説明

走行案内装置

【課題】自車の現在位置のマッチングが一時的に中断される状況となっても、不要な案内によって運転者の集中力を低下させることのない走行案内装置を提供する。
【解決手段】自車の現在位置のマッチングができない状態となった場合に、自車が位置したスクールゾーンの学校の位置座標を学校座標DB23に記憶し、その後、マッチング可能な状態へと復帰した際に、自車が範囲内に位置するスクールゾーンの学校の座標と学校座標DB23に記憶された学校の座標とが一致するか否かを判定し、一致すると判定された場合には、既に同一のスクールゾーンに対する案内を行っているので、スピーカ16による案内を行わずに、ディスプレイ15を用いて自車が位置するスクールゾーンの案内を画像のみにより行うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定施設の周辺にある施設周辺エリアの案内を行う走行案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、自車位置から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、ディスプレイ画面に誘導経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、運転者を所望の目的地まで確実に案内するようになっている。
【0003】
また、従来のナビゲーション装置では、特定施設の周辺にある施設周辺エリアに進入したことを案内することについても行われている。例えば、学校の周辺エリアについては、児童が通学路として利用する道路が多いので、走行する際に児童に注意するように案内することが望ましい。そこで、特開2002−250632号公報には、学校を中心とした所定範囲内のエリアであるスクールゾーンに自車が進入した場合に、スクールゾーンに進入したことを案内する走行案内装置について記載されている。
【特許文献1】特開2002−250632号公報(第4頁〜第6頁、図2〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前記した特許文献1に記載された走行案内装置では、走行経路に沿って走行しているときに、現在位置がスクールゾーン内にあるか否かを判定している。従って、現在位置が走行経路を構成する道路から外れ、再び走行経路に復帰した際に、既に進入しているスクールゾーンに再度進入したと誤認識されていた。
【0005】
以下に、図7を用いて上記従来の問題点について具体例を挙げて説明する。図7に示すように車両101が学校102の周囲に規定されたスクールゾーン103に進入すると、進入した地点Aにおいて先ずスクールゾーン103の案内が行われる。その後、地点Bにおいて車両101のマッチングが一時的に中断し、地点Cでマッチング可能な状態に復帰した場合には、地点Cにおいてもスクールゾーン103の案内が行われる。従って、地点Aでスクールゾーン103の案内を行っていたにもかかわらず、地点Cでも同一エリアであるスクールゾーン103の案内が行われることとなり、運転者の集中力を低下させる結果になっていた。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、自車の現在位置のマッチングが一時的に中断される状況となっても、既に案内が行われている特定施設の施設周辺エリアに関する案内は復帰後において制限するので、不要な案内によって運転者の集中力を低下させることのない走行案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る走行案内装置(1)は、地図に関する地図情報を記憶する地図情報記憶手段(22)と、前記地図上で特定施設を中心とする所定範囲内を規定した施設周辺エリアを取得するエリア取得手段(13)と、自車の現在位置を前記地図上の道路にマッチングするマップマッチング処理手段(13)と、前記マップマッチング処理手段によりマッチングされた自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置するか否か判定する位置判定手段(13)と、前記位置判定手段によりマッチングされた自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置すると判定された場合に案内を行う案内手段(15、16)と、を有する走行案内装置において、自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置する状態で、且つ前記マップマッチング処理手段により自車の現在位置を前記地図上の道路にマッチングできなくなった場合に、自車が位置した施設周辺エリアの特定施設を記憶する履歴記憶手段(23)と、前記マップマッチング処理手段により自車の現在位置を前記地図上の道路にマッチングできない状態からマッチング可能な状態となった場合に、前記位置判定手段によりマッチングされた自車の現在位置が前記履歴記憶手段に記憶された前記特定施設の施設周辺エリア内に位置するか否か判定する一致判定手段(22)と、前記一致判定手段によって自車の現在位置が前記履歴記憶手段に記憶された前記特定施設の施設周辺エリア内に位置すると判定された場合に前記案内手段による案内を制限する案内制限手段(13)と、を有することを特徴とする。
ここで、「特定施設を記憶する」とは特定施設を識別する為の情報(例えば、施設の設置された位置座標や施設ID)を記憶することを含む。
【0008】
