説明

血液疾患の治療法

血液疾患の治療法を記載する。該方法は、式(I)、式(II)、式(III)の化合物の使用を含む。血液疾患は、特に貧血、サラセミア又は鎌状赤血球症である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、35 U.S.C.§119(e)の下、2006年5月9日出願の米国仮出願第60/799,054号の利益を主張し、該仮出願特許を引用によってその全文を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、血液疾患の治療のための方法及び化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
赤血球の主な機能は酸素を身体の組織に運搬することであるが、副次的機能として栄養素及びサイトカインの運搬や細胞代謝産物の吸収などもある。貧血は、赤血球又は赤血球能力の喪失による血液の酸素運搬能の低下と定義されるが、慢性のことも急性のこともある。慢性貧血は、外因性の赤血球異常、内因性の異常又は赤血球産生障害によって起こりうる。外因性又は赤血球外の異常は、輸血反応及び赤芽球症のような抗体媒介性障害、微小血管症性溶血性貧血のような赤血球に対する物理的外傷、血栓性血小板減少性紫斑病及び播種性血管内凝固などである。さらに、マラリア原虫のような寄生虫による感染、鉛中毒などによる化学傷害、及び脾機能亢進などによる単核系での(赤血球の)捕捉も、赤血球の障害及び欠乏をもたらしうる。
【0004】
赤血球産生障害は、幹細胞又は委任細胞の増殖及び分化の阻害によって起こりうる。よく見られる赤血球産生疾患をいくつか挙げると、再生不良性貧血(無形成貧血)、鎌状赤血球貧血、β−サラセミア、再生不良性貧血(形成不全性貧血)、真性赤血球系無形成及び腎不全又は内分泌障害に伴う貧血などがある。赤芽球の増殖及び分化阻害としては、ビタミンB12又は葉酸の利用障害及び巨赤芽球性貧血のようなDNA合成における欠陥、ヘム又はグロビン合成における欠陥、及び原因不明の貧血、例えば鉄芽球性貧血、マラリア、トリパノソーマ症、HIV、肝炎ウィルス又はその他のウィルスなどの慢性感染に伴う貧血、及び骨髄不全による骨髄ろう性貧血などがある。
【0005】
貧血の症状は、脱力感又は疲労感、蒼白、息切れ、心拍出量の増加(動悸及び発汗をもたらしうる)などである。重症例では、貧血でも心不全によって死に至ることがある。現在の貧血の治療法は、対象が罹患している貧血の種類による。鉄分補給のほか、食事に気をつけて鉄の摂取を増やすことが指示される。場合によっては投薬又は輸血が必要になることもある。
【0006】
鎌状赤血球症及びβ−サラセミアは、世界で最も一般的な遺伝性疾患の内の二つである。これらの疾患は成人型ヘモグロビンA(α2β2)のβ−グロビン遺伝子に影響を及ぼす分子変異によって発症するが、これらの疾患は対象の血液中の胎児性ヘモグロビン(HbF、α2γ2)の産生を再活性化することによって改善できることが確立されている。胎児性ヘモグロビンの少しの増加でも鎌状赤血球症の発病と死亡は減るが、症状を完全に改善するにはもっと高レベルが必要である。β−サラセミアでは、胎児性グロビン合成を増やして過剰の不均衡なα−グロビン鎖を10%削減するだけで、定期的な輸血を必要としないレベルにまで貧血を軽減するのに十分であることが多い。
【0007】
2〜9炭素の短鎖脂肪酸及び誘導体は、培養赤血球系細胞、動物モデル及びレポーター遺伝子アッセイ(γ−グロビン遺伝子プロモーターの活性化における活性を試験する)でγ−グロビンの発現を誘導する。いくつかの短鎖脂肪酸はγ−グロビンプロモーターを誘導するので、生物及び臨床活性を有する。HbFの薬理学的再導入がプロトタイプの短鎖脂肪酸、アルギニンブチレート(arginine butyrate)を用いて対象に達成されており、貧血の改善と臨床的合併症の軽減に十分なレベルのHbFが得られている。第二相試験でパルス投与ブチレートを用いて処置された対象は、生化学的にも臨床的にも疾患の改善を経験し、安全性プロフィールも優れていた。しかしながら、プロトタイプの短鎖脂肪酸は治療法として限界がある。アルギニンブチレート及びフェニルブチレートはインビトロで100μMのレベルを必要とし、インビボでは迅速に代謝されるので、大量(ナトリウムフェニルブチレートの場合20g)と、アルギニンブチレートの場合は静注と、そして赤血球産生の二次的抑制を防止するために投与の注意深い調整とを必要とする。
【0008】
この分野は進歩しているが、一般的に血液疾患を治療及び予防するための新規及び/又は改良法、並びにそのための化合物及び医薬組成物に対するニーズは依然としてある。
【簡単な要旨】
【0009】
本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式I:
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、
は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Xは、C(O)、C(S)、SO、SO又はPOであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ハロゲン又は
【0012】
【化2】

【0013】
であり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりRと連結して環を形成してもよい]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩を投与することによって治療又は予防する方法に関する(ただし、R
【0014】
【化3】

【0015】
の場合、R、R、R、R、及びRはそれぞれ水素でなく;R、R、R、及びRがそれぞれ水素の場合、Rはメトキシでなく;R、R、R、Rが水素の場合、Rはメトキシでなく;そしてR、R及びRが水素の場合、R及びRはメトキシでない)。
【0016】
別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式II:
【0017】
【化4】

【0018】
[式中、
1’は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Yは、C(O)であり;
nは、0又は1〜5の整数であり;
10及びR10’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ヘテロサイクリックであるか又は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11は、CR11’11”11’”、アルケニル、シクロアルキル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、カルボニルアルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン又は
【0019】
【化5】

【0020】
であり;
11’及びR11”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシル、ハロゲンであるか又はR11’及びR11”は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11’”は、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
12は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリックであるか又は場合によりR13と連結して環を形成してもよく;
13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシであるか又は場合によりR12又はR14と連結して環を形成してもよく;
14は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR13又はR15と連結して環を形成してもよく;
15は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR14又はR16と連結して環を形成してもよく;
16は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR15と連結して環を形成してもよい]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩を投与することによって治療又は予防する方法に関する(ただし、R11
【0021】
【化6】

【0022】
の場合、R12、R13、R14、R15、及びR16はそれぞれ水素でなく;そしてnが2であり、R11
【0023】
【化7】

【0024】
であり、R10、R10’、R12、R15、及びR16が水素の場合、R14及びR15はメトキシでなく;そしてまたnが1であり、R11
【0025】
【化8】

【0026】
であり、R10、R10’、R13、R14、及びR16が水素の場合、R12及びR15はメトキシでない)。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式III:
【0027】
【化9】

【0028】
[式中、
1”は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Zは、C(S)、SO、SO又はPOであり;
mは、0又は1〜5の整数であり;
17及びR17’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
18は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシル又はハロゲンである]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩を投与することによって治療又は予防する方法に関する。
【0029】
別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式:
【0030】
【化10】

【0031】
の化合物を投与することによって治療又は予防する方法に関する。
一態様において、本発明は、少なくとも一部は、有効量の式I、式II、式III、又は
【0032】
【化11】

【0033】
の化合物と製薬学的に許容しうる担体との医薬組成物に関する。
別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、式I、式II、及び式(III)の化合物並びにそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩に関する。
【詳細な説明】
【0034】
一態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式I:
【0035】
【化12】

【0036】
[式中、
は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Xは、C(O)、C(S)、SO、SO又はPOであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ハロゲン又は
【0037】
【化13】

【0038】
であり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりRと連結して環を形成してもよい]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩を投与することによって治療又は予防する方法に関する(ただし、R
【0039】
【化14】

【0040】
の場合、R、R、R、R、及びRはそれぞれ水素でなく;R、R、R、及びRがそれぞれ水素の場合、Rはメトキシでなく;R、R、R、Rが水素の場合、Rはメトキシでなく;そしてR、R及びRが水素の場合、R及びRはメトキシでない)。
【0041】
一態様において、Rはヒドロキシであり、XはC(O)であり、R
【0042】
【化15】

【0043】
である。
一態様において、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素であり、Rはアルコキシ(例えばメトキシ)である。
【0044】
別の態様において、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素であり、R及びRはそれぞれアルキル(例えばメチル)である。
さらに別の態様において、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素であり、R及びRはそれぞれヒドロキシルである。
【0045】
更なる態様において、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素であり、R及びRは−O−CH−O−によって連結されて環を形成している。
さらに別の態様において、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素であり、Rはアルコキシ(例えばメトキシ)であり、Rはヒドロキシルである。
【0046】
別の態様において、Rはヒドロキシであり、XはC(O)であり、そしてRはキノリン又は置換もしくは非置換チオフェン(例えばクロロチオフェン)のようなヘテロアリールである。
【0047】
一態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式Iの化合物を投与することによって治療又は予防する方法に関し、前記式Iの化合物は
【0048】
【化16】

【0049】
である。
別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式II:
【0050】
【化17】

【0051】
[式中、
1’は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Yは、C(O)であり;
nは、0又は1〜5の整数であり;
10及びR10’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ヘテロサイクリックであるか又は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11は、CR11’11”11’”、アルケニル、シクロアルキル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、カルボニルアルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン又は
【0052】
【化18】

【0053】
であり;
11’及びR11”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシル、ハロゲンであるか又はR11’及びR11”は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11’”は、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
12は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリックであるか又は場合によりR13と連結して環を形成してもよく;
13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシであるか又は場合によりR12又はR14と連結して環を形成してもよく;
14は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR13又はR15と連結して環を形成してもよく;
15は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR14又はR16と連結して環を形成してもよく;
16は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR15と連結して環を形成してもよい]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩を投与することによって治療又は予防する方法に関する(ただし、R11
【0054】
【化19】

【0055】
の場合、R12、R13、R14、R15、及びR16はそれぞれ水素でなく;そしてnが2であり、R11
【0056】
【化20】

【0057】
であり、R10、R10’、R12、R15、及びR16が水素の場合、R14及びR15はメトキシでなく;そしてまたnが1であり、R11
【0058】
【化21】

【0059】
であり、R10、R10’、R13、R14、及びR16が水素の場合、R12及びR15はメトキシでない)。
一態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは5であり、R10及びR10’は水素であり、そしてR11はアルキルカルボニルである。
【0060】
別の態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは2であり、R10及びR10’はそれぞれ水素であり、そしてR11はCR11’11”11’”である。
更なる態様において、R11’及びR11”は−(CH−によって連結されてシクロヘキシル環を形成し、R11’”は置換又は非置換ヘテロサイクル(例えばクロロチオフェン)である。
【0061】
一態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは0であり、そしてR11
【0062】
【化22】

