説明

経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラムおよび記録媒体

【課題】経路誘導と連動して表示画面を移動させること。
【解決手段】経路誘導を開始した場合、検出部103によって誘導経路上の案内地点を検出する。つぎに、取得部104によって移動体の現在地点を取得する。そして、取得部104によって取得された移動体の現在地点が、検出部103によって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断部105によって判断する。案内地点から所定距離以内と判断された場合、制御部106による駆動部102により、表示部101の備える表示画面を搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、経路誘導と連動して表示画面を移動させる経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラムおよび記録媒体には限られない。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセサリーキーのオン/オフに基づいてケーシングに対するディスプレイの出し入れ動作を自動的におこなわせるようにした経路誘導装置がある。この経路誘導装置は、ケーシングからのディスプレイの送り出し量および見やすい位置までの回動角のデータをメモリに記憶させるようにし、アクセサリーキーのオン動作に併せてディスプレイを所定位置および所定角度にセットする。したがって、特にアクセサリーキーがオフの場合にはケーシング内へのディスプレイの戻し忘れが防止されるため、炎天下に晒されてしまうことがなくなり、液晶表示部の熱による変形を確実に防止することができる。また、ディスプレイの送り調整および角度調整が不要となり、操作性を向上することができる(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−185875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1の技術では、たとえば、走行時に経路誘導をおこなう案内地点から所定距離以上離れている場合にも、ディスプレイは出ている状態を保っている。このため、経路誘導がおこなわれていない場合でも運転者がディスプレイに気を取られたり、ディスプレイの位置によって運転者の視野が遮られ、運転に支障をきたす可能性があるといった問題が一例として挙げられる。
【0005】
また、アクセサリーキーがオンの場合は、常にディスプレイを出した状態にしておくので、いつ経路誘導がおこなわれるのかわかりにくい。このため、たとえば、音声情報を注意して聞いていなかったり、ディスプレイを頻繁に確認しないと、誘導案内を見逃したり、聞き逃したりするといった問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる経路誘導装置は、移動体の目的地点までの誘導経路における案内情報を表示する表示画面を有する表示手段と、前記表示手段を移動させる駆動手段と、前記誘導経路上の案内地点を検出する検出手段と、前記移動体の現在地点を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された移動体の現在地点が、前記検出手段によって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって所定距離以内と判断された場合、前記表示画面を前記移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させるように前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項6の発明にかかる経路誘導方法は、移動体の目的地点までの誘導経路上の案内地点を検出する検出工程と、前記移動体の現在地点を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された移動体の現在地点が、前記検出工程よって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断する判断工程と、前記判断工程によって所定距離以内と判断された場合、前記誘導経路における案内情報を表示する表示画面を前記移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させるように、当該表示画面を移動させる駆動手段を制御する制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項7の発明にかかる経路誘導プログラムは、請求項6に記載の経路誘導方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項8の発明にかかる記録媒体は、請求項7に記載の経路誘導プログラムをコンピュータに読み取り可能な状態で記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(経路誘導装置の機能的構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる経路誘導装置100の機能的構成について説明する。図1は、実施の形態にかかる経路誘導装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、経路誘導装置100は、表示部101と、駆動部102と、検出部103と、取得部104と、判断部105と、制御部106と、を備えている。表示部101は、地図データを表示する表示画面を備えている。ここで、地図データは、図示しない記憶部に記憶されている。地図データは、ノードおよびリンクからなる道路ネットワークデータと、施設や道路その他地形(山、川、土地)に関するフィーチャを用いて描画される画像データとを含んでいる。地図データは、文字情報、施設の名称や住所などの情報、道路や施設の画像などを含んでいてもよい。
【0013】
また、表示部101は、移動体の目的地点までの誘導経路における案内情報を表示する。案内情報は、経路に関する誘導案内の情報であり、たとえば、右左折地点などの案内地点において表示される右左折の方向を指示する案内である。また、案内情報は、表示とともに音声情報が出力される構成でもよいし、音声情報のみ出力される構成でもよい。音声情報は、たとえば、「300m先を左折です。」といった右左折の案内や、「左車線に移動して高速道路に入ってください。」といった車線変更の案内などである。
