説明

ムスカリン受容体アンタゴニストとして有用なグアジニン含有化合物

ムスカリン受容体アンタゴニストは、気管支保護効果を提供することが知られており、それ故に、かかる化合物は慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息のような呼吸器障害の治療に役立つ。本発明は、式(I):


の化合物または医薬として許容されるその塩を提供し、ここでR1〜3、R5〜7、a、X、Y、Y’、Y”、およびZは、本明細書に定義された通りである。これらの化合物はムスカリン受容体アンタゴニストである。本発明は、かかる化合物を含む医薬組成物、かかる化合物を調製するためのプロセス、およびかかる化合物を、例えば、慢性閉塞性肺疾患および喘息のような肺障害を治療するために用いる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムスカリン受容体アンタゴニストまたは抗コリン活性を有するグアジニン含有化合物に関する。本発明は、これらの化合物を備える医薬組成物、それらを調製するためのプロセス、および肺障害を治療するための使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)および喘息のような肺または呼吸器の障害は、世界中の何百万もの人々を苦しめており、かかる障害は罹病および死亡の主要原因となっている。
【0003】
ムスカリン受容体アンタゴニストは、気管支保護効果を提供することが知られており、それ故に、かかる化合物はCOPDおよび喘息のような呼吸器障害の治療に役立つ。かかる障害の治療に用いるとき、ムスカリン受容体アンタゴニストは、一般に吸入によって投与される。しかしながら、吸入によって投与されたときでさえ、ムスカリン受容体アンタゴニストのかなりの量は、しばしば体循環中に吸収され、口渇、散瞳、および心血管性副作用のような全身性の副作用を招く。
【0004】
加えて、吸入されたムスカリン受容体アンタゴニストの多くは、作用持続時間が比較的短く、1日に数回投与される必要がある。このように毎日複数回投薬を行う療法は、不便なだけでなく、頻繁に投薬が必要なスケジュールを患者が遵守しないことに起因して治療が不十分になるという著しい危険を生み出す。
【0005】
それ故に、新しいムスカリン受容体アンタゴニストが必要とされる。特に、吸入によって投与したときに作用強度が高く、全身性の副作用が少なく、作用持続時間が長いために毎日1回、或いは毎週1回の投薬さえ可能にする新しいムスカリン受容体アンタゴニストが必要である。加えて、受容体への親和性が高く、受容体の半減期が長いムスカリン受容体アンタゴニストが必要である。かかる化合物は、COPDおよび喘息のような肺障害の治療に特に有効であると同時に、口渇および便秘のような副作用を低減ないし解消することが期待される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ムスカリン受容体アンタゴニストまたは抗コリン活性を有する新規なグアニジン含有化合物を提供する。本発明の化合物は、他の特性について関連化合物と比較した場合、hMおよびhMムスカリン受容体サブタイプに対して改善された結合親和性を有すること、受容体の半減期が長いこと、治療域が広いか、或いは作用強度が高いことがわかっている。従って、本発明の化合物は、肺障害を治療するための治療薬として役立ち、有利であると期待される。
【0007】
本発明の一様態は、化学式I:
【0008】
【化1】

において、
は−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C3〜9シクロアルキル、およびヘテロアリールから選択され;Rはアリールおよびヘテロアリールから選択され;RはHおよび−C0〜1アルキレン−OHから選択される、またはRはRと二重結合を形成するか;或いは−CRは、化学式:
【0009】
【化2】

の基であって、Aは結合、−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−CHCH−、−NH−、および−N(CH)−から選択され;RはH、ハロ、−OH、−C1〜8アルキル、および−C1〜8アルコキシから選択される基を形成し;
Xは結合、−O−、および−O−CH−から選択され;Xが結合であるとき、Yは−CH−であり、Y’は−N−であり、Y”は−CH−であり;Xが−O−または−O−CH−であるとき、Y’は−CH−であり、Yは結合でありY”は−CH−または−(CH−であるか、或いはYは−CH−でありY”は−CH−であり;
はフルオロおよび−C1〜4アルキルから選択され;aは0か、または1から3までの整数であり;
およびRは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択され、さらにRまたはRのうち1つは−NHであってもよく;
ZはH、−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、および−NH−C0〜1アルキレン−Qから選択され;Qは−C3〜7シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され;Qは、ハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C0〜2アルキレン−COOH、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、−CONR8a8b、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−N−ジ−C1〜4アルキル、および−N(O)Oから独立に選択された1〜5個のR8基で随意的に置換されており;R8aおよびR8bは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択された;化学式Iの化合物であって、
およびRは、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、−C3〜6シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR、−C(O)OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−C(O)NR,および−NRから独立に選択された1から5個までのR基で随意的に置換されており;各RはH、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、および−C3〜6シクロアルキルから独立に選択され、各RおよびRは、H、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、および−C3〜6シクロアルキルから独立に選択され;
a〜d、R4〜8、およびZにおける各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、およびシクロアルキル基は、1から5個までのフルオロ原子で随意的に置換されている基であって;Ra〜dにおける各シクロアルキルは、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、シアノ、ハロ、−O(C1〜4アルキル)、−S(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、および−N(C1〜4アルキル)から独立に選択された1から3個までの置換基で随意的に置換されており、各アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1から5個のフルオロ置換基で随意的に置換されており;Zにおけるアルキレン基は、−C1〜2アルキルおよび−OHから独立に選択された1または2個の置換基で随意的に置換されている、化合物、または医薬として許容されるその塩に関する。
【0010】
化学式Iの化合物のうち、特に注目される化合物は、M受容体サブタイプへの結合に関する阻害解離定数(K)が100nM以下を有する;特に50nM以下のKを有する;さらに特に10nM以下のKを有する;なおさらに特に1.0nM以下のKを有するものである。
【0011】
本発明の別の様態は、医薬として許容されるキャリアおよび本発明の化合物を備える医薬組成物に関する。かかる組成物は、ステロイド系抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド)、βアドレナリン受容体アゴニスト、ホスホジエステラーゼ−4阻害剤、およびその組み合わせのような他の治療薬を随意的に含んでもよい。従って、本発明のまた別の様態において、医薬組成物は、本発明の化合物、第2の活性薬剤、および医薬として許容されるキャリアを備える。本発明の別の様態は、本発明の化合物および第2の活性薬剤を備える、活性薬剤の組み合わせに関する。本発明の化合物は、付加的な薬剤(単数または複数)と一緒に、或いは別に製剤されてもよい。別に製剤されるとき、付加的な薬剤(単数または複数)を医薬として許容されるキャリアに含むことができる。かくして、本発明のまた別の様態は医薬組成物の組み合わせに関し、該組合せは、本発明の化合物および第1の医薬として許容されるキャリアを備える第1の医薬組成物;および第2の活性薬剤および第2の医薬として許容されるキャリアを備える第2の医薬組成物を備える。本発明は、例えば第1および第2の医薬組成物が別の医薬組成物である、かかる医薬組成物を含むキットにも関する。
【0012】
本発明の化合物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト活性を有し、それ故にムスカリン受容体を塞ぐことによって治療される疾患または障害に苦しむ患者を治療するための治療薬として役立つと期待される。かくして、本発明の一様態は、患者における気管支拡張を発生させる方法に関し、気管支拡張を発生させる量の本発明の化合物を患者に投与することを備える。本発明は、慢性閉塞性肺疾患または喘息のような肺障害を治療する方法にも関し、治療に有効な量の本発明の化合物を患者に投与することを備える。本発明の別の様態は、哺乳動物のムスカリン受容体をアンタゴナイズするための方法に関し、ムスカリン受容体をアンタゴナイズする量の本発明の化合物を哺乳動物に投与することを備える。
【0013】
本発明の化合物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト活性を有するため、かかる化合物は研究手段としても役立つ。従って、本発明の一様態は、本発明の化合物を研究手段として用いる方法に関し、該方法は、本発明の化合物を用いてバイオアッセイを行なうことを備える。本発明の化合物は、新しい化合物を評価するためにも用いることができる。かくして本発明の別の様態は、(a)テスト化合物を用いてバイオアッセイを行ない、第1の分析値を提供するステップ;(b)本発明の化合物を用いてバイオアッセイを行ない、第2の分析値を提供するステップであって、ステップ(a)は、ステップ(b)の前、後または同時のいずれかに行なわれる、ステップ;および(c)ステップ(a)からの第1の分析値をステップ(b)からの第2の分析値と比較するステップ、を備えるバイオアッセイにおけるテスト化合物の評価方法に関する。例となるバイオアッセイは、哺乳動物におけるムスカリン受容体結合アッセイおよび気管支保護アッセイを含む。本発明のさらに別の様態は、ムスカリン受容体を備える生物システムまたはサンプルを研究する方法に関し、該方法は、(a)生物システムまたはサンプルを本発明の化合物と接触させること;および(b)本化合物によって生物システムまたはサンプルに生じる効果を測定することを備える。
【0014】
本発明は、本発明の化合物を調製するために役立つプロセスおよび中間生成物にも関する。従って、本発明の別の様態は、本発明の化合物を調製するプロセスに関し、(a)化合物(1)および化合物(2)を、アミド結合を形成する条件下で結合させ、生成物を脱保護して化合物(3)を形成するステップ、または化合物(1)および化合物(4)の光延カップリングまたはエステル転移反応、並びに生成物の脱保護により化合物(5)を形成するステップ;(b)化合物(3)または化合物(5)を化合物(6)と反応させて化合物(7)を形成するステップ;および(c)化合物(7)および化合物(8)を反応させて化学式Iの化合物を提供するステップを備え、化合物(1)から(9)は、本明細書で定義される通りである。他の様態において、本発明は、本明細書に記載されるプロセスのいずれかによって調製された生成物に関する。
【0015】
本発明のまた別の様態は、本発明の化合物を薬物の製造、特に哺乳動物における肺障害を治療するため、或いはムスカリン受容体をアンタゴナイズするために役立つ薬物の製造に用いることに関する。本発明のさらに別の様態は、本発明の化合物を研究手段として用いることに関する。本発明の他の様態および実施形態が本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一様態において、本発明は、化学式I:
【0017】
【化3】

を有する化合物、または医薬として許容されるその塩に関する。この化学式は、次のようにも表現することができる。
【0018】
【化4】

本明細書では、用語「本発明の化合物」は、化学式Iによって包含されるすべての化合物、例えば化学式II〜VIIIで具体的に示される種を含む。加えて、本発明の化合物が塩基性基または酸性基(例えば、アミノ基またはカルボキシル基)を含むとき、該化合物は、遊離塩基、遊離酸として、または様々な塩の形態で存在することができる。すべてのかかる塩の形態は、本発明の範囲内に含まれる。従って、別の指示がなければ、本明細書における化合物への言及、例えば、「本発明の化合物」または「化学式Iの化合物」への言及は、化学式Iの化合物、並びに医薬として許容されるその化合物の塩も含むことを当業者は認識するであろう。さらに、化学式Iの化合物の溶媒和物が本発明の範囲内に含まれる。
【0019】
本発明の化合物は、1つまたはそれ以上のキラル中心を含むことができ、それ故に多くの立体異性体として存在することができる。かかるキラル中心が存在する場合、別の指示がなければ、本発明は、ラセミ混合物、純粋な立体異性体(すなわち、鏡像異性体またはジアステレオマー)、立体異性体が濃縮された混合物などに関する。化学構造が立体化学なしに表現されているとき、かかる構造は、すべての可能な立体異性体を包含されるものと理解する。それ故に、例えば、用語「化学式Iの化合物」は、該化合物のすべての可能な立体異性体を含むことが意図される。同様に、本明細書に特定の立体異性体が示されるか、または指定される場合、別の指示がなければ、本発明の組成物にわずかな量の他の立体異性体が、かかる他の異性体の存在によって組成物全体としての効能が消失しないことを前提に、存在してもよいことを当業者は理解するであろう。個々の鏡像異性体は、適切なキラル固定相または担体を用いたキラル・クロマトグラフィーを含む当分野でよく知られた多数の方法によって、または、それらをジアステレオマーに化学変換して、該ジアステレオマーをクロマトグラフィーまたは再結晶化のような従来の手段で分離し、次にもとの鏡像異性体に再生することによって得ることができる。加えて、適用可能な場合、別の指定がなければ、本発明の化合物のすべてのシス−トランスすなわちE/Z異性体(幾何異性体)、互変異性体およびトポイソマーの形態が本発明の範囲内に含まれる。
【0020】
特に、化学式Iの化合物は、R5〜9シクロアルキル部分がシクロペンチルであり、Rアリール部分がフェニルであり、Rが−OHであるとして図示した(明確さのために随意的な置換基を省いた)次の部分的な化学式:
【0021】
【化5】

