ゲート絶縁膜の形成方法
【課題】ゲート絶縁膜に用いる高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜におけるリーク電流を低減できるようにする。
【解決手段】高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜の形成において、金属等を含む前駆体の暴露時間には、表面吸着反応により成膜レートが飽和する時間を用い、酸化剤の暴露時間には、金属酸化膜の組成が化学量論値の97%以上となる時間を用いてALD堆積を行う。
【解決手段】高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜の形成において、金属等を含む前駆体の暴露時間には、表面吸着反応により成膜レートが飽和する時間を用い、酸化剤の暴露時間には、金属酸化膜の組成が化学量論値の97%以上となる時間を用いてALD堆積を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート絶縁膜の形成方法に関し、特に、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の高集積化、高機能化及び高速化に伴って、トランジスタ等の半導体素子の微細化が進んでいる。このため、トランジスタにおけるゲート長の微細化等の横方向(基板の面内方向)の微細化のみならず、ゲート絶縁膜の極薄膜化等の縦方向の微細化もすすんでいる。従来、ゲート絶縁膜は、シリコンからなる半導体基板との親和性及びその絶縁性能からシリコン酸化膜(SiO2膜)が広く用いられてきたが、SiO2の比誘電率はたかだか3.9であり、静電容量を増加させるには物理膜厚の極薄膜化が求められ、近年では2nm未満の極薄のSiO2膜が使用されるに至っている。しかしながら、SiO2膜は膜厚が2nmとなると、従来のFowler−Nordheimトンネル電流ではなく、直接トンネル電流が流れるため、リーク電流が増大して、デバイス動作時はもとより、待機時の消費電力を低く抑えることが困難となってきている。
【0003】
このため、SiO2膜中に窒素を導入して、その比誘電率を、Si3N4膜の7とSiO2膜の3.9の中間の値である5程度にまで高めたシリコン酸窒化膜(SiON膜)が用いられるようになってきている。しかしながら、比誘電率の値の増大はたかだか25%であり、リーク電流の低減もたかだか1桁以内である。従って、SiON膜をゲート絶縁膜に用いても、酸化膜換算膜厚(Equivalent oxide thickness:EOT)として1.5nm以下を実現することは極めて困難である。
【0004】
そこで、比誘電率が高い高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜をゲート絶縁膜に用いることが検討されており、とりわけ、酸化ハフニウム(HfOx)膜又はハフニウムシリケート(HfSiO)膜は、比誘電率として25又は14〜18が得られるため注目されている。
【0005】
図12(a)はSiO2膜及びSiON膜、並びに高誘電体金属酸化膜及び高誘電体金属シリケート膜等のいわゆるHigh-K絶縁膜のEOTと各リーク電流との関係を示している。図12(a)からは、SiO2膜及びSiON膜と比べて、リーク電流を数桁分抑制できるHigh-k絶縁膜が次世代の極薄ゲート絶縁膜として有望であることが分かる。さらには、High-K膜についても、より一層のリーク電流の低減が要求されている。HfOx膜及びHfSiO膜は、公知の有機金属気相堆積(metal-organic chemical vapor deposition:MOCVD)法によっても堆積可能であるが、近年、これらの高誘電体金属酸化膜及び高誘電体金属シリケート膜においても1nm〜2nmといった膜厚の薄膜化が要求されており、従来のMOCVD法に加え、原子層堆積(Atomic layer deposition:ALD)法による堆積方法が主流になりつつある。なお、図12(b)は高誘電体金属シリケート膜をゲート絶縁膜として用いた場合の従来のトランジスタにおけるゲート構造を示しており、例えばシリコンからなる半導体基板101の上に、SiO2等からなる界面層102、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜103及び多結晶シリコン又は金属等からなるゲート電極104が順次形成されている。
【0006】
図13(a)に示すように、従来のALD法は、半導体基板を、高誘電体金属酸化膜を形成する金属の前駆体(Hf)に所定時間暴露し、該前駆体のパージ、酸化剤(O3)への所定時間の暴露及び該酸化剤のパージを1サイクルとして1層分の金属膜を形成し、この1サイクルを複数回繰り返すことによって所望の膜厚を得ている。
【0007】
また、さらに多元元素からなる場合、例えば高誘電体金属シリケート膜の場合は、高誘電体金属酸化膜を所定のサイクルで堆積した後、前駆体(Si)の所定時間の暴露、該前駆体のパージ、酸化剤への所定時間の暴露及び該酸化剤のパージを1サイクルとして1層分のシリコン酸化膜を形成する。このように、高誘電体金属酸化膜及びシリコン酸化膜を交互に堆積すると共に、所望の膜厚に達するまでこれを繰り返す、いわゆるナノラミネート(Nano-laminate)法が行われている。
【0008】
ゲート絶縁膜を構成する高誘電体金属シリケートにおいて、高誘電体金属とシリコンとの組成比は、その比誘電率、EOT及びリーク電流を決定することから重要であり、これらは高誘電体金属酸化膜の堆積サイクル数とシリコン酸化膜の堆積サイクル数とを調整することにより決定される。すなわち、高誘電体金属酸化膜において、図13(b)に示すように、例えばHfOx膜の1サイクル分とSiO2膜の1サイクル分とを交互に複数回繰り返せば、HfとSiとの組成比は1:1(Hf50%)となる。また、図13(c)に示すように、HfOx膜の2サイクル分とSiO2膜の1サイクル分とを交互に複数回繰り返せば、HfとSiとの組成比は2:1(Hf66.7%)となって、高誘電体金属シリケートにおける組成の調整が可能となる。このように、ALD法においては、金属とSiとの組成比は厳しく制御されている。
【0009】
ところで、ALD法の問題点として、原子層レベルで金属層及び酸素層を1層ずつ形成することから、生産性の低さが指摘されており、このため、各原料の前駆体及びそのパージ時間並びに酸化剤への暴露時間については最短とすることが求められてきた。ALD法においては、原子層の堆積は被処理膜の表面への吸着により起こると考えられており、被処理膜の表面へ原子の1層分が完全に吸着すれば、堆積は停止するという機構に基づいている。このため、前駆体の暴露時間及び酸化剤の暴露時間は、各暴露時間をそれぞれ変化させたときに、1サイクルで堆積される1層分の膜厚が飽和する時間により決定されている。
【0010】
当然のことながら、これらの暴露時間は、堆積膜の膜厚が飽和する時間の最短時間が選ばれ、1サイクル当たりの1層の堆積膜厚を最大にするように設定されるため、その暴露時間は短時間になる傾向がある。例えば特許文献1には、ALDサイクルとして前駆体の暴露時間に0.2秒〜0.5秒が開示され、酸化剤の暴露時間に2秒が開示されている。
【0011】
また、特許文献2には、前駆体の暴露時間として1.5秒が開示され、酸化剤の暴露時間として3秒が開示されており、さらに、前駆体の暴露時間は、該前駆体の種類により種々の時間が設定されているのに対し、酸化剤の暴露時間についてはほぼ1秒〜3秒が設定されている。
【特許文献1】特表2007−519225号公報
【特許文献2】特表2004−511909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来のALD法は、堆積時における原料ガス及び酸化剤の暴露時間は、生産性とALD堆積の理論とから決定されており、ALD法により堆積された高誘電体金属酸化膜又はシリケート膜の性能、すなわち、比誘電率、EOT及びリーク電流等により決定されたものではない。
【0013】
理想的なALD法によれば、原料ガスの暴露時間を無限に長くすれば、半導体表面には原料の原子が1層分まんべんなく吸着されるはずである。このため、1層分がまんべんなく吸着した時点で膜厚は飽和するはずである。この理論を根拠に1サイクルにおける1層の膜厚が飽和する時間を原料の暴露時間としている。しかし、原料は一定時間のうちに半導体基板表面に100%吸着するわけではなく、その吸着量は80%〜90%であり、たとえ80%までは短時間に吸着したとしてもそれ以降は極めて長い時間を要する場合がある。
【0014】
ALD法においては、このような場合、80%〜90%の吸着量で原料の吸着が飽和する傾向にあるため、この暴露時間をもって堆積の暴露時間を決定していることになる。この暴露時間の求め方については原料ガスについては大きな問題はない。なぜなら、原料ガス自体は吸着反応であり、化学反応を起こすわけではないからである。従って、原料である前駆体の暴露時間は、堆積膜の膜厚が飽和する時間で決定することに問題はない。
【0015】
また、原料ガスのパージ時間については、装置の真空性能にもよるが、原料ガスを入れ替える時間は容易に求めることができる。
【0016】
しかしながら、酸化剤の暴露時間については問題が多い。酸化剤についてもALD理論に従えば、被処理膜上に吸着した前駆体の表面に吸着し、前駆体と反応して高誘電体金属酸化物又はシリコン酸化物が形成される。この場合も酸化剤に無限の時間で暴露すれば前駆体のすべてに吸着させ且つ反応させることができるが、実際には、その90%程度が短時間に吸着し、それ以後は極めてゆっくりと吸着反応が進むと考えられる。この場合、酸素は前駆体の90%としか結合せず、残りの10%は酸素欠損が存在することになる。すなわち、前駆体は100%が吸着していなくても、それは成膜レートに影響を与えるだけであるが、酸化剤についてはその100%が吸着及び反応が起こらないと、未吸着部分は酸素欠損となる。高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜についても、この酸素欠損は比誘電率の低下、EOTの増大及びリーク電流の増大を招く。とりわけリーク電流の増大については、酸素欠損に極めて敏感である。
【0017】
図14(a)はHfOx膜を例に採った場合の、酸素(O)とハフニウム(Hf)との組成比(O:Hf比)の値とリーク電流及び比誘電率との関係を示している。HfOx膜の場合は、化学量論的な組成比は2.0である。図14(a)から分かるように、リーク電流はO:Hf比の値が1.93(化学量論値の96.5%)以上の領域では安定するが、それ以下では急激に増大する。酸素欠損の増大により、酸素の欠損部分がリークパスとなってリーク電流が増大する。一方、比誘電率についても、O:Hf比の値が1.93以上では25付近でほぼ飽和して安定するのに対し、1.93以下では急激に低下する。HfOx膜として、ハフニウム(Hf)と酸素(O)とが正しく結合した場合に、高誘電体金属酸化物として高い誘電率を発揮するのであり、酸素欠損が多く存在するとHf−Hf等の金属的な結合が増えると考えられ、これらの結合が比誘電率を低下させると共にリークパスとなってリーク電流を増大させると考えられる。なお、これらのデータは物理膜厚を同一として取得しており、物理膜厚の差では説明することはできない。
【0018】
一方、図14(b)はHfOx膜のEOT(酸化膜換算膜厚)とリーク電流との関係を、O:Hf比についてプロットしている。図14(b)から分かるように、EOTが小さくなれば、物理膜厚も小さくなるので、リーク電流はEOT=1.2nm付近から急激に増大する。また、O:Hf比がHfOx膜の化学量論値である2.0の場合は、リーク電流はEOT=1.2nm以下で急激に増大するが、O:Hf比の値が1.91(95.5%)及び1.89(94.5%)の場合にはリーク電流は徐々に増大し、O:Hf比の値が1.87(93.5%)の場合には、リーク電流は2桁程度悪化していることが分かる。また、プロットされたデータ群は、O:Hf比の値が小さくなるほどEOTが厚膜側にシフトしており、同じ物理膜厚でもO:Hf比の値が低下すると、比誘電率の低下によりEOTが厚膜化すると同時にリーク電流が大幅に増大することが分かる。
【0019】
以上はHfOx膜である高誘電体金属酸化膜についての本願発明者らの知見であるが、高誘電体金属シリケート膜でも、前述したようにナノラミネート法においてはHfOx膜とSiOx膜との積層構造であり、HfOx膜又はSiOx膜に酸素欠損が多ければ、当然、高誘電体金属シリケート膜としても同様に比誘電率の低下及びEOTの増大、とりわけリーク電流の増大は容易に類推できる。従って、高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜をALD法により成膜する際には、いかにして酸素欠損を低減させるかが高誘電体金属酸化膜又はシリケート膜の性能の向上に極めて重要である。
【0020】
本発明は、前記従来の問題を解決し、ゲート絶縁膜に用いる高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜における酸素欠損を低減して、リーク電流を低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の目的を達成するため、本発明は、金属酸化物又は金属シリケートからなるゲート絶縁膜の形成方法を、ALD法により酸化膜を形成する際に、単に酸化剤の吸着反応のみならず、酸化剤による酸化反応を積極的に活用する構成とする。
【0022】
具体的に、本発明に係る第1のゲート絶縁膜の形成方法は、半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法を対象とし、半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、高誘電体金属シリケートを構成する金属元素を含む第1の前駆体に半導体基板を暴露することにより、半導体基板の上に第1の前駆体からなる第1の吸着層を形成する工程(a)と、第1の前駆体をパージする工程(b)と、第1の吸着層を酸化剤に暴露して、第1の吸着層を酸化することにより、第1の吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、酸化剤をパージする工程(d)と、工程(d)よりも後に、シリコンを含む第2の前駆体に金属酸化膜を暴露することにより、金属酸化膜の上に第2の前駆体からなる第2の吸着層を形成する工程(e)と、第2の前駆体をパージする工程(f)と、第2の吸着層を酸化剤に暴露して、第2の吸着層を酸化することにより、第2の吸着層からシリコン酸化膜を形成する工程(g)と、酸化剤をパージする工程(h)とを備え、工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成し、且つ、工程(e)、工程(f)、工程(g)及び工程(h)とを1サイクルとして少なくとも1回実行してシリコン酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、高誘電体金属シリケートを形成し、工程(a)において、半導体基板の第1の前駆体への暴露時間は、1サイクルで堆積される金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、工程(c)において、第1の吸着層の酸化剤への暴露時間は、金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定し、工程(e)において、金属酸化膜の第2の前駆体への暴露時間は、1サイクルで堆積されるシリコン酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、工程(g)において、第2の吸着層の酸化剤への暴露時間は、シリコン酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とする。
