ギャップ計測装置、ギャップ計測方法、およびロール状体の製造方法
【課題】凸部が表面に形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体について、隣接するフィルム間のギャップを検査員の主観を排除して計測する。
【解決手段】計測対象2(ロール状体)に照射光を当てる照明光源8と、上記照射光により生成され、計測対象2の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する画像センサ10と、上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測するPC12とを備えている。
【解決手段】計測対象2(ロール状体)に照射光を当てる照明光源8と、上記照射光により生成され、計測対象2の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する画像センサ10と、上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測するPC12とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体のギャップを計測するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、凸部のあるフィルムを巻いたロール状体が存在した。このようなロール状体の品質評価は、一定間隔のギャップを保ってフィルムが巻かれているか否かを判断することで行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来、検査員が目視で上記ロール状体の品質評価を行っていたので、下記の問題(1)〜(6)が生じていた。
【0004】
(1)検査員により、品質評価結果がバラつき、評価の再現性がないという問題
(2)検査員の疲れなどにより、検査員の評価能力が変動し、信頼性のある評価結果が得られないという問題
(3)ギャップが一定の間隔に保たれているかを判定できるようになるまで、かなりの熟練が必要であるという問題
(4)品質評価作業が長時間つづくと、検査員に長時間の緊張を強いることになるという問題
(5)品質評価そのものに時間がかかるという問題
(6)ギャップ間隔の正常値が狭いと、検査員が信頼性のある品質評価を行えるようになるまで更なる熟練が必要であり、ひいては人間に目視不可能なギャップ間隔を正常か否か判断する必要が生じるという問題。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、上記(1)〜(6)の課題を解決し得るギャップ計測装置、ギャップ計測方法、およびロール状体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のギャップ計測装置は、上記課題を解決するために、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる光源と、上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する原画像取得手段と、上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する画像処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、ギャップ計測装置に設けられた光源により、ロール状体に照明光が当てられ、その照明光によって形成される原画像が原画像取得手段により取得される。そして、画像処理手段により、原画像において生じるフィルムとギャップとのコントラスト差に基づき、ギャップが計測される。
【0008】
つまり、ロール状体におけるギャップを計測する一連の工程が、ギャップ計測装置に設けられた各構成要件により行われるので、検査員の主観を排除したギャップの計測が可能となる。
【0009】
したがって、本発明のギャップ計測装置を用いれば、従来のように、品質評価がバラつくこともないし、信頼性の高いギャップの計測を行うことができる。また、本発明のギャップ計測装置を用いることで、ギャップを計測するための熟練が不要となり、ロール状体の品質評価作業が長時間続いても検査員に負担を与えることがなく、また、人間に目視不可能なギャップの計測も可能となる。
【0010】
また、本発明のギャップ計測装置は、上記光源が、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が斜めとなるように上記照射光を照射するものであり、上記出射光が、上記照射光が上記ロール状体で反射されることにより生成されるものであることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、光源が、ロール状体の中心軸に関して斜めから照射光をロール状体に照射するので、原画像におけるフィルムとギャップとのコントラスト差が明確となる。したがって、ギャップを精度良く計測することができる。
【0012】
また、本発明のギャップ計測装置は、上記光源が、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が平行となるように上記照射光を照射するものであり、上記出射光が、上記照射光がロール状体を通過することにより生成されるものであってもよい。
【0013】
上記構成によれば、照射光をロール状体に対して斜めに当てる場合に比べると、原画像におけるフィルムとギャップとのコントラストが逆になるが、明確なコントラスト差を得ることができる。したがって、ギャップを精度良く計測することができる。
【0014】
また、本発明のギャップ計測装置は、上記光源が、上記ロール状体の側面から上記照射光を照射するものであり、上記出射光が、上記照射光がロール状体を透過することにより生成されるものであってもよい。
【0015】
上記構成によれば、光源がロール状体の側面から照射光を照射するので、ロール状体の様々な位置から照射光を当てることができる。したがって、光源を配置するレイアウトの自由度を高めることができる。
【0016】
また、本発明のギャップ計測方法は、上記課題を解決するために、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する第3ステップとを備えていることを特徴としている。
【0017】
上記構成のギャップ計測方法によれば、本発明のギャップ計測装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
さらに、上記構成のギャップ計測方法における上記第3ステップは、たとえば、上記原画像を2値化して2値化画像を得る2値化ステップと、上記2値化画像から上記凸部付近の画像を抽出してマスク画像とするマスク画像生成ステップと、上記2値化画像を所定方向に走査しつつエッジ抽出処理を行うことでギャップ画像を得るギャップ画像生成ステップと、上記ギャップ画像に対し、上記マスク画像を用いて上記凸部付近の画像をマスキングした計測用画像を生成する計測用画像生成ステップと、上記計測用画像を走査してギャップの座標値を求めるステップと、上記ギャップの座標値に基づきギャップ寸法を計測するステップと、により実現可能である。
【0019】
また、本発明のギャップ計測方法は、上記課題を解決するために、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、上記原画像から上記フィルムのエッジに対応する画像を抽出し、該抽出された画像に隣接するエッジ間のピッチを求める第3ステップと、上記ピッチと上記フィルム厚とを用いて、上記ギャップを求める第4ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、ギャップを求めるにあたって、ギャップを直接計測せずに、ピッチとフィルム厚とを用いる。したがって、原画像を取得する際、フィルムとギャップとのコントラストが明確になるようにしなくてもよいので、原画像を取得する際のフォーカス位置の変動に対して、ロバストなギャップの計測が可能となる。
【0021】
なお、ロール状体を形成するフィルムは、樹脂製であってもよい。
【0022】
また、フィルム表面に形成される凸部は、上記フィルムをエンボス加工することで形成されたものであってもよいし、凸部前駆体を上記フィルムに塗布することで形成されたものであってもよい。なお、凸部前駆体をフィルムに塗布するためには、インクジェット印刷やノズルから凸部前駆体を吐出方法、またはスクリーン印刷等、種々の塗布方法を用いることができる。
【0023】
また、本発明のロール状体の製造方法は、上記構成のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成した後に実施することを特徴としている。
【0024】
上記構成によれば、ロール状体を形成した後に、本発明のギャップ計測方法を用いるので、形成されたロール状体についてギャップが適正な値になっているかを、自動的に判断することができる。したがって、高品質のロール状体の大量生産が可能となる。
【0025】
また、本発明のロール状体の製造方法は、上記構成のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成しながら実施する方法であってもよい。
【0026】
上記構成によれば、ロール状体を形成しながら、本発明のギャップ計測方法を用いてギャップが適正な値になっているかを自動的に判断できる。したがって、高品質のロール状体の大量生産が可能となる。
【0027】
また、本発明のロール状体の製造方法は、上記構成のギャップ計測方法により計測されたギャップが不適正な値であると判断された場合、上記フィルムを巻きなおす方法であってもよい。
【0028】
上記構成によれば、ギャップが不適正な値であるロール状体は、フィルムが巻きなおされるので、ギャップが適正な値となっているロール状体だけを製品として出荷することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来のように、ロール状体の品質評価がバラつくこともないし、信頼性の高いギャップの計測を行うことができる。また、本発明により、ギャップを計測するための熟練が不要となり、ロール状体の品質評価作業が長時間続いても検査員に負担を与えることがなく、また、人間に目視不可能なギャップの計測も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔実施形態1〕
(1.装置構成)
本発明の一実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態においては、図2に示すように、凸部のあるフィルムが巻かれたロール状体が、計測対象であるものとして説明する。
【0031】
計測対象(ロール状体)における凸部は、フィルム表面に凸部形成用材料(凸部前駆体)を塗布したり、フィルムそのものを凸部としてエンボス加工することで形成される。つまり、図3の(ア)部分に示すように、フィルムをエンボス加工等することで凸部が形成されていてもよいし、図3の(イ)部分に示すように、凸部がエンボス加工されたフィルムに、平面状のフィルムが重ねられていてもよい。
【0032】
さらに、図3の(ウ)部分に示すように、平面状のフィルムに、印刷法、インクジェット法等により凸部前駆体を形成してもよい。凸部前駆体としては、たとえば、塗布時において粘稠な液状樹脂であり、紫外線の照射や加熱等により硬化するインクを用いることができる。また、自然放置で揮発・酸化・重合化などにより硬化するインクを、凸部前駆体として用いてもよい。いずれにしても、凸部前駆体としては、フィルムに影響を与えない温度で硬化するものが望ましい。また、フィルムに微小な糸引きが発生しないようにすることができるので、硬化時の収縮率は小さい方が望ましい。
【0033】
さらに、平面状のフィルムに対して凸部前駆体をスクリーン印刷し、ローラー加熱やレーザーによるスポット加熱により凸部前駆体を硬化させてもよい。塗布から硬化までの時間がかかる場合は、添加物によりチクソ性を高くしたり、紫外線および熱の両方により硬化する樹脂を凸部前駆体として用いることにより、硬化時の形状を安定させることができる。なお、凸部前駆体としては、ウレタン系、アクリル系、アクリレート系、スチレン系、ポリイミド系、また、これらの共重合体など、各種の樹脂を使用できる。
