説明

アリールオキシアルキルカルバメート型誘導体、これらの調製方法及び治療における該誘導体の使用

本発明は、一般式(I)を有する化合物(mは、0、1、2又は3を表し;nは、0、1、2又は3を表し;Xは、酸素若しくは硫黄原子又はSO若しくはSO基を表し;R及びRは、互いに独立に、水素原子若しくはC1−3アルキル基を表し、又はR及びRは両者で−(CH−基(pは、n+pが2から5の間を変動する整数となるように、1から5の間を変動する整数を表す。)を形成し;Rは、水素若しくはフッ素原子又はヒドロキシ若しくはメチル基を表し;Rは、一般式CHRCONHRを有する基(Rは、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、及びRは、水素原子又はC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキレン基を表す。)を表し;並びに、Yは、例えば、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、チアゾリル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリルから選択される基を表し;該基は、必要に応じて置換されている。)に関する。前記化合物は、塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態を取る。本発明は、治療における前記化合物の使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールオキシアルキルカルバメート誘導体、これらの調製及び治療におけるこれらの適用に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明の化合物は、一般式(I):
【0003】
【化3】

(式中、
mは、0、1、2又は3を表し;
nは、0、1、2又は3を表し;
Xは、酸素若しくは硫黄原子又はSO若しくはSO基を表し;
及びRは、互いに独立に、水素原子若しくはC1−3アルキル基を表し、又はR及びRは両者で基−(CH−(pは、n+pが2から5までの整数となるように、1から5までの整数を表す。)を表し;
は、水素若しくはフッ素原子又はヒドロキシル若しくはメチル基を表し;
は、一般式CHRCONHRの基を表し;
(Rは、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、及び
は、水素原子又はC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルもしくはC3−7シクロアルキル−C1−6アルキレン基を表す。)
Yは、特にフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、チアゾリル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサジアゾリル及びベンゾチアジアゾリルから選択される基Yを表し;基Yは、互いに同一又は異別である一又は複数の置換基Yによって、又は基Yによって必要に応じて置換されており;
は、ハロゲン原子又はシアノ、ニトロ、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、C1−8チオアルキル、C1−8フルオロアルキル、C1−8フルオロアルコキシ、C1−8フルオロチオアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルオキシ、C3−7シクロアルキル−C1−8アルキレン、C3−7シクロアルキル−C1−8アルキルオキシ、ヒドロキシル、NR、NHCOR、NHSO、COR、CO、CONR、SO、SONR、−O−(C1−3アルキレン)−O−、フェニルオキシ、フェニルチオ、フェニル−C−Cアルキレン、フェニル−C−Cアルキルオキシ又はフェニル−C−Cアルキルチオ基を表し;
は、特に、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニルから選択される基を表し;
一又は複数の基Yは、互いに同一又は異別である一又は複数の基Yによって置換されることが可能であり;
及びRは、互いに独立に、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、又はそれらを担持する窒素原子は、C1−3アルキル若しくはベンジル基によって必要に応じて置換されたアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼピン又はピペラジン環を形成する。)
に合致する。
【0004】
一般式(I)の化合物のうち、化合物の第一の群は、
Yが、特にフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル及びベンズオキサゾリルから選択される基Yを表し;基Yは、互いに同一又は異別である一若しくは複数の置換基、より具体的には一若しくは二個の置換基Yによって、又は基Yによって必要に応じて置換されており;
が、ハロゲン原子、より具体的には、塩素、フッ素又は臭素、シアノ、C1−8アルキル、より具体的には、メチル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル又はテトラメチルブチル、C1−8アルコキシ、より具体的には、メトキシ、エトキシ又はプロポキシ、C1−8フルオロアルキル、より具体的には、トリフルオロメチル、C1−8フルオロアルコキシ、より具体的には、トリフルオロメトキシ、フェニルオキシ又はフェニル−C−Cアルキレン基、より具体的には、フェニル(1,1−ジメチルメチレン)を表し;
が、フェニル基を表し;Yが、互いに同一又は異別である一又は複数の基、より具体的には一又は二個の基、Yによって置換されることが可能である、化合物である。
【0005】
上記第一の群の化合物のうち、化合物の第二の群は、
Yが、特にフェニル又はナフチルから選択される基Yを表し;基Yが、一又は複数の置換基によって、より具体的には、互いに同一又は異別である一又はニ個の置換基Yによって、又は基Yによって必要に応じて置換されており;
が、ハロゲン原子、より具体的には、塩素、フッ素又は臭素、シアノ、C1−8アルキル、より具体的には、メチル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル又はテトラメチルブチル、C1−8アルコキシ、より具体的には、メトキシ、エトキシ又はプロポキシ、C1−8フルオロアルキル、より具体的には、トリフルオロメチル、C1−8フルオロアルコキシ、より具体的には、トリフルオロメトキシ、フェニルオキシ又はフェニル−C−Cアルキレン基、より具体的には、フェニル(1,1−ジメチルメチレン)を表し;
が、フェニル基を表し;Yが、互いに同一又は異別である一又は複数の基、より具体的には一又はニ個のYによって置換されることが可能である、化合物である。
【0006】
一般式(I)の化合物のうち、化合物の第三の群は、
mが、0、1、2又は3を表し;及び/又は
nが、0、1、2又は3を表し;及び/又は
及びRが、互いに独立に、水素原子若しくはC1−3アルキル基を表し、又はR及びRが両者で基−(CH−(pは、n+pが2から5までの整数となるように、1から5までの整数を表す。)を形成し;
但し、R及びRが、互いに独立に、水素原子又はC1−3アルキル基を表す場合には、m+n>1である、化合物である。
【0007】
上記第三の群の化合物のうち、化合物の第四の群は、
mが、0、1、2又は3を表し;及び/又は
nが、0、1、2又は3を表し;及び/又は
及びRが、両者で、基−(CH−(pは、n+pが4に等しいように、1から4までの整数を表す。)を形成する、化合物である。
【0008】
一般式(I)の化合物のうち、化合物の第五の群は、Xが酸素原子を表す化合物である。
【0009】
一般式(I)の化合物のうち、化合物の第六の群は、Rが水素原子を表す化合物である。
【0010】
第七の群は、同時に、R、R、R、R、R、R、R、R、X、Y、Y、Y、Y、n及びmが、上記化合物の亜群に定義されているとおりである、化合物から形成される。
【0011】
一般式(I)の化合物は、一又は複数の不斉炭素を含み得る。一般式(I)の化合物は、鏡像異性体又はジアステレオ異性体の形態で存在し得る。これらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体並びにそれらの混合物(ラセミ混合物を含む。)は、本発明の一部を形成する。
【0012】
式(I)の化合物は、塩基の形態で、又は酸との付加塩の形態で存在し得る。このような付加塩は、本発明の一部を形成する。
【0013】
これらの塩は、薬学的に許容される酸を用いて有利に調製されるが、例えば、式(I)の化合物の精製又は単離に有用な他の酸の塩も、同様に本発明の一部を形成する。 一般式(I)の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態を取ることができる、すなわち、一若しくは複数の水分子との又は溶媒との会合物又は組み合わせの形態を取ることができる。このような水和物及び溶媒和物も、同様に、本発明の一部を形成する。
【0014】
本発明において、用語は以下のように理解される。
【0015】
−Ct−z(t及びzは、1から8までの値を取ることができる。)は、tからz個の炭素原子を有することができる炭素鎖であり、例えば、C1−3は、1から3個までの炭素原子を有することができる炭素鎖である。
【0016】
−アルキルは、直鎖又は分岐の飽和脂肪族基である:例えば、C1−3アルキル基は、1から3個までの炭素原子の直鎖又は分岐炭素鎖、より具体的には、メチル、エチル、プロピル又は1−メチルエチルを表す。
【0017】
−アルキレンは、直鎖又は分岐の飽和二価アルキル基である:例えば、C1−3アルキレン基は、直鎖又は分岐である、1から3個までの炭素原子の二価炭素鎖、より具体的には、メチレン、エチレン、1−メチルエチレン、プロピレン又は1,1−ジメチル−メチレンを表す。
【0018】
−シクロアルキルは、環状アルキル基である:例えば、C3−5シクロアルキル基は、3から5個までの炭素原子の環状炭素基、より具体的には、シクロプロピル、シクロブチル又はシクロペンチルを表す。
【0019】
−アルケニレンは、2個の炭素を含有する二価の不飽和脂肪族基であり、より具体的にはエチレンである。
【0020】
−アルコキシは、直鎖又は分岐の飽和脂肪族鎖を有するO−アルキル基である。
【0021】
−チオアルキルは、直鎖又は分岐の飽和脂肪族鎖を有するS−アルキル基である。
【0022】
−フルオロアルキルは、一又は複数の水素原子がフッ素原子によって置換されたアルキル基である。
【0023】
−フルオロアルコキシは、一又は複数の水素原子がフッ素原子によって置換されたアルコキシ基である。
【0024】
−フルオロチオアルキルは、一又は複数の水素原子がフッ素原子によって置換されたチオアルキル基である。
【0025】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0026】
本発明の化合物は、以下のスキームによって図示されている様々な方法に従って調製することができる。
【0027】
このように、調製の一つの方法は(スキーム1)は、トルエン又はジクロロエタンなどの溶媒中、0ないし80℃の温度で、一般式(II)のアミン(Y、X、R、R、R、m及びnは、一般式(I)において定義されているとおりである。)を、一般式(III)の炭酸塩(Zは、水素原子又はニトロ基を表し、Rが、一般式(I)に定義されているとおりであり、Rはメチル又はエチル基を表す。)と反応させることに存する。一般式(IV)の得られたカルバミン酸エステルは、続いて、一般式RNH(Rは、一般式(I)に定義されているとおりである。)のアミンを用いたアミノ分解によって、一般式(I)の化合物に変換される。アミノ分解反応は、メタノール若しくはエタノール又はメタノールとテトラヒドロフランなどの溶媒の混合物などの溶媒中で実施され得る。
【0028】
【化4】