【0023】
第1のゲート絶縁膜の形成方法において、工程(c)及び工程(g)における酸化剤への暴露時間は、半導体基板当たり5秒以上であって、且つ、工程(c)における暴露時間及び工程(g)における暴露時間のうち、時間が長い工程に暴露時間を合わせることが好ましい。
【0024】
本発明に係る第2のゲート絶縁膜の形成方法は、半導体基板の上に、高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法を対象とし、半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、高誘電体金属酸化物を構成する金属元素を含む前駆体に半導体基板を暴露することにより、半導体基板の上に前駆体からなる吸着層を形成する工程(a)と、
前駆体をパージする工程(b)と、
吸着層を酸化剤に暴露して、吸着層を酸化することにより、吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、
酸化剤をパージする工程(d)とを備え、
工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、高誘電体金属酸化物を形成し、
工程(a)において、半導体基板の前駆体への暴露時間は、1サイクルで堆積される金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
工程(c)において、吸着層の酸化剤への暴露時間は、金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とする。
【0025】
第2のゲート絶縁膜の形成方法において、金属酸化膜は、酸化ハフニウム又は酸化ジルコニウムからなることが好ましい。
【0026】
また、第2のゲート絶縁膜の形成方法において、前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る第3のゲート絶縁膜の形成方法は、半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法を対象とし、半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、高誘電体金属シリケートを構成する、金属元素を含む第1の前駆体とシリコンを含む第2の前駆体とに、高誘電体金属シリケートの組成比に合わせた混合比で半導体基板を暴露することにより、半導体基板の上に第1の前駆体及び第2の前駆体からなり、組成比と対応した組成比を持つ吸着層を形成する工程(a)と、第1の前駆体及び第2の前駆体をパージする工程(b)と、吸着層を酸化剤に暴露して、吸着層を酸化することにより、吸着層から金属シリケート膜を形成する工程(c)と、酸化剤をパージする工程(d)とを備え、工程(a)、工程(b)及び工程(c)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、金属シリケート膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、高誘電体金属シリケートを形成し、工程(a)において、半導体基板の第1の前駆体及び第2の前駆体への暴露時間は、高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、1サイクルで堆積される1層分の厚さが飽和する時間のうちのいずれか長い方の時間とし、工程(c)において、吸着層の酸化剤への暴露時間は、高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、金属の酸化膜における酸素の含有量及びシリコンの酸化膜における酸素の含有量がそれぞれ化学量論により決定される組成の97%以上となる時間のうちのいずれか長い方の時間とすることを特徴とする。
【0028】
第1又は第3のゲート絶縁膜の形成方法において、高誘電体金属シリケートは、ハフニウムシリケート(HfSiO)又はハフニウムランタンシリケート(HfLaSiO)であることが好ましい。
【0029】
第1〜第3のゲート絶縁膜の形成方法において、酸化剤は、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、重水(D2O)又は一酸化二窒素(N2O)又は酸素ラジカルであることが好ましい。
【0030】
第1又は第3のゲート絶縁膜の形成方法において、第1の前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であり、第2の前駆体は、四塩化シリコン(SiCl4)、トリジメチルアミノシリコン(TDMAS)又はテトラエチルオルソシリケート(TEOS)であることが好ましい。
【0031】
第3のゲート絶縁膜の形成方法において、第1の前駆体及び第2の前駆体は、酸素を含むことが好ましい。
【0032】
第1〜第3のゲート絶縁膜の形成方法は、酸化剤に暴露する工程において、半導体基板に対する加熱温度は、原子層堆積(ALD)反応又は該原子層堆積(ALD)反応から化学気相堆積(CVD)反応に遷移するまでの温度であり、所定の圧力は、半導体基板における面内均一性が悪化する直前までの圧力であることが好ましい。
【0033】
第1〜第3のゲート絶縁膜の形成方法は、酸化剤に暴露する工程において、半導体基板に対する加熱温度は、300℃以上で且つ化学気相堆積(CVD)反応が主体とならない温度であり、所定の圧力は、1.33×102Pa以上且つ3.99×102Pa以下であることが好ましい。
【0034】
以上のように、本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法により、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成する場合に、金属の前駆体又はシリコンの前駆体の暴露時間は成膜レートの飽和時間から決定することができるため、生産性を最大化できる。その上、ゲート絶縁膜のEOT、誘電率及びリーク電流等の膜質を決定する酸化剤の暴露時間はそれぞれの高誘電体金属酸化物又はシリコン酸化物における化学量論値を実現できる暴露時間で決定されるだけでなく、堆積温度及び堆積圧力を酸化剤の暴露工程における酸化反応を最大化するように設定することにより、高い生産性と高い膜質とが両立したゲート絶縁膜を得ることができる。
【0035】
なお、本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法は、枚葉式又はバッチ式を問わず適用が可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法によると、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成する場合に、酸素欠損が少なく、リーク電流が低い良好な膜質を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1(a)〜図1(d)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法の工程順の断面構成を示している。
【0039】
まず、図1(a)に示すように、 高誘電体金属シリケート膜を形成するよりも前に、シリコンからなる半導体基板1の主面上におけるゲート絶縁膜を形成する活性領域の上に、酸化シリコン(SiO2)からなる界面層2を形成する。界面層2は高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜と半導体基板1との間にあって、該半導体基板1と高誘電体金属シリケート膜との界面を酸化シリコン(SiO2)とすることにより、半導体基板1の界面特性を改善する。もちろん、半導体基板1の主面上に直接に高誘電体金属シリケート膜を形成することは可能ではあるが、本実施形態においては、界面層2の上に高誘電体金属シリケート膜を形成する。界面層2は、例えば900℃の温度で、水素が1%且つ酸素が99%の減圧雰囲気で、半導体基板1にランプ光を照射しながら1.4nmの厚さに形成する。その後、界面層2の比誘電率の向上と半導体基板1への酸素の拡散の防止とを図るために、界面層2を電子エネルギーが1eV以下の低いエネルギーを持つ高密度窒素プラズマに暴露することにより界面層2の表面を窒化して、該界面層2を酸化窒化シリコン(SiON)とする。続いて、表面が窒化された界面層2における表面からの未結合窒素の脱離と、Siからなる半導体基板1とSiONからなる界面層2との界面特性を改善するため、温度が1050℃で、圧力が0.66×102Pa(=0.5Torr)の酸素(O2)雰囲気において30秒間のアニールを行う。
【0040】
次に、例えばガスの導入部にシャワーヘッドを有する枚葉式チャンバ内に半導体基板1の温度を350℃に保持し、圧力を2.66×102Pa(=2Torr)に保持した状態で、図1(a)〜図1(d)に示すように、高誘電体金属シリケートとしてハフニウムシリケート(HfSiO)膜を堆積する。
【0041】
具体的には、図1(a)に示すように、まず、酸化ハフニウム(HfOx)膜を形成するため、Hf前駆体として四塩化ハフニウム(HfCl4)をチャンバ内に導入し、界面層2をHfCl4に1.5秒間暴露して、界面層2の上にHf吸着層3Aを形成する。その後、HfCl4を窒素(N2)により2秒間パージする。
【0042】
次に、図1(b)に示すように、酸化剤として濃度が20%のオゾン(O3)ガスにHf吸着層3Aを6秒間暴露することにより、Hf吸着層3Aを酸化ハフニウム(HfO2)膜3Bに改質する。その後、O3を窒素により2秒間パージする。
【0043】
次に、図1(c)に示すように、Si前駆体として四塩化シリコン(SiCl4)をチャンバ内に導入し、HfO2膜3BをSiCl4に0.2秒間暴露して、HfO2膜3Bの上にSi吸着層4Aを形成する。その後、SiCl4を窒素により6秒間パージする。
【0044】
次に、図1(d)に示すように、酸化剤として濃度が20%のオゾン(O3)ガスにSi吸着層4Aを6秒間暴露することにより、Si吸着層4Aを酸化シリコン(SiO2)膜4Bに改質する。その後、O3を窒素により6秒間パージする。
【0045】
以上の図1(a)から図1(d)の4工程を1サイクルとして、10サイクル繰り返すことにより、膜厚が2.6nmのハフニウムシリケート(HfSiO)膜を堆積する。従って、図1(a)及び図1(b)によるHfOx膜の1サイクルと、図1(c)及び図1(d)によるSiOx膜の1サイクルとを併せた1サイクル当たりの成膜レートは0.26nm/cycleである。
【0046】
図2に第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガス導入シーケンスを示す。前駆体1はHfCl4 であり、その暴露時間t1は1.5秒であり、そのパージ時間t2及びt4は2秒であり、酸化剤であるオゾンへの暴露時間t3は6秒である。また、前駆体2はSiCl4 であり、その暴露時間t5は0.2秒であり、それらのパージ時間t6及びt8は6秒であり、酸化剤であるオゾンへの暴露時間t7は6秒である。従って、HfSiO膜の形成のための1サイクルの所要時間は29.7秒となる。すなわち、10サイクルでは、約300秒の処理時間が必要となる。
【0047】
第1の実施形態においては、図3(a)に示すように、Hf前駆体及びSi前駆体の暴露時間は、オゾンの暴露時間を一定とした場合に、1サイクルでの膜厚が飽和する時間として決定している。その結果、Hf前駆体がHfCl4の場合はt1として1.5秒を採用し、Si前駆体がSiCl4の場合はt5として0.2秒を採用している。前駆体の暴露時間は、当然、前駆体の組成により異なり、例えばHf前駆体に、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Tetrakis-Ethyl-Methyl-Amino-Hafnium:TEMAH)を用いた場合には、その暴露時間は1秒でよい。
【0048】
なお、Hf前駆体及びSi前駆体の暴露時間は、ここで求めた値より短くしても大きな問題はない。但し、堆積膜としての成膜レートは低下するため、ゲート絶縁膜の生産性は低下するが、ゲート絶縁膜のような薄膜を形成する場合には、むしろ前駆体の暴露時間によって1サイクル当たりの成膜レートを調整すべきである。
【0049】
また、第1の実施形態においては、酸化剤にオゾンを用いている。図3(b)は、第1の実施形態に係る酸化剤の暴露時間を決定するため、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間を一定とした場合に、HfOx膜又はSiOx膜の組成が化学量論値となるための酸化剤の暴露時間を概念的に示している。HfOx及びSiOxは共に化学量論値ではx=2.0であるが、それぞれ化学量論値を与える酸化剤の暴露時間は異なる可能性がある。
【0050】
第1の実施形態においては、HfOxの場合は、O:Hf比が化学量論値の1.94(97%)を越える暴露時間t3は6秒であり、SiOxの場合は、O:Si比が化学量論値の1.94(97%)を越える暴露時間t7は5秒である。ここでは、HfOxの暴露時間及びSiOxの暴露時間が近いため、前述したように、HfOxの暴露時間である6秒を採用している。酸化剤の暴露時間は、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間にも影響を受けるが、その影響の度合いは大きくはない。当然ながら、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間が長くなれば、酸化剤の暴露時間も長くはなるが、その影響度は緩やかである。いずれにせよ、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間を決定した後に、酸化剤の暴露時間を決定すべきである。
