パターン形成方法及びレジスト組成物
【解決手段】ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位含有高分子化合物及び酸発生剤又はヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位と露光により酸を発生する繰り返し単位含有高分子化合物と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得るパターン形成方法。
【効果】ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した繰り返し単位含有高分子化合物と酸発生剤とパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩を含むフォトレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴を有する。
【効果】ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した繰り返し単位含有高分子化合物と酸発生剤とパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩を含むフォトレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分が溶解し、露光部分が溶解しないネガティブトーンを形成するためのパターン形成方法及びこれに用いるレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスが量産された。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは、1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光し、ハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるが、ピッチを狭くすることはできない。
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0008】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0009】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0010】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物は、キシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−t−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0011】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜3(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特許第4554665号公報)にパターン形成方法が示されている。
【0012】
これらの提案において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献4(特許第4590431号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献5(特開2008−309879号公報)に示されている。
【0013】
フッ素化されたアルカンスルホン酸やフッ素化されたアリールスルホン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩とカルボン酸又はフルオロカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩の両方を添加したポジ型レジスト組成物が提案されている(特許文献6,7:特開2008−158339号公報、特許第3991462号公報)。2種類の酸強度の酸発生剤をブレンドすることによって、光照射で2種類の酸強度の酸が発生する。強酸のスルホン酸は、分解前の弱酸のカルボン酸、フルオロカルボン酸のオニウム塩と塩交換を起こし、スルホン酸はオニウム塩となる。即ち保護基を脱保護させるためのスルホン酸は中性のオニウム塩になってしまうために、弱酸のカルボン酸やフルオロカルボン酸のオニウム塩はクエンチャーとして機能する。しかしながら、カルボン酸、フルオロカルボン酸はスルホン酸との塩交換反応の速度が遅く、クエンチャーとしての機能が低いという問題点があった。塩交換反応が早く、クエンチャーとしての機能に優れる弱酸のオニウム塩の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特許第4554665号公報
【特許文献4】特許第4590431号公報
【特許文献5】特開2008−309879号公報
【特許文献6】特開2008−158339号公報
【特許文献7】特許第3991462号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
脱保護反応によって酸性のカルボキシル基などが生成し、アルカリ現像液に溶解するポジ型レジストシステムに比べると、有機溶剤現像の溶解コントラストは低い。アルカリ現像液の場合、未露光部と露光部のアルカリ溶解速度の割合は1,000倍以上の違いがあるが、有機溶剤現像の場合10倍程度の違いしかない。アルカリ水現像の場合はカルボキシル基との中和反応によって溶解速度が向上するが、有機溶剤現像の場合は反応を伴うことがなく、溶媒和による溶解だけなので溶解速度が低い。未露光部の溶解速度の向上だけでなく、膜が残る部分の露光領域での溶解速度を低くすることも必要である。露光部分の溶解速度が大きいと残膜厚が低くなって、現像後のパターンのエッチングによる下地の加工ができなくなる。更には、溶解から不溶解になる露光量に対する傾き(γ)を高くすることが重要である。γが低いと逆テーパー形状になり易く、ラインパターンではパターン倒れが生じ、好ましくない。垂直なパターンを得るためには、なるべく高γの溶解コントラストが必要である。前述の特許文献1〜3には、従来型のアルカリ水溶液現像型のフォトレジスト組成物が記載されているが、これらの有機溶剤現像における溶解コントラストは低い。露光部と未露光部の溶解速度差を大きくし、かつ溶解のコントラスト(γ)を高くするための新規な材料開発が望まれている。
ネガティブ現像でホールを形成しようとする場合、ホールの外側は光が当たっており、酸が過剰に発生している。酸がホールの内側に拡散してくるとホールが開口しなくなるため、酸拡散の制御も重要である。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、有機溶剤現像において溶解コントラストが大きく、かつ高感度なレジスト組成物及び有機溶剤による現像によってポジネガ反転によるホールパターンを形成するパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した繰り返し単位を含む高分子化合物に、酸発生剤と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩をブレンドしたレジスト組成物を用いることにより、露光、ポストエクスポージャーベーク(PEB)後、有機溶剤現像によってネガパターンを寸法均一性よく形成できることを見出した。
【0019】
従って、本発明は、下記のパターン形成方法及びレジスト組成物を提供する。
〔1〕
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する高分子化合物及び酸発生剤又はヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位と露光により酸を発生する繰り返し単位を有する高分子化合物と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
〔2〕
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4から選ばれる1以上の繰り返し単位を有するものであることを特徴とする〔1〕に記載のパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
〔3〕
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩が、下記一般式(2)で示される(Q1)又は(Q2)であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
〔4〕
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔5〕
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔6〕
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔5〕に記載のパターン形成方法。
〔7〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔9〕
レジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、次いで高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、ネガティブパターンを得るための下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換された繰り返し単位a1〜a4の内の1以上のヒドロキシ基の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、下記一般式(2)で示されるパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩(Q1)又はヨードニウム塩(Q2)と、有機溶剤とを含有することを特徴とするレジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【化4】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【発明の効果】
【0020】
ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した繰り返し単位を含む高分子化合物と酸発生剤とパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩を含むフォトレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴を有する。このフォトレジスト膜を用いて露光し、有機溶剤現像を行うことによって、微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るパターニング方法を説明するもので、(A)は基板上にフォトレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はフォトレジスト膜に露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】ArF露光パターニング評価(1)で用いた格子状マスクを示す。
【図16】X方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図17】Y方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図18】X方向とY方向の両方のラインのコントラストを向上させるクロスポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、上述したように、ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を含む高分子化合物とパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩をベースとするレジスト組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱し、有機溶剤現像液で現像してネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法及びこれに用いるレジスト組成物を提案するものである。
【0023】
ここで、特表平10−500950号公報には多くのパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸が紹介されている。特開平7−181685号公報では、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のアミン塩を水に溶解させた、レジスト上層の反射防止膜が紹介されている。パーフルオロアルキルエーテル基は、アルキル基の中にエーテル基を有するためパーフルオロアルキル基よりもフレキシビリティーに富んでいる。このフレキシビリティーの効果のためか、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸との塩交換反応がパーフルオロアルキルカルボン酸よりも早い特徴がある。塩交換反応が早いとクエンチャーとしての能力が高いことを示す。以下、弱酸のオニウム塩のクエンチャーとして働く機構と、これによる効果を記載する。
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩と、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のオニウム塩とを共存させると、光照射によってパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸と、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の両方の酸が発生する。一方、露光量の少ない部分には分解していない多くのオニウム塩が存在している。酸強度の強いα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸は脱保護反応を引き起こすための触媒として機能するが、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸は脱保護反応を起こすことはない。酸強度の強いα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸は、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩とイオン交換し、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のオニウム塩となり、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸が放出される。即ち、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は、イオン交換によって、脱保護反応触媒のα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸を中和することによってクエンチャーとして機能する。