【0029】
がより具体的には水素原子を表す、一般式(I)の化合物を得る別の方法(スキーム2)は、Wがヒドロキシル、メシラート若しくはトシラート基、又は塩素、臭素若しくはヨウ素原子を表し、Y、X、R、R、m及びnが一般式(I)に定義されているとおりである一般式(IIa)の誘導体を、一般構造(V)のオキサゾリジンジオン(Rが、一般式(I)に定義されているとおりである。)と反応させて、一般構造(VI)のオキサゾリジンジオン誘導体を与えることに存する。Wがヒドロキシル基を表す場合には、該反応は、Mitsunobuの条件(Synthesis,1981,1−28)の条件に従って、例えば、トリフェニルホスフィンの存在下でのジエチル又はジイソプロピルアゾジカルボキシラートの作用によって、実施することができる。Wが塩素、臭素若しくはヨウ素原子又はメシラート若しくはトシラート基を表す場合には、該反応は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はジメチルホルムアミドなどの溶媒中、0℃と溶媒の環流温度の間の温度で、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、水素化ナトリウム又はナトリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下で実施され得る。一般式(VI)の得られたオキサゾリジンジオン誘導体は、続いて、一般式RNH(Rは、一般式(I)に定義されているとおりである。)のアミンを用いたアミノ分解によって、一般式(I)の化合物に変換される。
【0030】
【化5】

【0031】
Xがより具体的には酸素原子を表す一般式(I)の化合物を得るための別の変法(スキーム3)は、一般式(VIIa)、(VIIb)又は(VIIc)のアルコール誘導体を、一般構造YOH(Yは、一般式(I)に定義されているとおりである。)のフェノール誘導体と、例えば、Mitsunobu反応条件(Synthesis,1981,1−28)又は改良された条件(Tetrahedron Letters 1993,34, 1639−1642)に従って反応することに存し、続いて、カルバミン酸エステル(IVa)及びオキサゾリジンジオン(VIa)誘導体は、一般構造RNH(Rは、一般式(I)に定義されているとおりである。)のアミンを用いたアミノ分解反応によって、一般式(I)の化合物に変換される。
【0032】
一般式(VIIa)、(VIIb)及び(VIIc)では、基R、R、R、R、R、m、n及びRは、上記定義のとおりである。
【0033】
【化6】

【0034】
Yが、より具体的に、アリール−アリール、アリール−ヘテロアリール、ヘテロアリール−アリール又はヘテロアリール−ヘテロアリール型の基Y−Yを表す一般式(I)の化合物を得るための別の変法(スキーム4)は、一般構造(VIII)のハロゲン化アリール誘導体(Uは臭素又はヨウ素原子であり、Y、X、R、R、R、R、R、n及びmは、一般式(I)に定義されているとおりである。)を、Suzuki反応条件(Chem. Rev. 1995,95,2457−2483)に従って式YB(OH)(Yは、一般式(I)に定義されているとおりである。)のアリールボロン酸若しくはヘテロアリールボロン酸誘導体と、又はStille反応条件(Angew. Chem. Int. Ed. 1986,25,504−524)に従って、式YSn(R’)のアリール又はヘテロアリール−トリ−アルキルスタンナン誘導体(Yは、一般式(I)に定義されているとおりであり、R’がC1−4アルキルである。)と反応させることに存する。
【0035】
【化7】

【0036】
一般式(II)、(IIa)、(III)、(V)、(VIla)、(VIIb)、(VIIc)及び(VIII)の化合物並びに一般構造YOHのフェノール誘導体は、それらを調製する方法が記載されていない場合、市販されているか、若しくは文献に記載されており、又はそれらの中に記載されている方法もしくは当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0037】
一般式RNHのアミンは市販されている。
【0038】
以下の実施例は、本発明の幾つかの化合物の調製を説明する。これらの実施例は限定的なものではなく、本発明を例示するものにすぎない。微量分析、IRおよびNMRスペクトル及び/又はLC−MS(質量分析計に連結された液体クロマトグラフィー)によって、得られた化合物の構造及び純度を確認する。
【0039】
融点(℃)は、セルシウス温度での融点を表す。
【0040】
実施例の表題中の括弧内に記されている数字は、以降の表の第1欄からの数字に対応する。
【0041】
以下の実施例では、化合物を命名するためにIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)命名法が使用されている。例えば、ビフェニル基の場合、以下の付番が使用される。
【0042】
【化8】

