窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子
【課題】分離後の成長用基板を再利用でき、汎用性に富み、良好なへき開性、放熱性を有する窒化物系半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】窒化物系半導体素子の製造方法は、成長用基板1上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層5を形成する工程と、支持基板13の一方の主面上に、支持基板13より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層14を形成する工程と、窒化物系半導体素子層5上に、支持基板13の他方の主面を、接合する工程と、接合された窒化物系半導体素子層5及び支持基板13から成長用基板1を分離する工程とを含む。
【解決手段】窒化物系半導体素子の製造方法は、成長用基板1上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層5を形成する工程と、支持基板13の一方の主面上に、支持基板13より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層14を形成する工程と、窒化物系半導体素子層5上に、支持基板13の他方の主面を、接合する工程と、接合された窒化物系半導体素子層5及び支持基板13から成長用基板1を分離する工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GaN、InN、AlN等の窒化物系化合物半導体は、青色や緑色の発光ダイオード(LED)や青紫半導体レーザなどの発光素子、高温動作可能な高速トランジスタなどの電子デバイスの材料として盛んに用いられている。この窒化物系半導体は、一般に、バルク単結晶の製造が困難なことから、サファイアやSiCなどの成長用基板上に、ヘテロエピキャシタル成長法を用いて形成される。
【0003】
しかし、サファイアは絶縁体であるために、同一面上にp及びn電極を形成する必要があり、同一径のウェハから取れる素子数が少なく、同一素子面積における有効発光面積を狭められ、又、レーザに必要な共振器面を作製するためのへき開が困難であるという問題があった。又、サファイア基板の熱伝導率は、42W/m・kであり、GaNの熱伝導率130W/m・kに比べると、低い。このため、サファイア基板上に形成した窒化物半導体素子は、放熱性能に問題があった。
【0004】
そこで、予め、窒化物系半導体素子層の表面に、支持基板を熱圧着等により接合し、支持基板及び窒化物系半導体素子層から、サファイアなどの成長用基板を分離する方法が提案されている。このような分離方法として、例えば、成長用基板を研磨して窒化物系半導体素子基板を分離する方法(例えば、特許文献1参照。)や、成長用基板の裏面側からレーザ光を照射し、成長用基板を分離する方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
【特許文献1】特開2004−266240号公報
【特許文献2】特開2000−101139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した研磨による分離方法では、スループットが悪く、研磨時に異常割れなどが発生する場合があり、成長用基板を再利用することは困難である。一方、上述したレーザ照射による分離方法では、レーザ光の波長と窒化物系半導体素子層と成長用基板のバンドギャップを適性に保つ必要があり、異種成長用基板に対する汎用性がなく、それぞれに適正な波長のレーザ装置が必要になり、経済性に欠ける。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、分離後の成長用基板を再利用でき、汎用性に富み、良好なへき開性、放熱性を有する窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、(a)第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、(b)第2の基板の一方の主面上に、該第2の基板より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層を形成する工程と、(c)窒化物系半導体素子層上に、第2の基板の他方の主面を、融着層を介して接合する工程と、(d)接合された窒化物系半導体素子層及び第2の基板から第1の基板を分離する工程とを含む窒化物系半導体素子の製造方法であることを要旨とする。
【0008】
第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法によると、調整層が第2の基板より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、第2の基板は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有することができる。このため、容易に成長用基板を分離できるため、分離後の成長用基板を再利用できる。又、成長用基板の材質は特に限定されないため、汎用性に富む。更に、良好なへき開性、放熱性を有する窒化物系半導体素子を製造することができる。
【0009】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、調整層は、融着層と同種の金属からなり、調整層の膜厚は、融着層の膜厚より大きいことが好ましい。あるいは、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、第2の基板は、金属と該金属の酸化物との複合体を主成分とし、調整層は、金、スズ、ニッケル、チタン、あるいはそれらの合金からなることが好ましい。この窒化物系半導体素子の製造方法によると、第2の基板が窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲し、確実に成長用基板を分離することができる。
【0010】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、窒化物系半導体素子層は、所定の間隔で開口するマスク層を含むことが好ましい。マスク層を有することにより、マスク層界面付近において、容易に第1の基板を分離することができる。
【0011】
又、このマスク層は、複数の熱膨張係数の異なる膜を積層して形成されることが好ましい。複数の熱膨張係数の異なる薄膜を積層する構造で形成しているため、RTA(Rapid Thermal Anneal)のような急加熱、急冷を施すことによって、更に容易に分離することができる。
【0012】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、窒化物系半導体素子層の一端には、第1の電極が設けられ、窒化物系半導体素子層の他端には、第2の電極が設けられることが好ましい。この窒化物系半導体素子の製造方法によると、成長用基板を容易に分離することができ、窒化物系半導体素子層の上下に電極を形成することができる。
【0013】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、分離する工程は、第1の基板を刷動させることにより行うことが好ましい。この窒化物系半導体素子の製造方法によると、確実に第1の基板の界面付近で、第1の基板を分離することができる。
【0014】
本発明の第2の特徴は、第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、窒化物系半導体素子層上に、第2の基板の一方の主面を、融着層を介して接合する工程と、接合された窒化物系半導体素子層及び第2の基板から第1の基板を分離する工程とによって製造される窒化物系半導体素子であって、(a)第2の基板の他方の主面上に、該第2の基板とは熱膨張係数の異なる材料からなる調整層を備える窒化物系半導体素子であることを要旨とする。
【0015】
第2の特徴に係る窒化物系半導体素子によると、調整層が第2の基板より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、第2の基板は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有することができる。このため、容易に成長用基板を分離できるため、分離後の成長用基板を再利用できる。又、成長用基板の材質は特に限定されないため、汎用性に富む。更に、この窒化物系半導体素子は、良好なへき開性、放熱性を有することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、分離後の成長用基板を再利用でき、汎用性に富み、良好なへき開性、放熱性を有する窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
まず、本発明の第1及び第2の実施の形態の概略について、図1を用いて説明する。
【0019】
第1及び第2の実施の形態では、図1(a)に示すように、支持基板13の一方の主面上に、支持基板13より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層14を形成する。そして、成長用基板1上の窒化物系半導体素子層5と支持基板13とを、融着層12を介して接合する。窒化物系半導体素子層5には、所定の間隔で開口するマスク層3が含まれる。このように、支持基板13より熱膨張係数が大きい材料からなる調整層14を形成することにより、支持基板13は窒化物系半導体素子層5側に凸状に湾曲する。
【0020】
次に、図1(b)に示すように、融着層12を介して、支持基板13と、窒化物系半導体素子層5とを接合する。
【0021】
次に、図1(c)に示すように、接合された窒化物系半導体素子層5及び支持基板13から成長用基板1を分離する。このとき、支持基板13が窒化物系半導体素子層5側に凸状に湾曲しており、マスク層3を有するため、マスク層3前後の界面付近で容易に剥離が生じる。
