説明

金属からなるゲート電極を形成するための方法

一の実施形態では、ゲート誘電体層(18)を基板(10)の上に形成し、次に第1金属層(26)を、ゲート誘電体層(18)の内、第1素子タイプが形成される予定の部分の上に選択的に堆積させる。第1金属層(26)とは異なる第2金属層(28)は、ゲート誘電体層(18)の内、第2素子タイプが形成される予定の露出部分の上に選択的に形成される。第1及び第2素子タイプの各々は異なる仕事関数を有することになる、というのは、第1及び第2素子タイプの各々が、ゲート誘電体と直接コンタクトする異なる金属を含むことになるからである。一の実施形態では、第1金属層(26)の選択的堆積は、ALDにより、かつ阻止層(24)を使用することにより行なわれ、阻止層は、第1金属層(26)を、ゲート誘電体層(18)の内、阻止層(24)によって覆われない部分の上にのみ選択的に堆積させることができるようにゲート誘電体層(18)の上に選択的に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して半導体処理に関し、特に例えばデュアルメタルゲート積層構造に使用することができる金属を有するゲート電極の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術が進歩するにつれて、半導体素子のサイズが益々小さくなるので、素子を小さくすることができることが望ましい。素子を適切に小さくすることができるためには、閾値電圧を素子縮小に応じて調整することができることが必要となる。しかしながら、ポリシリコンゲートの場合、必要な駆動電流を維持しながら閾値電圧を適切に調整することは難しい、または不可能である。従って、この技術分野では、所望の閾値電圧レベルの縮小素子を実現するためにポリシリコンではなく、金属の使用を模索し始めている。金属を素子のゲート電極積層構造の内部のゲート誘電体の上に直接設けることにより、仕事関数差に応じた特性を向上させることができる。すなわち、ゲート誘電体と直接コンタクトする異なる金属を使用することにより異なる仕事関数が得られる。従って、異なる仕事関数を持つゲート電極を必要とするPMOS素子及びNMOS素子は共に、それぞれのゲート誘電体と直接コンタクトする異なる金属を使用して形成する必要がある。しかしながら、このデュアルメタルゲート積層構造を実現するためには問題が生じる。
【0003】
例えば、今日知られているデュアルメタルゲート積層構造を実現するための一のアプローチでは、第1金属層を、ゲート誘電体の上にブランケット堆積法により堆積させる(この場合、この第1金属層を使用して、例えばPMOS素子のような第1タイプの素子の金属材料ゲート電極積層構造を形成することができる)。しかしながら、次にこの第1金属層を、ゲート誘電体の内、金属材料ゲート電極積層構造内部のゲート誘電体とコンタクトする異なる金属層を必要とする、例えばNMOS素子のような第2タイプの素子を形成するために使用される部分から除去する必要がある。従って、第1金属層をゲート誘電体層の一部分から除去した後、第2金属層を形成する必要がある(この場合、第2金属層を使用して、第2タイプの素子の金属材料ゲート電極積層構造を形成することができる)。
【0004】
この先行技術による問題解決法では、第1金属層の一部分は従来のフォトリソグラフィ法を使用するドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれかによって除去する。しかしながら、第1金属層を堆積させ、そして続いてゲート誘電体の一部分から除去することによって、多くの問題が生じて素子の特性を劣化させる。例えば、エッチングによって第1金属層のエッチング不足が生じて第1金属層の残渣材料がゲート誘電体の上に残り、この残渣材料が、結果として得られる素子の仕事関数に悪影響を及ぼす。別の方法として、第1金属層を続いてエッチングすると、下地のゲート誘電体のオーバーエッチングが生じて、第2金属電極が形成される予定の領域のゲート誘電体の膜厚が薄くなるので望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、金属材料ゲート電極の金属層が下地のゲート誘電体と直接コンタクトする構成の金属材料ゲート電極を有するトランジスタを形成することができることが望ましい。これによって、例えばスケーラビリティが高くなり、かつ仕事関数差に応じた特性を向上させることができる。更に、異なるタイプの素子(例えば、PMOS素子及びNMOS素子のような)では通常、異なる金属層が、これらの素子の該当するゲート電極積層構造の内部の下地ゲート誘電体とコンタクトして、所望の仕事関数を実現する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の一の実施形態では、ゲート誘電体層を形成し、次に第1金属層を、ゲート誘電体層の内、素子が第1金属層を使用して形成されることになる部分の上に選択的に堆積させる。第1金属層を選択的に堆積させた後、第1金属層とは異なる第2金属層を、ゲート誘電体層の内、素子が第2金属層を使用して形成されることになる残りの露出部分の上に選択的に形成することができる。一の実施形態では、第1金属層を選択的に堆積させる処理は阻止層を使用して行なわれ、この阻止層をゲート誘電体層の上に選択的に形成して、第1金属層を、ゲート誘電体層の内、阻止層によって覆われない部分の上にのみ選択的に堆積させることができるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施形態について、図1〜8を参照しながら以下に更に詳細に記載する。