において、記号*で示される炭素原子にキラル中心を含む。本発明の一実施形態において、記号*によって示される炭素原子は(R)配置をもつ。この実施形態において、化学式Iの化合物は、記号*で示される炭素原子において(R)配置をもつか、或いはこの炭素原子において(R)配置をもつ立体異性体が濃縮されている。別の実施形態において、記号*で示される炭素原子は(S)配置をもつ。この実施形態において、化学式Iの化合物は、記号*で示される炭素原子において(S)配置をもつか、或いはこの炭素原子において(S)配置をもつ立体異性体が濃縮されている。
【0022】
本発明の化合物、並びにその合成に用いられる化合物は、同位体で標識された、すなわち、自然に主に存在する原子質量とは異なった原子質量をもつ1つまたはそれ以上の原子が濃縮された化合物も含むことができる。化学式Iの化合物に取り込むことができる同位体の例は、例えば、限定されることなしに、H、H、13C、14C、15N、18Oおよび17Oを含む。
【0023】
本発明の化合物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト活性を有することが見出された。他の特性のうちでは、本発明の化合物が、関連化合物と比較してhMおよびhMムスカリン受容体サブタイプに対して改善された結合親和性を有し、受容体の半減期が長く、かつ作用強度が高いことがわかっており、肺障害を治療するための治療薬として役立つことが期待される。
【0024】
本発明の化合物を指定するために本明細書で用いられる命名法は、本明細書の実施例に示される。この命名法は、市販のAutoNomソフトウェア(MDL,サンレアンドロ,カリフォルニア州)に由来する。
【0025】
代表的な実施形態
次の置換基および値は、本発明の様々な様態および実施形態の代表的な例を提示する意図をもつ。これらの代表的な値は、かかる様態および実施形態をさらに明確にして例示する意図をもち、他の実施形態を除外し、或いは本発明の範囲を限定する意図はもたない。これに関して、特定の値または置換基が好ましいとの表明は、特に指示がなければ、いかなる意味においても他の値または置換基を本発明から除外する意図をもたない。
【0026】
は未置換か、または1から5個のR基で置換された−C1〜6アルキル基、−C2〜6アルケニル基、−C3〜9シクロアルキル基、ヘテロアリール基とすることができる。Rは−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、−C3〜6シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR、−C(O)OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−C(O)NR、および−NRから独立に選択される。各RはH、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニルおよび−C3〜6シクロアルキルから独立に選択される。各R基およびR基は、H、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、および−C3〜6シクロアルキルから独立に選択される。一実施形態において、Rは−C3〜9シクロアルキルである;別の実施形態において、−C3〜6シクロアルキル、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル;また別の実施形態において、Rは−Cシクロアルキル、すなわちシクロペンチルである。一実施形態において、Rは−CHCH(CHのような−C1〜6アルキル基である。別の実施形態において、Rは−CHCHCHのような−C2〜6アルケニル基である。一実施形態において、Rは未置換である。別の実施形態において、Rは(チオフェン−2−イルおよびチオフェン-3-イルを含めて)チオフェニルのようなヘテロアリールである。
【0027】
、R、R、およびRにおける各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、およびシクロアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で置換されていてもよい。加えて、Ra〜dにおける各シクロアルキルは、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、シアノ、ハロ、−O(C1〜4アルキル)、−S(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−NH、−NH(C1〜4アルキル)および−N(C1〜4アルキル)から独立に選択された1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで各アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1から5個のフルオロ置換基で随意的に置換されていてもよい。
【0028】
は未置換か、または1から5個の先に定義されたR基で置換された、アリール基であってもよい。一実施形態において、Rはフェニルである。別の実施形態において、Rは未置換のフェニルである。別の実施形態において、Rは(チオフェン−2−イルおよびチオフェン−3−イルを含めて)チオフェニルのようなヘテロアリールである。
【0029】
はHまたは−C0〜1アルキレン−OHであってもよく、或いはRと次のように表現できる二重結合を形成してもよい:
【0030】
【化6】

特定の一実施形態において、Rは−OHである。加えて、−CRは一緒に次の化学式:
【0031】
【化7】

の基を形成してもよく、ここでAは結合、−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−CHCH−、−NH−、または−N(CH)−であり、RはH、ハロ、−OH、−C1〜8アルキル、および−C1〜8アルコキシから選択される。Rにおけるアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で置換されていてもよい。特定の一実施形態において、−CRは一緒に次の構造を形成する:
【0032】
【化8】

この実施形態において、図に示されるようにAは−O−であり、RはHである。
【0033】
一実施形態において、Xは結合であり、Yは−CH−であり、Y’は−N−であり、Y”は−CH−であり、以下のようにこれを表現できる:
【0034】
【化9】

別の実施形態において、Xが−O−または−O−CH−であるとき、Y’は−CH−であり、Yは結合でありY”は−CH−または−(CH−であり、以下のようにそれぞれを表現できる。
【0035】
【化10】

別の実施形態において、Xが−O−または−O−CH−であるとき、Y’は−CH−であり、YおよびY”は両方ともに−CH−であり、以下のようにこれを表現できる。
【0036】
【化11】

は、フルオロおよび−C1〜4アルキルから選択される。aの値は0か、または1から3までの整数である。特定の一実施形態において、aは0である。Rにおけるアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で置換されていてもよい。
【0037】
およびRは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択される。加えて、RまたはRのうち1つは、−NHであってもよい。特定の一実施形態において、Rは水素または−C1〜4アルキルである。別の実施形態において、Rは水素である。また別の特定の実施形態において、RおよびRは両方ともに水素である。RおよびRにおけるアルキル基は、フルオロ原子で置換されていてもよい。例えば、Rおよび/またはRは、−CH、並びに−CFH,−CFH或いは−CFとすることができる。
【0038】
Zは水素、−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、および−NH−C0〜1アルキレン−Qから選択される。一実施形態において、Zは−CH−Qである。別の実施形態において、Zは−(CH−Qである。さらに別の実施形態において、Zは−(CH−Qである。さらに別の実施形態において、Zは−NH−Qである。また別の実施形態において、Zは−NH−CH−Qである。別の実施形態において、Zは水素または−C1〜6アルキルである。例となる−C1〜6アルキル基は、メチル、プロピル、ブチル、およびペンチルを含む。Zにおけるアルキル基およびアルキレン基は、1から5個のフルオロ原子で置換されていてもよい。さらにまた、Zにおけるアルキレン基は、−C1〜2アルキルおよび−OHから独立に選択された1または2個の置換基で置換されていてもよい。例えば、一実施形態において、Zは−CH(CH)−である。
【0039】
Qは−C3〜7シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基である。例となる−C3〜7シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルを含む。例となるアリール基は、フェニルおよびナフチルを含む。一実施形態において、Qはフェニルである。例となるヘテロアリール基は、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、トリアゾリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピラニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾジオキソリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、およびキノキサリニル基を含む。特に注目されるのは、チアゾリル(例えば、チアゾール−2−イルおよびチアゾール−4−イル)基、フラニル(例えば、フラン−2−イルおよびフラン−3−イル)基、チオフェニル(例えば、チオフェン−2−イルおよびチオフェン−3−イル)基、ピラゾリル(例えば、1H−ピラゾール−3−イル)基、ピリジニル(例えば、ピリジン−2−イル)基、インドリル(例えば、1H−インドール−2−イル、1H−インドール−4−イルおよび1Hインドール−5−イル)基、ベンゾフラニル(例えば、ベンゾフラン−5−イル)基、ベンゾチオフェニル(例えば、ベンゾ[b]チオフェン−2−イルおよびベンゾ[b]チオフェン−5−イル)基、およびベンゾジオキソリル(例えば、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)基である。
【0040】
Qはハロ(例えば、ClおよびF)、−C1〜4アルキル(例えば、−CH)、−C0〜4アルキレン−OH(例えば、−OHおよび−CHOH)、シアノ、−C0〜2アルキレン−COOH、−C(O)O−C1〜4アルキル(例えば、−C(O)O−CH)、−O−C1〜4アルキル(例えば、−OCH)、−S−C1〜4アルキル(例えば、−S−CH)、−CONR8a8b、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−N−ジ−C1〜4アルキル、および−N(O)Oから独立に選択された1から5個のR基で置換されていてもよく、ここでR8aおよびR8bは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択される。Rにおける各アルキル基およびアルキレン基は、1から5個のフルオロ原子で置換されていてもよい。例えば、Rは、−CFのようなフルオロ置換基された−C1〜4アルキル基、または−OCFのようなフルオロ置換基された−O−C1〜4アルキル基とすることができる。
【0041】
一実施形態において、Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONR8a8bから選択された1つのR基で置換されており、ここで各アルキル基は、1から3個のフルオロ原子で随意的に置換されている。別の実施形態において、Qはハロ基である(同じか、または異なってもよい)2個のR基で置換されている。一実施形態において、Qは未置換の−C3〜7シクロアルキル基である。一実施形態において、Qは未置換のアリール基である。別の実施形態において、Qはハロ、−C1〜4アルキル、シアノ、−C0〜2アルキレン−COOH、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、−CONR8a8bから選択された1つのR基をもつアリール基であり、ここで各アルキル基は、1から3個のフルオロ原子で随意的に置換されている。さらに別の実施形態において、Qはハロ基である2個のR基をもつアリール基である。一実施形態において、Qは未置換のヘテロアリール基である。別の実施形態において、Qは−C1〜4アルキル基である1個のR基をもつヘテロアリール基である。
【0042】
一実施形態において、本発明は、化学式Iを有する化合物に関し、ここでRはイソブチル、シクロペンチル、またはチオフェニルであり;Rはフェニルまたはチオフェニルであり;Rは−OHであるか;或いは−CRは一緒に化学式:
【0043】
【化12】

の基を形成し;aは0であり;RはHまたは−C1〜4アルキルであり;RはHであり;ZはH、−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、または−NH−C0〜1アルキレン−Qであり;Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で随意的に置換されており;Rにおけるアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で随意的に置換されている。
【0044】
別の実施形態において、本発明は、化学式II:
【0045】
【化13】

を有する化合物、または医薬として許容されるその塩に関し、ここでR1〜3、R6〜7、およびZは、化学式Iにおいて定義された通りである。特定の一実施形態において、本発明は、化学式IIの化合物に関し、ここでRはシクロペンチルまたはチオフェニルであり;Rはフェニルまたはチオフェニルであり;Rは−OHであり;RはHまたは−C1〜2アルキルであり;RはHであり;Zは−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、または−NH−C0〜1アルキレン−Qであり;Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で随意的に置換されており;Rにおけるアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で随意的に置換されている。
【0046】
本発明のまた別の様態は、化学式IIa:
【0047】
【化14】

を有する化合物、または医薬として許容されるその塩に関し、ここでRおよびZは、化学式Iにおいて定義された通りである。特定の一実施形態において、本発明は、化学式IIaの化合物に関し、ここでRはHまたは−C1〜2アルキルであり;Zは−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、または−NH−C0〜1アルキレン−Qであり;Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で随意的に置換されており;Rにおけるアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で随意的に置換されている。
【0048】
本発明のさらに別の様態は、化学式IIb:
【0049】
【化15】

を有する化合物、または医薬として許容されるその塩に関し、ここでQは化学Iにおいて定義された通りである。特定の一実施形態において、本発明は、化学式IIbの化合物に関し、ここでQはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で随意的に置換されており;Rにおけるアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で随意的に置換されている。別の実施形態において、本発明は、化学式IIbの化合物に関し、ここでQはフラニルまたはチオフェニルである。
【0050】
本発明のさらに別の様態は、化学式IIc:
【0051】
【化16】

を有する化合物、または医薬として許容されるその塩に関し、ここでZは化学式Iにおいて定義された通りである。特定の一実施形態において、本発明は、化学式IIcの化合物に関し、ここでQはフェニル、フラニル、またはチオフェニルであり;Qにおけるフェニルは、ハロおよび−C0〜4アルキレン−OHから独立に選択された1〜2個のR基で随意的に置換されている。
【0052】
また別の実施形態において、本発明は、化学式III:
【0053】
【化17】

を有する化合物、または医薬として許容されるその塩に関し、ここでR1〜3、R6〜7、およびZは、化学式Iにおいて定義された通りである。特定の一実施形態において、本発明は、化学式IIIの化合物に関し、ここでRはシクロペンチルであり;Rはフェニルであり;Rは−OHであり;RおよびRはHであり;Zは−C1〜3アルキレン−Qであり;Qはフェニル、ベンゾフラニル、フラニル、ピリジニル、またはチオフェニルであり;Qにおけるフェニルは、ハロおよび−C0〜4アルキレン−OHから独立に選択された1〜2個のR基で随意的に置換されている。
【0054】
さらに別の実施形態において、本発明は、化学式IV:
【0055】
【化18】

を有する化合物、または医薬として許容されるその塩に関し、ここでR1〜3、R6〜7、およびZは、化学式Iにおいて定義された通りである。特定の一実施形態において、本発明は、化学式IVの化合物に関し、ここでR1はイソブチルまたはシクロペンチルであり;Rはフェニルであり;Rは−OHであり;RおよびRはHであり;Zは−C1〜6アルキルまたは−C1〜3アルキレン−Qであり;Qはフェニル、フラニル、ピリジニル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、および−O−C1〜4アルキルから独立に選択された1〜2個のR基で随意的に置換されており;Rにおけるアルキル基は、1から5個のフルオロ原子で随意的に置換されている。
【0056】
化学式Iの化合物の特定の群は、2007年9月7日に出願された米国特許仮出願第60/967,914号に開示されたものである。この群は、化学式(I’):
【0057】
【化19】

において、Rは−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、および−C3〜9シクロアルキルから選択され;Rはアリールであり;RはHおよび−C0〜1アルキレン−OHから選択される、またはRと二重結合を形成するか;或いは−CRは、化学式:
【0058】
【化20】

