉し合い、ビートノイズを発生するおそれがある。この問題を解決するためには、半導体装置10のマスター/スレーブ機能を使用すればよい。
【0128】
マスター/スレーブ機能を用いれば、図29に示すように、1つのICをマスターとして動作させ、その他のICをスレーブとして動作させることができる。マスター/スレーブの切り換えは、MS端子(24ピン)の印加電圧によって選択することができる。MS端子の端子電圧がローレベルとされているICはマスターとして動作し、MS端子の端子電圧がハイレベルとされているICはスレーブとして動作する。
【0129】
マスターとして動作するICは、OSC端子(23ピン)から三角波信号を出力する。なお、三角波信号の周波数については、ROSC端子(25ピン)に外付けされた抵抗によって決定される。なお、各ICはコンデンサを介して相互に接続される。
【0130】
1つのマスターICが駆動できるスレーブICの数は3個までである。3個以上のスレーブICを接続する場合には、バッファアンプを挿入する必要がある。
【0131】
上記のマスター/スレーブ機能は、複数の半導体装置10を同一基板上、或いは、同一筐体内で使用する場合を想定して設計されている。違う筐体へケーブルなどで信号を伝送すると波形がなまり、オーディオ性能が悪化するおそれがあるので、留意が必要である。また、マスター/スレーブ接続された各ICの電源端子は、全て同時に立ち上げ、立ち下げすることが望ましい。
【0132】
次に、PWM系バイアス端子(41ピン)について説明する。
【0133】
FILP端子(41ピン)は、図30に示すように、半導体装置10内部のPWMブロック(図1の1b、2bを参照)にバイアス電圧を供給するバイアス回路のフィルタ端子であり、1[μF]のコンデンサC41を介して接地端に接続される。
【0134】
次に、アナログ信号系バイアス端子(42ピン)について説明する。
【0135】
FILA端子(42ピン)は、図31に示すように、半導体装置10内部のアナログブロック(図1の1a、2aなどを参照)にバイアス電圧を供給するバイアス回路のフィルタ端子であり、10[μF]のコンデンサC42を介して接地端に接続される。
【0136】
次に、半導体装置10の保護機能について詳細に説明する。
【0137】
半導体装置10には、高温保護機能、出力天絡地絡保護機能、減電圧保護機能、スピーカ直流電圧印加保護機能、及び、電源瞬断検出機能といった各種の保護機能が具備されている。図32は、保護機能の動作状態一覧表である。
【0138】
なお、高温保護機能に関して、保護開始温度及び保護解除温度(図中の*1)は、いずれも半導体装置10のジャンクション温度を監視対象とする。また、出力天絡保護機能、出力地絡保護機能、及び、スピーカ直流電圧印加保護機能に関して、PWM出力状態がラッチ状態(図中の*2)になると、異常状態が解除されても自動復帰されることはない。復帰の方法としては、電源をオフしてから再度オンするか、或いは、MUTEX端子(20ピン)をローレベルにしてから再度ハイレベルにすればよい。
【0139】
次に、電源瞬断検出機能(27ピン)について詳細に説明する。
【0140】
図33は、電源瞬断検出回路の一構成例を示す回路図である。
【0141】
テレビなどを使用中に突然コンセントが引き抜かれた場合であっても、電源瞬断検出回路を用いて電源の瞬断を検出し、スピーカ出力を自動的にソフトミュートすることができるので、ポップ音を大幅に軽減することが可能となる。
【0142】
なお、電源の瞬断時におけるソフトミュート切り換え時間Tswは、TM端子(26ピン)を用いて設定されたMUTEX端子(20ピン)によるソフトミュート切換時間Tswの約1/10となる。
【0143】
図33に示した電源瞬断検出回路は、VCCA端子(40ピン)の印加電圧が瞬断によって降下し、VHOLD端子(27ピン)の印加電圧との差が約2[V]以下になると動作する。なお、VHOLD端子の印加電圧は、通常、半導体装置10内部の抵抗(180[kΩ]と390[kΩ])による分圧比で決定される。また、半導体装置10外部に抵抗R27を追加することで、VHOLD端子の印加電圧を調整することも可能である。また、半導体装置10外部に接続されるコンデンサC27は、電源瞬断中において検出電圧レベルをホールドする役目がある。
【0144】
図34は、VCCA電源電圧、VHOLD端子電圧、及び、電源瞬断検出電圧の関係を示す一覧表(抵抗R27を使用していない場合)である。
【0145】
電源瞬断検出電圧を7[V]以下に設定すると、電源瞬断検出機能が動作する前に、減電圧保護機能が動作するため、電源瞬断に対する保護が働かなくなり、ポップ音が発生するおそれがある。そのため、電源瞬断検出電圧の設定に際しては、上記に留意した上で、セットによって電源の落ちる時間が異なることを考慮し、セットモデル毎に最適な値を設定することが望ましい。
【0146】
次に、ワーニング出力端子(18ピン)について、図35を参照しながら、詳細に説明する。
【0147】
図35は、ワーニング出力端子の状態を示す表である。
【0148】
ワーニング出力端子(18ピン)は、高温保護機能、及び、減電圧保護機能のいずれかが動作したときに、警告フラグを立ててその旨を報知するための端子である。保護動作中は、ワーニング出力端子からハイレベル信号が出力される。保護動作が解除されて通常動作に戻ると、ローレベル信号が出力される。
【0149】
なお、ワーニング出力端子のハイレベル電圧は、通常5[V]に設定されているが、電源電圧Vccが6[V]以下になると、これに比例してワーニング出力端子のハイレベル電圧が低下し、電源電圧Vccが4[V]以下では、警告フラグが正常に出力されなくなるので注意が必要である。
【0150】
次に、エラー出力端子(19ピン)について、図36を参照しながら詳細に説明する。
【0151】
図36は、エラー出力端子の状態を示す表である。
【0152】
