説明

金属被着

レーザによりパターン化された基板上に金属を無電解メッキする方法。基板上に熱画像形成層および触媒層がともに被着される。レーザ・ビームで露光すると、熱画像形成層において十分なレベルの放射が熱に変換され、それによって、隣接する触媒層の露光領域が不活性になる。次いで、レーザによりパターン化された基板を反応溶液に暴露し、それによって、触媒層の非露光領域上で金属被膜の成長が開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に金属を被着させることに関し、詳細には、金属イオン溶液から基板上に金属を触媒的に被着させることに関する。
【背景技術】
【0002】
無電解金属メッキは、多くの産業で、特にプリント回路ボードの生産において金属被膜を被着させる一般的な方法である。一般の無電解メッキ・プロセスはいくつかのステップを必要とする。第1ステップは、後でメッキする金属が確実に良好に粘着するように基板表面を準備することである。その後、一連の浸浴処理が行われ、その結果、この表面は、通常はパラジウム・コロイドである触媒で飽和する。最後に、この基板を、金属イオンおよび還元剤を含む浴に浸すと、これらは反応して、基板表面上の触媒の存在下で金属を形成する。この方法により、基板表面上に均一な被膜が形成され、続いて、この基板表面は標準のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によってパターン化され、回路ボードのパターンを形成することができる。これらのパターンの精細度は、用いられるフォトリソグラフィ技術によって決まるが、5μm未満のサイズでパターン化することができる。
【0003】
(特許文献1)には、直接描画技術を利用して金属を無電解メッキする方法が記載されている。好ましくはインク・ジェット印刷によって金属イオンと還元剤の反応溶液を表面に被着させることによって、基板に金属材料を選択的に被覆する。この反応は、活性化剤の存在によって助長され、例えば、酢酸パラジウムのような遷移金属の微細金属粒子または有機塩を被着させると、これが反応を触媒する。この活性化剤材料は、ポリマー結合剤中で混合すると、インク・ジェット印刷などの溶液被着技術によって被着させることができる。こうすると、金属材料が必要とされる場所であって、その後、反応溶液に暴露することによってその金属領域を成長させる場所にだけ、活性化剤材料を被着させることができる。
【0004】
(特許文献2)および(特許文献3)では、基板表面上への導体材料の選択的な被着が記載されている。最初に、基板表面にポリマー層を被着させる。このポリマーは、パラジウム含有化合物と錯体をつくり、それが金属層を無電解メッキするための触媒として作用する。光で像を形成し得る上部ポリマー層を照射し、後続の現像ステップで、湿式化学エッチング・プロセスによって照射されなかった領域を除去する。次いで、照射された基板を無電解メッキ浴に暴露して金属層を形成する。
【0005】
(特許文献4)では、保護層を含む積層基板上でレーザを使用して触媒層をパターン化する。用いられるプロセスは、上記特許文献で用いられるプロセスに類似しているが、無電解メッキ・プロセスにおいて一般的な被覆化(sheeting)の問題を解決するのに使用する保護層が追加される点が異なっている。このパターン化は、湿式化学エッチングなどの除去プロセスによって、あるいは、触媒粒子をレーザ支援湿式化学被着させることによって行われる。基板のレーザ照射領域では、湿式化学エッチング浴内で触媒が不溶性になり、そのため、基板の非照射領域内においてのみ基板から触媒層が除去される。次いで、積層基板上の所定のパターン上で無電解被着が行われる。この方法では、フォトリソグラフィを必要とせずにこのプロセスを行うことができ、ある領域内で意図せずに触媒作用を及ぼしてきた誘電体基板上での望ましくない無電解被覆化(sheeting)が抑えられる。
【特許文献1】国際公開WO04/068389号
【特許文献2】米国特許第5084299号
【特許文献3】米国特許第4981715号
【特許文献4】米国特許第5192581号
【特許文献5】国際公開WO01/47093号
【特許文献6】国際公開WO99/10939号
【特許文献7】国際公開WO02/095805号
【非特許文献1】J.A.Rogers他、Appl.Phys.Lett.75、1010頁、(1999年)
【非特許文献2】S.Brittain他、Physics World、1998年5月、31頁
【非特許文献3】Z.Bao他、Chem.Mat.9、12999頁、(1997年)
【非特許文献4】H.E.Katz、J.Mater.Chem.7、369頁、(1997年)
【非特許文献5】Z.Bao、Advanced Materials 12、227頁、(2000年)
【非特許文献6】J.G.Laquindanum他、J.Am.Chem.Soc.120、664頁、(1998年)
【非特許文献7】C.R.Kagan他、Science 286、946頁、(1999年)
【非特許文献8】B.A.Ridley他、Science 286、746頁、(1999年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金属イオン溶液から基板上に金属を被着させる改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によれば、基板上に金属被着物を形成する方法が提供される。この方法は、金属イオン溶液から金属を被着させるための触媒としての活性を照射技術によって調節することができる材料の第1層を基板に形成するステップと、前記照射技術を使用して第1層に活性領域および非活性領域のパターンを形成するステップと、得られた活性領域および非活性領域のパターンを金属イオン溶液に暴露して、金属イオン溶液から第1層の活性領域上に金属が選択的に被着されるステップとを含む。
