説明

車両用データ要否判定装置、車両用データ報知装置および路側通信機

【課題】利用者が必要と考えられるときに即座にデータを確保できるようにした
【解決手段】制御部は、車両が通信可能領域に進入すると共に、この車速が所定速度以下であることを条件として通信確立して路側通信機から配信されるデータを受信し(S1〜S3)、車両が店舗エリア内に進入したことを条件としてデータ確保して表示部に対して表示制御し(S10)、所定時間経過したとしても店舗エリア外に位置していると判定したことを条件としてデータ破棄する(S7〜S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側に配信されたデータの要否を判定する車両用データ要否判定装置、および外部から受信したデータを報知するための車両用データ報知装置、並びに車両側に対してデータを配信するための路側通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置や機器として例えば特許文献1に開示されている技術が知られている。この特許文献1に開示されている技術によれば、大容量の情報を通信効率の良いシステムを経由して配信できるようになる。その他にも当該装置や機器の一例として特許文献2ないし5の技術が知られている。例えば、特許文献2には、路側機により車両の存在が確認された時に、路側機から車載器に対して広告データを送信し、車載器は受信した広告データを表示装置に表示する構成が開示されている。
【0003】
近年、駅や空港、ホテル、喫茶店、公共施設などにおいては、無線LAN(Local Area Network)等を使用したアクセスポイントが提供されつつある。このアクセスポイント付近のホットスポットにおいては、所定の認証を受けることにより携帯端末をインターネット等のネットワークに接続することができる。
【特許文献1】特開2004−171069号公報
【特許文献2】特開2002−269607号公報
【特許文献3】特開2001−298397号公報
【特許文献4】特開2002−261685号公報
【特許文献5】特開2001−333455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホットスポット等の通信可能領域から配信されたデータを車両側で受信するような場合には、利用者は通信可能領域周辺で車両を停車させた状態でネットワーク接続する必要が生じてしまう。近年、エネルギー削減の観点からアイドリング規制などの動きが活発化しており、利用者が通信可能領域においてデータを送受信するためにエンジンをアイドリングさせるような状況は好ましくない。
【0005】
したがって、特許文献2記載の広告配信システムのように、路側通信機により車両の存在が確認された時に路側通信機から車載器に対して例えば広告データを送信し、車載器が受信した広告データを表示装置に表示する構成を適用すると、広告データを送受信するための待ち時間を必要とする。したがって利用者は車両を停車させエンジンをアイドリングさせる必要が生じてしまう。すなわち路側通信機と車載器との間で効率よく通信することができる構成が待望されている。
【0006】
また、利用者が必要としないデータの場合には車両内に報知する意味がない。利用者(特に車両の運転者)が表示装置を確認するときには安全性の面から短時間で確認可能にする必要がある。このため不必要なデータを車両内に報知することは極力避ける必要がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、利用者が必要と考えられるときに即座にデータを確保できるようにした車両用データ要否判定装置および当該判定装置により必要と判定されたときにデータを外部に報知することができる車両用データ報知装置を提供することにあり、その第2の目的は、車両側に対してデータを効率よく配信できるようにした路側通信機を提供することにあり、その第3の目的は、運転者が安全にデータを確認できるようにした車両用データ報知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、次のように作用する。第1の判定手段が外部通信機器との間の通信可能領域内に車両が位置しているか否かを判定する。第1の判定手段により通信可能領域内に車両が位置していることを判定すると受信制御手段は外部通信機器から配信されたデータを受信手段に受信させる。受信手段の受信データが必要であると指示手段により外部から指示された場合には、要否判定手段は受信データを確保判定し、逆に受信データが必要でないと外部から指示された場合には、要否判定手段は受信データを破棄判定する。したがって、利用者が必要と考えるときに即座にデータを確保できるようになる。しかも必要なければデータを即座に破棄できる。すなわち、利用者は必要なときに必要な情報を即座に取得できる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、次のように作用する。