エラー出力端子(18ピン)は、出力天絡地絡保護機能、及び、スピーカ直流電圧印加保護機能のいずれかが動作したときに、エラーフラグを立ててその旨を報知するための端子である。保護動作中は、エラー出力端子からハイレベル信号が出力される。保護動作が解除されて通常動作に戻ると、ローレベル信号が出力される。
【0153】
なお、エラー出力端子のハイレベル電圧は、通常5[V]に設定されているが、電源電圧Vccが6[V]以下になると、これに比例してエラー出力端子のハイレベル電圧が低下し、電源電圧Vccが4[V]以下では、エラーフラグが正常に出力されなくなるので注意が必要である。
【0154】
次に、出力電力制限機能(2、3、4、5ピン)について詳細に説明する。
【0155】
半導体装置10は、過大出力によるスピーカの破壊を防止するために、パワーリミット部3を用いた出力電力制限機能を備えている。
【0156】
図37は、出力電力制限設定用の外付け部品を示すブロック図である。
【0157】
図37に示した外付けの抵抗R2、R3、R4の各抵抗値を調整することで、出力電力の制限値を任意に設定することが可能である。
【0158】
図38は、出力電力制限機能を使用したときのスピーカ出力波形を示す図である。
【0159】
図38に示すように、上記の出力電力制限機能では、スピーカ出力波形がソフトクリップされるので、出力電力制限時における聴感上の異音を大幅に低減することができる。
【0160】
抵抗R2、R3、R4の各機能について、より具体的な説明を行う。抵抗R2では、電圧/電流変換が行われ、パワーリミット部3の基準電流が決定される。また、抵抗R3、R4では、電流/電圧変換が行われ、出力波形の上下振幅制限値が決定される。従って、抵抗R2、R3、R4としては、精度の良いもの(±1%以内を推奨)を使用することが望ましい。コンデンサC5は、パワーリミット部3にバイアス電圧を供給するバイアス回路のフィルタ端子であり、0.1[μF]のコンデンサC5を介して接地される。
【0161】
THD+n=10%時の出力電力制限値をPo[W]とし、スピーカの負荷インピーダンスをRL[Ω]とすると、抵抗比R3/R2は、下記の(8)式で算出することができる(ただし、R3=R4とする)。
【0162】
【数8】

【0163】
なお、抵抗R2は、20[kΩ]以上で設定することが望ましい。また、出力電力制限機能を使用しない場合は、R2=R3=R4とすればよい。
【0164】
図39は、出力電力制限値の一設定例を示す表である。
【0165】
次に、電源オン/オフシーケンスについて詳細な説明を行う。
【0166】
まず、電源オン/オフシーケンスをマイコンで制御する場合について、図40を参照しながら説明する。
【0167】
図40は、マイコン使用時における電源オン/オフシーケンスを説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、電源電圧VCC、IN1端子(1ピン)及びIN2端子(44ピン)の端子電圧、MUTEX端子(20ピン)の端子電圧、PMW出力、並びに、スピーカ出力を各々示している。
【0168】
半導体装置10の起動時、IN1端子及びIN2端子の端子電圧が安定する前に音声ミュートを解除すると、ポップ音が発生する。そのため、起動時には、IN1端子及びIN2端子の端子電圧が十分安定する時間t1を待ってから、MUTEX端子の端子電圧を制御することが望ましい。
【0169】
時間t1は、FILA端子(42ピン)に接続されるコンデンサC42の容量値や、IN1端子及びIN2端子と前段回路の間に各々接続されるカップリングコンデンサC1、C44の容量値に依存する。ソフトミュート切り換え時間Tswをかけて、音声ミュートが緩やかに解除され、徐々に音声が出力されるようになる。
【0170】
一方、半導体装置10のパワーダウン時には、ソフトミュート切り換え時間Tswの経過前に電源電圧VCCをパワーダウンすると、ポップ音が発生するおそれがある。そのため、パワーダウン時には、MUTEX端子の端子電圧を制御して、音声ミュートをオンにした後、ソフトミュート切り換え時間Tsw以上の時間を待ってから、電源電圧VCCをパワーダウンすることが望ましい。
【0171】
次に、マイコンを使用しない場合について、図41と図42を参照しながら説明する。
【0172】
図41は、ミュート制御回路の一構成例を示す回路図である。また、図42は、マイコン非使用時における電源オン/オフシーケンスを説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、電源電圧VCC、IN1端子(1ピン)及びIN2端子(44ピン)の端子電圧、MUTEX端子(20ピン)の端子電圧、PMW出力、並びに、スピーカ出力を各々示している。
【0173】
先述したように、電源オン時のポップ音を防ぐためには、IN1端子及びIN2端子の端子電圧が十分に安定してから、音声ミュートを解除する必要がある。そこで、所定の時間t1をかけて、MUTEX端子の端子電圧が所定のハイレベル(2.3[V]以上)に達するように、ミュート制御回路を構成するコンデンサC22の容量値(推奨値:100[μF])、及び、抵抗R22の抵抗値(推奨値:51[kΩ])を設定すればよい。MUTEX端子がハイレベルに達した後、ソフトミュート切り換え時間をかけて、音声ミュートが緩やかに解除され、徐々に音声が出力されるようになる。
【0174】
一方、半導体装置10のパワーダウン時には、電源瞬断検出機能とソフトミュート機能との協働作用によってポップ音の発生が抑えられる。ただし、半導体装置10のパワーダウン後、MUTEX端子がローレベルまで放電される前に電源を再度立ち上げると、ポップ音が発生するため、留意が必要である。なお、電源瞬断検出機能とソフトミュート機能との協働作用については、後ほど詳細に説明する。
【0175】
次に、基板パターンレイアウトの一例を図43〜図47に示す。
【0176】
図43は、レイヤ1のシルクパターンレイアウトの一例を示すトップ面視図である。