【実施例1】
【0043】
(化合物1)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{2−[(4−クロロフェニル)−オキシ]エチル}カルバメート
【0044】
【化9】

【0045】
1.1 エチル[(フェニルオキシカルボニル)オキシ]アセテート
500mlのトルエン中の、25g(240mmol)のエチルグリコレート及び55ml(315mmol)のジイソプロピルエチルアミンの溶液を、32ml(256mmol)のフェニルクロロホルメートと、室温でゆっくりと混合する。室温で2時間撹拌し、形成された塩を分離し、ろ過物を減圧下で濃縮する。これにより、次の段階でそのまま使用する53.7gの油状生成物を得る。
【0046】
1.2 エチル{[({2−[(4−クロロフェニル)オキシ]エチル}−アミノ)カルボニル]オキシ}アセテート
30mlのトルエン中の、[(4−クロロ−フェニル)オキシ]エチルアミン(Chimica Therapeutica、1973、8、259−270)の0.6g(3.5mmol)及び段階1.1で調製したエチル[(フェニルオキシ−カルボニル)オキシ]アセテートの1.3g(5.8mmol)の溶液を、60℃で一晩加熱する。この溶液を蒸発乾固し、生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、30/70の酢酸エチル及びシクロヘキサンの混合物で溶出する。これにより、〜10%の環化オキサゾリジンジオン生成物を含有する、0.7gの油状生成物を得て、次の段階でそのまま使用する。
【0047】
1.3 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{2−[(4−クロロフェニル)オキシ]エチル}カルバメート
テトラヒドロフラン中のメチルアミンの2M溶液の3.5ml(7mmol)を、5mlのメタノール中の、段階1.2で調製したエチル{[({2−[(4−クロロフェニル)−オキシ]エチル}アミノ)カルボニル]オキシ}アセテートの0.7g(2.3mmol)の溶液に添加する。混合物を室温で一晩、反応させるため置く。前記混合物を蒸発乾固し、残留物をヘキサンで洗浄し、次いでジイソプロピルエーテルで洗浄して、0.59gの粉状の生成物を得る。
融点(℃):147−149
LC−MS:M+H=287
H NMR(DMSO)δ(ppm):7.75(m,1H),7.40(m,1H),7.25(d,2H),6.95(d,2H),4.35(s,2H),3.95(t,2H),3.35(m,2H),2.60(d,3H).
【実施例2】
【0048】
(化合物11)
2−アミノ−2−オキソエチル(2−[(4−シアノフェニル)オキシ]エチル)−カルバメート
2.1 3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン
【0049】
【化10】

【0050】
25mlのテトラヒドロフラン中の、3ml(39.6mmol)のメチルグリコレートを、50mlのテトラヒドロフランで希釈し、氷浴で冷却した、トルエン中1.9Mの49ml(95mmol)のホスゲンの溶液に滴加する。次いで、混合物を、室温で16時間撹拌し、蒸発乾固する。30mlのジクロロメタンで共蒸発を4度実行する。残留物を40mlのアセトニトリルにより取り出し、氷浴で冷却した、アセトニトリル及びジクロロメタンの50/10混合物中の、3.4ml(59.4mmol)のエタノールアミン及び30ml(178mmol)のジイソプロピルエチルアミンの溶液に、1時間にわたって滴加する。次いで、前記混合物を室温で16時間撹拌する。これをセライトでろ過して、蒸発乾固し、生成物をシリカゲル上で70/30、次いで80/20の酢酸エチル及びn−ヘキサンの混合物で溶出し、4.9gの白い固体の生成物を得る。
【0051】
2.2 2−アミノ−2−オキソエチル(2−[(4−シアノフェニル)−オキシ]エチル)カルバメート
トルエン中の、0.61ml(1.35mmol)のアゾジカルボン酸ジエチルの2.2M溶液を、氷浴で冷却した、2mlのベンゼン中の、段階2.1で調製した3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオンの0.13g(0.88mmol)、0.35g(1.35mmol)のトリフェニルホスフィン及び0.10g(0.89mmol)の4−ヒドロキシベンゾニトリルの溶液に滴加する。反応混合物を室温で16時間撹拌する。この溶液を蒸発乾固し、生成物をシリカゲル上クロマトグラフィーにより精製して、99/1、次いで98/2のジクロロメタン及び酢酸エチルの混合物で溶出する。前記生成物を、メタノール中のアンモニア(10.5mmol)の7M溶液の1.5ml中に取り出す。この溶液を1時間撹拌し、沈殿物をろ過して、酢酸エチルで洗浄し、0.035gの白い固体を得る。
融点(℃):204−206
LC−MS:M+H=264
H NMR(DMSO)δ(ppm):7.55(d,2H),7.05(m,1H),6.90−6.80(m+d,4H),4.35(s,2H),4.05(t,2H),3.45(m,2H)
【実施例3】
【0052】
(化合物58)
2−アミノ−2−オキソエチル[4−(1−ナフタレニルオキシ]ブチル]−カルバメート
【0053】
【化11】

【0054】
3.1 3−[4−(1−ナフタレニルオキシ]ブチル]−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン
30mlのテトラヒドルフラン中の、3.1g(11.1mmol)の1−[(4−ブロモブチル)オキシ]ナフタレン(European Journal of Medicinal Chemistry、1997、32、175−179)及び1.35g(13.3mmol)の1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(Journal of Medicinal Chemistry、1991、34、1542−1543)の溶液を、15mlのテトラヒドルフラン中の、2.55g(22.2mmol)の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの溶液と、滴下混合する。混合物を還流下8時間加熱する。0.28g(2.7mmol)の1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン及び0.32g(2.7mmol)の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを添加し、混合物を還流下更に4時間加熱する。反応混合物を氷浴で冷却して、100mlの酢酸エチル及び、次いで50mlの1M水性塩化水素酸を添加する。このシステムをデカントし、水相を2×80mlの酢酸エチルで抽出する。次いで、有機相を80mlの水で洗浄し、その後、80mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。この有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、蒸発乾固する。生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製して、80/20のシクロヘキサン及び酢酸エチルの混合物で溶出し、次の段階でそのまま使用する、2.0gの生成物を得る。
【0055】
3.2 2−アミノ−2−オキソエチル[4−(1−ナフタレニル−オキシ)ブチル]カルバメート
段階3.1で調製した3−[4−(1−ネフタレニル−オキシ)ブチル]−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオンの1.50g(5.0mmol)を、メタノール中の、10mlのテトラヒドロフラン及び28mlのアンモニアの7N溶液(200mmol)の混合物中に溶解する。溶液を室温で一晩反応させるために放置し、次いで、蒸発乾固する。生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、97/3のジクロロメタン及びメタノールの混合物で溶出する。生成物を酢酸エチルから再結晶し、ジエチルエーテルで洗浄して、0.73gの生成物を白い固体として得る。
融点(℃):80−82
LC−MS:M+H=317
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.25(dd,1H),7.80(dd,1H),7.55−7.30(m,4H),6.80(d,1H),6.00(m,1H),5.65(m,1H),5.05(m,1H),4.65(s,2H),4.20(t,2H),3.35(m,2H),2.00(m,2H),1.90(m,2H)
【実施例4】
【0056】
(化合物85)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−[(4’−フルオロ−4−ビフェニル)−オキシ]−1−ピペリジンカルボキシレート
【0057】
【化12】