【0014】
また、表示部101は、後述する制御部106の制御により、表示画面の色や明るさを変更可能な構成でもよい。具体的には、たとえば、誘導案内の情報を表示しない場合は、表示画面を暗くしたり、スクリーンセーバーなどを起動してもよい。さらに、表示部101は、誘導案内を表示する際に、呼び出し音などを出力するようにしてもよい。
【0015】
駆動部102は、表示部101を移動させる。たとえば、表示部101の備える表示画面を後述する制御部106の制御により移動させる。具体的には、たとえば、表示画面を縦方向または横方向に移動させる。また、駆動部102は、表示画面を回転させる方向に移動させる。さらに、駆動部102は、装置内部に格納された表示画面を外部に出現させる方向に移動させてもよい。ここで、外部に出現させる方向は、表示画面を格納する図示しないケーシングなどから表示画面を外部に出現させるように移動させる方向である。
【0016】
検出部103は、誘導経路上の案内地点を検出する。具体的には、たとえば、案内情報を表示する案内地点を、誘導経路上から検出する。検出部103は、経路誘導を開始した際に、すべての案内地点を検出してもよいし、所定の区間ごと順に検出してもよい。また、検出部103は、たとえば、移動体が誘導経路をはずれて、経路が再検索された場合、案内地点を再検出してもよい。
【0017】
取得部104は、移動体の現在地点を取得する。移動体の現在地点は、たとえば、GPS衛星から受信したGPS信号に加えて、移動体の挙動を検出する加速度センサや車速センサからの出力値に応じて、移動体の現在地点を取得するようにしてもよい。
【0018】
判断部105は、取得部104によって取得された移動体の現在地点が、検出部103によって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断する。また、判断部105は、移動体の移動速度や天候や時間に応じて、判断基準となる所定距離を変更してもよい。具体的には、たとえば、移動速度が速い場合、雨天時の場合、夜間の場合は、所定距離を長くしてもよい。
【0019】
制御部106は、判断部105によって所定距離以内と判断された場合、表示画面を移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させるように駆動部102を制御する。移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置は、たとえば、表示画面の角度を搭乗者に向けた位置、表示画面を搭乗者に近づけた位置、表示画面を起こす方向に移動させた位置、表示画面をケーシングから出した位置など、搭乗者の視野に表示画面を入れる位置である。具体的には、たとえば、制御部106は、駆動部102の制御により、表示画面を縦方向または横方向に移動させる。また、制御部106は、駆動部102の制御により、表示画面を回転させる方向に移動させる。さらに、制御部106は、駆動部102の制御により、装置内部に格納された表示画面を外部に出現させる方向に移動させてもよい。また、制御部106は、表示部101の制御により、表示画面の色または明るさを変更してもよい。
【0020】
(経路誘導装置の経路誘導処理手順)
つぎに、経路誘導装置100の経路誘導処理手順について説明する。図2は、経路誘導装置の経路誘導処理手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、経路誘導を開始するまで待機して(ステップS201:Noのループ)、経路誘導を開始した場合(ステップS201:Yes)、検出部103によって誘導経路上の案内地点を検出する(ステップS202)。
【0021】
つぎに、取得部104によって移動体の現在地点を取得する(ステップS203)。そして、判断部105によって、ステップS203において取得された移動体の現在地点が、ステップS202において検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断する(ステップS204)。ステップS204において案内地点から所定距離以内の場合(ステップS204:Yes)、制御部106による駆動部102の制御により、表示画面を搭乗者に案内情報を提示する位置に移動して(ステップS205)、一連の処理を終了する。
【0022】
一方、ステップS204において案内地点から所定距離以内ではない場合(ステップS204:No)、ステップS203に戻り、以降の処理を繰り返しおこなう。また、ステップS204:Noにおいて案内地点から所定距離以内ではない場合、搭乗者に案内情報を提示しない位置に表示画面を移動してもよい。搭乗者に案内情報を提示しない位置は、具体的には、たとえば、搭乗者から表示画面を遠ざけた位置、表示画面を倒す方向に移動させた位置、表示画面を格納させた位置など、搭乗者の視野から表示画面を外す位置である。
【0023】
なお、図2のフローチャートにおいては、ステップS204:Noにおいて案内地点から所定距離以内ではない場合、ステップS203に戻るとしているが、これに限るものではない。たとえば、案内地点ではないことをあらわす音声情報を出力してもよい。具体的には、たとえば、「しばらく道なりです。」といった音声情報を出力してもよい。
【0024】
上述したように、本実施の形態の経路誘導装置100によれば、取得部104によって取得された移動体の現在地点が、検出部103よって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断部105によって判断し、所定距離以内と判断された場合、制御部106によって表示画面を移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させるように駆動部102を制御することができる。したがって、案内地点が近づいたときに、表示画面を搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させることができる。
【0025】
これによって、利用者は、常に表示画面を注視したり、音声情報を注意深く聞いていなくても、案内地点に近づいたことを認識することができるため、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を運転の邪魔にならない位置に移動させておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0026】