【0063】
である。
一態様において、R13、R14、R15、及びR16は水素であり、R12はアリールチオアルキル又はアルコキシ置換アリールオキシである。
【0064】
別の態様において、R12、R14、R15及びR16は水素であり、R13は置換又は非置換ヘテロサイクル、例えばクロメン−2−オン、ニトロ置換ピラゾール、又はクロロ置換ピラゾールである。
【0065】
さらに別の態様において、R12、R13、R15及びR16は水素であり、R13はアルコキシ(例えばエトキシ)である。
更なる態様において、R12、R15及びR16は水素であり、R13及びR14は−N(H)C(O)CHS−によって連結されて環を形成している。
【0066】
さらに別の態様において、R14、R15及びR16はそれぞれ水素であり、R12及びR13は−CH=C(CH)O−によって連結されて環を形成している。
一態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは0であり、そしてR11は置換もしくは非置換ヘテロサイクル(例えば置換アリール置換フラン)又は置換もしくは非置換シクロアルキル(例えばテトラヒドロベンゾチアジアゾール又はジヒドロベンゾチオフェノン)である。
【0067】
一態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10及びR10’は水素であり、そしてR11は置換又は非置換シクロアルキル(例えばジメチルシクロブタンカルボン酸)である。
【0068】
別の態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10及びR10’は水素であり、そしてR11
【0069】
【化23】

【0070】
である。
一態様において、R12、R13及びR16は水素であり、R14及びR15は−O−CH−O−によって連結されて環を形成している。
【0071】
別の態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10及びR10’は水素であり、そしてR11は置換又は非置換ヘテロサイクル、例えば置換チアゾリジンジオン、置換ピリジノン又は置換ピラゾールである。
【0072】
さらに別の態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10及びR10’は水素であり、そしてR11は非置換又は置換アリールアミノ(例えばトリフルオロチオ置換アリールアミノ)である。
【0073】
更なる態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10及びR10’は水素であり、そしてR11は非置換もしくは置換アリールチオ(例えばメトキシフェニルチオ)又は非置換もしくは置換ヘテロサイクリックチオ、例えば置換トリアゾールチオ、置換チアジアゾールチオ又は置換チオフェンチオである。
【0074】
別の態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10及びR10’は水素であり、そしてR11はCR11’11”11’”であり、R11’は水素であり、R11”はアミノであり、R11’”はアルコキシ置換アリールである。
【0075】
一態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10は水素であり、そしてR10’はアルキルである。一態様においてR10’はイソプロピルであり、R11は置換又は非置換アリールチオ、例えばアルコキシ置換フェニルチオ又はアルコキシ置換ピリマジニルチオである。
【0076】
別の態様において、R10’はエチルであり、R11はヘテロアリールアミノ(例えばキナゾリニルアミノ)である。
さらに別の態様において、R1’はヒドロキシルであり、nは1であり、R10及びR10’は−(CH−によって連結されてシクロヘキシル環を形成し、R11はヘテロサイクリック置換カルボニルアルキルである。
【0077】
一態様において、式(II)の化合物は、Rがヒドロキシであり、R10がアルキル、例えばエチルであり、R10’が水素であり、nが1であり、R11がアリールアミノ、例えばキナゾリン−4−イルアミノである化合物は含まない。
【0078】
一態様において、式(II)の化合物は、Rがヒドロキシであり、R10が水素であり、R10’がアルキル、例えばエチルであり、nが1であり、R11がアリールアミノ、例えばキナゾリン−4−イルアミノである化合物は含まない。
【0079】
別の態様において、式(II)の化合物は、Rがヒドロキシであり、R10及びR10’がそれぞれ水素であり、nが1であり、R11がアリールアミノ(例えばトリフルオロチオ置換アリールアミノ)である化合物は含まない。
【0080】
別の態様において、式(II)の化合物は、2−(キナゾリン−4−イルアミノ)酪酸又は[4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]−アニリノ]−酢酸は含まない。
一態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式IIの化合物を投与することによって治療又は予防する方法に関し、前記式IIの化合物は
【0081】
【化24】

【0082】
【化25】

【0083】
並びにそのラセミ化合物及び単離されたエナンチオマー及びジアステレオマーである。
別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式III:
【0084】
【化26】

【0085】
[式中、
1”は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Zは、C(S)、SO、SO又はPOであり;
mは、0又は1〜5の整数であり;
17及びR17’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
18は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシル又はハロゲンである]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩を投与することによって治療又は予防する方法に関する。
【0086】
一態様において、R1”はヒドロキシルであり、ZはSOであり、mは0であり、そしてR18は例えばニトロ及びフルオロで置換された二置換アリールである。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式IIIの化合物を投与することによって治療又は予防する方法に関し、前記式IIIの化合物は
【0087】
【化27】

【0088】
である。
別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の式:
【0089】
【化28】

【0090】
の化合物を投与することによって治療又は予防する方法に関する。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、式I:
【0091】
【化29】

【0092】
[式中、
は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Xは、C(O)、C(S)、SO、SO又はPOであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ハロゲン又は
【0093】
【化30】

【0094】
であり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりRと連結して環を形成してもよい]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩に関する(ただし、R
【0095】
【化31】

【0096】
の場合、R、R、R、R、及びRはそれぞれ水素でなく;R、R、R、及びRがそれぞれ水素の場合、Rはメトキシでなく;R、R、R、Rが水素の場合、Rはメトキシでなく;そしてR、R及びRが水素の場合、R及びRはメトキシでなく;
そしてまた該化合物は式:
【0097】
【化32】

【0098】
の化合物でない)。
本発明はまた、少なくとも一部は、式II:
【0099】
【化33】

【0100】
[式中、
1’は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Yは、C(O)であり;
nは、0又は1〜5の整数であり;
10及びR10’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ヘテロサイクリックであるか又は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11は、CR11’11”11’”、アルケニル、シクロアルキル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、カルボニルアルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン又は
【0101】
【化34】

【0102】
であり;
11’及びR11”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシル、ハロゲンであるか又はR11’及びR11”は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11’”は、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
12は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリックであるか又は場合によりR13と連結して環を形成してもよく;
13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシであるか又は場合によりR12又はR14と連結して環を形成してもよく;
14は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR13又はR15と連結して環を形成してもよく;
15は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR14又はR16と連結して環を形成してもよく;
16は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか又は場合によりR15と連結して環を形成してもよい]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩に関する(ただし、R11
【0103】
【化35】

【0104】
の場合、R12、R13、R14、R15、及びR16はそれぞれ水素でなく;そしてnが2であり、R11
【0105】
【化36】

【0106】
であり、R10、R10’、R12、R15、及びR16が水素の場合、R14及びR15はメトキシでなく;そしてまたnが1であり、R11
【0107】
【化37】

【0108】
であり、R10、R10’、R13、R14、及びR16が水素の場合、R12及びR15はメトキシでなく;そしてまた該化合物は
【0109】
【化38】

【0110】
【化39】

【0111】
の化合物でない)。
更なる態様において、本発明は、少なくとも一部は、式III:
【0112】
【化40】

【0113】
[式中、
1”は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Zは、C(S)、SO、SO又はPOであり;
mは、0又は1〜5の整数であり;
17及びR17’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
18は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシル又はハロゲンである]の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、及び製薬学的に許容しうる塩に関する(ただし、該化合物は
【0114】
【化41】