【0034】
さらに、図3の(エ)部分に示すように、フィルムの構成は、凸部と平面状のフィルムとが一体化された構成であっても構わない。また、図3の(オ)部分に示すように、平面状のフィルムの両側に凸部が形成されるとともに、凸部とフィルムとが一体化されている構成であっても構わない。
【0035】
さらに、凸部の断面的形状は、錐状、台形状、半球状、柱状など、どのような形状であってもよい。さらに、凸部の平面的形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、十字、線(リブ状)など、どのような形状であってもよい。
【0036】
また、図2のロール状体は、凸部が内側となるようにフィルムが巻かれているが、凸部が外側となるように巻いてもよく、また、両面に凸部が形成されたフィルムを巻いてロール状体を形成してもよい。また、凸部は、点状に形成されるものでなくてもよく、たとえば線状に形成されていてもよいし、所定のパターンに形成されていてもよい。
【0037】
また、図4に示すように、計測対象であるロール状体の断面を「計測面」、計測面におけるフィルム部分を「フィルム部」、隣接するフィルム間の間隔部分を「ギャップ部」、ギャップ部の幅を「ギャップ」、隣接フィルム同士の側面の間隔を「ピッチ」と定義する。また、図5に示すように、ユーザにより設定された計測対象の領域を「計測エリア」、カメラにより撮像される画像1枚分の領域を「撮像エリア」と定義する。なお、図4や図5においては、渦巻き状に巻かれたフィルムを簡略化し、同心円のフィルムが複数配置されているように記載している。
【0038】
次に、計測対象におけるギャップを計測する装置(以下、単にギャップ計測装置とする)の構成について、図1を用いて説明する。
【0039】
図1に示すように、ギャップ計測装置1は、計測対象2を保持するための保持具3と、計測面上の撮像エリアを変更するための第1移動ステージ4および第2移動ステージ5と、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5による保持具3の移動を制御するコントローラ6と、計測面の斜め上方から照明光を出射する照明レンズ7と、照明レンズ7に光ファイバーケーブルによって接続された照明光源8と、上記照明光が計測面にて反射した光を集光する光学レンズ9と、光学レンズ9により集光された光を検出する画像センサ10と、画像センサ10と計測面との間の鉛直方向の距離を変更することができる第3移動ステージ11と、画像センサ10からのデータを取得する機能を有したPC12とから構成される。
【0040】
保持具3は、計測対象の形状に合わせて設計されたものが使用される。計測対象がフィルムのようなもので計測対象自体を保持することができない場合は、ロール状体の芯となる部分を保持するなどの方法により、計測対象を保持する。
【0041】
なお、保持具3が計測対象2を保持する際、計測対象であるロール状体の軸方向が鉛直方向と一致するようにロール状体を保持してもよいし、ロール状体の軸方向が水平となるようにロール状体を保持してもよい。
【0042】
第1移動ステージ4および第2移動ステージ5は、計測面全体の計測エリアが画像センサ10の撮像エリアに対して広い場合、撮像エリアを移動させるために用いられるものである。
【0043】
特に、第1移動ステージ4は、保持具3をxy平面内で回転させることで、撮像エリアを変更するものであり、第2移動ステージ5は、保持具3をxy平面内で移動させて撮像エリアを変更するものである。なお、図1に示すギャップ計測装置1では、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を用いて、計測対象2および保持具3を移動させているが、照明光源8や画像センサ10を計測対象2に対して移動させてもよい。
【0044】
照明レンズ7は、計測対象の斜め上方から、撮像エリアに均一に照明光を入射できるように配置される。また、照明光源8は、十分な輝度値が得られるハロゲンランプなどを用いることができる。
【0045】
画像センサ10の画素数および分解能は、必要とされる計測精度によって選択すればよい。たとえば、100画素程度の10bit画像エリアセンサを、画像センサ10として用いることができる。また、画像センサ10として、ラインセンサを用いてもよい。
【0046】
画像センサ10のための光学レンズ9も、計測精度と計測対象との条件で決定すればよい。たとえば、計測面の起伏が大きい場合、被写界深度が大きいものを光学レンズ9として利用すればよい。
【0047】
なお、一般に、被写界深度が大きくなると倍率が低下する。したがって、照明レンズ7からの照明光が計測面で反射することにより形成される像を高倍率で取得する必要がある場合は、光学レンズ9と計測面との距離を変更できるように、PC12からの制御により位置を変更可能な第3移動ステージ11を設けるのが望ましい。
【0048】
第3移動ステージ11は、手動あるいは自動で操作されるものであり、光学レンズ9のフォーカスを調整するものである。
【0049】
画像センサ10からのデータを取得するPC12は、画像入力ボードを備えている。この画像入力ボードは、ノイズの影響を低減させたければ、デジタル式のものを使用すればよい。さらに、PC12は、画像センサ10から取得した画像を、自身にインストールされたプログラムによって処理する。処理方法については後述する。
【0050】
次に、照明光源8からの照明光が、計測対象の内部を反射する状態について説明する。図6に示すように、照明光源8からの照明光は、計測対象に対して斜め上方から入射するとともに、ギャップ部への入射光8aと、フィルム部への入射光8bとに分けられる。
【0051】
ギャップ部への入射光8aは、隣接するフィルム部の側面を反射しつつフィルム内部を伝播するとともに、フィルム部の側面において散乱光8cを形成し、さらにフィルム表面の凸部において散乱光8dを形成する。また、フィルム部への入射光8bは、フィルム部の端面において散乱光8eを形成する。
【0052】
そして、散乱光8e、および散乱光8cのうち一部が画像センサ10に入射する。さらに、散乱光8dの一部も画像センサ10に入射する。これにより、画像センサ10には、計測対象により散乱された照明光源8からの照明光が入射することになる。
【0053】
(2.計測フロー)
次に、画像センサ10により撮影された画像(撮影画像)が保存されるまでのフローを、図7を用いて説明する。図7に示すように、PC12における画像処理プログラムを起動し(ステップ0、以下ステップを単にSと記載する)、第1移動ステージ4、第2移動ステージ5、および第3移動ステージ11の位置を初期化する(S1)。
【0054】
その後、第2移動ステージ5を、計測対象2をセットする計測対象取り出し位置に移動し(S2)、計測対象2を保持具3にセットする(S3)。なお、S3における計測対象2のセット作業は、あらかじめ保持具を装着した計測対象をセットする方法で行われてもよい。
【0055】
そして、照明光源8からの照明光が計測対象2にて反射・散乱した光を撮像できる位置(撮像可能位置)まで、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を用いて計測対象2を移動させ(S4)、動画像の入力を行い(S5)、第3移動ステージ11を用いてフォーカス調整を行う(S6)。なお、フォーカス調整は、手動で行ってもよいし、フォーカス度合を画像処理で求めることで行ってもよい。
【0056】
S6におけるフォーカス調整後、計測対象の条件を入力する(S7)。条件とは計測対象のID、計測面ID、計測エリア範囲、計測をする上でのパラメータなどである。その後、計測対象の計測を開始する(S8)。
【0057】
計測対象2の計測は、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5による計測対象2の移動を、設定された複数の計測エリアに従って繰り返すことにより進められる。各計測エリアにおいて画像センサ10が取得した画像に対する画像処理は、リアルタイムに行ってもよいし、全計測エリアの画像を取得し終えたところで行ってもよい。
【0058】
そして、全計測エリアの全画像を取得し終えた時点で、最終的な計測結果をPC12を用いて表示・保存する(S9)。このとき、ユーザの要求に応じて(S10)、詳細な計測結果を保存できるようにしてもよい。そして、画像センサ10が撮影した画像、および計測データの全てを、PC12に保存する(S11)。
【0059】
S11の処理が終了したら、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を用いて計測対象2を取り出し位置まで移動し(S12)、計測対象2を取り出す(S13)。なお、引き続き別の計測対象を計測する場合は、計測対象取り出し位置で計測対象を交換する。そして、計測を終了する場合は、S0で起動したプログラムを終了する(S14)。
【0060】
ここで、画像センサ10で取得される画像は、図8に示すように、主にフィルム部、ギャップ部、および凸部が撮像されたものとなる。そして、図8に示すような画像は、画像センサ10により、計測エリア毎に複数枚取得される。なお、凸部が撮像されるのは、凸部がフィルム部と同じ光学的性質を持つ材質により生成され、さらにフィルム部の内部で照明光源8からの光が乱反射するからである。
【0061】
このように画像センサ10で得られた画像から、ギャップまたはピッチを求めるためのフローについて図9を用いて説明する。
【0062】
まず、図8に示した画像センサ10で取得された画像(原画像ORG)を、PC12に入力する(S21)。その後、原画像ORGに2値化処理を施し(S22)、2値化画像BINを得る。なお、計測対象のフィルム厚、ギャップ幅が設計どおり生成された場合、フィルム部の輝度値と、ギャップ部の輝度値とは、図10に示すように、ヒストグラムにおける一定の割合の位置に存在することから、たとえばp-tile法を用いた2値化処理をS22において用いることができる。また、判別分析法を2値化処理に用いることも可能であるし、画像の濃淡プロファイルを判断し、さらに、そのプロファイルにおいて山をなす部分の間に形成される谷の部分を判断し、その谷の部分の濃度をしきい値として2値化処理を行ってもよい。
【0063】
なお、2値化処理が施され、さらにノイズ除去が行われた2値化画像BINには、凸部周辺の画像が含まれている。この2値化画像BINに対して、複数回の縮小処理(S23)および膨張処理(S24)を行うことによって、凸部周辺の画像だけが残されたマスク画像MASKが得られる。
【0064】
ここで、マスク画像MASKを得る処理について、もう少し具体的に説明する。2値化画像BINに対して縮小処理を行うと、図11に示すように、フィルム部の画像が消去され、凸部の画像だけが残る。さらにその画像について、膨張処理を施すと、凸部の画像が膨張し、マスク画像MASKを得ることができる。
【0065】
また、図9に示すように、2値化画像BINを、ギャップ部同士が隣接しあう方向(以下x方向)に走査することで、ギャップ画像GAPを得ることができる(S25)。なお、図9に示すギャップ画像GAPは、輝度値が0から1に変化するエッジを実線で表し、輝度値が1から0に変化するエッジを点線で表している。
【0066】
そして、ギャップ画像GAPに対して、マスク画像MASKを用いてマスク処理を行うことで(S26)、ギャップ画像GAP’を得ることができる。そして、ギャップ画像GAP’をx方向に走査して画像プロファイルを計測することで、ギャップを計測することができる(S27)。
【0067】
なお、ギャップを計測するためのプロファイルを得る走査線は、図12(a)に示すように、等間隔で複数設定してもよいし、図12(b)に示すように、ギャップ画像GAP’の中央から複数設定してもよい。
【0068】
さらに、このように計測された複数のギャップについて、各ギャップのx座標に基づき、各ギャップが属するグループを設定する。具体的には、x座標が一定値以内にあるギャップは同じグループに属するものとし、そのグループから、ギャップの代表値を求める。
