高圧蒸気洗浄装置
【課題】 高圧蒸気を微小領域に吹き付け、当該微小領域を拡大させることで被洗浄対象物の洗浄を行う洗浄装置を提供する。
【解決手段】 特定部に開口する槽形状の洗浄槽の開口部をエアカーテンにて閉鎖することとし、洗浄槽内に置かれた被洗浄物に対して高圧蒸気を吹き付けるノズルを、該エアカーテンを超えた洗浄槽内に配置することとする。
【解決手段】 特定部に開口する槽形状の洗浄槽の開口部をエアカーテンにて閉鎖することとし、洗浄槽内に置かれた被洗浄物に対して高圧蒸気を吹き付けるノズルを、該エアカーテンを超えた洗浄槽内に配置することとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型電子部品等の製造工程において、当該電子部品に付着する所謂コンタミ、フラックス等を洗浄する洗浄装置に関する。より詳細には、高圧の蒸気を用いて当該電子部品の洗浄を実施する高圧蒸気洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程は、種々の工程において該電子部品に付着する物質を洗浄除去する所謂洗浄工程を含んでいる。従来、このような洗浄工程においては、IPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤、界面活性剤と溶剤の混合液、純水、等を洗浄液として用い、更に超音波レベルの周波数の振動を付与して洗浄効率を高めた所謂超音波洗浄法により行われていた(特許文献1及び2参照)。ところが、周知のように電子部品の外形寸法は小型化の一途を辿り、洗浄により除去すべき除去対象物もより小さなものへと変遷してきている。このため、従来の超音波洗浄法では対応しきれない狭い空隙に侵入した異物、或いは微小の所謂コンタミと称呼される物質の効率的な除去を可能とする洗浄方法の開発、導入が求められている。
【0003】
ここで、半導体ウエハ等に設けられる微細な空隙である所謂トレンチの洗浄法として、例えば特許文献3〜5に開示される洗浄方法が知られている。これら洗浄方法では、密閉空間内に被洗浄物であるウエハ等を設置し、該被洗浄物に対して純水からなる蒸気を吹付けて被洗浄物の表面洗浄を行っている。当該洗浄方法では、洗浄液たる蒸気が気体状であることからトレンチ等の内部に容易に侵入し、且つトレンチの内壁表面の濡れ性を高める効果が得られる。このため、通常の液体の吹き付け、或いは液体への浸漬の場合と異なり、トレンチ等の内壁表面に対して洗浄液が容易に付着し、当該内壁表面に対する好適な洗浄結果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−345174号公報
【特許文献2】特開2007−021362号公報
【特許文献3】特開平01−189127号公報
【特許文献4】特開平04−315429号公報
【特許文献5】特開平04−370931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際に被洗浄物となる電子部品は、洗浄工程の効率化の観点から、特許文献3或いは5に示されるウエハ状、或いは略平板状の所謂トレイ表面に複数の電子部品を配列した状態で、洗浄処理が施される。このため、これら洗浄方法においては、平板状の被洗浄物の面積より大きな面積の蒸気噴出し領域を有した平板状ノズルを用い、高温の純水蒸気を被洗浄物の全面に供給することとしている。従って、洗浄時においては密閉空間内に対して一度に多量の水蒸気が供給されることとなり、実際には蒸気のみで洗浄を果たすまで好適な蒸気流を維持することが困難と思われる。このため、引用文献3に開示される方法では蒸気は超純水による洗浄の前処理としてしか用いられておらず、引用文献5に開示される方法では蒸気の供給方法等において装置内の圧力、温度等を細かく制御することを求めている。しかしながら該文献5に示すような制御を為した場合であっても、該文献に示される所謂蒸気トラップのトラップ能力以上の蒸気が供給されてしまう、或いは制御圧力以上に圧力が変化してしまう、といった情況では、それ以上の蒸気の好適な吹き付けは困難となると考えられる。従って、このような多量の蒸気の使用を為すことなく蒸気のみで洗浄工程を実施するには、蒸気を好適にトラップしつつ装置内に供給された気体を適宜排気し、蒸気が安定的に供給、吹き付け可能となるような少量の蒸気供給による洗浄を可能とすることが求められる。
【0006】
また、基本的に基板面に対して垂直に設けられたトレンチの内部の洗浄の好適洗浄を目的とする場合には、上述したように平板状ノズルによってトレンチの奥にまで蒸気を供給することも可能である。しかし、PCB基板におけるフラックス残渣、磁気ヘッドスライダにおける研削残渣、或いは微細加工用の切削砥石等の洗浄の場合のように種々の用途への適用を考慮した場合には、単一の方向からではなく種々の方向からの蒸気の吹き付けを行う必要が生じる。前述した少量の蒸気供給による洗浄の実施にあっても、このような蒸気吹き付け位置の移動を行うことによって、大きな被洗浄領域を有した被洗浄物の洗浄が可能となる。このような使用条件に対応しようとした場合、ノズル或いは被洗浄物の少なくとも何れかを三次元的に移動させなければならない。しかし密閉空間、更には洗浄力の高い高温の純水蒸気等が充満する密閉空間にこのような三次元的な移動を可能とする駆動系を作りこむことは容易ではなく、また駆動系自体からのコンタミ等による電子部品等の汚染の防止も考慮しなければならなくなる。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、上述したような蒸気吹き付け位置を変更可能であって、少量の蒸気の吹き付けを行いつつ且つ吹き付け位置或いは吹き付け方向を適宜変更可能とすることによって、高圧蒸気の吹き付けのみによって種々の被洗浄物の洗浄を可能とする高圧蒸気洗浄装置の提供を目的とするものである。また、このような少量の蒸気の吹き付けという条件を満たしつつ、種々の形状を有した被洗浄物に対しても対応可能な高圧蒸気洗浄機の提供も目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る洗浄装置は、被洗浄物に対して高圧力の蒸気を吹き付けて被洗浄物の洗浄を実施する洗浄装置であって、高圧力の蒸気を生成する高圧蒸気発生ユニットと、高圧蒸気発生ユニットと接続されて高圧力の蒸気を噴出し可能なノズルと、特定部に開口する開口部を有して内部に被洗浄物を収容可能な槽構造を有する洗浄槽と、開口部を気流により閉鎖して洗浄槽の内部と外部とを気体に関して隔置するエアカーテン生成ユニットと、を有し、ノズルにおける蒸気噴出し部分はエアカーテンを超えて洗浄槽の内部に位置することが可能であり、洗浄槽の内部に位置して被洗浄物に対する高圧力の蒸気の吹き付けを行うこと、を特徴としている。
【0009】
なお、上述した洗浄装置にあっては、ノズルを被洗浄物の延在面と平行な面内において駆動するノズル駆動機構を更に有し、ノズル駆動機構はエアカーテンによって洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることが好ましい。また、ノズルと被洗浄物との距離を調節するZθ調整機構を更に有し、Zθ調整機構はエアカーテンによって洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることがより好ましい。また、ノズルと被洗浄物との相対的な成す角度αを任意に変化させて固定可能なα調整機構を更に有することがより好ましい。
【0010】
また、上述した洗浄装置にあっては、高圧蒸気発生ユニットよりノズルに高圧力の蒸気を送る蒸気供給経路は、蒸気の一部をノズル以外に流すバイパス経路が接続され、バイパス経路は蒸気の一部の流量及び蒸気の圧力の内の少なくとも何れかを制御可能なバイパス弁を有することが好ましい。また、当該洗浄装置に対して、被洗浄物の配置に関してノズルの配置と反対となる位置に配置され、蒸気及び蒸気に起因する液体を透過可能な制御板を更に有することが好ましい。更に、洗浄槽は被洗浄物を洗浄槽内部にて固定保持するワーククランパを更に有し、被洗浄物は開口部を介してワーククランパによる着脱されることがより好ましい。
【0011】
また、洗浄槽は、ノズルから噴出された後の高圧力の蒸気に起因する液体を捕集するトラップを、被洗浄物の配置に関してノズルの配置と反対となる位置に有し、トラップは捕集された液体を洗浄槽の外部に排出するドレイン口を有することがより好ましい。また、洗浄槽は洗浄槽の内部の気体を排気する排気系を更に有することが好ましい。更に、エアカーテン生成ユニットは、エアカーテンが含んだ水分を減少させる水分低下ユニットを有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高圧蒸気を供給するノズルの駆動系を蒸気充満空間外部に配置することが可能となる。従って、簡易な構成により角度或いは位置等を変更しながら、被洗浄物に対して高圧(更には高温の)蒸気を吹き付けることが可能となる。また、少量の蒸気を被洗浄物上の特定位置に吹き付け、当該特定位置をずらせながら被洗浄物の表面全域を洗浄することが可能となる。その結果、洗浄空間内部を蒸気によって充満した状態を作ることなく、当該蒸気のみによる洗浄を完遂することが可能となる。
【0013】
より詳細には、本発明では、洗浄用の空間を例えば直方体とし、且つその一面である特定部に開口部を有した槽形状からなる洗浄槽によって構成することとしている。高温高圧の蒸気を噴出するノズルは、この開口部から洗浄槽内部の空間に突き出すようにして該洗浄槽内部での動作を行う。洗浄槽の開口部は、特定方向に向かう気流である所謂エアカーテンによって閉鎖されている。当該エアカーテンによって、洗浄槽内に供給された蒸気の槽外部への拡散が防止される。従って、ノズルの回転、及び被洗浄物の延在面と平行な所謂XY平面内でのノズルの移動、を実施する構成をエアカーテンの外部に配置することで、これら構成と蒸気の接触を防止することが可能となる。
【0014】
このようにノズルの駆動に関連した構成を洗浄槽外部に配置することが可能となることによって、従来からあるノズル駆動装置或いはより簡易な構成からなる駆動装置の適用が可能となる。また、被洗浄物に対するノズルの配置、或いは蒸気の吹き付け角度を任意に変更することが可能となることから、極少量の蒸気しか吹き付け得ないノズルであっても、その吹き付け位置を適宜移動させることによってある程度以上の面積を有した被洗浄物の洗浄を完遂することが可能となる。また、少量の蒸気の供給によって洗浄を行うことが可能となることから、洗浄中常時蒸気を排気することが容易となり、洗浄の完遂まで高圧の蒸気を安定して被洗浄物に吹き付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一態様である洗浄装置の第一の実施形態について、主要部の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一態様である洗浄装置の第二の実施形態について、主要部の構成を模式的に示す図である。
【図3】図2に示す第二の実施形態について、高圧蒸気を供給する系およびエアカーテンを生成する系を含めた構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の一態様である洗浄装置において用いられるワーククランパの一実施形態を模式的に示す図である。
【図5A】複数のワークを同時固定可能なワーククランパの一実施形態を模式的に示す図である。
【図5B】図5Aにおける線5B−5Bに沿ってトレイ本体等を切断した状態の断面の構成を模式的に示す図である。
【図6】実際に洗浄を行なう際の各工程をフローチャートにより示す図である。
【図7】洗浄装置の一形態について、当該装置を上方から見た状態を示す図である。
【図8】図7に示す洗浄装置を同図中矢印8方向から見た状態であって、洗浄槽について矢印8に垂直な平面による断面を部分的に示す図である。
【図9】洗浄装置の一形態について、図7に示した形態に更に更にワーク供給装置を付加した形態を上方から見た状態を示す図である。
【図10】図9に示す洗浄装置を同図中矢印10方向から見た状態を示す図である。