【0051】
なお、酸化剤にはオゾン(O3)を用いたが、オゾンに代えて、水(H2O)又は重水(D2O)を用いることができる。但し、水の場合はオゾンと比べてその反応性及び吸着特性が異なるため、化学量論値を与える暴露時間は当然に異なる。水と比べてオゾンは反応性が高いため、一般に暴露時間は短くなり、オゾン濃度が高いほど暴露時間は短くなる傾向にある。
【0052】
図4は第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法で形成された、HfとSiとの組成比が1:1すなわちHfが50%の場合のハフニウムシリケート(HfSiO)膜における、酸化剤であるオゾンの暴露時間とHfに対するOの組成比との関係を示している。HfとSiとの組成比は、ここでは1:1としたため、化学量論的にはハフニウムシリケートはHfSiO4であり、Hfに対する化学量論組成はSiの分を考慮すると、4.0となる。実際には、HfOx膜であるためx=2.0であるが、分析技術の制限からHfとSiとのおのおのに対する酸素(O)の組成を測定することができないため、HfとSiとの組成比が1:1であることを確認した上で、Hfに対するOの組成比を電子プローブマイクロ分析(EPMA)法により測定した。なお、この組成比はX線電子分光(XPS)法によっても測定することが可能である。
【0053】
図4に示すように、酸化剤(オゾン)の暴露時間を0.1秒から数十秒まで変化させると、Hfに対するOの組成比は上昇し、5秒以上でほぼ化学量論値に近くなる。なお、暴露時間を延長した場合に化学量論値以上になるのは、必ずしもHf又はSiと結合していない、過剰な酸素が存在しているためであり、化学量論値以上になっても化学量論値と見なすことができる。
【0054】
また、図5(a)は1サイクル当たりの成膜レートと酸素のドーズ量との成膜温度依存性を示している。もし、理想的な吸着反応のALDモードによる堆積であれば成膜レートは成膜温度には依存せず、また酸素ドーズ量も成膜温度には依存しないはずである。しかしながら、実際には成膜温度を高温にすると、化学反応が生じるCVDモードによる堆積が始まるため、成膜レートは急激に上昇する。これに対し、ある温度以下では成膜レートは完全に一定ではないもののほぼ一定となる。一方、酸素ドーズ量は温度が高いほど多くなる。これは酸化剤による反応が吸着反応だけでなく、吸着後の化学反応にも依存していることを示している。
【0055】
図5(b)は1サイクル当たりの成膜レートと酸素ドーズ量との成膜時の圧力依存性を示している。成膜レートは圧力にはほとんど依存しないが、酸素ドーズ量については圧力に大きく依存している。これは、成膜レートは、そのほとんどがHf又はSi等の前駆体の吸着で支配されており、酸素ドーズ量は酸化剤の吸着及び反応で支配されているからである。
【0056】
すなわち、従来のALD法は、高誘電体金属シリケート膜を形成する際に、金属前駆体、シリコン前駆体及び酸化剤のいずれに対しても吸着反応によって形成していたのに対し、本願発明者らは、酸化剤の暴露を吸着反応だけではなく、酸化反応を促進できる条件とすることにより、従来のALD法による膜厚制御性、均一性及び低温反応性の利点を残したまま、酸素欠損がCVD法なみに少ない高誘電体金属シリケート膜の成膜方法を見いだした。
【0057】
従って、本発明においては、成膜温度及び成膜圧力は、酸化剤の酸化作用が最大限に発揮される条件に設定することが好ましい。成膜温度については、前駆体の種類によって、その分解温度、すなわちCVD反応温度が異なるため一義的には決まらないが、320℃以上且つ380℃以下の温度範囲が好ましい。300℃以下の温度では、酸化剤による酸化反応に及ぼす熱のアシスト量が小さく、380℃以上の温度では、前駆体のCVD反応が始まると共に、酸化剤の反応が必要以上に促進されて、酸化反応が半導体基板にまで到達して該半導体基板を酸化するという副作用が危惧されるためである。
【0058】
また、成膜圧力については、従来のALD法においては、真空能力の限界とする、いわゆる引ききりとすることが多かったが、酸化剤を効率良く反応させるには、酸化剤の濃度を高める必要がある。このため、本発明においては、1.33×102Pa以上且つ3.99×102Pa以下(=1Torr以上且つ3Torr以下)としている。1.33×102Pa以下では酸化作用が十分に得られず、3.99×102Paでは膜厚の均一性が十分に確保できないためである。すなわち、酸化剤の暴露時間とその酸化反応こそがハフニウムシリケート(HfSiO)膜の膜質を決定する極めて重要な要素である。このため、酸化剤の暴露時間を材料(前駆体)に合わせて、化学量論から設定することは、HfSiO膜の膜質の向上に極めて有効である。
【0059】
また、第1の実施形態においては、半導体基板1の上の界面層2の上にHfOx膜を形成し、その後、HfOx膜の上にSiOx膜を形成したが、これとは逆に、最初にSiOx膜を形成し、その後、HfOx膜を形成してもよい。
【0060】
図6は第1の実施形態の第1変形例として、ゲート絶縁膜にハフニウムシリケート(HfSiO)を用いる場合に、HfとSiとの組成比を例えばHf:Si=1:2(Hf33%)とした場合の成膜工程におけるガスシーケンスを示している。図6に示すように、HfOxの1サイクルとSiOxの2サイクルとで、HfSiOの1サイクルを構成し、さらに、所望の膜厚となるまでHfSiOのサイクルを繰り返せばよい。
【0061】
なお、第1の実施形態の第2変形例として、ゲート絶縁膜の構成材料にハフニウムシリケート等の高誘電体金属シリケートを用いる代わりに、酸化ハフニウム(HfOx)等の高誘電体金属酸化膜を用いてもよい。この場合には、図2又は図6に示すHfOxの1サイクルのみを所望の膜厚となるまで繰り返せばよい。
【0062】
また、金属酸化物は、酸化ハフニウム(HfOx)に限られず、酸化ジルコニウム(ZrOx)を用いることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0064】
図7(a)〜図7(d)は本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法の工程順の断面構成を示している。
【0065】
まず、図7(a)に示すように、シリコンからなる半導体基板1の主面上におけるゲート絶縁膜を形成する活性領域の上に、第1の実施形態と同様に、SiO2からなる界面層2を形成する。続いて、界面層2の表面を窒化して、該界面層2を酸化窒化シリコン(SiON)とし、さらに、酸素雰囲気においてアニールを行う。
【0066】
次に、例えばガスの導入部にシャワーヘッドを有する枚葉式チャンバ内に半導体基板1を保持し、Hf前駆体としてテトラキスジメチルアミノハフニウム(Tetrakis-Di-Methyl-Amino-Hafnium:TDMAH)と、Si前駆体としてトリジメチルアミノシリコン(Tris-Di-Methyl-Amino-Silicon:TDMAS)とをシャワーヘッドに導入する前に所定の比率で混合しシャワーヘッドからチャンバ内に導入して、TDMAH及びTDMASに界面層2を暴露する。その結果、界面層2の上に、Hf−Si吸着層5Aが形成される。その後、TDMAH及びTDMASを窒素によりパージする。ここで、Si前駆体には、TDMASに代えて、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)を用いることができる。
【0067】
次に、図7(b)に示すように、酸化剤として濃度が20%のオゾン(O3)ガスにHf−Si吸着層5Aを暴露することにより、Hf−Si吸着層5Aをハフニウムシリケート(HfSiO)膜5Bに改質する。その後、O3を窒素によりパージする。
【0068】
次に、図7(c)に示すように、TDMAH及びTDMASにHfSiO膜5Bを暴露することにより、HfSiO膜5Bの上に、Hf−Si吸着層5Aを形成する。その後、TDMAH及びTDMASを窒素によりパージする。
【0069】
次に、図7(d)に示すように、濃度が20%のオゾン(O3)ガスにHf−Si吸着層5Aを暴露することにより、Hf−Si吸着層5AをHfSiO膜5Bに改質する。その後、O3を窒素によりパージする。これにより、2サイクルによる2層分のハフニウムシリケート(HfSiO)膜5Bが形成される。
【0070】
図7に第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガス導入シーケンスを示す。前駆体1はTDMAHであり、前駆体2はTDMASである。TDMAHとTDMASとの暴露時間は、それぞれ独立に1サイクルの膜厚が飽和する時間として求めた結果では、TDMAHが1秒であり、TDMASが1.5秒であった。第2の実施形態においては、HfとSiとの組成比が1:1であり、且つ成膜レートを調整するために、TDMAHとTDMASとの混合ガスの暴露時間t1は1秒としている。一方、TDMAH及びTDMASに対し化学量論値を与える酸化剤、ここではオゾンの暴露時間は第1の実施形態でも求めたように5秒以上であり、第2の実施形態のt3は6秒としている。また、窒素によるパージ時間t3及びt4は3秒としている。
【0071】
第2の実施形態においては、酸化剤に暴露する工程における成膜温度は375℃とし、成膜時の圧力は3.99×102Pa(=3Torr)としている。その結果、1サイクル当たりの成膜レートは0.11nm/cycleとなり、2.6nmを形成するために23サイクルとしている。これにより、第1の実施形態と比べて成膜に要する時間は約半分となり、生産性は2倍となる。
【0072】
図9及び図10は、第1の実施形態と第2の実施形態とのハフニウムシリケート(HfSiO)膜のそれぞれの形成方法を模式的に示している。
【0073】
図9は第1の実施形態に係る、いわゆるナノラミネート法と呼ばれるHfOx膜とSiOx膜とを1層ずつ積層構造にして堆積する方法である。すなわち、図9(a)において、半導体基板1の主面をHf前駆体に暴露して、Hf吸着層を形成し、図9(b)において、窒素によるパージを行った後、Hf吸着層を酸化剤(オゾン)に暴露して、HfOx膜を形成し、図9(c)において、窒素によるパージを行った後、HfOx膜をSi前駆体に暴露して、HfOx膜の上にSi吸着層を形成し、図9(d)において、窒素によるパージを行った後、Si吸着層を酸化剤(オゾン)に暴露して、HfSiO膜を形成する。なお、ここでは、半導体基板1の主面上の界面層は省略している。
【0074】
このように、第1の実施形態においては、前述したように、HfOx膜及びSiOx膜のそれぞれに対し、Hf前駆体の暴露時間及びSi前駆体の暴露時間の最適化と、それぞれに対する酸化剤の暴露時間を最適化する必要がある。とりわけ、酸化剤の暴露時間は、各前駆体に対してそれぞれの最適値を設定するか、又は両者のうちの長い方の暴露時間に統一する方法を説明した。この方法では、HfSiO等の3元系ではなく、ハフニウムランタンシリケート(HfLaSiO)等の4元系についても、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化シリコン(SiOx)及び酸化ランタン(LaxOy)の積層構造を厚さ方向に変化させることにより、成膜が可能である。すなわち、体積膜のうちの下層、中層及び上層において積層構造を変化させることにより、Hf、Si及びLaのプロファイルを変化させることが可能である。しかしながら、その場合においても、それぞれのHfOx層、SiOx層及びLaxOy層は、化学量論値で酸素を含んでいる必要があり、酸化剤の暴露時間は、本発明の方法によって決定すればよいことはいうまでもない。
【0075】
これに対し、第2の実施形態においては、図10(a)に示すように、半導体基板1の主面をHf前駆体及びSi前駆体の混合雰囲気に暴露して、半導体基板1の主面上にHfとSiとからなる吸着層を所定の組成比で吸着させ、次の図10(b)に示すように、窒素によるパージを行った後、HfとSiとからなる吸着層を酸化剤(オゾン)に同時に暴露する。
【0076】
従って、第2の実施形態に係る形成方法においては、Hf前駆体とSi前駆体とは同一時間で暴露され、また前駆体の混合比により組成を調整することが可能である。なお、HHfとSiとの組成を調整する場合の暴露時間は、Hf前駆体のみの単独の暴露時間とSi前駆体のみの単独の暴露時間のうちの長いほうの暴露時間を採用するか、Hf前駆体とSi前駆体との混合ガスを導入し、暴露時間の短い方の暴露時間で両方の前駆体に暴露した後、暴露時間の長い方の前駆体のみを引き続き暴露してもよい。
【0077】
また、酸化剤の暴露時間に関しては、HfOxの暴露時間とSiOxの暴露時間との長い方の暴露時間を採用すればよい。前述したように、第2の実施例においては、第1の実施形態のようにHfOxとSiOxとの積層構造によってHfSiOxを構成するのではなく、1層ごとがHfSiOからなる。このため、図10(a)に示す工程において、1層ごとにHfとSiとの混合比を変えることにより、膜厚方向(基板に垂直な方向)であってもその組成を変化させることができる。
【0078】
図11は本発明の第1の実施形態、第2の実施形態及び従来例により形成した高誘電体金属シリケート膜(HfSiO(Hf:Si=1:1))におけるEOTとリーク電流との関係を示している。ここでは、いずれの形成方法においても、半導体基板の上に第1の実施形態で説明した界面層を形成し、該界面層の上に物理膜厚がそれぞれ1nm、2nm及び3nmのHfSiO膜をそれぞれ個別に堆積し、各HfSiO膜の上に多結晶シリコンからなる電極を堆積して、MIS(metal-insulator-semiconductor)型キャパシタを形成し、各キャパシタのリーク電流とHfSiO膜のEOTとを高周波CV法により測定している。なお、従来例の形成方法として、成膜温度を350℃とし、成膜圧力を1.99×102Pa(=1.5Torr)とし、Hf前駆体にHfCl4を用い、その暴露時間を1.5秒とし、Si前駆体にSiCl4を用い、その暴露時間を0.15秒とし、酸化剤にO3を用い、その暴露時間を3秒としている。
【0079】
図11からは、従来例と比べ、第1の実施形態及び第2の実施形態においてはEOTに対するリーク電流は膜厚依存性があるものの、1桁〜3桁分が減少していることが分かる。
【0080】
なお、物理膜厚及びEOTが薄い領域で従来例と実施例でリーク電流が近づき、厚い領域で差が広がるのはどちらも界面層に物理膜厚1.4nm、EOT=1.1nmのSiON層が介在しており、高誘電体金属シリケート膜の物理膜厚が薄いほど高誘電体金属シリケート膜の寄与分が減少するためである。