【0069】
たとえば、図13に示すように、1つのグループから6つのギャップが計測されたとする。この場合、ギャップの代表値は、6つのギャップの平均値としてもよいし、中央値としてもよい。さらに、6つのギャップから例外的な値を除外した上で平均値を算出し、ギャップの代表値としてもよい。
【0070】
また、上述したとおり、ギャップの情報は、複数の計測エリアにおいて画像センサ10が取得する画像について得られる。この際、画像センサ10が画像を取得した際の第1移動ステージ4および第2移動ステージ5の位置に基づき、ギャップの位置を求めることができる。したがって、全ての計測エリアに対してギャップの情報を出力した時点で、計測対象における半径方向のプロファイルや、円周方向のプロファイルなどを出力することができる。
【0071】
更に別のギャップ計測手法について、図14を用いて説明する。原画像ORGから、2値化画像BINを得るまでのステップ(S21〜S24)に関しては、図9を用いて説明したフローと同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0072】
以下に説明する計測フローにおいては、エッジを抽出する処理が、上述の図9を用いて説明したフローと異なる。すなわち、図14に示すように、2値化画像BINをx方向に走査し、さらに輝度値が0から1に変化するエッジだけを2値化画像BINから抽出して、ギャップ画像GAPを得る(S30)。
【0073】
ここで、S30においてギャップ画像GAPが得られるまでの処理について、もう少し具体的に説明する。図15(a)に示すように、2値化画像BINを、A−A’線に沿って走査するとする。この際、図15(b)に示すように、2値化画像BINのA−A’線に沿う部分について、輝度値(0または1)の変化を把握することができる。そして、図15(b)に示すように、2値化画像BINのA−A’線に沿う部分において、輝度値が0から1になっている箇所について輝度値1、そうでない箇所について輝度値0が設定された画像を、ギャップ画像GAPを構成する一行とする。この処理を2値化画像BINの全ての行に対して繰り返すことで、ギャップ画像GAPを得ることができる。
【0074】
そして、ギャップ画像GAPに対して、マスク画像MASKを用いてマスク処理を行うことで(S31)、ギャップ画像GAP’を得ることができる。
【0075】
ここで、S31のマスク処理について具体的に説明する。まず、S31においては、図16に示すように、マスク画像MASKのコントラストを反転させて、マスク画像MASK_RVSを生成する。そして、S30で得られたギャップ画像GAPと、マスク画像MASK_RVSとを論理的に積算することで、ギャップ画像GAP’を得ることができる。
【0076】
そして、ギャップ画像GAP’をx方向に走査して画像プロファイルを計測することで、ギャップを計測することができる(S32)。
【0077】
さらに、図9を用いて説明したフローと同様に、計測される複数のギャップについてグループを設定し、そのグループからギャップの代表値を求めてもよい。さらに、全ての計測エリアに対してギャップの情報を出力した時点で、計測対象における半径方向のプロファイルや、円周方向のプロファイルなどを出力することもできる。
【0078】
(3.まとめ)
本実施形態のギャップ計測装置1のように、計測対象2の斜め上方から照明光を当てることによる効果は、図8に示すように、画像センサ10が撮影した画像において、フィルム部とギャップ部とのコントラストが明確になることである。さらに、計測対象2の斜め上方から照明光を当てると、計測対象2における凸部には照明光が直接入射しないため、凸部のコントラストが落ちる。なお、計測対象2に対してどのような角度で照明光をあてるかは、原画像ORGにおけるフィルム部とギャップ部とのコントラスト比が好適な値となるよう、適宜設定すればよい。
【0079】
さらに、原画像ORGを2値化して2値化画像BINを得る際、p-tile法を2値化処理に用いることで、照明の変動にロバストな二値化が可能となる。p-tile法は、原画像ORGから得られる輝度のヒストグラム(図10参照)の形状がほぼ同様となることで、利用可能となっている。
【0080】
さらに、2値化画像BINから凸部のマスク画像MASKを求めることによって、凸部を除去してギャップを計測することが可能となり、精度の高い多数点の計測が高速に可能となる。
【0081】
また、ギャップを直接計測せず、フィルムのエッジに対応する画像を画像センサ10により取得される原画像から抽出し、その抽出された画像に基づきピッチを計測することで、画像センサ10のフォーカス位置の変動に対してロバストなギャップの計測が可能となる。
【0082】
つまり、
ピッチ + フィルム厚 = ギャップの関係であるが、フィルム厚の製作精度が十分高い場合、ギャップの計測精度はほぼピッチの計測精度となる。
【0083】
このようにしてギャップを計測することで、画像センサ10のフォーカスがずれたとしても、フォーカスがずれた場合にはフィルムの両端の位置がずれることによって発生するギャップ計測誤差が回避できる。
【0084】
つまり、図17に示す画像が、画像センサ10により取得されているとした場合、画像センサ10のフォーカスが適正に設定されているときは、図17の画像におけるB−B’線に沿う画像の濃淡プロファイルは、図18に示すように、濃淡差が急峻に現れたものとして得られる。
【0085】
このような濃淡プロファイルに基づきギャップを計測するため、2つのしきい値(Th1,Th2)を設定したとする。この場合、しきい値Th1・Th2のいずれにおいても、濃淡プロファイルにおいて濃淡差が急峻に現れているため、測定されるギャップ(GAP(Th1),GAP(Th2))は同じ値となる。
【0086】
一方、画像センサ10のフォーカスがずれていると、図17の画像におけるB−B’線に沿う画像の濃淡プロファイルは、図19に示すように、濃淡差が滑らかな斜面として表現されたものとなる。
【0087】
このような濃淡プロファイルにおいては、2つのしきい値(Th1,Th2)のそれぞれにおけるギャップ(GAP(Th1),GAP(Th2))は、濃淡プロファイルにおける濃淡差が滑らかな斜面として現れているため、異なる値となってしまう。
【0088】
しかしながら、隣接するフィルム部同士の間隔であるピッチは、図19に示すように、しきい値Th1およびTh2のいずれにおいても同等の値を得ることができる。
【0089】
よって、フォーカスがずれたとしても、ピッチを計測し、フィルム厚を加えることで、ギャップを精度良く測定することができる。
【0090】
〔実施形態2〕
ギャップ計測装置のさらに他の実施形態について、図20を用いて説明する。なお、図20に示すギャップ計測装置は、照明光源8からの照明光が計測対象を透過した光を用いてギャップ計測を行う点が、図1に示すギャップ計測装置1と異なる。以下、この相違点を中心に説明する。
【0091】
図20に示すように、本実施形態のギャップ計測装置20は、計測対象2を保持するための保持具3’と、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5と、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を制御するコントローラ6と、計測面の下側から照明光を出射する照明レンズ7と、照明光源8と、光学レンズ9と、画像センサ10と、第3移動ステージ11と、PC12と、ミラー21とから構成される。
【0092】
上記構成のギャップ計測装置20において、図1のギャップ計測装置1と異なる点は、照明レンズ7が計測対象2を挟んで画像センサ10の反対側に配置され、図21に示すように、ミラー21により反射された照明光源8からの照明光が計測対象2を透過した光を、画像センサ10で撮像している点である。なお、計測対象2を透過した光を画像センサ10で撮像するためには、図22に示すように、パネル光源22を計測対象2と第1移動ステージ4との間に挿入してもよい。
【0093】
上記構成のギャップ計測装置20における画像センサ10から得られる画像は、図23に示すように、フィルム部の輝度がギャップ部の輝度より低い画像となる。これは、計測対象のギャップ部を透過する光は、直接あるいはフィルム面で反射して、画像センサ10に入力するが、フィルム部はその表面を散乱した光で撮像されるためである。なお、図23に示す画像と図8に示す画像とを比べると、フィルム部およびギャップ部のコントラストが逆に得られていることがわかる。そして、図23に示す画像を、上述した実施形態1と同様の画像処理を施せば、ギャップを計測することができる。
【0094】
上記構成のギャップ計測装置20によれば、ギャップ部を透過した光が直接画像センサ10により撮像されるので、画像センサ10から得られる画像においては、フィルム部とギャップ部とのコントラストが明確となる。したがって、ギャップの計測精度を向上させることができる。
【0095】
〔実施形態3〕
さらに、本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置について説明する。本実施形態のギャップ計測装置の特徴点は、計測対象の側面から光を照射し、計測対象からの透過光を画像センサを用いて撮像する点である。以下では、計測対象の側面から光を照射する照明光源の構造について具体的に説明する。
【0096】
本実施形態のギャップ計測装置に用いられる照明光源30は、図24に示すように、計測対象2を外側から覆う筒状体として構成されるとともに、その内面に照明灯31が設けられている構成となっている。上記構成により、照明光源30は、図25に示すように、計測対象2の側面から照射光を照射することが可能となっている。なお、照明光源30以外のギャップ計測装置の構成に関しては、図1のギャップ計測装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0097】
また、計測対象2の側面から光を照射する光源の構成は、図24に示すものに限定されるものではない。たとえば、図26に示すように、計測対象2と同心円のリング状を有する照明光源32を計測対象2の外側に設け、その照明光源32を上下動させることで、計測対象2の側面から光を照射してもよい。さらに、図27に示すように、照明光源30と計測対象2との間に、スリット位置33を上下動可能なマスク34を儲け、スリット位置を変更することで計測対象2の側面から光を照射してもよい。さらに、図5に示す撮像エリアだけを照明するような光源を用いても構わない。
【0098】
上記構成の照明光源30または照明光源32を用いて、計測対象2の側面から光を照射することで、計測対象におけるギャップを計測することができる。すなわち、計測対象2の端面から出射される光(図25参照)を、図1に示すギャップ計測装置1と同様に画像センサ10を用いて撮像すると、図28に示すような原画像ORGが得られる。
【0099】
なお、図28に示す原画像ORGは、フィルム部に対応する部分が暗く、ギャップ部に対応する部分がぼんやり明るくなっている。これは、照明光源からの照射光が、フィルム部では反射されず、ギャップ部では乱反射するためである。もちろん、このような原画像ORGが得られるためには、計測対象2が、照明光源からの光をある程度透過する材料にて作られていることが前提となる。
【0100】
そして、図28に示す原画像ORGについて、上述した実施形態1と同様の画像処理を施せば、計測対象2におけるギャップを計測することができる。
【0101】
なお、本実施形態のギャップ計測装置においては、図29に示すように、照明光源からの照明光が直接画像センサに入ることを防止するマスク35を設けることが好ましい。これにより、余分な光が画像センサ10に入力されないので、ギャップの計測精度を向上させることができる。
【0102】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置について、以下に説明する。本実施形態のギャップ計測装置40は、図30に示すように、画像顕微鏡41と、移動ステージ42とを備えているものである。
【0103】