また、請求項2に係る走行案内装置(1)は、請求項1に記載の走行案内装置であって、前記特定施設は学校であり、前記施設周辺エリアは前記学校を中心とする所定範囲内を規定したスクールゾーンであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る走行案内装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の走行案内装置であって、前記案内手段(15、16)は、画像による案内を行う画像案内手段(15)と、音声による案内を行う音声案内手段(16)と、を備え、前記案内制限手段(13)は、音声による案内を行わないように前記案内手段の案内を制限することを特徴とする。
【0010】
更に、請求項4に係る走行案内装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の走行案内装置であって、自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置する状態で、且つ前記マップマッチング処理手段(13)により自車の現在位置を前記地図上にマッチングできなくなった場合に、自車が位置した施設周辺エリアに関する案内を既に行ったか否かを判定する案内判定手段(13)を有し、前記履歴記憶手段(23)は前記案内判定手段により施設周辺エリアに関する案内を既に行ったと判定された場合に、前記自車が位置した施設周辺エリアの特定施設を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に記載の走行案内装置によれば、自車の現在位置のマッチングが一時的に中断される状況となっても、マッチングの中断前と復帰後とで同一の特定施設の施設周辺エリアに自車が位置する場合には、その施設周辺エリアに関する案内は復帰後において制限するので、不要な案内によって運転者の集中力を低下させることがない。
【0012】
また、請求項2に記載の走行案内装置によれば、特に学校の周辺エリアを規定したスクールゾーンの案内を行うに際して、自車の現在位置のマッチングが一時的に中断される状況となっても、マッチングの中断前と復帰後とで同一の学校のスクールゾーンに自車が位置する場合には、そのスクールゾーンに関する案内は復帰後において制限するので、不要な案内によって運転者の集中力を低下させることがない。
【0013】
また、請求項3に記載の走行案内装置によれば、頻繁に行っても影響が少ないと考えられる画像による案内は行いつつ、音声による案内は行わないように案内を制限するので、運転者への集中力の低下を抑えつつ、少なくとも特定施設の施設周辺エリアの存在については運転者に報知することが可能となる。従って、運転者が過去に行われた特定施設の施設周辺エリアの案内を聞いていなかった場合でも、特定施設の施設周辺エリアに自車が進入していることに気付かせることが可能となる。
【0014】
更に、請求項4に記載の走行案内装置によれば、自車の現在位置のマッチングが一時的に中断される状況となっても、既に案内を行った特定施設の施設周辺エリアに自車が位置する場合には、その施設周辺エリアに関する案内は復帰後において制限するので、同一の施設周辺エリアに対する案内を繰り返し行うことによって運転者の集中力を低下させる虞がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る走行案内装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0016】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(エリア取得手段、マップマッチング手段、位置判定手段、一致判定手段、案内制限手段、案内判定手段)13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して自車周辺の地図やスクールゾーンに対する案内等を表示するディスプレイ(案内手段)15と、経路案内に関する音声ガイダンスやスクールゾーンに対する案内等を出力するスピーカ(案内手段)16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17、交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信装置18と、から構成されている。また、ナビゲーションECU13には、自車の走行速度を検出する車速センサ19が接続される。
【0017】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0018】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB(地図情報記憶手段)22、学校座標DB(履歴記憶手段)23、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0019】
ここで、地図情報DB22は、経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種地図データが記録されている。具体的には、学校等の施設に関する施設データ24、施設データ24に記憶された施設の内、特に学校を中心とした半径500m以内のエリア(以下、スクールゾーンという)を記憶したスクールゾーンデータ25、道路(リンク)形状に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ、地図、道路、交通情報等の画像をディスプレイ15に描画するための画像描画データ等から構成されている。そして、ナビゲーションECU13は現在位置検出部11により検出された自車の現在位置と地図情報DB22に記憶された地図データとを用いて、自車の現在位置を地図上の道路にマッチングするマップマッチング処理を行う。
【0020】