【0022】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る窒化物系半導体レーザの製造方法の概略を説明するための図である。第1の実施の形態では、図2(a)に示すように、支持基板113の一方の主面上に、支持基板113より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層114を形成する。そして、GaN基板101上の窒化物系半導体素子層105と支持基板113とを、融着層112を介して接合する。窒化物系半導体素子層105には、所定の間隔で開口するマスク層103が含まれる。このように、支持基板113より熱膨張係数が大きい材料からなる調整層114を形成することにより、支持基板113は窒化物系半導体素子層105側に凸状に湾曲する。一方、GaN基板101は、その表面がほぼ平坦か、窒化物系半導体素子層105側に凹状に湾曲する。そして、図2(b)に示すように、融着層112を介して、支持基板113と、窒化物系半導体素子層105とを接合する。
【0023】
次に、第1の実施の形態に係る窒化物系半導体レーザの製造方法について、図3〜5を用いて詳細に説明する。
【0024】
まず、図3(a)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、GaN基板101の(0001)面上に、アンドープの非単結晶のGaNからなるバッファ層102を成長させる。
【0025】
次に、SiO2などの誘電体からなるマスク層103をストライプ状にパターニングした後、バッファ層102露出部から横方向成長させる。このようにして、所定の間隔で開口するマスク層103を形成する。
【0026】
このマスク層103の拡大図を図7に示す。図7(a)に示すように、マスク層103は、断面横方向長さL2で開口し、断面横方向長さL1で横方向に成長させたものである。又、マスク層103は、分離工程における剥離層とするために、複数の熱膨張係数の異なる誘電体膜や金属膜を積層する構造を有してもよい。例えば、マスク層103は、Si3N4層103a、Si、Ti、Niなどの金属層103b、SiO2層103cによって形成されてもよい。又、数nm程度の膜厚のTiなどを電子ビーム蒸着等により形成した後、再成長させてもよい。又、図7(b)に示すように、マスク層103は、複数の熱膨張係数の異なる層を積層することにより、層間で湾曲し、当該層間で剥離する。図7(b)では、層103a及び層103bが、層103c側に凸状に湾曲するため、層103bと層103c間で剥離することができる。又、マスク層103を形成する層としては、熱膨張係数がバッファ層102よりも大きい材質が好適に用いられ、Si、Tiを含むことが好ましい。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、バッファ層102及びマスク層103上に、約5μmの厚みを有するアンドープの単結晶のGaNからなる下地層104を成長させる。次に、下地層104上に、約5〜100μmの厚みを有するSiがドープされた単結晶のGaNからなるn型コンタクト層105を成長させる。次に、n型コンタクト層105上に、約1.0μmの厚みを有するGeがドープされた単結晶のAl0.07Ga0.93Nからなるn型クラッド層106を成長させる。
【0028】
次に、n型クラッド層106上に、発光層107を成長させる。この発光層107は、図3(c)に示すように、n側キャリアブロック層107aと、MQW(多重量子井戸)活性層107bと、p側光ガイド層107cと、p側キャリアブロック層107dとから構成されている。n側キャリアブロック層107aは、n型クラッド層106上に形成され、約20nmの厚みを有するアンドープの単結晶のAl0.25Ga0.75Nからなる。MQW活性層107bは、n側キャリアブロック層107a上に形成され、約3.5nmの厚みを有するアンドープの単結晶のIn0.15Ga0.85Nからなる3つの量子井戸層と、約20nmの厚みを有するアンドープの単結晶のIn0.05Ga0.95Nからなる3つの量子障壁層とが交互に積層されている。p側光ガイド層107cは、MQW活性層107b上に形成され、約0.1μmの厚みを有するアンドープの単結晶のIn0.01Ga0.99Nからなる。p側キャリアブロック層107dは、p側光ガイド層107c上に形成され、約20nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のAl0.25Ga0.75Nからなる。
【0029】
次に、発光層107上に、約0.5μmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のAl0.07Ga0.93Nからなるp型クラッド層108を成長させる。このp型クラッド層108は、所定領域が除去されることによって凸形状に形成されている。次に、p型クラッド層108上に、約3nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のGa0.99In0.01Nからなるp型コンタクト層109を成長させる。
【0030】
次に、熱処理や電子線処理を行うことにより、p型クラッド層108、p型コンタクト層109のp型化を行う。このようにして、バッファ層102、マスク層103、下地層104、n型コンタクト層105、n型クラッド層106、発光層107、p型クラッド層108及びp型コンタクト層109によって構成される窒化物系半導体素子層を形成する。この窒化物系半導体素子層の膜厚は、150μm以下である。
【0031】
この後、p型クラッド層108及びp型コンタクト層109の所定領域を、フォトリソグラフィ技術と、塩素系ガスによる反応性イオンエッチングとを用いて除去することで、約1.5μmの幅を有し、[1−100]方向に延びるストライプ状の凸部からなるリッジ部を形成する。このとき、p型クラッド層307の凸部の厚みが約0.35μm、凸部以外の平坦部の厚みが約0.05μmとなるように、エッチングの深さを制御する。
【0032】
次に、プラズマCVD法を用いて、全面を覆うように、約0.2μmの厚みを有するSiO2膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術と、CF4ガスによる反応性イオンエッチングとを用いて、SiO2層のp型コンタクト層109上に位置する部分を除去することで、SiO2層からなる電流ブロック層110を形成する。
【0033】
次に、p型コンタクト層109の露出された表面上に、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp型オーミック電極を、ストライプ状に形成する。更に、電流ブロック層の表面上に、p側オーミック電極を覆うように、p側電極111を、真空蒸着法により順次形成する。
【0034】
ここで、上述したGaN基板101は、その表面がほぼ平坦か、窒化物系半導体素子層105側に凹状に湾曲する。
【0035】
一方、図4(a)に示すように、熱伝導の良好なCuとCu2Oとの複合材料からなり、約200μmの厚みを有する支持基板113の一方の主面上に、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる調整層114を真空蒸着法により形成する。この調整層114は、支持基板113より熱膨張係数が大きい材料からなる。又、支持基板113の他方の主面上に、Ti層、Pd層、Au層を介して、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる融着層112を真空蒸着法により順次形成する。又、調整層114の材質としては、Au、Snの他、Ni、Ti、又はその合金などが好適に用いられる。
【0036】
ここで、支持基板113と窒化物系半導体素子層及びGaN基板101との構造の詳細を表1に示す。表1に示す順序で、支持基板113と窒化物系半導体素子層及びGaN基板101は積層されているものとする。又、「反り形状」は、それぞれ対向する基板に対して湾曲する形状を示し、「反り量」は、15mmあたりの最大湾曲量を示す。
【表1】
【0037】
又、支持基板をCuとCu2Oとの複合材料とした場合、Si基板とした場合の構造と反り量の関係を表2に示す。ここで、蒸着面において、「表面側」とは、図4(a)において基板の上側を示し、「裏面側」とは図4(a)において基板の下側を示す。又、「反り形状」は、それぞれ対向する基板に対して湾曲する形状を示し、「反り量」は、15mmあたりの最大湾曲量を示す。
【表2】
【0038】
又、調整層は、図6(a)に示すように、支持基板113の一方の主面上に、支持基板113より熱膨張係数の大きい材料(例えば、金属)から形成されてもよく、図6(b)に示すように、融着層112と同種の金属からなり、調整層114の膜厚は、融着層112の膜厚より大きく形成されてもよい。このようにして、図6(c)に示すように、支持基板113が窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する。
【0039】
次に、図4(b)に示すように、窒化物系半導体素子層上のp側電極111と支持基板113上の融着層112とを、熱圧着する。熱圧着は、真空中で、例えば、約200〜300℃において約15分行う。
【0040】
ここで、接合後の基板の反りは、接合前と比べ減少しており、融着層112を介して両基板を接合することで、支持基板113に引っ張り応力が働く。
【0041】
次に、図5(a)に示すように、応力を負荷し、接合された窒化物系半導体素子層及び支持基板113からGaN基板101を分離する。応力を負荷する方法としては、例えば、接合された支持基板113を固定し、GaN基板101の裏側や側面に対して治具をあてて刷動させることにより、基板を分離する。刷動させる方向は、GaN基板101の主面に対して水平方向でも垂直方向でも構わない。更に、熱圧着程度の温度で熱処理を行うことで、分離が容易となる。
【0042】
次に、研磨やエッチングを用いて、n型コンタクト層105を露出させる。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、真空蒸着法を用いて、n型コンタクト層105上の所定の領域に、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの厚みを有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約700nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極を形成する。そして、n側オーミック電極上に、n側電極115を形成する。
【0044】
その後、n側電極115以外の所定の領域を、塩素系ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、支持基板310に達するまでエッチングすることで、リッジのストライプに直交した(1−100)面と(−1100)面とにより構成されるレーザ共振器端面を形成する。そして、ダイシングやレーザスクライブあるいは、支持基板113の選択エッチングによって、素子分離を行う。このようにして、第1の実施の形態に係る窒化物系半導体レーザが形成される。