【0115】
でない)。
一態様において、本発明の化合物は、S.Castenedaら,Blood Cells,Molecules,and Diseases,35(2005)217−226に記載の化合物を含まない。
【0116】
“アルキル”という用語は飽和脂肪族基を含む。例えば、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分枝鎖アルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチルなど)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基などである。アルキルという用語はさらに、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素を置換している酸素、窒素、硫黄又はリン原子をさらに含んでいてもよいアルキル基も含む。ある態様において、直鎖又は分枝鎖アルキルはその骨格中に6個以下の炭素原子(例えば直鎖の場合C〜C、分枝鎖の場合C〜C)、さらに好ましくは4個以下の炭素原子を有する。同様に、好適なシクロアルキルは3〜8個の炭素原子をそれらの環構造中に有し、さらに好ましくは5又は6個の炭素を環構造中に有する。C〜Cという用語は1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を含む。
【0117】
さらに、アルキルという用語は、“非置換アルキル”及び“置換アルキル”の両方を含み、その後者は、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分のことを言う。そのような置換基は、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などを含みうる。シクロアルキルも例えば上記置換基でさらに置換されていてもよい。“アルキルアリール”又は“アリールアルキル”部分は、アリールで置換されたアルキルである(例えばフェニルメチル(ベンジル))。“アルキル”という用語には、天然及び非天然アミノ酸の側鎖も含む。
【0118】
“アリール”という用語は、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてもよい5及び6員の単環式芳香族基、例えばベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどを含む基を含む。さらに、“アリール”という用語は、多環式アリール基、例えば三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキソフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、又はインドリジンを含む。環構造中にヘテロ原子を有するアリール基は“アリールヘテロサイクル”、“ヘテロサイクル”、“ヘテロアリール”又は“ヘテロ芳香族”と呼ぶこともできる。芳香環は、一つ又は複数の環位置で上記のような置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分で置換されていてもよい。アリール基は、芳香族でない脂環式又は複素環式(ヘテロサイクリック)環と縮合又は架橋して多環を形成することもできる(例えばテトラリン)。
【0119】
“アルケニル”という用語は、長さ及び可能な置換に関しては上記アルキルに類似しているが少なくとも一つの二重結合を含有する不飽和脂肪族基を含む。
例えば、“アルケニル”という用語は、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなど)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル又はアルケニル置換シクロアルケニル基、及びシクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。アルケニルという用語はさらに、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄又はリン原子を含むアルケニル基も含む。ある態様において、直鎖又は分枝鎖アルケニル基はその骨格中に6個以下の炭素原子(例えば直鎖の場合C〜C、分枝鎖の場合C〜C)を有する。同様に、シクロアルケニル基は3〜8個の炭素原子をそれらの環構造中に有し、さらに好ましくは5又は6個の炭素を環構造中に有する。C〜Cという用語は2〜6個の炭素原子を含有するアルケニル基を含む。
【0120】
さらに、アルケニルという用語は、“非置換アルケニル”及び“置換アルケニル”の両方を含み、その後者は、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルケニル部分のことを言う。そのような置換基は、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などを含みうる。
【0121】
“アルキニル”という用語は、長さ及び可能な置換に関しては上記アルキルに類似しているが少なくとも一つの三重結合を含有する不飽和脂肪族基を含む。
例えば、“アルキニル”という用語は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分枝鎖アルキニル基、及びシクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。アルキニルという用語はさらに、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄又はリン原子を含むアルキニル基も含む。ある態様において、直鎖又は分枝鎖アルキニル基はその骨格中に6個以下の炭素原子(例えば直鎖の場合C〜C、分枝鎖の場合C〜C)を有する。C〜Cという用語は2〜6個の炭素原子を含有するアルキニル基を含む。
【0122】
さらに、アルキニルという用語は、“非置換アルキニル”及び“置換アルキニル”の両方を含み、その後者は、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキニル部分のことを言う。そのような置換基は、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などを含みうる。
【0123】
炭素数が特に明記されない限り、本明細書中で使用している“低級アルキル”は、上で定義のアルキル基であるが、1〜5個の炭素原子をその骨格構造中に有するものを意味する。“低級アルケニル”及び“低級アルキニル”も、例えば2〜5個の炭素原子の鎖長を有する。
【0124】
“アシル”という用語は、アシルラジカル(CHCO−)又はカルボニル基を含有する化合物及び部分を含む。置換アシル部分も含む。“置換アシル”という用語は、一つ又は複数の水素原子が、例えばアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換されているアシル基を含む。
【0125】
“アシルアミノ”という用語は、アシル部分がアミノ基に結合している部分を含む。例えば、該用語はアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイド基を含む。
【0126】
“アロイル”という用語は、カルボニル基に結合したアリール又はヘテロ芳香族部分を有する化合物及び部分を含む。アロイル基の例は、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシなどである。
【0127】
“アルコキシアルキル”、“アルキルアミノアルキル”及び“チオアルコキシアルキル”という用語は、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素を置換している酸素、窒素又は硫黄原子をさらに含む、前述のアルキル基を含む。
【0128】
“アルコキシ”という用語は、酸素原子に共有結合した置換及び非置換のアルキル、アルケニル、及びアルキニル基を含む。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びペントキシ基などである。置換アルコキシ基の例はハロゲン化アルコキシ基などである。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分のような基で置換されていてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなどであるが、これらに限定されない。
【0129】
“アミン”又は“アミノ”という用語は、窒素原子が少なくとも一つの炭素又はヘテロ原子に共有結合している化合物を含む。“アルキルアミノ”という用語は、窒素が少なくとももう一つのアルキル基に結合している基及び化合物を含む。“ジアルキルアミノ”という用語は、窒素原子が少なくとももう二つのアルキル基に結合している基を含む。“アリールアミノ”及び“ジアリールアミノ”という用語は、窒素がそれぞれ少なくとも一つ又は二つのアリール基に結合している基を含む。“アルキルアリールアミノ”、“アルキルアミノアリール”又は“アリールアミノアルキル”という用語は、少なくとも一つのアルキル基及び少なくとも一つのアリール基に結合しているアミノ基のことを言う。“アルカミノアルキル”又は“アルキルアミノアルキル”という用語は、アルキル基に結合している窒素原子に結合しているアルキル、アルケニル、又はアルキニル基のことを言う。
【0130】
“アミド”又は“アミノカルボニル”という用語は、カルボニル又はチオカルボニル基の炭素に結合している窒素原子を含有する化合物又は部分を含む。該用語は、カルボニル基に結合しているアミノ基に結合しているアルキル、アルケニル、アリール又はアルキニル基を含む“アルカミノカルボニル”又は“アルキルアミノカルボニル”基を含む。該用語は、カルボニル又はチオカルボニル基の炭素に結合しているアミノ基に結合しているアリール又はヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボニル基も含む。“アルキルアミノカルボニル”、“アルケニルアミノカルボニル”、“アルキニルアミノカルボニル”、“アリールアミノカルボニル”、“アルキルカルボニルアミノ”、“アルケニルカルボニルアミノ”、“アルキニルカルボニルアミノ”、及び“アリールカルボニルアミノ”という用語は“アミド”という用語に含まれる。アミドはウレア基(アミノカルボニルアミノ)及びカルバメート(オキシカルボニルアミノ)も含む。
【0131】
“カルボニル”又は“カルボキシ”という用語は、酸素原子に二重結合で結合している炭素を含有する化合物及び部分を含む。カルボニルは、本発明の化合物がその意図する機能を実施できれば何らかの部分でさらに置換されていてもよい。例えば、カルボニル部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アミノなどで置換されていてもよい。カルボニルを含有する部分の例は、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物などである。
【0132】
“チオカルボニル”又は“チオカルボキシ”という用語は、硫黄原子に二重結合で結合している炭素を含有する化合物及び部分を含む。
“エーテル”という用語は、二つの異なる炭素原子又はヘテロ原子に結合している酸素を含有する化合物又は部分を含む。例えば、該用語は、別のアルキル基に共有結合している酸素原子に共有結合しているアルキル、アルケニル、又はアルキニル基のことを言う“アルコキシアルキル”を含む。
【0133】
“エステル”という用語は、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合している炭素又はヘテロ原子を含有する化合物及び部分を含む。“エステル”という用語は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのようなアルコキシカルボニル基を含む。アルキル、アルケニル、又はアルキニル基は前述の定義のとおりである。
【0134】
“チオエーテル”という用語は、二つの異なる炭素又はヘテロ原子に結合している硫黄原子を含有する化合物及び部分を含む。チオエーテルの例は、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、及びアルクチオアルキニルなどであるが、これらに限定されない。“アルクチオアルキル”という用語は、アルキル基に結合している硫黄原子に結合しているアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を有する化合物を含む。同様に、“アルクチオアルケニル”及び“アルクチオアルキニル”という用語は、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合している硫黄原子に結合している化合物又は部分のことを言う。
【0135】
“ヒドロキシ”又は“ヒドロキシル”という用語は、−OH又は−Oを有する基を含む。
“ハロゲン”という用語は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。“過ハロゲン化”という用語は、一般的にすべての水素がハロゲン原子によって置換されている部分のことを言う。
【0136】
“ポリサイクリル”又は“ポリサイクリックラジカル”という用語は、二つ以上の炭素が二つの隣接する環に共通な二つ以上のサイクリック環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はへテロサイクリル)のことを言う。例えば該環は“縮合環”である。隣接していない原子を通じて連結している環のことを“架橋”環と呼ぶ。ポリサイクルの各環は、前述のような置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アルキル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分で置換されていてもよい。
【0137】
“ヘテロ原子”という用語は、炭素又は水素以外の任意の元素の原子を含む。好適なヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄及びリンである。
“環”という用語はシクロアルキル又はアリールを意味し、これらの用語については本明細書中で使用及び定義されている通りである。
【0138】
“プロドラッグ部分”という用語は、インビボで代謝されうる部分及びインビボでエステル化された又はそれ以外に保護された状態を都合よく維持しうる部分を含む。好ましくは、プロドラッグ部分はインビボでエステラーゼによって又はその他の機序によってヒドロキシル基又はその他の好都合な基に代謝される。プロドラッグの例及びそれらの使用については当該技術分野で周知である(例えばBergeら(1977)“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1−19参照)。プロドラッグは、化合物の最終単離及び精製時に又は遊離酸形又はヒドロキシルの精製化合物を適切なエステル化剤と別に反応させることによって現場製造できる。ヒドロキシル基はカルボン酸で処理することによってエステルに変換できる。プロドラッグ部分の例は、置換及び非置換の分枝又は非分枝低級アルキルエステル部分(例えばプロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ低級アルキルアミノ低級アルキルエステル(例えばジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えばアセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えばピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えばベンジルエステル)、置換(例えばメチル、ハロ、又はメトキシ置換基で)アリール及びアリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ低級アルキルアミド、及びヒドロキシアミドなどである。
【0139】
本発明の一部の化合物の構造は不斉炭素原子を含むので、ラセミ混合物として又は単離された異性体として存在しうることに注意する。従って、そのような不斉性に起因する異性体(例えばすべてのエナンチオマー及びジアステレオマー)も、特に断りのない限り本発明の範囲に含まれることは理解されるはずである。そのような異性体は、古典的な分離技術によって及び立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋な形態で得ることができる。さらに、本願中に記載の構造及びその他の化合物及び部分は、それらのすべての互変異性体も含む。
【0140】
本発明は、少なくとも一部は、対象における血液疾患を、該対象に有効量の本発明の化合物(例えば、式I、II、IIIの化合物又はそれ以外の様式で本明細書中に記載された化合物(単離エナンチオマー又はジアステレオマーを含む))を投与することによって治療する方法に関する。
【0141】
“治療する”という用語は、治癒だけでなく、状態、疾患又は障害、例えば血液疾患の少なくとも一つの症状を改善することを含む。従って、本明細書中では血液疾患又はその少なくとも一つの症状の予防も意図している。
【0142】
“血液疾患”という用語は、本発明の化合物、例えば式I、II、IIIの化合物又はそれ以外の様式で本明細書中に記載された化合物を投与することによって治療、予防、又はさもなければ改善できる疾患を含む。血液疾患は血液及び造血器官の何らかの疾患である。血液疾患という用語は、栄養性貧血(例えば、鉄欠乏性貧血、鉄欠乏性嚥下困難症、プランマー・ヴィンソン症候群、ビタミンB12欠乏性貧血、内因子によるビタミンB12欠乏性貧血、悪性貧血、葉酸欠乏性貧血、及びその他の栄養性貧血)、骨髄異形成症候群、骨髄機能不全又は化学療法、放射線もしくはその他の薬剤又は療法に起因する貧血、溶血性貧血(例えば、酵素障害による貧血、リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠乏による貧血、ソラマメ中毒、グルタチオン代謝の障害による貧血、糖分解酵素の障害による貧血、ヌクレオチド代謝の障害による貧血及び不特定酵素障害による貧血)、サラセミア(α−サラセミア、β−サラセミア、δβ−サラセミア、サラセミア形質、遺伝性高胎児ヘモグロビン血症(HPFP)、及ぶ不特定サラセミア)、鎌状赤血球障害(クリーゼを伴う鎌状赤血球貧血、クリーゼを伴わない鎌状赤血球貧血、重複ヘテロ複合型鎌状化障害、鎌状赤血球形質及びその他の鎌状赤血球障害)、遺伝性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、その他の異常ヘモグロビン症及びその他の特定遺伝性溶血性貧血、例えば有口赤血球症)、後天性溶血性貧血(例えば、薬物性自己免疫性溶血性貧血、その他の自己免疫性溶血性貧血、例えば温式自己免疫性溶血性貧血、薬物性非自己免疫性溶血性貧血、溶血性尿毒症性症候群、及びその他の非自己免疫性溶血性貧血、例えば微小血管症性溶血性貧血);再生不良性貧血(例えば、後天性真性赤血球系無形成(赤芽球減少症)、その他の再生不良性貧血、例えば体質性再生不良性貧血及びファンコニ貧血、急性出血後貧血、並びに慢性疾患における貧血)、凝固障害(例えば、播種性血管内凝固(脱線維素症候群))、遺伝性第VIII因子欠乏(血友病A)、遺伝性第IX因子欠乏(クリスマス病)、及びその他の凝固障害、例えばフォン・ヴィレブランド病、遺伝性XI因子欠乏(血友病C)、紫斑病(例えば、質的血小板欠陥及びグランツマン病)、好中球減少症、無顆粒球症、多形核好中球の機能障害、その他の白血球障害(例えば、好酸球増加症、白血球増加症、リンパ球増加症、リンパ球減少症、単球増加症、及び形質細胞増加症)、脾臓疾患、メトヘモグロビン血症、血液及び造血器官のその他の疾患(例えば、家族性赤血球増加症、二次性多血症、本態性血小板増加症及び好塩基球増加症)、血小板減少症、感染性貧血、低増殖性又は再生不良性(形成不全性)貧血、ヘモグロビンC、D、及びE疾患、ヘモグロビンレポアー病、並びにHbH及びHbS病、失血、放射線療法もしくは化学療法による貧血、又は放射線療法もしくは化学療法による血小板減少症及び好中球減少症、鉄芽球性貧血、骨髄ろう性貧血、抗体媒介性貧血、そしてリンパ細網組織及び細網組織球系が関与するある種の疾患(例えばランゲルハンス細胞組織球増加症、好酸球性肉芽腫、ハンド・シュラー・クリスチャン病、食血細胞リンパ組織球増加症、及び感染関連血球貪食症候群)などを含む。
【0143】
一態様において、式I、II、IIIの化合物又は本明細書中にそれ以外の様式で記載された化合物は、血液疾患の治療のために対象に投与すると、胎児性ヘモグロビン産生、造血、赤血球産生、骨髄造血及び/又は好中球産生を刺激する。
【0144】
一態様において、式I、II、IIIの化合物又は本明細書中にそれ以外の様式で記載された化合物は、血液疾患の治療のために一つ又は複数のサイトカインと組み合わせて対象に投与される。一態様において、該サイトカインは、IL−3、GM−CSF、G−CSF幹細胞因子(SCF)及びIL−6からなる群から選ばれる。
【0145】
本発明の治療法において、本発明の一つ又は複数の化合物は単独で対象に投与することができる。あるいは、より典型的には本発明の化合物は従来の賦形剤、すなわち非経口、経口又はその他の所望の投与に適切で、活性化合物と有害反応を起こさず、そのレシピエントに対しても有害でない製薬学的に許容しうる有機又は無機担体物質と混合した医薬組成物の一部として投与される。
【0146】
別の態様において、本発明は、少なくとも一部は、有効量の式I、式II、式III、又は
【0147】
【化42】