当業者であれば、これらの図における構成要素が説明を簡単かつ明瞭にするために示され、そして必ずしも寸法通りには描かれていないことが分かるであろう。例えば、これらの図における幾つかの構成要素の寸法を他の構成要素に対して誇張して描いて本発明の実施形態を理解し易くしている。
【0008】
図1は、本発明の一の実施形態による半導体構造11を示している。ここで、一の実施形態では、半導体11は半導体ウェハの一部分とすることができることに留意されたい。図1の半導体構造11は基板10を含み、この基板は、絶縁領域16と、基板10及び絶縁領域16を覆うゲート誘電体層18と、を有する。ここで、別の実施形態では、ゲート誘電体層18は絶縁領域16を覆う必要はないことに留意されたい。図1の半導体構造11は2つの領域、すなわち第1素子領域12及び第2素子領域14に分割される。素子領域12及び14は、基板10の内、異なるタイプの素子が形成されることになる領域を画定する。例えば、一の実施形態では、素子領域12はNMOS素子が形成されることになるNMOS素子領域に対応し、そして素子領域14はPMOS素子が形成されることになるPMOS素子領域に対応する。しかしながら、別の実施形態では、素子領域12はPMOS素子領域に対応することができ、そして素子領域14はNMOS素子領域に対応することができることに留意されたい。更に別の実施形態では、素子領域12及び14は、異なる素子が形成されることになるいずれかのタイプの領域とすることができる。また、半導体構造11は、異なるタイプの素子が形成されることになるどのような数の素子領域も、必要に応じて含むことができることに留意されたい。
【0009】
一の実施形態では、基板10は、例えばシリコン基板、砒化ガリウム基板、シリコンゲルマニウム基板、ゲルマニウム基板などのような半導体基板である。一の実施形態では、基板10はバルク基板を含むが、別の実施形態では、基板10は、例えば埋め込み酸化膜のような絶縁物を覆ういずれかのタイプの半導体材料(例えば、シリコン、砒化ガリウム、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウムなどのような)を有するシリコンオンインシュレータ(SOI)基板を含むことができる。ゲート誘電体層18は、例えば酸化ハフニウム、ケイ酸ハフニウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸窒化シリコンなどのようないずれかのタイプのゲート誘電体材料を含むことができる。ゲート誘電体層18は従来の方法を使用して形成することができる。図示の実施形態では、ゲート誘電体層18は領域12及び14の両方を覆うように形成されるが、別の実施形態では、領域12及び14の各々が異なるタイプのゲート誘電体材料を含んで、第1ゲート誘電体層が基板10を領域12において覆い、そして第1ゲート誘電体層とは異なる第2ゲート誘電体層が基板10を領域14において覆うようにすることができることに留意されたい。また、基板10は、素子を形成するためのウェル注入層(図示せず)を必要に応じて含むこともできることに留意されたい。これらのウェル注入層は、この技術分野で公知の従来のイオン注入法を使用して形成することができる。
【0010】
図2は、基板10の上に位置合わせされる刻印マスク20を備える半導体構造11を示している。刻印マスク20は、刻印マスク20の内、刻印マスク20の表面21を超える隆起部分(proud portion)23を覆う阻止材料22を含む。刻印マスク20の隆起部分または複数の隆起部分は、基板の表面に押し付けたときに、刻印マスク20の残りの部分(隆起していない部分)が基板の表面にコンタクトしない状態で基板にコンタクトする部分に対応する。従って、隆起部分上の材料はコンタクトすると、基板の表面に型押しされる、または印刷される。一の実施形態では、刻印マスク20は弾性材料により作製される。
【0011】