【0008】
本発明の別の態様によれば、金属イオンを還元するための触媒と、発色団とを含む組成物が提供される。
【0009】
本発明の方法の第1実施形態では、使用する基板上に熱画像形成層を被着させ、その後、触媒層を被着させる。この積層基板をレーザ・ビームで露光すると、下にある熱画像形成層は、レーザ・ビームからの放射を熱に変換して、露光領域の触媒を不活性にする。後続のメッキ・ステップでは、この基板を、金属イオンおよび還元剤の反応溶液に暴露する。それによって、触媒の露光されていない領域上で金属被膜の成長が開始され、その結果、金属層の無電解被着が行われる。
【0010】
本発明の方法の別の実施形態では、使用する基板上で、インク・ジェット印刷などの溶液式印刷技術を利用して熱画像形成層の上部に触媒層を粗くパターン化し、レーザ放射を用いて粗くパターン化された触媒層をトリミングしてより高精細度のパターンを形成する。
【0011】
本発明の方法の別の実施形態では、使用する基板上で、あらかじめ被着した触媒層の上に熱画像形成層を被着させる。この積層基板をレーザ・ビームで露光すると、熱画像形成層は、触媒層の露光区域を非活性触媒状態にするのに十分な熱を生成する。したがって、露光領域の触媒は、後続のメッキ・ステップ中で使用する反応溶液に対して作用しなくなり、熱画像形成層を除去すれば露光領域の触媒が被着される。金属層は、触媒層の非露光領域にのみ形成される。熱画像形成層が下にある場合と同様に、触媒層は、その上に熱画像形成層を被着させる前に、インク・ジェット印刷に限定されるものではないがそのような溶液式印刷技術を利用して粗くパターン化することもでき、レーザ放射を利用して粗くパターン化された触媒層をトリミングし、それによってより高精細度のパターンが作られる。
【0012】
本発明の方法の別の実施形態は、基板上に直接画像形成触媒層を被着させるものであり、それによって、2つの別々の層、すなわち、触媒材料層および熱画像形成層を被着させる必要性がなくなる。上記で説明したように、直接画像形成触媒層をレーザ・ビームで露光すると、露光領域が後続の現像ステップに対して無効になる。次いで、基板およびレーザにより選択的にパターン化した直接画像形成触媒層を反応溶液に暴露する。ここで、非露光区域上でのみ金属が成長する。上記で説明したように、この直接画像形成触媒層も、インク・ジェット印刷に限定されるものではないがそのような溶液式印刷技術を利用して粗くパターン化することができ、レーザ放射を利用して粗くパターン化された触媒層をトリミングし、それによってより高精細度のパターンが作られる。
【0013】
次に、添付の図面を参照して、単に例示することにより、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面を参照すると、図1に本発明の第1実施形態が示されている。第1実施形態では、触媒層と、その下にある、基板に被着された熱画像形成層とが提供される。吸収された放射は、熱画像形成層内で熱に変換され、この熱によって触媒層の露光領域が不活性になる。その結果、基板表面上で無電解金属層がパターン化される。
【0015】
基板1を熱画像形成材料2で被覆する。この基板の材料は、好ましくはガラスまたはポリマー被膜であるが、これらに限定されるものではない。熱画像形成材料は、吸収された放射を熱に変換し得るものである。好ましくは、熱画像形成層(TIL)は、標準的な薄膜被覆技術によって溶液から被覆される。この薄膜被覆技術には、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷が含まれるが、これらに限定されるものではない。熱画像形成材料は、例えば、レンズ5を通して集光される集光レーザ・ビーム4の形態での放射、あるいは、シャドウ・マスクを通して光ビームを通過させることによって生成される光のパターンからの放射を吸収して熱を生成する。熱画像形成層の材料は、熱画像形成層と基板の間で良好な粘着特性が得られるように選択すべきである。熱画像形成層は、後続の触媒層被着ステップによって溶解せず、何ら損なわれないことも重要である。下に位置する熱画像形成層に好ましい材料は、キシレンのような無極性溶媒に溶解する、赤外色素と混合したポリスチレンである。830nmで動作する赤外レーザによるレーザ画像形成に好適な色素は、SDA4554であってもよい。ポリスチレン被膜の好ましい厚さは500nmであり、その吸光度は830nmで0.15である。
【0016】
無電解被着を開始し得る触媒層3は、好ましくは溶液から熱画像形成層の上部に被着させ、触媒被膜を作るために乾燥させる。触媒層の特性は、金属イオンおよび還元剤からなる反応溶液に暴露されたときに、金属被膜の成長の鋳型として働くものでなければならない。この触媒層は、好ましくは、標準的な薄膜被覆技術によって溶液から被覆する。この薄膜被覆技術には、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷が含まれるが、これらに限定されるものではない。この触媒の特性には、高温にさらされると触媒被膜がもはや金属層の成長の鋳型として働かなくなる感熱特性が含まれる。好ましい触媒材料は、Conductive Inkjet Technologies社から供給され、(特許文献1)では活性化剤層として記載されている。この触媒材料は、溶液処理が可能な技術によって被着し得るように、ポリマー結合剤と混合された酢酸パラジウム触媒からなる。好ましい触媒の配合としては、プロピレングリコールメチルエーテルとジアセトンアルコールの50:50の混合物にポリマー結合剤および酢酸パラジウムを溶解したものが挙げられる。前記触媒層用の好適な材料としては、触媒種(金属または金属イオン)および少なくとも1種の熱可塑性材料を含む組成物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記組成物は、このプロセスの温度範囲内で熱転移を示す。