【0045】
第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子によると、調整層114が支持基板113より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、支持基板113は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有し、容易にGaN基板101を分離することができる。又、結晶にダメージを与えないため、GaN基板101上の成長膜厚が薄い場合においても、良質の結晶性が得られ、電気的光学的特性が改善される。更に、GaN基板101上に成長させたGaN膜を半導体素子として利用できるため、サファイア基板を用いて成長させるより、良質の高い結晶を得ることができ、半導体発光素子の電気的、光学的特性を改善するとともに、寿命も延ばすことができる。
【0046】
又、GaN膜厚が20μm程度の薄膜でレーザ素子が形成され、p側とn側の電極をそれぞれのチップの上下に設ける素子構造であるので、放熱特性が大きく改善される。又、レーザの端面を形成するためのへき開を容易にできることにより、窒化物系半導体レーザの発振特性を大きく改善できる。更に、コンタクト面積が拡大することにより、素子抵抗を低減させることができ、高出力駆動が可能となる。又、チップ上下方向に電流を流すため、チップサイズを小型化でき、電流密度が均一となり、電流集中を防ぐことにより、信頼性が向上する。
【0047】
又、GaN基板101は、分離によるダメージが少ないので、成長用基板として再利用できる。このため、低コストで提供することができる。又、成長用基板の材質は特に限定されないため、汎用性に富むことができる。又、分離の際にレーザ照射を用いる必要がないため、更なる経済的な効果も期待できる。
【0048】
又、所定の間隔で開口するマスク層103を有するため、マスク層103界面付近において、容易にGaN基板101を分離することができる。又、マスク層103は、Ti、Siなど複数の熱膨張係数の異なる薄膜を積層する構造で形成しているため、RTA(Rapid Thermal Anneal)のような急加熱、急冷を施すことによって、更に容易に分離することができる。
【0049】
又、調整層114は、支持基板113の種類に応じて、金属膜材料や積層化、膜厚を調整することにより、その湾曲量を制御することができる。更に、Ni、Ti薄膜の積層構造を用いても効果的に湾曲量の調整を行うことができる。
【0050】
又、GaN基板101を刷動させることにより、分離工程を行うため、確実にGaN基板101の界面付近で、GaN基板101を分離することができる。
【0051】
又、凸形状を有する支持基板113に複数の発光素子(集積化LED)を形成した場合、凸形状からの発光が得られるため、広がりを持った発光が得られる。
【0052】
又、熱伝導率の良い支持基板113は、ヒートシンクとして用いることができるので、調整層114にAu−Snなどの半田材を使用することにより、パッケージステムと接着する半田として、調整層114を用いることができる。
【0053】
又、支持基板113の調整層114にTi−Ni層を用いた場合は、支持基板113の反り具合を調整することや、機械的強度を増すことができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードの製造方法の概略を説明するための図である。第2の実施の形態では、図8(a)に示すように、支持基板213の一方の主面上に、支持基板213より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層214を形成する。そして、サファイア基板201上の窒化物系半導体素子層205と支持基板213とを、融着層212を介して接合する。窒化物系半導体素子層205には、所定の間隔で開口するマスク層203が含まれる。このように、支持基板213より熱膨張係数が大きい材料からなる調整層214を形成することにより、支持基板213は窒化物系半導体素子層205側に凸状に湾曲する。一方、サファイア基板201は、その表面が窒化物系半導体素子層205側に凸状に湾曲する。そして、図8(b)に示すように、融着層212を介して、支持基板213と、窒化物系半導体素子層205とを接合する。
【0055】
次に、第2の実施の形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードの製造方法について、図9〜11を用いて詳細に説明する。
【0056】
まず、図9(a)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、サファイア基板201の(0001)面上に、約10〜50nmの厚みを有するSiがドープされたGaNからなるバッファ層202を成長させる。
【0057】
次に、SiO2などの誘電体からなるマスク層203をストライプ状にパターニングした後、バッファ層202露出部から横方向成長させる。このようにして、所定の間隔で開口するマスク層203を形成する。このマスク層203は、分離工程における剥離層とするために、複数の熱膨張係数の異なる誘電体膜や金属層を積層する構造にしてもよい。又、数nm程度の膜厚のTi膜などを電子ビーム蒸着等により形成した後、再成長させてもよい。マスク層203の詳細は、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0058】
次に、図9(b)に示すように、バッファ層202及びマスク層203上に、約5μmの厚みを有するアンドープの単結晶のGaNからなる下地層204を成長させる。次に、下地層204上に、約5〜100μmの厚みを有するSiがドープされた単結晶のGaNからなるn型コンタクト層205を成長させる。次に、n型コンタクト層205上に、約0.15μmの厚みを有するSiがドープされた単結晶のAl0.1Ga0.9Nからなるn型クラッド層206を成長させる。
【0059】
次に、n型クラッド層206上に、約5nmの厚みを有するアンドープの単結晶のGa0.9In0.1Nからなる井戸層と、約10nmの厚みを有するアンドープの単結晶のGaNからなる障壁層とを交互に成長させる。これにより、図9(c)に示すように、3つの井戸層207a、207c、207e及び3つの障壁層207b、207d、207fとを有するMQW構造の活性層207を成長させる。
【0060】
次に、活性層207上に、約10nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のp型Al0.1Ga0.9Nからなるp型キャップ層を成長させる。次に、p型キャップ層上に、約0.1μmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のAl0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層208を成長させる。
【0061】
次に、CP2Mgからなるドーパントガスとを用いて、p型クラッド層208上に、約5nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のGa0.95In0.05Nからなるp型コンタクト層209を成長させる。
【0062】
次に、熱処理や電子線処理を行うことにより、p型キャップ層、p型クラッド層208、p型コンタクト層209のp型化を行う。このようにして、バッファ層202、下地層204、n型コンタクト層205、n型クラッド層206、活性層207、p型キャップ層、p型クラッド層208及びp型コンタクト層209によって構成される窒化物系半導体素子層を形成する。この窒化物系半導体素子層の膜厚は、150μm以下である。
【0063】
この後、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなる反射性のp側電極211を、真空蒸着法により順次形成する。
【0064】
ここで、上述したサファイア基板201は、その表面が窒化物系半導体素子層205側に凸状に湾曲する。
【0065】
一方、図10(a)に示すように、熱伝導の良好なCuとCu2Oとの複合材料からなり、約200μmの厚みを有する支持基板213の一方の主面上に、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる調整層214を真空蒸着法により形成する。この調整層214は、支持基板213より熱膨張係数が大きい材料からなる。又、支持基板213の他方の主面上に、Ti層、Pd層、Au層を介して、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる融着層212を真空蒸着法により順次形成する。又、調整層214の材質としては、Au、Snの他、Ni、Ti、又はその合金などが好適に用いられる。
【0066】
ここで、支持基板213と窒化物系半導体素子層及びサファイア基板201との構造の詳細を表3に示す。表3に示す順序で、支持基板213と窒化物系半導体素子層及びサファイア基板201は積層されているものとする。又、「反り形状」は、それぞれ対向する基板に対して湾曲する形状を示し、その「反り量」は、15mmあたりの最大湾曲量を示す。
【表3】
【0067】
又、調整層は、図6(a)に示すように、第1の実施の形態と同様に、支持基板113の一方の主面上に、支持基板113より熱膨張係数の大きい材料(例えば、金属)から形成されてもよく、図6(b)に示すように、融着層112と同種の金属からなり、調整層114の膜厚は、融着層112の膜厚より大きく形成されてもよい。このようにして、図6(c)に示すように、支持基板113が窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する。
【0068】
次に、図10(b)に示すように、窒化物系半導体素子層上のp側電極211と支持基板213上の融着層212とを、熱圧着する。熱圧着は、真空中で、例えば、約200〜300℃において約15分行う。
【0069】
ここで、接合後の基板の反りは、接合前と比べ減少しており、融着層212を介して両基板を接合することで、支持基板213に引っ張り応力が働く。
【0070】
次に、図11(a)に示すように、応力を負荷し、接合された窒化物系半導体素子層及び支持基板213からサファイア基板201を分離する。応力を負荷する方法としては、例えば、接合された支持基板213を固定し、サファイア基板201の裏側や側面に対して治具をあてて刷動させることにより、基板を分離する。刷動させる方向は、サファイア基板201の主面に対して水平方向でも垂直方向でも構わない。更に、熱圧着程度の温度で熱処理を行うことで、分離が容易となる。