画像顕微鏡41は、落射照明およびリング照明を備えているものである。ここで、落射照明およびリング照明の構成について、図31を用いて具体的に説明する。図31は、画像顕微鏡41におけるレンズ鏡筒41aについて、レンズ鏡筒41aの下端側を紙面上側に設定して示す図面である。
【0104】
図31に示すように、レンズ鏡筒41aの下端側には、LED43が環状に配設されている。この環状に配設されたLED43により、画像顕微鏡41のリング照明が構成されている。なお、リング照明は、環状の蛍光灯により構成してもよい。
【0105】
さらに、レンズ鏡筒41aには、レンズ44から自身の内部を貫通するように照明孔45が形成されており、この照明孔45には、落射照明用光源46からの照明光がプリズム47により反射されて導かれている。これにより、画像顕微鏡41は、計測対象2に対してレンズ44から照明光を当てることができるようになっている。このレンズ44から計測対象に照明光を当てるための構成が、「落射照明」に相当する。
【0106】
なお、図31に示すように、画像顕微鏡41の内部には、CCD48が設けられており、レンズ44から入射される計測対象の画像が、プリズム47を介してCCD48に入力されるようになっている。
【0107】
また、移動ステージ42は、図30に示すように、xyzの3方向に移動可能なように構成されており、この移動ステージ42をPCを用いて移動させることで、計測対象2も移動させることができる。
【0108】
そして、上記構成の画像顕微鏡41によれば、リング照明により、ロール状体の計測面に対して、光を均一に照射することができる。したがって、ロール状体の計測面に対して1つの方向から照明光を斜めに照射する場合に比べると、安定した撮像画像を得ることができる。
【0109】
また、落射照明により、CCD48の撮影方向と照明光の照射方向とを同一となるように照明光を照射することができ、フィルム部からの鏡面反射を含む反射光も、CCD48に受光させることができる。したがって、輝度調整は要するものの、フィルムの材質によっては、突起部が不明瞭でフィルム部とギャップ部とのコントラストが強い画像を得ることができる。また、リング照明と落射照明との併用も可能である。
【0110】
CCD48で撮像される画像に対して、マウス、タッチペン等の入力手段で領域指定し、その領域内のエッジ部分を抽出する。さらに、抽出されたエッジを、上記入力手段によってポイントとして設定することで、設定したポイント間で距離を求めることができる。よって、距離を求めるポイントを、ギャップ部の端点に設定することで、ギャップを計測することが可能となる。
【0111】
〔実施形態5〕
本発明のロール状体の製造方法に係る実施形態について、以下に説明する。先ず、本実施形態のロール状体の製造方法においては、図32に示すように、フィルムが供給され(S50)、そのフィルムが巻かれ(S51)、フィルムを巻き終わった後に、ロール状体におけるギャップが計測される(S52)。
【0112】
ここで、S52におけるギャップの計測では、上述した各実施形態におけるいずれのギャップ計測装置を用いても構わない。また、フィルムを完全に巻き終わった後にギャップを計測しなくてもよい。たとえば、フィルムを巻きながらギャップを計測しても構わない。
【0113】
S52のギャップ計測が終了したら、異常の値のギャップがあるか否かを判断する(S53)。S53において、異常なギャップがないと判断されれば、本実施形態のロール状体の製造方法は終了する。また、S53において、異常なギャップがあると判断されれば、巻かれたフィルムを解き、S51に戻って再度フィルムを巻き直す。
【0114】
なお、S53において異常なギャップがあると判断された場合、必ずしもフィルムを巻きなおす必要はない。たとえば、ロール状体を廃棄するとか、目視により異常ギャップを確認するとか、ギャップを調整するといったことを、検査員が行っても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、従来のように、ロール状体の品質評価がバラつくこともないし、信頼性の高いギャップの計測を行うことができる。また、本発明により、ギャップを計測するための熟練が不要となり、ロール状体の品質評価作業が長時間続いても検査員に負担を与えることがなく、また、人間に目視不可能なギャップの計測も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の一実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図2】本発明において計測対象となるロール状体の構成を示す図である。
【図3】ロール状体に形成する凸部の具体例を示す図である。
【図4】図2の計測対象における各部の名称を説明するための図である。
【図5】図2の計測対象における計測エリアおよび撮像エリアを説明するための図である。
【図6】照明光源からの光が計測対象の内部で散乱する状態を示す図である。
【図7】画像センサにより撮影された画像が保存されるまでのフローを示す図である。
【図8】画像センサにより取得された画像を示す図である。
【図9】画像センサで得られた画像から、ギャップまたはピッチを求めるためのフローを示す図である。
【図10】フィルム部またはギャップ部の輝度値と、ピクセル数との関係を示す図である。
【図11】マスク画像を得る処理を具体的に説明するための図である。
【図12】(a)および(b)は、ギャップを計測するためのプロファイルを得る走査線を示す図である。
【図13】同じグループに属する6つのギャップを示す図である。
【図14】画像センサで得られた画像から、ギャップまたはピッチを求めるための別のフローを示す図である。
【図15】(a)および(b)は、2値化画像を走査する状態を説明するための図である。
【図16】マスク画像MASKとギャップ画像GAPとから、ギャップ画像GAP’を得るフローを説明する図である。
【図17】画像センサにより得られる画像を示す図である。
【図18】図17の画像における濃淡プロファイルを示す図である。
【図19】図17の画像における濃淡プロファイルを示す図である。
【図20】本発明の他の実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図21】図20のギャップ計測装置におけるミラーの構成を示す図である。
【図22】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図23】図20のギャップ計測装置における画像センサにて得られる画像を示す図である。
【図24】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置に用いられる照明光源の構成を示す図である。
【図25】図24の照明光源が計測対象の側面に照射光を当てる状態を示す図である。
【図26】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置に用いられる照明光源の構成を示す図である。
【図27】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置に用いられる照明光源およびスリットの構成を示す図である。
【図28】図24の照明光源を用いて計測対象の側面から照明光を照射した場合に、画像センサにて取得される画像を示す図である。
【図29】図24の照明光源を用いるギャップ計測装置にマスクを設けた場合の構成を示す図である。
【図30】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図31】図30のギャップ計測装置に設けられた画像顕微鏡におけるレンズ鏡筒41aの構成を示す図である。
【図32】本発明のロール状体の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
1 ギャップ計測装置
2 計測対象(ロール状体)
8 照明光源(光源)
10 画像センサ(原画像取得手段)
12 PC(画像処理手段)
20 ギャップ計測装置
22 パネル光源(光源)
30 照明光源(光源)
32 照明光源(光源)
40 ギャップ計測装置
41 画像顕微鏡
BIN 2値化画像
GAP ギャップ画像
GAP’ ギャップ画像
MASK マスク画像
ORG 原画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体のギャップを計測するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、凸部のあるフィルムを巻いたロール状体が存在した。このようなロール状体の品質評価は、一定間隔のギャップを保ってフィルムが巻かれているか否かを判断することで行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来、検査員が目視で上記ロール状体の品質評価を行っていたので、下記の問題(1)〜(6)が生じていた。
【0004】
(1)検査員により、品質評価結果がバラつき、評価の再現性がないという問題
(2)検査員の疲れなどにより、検査員の評価能力が変動し、信頼性のある評価結果が得られないという問題
(3)ギャップが一定の間隔に保たれているかを判定できるようになるまで、かなりの熟練が必要であるという問題
(4)品質評価作業が長時間つづくと、検査員に長時間の緊張を強いることになるという問題
(5)品質評価そのものに時間がかかるという問題
(6)ギャップ間隔の正常値が狭いと、検査員が信頼性のある品質評価を行えるようになるまで更なる熟練が必要であり、ひいては人間に目視不可能なギャップ間隔を正常か否か判断する必要が生じるという問題。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、上記(1)〜(6)の課題を解決し得るギャップ計測装置、ギャップ計測方法、およびロール状体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のギャップ計測装置は、上記課題を解決するために、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる光源と、上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する原画像取得手段と、上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する画像処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、ギャップ計測装置に設けられた光源により、ロール状体に照明光が当てられ、その照明光によって形成される原画像が原画像取得手段により取得される。そして、画像処理手段により、原画像において生じるフィルムとギャップとのコントラスト差に基づき、ギャップが計測される。
【0008】
つまり、ロール状体におけるギャップを計測する一連の工程が、ギャップ計測装置に設けられた各構成要件により行われるので、検査員の主観を排除したギャップの計測が可能となる。
【0009】
したがって、本発明のギャップ計測装置を用いれば、従来のように、品質評価がバラつくこともないし、信頼性の高いギャップの計測を行うことができる。また、本発明のギャップ計測装置を用いることで、ギャップを計測するための熟練が不要となり、ロール状体の品質評価作業が長時間続いても検査員に負担を与えることがなく、また、人間に目視不可能なギャップの計測も可能となる。
【0010】
また、本発明のギャップ計測装置は、上記光源が、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が斜めとなるように上記照射光を照射するものであり、上記出射光が、上記照射光が上記ロール状体で反射されることにより生成されるものであることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、光源が、ロール状体の中心軸に関して斜めから照射光をロール状体に照射するので、原画像におけるフィルムとギャップとのコントラスト差が明確となる。したがって、ギャップを精度良く計測することができる。
【0012】