【0017】
下に位置する熱画像形成層を適切な波長の放射に暴露すると、熱が生成され、この熱が触媒のその領域での変化を促進して、その領域を不活性にする。この反応が生じる機序は、選択される触媒材料に依存する。多層基板を選択的に暴露することによって、上部触媒層がパターン化される。このレーザにより選択的にパターン化された上部層は、活性触媒領域と不活性触媒領域が交互に並んだものからなる。830〜1064nmの赤外波長光を選択することによって、下にある半導体層はレーザ光を吸収することができなくなる。このことは、本発明による方法によって形成される導電構造が、例えば、共役ポリマーをベースにして作製される電界効果トランジスタ・デバイスなど、多層構成で形成される電子デバイスの一部である場合には、特に重要である。したがって、基板上の多層スタック内で、下にある電気活性層の劣化を防ぐことができる。可視および紫外のスペクトル範囲の他の波長も使用し得るが、そのような場合、この多層構造の露光を最小限に抑える注意、特に酸素の存在下で光酸化などのプロセスによる劣化を避ける注意が必要である。好ましいレーザ装置は、スポット・サイズが5ミクロンの832nm赤外レーザ・ダイオードであり、それによって高精細度のパターン化が可能になる。用いられる流束(fluency)は、触媒層の触媒特性を無効にするのに必要とされる温度および熱画像形成層が吸収する放射量によって決まる。好ましい流束(fluency)は、1000〜2000mJ/cmである。
【0018】
反応浴の選択は、用いられる触媒層の材料および被着させる必要がある金属によって決まる。一部の触媒層、特に、酢酸パラジウムなどの遷移金属の有機酸塩からなるものは、反応浴の前に還元剤に金属イオンを暴露してメッキ効率を高めることを必要とすることがある。これは、好ましくは、ジメチルアミンボラン(DMAB)に多層基板を暴露することによって行う。還元溶液への暴露は、溶液に基板を浸すことに係わる技術、あるいは、基板表面上部に再生溶液をインク・ジェット印刷するなどの技術によって行うことができる。選択した金属イオンおよびこれらのイオンを金属に還元得る試薬からなる反応浴に触媒層を暴露することによって、所望の金属被膜が成長する。この場合も、溶液に基板を浸し、基板上に溶液をインク・ジェット印刷する方法を含めて、いくつかの技術の結果として行われることがあるが、これらの方法に限定されるものではない。この技術を利用して、銅、ニッケル、白金、パラジウム、コバルト、および金などの金属を被着させることができるが、金属の例はこれらに限定されるものではない。好ましい方法において、約9%の硫酸銅(II)、9%ホルムアルデヒド、4.5%(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2%メタノール、4%水酸化ナトリウム、および0.05%シアン酸カリウムからなる水溶性反応浴を使用して銅被膜を成長させた。銅の被着速度は、この溶液を水でさらに希釈することによって調整することができる。したがって、DICL層の上にゲート電極が形成される。
【0019】
図面を参照すると、図2に第2実施形態が示されている。この実施形態では、インク・ジェット印刷など、溶液式パターン化技術を利用して触媒層3を被着させる。このような技術により、粗くパターン化することが可能になる。次いで、熱画像形成ステップを用いて粗いパターンをトリミングし、それによってより微細なパターンが作られる。
【0020】
第1実施形態の1つの利点は、それほど高価でない工業機器を使用して触媒層3を被着し得ることである。第2実施形態は、コストの高い材料に特に有利である。というのは、このプロセスでは、被着させる触媒材料の量が削減されるからである。また、第1実施形態で用いた連続触媒被膜は、メッキ・プロセス中に蓄積される被膜内応力のためにより座屈しやすいことがある。この状況では、メッキ面積が減少すると応力がそれほど問題でなくなるので、粗くパターン化された触媒層が好ましい。
【0021】
図3に、第3実施形態を示す。このプロセスでは、触媒層3は基板表面上に直接被着される。このステップの後に、熱画像形成層2の被着が行われる。触媒層の非露光領域で無電解被着を開始することができる。
【0022】
基板1に、上記で説明した触媒層と同じ特性を保持する触媒層3を被覆する。ただし、それに加えて、この触媒層は、基板表面に良好に粘着することが必要とされる。基板の材料は、好ましくは、ガラスまたはポリマー被膜であるが、これらに限定されるものではない。この触媒層は、好ましくは、標準的な薄膜被覆技術によって溶液から被覆される。この薄膜被覆技術には、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷が含まれるが、これらに限定されるものではない。触媒層の特性は、金属イオン溶液と反応して金属被膜の生成を開始するものでなければならない。さらに、この触媒は、高温に暴露されたときに、触媒被膜がもはや触媒材料としての活性がなくなるような感熱特性をもつものでなければならない。好ましい触媒材料は、Conductive Inkjet Technologies社から供給され、(特許文献1)では活性化剤層として記載されている。この活性化剤の材料は、溶液処理が可能な特性を有するように、ポリマー結合剤と混合した酢酸パラジウム触媒からなる。好ましい触媒の配合としては、プロピレングリコールメチルエーテルとジアセトンアルコールの約50:50の混合物に溶解したポリマー結合剤および酢酸パラジウムを含む。好ましい被膜の厚さは、30nm〜1μmの範囲である。