従って、図2によれば、刻印マスク20は隆起部分23を含み、この隆起部分は基板10に適切に位置合わせされると、半導体構造11の素子領域12に対応するように位置して、阻止材料22が、当該材料を押し付けたときに、領域12に塗布されるが領域14には塗布されないようになる。ここで、阻止材料22は種々の方法により刻印マスク20の隆起部分の上に配置することができることに留意されたい。例えば、一の実施形態では、刻印マスク20は、一塊の阻止材料に浸漬して、刻印マスク20の隆起部分のみが阻止材料に接触するようにすることができる(このようにして、表面21のような残りの表面には阻止材料が全く付着しない)。別の方法として、阻止材料を刻印マスク20に、例えばローラを使用して押し付けることができ、このローラは、阻止材料を刻印マスク20の隆起部分に転写するが、表面21のような刻印マスク20の残りの表面に阻止材料を転写することはない。
【0012】
図3は、刻印マスク20を使用して押し付けた後の半導体構造11を示している。すなわち、刻印マスク20を半導体構造11に押し付けて、隆起部分23(表面21ではなく)がゲート誘電体層18にコンタクトするようにする。刻印マスク20を持ち上げた後、阻止材料22の全て、または一部分が領域12のゲート誘電体層18の上に残るので、阻止層24が半導体構造11の領域14内ではなく、領域12内のゲート誘電体層18の上に形成されることに注目されたい。すなわち、刻印マスク20を使用することによって、阻止層24をゲート誘電体層18の一部分(この場合、例えばこれらの部分は図3の領域12に対応する)の上に選択的に形成することができる。一の実施形態では、阻止層24は、例えば有機シラン及び自己組織化単分子層(SAMs)のようなメチル基を含む。また、一の実施形態では、阻止層24は、この層がメチル基を含む表面部分または表面層を含む限り、どのような数の材料、及びどのようなタイプの材料も含むことができる。一の実施形態では、十分な阻止材料22を使用して、ゲート誘電体18上に形成される阻止層24を十分に厚くして、領域12の全ての核形成サイトを確実に少なくとも一つの阻止材料単分子層で覆うようにする。別の実施形態では、阻止層24はゲート誘電体層18の一部分の上に、従来のフォトリソグラフィ法を使用して選択的に形成することができる。更に別の実施形態では、阻止層24は感光性ポリマーである。この実施形態では、感光性ポリマーはメタクリレート系ポリマーとすることができる。
【0013】
図4は、第1金属層26を領域14のゲート誘電体層18の上に形成した後の半導体構造11を示している。図4に示すように、第1金属層26をゲート誘電体層18の上に、例えば原子層堆積法(ALD)を使用して選択的に堆積させる。阻止層24によって、第1金属層26が領域12内部のゲート誘電体層26の上に形成されることがないようにする。従って、第1金属層26は領域14内のゲート誘電体層18と直接コンタクトするが、阻止層24が形成される位置には形成されないことに注目されたい。これは、阻止層24が領域12内のゲート誘電体層18の核形成サイトを覆って(そして核形成サイトの形成を阻止する)、金属層が第1金属層26をALDにより形成している間に領域12内に形成されることがないようにしているからでる。ここで、別の実施形態では、選択化学気相成長(CVD)プロセスを使用して第1金属層26を領域14に形成することができることに注目されたい。選択CVDを用いる場合、阻止層24によって、第1金属層26が領域12内に形成されるのを防止することもできる、というのは、阻止層24が核形成サイトの形成を阻止するからである。
【0014】
図5は、阻止層24を除去した、または無効(neutralization)にした後の半導体構造11を示している。一の実施形態では、阻止層24はアニールプロセスを使用して除去する。例えば、少なくとも100℃、または好適には約100〜900℃の範囲の温度のアニールを使用することができる。このアニールによって、阻止層24を脱離させる、または昇華させることができる。別の方法として、例えばプラズマ処理、プラズマエッチング、または紫外線(UV)照射のような他の方法を使用して阻止層24を除去することができる。
【0015】
図6は、第2金属層28をゲート誘電体18の露出部分、及び第1金属層26の上に形成した後の半導体構造11を示している。一の実施形態では、第2金属層28はブランケット堆積法により形成される。しかしながら、別の実施形態では、第2金属層28は異なる方法で形成することができる。例えば、別の実施形態では、第2金属層28は、当該金属層がゲート誘電体層18の露出部分の上(すなわち、領域12内)に形成され、かつ領域14の第1金属層26の上には形成されない、または領域14の第1金属層26の一部分の上にのみ形成されるように形成することができる。ここで、第2金属層28は領域12のゲート誘電体層18と直接コンタクトすることに注目されたい。従って、領域12では、第2金属層28がゲート誘電体層18と直接コンタクトし、そして領域14では、第1金属層26がゲート誘電体層18と直接コンタクトする。従ってこれにより、異なる仕事関数を領域12及び14の各々に形成される素子において実現することができる。