露光中にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の発生と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩との塩交換が数限りなく繰り返される。露光の最後にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸が発生する場所は、最初のα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のオニウム塩が存在している場所とは異なっている。光による酸の発生と塩交換と酸の発生のサイクルが何度も繰り返されることによって酸の発生ポイントが平均化され、これによって現像後のレジストパターンのエッジラフネスが小さくなる。
【0024】
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は光分解性があるために、光強度が強い部分のクエンチ能が低下すると共にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の濃度が増加する。これによって露光部分の脱保護反応のコントラストが向上する。有機溶剤によるネガティブトーンの形成において、露光部のコントラストが向上すると、ネガティブパターンの矩形性が向上する。パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩はα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の拡散を抑える効果も高い。これは、交換後のオニウム塩の分子量が大きいために、動きにくくなっていることによる。ネガティブ現像でホールパターンを形成する場合は、酸の発生領域が多いために、露光部分から未露光部分に拡散していく酸の制御が重要である。このため、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩や、酸によってアミン化合物が発生するカーバメート化合物の添加は、酸拡散の制御の観点から重要である。酸不安定基が酸に対して特に敏感なアセタール基である場合は、保護基を脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。この時のクエンチャーとしてもパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩を用いることができる。
【0025】
以下、本発明のレジスト組成物成分について更に詳述する。
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物としては、下記一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4で表すことができる。
【化5】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【0026】
ここで、a1の繰り返し単位において、−R2−(OR3)mは、直鎖状又は分岐状のアルキル基よりm個の水素原子が脱離し、該脱離した水素原子の代わりにOR3基が導入した基、又は−C(=O)−O−基の−O−基に対し、直接、又は直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又は−R0−COO−基(R0は単結合又は直鎖状、分岐状又は環状のエーテル結合を含んでもよいアルキレン基)を介して結合した下記環状構造のいずれかの基に更にm個のOR3又は−R00−OR3(R00はエーテル結合を含んでもよいアルキレン基)が結合した基を示す(但し、結合位置は任意である)。
【0027】
【化6】
【0028】
一般式(1)で示される繰り返し単位a1、a2を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
一般式(1)で示される繰り返し単位a3、a4を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。ここで、Rは酸不安定基である。
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
更に、繰り返し単位a1〜a4に加えて、下記に示すカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位bを共重合することもできる。
【化18】
(式中、R15は水素原子又はメチル基、R16は酸不安定基、Zは単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−R17−であり、R17は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基のいずれかを有していてもよく、あるいはR17はフェニレン基又はナフチレン基である。)
【0040】
ここで、繰り返し単位bを得るためのモノマーMbは、下記式で示される。
【化19】
(式中、R15、R16、Zは前述と同様である。)
【0041】
繰り返しモノマーMbのZを変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。
【化20】
【0042】
上記に示した繰り返し単位a1、a2、b中のR3、R5、R16で示される酸不安定基、繰り返し単位a3、a4のR6〜R9、R10〜R13の中のヒドロキシ基を置換した酸不安定基Rは種々選定され、互いに同一であっても異なっていてもよいが、特に下記式(AL−10)で示される基、下記式(AL−11)で示されるアセタール基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0043】
【化21】
【0044】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R52とR53、R52とR54、又はR53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、又はR56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0045】
式(AL−10)に示される酸不安定基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0046】
【化22】
【0047】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0048】
前記式(AL−11)で示されるアセタール基を(AL−11)−1〜(AL−11)−112に例示する。
【0049】
【化23】
【0050】
【化24】
【0051】
【化25】
【0052】
【化26】
【0053】
【化27】
【0054】
【化28】
【0055】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0056】
【化29】
【0057】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0058】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基として、具体的には下記式(AL−11)−113〜(AL−11)−120に示すものが挙げられる。
【0059】
【化30】
【0060】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【0061】
【化31】
【0062】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R64同士が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0063】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17のR64は前述と同様、R68は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は0〜3の整数である。式(AL−12)−17は上記酸不安定基の全てに適用される。
【0064】
【化32】
【0065】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0066】
【化33】
【0067】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4と、場合によっては繰り返し単位bの酸不安定基を有する繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸エステル基、ジスルホン基、カーボネート基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。これらの中で、ラクトン環を密着性基として有するものが最も好ましく用いられる。
繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0068】
【化34】
【0069】
【化35】
【0070】
【化36】
【0071】
【化37】
【0072】
【化38】
【0073】
【化39】
【0074】
【化40】
【0075】
【化41】
【0076】
【化42】
【0077】
【化43】
【0078】
【化44】
【0079】
【化45】
【0080】
【化46】
【0081】
更に、下記一般式で示されるスルホニウム塩(d1)〜(d3)のいずれかを共重合することもできる。
【化47】
(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、0≦d1+d2+d3≦0.3の範囲である。)
【0082】
上記繰り返し単位以外には、特開2008−281980号公報に記載の非脱離性炭化水素基を有する繰り返し単位eを挙げることができる。特開2008−281980号公報に記載されていない非脱離性炭化水素基としてはインデン類、アセナフチレン類、ノルボルナジエン類を重合体として挙げることができる。非脱離性炭化水素基を有する繰り返し単位eを共重合することによって、有機溶剤現像液への溶解性を向上させることができる。
【0083】
更には、オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位fを共重合することもできる。オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位fを共重合することによって、露光部が架橋するために、露光部分の残膜特性とエッチング耐性が向上する。
オキシラン環、オキセタン環を有する繰り返し単位fは、具体的には下記に例示される。なお、下記例中、R18は水素原子又はメチル基である。
【0084】
【化48】
【0085】
【化49】
【0086】
上記繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、c、d1、d2、d3、e、fにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0、0≦b<1.0、0<c<1.0、0≦d1<0.3、0≦d2<0.3、0≦d3<0.3、0≦d1+d2+d3≦0.3、0≦e≦0.4、0≦f≦0.6、好ましくは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0≦a3≦0.9、0≦a4≦0.9、0.1≦a1+a2+a3+a4≦0.9、0≦b≦0.9、0.1≦c≦0.9、0≦d1≦0.2、0≦d2≦0.2、0≦d3≦0.2、0≦d1+d2+d3≦0.2、0≦e≦0.3、0≦f≦0.5の範囲である。なお、a1+a2+a3+a4+b+c+d1+d2+d3+e+f=1である。
【0087】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、テトラヒドロフラン(THF)溶液によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなったり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0088】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0089】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、c、d1、d2、d3、e、fを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0090】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたスルホンアミド基を含まないポリマーあるいは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基もしくはカルボキシル基で置換された繰り返し単位、例えば繰り返し単位bやcを有するポリマーとブレンドすることも可能である。
【0091】
更には、アルカリ現像によって露光部が溶解する従来型の(メタ)アクリレートポリマー、ポリノルボルネン、シクロオレフィン無水マレイン酸共重合体、ROMPなどをブレンドすることも可能であるし、アルカリ現像によって露光部は溶解しないが、有機溶剤現像でネガパターンを形成することができるヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートポリマーをブレンドすることもできる。
【0092】
本発明のパターン形成方法に用いられるパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は、下記一般式(2)に示すことができる。
【化50】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【0093】
一般式(2)中のアニオン部分のパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸イオンR14−COO-は、具体的には下記に例示することができる。
【化51】
【0094】
【化52】
【0095】
一般式(2)中のカチオン部分は、具体的には下記に例示することができる。
【化53】
【0096】
【化54】
【0097】
【化55】
【0098】
【化56】
【0099】
【化57】
【0100】
これらのカチオン中で、熱安定性を考慮するとスルホニウム塩としてはトリアリールスルホニウム塩が好ましく用いられる。本発明のパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸の酸強度が低いために、アルキルスルホニウムカチオンとの組み合わせでは熱安定性が低くて実用に耐えない場合がある。
【0101】
上記ポジ型レジスト組成物は、上述したように、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いて上記レジスト膜の未露光部分を溶解する一方、露光部分が膜として残り、ホールやトレンチ等のネガティブトーンのレジストパターンを形成する。
【0102】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、アセチレンアルコール類、その他の成分を含有することができる。