【0023】
次いで、触媒層3の上に熱画像形成層(TIL)2を被着させる。先に述べたように、熱画像形成材料は、レーザ・ビームからの放射を吸収して熱に変換し得るものである。熱画像形成層は、好ましくは、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷を含めて、標準的な薄膜被着技術によって溶液から被覆するが、薄膜被覆技術の例は、これらに限定されるものではない。材料および被着技術は、下にある層が溶解するなどの要因によって下にある材料がいかなる形でも損なわれることがないように選択しなければならない。TILで使用し得るレーザ用色素と触媒材料の相互作用は、触媒材料がその所望の機能を発揮することを妨げることがある。熱画像形成層に好適な材料は、触媒層の上に流し込む溶媒に溶解し得るものでなければならない。あるいは、この触媒層を熱画像形成層の上に流し込んでもよいが、いずれの場合も周囲の層を溶解させるような問題を誘起してはならない。好ましい熱画像形成層は、830nmで動作するSDA4554などの適切な赤外レーザ用色素と混合したポリイソブチレン(PIB)である。得られる溶液は、好ましい溶媒であるジメチルシクロヘキサンなどの極めて無極性の溶媒に可溶性である。この溶媒は、溶媒の沸点が高いことにより被膜のスピン処理が容易になるため、より好ましい溶媒として選択したものである。この被膜の好ましい厚さは100nmであり、その吸光度は、835nmで少なくとも0.15である。
【0024】
熱画像形成材料は、例えば、レンズ5を通して集光される集光レーザ・ビーム4の形態で、あるいは、シャドウ・マスクを通して光ビームを通過させることによって生成される光のパターンからの赤外放射を吸収して熱を生成する。その上にある触媒を後続の現像ステップに対して無効なものにするのに十分な量の熱が生成される。その結果、上記のように、触媒層の露光領域が金属被膜の形成の対象にならなくなる。多層基板を選択的に露光することによって、下部触媒層がパターン化される。このレーザにより選択的にパターン化された下部層は、活性触媒と非活性触媒の交互に並んだ領域からなる。830〜1064nmの赤外波長光を選択することによって、大部分の共役ポリマーはレーザ光を吸収することができなくなる。したがって、基板上の多層スタック内で、下にある電気活性層の劣化を防ぐことができる。可視および紫外のスペクトル範囲の他の波長も使用し得るが、そのような場合、この多層構造の露光を最小限に抑える注意、特に酸素の存在下で光酸化などのプロセスによる劣化を避ける注意が必要である。好ましいレーザ装置は、スポット・サイズが5ミクロンの832nm赤外レーザ・ダイオードであり、それによって高精細度のパターン化が可能になる。用いられる流束(fluency)は、触媒層の触媒特性を無効にするのに必要とされる温度および熱画像形成層が吸収する放射量によって決まる。好ましい流束(fluency)は、1000〜2000mJ/cmである。
【0025】
本発明のこの実施形態では、画像形成後にTILを除去しなければならない。これは、適切な溶媒の浴に基板を暴露することによって行われる。好ましい方法では、この浴は、被膜を成型するのに使用する溶媒、すなわちジメチルシクロヘキサンからなる。化学反応中に触媒を還元し、金属被膜を成長させる後続のステップは、上記で説明したステップと同じである。
【0026】
図5に、第4実施形態を示す。この実施形態は、第3実施形態に類似している。ただし、触媒層3は、粗いパターン化が可能な溶液式パターン化技術を利用して、好ましくはインク・ジェット印刷などの技術を利用して被着させる。次いで、熱画像形成ステップを用いて粗くパターン化されたパターンをトリミングし、それによってより微細なパターンが生成される。
【0027】
先に述べたように、第3実施形態の利点は、それほど高価でない工業機器を使用して触媒層3を被着し得ることである。しかし、第4実施形態は、コストのかかる材料を使用するときに有利である。というのは、第4実施形態は、被着させる触媒材料の量を減らすことができるからである。さらに、第3実施形態で使用する連続触媒被膜は、メッキ・プロセス中に蓄積される被膜内応力のためにより座屈しやすいことがある。この座屈が問題になる場合には、メッキ面積が減少すると応力がそれほど問題でなくなるので、粗くパターン化された触媒層が好ましい。
【0028】
図6に、本発明の第5実施形態を示す。第5実施形態では、基板上に単一の直接画像形成触媒層(DICL)が形成され、そのため、2つの別々の触媒材料層および熱画像形成層を被着させる必要がなくなる。吸収された放射は熱に変換され、そのため、DICLは、無電解金属層をパターン化する代替方法として使用し得る。
【0029】