【0058】
4.1 1,1−ジメチルエチル4−[(4−ブロモフェニル)−オキシ]−1−ピペリジンカルボキシレート
20mlのジメチルホルムアミド中の、2.01g(10mmol)の1,1−ジメチルエチル4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレートを、鉱物油中50%の7g(40mmol)の1−ブロモ−4−フルオロベンゼン及び2.5g(50mmol)の水素化ナトリウムと混合する。混合物を、100℃で3時間撹拌し、次いで、蒸発乾固する。残留物を50mlの氷水中に取り出し、ジクロロメタンで抽出する。有機抽出物を蒸発乾固し、次の段階でそのまま使用する、3.5gの油状生成物を得る。
【0059】
4.2. 4−[(4−ブロモフェニル)オキシ]ピペリジン
20mlのジクロロメタン中の、段階4.1.で調製した1,1−ジメチルエチル4−[(4−ブロモフェニル)オキシ]−1−ピペリジン−カルボキシレートの3.5g(9.83mmol)の溶液を、10mlのトリフルオロ酢酸と混合し、この溶液を室温で1時間撹拌する。これを蒸発乾固し、次いで、残留物を30mlのトルエン中に取り出し、再度蒸発乾固する。残留物を、ペンタンで洗浄し、次いで60mlのジクロロメタン及び20mlの4Nアンモニア水溶液の混合物中に取り出す。この混合物を15分間、激しく撹拌し、有機相を、デカントして、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させ、次の段階でそのまま使用する、2.7gの油状の生成物を得る。
【0060】
4.2. 2−(エチルオキシ)−オキソエチル4−[(4−ブロモ−フェニル)オキシ]−1−ピペリジンカルボキシレート
段階4.2.で調製した2.7g(7.58mmol)の4−[(4−ブロモフェニル)−オキシ]ピペリジン及び実施例1.1.に従って調製した1.70g(7.6mmol)のエチル{[(フェニルオキシ)カルボニル]オキシ}アセテートを、40mlのトルエン中で混合し、溶液を50℃で20時間加熱する。冷却後、この溶液を蒸発乾固し、生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル及びシクロヘキサンの40/60の混合物で溶出する。次いで、その溶出物をジイソプロピルエーテルで粉砕し、2.9gの粉状の生成物を得る。
融点(℃):87−88
【0061】
4.3. 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−[(4−ブロモフェニル)オキシ]−1−ピペリジンカルボキシレート
メチルアミンの33%エタノール溶液10ml中の、段階4.3.で調製した2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル4−[(4−ブロモフェニル)オキシ]−1−ピペリジンカルボキシレート2.9g(7.5mmol)の溶液を、室温で20時間撹拌する。蒸発させてから、生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製して、酢酸エチルで溶出し、次の段階でそのまま使用する、0.8gのガム形態の生成物を得る。
【0062】
4.5. 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−[(4’−フルオロ−4−ビフェニル)オキシ]−1−ピペリジンカルボキシレート
段階4.4.で調製した0.1g(0.27mmol)の2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−[(4−ブロモフェニル)オキシ]−1−ピペリジン−カルボキシレート、0.01gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)及び0.057g(0.4mmol)の4−フルオロフェニルボロン酸を、栓の付いたガラス管に入れる。4mlのトルエン、2mlの炭酸ナトリウムの2N水溶液及び0.5mlのエタノールを添加する。混合物を2時間撹拌しながら、80℃で加熱する。この混合物を冷却後、これに1mlの水及び2mlのトルエンを添加する。有機相を取り出し、生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、95/5のジクロロメタン及びメタノールの混合物で溶出する。1mlのエタノールでこの生成物を再溶解し、2mlの水を添加して再沈殿させ、0.031gの粉状の生成物を得る。
融点(℃):117−119
LC−MS:M+H=387
H NMR(CDCl)δ(ppm):7.70(dd,2H),7.65(d,2H),7.30(dd,2H),7.20(d,2H),6.25(broad s,1H),4.80(s+m,3H),4.00−3.70(m,4H),3.05(d,3H),2.25−2.00(m,4H)
【実施例5】
【0063】
(化合物120)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]−メチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【0064】
【化13】

【0065】
5.1. 1,1−ジメチルエチル4−{[(4−ブロモフェニル)−オキシ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
実施例4.1.に記載の方法を繰返す。2.5g(11.6mmol)の1,1−ジメチルエチル4−(ヒドロキシメチル)−1−ピペリジン−カルボキシレート及び8.13g(46.4mmol)の1−ブロモ−4−フルオロベンゼンから開始し、5.75gの油状の粗生成物を得る。
【0066】
5.2. 4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]メチル}ピペリジン
実施例4.2.に記載の方法を繰返す。段階5.1.で調製した5.75gの1,1−ジメチルエチル4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレートから開始し、3gの油状の生成物を得る。
【0067】
5.3. 2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
実施例4.3.に記載の方法を繰返す。段階5.2.で調製した1.6g(5.9mmol)の4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]メチル}ピペリジ及び実施例1.1.に従って調製した1.32g(5.9mmol)のエチル{[(フェニルオキシ)カルボニル]オキシ}アセテートから開始し、油状の生成物を得る。
【0068】
5.4. 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
実施例4.4.に記載の方法を繰返す。段階5.3.で調製した2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレートから開始し、1.1gの粉状の生成物を得る。
融点(℃):163−165
LC−MS:M+H=386
H NMR(CDCl)δ(ppm):7.35(d,2H),6.75(d,2H),6.05(broad s,1H),4.70−4.50(m,2H),4.30−4.10(m,2H),3.80(d,2H),3.00−2.75(m,2h),2.85(d,3H),2.10−1.80(m,3H),1.45−1.20(m,2H)
【実施例6】
【0069】
(化合物154)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{[(4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニル)オキシ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【0070】
【化14】

【0071】
実施例4.5.に記載の方法を繰返す。実施例5に従って調製した0.1g(0.26mmol)の2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{[(4−ブロモフェニル)オキシ]メチル}−1−ピペリジン−カルボキシレート及び0.074g(0.389mmol)の4−トリフルオロメチルフェニル−ボロン酸から開始し、0.049gの粉状の生成物を得る。
【0072】
融点(℃):197−199
LC−MS:M+H=451
H NMR(DMSO)δ(ppm):7.85−7.65(m,7H),7.05(d,2H),4.35(s,2H),4.05(broad d,2H),3.90(d,2H),2.85(m,2H),2.60(d,3H),2.00(m,1H),1.80(broad d,2H),1.35−1.10(m,2H).
【実施例7】
【0073】
(化合物137)
2−アミノ−2−オキソエチル4−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレート
【0074】
【化15】