【0103】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、特に化学増幅ポジ型レジスト組成物として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。酸発生剤から発生してくる酸としては、スルホン酸、イミド酸、メチド酸を挙げることができる。これらの中でα位がフッ素化されたスルホン酸が最も一般的に用いられるが、酸不安定基が脱保護し易いアセタール基の場合は必ずしもα位がフッ素化されている必要はない。ベースポリマーとして酸発生剤の繰り返し単位d1、d2、d3を共重合している場合は、添加型の酸発生剤は必ずしも必須ではない。
【0104】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。アセタール系の酸不安定基を用いる場合は、アセタール基の脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶剤、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等を加えることもできる。
【0105】
本発明は、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩をクエンチャーとして含有することを特徴とするが、アミン類などの塩基性化合物を添加することもできる。
【0106】
塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
また、特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、特許第3991462号公報、特許第426803号公報に記載のカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして併用することもできる。
【0107】
酸不安定基が酸に対して特に敏感なアセタール基である場合は、保護基を脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。この時のクエンチャーとしてはスルホン酸のオニウム塩を用いることができないため、このような場合は本発明のパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩単独で用いることが好ましい。
【0108】
界面活性剤は特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤は特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0109】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報に例示されている。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤の添加量は、レジスト組成物のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0110】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
また、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類の配合量は、その配合目的に応じて適宜選定し得る。
【0111】
本発明に係るパターニング方法は、図1に示される。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してポジ型レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0112】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV、電子ビーム(EB)が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。この場合、保護膜形成用組成物は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位等のモノマーから得られるものが挙げられる。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0113】
保護膜形成用組成物にアミン化合物又はアミン塩を配合あるいはアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を用いることは、フォトレジストの露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜材料としては特開2008−3569号公報に記載の材料、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜材料としては特開2007−316448号公報に記載の材料を用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記フォトレジスト添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、保護膜形成用組成物のベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0114】
フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特にネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことが起きる。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。一方、カルボキシル基やスルホ基等の酸化合物を添加、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースとした保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0115】
このように、本発明においては、酸不安定基で置換された一般式(1)で示される特定のヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線でレジスト膜を露光、好ましくは液浸露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることが好ましく、この場合、保護膜を形成する材料として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとしてアミノ基又はアミン塩を有する化合物を添加した材料、あるいは前記高分子化合物中にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した材料をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料を用いることが好ましい。
【0116】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位としては、[化43]、[化44]、[化45]で示したモノマーの内、ヒドロキシ基を有するモノマーを用いて得られたものを挙げることができる。
アミノ基を有する化合物としては、フォトレジスト組成物に添加される特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載のアミン化合物を用いることができる。
アミン塩を有する化合物としては、前記アミン化合物のカルボン酸塩又はスルホン酸塩を用いることができる。
【0117】
炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールを挙げることができる。
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルを挙げることができる。
【0118】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。
【0119】
更に、図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。このときの現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類を好ましく用いることができる。
【0120】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0121】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
【0122】
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。また、リンスを行わずに、現像液をスピンドライとベークによって乾燥させることもできる。
【0123】
反転後のホールパターンをRELACSTM技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト層からの酸触媒の拡散によってレジストの表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は70〜180℃、好ましくは80〜170℃で、時間は10〜300秒であり、余分なシュリンク剤を除去しホールパターンを縮小させる。シュリンク剤の除去は水、現像液、アルコール溶剤又はこれらの混合物が用いられる。カルボキシル基が酸不安定基で置換された従来型のレジストポリマーを用いて有機溶剤のネガ現像を行った場合は、残ったレジスト膜はアルカリ可溶のカルボキシル基含有の膜であるので、シュリンク剤の剥離をアルカリ現像液で行うとシュリンク剤だけでなくレジスト膜も溶解してしまいパターンが全て無くなってしまうが、本発明のヒドロキシ基が酸不安定基で置換されたレジストベースポリマーの場合は、脱保護後のレジスト膜がアルカリ現像液に溶解しないためにアルカリ現像液によるシュリンク剤の剥離も可能である。
【0124】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
【0125】
ここで、本発明においては、ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することが好ましく、格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることが好ましい。この場合、ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成すること、あるいはハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することが好ましい。
以下、更に詳述する。
【0126】
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。
図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0127】
X、Y方向のラインを2回のダイポール照明と偏光照明を組み合わせた露光は、最も高コントラストの光が形成される方法であるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。マスクを交換しながら2回の露光を連続して行うためには、露光装置側のマスクのステージを2つ設ける必要があるが、現在の露光装置のマスクのステージは1つである。この場合、1枚露光する毎にマスクを交換するのではなく、FOUP(ウエハーケース)に入った25枚ウエハーをX方向のラインの露光を連続して行い、次にマスクを交換して同じ25枚のウエハーを連続してY方向のラインの露光を行う方がスループットを上げることができる。しかしながら、25枚のウエハーの最初のウエハーが次の露光されるまでの時間が長くなることによって環境の影響で現像後のレジスト膜の寸法や形状が変化してしまう問題が生じる。2回目の露光までのウエハー待機中の環境の影響を遮断するために、レジスト膜の上層に保護膜を敷くことが有効である。
マスクを1枚で済ませるために、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(前述非特許文献1)。この方法では、前述の2枚のマスクを用いる方法に比べると光学コントラストが若干低下するが、1枚のマスクを用いることができるためにスループットが向上する。前述の非特許文献1では、格子状のパターンのマスクを用いてX方向のダイポール照明によってX方向のラインを形成し、光照射によってX方向のラインを不溶化し、この上にもう一度フォトレジスト膜を塗布し、Y方向のダイポール照明によってY方向のラインを形成し、X方向のラインとY方向のラインの隙間にホールパターンを形成している。この方法では、マスクは1枚で済むが、2回の露光の間に1回目のフォトレジストパターンの不溶化処理と2回目のフォトレジスト膜の塗布と現像のプロセスが入るために、2回の露光間にウエハーが露光ステージから離れ、この時にアライメントエラーが大きくなる問題が生じる。2回の露光間のアライメントエラーを最小にするためには、ウエハーを露光ステージから離さずに連続して2回の露光を行う必要がある。
格子状のパターンのマスクを用いてX方向(水平方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図16に示される。Y方向(垂直方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図17に示される。ダイポール照明にs偏光照明を加えると更にコントラストが向上するので好ましく用いられる。格子状のマスクを用いてX方向のラインとY方向のラインを形成する2回の露光を重ねて行ってネガティブトーンの現像を行うと、ホールパターンが形成される。
格子状のマスクを用いて1回の露光でホールパターンを形成する場合は、図18に示されるアパチャー形状の4重極照明(クロスポール照明)を用いる。これにX−Y偏光照明あるいは円形偏光のAzimuthally偏光照明を組み合わせてコントラストを向上させる。
【0128】
本発明のホールパターンの形成方法では、露光を2回行う場合、1回目の露光と2回目の露光の照明とマスクを変更して露光を行う方法が最も高コントラストで微細なパターンを寸法均一性よく形成できる。1回目の露光と2回目の露光に用いられるマスクは1回目のラインパターンと2回目のラインとが交差した交点に現像後のレジストのホールパターンを形成する。1回目のラインと2回目のラインの角度は直交が好ましいが、90度以外の角度でも構わなく、1回目のラインの寸法と2回目のラインの寸法やピッチが同じであっても異なってもよい。1回目のラインと、これと異なる位置に2回目のラインが1枚のマスクに有するマスクを用いて1回目の露光と2回目の露光を連続露光することも可能であるが、この場合露光できる最大の面積が半分になる。但し連続露光を行う場合は、アライメントエラーを最小にすることができる。もちろん1回の露光では、2回の連続露光よりもアライメントのエラーを小さくすることができる。
1枚のマスクを用いて、露光面積を縮小することなく2回の露光を行うためには、マスクパターンとしては、図5に示される格子状のパターンを用いる場合、図7に示されるドットパターンを用いる場合、図11に示されるドットパターンと格子状パターンを組み合わせる場合がある。