【0148】
の化合物及びそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー又はジアステレオマー、並びに製薬学的に許容しうる担体の医薬組成物に関する。
“製薬学的に許容しうる担体”という語は、本発明の化合物(一つ又は複数)と共投与することが可能で、両方にそれらの意図する機能、例えば血液疾患の治療又は予防を行わせることができる物質を含む。適切な製薬学的に許容しうる担体は、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペトロエトラール(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル−セルロース、ポリビニルピロリドンなどであるが、これらに限定されない。該医薬製剤は無菌化することも、所望であれば本発明の活性化合物と有害反応をしない助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色剤、フレーバー及び/又は芳香族物質などと混合することもできる。
【0149】
塩基性である本発明の化合物は、様々な無機及び有機酸と種々の塩を形成することができる。塩基性である本発明の化合物の製薬学的に許容しうる酸付加塩を製造するのに使用できる酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち製薬学的に許容しうるアニオンを含有する塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパルモエート(palmoate)[すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)]の各塩を形成する酸である。そのような塩は、対象、例えば哺乳動物への投与用に製薬学的に許容しうるものであるに違いないが、実際には、本発明の化合物を反応混合物からまず製薬学的非許容塩として単離し、次いで単にそれをアルカリ試薬で処理することによって遊離塩基化合物に変換し、その後その遊離塩基を製薬学的に許容しうる酸付加塩に変換するのが望ましいことが多い。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、該塩基化合物を実質的に当量の選択された鉱酸又は有機酸(水性溶媒媒体中、又はメタノールもしくはエタノールのような適切な有機溶媒中)で処理することによって容易に製造される。溶媒を注意深く蒸発させることによって所望の固体塩が容易に得られる。以下の実験の部で具体的に記載されていない本発明のその他の化合物の製造も上記反応の組合せを用いて達成できる。そのことは当業者には明白であろう。
【0150】
酸性である本発明の化合物は種々の塩基塩を形成することができる。酸性である本発明の化合物の製薬学的に許容しうる塩基塩を製造するために試薬として使用できる化学塩基は、該化合物と非毒性の塩基塩を形成する塩基である。そのような非毒性の塩基塩は、アルカリ金属カチオン(例えばカリウム及びナトリウム)及びアルカリ土類金属カチオン(例えばカルシウム及びマグネシウム)のような製薬学的に許容しうるカチオンから誘導される塩、アンモニウム又は水溶性アミン付加塩、例えばN−メチルグルカミン(メグルミン)、及び低級アルカノールアンモニウム並びに製薬学的に許容しうる有機アミンのその他の塩基塩などであるが、これらに限定されない。酸性である本発明の化合物の製薬学的に許容しうる塩基付加塩は、製薬学的に許容しうるカチオンと従来法によって形成できる。従って、これらの塩は、本発明の化合物を所望の製薬学的に許容しうるカチオンの水溶液で処理し、得られた溶液を好ましくは減圧下で蒸発乾固することによって容易に製造できる。あるいは、本発明の化合物の低級アルキルアルコール溶液を所望金属のアルコキシドと混合し、その後該溶液を蒸発乾固して製造してもよい。
【0151】
本発明の化合物及びその製薬学的に許容しうる塩は、経口、非経口又は局所経路のいずれかで投与できる。一般に、これらの化合物は、治療される対象の体重及び状態並びに選択された特定の投与経路に応じて、有効量投与するのが最も望ましい。治療される対象の種及び前記薬剤に対するその個人の応答、並びに選択された医薬製剤の種類及びそのような投与が実施される期間及び間隔によって変動は生じうる。
【0152】
本発明の医薬組成物は、対象、例えば哺乳動物における血液疾患を治療するために単独で又はその他の公知組成物と組み合わせて投与できる。好適な哺乳動物は、ネコ、イヌ、ブタ、ラット、マウス、サル、チンパンジー、ヒヒ及びヒトなどである。一態様において対象は血液疾患を患っている。別の態様において、対象は血液疾患を患う危機にある。
【0153】
公知組成物“と組み合わせて”という語は、本発明の組成物と公知組成物の同時投与、本発明の組成物を先に投与後公知組成物の投与、及び公知組成物を先に投与後本発明の組成物の投与を含む。血液疾患治療用として当該技術分野で公知のいずれかの治療用組成物が本発明の方法に使用できる。
【0154】
本発明の化合物は、単独で又は製薬学的に許容しうる担体又は希釈剤と組み合わせて前述のいずれかの経路によって投与できる。投与は1回又は複数回に分けて実施できる。例えば、本発明の新規治療薬は、様々に異なる剤形で都合よく投与できる。すなわち、該治療薬は、製薬学的に許容しうる様々な不活性担体と組み合わせて、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディ、散剤、スプレー、クリーム、軟膏(salve)、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏(ointment)、水性懸濁液、注射用溶液、エリキシル、シロップなどの形態にすることができる。そのような担体は、固体希釈剤又はフィラー、無菌水性媒体及び様々な非毒性有機溶媒などである。さらに、経口用医薬組成物は、適切に甘味及び/又は風味を付けてもよい。一般に、治療上有効な本発明の化合物はそのような剤形中に約5.0重量%〜約70重量%の範囲の濃度レベルで存在する。
【0155】
経口投与の場合、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリシンのような様々な賦形剤を含有する錠剤を、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、アルギン酸及びある種の複合ケイ酸塩のような様々な崩壊剤と共に、そしてポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン及びアカシアのような造粒バインダと共に使用することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクのような滑沢剤も錠剤化目的のために非常に有用であることが多い。同様の種類の固体組成物もゼラチンカプセルのフィラーとして使用できる。これに関する好適な材料には高分子量ポリエチレングリコールのほかラクトース又は乳糖も含まれる。経口投与用に水性懸濁液及び/又はエリキシルが所望の場合、活性成分は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びその様々な類似組合せのような希釈剤と共に、様々な甘味剤又はフレーバー、着色剤又は色素と、そしてまた所望であれば乳化剤及び/又は懸濁剤とも組み合わせることができる。
【0156】
非経口投与の場合(腹腔内、皮下、静脈内、皮内又は筋肉内注射を含む)、本発明の治療用化合物のゴマ油もしくは落花生油中溶液又は水性プロピレングリコール中溶液のいずれかが使用できる。水溶液は必要であれば適切に緩衝され(好ましくは8を超えるpH)、液体希釈剤はまず等張化されるべきである。これらの水溶液は静脈内注射用に適切である。油性溶液は関節内、筋肉内及び皮下注射用に適切である。無菌下におけるこれらすべての溶液の製造は、当業者に周知の標準製薬技術によって容易に達成される。非経口用の場合、適切な製剤の例は、溶液(好ましくは油性又は水性溶液)のほか、懸濁液、エマルジョン、又は坐剤を含むインプラントなどである。治療用化合物は、注射物質と共に通常使用される無菌生理食塩水又は5%サリンデキストロース(saline dextrose)溶液のような液体担体中に分散させるなどして、無菌形の複数回又は1回投与形態に製剤化することができる。
【0157】
さらに、本発明の化合物は、皮膚の炎症状態を治療する場合、局所投与することも可能である。局所投与法の例は、経皮、口腔内又は舌下適用を含む。局所適用の場合、治療用化合物は、薬理学的に不活性な局所用担体、例えばゲル、軟膏、ローション又はクリーム中に適切に混合すればよい。そのような局所用担体は、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、又は鉱油などである。その他の可能な局所用担体は、流動ワセリン、イソプロピルパルミテート、ポリエチレングリコール、エタノール95%、5%ポリオキシエチレンモノラウレート(水中)、ラウリル硫酸ナトリウム5%(水中)などである。さらに、抗酸化剤、湿潤剤、粘度安定剤なども所望であれば添加することができる。
【0158】
腸内用の場合、特に適切なのは、タルク及び/又は炭水化物の担体バインダなどを有する錠剤、ドラジェ又はカプセルであり、該担体は好ましくはラクトース及び/又はコーンスターチ及び/又はジャガイモデンプンである。甘みを付けたビヒクルを使用するシロップ、エリキシルなども使用できる。それらを含む徐放性組成物も製剤化できる。その場合、活性成分を、例えばマイクロカプセル化、マルチコーティングなどによって異なるふうに分解可能なコーティングを用いて誘導体化する。
【0159】
所定の療法に使用される活性化合物の実際の好適量は、利用される特定の化合物、製剤化される特定の組成物、適用の様式、特定の投与部位などに応じて変動することは理解されるであろう。所定の投与プロトコルに対する最適の投与速度は、当業者であれば前述のガイドラインに関して実施される従来の用量決定試験を用いて容易に確かめることができる。
【0160】
一般に、治療用の本発明の化合物は従来療法で使用された用量で対象に投与できる。例えば、本発明の一つ又は複数の化合物の適切な有効量は、レシピエントの体重1キログラムあたり1日0.01〜100ミリグラムの範囲、好ましくはレシピエントの体重1キログラムあたり1日0.1〜50ミリグラムの範囲、さらに好ましくはレシピエントの体重1キログラムあたり1日1〜20ミリグラムの範囲であろう。所望量を1日1回適切に投与する。又は数回、例えば2〜5回を1日かけて適当な間隔で又はその他の適切なスケジュールで投与する。
【0161】
また、本発明の化合物の投与に関して、通常の使用状況下でそれらの効能を確実にするために、一般的に通常の従来既知の安全上の注意を払うべきことも理解されるであろう。特にヒト及び動物のインビボにおける治療に使用する場合、医師は従来既知の矛盾及び毒作用を回避するためにあらゆる賢明な安全上の注意を払うべきである。
【0162】
さらに本発明は、式I、II、IIIの化合物又はそれ以外の様式で本明細書中に記載された化合物の、薬剤製造のための使用にも関する。該薬剤は製薬学的に許容しうる担体を含みうる。そして該化合物は有効量、例えば血液疾患を治療するための有効量である。
【本発明の例示】
【0163】
実施例1:
胎児性ヘモグロビンの小分子インデューサーの同定
胎児性ヘモグロビンの小分子インデューサーをコンピュータモデリング技術を用いて同定した。
【0164】
FLO分子モデリングソフトウェアのTFITモジュールを用いてファーマコフォアを構築した。カルボン酸は受容体に同じように結合することが想定されたので、カルボン酸の酸素の重ね合わせに5kJの重ね合わせエネルギー拘束を加えることによってバイアスをかけた。TFITの500回の反復を計算に使用した。
【0165】
TFITによって低エネルギーの重ね合わせの集合体が得られた。最もぴったりしたオーバーレイを有する重ね合わせを最初のファーマコフォアのテンプレートとした。このファーマコフォアで活性化合物と不活性化合物を区別できるかどうか試験した。最初にTFITを用いて、ファーマコフォアと以前の研究のβ/γ−グロビンプロモーター駆動レポーター遺伝子アッセイで不活性と確認されている4つの化合物との間のベストマッチを決定した。
【0166】
次にTFITを用いて、β/γ−グロビンプロモーター駆動レポーター遺伝子アッセイで活性であった5つの追加の化合物がいかに良くテンプレートとマッチするかを決定した。そのテンプレートを用いて試験用の新規化合物を設計及び選択した。利用できる化合物データベースから化合物を選択し、それらをTFITを用いてテンプレートにフィットさせることによって評価した。
【0167】
モデリングから生まれた化合物をβ/γ−グロビンプロモーターのレポーター遺伝子アッセイで試験したところ、アッセイで統計的に有意な活性を有することが分かった(表1)。表1に示した全化合物とも(未処理の対照より)約100%〜200%の%γグロビンプロモーターの誘導を示した。
【0168】
【表1−1】