また、本実施の形態の経路誘導装置100によれば、制御部106は、駆動部102の制御により、表示画面を縦方向または横方向に移動させることができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面がダッシュボードに設置されている場合、案内地点に近づいたときに表示画面が移動するため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を運転の邪魔にならない位置に移動させておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0027】
また、本実施の形態の経路誘導装置100によれば、制御部106は、駆動部102の制御により、表示画面を回転させる方向に移動させることができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面がダッシュボードに設置されている場合、案内地点に近づいたときに表示画面が起きるため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を倒すことで運転の邪魔にならない位置に移動させておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0028】
また、本実施の形態の経路誘導装置100によれば、制御部106は、駆動部102の制御により、装置内部に格納された表示画面を外部に出現させる方向に移動させることができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面を格納するケーシングが備えられている場合、案内地点に近づいたときに表示画面が出現するため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を格納しておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0029】
また、本実施の形態の経路誘導装置100によれば、制御部106は、表示部101の制御により、表示画面の色または明るさを変更することができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面を移動しない場合でも、案内地点に近づいたときに表示画面が変化するため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を表示しなかったり暗くしておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの移動体に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明の経路誘導装置を実施した場合の一例について説明する。
【0031】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
つぎに、本実施例にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、マイク309と、スピーカ310と、入力デバイス311と、映像I/F312と、ディスプレイ313と、通信I/F314と、GPSユニット315と、各種センサ316と、カメラ317と、を備えている。各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0032】
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、データ更新プログラム、表示制御プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0033】
表示制御プログラムは、後述するディスプレイ313を制御する。具体的には、たとえば、ディスプレイ313の表示色および表示の明るさを経路誘導と連動させて変更させる。また、ディスプレイ313の備える図示しない駆動部を制御して、ディスプレイ313を移動させる。具体的には、たとえば、経路誘導と連動させて、ディスプレイ313を縦方向、横方向、上下方向、回転させる方向、装置内部から出現させる方向へ移動させる。
【0034】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0035】
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0036】
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データや機能データが挙げられる。地図データは、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを含んでおり、地区ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。
【0037】
道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば、各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入り口やジャンクションの有無、各リンクについての長さ(距離)、道幅、進行方向、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路など)などの情報が含まれている。
【0038】
機能データは、地図上の施設の形状をあらわす3次元データ、当該施設の説明をあらわす文字データ、その他地図データ以外の各種のデータである。地図データや機能データは、地区ごとあるいは機能ごとにブロック分けされた状態で記録されている。具体的には、たとえば、地図データは、各々が、表示画面に表示された地図において所定の地区をあらわすように、地区ごとにブロック分けすることができる状態で記録されている。また、たとえば、機能データは、各々が、1つの機能を実現するように、機能ごとに複数にブロック分けすることができる状態で記録されている。
【0039】