【0071】
次に、研磨やエッチングを用いて、n型コンタクト層205を露出させる。
【0072】
次に、図11(b)に示すように、真空蒸着法を用いて、n型コンタクト層205上の所定の領域に、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの厚みを有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約700nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極を形成する。そして、n側オーミック電極上に、n側電極215を形成する。
【0073】
次に、ダイシングやレーザスクライブあるいは、支持基板213の選択エッチングによって、素子分離を行う。このようにして、第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子が形成される。
【0074】
第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子によると、調整層214が支持基板213より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、支持基板213は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有し、容易にサファイア基板201を分離することができる。このように、サファイア基板201を容易に確実に分離することができるため、サファイア基板201との格子のずれによる結晶性の低下を解消できるため電気的光学的特性が改善される。
【0075】
又、熱伝導率の低いサファイア基板を分離することにより、p側とn側の電極をそれぞれのチップの上下に設ける素子構造とすることができ、放熱特性が大きく改善される。又、コンタクト面積が拡大することにより、素子抵抗を低減させることができ、高出力駆動が可能となる。又、チップ上下方向に電流を流すため、チップサイズを小型化でき、電流密度が均一となり、電流集中を防ぐことにより、信頼性が向上する。
【0076】
又、サファイア基板201は、分離によるダメージが少ないので、成長用基板として再利用できる。このため、低コストで提供することができる。又、分離の際にレーザ照射を用いる必要がないため、更なる経済的な効果も期待できる。
【0077】
又、所定の間隔で開口するマスク層203を有するため、マスク層203界面付近において、容易にサファイア基板201を分離することができる。又、マスク層203は、Ti、Siなど複数の熱膨張係数の異なる薄膜を積層する構造で形成しているため、RTA(Rapid Thermal Anneal)のような急加熱、急冷を施すことによって、更に容易に分離することができる。
【0078】
又、調整層214は、支持基板213の種類に応じて、金属膜材料や積層化、膜厚を調整することにより、その湾曲量を制御することができる。更に、Ni、Ti薄膜の積層構造を用いても効果的に湾曲量の調整を行うことができる。
【0079】
(その他の実施形態)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0080】
例えば、第1及び第2の実施の形態では、主として、窒化物半導体素子層の活性層から放出される光を利用する発光ダイオードや半導体レーザの製造方法について例示したが、本発明はこれに限らず、これら発光素子からの放出光を励起光とする蛍光体とを組み合わせた発光素子の製造にも利用可能である。又、窒化物系半導体素子層を有するHEMT(High Electron Mobility Transistor)などの電子デバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイス、受光素子への応用が可能である。又、本発明による基板の張り替え技術を応用することにより、多波長の半導体レーザへの応用が可能であり、これにより多波長レーザにおけるウェハ面内での発光点間隔の歩留まりを向上させることができる。
【0081】
又、第1及び第2の実施の形態では、MOCVD法を用いて、窒化物半導体各層を結晶成長させる説明したが、本発明はこれに限らず、HVPE法やガスソースMBE法などを用いて、窒化物半導体各層を結晶成長させてもよい。又、窒化物系化合物半導体の結晶構造として、ウルツ鉱型であっても閃亜鉛鉱型構造であってもよい。又、成長の面方位は、(0001)に限るものではなく、(11−20)や(1−100)でもよい。
【0082】
又、第1及び第2の実施の形態では、GaN、AlGaN、InGaN及びAlNなどからなる層を含む窒化物系半導体素子層を用いたが、本発明はこれに限らず、GaN、AlGaN、InGaN及びAlNからなる層以外の層を含む窒化物系半導体素子層を用いてもよい。又、半導体素子層の形状は、メサ構造、リッジ構造などの電流狭窄造を有するものでもよい。
【0083】
又、第1及び第2の実施の形態では、窒化物系半導体素子層の成長用基板として、GaN基板、サファイア基板を用いたが、本発明はこれに限らず、窒化物系半導体の成長の可能な基板、例えば、スピネル、MgO、ZnO、LaO、GaO、Si、GaAs、そしてSiC等が使用可能である。
【0084】
又、支持基板材料は、導電性であることが好ましく、第1及び第2の実施の形態において用いた、金属−金属酸化物の複合材料の他、導電性半導体(Si、SiC、GaAs、ZnO等)や、金属あるいは複合金属(Al、Fe−Ni、Cu−W、CU−Mo等)などを用いることができる。一般に、半導体材料よりも金属系材料が機械特性に優れ、割れにくいために、支持基板材料として適している。更に、より好ましくは、Cu、Ag、Auなどの高導電性の金属と、W、Mo、Ni、CuOなどの高硬度の金属あるいは金属酸化物とを複合して、高い導電性と高い機械強度とを併せ持つ材料を用いることである。この場合、例えばCu−Cu2O(Cu:50重量%、Cu2O:50重量%)、Cu−W(Cu:50重量%、W:50重量%)、Cu−Mo(Cu:50重量%、Mo:50重量%)の熱膨張係数は、それぞれ、10×10-6/K、7×10-6/K、7×10-6/Kである。同基板材料に対して、大きな熱膨張係数を有する調整層材料としては、例えば、Ni、Au,Cu、An−Sn、Ag、Alなどが挙げられる。
【0085】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1〜第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の概略を説明するための断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の概略を説明するための断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その1)。
【図4】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その2)。
【図5】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その3)。
【図6】第1及び第2の実施の形態に係る支持基板を説明するための図である。
【図7】第1及び第2の実施の形態に係るマスク層を説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の概略を説明するための断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その1)。
【図10】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その2)。
【図11】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その3)。
【符号の説明】
【0087】
1、101、201…成長用基板
3、103、203…マスク層
5、105、205…窒化物系半導体素子層
12、112、212…融着層
13、113、213…支持基板
14、114、214…調整層
102、202…バッファ層
104、204…下地層
105、205…n型コンタクト層
106、206…n型クラッド層
107…発光層
108…p型クラッド層
109…p型コンタクト層
110…電流ブロック層
111…p側電極
115…n側電極
207…活性層
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GaN、InN、AlN等の窒化物系化合物半導体は、青色や緑色の発光ダイオード(LED)や青紫半導体レーザなどの発光素子、高温動作可能な高速トランジスタなどの電子デバイスの材料として盛んに用いられている。この窒化物系半導体は、一般に、バルク単結晶の製造が困難なことから、サファイアやSiCなどの成長用基板上に、ヘテロエピキャシタル成長法を用いて形成される。
【0003】
しかし、サファイアは絶縁体であるために、同一面上にp及びn電極を形成する必要があり、同一径のウェハから取れる素子数が少なく、同一素子面積における有効発光面積を狭められ、又、レーザに必要な共振器面を作製するためのへき開が困難であるという問題があった。又、サファイア基板の熱伝導率は、42W/m・kであり、GaNの熱伝導率130W/m・kに比べると、低い。このため、サファイア基板上に形成した窒化物半導体素子は、放熱性能に問題があった。
【0004】
そこで、予め、窒化物系半導体素子層の表面に、支持基板を熱圧着等により接合し、支持基板及び窒化物系半導体素子層から、サファイアなどの成長用基板を分離する方法が提案されている。このような分離方法として、例えば、成長用基板を研磨して窒化物系半導体素子基板を分離する方法(例えば、特許文献1参照。)や、成長用基板の裏面側からレーザ光を照射し、成長用基板を分離する方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
【特許文献1】特開2004−266240号公報