格子状のパターンを用いる方が最も光のコントラストが向上するが、光の強度が低下するためにレジスト膜の感度が低下する欠点がある。一方ドットパターンを用いる方法は光のコントラストが低下するが、レジスト膜の感度が向上するメリットがある。
ホールパターンが水平と垂直方向に配列されている場合は前記の照明とマスクパターンを用いるが、これ以外の角度例えば45度の方向に配列している場合は、45度に配列しているパターンのマスクとダイポール照明あるいはクロスポール照明を組み合わせる。
2回の露光を行う場合はX方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた露光と、Y方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた2回の露光を行う。1枚のマスクを用いてX方向とY方向のコントラストを強調した2回の連続した露光は、現在の市販のスキャナーで行うことが可能である。
格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせる方法は、2回のダイポール照明の露光に比べると若干光のコントラストが低下するものの1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれるし、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0129】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように、非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6では、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0130】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストが図8に示される。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低くなるものの、黒い遮光部分が存在するためにホールパターンの形成は可能である。
【0131】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成が困難である。密集パターンは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によってコントラストを向上することができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0132】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはフォトレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、フォトレジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。フォトレジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0133】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
図9のマスクの光学像のコントラストイメージが図10に示される。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりするなどの更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0134】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージが図12に示される。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0135】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
【実施例】
【0136】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、分子量及び分散度はテトラヒドロフラン(THF)溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。なお、分子量及び分散度はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0137】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてTHF溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(レジストポリマー1〜20)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0138】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化58】
【0139】
レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化59】
【0140】
レジストポリマー3
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化60】
【0141】
レジストポリマー4
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化61】
【0142】
レジストポリマー5
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化62】
【0143】
レジストポリマー6
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化63】
【0144】
レジストポリマー7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化64】
【0145】
レジストポリマー8
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.55
【化65】
【0146】
レジストポリマー9
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化66】
【0147】
レジストポリマー10
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化67】
【0148】
レジストポリマー11
分子量(Mw)=10,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化68】
【0149】
レジストポリマー12
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化69】
【0150】
レジストポリマー13
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.85
【化70】
【0151】
レジストポリマー14
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化71】
【0152】
レジストポリマー15
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化72】
【0153】
レジストポリマー16
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化73】
【0154】
レジストポリマー17
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化74】
【0155】
レジストポリマー18
分子量(Mw)=6,700
分散度(Mw/Mn)=1.59
【化75】
【0156】
レジストポリマー19
分子量(Mw)=33,700
分散度(Mw/Mn)=1.94
【化76】
【0157】
レジストポリマー20
分子量(Mw)=6,100
分散度(Mw/Mn)=1.64
【化77】
【0158】
ポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性保護膜形成用組成物の調製
上記合成例で得た高分子化合物(レジストポリマー1〜20)及び撥水性ポリマーを用いて下記表1に示す組成で溶解させた溶液、及び下記表2に示す組成で溶解させた保護膜形成用組成物溶液をそれぞれ0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して各溶液を調製した。
【0159】
表1中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1〜6(下記構造式参照)
【化78】
【0160】
保護膜ポリマー1
分子量(Mw)=9,200
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化79】
【0161】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化80】
【0162】
塩基性化合物:クエンチャー1〜6、比較クエンチャー1〜4(下記構造式参照)
【化81】
【化82】
【0163】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
[実施例及び比較例]
ArF露光パターニング評価(1)
表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に、場合によって表2に示す保護膜形成用組成物(保護膜1)をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図15に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表3に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。ホールパターンの断面形状を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡S−4300で観察した。結果を表3示す。本発明のレジストは有機溶剤現像後のパターンの寸法均一性に優れ、垂直なパターンを得ることができる。
【0167】
【表3】
【0168】
ArF露光パターニング評価(2)
表4に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表4に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから安息香酸メチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、キシレンでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表4に示す。
【0169】
【表4】
【0170】
ArF露光パターニング評価(3)
表5に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表5に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0171】
【表5】
【0172】
ArF露光パターニング評価(4)
表6に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのX方向のラインが配列されたマスク)を用い、これに適合したダイポール照明で第1回目の露光を行い、次いで6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのY方向のラインが配列されたマスクを用い、これに適合したダイポール照明で第2回目の露光を行い、露光後表6に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表6に示す。
【0173】
【表6】
【0174】
ArF露光パターニング評価(5)
表7に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表7に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表7に示す溶剤を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表7に示す。
【0175】
【表7】
【0176】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0177】
10 基板
20 被加工基板
30 中間介在層
40 レジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分が溶解し、露光部分が溶解しないネガティブトーンを形成するためのパターン形成方法及びこれに用いるレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスが量産された。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは、1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光し、ハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるが、ピッチを狭くすることはできない。
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0008】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0009】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0010】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物は、キシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−t−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0011】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜3(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特許第4554665号公報)にパターン形成方法が示されている。
【0012】
これらの提案において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献4(特許第4590431号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献5(特開2008−309879号公報)に示されている。
【0013】