基板1にDICL 9を被覆する。この基板は、好ましくは、ガラスまたはポリマー被膜であるが、これらの材料のいずれかに限定されるものではない。DICLは、吸収された放射を熱に変換することができるのと同時に、無電解メッキ反応を触媒して反応溶液から金属層を形成する能力を保持する層である。DICL用の材料は、この層と基板の間に良好な粘着特性が得られるように選択しなければならず、成型溶媒は、被着時に下にある層が損傷されないように選択すべきである。好ましくは、DICLは、標準的な薄膜被覆技術によって溶液から被覆される。この薄膜被覆技術には、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましいDICLは、Conductive Inkjet Technologies社から供給される触媒材料の誘導体であり、(特許文献1)では活性化剤層として記載されている。この活性化剤層は、溶液処理を可能とするため、ポリマー結合剤と混合した酢酸パラジウム触媒からなる。上記で説明したように、好ましい触媒配合としては、プロピレングリコールメチルエーテルとジアセトンアルコールの50:50の混合物に溶解したポリマー結合剤および酢酸パラジウムを含む。次いで、赤外放射を吸収するように、この混合物にカーボン・ブラックなどの赤外吸収材料を添加する。好ましい膜厚は、30nm〜1μmであり、835nmで少なくとも0.15の吸光度を有するべきである。
【0030】
DICLは、例えば、レンズ5を通して集光される集光レーザ・ビーム4の形態で、あるいは、シャドウ・マスクを通して光ビームを通過させることによって生成される光のパターンからの放射を吸収して熱を生成する。放射が吸収されると、触媒として不活性になる選択的な材料領域を生じる。830〜1064nmの赤外波長光を選択することによって、大部分の共役ポリマーはレーザ光を吸収することができなくなる。したがって、基板上の多層スタック内の、下にある電気活性層の劣化を防ぐことができる。可視および紫外のスペクトル範囲の他の波長も使用し得るが、そのような場合、この多層構造の露光を最小限に抑える注意、特に酸素の存在下で光酸化などのプロセスによる劣化を避ける注意が必要である。好ましいレーザ装置は、スポット・サイズが5ミクロンの832nm赤外レーザ・ダイオードであり、それによって高精細度のパターン化が可能になる。用いられる流束(fluency)は、触媒層の触媒特性を無効にするのに必要とされる温度および熱画像形成層が吸収する放射量によって決まる。好ましい流束(fluency)は、1000〜2000mJ/cmである。
【0031】
図7に、基板上に単一の直接画像形成触媒層(DICL)を設ける第6実施形態によるプロセスを示す。上記のように、照射技術を利用して、吸収された放射は熱に変換され、そのため、DICLを使用して触媒層14をパターン化し、孤立した無電解メッキ金属区域15を形成することができる。
【0032】
触媒を還元し、金属被膜を成長させる後続のステップは、本発明の第1実施形態について先に説明したものと同様である。図8に、上記で説明した本発明による方法をを用いてガラス基板上に形成した20ミクロンの銅製トラックの光学顕微鏡写真を示す。
【0033】
図9に、第7実施形態を示す。第6実施形態と異なり、直接画像形成触媒層9は、インク・ジェット印刷のような粗いパターン化が可能な溶液式パターン化技術を利用して被着させる。熱画像形成ステップを用いて、粗いパターンをトリミングし、それによってより微細なパターンが生成される。
【0034】
上記で説明したように、第1実施形態では、比較的安価な工業機器を使用してDICL層を被着させることができる。しかし、第7実施形態の利点は、コストのかかる材料を使用することが必要とされるときに理解されよう。というのは、このプロセスは、被着させる触媒材料の量を減らすことにつながるからである。この場合も、上記で説明したように、連続触媒被膜は、第1態様で理解されるように、メッキ・プロセス中に蓄積される被膜内応力のためにより座屈しやすいことがある。連続触媒被膜の座屈が問題になる状況では、メッキ面積が減少すると応力がそれほど問題でなくなるので、粗くパターン化された触媒層が好ましい。
【0035】
触媒層をパターン化する上記で説明した技術は、電子的なスイッチング・デバイスのソース、ドレイン、またはゲート用の電極、ならびに相互接続部、バス・バー、アンテナその他のコンポーネントなどの回路要素を形成するのに用いることができる。さらに、上記で説明した技術を利用して、電子回路の画素電極および画素コンデンサを製造し得る。熱プロセスを利用する触媒層の変換は、半導体層が高エネルギー放射ステップおよび過剰な溶媒現像ステップの影響を受けやすいことが多い共役ポリマー技術で作製される電子デバイスを考えるとき、特に有利である。さらに、触媒材料は、回路ボードなどの基板の大面積全体にわたって被着させることができる。上記で説明した熱画像形成技術を利用することによって、触媒層の領域が不活性化され、そのため、短絡がなくなり、孤立した接点領域が作られる。このプロセスを用いて、接点パッドその他の回路要素などの微細パターンとの接触を行うことができる。このプロセスのさらなるメリットは、高精度でコンポーネントを配置する必要がなくなることである。というのは、上記のプロセスを用いて接点パッドとの接続をデジタル的に実現し得るからである。
【0036】
次いで、トップ・ゲート構成の場合には半導体層を、あるいは、ボトム・ゲート構成の場合には誘電体層を、無電解被着させた金属領域の上部に直接被着させることができる。これらの追加の層は、好ましくは、標準的な薄膜被覆技術によって溶液から被覆し得る。この薄膜被覆技術には、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷が含まれるが、これらに限定されるものではない。トップ・ゲート構成の場合、次いで、半導体層の上部にゲート電極を被着させることができる。これは、半導体層の溶解または膨潤を防ぐために、下にある層の溶媒を注意深く調節することを必要とする((特許文献5)参照)。
【実施例】
【0037】
銅メッキ・ゲートを組み込んだトップ・ゲートFETの作製:
図10に、レーザによりパターン化された基板上に無電解メッキ金属を形成することによってFETデバイスを作製する第8実施形態による方法を示す。基板1上に導電材料を被着させ、パターン化して、ソースおよびドレイン用の電極11を形成する。この基板は、ガラスまたはポリマー被膜のいずれかとし得るが、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレン(PEN)などのプラスチック基板を使用する。PEDOTなどの導電ポリマーのパターン化された導電層11、あるいは、金または銀などの金属材料を溶液処理技術によって被着させる。この溶液処理技術には、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷、あるいは蒸着、およびフォトリソグラフィ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
この導電層をパターン化してソースおよびドレイン用の電極を形成した後で、基板およびパターン化した電極全体にわたって半導体材料層12を被着してもよい。この半導体層は、ポリアリールアミン、ポリフルオレン、またはポリチオフェンの誘導体などの材料からなり得るが、これらに限定されるものではない。広範な印刷技術を利用して、この半導体材料を被着させることができる。この印刷技術には、インク・ジェット印刷、ソフト・リソグラフィ印刷((非特許文献1)、(非特許文献2))、スクリーン印刷((非特許文献3))、およびフォトリソグラフィによるパターン化((特許文献6)参照)、オフセット印刷、ブレード被覆またはディップ被覆、カーテン被覆、メニスカス被覆、スプレー被覆、または押出し被覆が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
次いで、この積層基板上にゲート誘電体材料層13を被着させる。この誘電体材料としてポリイソブチレンまたはポリビニルフェノールなどの材料を使用し得るが、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリスチレンを使用する。この誘電体材料は、スプレーまたはブレードによる被覆などの技術によって連続層の形態で被着させることができるが、被覆技術の例はこれらに限定されるものではない。ただし、好ましくは、スプレー被覆の技術を利用する。
【0040】
その後、溶液処理技術によってこの誘電体層全体にわたって直接画像形成触媒層(DICL)を被着させる。この溶液処理技術には、スピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、またはスプレーによる被覆、インク・ジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーンによる印刷、あるいは蒸着、およびフォトリソグラフィ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない。このDICLは、吸収された放射を熱に変換し得る導電材料からなり、積層基板14上で被着され、パターン化される。この層に触媒としてカーボン・ブラックなどの赤外吸収材料を添加して赤外放射を吸収させる。好ましい被膜厚さは30nm〜1μmであり、吸光度は、835nmで少なくとも0.15とすべきである。好ましい触媒配合としては、プロピレングリコールメチルエーテルとジアセトンアルコールの50:50の混合物にポリマー結合剤および酢酸パラジウムを溶解させたものがある。
【0041】
直接画像形成触媒層によって放射が吸収されると、この層の選択的な領域が触媒として不活性になる。スポット・サイズが5ミクロンの832nm赤外レーザ・ダイオードを赤外光源として使用すると、高精細度のパターン化が可能になる。このレーザの好ましい流束(fluency)は、1000〜2000mJ/cmである。
【0042】
FETデバイスのゲート電極14を形成するために、金属イオンおよび還元剤の反応溶液に基板を暴露し、上記で説明した触媒層の非露光領域上で金属被膜の成長を開始させる。こうすると、金属層を無電解被着させることができる。選択した金属イオンおよびこれらのイオンを金属に還元し得る試薬からなる反応浴に触媒層を暴露することによって、所望の金属被膜の成長が行われる。この場合も、この成長は、いくつかの技術の結果として行うことができる。この技術には、溶液に基板を浸す方法および基板上に溶液をインク・ジェット印刷する方法が含まれるが、これらに限定されるものではない。この技術を利用して、銅、ニッケル、白金、パラジウム、コバルト、および金などの金属を被着させることができるが、金属の例は、これらに限定されるものではない。好ましい方法では、約9%の硫酸銅(II)、9%ホルムアルデヒド、4.5%(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2%メタノール、4%水酸化ナトリウム、および0.05%シアン酸カリウムからなる水溶性反応浴を使用して銅被膜を成長させる。銅の被着速度は、この溶液を水でさらに希釈することによって調整することができる。
【0043】
半導体層に使用し得る可能な材料としては、10−3cm/Vsよりも大きい、好ましくは10−2cm/Vsよりも大きい適切な電界効果移動度を示す任意の溶液処理可能な共役ポリマー材料またはオリゴマー材料が挙げられる。好適とし得る材料は、例えば、(非特許文献4)、または(非特許文献5)で既に検討されている。他の可能性としては、可溶化側鎖を有する小型共役分子((非特許文献6))、溶液から自己構成する半導体有機−無機ハイブリッド材料((非特許文献7))、または、CdSeナノ粒子などの溶液被着無機半導体((非特許文献8))が挙げられる。
【0044】