【図11A】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った例であってその際ワークとして用いられたPCB基板を示す図である。
【図11B】図11Aにおける領域11Bを拡大して示す図である。
【図11C】洗浄後における領域11Bを示す図である。
【図12A】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った例であってその際ワークとして用いられた磁気ヘッドスライダを示す図である。
【図12B】図12Aにおける領域12Bを拡大して示す図である。
【図12C】洗浄後における領域12Bを示す図である。
【図13A】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った例であってその際ワークとして用いられて研削砥石を示す図である。
【図13B】図13Aにおける領域13Bを拡大して示す図である。
【図13C】洗浄後における領域13Bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一態様である洗浄装置1について、以下に図面を参照して説明する。図1は当該洗浄装置1の第一の実施形態について、主要部の構成を模式的に示している。当該洗浄装置1は、主要部の構成として、洗浄槽11、ノズル21、ワーク30或いはワークトレイ31、及びエアカーテン生成ユニット41(送気ユニット45及び吸気ユニット47を含む)を有する。洗浄槽11は、上方に開口部を有する所定の広さの洗浄空間13を内部に有する。より詳細には、本実施形態において、洗浄空間13は直方体形状を有する。洗浄空間13の下部には、洗浄に寄与した所謂汚水及び洗浄に寄与しなかった蒸気が液化した洗浄水を溜めるトラップ15が存在する。なお、後述するように、ワーク30はワーク単体として取り扱っても良く、且つワークトレイ31に載置或いは固定した状態で取り扱っても良い。従って、以降の説明においてワーク30或いはワークトレイ31、或いはその何れかとして記載される構成は、各々状況に応じて適宜置換可能な構成として扱われる。従って、本発明において、被洗浄物とはワーク30及びワーク30が固定されたワークトレイ31の両者を含むものとする。
また、以下で述べる蒸気とは、全てが気体の状態で構成される「水蒸気」、気体と液体とが混合されてなる「混合流体」、及び高温の微水沫からなる「高温噴霧」を含むものとする。実際の洗浄操作においても、除去対象物、被洗浄物、除去対象物が存在する被洗浄物の表面状態等、状況に応じてこれらを適宜選択することが望ましく、又、蒸気生成条件である後述する高圧蒸気発生ユニット側の条件設定により蒸気の内容が種々変化する。従って、本発明においてノズル21から供給される気体については、上記概念を包含する名称としてこれを単に蒸気と称する。
【0017】
また、洗浄槽11の上部には、洗浄空間13に対してノズル21が侵入し且つ退避することが可能となる開口部17が形成される。本形態では直方体形状の空間の上面に当該開口部17は配置されているが、洗浄空間13及びこれを規定する洗浄槽11の形状は特に規定されず、開口部17は洗浄槽11の特定部に開口するものとして定義されることが好ましい。なお、後述するように、開口部17は、被洗浄物であるワーク30が固定保持されるところのワークトレイ31或いはワーク30を洗浄空間13の内部に対して搬入或いは搬出する際の経路としても用いられる。
【0018】
トラップ15には、トラップ15の底面となる面より所定高さ立ち上がった位置に開口する排気開口部19が存在する。排気開口部19は不図示の所謂ブロアを用いてなるブロア排気系に繋がっており、当該ブロアによって洗浄空間13内部の空間を外部空間に排気可能としている。また、トラップ15は、当該トラップ15に溜まった汚水等を外部に排出するためのドレイン口16を有する。ドレイン口16は排気開口部19より鉛直方向下方に配置され、当該ドレイン口16より適宜汚水等を排出することにより、汚水等の液面が排気開口部19を超えることを防止する。なお、トラップ15の配置は、ノズル21及び被洗浄物たるワーク30との関係より、ワーク30の配置に関してノズル21が配置される側とは反対の側として把握されることが好ましい。
本実施形態において、ノズル21は一方の端部に蒸気の吹き出し口或いは部分を有する中空形状を有し、その延在軸方向と一致する方向に該蒸気を噴出している。該ノズル21は他方の端部において、α調整機構26及び該α調整機構26を支持するノズル用アーム28を介して、後述するノズル駆動機構70により支持されている。α調整機構26は、ノズル用アーム28の延在方向に対してノズル21の延在軸が任意の角度となるように、その支持方向を任意に変更し、固定することが可能となっている。
【0019】
ワークトレイ31は、種々のワーク30を保持して洗浄空間13内部に固定され、洗浄を効率的に行うために用いられる。図に示すワークトレイ31は、例えば複数のワークたる磁気ヘッドスライダを保持する様式のものであって、表面にこれらスライダが固定可能な平板形状を有する。ノズル21に対しては、後述する二流体ノズル及び高圧蒸気発生ユニットが接続され、高圧の蒸気を噴出可能とされている。また、当該ノズル21は、公知の所謂ノズル駆動系と接続されて、例えば水平面であるXY平面内での駆動及び当該XY平面に対して傾斜する駆動が可能となっている。本実施形態では、平板状のワークトレイ31の延在面に対して傾き角αの角度にて蒸気の吹き付けが可能となるように、前述したα調整機構26の操作によってノズル用アーム28に対するノズル21の接続方向を調整した場合を例示している。なお、本実施形態では、トレイとして平板状の形状を有したほうが有利な磁気ヘッドスライダをワーク30としている。しかし、例えばワーク形状がより複雑な形状の物である場合、磁気ヘッドスライダであっても例えば側面等の特定面を集中的に洗浄しようとする場合、等、状況に応じてワークトレイの形状は種々変更されることが好ましい。従って、傾き角αは、ノズルからの蒸気の吹き付け方向におけるワーク30に対する相対的な傾き角として定義することとしても良い。また、後述するノズル駆動機構70によって規定されるXY軸を基準とする平面に対する傾き角として定義しても良い。
【0020】
エアカーテン生成ユニット41は開口部17をエアカーテン43によって閉鎖可能となるように、開口部17の一方の内縁に送気ユニット45が、又対向する内縁に吸気ユニット47が配置される。即ち、送気ユニット45から略線状に供給された気体が、当該線状をある程度維持した状態で吸気ユニット47により吸引される。これにより、これらユニット間に気体の流れによる所謂カーテンが生成される。当該エアカーテン43により、洗浄槽11はその内部である洗浄空間13と、外部の空間と、が気体に関して隔置される。本態様にあっては、蒸気の供給系において、実際に洗浄用蒸気の吹き付け操作を行うノズル21の先端部(蒸気の噴き出し部分)がエアカーテン43を超えて洗浄空間13の内部に存在することとしている。エアカーテン43は、ノズル21から噴出され且つワーク30或いはワークトレイ31に弾かれて周囲に飛散する蒸気或いは水滴等の洗浄空間13外への漏出を防止する。従って、ノズル21の駆動系はこれら蒸気等との接触を生じない。
【0021】
以上の構成を主要部とする洗浄装置1を用いることにより、ノズル21のXY平面内での駆動及び該XY平面に対する傾斜駆動を行う駆動系を洗浄用蒸気とは無関係の位置に配置することが可能となる。また、ノズル21の駆動が容易に実施できることから、極少量の蒸気を局所的に集中させてその部分の洗浄を実施し、且つ集中箇所を適宜移動させることで少量の蒸気の使用であってもワークトレイ31上の必要領域全域の洗浄を実施することが可能となる。なお、図1に示した形態の場合、一旦トラップ15の近傍に移動した蒸気或いは微小な水滴が再度ワークトレイ31の上方に舞い上がって洗浄の効率を低下させる、或いは、過度の蒸気等がブロア排気系に吸引されることで、ブロアの能力的な問題が生じる、といった可能性がある。以下に述べる第二の実施形態はこのような水蒸気等への対策を考慮したものである。
【0022】
図2に、図1と同様の様式にて洗浄装置1の第二の実施形態の主要部構成を模式的に示している。なお、図1に示した構成と同一の構成については同一の参照番号を付記し、ここでの説明は省略することとし、第一の実施形態と異なる構成についてのみ説明することとする。図2に示す洗浄装置1は、制御板12及び排気開口カバー14を更に有している。制御板12は、例えば網状の板、所謂メッシュ板により構成され、ワークトレイ31と排気開口部19及びトラップ15との間に配置されて洗浄空間13を鉛直方向における上部と下部とに分離する。なお、この場合の上部及び下部は厳密な上下の配置を意味するものではなく、便宜上ワークトレイ31が配置される空間と洗浄空間13から排出されるべき状態となった蒸気等を捕集する作用が求められる空間とに対応するものとする。また、制御板12はワーク30或いはワークトレイ31の配置に関してノズル21が配置される側とは反対側に配置され、ノズル21から噴出された蒸気及び該蒸気に起因する液体を透過可能な部材として定義されることが好ましい。
【0023】
制御板12は、ワーク30の洗浄に寄与しなかった蒸気や、或いは洗浄に寄与して凝集液化した所謂汚水を透過し、制御板12の下部に逃がす機能を有する。また、当該制御板12は、更にノズル21から噴出された蒸気が直接トラップ15に至ることを防止すると共に、蒸気等が洗浄槽11の底面或いは下部内面に反射して舞い上がることを防止する。当該制御板12を配置することによって、洗浄に寄与しなくなった蒸気或いは微小な水滴等を速やかにワークトレイ31の上方空間から退避させること、及び一旦洗浄空間13の下部に至った蒸気等のワークトレイ31の上方空間への循環を防止することが可能となる。
【0024】
排気開口カバー14は、蒸気或いは微小な水滴を多量に含んだ気体が、直接排気開口部19に至ることを防止する。当該排気口カバー14を配置することによって、ノズル21から噴出された蒸気が排気開口部19に至るまでに要する時間を長くし、これら蒸気等が凝集液化してトラップ15に捕集される率を高めることが可能となる。また、前述した制御板12と組み合わせることによって、トラップ15の液体捕集率をより高め、ブロア排気系へ至る液体を低減して、当該ブロア排気系の排気効率を好適に維持することが可能となる。また、ブロア近傍での液体の分離が必要でなくなることから、ブロア排気系に比較的簡易な構成からなるものを使用することが可能となる。
【0025】
次に、先に述べた第一及び第二の実施形態である洗浄装置1に関し、ノズル21及びこれに付随する構成、及びエアカーテン生成ユニット41に付随する構成について、図面を参照して説明する。図3は、先に述べた主要構成に加え、これら蒸気及び気体の供給に関連する構成を含めて模式的に示している。なお、図1或いは2に示した構成に関しては同一の参照番号を付記することによってここでの繰り返しの説明は省略する。
【0026】
ノズル21に対する高温高圧の蒸気の供給は、蒸気供給経路23により為される。蒸気供給経路23は、下流においてノズル21と接続されており、上流において二流体ノズル25とヒータ27とからなる高圧蒸気発生ユニット29と接続されている。また、二流体ノズル25に対しては、純水源22及び高圧空気源24より、純水及び高圧の所謂圧空(圧縮空気)が供給される。二流体ノズル25においてはこれら純水と圧空とが混合され、更に当該混合により得られた流体をヒータ27によって加熱することにより、高温高圧の蒸気を発生させている。なお、本形態ではヒータ27として所謂IH(高周波融合加熱型)ヒータを用いているが、所定の高温高圧の蒸気が効率的に得られるのであれば、種々の加熱源を用いることが可能である。高圧蒸気発生ユニット29によって生成された蒸気は、蒸気供給経路23を介してノズル21に送られる。
【0027】