の基であって、Aは結合、−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−CHCH−、−NH−、または−N(CH)−であり;RはH,ハロ、−OH、−C1〜8アルキル、および−C1〜8アルコキシから選択される基を形成し;Xは結合、−O−または−O−CH−であり;Xが結合であるとき、Yは−CH−であり、Y’は−N−であり、Y”は−CH−であり;Xが−O−または−O−CH−であるとき、Y’は−CH−であり、Yは結合でありY”は−CH−または−(CH−であるか、或いはYは−CH−でありY”は−CH−であり;Rはフルオロおよび−C1〜4アルキルから選択され;aは0か、または1から3までの整数であり;RおよびRは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択され、さらにRまたはRのうち1つは−NHであってもよく;ZはH、−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、および−NH−C0〜1アルキレン−Qから選択され、Qは−C3〜7シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールから選択され、ハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C0〜2アルキレン−COOH、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、−CONR8a8b、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−N−ジ−C1〜4アルキル、および−N(O)Oから独立に選択された1〜5個のR基で随意的に置換されており、R8aおよびR8bは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択された、化学式I’の化合物であって、RおよびRは、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、−C3〜6シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR、−C(O)OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−C(O)NRおよび−NRから選択された1から5個までのR基で随意的に置換されており;各Rbは、H、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、および−C3〜6シクロアルキルから独立に選択され;各RおよびRは、H、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、および−C3〜6シクロアルキルから独立に選択され;Ra〜d、R4〜8、およびZにおける各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、およびシクロアルキル基は、1から5個までのフルオロ原子で随意的に置換されている基であって、Ra〜dにおける各シクロアルキルは、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、シアノ、ハロ、−O(C1〜4アルキル)、−S(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−NH、−NH(C1〜4アルキル)および−N(C1〜4アルキル)から独立に選択された1から3個までの置換基で随意的に置換されており、各アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1から5個までのフルオロ置換基で随意的に置換されており;Zにおけるアルキレン基は、−C1〜2アルキルおよび−OHから選択された1または2個の置換基で随意的に置換されている;化合物、または医薬として許容されるその塩を含む。
【0059】
加えて、本発明において注目される特定の化合物は、以下の実施例に示されるもの、並びに医薬として許容されるその塩を含む。
【0060】
定義
本発明の化合物、組成物、方法およびプロセスが記載される場合、別の指示がなければ、以下の用語は以下の意味をもつ。加えて、本明細書において単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記、該(the)」は、使用される文脈が明らかに別のことを指示しなければ、対応する複数形を含む。用語「備える」、「含む」、および「有する」は、包含的である意図をもち、リストアップされた要素以外の付加的な要素がありうることを意味する。成分の量、分子量のような性質、反応条件などを表現する本明細書で用いられるすべての数は、別の指示がなければ、すべての例において用語「約」によって変更されると理解すべきである。従って、本明細書に示される数字は、本発明が得ようとする所望の特性に依存して変化しうる近似値である。少なくとも、各々の数字は、請求項の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく報告された有効数字の観点から、かつ通常の四捨五入を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0061】
用語「アルキル」は、直鎖であっても分岐していてもよい一価の飽和炭化水素基を意味する。別の定義がなされなければ、かかるアルキル基は、典型的に1から10個までの炭素原子を含み、例えば−C1〜2アルキル、−C1〜4アルキル、および−C1〜6アルキルを含む。代表的なアルキル基は、例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどを含む。
【0062】
本明細書に用いられる特定の用語に炭素原子の具体的な数が必要なとき、炭素原子の数は、該用語に先行する下付き文字として示される。例えば、用語「−C1〜4アルキル」は、1から4個までの炭素原子をもつアルキル基を意味し、用語「−C5〜9シクロアルキル」は、5から9個までの炭素原子をもつシクロアルキル基を意味しており、ここで炭素原子は、許容される任意の配置にある。
【0063】
用語「アルキレン」は、直鎖であっても分岐していてもよい二価の飽和炭化水素基を意味する。別の定義がなされなければ、かかるアルキレン基は、典型的に0から10個までの炭素原子を含み、例えば、−C0〜1アルキレン−、−C0〜2アルキレン−、−C0〜4アルキレン−、−C0〜5アルキレン−、−C1〜4アルキレン−、−C1〜2アルキレン−、−C2〜4アルキレン−、−C2〜5アルキレン−、および−C3〜6アルキレン−を含む。代表的なアルキレン基は、例として、メチレン、エタン−1,2−ジイル(「エチレン」)、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルなどを含む。アルキレンの用語が−C0〜1アルキレン−または−C0〜5アルキレン−のように炭素ゼロを含む場合、かかる用語は、炭素原子が存在しないことを含む意図をもつ、すなわち、アルキレンの用語によって分離されている基を付着させる共有結合以外にアルキレン基が存在しないものと理解する。
【0064】
用語「アルケニル」は、直鎖であっても分岐していてもよく、少なくとも1個、典型的に1、2または3個の炭素−炭素二重結合をもつ、一価の不飽和炭化水素基を意味する。別の定義がなされなければ、かかるアルケニル基は、典型的に2から10までの炭素原子を含み、例えば、−C2〜4アルケニルおよび−C2〜6アルケニルを含む。代表的なアルケニル基は、例として、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブタ−2−エニル、n−ヘキサ−3−エニルなどを含む。用語「アルケニレン」は、二価のアルケニル基を意味し、例となるアルケニレン基は、−C2〜3アルケニレン−を含む。
【0065】
用語「アルコキシ」は、化学式−O−アルキルの一価基を意味し、ここでアルキルは本明細書に定義された通りである。別な定義がなされなければ、かかるアルキレン基は、典型的に1から10個までの炭素原子を含み、例えば、−C1〜4アルコキシおよび−C1〜8アルコキシを含む。代表的なアルコキシ基は、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどを含む。
【0066】
用語「アルキニル」は、直鎖であっても分岐していてもよく、少なくとも1個、典型的に1、2または3個の炭素−炭素三重結合をもつ、一価の不飽和炭化水素基を意味する。別の定義がなされなければ、かかるアルキニル基は、典型的に2から10個までの炭素原子を含み、例えば、−C2〜4アルキニルおよび−C2〜6アルキニルを含む。代表的なアルキニル基は、例として、エチニル、n−プロピニル、n−ブタ−2−イニル、n−ヘキサ−3−イニルなどを含む。
【0067】
用語「アリール」は、単一の芳香環(すなわち、フェニル)または縮合環(すなわち、ナフタレン)をもつ一価の芳香族炭化水素を意味する。別の定義がなされなければ、かかるアリール基は、典型的に6から10個までの炭素環原子を含み、例えば、−C6〜10アリールを含む。代表的なアリール基は、例として、フェニルおよびナフタレン−1−イル、ナフタレン−2−イルなどを含む。
【0068】
用語「シクロアルキル」は、一価の炭素環式飽和炭化水素基を意味する。別の定義がなされなければ、かかるシクロアルキル基は、典型的に3から10個までの炭素原子を含み、例えば、−C3〜6シクロアルキル、−C3〜7シクロアルキル、および−C5〜9シクロアルキルを含む。代表的なシクロアルキル基は、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
【0069】
用語「二価の炭化水素基」は、主として炭素および水素原子から構成され、随意的に1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む二価の炭化水素基を意味する。かかる二価の炭化水素基は、分岐または非分岐、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族または芳香族、或いはその組み合わせであってもよい。二価の炭化水素基は、炭化水素鎖中に取り込まれているか、或いは炭化水素鎖に付着した置換基として随意的にヘテロ原子を含むことができる。
【0070】
用語「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0071】
本明細書では、語句「化学式を有する」または「構造を有する」は限定的である意図をもたず、用語「備える」が一般に用いられるのと同じように用いられる。
【0072】
用語「ヘテロアリール」は、単一の芳香環または2つの縮合環を有し、窒素、酸素または硫黄から選択された少なくとも1個のヘテロ原子(典型的に1から3個までのヘテロ原子)を環のなかに含む、一価の芳香族基を意味する。別の定義がなされなければ、かかるヘテロアリール基は、典型的に合計5から10個までの環原子を含み、例えば、−C2〜9ヘテロアリールを含む。代表的なヘテロアリール基は、例として、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、フラニル、チオフェニル、トリアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニルなどを含み、ここで付着点は利用しうる任意の炭素または窒素環原子である。
【0073】
用語「随意的に置換されている」は、問題の基が、未置換であってもよく、或いは1から3回または1から5回のように、1から数回置換されていてもよいことを意味する。例えば、1から5個のフルオロ原子で「随意的に置換されている」アルキル基は、未置換であってもよく、或いは1、2、3、4、または5個のフルオロ原子を含んでもよい。
【0074】
用語「医薬として許容される」は、本発明において、生物学的に、或いは他の点で許容される物質を指す。例えば、用語「医薬として許容されるキャリア」は、許容できない生物学的な影響を生じたり、或いは組成物の他成分と許容できない相互作用をしたりせずに、組成物に取り込んで患者に投与できる物質を指す。かかる医薬として許容される物質は、典型的に毒性および製造テストにおける必要基準を満たしており、米国食品医薬品局により適切な不活性成分として確認された物質を含む。
【0075】
用語「医薬として許容される塩」は、患者、例えば哺乳動物への投与が許容される塩基または酸から調製された塩(例えば、所定の投薬療法において許容される哺乳動物への安全性を有する塩)を意味する。しかしながら、本発明が取り上げる塩は、患者への投与が意図されない中間化合物の塩のように、医薬として許容される塩である必要はないものと理解する。医薬として許容される塩は、医薬として許容される無機または有機塩基から、および医薬として許容される無機または有機酸から得ることができる。加えて、化学式Iの化合物が塩基性部分および酸性部分の両方を含む場合、双生イオンが形成されることがあり、本明細書に用いる用語「塩」はこれを含む。医薬として許容される無機塩基から得られる塩は、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、三価鉄塩、二価鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、三価マンガン塩、二価マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および亜鉛塩などを含む。医薬として許容される有機塩基から得られる塩は、置換アミン類、環状アミン類、自然発生アミン類など、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン(piperazine)、ピペラジン(piperadine)、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを含めて、一級、二級および三級アミンの塩を含む。医薬として許容される無機酸から得られる塩は、ほう酸塩、炭酸塩、ハロゲン化水素酸(臭化水素酸、塩酸、ふっ酸またはよう化水素酸)塩、硝酸塩、りん酸塩、スルファミン酸塩および硫酸塩を含む。医薬として許容される有機酸から得られる塩は、脂肪族ヒドロキシ酸類(例えば、くえん酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、ラクトビオン酸、りんご酸および酒石酸)、脂肪族モノカルボン酸類(例えば、酢酸、酪酸、ぎ酸、プロピオン酸およびトリフルオロ酢酸)、アミノ酸類(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)、芳香族カルボン酸類(例えば、安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸、ゲンチシン酸、馬尿酸、およびトリフェニル酢酸)、芳香族ヒドロキシ酸類(例えば、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸および3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸)、アスコルビン酸、ジカルボン酸類(例えば、フマル酸、マレイン酸、しゅう酸およびこはく酸)、グルクロン酸、マンデル酸、粘液酸、ニコチン酸、オロチン酸、パモン酸、パントテン酸、スルホン酸類(例えば、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、エジシル(edisylic)酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸)、キシナホ(xinafoic)酸などの塩を含む。
【0076】
用語「治療に有効な量」は、治療を必要とする患者に投与されたときに治療を有効にするために十分な量、すなわち、所望の治療効果を得るのに必要な薬物量を意味する。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための、治療に有効な量は、(COPD)の症状を、例えば、低減、抑制、解消、または予防するか、或いは(COPD)の根底にある原因を治療するために必要な化合物量である。他方、「有効な」量は、所望の結果を得るために必要な量であり、必ずしも治療に有効な量でなくてもよい。例えば、ムスカリン受容体をアンタゴナイズすることを備えるシステムを研究する場合、「有効な量」は、受容体をアンタゴナイズするために必要な量であってもよい。
【0077】
本明細書では、「治療すること」または「治療」は、哺乳動物(特にヒト)のような患者における(COPDのような)疾患または医学的状態を治療することまたは治療を意味し、(a)疾患または医学的状態の発生を予防すること、すなわち、患者の予防的治療;(b)疾患または医学的状態を改善すること、すなわち、患者における疾患または医学的状態を解消するか、または後退させること;(c)疾患または医学的状態を抑制すること、すなわち、患者における疾患または医学的状態の進行を遅らせるか、または止めること;或いは、(d)患者における疾患または医学的状態の症状を軽減することを含む。例えば、用語「COPDを治療すること」は、COPDの発生を予防すること、COPDを改善すること、COPDを抑制すること、およびCOPDの症状を軽減することを含むことになろう。用語「患者」は、治療または疾患の予防が必要なヒト、特定の疾患または医学的状態の疾患予防または治療のために現在治療を受けているヒト、並びに本発明の化合物を評価する、或いはアッセイに用いるテスト対象、例えば動物モデルのような動物を含む意図をもつ。
【0078】
本明細書に用いられるすべての他の用語は、本分野に属する当業者によって理解される通常の意味をもつことが意図される。
【0079】
一般的な合成手順
本発明の化合物は、入手が容易な出発物質から、次の一般的な方法、実施例に示される手順を用いて、或いは当業者に知られた他の方法、試薬、および出発物質を用いて調製することができる。以下の手順により本発明の特定の実施形態を説明することができるが、同一または同様の方法を用いて、或いは当業者に知られた他の方法、試薬および出発物質を用いることによって、本発明の他の実施形態も同様に調製できると考えられる。同じく当然のことながら、典型的な、或いは好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が示されるところでは、別の記述がなければ、他のプロセス条件を用いることもできる。最適な反応条件は、一般に様々な反応パラメータ、例えば特定の反応剤、溶媒および使用量などに依存して変化するであろうが、当業者は、日常的な最適化手順を用いて容易に適切な反応条件を決定することができる。
【0080】
加えて、当業者に明らかであろうように、望ましくない反応がある種の官能基に生じることを防ぐために、従来の保護基が必要ないし望ましいことがある。特定の官能基に適した保護基の選択、並びにかかる官能基の防護および脱保護に適した条件および試薬は、当分野でよく知られている。望ましくない反応を防ぐために保護できる官能基は、例として、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボニル基などを含む。代表的なカルボキシ保護基は、限定されることなしに、メチル、エチル、t−ブチル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルロエニルメチル(Fm)、トリメチルシリル(TMS)、t−ブチルジメチルシリル(TBS)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)などのようなエステル類;アミド類およびヒドラジド類を含む。代表的なヒドロキシル保護基は、限定されることなしに、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)などのようなトリC1〜6アルキルシリル基を含むシリル基、フォルミル、アセチルなどのようなC1〜6アルカノイル基を含むエステル類(アシル基);ベンジル(Bn),p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)などのようなアリールメチル基;およびエーテル類を含む。チオール基のための代表的な保護基は、チオエーテル類およびチオエステル類を含む。カルボニル基のための代表的な保護基は、アセタール類およびケタール類を含む。必要に応じて、本明細書に記載されたもの以外の保護基を用いることができる。例えば、多数の保護基、並びにそれらの導入および除去は、T.W.GreenおよびG.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,第3版、Wiley,ニューヨーク、1999およびそこに引用された参考文献に記載されている。より具体的に、次の略語および試薬が、以下に提示されるスキームに用いられる。
【0081】
Pは「アミノ保護基」、アミノ基における望ましくない反応を防ぐのに適した保護基を意味するために本明細書に用いる用語を表す。代表的なアミノ保護基は、限定されることなしに、t−ブトキシカルボニル(BOC)、トリチル(Tr)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、フォルミル、トリメチルシリル(TMS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)などを含む。標準的な脱保護技術が、P基を除去するために用いられる。例えば、N−BOC基の脱保護に塩酸、または4M塩酸の1,4−ジオキサン溶液のような試薬を用いることができる。
【0082】
これらのスキームで用いるのに適した塩基は、例として限定なしに、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムt−ブトキシド,および金属水素化物を含む。
【0083】
これらのスキームで用いるのに適した不活性な希釈液または溶媒は、例として限定なしに、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、四塩化炭素(CHCl)、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、水などを含む。
【0084】
適切なカルボン酸/アミンカップリング試薬は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスファート(PyBOP)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスファート(HATU)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC);N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCI)、カルボニルジイミダゾール(CDI)などを含む。カップリング反応は、塩基の存在下において不活性な希釈液中で行われ、アミド結合を形成する従来の条件下で実施される。
【0085】
すべての反応は、典型的に約−78℃から100℃までの範囲内の温度、例えば室温で行なわれる。典型的に、反応は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および/またはLCMSの使用により完了までモニターされる。反応は、数分で完了することもあり、或いは数時間、典型的に1〜2時間から48時間までかかることもある。完了時点で、所望の生成物を得るために混合物をさらに処理することができる。例えば、混合物は次の手順の1つまたはそれ以上を経ることができる:除去または分配(例えば、酢酸エチルおよび水間、或いは5%THFの酢酸エチル溶液および1Mりん酸間);抽出(例えば、酢酸エチル、CHCl、DCM、KOH/クロロホルムを用いる);洗浄(例えば、NaClの飽和水溶液、飽和NaHCO、NaCO(5%)、CHCl、HClまたはNaOHを用いる);乾燥(例えば、MgSOまたはNaSO上);溶媒除去(例えば、真空中);濾過;濃縮(例えば、真空中);および/または精製(例えば、シリカゲルクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、または逆相HPLC)。
【0086】
例として、化学式Iの化合物は、例となる次のプロセスの1つまたはそれ以上によって調製することができる。反応物はすべて市販されている、および/または当分野でよく知られた技術により容易に合成することができる。
【0087】
Xが結合である頭部基の形成
【0088】
【化21】