【特許文献2】特開2000−101139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した研磨による分離方法では、スループットが悪く、研磨時に異常割れなどが発生する場合があり、成長用基板を再利用することは困難である。一方、上述したレーザ照射による分離方法では、レーザ光の波長と窒化物系半導体素子層と成長用基板のバンドギャップを適性に保つ必要があり、異種成長用基板に対する汎用性がなく、それぞれに適正な波長のレーザ装置が必要になり、経済性に欠ける。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、分離後の成長用基板を再利用でき、汎用性に富み、良好なへき開性、放熱性を有する窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、(a)第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、(b)第2の基板の一方の主面上に、該第2の基板より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層を形成する工程と、(c)窒化物系半導体素子層上に、第2の基板の他方の主面を、融着層を介して接合する工程と、(d)接合された窒化物系半導体素子層及び第2の基板から第1の基板を分離する工程とを含む窒化物系半導体素子の製造方法であることを要旨とする。
【0008】
第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法によると、調整層が第2の基板より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、第2の基板は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有することができる。このため、容易に成長用基板を分離できるため、分離後の成長用基板を再利用できる。又、成長用基板の材質は特に限定されないため、汎用性に富む。更に、良好なへき開性、放熱性を有する窒化物系半導体素子を製造することができる。
【0009】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、調整層は、融着層と同種の金属からなり、調整層の膜厚は、融着層の膜厚より大きいことが好ましい。あるいは、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、第2の基板は、金属と該金属の酸化物との複合体を主成分とし、調整層は、金、スズ、ニッケル、チタン、あるいはそれらの合金からなることが好ましい。この窒化物系半導体素子の製造方法によると、第2の基板が窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲し、確実に成長用基板を分離することができる。
【0010】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、窒化物系半導体素子層は、所定の間隔で開口するマスク層を含むことが好ましい。マスク層を有することにより、マスク層界面付近において、容易に第1の基板を分離することができる。
【0011】
又、このマスク層は、複数の熱膨張係数の異なる膜を積層して形成されることが好ましい。複数の熱膨張係数の異なる薄膜を積層する構造で形成しているため、RTA(Rapid Thermal Anneal)のような急加熱、急冷を施すことによって、更に容易に分離することができる。
【0012】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、窒化物系半導体素子層の一端には、第1の電極が設けられ、窒化物系半導体素子層の他端には、第2の電極が設けられることが好ましい。この窒化物系半導体素子の製造方法によると、成長用基板を容易に分離することができ、窒化物系半導体素子層の上下に電極を形成することができる。
【0013】
又、第1の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法において、分離する工程は、第1の基板を刷動させることにより行うことが好ましい。この窒化物系半導体素子の製造方法によると、確実に第1の基板の界面付近で、第1の基板を分離することができる。
【0014】
本発明の第2の特徴は、第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、窒化物系半導体素子層上に、第2の基板の一方の主面を、融着層を介して接合する工程と、接合された窒化物系半導体素子層及び第2の基板から第1の基板を分離する工程とによって製造される窒化物系半導体素子であって、(a)第2の基板の他方の主面上に、該第2の基板とは熱膨張係数の異なる材料からなる調整層を備える窒化物系半導体素子であることを要旨とする。
【0015】
第2の特徴に係る窒化物系半導体素子によると、調整層が第2の基板より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、第2の基板は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有することができる。このため、容易に成長用基板を分離できるため、分離後の成長用基板を再利用できる。又、成長用基板の材質は特に限定されないため、汎用性に富む。更に、この窒化物系半導体素子は、良好なへき開性、放熱性を有することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、分離後の成長用基板を再利用でき、汎用性に富み、良好なへき開性、放熱性を有する窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
まず、本発明の第1及び第2の実施の形態の概略について、図1を用いて説明する。
【0019】
第1及び第2の実施の形態では、図1(a)に示すように、支持基板13の一方の主面上に、支持基板13より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層14を形成する。そして、成長用基板1上の窒化物系半導体素子層5と支持基板13とを、融着層12を介して接合する。窒化物系半導体素子層5には、所定の間隔で開口するマスク層3が含まれる。このように、支持基板13より熱膨張係数が大きい材料からなる調整層14を形成することにより、支持基板13は窒化物系半導体素子層5側に凸状に湾曲する。
【0020】
次に、図1(b)に示すように、融着層12を介して、支持基板13と、窒化物系半導体素子層5とを接合する。
【0021】
次に、図1(c)に示すように、接合された窒化物系半導体素子層5及び支持基板13から成長用基板1を分離する。このとき、支持基板13が窒化物系半導体素子層5側に凸状に湾曲しており、マスク層3を有するため、マスク層3前後の界面付近で容易に剥離が生じる。
【0022】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る窒化物系半導体レーザの製造方法の概略を説明するための図である。第1の実施の形態では、図2(a)に示すように、支持基板113の一方の主面上に、支持基板113より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層114を形成する。そして、GaN基板101上の窒化物系半導体素子層105と支持基板113とを、融着層112を介して接合する。窒化物系半導体素子層105には、所定の間隔で開口するマスク層103が含まれる。このように、支持基板113より熱膨張係数が大きい材料からなる調整層114を形成することにより、支持基板113は窒化物系半導体素子層105側に凸状に湾曲する。一方、GaN基板101は、その表面がほぼ平坦か、窒化物系半導体素子層105側に凹状に湾曲する。そして、図2(b)に示すように、融着層112を介して、支持基板113と、窒化物系半導体素子層105とを接合する。
【0023】
次に、第1の実施の形態に係る窒化物系半導体レーザの製造方法について、図3〜5を用いて詳細に説明する。
【0024】
まず、図3(a)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、GaN基板101の(0001)面上に、アンドープの非単結晶のGaNからなるバッファ層102を成長させる。
【0025】
次に、SiO2などの誘電体からなるマスク層103をストライプ状にパターニングした後、バッファ層102露出部から横方向成長させる。このようにして、所定の間隔で開口するマスク層103を形成する。
【0026】
このマスク層103の拡大図を図7に示す。図7(a)に示すように、マスク層103は、断面横方向長さL2で開口し、断面横方向長さL1で横方向に成長させたものである。又、マスク層103は、分離工程における剥離層とするために、複数の熱膨張係数の異なる誘電体膜や金属膜を積層する構造を有してもよい。例えば、マスク層103は、Si3N4層103a、Si、Ti、Niなどの金属層103b、SiO2層103cによって形成されてもよい。又、数nm程度の膜厚のTiなどを電子ビーム蒸着等により形成した後、再成長させてもよい。又、図7(b)に示すように、マスク層103は、複数の熱膨張係数の異なる層を積層することにより、層間で湾曲し、当該層間で剥離する。図7(b)では、層103a及び層103bが、層103c側に凸状に湾曲するため、層103bと層103c間で剥離することができる。又、マスク層103を形成する層としては、熱膨張係数がバッファ層102よりも大きい材質が好適に用いられ、Si、Tiを含むことが好ましい。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、バッファ層102及びマスク層103上に、約5μmの厚みを有するアンドープの単結晶のGaNからなる下地層104を成長させる。次に、下地層104上に、約5〜100μmの厚みを有するSiがドープされた単結晶のGaNからなるn型コンタクト層105を成長させる。次に、n型コンタクト層105上に、約1.0μmの厚みを有するGeがドープされた単結晶のAl0.07Ga0.93Nからなるn型クラッド層106を成長させる。
【0028】
次に、n型クラッド層106上に、発光層107を成長させる。この発光層107は、図3(c)に示すように、n側キャリアブロック層107aと、MQW(多重量子井戸)活性層107bと、p側光ガイド層107cと、p側キャリアブロック層107dとから構成されている。n側キャリアブロック層107aは、n型クラッド層106上に形成され、約20nmの厚みを有するアンドープの単結晶のAl0.25Ga0.75Nからなる。MQW活性層107bは、n側キャリアブロック層107a上に形成され、約3.5nmの厚みを有するアンドープの単結晶のIn0.15Ga0.85Nからなる3つの量子井戸層と、約20nmの厚みを有するアンドープの単結晶のIn0.05Ga0.95Nからなる3つの量子障壁層とが交互に積層されている。p側光ガイド層107cは、MQW活性層107b上に形成され、約0.1μmの厚みを有するアンドープの単結晶のIn0.01Ga0.99Nからなる。p側キャリアブロック層107dは、p側光ガイド層107c上に形成され、約20nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のAl0.25Ga0.75Nからなる。