【0016】
更に図6によれば、第2金属層28を形成した後に、ポリシリコンゲート層30(多結晶シリコンゲート層30とも呼ぶ)が第2金属層28を覆って形成される。ポリシリコンゲート層30を形成した後、反射防止コーティング(ARC)層がポリシリコンゲート層30を覆って形成される。ここで、別の実施形態では、上に示す例よりも多い、少ない、または上に示す例とは異なる層を、第2金属層28を覆って形成することができることに留意されたい。例えば、どのような数の異なる層も、ポリシリコン層30の代わりに、またはポリシリコン層30の他に使用することができる。また、ARC層32を設けるかどうかは任意であり、使用する後続のフォトリソグラフィプロセスによって変わる。ポリシリコンゲート層30及びARC層32(または、第2金属材料ゲート層28を覆う所望の他のいずれかの層)を形成した後、パターニング済みマスク層34をARC層32の上に形成する(この場合、パターニング済みマスク層34は従来のプロセスを使用して形成することができる)。図示の実施形態では、パターニング済みマスク層34は第1素子のゲート電極積層構造を領域12に、そして第2素子のゲート電極積層構造を領域14に画定するように機能する。ここで、別の実施形態では、パターニング済みマスク層34を使用してどのような数のゲート積層構造も画定することができ、いずれの数のゲート電極積層構造とするかは、希望する素子の数によって変わる。また、別の実施形態では、ポリシリコン層30及びARC層32を設けずに、パターニング済みマスク層34が第2金属材料層28の上に直接形成されるようにすることができることに注目されたい。第2金属材料層28が第1金属層26の上には形成されない更に別の実施形態では、パターニング済みマスク層34は領域12の第2金属層28の上に、かつ領域14の第1金属層26の上に直接形成することができる。
【0017】
図示の実施形態では、領域12のパターニング済みマスク層34によって画定されるゲート電極積層構造はPMOSタイプのゲート電極積層構造に対応し、そして領域14のパターニング済みマスク層34によって画定されるゲート電極積層構造はNMOSタイプのゲート電極積層構造に対応する。従って、一の実施形態では、第1金属層26は、例えば窒化チタン、イリジウム、酸化イリジウム、ルテニウム、酸化ルテニウム、窒化タンタルなどを含むことができ、そして第2金属層28は、例えばタンタルシリコン窒化物、炭化タンタル、金属ホウ化物、金属シリコン窒化物、金属炭化物などを含むことができる。しかしながら、別の実施形態では、異なる金属、または複数の金属の組み合わせを第1金属層26及び第2金属層28の内部に使用することができ、いずれの金属を使用するかは、形成する素子によって変わることに留意されたい。例えば、領域12のパターニング済みマスク層34によって画定されるゲート電極積層構造はNMOS素子に対応し、そして領域14のパターニング済みマスク層34によって画定されるゲート電極積層構造はPMOS素子に対応することができ、更に第1及び第2金属層の材料はそれに従って選択することができる。一の実施形態では、第1金属層26及び第2金属層28の膜厚は、約30オングストローム〜500オングストロームの範囲である。
【0018】
図7は、ゲート電極積層構造36を領域12のゲート誘電体層18の上に、そしてゲート電極積層構造40を領域14のゲート誘電体層18の上に形成した後の半導体構造11を示している。従って、パターニング済みマスク層34を形成した後、従来のエッチングプロセスを使用してゲート電極積層構造36及び40を形成することができる。次に、パターニング済みマスク層34を除去する。図7に示すように、ゲート電極積層構造36は、第2金属層28により構成される第1金属層38、ポリシリコンゲート層30により構成されるポリシリコンゲート層41、及びARC層32により構成されるARC層43を含む。ゲート電極積層構造40は、第1金属層26により構成される第1金属層42、第2金属層28により構成される第2金属層44、ポリシリコンゲート層30により構成されるポリシリコンゲート層46、及びARC層32により構成されるARC層48を含む。従って、ゲート電極積層構造36及び40の各々は、ゲート誘電体層18と領域12及び14のそれぞれにおいて直接コンタクトする異なる金属層(それぞれ38及び42)を含むので、異なる仕事関数が実現することに注目されたい。(層38,41,43,42,44,46,及び48は構造38,41,43,42,44,46,及び48とそれぞれ呼ぶこともできることに留意されたい)。
【0019】