また、学校座標DB23は、ナビゲーション装置1により自車の現在位置がマッチングできない状態となった際に、自車が最後に位置したスクールゾーンの学校の位置座標を記憶するDBである。そして、ナビゲーションECU13は学校座標DB23に記憶された座標情報に基づいて、後述するようにマッチングが復帰した際のスクールゾーンに対する案内の制限を行う。
【0021】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの誘導経路を設定する誘導経路設定処理、自車の現在位置を地図上の道路にマッチングするマップマッチング処理、自車がスクールゾーン内に位置する場合にスクールゾーンに対する案内を行うスクールゾーン案内処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、スクールゾーン案内処理プログラム(図2、図3参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0022】
操作部14は、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0023】
また、ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在位置から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、車両がスクールゾーンに進入した際には、スクールゾーンへと進入したことを案内するマークや案内文を表示する。
【0024】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、自車がスクールゾーンに進入した際には、スクールゾーンへと進入したことを案内する音声を出力する。但し、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、自車の現在位置がマッチングできない状態からマッチング可能な状態に復帰した時点で自車がスクールゾーン内に位置する場合には、後述のように音声によるスクールゾーンの案内が制限される。
【0025】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB22の更新等が行われる。
【0026】
また、通信装置18は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。
【0027】
一方、車速センサ19は、車両の車輪の回転に応じて車速パルスを発生させ、車両の移動距離や車速を検出するセンサである。
【0028】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行するスクールゾーン案内処理プログラムについて図2及び図3に基づき説明する。図2は本実施形態に係るスクールゾーン案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、スクールゾーン案内処理プログラムは車両のイグニションがONされた後に所定間隔(例えば200ms毎)で実行され、スクールゾーン内に進入した車両に対してスクールゾーンに対する案内を行うプログラムである。尚、以下の図2及び図3にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0029】
先ず、スクールゾーン案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41はナビゲーション情報を取得する。ここで、前記S1で取得されるナビゲーション情報としては、車両の現在位置、車両の方位、車両周辺の地図情報等がある。
【0030】
そして、S2ではCPU41は、自車の現在位置が地図上の道路にマッチング中であるか否かを判定する。そして、並設されている道路にマッチングの位置が移動した場合やGPSによる電波受信不良等の原因によって自車の現在位置がマッチング中でないと判定された場合(S2:NO)には、S3へと移行する。一方、自車の現在位置がマッチング中であると判定された場合(S2:YES)にはS6へと移行し、スクールゾーンに対する案内を行う案内実施処理(図3)が行われる。
【0031】
また、S3においてCPU41は、ナビゲーション装置1において後述のS15で最後に座標が取得された学校のスクールゾーン(即ち、マッチングができなくなる前に自車が最後に位置したスクールゾーン)に対する案内を既に行っているか否かを判定する。
【0032】
そして、最後に座標が取得された学校のスクールゾーンに対する案内を行っていると判定された場合(S3:YES)には、その最後に座標が取得された学校の座標を学校座標DB23に記憶する(S4)。それに対して、最後に座標が取得された学校のスクールゾーンに対する案内を行っていないと判定された場合(S3:NO)には、その最後に座標が取得された学校の座標を学校座標DB23に記憶することなく破棄する(S5)。尚、上記S3が案内判定手段の処理に相当する。
【0033】
次に、前記S6でナビゲーションECU13により実行される案内実施処理について図3に基づき説明する。図3は本実施形態に係る案内実施処理プログラムのフローチャートである。
【0034】
先ず、案内実施処理プログラムではS11においてCPU41は、学校を中心とした半径500m以内のエリアを規定したスクールゾーンに関する情報を地図情報DB22から取得する。尚、上記S11がエリア取得手段の処理に相当する。
【0035】
その後、S12でCPU41は、マップマッチング処理の結果において自車がいずれかのスクールゾーン内に位置する状態にあり、且つ、ナビゲーション装置1がナビゲーション画面を表示したスクールゾーンの案内が可能な状態にあるか否か判定する。