【0177】
図44は、レイヤ1の配線パターンレイアウトの一例を示すトップ面視図である。
【0178】
図45は、レイヤ2のシルクパターンレイアウトの一例を示すトップ面視図である。
【0179】
図46は、レイヤ2の配線パターンレイアウトの一例を示すトップ面視図である。
【0180】
図47は、デモボード回路図であり、基本的には、半導体装置10に、図1と同様の外部素子を接続した回路例が描写されている。なお、図47に特有の部分について説明すると、図中の符号OUT<L>、OUT<R>は、各チャネルのスピーカが接続されるピンジャックとなっている。また、本図の例において、WARNING端子(18ピン)及びERROR端子(19ピン)は、それぞれ、黄色LED及び赤色LEDの点消灯制御用に用いられている。また、本図の例では、IN1端子及びIN2端子(1、44ピン)の前段に、入力ボリューム用の可変抵抗が挿入されている。
【0181】
次に、パターンレイアウトの注意点について詳細な説明を行う。
【0182】
図48は、最も優先される部品配置を説明するための図である。
【0183】
符号aで示すように、高周波用デカップリングコンデンサを接続する場合には、端子から数[mm]以内の直近に配置することが望ましい。また、符号bで示すように、ショットキーダイオードを使用する場合には、PWM出力端子と電源及びGNDとの間で、端子の直近に接続することが望ましい。また、符号cで示す区間に配置すべき部品は、できる限り半導体装置10の近くに配置することが望ましい。また、符号dで示す抵抗は、配線が長いとノイズの影響を受けやすくなるため、端子から数[mm]以内の直近に配置することが望ましい。なお、符号a〜符号dの優先順位については、符号aが最も高く、符号dが最も低い。
【0184】
図49は、2番目に優先される部品配置を説明するための図である。
【0185】
本図の符号eで示すように、半導体装置10とLCフィルタとの間の配線距離は、不要輻射を低減するために、できるだけ短くすることが望ましい。
【0186】
また、3番目に優先される部品配置としては、アナログ系電源端子(40ピン)のデカップリングコンデンサを半導体装置10の端子近くに配置することや、バイアス端子(41、42ピン)のデカップリングコンデンサを半導体装置10の端子近くに配置することが挙げられる。
【0187】
次に、GND配線について、図50を参照しながら詳細に説明する。
【0188】
図50は、GND配線の分類を示すブロック図である。
【0189】
図50で示すように、GND配線は、パワー信号系(Power1、Power2)、アナログ信号系(Analog)、及び、デジタル信号系(Digital)に分類することが望ましい。
【0190】
また、先出の図47で示したように、半導体装置10の裏面に設けられた放熱エリアを1点アースとした上で、パワー信号系、アナログ信号系、デジタル信号系のGND配線を互いに接続することが望ましい。このとき、GND配線は、できるだけ広くレイアウトすることが望ましい。
【0191】
また、基板の両面にGND配線を行うことが可能である場合には、基板の両面にGND配線を行い、基板の両面を多数のビアコンタクトで接続して、GND配線のインピーダンスを下げることが望ましい。なお、ビアコンタクトの数が少ないと、インピーダンスが高くなるので留意が必要である。
【0192】
また、基板の空きスペースは、放熱能力を上げるために、放熱エリアのGND面積を広く設けることが望ましい。
【0193】
なお、オーディオ入力端子のGNDとしては、アナログ信号系のGNDを使用することが望ましい。
【0194】
次に、電源配線について、図51を参照しながら詳細に説明する。
【0195】
図51は、電源配線の一例を示す回路図である。
【0196】
先出の図50や図51で示すように、電源配線は、パワー信号系とアナログ信号系に分類することが望ましい。
【0197】
なお、パワー信号系の電源配線には大電流が流れるので、できるだけ幅の太い配線を行うことが望ましい。また、多層配線でビアコンタクトを使用する場合には、多数のビアコンタクトを配置して、配線インピーダンスを低減することが望ましい。
【0198】
また、図51で示すように、半導体装置10のVCC端子とGND端子との間には、デカップリングコンデンサを接続することが望ましい。
【0199】
次に、出力配線について詳細に説明する。
【0200】
出力配線は、第1、第2チャネル同士をできるだけ左右対称のレイアウトにすることが望ましい。また、出力LCフィルタは、半導体装置10の出力端子にできるだけ近く配置し、不要輻射を低減することが望ましい。また、コンデンサCg(図19を参照)は、各チャネルのパワー系GNDに接続することが望ましい。
【0201】
また、出力配線には大電流が流れるので、できるだけ幅の太い配線を行うことが望ましい。また、多層配線でビアコンタクトを使用する場合には、多数のビアコンタクトを配置して、配線インピーダンスを低減することが望ましい。
【0202】
次に、ステレオ動作時(RL=8[Ω])の代表特性データを図52〜図65に示す。なお、半導体装置10では、ドライバ1c、1d、2c、2dのスルーレートや電流能力の最適化を行うことによって、下記の諸特性を実現している。
【0203】
図52は、THD+Nと出力電力との関係を示す相関図であり、横軸は出力電力[W]を示し、縦軸はTHD+N[%]を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、BW=20[Hz]〜20[kHz]の場合を示しており、周波数の一例として、100[Hz]、1[kHz]、6[kHz]を挙げている。
【0204】
図53は、THD+Nと周波数の関係を示す相関図であり、横軸は周波数[Hz]を示し、縦軸はTHD+N[%]を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、Po=1[W]、BW=20[Hz]〜20[kHz]の場合を示している。