【0169】
【表1−2】

【0170】
次に、“擬似”受容体を、オリジナルのファーマコフォアテンプレートをより精密にする(refine)ことによってファーマコフォアの周りに構築した。2つの最も活性な新規化合物を追加することによって新しいテンプレートを構築した。それらの化合物は主としてそれらが含有する追加の構造情報のゆえに選ばれた。
【0171】
“擬似”結合部位はFLOを用いて構築された。この“擬似”結合部位は、リガンドと水素結合を形成するために選ばれた官能基と、結合部位の疎水性表面を擬似すると思われる官能基とで構成された。リガンドの酸性基と水素結合を形成するのにグアニジニウム基が選ばれた。結合部位の水素結合ドナーを擬似するのにはピロール基が使用された。これらの基をテンプレート分子の周囲に配置し、化学的に相補のリガンド原子に10kJの拘束エネルギーで固定した。FLOの“擬似”プログラムで自動的に残りの体積をプロパンで満たし、結合部位の疎水性表面を擬似した。次にこの構造に数回の力学処理を施した。
【0172】
テンプレート原子を取り除くと、プロパンの殻(シェル)、ピロール基及びグアニジニウム基によって受容体の結合部位が表現された。適度の結合部位のフレキシビリティを確保するために、結合部位の原子を分子力学の力場を用いて動かし、追加のフラットウェル拘束[半径0.5Å、クワドラティック(quadratic)ペナルティ20kJ/Å]を印加した。
【0173】
“擬似”結合部位を試験するために、20の化合物(β/γ−グロビンプロモーターのレポーター遺伝子アッセイで活性な14化合物及び不活性な6化合物)を、FLO+のドッキングモジュールSDOCK+を用いて結合部位モデルにドッキングさせた。各ドッキングコンフォメーションについて、FLO+で予測結合自由エネルギーを、接触エネルギー、水素結合エネルギー、極性脱溶媒和エネルギー、バンピング、内部エネルギー及びエントロピーからなる経験的スコアリング機能を用いて算出した。最も活性な化合物の場合、予測自由エネルギー(pl又は−logKiとして報告)は、6.6〜6.9の間に入り、水素結合エネルギーは7.4〜8.9kJ/molであった。4つの不活性化合物のpl値は5.6〜6.2の範囲で、水素結合エネルギーは5.6〜7.0kJ/molであった。plと水素結合エネルギーの組合せを用いて活性化合物と不活性化合物を区別した。
【0174】
次に、スクリーニング用の化合物を13,000の市販化合物のデータベースから選択した。酸基と24個未満の重原子を有する分子のみを選択した結果、630の化合物が得られた。これらの化合物をSDOCK+を用いて結合部位にドッキングさせた。FLO+を用いて結合モードを採点し、各化合物についてベスト10のコンフォメーションを目視検査用に取っておいた。
【0175】
plと水素結合エネルギーを基準として用いて、30の化合物をインビトロ試験用に選択した。これらの化合物のスコアは、pl 5.1(水素結合エネルギー −8.1kJ/mol)〜pl 8.8(水素結合エネルギー 9.4kJ/mol)の範囲であった。これらの化合物のうちの26を入手し、試験した。表2に、その26の化合物のβ/γ−グロビンプロモーターのレポーター遺伝子アッセイの結果を示す。‘*’は非処理対照と比べてγグロビンプロモーターの誘導が80〜100%増加;‘**’は100%〜200%増加;そして‘***’は200%を超えて増加したことを示す。
【0176】
【表2−1】

【0177】
【表2−2】

【0178】
【表2−3】

【0179】
実施例2:
インビトロにおける胎児性グロビンmRNA発現の刺激
この実施例では、レポーター遺伝子アッセイ及び分子モデリングによって活性と予測された試験化合物がインビトロの培養細胞中で胎児(ガンマ)グロビンのmRNAに顕著な増加をもたらすことを示す。さらに、必要な濃度は先代のインデューサーに必要とされる濃度(100〜200マイクロモル)より著しく低く(5〜40マイクロモル)、これらの化合物を治療用組成物及び薬理組成物としてより適切なものにしている。
【0180】
γ−グロビンのmRNAは、対照及び臍帯血から培養された処理赤血球コロニーでRT−PCRによって分析した。
各化合物による非処理の対照レベルと比較した胎児グロビンmRNAの誘導(増加)を以下の表3に示す。化合物YのRエナンチオマーは胎児グロビン誘導作用を示したが、Sエナンチオマーは(同じ)3培養物のうちの2つで胎児グロビンを誘導しなかった。
【0181】
【表3】