上記で説明したように作製されたTFTなどのデバイスは、より複雑な回路またはデバイスの一部であってもよく、その場合、1つまたは複数のこのようなデバイスを互いに、および/または他のデバイスと統合することができる。応用例には、論理回路、ディスプレイまたはメモリ・デバイス用のアクティブ・マトリックス回路、あるいはユーザ定義ゲート・アレイ回路が含まれる。上記で説明したように、パターン化プロセスを用いて、相互接続部、抵抗器、およびコンデンサに限定されるものではないが、これらのような他の回路コンポーネントをパターン化することもできる。
【0045】
上記で説明した方法によれば、触媒材料の被着前に、基板上で所定のパターンは必要とされない。これにより、必要とされる処理ステップの数を減らせるという利益が得られる。また、先行技術において実施されるプロセスに勝る追加の利点は、無電解メッキ・プロセス中に、熱画像形成用レーザに露光されなかった区域の上でしか金属被膜が成長しないことである。このため、必要とされるところでのみ金属を成長させることによって材料コストが削減される。このことは、放射に暴露した後で、触媒層の一部を除去する化学エッチング・ステップまたは現像ステップを用いないことからもわかる。最後に、上記で説明した方法は、積層基板上にインク・ジェット印刷すべき導電領域((特許文献7)参照)を必要としない。
【0046】
さらに、赤外放射を用いる熱画像形成技術を利用して触媒層をパターン化すると、以下で説明するように特別の利益が得られる。電気活性ポリマーまたは共役ポリマーは一般に、紫外光に比べて、赤外光に対する感受性が小さいことがわかっており、したがって、そのような下にある層の劣化を少なくし得る。また、赤外による熱画像形成プロセスでは、活性化/非活性化に放射の閾レベルが必要とされ、それゆえ、日光に暴露されたときの、触媒層材料の劣化または不慮の非活性化/活性化に関する懸念がない。日光への暴露は、例えば、触媒層に紫外線感光材料を使用する場合の懸念として予想し得るものである。
【0047】
本発明では、インク・ジェット印刷のすべての利点を依然として利用しながら、溶液式印刷技術では、低い分解能かつ比較的低い精度しか実現し得ないという問題を克服する。これは、10〜20ミクロン未満の線幅の相互接続部などの狭い線幅の構造が必要とされる応用例で特に重要である。
【0048】
本発明は、上記の例に限定されるものではない。本発明の態様は、本明細書で説明したすべての新規で進歩的な概念の態様、ならびに、本明細書で説明した特徴のすべての新規で進歩的な組合せを含む。
【0049】
本出願人は、ここに、本明細書で説明する個々の特徴、ならびにこのような特徴の2つ以上の任意の組合せを、このような特徴または組合せが当業者の共通一般知識に照らして本明細書に基づいて全体として実施され得る範囲で、このような特徴または特徴の組合せが本明細書で開示した問題を解決するかどうかにかかわらず、また、特許請求の範囲に限定されることなく、分離して開示する。本出願人は、本発明の態様が任意のこのような個々の特徴または特徴の組合せからなり得ることを指摘する。上記説明に鑑みて、本発明の範囲内で様々な改変を加えることができることは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】熱画像形成層を触媒層の下に配置する第1実施形態により、基板上で無電解金属メッキを行うための処理ステップを示す図である。
【図2】被着後に粗くパターン化された触媒層の下に熱画像形成層を配置する第2実施形態により、基板上で無電解金属メッキを行うための処理ステップを示す図である。
【図3】熱画像形成層を触媒層の上に配置する第3実施形態により、基板上で無電解金属メッキを行うための処理ステップを示す図である。
【図4】触媒層の上の熱画像形成層を使用して成長させた銅製トラックの光学顕微鏡写真である。
【図5】被着後に粗くパターン化された触媒層の上に熱画像形成層を配置する第4実施形態により、基板上で無電解金属メッキを行うための処理ステップを示す図である。
【図6】直接画像形成し得る触媒層を組み込んだ第5実施形態により、基板上で無電解金属メッキを行うための処理ステップを示す図である。
【図7】基板上に単一の直接画像形成触媒層(DICL)を設け、それをパターン化して孤立金属区域を形成するプロセスを示す図である。
【図8】直接画像形成し得る触媒層を使用して成長させた銅製トラックの光学顕微鏡写真である。
【図9】被着後に粗くパターン化された直接画像形成層とし得る触媒層を組み込んだ第7実施形態により、基板上で無電解金属メッキを行うための処理ステップを示す図である。
【図10】レーザによりパターン化された基板上に無電解メッキした金属を形成することによってFETデバイスを作製する第8実施形態によるプロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 基板
2 熱画像形成層
3 触媒層
4 レーザ・ビーム
5 レンズ
9 直接画像形成触媒層
11 電極、導電層
12 半導体材料層
13 ゲート誘電体材料層
14 触媒層、積層基板、ゲート電極
15 無電解メッキ金属区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属被着物を形成する方法であって、金属イオン溶液から金属を被着させるための触媒としての活性を照射技術によって調節することができる材料の第1層を基板に形成するステップと、前記照射技術を使用して前記第1層に活性領域および非活性領域のパターンを形成するステップと、得られた前記活性領域および非活性領域のパターンを金属イオン溶液に暴露して、金属イオン溶液から前記第1層の活性領域上に金属が選択的に被着されるステップとを含む方法。
【請求項2】