【0205】
図54は、電圧利得と周波数との関係を示す相関図であり、横軸は周波数[Hz]を示し、縦軸は電圧利得[dB]を示している。なお、本図では、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、Po=1[W]、L=33[μH]、C=0.47[μF]、Cg=0.1[μF]の場合を示している。
【0206】
図55は、クロストークと周波数の関係を示す相関図であり、横軸は周波数[Hz]を示し、縦軸はクロストーク[dB]を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、Po=1[W]、BW=20[Hz]〜20[kHz]の場合を示す。
【0207】
図56は、クロストークと出力電力の関係を示す相関図であり、横軸は出力電力[W]を示しており、縦軸はクロストーク[dB]を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、fin=1[kHz]、BW=20[Hz]〜20[kHz]の場合を示している。
【0208】
図57は、出力電力と電源電圧との関係を示す相関図であり、横軸は電源電圧[V]を示し、出力電力[W]を示している。なお、本図は、RL=8[Ω]、fin=1[kHz]の場合を示しており、THDの一例として、1[%]と10[%]を挙げている。
【0209】
図58は、効率と出力電力との関係を示す相関図であり、横軸は出力電力[W/ch]を示し、縦軸は効率[%]を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、fin=1[kHz]の場合を示している。
【0210】
図59は、消費電流と出力電力との関係を示す相関図であり、横軸は総出力電力[W]を示し、縦軸は消費電流[A]を示している。なお、本図では、RL=8[Ω]、fin=1[kHz]の場合を示しており、電源電圧Vccの一例としては、10[V]、12[V]、16.5[V]を挙げている。
【0211】
図60は、消費電流と電源電圧との関係を示す相関図であり、横軸は電源電圧[V]を示し、縦軸は消費電流[A]を示している。なお、本図は、RL=8[Ω]、無信号時の場合を示しており、サンプリング動作時とミュート時の挙動をそれぞれ示している。
【0212】
図61は、出力雑音電圧のFFTと周波数との関係を示す相関図であり、横軸は周波数[Hz]を示し、縦軸は出力雑音電圧[dBV]を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、無信号時、BW=20[Hz]〜20[kHz]の場合を示している。
【0213】
図62は、ソフトミュート解除時の波形を示すタイミングチャートであり、上から順番に、MUTEX端子電圧、TM端子電圧、及び、スピーカ出力を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、Po=500[mW]、fin=500[Hz]の場合を示している。
【0214】
図63は、ソフトミュート動作時の波形を示すタイミングチャートであり、上から順番に、MUTEX端子電圧、TM端子電圧、及び、スピーカ出力を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、Po=500[mW]、fin=500[Hz]の場合を示している。
【0215】
図64は、電源瞬断時の波形を示すタイミングチャート(20[msec/div])であり、上から順に、VCCA端子電圧、VHOLD端子電圧、TM端子電圧、及び、スピーカ出力を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、Po=500[mW]、fin=3[kHz]の場合を示している。
【0216】
図65は、電源瞬断時の波形を示すタイミングチャート(2[msec/div])であり、上から順に、VCCA端子電圧、VHOLD端子電圧、TM端子電圧、及び、スピーカ出力を示している。なお、本図は、Vcc=12[V]、RL=8[Ω]、Po=500[mW]、fin=3[kHz]の場合を示している。
【0217】
次に、電源瞬断検出機能とソフトミュート機能との協働作用について詳細に説明する。
【0218】
図66は、パワーオフ検知部6、ソフトミュート部7、及び、入力増幅回路1a(ないしは2a)の一構成例を示す回路図である。
【0219】
パワーオフ検知部6の出力段は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ601と、抵抗602と、インバータ603と、を有して成る。
【0220】
トランジスタ601のソースは、電源端に接続されている。トランジスタ601のドレインは、抵抗602を介して接地端に接続される一方、インバータ603の入力端にも接続されている。なお、パワーオフ検知部6の前段については、図33で示した通りであるため、重複した説明は割愛する。
【0221】
上記構成から成るパワーオフ検知部6において、インバータ603の出力論理は、通常時にはローレベルとなり、電源瞬断検出時にはハイレベルとなる。
【0222】
ソフトミュート部7は、定電流源701、702と、スイッチ703、704と、抵抗705と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ706と、定電流源707と、セレクタ708と、を有して成る。
【0223】