また、本発明のギャップ計測装置は、上記光源が、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が平行となるように上記照射光を照射するものであり、上記出射光が、上記照射光がロール状体を通過することにより生成されるものであってもよい。
【0013】
上記構成によれば、照射光をロール状体に対して斜めに当てる場合に比べると、原画像におけるフィルムとギャップとのコントラストが逆になるが、明確なコントラスト差を得ることができる。したがって、ギャップを精度良く計測することができる。
【0014】
また、本発明のギャップ計測装置は、上記光源が、上記ロール状体の側面から上記照射光を照射するものであり、上記出射光が、上記照射光がロール状体を透過することにより生成されるものであってもよい。
【0015】
上記構成によれば、光源がロール状体の側面から照射光を照射するので、ロール状体の様々な位置から照射光を当てることができる。したがって、光源を配置するレイアウトの自由度を高めることができる。
【0016】
また、本発明のギャップ計測方法は、上記課題を解決するために、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する第3ステップとを備えていることを特徴としている。
【0017】
上記構成のギャップ計測方法によれば、本発明のギャップ計測装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
さらに、上記構成のギャップ計測方法における上記第3ステップは、たとえば、上記原画像を2値化して2値化画像を得る2値化ステップと、上記2値化画像から上記凸部付近の画像を抽出してマスク画像とするマスク画像生成ステップと、上記2値化画像を所定方向に走査しつつエッジ抽出処理を行うことでギャップ画像を得るギャップ画像生成ステップと、上記ギャップ画像に対し、上記マスク画像を用いて上記凸部付近の画像をマスキングした計測用画像を生成する計測用画像生成ステップと、上記計測用画像を走査してギャップの座標値を求めるステップと、上記ギャップの座標値に基づきギャップ寸法を計測するステップと、により実現可能である。
【0019】
また、本発明のギャップ計測方法は、上記課題を解決するために、表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、上記原画像から上記フィルムのエッジに対応する画像を抽出し、該抽出された画像に隣接するエッジ間のピッチを求める第3ステップと、上記ピッチと上記フィルム厚とを用いて、上記ギャップを求める第4ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、ギャップを求めるにあたって、ギャップを直接計測せずに、ピッチとフィルム厚とを用いる。したがって、原画像を取得する際、フィルムとギャップとのコントラストが明確になるようにしなくてもよいので、原画像を取得する際のフォーカス位置の変動に対して、ロバストなギャップの計測が可能となる。
【0021】
なお、ロール状体を形成するフィルムは、樹脂製であってもよい。
【0022】
また、フィルム表面に形成される凸部は、上記フィルムをエンボス加工することで形成されたものであってもよいし、凸部前駆体を上記フィルムに塗布することで形成されたものであってもよい。なお、凸部前駆体をフィルムに塗布するためには、インクジェット印刷やノズルから凸部前駆体を吐出方法、またはスクリーン印刷等、種々の塗布方法を用いることができる。
【0023】
また、本発明のロール状体の製造方法は、上記構成のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成した後に実施することを特徴としている。
【0024】
上記構成によれば、ロール状体を形成した後に、本発明のギャップ計測方法を用いるので、形成されたロール状体についてギャップが適正な値になっているかを、自動的に判断することができる。したがって、高品質のロール状体の大量生産が可能となる。
【0025】
また、本発明のロール状体の製造方法は、上記構成のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成しながら実施する方法であってもよい。
【0026】
上記構成によれば、ロール状体を形成しながら、本発明のギャップ計測方法を用いてギャップが適正な値になっているかを自動的に判断できる。したがって、高品質のロール状体の大量生産が可能となる。
【0027】
また、本発明のロール状体の製造方法は、上記構成のギャップ計測方法により計測されたギャップが不適正な値であると判断された場合、上記フィルムを巻きなおす方法であってもよい。
【0028】
上記構成によれば、ギャップが不適正な値であるロール状体は、フィルムが巻きなおされるので、ギャップが適正な値となっているロール状体だけを製品として出荷することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来のように、ロール状体の品質評価がバラつくこともないし、信頼性の高いギャップの計測を行うことができる。また、本発明により、ギャップを計測するための熟練が不要となり、ロール状体の品質評価作業が長時間続いても検査員に負担を与えることがなく、また、人間に目視不可能なギャップの計測も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔実施形態1〕
(1.装置構成)
本発明の一実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態においては、図2に示すように、凸部のあるフィルムが巻かれたロール状体が、計測対象であるものとして説明する。
【0031】
計測対象(ロール状体)における凸部は、フィルム表面に凸部形成用材料(凸部前駆体)を塗布したり、フィルムそのものを凸部としてエンボス加工することで形成される。つまり、図3の(ア)部分に示すように、フィルムをエンボス加工等することで凸部が形成されていてもよいし、図3の(イ)部分に示すように、凸部がエンボス加工されたフィルムに、平面状のフィルムが重ねられていてもよい。
【0032】
さらに、図3の(ウ)部分に示すように、平面状のフィルムに、印刷法、インクジェット法等により凸部前駆体を形成してもよい。凸部前駆体としては、たとえば、塗布時において粘稠な液状樹脂であり、紫外線の照射や加熱等により硬化するインクを用いることができる。また、自然放置で揮発・酸化・重合化などにより硬化するインクを、凸部前駆体として用いてもよい。いずれにしても、凸部前駆体としては、フィルムに影響を与えない温度で硬化するものが望ましい。また、フィルムに微小な糸引きが発生しないようにすることができるので、硬化時の収縮率は小さい方が望ましい。
【0033】
さらに、平面状のフィルムに対して凸部前駆体をスクリーン印刷し、ローラー加熱やレーザーによるスポット加熱により凸部前駆体を硬化させてもよい。塗布から硬化までの時間がかかる場合は、添加物によりチクソ性を高くしたり、紫外線および熱の両方により硬化する樹脂を凸部前駆体として用いることにより、硬化時の形状を安定させることができる。なお、凸部前駆体としては、ウレタン系、アクリル系、アクリレート系、スチレン系、ポリイミド系、また、これらの共重合体など、各種の樹脂を使用できる。
【0034】
さらに、図3の(エ)部分に示すように、フィルムの構成は、凸部と平面状のフィルムとが一体化された構成であっても構わない。また、図3の(オ)部分に示すように、平面状のフィルムの両側に凸部が形成されるとともに、凸部とフィルムとが一体化されている構成であっても構わない。
【0035】
さらに、凸部の断面的形状は、錐状、台形状、半球状、柱状など、どのような形状であってもよい。さらに、凸部の平面的形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、十字、線(リブ状)など、どのような形状であってもよい。
【0036】
また、図2のロール状体は、凸部が内側となるようにフィルムが巻かれているが、凸部が外側となるように巻いてもよく、また、両面に凸部が形成されたフィルムを巻いてロール状体を形成してもよい。また、凸部は、点状に形成されるものでなくてもよく、たとえば線状に形成されていてもよいし、所定のパターンに形成されていてもよい。
【0037】
また、図4に示すように、計測対象であるロール状体の断面を「計測面」、計測面におけるフィルム部分を「フィルム部」、隣接するフィルム間の間隔部分を「ギャップ部」、ギャップ部の幅を「ギャップ」、隣接フィルム同士の側面の間隔を「ピッチ」と定義する。また、図5に示すように、ユーザにより設定された計測対象の領域を「計測エリア」、カメラにより撮像される画像1枚分の領域を「撮像エリア」と定義する。なお、図4や図5においては、渦巻き状に巻かれたフィルムを簡略化し、同心円のフィルムが複数配置されているように記載している。
【0038】
次に、計測対象におけるギャップを計測する装置(以下、単にギャップ計測装置とする)の構成について、図1を用いて説明する。
【0039】
図1に示すように、ギャップ計測装置1は、計測対象2を保持するための保持具3と、計測面上の撮像エリアを変更するための第1移動ステージ4および第2移動ステージ5と、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5による保持具3の移動を制御するコントローラ6と、計測面の斜め上方から照明光を出射する照明レンズ7と、照明レンズ7に光ファイバーケーブルによって接続された照明光源8と、上記照明光が計測面にて反射した光を集光する光学レンズ9と、光学レンズ9により集光された光を検出する画像センサ10と、画像センサ10と計測面との間の鉛直方向の距離を変更することができる第3移動ステージ11と、画像センサ10からのデータを取得する機能を有したPC12とから構成される。
【0040】
保持具3は、計測対象の形状に合わせて設計されたものが使用される。計測対象がフィルムのようなもので計測対象自体を保持することができない場合は、ロール状体の芯となる部分を保持するなどの方法により、計測対象を保持する。
【0041】
なお、保持具3が計測対象2を保持する際、計測対象であるロール状体の軸方向が鉛直方向と一致するようにロール状体を保持してもよいし、ロール状体の軸方向が水平となるようにロール状体を保持してもよい。
【0042】
第1移動ステージ4および第2移動ステージ5は、計測面全体の計測エリアが画像センサ10の撮像エリアに対して広い場合、撮像エリアを移動させるために用いられるものである。
【0043】
特に、第1移動ステージ4は、保持具3をxy平面内で回転させることで、撮像エリアを変更するものであり、第2移動ステージ5は、保持具3をxy平面内で移動させて撮像エリアを変更するものである。なお、図1に示すギャップ計測装置1では、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を用いて、計測対象2および保持具3を移動させているが、照明光源8や画像センサ10を計測対象2に対して移動させてもよい。
【0044】
照明レンズ7は、計測対象の斜め上方から、撮像エリアに均一に照明光を入射できるように配置される。また、照明光源8は、十分な輝度値が得られるハロゲンランプなどを用いることができる。
【0045】
画像センサ10の画素数および分解能は、必要とされる計測精度によって選択すればよい。たとえば、100画素程度の10bit画像エリアセンサを、画像センサ10として用いることができる。また、画像センサ10として、ラインセンサを用いてもよい。
【0046】
画像センサ10のための光学レンズ9も、計測精度と計測対象との条件で決定すればよい。たとえば、計測面の起伏が大きい場合、被写界深度が大きいものを光学レンズ9として利用すればよい。
【0047】
なお、一般に、被写界深度が大きくなると倍率が低下する。したがって、照明レンズ7からの照明光が計測面で反射することにより形成される像を高倍率で取得する必要がある場合は、光学レンズ9と計測面との距離を変更できるように、PC12からの制御により位置を変更可能な第3移動ステージ11を設けるのが望ましい。
【0048】
第3移動ステージ11は、手動あるいは自動で操作されるものであり、光学レンズ9のフォーカスを調整するものである。