【0075】
7.1. 1,1−ジメチルエチル4−[(1−ナフタレニル−オキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレート
120mlのテトラヒドロフラン中の、5.0g(23.2mmol)の1,1−ジメチルエチル4−(ヒドロキシメチル)−1−ピペリジン−カルボキシレート、4.3g(29.8mmol)の1−ナフタレノール及び7.82g(29.8mmol)のトリフェニルホスフィンの溶液を、窒素下で氷浴にて冷却し、6.03g(29.8mmol)のアゾジカルボン酸ジイソプロピルの溶液と滴下混合する。反応混合物を室温に戻し、一晩撹拌する。2mlのメタノールを添加し、次いでこの混合物を蒸発乾固する。残留物を200mlのジクロロメタン中に取り出し、10%の硫酸水素カリウム水溶液、水及び1M水酸化ナトリウム水溶液で、続けて洗浄する。このシステムを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固する。生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、80/20、次いで70/30及び50/50の、シクロヘキサン及びジクロロメタンの混合物で溶出し、凝固する7.96gの油状の生成物を得る。
融点(℃):97−100
【0076】
7.2. 4−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]ピペリジン
120mlのメタノール及び28mlの35%塩酸水溶液中の、段階7.1.で調製した1,1−ジメチルエチル4−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレートの7.96g(29.1mmol)の溶液を、60℃で、6時間、加熱する。この溶液を室温に冷却し、蒸発乾固し、次いでエタノールで2度の同時蒸発を実行する。固体残留物をジエチルエーテルで洗浄し、次いで5酸化リンの存在下にて、真空下で乾燥させ、3.1gの白い固体を得る。
【0077】
前記固体を80mlの水中に取り出し、塩基性pHを取得するまで、30%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、次いでこのシステムを150mlのジエチルエーテルで、2度抽出する。その抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥するまで濃縮し、次の段階でそのまま使用する、2.75gの油状生成物を得る。
【0078】
7.3. 2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル4−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレート
80mlのトルエン中の、段階7.2.で調製した2.75g(11.4mmol)の4−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]ピペリジン及び実施例1.1.に従って調製した2.56g(11.4mmol)のエチル[(フェニルオキシ−カルボニル)オキシ]アセテートの溶液を、50℃で一晩加熱する。この溶液を蒸発乾固し、残留物を水、ジクロロメタン及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の混合物中に取り出す。有機相をデカントし、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固する。生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、シクロヘキサン及びジクロロオメタンの50/50混合物、次いでジクロロメタン、並びにジクロロメタン及び酢酸エチルの95/5混合物で溶出する。これにより、次の段階でそのまま使用する、2.05gの油状生成物を得る。
【0079】
7.4. 2−アミノ−2−オキソエチル4−[(1−ナフタレニル−オキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレート
段階7.3.で調製した1.0g(2.69mmol)の2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル4−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレートを、メタノール中の、12mlのアンモニアの7N溶液(84mmol)で溶解する。前記溶液を室温で3日間反応させるために放置する。この溶液を蒸発乾固し、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、90/10、次いで80/20、70/30及び50/50の、ジクロロメタン及び酢酸エチルの混合物、次いで酢酸エチル及びメタノールの95/5混合物で溶出する。続いて、酢酸エチルから溶出物を再結晶化し、0.77gの生成物を得る。
融点(℃):135−136
LC−MS:M+H=343
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.15(dd,1H),7.80(dd,1H),7.50−7.30(m,4H),7.30(m,1H),7.15(m,1H),6.95(d,1h),4.35(s,2H),4.15−4.00(m+d,4H),4.90(m,2H),2.10(m,1H),1.90(d,2H),1.45−1.25(m,2H)
【実施例8】
【0080】
(化合物148)
2−アミノ−2−オキソエチル4−[(7−キノリニルオキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレート
【0081】
【化16】

【0082】
8.1. 2−(メチルオキシ)−2−オキソエチル4−(ヒドロキシメチル)−1−ピペリジンカルボキシレート
エタノールアミンの代わりに、6.84g(59.4mmol)の4−(ヒドロキシ−メチル)ピペリジンを使用し、実施例2.1.に記載の方法を繰返して、7.85gの無色の油状の生成物を得る。
【0083】
8.2. 2−アミノ−2−オキソエチル4−[(7−キノリニル−オキシ)メチル]−1−ピペリジンカルボキシレート
0.26g(1.03mmol)の1,1’−(アゾジカルボニル)−ジピペリジン(ADDP)を、氷浴で冷却し、2.5mlのベンゼン中の、段階8.1.で調製した2−(メチルオキシ)−2−オキソエチル4−(ヒドロキシメチル)−1−ピペリジンカルボキシレートの0.16g(0.69mmol)、トリ−n−ブチルホスフィン0.26g(1.03mmol)及び7−ヒドロキシキノリンの0.13g(0.90mmol)の溶液に添加する。混合物を、0℃で15分間撹拌し、次いで、室温で16時間撹拌する。この混合物を、セライトでろ過し、ジエチルエーテルですすぐ。ろ過物を蒸発乾固し、シリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、n−ヘキサン中の酢酸エチルの70/30混合物で溶出する。取得した生成物を、3ml(21mmol)のメタノール中のアンモニア7M溶液で溶解する。前記溶液を3時間撹拌し、次いで蒸発乾固する。その生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、エタノール中の酢酸エチルの90/10混合物で溶出し、酢酸エチルから再結晶化して、0.115gの白い固体の生成物を得る。
融点(℃):137−139
LC−MS:M+H=344
H NMR(CDCl)δ(ppm):7.80(dd,1H),8.05(dd,1H),7.70(d,1H),7.40(d,1H),7.30−7.15(m,2H),6.05(m,1H),5.65(m,1H),4.60(s,2H),4.25(m,2H),4.00(d,2H),2.90(m,2H),2.10(m,1H),1.95(d,2H),1.50−1.30(m,2H)
【実施例9】
【0084】
(化合物168)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{2−[(4−ブロモフェニル)−オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【0085】
【化17】

【0086】
9.1. 1,1−ジメチルエチル4−{2−[(4−ブロモフェニル)−オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
実施例4.1.に記載の方法を繰返す。1.93g(8.4mmol)の1,1−ジメチルエチル4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジン−カルボキシレート及び5.88g(22.6mmol)の1−ブロモ−4−フルオロベンジンから開始し、4.1gの油状の粗生成物を得る。
【0087】
9.2. 4−{2−[(4−ブロモフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン
実施例4.2.に記載の方法を繰返す。段階9.1.で調整した1,1−ジメチルエチル4−{2−[(4−ブロモフェニル)オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレートから開始し、1.79gの粉状の生成物を得る。
融点(℃):100−102
【0088】
9.3. 2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル4−{2−[(4−ブロモフェニル)オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
実施例4.3.に記載の方法を繰返す。段階9.2.で調製した1.76g(6.19mmol)の4−{2−[(4−ブロモフェニル)オキシ]エチル}及び実施例1.1.に従って調製した1.39g(6.19mmol)のエチル{[(フェニルオキシ)カルボニル]オキシ}−アセテートから開始し、1.4gの油状の生成物を得る。
【0089】
9.4. 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{2−[(4−ブロモフェニル)オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
実施例4.4.に記載の方法を繰返す。段階9.3.で調製した1.3g(3.14mmol)の2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル4−{2−[(4−ブロモフェニル)オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレートから開始し、0.95gの粉状の生成物を得る。
融点(℃):101−103
LC−MS:M+H=400
H NMR(CDCl)δ(ppm):7.55(d,2H),7.00(d,2H),6.25(broad s,NH),4.90−4.70(m,2H),4.50−4.25(m,2H),4.20(t,2H),3.20−2.90(m,2H),3.10(d,3H),2.05−1.90(m,5H),1.55−1.30(m,2H)
【実施例10】
【0090】
(化合物186)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{2−[(4’−クロロ−4−ビフェニル)オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【0091】
【化18】