フッ素化されたアルカンスルホン酸やフッ素化されたアリールスルホン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩とカルボン酸又はフルオロカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩の両方を添加したポジ型レジスト組成物が提案されている(特許文献6,7:特開2008−158339号公報、特許第3991462号公報)。2種類の酸強度の酸発生剤をブレンドすることによって、光照射で2種類の酸強度の酸が発生する。強酸のスルホン酸は、分解前の弱酸のカルボン酸、フルオロカルボン酸のオニウム塩と塩交換を起こし、スルホン酸はオニウム塩となる。即ち保護基を脱保護させるためのスルホン酸は中性のオニウム塩になってしまうために、弱酸のカルボン酸やフルオロカルボン酸のオニウム塩はクエンチャーとして機能する。しかしながら、カルボン酸、フルオロカルボン酸はスルホン酸との塩交換反応の速度が遅く、クエンチャーとしての機能が低いという問題点があった。塩交換反応が早く、クエンチャーとしての機能に優れる弱酸のオニウム塩の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特許第4554665号公報
【特許文献4】特許第4590431号公報
【特許文献5】特開2008−309879号公報
【特許文献6】特開2008−158339号公報
【特許文献7】特許第3991462号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
脱保護反応によって酸性のカルボキシル基などが生成し、アルカリ現像液に溶解するポジ型レジストシステムに比べると、有機溶剤現像の溶解コントラストは低い。アルカリ現像液の場合、未露光部と露光部のアルカリ溶解速度の割合は1,000倍以上の違いがあるが、有機溶剤現像の場合10倍程度の違いしかない。アルカリ水現像の場合はカルボキシル基との中和反応によって溶解速度が向上するが、有機溶剤現像の場合は反応を伴うことがなく、溶媒和による溶解だけなので溶解速度が低い。未露光部の溶解速度の向上だけでなく、膜が残る部分の露光領域での溶解速度を低くすることも必要である。露光部分の溶解速度が大きいと残膜厚が低くなって、現像後のパターンのエッチングによる下地の加工ができなくなる。更には、溶解から不溶解になる露光量に対する傾き(γ)を高くすることが重要である。γが低いと逆テーパー形状になり易く、ラインパターンではパターン倒れが生じ、好ましくない。垂直なパターンを得るためには、なるべく高γの溶解コントラストが必要である。前述の特許文献1〜3には、従来型のアルカリ水溶液現像型のフォトレジスト組成物が記載されているが、これらの有機溶剤現像における溶解コントラストは低い。露光部と未露光部の溶解速度差を大きくし、かつ溶解のコントラスト(γ)を高くするための新規な材料開発が望まれている。
ネガティブ現像でホールを形成しようとする場合、ホールの外側は光が当たっており、酸が過剰に発生している。酸がホールの内側に拡散してくるとホールが開口しなくなるため、酸拡散の制御も重要である。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、有機溶剤現像において溶解コントラストが大きく、かつ高感度なレジスト組成物及び有機溶剤による現像によってポジネガ反転によるホールパターンを形成するパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した繰り返し単位を含む高分子化合物に、酸発生剤と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩をブレンドしたレジスト組成物を用いることにより、露光、ポストエクスポージャーベーク(PEB)後、有機溶剤現像によってネガパターンを寸法均一性よく形成できることを見出した。
【0019】
従って、本発明は、下記のパターン形成方法及びレジスト組成物を提供する。
〔1〕
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する高分子化合物及び酸発生剤又はヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位と露光により酸を発生する繰り返し単位を有する高分子化合物と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
〔2〕
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4から選ばれる1以上の繰り返し単位を有するものであることを特徴とする〔1〕に記載のパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
〔3〕
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩が、下記一般式(2)で示される(Q1)又は(Q2)であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
〔4〕
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔5〕
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔6〕
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔5〕に記載のパターン形成方法。
〔7〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔9〕
レジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、次いで高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、ネガティブパターンを得るための下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換された繰り返し単位a1〜a4の内の1以上のヒドロキシ基の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、下記一般式(2)で示されるパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩(Q1)又はヨードニウム塩(Q2)と、有機溶剤とを含有することを特徴とするレジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【化4】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【発明の効果】
【0020】
ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した繰り返し単位を含む高分子化合物と酸発生剤とパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩を含むフォトレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴を有する。このフォトレジスト膜を用いて露光し、有機溶剤現像を行うことによって、微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るパターニング方法を説明するもので、(A)は基板上にフォトレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はフォトレジスト膜に露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】ArF露光パターニング評価(1)で用いた格子状マスクを示す。
【図16】X方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図17】Y方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図18】X方向とY方向の両方のラインのコントラストを向上させるクロスポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、上述したように、ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を含む高分子化合物とパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩をベースとするレジスト組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱し、有機溶剤現像液で現像してネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法及びこれに用いるレジスト組成物を提案するものである。
【0023】
ここで、特表平10−500950号公報には多くのパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸が紹介されている。特開平7−181685号公報では、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のアミン塩を水に溶解させた、レジスト上層の反射防止膜が紹介されている。パーフルオロアルキルエーテル基は、アルキル基の中にエーテル基を有するためパーフルオロアルキル基よりもフレキシビリティーに富んでいる。このフレキシビリティーの効果のためか、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸との塩交換反応がパーフルオロアルキルカルボン酸よりも早い特徴がある。塩交換反応が早いとクエンチャーとしての能力が高いことを示す。以下、弱酸のオニウム塩のクエンチャーとして働く機構と、これによる効果を記載する。
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩と、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のオニウム塩とを共存させると、光照射によってパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸と、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の両方の酸が発生する。一方、露光量の少ない部分には分解していない多くのオニウム塩が存在している。酸強度の強いα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸は脱保護反応を引き起こすための触媒として機能するが、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸は脱保護反応を起こすことはない。酸強度の強いα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸は、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩とイオン交換し、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のオニウム塩となり、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸が放出される。即ち、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は、イオン交換によって、脱保護反応触媒のα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸を中和することによってクエンチャーとして機能する。
露光中にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の発生と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩との塩交換が数限りなく繰り返される。露光の最後にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸が発生する場所は、最初のα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のオニウム塩が存在している場所とは異なっている。光による酸の発生と塩交換と酸の発生のサイクルが何度も繰り返されることによって酸の発生ポイントが平均化され、これによって現像後のレジストパターンのエッジラフネスが小さくなる。
【0024】
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は光分解性があるために、光強度が強い部分のクエンチ能が低下すると共にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の濃度が増加する。これによって露光部分の脱保護反応のコントラストが向上する。有機溶剤によるネガティブトーンの形成において、露光部のコントラストが向上すると、ネガティブパターンの矩形性が向上する。パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩はα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の拡散を抑える効果も高い。これは、交換後のオニウム塩の分子量が大きいために、動きにくくなっていることによる。ネガティブ現像でホールパターンを形成する場合は、酸の発生領域が多いために、露光部分から未露光部分に拡散していく酸の制御が重要である。このため、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩や、酸によってアミン化合物が発生するカーバメート化合物の添加は、酸拡散の制御の観点から重要である。酸不安定基が酸に対して特に敏感なアセタール基である場合は、保護基を脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。この時のクエンチャーとしてもパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩を用いることができる。
【0025】
以下、本発明のレジスト組成物成分について更に詳述する。
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物としては、下記一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4で表すことができる。
【化5】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【0026】
ここで、a1の繰り返し単位において、−R2−(OR3)mは、直鎖状又は分岐状のアルキル基よりm個の水素原子が脱離し、該脱離した水素原子の代わりにOR3基が導入した基、又は−C(=O)−O−基の−O−基に対し、直接、又は直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又は−R0−COO−基(R0は単結合又は直鎖状、分岐状又は環状のエーテル結合を含んでもよいアルキレン基)を介して結合した下記環状構造のいずれかの基に更にm個のOR3又は−R00−OR3(R00はエーテル結合を含んでもよいアルキレン基)が結合した基を示す(但し、結合位置は任意である)。
【0027】
【化6】
【0028】
一般式(1)で示される繰り返し単位a1、a2を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