【0049】
画像センサ10からのデータを取得するPC12は、画像入力ボードを備えている。この画像入力ボードは、ノイズの影響を低減させたければ、デジタル式のものを使用すればよい。さらに、PC12は、画像センサ10から取得した画像を、自身にインストールされたプログラムによって処理する。処理方法については後述する。
【0050】
次に、照明光源8からの照明光が、計測対象の内部を反射する状態について説明する。図6に示すように、照明光源8からの照明光は、計測対象に対して斜め上方から入射するとともに、ギャップ部への入射光8aと、フィルム部への入射光8bとに分けられる。
【0051】
ギャップ部への入射光8aは、隣接するフィルム部の側面を反射しつつフィルム内部を伝播するとともに、フィルム部の側面において散乱光8cを形成し、さらにフィルム表面の凸部において散乱光8dを形成する。また、フィルム部への入射光8bは、フィルム部の端面において散乱光8eを形成する。
【0052】
そして、散乱光8e、および散乱光8cのうち一部が画像センサ10に入射する。さらに、散乱光8dの一部も画像センサ10に入射する。これにより、画像センサ10には、計測対象により散乱された照明光源8からの照明光が入射することになる。
【0053】
(2.計測フロー)
次に、画像センサ10により撮影された画像(撮影画像)が保存されるまでのフローを、図7を用いて説明する。図7に示すように、PC12における画像処理プログラムを起動し(ステップ0、以下ステップを単にSと記載する)、第1移動ステージ4、第2移動ステージ5、および第3移動ステージ11の位置を初期化する(S1)。
【0054】
その後、第2移動ステージ5を、計測対象2をセットする計測対象取り出し位置に移動し(S2)、計測対象2を保持具3にセットする(S3)。なお、S3における計測対象2のセット作業は、あらかじめ保持具を装着した計測対象をセットする方法で行われてもよい。
【0055】
そして、照明光源8からの照明光が計測対象2にて反射・散乱した光を撮像できる位置(撮像可能位置)まで、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を用いて計測対象2を移動させ(S4)、動画像の入力を行い(S5)、第3移動ステージ11を用いてフォーカス調整を行う(S6)。なお、フォーカス調整は、手動で行ってもよいし、フォーカス度合を画像処理で求めることで行ってもよい。
【0056】
S6におけるフォーカス調整後、計測対象の条件を入力する(S7)。条件とは計測対象のID、計測面ID、計測エリア範囲、計測をする上でのパラメータなどである。その後、計測対象の計測を開始する(S8)。
【0057】
計測対象2の計測は、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5による計測対象2の移動を、設定された複数の計測エリアに従って繰り返すことにより進められる。各計測エリアにおいて画像センサ10が取得した画像に対する画像処理は、リアルタイムに行ってもよいし、全計測エリアの画像を取得し終えたところで行ってもよい。
【0058】
そして、全計測エリアの全画像を取得し終えた時点で、最終的な計測結果をPC12を用いて表示・保存する(S9)。このとき、ユーザの要求に応じて(S10)、詳細な計測結果を保存できるようにしてもよい。そして、画像センサ10が撮影した画像、および計測データの全てを、PC12に保存する(S11)。
【0059】
S11の処理が終了したら、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を用いて計測対象2を取り出し位置まで移動し(S12)、計測対象2を取り出す(S13)。なお、引き続き別の計測対象を計測する場合は、計測対象取り出し位置で計測対象を交換する。そして、計測を終了する場合は、S0で起動したプログラムを終了する(S14)。
【0060】
ここで、画像センサ10で取得される画像は、図8に示すように、主にフィルム部、ギャップ部、および凸部が撮像されたものとなる。そして、図8に示すような画像は、画像センサ10により、計測エリア毎に複数枚取得される。なお、凸部が撮像されるのは、凸部がフィルム部と同じ光学的性質を持つ材質により生成され、さらにフィルム部の内部で照明光源8からの光が乱反射するからである。
【0061】
このように画像センサ10で得られた画像から、ギャップまたはピッチを求めるためのフローについて図9を用いて説明する。
【0062】
まず、図8に示した画像センサ10で取得された画像(原画像ORG)を、PC12に入力する(S21)。その後、原画像ORGに2値化処理を施し(S22)、2値化画像BINを得る。なお、計測対象のフィルム厚、ギャップ幅が設計どおり生成された場合、フィルム部の輝度値と、ギャップ部の輝度値とは、図10に示すように、ヒストグラムにおける一定の割合の位置に存在することから、たとえばp-tile法を用いた2値化処理をS22において用いることができる。また、判別分析法を2値化処理に用いることも可能であるし、画像の濃淡プロファイルを判断し、さらに、そのプロファイルにおいて山をなす部分の間に形成される谷の部分を判断し、その谷の部分の濃度をしきい値として2値化処理を行ってもよい。
【0063】
なお、2値化処理が施され、さらにノイズ除去が行われた2値化画像BINには、凸部周辺の画像が含まれている。この2値化画像BINに対して、複数回の縮小処理(S23)および膨張処理(S24)を行うことによって、凸部周辺の画像だけが残されたマスク画像MASKが得られる。
【0064】
ここで、マスク画像MASKを得る処理について、もう少し具体的に説明する。2値化画像BINに対して縮小処理を行うと、図11に示すように、フィルム部の画像が消去され、凸部の画像だけが残る。さらにその画像について、膨張処理を施すと、凸部の画像が膨張し、マスク画像MASKを得ることができる。
【0065】
また、図9に示すように、2値化画像BINを、ギャップ部同士が隣接しあう方向(以下x方向)に走査することで、ギャップ画像GAPを得ることができる(S25)。なお、図9に示すギャップ画像GAPは、輝度値が0から1に変化するエッジを実線で表し、輝度値が1から0に変化するエッジを点線で表している。
【0066】
そして、ギャップ画像GAPに対して、マスク画像MASKを用いてマスク処理を行うことで(S26)、ギャップ画像GAP’を得ることができる。そして、ギャップ画像GAP’をx方向に走査して画像プロファイルを計測することで、ギャップを計測することができる(S27)。
【0067】
なお、ギャップを計測するためのプロファイルを得る走査線は、図12(a)に示すように、等間隔で複数設定してもよいし、図12(b)に示すように、ギャップ画像GAP’の中央から複数設定してもよい。
【0068】
さらに、このように計測された複数のギャップについて、各ギャップのx座標に基づき、各ギャップが属するグループを設定する。具体的には、x座標が一定値以内にあるギャップは同じグループに属するものとし、そのグループから、ギャップの代表値を求める。
【0069】
たとえば、図13に示すように、1つのグループから6つのギャップが計測されたとする。この場合、ギャップの代表値は、6つのギャップの平均値としてもよいし、中央値としてもよい。さらに、6つのギャップから例外的な値を除外した上で平均値を算出し、ギャップの代表値としてもよい。
【0070】
また、上述したとおり、ギャップの情報は、複数の計測エリアにおいて画像センサ10が取得する画像について得られる。この際、画像センサ10が画像を取得した際の第1移動ステージ4および第2移動ステージ5の位置に基づき、ギャップの位置を求めることができる。したがって、全ての計測エリアに対してギャップの情報を出力した時点で、計測対象における半径方向のプロファイルや、円周方向のプロファイルなどを出力することができる。
【0071】
更に別のギャップ計測手法について、図14を用いて説明する。原画像ORGから、2値化画像BINを得るまでのステップ(S21〜S24)に関しては、図9を用いて説明したフローと同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0072】
以下に説明する計測フローにおいては、エッジを抽出する処理が、上述の図9を用いて説明したフローと異なる。すなわち、図14に示すように、2値化画像BINをx方向に走査し、さらに輝度値が0から1に変化するエッジだけを2値化画像BINから抽出して、ギャップ画像GAPを得る(S30)。
【0073】
ここで、S30においてギャップ画像GAPが得られるまでの処理について、もう少し具体的に説明する。図15(a)に示すように、2値化画像BINを、A−A’線に沿って走査するとする。この際、図15(b)に示すように、2値化画像BINのA−A’線に沿う部分について、輝度値(0または1)の変化を把握することができる。そして、図15(b)に示すように、2値化画像BINのA−A’線に沿う部分において、輝度値が0から1になっている箇所について輝度値1、そうでない箇所について輝度値0が設定された画像を、ギャップ画像GAPを構成する一行とする。この処理を2値化画像BINの全ての行に対して繰り返すことで、ギャップ画像GAPを得ることができる。
【0074】
そして、ギャップ画像GAPに対して、マスク画像MASKを用いてマスク処理を行うことで(S31)、ギャップ画像GAP’を得ることができる。
【0075】
ここで、S31のマスク処理について具体的に説明する。まず、S31においては、図16に示すように、マスク画像MASKのコントラストを反転させて、マスク画像MASK_RVSを生成する。そして、S30で得られたギャップ画像GAPと、マスク画像MASK_RVSとを論理的に積算することで、ギャップ画像GAP’を得ることができる。
【0076】
そして、ギャップ画像GAP’をx方向に走査して画像プロファイルを計測することで、ギャップを計測することができる(S32)。
【0077】
さらに、図9を用いて説明したフローと同様に、計測される複数のギャップについてグループを設定し、そのグループからギャップの代表値を求めてもよい。さらに、全ての計測エリアに対してギャップの情報を出力した時点で、計測対象における半径方向のプロファイルや、円周方向のプロファイルなどを出力することもできる。
【0078】
(3.まとめ)
本実施形態のギャップ計測装置1のように、計測対象2の斜め上方から照明光を当てることによる効果は、図8に示すように、画像センサ10が撮影した画像において、フィルム部とギャップ部とのコントラストが明確になることである。さらに、計測対象2の斜め上方から照明光を当てると、計測対象2における凸部には照明光が直接入射しないため、凸部のコントラストが落ちる。なお、計測対象2に対してどのような角度で照明光をあてるかは、原画像ORGにおけるフィルム部とギャップ部とのコントラスト比が好適な値となるよう、適宜設定すればよい。
【0079】
さらに、原画像ORGを2値化して2値化画像BINを得る際、p-tile法を2値化処理に用いることで、照明の変動にロバストな二値化が可能となる。p-tile法は、原画像ORGから得られる輝度のヒストグラム(図10参照)の形状がほぼ同様となることで、利用可能となっている。
【0080】
さらに、2値化画像BINから凸部のマスク画像MASKを求めることによって、凸部を除去してギャップを計測することが可能となり、精度の高い多数点の計測が高速に可能となる。
【0081】
また、ギャップを直接計測せず、フィルムのエッジに対応する画像を画像センサ10により取得される原画像から抽出し、その抽出された画像に基づきピッチを計測することで、画像センサ10のフォーカス位置の変動に対してロバストなギャップの計測が可能となる。
【0082】
つまり、
ピッチ + フィルム厚 = ギャップの関係であるが、フィルム厚の製作精度が十分高い場合、ギャップの計測精度はほぼピッチの計測精度となる。
【0083】
このようにしてギャップを計測することで、画像センサ10のフォーカスがずれたとしても、フォーカスがずれた場合にはフィルムの両端の位置がずれることによって発生するギャップ計測誤差が回避できる。
【0084】