また、機能データは、上述した3次元データや文字データに加えて、経路探索、案内地点の検出、所要時間の算出、経路誘導などを実現するプログラムデータなどの機能を実現するためのデータである。地図データおよび機能データは、それぞれ、地区ごとあるいは機能ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。また、案内地点は経路誘導の際に、案内情報を出力する地点であり、たとえば、右左折をおこなう交差点や、車線変更を促す地点などである。
【0040】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、たとえば、車両のサンバイザー付近に設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。なお、マイク309から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク305あるいは光ディスク307に記録可能である。
【0041】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0042】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0043】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313には、上述した地図データが、2次元または3次元に描画される。ディスプレイ313に表示された地図データには、ナビゲーション装置300を搭載した車両の現在位置をあらわすマークなどを重ねて表示することができる。車両の現在位置は、CPU301によって算出される。
【0044】
ディスプレイ313としては、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを用いることができる。ディスプレイ313は、たとえば、車両のダッシュボード付近に設置される。ディスプレイ313は、車両のダッシュボード付近のほか、車両の後部座席周辺などに設置するなどして、車両において複数設置されていてもよい。
【0045】
また、ディスプレイ313は、方向を変更可能でもよい。具体的には、たとえば、ディスプレイ313に図示しない駆動部が備えられていてもよい。駆動部は、CPU301の制御によって、縦方向、横方向、回転方向、上下方向などにディスプレイ313を移動させる。
【0046】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F314は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。
【0047】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F314は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。
【0048】
GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0049】
各種センサ316は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0050】
カメラ317は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ317によって車両内部の搭乗者の挙動を撮影し、撮影した映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力する。また、カメラ317によって車両外部の状況を撮影し、撮影した映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力する。また、カメラ317は、赤外線カメラ機能を有しており、赤外線カメラ機能を用いて撮影された映像情報に基づいて車両内部に存在する物体の表面温度の分布を相対的に比較することができる。また、記録媒体に出力された映像は、上書き記録や保存がおこなわれる。
【0051】
図1に示した経路誘導装置100が備える表示部101、駆動部102、検出部103、取得部104、判断部105、制御部106は、図3に示したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0052】
すなわち、実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302に記録されている経路誘導プログラムを実行することにより、図1に示した経路誘導装置が備える機能を、図2に示した経路誘導処理手順で実行することができる。
【0053】
(ナビゲーション装置300の処理の内容)
つぎに、ナビゲーション装置300の処理の内容について説明する。図4は、ナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、経路誘導を開始するまで待機して(ステップS401:Noのループ)、経路誘導を開始した場合(ステップS401:Yes)、誘導経路上の案内地点を検出する(ステップS402)。
【0054】
つぎに、車両の現在地点を取得して(ステップS403)、ステップS403において取得された車両の現在地点がステップS402において検出された案内地点まで所定距離以内か否かを判断する(ステップS404)。ステップS404において案内地点まで所定距離以内ではない場合(ステップS404:No)、ディスプレイ313を倒して(ステップS405)、ステップS403に戻り、以降の処理を繰り返しおこなう。
【0055】
一方、ステップS404において案内地点まで所定距離以内の場合(ステップS404:Yes)、ディスプレイ313を起こして(ステップS406)、誘導案内をおこなう(ステップS407)。ステップS407において誘導案内は、ステップS406において起こしたディスプレイ313に案内情報を表示する。また、表示とともに、音声情報を出力してもよい。
【0056】
そして、目的地点に到着したか否かを判断して(ステップS408)、目的地点に到着した場合(ステップS408:Yes)、一連の処理を終了する。一方、ステップS408において目的地点に到着しない場合(ステップS408:No)、ステップS403に戻り、以降の処理を繰り返しおこなう。
【0057】
なお、図4のフローチャートにおいては、ステップS405においてディスプレイ313を倒すとしているが、これに限るものではない。具体的には、たとえば、すでにディスプレイが倒されている場合は、倒した状態のままにしておく。さらに、詳細は後述するが、たとえば、ディスプレイ313を上下方向や左右方向に移動させてもよいし、格納スペース(ケーシング)に格納させる方向に移動させてもよい。