前記第1層の材料は、照射前には触媒的に活性であり、前記照射技術を使用して第1層の選択領域を不活性化する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照射技術を使用して前記第1層の選択領域を選択的に加熱し、それによって前記選択領域を熱により不活性化して前記活性領域および非活性領域のパターンを作る請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照射技術により、前記第1層の活性領域が、他の周囲の触媒的に活性な領域から孤立して形成される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1層の下に熱画像形成層を設けて、前記第1層の選択領域の選択的な加熱の助けとする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1層の上に熱画像形成層を設けて、前記第1層の選択領域の選択的な加熱の助けとし、第1層に非活性領域および活性領域のパターンを形成するステップの後に、熱画像形成層を除去するステップをさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記照射は赤外波長によるものである請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
金属を被着させるべき位置にほぼ対応する基板上の選択位置に、第1層を選択的に被着させるステップを含む請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
基板上に金属被着物を形成する方法であって、基板上の選択された位置に、金属イオン溶液から金属を被着させるための触媒としての活性を照射技術によって調節することができる材料の第1層の粗いゾーンを被着させるステップと、前記照射技術を使用して前記粗いゾーンにそれぞれ活性領域および非活性領域のパターンを形成するステップと、得られた活性領域および非活性領域のパターンを金属イオン溶液に暴露して、金属イオン溶液から前記第1層の粗いゾーンの活性領域上に金属が選択的に被着されるステップとを含む方法。
【請求項10】
前記第1層のゾーンはインク・ジェット印刷によって被着される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法によって作製される金属被着基板。
【請求項12】
請求項11に記載の金属被着基板を含む電子デバイス。
【請求項13】
電子デバイスの少なくとも1つの金属元素を形成する請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記電子デバイスは、電気デバイスまたは電子デバイスの構成要素を形成する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電気回路または電子回路を作製する方法であって、請求項1〜10のいずれかに記載の方法によって、前記電気回路または電子回路の少なくとも1つの金属元素を形成するステップを含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって作製される論理回路。
【請求項17】
請求項15に記載の方法によって作製されるアクティブ・マトリックス回路を含むディスプレイまたはメモリ用のデバイス。
【請求項18】
請求項15に記載の方法によって作製される相互接続部アレイ。
【請求項19】
金属イオンを還元するための触媒と、発色団とを含む組成物。
【請求項20】
前記発色団は、赤外放射を吸収する化学部分である請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記発色団はカーボン・ブラックである請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
請求項19〜21に記載の組成物を組み込む請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記金属イオン溶液からの金属の被着は無電解メッキ技術である請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
基板上に金属被着物を形成する方法であって、金属イオン溶液から金属を被着させるための触媒としての活性を照射技術によって調節することができる材料の第1層を基板に形成するステップと、前記照射技術を使用して前記第1層に活性領域および非活性領域のパターンを形成するステップと、得られた活性領域および非活性領域のパターンを使用して金属イオン溶液から前記基板上への金属の被着を制御するステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−525835(P2007−525835A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552681(P2006−552681)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000458
【国際公開番号】WO2005/079126
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(503430658)プラスティック ロジック リミテッド (18)
【出願人】(506274143)コンダクティブ インクジェット テクノロジー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】