ここで、別の実施形態では、ゲート電極積層構造36及び40はどのような数の層を含むこともでき、この場合、図示の実施形態はゲート積層構造36及び40のほんの一例を提示しているに過ぎないことに留意されたい。例えば、一の実施形態では、ゲート電極積層構造36及び40の各々は、ゲート層を1つだけ含む(例えば、ゲート層41,43,44,46,及び48を含まないで、ゲート層38及びゲート層42だけを含む構造のような)ことができる、またはゲート電極積層構造36及び40の各々はどのような数のゲート層を含むこともできる。別の構成として、他のタイプのゲート電極積層構造を形成することができる。
【0020】
図8は、ほぼ完成した素子66を領域12に、そしてほぼ完成した素子68を領域14に形成した後の半導体構造11を示し、この場合、後続の処理は従来の方法を使用して実行することができる。(素子66及び68はトランジスタ66及び68と呼ぶことができることに注目されたい)。素子66は、ゲート電極積層構造36の側壁に隣接するサイドウォールスペーサ50、及び基板10の内部で横方向に延在し、かつゲート誘電体52(ゲート誘電体18により構成される)の一部分の下に位置するソース/ドレイン領域54及び56を含む。ここで、スペーサ50、及びソース/ドレイン領域54及び56は従来のプロセスを使用して形成することができることに留意されたい。例えば、スペーサ50は材料を1つだけ含むことができる、または複数の材料を含むことができる。図示の実施形態では、ソース/ドレイン領域54及び56はエクステンション領域及びディープ注入領域を含むが、別の実施形態では、異なるタイプのソース/ドレイン領域を形成することができる。領域14の素子68は、ゲート電極積層構造40の側壁に隣接するサイドウォールスペーサ58、及び基板10の内部で横方向に延在し、かつゲート誘電体60(ゲート誘電体18により構成される)の一部分の下に位置するソース/ドレイン領域62及び64を含む。ここで、スペーサ58、及びソース/ドレイン領域62及び64は従来のプロセスを使用して形成することができることに留意されたい。例えば、スペーサ58は材料を1つだけ含むことができる、または複数の材料を含むことができる。図示の実施形態では、ソース/ドレイン領域62及び64はエクステンション領域及びディープ注入領域を含むが、別の実施形態では、異なるタイプのソース/ドレイン領域を形成することができる。別の実施形態では、素子66及び68は、結果として異なる構造を有するように、図8を参照しながら例示し、そして記載した方法とは異なる方法を使用するが、上述の第1金属層26の選択的堆積は使用するようにして形成することができる。
【0021】
従って、第1金属層26を、阻止層24(この層は選択的に形成することができる)を使用して選択的に形成することにより、先行技術による方法が示す問題を回避しながら、どのようにしてデュアルメタルゲート積層構造を実現することができるかが理解できる。すなわち、上に記載した先行技術による問題解決法とは異なり、第1金属層26を選択的に形成することにより、金属材料ゲート層の内、ゲート誘電体層18を覆う部分をエッチング除去する必要を無くすことができる。これにより、ゲート誘電体層18をオーバーエッチングする危険を無くすことができる。また、金属層の一部分をエッチング除去する必要が無いので、金属層のエッチングに起因する金属層からの残渣材料を発生させる危険も無くすことができる。従って、本明細書に記載する実施形態によってデュアルメタルゲート積層構造を改善することができ、ゲート誘電体層と直接コンタクトする異なる金属を必要とする素子を形成することができる。
【0022】
これまでの明細書では、本発明について特定の実施形態を参照しながら記載してきた。しかしながら、この技術分野の当業者であれば、種々の変形及変更を、以下の請求項に示す本発明の技術範囲から逸脱しない範囲において加え得ることが分かるであろう。従って、明細書及び図は本発明を制限するのではなく、単なる例示として捉えられるべきであり、このような変形は全て、本発明の技術範囲に含まれるべきものである。
【0023】
効果、他の利点、及び技術的問題に対する解決法について、特定の実施形態に関して上に記載してきた。しかしながら、効果、利点、及び問題解決法は、更には効果、利点、または問題解決法をもたらし、またはさらに顕著にし得るいかなる要素(群)も、いずれかの請求項または全ての請求項の必須の、必要な、または基本的な特徴または要素であると解釈されるべきではない。本明細書で使用されるように、「comprises」、「comprising」という用語、または他の全てのこれらの変形は包括的な意味で適用されるものであり、一連の要素を備えるプロセス、方法、製品、または装置がこれらの要素のみを含むのではなく、明らかには列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、製品、または装置に固有の他の要素も含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は例を通して示され、そして添付の図によって制限されるものではなく、これらの図では、同様の参照記号は同様の構成要素を指す。