【0036】
その結果、自車がいずれのスクールゾーン内にも位置しない状態であると判定された場合、又はナビゲーション装置1が現在スクールゾーンの案内ができない状態にあると判定された場合(S12:NO)には、スクールゾーンの案内を行うことなく案内実施処理プログラムを終了する。
【0037】
一方、自車がいずれかのスクールゾーン内に位置する状態で、且つ、ナビゲーション装置1がスクールゾーンの案内が可能な状態にあると判定された場合(S12:YES)には、自車がエリア内に位置すると判定された全てのスクールゾーンの学校に関するデータ(具体的には学校の位置座標)を地図情報DB22から読み出す(S13)。尚、上記S12が位置判定手段の処理に相当する。
【0038】
次に、S14でCPU41は、前記S13で読み出した全学校について、自車位置から学校までの距離データのチェックが完了したか否か判定する。そして、全学校の距離データのチェックが完了していない場合(S14:NO)には、チェックが完了するまで待機する。一方、全学校の距離データのチェックが完了した場合(S14:YES)にはS15へと移行する。
【0039】
S15においてCPU41は、自車の現在位置と前記S13で取得した学校の位置座標とに基づいて、自車から最も近い位置にある学校を、ナビゲーション装置1により案内対象とするスクールゾーンの学校として選択して、座標を取得する。
【0040】
その後、S16でCPU41は、前記S15で選択した学校の座標が学校座標DB23に記憶されている学校の座標と一致するか否か判定する。尚、学校座標DB23には前記S4及びS5の処理によって、マッチングができなくなる前に自車が最後に位置したスクールゾーンの学校の座標が記憶されている。
従って、マッチングできない状態からマッチング可能な状態となった際に、マッチングができなくなる前と同一のスクールゾーンに位置し、且つそのスクールゾーンの案内を既に行っていた場合には、学校座標DB23に記憶されている学校の座標と一致すると判定される。
それに対して、(1)自車が新たなスクールゾーンに進入した場合、(2)マッチングできない状態からマッチング可能な状態となった際に、マッチングができなくなる前と異なるスクールゾーンに位置した場合、(3)マッチングできない状態からマッチング可能な状態となった際に、マッチングができなくなる前と同一のスクールゾーンに位置しているが、そのスクールゾーンの案内を行っていない場合には、学校座標DB23に記憶されている学校の座標と一致しないと判定される。
【0041】
そして、学校座標DB23に記憶されている学校の座標と一致しないと判定された場合(S16:NO)には、通常通りにディスプレイ15とスピーカ16を用いて自車が位置するスクールゾーンの案内を画像と音声により行う(S17)。一方、学校座標DB23に記憶されている学校の座標と一致すると判定された場合(S16:YES)には、既に同一のスクールゾーンに対する案内を行っているので、スピーカ16による案内を行わずに、ディスプレイ15を用いて自車が位置するスクールゾーンの案内を画像のみにより行う(S18)。尚、マッチングの復帰後に最初に行われた案内実施処理後に、学校座標DB23は初期化される。また、イグニッションがOFFされた際にも、同様に学校座標DB23は初期化される。それによって、誤ったスクールゾーンの案内が行われることを防止する。尚、上記S16が一致判定手段の処理に相当し、S18が案内制限手段の処理に相当する。
【0042】
次に、図4乃至図6を用いて前記案内実施処理によるスクールゾーン案内の具体例について説明する。
図4に示すように、自車51が学校52のスクールゾーン53に初めて進入した段階では、学校座標DB23にはいずれの学校の位置座標も記憶されていない。従って、S16において自車51から最も近い位置にある学校52の座標と学校座標DB23に記憶されている学校の座標とが一致しないと判定されて、通常通りにディスプレイ15とスピーカ16を用いてスクールゾーン53に対する案内が画像と音声の両方により行われる。
【0043】
次に、図5に示すように、自車51が学校52のスクールゾーン53に進入した後に地点Xでマッチングできない状態となった段階では、前記S3においてマッチングができなくなる前に自車が最後に位置したスクールゾーン53に対する案内を既に行っていると判定される。従って、S4において学校52の座標が学校座標DB23に記憶される。
【0044】
その後、図6に示すように、自車51が学校52のスクールゾーン53内でマッチンクできない状態から地点Yでマッチング可能な状態に復帰した段階では、S15において自車51から最も近くにある学校52が選択される。そして、S16においては学校座標DB23に記憶されている学校52と一致すると判定されるので、スピーカ16による案内を行わずに、ディスプレイ15を用いてスクールゾーン53の案内が画像のみにより行われる。それによって、スクールゾーン53の案内を音声により繰り返し行うことを防止できる。
【0045】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、自車の現在位置のマッチングができない状態となった場合(S3:NO)に、自車が位置したスクールゾーンの学校の位置座標を学校座標DB23に記憶し(S4)、その後、マッチング可能な状態へと復帰した際に、自車が範囲内に位置するスクールゾーンの学校の座標と学校座標DB23に記憶された学校の座標とが一致するか否かを判定し(S16)、一致すると判定された場合(S16:YES)には、既に同一のスクールゾーンに対する案内を行っているので、スピーカ16による案内を行わずに、ディスプレイ15を用いて自車が位置するスクールゾーンの案内を画像のみにより行う(S18)ので、自車の現在位置のマッチングが一時的に中断される状況となっても、不要なスクールゾーンの案内を繰り返し行うことによって運転者の集中力を低下させることがない。