一般式(1)で示される繰り返し単位a3、a4を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。ここで、Rは酸不安定基である。
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
更に、繰り返し単位a1〜a4に加えて、下記に示すカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位bを共重合することもできる。
【化18】
(式中、R15は水素原子又はメチル基、R16は酸不安定基、Zは単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−R17−であり、R17は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基のいずれかを有していてもよく、あるいはR17はフェニレン基又はナフチレン基である。)
【0040】
ここで、繰り返し単位bを得るためのモノマーMbは、下記式で示される。
【化19】
(式中、R15、R16、Zは前述と同様である。)
【0041】
繰り返しモノマーMbのZを変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。
【化20】
【0042】
上記に示した繰り返し単位a1、a2、b中のR3、R5、R16で示される酸不安定基、繰り返し単位a3、a4のR6〜R9、R10〜R13の中のヒドロキシ基を置換した酸不安定基Rは種々選定され、互いに同一であっても異なっていてもよいが、特に下記式(AL−10)で示される基、下記式(AL−11)で示されるアセタール基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0043】
【化21】
【0044】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R52とR53、R52とR54、又はR53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、又はR56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0045】
式(AL−10)に示される酸不安定基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0046】
【化22】
【0047】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0048】
前記式(AL−11)で示されるアセタール基を(AL−11)−1〜(AL−11)−112に例示する。
【0049】
【化23】
【0050】
【化24】
【0051】
【化25】
【0052】
【化26】
【0053】
【化27】
【0054】
【化28】
【0055】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0056】
【化29】
【0057】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0058】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基として、具体的には下記式(AL−11)−113〜(AL−11)−120に示すものが挙げられる。
【0059】
【化30】
【0060】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【0061】
【化31】
【0062】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R64同士が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0063】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17のR64は前述と同様、R68は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は0〜3の整数である。式(AL−12)−17は上記酸不安定基の全てに適用される。
【0064】
【化32】
【0065】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0066】
【化33】
【0067】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4と、場合によっては繰り返し単位bの酸不安定基を有する繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸エステル基、ジスルホン基、カーボネート基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。これらの中で、ラクトン環を密着性基として有するものが最も好ましく用いられる。
繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0068】
【化34】
【0069】
【化35】
【0070】
【化36】
【0071】
【化37】
【0072】
【化38】
【0073】
【化39】
【0074】
【化40】
【0075】
【化41】
【0076】
【化42】
【0077】
【化43】
【0078】
【化44】
【0079】
【化45】
【0080】
【化46】
【0081】
更に、下記一般式で示されるスルホニウム塩(d1)〜(d3)のいずれかを共重合することもできる。
【化47】
(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、0≦d1+d2+d3≦0.3の範囲である。)
【0082】
上記繰り返し単位以外には、特開2008−281980号公報に記載の非脱離性炭化水素基を有する繰り返し単位eを挙げることができる。特開2008−281980号公報に記載されていない非脱離性炭化水素基としてはインデン類、アセナフチレン類、ノルボルナジエン類を重合体として挙げることができる。非脱離性炭化水素基を有する繰り返し単位eを共重合することによって、有機溶剤現像液への溶解性を向上させることができる。
【0083】
更には、オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位fを共重合することもできる。オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位fを共重合することによって、露光部が架橋するために、露光部分の残膜特性とエッチング耐性が向上する。
オキシラン環、オキセタン環を有する繰り返し単位fは、具体的には下記に例示される。なお、下記例中、R18は水素原子又はメチル基である。
【0084】
【化48】
【0085】
【化49】
【0086】
上記繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、c、d1、d2、d3、e、fにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0、0≦b<1.0、0<c<1.0、0≦d1<0.3、0≦d2<0.3、0≦d3<0.3、0≦d1+d2+d3≦0.3、0≦e≦0.4、0≦f≦0.6、好ましくは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0≦a3≦0.9、0≦a4≦0.9、0.1≦a1+a2+a3+a4≦0.9、0≦b≦0.9、0.1≦c≦0.9、0≦d1≦0.2、0≦d2≦0.2、0≦d3≦0.2、0≦d1+d2+d3≦0.2、0≦e≦0.3、0≦f≦0.5の範囲である。なお、a1+a2+a3+a4+b+c+d1+d2+d3+e+f=1である。
【0087】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、テトラヒドロフラン(THF)溶液によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなったり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0088】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0089】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、c、d1、d2、d3、e、fを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0090】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたスルホンアミド基を含まないポリマーあるいは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基もしくはカルボキシル基で置換された繰り返し単位、例えば繰り返し単位bやcを有するポリマーとブレンドすることも可能である。
【0091】
更には、アルカリ現像によって露光部が溶解する従来型の(メタ)アクリレートポリマー、ポリノルボルネン、シクロオレフィン無水マレイン酸共重合体、ROMPなどをブレンドすることも可能であるし、アルカリ現像によって露光部は溶解しないが、有機溶剤現像でネガパターンを形成することができるヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートポリマーをブレンドすることもできる。
【0092】
本発明のパターン形成方法に用いられるパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩は、下記一般式(2)に示すことができる。
【化50】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【0093】
一般式(2)中のアニオン部分のパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸イオンR14−COO-は、具体的には下記に例示することができる。
【化51】
【0094】
【化52】
【0095】
一般式(2)中のカチオン部分は、具体的には下記に例示することができる。
【化53】
【0096】
【化54】
【0097】
【化55】
【0098】
【化56】
【0099】
【化57】
【0100】
これらのカチオン中で、熱安定性を考慮するとスルホニウム塩としてはトリアリールスルホニウム塩が好ましく用いられる。本発明のパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸の酸強度が低いために、アルキルスルホニウムカチオンとの組み合わせでは熱安定性が低くて実用に耐えない場合がある。
【0101】
上記ポジ型レジスト組成物は、上述したように、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いて上記レジスト膜の未露光部分を溶解する一方、露光部分が膜として残り、ホールやトレンチ等のネガティブトーンのレジストパターンを形成する。
【0102】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、アセチレンアルコール類、その他の成分を含有することができる。
【0103】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、特に化学増幅ポジ型レジスト組成物として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。酸発生剤から発生してくる酸としては、スルホン酸、イミド酸、メチド酸を挙げることができる。これらの中でα位がフッ素化されたスルホン酸が最も一般的に用いられるが、酸不安定基が脱保護し易いアセタール基の場合は必ずしもα位がフッ素化されている必要はない。ベースポリマーとして酸発生剤の繰り返し単位d1、d2、d3を共重合している場合は、添加型の酸発生剤は必ずしも必須ではない。
【0104】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。アセタール系の酸不安定基を用いる場合は、アセタール基の脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶剤、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等を加えることもできる。
【0105】
本発明は、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩をクエンチャーとして含有することを特徴とするが、アミン類などの塩基性化合物を添加することもできる。
【0106】
塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
また、特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、特許第3991462号公報、特許第426803号公報に記載のカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして併用することもできる。
【0107】
酸不安定基が酸に対して特に敏感なアセタール基である場合は、保護基を脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。この時のクエンチャーとしてはスルホン酸のオニウム塩を用いることができないため、このような場合は本発明のパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のオニウム塩単独で用いることが好ましい。
【0108】
界面活性剤は特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤は特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0109】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報に例示されている。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤の添加量は、レジスト組成物のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0110】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
また、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類の配合量は、その配合目的に応じて適宜選定し得る。
【0111】