【0182】
これらの胎児グロビン誘導レベルは以前に報告された誘導剤による誘導より高く、しかも低濃度で起きている。すなわち、これらの物質は高い効力を有している。
関連の研究で、相対的なルシフェラーゼレポーター遺伝子誘導、γ−グロビン遺伝子誘導、及びF細胞産生をいくつかの候補化合物について試験した。試験化合物の相対的なインビトロγ−グロビン遺伝子レポーター刺激は次の通りであった。化合物P>M>W=R=Y。試験化合物の相対的なインビトロγ−グロビン遺伝子誘導は次の通りであった。P>R=M>Y>W>。相対的なインビトロF細胞産生は次の通りであった。W>Y>R>M>P。F細胞産生に関する相対的効力は次の通りであった。R>M>Y>P>W。
【0183】
実施例3:
インビトロにおける赤血球系細胞及び骨髄性細胞の成長に及ぼす影響
この実施例では、レポーター遺伝子アッセイ及び分子モデリングによって活性と予測された試験化合物が、赤血球系及び骨髄性コロニーの数又は様々な培養条件下で様々な起源のインビトロ培養細胞において胎児グロビンを発現する細胞の割合に顕著な増加をもたらすことを示す。本明細書中に記載したその他のインビトロ試験と同様、これらの生物学的効果に必要な濃度は、先代のインデューサーに必要とされる濃度(100〜200マイクロモル)より著しく低く(5〜40マイクロモル)、これらの化合物を治療用組成物及び薬理組成物としてより適切なものにしている。
【0184】
分子モデルでγ−グロビンインデューサーと予測された化合物を、一連のアッセイで、1)胎児グロビン遺伝子プロモーターからの活性を刺激する活性(この作用で鎌状赤血球症及びベータサラセミアを改善できる)、及び2)赤血球系細胞又は骨髄性細胞の成長及び増殖を刺激することに対する何らかの効果(この作用で血液細胞の欠乏を治療できる)における活性を評価した。
【0185】
ヒトの臍帯血又は数種類の末梢血由来の赤芽球バースト形成単位(BFU−E)(赤芽球前駆細胞)及び顆粒球−マクロファージコロニー形成単位(CFU−GM)(骨髄コロニー)を、半固形培地又は二相懸濁培地中で、造血成長因子が高濃度(例えばエリスロポエチン3U/ml)又は低濃度(BFU−E細胞の増殖は、これらの実験系で標準的な3U(又は3000mU)/mlではなく少量のエリスロポエチン(0.5U/ml)の存在下で発達するコロニーの計数によって評価した)で含まれる場合又は含まれない場合で培養した。実験は、1)ベースラインで(及び非処理対照培養物において)可変レベルの胎児グロビンを発現し、様々な個別応答の可能性を示すβ−サラセミア対象から、2)ベースラインで(及び非処理対照培養物において)40〜50%の胎児グロビンを発現する正常臍帯血サンプルから、3)非処理対照培養物において及びベースラインで低レベルの胎児グロビンを発現する正常成人末梢血から単離したCD34+細胞から、及び4)ヒドロキシウレアによる治療を受けている鎌状赤血球症対象の末梢血から採取したサンプルで実施した。これらの生物学的サンプルは、ヒト対象における胎児グロビン発現を刺激することにおいて様々な困難の可能性を提供している。
【0186】
実験1:造血コロニーを試験化合物がある場合又はない場合(+/−)で計数して、造血成長因子のみの存在下で発達した同じ対象由来のコロニー(非処理対照コロニー)と比較し、胎児グロビンを発現している細胞(F−細胞)の割合をFACScan分析によって分析した。化合物M、N、P、R、T、2−メチル−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸、V、W、X、Y、Z、F及び3−(5−クロロチエン−3−イル)アクリル酸は、いずれもF−細胞の割合に非処理対照のF−細胞のパーセンテージを超える顕著な増加を、該化合物で胎児グロビンmRNAの誘導及び赤血球コロニー数の増加に要するのと同じ低濃度でもたらした。
【0187】
実験2:ベータサラセミア対象由来の赤血球コロニーを、造血成長因子の最適パネルのみで何の試験化合物もない場合(対照)、又は試験化合物M、P、T、2−メチル−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸、V、W、X、Y、AK、AC、又はAIのうちの一つがある場合のいずれかで培養した。リストアップした試験化合物はいずれも、成長因子の最適パネルのみで成長させた対応対照の培養物と比べてコロニーの数を増やした。コロニー数は、対照培養物より(%BFU−E/対照)25%〜230%増加した。リストアップした各試験化合物は、少なくとも5人の異なる対象の血液で試験し、その差は統計的に有意であった。
【0188】
関連の研究で、臍帯血から培養したBFU−Eを、化合物M、P、R、T、W、Y、Z、AI、F、又は3−(5−クロロチエン−3−イル)アクリル酸がある場合又はない場合で試験した。試験化合物はいずれも対照と比べてコロニー数の増加を誘導した。この研究では、試験化合物は同じ供給源由来の対照培養物より50〜250%多いコロニーをもたらした。
【0189】
実験3:代表的新規化合物M、W、X、Y、及びAIは、同一個人由来の非処理骨髄コロニーの対照と比べて骨髄コロニーの産生も刺激した。対照コロニーは、チャコール吸収ウシ胎仔血清とベータメルカプトエタノールとBSA入りのイスコブ変法ダルベッコ培地(IMDM)メチルセルロース培地中で、骨髄造血を支持する成長因子を加えない培養物中に確立された。赤血球コロニーの増加に要するのと同じ濃度の新規化合物と培養した臍帯血に、30〜75%の新(de novo)骨髄コロニーの増加が観察された。
【0190】
実験4:成人血から培養された赤血球系細胞はHbF発現が低く、グロビン発現に関して変更するのは最も難しい。この実験では、代表的試験化合物の存在下又は不在下で成人血から培養された赤血球系細胞について分析した。
【0191】
赤血球系細胞は、精製CD34+細胞を、Flt−3リガンドと幹細胞因子(SCF)とIL−3の中で7日間培養することによって生成させ、次いでEPO中で14日間成長させた。処理のために、細胞をT75フラスコで上記のように培養した後、8日目に複数のフラスコに分け、試験化合物による処理を開始した。化合物P又はその他の試験化合物をストック溶液から希釈し、マイクロリットル体積のストックを各培養フラスコに加えて最終作用濃度とした。細胞を2日毎に血球計のカウントによって計数した。RNAを2日毎に10個の細胞からRNeasy Plus Mini Kit(Qiagen)を用いて収穫し、Opticon Monitor装置(MJ Research)でIQ SybrGreen Supermixを用いてqRT−PCRを実施した。サンプルは三重にアッセイし、装置からの生データはLarionovらが提唱した方法を用いて分析した。ベータ−アクチンとG3PDを対照としてアッセイした(ハウスキーピング遺伝子)。ヘモグロビンの分離は、陽イオン交換HPLCにより35×4.6mm;3mm PolyCAT Aカラム(Nest Group)を用いて、Cheryl Rognerud及びChing−Nan Ouによる以前の記載通りに、そしてカラム製造業者の概説通りに実施した。
【0192】
QPCRプライマーは、α−グロビン、β−グロビン、γ−グロビン、β−アクチン及びB3PDの公知配列を用いて設計した。プライマーは少なくとも一つのエキソンをまたぐように設計された。
【0193】
結果は、赤血球系細胞が赤血球相(erythroid phase)の12〜14日にピークに達したことを示した。細胞のカウントはエリスロポエチンのみで培養した対照細胞に比べて20マイクロMの化合物Pで増加した。化合物Pを異なる用量で比較すると、アルファグロビンの産生/発現には何の影響もないが、同一用量でベータグロビンの産生は胎児グロビンmRNA発現の増加に付随して逆比例的に減少することが分かった。活性はガンマ(胎児)グロビンの誘導に特異的で、それに伴いベータグロビンは逆比例的に減少した。ヘモグロビンFタンパク質レベルは化合物Pの用量依存的に増加し、ちょうど一サイクルの赤血球分化をした同一対象の非処理対照培養物と比べて、胎児グロビンの発現に19倍の増加が100マイクロモルの化合物Pでもたらされた。
【0194】
実験5:追加の研究で、臍帯血サンプルから培養された赤血球コロニーの比較成長を、成長因子のみを添加して又は試験化合物を添加して評価した。
臍帯血サンプルから培養された赤血球コロニーの、標準的成長因子のみを添加した場合(対照)、又は試験化合物もしくはアルギニンブチレート(AB)(ABはコロニー数を減らす)を添加した場合の条件下での比較成長である。対照及び試験培養物は、同一成長因子(EPO及びIl−3)入りの同一サンプルから確立し、試験化合物を添加した。試験した化合物は、M、P、R、T、W、Y、Z、AI、F及び3−(5−クロロチエン−3−イル)アクリル酸であった。陽性の増殖剤であることが以前に示されている二つの化合物も比較のために含めた。試験した化合物は、化合物AI及び3−(5−クロロチエン−3−イル)アクリル酸以外はすべて、赤血球コロニー数を対照数より少なくとも25%増加させ、統計的に有意であった。これらの結果は、試験化合物は最大の成長因子の条件下でも貧血がなくても赤血球の産生を刺激することを示している。
【0195】
実験6:骨髄成長を抑制し、赤血球産生を低減する化学療法薬のヒドロキシウレア(HU)による治療を受けている4人の鎌状赤血球症対象の末梢血由来の赤血球コロニーを、単独で又は試験化合物M、P、2−メチル−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸、V、W、Y(ラセミ混合物)もしくはAIを加えて培養した。L−アルギニンを中性対照として添加したが、赤血球コロニーの数に何の影響もなかった。アルギニンブチレート(AB)、フェニルアセテート(PA)、及びヒドロキシウレア(HU)を添加すると、対照の状態と比較して赤血球コロニーの数が減少した。
【0196】
以下の表5にまとめたように、試験化合物M、P、2−メチル−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸、V、W、Y(ラセミ混合物)又はAIを添加すると(表5に示した濃度で)、赤血球コロニーの数が対照の状態より少なくとも25%増加した。の印のついた化合物は有意差がある。2−メチル−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸と化合物Vは、統計的評価に追加のサンプルを必要とするが、異なる対象の培養物3/3に正の効果があった。これらの所見は、試験化合物が特に貧血及び骨髄抑制の状態で赤血球系細胞の産生を刺激することを示している。
【0197】
【表4】

【0198】
要するに、本実施例に記載の実験は、代表的な試験化合物は、貧血、鎌状赤血球貧血及びベータサラセミアを含む血液状態に関連する培養条件下で、様々な起源由来のインビトロ培養細胞において、赤血球及び骨髄コロニーの数又は胎児グロビン発現細胞の割合に顕著な増加をもたらすことを示している。
【0199】
実施例4:
非ヒト霊長類モデルにおけるインビボ効果
化合物P、Y及びWについて、胎児グロビン発現又は血液細胞の産生のいずれかを刺激することにおけるこれらの候補化合物の機能活性をヒト以外の霊長類モデルで評価した。以下に記載のように、これらの研究で、胎児グロビン発現及び血液細胞産生を誘導することに関する化合物の強力なインビボ活性が示された。
【0200】
幼若ヒヒに静脈及び動脈カテーテルを挿入し、一定量の血液を毎日瀉血してベースラインの正常ヘモグロビンレベル12〜13g/dlから、ヘモグロビンレベル7.0〜7.5g/dlの貧血状態を維持した。抜き取った血液量を置換するために生理食塩水を注入した。この程度の瀉血で血液量は10〜20日毎に入れ替わる。
【0201】
胎児グロビンのmRNAを試験化合物の投与前後にベースラインの貧血で分析した。グロビン鎖タンパク質合成でmRNAの所見を確認した。
安定レベルの貧血を確立後、試験化合物を1日1回静脈内又は経口のいずれかで投与し、血液を動脈カテーテルを通して抜き取って、グロビンmRNAの分析又はHPLC−MSによる血漿中の試験化合物の分析に供した。薬物動態プロフィールを血漿中濃度から確立し、試験化合物の経口バイオアベイラビリティ(静脈内及び経口の血漿中濃度間の曲線下面積を比較して)を決定した。
【0202】
化合物M(100mg/kg)、P(25mg/kg)、2−メチル−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸(100mg/kg)、W(100mg/kg)、及びY(10mg/kg)の薬物動態プロフィールは、これらの化合物が耐容可能な1回経口量の投与後>8時間、治療濃度を十分上回る濃度を持続することを示した。ヒトの相当量はヒヒの用量の20〜50%である。化合物P(25mg/kg)と化合物Y(10mg/kg)はそれぞれ並外れて低い用量しか必要としなかった。以前に報告された化合物は胎児グロビンの誘導に典型的には100〜500mg/kg/用量を必要とする。特に化合物Yは、望ましくないほど高い初期バースト濃度も生じず、24時間を超えて持続する。ヒトの相当量はヒヒの用量の10〜20%である。従って、化合物Yの場合、ヒト相当量は1〜2mg/kgとなり、医薬組成物にとって非常に好適な用量である。
【0203】
化合物P及び化合物Yで貧血ヒヒを処置すると、3〜6倍のγ−グロビンmRNA発現を誘導した。先代の化合物は典型的には胎児グロビンmRNAを2倍しか誘導しない。
更なるインビボ研究で、化合物AK、Y及びMをヒヒで評価したところ、耐容可能な低用量で胎児グロビン発現に顕著な増加を示した。前の実施例に示したように、これらの3化合物はいずれもインビトロで赤血球系細胞の増殖を刺激し、経口投与後の好ましい薬物動態プロフィールも有している。該化合物を貧血ヒヒに投与し、鎌状赤血球貧血及びベータサラセミアの病理を改善することが知られている胎児グロビンの誘導に及ぼす薬力学的効果を研究した。
【0204】
貧血ヒヒ5002において、ベースラインの胎児グロビンmRNAは、RNアーゼプロテクション法による検定で26%の非アルファ−グロビンであった。5mg/kg/用量の化合物Yで処置すると、胎児グロビンmRNAは48%の非アルファ−グロビンに増加し、ベースラインレベルよりも85%増大した。50mg/kgの化合物AKで処置すると51%の胎児グロビンmRNAに増加を誘導し、ベースラインレベルよりも96%増大した。40mg/kgの化合物Mで処置すると67%の胎児グロビンmRNAに増加を誘導し、ベースラインレベルよりも257%増大した。ヒトの相当量はこれらの用量の20%、又はそれぞれ1mg/kg、10mg/kg、又は8mg/kgである。従って、これら3化合物は、ヒト対象が容易に耐容可能な用量で医薬組成物に非常に適切である。
【0205】
関連の研究で、化合物Pを、ベースラインの胎児グロビン発現がなくベータグロビンとして100%のグロビン発現を示している瀉血された貧血ヒヒで評価した。化合物Pによる処置で、7%の胎児グロビンが誘導され、同時にベータグロビン発現が減少した。
【0206】
これらの所見から、これらの化合物はベータ異常ヘモグロビン症及びサラセミアの治療のための優れた候補化合物であることが分かる。
【0207】
実施例5:
インビボトランスジェニックマウスモデルにおける胎児グロビン発現の誘導
この実施例では、化合物Wがトランスジェニックマウスモデルでヒト胎児グロビンmRNAの発現とヘマトクリットを増加させることを示す。
【0208】
ヒト胎児グロビン遺伝子とマイクロ遺伝子座調節領域(LCR)を含有するトランスジェニックマウスを無処置(対照)か又は試験化合物で処置し、γ−グロビンmRNAをRT−PCRによって分析した。マイクロ−LCR−201 ガンマ−グロビン遺伝子プロモーターを導入したトランスジェニックマウスに化合物WをIP(腹腔内)注射によって1日1回、週5日、2週間投与し、ガンマ−グロビンmRNAをqPCRによって検定した。ヘマトクリットは週1回分析した。以下の表4にまとめたように、初期実験で対照と化合物W処置マウスの間にはヒト胎児グロビンmRNAの発現及びヘマトクリットに有意の差が見られた。
【0209】
【表5】