ここで、例えば被洗浄物たるワーク30が軟質材からなり、過度の圧力を付加して蒸気を吹付けた場合に、当該ワーク30に対して何等かのダメージを与える恐れがある場合が考えられる。このような場合、ワーク30にダメージを与えることなく十分な洗浄効果を得るために、吹き付ける蒸気の吹き付け圧(供給圧力)及び温度の最適化を行う必要がある。通常、供給圧力の制御は、二流体ノズル25に供給される圧空の圧力と、ヒータ27の加熱の程度を調節することによって行われる。しかし、この供給圧と加熱温度との変化は、高圧蒸気発生ユニット29により生成された蒸気を含んだ気体の体積或いは飽和蒸気圧等を考慮して行う必要がある。このため、実際の圧力制御は非常に複雑なパラメータを考慮する必要があり、事実上圧力固定による洗浄しか現状では為し得ていない。また、上記の温度に関しても、単にヒータ27の加熱温度を制御するだけでは圧力の変動も伴うことから、蒸気温度の制御も同時に困難であった。
【0028】
本実施形態においては、このようなノズル21に対して供給される蒸気の圧力及び温度の制御を行うために、バイパス経路33を配置することとしている。当該バイパス経路33は、蒸気供給経路23に繋げられて、バイパス連通口37を介して洗浄空間13の下部に或るトラップ15に連通している。バイパス経路33には、バイパス弁35が配置されている。当該バイパス経路33を介して蒸気供給経路23から適当な量の蒸気を分離してこれをトラップ15に直接排出することにより、ノズル21に供給する蒸気の圧力を機械的に制御可能としている。即ち、バイパス経路33は、蒸気供給経路23に供給された蒸気の一部をノズル21以外に流してノズルに至る蒸気の流量或いは圧力を減ずる役割を有する。また、バイパス弁35の開度を調節することによって、バイパス経路33より排除される蒸気流量を制御し、蒸気供給経路23内の圧力、即ちノズル21に対する供給圧を調整することも可能となる。更に、蒸気温度の制御に関しても、圧力と分離して制御することが可能となり、適宜最適温度にあわせた蒸気を得ることが可能となる。即ち、ノズル21に至る蒸気の流量、或いは圧力の少なくとも何れかをバイパス弁35によって制御し、これによりワーク30に吹き付ける蒸気の圧力を調節することが好ましい。
【0029】
また、本実施形態では、エアカーテン生成ユニット41における送気ユニット45に対して、前述した高圧空気源24から圧空を分岐し、供給している。尚、高圧空気源24と送気ユニット45との間には不図示の流量調整弁が配置されている。送気ユニット45は例えば同一稜線上に任意の小穴を連続的に空けた丸パイプであって、当該丸パイプの両端から圧空を供給する形態が例示できる。即ち、洗浄槽11における例えば矩形状の開口部17の特定の一辺を完全にオーバーラップできるだけの幅を有して、略線状(小穴からの気体の噴出しであっても、小穴開口から所定距離隔てた位置では各々の気流は重なり合い、概ねシート状で断面が線状の気流が生成される)の気流を生成可能であれば良い。
【0030】
吸気ユニット47ついては、前述した送気ユニット45を配置した特定の一辺に対向する一辺に配置され、当該一辺を完全にオーバーラップできる領域で前述した線状の気流を吸引できる構成とされている。具体的には、当該領域に開口する線状或いは細長い矩形の吸引口として設けられる。当該吸引口49は、エアカーテン用排気経路51と繋がっており、不図示のブロア排気系と接続された当該エアカーテン用排気経路51を介して、エアカーテン43を形成する線状に供給される気流を吸引、排気している。なお、エアカーテン43は洗浄空間13側の面において蒸気を多量に含んだ気体と接触している。このため、吸引口49に達したエアカーテン43を生成した気体は、多量の水蒸気を含んだ状態となっている。このような気体をこのままブロア排気系によって排気した場合、ブロアに対して湿度による悪影響が生じる可能性がある。
【0031】
本形態では、このような蒸気を凝集液化させるために、吸引口49の直後であってエアカーテン用排気経路51との間に所謂ラビリンス状空間53を配置している。ラビリンス状空間53は複数の屈曲部を連続的に配した狭窄経路であって、当該狭窄経路を配することによって排気経路の延長化を図り、且つ当該経路を通過する気体を少しでも多くの空間内壁と接触させることを目的としている。当該ラビリンス状空間53を通過する際に、気体に含まれた蒸気は空間内壁に結露し、後段のブロアに至る蒸気の量(包含割合)を減少させることが可能となる。なお、捕集された蒸気を排出するために、実際にラビリンス状空間53の下部には液体排除用の不図示の第二のドレイン口が配置される。即ち、ここで述べるラビリンス状空間53はエアカーテン43に含まれた水分量を低下させる水分低下ユニットとして作用する。なお、本形態は単純に構造のみによってある程度の水分低下機能が見込めることによりこれを採用している。しかし当該構成の形態はこれに限定されず、例えば、温度管理の制御機能等を付加可能であれば、水分を吸着保持するような冷却板等をこれに変えて水分低下ユニットとして用いても良く、種々の形態のものを適用可能である。
【0032】
なお、実際の洗浄装置1においては、ワーク30或いはワークトレイ31は洗浄空間13に配置されたワーククランパ32に対して固定される。本実施形態置いて用いられるワーククランパ32について以下に説明する。図4はワーククランパ32に対して平板状のワーク30(或いは平板状のワークトレイ31)を固定した状態を模式的に示している。ワーククランパ32は、クランパ本体55、クランパ本体55より所定方向に突出するクランプ用突起56、及びクランパ本体55に対してクランプ用突起56と同方向に突出するクランプ爪57を有する。クランパ本体55の上面はワーク30との当接面に倣った表面形状を有し、クランプ用突起56とクランプ爪57との間にてワーク30を挟持することによって、ワーク30をクランパ本体55の上面に密着固定させる。これにより、洗浄工程において高圧の蒸気が吹き付けられた際においても、ワーク30(或いはワークトレイ31)がクランパ本体55から外れることが防止される。なお、本形態においてクランプ爪57を動作させる構成は、例えばバネ、空圧機器等により構築しても良い。また、クランプ方式のような機械的な固定方法ではなく、例えば所謂真空吸着等の方法によっても良い。
【0033】
又、ワーククランパ32は複数のワーク30に対しても対応することが求められる。図5Aはこのような小型のワーク30を複数同時に保持する形態を模式的に示している。当該形態ではワークトレイ31の表面にワーク30の各々を収容可能な凹部を配置し、当該凹部にワーク30を収容した状態にあるワークトレイ31をワーククランパ32に固定することとしている。なお、クランプ用突起56及びクランプ爪57については図4に示す形態と同一である。本形態ではワークトレイ31に対してはクランプ爪57等による機械的な保持による固定を為し、ワーク30各々に対しては所謂真空吸着による保持を為すこととしている。図5Bに示すように、ワークトレイ31に設けられた収容凹部の底面には、ワークトレイ31の裏面に貫通する貫通孔61が設けられている。また、クランパ本体55に対してワークトレイ31を固定した際に当該貫通孔61の開口部と対向する面には吸引開口58が設けられ、該吸引開口58はクランパ本体55の内部において吸引経路60と接続される。当該吸引経路60の内部を不図示の吸引源によって吸引排気することにより、吸引開口58及び貫通孔61を介してワーク30に対する吸引力を作用させ、ワーク30をワークトレイ31に対して固定している。
【0034】
なお、ワーククランパ32は、洗浄空間13の任意の位置に固定されて良いが、例えば第二の実施形態においては、制御板12よりもノズル21側に配置されなければ成らない。この場合、制御板12に対してワーククランパ32を直接固定する様式としても良い。
【0035】
次に、上述した洗浄装置1を用いて、実際にワーク30を洗浄する際の操作について説明する。図6はワーク洗浄の際の各工程をフローチャートとして示している。実際のワーク洗浄において、まずStep1ではワーク30或いはワーク30を保持するワークトレイ31をワーククランパ32に対して固定する。ワーク30等の所定位置への固定が確認された後、装置が始動され、実際の洗浄工程が開始される(Step2)。なお、ワーク30等のワーククランパ32への固定は、吸引経路に配置される不図示の圧力センサ、機械的なクランプに際しての不図示の接触センサ等によって確認される。洗浄に際しては、まずStep3に示すように、エアカーテン43の生成が行われる。エアカーテン43が生成され、安定状態となり、高圧蒸気の洗浄空間13の外部への漏出が確実に防止できる状態となった後、Step4に示されるようにワーク30に対するノズル21からの高圧蒸気の吹き付け、洗浄が開示される。なお、エアカーテン43の生成は、例えば送気ユニット45からの気体の吹き出しが開始された後、所定時間の経過によって生成が完了したと判断すると良い。また、直接状態を観察できるモニタ等によって線状の気体の吹き出しの進捗情況を確認する様式としても良い。
【0036】
洗浄中、蒸気は洗浄空間13内の気体と共に排気開口部19から主に排気され、洗浄に寄与した所謂汚水はトラップ15に捕集される。十分な時間、ワーク30に対する蒸気の吹き付けが行われた後、洗浄が終了したと判断されて高圧蒸気の吹き付けが停止される(Step6)。ノズル21からの蒸気の吹き出しが完全に停止した後、或いは停止後所定時間の排気が為された後、エアカーテン43が解除される(Step7)。エアカーテン43が解除された後、ワーク30等の洗浄空間13からの取出しが行われる(Step8)。ワーク30等の取出しが終了した後、フローはStep1に戻り、次のワーク30の洗浄が実施される。以上の工程を経ることにより、ワーク30の洗浄を容易且つ確実に実施することが可能となる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、蒸気源として純水を用いることとし、且つ蒸気生成及びエアカーテンの生成には所謂圧縮空気を用いることとしている。しかし、本形態における蒸気源等はこれらに限定されない。具体的には、洗浄効率を高めるために有機溶剤系の液体を蒸気源として用いても良く、高圧気体として、高純度窒素等の所謂不活性ガスを用いることとしても良い。また、洗浄槽11の形状は直方体形状とし且つ開口部17はその上面の略半面を開口するように形成することとしている。しかし、洗浄槽11の形状は例えばワーク30或いはワーククランパ32の形状、或いはノズル21の可動領域に応じて適宜変更しても良い。更に、開口部17は上面前面であっても良く、排気開口部19に対してワーククランパ32の反対側、即ち本形態では上部に形成されていれば良い。
【0038】
次に、これら形態を実際に具現化した洗浄装置1の一態様について図面を用いて説明する。図7は本形態に係る洗浄装置1の平面図であり、図8は図7における矢印8方向からの側面図であって、洗浄槽11を矢印8に垂直な断面にて切断した部分断面を同時に示す図ある。なお、既に説明済みの諸構成に関しては従前の実施形態において用いた参照番号と同一の参照番号を用いることとし、ここでの説明は省略する。同図において、洗浄槽11は直方体形状の洗浄空間13を有し、上面全面が除去されて開口部17を構成している。本洗浄装置1では、この開口部17を利用してノズル21をXY平面(制御板12上に配置されるワーククランパ32或いはワークトレイ31の延在面と平行な面であり、本実施形態では水平面に対応)内に移動させ、且つ当該XY平面に垂直なZ軸方向への移動及び該Z軸周りの回転動作を可能としている。なお、本構成ではワークトレイ31の載置面或いは載置状態が水平面を構成する様式としているが、例えば、装置の所謂フットプリント等或いはワーク30の形状等を考慮して、延在面が水平面に対してある程度の角度を有するように配置しても良い。
【0039】