第1の判定手段は外部通信機器との間の通信可能領域内に車両が位置しているか否かを判定する。第1の判定手段が通信可能領域内に車両が位置していることを判定すると受信制御手段は外部通信機器から配信されたデータを受信手段に受信させる。第2の判定手段は、通信可能領域に対応した所定領域内に進入したか否かを判定する。要否判定手段は第2の判定手段の判定結果に応じて受信手段の受信データを確保判定もしくは破棄判定する。例えば、利用者が通信可能領域に対応した所定領域に車両を移動させると受信データを確保し、所定領域に車両を移動させることがないと受信データを破棄する。すなわち、所定領域に移動したときには必要と判定してデータを自動的に確保する。これにより、利用者は必要と考えられるときに即座にデータを確保できるようになる。
【0010】
尚、本発明における「通信可能領域に対応した所定領域」とは、通信可能領域に対して通信処理を行うための路側通信機を管理する管理者や、路側通信機からデータを配信する配信者や、当該データの元記事を製作する製作者や、広告データの示す記事に記載される製品を販売する販売者、等が拠点とする事業所、社屋、製品販売所、営業所やこれらの駐車場等の領域を示し、言い換えると通信可能領域に配信されるデータに関連した領域を示している。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、受信制御手段は、車両の移動速度が所定速度よりも遅いことを条件としてデータを受信するように制御するため、車両が所定速度よりも速い場合に比較して路側通信機との間の通信効率を向上することができる。
請求項4記載の発明によれば、受信制御手段は、車両側で予め設定されたカテゴリの情報のみを選択的に受信するように制御するため、利用者の意志に応じたデータを受信することができ、不必要なデータを受信することがなくなる。
【0012】
請求項5記載の発明によれば、第1の判定手段により通信可能領域内に車両が位置していると一旦判定され受信手段がデータを受信した後、要否判定手段が受信手段の受信データを確保判定する前に所定時間経過後第2の判定手段が所定領域内から外れていると判定すると、要否判定手段は受信手段の受信データを破棄判定するため、受信データを保持する記憶装置の記憶領域を有効に活用できる。
【0013】
請求項6記載の車両用データ報知装置によれば、報知手段が、請求項1ないし5の何れかに記載の車両用データ要否判定装置の受信手段によりデータを受信完了したことを条件として当該受信完了したことを前記車両内に報知するため、車両用データ要否判定装置により必要と判定されたときにデータを外部に報知することができるようになる。これにより利用者は必要としない情報まで理解する必要もなくなる。
【0014】
請求項7記載の車両用データ報知装置によれば、報知手段は、請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用データ要否判定装置の要否判定手段により受信手段の受信データが確保判定されたことを条件として当該受信データを前記車両内に報知するため、車両用データ要否判定装置により必要と判定されたときにデータを外部に報知できるようになる。
【0015】
請求項8記載の車両用データ報知装置によれば、報知手段が受信データを表示する表示手段により構成されているため、利用者は受信データを確実に視認することができる。
請求項9記載の車両用データ報知装置によれば、検出手段は車両が通信可能領域内に進入したか否かを検出し、判定手段は車両の速度が所定速度以下であるか否かを判定し、検出手段が通信可能領域内に車両が進入したことを検出すると共に、判定手段が車両の速度を所定速度以下であると判定したことを条件として、車両に対して配信されたデータを表示部に表示制御するため、利用者は表示部に表示されたデータを安全に確認できるようになる。
【0016】
請求項10記載の路側通信機によれば、判定手段が車両の速度が所定速度以下であるか否かを判定し、配信手段は判定手段が車両の速度を所定速度以下であると判定すると車両に対してデータを配信するため、無線通信処理の妨害を受けることを抑制することができ、車両側に対してデータを効率よく配信できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の車両用データ要否判定装置および車両用データ報知装置をナビゲーション装置に適用し、外部通信機器としての路側通信機との間で通信し配信データを送受する第1の実施形態について、図1ないし図3を参照しながら説明する。
図2は、全体システムの電気的構成を機能ブロックの組み合わせにより概略的に示している。
この図2に示すように、例えば車両用のナビゲーション装置1は、制御部2に対して、位置検出器3、地図データ入力器4、報知手段としての表示部5、指示手段としての操作スイッチ群6、音声処理部7、リモコンセンサ8、外部メモリ9、受信手段としての送受信部10などを接続して構成されている。
【0018】