化合物(1)および(2)を、アミド結合を形成する従来の条件下でカップリングさせ、それに続く脱保護ステップによって化合物(3)が形成される。
【0089】
化合物(1)の例は、(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(Rはシクロペンチルであり、RはフェニルでありRはヒドロキシである)を含む。化合物(2)の例は、t−ブチル−1−ピペラジンカルボキシラート(aは0であり、PはBOCである)を含む.
Xが−O−である頭部基の形成
【0090】
【化22】

化合物(5)は、光延カップリング反応によって形成される(MitunobuおよびYamada(1967)M.Bull.Chem.Soc.JPN.40:2380-2382)。化合物(1)および化合物(4)をトリフェニルホスピンのようなホスフィン触媒、およびジエチルアゾジカルボキシラートまたはジイソプロピルアゾジカルボキシラートのようなアゾジカルボキシラートの存在下で反応させ、それに続く脱保護ステップによって化合物(5)が得られる。化合物(5)は、エステル転移反応によっても調製することができる。
【0091】
化合物(1)の例は、(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(Rはシクロペンチルであり、RはフェニルでありRはヒドロキシである)を含む。化合物(4)の例は、(R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(aは0であり、PはBOCであり、Yは結合であり、Y’は−CH−でありY”は−CH−である)、4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(aは0であり、PはBOCであり、Yは−CH−であり、Y’は−CH−であり、Y”は−CH−である)、または(R)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸t‐ブチルエステル(aは0であり、PはBOCであり、Yは結合であり、Y’は−CH−でありY”は−(CH−である)を含む。
【0092】
頭部基へのグアニジン部分の付加−
第1ベンゾトリアゾール部分の置換
【0093】
【化23】

適切な溶媒中において化合物(3)または化合物(5)にDIPEAを加える。次に化合物(6)、グアニジン付加剤を加え、反応が完了するまで室温で典型的に30分から数時間攪拌して化合物(7)を生じさせて、次のステップにこれを直接用いる。化合物(6)は、Katritzkyら(2000)J.Org.Chem.65(23):8080-8082に記載された方法により容易に調製される。化合物(6)の例は、C−(ビス−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチレンアミン(RはH)である。
【0094】
置換されたグアニジンの形成
(トリまたはテトラ置換されたグアニジンの形成)
【0095】
【化24】