図面を参照し、以下にこのノズル駆動に関する構成であるノズル駆動機構70について説明する。ノズル駆動機構70は、その機能により本体部分と、後述するZθ調整機構71とに分けられる。便宜上本体部分を本発明におけるノズル駆動機構として定義する。ノズル21はZ軸方向に延在し、該Z軸方向の一方の端部(図中下端)において蒸気の噴出し出口を有する。また、他方の端部(上端)においてZ軸方向への移動及びZ軸周りの回転動作を行うためのZθ調整機構71に連結されている。Zθ調整機構71はZ軸に垂直に延在するアーム73によって支持される。従って、ノズル21はアーム73に対して相対的にZ軸方向、及びZ軸周りの動作を行う。アーム73を支持するXY駆動手段75は、公知の一軸ロボットをX軸用、及びY軸用として用い、各々X軸ロボット77及びY軸ロボット79として組み合わせて使用する。本形態では、X軸ロボット77に対してアーム73を固定し、該アーム73を介してノズル21のXY方向の移動を可能としている。また、ノズル21のY軸方向の移動の安定化を図るために、本形態においては、X軸ロボット77をY軸用補助ガイド81によっても支持している。
【0040】
なお、上述したX軸ロボット77、Y軸ロボット79及びY軸用補助ガイド81は公知のXY駆動用の構成により構築したものであって、図に示す態様以外の種々の構成によって構築することが可能である。また、ノズル21のワーク30の延在面に対する傾き角度については、ワーク30の特性、或いは被洗浄領域の大きさ等に応じて適宜変更されることが望ましく、前述したα調整機構26として当該構成を例示している。しかし、当該構成については、公知の角度調整機構から適切なもの用いることが可能であり、配置に関しても例示されて位置或いは様式に限定されず、ノズル21における蒸気の噴出し方向をワーク30に対して相対的に変更可能であれば良い。更に、Zθ調整機構71を所謂Z軸ロボットとして構成しても良い。この場合、ノズル21の洗浄時の位置は、例えば異なるワーク毎に記憶させたZ位置より高圧蒸気の吹き付けを行うこと、或いは、洗浄槽11の深さ方向においてZ軸方向に所定量退避させた位置を装置原点とし、当該原点から吹き付け位置を規定することとしても良い。
【0041】
本発明にあって、図7及び図8に示すように洗浄槽11の開口部17をエアカーテン43のみによって外部空間から隔置する形態を取ることから、外部空間からワーク30、ワークトレイ31、或いはワーククランパ32へのアクセスが容易である。即ち、ノズル21が洗浄槽11上の空間より退避した状態にあれば、エアカーテン43の存在の有無に係らず、開口部17を全てワーク30等の交換用のスペースとして活用することが可能となる。従って、作業員がワーク30等を交換することも容易であり、且つワーク30等の交換を自動機により行うことも容易に可能となると考えられる。ワーク30等の具体的な供給方法は種々構築可能であるが、望ましい形態を図8及び9に示した洗浄装置1に付加した場合を以下に例示する。
【0042】
図9は洗浄装置1及びワーク供給装置80の組み合わせを実際に構築した例であってこれら構成を上方から見た状態を示す概略図である。なお、ワーク供給装置80は実際にはワーク30或いはワークトレイ31を供給するが、ここでは単にワーク30の供給として以下の説明を行う。また、図10は、これら構成を図9における矢印10方向から見た場合の状態の概略を示している。ワーク供給装置80は、ワーク搬送ユニット81、ワーク移動ユニット83、ワークZ方向移動ユニット85及びワーク把持ユニット87を有する。
【0043】
ワーク移動ユニット83は一軸ロボットが好ましい。ワークZ方向移動ユニット85は、小型の一軸ロボット、或いは圧空等を動力源とするアクチュエータが考えられる。ワーク把持ユニット87は、ワーク30の形状に準ずる部分もあるが、吸着力を用いた構成、アクチュエータ内蔵のロボットハンド、等、適宜選択可能である。ワーク搬送ユニット81についてもワーク30の形状に準ずるが、洗浄済のワーク30を受け取り、段積み或いは平面状態に整列させる機能、及び段積み或いは平面状態に整列されたワーク30を一つだけ分離し、ワーク把持ユニット87に供給する機能を有すれば良い。従って、当該機能を有する公知の構成を適用可能である。また、ワーク移動ユニット83をスカラー型ロボット、或いは6軸ロボットと置き換えても良い。また、洗浄槽11の側面にエアカーテンつきの開口部を設け、メッシュベルトを用いたコンベア状の搬送手段としても良い。
【0044】
次に、上述した本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った結果について以下に述べる。図11Aは、洗浄の一実施例としてワーク30に用いたPCB基板を示している。図11Bは図11Aにおける領域11Bを拡大したものを示す。同図により、PCB基板表面にフラックスの残渣91が存在していることが分かる。図11Cは、図11Bに示した領域を、当該洗浄装置により特定の条件にて洗浄を実施した後の状態を示している。図11Cによれば、この洗浄の実施によってフラックス残渣91が完全に除去されていることが理解される。
【0045】
次に、ワーク30として磁気ヘッドスライダを用いた場合について述べる。図12Aは、ワーク30である磁気ヘッドスライダの被洗浄面の写真である。図12Bは図12Aにおける領域12Bを拡大したものを示している。同図により、磁気ヘッドスライダの切断加工時において当該磁気ヘッドスライダに付着した切削液及び切削粉が切削時の残渣93として付着していることが分かる。図12Cは、図12Bに示した領域を、当該洗浄装置により特定の条件にて洗浄を実施した後の状態を示している。図12Cによれば、この洗浄の実施によって切削時の残渣93が完全に除去されていることが理解される。
【0046】
次に、ワーク30として切削砥石(t=0.15)を用いた場合について述べる。図13Aは、ワーク30である研削砥石の上面の写真である。図13Bは図13Aにおける洗浄領域13Bを拡大したものを示している。同図により、研削砥石において研削に使用される領域には、研削加工時に生じる研削粉95が該研削砥石の所謂目の中に付着していることが分かる。従来はこのような状態となった研削砥石は洗浄不能とされ、廃棄されていた。図13Cは、図13Bに示した領域を、当該洗浄装置により特定の条件にて洗浄を実施した後の状態を示している。図13Cによれば、この洗浄の実施によって研削粉が除去され、砥粒が明瞭に視認される状態まで研削砥石の表面状態が改善されている。即ち、本発明による洗浄の実施によって従来廃棄されていた研削砥石が再生されることが理解される。
【0047】
以上図11A〜13Cを用いて例示したように、本発明に係る洗浄装置の使用によって、従来は洗浄が困難、不可能、或いは可能であってもコスト的に洗浄のメリットが生じない被洗浄物についても、効果的な洗浄を行ってコンタミ、残渣、等を除去することが可能となる。また、高温の蒸気の使用によってこれら洗浄効果が得られることから、有機溶剤等を用いた洗浄方法と異なり、環境負荷の低減という効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述したように、本発明に係る洗浄装置は、例えば微細電子部品である磁気ヘッドコアにおける切削液等の残渣等、微細な空間に嵌まり込んで従来の洗浄方法では除去困難な汚染物を好適に除去することが可能である。また、洗浄時の蒸気の吹き付け圧、或いは蒸気温度の制御も容易である。従って、単に微細電子部品の洗浄装置としての態様のみならず、洗浄困難な領域を有する複雑な形状を有する被洗浄物、更には所謂軟質の材料からなる被洗浄物の洗浄装置としても適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:洗浄装置、 11:洗浄槽、 12:制御板、 13:洗浄空間、 14:排気開口カバー、 15:トラップ、 16:ドレイン口、 17:開口部、 19:排気開口部、 21:ノズル、 22:純水源、 23:蒸気供給経路、 24:高圧空気源、 25:二流体ノズル、 26:α調整機構、 27:ヒータ、 28:ノズル用アーム、 29:高圧蒸気発生ユニット、 30:ワーク、 31:ワークトレイ、 32:ワーククランパ、 33:バイパス経路、 35:バイパス弁、 37:バイパス連通口、 41:エアカーテン生成ユニット、 43:エアカーテン、 45:送気ユニット、 47:吸気ユニット、 49:吸引口、 51:エアカーテン用排気経路、 53:ラビリンス状空間、 55:クランパ本体、 56:クランプ用突起、 57:クランプ爪、 58:吸引開口、 60、吸引経路、 61:貫通孔、 70:ノズル駆動機構、 71:Zθ調整機構、 73:アーム、 75:XY駆動手段、 77:X軸ロボット、 79:Y軸ロボット、 81:Y軸用補助ガイド、 80:ワーク供給装置、 81:ワーク搬送ユニット、 83:ワーク移動ユニット、 85:ワークZ方向移動ユニット、 87:ワーク把持ユニット、 91:フラックス残渣、 93:切削時残渣、 95:研削粉
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型電子部品等の製造工程において、当該電子部品に付着する所謂コンタミ、フラックス等を洗浄する洗浄装置に関する。より詳細には、高圧の蒸気を用いて当該電子部品の洗浄を実施する高圧蒸気洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程は、種々の工程において該電子部品に付着する物質を洗浄除去する所謂洗浄工程を含んでいる。従来、このような洗浄工程においては、IPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤、界面活性剤と溶剤の混合液、純水、等を洗浄液として用い、更に超音波レベルの周波数の振動を付与して洗浄効率を高めた所謂超音波洗浄法により行われていた(特許文献1及び2参照)。ところが、周知のように電子部品の外形寸法は小型化の一途を辿り、洗浄により除去すべき除去対象物もより小さなものへと変遷してきている。このため、従来の超音波洗浄法では対応しきれない狭い空隙に侵入した異物、或いは微小の所謂コンタミと称呼される物質の効率的な除去を可能とする洗浄方法の開発、導入が求められている。
【0003】
ここで、半導体ウエハ等に設けられる微細な空隙である所謂トレンチの洗浄法として、例えば特許文献3〜5に開示される洗浄方法が知られている。これら洗浄方法では、密閉空間内に被洗浄物であるウエハ等を設置し、該被洗浄物に対して純水からなる蒸気を吹付けて被洗浄物の表面洗浄を行っている。当該洗浄方法では、洗浄液たる蒸気が気体状であることからトレンチ等の内部に容易に侵入し、且つトレンチの内壁表面の濡れ性を高める効果が得られる。このため、通常の液体の吹き付け、或いは液体への浸漬の場合と異なり、トレンチ等の内壁表面に対して洗浄液が容易に付着し、当該内壁表面に対する好適な洗浄結果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−345174号公報
【特許文献2】特開2007−021362号公報
【特許文献3】特開平01−189127号公報
【特許文献4】特開平04−315429号公報
【特許文献5】特開平04−370931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際に被洗浄物となる電子部品は、洗浄工程の効率化の観点から、特許文献3或いは5に示されるウエハ状、或いは略平板状の所謂トレイ表面に複数の電子部品を配列した状態で、洗浄処理が施される。このため、これら洗浄方法においては、平板状の被洗浄物の面積より大きな面積の蒸気噴出し領域を有した平板状ノズルを用い、高温の純水蒸気を被洗浄物の全面に供給することとしている。従って、洗浄時においては密閉空間内に対して一度に多量の水蒸気が供給されることとなり、実際には蒸気のみで洗浄を果たすまで好適な蒸気流を維持することが困難と思われる。このため、引用文献3に開示される方法では蒸気は超純水による洗浄の前処理としてしか用いられておらず、引用文献5に開示される方法では蒸気の供給方法等において装置内の圧力、温度等を細かく制御することを求めている。しかしながら該文献5に示すような制御を為した場合であっても、該文献に示される所謂蒸気トラップのトラップ能力以上の蒸気が供給されてしまう、或いは制御圧力以上に圧力が変化してしまう、といった情況では、それ以上の蒸気の好適な吹き付けは困難となると考えられる。従って、このような多量の蒸気の使用を為すことなく蒸気のみで洗浄工程を実施するには、蒸気を好適にトラップしつつ装置内に供給された気体を適宜排気し、蒸気が安定的に供給、吹き付け可能となるような少量の蒸気供給による洗浄を可能とすることが求められる。