【0210】
実施例6:
化合物Yのエナンチオマーの合成
【0211】
【化43】

【0212】
セシウムチオベンゾエート.チオ安息香酸(50.0g、361.8mmol)のメタノール(362mL)中溶液に、CsCO(130g、398mmol)を5分間かけて少しずつ加えた。得られた混合物を全固体が溶解するまで10分間撹拌した。得られた溶液を回転蒸発器(rotovap)上で濃縮した。固体残渣を500mLのアセトンで希釈し、白色固体(CsHCO)をろ過して除去した。このプロセスを2回繰り返して確実にすべてのCsHCOを除去した。次にアセトンを濃縮してセシウムチオベンゾエート(Strijtveen,B.;Kellogg,R.M.J.Org.Chem.1986,51,3664)を黄色固体として得た(81.5g、83%)。
【0213】
【数1】

【0214】
【化44】

【0215】
(R)−2−ベンゾイルチオ−3−メチルブタン酸.(S)−(−)−2−ブロモ−3−メチル酪酸(4.20g、23.2mmol)のDMF(41mL)中溶液にセシウムチオベンゾエート(6.08g、22.5mmol)を加えた。該混合物を室温で20時間撹拌した。得られた溶液をエーテル(200mL)で希釈し、HOで洗浄した(4×40mL)。エーテル層を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。粗残渣をヘキサンから再結晶して(R)−2−ベンゾイルチオ−3−メチルブタン酸を淡黄色固体として得た(4.05g、75%)。
【0216】
【数2】

【0217】
全スペクトルデータとも以前公表のものと同一であった(Strijtveen,B.;Kellogg,R.M.J.Org.Chem.1986,51,3664)。
【0218】
【化45】

【0219】
(S)−2−ベンゾイルチオ−3−メチルブタン酸.(R)−(+)−2−ブロモ−3−メチル酪酸(4.20g、23.2mmol)のDMF(41mL)中溶液にセシウムチオベンゾエート(6.08g、22.5mmol)を加えた。該混合物を室温で20時間撹拌した。得られた溶液をエーテル(200mL)で希釈し、HOで洗浄した(4×40mL)。エーテル層を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。粗残渣をヘキサンから再結晶して(S)−2−ベンゾイルチオ−3−メチルブタン酸を淡黄色固体として得た(3.89g、72%)。
【0220】
【数3】

【0221】
【化46】

【0222】
(R)−2−メルカプト−3−メチルブタン酸.(R)−2−ベンゾイルチオ−3−メチルブタン酸(4.05g、17.0mmol)のCHCl(68mL)中溶液に3MのNHOH水溶液(68mL)を加えた。該混合物を室温で3時間撹拌した。得られた溶液を2MのKOH水溶液(68mL)で希釈し、CHClで洗浄して(6×70mL)、ベンズアミドを除去した。次に水性層を濃HCl水溶液でpH2に酸性化し、CHCl(4×70mL)で抽出した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮して(R)−2−メルカプト−3−メチルブタン酸を白色固体として得た(2.10g、92%)。
【0223】
【数4】

【0224】
【化47】

【0225】
(S)−2−メルカプト−3−メチルブタン酸.(S)−2−ベンゾイルチオ−3−メチルブタン酸(3.89g、16.3mmol)のCHCl(65mL)中溶液に3MのNHOH水溶液(65mL)を加えた。該混合物を室温で3時間撹拌した。得られた溶液を2MのKOH水溶液(65mL)で希釈し、CHClで洗浄して(6×65mL)、ベンズアミドを除去した。次に水性層を濃HCl水溶液でpH2に酸性化し、CHCl(4×65mL)で抽出した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮して(S)−2−メルカプト−3−メチルブタン酸を白色固体として得た(2.00g、91%)。
【0226】
【数5】

【0227】
【化48】

【0228】
(R)−化合物Y.(R)−2−メルカプト−3−メチルブタン酸(2.10g、15.6mmol)にNaOH水溶液(HO中1.0M、37.6mL、37.6mmol)を加えた。該混合物を室温で10分間撹拌した。得られた溶液を0℃に冷却し、DMF(20mL)で希釈し、DMF(10mL)中4,6−ジメトキシ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン(3.42g、15.6mmol)を加えた(Fukuda,S.;Akiyoshi,Y.;Hori,K.J.Org.Chem.1999,64,4768を若干変更した方法;4,6−ジメトキシ−2−(メチルスルホニル)ピリミジンはAldrichより市販されている)。該混合物を室温に温め、1時間撹拌した。得られた溶液を2M HClでクエンチングし、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(グラジエントカラム、酢酸エチル−ヘキサン、1:5→1:1→1:0)で精製し、(R)−化合物Yを白色結晶として得た(3.77g、88%)。
【0229】
【数6】

【0230】
【化49】

【0231】
(S)−化合物Y.(S)−2−メルカプト−3−メチルブタン酸(2.00g、14.9mmol)にNaOH水溶液(HO中1.0M、35.8mL、35.8mmol)を加えた。該混合物を室温で10分間撹拌した。得られた溶液を0℃に冷却し、DMF(20mL)で希釈し、DMF(10mL)中4,6−ジメトキシ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン2,3(3.25g、14.9mmol)を加えた。該混合物を室温に温め、1時間撹拌した。得られた溶液を2M HClでクエンチングし、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(グラジエントカラム、酢酸エチル−ヘキサン、1:5→1:1→1:0)で精製し、(S)−化合物Yを白色結晶として得た(3.65g、90%)。
【0232】
【数7】

【0233】
実施例7:
化合物YのSエナンチオマーの選択的活性
化合物Yは天然にはラセミ混合物で存在し、前述した非常に好ましいPK特性を有する。ここに記載の実験で、化合物YのSエナンチオマーは赤血球系細胞の増殖を著しく刺激するが、Rエナンチオマーは細胞増殖を刺激しないことを示す。化合物YのRエナンチオマーは胎児グロビン発現の刺激に活性を有する(表3参照)。
【0234】
化合物YのSエナンチオマーの増殖活性を3つの個人供給源の末梢血から培養したインビトロの赤血球コロニーで試験した。供給源は、ヒドロキシウレアを服用し内因性の赤血球産生が抑制されている鎌状赤血球貧血対象、正常成人被験者、及び二つの臍帯血サンプルであった。赤血球培養物は、低濃度のエリスロポエチン(0.5U/ml)のみを、及びそれと共に一方又は他方の化合物Yのエナンチオマー又はラセミ混合物を用いて、又は高濃度のEPO(3単位/ml=3000mU/ml、正常の生理学的濃度の100倍)を用いて確立した。
【0235】
高EPO中に確立された培養物は、低EPO中ラセミ混合物又は低EPO中Rエナンチオマーで確立された培養物より25〜45%(平均35%)多いコロニーを生じた。化合物YのS−エナンチオマーを同じ濃度で添加すると、ラセミ混合物中より平均45%多い赤血球コロニーが得られた(範囲38〜50%)。従って、Sエナンチオマーはインビトロで赤血球コロニーの増殖刺激活性を示す。
【0236】
実施例8:
分子作用機構
理論にとらわれるのではないが、本明細書中に記載の化合物は、以下でさらに解明する通り、新規で高度に特異的な分子作用機構によって働いていると考えられる。
【0237】
赤血球クルッペル様因子(erythroid kruppel-like factor)、EKLFは、哺乳動物のベータ様グロビン遺伝子スイッチングのための必須転写因子であり、そのジンクフィンガーのプロモーターへの結合を通じて成人ベータ−グロビン遺伝子の転写を特異的に活性化する。転写因子EKLFは、本明細書中に記載の化合物によるガンマグロビン遺伝子の活性化のためにも必要とされることが分かった。EKLFはこれまで主にベータ(成人)グロビン遺伝子を活性化すると考えられていた。転写因子EKLFは、本明細書中に記載の化合物によってガンマ−グロビン遺伝子プロモーターに活発に動員される。ヒトSWI/WNF複合体は、ヌクレオソームの構造をATP依存的に再構築(リモデリング)することによって遺伝子発現を調節する広く存在する多量体の複合体である。SWI/SNF複合体は、二つのコアATPアーゼ、BRG1又はBRMのうちの一つを含有する。これらの複合体は、プロモーターのコンテクスト及び複合体の中味に依存して、配列特異的な転写因子と相互作用して標的遺伝子の活性化を促進又は抑制することができる。SWI/SNF複合体のクロマチン修飾コアATPアーゼBrg1は、本明細書中に記載の化合物によるガンマグロビン誘導に必要とされる。コアクチベーターSWI/SNF複合体のクロマチン修飾ATPアーゼであるBrg1は、本明細書中に記載の化合物によってガンマ−グロビンプロモーターに活発に動員されるが、この動員はEKLFの存在に依存している。
【0238】
二つの化合物、化合物P及びWを評価した。初代赤血球系細胞を強力なインデューサーである化合物Pに暴露すると、リプレッサー複合体のHDAC3、NCoRは、特異的に胎児グロビン遺伝子プロモーターから外れ、プロモーターの局所的高アセチル化がもたらされた。さらに、化合物への暴露により、赤血球クルッペル様因子(EKLF)とBrahma関連遺伝子1(Brg1)ATPアーゼタンパク質のガンマ−グロビン遺伝子プロモーターへの動員が誘導され、ガンマグロビン遺伝子の選択的転写活性化がもたらされた。これは胎児(ガンマ)グロビン遺伝子プロモーターへの選択的効果であり、他の薬剤が起こしがちな全般化された広範な上位性効果又はベータグロビンプロモーターへの何らかの作用は起こさない。転写因子EKLFと再構築複合体Brg1及びPol IIは、遺伝子の活性化に伴い該プロモーターに結合される。これに対し、ベータグロビン遺伝子プロモーターに対する作用はない。従って、これらの化合物は、当該グロビン遺伝子プロモーターに対してだけ高特異的な活性化効果を生じるので、ベータグロビン遺伝子疾患の療法を誘導するのに有益であり、標的化された分子活性を提供することになる。
【0239】
均等物
当業者であれば、ごく日常的な実験を用いて本明細書中に記載の具体的手法に対する多数の均等物を認識するであろう。又は確認できるであろう。そのような均等物は本発明の範囲に含まれるとみなされ、以下の特許請求の範囲によって網羅される。本願全体にわたって引用したすべての参考文献、特許、及び特許出願の内容は、引用によって本明細書に援用する。それらの特許、出願及びその他の文献中の適切な成分、プロセス、及び方法は本発明及びその態様のために選択できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における血液疾患の治療又は予防法であって、前記対象に有効量の式I:
【化1】