定電流源701の一端は、スイッチ703を介して電源端に接続されている。定電流源701の他端は、TM端子(26ピン)に接続されている。定電流源702の一端は、TM端子に接続されている。定電流源702の他端は、スイッチ704を介して接地端に接続されている。トランジスタ706のドレインは、抵抗705を介してTM端子に接続されている。トランジスタ706のソースは、接地端に接続されている。トランジスタ706のゲートは、インバータ603の出力端に接続されている。定電流源707の一端は、電源端に接続されている。定電流源707の他端(定電流Iの出力端)は、セレクタ708の共通端に接続されている。セレクタ708の制御端は、TM端子に接続されている。
【0224】
上記構成から成るソフトミュート部7において、定電流源707とセレクタ708は、TM端子(26ピン)の端子電圧に応じて、駆動電流I1、I2を相補的に増減する駆動電流供給部として機能する。
【0225】
入力増幅回路1a(ないしは2a)は、抵抗101、102と、オペアンプ103、104と、を有して成る。
【0226】
オペアンプ103の反転入力端(−)は、抵抗101を介してIN1端子(ないしは、IN2端子)に接続される一方、抵抗102を介して入力増幅回路1a(ないしは2a)の出力端にも接続されている。オペアンプ103の非反転入力端(+)は、バイアス電圧BIASの印加端に接続されている。オペアンプ104の反転入力端(−)は、入力増幅回路1a(ないしは2a)の出力端に接続されている。オペアンプ104の非反転入力端(+)は、バイアス電圧BIASの印加端に接続されている。オペアンプ103の出力端とオペアンプ104の出力端とは、互いに接続されており、その接続ノードは、入力増幅回路1a(ないしは2a)の出力端に接続されている。セレクタ708の第1選択端(第1駆動電流I1の出力端)は、オペアンプ104の駆動電流入力端に接続されている。セレクタ708の第2選択端(第2駆動電流I2の出力端)は、オペアンプ103の駆動電流入力端に接続されている。
【0227】
上記構成から成る入力増幅回路1a(ないしは2a)において、抵抗101、102及びオペアンプ103は、入力信号を反転増幅して出力する反転増幅段として機能し、オペアンプ104は、バイアス電圧BIASを出力するバッファ段として機能する。
【0228】
図67は、駆動電流I1、I2の相関関係を示す図である。
【0229】
図67を参照しながら、より具体的に述べると、セレクタ708は、TM端子の端子電圧がローレベルであるときには、第1駆動電流I1を定電流Iとし、第2駆動電流I2をゼロ値とするように、定電流源707で生成された定電流Iの分配を行う。このとき、入力増幅回路1a(ないしは2a)は、バッファ段のみが駆動されている状態、すなわち、音声ミュートされている状態となる。
【0230】
電源投入後、上記の音声ミュートを解除する際には、スイッチ703がオンとされ、スイッチ704がオフとされる。これにより、コンデンサC26の充電が開始され、TM端子の端子電圧が徐々に上昇し始める。セレクタ708は、このような端子電圧の立ち上がりに応じて、I1+I2=Iという関係を維持しつつ、第1駆動電流I1及び第2駆動電流I2の増減を行う。すなわち、入力増幅回路1a(ないしは2a)では、バッファ段の駆動が徐々に弱められ、反転増幅段の駆動が徐々に強められる形となる。その結果、音声ミュートが徐々に解除される。
【0231】
その後、TM端子の端子電圧がハイレベルに至ると、セレクタ708は、第1駆動電流I1をゼロ値とし、第2駆動電流I2を定電流Iとするように、定電流源707で生成された定電流Iの分配を行う。従って、入力増幅回路1a(ないしは2a)は、反転増幅段のみが駆動されている状態、すなわち、音声ミュートが解除されている状態となる。
【0232】
一方、電源オフに先立って、音声ミュートをオンする際には、スイッチ703がオフとされ、スイッチ704がオンとされる。これにより、コンデンサC26の放電が開始されて、TM端子の端子電圧が徐々に低下し始める。セレクタ708は、このような端子電圧の立ち下がりに応じて、I1+I2=Iという関係を維持しつつ、第1駆動電流I1及び第2駆動電流I2の増減を行う。すなわち、入力増幅回路1a(ないしは2a)では、バッファ段の駆動が徐々に強められ、反転増幅段の駆動が徐々に弱められる形となる。その結果、音声ミュートが徐々にオンされる。
【0233】
また、電源投入がされている状態(I1=0、I2=I)において、電源瞬断が検出された場合には、パワーオフ検出部6の出力信号がハイレベルとなるため、トランジスタ706がオンとなる。その結果、スイッチ703、704のオン/オフ状態に依らず、抵抗705を介する経路でコンデンサC26が放電され、TM端子の端子電圧が徐々に低下する。セレクタ708は、このような端子電圧の立ち下がりに応じて、I1+I2=Iという関係を維持しつつ、第1駆動電流I1及び第2駆動電流I2の増減を行う。すなわち、入力増幅回路1a(ないしは2a)では、反転増幅段の駆動が徐々に弱められて、バッファ段の駆動が徐々に強められる形となる。
【0234】
なお、電源瞬断検出時の放電処理に要する時間(ソフトミュート切り換え時間Tsw)は、定電流源702を用いた通常の放電処理に要する時間に比べて、約1/10に設定されている。
【0235】
上記したように、電源瞬断検出機能とソフトミュート機能との協働作用により、電源電圧が完全に落ち切ってしまう前に、音声信号をソフトミュートすることができるので、ポップ音を大幅に低減することが可能となる。
【0236】
次に、プッシュプル出力回路の短絡検出機能について詳細な説明を行う。
【0237】
図68は、保護ロジック部5(短絡検出回路部分)の一構成例を示す回路図である。
【0238】
保護ロジック部5は、D級パワーアンプ1の正相側プッシュプル出力回路(トランジスタ1e、1f)の出力短絡(天絡/地絡)を監視する手段として、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ501と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ502と、位相比較回路503と、マスク回路504と、ラッチ回路505と、否定論理和回路506、507と、ロジック回路508と、抵抗509と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ510と、を有して成る。