【0006】
また、基本的に基板面に対して垂直に設けられたトレンチの内部の洗浄の好適洗浄を目的とする場合には、上述したように平板状ノズルによってトレンチの奥にまで蒸気を供給することも可能である。しかし、PCB基板におけるフラックス残渣、磁気ヘッドスライダにおける研削残渣、或いは微細加工用の切削砥石等の洗浄の場合のように種々の用途への適用を考慮した場合には、単一の方向からではなく種々の方向からの蒸気の吹き付けを行う必要が生じる。前述した少量の蒸気供給による洗浄の実施にあっても、このような蒸気吹き付け位置の移動を行うことによって、大きな被洗浄領域を有した被洗浄物の洗浄が可能となる。このような使用条件に対応しようとした場合、ノズル或いは被洗浄物の少なくとも何れかを三次元的に移動させなければならない。しかし密閉空間、更には洗浄力の高い高温の純水蒸気等が充満する密閉空間にこのような三次元的な移動を可能とする駆動系を作りこむことは容易ではなく、また駆動系自体からのコンタミ等による電子部品等の汚染の防止も考慮しなければならなくなる。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、上述したような蒸気吹き付け位置を変更可能であって、少量の蒸気の吹き付けを行いつつ且つ吹き付け位置或いは吹き付け方向を適宜変更可能とすることによって、高圧蒸気の吹き付けのみによって種々の被洗浄物の洗浄を可能とする高圧蒸気洗浄装置の提供を目的とするものである。また、このような少量の蒸気の吹き付けという条件を満たしつつ、種々の形状を有した被洗浄物に対しても対応可能な高圧蒸気洗浄機の提供も目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る洗浄装置は、被洗浄物に対して高圧力の蒸気を吹き付けて被洗浄物の洗浄を実施する洗浄装置であって、高圧力の蒸気を生成する高圧蒸気発生ユニットと、高圧蒸気発生ユニットと接続されて高圧力の蒸気を噴出し可能なノズルと、特定部に開口する開口部を有して内部に被洗浄物を収容可能な槽構造を有する洗浄槽と、開口部を気流により閉鎖して洗浄槽の内部と外部とを気体に関して隔置するエアカーテン生成ユニットと、を有し、ノズルにおける蒸気噴出し部分はエアカーテンを超えて洗浄槽の内部に位置することが可能であり、洗浄槽の内部に位置して被洗浄物に対する高圧力の蒸気の吹き付けを行うこと、を特徴としている。
【0009】
なお、上述した洗浄装置にあっては、ノズルを被洗浄物の延在面と平行な面内において駆動するノズル駆動機構を更に有し、ノズル駆動機構はエアカーテンによって洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることが好ましい。また、ノズルと被洗浄物との距離を調節するZθ調整機構を更に有し、Zθ調整機構はエアカーテンによって洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることがより好ましい。また、ノズルと被洗浄物との相対的な成す角度αを任意に変化させて固定可能なα調整機構を更に有することがより好ましい。
【0010】
また、上述した洗浄装置にあっては、高圧蒸気発生ユニットよりノズルに高圧力の蒸気を送る蒸気供給経路は、蒸気の一部をノズル以外に流すバイパス経路が接続され、バイパス経路は蒸気の一部の流量及び蒸気の圧力の内の少なくとも何れかを制御可能なバイパス弁を有することが好ましい。また、当該洗浄装置に対して、被洗浄物の配置に関してノズルの配置と反対となる位置に配置され、蒸気及び蒸気に起因する液体を透過可能な制御板を更に有することが好ましい。更に、洗浄槽は被洗浄物を洗浄槽内部にて固定保持するワーククランパを更に有し、被洗浄物は開口部を介してワーククランパによる着脱されることがより好ましい。
【0011】
また、洗浄槽は、ノズルから噴出された後の高圧力の蒸気に起因する液体を捕集するトラップを、被洗浄物の配置に関してノズルの配置と反対となる位置に有し、トラップは捕集された液体を洗浄槽の外部に排出するドレイン口を有することがより好ましい。また、洗浄槽は洗浄槽の内部の気体を排気する排気系を更に有することが好ましい。更に、エアカーテン生成ユニットは、エアカーテンが含んだ水分を減少させる水分低下ユニットを有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高圧蒸気を供給するノズルの駆動系を蒸気充満空間外部に配置することが可能となる。従って、簡易な構成により角度或いは位置等を変更しながら、被洗浄物に対して高圧(更には高温の)蒸気を吹き付けることが可能となる。また、少量の蒸気を被洗浄物上の特定位置に吹き付け、当該特定位置をずらせながら被洗浄物の表面全域を洗浄することが可能となる。その結果、洗浄空間内部を蒸気によって充満した状態を作ることなく、当該蒸気のみによる洗浄を完遂することが可能となる。
【0013】
より詳細には、本発明では、洗浄用の空間を例えば直方体とし、且つその一面である特定部に開口部を有した槽形状からなる洗浄槽によって構成することとしている。高温高圧の蒸気を噴出するノズルは、この開口部から洗浄槽内部の空間に突き出すようにして該洗浄槽内部での動作を行う。洗浄槽の開口部は、特定方向に向かう気流である所謂エアカーテンによって閉鎖されている。当該エアカーテンによって、洗浄槽内に供給された蒸気の槽外部への拡散が防止される。従って、ノズルの回転、及び被洗浄物の延在面と平行な所謂XY平面内でのノズルの移動、を実施する構成をエアカーテンの外部に配置することで、これら構成と蒸気の接触を防止することが可能となる。
【0014】
このようにノズルの駆動に関連した構成を洗浄槽外部に配置することが可能となることによって、従来からあるノズル駆動装置或いはより簡易な構成からなる駆動装置の適用が可能となる。また、被洗浄物に対するノズルの配置、或いは蒸気の吹き付け角度を任意に変更することが可能となることから、極少量の蒸気しか吹き付け得ないノズルであっても、その吹き付け位置を適宜移動させることによってある程度以上の面積を有した被洗浄物の洗浄を完遂することが可能となる。また、少量の蒸気の供給によって洗浄を行うことが可能となることから、洗浄中常時蒸気を排気することが容易となり、洗浄の完遂まで高圧の蒸気を安定して被洗浄物に吹き付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一態様である洗浄装置の第一の実施形態について、主要部の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一態様である洗浄装置の第二の実施形態について、主要部の構成を模式的に示す図である。
【図3】図2に示す第二の実施形態について、高圧蒸気を供給する系およびエアカーテンを生成する系を含めた構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の一態様である洗浄装置において用いられるワーククランパの一実施形態を模式的に示す図である。
【図5A】複数のワークを同時固定可能なワーククランパの一実施形態を模式的に示す図である。
【図5B】図5Aにおける線5B−5Bに沿ってトレイ本体等を切断した状態の断面の構成を模式的に示す図である。
【図6】実際に洗浄を行なう際の各工程をフローチャートにより示す図である。
【図7】洗浄装置の一形態について、当該装置を上方から見た状態を示す図である。
【図8】図7に示す洗浄装置を同図中矢印8方向から見た状態であって、洗浄槽について矢印8に垂直な平面による断面を部分的に示す図である。
【図9】洗浄装置の一形態について、図7に示した形態に更に更にワーク供給装置を付加した形態を上方から見た状態を示す図である。
【図10】図9に示す洗浄装置を同図中矢印10方向から見た状態を示す図である。
【図11A】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った例であってその際ワークとして用いられたPCB基板を示す図である。
【図11B】図11Aにおける領域11Bを拡大して示す図である。
【図11C】洗浄後における領域11Bを示す図である。
【図12A】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った例であってその際ワークとして用いられた磁気ヘッドスライダを示す図である。
【図12B】図12Aにおける領域12Bを拡大して示す図である。
【図12C】洗浄後における領域12Bを示す図である。
【図13A】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った例であってその際ワークとして用いられて研削砥石を示す図である。
【図13B】図13Aにおける領域13Bを拡大して示す図である。
【図13C】洗浄後における領域13Bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一態様である洗浄装置1について、以下に図面を参照して説明する。図1は当該洗浄装置1の第一の実施形態について、主要部の構成を模式的に示している。当該洗浄装置1は、主要部の構成として、洗浄槽11、ノズル21、ワーク30或いはワークトレイ31、及びエアカーテン生成ユニット41(送気ユニット45及び吸気ユニット47を含む)を有する。洗浄槽11は、上方に開口部を有する所定の広さの洗浄空間13を内部に有する。より詳細には、本実施形態において、洗浄空間13は直方体形状を有する。洗浄空間13の下部には、洗浄に寄与した所謂汚水及び洗浄に寄与しなかった蒸気が液化した洗浄水を溜めるトラップ15が存在する。なお、後述するように、ワーク30はワーク単体として取り扱っても良く、且つワークトレイ31に載置或いは固定した状態で取り扱っても良い。従って、以降の説明においてワーク30或いはワークトレイ31、或いはその何れかとして記載される構成は、各々状況に応じて適宜置換可能な構成として扱われる。従って、本発明において、被洗浄物とはワーク30及びワーク30が固定されたワークトレイ31の両者を含むものとする。
また、以下で述べる蒸気とは、全てが気体の状態で構成される「水蒸気」、気体と液体とが混合されてなる「混合流体」、及び高温の微水沫からなる「高温噴霧」を含むものとする。実際の洗浄操作においても、除去対象物、被洗浄物、除去対象物が存在する被洗浄物の表面状態等、状況に応じてこれらを適宜選択することが望ましく、又、蒸気生成条件である後述する高圧蒸気発生ユニット側の条件設定により蒸気の内容が種々変化する。従って、本発明においてノズル21から供給される気体については、上記概念を包含する名称としてこれを単に蒸気と称する。
【0017】
また、洗浄槽11の上部には、洗浄空間13に対してノズル21が侵入し且つ退避することが可能となる開口部17が形成される。本形態では直方体形状の空間の上面に当該開口部17は配置されているが、洗浄空間13及びこれを規定する洗浄槽11の形状は特に規定されず、開口部17は洗浄槽11の特定部に開口するものとして定義されることが好ましい。なお、後述するように、開口部17は、被洗浄物であるワーク30が固定保持されるところのワークトレイ31或いはワーク30を洗浄空間13の内部に対して搬入或いは搬出する際の経路としても用いられる。
【0018】
トラップ15には、トラップ15の底面となる面より所定高さ立ち上がった位置に開口する排気開口部19が存在する。排気開口部19は不図示の所謂ブロアを用いてなるブロア排気系に繋がっており、当該ブロアによって洗浄空間13内部の空間を外部空間に排気可能としている。また、トラップ15は、当該トラップ15に溜まった汚水等を外部に排出するためのドレイン口16を有する。ドレイン口16は排気開口部19より鉛直方向下方に配置され、当該ドレイン口16より適宜汚水等を排出することにより、汚水等の液面が排気開口部19を超えることを防止する。なお、トラップ15の配置は、ノズル21及び被洗浄物たるワーク30との関係より、ワーク30の配置に関してノズル21が配置される側とは反対の側として把握されることが好ましい。