[式中、
は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Xは、C(O)、C(S)、SO、SO又はPOであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ハロゲン又は
【化2】

であり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりRと連結して環を形成してもよい]の化合物、又はそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー若しくはジアステレオマー、若しくは製薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法(ただし、R
【化3】

の場合、R、R、R、R、及びRはそれぞれ水素でなく;R、R、R、及びRがそれぞれ水素の場合、Rはメトキシでなく;R、R、R、Rが水素の場合、Rはメトキシでなく;そしてR、R及びRが水素の場合、R及びRはメトキシでない)。
【請求項2】
がヒドロキシであり、XがC(O)であり、R
【化4】

であり、そしてR、R及びRがそれぞれ水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R及びRがそれぞれ水素であり、Rがアルコキシである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
がメトキシである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
及びRがそれぞれ水素であり、R及びRがそれぞれアルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
及びRがメチルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
及びRがそれぞれ水素であり、R及びRがそれぞれヒドロキシルである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
及びRがそれぞれ水素であり、R及びRが−O−CH−O−によって連結されて環を形成している、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
及びRがそれぞれ水素であり、Rがアルコキシであり、そしてRがヒドロキシルである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
がヘテロアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
がキノリンであるか、又は置換もしくは非置換チオフェンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
がクロロチオフェンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が
【化5】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
対象における血液疾患の治療又は予防法であって、前記対象に有効量の式II:
【化6】

[式中、
1’は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Yは、C(O)であり;
nは、0又は1〜5の整数であり;
10及びR10’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ヘテロサイクリックであるか、又は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11は、CR11’11”11’”、アルケニル、シクロアルキル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、カルボニルアルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン又は
【化7】

であり;
11’及びR11”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシル、ハロゲンであるか、又はR11’及びR11”は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11’”は、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
12は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリックであるか、又は場合によりR13と連結して環を形成してもよく;
13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシであるか、又は場合によりR12又はR14と連結して環を形成してもよく;
14は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか、又は場合によりR13又はR15と連結して環を形成してもよく;
15は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか、又は場合によりR14又はR16と連結して環を形成してもよく;
16は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか、又は場合によりR15と連結して環を形成してもよい]の化合物、又はそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー若しくはジアステレオマー、若しくは製薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法(ただし、R11
【化8】

の場合、R12、R13、R14、R15、及びR16はそれぞれ水素でなく;そしてnが2であり、R11
【化9】

であり、R10、R10’、R12、R15、及びR16が水素の場合、R14及びR15はメトキシでなく;そしてまたnが1であり、R11
【化10】

であり、R10、R10’、R13、R14、及びR16が水素の場合、R12及びR15はメトキシでない)。
【請求項15】
1’がヒドロキシである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
nが5であり、R10及びR10’が水素であり、そしてR11がアルキルカルボニルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
nが2であり、R10及びR10’がそれぞれ水素であり、そしてR11がCR11’11”11’”である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
11’及びR11”が−(CH−によって連結されてシクロヘキシル環を形成し、R11’”が置換又は非置換ヘテロサイクルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
11’”がクロロチオフェンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
nが0である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
11
【化11】

である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
13、R14、R15、及びR16が水素である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
12がアリールチオアルキルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
12がアルコキシ置換アリールオキシである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
12、R14、R15及びR16が水素である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
13が置換又は非置換ヘテロサイクルである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
13が、クロメン−2−オン、ニトロ置換ピラゾール、又はクロロ置換ピラゾールである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
12、R13、R15及びR16が水素であり、R13がアルコキシである、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
13がエトキシである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
12、R15及びR16が水素であり、R13及びR14が−N(H)C(O)CHS−によって連結されて環を形成している、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
14、R15及びR16がそれぞれ水素であり、R12及びR13が−CH=C(CH)O−によって連結されて環を形成している、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
11が置換又は非置換ヘテロサイクルである、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
11が置換アリール置換フランである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
11が置換又は非置換シクロアルキルである、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
11がテトラヒドロベンゾチアジアゾール又はジヒドロベンゾチオフェノンである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
nが1である、請求項15に記載の方法。
【請求項37】
10及びR10’が水素である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
11が置換又は非置換シクロアルキルである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
11がジメチルシクロブタンカルボン酸である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
11
【化12】

である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
12、R13及びR16が水素であり、R14及びR15が−O−CH−O−によって連結されて環を形成している、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
11が置換又は非置換ヘテロサイクルである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
11が、置換チアゾリジンジオン、置換ピリジノン又は置換ピラゾールである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
11が置換又は非置換アリールアミノである、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
11のアリールアミノがトリフルオロチオ置換アリールアミノである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
11が、置換もしくは非置換アリールチオ又は置換もしくは非置換ヘテロサイクリックチオである、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
11がメトキシフェニルチオである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
11が、置換トリアゾールチオ、置換チアジアゾールチオ又は置換チオフェンチオである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
11がCR11’11”11””である、請求項37に記載の方法。
【請求項50】
11’が水素であり、R11”がアミノであり、そしてR11’”がアルコキシ置換アリールである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
10が水素であり、R10’がアルキルである、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
10’がイソプロピルである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
11が置換又は非置換アリールチオである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
11がアルコキシ置換フェニルチオ又はアルコキシ置換ピリマジニルチオである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
10’がエチルである、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
11がヘテロアリールアミノである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
11がキナゾリニルアミノである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
10及びR10’が−(CH−によって連結されてシクロヘキシル環を形成している、請求項36に記載の方法。
【請求項59】
11がヘテロサイクリック置換カルボニルアルキルである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物が
【化13】

【化14】

である、請求項14に記載の方法。
【請求項61】
対象における血液疾患の治療又は予防法であって、前記対象に有効量の式III:
【化15】

[式中、
1”は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Zは、C(S)、SO、SO又はPOであり;
mは、0又は1〜5の整数であり;
17及びR17’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
18は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシル又はハロゲンである]の化合物、又はそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー若しくはジアステレオマー、若しくは製薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法。
【請求項62】
1”がヒドロキシルであり、ZがSOであり、mが0であり、そしてR18が二置換アリールである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
18がニトロ及びフルオロによって置換されている、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
化合物が、式:
【化16】

の化合物である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
対象における血液疾患の治療又は予防法であって、前記対象に有効量の式:
【化17】

の化合物を投与することを含む方法。
【請求項66】
血液疾患が、鎌状赤血球貧血、β−サラセミア、好中球減少症又は血小板減少症である、請求項1、14、61又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物が胎児性ヘモグロビン産生を刺激する、請求項1、14、61又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記化合物が造血を刺激する、請求項1、14、61又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記化合物が赤血球産生を刺激する、請求項1、14、61又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物が骨髄造血を刺激する、請求項1、14、61又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記化合物が好中球産生を刺激する、請求項1、14、61又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記化合物が一つ又は複数のサイトカインと組み合わせて投与される、請求項1、14、61又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記サイトカインが、IL−3、GM−CSF、C−CSF、SCF及びIL−6からなる群から選ばれる、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
有効量の請求項1、13、14、60、61又は65のいずれか1項に記載の化合物、又はそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー若しくはジアステレオマーと、製薬学的に許容しうる担体とを含む医薬組成物。
【請求項75】
式I:
【化18】

[式中、
は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Xは、C(O)、C(S)、SO、SO又はPOであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ハロゲン又は
【化19】

であり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか又は場合によりRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりR又はRと連結して環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンであるか、又は場合によりRと連結して環を形成してもよい]の化合物、又はそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー若しくはジアステレオマー、若しくは製薬学的に許容しうる塩(ただし、R
【化20】

の場合、R、R、R、R、及びRはそれぞれ水素でなく;R、R、R、及びRがそれぞれ水素の場合、Rはメトキシでなく;R、R、R、Rが水素の場合、Rはメトキシでなく;そしてR、R及びRが水素の場合、R及びRはメトキシでなく;そしてまた該化合物は請求項13に記載の化合物でない)。
【請求項76】
式II:
【化21】

[式中、
1’は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Yは、C(O)であり;
nは、0又は1〜5の整数であり;
10及びR10’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ヘテロサイクリックであるか、又は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11は、CR11’11”11’”、アルケニル、シクロアルキル、アルキニル、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、カルボニルアルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン又は
【化22】

であり;
11’及びR11”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシル、ハロゲンであるか、又はR11’及びR11”は場合により一緒になって環を形成してもよく;
11’”は、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
12は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリックであるか、又は場合によりR13と連結して環を形成してもよく;
13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヒドロキシであるか、又は場合によりR12又はR14と連結して環を形成してもよく;
14は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか、又は場合によりR13又はR15と連結して環を形成してもよく;
15は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか、又は場合によりR14又はR16と連結して環を形成してもよく;
16は、水素、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ハロゲンであるか、又は場合によりR15と連結して環を形成してもよい]の化合物、又はそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー若しくはジアステレオマー、若しくは製薬学的に許容しうる塩(ただし、R11
【化23】

の場合、R12、R13、R14、R15、及びR16はそれぞれ水素でなく;そしてnが2であり、R11
【化24】

であり、R10、R10’、R12、R15、及びR16が水素の場合、R14及びR15はメトキシでなく;そしてまたnが1であり、R11
【化25】

であり、R10、R10’、R13、R14、及びR16が水素の場合、R12及びR15はメトキシでなく;そしてまた該化合物は請求項60に記載の化合物でない)。
【請求項77】
式III:
【化26】

[式中、
1”は、ヒドロキシ又はアルコキシであり;
Zは、C(S)、SO、SO又はPOであり;
mは、0又は1〜5の整数であり;
17及びR17’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はヘテロサイクリックであり;
18は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アミド、アルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロアリール、ヒドロキシル又はハロゲンである]の化合物、又はそのラセミ化合物、単離されたエナンチオマー若しくはジアステレオマー、若しくは製薬学的に許容しうる塩(ただし、該化合物は請求項64に記載の化合物でない)。

【公表番号】特表2009−536659(P2009−536659A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509866(P2009−509866)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/011335
【国際公開番号】WO2007/133653
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508334236)ヘマクエスト・ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (1)
【出願人】(592246587)コロラド ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (17)
【Fターム(参考)】