【0092】
実施例4.5.に記載の方法を繰返す。実施例9に従って調製した0.1g(0.25mmol)の2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル4−{2−[(4−ブロモフェニル)−オキシ]エチル}−1−ピペリジンカルボキシレートから開始し、0.117g(0.75mmol)の4−クロロフェニルボロン酸で、0.087gの粉状の生成物を得る。
融点(℃):104−106
LC−MS:M+H=431
H NMR(CDCl)δ(ppm):7.70−7.50(m,6H),7.10(d,2H),6.20(broad s,NH),4.85−4.60(m,2H),4.45−4.15(m,2H),4.20(t,2H),3.15−2.95(m,2H),3.05(d,3H),2.10−1.85(m,5H),1.50−1.25(m,2H)
【実施例11】
【0093】
(化合物183)
2−アミノ−2−オキソエチル4−[2−(7−イソキノリニルオキシ)エチル]−1−ピペリジンカルバメート
【0094】
【化19】

【0095】
11.1. 2−(メチルオキシ)−2−オキソエチル4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシレート
エタノールアミンの代わりに、7.6g(59.4mmol)の4−(2−ヒドロキシ−エチル)ピペリジンを使用し、実施例2.1.に記載の方法を繰返して、7.1gの無色の油状の生成物を得る。
【0096】
11.2. 2−アミノ−2−オキソエチル4−[2−(7−イソキノリニルオキシ)エチル]−1−ピペリジンカルバメート
4mlのベンゼン中の、0.46g(1.84mmol)のADDP、段階11.1.で調製した0.30g(1.24mmol)の2−(メチルオキシ)−2−オキソエチル4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシレート、0.46mlのトリ−n−ブチルホシフィン及び0.26g(1.84mmol)の7−ヒドロキシイソキノリンから開始し、実施例8.2.に記載の方法を繰り返す。生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル、次いで95/5の、酢酸エチル及びエタノールの混合物で溶出して、0.25gの白い固体の生成物を得る。
融点(℃):179−181
LC−MS:M+H=358
H NMR(CDCl)δ(ppm):9.15(s,1H),8.45(d,1H),7.60(d,1H),7.35(dd,1H),7.20(d,1H),6.05(m,1H),5.75(m,1H),4.60(s,2H),4.20(t,4H),2.90(m,2H),1.90−1.70(m,5H),1.40−1.20(m,2H)
【実施例12】
【0097】
(化合物83)
2−アミノ−2−オキソエチル3−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレート
【0098】
【化20】

【0099】
12.1. 1,1−ジメチルエチル3−[(1−ナフタレニル−オキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレート
窒素下で、氷浴にて冷却した、40mlのトルエン及び20mlのテトラヒドロフラン中の、1.0g(4.9mmol)の1,1−ジメチルエチル3−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジンカルボキシレート(WO0066557で開示された。)、0.95g(6.4mmol)の1−ナフタレノール及び1.4g(6.9mmol)のトリ−n−ブチルホスフィンの溶液を、1.74g(6.9mmol)のADDPの溶液と滴下混合する。反応混合物を室温に戻し、24時間撹拌する。前記混合物をろ過し、沈殿物をトルエンですすぎ、蒸発乾固する。残留物を、ジクロロメタン中に取り出し、1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄する。この残留物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固する。前記残留物をシリカゲルカラムで、クロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン、次いで98/2の、ジクロロメタン及びメタノールの混合物で溶出し、0.80gの無色の油状の生成物を得る。
【0100】
12.2. 3−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−ピロリジン
10mlの1,4−ジオキサン及び6mlの2N塩化水素酸水溶液中の、段階12.1.で調製した0.42g(1.28mmol)の1,1−ジメチルエチル3−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートの溶液を、6時間、撹拌する。この溶液を、蒸発乾固し、次いでトルエンで、2度の共蒸発を実行する。固体残留物をジエチルエーテルで洗浄し、その固体をジクロロメタン中に取り出し、基本pHを取得するまで、濃縮したアンモニア溶液を添加する。そのシステムをWhatman PTFEカートリッジ上でろ過し、有機相を濃縮して、次の段階でそのまま使用する、0.21gの油状生成物を得る。
【0101】
12.3. 2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル3−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレート
6mlのトルエン中の、段階12.2.で調製した0.20g(0.88mmol)の3−[(1−ナフタレニルオキシ)メチル]ピロリジン及び実施例1.1.に従って調製した0.35g(1.5mmol)のエチル[(フェニルオキシカルボニル)オキシ]アセテートの溶液を、60℃で一晩加熱する。この溶液を蒸発乾固し、残留物を水ジクロロメタン及び飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液の混合物中に取り出す。有機相をデカントし、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固する。残留物をシリカゲルカラムでクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン、次いで99/1の、ジクロロメタン及びメタノールの混合物で溶出する。これにより、次の段階でそのまま使用する、0.24gの油状の生成物を得る。
【0102】
12.4. 2−アミノ−2−オキソエチル3−[(1−ナフタレニル−オキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレート
段階12.3.で調製した0.24g(0.67mmol)の2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル3−[(1−ナフテニルオキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートを、メタノール中の、15mlのアンモニア(105mmol)の7N溶液で溶解する。前記溶液を室温で3日間栓付き管で撹拌する。この溶液を、蒸発乾固し、残留物を、シリカゲルカラムでクロマグラフィーにより精製し、97/3、次いで94/6の、ジクロロメタン及びメタノールの混合物で溶出する。取得した個体をジエチルエーテルで粉砕し、ろ過して、0.15gの生成物を得る。
融点(℃):161−163
LC−MS:M+H=329
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.15(m,1H),7.75(m,1H),7.50−7.30(m,4H),7.10−6.90(s,2H),6.80(m,1H),4.40(s,2H),4.20−4.05(m,2H),3.90−3.30(m,4H),2.90−2.70(m,1H),2.30−2.10(m,1H),2.05−1.85(m,1H)
【0103】
本発明のいくつかの化合物における化学構造及び物理的性質を伴う表
【0104】
【化21】