本発明に係るパターニング方法は、図1に示される。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してポジ型レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0112】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV、電子ビーム(EB)が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。この場合、保護膜形成用組成物は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位等のモノマーから得られるものが挙げられる。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0113】
保護膜形成用組成物にアミン化合物又はアミン塩を配合あるいはアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を用いることは、フォトレジストの露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜材料としては特開2008−3569号公報に記載の材料、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜材料としては特開2007−316448号公報に記載の材料を用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記フォトレジスト添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、保護膜形成用組成物のベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0114】
フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特にネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことが起きる。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。一方、カルボキシル基やスルホ基等の酸化合物を添加、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースとした保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0115】
このように、本発明においては、酸不安定基で置換された一般式(1)で示される特定のヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線でレジスト膜を露光、好ましくは液浸露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることが好ましく、この場合、保護膜を形成する材料として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとしてアミノ基又はアミン塩を有する化合物を添加した材料、あるいは前記高分子化合物中にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した材料をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料を用いることが好ましい。
【0116】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位としては、[化43]、[化44]、[化45]で示したモノマーの内、ヒドロキシ基を有するモノマーを用いて得られたものを挙げることができる。
アミノ基を有する化合物としては、フォトレジスト組成物に添加される特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載のアミン化合物を用いることができる。
アミン塩を有する化合物としては、前記アミン化合物のカルボン酸塩又はスルホン酸塩を用いることができる。
【0117】
炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールを挙げることができる。
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルを挙げることができる。
【0118】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。
【0119】
更に、図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。このときの現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類を好ましく用いることができる。
【0120】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0121】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
【0122】
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。また、リンスを行わずに、現像液をスピンドライとベークによって乾燥させることもできる。
【0123】
反転後のホールパターンをRELACSTM技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト層からの酸触媒の拡散によってレジストの表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は70〜180℃、好ましくは80〜170℃で、時間は10〜300秒であり、余分なシュリンク剤を除去しホールパターンを縮小させる。シュリンク剤の除去は水、現像液、アルコール溶剤又はこれらの混合物が用いられる。カルボキシル基が酸不安定基で置換された従来型のレジストポリマーを用いて有機溶剤のネガ現像を行った場合は、残ったレジスト膜はアルカリ可溶のカルボキシル基含有の膜であるので、シュリンク剤の剥離をアルカリ現像液で行うとシュリンク剤だけでなくレジスト膜も溶解してしまいパターンが全て無くなってしまうが、本発明のヒドロキシ基が酸不安定基で置換されたレジストベースポリマーの場合は、脱保護後のレジスト膜がアルカリ現像液に溶解しないためにアルカリ現像液によるシュリンク剤の剥離も可能である。
【0124】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
【0125】
ここで、本発明においては、ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することが好ましく、格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることが好ましい。この場合、ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成すること、あるいはハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することが好ましい。
以下、更に詳述する。
【0126】
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。
図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0127】
X、Y方向のラインを2回のダイポール照明と偏光照明を組み合わせた露光は、最も高コントラストの光が形成される方法であるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。マスクを交換しながら2回の露光を連続して行うためには、露光装置側のマスクのステージを2つ設ける必要があるが、現在の露光装置のマスクのステージは1つである。この場合、1枚露光する毎にマスクを交換するのではなく、FOUP(ウエハーケース)に入った25枚ウエハーをX方向のラインの露光を連続して行い、次にマスクを交換して同じ25枚のウエハーを連続してY方向のラインの露光を行う方がスループットを上げることができる。しかしながら、25枚のウエハーの最初のウエハーが次の露光されるまでの時間が長くなることによって環境の影響で現像後のレジスト膜の寸法や形状が変化してしまう問題が生じる。2回目の露光までのウエハー待機中の環境の影響を遮断するために、レジスト膜の上層に保護膜を敷くことが有効である。
マスクを1枚で済ませるために、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(前述非特許文献1)。この方法では、前述の2枚のマスクを用いる方法に比べると光学コントラストが若干低下するが、1枚のマスクを用いることができるためにスループットが向上する。前述の非特許文献1では、格子状のパターンのマスクを用いてX方向のダイポール照明によってX方向のラインを形成し、光照射によってX方向のラインを不溶化し、この上にもう一度フォトレジスト膜を塗布し、Y方向のダイポール照明によってY方向のラインを形成し、X方向のラインとY方向のラインの隙間にホールパターンを形成している。この方法では、マスクは1枚で済むが、2回の露光の間に1回目のフォトレジストパターンの不溶化処理と2回目のフォトレジスト膜の塗布と現像のプロセスが入るために、2回の露光間にウエハーが露光ステージから離れ、この時にアライメントエラーが大きくなる問題が生じる。2回の露光間のアライメントエラーを最小にするためには、ウエハーを露光ステージから離さずに連続して2回の露光を行う必要がある。
格子状のパターンのマスクを用いてX方向(水平方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図16に示される。Y方向(垂直方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図17に示される。ダイポール照明にs偏光照明を加えると更にコントラストが向上するので好ましく用いられる。格子状のマスクを用いてX方向のラインとY方向のラインを形成する2回の露光を重ねて行ってネガティブトーンの現像を行うと、ホールパターンが形成される。
格子状のマスクを用いて1回の露光でホールパターンを形成する場合は、図18に示されるアパチャー形状の4重極照明(クロスポール照明)を用いる。これにX−Y偏光照明あるいは円形偏光のAzimuthally偏光照明を組み合わせてコントラストを向上させる。
【0128】
本発明のホールパターンの形成方法では、露光を2回行う場合、1回目の露光と2回目の露光の照明とマスクを変更して露光を行う方法が最も高コントラストで微細なパターンを寸法均一性よく形成できる。1回目の露光と2回目の露光に用いられるマスクは1回目のラインパターンと2回目のラインとが交差した交点に現像後のレジストのホールパターンを形成する。1回目のラインと2回目のラインの角度は直交が好ましいが、90度以外の角度でも構わなく、1回目のラインの寸法と2回目のラインの寸法やピッチが同じであっても異なってもよい。1回目のラインと、これと異なる位置に2回目のラインが1枚のマスクに有するマスクを用いて1回目の露光と2回目の露光を連続露光することも可能であるが、この場合露光できる最大の面積が半分になる。但し連続露光を行う場合は、アライメントエラーを最小にすることができる。もちろん1回の露光では、2回の連続露光よりもアライメントのエラーを小さくすることができる。
1枚のマスクを用いて、露光面積を縮小することなく2回の露光を行うためには、マスクパターンとしては、図5に示される格子状のパターンを用いる場合、図7に示されるドットパターンを用いる場合、図11に示されるドットパターンと格子状パターンを組み合わせる場合がある。
格子状のパターンを用いる方が最も光のコントラストが向上するが、光の強度が低下するためにレジスト膜の感度が低下する欠点がある。一方ドットパターンを用いる方法は光のコントラストが低下するが、レジスト膜の感度が向上するメリットがある。
ホールパターンが水平と垂直方向に配列されている場合は前記の照明とマスクパターンを用いるが、これ以外の角度例えば45度の方向に配列している場合は、45度に配列しているパターンのマスクとダイポール照明あるいはクロスポール照明を組み合わせる。
2回の露光を行う場合はX方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた露光と、Y方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた2回の露光を行う。1枚のマスクを用いてX方向とY方向のコントラストを強調した2回の連続した露光は、現在の市販のスキャナーで行うことが可能である。
格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせる方法は、2回のダイポール照明の露光に比べると若干光のコントラストが低下するものの1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれるし、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0129】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように、非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6では、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0130】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストが図8に示される。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低くなるものの、黒い遮光部分が存在するためにホールパターンの形成は可能である。
【0131】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成が困難である。密集パターンは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によってコントラストを向上することができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0132】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはフォトレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、フォトレジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。フォトレジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0133】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
図9のマスクの光学像のコントラストイメージが図10に示される。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりするなどの更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0134】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージが図12に示される。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0135】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