【0058】
また、たとえば、ディスプレイ313が駆動させられない場合など、ディスプレイ313の表示色や表示の明るさなどを変更してもよい。さらに、たとえば、案内地点まで所定距離以内ではない場合、スクリーンセーバーを起動して、案内地点まで所定距離以内になった場合、スクリーンセーバーの起動を停止してもよい。このように、搭乗者にディスプレイ313の表示方法が変化したことを認識させる処理をおこなう。
【0059】
また、図4のフローチャートにおいては、ステップS404:Noにおいて案内地点まで所定距離以内ではない場合、ステップS405においてディスプレイ313を倒すとしているがこれに限るものではない。たとえば、ディスプレイ313を倒した際に、「しばらく道なりです。」といった、しばらく案内地点がないことを示す音声情報を出力してもよい。
【0060】
(ディスプレイの駆動方向について)
つぎに、図5を用いて、ディスプレイ313の駆動方向について説明する。図5は、ディスプレイの駆動方向について示した説明図である。図5においては、ナビゲーション装置300に備えられたディスプレイ313を示している。図5においては、ディスプレイ313は、誘導案内時の位置501にある。誘導案内時の位置501は、経路誘導上の案内地点において誘導案内を表示する際のディスプレイ313の位置をあらわしている。また、誘導案内時の位置501は、運転者に誘導案内を提示する方向に向いている。
【0061】
ここで、ステップS404:Noにおいて案内地点まで所定距離以内ではない場合のディスプレイ313の駆動方向の一例としては、スライドがある。スライドは、縦方向および横方向にディスプレイ313を移動させる。たとえば、ディスプレイ313の角度を変えずに縦方向もしくは横方向に平行移動する。具体的には、たとえば、ディスプレイ313を横方向にスライドさせた位置502に移動させる。
【0062】
また、ディスプレイ313の駆動方向の他の一例としては、回転がある。回転は、たとえば、ディスプレイ313の下辺を基点としてディスプレイ313の角度を変更し、ディスプレイ313を倒したり起こしたりする。具体的には、たとえば、ディスプレイ313を前方向に回転させた位置503に移動させる。
【0063】
また、図示はしないが、ディスプレイ313がダッシュボードに固定されているオンダッシュディスプレイの場合も、スライドおよび回転をおこなうことができる。この場合、ダッシュボードとオンダッシュディスプレイの間に駆動部が備えられ、この駆動部を制御することでオンダッシュディスプレイをスライドさせた位置および回転させた位置に移動させる。
【0064】
さらに、ディスプレイ313の駆動方向の他の一例としては、格納がある。格納は、たとえば、ディスプレイ313を上下方向に移動させる。また、たとえば、ディスプレイ313を格納する箱型のケーシングなどにディスプレイ313を格納させる。具体的には、たとえば、ディスプレイ313をケーシングに格納させた位置504に移動させる。この場合、ディスプレイ313をケーシングの位置や大きさに合わせて、スライドさせたり回転させたりして格納させてもよい。
【0065】
なお、図5においては、誘導案内時の位置501からの駆動方向について説明したが、ステップS406においてディスプレイ313を起こす場合、横方向にスライドさせた位置502、前方向に回転させた位置503、ケーシングに格納させた位置504などから誘導案内時の位置501に移動させる。これによって、利用者は、誘導案内の案内地点に近づいたことをディスプレイ313の動きによって認識することができる。したがって、たびたびディスプレイ313を確認したり、音声情報を注意して聞いていなくても、案内地点に近づいたことを認識できるため、案内情報を見逃さないことができる。
【0066】
上述したように、本実施例のナビゲーション装置300によれば、取得部104によって取得された移動体の現在地点が、検出部103よって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断部105によって判断し、所定距離以内と判断された場合、制御部106によって表示画面を移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させるように駆動部102を制御することができる。したがって、案内地点が近づいたときに、表示画面を搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させることができる。
【0067】
これによって、利用者は、常に表示画面を注視したり、音声情報を注意深く聞いていなくても、案内地点に近づいたことを認識することができるため、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を運転の邪魔にならない位置に移動させておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0068】
また、本実施例のナビゲーション装置300によれば、制御部106は、駆動部102の制御により、表示画面を縦方向または横方向に移動させることができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面がダッシュボードに設置されている場合、案内地点に近づいたときに表示画面が移動するため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を運転の邪魔にならない位置に移動させておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0069】
また、本実施例のナビゲーション装置300によれば、制御部106は、駆動部102の制御により、表示画面を回転させる方向に移動させることができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面がダッシュボードに設置されている場合、案内地点に近づいたときに表示画面が起きるため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を倒すことで運転の邪魔にならない位置に移動させておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0070】