つまり、図17に示す画像が、画像センサ10により取得されているとした場合、画像センサ10のフォーカスが適正に設定されているときは、図17の画像におけるB−B’線に沿う画像の濃淡プロファイルは、図18に示すように、濃淡差が急峻に現れたものとして得られる。
【0085】
このような濃淡プロファイルに基づきギャップを計測するため、2つのしきい値(Th1,Th2)を設定したとする。この場合、しきい値Th1・Th2のいずれにおいても、濃淡プロファイルにおいて濃淡差が急峻に現れているため、測定されるギャップ(GAP(Th1),GAP(Th2))は同じ値となる。
【0086】
一方、画像センサ10のフォーカスがずれていると、図17の画像におけるB−B’線に沿う画像の濃淡プロファイルは、図19に示すように、濃淡差が滑らかな斜面として表現されたものとなる。
【0087】
このような濃淡プロファイルにおいては、2つのしきい値(Th1,Th2)のそれぞれにおけるギャップ(GAP(Th1),GAP(Th2))は、濃淡プロファイルにおける濃淡差が滑らかな斜面として現れているため、異なる値となってしまう。
【0088】
しかしながら、隣接するフィルム部同士の間隔であるピッチは、図19に示すように、しきい値Th1およびTh2のいずれにおいても同等の値を得ることができる。
【0089】
よって、フォーカスがずれたとしても、ピッチを計測し、フィルム厚を加えることで、ギャップを精度良く測定することができる。
【0090】
〔実施形態2〕
ギャップ計測装置のさらに他の実施形態について、図20を用いて説明する。なお、図20に示すギャップ計測装置は、照明光源8からの照明光が計測対象を透過した光を用いてギャップ計測を行う点が、図1に示すギャップ計測装置1と異なる。以下、この相違点を中心に説明する。
【0091】
図20に示すように、本実施形態のギャップ計測装置20は、計測対象2を保持するための保持具3’と、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5と、第1移動ステージ4および第2移動ステージ5を制御するコントローラ6と、計測面の下側から照明光を出射する照明レンズ7と、照明光源8と、光学レンズ9と、画像センサ10と、第3移動ステージ11と、PC12と、ミラー21とから構成される。
【0092】
上記構成のギャップ計測装置20において、図1のギャップ計測装置1と異なる点は、照明レンズ7が計測対象2を挟んで画像センサ10の反対側に配置され、図21に示すように、ミラー21により反射された照明光源8からの照明光が計測対象2を透過した光を、画像センサ10で撮像している点である。なお、計測対象2を透過した光を画像センサ10で撮像するためには、図22に示すように、パネル光源22を計測対象2と第1移動ステージ4との間に挿入してもよい。
【0093】
上記構成のギャップ計測装置20における画像センサ10から得られる画像は、図23に示すように、フィルム部の輝度がギャップ部の輝度より低い画像となる。これは、計測対象のギャップ部を透過する光は、直接あるいはフィルム面で反射して、画像センサ10に入力するが、フィルム部はその表面を散乱した光で撮像されるためである。なお、図23に示す画像と図8に示す画像とを比べると、フィルム部およびギャップ部のコントラストが逆に得られていることがわかる。そして、図23に示す画像を、上述した実施形態1と同様の画像処理を施せば、ギャップを計測することができる。
【0094】
上記構成のギャップ計測装置20によれば、ギャップ部を透過した光が直接画像センサ10により撮像されるので、画像センサ10から得られる画像においては、フィルム部とギャップ部とのコントラストが明確となる。したがって、ギャップの計測精度を向上させることができる。
【0095】
〔実施形態3〕
さらに、本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置について説明する。本実施形態のギャップ計測装置の特徴点は、計測対象の側面から光を照射し、計測対象からの透過光を画像センサを用いて撮像する点である。以下では、計測対象の側面から光を照射する照明光源の構造について具体的に説明する。
【0096】
本実施形態のギャップ計測装置に用いられる照明光源30は、図24に示すように、計測対象2を外側から覆う筒状体として構成されるとともに、その内面に照明灯31が設けられている構成となっている。上記構成により、照明光源30は、図25に示すように、計測対象2の側面から照射光を照射することが可能となっている。なお、照明光源30以外のギャップ計測装置の構成に関しては、図1のギャップ計測装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0097】
また、計測対象2の側面から光を照射する光源の構成は、図24に示すものに限定されるものではない。たとえば、図26に示すように、計測対象2と同心円のリング状を有する照明光源32を計測対象2の外側に設け、その照明光源32を上下動させることで、計測対象2の側面から光を照射してもよい。さらに、図27に示すように、照明光源30と計測対象2との間に、スリット位置33を上下動可能なマスク34を儲け、スリット位置を変更することで計測対象2の側面から光を照射してもよい。さらに、図5に示す撮像エリアだけを照明するような光源を用いても構わない。
【0098】
上記構成の照明光源30または照明光源32を用いて、計測対象2の側面から光を照射することで、計測対象におけるギャップを計測することができる。すなわち、計測対象2の端面から出射される光(図25参照)を、図1に示すギャップ計測装置1と同様に画像センサ10を用いて撮像すると、図28に示すような原画像ORGが得られる。
【0099】
なお、図28に示す原画像ORGは、フィルム部に対応する部分が暗く、ギャップ部に対応する部分がぼんやり明るくなっている。これは、照明光源からの照射光が、フィルム部では反射されず、ギャップ部では乱反射するためである。もちろん、このような原画像ORGが得られるためには、計測対象2が、照明光源からの光をある程度透過する材料にて作られていることが前提となる。
【0100】
そして、図28に示す原画像ORGについて、上述した実施形態1と同様の画像処理を施せば、計測対象2におけるギャップを計測することができる。
【0101】
なお、本実施形態のギャップ計測装置においては、図29に示すように、照明光源からの照明光が直接画像センサに入ることを防止するマスク35を設けることが好ましい。これにより、余分な光が画像センサ10に入力されないので、ギャップの計測精度を向上させることができる。
【0102】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置について、以下に説明する。本実施形態のギャップ計測装置40は、図30に示すように、画像顕微鏡41と、移動ステージ42とを備えているものである。
【0103】
画像顕微鏡41は、落射照明およびリング照明を備えているものである。ここで、落射照明およびリング照明の構成について、図31を用いて具体的に説明する。図31は、画像顕微鏡41におけるレンズ鏡筒41aについて、レンズ鏡筒41aの下端側を紙面上側に設定して示す図面である。
【0104】
図31に示すように、レンズ鏡筒41aの下端側には、LED43が環状に配設されている。この環状に配設されたLED43により、画像顕微鏡41のリング照明が構成されている。なお、リング照明は、環状の蛍光灯により構成してもよい。
【0105】
さらに、レンズ鏡筒41aには、レンズ44から自身の内部を貫通するように照明孔45が形成されており、この照明孔45には、落射照明用光源46からの照明光がプリズム47により反射されて導かれている。これにより、画像顕微鏡41は、計測対象2に対してレンズ44から照明光を当てることができるようになっている。このレンズ44から計測対象に照明光を当てるための構成が、「落射照明」に相当する。
【0106】
なお、図31に示すように、画像顕微鏡41の内部には、CCD48が設けられており、レンズ44から入射される計測対象の画像が、プリズム47を介してCCD48に入力されるようになっている。
【0107】
また、移動ステージ42は、図30に示すように、xyzの3方向に移動可能なように構成されており、この移動ステージ42をPCを用いて移動させることで、計測対象2も移動させることができる。
【0108】
そして、上記構成の画像顕微鏡41によれば、リング照明により、ロール状体の計測面に対して、光を均一に照射することができる。したがって、ロール状体の計測面に対して1つの方向から照明光を斜めに照射する場合に比べると、安定した撮像画像を得ることができる。
【0109】
また、落射照明により、CCD48の撮影方向と照明光の照射方向とを同一となるように照明光を照射することができ、フィルム部からの鏡面反射を含む反射光も、CCD48に受光させることができる。したがって、輝度調整は要するものの、フィルムの材質によっては、突起部が不明瞭でフィルム部とギャップ部とのコントラストが強い画像を得ることができる。また、リング照明と落射照明との併用も可能である。
【0110】
CCD48で撮像される画像に対して、マウス、タッチペン等の入力手段で領域指定し、その領域内のエッジ部分を抽出する。さらに、抽出されたエッジを、上記入力手段によってポイントとして設定することで、設定したポイント間で距離を求めることができる。よって、距離を求めるポイントを、ギャップ部の端点に設定することで、ギャップを計測することが可能となる。
【0111】
〔実施形態5〕
本発明のロール状体の製造方法に係る実施形態について、以下に説明する。先ず、本実施形態のロール状体の製造方法においては、図32に示すように、フィルムが供給され(S50)、そのフィルムが巻かれ(S51)、フィルムを巻き終わった後に、ロール状体におけるギャップが計測される(S52)。
【0112】
ここで、S52におけるギャップの計測では、上述した各実施形態におけるいずれのギャップ計測装置を用いても構わない。また、フィルムを完全に巻き終わった後にギャップを計測しなくてもよい。たとえば、フィルムを巻きながらギャップを計測しても構わない。
【0113】
S52のギャップ計測が終了したら、異常の値のギャップがあるか否かを判断する(S53)。S53において、異常なギャップがないと判断されれば、本実施形態のロール状体の製造方法は終了する。また、S53において、異常なギャップがあると判断されれば、巻かれたフィルムを解き、S51に戻って再度フィルムを巻き直す。
【0114】
なお、S53において異常なギャップがあると判断された場合、必ずしもフィルムを巻きなおす必要はない。たとえば、ロール状体を廃棄するとか、目視により異常ギャップを確認するとか、ギャップを調整するといったことを、検査員が行っても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、従来のように、ロール状体の品質評価がバラつくこともないし、信頼性の高いギャップの計測を行うことができる。また、本発明により、ギャップを計測するための熟練が不要となり、ロール状体の品質評価作業が長時間続いても検査員に負担を与えることがなく、また、人間に目視不可能なギャップの計測も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の一実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図2】本発明において計測対象となるロール状体の構成を示す図である。
【図3】ロール状体に形成する凸部の具体例を示す図である。
【図4】図2の計測対象における各部の名称を説明するための図である。
【図5】図2の計測対象における計測エリアおよび撮像エリアを説明するための図である。
【図6】照明光源からの光が計測対象の内部で散乱する状態を示す図である。
【図7】画像センサにより撮影された画像が保存されるまでのフローを示す図である。
【図8】画像センサにより取得された画像を示す図である。
【図9】画像センサで得られた画像から、ギャップまたはピッチを求めるためのフローを示す図である。
【図10】フィルム部またはギャップ部の輝度値と、ピクセル数との関係を示す図である。
【図11】マスク画像を得る処理を具体的に説明するための図である。