【0239】
トランジスタ501のソースは、電源端に接続されている。トランジスタ501のドレインは、トランジスタ502のドレインに接続されている。トランジスタ502のソースは、接地端に接続されている。トランジスタ501、502のゲートは、いずれもトランジスタ1fのゲートに接続されている。すなわち、トランジスタ501、502は、監視対象のプッシュプル出力回路と同期制御されるダミープッシュプル出力回路を形成する。
【0240】
位相比較回路503は、OUT1P端子(9、10ピン)の出力電圧Vxと、ダミープッシュプル出力回路の出力電圧Vyとの位相比較(電圧比較)を行う手段であり、抵抗Ra〜Rhと、コンパレータCMPa、CMPbと、論理和回路ORaと、を有して成る。
【0241】
コンパレータCMPaの反転入力端(−)は、抵抗Raを介してOUT1P端子(出力電圧Vxの印加端)に接続される一方、抵抗Rbを介して電源端にも接続されている。コンパレータCMPaの非反転入力端(+)は、抵抗Rcを介してダミープッシュプル出力回路の出力端(出力電圧Vyの印加端)に接続される一方、抵抗Rdを介して接地端にも接続されている。
【0242】
コンパレータCMPbの非反転入力端(+)は、抵抗Reを介してOUT1P端子(出力電圧Vxの印加端)に接続される一方、抵抗Rfを介して電源端にも接続されている。コンパレータCMPbの反転入力端(−)は、抵抗Rgを介してダミープッシュプル出力回路の出力端(出力電圧Vyの印加端)に接続される一方、抵抗Rhを介して接地端にも接続されている。
【0243】
なお、抵抗Ra〜Rdの抵抗値は、OUT1P端子の地絡が生じていないときに、コンパレータCMPaの反転入力端(−)が非反転入力端(+)よりも高電位となるように調整されている。また、抵抗Re〜Rhの抵抗値は、OUT1P端子の天絡が生じていないときに、コンパレータCMPbの反転入力端(−)が非反転入力端(+)よりも高電位となるように調整されている。
【0244】
論理和回路ORaの第1入力端は、コンパレータCMPaの出力端に接続されている。論理和回路ORaの第2入力端は、コンパレータCMPbの出力端に接続されている。従って、論理和回路ORaの出力論理は、コンパレータCMPa、CMPbのいずれか一方がハイレベルとなったときにハイレベルとなり、いずれもローレベルであるときにのみ、ローレベルとなる。
【0245】
マスク回路504は、論理和回路ORaの出力論理が所定のマスク期間に亘ってハイレベルを維持したときにのみ、その出力論理をハイレベルとする手段であり、例えば、抵抗とコンデンサから成る時定数回路を用いることができる。このようなマスク回路504を挿入することにより、出力電圧Vx、Vyの位相が多少ばらついた程度では、これを出力短絡と誤検出することがなくなるので、安定した出力動作を実現することが可能となる。
【0246】
ラッチ回路505は、マスク回路504の出力信号をラッチし、これをラッチ信号Vzとして出力する手段である。なお、OUT1P端子の出力短絡が検出されて、ラッチ信号Vzがハイレベルにラッチされた後、半導体装置10の電源を入れ直した場合や、MUTEX端子を用いて半導体装置10のリセットを行った場合には、ラッチ信号Vzが再びローレベルに復帰される。
【0247】
論理和回路506、507は、PWM変調回路1b(不図示)から入力されるPWM信号とラッチ回路505から入力されるラッチ信号Vzとの否定論理和演算を行い、その演算結果をドライバ回路1cに送出する手段である。従って、ラッチ信号Vzがローレベルであるときには、PWM信号がドライバ回路1cに反転出力され、トランジスタ1e、1fがPWM信号に応じてスイッチングされる。一方、ラッチ信号Vzがハイレベルであるときには、PWM信号に依ることなく、ドライバ回路1cへの入力信号がローレベルに維持され、トランジスタ1e、1fがいずれもオフとされる。
【0248】
ロジック回路508は、ラッチ信号Vzに応じてトランジスタ510のオン/オフ制御を行う手段である。具体的には、ラッチ信号Vzがハイレベルであるときに、トランジスタ510をオンとし、ラッチ信号Vzがローレベルであるときに、トランジスタ510をオフとする。
【0249】
トランジスタ510のドレインは、抵抗509を介してOUT1P端子に接続されている。一方、トランジスタ510のソースは、接地端に接続されている。従って、ラッチ信号Vzがハイレベルとなった場合、OUT1P端子は、抵抗509及びトランジスタ510を介して接地される形となる。
【0250】
なお、図68では、第1チャネルの正相側プッシュプル出力回路(トランジスタ1e、1f)を監視対象とする短絡検出回路のみを例に挙げたが、保護ロジック部5は、その余のプッシュプル出力回路についても、上記と同様の構成から成る短絡検出回路を用いて、各々の短絡検出を行っている。
【0251】
次に、上記構成から成る保護ロジック部5の短絡検出動作について、図69を参照しながら詳細に説明する。
【0252】
図69は、短絡検出動作を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、電圧Vx、Vy、Vzを示している。なお、図69(a)は、天絡時の挙動を示しており、図69(b)は、地絡時の挙動を示している。
【0253】
まず、図69(a)を参照しながら、天絡検出動作について説明する。
【0254】
OUT1P端子の天絡が生じていない場合、出力電圧Vx、Vyに位相差(電圧差)は生じないため、コンパレータCMPa、CMPbは、いずれもローレベルを出力する。従って、論理和回路ORaの出力論理はローレベルとなり、ラッチ信号Vzはローレベルに維持される。
【0255】