制御部2は、CPU、メモリなどを備えており、要否判定手段、第1の判定手段、第2の判定手段、受信制御手段、表示制御手段として機能する構成である。
制御部2の構成要素のうち、メモリにはナビゲーション用のプログラムなどが搭載されると共に、プログラム実行時の処理データの他に地図データ入力器4から取得した道路地図データなどが一時的に格納されるようになっている。
【0019】
位置検出器3は、例えば、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からのGPS信号を受信するGPS受信機、ヨーレートを検出するためのジャイロスコープ、車両の速度を検出するための車速センサ、地磁気を検出するための地磁気センサ、互いに直交する3軸方向の加速度を検出するための加速度センサ、車両のピッチング方向の傾斜角を検出するための傾斜センサ(何れも図示せず)等を、その位置検出精度に応じて備えて構成されている。位置検出器3は、これらの構成要素の検出信号を補間しながら高精度に位置検出するようになっている。
【0020】
地図データ入力器4は、CD−ROMやDVD−ROMあるいはハードディスク、不揮発性の半導体メモリなどのような大容量の情報記憶媒体を利用して地図データを入力するための装置である。この地図データとしては、地図表示のための地図描画用データ、マップマッチングや経路探索、経路誘導などの種々の処理に必要な道路データ、交差点の詳細データからなる交差点データ、背景レイヤを表示するための背景データ、地名、地域などを表示するための地名データのほかに、施設名称データ、電話番号と施設との対応を示す電話番号データなど、地図に対応したデータを対象としている。これらの地図データは、前述した各データ毎に記録されデータベースとして構成されている。
【0021】
表示部5は、地図画面などを表示するための例えばカラー液晶ディスプレイ等により構成されており、車両の運転席近傍に設置される。この表示部5の画面には、通常時において縮尺を複数段階に変更可能な道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置および進行方向を示すポインタ(図示せず)が表示されるようになっている。また、周知のダイクストラ法を用いて行われる目的地までの経路計算結果に基づいた経路案内機能の実行時には、道路地図に重ね合わせた状態で進むべき案内ルートが表示されるようになっている。
【0022】
さらに利用者(一般には車両の運転者)による目的地や経由地などの地点検索およびこの地点を入力するための各種のメニュー画面および入力画面、並びに各種のメッセージ、インフォメーションやヘルプ画面なども表示されるようになっている。
【0023】
操作スイッチ群6は、表示部5の周辺に配設されたメカニカルスイッチや当該表示部5の表示画面上に形成されたタッチパネル(何れも図示せず)などからなり、各種データや設定事項などの操作に係るコマンドや、文字情報や地図の指定指示情報を信号として制御部2に与えるために設けられている。
【0024】
音声処理部7は、音声合成回路等を備え、スピーカ11およびマイク12を接続して構成されている。この音声処理部7は、制御回路2からの音声情報に応じた音声出力を発生したり、マイク12からの音声情報を入力する構成となっている。スピーカ11は、報知手段として機能する。リモコンセンサ8は、リモコン13からの操作信号を赤外線信号により受信して制御部2に与えるようになっている。
【0025】
外部メモリ9は、フラッシュメモリなどのデータ書換可能な不揮発性メモリにより構成されており、例えば他の規格の情報記録媒体に対応するためのプログラムソフトを記憶したり特定のデータ(走行軌跡の履歴やデジタルカメラにより取り込まれた画像情報など)の保存や呼出などを行うために設けられている。
【0026】
送受信部10は、所定の無線通信規格、例えば周知のDSRC(狭域無線通信:Dedicated Short Range Communication)や、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)等により外部の路側通信機20(外部通信機器に相当)との間で例えば近距離無線通信により所定範囲内で無線通信可能に構成されている。
【0027】
外部通信機器としての路側通信機20は、通信制御装置21に対してアクセスポイント(基地局)22を接続して構成されており、上記所定の無線通信規格によりアクセスポイント22の周囲の所定距離(無線通信可能領域L1:図3参照)内において送受信部10との間で無線通信可能に構成されている。ここで無線通信可能領域L1はホットスポットと称される領域である。このホットスポットとは、駅・空港・ホテル・喫茶店・公共施設など外出先において無線LAN(Local Area Network)等を用いてインターネット接続を可能にする場所や施設、およびサービスを受信可能な場所のことを示している。
【0028】