【実施例】
【0136】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、分子量及び分散度はテトラヒドロフラン(THF)溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。なお、分子量及び分散度はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0137】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてTHF溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(レジストポリマー1〜20)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0138】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化58】
【0139】
レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化59】
【0140】
レジストポリマー3
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化60】
【0141】
レジストポリマー4
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化61】
【0142】
レジストポリマー5
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化62】
【0143】
レジストポリマー6
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化63】
【0144】
レジストポリマー7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化64】
【0145】
レジストポリマー8
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.55
【化65】
【0146】
レジストポリマー9
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化66】
【0147】
レジストポリマー10
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化67】
【0148】
レジストポリマー11
分子量(Mw)=10,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化68】
【0149】
レジストポリマー12
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化69】
【0150】
レジストポリマー13
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.85
【化70】
【0151】
レジストポリマー14
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化71】
【0152】
レジストポリマー15
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化72】
【0153】
レジストポリマー16
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化73】
【0154】
レジストポリマー17
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化74】
【0155】
レジストポリマー18
分子量(Mw)=6,700
分散度(Mw/Mn)=1.59
【化75】
【0156】
レジストポリマー19
分子量(Mw)=33,700
分散度(Mw/Mn)=1.94
【化76】
【0157】
レジストポリマー20
分子量(Mw)=6,100
分散度(Mw/Mn)=1.64
【化77】
【0158】
ポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性保護膜形成用組成物の調製
上記合成例で得た高分子化合物(レジストポリマー1〜20)及び撥水性ポリマーを用いて下記表1に示す組成で溶解させた溶液、及び下記表2に示す組成で溶解させた保護膜形成用組成物溶液をそれぞれ0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して各溶液を調製した。
【0159】
表1中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1〜6(下記構造式参照)
【化78】
【0160】
保護膜ポリマー1
分子量(Mw)=9,200
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化79】
【0161】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化80】
【0162】
塩基性化合物:クエンチャー1〜6、比較クエンチャー1〜4(下記構造式参照)
【化81】
【化82】
【0163】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
[実施例及び比較例]
ArF露光パターニング評価(1)
表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に、場合によって表2に示す保護膜形成用組成物(保護膜1)をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図15に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表3に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。ホールパターンの断面形状を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡S−4300で観察した。結果を表3示す。本発明のレジストは有機溶剤現像後のパターンの寸法均一性に優れ、垂直なパターンを得ることができる。
【0167】
【表3】
【0168】
ArF露光パターニング評価(2)
表4に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表4に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから安息香酸メチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、キシレンでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表4に示す。
【0169】
【表4】
【0170】
ArF露光パターニング評価(3)
表5に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表5に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0171】
【表5】
【0172】
ArF露光パターニング評価(4)
表6に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのX方向のラインが配列されたマスク)を用い、これに適合したダイポール照明で第1回目の露光を行い、次いで6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのY方向のラインが配列されたマスクを用い、これに適合したダイポール照明で第2回目の露光を行い、露光後表6に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表6に示す。
【0173】
【表6】
【0174】
ArF露光パターニング評価(5)
表7に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表7に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表7に示す溶剤を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表7に示す。
【0175】
【表7】
【0176】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0177】
10 基板
20 被加工基板
30 中間介在層
40 レジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する高分子化合物及び酸発生剤又はヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位と露光により酸を発生する繰り返し単位を有する高分子化合物と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4から選ばれる1以上の繰り返し単位を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【請求項3】
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩が、下記一般式(2)で示される(Q1)又は(Q2)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【請求項4】
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
レジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、次いで高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、ネガティブパターンを得るための下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換された繰り返し単位a1〜a4の内の1以上のヒドロキシ基の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、下記一般式(2)で示されるパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩(Q1)又はヨードニウム塩(Q2)と、有機溶剤とを含有することを特徴とするレジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【化4】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【請求項1】
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する高分子化合物及び酸発生剤又はヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位と露光により酸を発生する繰り返し単位を有する高分子化合物と、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位a1〜a4から選ばれる1以上の繰り返し単位を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【請求項3】
パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩が、下記一般式(2)で示される(Q1)又は(Q2)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【請求項4】
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
レジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、次いで高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、ネガティブパターンを得るための下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換された繰り返し単位a1〜a4の内の1以上のヒドロキシ基の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、下記一般式(2)で示されるパーフルオロアルキルエーテルカルボン酸のスルホニウム塩(Q1)又はヨードニウム塩(Q2)と、有機溶剤とを含有することを特徴とするレジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R3、R5は酸不安定基である。R6〜R9、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、オルガノキシカルボニル基、又はエーテル基又はラクトン環を有する基であり、R6〜R9及びR10〜R13の内少なくとも一つは酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する。mは1〜4の整数、nは0又は1である。a1、a2、a3、a4は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
【化4】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン酸エステル基、スルホン基、又はスルホニウム塩を含有する置換基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101eは炭素数6〜20のアリール基であり、これらが炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルコキシ基を有していてもよく、R101dとR101eが結合してこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよい。R14は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアルケニル基であり、1つ以上のエーテル基かつ複数個のフッ素原子を有する。)
【図1】
【図9】
【図11】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図9】
【図11】
【図13】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図12】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−92723(P2013−92723A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235987(P2011−235987)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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