一方、OUT1P端子の天絡が生じると、出力電圧Vxのローレベルは、電源電圧Vccに吊られて上昇するが、出力電圧Vyのローレベルは0[V]近傍となる。このとき、出力電圧Vxのローレベルが閾値電圧Vth1(=0.11Vcc[V])以上である場合には、コンパレータCMPbの出力論理がハイレベルとなり、論理和回路ORaの出力論理がハイレベルとなる。このような状態が所定のマスク期間に亘って継続されると、ラッチ信号Vzがハイレベルとなって、スピーカ出力がオフラッチされる。
【0256】
次に、図69(b)を参照しながら、地絡検出動作について説明する。
【0257】
OUT1P端子の地絡が生じていない場合、出力電圧Vx、Vyに位相差(電圧差)は生じないため、コンパレータCMPa、CMPbは、いずれもローレベルを出力する。従って、論理和回路ORaの出力論理はローレベルとなり、ラッチ信号Vzはローレベルに維持される。
【0258】
一方、OUT1P端子の地絡が生じると、出力電圧Vxのハイレベルは、接地端に引き落とされて下降するが、出力電圧Vyのハイレベルは、電源電圧Vcc近傍となる。このとき、出力電圧Vxのハイレベルが閾値電圧Vth2(=0.89Vcc[V])以下である場合には、コンパレータCMPaの出力論理がハイレベルとなり、論理和回路ORaの出力論理がハイレベルとなる。このような状態が所定のマスク期間に亘って継続されると、ラッチ信号Vzがハイレベルとなって、スピーカ出力がオフラッチされる。
【0259】
上記したように、本発明に係る短絡検出回路は、パルス信号(出力電圧Vx)を出力するOUT1P端子の短絡検出を行うに際して、パルス信号(出力電圧Vx)と同期したダミーパルス信号(出力電圧Vy)を生成し、両信号間に所定の位相差が生じているか否かに応じて、OUT1P端子の短絡検出を行う構成とされている。
【0260】
このような構成であれば、出力電圧Vxと所定の閾値電圧とを比較する構成と異なり、出力電圧Vxのスイッチング制御に同期した閾値電圧の切換制御(天絡検出用の閾値電圧と地絡検出用の閾値電圧との切換制御)を要することなく、OUT1P端子の天絡検出と地絡検出を両方とも容易に実現することが可能となる。
【0261】
なお、上記の実施形態では、ステレオD級パワーアンプICに本発明を適用した構成を例示して説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、その他の電源装置(スイッチングレギュレータIC)や駆動装置(モータドライバIC)にも広く適用することが可能である。
【0262】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0263】
例えば、上記の説明で用いた各信号の論理は、あくまで例示であって、同様の動作を実現し得る限り、その論理は逆であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0264】
本発明は、例えば、省スペース・低発熱用途向けのステレオD級パワーアンプICに好適な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】は、本発明に係る半導体装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】は、半導体装置10の端子配置図である。
【図3】は、外部端子のピン番号、記号(端子名)、端子電圧、端子説明、及び、内部等価回路を示した対応表(その1)である。
【図4】は、外部端子のピン番号、記号(端子名)、端子電圧、端子説明、及び、内部等価回路を示した対応表(その2)である。
【図5】は、外部端子のピン番号、記号(端子名)、端子電圧、端子説明、及び、内部等価回路を示した対応表(その3)である。
【図6】は、外部端子のピン番号、記号(端子名)、端子電圧、端子説明、及び、内部等価回路を示した対応表(その4)である。
【図7】は、負荷抵抗4[Ω]のスピーカをステレオ動作させる場合のアプリケーション回路図である。
【図8】は、負荷抵抗4[Ω]のスピーカをモノラル動作させる場合のアプリケーション回路図である。
【図9】は、負荷抵抗4[Ω]のスピーカをパラレル駆動によってモノラル動作させる場合のアプリケーション回路図である。
【図10】は、半導体装置10の外形寸法図である。
【図11】は、半導体装置10のフットプリントの一参考例を示す図である。
【図12】は、フットプリントの設計値の一例を示す表である。
【図13】は、半導体装置10の電気的特性を示す表である。
【図14】は、半導体装置10の電源系統図である。
【図15】は、制御端子の電流制限方法を説明するための図である。
【図16】は、音声ミュート制御の一例を示すタイミングチャートである。
【図17】は、ソフトミュート部7の時定数回路を形成するために外付けされるコンデンサC26を示すブロック図である。
【図18】は、オーディオ入力回路を示す回路図である。
【図19】は、出力LCフィルタ回路を示す回路図である。
【図20】は、代表的な負荷インピーダンス時のLCフィルタ定数を示す表である。
【図21】は、出力保護対策の一例を示す回路図である。
【図22】は、BTL形式で接続された出力部を示す回路図である。
【図23】は、最大出力電力と電源電圧との関係を示す図である。
【図24】は、最大許容損失Pd及び接合部温度Tjを考慮したときの連続最大出力電力と電源電圧との関係を示す図である。
【図25】は、負荷4Ω時における効率−出力電力特性を示す図である。
【図26】は、周囲温度25℃時における最大出力電力とパッケージ熱抵抗との関係を示す図である。
【図27】は、ランプ発振部8の発振周波数を可変制御するために外付けされる抵抗R25を示すブロック図である。
【図28】は、抵抗R25の抵抗値とサンプリングクロックの周波数fsとの関係を示す表である。
【図29】は、マスター/スレーブ接続方法を説明するためのブロック図である。
【図30】は、PWM系バイアス回路用フィルタを示すブロック図である。