【0029】
次に、発光層107上に、約0.5μmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のAl0.07Ga0.93Nからなるp型クラッド層108を成長させる。このp型クラッド層108は、所定領域が除去されることによって凸形状に形成されている。次に、p型クラッド層108上に、約3nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のGa0.99In0.01Nからなるp型コンタクト層109を成長させる。
【0030】
次に、熱処理や電子線処理を行うことにより、p型クラッド層108、p型コンタクト層109のp型化を行う。このようにして、バッファ層102、マスク層103、下地層104、n型コンタクト層105、n型クラッド層106、発光層107、p型クラッド層108及びp型コンタクト層109によって構成される窒化物系半導体素子層を形成する。この窒化物系半導体素子層の膜厚は、150μm以下である。
【0031】
この後、p型クラッド層108及びp型コンタクト層109の所定領域を、フォトリソグラフィ技術と、塩素系ガスによる反応性イオンエッチングとを用いて除去することで、約1.5μmの幅を有し、[1−100]方向に延びるストライプ状の凸部からなるリッジ部を形成する。このとき、p型クラッド層307の凸部の厚みが約0.35μm、凸部以外の平坦部の厚みが約0.05μmとなるように、エッチングの深さを制御する。
【0032】
次に、プラズマCVD法を用いて、全面を覆うように、約0.2μmの厚みを有するSiO2膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術と、CF4ガスによる反応性イオンエッチングとを用いて、SiO2層のp型コンタクト層109上に位置する部分を除去することで、SiO2層からなる電流ブロック層110を形成する。
【0033】
次に、p型コンタクト層109の露出された表面上に、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp型オーミック電極を、ストライプ状に形成する。更に、電流ブロック層の表面上に、p側オーミック電極を覆うように、p側電極111を、真空蒸着法により順次形成する。
【0034】
ここで、上述したGaN基板101は、その表面がほぼ平坦か、窒化物系半導体素子層105側に凹状に湾曲する。
【0035】
一方、図4(a)に示すように、熱伝導の良好なCuとCu2Oとの複合材料からなり、約200μmの厚みを有する支持基板113の一方の主面上に、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる調整層114を真空蒸着法により形成する。この調整層114は、支持基板113より熱膨張係数が大きい材料からなる。又、支持基板113の他方の主面上に、Ti層、Pd層、Au層を介して、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる融着層112を真空蒸着法により順次形成する。又、調整層114の材質としては、Au、Snの他、Ni、Ti、又はその合金などが好適に用いられる。
【0036】
ここで、支持基板113と窒化物系半導体素子層及びGaN基板101との構造の詳細を表1に示す。表1に示す順序で、支持基板113と窒化物系半導体素子層及びGaN基板101は積層されているものとする。又、「反り形状」は、それぞれ対向する基板に対して湾曲する形状を示し、「反り量」は、15mmあたりの最大湾曲量を示す。
【表1】
【0037】
又、支持基板をCuとCu2Oとの複合材料とした場合、Si基板とした場合の構造と反り量の関係を表2に示す。ここで、蒸着面において、「表面側」とは、図4(a)において基板の上側を示し、「裏面側」とは図4(a)において基板の下側を示す。又、「反り形状」は、それぞれ対向する基板に対して湾曲する形状を示し、「反り量」は、15mmあたりの最大湾曲量を示す。
【表2】
【0038】
又、調整層は、図6(a)に示すように、支持基板113の一方の主面上に、支持基板113より熱膨張係数の大きい材料(例えば、金属)から形成されてもよく、図6(b)に示すように、融着層112と同種の金属からなり、調整層114の膜厚は、融着層112の膜厚より大きく形成されてもよい。このようにして、図6(c)に示すように、支持基板113が窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する。
【0039】
次に、図4(b)に示すように、窒化物系半導体素子層上のp側電極111と支持基板113上の融着層112とを、熱圧着する。熱圧着は、真空中で、例えば、約200〜300℃において約15分行う。
【0040】
ここで、接合後の基板の反りは、接合前と比べ減少しており、融着層112を介して両基板を接合することで、支持基板113に引っ張り応力が働く。
【0041】
次に、図5(a)に示すように、応力を負荷し、接合された窒化物系半導体素子層及び支持基板113からGaN基板101を分離する。応力を負荷する方法としては、例えば、接合された支持基板113を固定し、GaN基板101の裏側や側面に対して治具をあてて刷動させることにより、基板を分離する。刷動させる方向は、GaN基板101の主面に対して水平方向でも垂直方向でも構わない。更に、熱圧着程度の温度で熱処理を行うことで、分離が容易となる。
【0042】
次に、研磨やエッチングを用いて、n型コンタクト層105を露出させる。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、真空蒸着法を用いて、n型コンタクト層105上の所定の領域に、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの厚みを有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約700nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極を形成する。そして、n側オーミック電極上に、n側電極115を形成する。
【0044】
その後、n側電極115以外の所定の領域を、塩素系ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、支持基板310に達するまでエッチングすることで、リッジのストライプに直交した(1−100)面と(−1100)面とにより構成されるレーザ共振器端面を形成する。そして、ダイシングやレーザスクライブあるいは、支持基板113の選択エッチングによって、素子分離を行う。このようにして、第1の実施の形態に係る窒化物系半導体レーザが形成される。
【0045】
第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子によると、調整層114が支持基板113より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、支持基板113は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有し、容易にGaN基板101を分離することができる。又、結晶にダメージを与えないため、GaN基板101上の成長膜厚が薄い場合においても、良質の結晶性が得られ、電気的光学的特性が改善される。更に、GaN基板101上に成長させたGaN膜を半導体素子として利用できるため、サファイア基板を用いて成長させるより、良質の高い結晶を得ることができ、半導体発光素子の電気的、光学的特性を改善するとともに、寿命も延ばすことができる。
【0046】
又、GaN膜厚が20μm程度の薄膜でレーザ素子が形成され、p側とn側の電極をそれぞれのチップの上下に設ける素子構造であるので、放熱特性が大きく改善される。又、レーザの端面を形成するためのへき開を容易にできることにより、窒化物系半導体レーザの発振特性を大きく改善できる。更に、コンタクト面積が拡大することにより、素子抵抗を低減させることができ、高出力駆動が可能となる。又、チップ上下方向に電流を流すため、チップサイズを小型化でき、電流密度が均一となり、電流集中を防ぐことにより、信頼性が向上する。
【0047】
又、GaN基板101は、分離によるダメージが少ないので、成長用基板として再利用できる。このため、低コストで提供することができる。又、成長用基板の材質は特に限定されないため、汎用性に富むことができる。又、分離の際にレーザ照射を用いる必要がないため、更なる経済的な効果も期待できる。
【0048】
又、所定の間隔で開口するマスク層103を有するため、マスク層103界面付近において、容易にGaN基板101を分離することができる。又、マスク層103は、Ti、Siなど複数の熱膨張係数の異なる薄膜を積層する構造で形成しているため、RTA(Rapid Thermal Anneal)のような急加熱、急冷を施すことによって、更に容易に分離することができる。
【0049】
又、調整層114は、支持基板113の種類に応じて、金属膜材料や積層化、膜厚を調整することにより、その湾曲量を制御することができる。更に、Ni、Ti薄膜の積層構造を用いても効果的に湾曲量の調整を行うことができる。
【0050】
又、GaN基板101を刷動させることにより、分離工程を行うため、確実にGaN基板101の界面付近で、GaN基板101を分離することができる。
【0051】
又、凸形状を有する支持基板113に複数の発光素子(集積化LED)を形成した場合、凸形状からの発光が得られるため、広がりを持った発光が得られる。
【0052】
又、熱伝導率の良い支持基板113は、ヒートシンクとして用いることができるので、調整層114にAu−Snなどの半田材を使用することにより、パッケージステムと接着する半田として、調整層114を用いることができる。
【0053】