化合物(7)を化合物(8)に加え、混合物を室温で、または(約60℃に)加熱して、完了まで典型的に約14〜24時間保持する。次に、必要に応じて、反応を室温まで冷却して、溶媒を除去する。未精製の物質を次に精製して、化学式Iの化合物を供する。化合物(8)の例は、2−チオフェンメチルアミン、4−ヒドロキシベンジルアミン、およびベンジルアミンを含む。
【0096】
本発明の代表的な化合物、またはその中間生成物を調製するための具体的な反応条件および他の手順に関するさらなる詳細は、以下に示す実施例に記載される。
【0097】
効能
本発明の化合物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト活性、および一実施形態においては、ナノモルの作用強度を有する。一実施形態において、本発明の化合物は、Mムスカリン受容体サブタイプの活性以上に、Mムスカリン受容体サブタイプの活性を選択的に阻害する。別の実施形態において、本発明の化合物は、M、M、Mムスカリン受容体サブタイプの活性以上に、MおよびMムスカリン受容体サブタイプの活性を選択的に阻害する。加えて、本発明の化合物は、望ましい作用持続時間を有することが期待される。従って、別の特定の実施形態において、本発明は、約24時間より長い作用持続期間をもつ化合物に関する。さらに、本発明の化合物は、吸入によって投与されたとき、(チオトロピウムのような)吸入によって投与される他の知られた受容体アンタゴニストと比較して、有効な用量における口渇のような副作用が低減されることも期待される。
【0098】
M3受容体サブタイプに対する化合物の親和性に関する1つの尺度は、受容体への結合に対する阻害解離定数(K)である。本発明の化合物は、例えば、インビトロの放射性リガンド置換アッセイによって測定されるように、M受容体サブタイプに対して100nM以下のKを有することが期待される。特に注目される化合物は、50nM以下のKを有するものを含み、別の実施形態において、該化合物は10nM以下のKを有し、また別の実施形態において、該化合物は1.0nM以下のKを有する。なおさらに特に注目される化合物は、500pM以下のKを有するものを含み、別の実施形態において、該化合物は200pM以下のKを有する。いくつかの場合に、本発明の化合物が弱いムスカリン受容体アンタゴニスト活性を有してもよいことを付記しておく。かかる場合に、当業者は、これらの化合物が研究手段としてなお効能を有することを認識するであろう。
【0099】
やはり特に注目されるのは、投薬の24時間後に100μg/mL以下のID50を有する化合物、さらに特に投薬の24時間後に30μg/mL以下のID50を有する化合物である。
【0100】
ムスカリン受容体をアンタゴナイズする活性のような、本発明の化合物の特性を測定するための例となるアッセイは、実施例に記載されており、例として限定なしに、(例えば、アッセイ1に記載されるような)hM、hM、hM、hM、およびhMムスカリン受容体における結合を測定するアッセイを含む。ムスカリン受容体をアンタゴナイズする本発明の化合物の活性を測定するのに役立つ機能アッセイは、例として限定なしに、リガンド介在による細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP:cyclic adenosine monophosphate)の変化;リガンド介在による(cAMPを合成する)酵素アデニリルシクラーゼ活性の変化;リガンド介在による、受容体により触媒されたグアノシン5’−O−(γ−チオ)三リン酸([35S]GTPγS:guanosine 5’−O−(γ−thio) triphosphate)とGDPとの交換を通しての単離膜への[35S]GTPγS取り込みの変化;リガンド介在による、自由な細胞内カルシウムイオンの(例えば、蛍光結合イメージングプレートリーダー、すなわちMolecular Devices社のFLIPR(登録商標)(fluorescence−linked imaging plate reader)を用いて測定される)変化などを測定するアッセイを含む。例となるアッセイは、アッセイ2に記載される。本発明の化合物は、上記にリストアップされたアッセイのいずれか、または同様の特質をもつアッセイにおいてムスカリン受容体の活性をアンタゴナイズするか、または減少させることが期待され、これらの検討において約0.1〜100ナノモルの濃度範囲が一般に用いられることになる。かくして、前述のアッセイは、治療の効能、例えば、本発明の化合物の気管支拡張活性を測定するのに役立つ。
【0101】
当業者によく知られる様々なインビトロおよびインビボアッセイを用いて、本発明の化合物の他の特性および効能を測定することができる。例えば、本発明の化合物のインビボでの作用強度は、Einthovenモデルのような動物モデルにおいて測定することができる。端的には、化合物の気管支拡張活性薬としての活性は、麻酔された動物(Einthovenモデル)において評価され、気道抵抗の代理手段として換気圧力が用いられる。例えば、Einthoven(1892) Pfugers Arch.51:367-445;およびMohammedら(2000) Puml Pharmacol Ther.13(6):287-92、並びにラットのEinthovenモデルについて記載するアッセイ3を参照。一実施形態において、ラットのEinthovenモデルに100μg/mlの用量が投与された本発明の化合物は、気管支収縮薬への反応が24時間後に35%以上阻害されることを示し、別の実施形態において、24時間後に70%以上阻害されることを示す。別の有用なインビボアッセイは、(例えば、アッセイ4に記載されるような)ラットの抗唾液分泌促進アッセイである。
【0102】
本発明の化合物は、ムスカリン受容体が介在する医学的状態を治療するための治療薬として役立つことが期待される。それ故に、ムスカリン受容体を塞ぐことによって治療される疾患または障害に苦しむ患者は、治療に有効な量の本発明のムスカリン受容体アンタゴニストを投与することによって治療できることが期待される。かかる医学的状態は、慢性閉塞性肺疾患(例えば、慢性で呼吸が困難な気管支炎および気腫)、喘息、肺線維症、アレルギー性鼻炎、鼻漏などのような、可逆性気道閉塞に関連付けられるものを含めて、例として肺障害または疾患を含む。ムスカリン受容体アンタゴニストを用いて治療することができる他の医学的状態は、過活動膀胱または排尿筋活動過多およびその症状のような泌尿生殖器系障害;過敏性腸症候群、憩室疾患、アカラシア、胃腸運動過剰障害および下痢のような胃腸管障害;洞性徐脈のような心臓不整脈;パーキンソン病;アルツハイマー病のような認知障害;月経困難症などである。
【0103】
一回に投与される活性薬剤の量は、規定のこともあり、或いは患者の状態の特質および重症度、治療状況、年齢、体重、および患者の全般的な健康状態、活性薬剤に対する患者の耐性、投与経路、投与される活性薬剤および任意の第2の薬剤の活性、効力、薬物動態および毒性プロファイルのような薬理学的考慮などを含む多数の要因を考慮に入れることによって、個々の患者に基づいて決められることもある。(COPDのような)疾患または医学的状態に苦しむ患者の治療は、規定の投薬量、または治療に当たる医師によって決められる投薬量から始めることができ、疾患または医学的状態の症状を予防、改善、抑制、または軽減するために必要な期間続くことになる。かかる治療を受けている患者は、治療の有効性を決定するために、通常は日常的にモニタリングされることになる。例えば、COPDの治療では、(1秒間に測定される)努力呼気肺活量の有意な改善から治療の有効性を決定することができる。本明細書に記載される他の疾患および状態に関する同様の指標が当業者によく知られており、治療に当たる医師は容易に利用することができる。医師による連続的なモニタリングは、いかなるときも活性薬剤の最適量が投与されること、並びに治療期間の決定を容易にすることを保証するであろう。第2の薬剤も投与されているときには、その選択、投薬量、および治療期間も調整が必要となりうるので、これは特に価値がある。このように、所望の有効性を示す活性薬剤の最低量が投与され、さらにその投与が、疾患または医学的状態を首尾よく治療するために必要な間のみ継続されるように、治療の過程にわたって治療計画および投薬スケジュールを調整することができる。
【0104】
従って、一実施形態において、本発明の化合物は、ヒトおよび他のペット(例えば、イヌ、ネコなど)を含む哺乳動物における平滑筋障害を治療するために役立つ。かかる平滑筋障害は、例として、過活動膀胱、慢性閉塞性肺疾患および過敏性腸症候群を含む。典型的に、平滑筋障害、またはムスカリン受容体が介在する他の障害の治療に適する用量は、約0.15μg/kg/日から約5mg/kg/日までを含んで、約0.14μg/kg/日から約7mg/kg/日までの活性薬剤の範囲となるであろう。平均70kgのヒトに対して、これは1日に約10μgから1日に約500mgまでの範囲の活性薬剤量になるであろう。
【0105】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、治療に有効な量の化合物を患者に投与することによって、ヒトを含む哺乳動物におけるCOPDまたは喘息のような肺または呼吸器の障害を治療するために役立つ。一般に、肺障害を治療するための用量は、約10〜1500μg/日の範囲であろう。用語「COPD」が、Barnes(2000)N.Engl.J.Med.343:269-78、およびそこに引用された参考文献の教えが例示するように、慢性閉塞性気管支炎および気腫を含めて様々な呼吸器の状態を含むことは、当業者によって理解される。肺障害を治療するために用いられるとき、本発明の化合物は、随意的にβ−アドレナリン受容体アゴニスト;コルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、またはその組み合わせのような他の治療薬と組み合わせて投与される。
【0106】
吸入によって投与されたとき、本発明の化合物は、典型的に気管支拡張を発生させる効果を有する。従って、方法に関する別の様態において、本発明は、患者における気管支拡張を発生させる方法に関し、気管支拡張を発生させる量の本発明の化合物を患者に投与することを備える。一般に、気管支拡張を発生させる治療に有効な用量は、約10〜1500μg/日の範囲であろう。
【0107】
別の実施形態において、本発明の化合物は、過活動膀胱を治療するために用いられる。過活動膀胱を治療するために用いられるとき、典型的な用量は、約1.0〜500mg/日の範囲であろう。また別の実施形態において、本発明の化合物は、過敏性腸症候群を治療するために用いられる。過敏性腸症候群を治療するために用いられるとき、本発明の化合物は、一般に経口投与または直腸内投与され、典型的な用量は、約1.0〜500mg/日の範囲であろう。
【0108】
本発明の化合物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト活性を有するため、かかる化合物は、ムスカリン受容体を有する生体システムまたは試料を調査または研究するための研究手段としても役立つ。M、M、M、Mおよび/またはMムスカリン受容体を有する任意の適切な生体システムまたは試料をインビトロまたはインビボのいずれかで行うことができるかかる研究に用いることができる。かかる研究に適する代表的な生体システムまたは試料は、限定されることなしに、細胞、細胞抽出物、細胞質膜、組織試料、摘出臓器、(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタ、ヒトなどのような)哺乳動物などを含み、哺乳動物が特に注目される。本発明の特定の一実施形態において、哺乳動物におけるムスカリン受容体は、ムスカリン受容体をアンタゴナイズする量の本発明の化合物を投与することによってアンタゴナイズされる。本発明の化合物は、かかる化合物を用いてバイオアッセイを行うことにより、研究手段としても用いることができる。
【0109】
研究手段として用いるとき、一般に、ムスカリン受容体を備える生物システムまたは試料を、ムスカリン受容体をアンタゴナイズする量の本発明の化合物と接触させる。ムスカリン受容体をアンタゴナイズする効果は、生物システムまたは試料を化合物に曝露した後、従来の手順および機器を用いて、例えば、放射性リガンド結合アッセイにおける結合、または機能アッセイにおけるリガンド介在による変化を測定することによって、或いは哺乳動物の気管支保護アッセイにおいて化合物がもたらす気管支保護の量を測定することによって測定する。曝露は、細胞または組織を化合物に接触させること、哺乳動物に、例えば、腹腔内または静脈内投与によって、化合物を投与することなどを包含する。この測定ステップは、反応を測定すること、すなわち定量的な分析を備えてもよく、或いは観測、すなわち定性的な分析を備えてもよい。反応を測定することは、例えば、放射性リガンド結合アッセイのような従来の手順および機器を用いて、生物システムまたは試料に対する化合物の効果を決定すること、および機能アッセイにおいてリガンド介在による変化を測定することを含む。アッセイの結果は、活性レベル、並びに所望の結果を達成するために必要な化合物量、すなわち、ムスカリンをアンタゴナイズする量を決定するために用いることができる。典型的に、決定ステップは、ムスカリン受容体におけるリガンド介在効果の決定を含むであろう。
【0110】
加えて、本発明の化合物は、他の化合物を評価する研究手段としても用いることができ、それ故に、例えば、ムスカリン受容体結合活性を有する新しい化合物を発見するスクリーニングアッセイにも役立つ。このように、本発明の化合物をアッセイの標準物質として用い、テスト化合物および本発明の化合物で得られた結果を比較して、もし存在するならば、ほぼ等しいか、或いはより優れた結合を有するテスト化合物を同定することができる。例えば、テスト化合物またはテスト化合物群に対する(例えば、インビトロ放射性リガンド置換アッセイで測定した)ムスカリン受容体結合データを本発明の化合物に対するムスカリン受容体結合データと比較し、もし存在するならば、所望の特性を有するテスト化合物、例えば、本発明の化合物とほぼ等しいか、或いはより優れた結合を有するテスト化合物を同定する。代わりに、例えば、哺乳動物の気管支保護アッセイにおいてテスト化合物および本発明の化合物の気管支保護効果を測定し、このデータを比較して、ほぼ等しいか、或いはより優れた気管支保護効果を提供するテスト化合物を同定することができる。本発明のこの様態は、注目すべきテスト化合物を同定するために(然るべきアッセイを用いて)比較データを生成すること、およびテストデータを分析することの両方を別々の実施形態として含む。かくして、テスト化合物は、(a)テスト化合物を用いてバイオアッセイを行ない、第1の分析値を提供するステップ;(b)本発明の化合物を用いてバイオアッセイを行ない、第2の分析値を提供するステップであって、ステップ(a)はステップ(b)の前、後または同時のいずれかに行われる、ステップ;および(c)ステップ(a)からの第1の分析値をステップ(b)からの第2の分析値と比較するステップ、を備える方法により、バイオアッセイにおいて評価であることができる。例となるバイオアッセイは、ムスカリン受容体結合アッセイを含む。
【0111】
医薬組成物および製剤
本発明の化合物は、一般に医薬組成物または製剤の形態で患者に投与される。かかる医薬組成物は、限定されることなしに、吸入、経口、経鼻、(経皮を含む)局所的および非経口的投与モードを含む任意の許容される投与手段によって、患者に投与することができる。さらに、本発明の化合物は、例えば経口により、1日当たり複数回の用量、毎日1回または毎週1回の用量を投与することができる。当然のことながら、特定の投与モードに適した本発明の化合物のいずれかの形態(すなわち、遊離塩基、医薬として許容される塩、溶媒和物など)を、本明細書で議論される医薬組成物中に用いることができる。
【0112】
それ故に一実施形態において、本発明は、医薬として許容されるキャリアおよび本発明の化合物を備える医薬組成物に関する。該組成物は、望ましければ他の治療薬および/または調合剤を含むことができる。「本発明の化合物」は、本明細書において「活性薬剤」と呼称されることもある。
【0113】
本発明の医薬組成物は、治療に有効な量の本発明の化合物を典型的に含む。しかしながら、当業者は、医薬組成物が、治療に有効な量より多量を含んでもよい、すなわちバルク組成物か、或いは治療に有効な量より少量、すなわち、複数回投与によって治療に有効な量に達するように設計された個々の単位用量を含んでもよいことを認識するであろう。一実施形態において、該組成物は、約0.01〜10wt%のように、約0.01〜30wt%を含んで、約0.01〜95wt%の活性薬剤を含み、実際の量は、製剤そのもの、投与経路、投薬頻度などに依存することになろう。別の実施形態において、吸入に適した組成物は、例えば、約0.01〜30wt%または活性薬剤を備え、また別の実施形態は、約0.01〜10wt%の活性薬剤を備える。
【0114】
任意の従来のキャリアまたは賦形剤を本発明の医薬組成物に用いることができる。特定のキャリアまたは賦形剤、或いはキャリアまたは賦形剤の組み合わせの選択は、特定の患者、或いは医学的状態または病状のタイプを治療するために用いる投与モードに依存するであろう。これに関して、特定の投与モードに適する組成物の調製は、十分に製薬分野の当業者の範囲内である。加えて、かかる組成物に用いるキャリアまたは賦形剤は市販されている。さらなる例として、従来の製剤技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版,Lippincott Williams&White,ボルティモア,メリーランド州(2000);およびH.C.Anselら,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版、Lippincott Williams&White,ボルティモア,メリーランド州(1999)に記載されている。
【0115】
医薬として許容されるキャリアの機能を果たす物質の代表的な例は、限定されることなしに、次のものを含む:ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖類;コーンスターチおよびジャガイモ澱粉のような澱粉類;微晶質セルロースのようなセルロース、およびその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび座薬ワックスのような賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油のようなオイル類;プロピレングリコールのようなグリコール類;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエテレングリコールのようなポリオール類;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝化剤;アルギン酸;発熱物質のない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;りん酸緩衝液;クロロフルオロカーボンおよびヒドロフルオロカーボンのような圧縮された推進剤ガス;および医薬組成物に用いられており、毒性がなく混合可能な他の物質。
【0116】
医薬組成物は、一般に活性薬剤を、医薬として許容されるキャリアおよび1つまたはそれ以上の随意的な成分と徹底的かつ密接に混合または調合することによって調製される。次に、結果として生じた一様に調合された混合物は、従来の手順および機器を用いて、錠剤、カプセル、丸薬、キャニスター、カートリッジ、ディスペンサーなどに成形または充填することができる。
【0117】
一実施形態において、本医薬組成物は、吸入による投与に適している。吸入による投与に適した組成物は、典型的にエアロゾルまたは粉末形態であろう。かかる組成物は、噴霧吸入器、乾燥粉末吸入器、または定量吸入器のような、以下にその例が記載されるよく知られた送達機器を用いて投与される。
【0118】
本発明の特定の実施形態において、活性薬剤を備える組成物は、噴霧吸入器を用いた吸入によって投与される。一般にかかる噴霧機器は高速気流を発生させ、組成物を患者の気道に運ぶミストとして噴霧する。従って、噴霧吸入器用に製剤する場合、通常は活性薬剤を適切なキャリアに溶解させて溶液を形成する。代わりに、活性薬剤を微粉末化して適切なキャリアと混ぜ合わせ、呼吸可能なサイズに微粉末化した粒子の懸濁剤を形成することもできる。ここで、微粉末化されたとは一般に、粒子のうち少なくとも約90パーセントが約10μmより小さい質量中央径をもつ粒子からなるとして定義される。用語「質量中央径」は、粒子の質量の半分がより大きい直径をもつ粒子に含まれ、半分がより小さい直径をもつ粒子に含まれるような直径を意味する。
【0119】
適切な噴霧機器は、Respimat(登録商標)Soft Mist(商標)Inhaler(Boehringer Ingelheim)、AERx(登録商標)Pulmonary Delivery System(Aradigm社)、およびPARI LC Plus Reusable Nebulizer(Pari GmbH)を含む。噴霧吸入器に用いるための例となる組成物は、約0.05μg/mLから約10mg/mLまでの本発明の化合物を含む等張水溶液を備える。一実施形態において、かかる溶液は約4〜6のpHをもつ。
【0120】
本発明の別の特定の実施形態において、活性薬剤を備える組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI:dry powder inhaler)を用いた吸入によって投与される。一般にかかるDPIは、吸気の間に患者の気流に分散された自由流動性の粉末として活性薬剤を投与する。自由流動性の粉末を得るために、活性薬剤は、一般にラクトース、澱粉、マンニトール、ブドウ糖、多乳酸、ラクチド・グリコリド共重合体、およびその組み合わせのような適切な賦形剤を用いて製剤される。典型的に、活性薬剤を微粉末化し、賦形剤と混ぜ合わせて、吸入に適した混合物を形成する。従って、本発明の一実施形態において、活性薬剤は微粉末化された形態にある。例えば、DPI用の代表的な組成物は、約1μmから約100μmの間の粒径をもつ乾燥ラクトース(例えば、乾式粉砕ラクトース)、および微粉末化された活性薬剤粒子を備える。かかる乾燥粉末製剤は、例えば、ラクトースと活性薬剤を混ぜ合せ、次に成分を乾式調合することによって作製できる。代わりに、望ましい場合、賦形剤なしに活性薬剤を製剤することもできる。次に組成物を一般にDPIに、或いはDPIで用いる吸入カートリッジまたはカプセルに充填する。DPIは当業者によく知られ、多くのかかる機器が市販されており、代表的な機器は、Aerolizer(登録商標)(Novartis)、airmax(商標)(IVAX)、ClickHaler(登録商標)(Innovata Biomed)、Diskhaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Diskus(登録商標)またはAccuhaler(GlaxoSmithKline)、Easyhaler(登録商標)(Orion Pharma)、Eclipse(商標)(Aventis)、FlowCaps(登録商標)(Hovione)、Handihaler(登録商標)(Boehringer Ingelheim)、Pulvinal(登録商標)(Chiesi)、Rotahaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、SkyeHaler(商標)またはCertihaler(商標)(SkyePharma)、Twisthaler(Schering−Plough)、Turbuhaler(登録商標)(AstraZeneca)、Ultrahaler(登録商標)(Aventis)などを含む。
【0121】
本発明のまた別の特定の実施形態において、活性薬剤を備える組成物は、定量噴霧式吸入器(MDI:metered‐dose inhaler)を用いた吸入によって投与される。一般にかかるMDIは、圧縮された推進剤ガスを用いて、測定された量の活性薬剤を放出する。かくして、定量吸入製剤は、クロロフルオロカーボンがオゾン層に影響を与える懸念の故にヒドロフルオロアルカン(HFA:hydrofluoroalkane)が一般に好ましいとはいえ、液化された推進剤、例えば、CClFのようなクロロフルオロカーボン、または1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA 227)のようなHFAのなかに活性薬剤の溶液または懸濁剤を一般に備える。HFA製剤に追加される随意的な成分は、エタノールまたはペンタンのような助溶剤、およびソルビタントリオレアート、オレイン酸、レシチンおよびグリセリンのような界面活性剤を含む。例えば、Purewalらの米国特許第5,225,183号、欧州特許第0717987 A2号(Minnesota Mining and Manufacturing Company)、および国際公開第92/22286号(Minnesota Mining and Manufacturing Company)を参照。MDI用の代表的な組成物は、約0.01〜5wt%の活性薬剤;約0〜20wt%のエタノール;および約0〜5wt%の界面活性剤を備え、残りはHFA推進剤である。かかる組成物は、一般に活性薬剤、(もし存在すれば)エタノールおよび(もし存在すれば)界面活性剤を含んだ適切な容器に、冷却または加圧されたヒドロフルオロアルカンを加えることによって調製される。懸濁剤を調製するためには、活性薬剤を微粉末化し、続いて推進剤と混ぜ合せる。次に、MDIの一部分を成すエアロゾル・キャニスターに製剤を充填する。MDIは、当業者によく知られ、多くのかかる機器が市販されており、代表的な機器は、AeroBid Inhaler System(Forest Pharmaceuticals)、Atrovent Inhalation Aerosol(Boehringer Ingelheim)、Flovent(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Maxair Inhaler(3M)、Proventil(登録商標)(Schering)、Serevent(登録商標)Inhalation Aerosol(GlaxoSmithKline)などを含む。代わりに、懸濁製剤は、活性薬剤の微粉末粒子上における界面活性剤のコーティングを吹き付け乾燥させることによって調製することもできる。例えば、国際公開第99/53901号(Glaxo Group社)および国際公開第00/61108号(Glaxo Group社)を参照。
【0122】
呼吸できる粒子を調製するプロセス、および吸入投薬に適した製剤および機器の付加的な例は、Briggnerらの米国特許第5,874,063号;Trofastらの第5,983,956号;Jakupovicらの第6,221,398号;Gaoらの第6,268,533号;Bisratらの第6,475,524号;およびCooperの第6,613,307号に記載されている。
【0123】
別の実施形態において、本医薬組成物は、経口投与に適する。経口投与に適する組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、ロゼンジ、カシェ剤、糖衣錠、粉末、粒剤;水または非水液体の溶液または懸濁液;水中油または油中水乳濁液;エリキシル剤またはシロップなどの形態とすることができ、各々は所定量の活性薬剤を含む。
【0124】
固体剤形(すなわち、カプセル、錠剤、丸薬などとして)の経口投与が意図されるとき、組成物は、典型的に活性薬剤、並びにクエン酸ナトリウムまたはりん酸水素カルシウムのような医薬として許容される1つまたはそれ以上のキャリアを備えるであろう。固体剤形は、澱粉、微晶質セルロース、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/または珪酸のような充填剤または増量剤;カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシアのような結合剤;グリセロールのような湿潤剤;寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種の珪酸塩、および/または炭酸ナトリウムのような崩壊剤;パラフィンのような溶解遅延剤;四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;セチルアルコールおよび/またはモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;カオリンおよび/またはベントナイト粘土のような吸収剤;滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウム、および/またはその混合物のような潤滑剤;彩色剤;および緩衝剤も備えることができる。
【0125】
放出剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、保存剤並びに酸化防止剤も医薬組成物中に存在することができる。錠剤、カプセル、丸薬などのための例となるコーティング剤は、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートなどのような腸溶コーティング用のものを含む。医薬として許容される酸化防止剤の例は、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ硫酸水素ナトリウム 亜硫酸水素ナトリウムなどのような水溶性の酸化防止剤;アスコルビルパルミタート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどのような油溶性の酸化防止物;およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、りん酸などのような金属キレート化剤を含む。
【0126】
例として様々な比率のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて組成物を製剤し、活性薬剤の徐放または制御放出を提供することもできる。加えて、本発明の医薬組成物は乳白剤を含むことができ、活性薬剤が、消化管のある部分においてのみまたは選択的に、随意的に遅れて放出されるように製剤することもできる。使用できる埋包成分の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。適切な場合には、上述の賦形剤の1つまたはそれ以上を用いて、活性薬剤をマイクロカプセル形態にすることもできる。
【0127】
経口投与に適した液体剤形は、例として、医薬として許容される乳濁液、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。液体剤形は、典型的に活性薬剤、および例えば、水または他の溶媒のような不活性な希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、オイル類(例えば、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、並びにその混合物のような可溶化剤および乳化剤を備える。懸濁液は、例えば、エトキシレート化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタアルミン酸、ベントナイト、寒天およびトラガカント、並びにその混合物のような懸濁化剤を含むことができる。
【0128】
経口投与を意図するとき、本発明の医薬組成物は、単位剤形にパッケージングすることができる。用語「単位剤形」は、患者への投薬に適する物理的に分離した単位、すなわち、単独、或いは1つまたはそれ以上の付加的な単位との組み合わせのいずれかで所望の治療効果を生み出すように計算された、所定量の活性薬剤を含む各単位を指す。例えば、かかる単位剤形は、カプセル、錠剤、丸薬などとすることができる。
【0129】
本発明の化合物は、(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、または腹腔内注射によって)非経口的に投与することもできる。かかる投与のためには、活性薬剤が無菌の溶液、懸濁液、または乳濁液中に提供される。かかる製剤を調製するための例となる溶媒は、水、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエテレングリコールのような低分子量アルコール類、オイル類、ゼラチン、オレイン酸エチルのような脂肪酸エステル類などを含む。典型的な非経口製剤は、無菌でpH4〜7の活性薬剤の水溶液である。非経口的な製剤は、1つまたはそれ以上の溶解化剤、安定剤、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤も含むことができる。これらの製剤は、無菌の注入媒質、殺菌剤、濾過、照射、または熱を用いることにより無菌化することができる。
【0130】
本発明の化合物は、公知の経皮送達システムおよび賦形剤を用いて経皮的に投与することもできる。例えば、本化合物は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、アザシクロアルカン−2−オン類などのような透過促進剤と混合して、パッチまたは同様の送達システムに取り込むことができる。望ましい場合、かかる経皮組成物中にゲル化剤、乳化剤および緩衝液を含む追加的な賦形剤を用いることができる。
【0131】
望ましい場合、本発明の化合物を1つまたはそれ以上の他の治療薬と組み合わせて投与することができる。かくして、一実施形態において、本発明の組成物は、本発明の化合物とともに投与される他の薬物を随意的に含むことができる。例えば、本組成物は、他の気管支拡張薬(例えば、PDE阻害薬、アデノシン2b修飾薬およびβアドレナリン受容体アゴニスト);抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド類およびグルココルチコイド類のようなステロイド系抗炎症薬;および非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);並びにPDE阻害薬);他のムスカリン受容体アンタゴニスト(すなわち、抗クロリン作用剤);抗感染症剤(例えば、グラム陽性およびグラム陰性抗生物質、および抗ウイルス剤);抗ヒスタミン剤;プロテアーゼ阻害薬;求心性神経遮断剤(例えば、Dアゴニストおよびニューロキニン修飾薬);並びにその組み合わせの群から選択された(「第2の薬剤(単数または複数)」とも呼称する)1つまたはそれ以上の薬物をさらに備えることができる。かかる治療薬の多数の例が当分野でよく知られており、以下に例が記載される。ある場合には2つの組成物の投与により、およびある場合には本活性薬剤および第2の薬剤を含んだ単一の組成物の投与により、本発明の化合物を第2の薬剤と組み合わせることによって、2薬併用、すなわちムスカリン受容体アンタゴニスト活性、および第2の薬剤(例えば、βアドレナリン受容体アゴニスト)に係る活性を達成することができる。従って、本発明のまた別の様態において、医薬組成物は、本発明の化合物、第2の活性薬剤、および医薬として許容されるキャリアを備える。第3、第4などの活性薬剤を組成物に含むこともできる。例えば、組成物は、本発明の化合物;コルチコステロイド、βアドレナリン受容体アゴニストから選択された第2の薬剤;ホスホジエステラーゼ−4阻害剤およびその組み合わせ;並びに医薬として許容されるキャリアを備えることができる。特定の実施形態において、該組成物は、本発明の化合物、βアドレナリン受容体アゴニスト、およびステロイド系抗炎症薬を備える。併用療法において、投与される本発明の化合物量、および第2の薬剤量は、単剤療法において典型的に投与される量に比べて少ないこともある。
【0132】
本発明の化合物は第2の活性薬剤と物理的に混合して、両方の薬剤を含む組成物を形成してもよく;或いは、各薬剤は別に分かれた組成物中に存在し、患者に対して同時または順次に投与されてもよい。例えば、本発明の化合物は、従来の手順および装置を用いて第2の活性薬剤と組み合わせ、本発明の化合物および第2の活性薬剤を備える活性薬剤の組み合わせを形成してもよい。加えて、活性薬剤を医薬として許容されるキャリアと組み合わせ、本発明の化合物、第2の活性薬剤および医薬として許容されるキャリアを備える、医薬組成物を形成してもよい。この実施形態においては、組成物の成分が典型的に混合または調合されて物理的な混合物がつくり出される。該物理的な混合物は、次に本明細書に記載される経路のいずれかを用いて治療に有効な量が投与される。
【0133】
代わりに、活性薬剤は、患者への投与前には、別に分かれたままであってもよい。この実施形態において、薬剤は投与前には物理的に混合されておらず、同時に投与されるか、或いは別の時間に別の組成物として投与される。かかる組成物は、個別にパッケージングすることもでき、或いはキット中に一緒にパッケージングしてもよい。別の時間に投与される場合、第2の薬剤は、本発明の化合物の投与後、典型的に24時間以内に投与されることになろう。他の実施形態において、この時間の関係は、12時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、3時間以内、1時間以内、30分以内、10分以内、1分以内、または本発明の化合物の投与直後である。これは、順次投与とも呼ばれる。かくして、本発明の化合物は、各活性薬剤用に別の区画(例えば、ブリスター・パック)を使った吸入送達機器を用いて吸入により、別の活性薬剤と同時または順次に投与することができる。ここで順次とは、本発明の化合物の投与直後、またはある所定の時間後(例えば、1時間後または3時間後)の投与を意味することができる。代わりに、別々の送達機器、すなわち薬剤毎に1つの送達機器を用いて、この組み合わせを投与してもよい。加えて、これらの薬剤を異なった投与経路、すなわち一方は吸入により、他方は経口投与により送達することもできる。
【0134】
一実施形態において、キットは、本発明の化合物を備える第1の剤形、および本明細書に示される第2の薬剤の1つまたはそれ以上を備える少なくとも1つの付加的な剤形を、本発明の方法を実施するのに十分な量備える。患者における疾患または医学的状態の治療または予防のために、第1の剤形および第2(または第3など)の剤形は、治療に有効な量の活性薬剤をともに備える。
【0135】
第2の薬剤(単数または複数)は、含まれる場合、治療に有効な量が存在する、すなわち、本発明の化合物とともに投与されたときに治療に有利な効果を生み出す量が典型的に投与される。第2の薬剤は、医薬として許容される塩、溶媒和物、光学的に純粋な立体異性体などの形態とすることができる。それ故に、以下にリストアップされる第2の薬剤は、すべてのかかる形態を含むことが意図されており、市販されているか、または従来の手順および試薬を用いて調製することができる。第2の薬剤の適切な用量は、典型的に約0.05μg/日から約500mg/日の範囲にある。
【0136】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、βアドレナリン受容体アゴニストと組み合わせて投与される。代表的なβアドレナリン受容体アゴニストは、限定されることなしに、アルブテロール、ビトルテロール、フェノテロール、フォルモテロール、インダカテロール、イソエタリン、レバルブテロール、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、サルメファモール、サルメテロール、テルブタリンなどを含む。本発明の化合物と組み合わせて用いることができる他のβアドレナリン受容体アゴニストは、限定されることなしに、3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−フェニル]エチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}−ブチル)ベンゼンスルホンアミドおよび3−(3−{[7−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}−アミノ)ヘプチル]オキシ}−プロピル)ベンゼンスルホンアミド、および国際公開第02/066422号(Glaxo Group社)に開示された関連化合物;3−[3−(4−{[6−([(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ]ブチル)フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオン、および国際公開第02/070490号(Glaxo Group社)に開示された関連化合物;3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、3−(4−{[6−({(2S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシ−フェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、3−(4−{[6−({(2R/S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(t−ブチル)−3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(t−ブチル)−3−(4−{[6−({(2S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(t−ブチル)−3−(4−{[6−({(2R/S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、および国際公開第02/076933号(Glaxo Group社)に開示された関連化合物;4−{(1R)−2−[(6−{2−[2,6−ジクロロベンジル)−オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノール、および国際公開第03/024439号(Glaxo Group社)に開示された関連化合物;N−{2−[4−((R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)フェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(3−ホルムアミド−4−ヒドロキシフェニル)−エチルアミン、およびMoranらの米国特許第6,576,793号に開示された関連化合物;N−{2−[4−(3−フェニル−4−メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン−5−イル)エチルアミン、およびMoranらの米国特許第6,653,323号に開示された関連化合物を含む。特定の実施形態において、β−アドレナリン受容体アゴニストは、N−{2−[4−((R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)−フェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(3−ホルムアミド−4−ヒドロキシフェニル)エチルアミンの結晶性一塩酸塩である。典型的に、β−アドレナリン受容体アゴニストは、用量当たり約0.05〜500μgを供するのに十分な量が投与されることになろう。
【0137】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、ステロイド系抗炎症薬と組み合わせて投与される。代表的なステロイド系抗炎症薬は、限定されることなしに、ジプロピオン酸ベクロメタゾン;ブデソニド;プロピオン酸ブチキソコルト;20R−16α,17α−[ブチリデンビス(オキシ)]−6α,9α−ジフロオロ−11β−ヒドロキシ−17β−(メチルチオ)アンドロスタ−4−エン−3−オン(RPR−106541);シクレソニド;デキサメサゾン;6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル;6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル;6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸(S)−(2−オキソテトラヒドロフラン−3S−イル)エステル;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン;メチルプレドニゾロン;モメタゾンフロアート;プレドニゾロン;プレドニゾン;ロフレポニド;ST‐126;トリアムシノロンアセトニドなどを含む。典型的に、ステロイド系抗炎症薬は、用量当たり薬0.05〜500μgを供するのに十分な量が投与されることになろう。
【0138】
例となる組み合わせは、βアドレナリン受容体アゴニストとしてサルメテロール、およびステロイド系抗炎症薬としてプロピオン酸フルチカゾンと一緒に投与される本発明の組成物である。別の例となる組み合わせは、β−アドレナリン受容体アゴニストとしてN−{2−[4−((R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)フェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(3−ホルムアミド−4−ヒドロキシフェニル)−エチルアミンの結晶性一塩酸塩、およびステロイド系抗炎症薬として6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)−オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロ−メチルエステルと一緒に投与される本発明の化合物である。
【0139】
他の適切な組み合わせは、例えば、他の抗炎症薬、例えば、NSAID(クロモグリク酸ナトリウム;ネドクロミルナトリウム;ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤またはPDE3/PDE4混合阻害剤);ロイコトリエン・アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト);ロイコトリエン合成の阻害剤;iNOS阻害剤;トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤のようなプロテアーゼ阻害剤;ベータ−2−インテグリン・アンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト);サイトカイン・アンタゴニスト(例えば、インターロイキン抗体(αIL抗体)、特に、αIL−4治療、αIL−13治療、またはその組み合わせ)のようなケモカイン・アンタゴニスト);またはサイトカイン合成の阻害剤を含む。
【0140】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、ホスホジエステラーゼ−4(PDE4阻害剤またはPDE3/PDE4混合阻害剤と組み合わせて投与される。代表的なPDE4またはPDE3/PDE4混合阻害剤は、限定されることなしに、cis4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)シクロヘキサン−1−オン;cis−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)シクロヘキサン−1−オール];cis−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−シクロヘキサン−1−カルボン酸など、または医薬として許容されるその塩を含む。他の代表的なPDE4またはPDE/PDE混合阻害剤は、AWD12‐281(elbion);NCS‐613(INSERM);D‐4418(ChiroscienceおよびSchering‐Plough);CI‐1018またはPD‐168787(Pfizer);国際公開第99/16766号(協和発酵)に開示されたベンゾジオキソール化合物;K‐34(協和発酵);V‐11294A(Napp);ロフルミラスト(Byk‐Gulden);国際公開第99/47505号(Byk‐Gulden)に開示されたフタラジノン化合物;プマフェントリン(Byk‐Gulden、現在Altana);アロフィリン(Almirall‐Prodesfarma);VM554/UM565(Vernalis);T‐440(田辺製薬);およびT2585(田辺製薬)を含む。
【0141】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、ムスカリン・アンタゴニスト(すなわち、抗コリン作用剤)と組み合わせて投与される。代表的なムスカリン・アンタゴニストは、限定されることなしに、アトロピン、硫酸アトロピン、酸化アトロピン、硝酸メチルアトロピン、ホマトロピン臭化水素酸塩、ヒヨスシアミン(d、l)臭化水素酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化チオトロピウム、メタンテリン、臭化プロパンテリン、臭化メチルアニソトロピン、臭化クリジニウム、コピロラート(Robinul)、よう化イソプロパミド、臭化メペンゾラート、トリジヘキセチルクロリド(Pathilone)、ヘキソシクリウムメチルサルファート、シクロペントラート塩酸塩、トロピカミド、トリヘキシフェニジル塩酸塩、ピレンゼピン、テレンゼピン、AF‐DX116およびメトクトラミンなどを含む。
【0142】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、抗ヒスタミン剤(すなわち、H受容体アンタゴニスト)と組み合わせて投与される。代表的な抗ヒスタミン剤は、限定されることなしに、マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、ジフェニルヒドラミン塩酸塩およびジメンヒドリナートのようなエタノールアミン類;ピリラミンアムレアート、トリペレンナミン塩酸塩およびトリペレンナミンシトラートのようなエチレンジアミン類;クロルフェニラミンおよびアクリバスチンのようなアルキルアミン類;ヒドロキシジン塩酸塩、ヒドロキシジンパモアート、シクリジン塩酸塩、シクリジン乳酸塩、メクリジン塩酸塩およびセチリジン塩酸塩のようなピペラジン類;アステミゾール、レボカバスチン塩酸塩、ロラタジンおよびその脱カルボエトキシ類似体、テルフェナジンおよびフェキソフェナジン塩酸塩のようなピペリジン類;アゼラスチン塩酸塩などを含む。
【0143】
次の製剤は、本発明の代表的な医薬組成物を示す。
【0144】
DPIによる投与のための例となる組成物
本発明の化合物(0.2mg)を微粉末化し、次にラクトース(25mg)と調合する。この調合された混合物を次にゼラチンの吸入カートリッジに充填する。カートリッジの内容物を例えばDPIを用いて投与する。
【0145】
微粉末化した本発明の化合物(100mg)を、粉砕したラクトース(25g)(例えば、粒子のうち約85%以下が約60μmから約90μmまでのMMDをもち、粒子のうち約15%以上が15μmより小さいMMDをもつラクトース)と調合する。次に、用量当たり約10μgから約500μgまでの本発明の化合物を供するのに十分な量のこの調合された混合物を、剥がすことができるブリスター・パックの個々のブリスターに充填する。ブリスターの内容物をDPIを用いて投与する。
【0146】
代わりに、微粉末化した本発明の化合物(1g)を粉砕したラクトース(200g)と調合して、化合物対粉砕したラクトースの重量比が1:200のバルク組成物を形成する。調合した組成物を、用量当たり約10μgから約500μgまでの本発明の化合物を送達することができるDPIに充填する。
【0147】
代わりに、微粉末化した本発明の化合物(100mg)、および微粉末化したβアドレナリン受容体アゴニスト(500mg)を粉砕したラクトース(30g)と調合する。次に、用量当たり約10μgから約500μgまでの本発明の化合物を供するのに十分な量の調合した混合物を、剥がすことができるブリスター・パックの個々のブリスター中に充填する。ブリスターの内容物をDPIを用いて投与する。
【0148】
MDIに用いるための例となる組成物
微粉末化した本発明の化合物(10g)を、脱イオン水(200mL)にレシチン(0.2g)を溶解させて調製した溶液に分散させる。結果として生じた懸濁液を吹き付け乾燥して、次に微粉末化し、平均粒径が約1.5μmより小さい粒子を含む微粉末化した組成物を形成する。次に、MDIで投与したときに用量当たり約10μgから約500μgまでの本発明の化合物を供するのに十分な量の微粉末化した組成物を、加圧された1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含むMDIカートリッジに充填する。
【0149】
代わりに、鉱質除去水100mlにトレハロース0.5gおよびレシチン0.5gを溶解させて作製したコロイド溶液中に、本発明の化合物5gを平均サイズが10μmより小さい微粉末化した粒子として分散させることによって、5wt%の本発明の化合物、0.5wt%のレシチン、および0.5wt%のトレハロースを含む懸濁液を調製する。この懸濁液を吹き付け乾燥させ、結果として生じた物質を1.5μmより小さい平均粒径をもつ粒子に微粉末化する。加圧された1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含むキャニスターにこの粒子を充填する。
【0150】
噴霧吸入器に用いるための例となる組成物
本発明の化合物(25mg)をクエン酸緩衝(pH5)等張食塩水(125ml)に溶解させる。混合液を攪拌し、化合物が溶解するまで超音波処理する。溶液のpHを確認し、必要であれば、1N水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えることによってpH5に調整する。用量当たり約10μgから約500μgまでの本発明の化合物を供する噴霧器を用いて、この溶液を投与する。
【0151】
経口投与のための例となる硬いゼラチンカプセル
本発明の化合物(50g)、吹き付け乾燥したラクトース(440g)およびステアリン酸マグネシウム(10g)を十分に調合する。結果として生じた組成物を、次に硬いゼラチンカプセルに充填する(カプセル当たり組成物500mg)。
【0152】
経口投与のための例となる懸濁液
次の成分を混合して、懸濁液10mL当たり100mgの化合物を含む懸濁液を作製する:
【0153】
【表1】