【0105】
【表1】










【0106】
本発明の化合物は、薬理試験に付され、酵素FAAH(脂肪酸アミド加水分解酵素)に対するこれら化合物の阻害効果の測定を可能にした。
【0107】
阻害活性は、FAAH(Life Sciences(1955)、56、1999−1005及びJournal of Pharmacology and Experimental Therapeutics (1997)、283、729−734)によるアナンダミド[エタノールアミン1−H]の加水分解生成物(エタノールアミン[1−H])の測定に基づく放射酵素アッセイにより示された。すなわち、マウス脳(小脳を引く)を取り出し、−80℃で保存する。膜ホモジネートを、使用時に、150mMNaCl及び1mMEDTAを含有する10mMTris−HCLバッファ(pH8.0)中のポリトロンにおいて組織を均質化することにより調製する。次いで、酵素反応を、脂肪酸無しの牛血清アルブミン(1mg/ml)を含有する緩衝液70μl中で行なう。続いて、様々な濃度の試験化合物、冷アナンダミドで10μMに希釈したアナンダミド[エタノールアミン1−H](比活性度:15−20Ci/mmol)及び前記膜調製物(凍結組織の400μg/アッセイ)を添加する。25℃での15分後、140μlのクロロホルム/メタノール(2:1)を加えることにより、前記酵素反応を停止する。混合物を10分間撹拌し、次いで3500gで15分間、遠心分離する。エタノールアミン[1−H]を含有する水相のアリコート(30μl)を、液体シンチレーションで計測する。
【0108】
これら条件下で、本発明の最も活性な化合物は、0.001〜1μMのIC50値(FAAHの対照酵素活性の50%を阻害する濃度)を示す。例えば、前記表の化合物58は、0.47μMのIC50を示す。
【0109】
従って、本発明の化合物は、FAAH酵素に対する阻害効果を有することが明らかである。
【0110】
本発明の化合物のインビボ活性は、鎮痛試験で評価した。
【0111】
すなわち、体重25〜30gの雄のOF1マウスへの、PBQ(5%のエタノールを含有する0.9%の塩化ナトリウム溶液中のフェニルベンゾキノン、2mg/kg)の腹腔内(i.p.)投与は、注射後5〜15分の間に、平均30回のねじれ又は収縮といった腹部のストレッチを引き起こす。PBQの投与の前60分〜120分に、0.5%のTween80の懸濁液中の前記試験化合物を経口投与する。これら条件下で、本発明の最も効果的な化合物は、1〜30mg/kgの投与量範囲において、PBQが引き起こすストレッチの数を35〜70%減らす。例えば、前記表の化合物58は、2時間における1mg/kgの投与量において、PBQが引き起こすストレッチの数を51%減らす。
【0112】
酵素FAAH(Cmemistry and Physics of Lipids、(2000)、108、107−121)は、N−アラキドニルエタノールアミン(アナンダミド)、N−パルミトイルエタノールアミン、N−オレオイル−エタノールアミン、オレアミド又は2−アラキドノイルグリセロール等の、様々な脂肪酸のアミド及びエステルの内因性誘導体の加水分解を触媒する。これらの誘導体は、とりわけカンナビノイド受容体及びバニロイド受容体と相互作用することにより、様々な薬理学的活性を及ぼす。
【0113】
本発明の化合物は、この分解経路を遮断し、これらの内因性物質の組織内濃度を高くする。これら化合物は、この点において、内因性カンナビノイド、及び/又はFAAH酵素により代謝される他の基質が関与する病理の予防及び治療において使用することができる。
【0114】
例えば、次の病気及び状態:痛覚、特に、神経性型の急性疼痛又は慢性疼痛:ヘルペスウイルス及び糖尿病を伴う態を含む、偏頭痛、神経因性疼痛;炎症性疾患を伴う急性疼痛又は慢性疼痛:関節炎、リウマチ関節炎、変形関節炎、脊椎炎、通風、血管炎、クローン病、過敏性腸管症候群;
急性又は慢性の末梢性疼痛;
嘔吐、吐気、特に化学療法後の症状;
特に諸種の拒食症及び栄養不良といった、節食障害;
神経的病理及び精神病理:震え、運動障害、筋失調症、痙縮、強迫性障害、ツレット症候群、全種及び全要因の鬱病及び不安神経症の全症状、気分障害、精神病;急性及び慢性の神経変性疾患:パーキンソン病、アルツハイマー病、老人性痴呆、ハンチングトン舞踏病、脳虚血及び頭蓋外傷および延髄外傷を伴う障害;
てんかん;
睡眠中無呼吸症を含む睡眠障害;
特に高血圧、心不整脈、動脈硬化、心臓発作、心虚血等の、循環器疾患;
腎虚血;
癌:良性皮膚腫瘍、乳頭種及び脳腫瘍、前立腺腫瘍、脳腫瘍(グリア芽腫、髄様上皮腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、胎児起源の腫瘍、星状細胞腫、星状芽細胞腫、上衣腫、希突起神経膠腫、神経叢腫、神経上皮腫、骨端腫、上衣芽細胞腫、悪性髄膜腫、肉腫、亜性黒色腫、シュワン細胞腫);
特に自己免疫疾患といった免疫システムの病気:乾癬、紅斑性狼瘡、結合組織病又は膠原病、シェーグレン症候群、強直性脊椎関節炎、未分化型脊椎関節炎、ベーチェット病、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、筋萎縮性側策硬化症、アミローズ、移植拒絶反応、形質細胞系に影響を及ぼす病気;
アレルギー疾患:即時型過敏症又は遅延型過敏症、アレルギー性鼻炎又は結膜炎、接触性皮膚炎;
寄生虫感染症、ウイルス感染症、細菌感染症:
エイズ、髄膜炎;特に関節疾患といった炎症性疾患:関節炎、リウマチ関節炎、骨関節炎、脊椎炎、痛風、血管炎、クローン病、過敏性腸管症候群;骨粗鬆症;眼症状:眼高血圧症、緑内障;
肺症状:呼吸器疾患、気管支痙攣症、咳、喘息、慢性気管支炎、慢性呼吸管閉塞症、気腫;
胃腸疾患:過敏性腸管症候群、腸管炎症障害、潰瘍、下痢;
尿失禁及び膀胱炎を挙げることができる。
【0115】
上記病理の治療のための医薬品を調製するための、塩基の、塩の、水和物の又は薬学的に許容し得る溶媒和物の形態の式(1)の化合物の使用は、本発明の必須部分を形成する。
【0116】
同様に、本発明は、式(1)の化合物、又は式(1)の化合物の塩若しくは水和物若しくは薬学的に許容し得る溶媒和物を含む医薬品を提供する。これらの医薬品は、治療で使用され、特に上記病理の治療で使用される。
【0117】
他の本発明の態様において、本発明は、活性成分として少なくとも1つの式(1)の化合物を含む医薬組成物に関する。これら医薬組成物は、本発明の化合物又は前記化合物の塩又は水和物又は薬学的に許容し得る溶媒和物の有効投与量、及び必要に応じて1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0118】
前記賦形剤は、当業者には公知の一般的な賦形剤から、医薬形態及び所望の投与様式に応じて、選択される。
【0119】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局部、気管内、鼻腔内、経皮的、肺性、眼性又は直腸の各投与のための本発明の医薬組成物において、上記式(1)の活性成分又はその塩、溶媒和物若しくは水和物は、適切ならば、単位投与形態にて、通常の医薬賦形剤との混合として、上記の障害又は疾患の予防若しくは治療のために、動物及びヒトに投与できる。
【0120】
適切な単位投与形態は、経口液剤(例えば、錠剤、軟及び硬ゲルカプセル、粉末、顆粒、チューイングガム並びに経口の溶液又は懸濁液)、舌下、口腔、気管内、眼球内又は鼻腔内の各投与形態、吸入による投与のための形態、皮下、筋肉内又は静脈内の各投与形態、及び直腸又は膣内の各投与形態を含む。局所適用のために、本発明の化合物は、クリーム、軟膏又はローションで使用可能である。
【0121】
例として、本発明の化合物の、錠剤形式の単位投与形態は、次の成分を含み得る。
【0122】
本発明の化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシ澱粉 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0123】
前記単回投与形態は、医薬形態に応じて体重kg当たり活性成分0.01〜20mgの毎日の投与を可能にする用量を含む。
【0124】
特定の場合によって、より高い又はより低い投与量が適切であり得、そのような投与量も本発明に属するものとする。通常のプラクティスに従い、各患者に適切な投与量は、投与方法、前記患者の体重及び反応に応じて、医師が決定する。
【0125】
他の態様において、本発明は、本発明の化合物、薬学的に許容し得る前記化合物の塩のうち1つ又は溶媒和物若しくは水和物の有効用量を投与することを含む、上記病理の治療の方法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、式(I)に合致する化合物。
【化1】