【図31】は、アナログ信号系バイアス回路用フィルタを示すブロック図である。
【図32】は、保護機能の動作状態一覧表である。
【図33】は、電源瞬断検出回路の一構成例を示す回路図である。
【図34】は、VCCA電源電圧、VHOLD端子電圧、及び、電源瞬断検出電圧の関係を示す一覧表である。
【図35】は、ワーニング出力端子の状態を示す表である。
【図36】は、エラー出力端子の状態を示す表である。
【図37】は、出力電力制限設定用の外付け部品を示すブロック図である。
【図38】は、出力電力制限機能を使用した時のスピーカ出力波形を示す図である。
【図39】は、出力電力制限値の一設定例を示す表である。
【図40】は、マイコン使用時における電源オン/オフシーケンスを説明するためのタイミングチャートである。
【図41】は、ミュート制御回路の一構成例を示す回路図である。
【図42】は、マイコン非使用時における電源オン/オフシーケンスを説明するためのタイミングチャートである。
【図43】は、レイヤ1のシルクパターンレイアウト例を示すトップ面視図である。
【図44】は、レイヤ1の配線パターンレイアウト例を示すトップ面視図である。
【図45】は、レイヤ2のシルクパターンレイアウト例を示すトップ面視図である。
【図46】は、レイヤ2の配線パターンレイアウト例を示すトップ面視図である。
【図47】は、デモボード回路図である。
【図48】は、最も優先される部品配置を説明するための図である。
【図49】は、2番目に優先される部品配置を説明するための図である。
【図50】は、GND配線の分類を示すブロック図である。
【図51】は、電源配線の一例を示す回路図である。
【図52】は、THD+Nと出力電力との関係を示す相関図である。
【図53】は、THD+Nと周波数との関係を示す相関図である。
【図54】は、電圧利得と周波数との関係を示す相関図である。
【図55】は、クロストークと周波数との関係を示す相関図である。
【図56】は、クロストークと出力電力との関係を示す相関図である。
【図57】は、出力電力と電源電圧との関係を示す相関図である。
【図58】は、効率と出力電力との関係を示す相関図である。
【図59】は、消費電流と出力電力との関係を示す相関図である。
【図60】は、消費電流と電源電圧との関係を示す相関図である。
【図61】は、出力雑音電圧のFFTと周波数との関係を示す相関図である。
【図62】は、ソフトミュート解除時の波形を示すタイミングチャートである。
【図63】は、ソフトミュート動作時の波形を示すタイミングチャートである。
【図64】は、電源瞬断時の波形を示すタイミングチャートである。
【図65】は、電源瞬断時の波形を示すタイミングチャートである。
【図66】は、パワーオフ検知部6、ソフトミュート部7、及び、入力増幅回路1a(ないしは2a)の一構成例を示す回路図である。
【図67】は、駆動電流I1、I2の相関関係を示す図である。
【図68】は、保護ロジック部5の一構成例を示す回路図である。
【図69】は、短絡検出動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0266】
1、2 第1、第2のD級パワーアンプ部
1a、2a 入力増幅回路
1b、2b PWM変調回路
1c、2c 正相側ドライバ回路
1d、2d 逆相側ドライバ回路
1e、1f、2e、2f 正相側プッシュプル出力回路(NFET)
1g、1h、2g、2h 逆相側プッシュプル出力回路(NFET)
1i、2i 正相側ブートストラップダイオード
1j、2j 逆相側ブートストラップダイオード
3 パワーリミット部
4 ミュート制御部
5 保護ロジック部
6 パワーオフ検知部
7 ソフトミュート部
8 ランプ発振部
9 クロック制御部
10 半導体装置(ステレオD級パワーアンプIC)
101、102 抵抗
103、104 オペアンプ
501、502 ダミープッシュプル出力回路(PFET、NFET)
503 位相比較回路
504 マスク回路
505 ラッチ回路
506、507 否定論理和回路
508 ロジック回路
509 抵抗
510 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
601 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ
602 抵抗
603 インバータ
701、702 定電流源
703、704 スイッチ
705 抵抗
706 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
707 定電流源
708 セレクタ
Ra〜Rh 抵抗
CMPa、CMPb コンパレータ
ORa 論理和回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス信号を出力する外部端子の短絡検出を行う短絡検出回路であって、
前記パルス信号と同期したダミーパルス信号を生成し、両信号間に所定の位相差が生じているか否かに応じて、前記外部端子の短絡検出を行うことを特徴とする短絡検出回路。
【請求項2】
所定のマスク期間に亘って前記位相差が生じているときに、前記外部端子が短絡していると判断することを特徴とする請求項1に記載の短絡検出回路。
【請求項3】
前記外部端子が短絡していると判断したときに、前記パルス信号の出力動作を停止させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の短絡検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【公開番号】特開2009−130660(P2009−130660A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303936(P2007−303936)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】