本実施形態において、ノズル21は一方の端部に蒸気の吹き出し口或いは部分を有する中空形状を有し、その延在軸方向と一致する方向に該蒸気を噴出している。該ノズル21は他方の端部において、α調整機構26及び該α調整機構26を支持するノズル用アーム28を介して、後述するノズル駆動機構70により支持されている。α調整機構26は、ノズル用アーム28の延在方向に対してノズル21の延在軸が任意の角度となるように、その支持方向を任意に変更し、固定することが可能となっている。
【0019】
ワークトレイ31は、種々のワーク30を保持して洗浄空間13内部に固定され、洗浄を効率的に行うために用いられる。図に示すワークトレイ31は、例えば複数のワークたる磁気ヘッドスライダを保持する様式のものであって、表面にこれらスライダが固定可能な平板形状を有する。ノズル21に対しては、後述する二流体ノズル及び高圧蒸気発生ユニットが接続され、高圧の蒸気を噴出可能とされている。また、当該ノズル21は、公知の所謂ノズル駆動系と接続されて、例えば水平面であるXY平面内での駆動及び当該XY平面に対して傾斜する駆動が可能となっている。本実施形態では、平板状のワークトレイ31の延在面に対して傾き角αの角度にて蒸気の吹き付けが可能となるように、前述したα調整機構26の操作によってノズル用アーム28に対するノズル21の接続方向を調整した場合を例示している。なお、本実施形態では、トレイとして平板状の形状を有したほうが有利な磁気ヘッドスライダをワーク30としている。しかし、例えばワーク形状がより複雑な形状の物である場合、磁気ヘッドスライダであっても例えば側面等の特定面を集中的に洗浄しようとする場合、等、状況に応じてワークトレイの形状は種々変更されることが好ましい。従って、傾き角αは、ノズルからの蒸気の吹き付け方向におけるワーク30に対する相対的な傾き角として定義することとしても良い。また、後述するノズル駆動機構70によって規定されるXY軸を基準とする平面に対する傾き角として定義しても良い。
【0020】
エアカーテン生成ユニット41は開口部17をエアカーテン43によって閉鎖可能となるように、開口部17の一方の内縁に送気ユニット45が、又対向する内縁に吸気ユニット47が配置される。即ち、送気ユニット45から略線状に供給された気体が、当該線状をある程度維持した状態で吸気ユニット47により吸引される。これにより、これらユニット間に気体の流れによる所謂カーテンが生成される。当該エアカーテン43により、洗浄槽11はその内部である洗浄空間13と、外部の空間と、が気体に関して隔置される。本態様にあっては、蒸気の供給系において、実際に洗浄用蒸気の吹き付け操作を行うノズル21の先端部(蒸気の噴き出し部分)がエアカーテン43を超えて洗浄空間13の内部に存在することとしている。エアカーテン43は、ノズル21から噴出され且つワーク30或いはワークトレイ31に弾かれて周囲に飛散する蒸気或いは水滴等の洗浄空間13外への漏出を防止する。従って、ノズル21の駆動系はこれら蒸気等との接触を生じない。
【0021】
以上の構成を主要部とする洗浄装置1を用いることにより、ノズル21のXY平面内での駆動及び該XY平面に対する傾斜駆動を行う駆動系を洗浄用蒸気とは無関係の位置に配置することが可能となる。また、ノズル21の駆動が容易に実施できることから、極少量の蒸気を局所的に集中させてその部分の洗浄を実施し、且つ集中箇所を適宜移動させることで少量の蒸気の使用であってもワークトレイ31上の必要領域全域の洗浄を実施することが可能となる。なお、図1に示した形態の場合、一旦トラップ15の近傍に移動した蒸気或いは微小な水滴が再度ワークトレイ31の上方に舞い上がって洗浄の効率を低下させる、或いは、過度の蒸気等がブロア排気系に吸引されることで、ブロアの能力的な問題が生じる、といった可能性がある。以下に述べる第二の実施形態はこのような水蒸気等への対策を考慮したものである。
【0022】
図2に、図1と同様の様式にて洗浄装置1の第二の実施形態の主要部構成を模式的に示している。なお、図1に示した構成と同一の構成については同一の参照番号を付記し、ここでの説明は省略することとし、第一の実施形態と異なる構成についてのみ説明することとする。図2に示す洗浄装置1は、制御板12及び排気開口カバー14を更に有している。制御板12は、例えば網状の板、所謂メッシュ板により構成され、ワークトレイ31と排気開口部19及びトラップ15との間に配置されて洗浄空間13を鉛直方向における上部と下部とに分離する。なお、この場合の上部及び下部は厳密な上下の配置を意味するものではなく、便宜上ワークトレイ31が配置される空間と洗浄空間13から排出されるべき状態となった蒸気等を捕集する作用が求められる空間とに対応するものとする。また、制御板12はワーク30或いはワークトレイ31の配置に関してノズル21が配置される側とは反対側に配置され、ノズル21から噴出された蒸気及び該蒸気に起因する液体を透過可能な部材として定義されることが好ましい。
【0023】
制御板12は、ワーク30の洗浄に寄与しなかった蒸気や、或いは洗浄に寄与して凝集液化した所謂汚水を透過し、制御板12の下部に逃がす機能を有する。また、当該制御板12は、更にノズル21から噴出された蒸気が直接トラップ15に至ることを防止すると共に、蒸気等が洗浄槽11の底面或いは下部内面に反射して舞い上がることを防止する。当該制御板12を配置することによって、洗浄に寄与しなくなった蒸気或いは微小な水滴等を速やかにワークトレイ31の上方空間から退避させること、及び一旦洗浄空間13の下部に至った蒸気等のワークトレイ31の上方空間への循環を防止することが可能となる。
【0024】
排気開口カバー14は、蒸気或いは微小な水滴を多量に含んだ気体が、直接排気開口部19に至ることを防止する。当該排気口カバー14を配置することによって、ノズル21から噴出された蒸気が排気開口部19に至るまでに要する時間を長くし、これら蒸気等が凝集液化してトラップ15に捕集される率を高めることが可能となる。また、前述した制御板12と組み合わせることによって、トラップ15の液体捕集率をより高め、ブロア排気系へ至る液体を低減して、当該ブロア排気系の排気効率を好適に維持することが可能となる。また、ブロア近傍での液体の分離が必要でなくなることから、ブロア排気系に比較的簡易な構成からなるものを使用することが可能となる。
【0025】
次に、先に述べた第一及び第二の実施形態である洗浄装置1に関し、ノズル21及びこれに付随する構成、及びエアカーテン生成ユニット41に付随する構成について、図面を参照して説明する。図3は、先に述べた主要構成に加え、これら蒸気及び気体の供給に関連する構成を含めて模式的に示している。なお、図1或いは2に示した構成に関しては同一の参照番号を付記することによってここでの繰り返しの説明は省略する。
【0026】
ノズル21に対する高温高圧の蒸気の供給は、蒸気供給経路23により為される。蒸気供給経路23は、下流においてノズル21と接続されており、上流において二流体ノズル25とヒータ27とからなる高圧蒸気発生ユニット29と接続されている。また、二流体ノズル25に対しては、純水源22及び高圧空気源24より、純水及び高圧の所謂圧空(圧縮空気)が供給される。二流体ノズル25においてはこれら純水と圧空とが混合され、更に当該混合により得られた流体をヒータ27によって加熱することにより、高温高圧の蒸気を発生させている。なお、本形態ではヒータ27として所謂IH(高周波融合加熱型)ヒータを用いているが、所定の高温高圧の蒸気が効率的に得られるのであれば、種々の加熱源を用いることが可能である。高圧蒸気発生ユニット29によって生成された蒸気は、蒸気供給経路23を介してノズル21に送られる。
【0027】
ここで、例えば被洗浄物たるワーク30が軟質材からなり、過度の圧力を付加して蒸気を吹付けた場合に、当該ワーク30に対して何等かのダメージを与える恐れがある場合が考えられる。このような場合、ワーク30にダメージを与えることなく十分な洗浄効果を得るために、吹き付ける蒸気の吹き付け圧(供給圧力)及び温度の最適化を行う必要がある。通常、供給圧力の制御は、二流体ノズル25に供給される圧空の圧力と、ヒータ27の加熱の程度を調節することによって行われる。しかし、この供給圧と加熱温度との変化は、高圧蒸気発生ユニット29により生成された蒸気を含んだ気体の体積或いは飽和蒸気圧等を考慮して行う必要がある。このため、実際の圧力制御は非常に複雑なパラメータを考慮する必要があり、事実上圧力固定による洗浄しか現状では為し得ていない。また、上記の温度に関しても、単にヒータ27の加熱温度を制御するだけでは圧力の変動も伴うことから、蒸気温度の制御も同時に困難であった。
【0028】
本実施形態においては、このようなノズル21に対して供給される蒸気の圧力及び温度の制御を行うために、バイパス経路33を配置することとしている。当該バイパス経路33は、蒸気供給経路23に繋げられて、バイパス連通口37を介して洗浄空間13の下部に或るトラップ15に連通している。バイパス経路33には、バイパス弁35が配置されている。当該バイパス経路33を介して蒸気供給経路23から適当な量の蒸気を分離してこれをトラップ15に直接排出することにより、ノズル21に供給する蒸気の圧力を機械的に制御可能としている。即ち、バイパス経路33は、蒸気供給経路23に供給された蒸気の一部をノズル21以外に流してノズルに至る蒸気の流量或いは圧力を減ずる役割を有する。また、バイパス弁35の開度を調節することによって、バイパス経路33より排除される蒸気流量を制御し、蒸気供給経路23内の圧力、即ちノズル21に対する供給圧を調整することも可能となる。更に、蒸気温度の制御に関しても、圧力と分離して制御することが可能となり、適宜最適温度にあわせた蒸気を得ることが可能となる。即ち、ノズル21に至る蒸気の流量、或いは圧力の少なくとも何れかをバイパス弁35によって制御し、これによりワーク30に吹き付ける蒸気の圧力を調節することが好ましい。
【0029】
また、本実施形態では、エアカーテン生成ユニット41における送気ユニット45に対して、前述した高圧空気源24から圧空を分岐し、供給している。尚、高圧空気源24と送気ユニット45との間には不図示の流量調整弁が配置されている。送気ユニット45は例えば同一稜線上に任意の小穴を連続的に空けた丸パイプであって、当該丸パイプの両端から圧空を供給する形態が例示できる。即ち、洗浄槽11における例えば矩形状の開口部17の特定の一辺を完全にオーバーラップできるだけの幅を有して、略線状(小穴からの気体の噴出しであっても、小穴開口から所定距離隔てた位置では各々の気流は重なり合い、概ねシート状で断面が線状の気流が生成される)の気流を生成可能であれば良い。
【0030】
吸気ユニット47ついては、前述した送気ユニット45を配置した特定の一辺に対向する一辺に配置され、当該一辺を完全にオーバーラップできる領域で前述した線状の気流を吸引できる構成とされている。具体的には、当該領域に開口する線状或いは細長い矩形の吸引口として設けられる。当該吸引口49は、エアカーテン用排気経路51と繋がっており、不図示のブロア排気系と接続された当該エアカーテン用排気経路51を介して、エアカーテン43を形成する線状に供給される気流を吸引、排気している。なお、エアカーテン43は洗浄空間13側の面において蒸気を多量に含んだ気体と接触している。このため、吸引口49に達したエアカーテン43を生成した気体は、多量の水蒸気を含んだ状態となっている。このような気体をこのままブロア排気系によって排気した場合、ブロアに対して湿度による悪影響が生じる可能性がある。
【0031】