【0081】
なお、本発明の第1及び第2の各実施形態並びに変形例においては、半導体基板1の主面上に、SiONからなる界面層2を介在させて高誘電体金属シリケート膜又は高誘電体金属酸化膜を堆積する場合を説明したが、界面層2はSiONに限られず、SiO2でも構わない。また、界面層2を設けない場合であっても、本発明に係る高誘電体金属シリケート膜又は高誘電体金属酸化膜としての電気的特性の向上、とりわけリーク電流を低減できるという効果を得られることはいうまでもない。
【0082】
また、本発明の各実施形態においては、枚葉処理装置により、ゲート絶縁膜の成膜を行い、ガス供給系をシャワーヘッドとしたが、ALD法の原理に照らして、ガス供給系は必ずしもシャワーヘッドに限定されるものではなく、通常のラミナーフロー(層流)式であっても構わない。
【0083】
また、枚葉処理装置ではなく、バッチ処理装置であっても本発明は有効であるが、ウエハ(半導体基板)のバッチ枚数又はチャンバの容積に応じて、前駆体及び酸化剤の暴露時間は本発明の方法により設定する必要があるのはいうまでもない。
【0084】
また、チャンバの容積が小さい枚葉処理装置とチャンバの容積が大きいバッチ処理装置とでは、前駆体の必要な流量及びその暴露時間については、差が出るのは当然であるが、本発明に示した方法により各装置固有の暴露時間を決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法は、酸素欠損が少なく、リーク電流が低い良好な膜質を実現でき、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を有するトランジスタ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法を示す工程順の模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガスシーケンス図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるHf前駆体及びSi前駆体の暴露時間の決定方法を示すグラフである。(b)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における酸化剤の暴露時間の決定方法を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における酸化剤の暴露時間と、ハフニウム(Hf)に対する酸素(O)の組成比の化学量論値との関係を示すグラフである。
【図5】(a)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における成膜レート及び酸素ドーズ量の成膜温度依存性を示すグラフである。(b)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における成膜レート及び酸素ドーズ量の成膜圧力依存性を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガスシーケンス図である。
【図7】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法を示す工程順の模式的な断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガスシーケンス図である。
【図9】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法であって、高誘電体金属シリケート(HfSiO)膜の堆積モデルを示す工程順の模式図である。
【図10】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法であって、高誘電体金属シリケート(HfSiO)膜の堆積モデルを示す工程順の模式図である。
【図11】本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態並びに従来例に係る高誘電体金属シリケート(HfSiO)膜の酸化膜換算膜厚(EOT)とリーク電流のと関係を示すグラフである。
【図12】(a)は従来のゲート絶縁膜の材料によるEOTとリーク電流との関係を示すグラフである。(b)は高誘電体金属シリケートをゲート絶縁膜に用いた場合のゲート構造を示す模式的な断面図である。
【図13】(a)は従来の原子層堆積(ALD)法により高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成する場合のシーケンス図である。(b)及び(c)は従来のALD法による高誘電体金属シリケートの組成の調整方法を示す説明図である。
【図14】(a)及び(b)は本発明の課題を説明するためのグラフであって、(a)はHfOx膜の比誘電率及びリーク電流の酸素組成比(O/Hf比)依存性を示すグラフであり、(b)はリーク電流の、EOT及び酸素組成比(O/Hf比)依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0087】
1 半導体基板
2 界面層
3A Hf吸着層
3B 酸化ハフニウム(HfO2)膜
4A Si吸着層
4B 酸化シリコン(SiO2)膜
5A Hf−Si吸着層
5B ハフニウムシリケート(HfSiO)膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート絶縁膜の形成方法に関し、特に、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の高集積化、高機能化及び高速化に伴って、トランジスタ等の半導体素子の微細化が進んでいる。このため、トランジスタにおけるゲート長の微細化等の横方向(基板の面内方向)の微細化のみならず、ゲート絶縁膜の極薄膜化等の縦方向の微細化もすすんでいる。従来、ゲート絶縁膜は、シリコンからなる半導体基板との親和性及びその絶縁性能からシリコン酸化膜(SiO2膜)が広く用いられてきたが、SiO2の比誘電率はたかだか3.9であり、静電容量を増加させるには物理膜厚の極薄膜化が求められ、近年では2nm未満の極薄のSiO2膜が使用されるに至っている。しかしながら、SiO2膜は膜厚が2nmとなると、従来のFowler−Nordheimトンネル電流ではなく、直接トンネル電流が流れるため、リーク電流が増大して、デバイス動作時はもとより、待機時の消費電力を低く抑えることが困難となってきている。
【0003】
このため、SiO2膜中に窒素を導入して、その比誘電率を、Si3N4膜の7とSiO2膜の3.9の中間の値である5程度にまで高めたシリコン酸窒化膜(SiON膜)が用いられるようになってきている。しかしながら、比誘電率の値の増大はたかだか25%であり、リーク電流の低減もたかだか1桁以内である。従って、SiON膜をゲート絶縁膜に用いても、酸化膜換算膜厚(Equivalent oxide thickness:EOT)として1.5nm以下を実現することは極めて困難である。
【0004】
そこで、比誘電率が高い高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜をゲート絶縁膜に用いることが検討されており、とりわけ、酸化ハフニウム(HfOx)膜又はハフニウムシリケート(HfSiO)膜は、比誘電率として25又は14〜18が得られるため注目されている。
【0005】
図12(a)はSiO2膜及びSiON膜、並びに高誘電体金属酸化膜及び高誘電体金属シリケート膜等のいわゆるHigh-K絶縁膜のEOTと各リーク電流との関係を示している。図12(a)からは、SiO2膜及びSiON膜と比べて、リーク電流を数桁分抑制できるHigh-k絶縁膜が次世代の極薄ゲート絶縁膜として有望であることが分かる。さらには、High-K膜についても、より一層のリーク電流の低減が要求されている。HfOx膜及びHfSiO膜は、公知の有機金属気相堆積(metal-organic chemical vapor deposition:MOCVD)法によっても堆積可能であるが、近年、これらの高誘電体金属酸化膜及び高誘電体金属シリケート膜においても1nm〜2nmといった膜厚の薄膜化が要求されており、従来のMOCVD法に加え、原子層堆積(Atomic layer deposition:ALD)法による堆積方法が主流になりつつある。なお、図12(b)は高誘電体金属シリケート膜をゲート絶縁膜として用いた場合の従来のトランジスタにおけるゲート構造を示しており、例えばシリコンからなる半導体基板101の上に、SiO2等からなる界面層102、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜103及び多結晶シリコン又は金属等からなるゲート電極104が順次形成されている。
【0006】
図13(a)に示すように、従来のALD法は、半導体基板を、高誘電体金属酸化膜を形成する金属の前駆体(Hf)に所定時間暴露し、該前駆体のパージ、酸化剤(O3)への所定時間の暴露及び該酸化剤のパージを1サイクルとして1層分の金属膜を形成し、この1サイクルを複数回繰り返すことによって所望の膜厚を得ている。
【0007】
また、さらに多元元素からなる場合、例えば高誘電体金属シリケート膜の場合は、高誘電体金属酸化膜を所定のサイクルで堆積した後、前駆体(Si)の所定時間の暴露、該前駆体のパージ、酸化剤への所定時間の暴露及び該酸化剤のパージを1サイクルとして1層分のシリコン酸化膜を形成する。このように、高誘電体金属酸化膜及びシリコン酸化膜を交互に堆積すると共に、所望の膜厚に達するまでこれを繰り返す、いわゆるナノラミネート(Nano-laminate)法が行われている。
【0008】
ゲート絶縁膜を構成する高誘電体金属シリケートにおいて、高誘電体金属とシリコンとの組成比は、その比誘電率、EOT及びリーク電流を決定することから重要であり、これらは高誘電体金属酸化膜の堆積サイクル数とシリコン酸化膜の堆積サイクル数とを調整することにより決定される。すなわち、高誘電体金属酸化膜において、図13(b)に示すように、例えばHfOx膜の1サイクル分とSiO2膜の1サイクル分とを交互に複数回繰り返せば、HfとSiとの組成比は1:1(Hf50%)となる。また、図13(c)に示すように、HfOx膜の2サイクル分とSiO2膜の1サイクル分とを交互に複数回繰り返せば、HfとSiとの組成比は2:1(Hf66.7%)となって、高誘電体金属シリケートにおける組成の調整が可能となる。このように、ALD法においては、金属とSiとの組成比は厳しく制御されている。
【0009】
ところで、ALD法の問題点として、原子層レベルで金属層及び酸素層を1層ずつ形成することから、生産性の低さが指摘されており、このため、各原料の前駆体及びそのパージ時間並びに酸化剤への暴露時間については最短とすることが求められてきた。ALD法においては、原子層の堆積は被処理膜の表面への吸着により起こると考えられており、被処理膜の表面へ原子の1層分が完全に吸着すれば、堆積は停止するという機構に基づいている。このため、前駆体の暴露時間及び酸化剤の暴露時間は、各暴露時間をそれぞれ変化させたときに、1サイクルで堆積される1層分の膜厚が飽和する時間により決定されている。
【0010】
当然のことながら、これらの暴露時間は、堆積膜の膜厚が飽和する時間の最短時間が選ばれ、1サイクル当たりの1層の堆積膜厚を最大にするように設定されるため、その暴露時間は短時間になる傾向がある。例えば特許文献1には、ALDサイクルとして前駆体の暴露時間に0.2秒〜0.5秒が開示され、酸化剤の暴露時間に2秒が開示されている。
【0011】
また、特許文献2には、前駆体の暴露時間として1.5秒が開示され、酸化剤の暴露時間として3秒が開示されており、さらに、前駆体の暴露時間は、該前駆体の種類により種々の時間が設定されているのに対し、酸化剤の暴露時間についてはほぼ1秒〜3秒が設定されている。
【特許文献1】特表2007−519225号公報
【特許文献2】特表2004−511909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来のALD法は、堆積時における原料ガス及び酸化剤の暴露時間は、生産性とALD堆積の理論とから決定されており、ALD法により堆積された高誘電体金属酸化膜又はシリケート膜の性能、すなわち、比誘電率、EOT及びリーク電流等により決定されたものではない。
【0013】
理想的なALD法によれば、原料ガスの暴露時間を無限に長くすれば、半導体表面には原料の原子が1層分まんべんなく吸着されるはずである。このため、1層分がまんべんなく吸着した時点で膜厚は飽和するはずである。この理論を根拠に1サイクルにおける1層の膜厚が飽和する時間を原料の暴露時間としている。しかし、原料は一定時間のうちに半導体基板表面に100%吸着するわけではなく、その吸着量は80%〜90%であり、たとえ80%までは短時間に吸着したとしてもそれ以降は極めて長い時間を要する場合がある。
【0014】
ALD法においては、このような場合、80%〜90%の吸着量で原料の吸着が飽和する傾向にあるため、この暴露時間をもって堆積の暴露時間を決定していることになる。この暴露時間の求め方については原料ガスについては大きな問題はない。なぜなら、原料ガス自体は吸着反応であり、化学反応を起こすわけではないからである。従って、原料である前駆体の暴露時間は、堆積膜の膜厚が飽和する時間で決定することに問題はない。
【0015】
また、原料ガスのパージ時間については、装置の真空性能にもよるが、原料ガスを入れ替える時間は容易に求めることができる。
【0016】
しかしながら、酸化剤の暴露時間については問題が多い。酸化剤についてもALD理論に従えば、被処理膜上に吸着した前駆体の表面に吸着し、前駆体と反応して高誘電体金属酸化物又はシリコン酸化物が形成される。この場合も酸化剤に無限の時間で暴露すれば前駆体のすべてに吸着させ且つ反応させることができるが、実際には、その90%程度が短時間に吸着し、それ以後は極めてゆっくりと吸着反応が進むと考えられる。この場合、酸素は前駆体の90%としか結合せず、残りの10%は酸素欠損が存在することになる。すなわち、前駆体は100%が吸着していなくても、それは成膜レートに影響を与えるだけであるが、酸化剤についてはその100%が吸着及び反応が起こらないと、未吸着部分は酸素欠損となる。高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜についても、この酸素欠損は比誘電率の低下、EOTの増大及びリーク電流の増大を招く。とりわけリーク電流の増大については、酸素欠損に極めて敏感である。
【0017】