又、支持基板113の調整層114にTi−Ni層を用いた場合は、支持基板113の反り具合を調整することや、機械的強度を増すことができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードの製造方法の概略を説明するための図である。第2の実施の形態では、図8(a)に示すように、支持基板213の一方の主面上に、支持基板213より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層214を形成する。そして、サファイア基板201上の窒化物系半導体素子層205と支持基板213とを、融着層212を介して接合する。窒化物系半導体素子層205には、所定の間隔で開口するマスク層203が含まれる。このように、支持基板213より熱膨張係数が大きい材料からなる調整層214を形成することにより、支持基板213は窒化物系半導体素子層205側に凸状に湾曲する。一方、サファイア基板201は、その表面が窒化物系半導体素子層205側に凸状に湾曲する。そして、図8(b)に示すように、融着層212を介して、支持基板213と、窒化物系半導体素子層205とを接合する。
【0055】
次に、第2の実施の形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードの製造方法について、図9〜11を用いて詳細に説明する。
【0056】
まず、図9(a)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、サファイア基板201の(0001)面上に、約10〜50nmの厚みを有するSiがドープされたGaNからなるバッファ層202を成長させる。
【0057】
次に、SiO2などの誘電体からなるマスク層203をストライプ状にパターニングした後、バッファ層202露出部から横方向成長させる。このようにして、所定の間隔で開口するマスク層203を形成する。このマスク層203は、分離工程における剥離層とするために、複数の熱膨張係数の異なる誘電体膜や金属層を積層する構造にしてもよい。又、数nm程度の膜厚のTi膜などを電子ビーム蒸着等により形成した後、再成長させてもよい。マスク層203の詳細は、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0058】
次に、図9(b)に示すように、バッファ層202及びマスク層203上に、約5μmの厚みを有するアンドープの単結晶のGaNからなる下地層204を成長させる。次に、下地層204上に、約5〜100μmの厚みを有するSiがドープされた単結晶のGaNからなるn型コンタクト層205を成長させる。次に、n型コンタクト層205上に、約0.15μmの厚みを有するSiがドープされた単結晶のAl0.1Ga0.9Nからなるn型クラッド層206を成長させる。
【0059】
次に、n型クラッド層206上に、約5nmの厚みを有するアンドープの単結晶のGa0.9In0.1Nからなる井戸層と、約10nmの厚みを有するアンドープの単結晶のGaNからなる障壁層とを交互に成長させる。これにより、図9(c)に示すように、3つの井戸層207a、207c、207e及び3つの障壁層207b、207d、207fとを有するMQW構造の活性層207を成長させる。
【0060】
次に、活性層207上に、約10nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のp型Al0.1Ga0.9Nからなるp型キャップ層を成長させる。次に、p型キャップ層上に、約0.1μmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のAl0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層208を成長させる。
【0061】
次に、CP2Mgからなるドーパントガスとを用いて、p型クラッド層208上に、約5nmの厚みを有するMgがドープされた単結晶のGa0.95In0.05Nからなるp型コンタクト層209を成長させる。
【0062】
次に、熱処理や電子線処理を行うことにより、p型キャップ層、p型クラッド層208、p型コンタクト層209のp型化を行う。このようにして、バッファ層202、下地層204、n型コンタクト層205、n型クラッド層206、活性層207、p型キャップ層、p型クラッド層208及びp型コンタクト層209によって構成される窒化物系半導体素子層を形成する。この窒化物系半導体素子層の膜厚は、150μm以下である。
【0063】
この後、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなる反射性のp側電極211を、真空蒸着法により順次形成する。
【0064】
ここで、上述したサファイア基板201は、その表面が窒化物系半導体素子層205側に凸状に湾曲する。
【0065】
一方、図10(a)に示すように、熱伝導の良好なCuとCu2Oとの複合材料からなり、約200μmの厚みを有する支持基板213の一方の主面上に、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる調整層214を真空蒸着法により形成する。この調整層214は、支持基板213より熱膨張係数が大きい材料からなる。又、支持基板213の他方の主面上に、Ti層、Pd層、Au層を介して、Au−Sn(Au:80重量%、Sn:20重量%)からなる融着層212を真空蒸着法により順次形成する。又、調整層214の材質としては、Au、Snの他、Ni、Ti、又はその合金などが好適に用いられる。
【0066】
ここで、支持基板213と窒化物系半導体素子層及びサファイア基板201との構造の詳細を表3に示す。表3に示す順序で、支持基板213と窒化物系半導体素子層及びサファイア基板201は積層されているものとする。又、「反り形状」は、それぞれ対向する基板に対して湾曲する形状を示し、その「反り量」は、15mmあたりの最大湾曲量を示す。
【表3】
【0067】
又、調整層は、図6(a)に示すように、第1の実施の形態と同様に、支持基板113の一方の主面上に、支持基板113より熱膨張係数の大きい材料(例えば、金属)から形成されてもよく、図6(b)に示すように、融着層112と同種の金属からなり、調整層114の膜厚は、融着層112の膜厚より大きく形成されてもよい。このようにして、図6(c)に示すように、支持基板113が窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する。
【0068】
次に、図10(b)に示すように、窒化物系半導体素子層上のp側電極211と支持基板213上の融着層212とを、熱圧着する。熱圧着は、真空中で、例えば、約200〜300℃において約15分行う。
【0069】
ここで、接合後の基板の反りは、接合前と比べ減少しており、融着層212を介して両基板を接合することで、支持基板213に引っ張り応力が働く。
【0070】
次に、図11(a)に示すように、応力を負荷し、接合された窒化物系半導体素子層及び支持基板213からサファイア基板201を分離する。応力を負荷する方法としては、例えば、接合された支持基板213を固定し、サファイア基板201の裏側や側面に対して治具をあてて刷動させることにより、基板を分離する。刷動させる方向は、サファイア基板201の主面に対して水平方向でも垂直方向でも構わない。更に、熱圧着程度の温度で熱処理を行うことで、分離が容易となる。
【0071】
次に、研磨やエッチングを用いて、n型コンタクト層205を露出させる。
【0072】
次に、図11(b)に示すように、真空蒸着法を用いて、n型コンタクト層205上の所定の領域に、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの厚みを有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約700nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極を形成する。そして、n側オーミック電極上に、n側電極215を形成する。
【0073】
次に、ダイシングやレーザスクライブあるいは、支持基板213の選択エッチングによって、素子分離を行う。このようにして、第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子が形成される。
【0074】
第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法及び窒化物系半導体素子によると、調整層214が支持基板213より熱膨張係数が大きい材料からなることにより、支持基板213は窒化物系半導体素子層側に凸状に湾曲する性質を有し、容易にサファイア基板201を分離することができる。このように、サファイア基板201を容易に確実に分離することができるため、サファイア基板201との格子のずれによる結晶性の低下を解消できるため電気的光学的特性が改善される。
【0075】
又、熱伝導率の低いサファイア基板を分離することにより、p側とn側の電極をそれぞれのチップの上下に設ける素子構造とすることができ、放熱特性が大きく改善される。又、コンタクト面積が拡大することにより、素子抵抗を低減させることができ、高出力駆動が可能となる。又、チップ上下方向に電流を流すため、チップサイズを小型化でき、電流密度が均一となり、電流集中を防ぐことにより、信頼性が向上する。
【0076】
又、サファイア基板201は、分離によるダメージが少ないので、成長用基板として再利用できる。このため、低コストで提供することができる。又、分離の際にレーザ照射を用いる必要がないため、更なる経済的な効果も期待できる。
【0077】
又、所定の間隔で開口するマスク層203を有するため、マスク層203界面付近において、容易にサファイア基板201を分離することができる。又、マスク層203は、Ti、Siなど複数の熱膨張係数の異なる薄膜を積層する構造で形成しているため、RTA(Rapid Thermal Anneal)のような急加熱、急冷を施すことによって、更に容易に分離することができる。
【0078】
又、調整層214は、支持基板213の種類に応じて、金属膜材料や積層化、膜厚を調整することにより、その湾曲量を制御することができる。更に、Ni、Ti薄膜の積層構造を用いても効果的に湾曲量の調整を行うことができる。
【0079】
(その他の実施形態)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0080】