本形態では、このような蒸気を凝集液化させるために、吸引口49の直後であってエアカーテン用排気経路51との間に所謂ラビリンス状空間53を配置している。ラビリンス状空間53は複数の屈曲部を連続的に配した狭窄経路であって、当該狭窄経路を配することによって排気経路の延長化を図り、且つ当該経路を通過する気体を少しでも多くの空間内壁と接触させることを目的としている。当該ラビリンス状空間53を通過する際に、気体に含まれた蒸気は空間内壁に結露し、後段のブロアに至る蒸気の量(包含割合)を減少させることが可能となる。なお、捕集された蒸気を排出するために、実際にラビリンス状空間53の下部には液体排除用の不図示の第二のドレイン口が配置される。即ち、ここで述べるラビリンス状空間53はエアカーテン43に含まれた水分量を低下させる水分低下ユニットとして作用する。なお、本形態は単純に構造のみによってある程度の水分低下機能が見込めることによりこれを採用している。しかし当該構成の形態はこれに限定されず、例えば、温度管理の制御機能等を付加可能であれば、水分を吸着保持するような冷却板等をこれに変えて水分低下ユニットとして用いても良く、種々の形態のものを適用可能である。
【0032】
なお、実際の洗浄装置1においては、ワーク30或いはワークトレイ31は洗浄空間13に配置されたワーククランパ32に対して固定される。本実施形態置いて用いられるワーククランパ32について以下に説明する。図4はワーククランパ32に対して平板状のワーク30(或いは平板状のワークトレイ31)を固定した状態を模式的に示している。ワーククランパ32は、クランパ本体55、クランパ本体55より所定方向に突出するクランプ用突起56、及びクランパ本体55に対してクランプ用突起56と同方向に突出するクランプ爪57を有する。クランパ本体55の上面はワーク30との当接面に倣った表面形状を有し、クランプ用突起56とクランプ爪57との間にてワーク30を挟持することによって、ワーク30をクランパ本体55の上面に密着固定させる。これにより、洗浄工程において高圧の蒸気が吹き付けられた際においても、ワーク30(或いはワークトレイ31)がクランパ本体55から外れることが防止される。なお、本形態においてクランプ爪57を動作させる構成は、例えばバネ、空圧機器等により構築しても良い。また、クランプ方式のような機械的な固定方法ではなく、例えば所謂真空吸着等の方法によっても良い。
【0033】
又、ワーククランパ32は複数のワーク30に対しても対応することが求められる。図5Aはこのような小型のワーク30を複数同時に保持する形態を模式的に示している。当該形態ではワークトレイ31の表面にワーク30の各々を収容可能な凹部を配置し、当該凹部にワーク30を収容した状態にあるワークトレイ31をワーククランパ32に固定することとしている。なお、クランプ用突起56及びクランプ爪57については図4に示す形態と同一である。本形態ではワークトレイ31に対してはクランプ爪57等による機械的な保持による固定を為し、ワーク30各々に対しては所謂真空吸着による保持を為すこととしている。図5Bに示すように、ワークトレイ31に設けられた収容凹部の底面には、ワークトレイ31の裏面に貫通する貫通孔61が設けられている。また、クランパ本体55に対してワークトレイ31を固定した際に当該貫通孔61の開口部と対向する面には吸引開口58が設けられ、該吸引開口58はクランパ本体55の内部において吸引経路60と接続される。当該吸引経路60の内部を不図示の吸引源によって吸引排気することにより、吸引開口58及び貫通孔61を介してワーク30に対する吸引力を作用させ、ワーク30をワークトレイ31に対して固定している。
【0034】
なお、ワーククランパ32は、洗浄空間13の任意の位置に固定されて良いが、例えば第二の実施形態においては、制御板12よりもノズル21側に配置されなければ成らない。この場合、制御板12に対してワーククランパ32を直接固定する様式としても良い。
【0035】
次に、上述した洗浄装置1を用いて、実際にワーク30を洗浄する際の操作について説明する。図6はワーク洗浄の際の各工程をフローチャートとして示している。実際のワーク洗浄において、まずStep1ではワーク30或いはワーク30を保持するワークトレイ31をワーククランパ32に対して固定する。ワーク30等の所定位置への固定が確認された後、装置が始動され、実際の洗浄工程が開始される(Step2)。なお、ワーク30等のワーククランパ32への固定は、吸引経路に配置される不図示の圧力センサ、機械的なクランプに際しての不図示の接触センサ等によって確認される。洗浄に際しては、まずStep3に示すように、エアカーテン43の生成が行われる。エアカーテン43が生成され、安定状態となり、高圧蒸気の洗浄空間13の外部への漏出が確実に防止できる状態となった後、Step4に示されるようにワーク30に対するノズル21からの高圧蒸気の吹き付け、洗浄が開示される。なお、エアカーテン43の生成は、例えば送気ユニット45からの気体の吹き出しが開始された後、所定時間の経過によって生成が完了したと判断すると良い。また、直接状態を観察できるモニタ等によって線状の気体の吹き出しの進捗情況を確認する様式としても良い。
【0036】
洗浄中、蒸気は洗浄空間13内の気体と共に排気開口部19から主に排気され、洗浄に寄与した所謂汚水はトラップ15に捕集される。十分な時間、ワーク30に対する蒸気の吹き付けが行われた後、洗浄が終了したと判断されて高圧蒸気の吹き付けが停止される(Step6)。ノズル21からの蒸気の吹き出しが完全に停止した後、或いは停止後所定時間の排気が為された後、エアカーテン43が解除される(Step7)。エアカーテン43が解除された後、ワーク30等の洗浄空間13からの取出しが行われる(Step8)。ワーク30等の取出しが終了した後、フローはStep1に戻り、次のワーク30の洗浄が実施される。以上の工程を経ることにより、ワーク30の洗浄を容易且つ確実に実施することが可能となる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、蒸気源として純水を用いることとし、且つ蒸気生成及びエアカーテンの生成には所謂圧縮空気を用いることとしている。しかし、本形態における蒸気源等はこれらに限定されない。具体的には、洗浄効率を高めるために有機溶剤系の液体を蒸気源として用いても良く、高圧気体として、高純度窒素等の所謂不活性ガスを用いることとしても良い。また、洗浄槽11の形状は直方体形状とし且つ開口部17はその上面の略半面を開口するように形成することとしている。しかし、洗浄槽11の形状は例えばワーク30或いはワーククランパ32の形状、或いはノズル21の可動領域に応じて適宜変更しても良い。更に、開口部17は上面前面であっても良く、排気開口部19に対してワーククランパ32の反対側、即ち本形態では上部に形成されていれば良い。
【0038】
次に、これら形態を実際に具現化した洗浄装置1の一態様について図面を用いて説明する。図7は本形態に係る洗浄装置1の平面図であり、図8は図7における矢印8方向からの側面図であって、洗浄槽11を矢印8に垂直な断面にて切断した部分断面を同時に示す図ある。なお、既に説明済みの諸構成に関しては従前の実施形態において用いた参照番号と同一の参照番号を用いることとし、ここでの説明は省略する。同図において、洗浄槽11は直方体形状の洗浄空間13を有し、上面全面が除去されて開口部17を構成している。本洗浄装置1では、この開口部17を利用してノズル21をXY平面(制御板12上に配置されるワーククランパ32或いはワークトレイ31の延在面と平行な面であり、本実施形態では水平面に対応)内に移動させ、且つ当該XY平面に垂直なZ軸方向への移動及び該Z軸周りの回転動作を可能としている。なお、本構成ではワークトレイ31の載置面或いは載置状態が水平面を構成する様式としているが、例えば、装置の所謂フットプリント等或いはワーク30の形状等を考慮して、延在面が水平面に対してある程度の角度を有するように配置しても良い。
【0039】
図面を参照し、以下にこのノズル駆動に関する構成であるノズル駆動機構70について説明する。ノズル駆動機構70は、その機能により本体部分と、後述するZθ調整機構71とに分けられる。便宜上本体部分を本発明におけるノズル駆動機構として定義する。ノズル21はZ軸方向に延在し、該Z軸方向の一方の端部(図中下端)において蒸気の噴出し出口を有する。また、他方の端部(上端)においてZ軸方向への移動及びZ軸周りの回転動作を行うためのZθ調整機構71に連結されている。Zθ調整機構71はZ軸に垂直に延在するアーム73によって支持される。従って、ノズル21はアーム73に対して相対的にZ軸方向、及びZ軸周りの動作を行う。アーム73を支持するXY駆動手段75は、公知の一軸ロボットをX軸用、及びY軸用として用い、各々X軸ロボット77及びY軸ロボット79として組み合わせて使用する。本形態では、X軸ロボット77に対してアーム73を固定し、該アーム73を介してノズル21のXY方向の移動を可能としている。また、ノズル21のY軸方向の移動の安定化を図るために、本形態においては、X軸ロボット77をY軸用補助ガイド81によっても支持している。
【0040】
なお、上述したX軸ロボット77、Y軸ロボット79及びY軸用補助ガイド81は公知のXY駆動用の構成により構築したものであって、図に示す態様以外の種々の構成によって構築することが可能である。また、ノズル21のワーク30の延在面に対する傾き角度については、ワーク30の特性、或いは被洗浄領域の大きさ等に応じて適宜変更されることが望ましく、前述したα調整機構26として当該構成を例示している。しかし、当該構成については、公知の角度調整機構から適切なもの用いることが可能であり、配置に関しても例示されて位置或いは様式に限定されず、ノズル21における蒸気の噴出し方向をワーク30に対して相対的に変更可能であれば良い。更に、Zθ調整機構71を所謂Z軸ロボットとして構成しても良い。この場合、ノズル21の洗浄時の位置は、例えば異なるワーク毎に記憶させたZ位置より高圧蒸気の吹き付けを行うこと、或いは、洗浄槽11の深さ方向においてZ軸方向に所定量退避させた位置を装置原点とし、当該原点から吹き付け位置を規定することとしても良い。
【0041】
本発明にあって、図7及び図8に示すように洗浄槽11の開口部17をエアカーテン43のみによって外部空間から隔置する形態を取ることから、外部空間からワーク30、ワークトレイ31、或いはワーククランパ32へのアクセスが容易である。即ち、ノズル21が洗浄槽11上の空間より退避した状態にあれば、エアカーテン43の存在の有無に係らず、開口部17を全てワーク30等の交換用のスペースとして活用することが可能となる。従って、作業員がワーク30等を交換することも容易であり、且つワーク30等の交換を自動機により行うことも容易に可能となると考えられる。ワーク30等の具体的な供給方法は種々構築可能であるが、望ましい形態を図8及び9に示した洗浄装置1に付加した場合を以下に例示する。
【0042】
図9は洗浄装置1及びワーク供給装置80の組み合わせを実際に構築した例であってこれら構成を上方から見た状態を示す概略図である。なお、ワーク供給装置80は実際にはワーク30或いはワークトレイ31を供給するが、ここでは単にワーク30の供給として以下の説明を行う。また、図10は、これら構成を図9における矢印10方向から見た場合の状態の概略を示している。ワーク供給装置80は、ワーク搬送ユニット81、ワーク移動ユニット83、ワークZ方向移動ユニット85及びワーク把持ユニット87を有する。
【0043】
ワーク移動ユニット83は一軸ロボットが好ましい。ワークZ方向移動ユニット85は、小型の一軸ロボット、或いは圧空等を動力源とするアクチュエータが考えられる。ワーク把持ユニット87は、ワーク30の形状に準ずる部分もあるが、吸着力を用いた構成、アクチュエータ内蔵のロボットハンド、等、適宜選択可能である。ワーク搬送ユニット81についてもワーク30の形状に準ずるが、洗浄済のワーク30を受け取り、段積み或いは平面状態に整列させる機能、及び段積み或いは平面状態に整列されたワーク30を一つだけ分離し、ワーク把持ユニット87に供給する機能を有すれば良い。従って、当該機能を有する公知の構成を適用可能である。また、ワーク移動ユニット83をスカラー型ロボット、或いは6軸ロボットと置き換えても良い。また、洗浄槽11の側面にエアカーテンつきの開口部を設け、メッシュベルトを用いたコンベア状の搬送手段としても良い。
【0044】