このアクセスポイント22は、図3(a)に一例を示すように、施設Aの店舗エリアL2の前の道路を無線通信可能領域L1に設定するように設置される。もしくは、図3(b)に一例を示すように、アクセスポイント22は、施設Aの近辺に存在する信号待ちエリア(図3(b)には信号を図示していない)を無線通信可能領域L1に設定するように設置される。
【0029】
尚、店舗エリアL2は、図3(a)や図3(b)に示すように、その近接施設Aに所用のある利用者が車両Cに乗車して通過する領域を示している。一例を挙げると、施設Aは車両Cのディーラ(販売所)であり、店舗エリアL2はこのディーラの駐車場等である。
【0030】
制御部2は、操作スイッチ群6やリモコンセンサ8を通じてリモコン13から入力されたコマンドに基づいて、周知の地図表示機能、経路計算機能、経路案内機能、電話番号検索機能、郵便番号検索機能、マップコード(登録商標)のような固有コードを利用した検索機能などの多種多様な支援機能に係る処理を実行するように構成されている。
【0031】
上記構成の作用について、図1をも参照しながら説明する。
本実施形態は、前述した本来のナビゲーション機能に加え、路側通信機20のデータ配信機能や車両用のナビゲーション装置1のデータ要否判定機能に特徴を備えているため、以下、その部分を中心に説明を行う。
【0032】
図1は、ナビゲーション装置の動作を概略的にフローチャートにより示している。
まず、ナビゲーション装置1の制御部2は、車両Cが無線通信可能領域L1に進入したか否かを判定する(ステップS1)と共に、車速が所定速度以下(好ましくは停車)であるか否かを車速センサにより判定する(ステップS2)。これらの条件を満たした場合に限り、路側通信機20とナビゲーション装置1との間で通信確立し路側通信機20が通信確立した車両Cのナビゲーション装置1に対してデータを配信すると良い。この場合、例えば信号待ちなどしている最中に通信することができるため、通信効率やデータ配信効率を向上できる。尚、これらのステップS1およびS2における進入判定や速度判定は、路側通信機20が行うようにしても良い。
【0033】
制御部2は、ステップS1およびS2の条件を満たすと、路側通信機20との間で通信確立処理を行い、路側通信機20は広告データなどのデータ配信処理を行い、制御部2は、送受信部10により受信する(ステップS3)。この配信処理により配信されるデータは、施設Aに関するお勧め情報、施設Aが車両Cのディーラの場合にはオイル交換の時期が到来したことを伝達するためのオイル交換情報、ディーラにて販売している商品の購入リストなどの広告情報等の施設Aに関連した情報を示している。このとき、当該データをバックグラウンドで受信できるため、利用者に認識させることなく受信できる。
【0034】
ナビゲーション装置1の制御部2は、データを受信継続し(ステップS4:NO)、データの受信を完了すると(ステップS4:YES)、受信完了アイコンを表示部5の表示画面に表示させる(ステップS5)。これは、利用者(例えば運転者)に対して配信されたデータが存在することや配信データの種類を報知しているだけであり実際に配信された広告データ等を報知しているわけではない。
【0035】
この後、制御部2は、車両Cが店舗エリアL2内に位置(移動)するか否かを判定する(ステップS6)。この位置判定処理は、制御部2に接続された位置検出器3による位置検出機能を用いても良いし、図3(b)に示すように、路側通信機20が店舗エリアL2に設置されたアクセスポイント22から無線通信可能であると判定したことを条件として店舗エリアL2に車両Cが位置していると判定処理しても良い。すなわち、路側通信機20が位置判定処理を行っても良い。
【0036】
制御部2は、ステップS4にてデータの受信を完了後、所定時間(例えば5分)経過していない場合には(ステップS7:NO)、ステップS6にて判定処理を繰り返すが、所定時間経過した場合には、車両Cが店舗エリアL2外に存在しているか否かを確認し(ステップS8)、店舗エリアL2の外部に位置している場合には、受信データを破棄する(ステップS9)。すなわち、車両C内に報知することなく破棄する。これは、利用者が当該データを必要ないと判定していることを意味している。
【0037】
他方、ステップS6にて車両Cが店舗エリアL2内に位置していると判定した場合には、制御部2はデータ確保して表示部5の表示画面に表示制御する(ステップS10)。すなわち、車両Cの搭乗者が施設Aに所用があると判定された場合に表示部5の表示画面にデータを表示させる。このとき、利用者はディーラにて販売している商品の購入リストの表示画面を見て購入したい場合には、施設Aに入店して商品を購入することができるようになる。
【0038】
本実施形態によれば、ナビゲーション装置1の制御部2は、車両Cが通信可能領域に進入すると共に、この車速が所定速度以下であることを条件として通信確立して路側通信機20から配信されるデータを送受信部20により受信し、車両Cが店舗エリアL2内に進入したことを条件としてデータ確保して表示部5に対して表示制御し、所定時間経過したとしても店舗エリアL2外に位置していると判定したことを条件としてデータ破棄するようにしたので、利用者が必要と考えられるデータのみを確保して表示させることができるようになる。利用者が必要と考えるときのみデータを即座に確保できるようになる。しかも必要なければデータを破棄できるようになり、受信データを保持するメモリの記憶領域を有効に活用できるようになる。