図14(a)はHfOx膜を例に採った場合の、酸素(O)とハフニウム(Hf)との組成比(O:Hf比)の値とリーク電流及び比誘電率との関係を示している。HfOx膜の場合は、化学量論的な組成比は2.0である。図14(a)から分かるように、リーク電流はO:Hf比の値が1.93(化学量論値の96.5%)以上の領域では安定するが、それ以下では急激に増大する。酸素欠損の増大により、酸素の欠損部分がリークパスとなってリーク電流が増大する。一方、比誘電率についても、O:Hf比の値が1.93以上では25付近でほぼ飽和して安定するのに対し、1.93以下では急激に低下する。HfOx膜として、ハフニウム(Hf)と酸素(O)とが正しく結合した場合に、高誘電体金属酸化物として高い誘電率を発揮するのであり、酸素欠損が多く存在するとHf−Hf等の金属的な結合が増えると考えられ、これらの結合が比誘電率を低下させると共にリークパスとなってリーク電流を増大させると考えられる。なお、これらのデータは物理膜厚を同一として取得しており、物理膜厚の差では説明することはできない。
【0018】
一方、図14(b)はHfOx膜のEOT(酸化膜換算膜厚)とリーク電流との関係を、O:Hf比についてプロットしている。図14(b)から分かるように、EOTが小さくなれば、物理膜厚も小さくなるので、リーク電流はEOT=1.2nm付近から急激に増大する。また、O:Hf比がHfOx膜の化学量論値である2.0の場合は、リーク電流はEOT=1.2nm以下で急激に増大するが、O:Hf比の値が1.91(95.5%)及び1.89(94.5%)の場合にはリーク電流は徐々に増大し、O:Hf比の値が1.87(93.5%)の場合には、リーク電流は2桁程度悪化していることが分かる。また、プロットされたデータ群は、O:Hf比の値が小さくなるほどEOTが厚膜側にシフトしており、同じ物理膜厚でもO:Hf比の値が低下すると、比誘電率の低下によりEOTが厚膜化すると同時にリーク電流が大幅に増大することが分かる。
【0019】
以上はHfOx膜である高誘電体金属酸化膜についての本願発明者らの知見であるが、高誘電体金属シリケート膜でも、前述したようにナノラミネート法においてはHfOx膜とSiOx膜との積層構造であり、HfOx膜又はSiOx膜に酸素欠損が多ければ、当然、高誘電体金属シリケート膜としても同様に比誘電率の低下及びEOTの増大、とりわけリーク電流の増大は容易に類推できる。従って、高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜をALD法により成膜する際には、いかにして酸素欠損を低減させるかが高誘電体金属酸化膜又はシリケート膜の性能の向上に極めて重要である。
【0020】
本発明は、前記従来の問題を解決し、ゲート絶縁膜に用いる高誘電体金属酸化膜又は高誘電体金属シリケート膜における酸素欠損を低減して、リーク電流を低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の目的を達成するため、本発明は、金属酸化物又は金属シリケートからなるゲート絶縁膜の形成方法を、ALD法により酸化膜を形成する際に、単に酸化剤の吸着反応のみならず、酸化剤による酸化反応を積極的に活用する構成とする。
【0022】
具体的に、本発明に係る第1のゲート絶縁膜の形成方法は、半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法を対象とし、半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、高誘電体金属シリケートを構成する金属元素を含む第1の前駆体に半導体基板を暴露することにより、半導体基板の上に第1の前駆体からなる第1の吸着層を形成する工程(a)と、第1の前駆体をパージする工程(b)と、第1の吸着層を酸化剤に暴露して、第1の吸着層を酸化することにより、第1の吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、酸化剤をパージする工程(d)と、工程(d)よりも後に、シリコンを含む第2の前駆体に金属酸化膜を暴露することにより、金属酸化膜の上に第2の前駆体からなる第2の吸着層を形成する工程(e)と、第2の前駆体をパージする工程(f)と、第2の吸着層を酸化剤に暴露して、第2の吸着層を酸化することにより、第2の吸着層からシリコン酸化膜を形成する工程(g)と、酸化剤をパージする工程(h)とを備え、工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成し、且つ、工程(e)、工程(f)、工程(g)及び工程(h)とを1サイクルとして少なくとも1回実行してシリコン酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、高誘電体金属シリケートを形成し、工程(a)において、半導体基板の第1の前駆体への暴露時間は、1サイクルで堆積される金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、工程(c)において、第1の吸着層の酸化剤への暴露時間は、金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定し、工程(e)において、金属酸化膜の第2の前駆体への暴露時間は、1サイクルで堆積されるシリコン酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、工程(g)において、第2の吸着層の酸化剤への暴露時間は、シリコン酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とする。
【0023】
第1のゲート絶縁膜の形成方法において、工程(c)及び工程(g)における酸化剤への暴露時間は、半導体基板当たり5秒以上であって、且つ、工程(c)における暴露時間及び工程(g)における暴露時間のうち、時間が長い工程に暴露時間を合わせることが好ましい。
【0024】
本発明に係る第2のゲート絶縁膜の形成方法は、半導体基板の上に、高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法を対象とし、半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、高誘電体金属酸化物を構成する金属元素を含む前駆体に半導体基板を暴露することにより、半導体基板の上に前駆体からなる吸着層を形成する工程(a)と、
前駆体をパージする工程(b)と、
吸着層を酸化剤に暴露して、吸着層を酸化することにより、吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、
酸化剤をパージする工程(d)とを備え、
工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、高誘電体金属酸化物を形成し、
工程(a)において、半導体基板の前駆体への暴露時間は、1サイクルで堆積される金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
工程(c)において、吸着層の酸化剤への暴露時間は、金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とする。
【0025】
第2のゲート絶縁膜の形成方法において、金属酸化膜は、酸化ハフニウム又は酸化ジルコニウムからなることが好ましい。
【0026】
また、第2のゲート絶縁膜の形成方法において、前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る第3のゲート絶縁膜の形成方法は、半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法を対象とし、半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、高誘電体金属シリケートを構成する、金属元素を含む第1の前駆体とシリコンを含む第2の前駆体とに、高誘電体金属シリケートの組成比に合わせた混合比で半導体基板を暴露することにより、半導体基板の上に第1の前駆体及び第2の前駆体からなり、組成比と対応した組成比を持つ吸着層を形成する工程(a)と、第1の前駆体及び第2の前駆体をパージする工程(b)と、吸着層を酸化剤に暴露して、吸着層を酸化することにより、吸着層から金属シリケート膜を形成する工程(c)と、酸化剤をパージする工程(d)とを備え、工程(a)、工程(b)及び工程(c)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、金属シリケート膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、高誘電体金属シリケートを形成し、工程(a)において、半導体基板の第1の前駆体及び第2の前駆体への暴露時間は、高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、1サイクルで堆積される1層分の厚さが飽和する時間のうちのいずれか長い方の時間とし、工程(c)において、吸着層の酸化剤への暴露時間は、高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、金属の酸化膜における酸素の含有量及びシリコンの酸化膜における酸素の含有量がそれぞれ化学量論により決定される組成の97%以上となる時間のうちのいずれか長い方の時間とすることを特徴とする。
【0028】
第1又は第3のゲート絶縁膜の形成方法において、高誘電体金属シリケートは、ハフニウムシリケート(HfSiO)又はハフニウムランタンシリケート(HfLaSiO)であることが好ましい。
【0029】
第1〜第3のゲート絶縁膜の形成方法において、酸化剤は、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、重水(D2O)又は一酸化二窒素(N2O)又は酸素ラジカルであることが好ましい。
【0030】
第1又は第3のゲート絶縁膜の形成方法において、第1の前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であり、第2の前駆体は、四塩化シリコン(SiCl4)、トリジメチルアミノシリコン(TDMAS)又はテトラエチルオルソシリケート(TEOS)であることが好ましい。
【0031】
第3のゲート絶縁膜の形成方法において、第1の前駆体及び第2の前駆体は、酸素を含むことが好ましい。
【0032】
第1〜第3のゲート絶縁膜の形成方法は、酸化剤に暴露する工程において、半導体基板に対する加熱温度は、原子層堆積(ALD)反応又は該原子層堆積(ALD)反応から化学気相堆積(CVD)反応に遷移するまでの温度であり、所定の圧力は、半導体基板における面内均一性が悪化する直前までの圧力であることが好ましい。
【0033】
第1〜第3のゲート絶縁膜の形成方法は、酸化剤に暴露する工程において、半導体基板に対する加熱温度は、300℃以上で且つ化学気相堆積(CVD)反応が主体とならない温度であり、所定の圧力は、1.33×102Pa以上且つ3.99×102Pa以下であることが好ましい。
【0034】
以上のように、本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法により、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成する場合に、金属の前駆体又はシリコンの前駆体の暴露時間は成膜レートの飽和時間から決定することができるため、生産性を最大化できる。その上、ゲート絶縁膜のEOT、誘電率及びリーク電流等の膜質を決定する酸化剤の暴露時間はそれぞれの高誘電体金属酸化物又はシリコン酸化物における化学量論値を実現できる暴露時間で決定されるだけでなく、堆積温度及び堆積圧力を酸化剤の暴露工程における酸化反応を最大化するように設定することにより、高い生産性と高い膜質とが両立したゲート絶縁膜を得ることができる。
【0035】
なお、本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法は、枚葉式又はバッチ式を問わず適用が可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法によると、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成する場合に、酸素欠損が少なく、リーク電流が低い良好な膜質を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1(a)〜図1(d)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法の工程順の断面構成を示している。
【0039】
まず、図1(a)に示すように、 高誘電体金属シリケート膜を形成するよりも前に、シリコンからなる半導体基板1の主面上におけるゲート絶縁膜を形成する活性領域の上に、酸化シリコン(SiO2)からなる界面層2を形成する。界面層2は高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜と半導体基板1との間にあって、該半導体基板1と高誘電体金属シリケート膜との界面を酸化シリコン(SiO2)とすることにより、半導体基板1の界面特性を改善する。もちろん、半導体基板1の主面上に直接に高誘電体金属シリケート膜を形成することは可能ではあるが、本実施形態においては、界面層2の上に高誘電体金属シリケート膜を形成する。界面層2は、例えば900℃の温度で、水素が1%且つ酸素が99%の減圧雰囲気で、半導体基板1にランプ光を照射しながら1.4nmの厚さに形成する。その後、界面層2の比誘電率の向上と半導体基板1への酸素の拡散の防止とを図るために、界面層2を電子エネルギーが1eV以下の低いエネルギーを持つ高密度窒素プラズマに暴露することにより界面層2の表面を窒化して、該界面層2を酸化窒化シリコン(SiON)とする。続いて、表面が窒化された界面層2における表面からの未結合窒素の脱離と、Siからなる半導体基板1とSiONからなる界面層2との界面特性を改善するため、温度が1050℃で、圧力が0.66×102Pa(=0.5Torr)の酸素(O2)雰囲気において30秒間のアニールを行う。
【0040】
次に、例えばガスの導入部にシャワーヘッドを有する枚葉式チャンバ内に半導体基板1の温度を350℃に保持し、圧力を2.66×102Pa(=2Torr)に保持した状態で、図1(a)〜図1(d)に示すように、高誘電体金属シリケートとしてハフニウムシリケート(HfSiO)膜を堆積する。
【0041】
具体的には、図1(a)に示すように、まず、酸化ハフニウム(HfOx)膜を形成するため、Hf前駆体として四塩化ハフニウム(HfCl4)をチャンバ内に導入し、界面層2をHfCl4に1.5秒間暴露して、界面層2の上にHf吸着層3Aを形成する。その後、HfCl4を窒素(N2)により2秒間パージする。