また、本実施例のナビゲーション装置300によれば、制御部106は、駆動部102の制御により、装置内部に格納された表示画面を外部に出現させる方向に移動させることができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面を格納するケーシングが備えられている場合、案内地点に近づいたときに表示画面が出現するため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を格納しておくので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0071】
また、本実施例のナビゲーション装置300によれば、制御部106は、表示部101の制御により、表示画面の色または明るさを変更することができる。これによって、利用者は、たとえば、表示画面を移動しない場合でも、案内地点に近づいたときに表示画面が変化するため、案内地点に近づいたことを認識することができ、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を表示しなかったり暗くしておくことので、表示画面に気を取られず安全な運転ができる。
【0072】
以上説明したように、本発明の経路誘導装置100、経路誘導方法、経路誘導プログラム、および記録媒体によれば、ナビゲーション装置300は、案内地点から所定距離以内になるまでは、ディスプレイ313を倒しておき、案内地点から所定距離以内になった場合に、ディスプレイ313を起こすことができる。したがって、ナビゲーション装置300は、経路誘導と連動させてディスプレイ313を制御することができる。これによって、利用者は、常に表示画面を注視したり、音声情報を注意深く聞いていなくても、案内地点に近づいたことを認識することができるため、案内情報を見逃さないことができる。また、案内地点に近づくまでは、表示画面を運転の邪魔にならない位置に移動させておくので、ディスプレイ313に気を取られず安全な運転ができる。
【0073】
なお、本実施の形態で説明した経路誘導方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施の形態にかかる経路誘導装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】経路誘導装置の経路誘導処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】ディスプレイの駆動方向について示した説明図である。
【符号の説明】
【0075】
100 経路誘導装置
101 表示部
102 駆動部
103 検出部
104 取得部
105 判断部
106 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の目的地点までの誘導経路における案内情報を表示する表示画面を有する表示手段と、
前記表示手段を移動させる駆動手段と、
前記誘導経路上の案内地点を検出する検出手段と、
前記移動体の現在地点を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された移動体の現在地点が、前記検出手段によって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって所定距離以内と判断された場合、前記表示画面を前記移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させるように前記駆動手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする経路誘導装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記駆動手段の制御により、前記表示画面を縦方向または横方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の経路誘導装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記駆動手段の制御により、前記表示画面を回転させる方向に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の経路誘導装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記駆動手段の制御により、装置内部に格納された前記表示画面を外部に出現させる方向に移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の経路誘導装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示手段の制御により、前記表示画面の色または明るさを変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の経路誘導装置。
【請求項6】
移動体の目的地点までの誘導経路上の案内地点を検出する検出工程と、
前記移動体の現在地点を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された移動体の現在地点が、前記検出工程よって検出された案内地点から所定距離以内か否かを判断する判断工程と、
前記判断工程によって所定距離以内と判断された場合、前記誘導経路における案内情報を表示する表示画面を前記移動体の搭乗者に案内情報を提示する位置に移動させるように、当該表示画面を移動させる駆動手段を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする経路誘導方法。
【請求項7】
請求項6に記載の経路誘導方法をコンピュータに実行させることを特徴とする経路誘導プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の経路誘導プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−107223(P2008−107223A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290975(P2006−290975)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】