(式中、
mは、0、1、2又は3を表し;
nは、0、1、2又は3を表し;
Xは、酸素若しくは硫黄原子又はSO若しくはSO基を表し;
及びRは、互いに独立に、水素原子若しくはC1−3アルキル基を表し、又はR及びRは両者で基−(CH−(pは、n+pが2から5までの整数となるように、1から5までの整数を表す。)を形成し;
は、水素若しくはフッ素原子又はヒドロキシルもしくはメチル基を表し;
は、一般式CHRCONHRの基を表し;
(Rは、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、及び
は、水素原子又はC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルもしくはC3−7シクロアルキル−C1−6アルキレン基を表す。)
Yは、特にフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、チアゾリル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサジアゾリル及びベンゾチアジアゾリルから選択される基Yを表し;基Yは、互いに同一又は異別である一又は複数の置換基Yによって、又は基Yによって必要に応じて置換されており;
は、ハロゲン原子又はシアノ、ニトロ、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、C1−8チオアルキル、C1−8フルオロアルキル、C1−8フルオロアルコキシ、C1−8フルオロチオアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルオキシ、C3−7シクロアルキル−C1−8アルキレン、C3−7シクロアルキル−C1−8アルキルオキシ、ヒドロキシル、NR、NHCOR、NHSO、COR、CO、CONR、SO、SONR、−O−(C1−3アルキレン)−O−、フェニルオキシ、フェニルチオ、フェニル−C−Cアルキレン、フェニル−C−Cアルキルオキシ又はフェニル−C−Cアルキルチオ基を表し;
は、特に、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニルから選択される基を表し;
一又は複数の基Yは、互いに同一又は異別である一又は複数の基Yによって置換されることが可能であり;
及びRは、互いに独立に、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、又はそれらを担持する窒素原子とともに、C1−3アルキル若しくはベンジル基によって必要に応じて置換された、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼピン又はピペラジン環を形成する。)
【請求項2】
Yが、特にフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル及びベンズオキサゾリルから選択される基Yを表し;基Yは、互いに同一又は異別である一又は複数の置換基Yによって、又は基Yによって必要に応じて置換されており;
が、ハロゲン原子、シアノ、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、C1−8フルオロアルキル、C1−8フルオロアルコキシ、フェニルオキシ又はフェニル−C−Cアルキレン基を表し;
が、フェニル基を表し;Yが、互いに同一又は異別である一又は複数の基Yによって置換されることが可能である、
ことを特徴とする、塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Yが、特にフェニル又はナフチルから選択される基Yを表し;基Yが、互いに同一又は異別である一又は複数の置換基Yによって、又は基Yによって必要に応じて置換されており;
が、ハロゲン原子、シアノ、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、C1−8フルオロアルキル、C1−8フルオロアルコキシ、フェニルオキシ又はフェニル−C−Cアルキレン基を表し;
が、フェニル基を表し;Yが、互いに同一又は異別である一又は複数の基Yによって置換されることが可能である、
ことを特徴とする、塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
mが、0、1、2又は3を表し;
nが、0、1、2又は3を表し;
及びRが、互いに独立に、水素原子若しくはC1−3アルキル基を表し、又はR及びRは両者で基−(CH−(pは、n+pが2から5までの整数となるように、1から5までの整数を表す。)を形成し;
但し、R及びRが、互いに独立に、水素原子又はC1−3アルキル基を表す場合には、m+n>1である、
ことを特徴とする、塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、請求項1ないし3の何れか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
mが、0、1、2又は3を表し;及び/又は
nが、0、1、2又は3を表し;及び/又は
及びRが、両者で、基−(CH−(pは、n+pが4に等しいように、1から4までの整数を表す。)を形成する;
ことを特徴とする、塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、請求項1ないし4の何れか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
Xが、酸素原子を表す;
ことを特徴とする、塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、請求項1ないし5の何れか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
が、水素原子を表す;
ことを特徴とする、塩基の、酸付加塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、請求項1ないし6の何れか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
式(IV)の化合物
【化2】

(Y、X、R、R、R、R、n及びmは、請求項1ないし7の何れか一項に定義されているとおりであり、Rは、メチル又はエチル基を表す。)
を、式RNHのアミン(Rは、請求項1に記載の式(I)に定義されているとおりである。)を用いたアミノ分解によって変換する工程を含む、請求項1ないし7の何れか一項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項9】
薬学的に許容される、塩基の、塩の、水和物の又は溶媒和物の形態の、請求項1ないし7の何れか一項に記載の少なくとも一つの式(I)の化合物を含み、及び薬学的に許容される一又は複数の賦形剤を必要に応じて含む、薬学的組成物。
【請求項10】
医薬品として使用するための、塩基の、塩の、水和物の又は薬学的に許容される溶媒和物の形態の、請求項1ないし7の何れか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
酵素FAAHによって代謝される内在性カンナビノイド及び/又は他の任意の基質が関与する病変を予防又は治療することを目的とする医薬品を調製するための、塩基の、塩の、水和物の又は薬学的に許容される溶媒和物の形態の、請求項1ないし7の何れか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
急性若しくは慢性疼痛、目まい、嘔吐、吐き気、摂食障害、神経及び精神病変、急性若しくは慢性神経変性疾患、てんかん、睡眠障害、心血管疾患、腎虚血、癌、免疫系の疾患、アレルギー性疾患、寄生生物、ウイルス若しくは細菌性感染疾患、炎症疾患、骨粗鬆症、眼症状、肺疾患、胃腸疾患又は尿失禁を予防又は治療することを目的とする医薬品を調製するための、塩基の、塩の、水和物の又は薬学的に許容される溶媒和物の形態の、請求項1ないし7の何れか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−522111(P2007−522111A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548339(P2006−548339)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000028
【国際公開番号】WO2005/077898
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】