注射による投与のための例となる注射可能な製剤
本発明の化合物(0.2g)を0.4M酢酸ナトリウム緩衝溶液(2.0mL)と調合する。結果として生じた溶液に、必要に応じて、0.5N塩酸水溶液または0.5N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH4に調整し、次に注用に十分な水を加えて総量20mLを得る。次に、無菌フィルター(0.22ミクロン)を通してこの混合物を濾過し、注射による投与に適した無菌溶液を供する。
【実施例】
【0154】
次の調製および実施例は、本発明の具体的な実施形態を例示するために示される。しかしながら、これらの具体的な実施形態は、特に指示のない限り、いかなる意味においても本発明の範囲を限定する意図をもたない。
【0155】
次の略語は、別の指示がない限り、次の意味をもち、本明細書に用いられるが定義されない任意の他の略語は、標準的な意味をもつ:
AC アデニリルシクラーゼ
BSA ウシ血清アルブミン
cAMP 3’−5’環状アデノシン一リン酸
CHO チャイニーズハムスター卵巣
cM クローン化されたチンパンジーM受容体
DCM ジクロロメタン(すなわち、塩化メチレン)
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
dPBS ダルベッコりん酸緩衝食塩水
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
EDCI N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
FBS ウシ胎児血清
FLIPR 蛍光イメージングプレートリーダー
HBSS ハンクス緩衝塩類溶液
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
hM クローン化されたヒトM受容体
hM クローン化されたヒトM受容体
hM クローン化されたヒトM受容体
hM クローン化されたヒトM受容体
hM クローン化されたヒトM受容体
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
MCh メチルコリン
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
本明細書に用いられるが定義されない任意の他の略語は、一般に受け入れられた標準的な意味をもつ。別の指摘がなければ、試薬、出発物質および溶媒などすべての物質は、(Sigma‐Aldrich、Fluka Riedel‐de Haenのような)供給業者から購入し、さらなる精製なしに用いた。別の指摘がなければ、反応は窒素雰囲気下で行った。反応混合物の進行状況は、薄層クロマトグラフィー(TLC:thin layer chromatograpy)、分析的高速液体クロマトグラフィー(anal.HPLC:analytical high performance liquid chromatography)、および質量分析法によってモニターし、その詳細は、反応に関する以下の具体的な実施例に別々に示される。反応混合物は、各々の反応について具体的に記載されるように用意した;一般に、これらの精製に抽出、並びに温度および溶媒に依存した結晶化および沈澱のような他の精製方法を用いた。加えて、調製用の高速液体クロマトグラフィーによって反応混合物を日常的に精製した。
【0156】
調製1
(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸
【0157】
【化25】