【0039】
車両Cの移動速度が所定速度よりも遅いことを条件としてデータを受信するように制御しているため、車両Cが所定速度よりも速い場合に比較して路側通信機20との間の通信効率を向上することができる。したがって、特にアクセスポイント22が図3(b)に示すように信号待ち等でアイドリング時間の長い場所に設置されていれば、この信号待ちの間に通信処理を完了させることができ、データ受信するための時間を確保する必要がなくなる。したがってアイドリングの時間を短縮させることができ、エネルギーを節約することができる。
【0040】
本実施形態においては、無線通信可能領域L1内に存在する少なくとも一部の車両Cに対して車両Cからの要求の有無に関わらず提供するプッシュ型サービスや、車両Cからの要求に応じて提供するプル型サービスとは異なる種類の配信処理を行っており、利便性の高いデータ配信処理を行うことができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態を示すもので、前述実施形態と異なるところは、外部からの利用者による受信データの要否指示に基づいて受信データを確保/破棄判定するところにある。前述実施形態と同一部分、同一処理については同一符号、同一ステップ番号を付して説明を省略し、以下、異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
図4に示すように、制御部2は、車両Cが店舗エリアL2内に存在していたとしても操作スイッチ群6やリモコン13によりデータ表示指示がある(ステップS11:YES)ときステップS10においてデータを確保、表示部5に対して表示制御するようにし、データの表示指示がなければ(ステップS11:NO)、ステップS9においてデータを破棄する。
【0043】
この場合、データの表示指示がない限り受信データを表示しないため、前述実施形態に比較して利用者が必要と考えられるデータのみを確保して表示させることができる。
またこの場合、ステップS6の店舗エリアL2内に存在しているか否かを判定する条件は、必要に応じて設ければ良い。利用者が車両Cを店舗エリアL2内に移動させるか否かは、利用者の意志に基づく行動であり、本実施形態においてはステップS11のデータ表示指示によりこの意志が確認されるためである。これにより、利用者は必要なときに必要な情報を即座に取得できるようになり、必要ないと考えればデータを即座に破棄できるようになる。
【0044】
また、車両Cが所定速度以下であることを条件としてデータを受信し、操作スイッチ群6から与えられるデータ表示指示に基づいてデータを表示部5に表示制御するようにしているため、利用者は表示部5に表示されたデータを安全に確認できるようになる。尚、制御部2がデータを確保して表示制御する直前に車速を再度確認するようにしても良い。
【0045】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形もしくは拡張が可能である。
表示部5に表示制御する実施形態を示したが、これに限定されるものではなく、スピーカ11から音、音声により報知するようにしても良い。
車両Cに搭載されたナビゲーション装置1側の操作スイッチ群6で予め設定されたカテゴリの情報のみを選択的に受信するように制御することが望ましい。この場合、利用者の意志に応じたデータを受信することができ、不必要なデータを受信することがなくなる。
【0046】
ナビゲーション装置1に送受信部10を設けた実施形態を示しているが、この送受信部10はナビゲーション装置1に一体型でも別体型のものであっても良い。
店舗エリアL2に対応する領域として、無線通信可能領域L1に対して無線通信処理を行うための路側通信機20を管理する管理者や、路側通信機20を通じてデータを配信する配信者や、当該データの元記事を製作する製作者や、広告データの示す記事に記載される製品を販売する販売者、等が拠点とする事業所、社屋、製品販売所、営業所、これらの駐車場等の領域を適用しても良い。すなわち言い換えると、この店舗エリアL2に対応する領域は、無線通信可能領域L1に配信されるデータに関連した領域を示している。
【0047】
配信されるデータは、ナビゲーション装置1の地図データ入力器4により入力される地図データの更新データなどであっても良い。この場合、ダウンロード待機時間を0とすることができるようになる。利用者は施設A内に入店して購入手続を行うことで、配信されるデータを利用できるようになる。これにより利便性が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る概略的な動作を示すフローチャート