【図1】本発明の一の実施形態による基板の断面図を示し、この基板は、当該基板を覆うゲート誘電体層を有する。
【図2】本発明の一の実施形態による図1の基板、及び基板の上に位置合わせされる刻印マスクの断面図。
【図3】本発明の一の実施形態による、刻印マスクを押圧した後の図2の基板、及び基板の或る領域の上に形成される、結果として得られる阻止層の断面図。
【図4】本発明の一の実施形態による、第1金属層を選択的に堆積させた後の図3の基板の断面図。
【図5】本発明の一の実施形態による、阻止層を除去した後の図4の基板の断面図。
【図6】本発明の一の実施形態による、第2金属材料ゲート層、ポリシリコンゲート層、反射防止コーティング(ARC)層、及びパターニング済みマスク層を形成した後の図5の基板の断面図。
【図7】本発明の一の実施形態による、ゲート電極積層構造をパターニング済みマスク層を使用して形成した後の、かつパターニング済みマスク層を除去した後の図6の基板の断面図。
【図8】本発明の一の実施形態による、2つのほぼ完成した素子を基板の異なる領域の内部に形成した後の図7の基板の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属層をウェハの第2領域のゲート誘電体の上ではなく、ウェハの第1領域のゲート誘電体の上に選択的に堆積させる工程と、
第2金属層を第2領域のゲート誘電体の上に堆積させる工程と、
第1金属層により形成される構造物を有した、第1トランジスタの第1ゲート電極積層構造を第1領域に形成する工程と、
第2金属層により形成される構造物を有する、第2トランジスタの第2ゲート電極積層構造を第2領域に形成する工程とを備える、トランジスタの製造方法。
【請求項2】
第1トランジスタはPMOSトランジスタであり、第2トランジスタはNMOSトランジスタである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1トランジスタはNMOSトランジスタであり、第2トランジスタはPMOSトランジスタである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第2金属層を堆積させる処理では更に、第2金属層を第1領域の第1金属層の上に堆積させ、
第1ゲート電極積層構造は第2金属層により形成される構造を第1金属層の上に含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
阻止構造を第2領域のゲート誘電体の上に形成する工程をさらに備え、前記阻止構造により、第1金属層が第2領域のゲート誘電体の上に堆積するのを阻止する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
阻止構造による阻止は、核形成サイトが第2領域のゲート誘電体の上に形成されるのを阻止することにより行なわれる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
阻止構造は自己組織化単分子層であることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項8】
阻止構造は有機シランを含む、請求項5記載の方法。
【請求項9】
阻止構造はメチル基を含む、請求項5記載の方法。
【請求項10】
阻止構造はメタクリレート系ポリマーを含む、請求項5記載の方法。
【請求項11】
阻止構造は感光性ポリマーを含む、請求項5記載の方法。
【請求項12】
阻止構造を形成する処理では更に、阻止構造を第1領域のゲート誘電体の上ではなく、第2領域のゲート誘電体の上に選択的に形成する、請求項5記載の方法。
【請求項13】
阻止構造を選択的に形成する処理では、刻印を押し付けることによって阻止構造を形成する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
阻止構造を選択的に形成する処理では、阻止構造の材料を印刷押し付けによって塗布する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
阻止構造の材料を印刷押し付けによって塗布する処理では、ウェハに阻止構造材料層を有する刻印マスクを、当該マスクの内、第2領域に対応する位置で押し付ける、請求項14記載の方法。
【請求項16】
マスクの前記位置はマスクの隆起部分である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第1金属層を堆積させた後に、かつ第2金属層を堆積させる前に、阻止構造を無効にする工程をさらに備える、請求項5記載の方法。
【請求項18】
阻止構造を無効にする工程では、阻止構造を除去する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
阻止構造を無効にする工程では更に、ウェハを100℃以上に加熱する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