【0042】
次に、図1(b)に示すように、酸化剤として濃度が20%のオゾン(O3)ガスにHf吸着層3Aを6秒間暴露することにより、Hf吸着層3Aを酸化ハフニウム(HfO2)膜3Bに改質する。その後、O3を窒素により2秒間パージする。
【0043】
次に、図1(c)に示すように、Si前駆体として四塩化シリコン(SiCl4)をチャンバ内に導入し、HfO2膜3BをSiCl4に0.2秒間暴露して、HfO2膜3Bの上にSi吸着層4Aを形成する。その後、SiCl4を窒素により6秒間パージする。
【0044】
次に、図1(d)に示すように、酸化剤として濃度が20%のオゾン(O3)ガスにSi吸着層4Aを6秒間暴露することにより、Si吸着層4Aを酸化シリコン(SiO2)膜4Bに改質する。その後、O3を窒素により6秒間パージする。
【0045】
以上の図1(a)から図1(d)の4工程を1サイクルとして、10サイクル繰り返すことにより、膜厚が2.6nmのハフニウムシリケート(HfSiO)膜を堆積する。従って、図1(a)及び図1(b)によるHfOx膜の1サイクルと、図1(c)及び図1(d)によるSiOx膜の1サイクルとを併せた1サイクル当たりの成膜レートは0.26nm/cycleである。
【0046】
図2に第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガス導入シーケンスを示す。前駆体1はHfCl4 であり、その暴露時間t1は1.5秒であり、そのパージ時間t2及びt4は2秒であり、酸化剤であるオゾンへの暴露時間t3は6秒である。また、前駆体2はSiCl4 であり、その暴露時間t5は0.2秒であり、それらのパージ時間t6及びt8は6秒であり、酸化剤であるオゾンへの暴露時間t7は6秒である。従って、HfSiO膜の形成のための1サイクルの所要時間は29.7秒となる。すなわち、10サイクルでは、約300秒の処理時間が必要となる。
【0047】
第1の実施形態においては、図3(a)に示すように、Hf前駆体及びSi前駆体の暴露時間は、オゾンの暴露時間を一定とした場合に、1サイクルでの膜厚が飽和する時間として決定している。その結果、Hf前駆体がHfCl4の場合はt1として1.5秒を採用し、Si前駆体がSiCl4の場合はt5として0.2秒を採用している。前駆体の暴露時間は、当然、前駆体の組成により異なり、例えばHf前駆体に、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Tetrakis-Ethyl-Methyl-Amino-Hafnium:TEMAH)を用いた場合には、その暴露時間は1秒でよい。
【0048】
なお、Hf前駆体及びSi前駆体の暴露時間は、ここで求めた値より短くしても大きな問題はない。但し、堆積膜としての成膜レートは低下するため、ゲート絶縁膜の生産性は低下するが、ゲート絶縁膜のような薄膜を形成する場合には、むしろ前駆体の暴露時間によって1サイクル当たりの成膜レートを調整すべきである。
【0049】
また、第1の実施形態においては、酸化剤にオゾンを用いている。図3(b)は、第1の実施形態に係る酸化剤の暴露時間を決定するため、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間を一定とした場合に、HfOx膜又はSiOx膜の組成が化学量論値となるための酸化剤の暴露時間を概念的に示している。HfOx及びSiOxは共に化学量論値ではx=2.0であるが、それぞれ化学量論値を与える酸化剤の暴露時間は異なる可能性がある。
【0050】
第1の実施形態においては、HfOxの場合は、O:Hf比が化学量論値の1.94(97%)を越える暴露時間t3は6秒であり、SiOxの場合は、O:Si比が化学量論値の1.94(97%)を越える暴露時間t7は5秒である。ここでは、HfOxの暴露時間及びSiOxの暴露時間が近いため、前述したように、HfOxの暴露時間である6秒を採用している。酸化剤の暴露時間は、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間にも影響を受けるが、その影響の度合いは大きくはない。当然ながら、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間が長くなれば、酸化剤の暴露時間も長くはなるが、その影響度は緩やかである。いずれにせよ、Hf前駆体又はSi前駆体の暴露時間を決定した後に、酸化剤の暴露時間を決定すべきである。
【0051】
なお、酸化剤にはオゾン(O3)を用いたが、オゾンに代えて、水(H2O)又は重水(D2O)を用いることができる。但し、水の場合はオゾンと比べてその反応性及び吸着特性が異なるため、化学量論値を与える暴露時間は当然に異なる。水と比べてオゾンは反応性が高いため、一般に暴露時間は短くなり、オゾン濃度が高いほど暴露時間は短くなる傾向にある。
【0052】
図4は第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法で形成された、HfとSiとの組成比が1:1すなわちHfが50%の場合のハフニウムシリケート(HfSiO)膜における、酸化剤であるオゾンの暴露時間とHfに対するOの組成比との関係を示している。HfとSiとの組成比は、ここでは1:1としたため、化学量論的にはハフニウムシリケートはHfSiO4であり、Hfに対する化学量論組成はSiの分を考慮すると、4.0となる。実際には、HfOx膜であるためx=2.0であるが、分析技術の制限からHfとSiとのおのおのに対する酸素(O)の組成を測定することができないため、HfとSiとの組成比が1:1であることを確認した上で、Hfに対するOの組成比を電子プローブマイクロ分析(EPMA)法により測定した。なお、この組成比はX線電子分光(XPS)法によっても測定することが可能である。
【0053】
図4に示すように、酸化剤(オゾン)の暴露時間を0.1秒から数十秒まで変化させると、Hfに対するOの組成比は上昇し、5秒以上でほぼ化学量論値に近くなる。なお、暴露時間を延長した場合に化学量論値以上になるのは、必ずしもHf又はSiと結合していない、過剰な酸素が存在しているためであり、化学量論値以上になっても化学量論値と見なすことができる。
【0054】
また、図5(a)は1サイクル当たりの成膜レートと酸素のドーズ量との成膜温度依存性を示している。もし、理想的な吸着反応のALDモードによる堆積であれば成膜レートは成膜温度には依存せず、また酸素ドーズ量も成膜温度には依存しないはずである。しかしながら、実際には成膜温度を高温にすると、化学反応が生じるCVDモードによる堆積が始まるため、成膜レートは急激に上昇する。これに対し、ある温度以下では成膜レートは完全に一定ではないもののほぼ一定となる。一方、酸素ドーズ量は温度が高いほど多くなる。これは酸化剤による反応が吸着反応だけでなく、吸着後の化学反応にも依存していることを示している。
【0055】
図5(b)は1サイクル当たりの成膜レートと酸素ドーズ量との成膜時の圧力依存性を示している。成膜レートは圧力にはほとんど依存しないが、酸素ドーズ量については圧力に大きく依存している。これは、成膜レートは、そのほとんどがHf又はSi等の前駆体の吸着で支配されており、酸素ドーズ量は酸化剤の吸着及び反応で支配されているからである。
【0056】
すなわち、従来のALD法は、高誘電体金属シリケート膜を形成する際に、金属前駆体、シリコン前駆体及び酸化剤のいずれに対しても吸着反応によって形成していたのに対し、本願発明者らは、酸化剤の暴露を吸着反応だけではなく、酸化反応を促進できる条件とすることにより、従来のALD法による膜厚制御性、均一性及び低温反応性の利点を残したまま、酸素欠損がCVD法なみに少ない高誘電体金属シリケート膜の成膜方法を見いだした。
【0057】
従って、本発明においては、成膜温度及び成膜圧力は、酸化剤の酸化作用が最大限に発揮される条件に設定することが好ましい。成膜温度については、前駆体の種類によって、その分解温度、すなわちCVD反応温度が異なるため一義的には決まらないが、320℃以上且つ380℃以下の温度範囲が好ましい。300℃以下の温度では、酸化剤による酸化反応に及ぼす熱のアシスト量が小さく、380℃以上の温度では、前駆体のCVD反応が始まると共に、酸化剤の反応が必要以上に促進されて、酸化反応が半導体基板にまで到達して該半導体基板を酸化するという副作用が危惧されるためである。
【0058】
また、成膜圧力については、従来のALD法においては、真空能力の限界とする、いわゆる引ききりとすることが多かったが、酸化剤を効率良く反応させるには、酸化剤の濃度を高める必要がある。このため、本発明においては、1.33×102Pa以上且つ3.99×102Pa以下(=1Torr以上且つ3Torr以下)としている。1.33×102Pa以下では酸化作用が十分に得られず、3.99×102Paでは膜厚の均一性が十分に確保できないためである。すなわち、酸化剤の暴露時間とその酸化反応こそがハフニウムシリケート(HfSiO)膜の膜質を決定する極めて重要な要素である。このため、酸化剤の暴露時間を材料(前駆体)に合わせて、化学量論から設定することは、HfSiO膜の膜質の向上に極めて有効である。
【0059】
また、第1の実施形態においては、半導体基板1の上の界面層2の上にHfOx膜を形成し、その後、HfOx膜の上にSiOx膜を形成したが、これとは逆に、最初にSiOx膜を形成し、その後、HfOx膜を形成してもよい。
【0060】
図6は第1の実施形態の第1変形例として、ゲート絶縁膜にハフニウムシリケート(HfSiO)を用いる場合に、HfとSiとの組成比を例えばHf:Si=1:2(Hf33%)とした場合の成膜工程におけるガスシーケンスを示している。図6に示すように、HfOxの1サイクルとSiOxの2サイクルとで、HfSiOの1サイクルを構成し、さらに、所望の膜厚となるまでHfSiOのサイクルを繰り返せばよい。
【0061】
なお、第1の実施形態の第2変形例として、ゲート絶縁膜の構成材料にハフニウムシリケート等の高誘電体金属シリケートを用いる代わりに、酸化ハフニウム(HfOx)等の高誘電体金属酸化膜を用いてもよい。この場合には、図2又は図6に示すHfOxの1サイクルのみを所望の膜厚となるまで繰り返せばよい。
【0062】
また、金属酸化物は、酸化ハフニウム(HfOx)に限られず、酸化ジルコニウム(ZrOx)を用いることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0064】
図7(a)〜図7(d)は本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法の工程順の断面構成を示している。
【0065】
まず、図7(a)に示すように、シリコンからなる半導体基板1の主面上におけるゲート絶縁膜を形成する活性領域の上に、第1の実施形態と同様に、SiO2からなる界面層2を形成する。続いて、界面層2の表面を窒化して、該界面層2を酸化窒化シリコン(SiON)とし、さらに、酸素雰囲気においてアニールを行う。
【0066】
次に、例えばガスの導入部にシャワーヘッドを有する枚葉式チャンバ内に半導体基板1を保持し、Hf前駆体としてテトラキスジメチルアミノハフニウム(Tetrakis-Di-Methyl-Amino-Hafnium:TDMAH)と、Si前駆体としてトリジメチルアミノシリコン(Tris-Di-Methyl-Amino-Silicon:TDMAS)とをシャワーヘッドに導入する前に所定の比率で混合しシャワーヘッドからチャンバ内に導入して、TDMAH及びTDMASに界面層2を暴露する。その結果、界面層2の上に、Hf−Si吸着層5Aが形成される。その後、TDMAH及びTDMASを窒素によりパージする。ここで、Si前駆体には、TDMASに代えて、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)を用いることができる。
【0067】
次に、図7(b)に示すように、酸化剤として濃度が20%のオゾン(O3)ガスにHf−Si吸着層5Aを暴露することにより、Hf−Si吸着層5Aをハフニウムシリケート(HfSiO)膜5Bに改質する。その後、O3を窒素によりパージする。
【0068】
次に、図7(c)に示すように、TDMAH及びTDMASにHfSiO膜5Bを暴露することにより、HfSiO膜5Bの上に、Hf−Si吸着層5Aを形成する。その後、TDMAH及びTDMASを窒素によりパージする。
【0069】
次に、図7(d)に示すように、濃度が20%のオゾン(O3)ガスにHf−Si吸着層5Aを暴露することにより、Hf−Si吸着層5AをHfSiO膜5Bに改質する。その後、O3を窒素によりパージする。これにより、2サイクルによる2層分のハフニウムシリケート(HfSiO)膜5Bが形成される。
【0070】
図7に第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガス導入シーケンスを示す。前駆体1はTDMAHであり、前駆体2はTDMASである。TDMAHとTDMASとの暴露時間は、それぞれ独立に1サイクルの膜厚が飽和する時間として求めた結果では、TDMAHが1秒であり、TDMASが1.5秒であった。第2の実施形態においては、HfとSiとの組成比が1:1であり、且つ成膜レートを調整するために、TDMAHとTDMASとの混合ガスの暴露時間t1は1秒としている。一方、TDMAH及びTDMASに対し化学量論値を与える酸化剤、ここではオゾンの暴露時間は第1の実施形態でも求めたように5秒以上であり、第2の実施形態のt3は6秒としている。また、窒素によるパージ時間t3及びt4は3秒としている。
【0071】
第2の実施形態においては、酸化剤に暴露する工程における成膜温度は375℃とし、成膜時の圧力は3.99×102Pa(=3Torr)としている。その結果、1サイクル当たりの成膜レートは0.11nm/cycleとなり、2.6nmを形成するために23サイクルとしている。これにより、第1の実施形態と比べて成膜に要する時間は約半分となり、生産性は2倍となる。
【0072】
図9及び図10は、第1の実施形態と第2の実施形態とのハフニウムシリケート(HfSiO)膜のそれぞれの形成方法を模式的に示している。
【0073】
図9は第1の実施形態に係る、いわゆるナノラミネート法と呼ばれるHfOx膜とSiOx膜とを1層ずつ積層構造にして堆積する方法である。すなわち、図9(a)において、半導体基板1の主面をHf前駆体に暴露して、Hf吸着層を形成し、図9(b)において、窒素によるパージを行った後、Hf吸着層を酸化剤(オゾン)に暴露して、HfOx膜を形成し、図9(c)において、窒素によるパージを行った後、HfOx膜をSi前駆体に暴露して、HfOx膜の上にSi吸着層を形成し、図9(d)において、窒素によるパージを行った後、Si吸着層を酸化剤(オゾン)に暴露して、HfSiO膜を形成する。なお、ここでは、半導体基板1の主面上の界面層は省略している。