(2R,5R)−2−t−ブチル−5−フェニル−1,3−ジオキソラン−4−オン(1a):(R)−マンデル酸(20g、130mmol)を無水ペンタン(200mL、1.7mol)に溶解させた。ピバルアルデヒド(13.6g、153mmol)、続いてトリフルオロメタンスルホン酸(488μL、5.4mmol)を加えた。窒素下において36°Cで反応を還流させた。5.5時間後に、混合物を室温まで冷却させた後、200mLの8wt%NaHCO溶液中で10分間攪拌した。過剰なペンタンを回転蒸発によって除去した。固体を濾過により収集し、真空濾過を行う間にすすいだ(水100mL)。高真空下で固体を一晩乾燥させ、中間生成物(1a)を白い固体(23.8g、88%純度)として得た。
【0158】
(2R,5S)−2−t−ブチル−5−(1−ヒドロキシシクロペンチル)−5−フェニル−1,3−ジオキソラン−4−オン(1b):ヘキサメチルジシラザンリチウム(0.8g、4.7mmol;1.0Mヘキサン溶液4.7mL)を−78℃で無水THF(5.3mL、65mmol)に加えた。無水THF5.3mL中の中間生成物(1a)(800mg、3.6mmol)をこの溶液に15分にわたって滴下により加えた。30分後に、シクロペンタノン(451μL、5.1mmol)を1分以下にわたり滴下により加えた。2時間後にNaHPOの飽和水溶液0.8mLを加え、混合物を室温で5分間攪拌した。混合物を塩化アンモンの飽和水溶液8mLに加えた。水層を洗い(2×80mL EtOAc)、有機層を混ぜ合わせてNaSO上で乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物(780mg)を(ヘキサンを用い、5〜15%のEtAc勾配で30分にわたる)フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、中間生成物(1b)を得た。
【0159】
(2R,5S)−2−t−ブチル−5−シクロペント−1−エニル−5−フェニル−1,3−ジオキソラン−4−オン(1c):中間生成物(1b)(650mg、2.1mmol)を無水THF6.8mLに溶解させて、溶液を0℃に冷却した。塩化チオニル(436μL、6mmol)を滴下により加え、続いてピリジン(777μL、9.6mmol)を加えた。混合物を0℃で1時間攪拌した。塩化アンモニウムの飽和水溶液(14mL)を加え、混合物を室温まで温める間5分間攪拌した。層を分離させて、水層を洗った(2×100mL EtOAc)。有機層を混ぜ合わせて、NaSO上で乾燥させ、濾過および濃縮して、中間生成物(1c)を淡黄色のオイル(540mg)として生じさせ、さらなる精製なしにこれを次のステップに用いた。
【0160】
(S)−シクロペント−1−エニル−ヒドロキシフェニル酢酸(1d):中間生成物(1c)(540mg、1.9mmol)をMeOH(927μL、22.9mmol)に溶解させた。水(1.84ml、102mmol)を加え、続いてKOH(1.1g、18.8mmol)を加えた。反応を130℃で3時間還流させた。混合物を、飽和塩化アンモニウムを用いて250mLに希釈し、次に洗った(2×ヘキサン 100mL)。残った水性乳濁液を洗った(2×250mL EtOAc)。EtOAc層を混ぜ合わせて、NaClの飽和水溶液50mLで洗い、NaSO上で乾燥させて、濾過および濃縮し、中間生成物(1d)を黄褐色の固体(290mg)として得た。
【0161】
中間生成物(1d)(280mg、1.3mmol)をMeOH(2.50mL、61.7mmol)に溶解させ、反応フラスコを窒素でフラッシュした後、28mgの10% Pd/Cを混合物に加えた。混合物を1 atomの水素下において室温で撹拌し、出発物質が消化されるまで(約24時間)、HPLCによって反応をモニターした。反応容器を窒素でフラッシュし、次に混合物をセライトを通して濾過し、その後MeOHですすいだ。濾液を真空下で濃縮し、標記の化合物を黄色がかった固体(284mg)として得た。
【0162】
調製2
(R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−ピペラジン−1−イルエタノン
【0163】
【化26】

攪拌した(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(10.0g、45.4mmol)のDCM溶液(200mL)にt−ブチル 1−ピペラジンジカルボキシラート(8.5g、45.4mmol)を加えた。この反応にDIPEA(23.7mL、13.6mmol)、HOBt(10.4g、68.1mmol)、続いてEDCI(10.4g、54.5mmol)を加えた。混合物を室温で12時間攪拌した。その後、混合物を1NのNAOH(300mL)、1NのHCl(300mL)、次いでNaClの飽和水溶液(300mL)で洗った。続いて有機層を除去し、MgSO上で乾燥させ、続いて濾過した。溶媒を減圧下で除去した。未精製の物質に20% TFA/DCMの溶液を加え、結果として生じた混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。DCM(300mL)を加え、混合物を飽和炭酸水素ナトリウム(300mL)で洗った。次に有機層を除去し、MgSO上で乾燥させて濾過した。未精製の物質をシリカゲルクロマトグラフィー(10% MeOH/DCM、w/1% NH(aq))を通じて精製し、標記の化合物を白色粉末(9.0g、31.2mmol)として供した。
【0164】
(実施例1)
4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−チオフェン−2−イルメチルピペラジン−1−カルボキサミジン
【0165】
【化27】

攪拌した(R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−ピペラジン−1−イルエタノン(3.9g 13.7mmol)のDMF溶液(200mL)に、DIPEA(4.8mL、27.3mmol)、および次にC−(ビス−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチレンアミン(3.6g、13.7mmol)を加えた。これを室温で30分攪拌し、続いてC−チオフェン−2−イル−メチルアミン(2.8mL、27.3mmol)を加えた。混合物を60℃で約14時間加熱した。反応を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去した。未精製の物質を逆相HPLCによって精製し、標記の化合物をTFA塩(0.7g、1.3mmol)として供した。C2330Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値427.21、測定値427.2。
【0166】
代わりの合成
DIPEA(7.3mL、41.6mmol)を、エタノール(90mL、2mol)に溶解させた(R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−ピペラジン−1−イルエタノン(6.0g、20.8mmol)に加えた。C−(ビス−ベンゾトリアゾール−1−イル)−メチレンアミン(6.0g、22.9mmol)を加え、混合物を室温で30分間攪拌した。C−チオフェン−2−イル−メチルアミン(4.9g、41.6mmol)を加え、混合物を55℃で一晩攪拌した。混合物を濃縮して、生成物をHPLCで精製し、標記の化合物をTFA塩(7.3g、98%純度)として供した。C2330Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値427.21、測定値427.4。
【0167】
(実施例2)
4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−ヒドロキシベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン
【0168】
【化28】