次に、上述した本発明の一実施形態に係る洗浄装置を用いて実際に洗浄を行った結果について以下に述べる。図11Aは、洗浄の一実施例としてワーク30に用いたPCB基板を示している。図11Bは図11Aにおける領域11Bを拡大したものを示す。同図により、PCB基板表面にフラックスの残渣91が存在していることが分かる。図11Cは、図11Bに示した領域を、当該洗浄装置により特定の条件にて洗浄を実施した後の状態を示している。図11Cによれば、この洗浄の実施によってフラックス残渣91が完全に除去されていることが理解される。
【0045】
次に、ワーク30として磁気ヘッドスライダを用いた場合について述べる。図12Aは、ワーク30である磁気ヘッドスライダの被洗浄面の写真である。図12Bは図12Aにおける領域12Bを拡大したものを示している。同図により、磁気ヘッドスライダの切断加工時において当該磁気ヘッドスライダに付着した切削液及び切削粉が切削時の残渣93として付着していることが分かる。図12Cは、図12Bに示した領域を、当該洗浄装置により特定の条件にて洗浄を実施した後の状態を示している。図12Cによれば、この洗浄の実施によって切削時の残渣93が完全に除去されていることが理解される。
【0046】
次に、ワーク30として切削砥石(t=0.15)を用いた場合について述べる。図13Aは、ワーク30である研削砥石の上面の写真である。図13Bは図13Aにおける洗浄領域13Bを拡大したものを示している。同図により、研削砥石において研削に使用される領域には、研削加工時に生じる研削粉95が該研削砥石の所謂目の中に付着していることが分かる。従来はこのような状態となった研削砥石は洗浄不能とされ、廃棄されていた。図13Cは、図13Bに示した領域を、当該洗浄装置により特定の条件にて洗浄を実施した後の状態を示している。図13Cによれば、この洗浄の実施によって研削粉が除去され、砥粒が明瞭に視認される状態まで研削砥石の表面状態が改善されている。即ち、本発明による洗浄の実施によって従来廃棄されていた研削砥石が再生されることが理解される。
【0047】
以上図11A〜13Cを用いて例示したように、本発明に係る洗浄装置の使用によって、従来は洗浄が困難、不可能、或いは可能であってもコスト的に洗浄のメリットが生じない被洗浄物についても、効果的な洗浄を行ってコンタミ、残渣、等を除去することが可能となる。また、高温の蒸気の使用によってこれら洗浄効果が得られることから、有機溶剤等を用いた洗浄方法と異なり、環境負荷の低減という効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述したように、本発明に係る洗浄装置は、例えば微細電子部品である磁気ヘッドコアにおける切削液等の残渣等、微細な空間に嵌まり込んで従来の洗浄方法では除去困難な汚染物を好適に除去することが可能である。また、洗浄時の蒸気の吹き付け圧、或いは蒸気温度の制御も容易である。従って、単に微細電子部品の洗浄装置としての態様のみならず、洗浄困難な領域を有する複雑な形状を有する被洗浄物、更には所謂軟質の材料からなる被洗浄物の洗浄装置としても適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:洗浄装置、 11:洗浄槽、 12:制御板、 13:洗浄空間、 14:排気開口カバー、 15:トラップ、 16:ドレイン口、 17:開口部、 19:排気開口部、 21:ノズル、 22:純水源、 23:蒸気供給経路、 24:高圧空気源、 25:二流体ノズル、 26:α調整機構、 27:ヒータ、 28:ノズル用アーム、 29:高圧蒸気発生ユニット、 30:ワーク、 31:ワークトレイ、 32:ワーククランパ、 33:バイパス経路、 35:バイパス弁、 37:バイパス連通口、 41:エアカーテン生成ユニット、 43:エアカーテン、 45:送気ユニット、 47:吸気ユニット、 49:吸引口、 51:エアカーテン用排気経路、 53:ラビリンス状空間、 55:クランパ本体、 56:クランプ用突起、 57:クランプ爪、 58:吸引開口、 60、吸引経路、 61:貫通孔、 70:ノズル駆動機構、 71:Zθ調整機構、 73:アーム、 75:XY駆動手段、 77:X軸ロボット、 79:Y軸ロボット、 81:Y軸用補助ガイド、 80:ワーク供給装置、 81:ワーク搬送ユニット、 83:ワーク移動ユニット、 85:ワークZ方向移動ユニット、 87:ワーク把持ユニット、 91:フラックス残渣、 93:切削時残渣、 95:研削粉
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物に対して高圧力の蒸気を吹き付けて前記被洗浄物の洗浄を実施する洗浄装置であって、
前記高圧力の蒸気を生成する高圧蒸気発生ユニットと、
前記高圧蒸気発生ユニットと接続されて前記高圧力の蒸気を噴出し可能なノズルと、
特定部に開口する開口部を有して内部に前記被洗浄物を収容可能な槽構造を有する洗浄槽と、
前記開口部を気流により閉鎖して前記洗浄槽の内部と外部とを気体に関して隔置するエアカーテン生成ユニットと、を有し、
前記ノズルにおける前記蒸気の吹き出し部分は前記エアカーテンを超えて前記洗浄槽の内部に位置することが可能であり、前記洗浄槽の内部に位置して前記被洗浄物に対する前記高圧力の蒸気の吹き付けを行うこと、を特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルを前記被洗浄物の延在面と平行な面内において駆動するノズル駆動機構を更に有し、前記ノズル駆動機構は前記エアカーテンによって前記洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズルと前記被洗浄物との距離を調節するZθ調整機構を更に有し、前記Zθ調整機構は前記エアカーテンによって前記洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることを特徴とする請求項1或いは2の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズルと前記被洗浄物との相対的な成す角度αを任意に変化させて固定可能なα調整機構を更に有する、請求項1乃至3何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記高圧蒸気発生ユニットより前記ノズルに前記高圧力の蒸気を送る蒸気供給経路は、前記蒸気の一部を前記ノズル以外に流すバイパス経路が接続され、前記バイパス経路は前記蒸気の一部の流量及び前記蒸気の圧力の内の少なくとも何れかを制御可能なバイパス弁を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記被洗浄物の配置に関して前記ノズルの配置と反対となる位置に配置され、前記蒸気及び前記蒸気に起因する液体を透過可能な制御板を更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽は前記被洗浄物を前記洗浄槽内部にて固定保持するワーククランパを更に有し、前記被洗浄物は前記開口部を介して前記ワーククランパによる着脱されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄槽は、前記ノズルから噴出された後の前記高圧力の蒸気に起因する液体を捕集するトラップを、前記被洗浄物の配置に関して前記ノズルの配置と反対となる位置に有し、前記トラップは捕集された前記液体を前記洗浄槽の外部に排出するドレイン口を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄槽は前記洗浄槽の内部の気体を排気する排気系を更に有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記エアカーテン生成ユニットは、前記エアカーテンが含んだ水分を減少させる水分低下ユニットを有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項1】
被洗浄物に対して高圧力の蒸気を吹き付けて前記被洗浄物の洗浄を実施する洗浄装置であって、
前記高圧力の蒸気を生成する高圧蒸気発生ユニットと、
前記高圧蒸気発生ユニットと接続されて前記高圧力の蒸気を噴出し可能なノズルと、
特定部に開口する開口部を有して内部に前記被洗浄物を収容可能な槽構造を有する洗浄槽と、
前記開口部を気流により閉鎖して前記洗浄槽の内部と外部とを気体に関して隔置するエアカーテン生成ユニットと、を有し、
前記ノズルにおける前記蒸気の吹き出し部分は前記エアカーテンを超えて前記洗浄槽の内部に位置することが可能であり、前記洗浄槽の内部に位置して前記被洗浄物に対する前記高圧力の蒸気の吹き付けを行うこと、を特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルを前記被洗浄物の延在面と平行な面内において駆動するノズル駆動機構を更に有し、前記ノズル駆動機構は前記エアカーテンによって前記洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズルと前記被洗浄物との距離を調節するZθ調整機構を更に有し、前記Zθ調整機構は前記エアカーテンによって前記洗浄槽の内部と隔置される外部に配置されることを特徴とする請求項1或いは2の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズルと前記被洗浄物との相対的な成す角度αを任意に変化させて固定可能なα調整機構を更に有する、請求項1乃至3何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記高圧蒸気発生ユニットより前記ノズルに前記高圧力の蒸気を送る蒸気供給経路は、前記蒸気の一部を前記ノズル以外に流すバイパス経路が接続され、前記バイパス経路は前記蒸気の一部の流量及び前記蒸気の圧力の内の少なくとも何れかを制御可能なバイパス弁を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記被洗浄物の配置に関して前記ノズルの配置と反対となる位置に配置され、前記蒸気及び前記蒸気に起因する液体を透過可能な制御板を更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽は前記被洗浄物を前記洗浄槽内部にて固定保持するワーククランパを更に有し、前記被洗浄物は前記開口部を介して前記ワーククランパによる着脱されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄槽は、前記ノズルから噴出された後の前記高圧力の蒸気に起因する液体を捕集するトラップを、前記被洗浄物の配置に関して前記ノズルの配置と反対となる位置に有し、前記トラップは捕集された前記液体を前記洗浄槽の外部に排出するドレイン口を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄槽は前記洗浄槽の内部の気体を排気する排気系を更に有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記エアカーテン生成ユニットは、前記エアカーテンが含んだ水分を減少させる水分低下ユニットを有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一に記載の洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【公開番号】特開2011−31148(P2011−31148A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178490(P2009−178490)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【特許番号】特許第4479009号(P4479009)
【特許公報発行日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【特許番号】特許第4479009号(P4479009)
【特許公報発行日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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