また、頻繁に行っても影響が少ないと考えられる画像による案内は行いつつ、音声による案内は行わないように案内を制限するので、運転者への集中力の低下を抑えつつ、少なくともスクールゾーンの存在については運転者に報知することが可能となる。従って、運転者が過去に行われたスクールゾーンの案内を聞いていなかった場合でも、スクールゾーンに自車が進入していることに気付かせることが可能となる。
【0046】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では学校の周囲エリアを規定したスクールゾーンの案内を行う場合について説明したが、他の施設(例えば、病院や消防署)の周囲エリアを案内する場合についても本願発明は適用可能である。
【0047】
また、本実施形態ではマッチングができない状態となる直前に位置したスクールゾーンを特定する為に、そのスクールゾーンの学校の位置座標を学校座標DB23に記憶する(S4)ようにしているが、学校の施設IDを記憶するようにしても良い。また、学校ではなくスクールゾーンを特定する情報を記憶するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】本実施形態に係るスクールゾーン案内処理プログラムのフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る案内実施処理プログラムのフローチャートである。
【図4】自車がスクールゾーンに進入した段階を示した模式図である。
【図5】自車がスクールゾーンに進入した後に地点Xでマッチングできない状態となった段階を示した模式図である。
【図6】自車がスクールゾーンに進入した後にマッチンクできない状態から地点Yでマッチング可能な状態となった段階を示した模式図である。
【図7】従来の問題点を説明した説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
15 ディスプレイ
16 スピーカ
22 地図情報DB
23 学校座標DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図に関する地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図上で特定施設を中心とする所定範囲内を規定した施設周辺エリアを取得するエリア取得手段と、
自車の現在位置を前記地図上の道路にマッチングするマップマッチング処理手段と、
前記マップマッチング処理手段によりマッチングされた自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置するか否か判定する位置判定手段と、
前記位置判定手段によりマッチングされた自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置すると判定された場合に案内を行う案内手段と、を有する走行案内装置において、
自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置する状態で、且つ前記マップマッチング処理手段により自車の現在位置を前記地図上の道路にマッチングできなくなった場合に、自車が位置した施設周辺エリアの特定施設を記憶する履歴記憶手段と、
前記マップマッチング処理手段により自車の現在位置を前記地図上の道路にマッチングできない状態からマッチング可能な状態となった場合に、前記位置判定手段によりマッチングされた自車の現在位置が前記履歴記憶手段に記憶された前記特定施設の施設周辺エリア内に位置するか否か判定する一致判定手段と、
前記一致判定手段によって自車の現在位置が前記履歴記憶手段に記憶された前記特定施設の施設周辺エリア内に位置すると判定された場合に前記案内手段による案内を制限する案内制限手段と、を有することを特徴とする走行案内装置。
【請求項2】
前記特定施設は学校であり、
前記施設周辺エリアは前記学校を中心とする所定範囲内を規定したスクールゾーンであることを特徴とする請求項1に記載の走行案内装置。
【請求項3】
前記案内手段は、
画像による案内を行う画像案内手段と、
音声による案内を行う音声案内手段と、
を備え、
前記案内制限手段は、音声による案内を行わないように前記案内手段の案内を制限することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行案内装置。
【請求項4】
自車の現在位置が施設周辺エリア内に位置する状態で、且つ前記マップマッチング処理手段により自車の現在位置を前記地図上の道路ににマッチングできなくなった場合に、自車が位置した施設周辺エリアに関する案内を既に行ったか否かを判定する案内判定手段を有し、
前記履歴記憶手段は前記案内判定手段により施設周辺エリアに関する案内を既に行ったと判定された場合に、前記自車が位置した施設周辺エリアの特定施設を記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の走行案内装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−249656(P2008−249656A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94500(P2007−94500)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】