【0074】
このように、第1の実施形態においては、前述したように、HfOx膜及びSiOx膜のそれぞれに対し、Hf前駆体の暴露時間及びSi前駆体の暴露時間の最適化と、それぞれに対する酸化剤の暴露時間を最適化する必要がある。とりわけ、酸化剤の暴露時間は、各前駆体に対してそれぞれの最適値を設定するか、又は両者のうちの長い方の暴露時間に統一する方法を説明した。この方法では、HfSiO等の3元系ではなく、ハフニウムランタンシリケート(HfLaSiO)等の4元系についても、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化シリコン(SiOx)及び酸化ランタン(LaxOy)の積層構造を厚さ方向に変化させることにより、成膜が可能である。すなわち、体積膜のうちの下層、中層及び上層において積層構造を変化させることにより、Hf、Si及びLaのプロファイルを変化させることが可能である。しかしながら、その場合においても、それぞれのHfOx層、SiOx層及びLaxOy層は、化学量論値で酸素を含んでいる必要があり、酸化剤の暴露時間は、本発明の方法によって決定すればよいことはいうまでもない。
【0075】
これに対し、第2の実施形態においては、図10(a)に示すように、半導体基板1の主面をHf前駆体及びSi前駆体の混合雰囲気に暴露して、半導体基板1の主面上にHfとSiとからなる吸着層を所定の組成比で吸着させ、次の図10(b)に示すように、窒素によるパージを行った後、HfとSiとからなる吸着層を酸化剤(オゾン)に同時に暴露する。
【0076】
従って、第2の実施形態に係る形成方法においては、Hf前駆体とSi前駆体とは同一時間で暴露され、また前駆体の混合比により組成を調整することが可能である。なお、HHfとSiとの組成を調整する場合の暴露時間は、Hf前駆体のみの単独の暴露時間とSi前駆体のみの単独の暴露時間のうちの長いほうの暴露時間を採用するか、Hf前駆体とSi前駆体との混合ガスを導入し、暴露時間の短い方の暴露時間で両方の前駆体に暴露した後、暴露時間の長い方の前駆体のみを引き続き暴露してもよい。
【0077】
また、酸化剤の暴露時間に関しては、HfOxの暴露時間とSiOxの暴露時間との長い方の暴露時間を採用すればよい。前述したように、第2の実施例においては、第1の実施形態のようにHfOxとSiOxとの積層構造によってHfSiOxを構成するのではなく、1層ごとがHfSiOからなる。このため、図10(a)に示す工程において、1層ごとにHfとSiとの混合比を変えることにより、膜厚方向(基板に垂直な方向)であってもその組成を変化させることができる。
【0078】
図11は本発明の第1の実施形態、第2の実施形態及び従来例により形成した高誘電体金属シリケート膜(HfSiO(Hf:Si=1:1))におけるEOTとリーク電流との関係を示している。ここでは、いずれの形成方法においても、半導体基板の上に第1の実施形態で説明した界面層を形成し、該界面層の上に物理膜厚がそれぞれ1nm、2nm及び3nmのHfSiO膜をそれぞれ個別に堆積し、各HfSiO膜の上に多結晶シリコンからなる電極を堆積して、MIS(metal-insulator-semiconductor)型キャパシタを形成し、各キャパシタのリーク電流とHfSiO膜のEOTとを高周波CV法により測定している。なお、従来例の形成方法として、成膜温度を350℃とし、成膜圧力を1.99×102Pa(=1.5Torr)とし、Hf前駆体にHfCl4を用い、その暴露時間を1.5秒とし、Si前駆体にSiCl4を用い、その暴露時間を0.15秒とし、酸化剤にO3を用い、その暴露時間を3秒としている。
【0079】
図11からは、従来例と比べ、第1の実施形態及び第2の実施形態においてはEOTに対するリーク電流は膜厚依存性があるものの、1桁〜3桁分が減少していることが分かる。
【0080】
なお、物理膜厚及びEOTが薄い領域で従来例と実施例でリーク電流が近づき、厚い領域で差が広がるのはどちらも界面層に物理膜厚1.4nm、EOT=1.1nmのSiON層が介在しており、高誘電体金属シリケート膜の物理膜厚が薄いほど高誘電体金属シリケート膜の寄与分が減少するためである。
【0081】
なお、本発明の第1及び第2の各実施形態並びに変形例においては、半導体基板1の主面上に、SiONからなる界面層2を介在させて高誘電体金属シリケート膜又は高誘電体金属酸化膜を堆積する場合を説明したが、界面層2はSiONに限られず、SiO2でも構わない。また、界面層2を設けない場合であっても、本発明に係る高誘電体金属シリケート膜又は高誘電体金属酸化膜としての電気的特性の向上、とりわけリーク電流を低減できるという効果を得られることはいうまでもない。
【0082】
また、本発明の各実施形態においては、枚葉処理装置により、ゲート絶縁膜の成膜を行い、ガス供給系をシャワーヘッドとしたが、ALD法の原理に照らして、ガス供給系は必ずしもシャワーヘッドに限定されるものではなく、通常のラミナーフロー(層流)式であっても構わない。
【0083】
また、枚葉処理装置ではなく、バッチ処理装置であっても本発明は有効であるが、ウエハ(半導体基板)のバッチ枚数又はチャンバの容積に応じて、前駆体及び酸化剤の暴露時間は本発明の方法により設定する必要があるのはいうまでもない。
【0084】
また、チャンバの容積が小さい枚葉処理装置とチャンバの容積が大きいバッチ処理装置とでは、前駆体の必要な流量及びその暴露時間については、差が出るのは当然であるが、本発明に示した方法により各装置固有の暴露時間を決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係るゲート絶縁膜の形成方法は、酸素欠損が少なく、リーク電流が低い良好な膜質を実現でき、高誘電体金属シリケート又は高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を有するトランジスタ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法を示す工程順の模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガスシーケンス図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるHf前駆体及びSi前駆体の暴露時間の決定方法を示すグラフである。(b)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における酸化剤の暴露時間の決定方法を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における酸化剤の暴露時間と、ハフニウム(Hf)に対する酸素(O)の組成比の化学量論値との関係を示すグラフである。
【図5】(a)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における成膜レート及び酸素ドーズ量の成膜温度依存性を示すグラフである。(b)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法における成膜レート及び酸素ドーズ量の成膜圧力依存性を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガスシーケンス図である。
【図7】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法を示す工程順の模式的な断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法におけるガスシーケンス図である。
【図9】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法であって、高誘電体金属シリケート(HfSiO)膜の堆積モデルを示す工程順の模式図である。
【図10】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係るゲート絶縁膜の形成方法であって、高誘電体金属シリケート(HfSiO)膜の堆積モデルを示す工程順の模式図である。
【図11】本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態並びに従来例に係る高誘電体金属シリケート(HfSiO)膜の酸化膜換算膜厚(EOT)とリーク電流のと関係を示すグラフである。
【図12】(a)は従来のゲート絶縁膜の材料によるEOTとリーク電流との関係を示すグラフである。(b)は高誘電体金属シリケートをゲート絶縁膜に用いた場合のゲート構造を示す模式的な断面図である。
【図13】(a)は従来の原子層堆積(ALD)法により高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成する場合のシーケンス図である。(b)及び(c)は従来のALD法による高誘電体金属シリケートの組成の調整方法を示す説明図である。
【図14】(a)及び(b)は本発明の課題を説明するためのグラフであって、(a)はHfOx膜の比誘電率及びリーク電流の酸素組成比(O/Hf比)依存性を示すグラフであり、(b)はリーク電流の、EOT及び酸素組成比(O/Hf比)依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0087】
1 半導体基板
2 界面層
3A Hf吸着層
3B 酸化ハフニウム(HfO2)膜
4A Si吸着層
4B 酸化シリコン(SiO2)膜
5A Hf−Si吸着層
5B ハフニウムシリケート(HfSiO)膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法であって、
前記半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、前記高誘電体金属シリケートを構成する金属元素を含む第1の前駆体に前記半導体基板を暴露することにより、前記半導体基板の上に前記第1の前駆体からなる第1の吸着層を形成する工程(a)と、
前記第1の前駆体をパージする工程(b)と、
前記第1の吸着層を酸化剤に暴露して、前記第1の吸着層を酸化することにより、前記第1の吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、
前記酸化剤をパージする工程(d)と、
前記工程(d)よりも後に、シリコンを含む第2の前駆体に前記金属酸化膜を暴露することにより、前記金属酸化膜の上に前記第2の前駆体からなる第2の吸着層を形成する工程(e)と、
前記第2の前駆体をパージする工程(f)と、
前記第2の吸着層を前記酸化剤に暴露して、前記第2の吸着層を酸化することにより、前記第2の吸着層からシリコン酸化膜を形成する工程(g)と、
前記酸化剤をパージする工程(h)とを備え、
前記工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、前記金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成し、且つ、前記工程(e)、工程(f)、工程(g)及び工程(h)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して前記シリコン酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、前記高誘電体金属シリケートを形成し、
前記工程(a)において、前記半導体基板の前記第1の前駆体への暴露時間は、前記1サイクルで堆積される前記金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
前記工程(c)において、前記第1の吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定し、
前記工程(e)において、前記金属酸化膜の前記第2の前駆体への暴露時間は、前記1サイクルで堆積される前記シリコン酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
前記工程(g)において、前記第2の吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記シリコン酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とするゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項2】
前記工程(c)及び工程(g)における前記酸化剤への暴露時間は、前記半導体基板当たり5秒以上であって、且つ、前記工程(c)における暴露時間及び前記工程(g)における暴露時間のうち、時間が長い工程に暴露時間を合わせることを特徴とする請求項1に記載のゲート絶縁膜形成方法。
【請求項3】
半導体基板の上に、高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法であって、
前記半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、前記高誘電体金属酸化物を構成する金属元素を含む前駆体に前記半導体基板を暴露することにより、前記半導体基板の上に前記前駆体からなる吸着層を形成する工程(a)と、
前記前駆体をパージする工程(b)と、
前記吸着層を酸化剤に暴露して、前記吸着層を酸化することにより、前記吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、
前記酸化剤をパージする工程(d)とを備え、
前記工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、前記金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、前記高誘電体金属酸化物を形成し、
前記工程(a)において、前記半導体基板の前記前駆体への暴露時間は、前記1サイクルで堆積される前記金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
前記工程(c)において、前記吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とするゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項4】
前記金属酸化膜は、酸化ハフニウム又は酸化ジルコニウムからなることを特徴とする請求項3に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項5】