【図2】概略的なブロック構成図
【図3】(a)および(b)は通信可能領域や対応した所定領域(店舗エリア)の設置態様の一例を模式的に示す図
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【符号の説明】
【0049】
図面中、1はナビゲーション装置(車両用データ要否判定装置、車両データ報知装置)、2は制御部(要否判定手段、第1の判定手段、第2の判定手段、受信制御手段、表示制御手段)、5は表示部(報知手段)、6は操作スイッチ群(指示手段)、10は送受信部(受信手段)、20は路側通信機(外部通信機器)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信機器との間の通信可能領域内に車両が位置している否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が通信可能領域内に前記車両が位置していることを判定すると前記外部通信機器から配信されたデータを受信手段に受信させる受信制御手段と、
前記受信手段の受信データが必要であるか否かを外部から指示するための指示手段と、
この指示手段の指示結果に応じて受信データを確保判定または破棄判定する要否判定手段とを備えたことを特徴とする車両用データ要否判定装置。
【請求項2】
外部通信機器との間の通信可能領域内に車両が位置しているか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が通信可能領域内に前記車両が位置していることを判定すると前記外部通信機器から配信されたデータを受信手段に受信させる受信制御手段と、
前記車両が前記通信可能領域に対応した所定領域内に進入したか否かを判定する第2の判定手段と、
この第2の判定手段の判定結果に応じて前記受信手段の受信データを確保判定もしくは破棄判定する要否判定手段とを備えたことを特徴とする車両用データ要否判定装置。
【請求項3】
前記受信制御手段は、車両の移動速度が所定速度よりも遅いことを条件としてデータを受信するように制御することを特徴とする請求項1または2記載の車両用データ要否判定装置。
【請求項4】
前記受信制御手段は、車両側で予め設定されたカテゴリの情報のみを選択的に受信するように制御することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の車両用データ要否判定装置。
【請求項5】
前記第1の判定手段により通信可能領域内に前記車両が位置していると一旦判定され前記受信手段がデータを受信した後、前記要否判定手段が前記受信手段の受信データを確保判定する前に所定時間経過後前記第2の判定手段が前記所定領域内から外れていると判定すると、前記要否判定手段は前記受信手段の受信データを破棄判定することを特徴とする請求項2ないし4の何れかに記載の車両用データ要否判定装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の車両用データ要否判定装置の受信手段によりデータを受信完了したことを条件として当該受信完了したことを前記車両内に報知する報知手段を備えたことを特徴とする車両用データ報知装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用データ要否判定装置の要否判定手段により受信手段の受信データが確保判定されたことを条件として当該受信データを前記車両内に報知する報知手段を備えたことを特徴とする車両用データ報知装置。
【請求項8】
前記報知手段は、受信データを表示する表示手段により構成されていることを特徴とする請求項6または7記載の車両用データ報知装置。
【請求項9】
車両が通信可能領域内に進入したか否かを検出する検出手段と、
車両の速度が所定速度以下であるか否かを判定する判定手段と、
前記検出手段が、通信可能領域内に前記車両が進入したことを検出すると共に、前記判定手段が、前記車両の速度を所定速度以下であると判定したことを条件として、前記車両に対して配信されたデータを表示部に表示制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする車両用データ報知装置。
【請求項10】
車両の速度が所定速度以下であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が車両の速度を所定速度以下であると判定したことを条件として前記車両に対してデータを配信する配信手段とを備えたことを特徴とする路側通信機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−116606(P2007−116606A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308523(P2005−308523)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】