【図12】(a)および(b)は、ギャップを計測するためのプロファイルを得る走査線を示す図である。
【図13】同じグループに属する6つのギャップを示す図である。
【図14】画像センサで得られた画像から、ギャップまたはピッチを求めるための別のフローを示す図である。
【図15】(a)および(b)は、2値化画像を走査する状態を説明するための図である。
【図16】マスク画像MASKとギャップ画像GAPとから、ギャップ画像GAP’を得るフローを説明する図である。
【図17】画像センサにより得られる画像を示す図である。
【図18】図17の画像における濃淡プロファイルを示す図である。
【図19】図17の画像における濃淡プロファイルを示す図である。
【図20】本発明の他の実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図21】図20のギャップ計測装置におけるミラーの構成を示す図である。
【図22】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図23】図20のギャップ計測装置における画像センサにて得られる画像を示す図である。
【図24】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置に用いられる照明光源の構成を示す図である。
【図25】図24の照明光源が計測対象の側面に照射光を当てる状態を示す図である。
【図26】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置に用いられる照明光源の構成を示す図である。
【図27】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置に用いられる照明光源およびスリットの構成を示す図である。
【図28】図24の照明光源を用いて計測対象の側面から照明光を照射した場合に、画像センサにて取得される画像を示す図である。
【図29】図24の照明光源を用いるギャップ計測装置にマスクを設けた場合の構成を示す図である。
【図30】本発明のさらに他の実施形態に係るギャップ計測装置の構成を示す図である。
【図31】図30のギャップ計測装置に設けられた画像顕微鏡におけるレンズ鏡筒41aの構成を示す図である。
【図32】本発明のロール状体の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
1 ギャップ計測装置
2 計測対象(ロール状体)
8 照明光源(光源)
10 画像センサ(原画像取得手段)
12 PC(画像処理手段)
20 ギャップ計測装置
22 パネル光源(光源)
30 照明光源(光源)
32 照明光源(光源)
40 ギャップ計測装置
41 画像顕微鏡
BIN 2値化画像
GAP ギャップ画像
GAP’ ギャップ画像
MASK マスク画像
ORG 原画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる光源と、
上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する原画像取得手段と、
上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する画像処理手段とを備えていることを特徴とするギャップ計測装置。
【請求項2】
上記光源は、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が斜めとなるように上記照射光を照射するものであり、
上記出射光は、上記照射光が上記ロール状体で反射されることにより生成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のギャップ計測装置。
【請求項3】
上記光源は、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が平行となるように上記照射光を照射するものであり、
上記出射光は、上記照射光がロール状体を通過することにより生成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のギャップ計測装置。
【請求項4】
上記光源は、上記ロール状体の側面から上記照射光を照射するものであり、
上記出射光は、上記照射光がロール状体を透過することにより生成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のギャップ計測装置。
【請求項5】
表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、
上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、
上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する第3ステップとを備えていることを特徴とするギャップ計測方法。
【請求項6】
上記第3ステップは、
上記原画像を2値化して2値化画像を得る2値化ステップと、
上記2値化画像から上記凸部付近の画像を抽出してマスク画像とするマスク画像生成ステップと、
上記2値化画像を所定方向に走査しつつエッジ抽出処理を行うことでギャップ画像を得るギャップ画像生成ステップと、
上記ギャップ画像に対し、上記マスク画像を用いて上記凸部付近の画像をマスキングした計測用画像を生成する計測用画像生成ステップと、
上記計測用画像を走査してギャップの座標値を求めるステップと、
上記ギャップの座標値に基づきギャップ寸法を計測するステップと、を備えていることを特徴とする請求項5に記載のギャップ計測方法。
【請求項7】
表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、
上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、
上記原画像から上記フィルムのエッジに対応する画像を抽出し、該抽出された画像に隣接するエッジ間のピッチを求める第3ステップと、
上記ピッチと上記フィルム厚とを用いて、上記ギャップを求める第4ステップと、を備えていることを特徴とするギャップ計測方法。
【請求項8】
上記フィルムが樹脂製であることを特徴とする請求項5または7に記載のギャップ計測方法。
【請求項9】
上記凸部は、上記フィルムをエンボス加工することで形成されたものであることを特徴とする請求項5または7に記載のギャップ計測方法。
【請求項10】
上記凸部は、凸部前駆体を上記フィルムに塗布することで形成されたものであることを特徴とする請求項5または7に記載のギャップ計測方法。
【請求項11】
請求項5または7に記載のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成した後に実施することを特徴とするロール状体の製造方法。
【請求項12】
請求項5または7に記載のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成しながら実施することを特徴とするロール状体の製造方法。
【請求項13】
請求項5または7に記載のギャップ計測方法により計測されたギャップが不適正な値であると判断された場合、上記フィルムを巻きなおすことを特徴とするロール状体の製造方法。
【請求項1】
表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる光源と、
上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する原画像取得手段と、
上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する画像処理手段とを備えていることを特徴とするギャップ計測装置。
【請求項2】
上記光源は、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が斜めとなるように上記照射光を照射するものであり、
上記出射光は、上記照射光が上記ロール状体で反射されることにより生成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のギャップ計測装置。
【請求項3】
上記光源は、上記ロール状体の中心軸に関して、照射方向が平行となるように上記照射光を照射するものであり、
上記出射光は、上記照射光がロール状体を通過することにより生成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のギャップ計測装置。
【請求項4】
上記光源は、上記ロール状体の側面から上記照射光を照射するものであり、
上記出射光は、上記照射光がロール状体を透過することにより生成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のギャップ計測装置。
【請求項5】
表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、
上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、
上記原画像において生じる、上記フィルムと、隣接するフィルム同士のギャップとのコントラスト差に基づき、上記ギャップを計測する第3ステップとを備えていることを特徴とするギャップ計測方法。
【請求項6】
上記第3ステップは、
上記原画像を2値化して2値化画像を得る2値化ステップと、
上記2値化画像から上記凸部付近の画像を抽出してマスク画像とするマスク画像生成ステップと、
上記2値化画像を所定方向に走査しつつエッジ抽出処理を行うことでギャップ画像を得るギャップ画像生成ステップと、
上記ギャップ画像に対し、上記マスク画像を用いて上記凸部付近の画像をマスキングした計測用画像を生成する計測用画像生成ステップと、
上記計測用画像を走査してギャップの座標値を求めるステップと、
上記ギャップの座標値に基づきギャップ寸法を計測するステップと、を備えていることを特徴とする請求項5に記載のギャップ計測方法。
【請求項7】
表面に凸部が形成されたフィルムを巻いて形成されるロール状体に照射光を当てる第1ステップと、
上記照射光により生成され、上記ロール状体の端面から出射する出射光により形成される原画像を取得する第2ステップと、
上記原画像から上記フィルムのエッジに対応する画像を抽出し、該抽出された画像に隣接するエッジ間のピッチを求める第3ステップと、
上記ピッチと上記フィルム厚とを用いて、上記ギャップを求める第4ステップと、を備えていることを特徴とするギャップ計測方法。
【請求項8】
上記フィルムが樹脂製であることを特徴とする請求項5または7に記載のギャップ計測方法。
【請求項9】
上記凸部は、上記フィルムをエンボス加工することで形成されたものであることを特徴とする請求項5または7に記載のギャップ計測方法。
【請求項10】
上記凸部は、凸部前駆体を上記フィルムに塗布することで形成されたものであることを特徴とする請求項5または7に記載のギャップ計測方法。
【請求項11】
請求項5または7に記載のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成した後に実施することを特徴とするロール状体の製造方法。
【請求項12】
請求項5または7に記載のギャップ計測方法を、上記フィルムを巻いてロール状体を形成しながら実施することを特徴とするロール状体の製造方法。
【請求項13】
請求項5または7に記載のギャップ計測方法により計測されたギャップが不適正な値であると判断された場合、上記フィルムを巻きなおすことを特徴とするロール状体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2007−163436(P2007−163436A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363884(P2005−363884)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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