前記前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であることを特徴とする請求項3に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項6】
半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法であって、
前記半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、前記高誘電体金属シリケートを構成する、金属元素を含む第1の前駆体とシリコンを含む第2の前駆体とに、前記高誘電体金属シリケートの組成比に合わせた混合比で前記半導体基板を暴露することにより、前記半導体基板の上に前記第1の前駆体及び第2の前駆体からなり、前記組成比と対応した組成比を持つ吸着層を形成する工程(a)と、
前記第1の前駆体及び第2の前駆体をパージする工程(b)と、
前記吸着層を酸化剤に暴露して、前記吸着層を酸化することにより、前記吸着層から金属シリケート膜を形成する工程(c)と、
前記酸化剤をパージする工程(d)とを備え、
前記工程(a)、工程(b)及び工程(c)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、前記金属シリケート膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、前記高誘電体金属シリケートを形成し、
前記工程(a)において、前記半導体基板の前記第1の前駆体及び第2の前駆体への暴露時間は、前記高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、前記1サイクルで堆積される1層分の厚さが飽和する時間のうちのいずれか長い方の時間とし、
前記工程(c)において、前記吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、前記金属の酸化膜における酸素の含有量及びシリコンの酸化膜における酸素の含有量がそれぞれ化学量論により決定される組成の97%以上となる時間のうちのいずれか長い方の時間とすることを特徴とするゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項7】
前記高誘電体金属シリケートは、ハフニウムシリケート(HfSiO)又はハフニウムランタンシリケート(HfLaSiO)であることを特徴とする請求項1又は6に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項8】
前記酸化剤は、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、重水(D2O)又は一酸化二窒素(N2O)又は酸素ラジカルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項9】
前記第1の前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であり、
前記第2の前駆体は、四塩化シリコン(SiCl4)、トリジメチルアミノシリコン(TDMAS)又はテトラエチルオルソシリケート(TEOS)であることを特徴とする請求項1又は6に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項10】
前記第1の前駆体及び第2の前駆体は、酸素を含むことを特徴とする請求項6に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項11】
前記酸化剤に暴露する工程において、
前記半導体基板に対する加熱温度は、原子層堆積(ALD)反応又は該原子層堆積(ALD)反応から化学気相堆積(CVD)反応に遷移するまでの温度であり、
前記所定の圧力は、前記半導体基板における面内均一性が悪化する直前までの圧力であることを特徴とする請求項1、3及び6のいずれか1項に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項12】
前記酸化剤に暴露する工程において、
前記半導体基板に対する加熱温度は、300℃以上で且つ化学気相堆積(CVD)反応が主体とならない温度であり、
前記所定の圧力は、1.33×102Pa以上且つ3.99×102Pa以下であることを特徴とする請求項1、3及び6のいずれか1項に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項1】
半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法であって、
前記半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、前記高誘電体金属シリケートを構成する金属元素を含む第1の前駆体に前記半導体基板を暴露することにより、前記半導体基板の上に前記第1の前駆体からなる第1の吸着層を形成する工程(a)と、
前記第1の前駆体をパージする工程(b)と、
前記第1の吸着層を酸化剤に暴露して、前記第1の吸着層を酸化することにより、前記第1の吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、
前記酸化剤をパージする工程(d)と、
前記工程(d)よりも後に、シリコンを含む第2の前駆体に前記金属酸化膜を暴露することにより、前記金属酸化膜の上に前記第2の前駆体からなる第2の吸着層を形成する工程(e)と、
前記第2の前駆体をパージする工程(f)と、
前記第2の吸着層を前記酸化剤に暴露して、前記第2の吸着層を酸化することにより、前記第2の吸着層からシリコン酸化膜を形成する工程(g)と、
前記酸化剤をパージする工程(h)とを備え、
前記工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、前記金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成し、且つ、前記工程(e)、工程(f)、工程(g)及び工程(h)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して前記シリコン酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、前記高誘電体金属シリケートを形成し、
前記工程(a)において、前記半導体基板の前記第1の前駆体への暴露時間は、前記1サイクルで堆積される前記金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
前記工程(c)において、前記第1の吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定し、
前記工程(e)において、前記金属酸化膜の前記第2の前駆体への暴露時間は、前記1サイクルで堆積される前記シリコン酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
前記工程(g)において、前記第2の吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記シリコン酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とするゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項2】
前記工程(c)及び工程(g)における前記酸化剤への暴露時間は、前記半導体基板当たり5秒以上であって、且つ、前記工程(c)における暴露時間及び前記工程(g)における暴露時間のうち、時間が長い工程に暴露時間を合わせることを特徴とする請求項1に記載のゲート絶縁膜形成方法。
【請求項3】
半導体基板の上に、高誘電体金属酸化物からなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法であって、
前記半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、前記高誘電体金属酸化物を構成する金属元素を含む前駆体に前記半導体基板を暴露することにより、前記半導体基板の上に前記前駆体からなる吸着層を形成する工程(a)と、
前記前駆体をパージする工程(b)と、
前記吸着層を酸化剤に暴露して、前記吸着層を酸化することにより、前記吸着層から金属酸化膜を形成する工程(c)と、
前記酸化剤をパージする工程(d)とを備え、
前記工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、前記金属酸化膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、前記高誘電体金属酸化物を形成し、
前記工程(a)において、前記半導体基板の前記前駆体への暴露時間は、前記1サイクルで堆積される前記金属酸化膜の1層の厚さが飽和する時間で決定し、
前記工程(c)において、前記吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記金属酸化膜における酸素の含有量が化学量論により決定される組成の97%以上となる時間で決定することを特徴とするゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項4】
前記金属酸化膜は、酸化ハフニウム又は酸化ジルコニウムからなることを特徴とする請求項3に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項5】
前記前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であることを特徴とする請求項3に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項6】
半導体基板の上に、高誘電体金属シリケートからなるゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜の形成方法であって、
前記半導体基板を500℃以下の温度で且つ所定の圧力下に保持した状態で、前記高誘電体金属シリケートを構成する、金属元素を含む第1の前駆体とシリコンを含む第2の前駆体とに、前記高誘電体金属シリケートの組成比に合わせた混合比で前記半導体基板を暴露することにより、前記半導体基板の上に前記第1の前駆体及び第2の前駆体からなり、前記組成比と対応した組成比を持つ吸着層を形成する工程(a)と、
前記第1の前駆体及び第2の前駆体をパージする工程(b)と、
前記吸着層を酸化剤に暴露して、前記吸着層を酸化することにより、前記吸着層から金属シリケート膜を形成する工程(c)と、
前記酸化剤をパージする工程(d)とを備え、
前記工程(a)、工程(b)及び工程(c)とを1サイクルとして少なくとも1回実行して、前記金属シリケート膜における原子層レベルの少なくとも1層分を形成することにより、前記高誘電体金属シリケートを形成し、
前記工程(a)において、前記半導体基板の前記第1の前駆体及び第2の前駆体への暴露時間は、前記高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、前記1サイクルで堆積される1層分の厚さが飽和する時間のうちのいずれか長い方の時間とし、
前記工程(c)において、前記吸着層の前記酸化剤への暴露時間は、前記高誘電体金属シリケートを構成する金属の酸化膜とシリコンの酸化膜とを独立に堆積した場合の、前記金属の酸化膜における酸素の含有量及びシリコンの酸化膜における酸素の含有量がそれぞれ化学量論により決定される組成の97%以上となる時間のうちのいずれか長い方の時間とすることを特徴とするゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項7】
前記高誘電体金属シリケートは、ハフニウムシリケート(HfSiO)又はハフニウムランタンシリケート(HfLaSiO)であることを特徴とする請求項1又は6に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項8】
前記酸化剤は、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、重水(D2O)又は一酸化二窒素(N2O)又は酸素ラジカルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項9】
前記第1の前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl4)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)又はテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)であり、
前記第2の前駆体は、四塩化シリコン(SiCl4)、トリジメチルアミノシリコン(TDMAS)又はテトラエチルオルソシリケート(TEOS)であることを特徴とする請求項1又は6に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項10】
前記第1の前駆体及び第2の前駆体は、酸素を含むことを特徴とする請求項6に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項11】
前記酸化剤に暴露する工程において、
前記半導体基板に対する加熱温度は、原子層堆積(ALD)反応又は該原子層堆積(ALD)反応から化学気相堆積(CVD)反応に遷移するまでの温度であり、
前記所定の圧力は、前記半導体基板における面内均一性が悪化する直前までの圧力であることを特徴とする請求項1、3及び6のいずれか1項に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【請求項12】
前記酸化剤に暴露する工程において、
前記半導体基板に対する加熱温度は、300℃以上で且つ化学気相堆積(CVD)反応が主体とならない温度であり、
前記所定の圧力は、1.33×102Pa以上且つ3.99×102Pa以下であることを特徴とする請求項1、3及び6のいずれか1項に記載のゲート絶縁膜の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−170439(P2009−170439A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3336(P2008−3336)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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