阻止構造を無効にする工程では更に、阻止構造をプラズマ処理する、請求項17記載の方法。
【請求項21】
阻止構造を無効にする処理では更に、阻止構造をプラズマエッチングする、請求項17記載の方法。
【請求項22】
阻止構造を無効にする工程では更に、阻止構造に紫外(UV)光を照射する、請求項17記載の方法。
【請求項23】
第1金属層は、タンタルシリコン窒化物、炭化タンタル、金属ホウ化物、金属シリコン窒化物、及び金属炭化物の内の一つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
第1金属層は、窒化チタン、イリジウム、酸化イリジウム、ルテニウム、酸化ルテニウム、及び窒化タンタルの内の一つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
第1金属層は、原子層堆積(ALD)プロセスを使用して選択的に堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項26】
第1金属層は、化学気相成長(CVD)プロセスを使用して選択的に堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項27】
ポリシリコン層を第1領域の第1金属層の上に、かつポリシリコン層を第2領域の第2金属層の上に形成する工程をさらに備え、
第1ゲート電極積層構造は、ポリシリコン層により形成される構造を第1領域の第1金属層の上に備え、
第2ゲート電極積層構造は、ポリシリコン層により形成される構造を第2領域の第2金属層の上に備える、請求項1記載の方法。
【請求項28】
第1金属層は第1の仕事関数を有し、かつ第2金属層は第2の仕事関数を有し、第1の仕事関数は第2の仕事関数とは異なる、請求項1記載の方法。
【請求項29】
阻止構造をウェハの第2領域の誘電体の上ではなく、ウェハの第1領域の誘電体の上に選択的に形成する工程と、
金属層を第2領域の誘電体の上に選択的に堆積させ、阻止構造によって、金属層が第1領域の誘電体の上に堆積するのを阻止する工程と、
金属層により形成される構造物を備えた、トランジスタのゲート電極積層構造を第2領域に形成する工程とを備える、トランジスタの製造方法。
【請求項30】
第2金属層を第1領域の誘電体の上に堆積させる工程と、
第2金属層により形成される構造物を備えた、第2トランジスタの第2ゲート電極積層構造をウェハの第1領域に形成する工程とをさらに備える、請求項29記載の方法。
【請求項31】
金属層を堆積させた後に、かつ第2金属層を堆積させる前に、阻止構造を無効にする工程をさらに備える、請求項30記載の方法。
【請求項32】
金属層を堆積させた後に、かつゲート電極積層構造を形成する前に、阻止構造を無効にする工程をさらに備える、請求項29記載の方法。
【請求項33】
阻止構造はメチル基を含む、請求項29記載の方法。
【請求項34】
阻止構造は有機シランを含む、請求項29記載の方法。
【請求項35】
阻止構造は自己組織化単分子層として特徴付けられる、請求項29記載の方法。
【請求項36】
阻止構造を選択的に形成する処理では、刻印を押し付けることにより阻止構造を形成する、請求項29記載の方法。
【請求項37】
阻止構造を選択的に形成する処理では、阻止構造の材料を印刷押し付けによって塗布する、請求項29記載の方法。
【請求項38】
阻止構造をウェハの第2領域のゲート誘電体の上ではなく、ウェハの第1領域のゲート誘電体の上に選択的に形成する工程と、
原子層堆積プロセスを使用して、第1金属層が第1領域のゲート誘電体の上に堆積するのを阻止しながら、第1金属層を第2領域のゲート誘電体の上に選択的に堆積させる工程と、
第2金属層を第1領域のゲート誘電体の上に堆積させる工程と、
第2金属層により形成される構造物を備えた、第1トランジスタの第1ゲート電極積層構造を第1領域に形成する工程と、
第1金属層により形成される構造物を備えた、第2トランジスタの第2ゲート電極積層構造を第2領域に形成する工程とを備える、トランジスタの製造方法。
【請求項39】
第1トランジスタ及び第2トランジスタのソース/ドレイン領域を形成する工程をさらに備える、請求項38記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−533156(P2007−533156A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508363(P2007−508363)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009620
【国際公開番号】WO2005/106938
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】