例えば、第1及び第2の実施の形態では、主として、窒化物半導体素子層の活性層から放出される光を利用する発光ダイオードや半導体レーザの製造方法について例示したが、本発明はこれに限らず、これら発光素子からの放出光を励起光とする蛍光体とを組み合わせた発光素子の製造にも利用可能である。又、窒化物系半導体素子層を有するHEMT(High Electron Mobility Transistor)などの電子デバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイス、受光素子への応用が可能である。又、本発明による基板の張り替え技術を応用することにより、多波長の半導体レーザへの応用が可能であり、これにより多波長レーザにおけるウェハ面内での発光点間隔の歩留まりを向上させることができる。
【0081】
又、第1及び第2の実施の形態では、MOCVD法を用いて、窒化物半導体各層を結晶成長させる説明したが、本発明はこれに限らず、HVPE法やガスソースMBE法などを用いて、窒化物半導体各層を結晶成長させてもよい。又、窒化物系化合物半導体の結晶構造として、ウルツ鉱型であっても閃亜鉛鉱型構造であってもよい。又、成長の面方位は、(0001)に限るものではなく、(11−20)や(1−100)でもよい。
【0082】
又、第1及び第2の実施の形態では、GaN、AlGaN、InGaN及びAlNなどからなる層を含む窒化物系半導体素子層を用いたが、本発明はこれに限らず、GaN、AlGaN、InGaN及びAlNからなる層以外の層を含む窒化物系半導体素子層を用いてもよい。又、半導体素子層の形状は、メサ構造、リッジ構造などの電流狭窄造を有するものでもよい。
【0083】
又、第1及び第2の実施の形態では、窒化物系半導体素子層の成長用基板として、GaN基板、サファイア基板を用いたが、本発明はこれに限らず、窒化物系半導体の成長の可能な基板、例えば、スピネル、MgO、ZnO、LaO、GaO、Si、GaAs、そしてSiC等が使用可能である。
【0084】
又、支持基板材料は、導電性であることが好ましく、第1及び第2の実施の形態において用いた、金属−金属酸化物の複合材料の他、導電性半導体(Si、SiC、GaAs、ZnO等)や、金属あるいは複合金属(Al、Fe−Ni、Cu−W、CU−Mo等)などを用いることができる。一般に、半導体材料よりも金属系材料が機械特性に優れ、割れにくいために、支持基板材料として適している。更に、より好ましくは、Cu、Ag、Auなどの高導電性の金属と、W、Mo、Ni、CuOなどの高硬度の金属あるいは金属酸化物とを複合して、高い導電性と高い機械強度とを併せ持つ材料を用いることである。この場合、例えばCu−Cu2O(Cu:50重量%、Cu2O:50重量%)、Cu−W(Cu:50重量%、W:50重量%)、Cu−Mo(Cu:50重量%、Mo:50重量%)の熱膨張係数は、それぞれ、10×10-6/K、7×10-6/K、7×10-6/Kである。同基板材料に対して、大きな熱膨張係数を有する調整層材料としては、例えば、Ni、Au,Cu、An−Sn、Ag、Alなどが挙げられる。
【0085】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1〜第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の概略を説明するための断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の概略を説明するための断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その1)。
【図4】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その2)。
【図5】第1の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その3)。
【図6】第1及び第2の実施の形態に係る支持基板を説明するための図である。
【図7】第1及び第2の実施の形態に係るマスク層を説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の概略を説明するための断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その1)。
【図10】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その2)。
【図11】第2の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である(その3)。
【符号の説明】
【0087】
1、101、201…成長用基板
3、103、203…マスク層
5、105、205…窒化物系半導体素子層
12、112、212…融着層
13、113、213…支持基板
14、114、214…調整層
102、202…バッファ層
104、204…下地層
105、205…n型コンタクト層
106、206…n型クラッド層
107…発光層
108…p型クラッド層
109…p型コンタクト層
110…電流ブロック層
111…p側電極
115…n側電極
207…活性層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、
第2の基板の一方の主面上に、該第2の基板より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層を形成する工程と、
前記窒化物系半導体素子層上に、前記第2の基板の他方の主面を、融着層を介して接合する工程と、
接合された前記窒化物系半導体素子層及び前記第2の基板から前記第1の基板を分離する工程と
を含むことを特徴とする窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記調整層は、前記融着層と同種の金属からなり、前記調整層の膜厚は、前記融着層の膜厚より大きいことを特徴とする請求項1に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記第2の基板は、金属と該金属の酸化物との複合体を主成分とし、
前記調整層は、金、スズ、ニッケル、チタン、あるいはそれらの合金からなることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記窒化物系半導体素子層は、所定の間隔で開口するマスク層を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記マスク層は、複数の熱膨張係数の異なる膜を積層して形成されることを特徴とする請求項4に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記窒化物系半導体素子層の一端には、第1の電極が設けられ、前記窒化物系半導体素子層の他端には、第2の電極が設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記分離する工程は、前記第1の基板を刷動させることにより行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項8】
第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、前記窒化物系半導体素子層上に、前記第2の基板の一方の主面を、融着層を介して接合する工程と、接合された前記窒化物系半導体素子層及び前記第2の基板から前記第1の基板を分離する工程とによって製造される窒化物系半導体素子であって、
前記第2の基板の他方の主面上に、該第2の基板とは熱膨張係数の異なる材料からなる調整層を備えることを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項1】
第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、
第2の基板の一方の主面上に、該第2の基板より熱膨張係数の大きい材料からなる調整層を形成する工程と、
前記窒化物系半導体素子層上に、前記第2の基板の他方の主面を、融着層を介して接合する工程と、
接合された前記窒化物系半導体素子層及び前記第2の基板から前記第1の基板を分離する工程と
を含むことを特徴とする窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記調整層は、前記融着層と同種の金属からなり、前記調整層の膜厚は、前記融着層の膜厚より大きいことを特徴とする請求項1に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記第2の基板は、金属と該金属の酸化物との複合体を主成分とし、
前記調整層は、金、スズ、ニッケル、チタン、あるいはそれらの合金からなることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記窒化物系半導体素子層は、所定の間隔で開口するマスク層を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記マスク層は、複数の熱膨張係数の異なる膜を積層して形成されることを特徴とする請求項4に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記窒化物系半導体素子層の一端には、第1の電極が設けられ、前記窒化物系半導体素子層の他端には、第2の電極が設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記分離する工程は、前記第1の基板を刷動させることにより行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項8】
第1の基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体素子層を形成する工程と、前記窒化物系半導体素子層上に、前記第2の基板の一方の主面を、融着層を介して接合する工程と、接合された前記窒化物系半導体素子層及び前記第2の基板から前記第1の基板を分離する工程とによって製造される窒化物系半導体素子であって、
前記第2の基板の他方の主面上に、該第2の基板とは熱膨張係数の異なる材料からなる調整層を備えることを特徴とする窒化物系半導体素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−237074(P2006−237074A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45886(P2005−45886)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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