撹拌された(R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−ピペラジン−1−イルエタノン(5.00g 17.3mmol;調製1に記載されたように調製)のDMF溶液(200mL)に、DIPEA(10.6mL、60.7mmol)、および次にC−(ビス−ベンゾトリアゾール−1−イル)−メチレンアミン(5.48g、20.8mmol)を加えた。これを室温で30分間攪拌し、続いて4−ヒドロキシベンジルアミン(12.0gmL、97mmol)を加えた。混合物を60℃で約14時間加熱した。反応を室温まで冷却し、溶媒を減圧によって除去した。未精製の物質を逆相HPLCで精製し、標記の化合物をTFA塩(1.7g、3.1mmol)として供した。C2532に対するMS m/z:[M+H]の計算値437.25、測定値437.2。
【0169】
(実施例3)
4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−フラン−2−イルメチルピペラジン−1−カルボキサミジン
【0170】
【化29】

(R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−ピペラジン−1−イルエタノン(2.0g、6.9mmol)、およびC−(ビス−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチレンアミン(2.0g、7.6mmol)をエタノール(40.0mL、685mmol)に加え、続いてDIPEA(2.4mL、13.9mmol)を加えた。結果として生じた混合物をすべての固体が溶解するまで室温で約1時間撹拌し、中間生成物を形成した。フルフリルアミン(1.2mL、13.9mmol)を加え、35℃で反応が完了するまで(約22時間)反応混合物を攪拌した。調製用のHPLCによる精製により標記の化合物をTFA塩(329mg、6.9mmol、97.5%純度)として供した。C2330に対するMS m/z:[M+H]の計算値411.23、測定値411.2。
【0171】
(実施例4)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次を有する化合物4-1から4-52もTFA塩として調製した。
【0172】
【化30】

【0173】
【表2−1】

【0174】
【表2−2】

(4‐1) 4−(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−((R)−1−フェニルエチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値435.27、測定値435.2;
(4‐2) 4−(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2530に対するMS m/z:[M+H]の計算値457.23、測定値457.2;
(4‐3) 4−(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−メトキシベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値451.26、測定値451.2;
(4‐4) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−チオフェン−3−イルメチル−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2330Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値427.21、測定値427.4;
(4‐5) N−ベンジル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2532に対するMS m/z:[M+H]の計算値421.25、測定値421.2;
(4‐6) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2531FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値439.24、測定値439.2;
(4‐7) 4−((R)−2シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−フェネチルピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値435.27、測定値435.2;
(4‐8) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−ピリジン−2−イルメチル−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2431に対するMS m/z:[M+H]の計算値422.25、測定値422.2;
(4‐9) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3−ヒドロキシベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2532に対するMS m/z:[M+H]の計算値437.25、測定値437.2;
(4‐10) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2531FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値439.24、測定値439.2;
(4‐11) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2531FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値439.24、測定値439.2;
(4‐12) N−シクロヘキシルメチル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2538に対するMS m/z:[M+H]の計算値427.30、測定値427.2;
(4‐13) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3−メトキシベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値451.26、測定値451.2;
(4‐14) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3,5−ジフルオロベンジル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2530に対するMS m/z:[M+H]の計算値457.23、測定値457.2;
(4‐15) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−チアゾール−2−イルメチル−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2229Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値428.20、測定値428.2;
(4‐16) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(1H−ピラゾール−3−イルメチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2230に対するMS m/z:[M+H]の計算値411.24、測定値411.2;
(4‐17) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(フェニルアミノ)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2431に対するMS m/z:[M+H]の計算値422.25、測定値422.2;
(4‐18) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−フラン−3−イルメチルピペラジン−1−カルボキサミジン。C2330に対するMS m/z:[M+H]の計算値411.23、測定値411.2;
(4‐19) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(2−メチルチアゾール−4−イルメチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2331Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値442.22、測定値442.2;
(4‐20) N−ブチル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2234に対するMS m/z:[M+H]の計算値387.27、測定値387.2;
(4‐21) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−ペンチルピペラジン−1−カルボキサミジン。C2336に対するMS m/z:[M+H]の計算値401.28、測定値401.2;
(4‐22) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−ヘキシルピペラジン−1−カルボキサミジン。C2438に対するMS m/z:[M+H]の計算値415.30、測定値415.2;
(4‐23) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2430FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値440.24、測定値440.2;
(4‐24) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2430ClNに対するMS m/z:[M+H]の計算値456.21、測定値456.2;
(4‐25) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2430FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値440.24、測定値440.2;
(4‐26) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2430ClNに対するMS m/z:[M+H]の計算値456.21、測定値456.2;
(4‐27) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2533に対するMS m/z:[M+H]の計算値436.26、測定値436.2;
(4‐28) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2430FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値440.24、測定値440.2;
(4‐29) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2430ClNに対するMS m/z:[M+H]の計算値456.21、測定値456.2;
(4‐30) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2533に対するMS m/z:[M+H]の計算値452.26、測定値452.2;
(4‐31) 4−({[4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキシミドイル]アミノ}メチル)安息香酸メチルエステル。C2734に対するMS m/z:[M+H]の計算値479.26、測定値479.2;
(4‐32) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(1H−インドール−2−イルメチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。 C2733に対するMS m/z:[M+H]の計算値460.26、測定値460.2;
(4‐33) N−シクロヘプチルメチル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2640に対するMS m/z:[M+H]の計算値441.32、測定値441.2;
(4‐34) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(2−ヒドロキシベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2532に対するMS m/z:[M+H]の計算値437.25、測定値437.2;
(4‐35) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−トリフルオロメトキシベンジル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2631に対するMS m/z:[M+H]の計算値505.24、測定値505.2;
(4‐36) 4−({[4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキシミドイル]アミノ}メチル)ベンズアミド。C2633に対するMS m/z:[M+H]の計算値464.26、測定値464.2;
(4‐37) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−ヒドロキシメチルベンジル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値451.26、測定値451.2;
(4‐38) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(1H−インドール−5−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2733に対するMS m/z:[M+H]の計算値460.26、測定値460.2;
(4‐39) N−ベンゾフラン−5−イルメチル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2732に対するMS m/z:[M+H]の計算値461.25、測定値461.2;
(4‐40) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−メチルベンジル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値435.27、測定値435.2;
(4‐41) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(4−メチルスルファニルベンジル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値467.2、測定値467.2;
(4‐42) N−(3−シアノベンジル)−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2631に対するMS m/z:[M+H]の計算値446.25、測定値446.2;
(4‐43) 3−({[4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−ピペラジン−1−カルボキシミドイル]アミノ}メチル)ベンズアミド。C2633に対するM Sm/z:[M+H]の計算値464.26、測定値464.2;
(4‐44) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(2−メチルベンジル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値435.27、測定値434.2;
(4‐45) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3−メチルベンジル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値435.27、測定値434.2;
(4‐46) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(1H−インドール−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2733に対するMS m/z:[M+H]の計算値460.26、測定値460.2;
(4‐47) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(3−メチルスルファニルベンジル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2634Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値467.24、測定値467.2;
(4-48) N−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルメチル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2732Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値477.22、測定値477.2;
(4‐49) N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2632に対するMS m/z:[M+H]の計算値465.24、測定値465.2;
(4‐50) N−ベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2732Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値477.22、測定値477.2;
(3‐51) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2332に対するMS m/z:[M+H]の計算値425.26、測定値425.2;
(3‐52) 4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−シクロペンチルメチル−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2436に対するMS m/z:[M+H]の計算値413.28、測定値413.2。
【0175】
(実施例5)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次を有する化合物5‐1および5‐2もTFA塩として調製した。
【0176】
【化31】

(5‐1) N−ベンジル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N’−メチル−ピペラジン−1−カルボキサミジン(R=−CH)。C2634に対するMS m/z:[M+H]の計算値435.27、測定値435.2;
(5‐2) N−ベンジル−4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N’−エチルピペラジン−1−カルボキサミジン(R=−CHCH)。C2736に対するMS m/z:[M+H]の計算値449.28、測定値449.2。
【0177】
調製3
(R)−3−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸t-ブチルエステル
【0178】
【化32】

室温において、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(980μl、5mmol)を、THF 10ml中の(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(1.1g、5mmol)、(R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸t-ブチルエステル(1.0g、5.5mmol)、およびトリフェニルホスフィン(1.3g、5mmol)の混合物にゆっくりと加えた。次に反応混合物を室温において一晩攪拌した。
【0179】
溶媒を除去し、100mlのEtOAcを加えた。有機層を炭酸水素ナトリウム溶液(50ml×3)、次にNaClの飽和水溶液で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を除去して未精製の生成物4gを供し、これをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製し、標記の化合物(1.5g、99%純度)を得た。
【0180】
調製4
(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−ピロリジン−3−イルエステル
【0181】
【化33】

(R)−3−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(1.3g)の1,4−ジオキサン溶液8mlを4M HClの1,4−ジオキサン溶液4mlに加え、室温で一晩攪拌して、標記の化合物をHCl塩(1g)として得た。
【0182】
(実施例6)
(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−ベンジルカルバミミドイル)ピロリジン−3−イルエステル
【0183】
【化34】

(R)−3−((R,−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(97.5mg、0.3mmol)のDMF溶液3mlをDIPEA(130μl、750μmol)に加え、続いてC−(ビス−ベンゾトリアゾール−1−イル)−メチレンアミン(87mg、330μmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、続いてベンジルアミン(39μl、360μmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を除去して、溶質を逆相クロマトグラフィーによって精製し、標記の化合物をTFA塩(78.2mg、99.5%純度)として得た。C2531に対するMS m/z:[M+H]の計算値422.24、測定値422.2。
【0184】
(実施例7)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次の化学式を有する化合物7‐1から7‐18もTFA塩として調製した。
【0185】
【化35】

【0186】
【表3】

(7‐1) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−(N−ベンジルカルバミミドイル)−ピロリジン−3−イルエステル。C2531に対するMS m/z:[M+H]の計算値422.24、測定値422.4;
(7‐2) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−チオフェン−2−イルメチル−カルバミミドイル)ピロリジン−3−イルエステル。C2329Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値428.19、測定値428.4;
(7‐3) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(2−ヒドロキシベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2531に対するMS m/z:[M+H]の計算値438.23、測定値438.5;
(7‐4) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(3−ヒドロキシベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2531に対するMS m/z:[M+H]の計算値438.23、測定値438.5;
(7‐5) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(4−ヒドロキシベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2531に対するMS m/z:[M+H]の計算値438.23、測定値438.3;
(7‐6) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−フラン−2−イルメチル−カルバミミドイル)ピロリジン−3−イルエステル。C2329に対するMS m/z:[M+H]の計算値412.22、測定値412.2;
(7‐7) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−フラン−3−イルメチル−カルバミミドイル)ピロリジン−3−イルエステル。C2329に対するMS m/z:[M+H]の計算値412.22、測定値412.2;
(7‐8) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(2−フルオロ−ベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル C2530FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値440.23、測定値440.3;
(7‐9) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(3−フルオロ−ベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2530FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値440.23、測定値440.4;
(7‐10) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(4−フルオロベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2530FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値440.23、測定値440.4;
(7‐11) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(2,6−ジフルオロベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2529に対するMS m/z:[M+H]の計算値458.22、測定値458.2;
(7‐12) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(3,4−ジフルオロベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2529に対するMS m/z:[M+H]の計算値458.22、測定値458.2;
(7‐13) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(3,5−ジフルオロベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2529に対するMS m/z:[M+H]の計算値458.22、測定値458.2;
(7−14) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2630に対するMS m/z:[M+H]の計算値506.22、測定値506.2;
(7‐15) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(5−メチル−フラン−2−イルメチル)カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2431に対するMS m/z:[M+H]の計算値426.23、測定値426.2;
(7‐16) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−ピリジン−2−イルメチル−カルバミミドイル)ピロリジン−3−イルエステル。C2430に対するMS m/z:[M+H]の計算値423.23、測定値423.2;
(7‐17) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−[N−(3−フェニルプロピル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル。C2735に対するMS m/z:[M+H]の計算値450.27、測定値450.2;
(7‐18) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−フェネチルカルバミミドイル)−ピロリジン−3−イルエステル。C2633に対するMS m/z:[M+H]の計算値436.25、測定値436.2。
【0187】
(実施例8)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次の化学式を有する化合物8-1から8-13もTFA塩として調製した。
【0188】
【化36】

【0189】
【表4】

(8‐1) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−(N−ベンジルカルバミミドイル)ピリジン−4−イルエステル。C2633に対するMS m/z:[M+H]の計算値436.25、測定値436.5;
(8‐2) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−(N−チオフェン−2−イルメチル−カルバミミドイル)ピペリジン−4−イルエステル。C2431Sに対するMS m/z:[M+H]の計算値442.21、測定値442.4;
(8‐3) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−(N−フラン−2−イルメチル−カルバミミドイル)ピペリジン−4−イルエステル。C2431に対するMS m/z:[M+H]の計算値426.23、測定値426.2;
(8‐4) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−(N−フラン−3−イルメチル−カルバミミドイル)ピペリジン−4−イルエステル。C2431に対するMS m/z:[M+H]の計算値426.23、測定値426.2;
(8‐5) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(2−ヒドロキシベンジル)−カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル。C2633に対するMS m/z:[M+H]の計算値452.25、測定値452.2;
(8‐6) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(3−ヒドロキシベンジル)−カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル。C2633に対するMS m/z:[M+H]の計算値452.25、測定値452.2;
(8‐7) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(4−ヒドロキシベンジル)−カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル。C2633に対するMS m/z:[M+H]の計算値452.25、測定値452.2;
(8‐8) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(3−メトキシベンジル)−カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル。C2735に対するMS m/z:[M+H]の計算値466.26、測定値466.2。
(8‐9) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(2−フルオロベンジル)−カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル。C2632FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値454.24、測定値454.2;
(8‐10) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(3−フルオロベンジル)−カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル。C2632FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値454.24、測定値454.2;
(8‐11) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(4−フルオロベンジル)−カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル。C2632FNに対するMS m/z:[M+H]の計算値454.24、測定値454.2;
(8‐12) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−(N−ピリジン−2−イルメチル−カルバミミドイル)ピペリジン−4−イルエステル。C2532に対するMS m/z:[M+H]の計算値437.25、測定値437.2;
(8‐13) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−(N−ベンゾフラン−5−イルメチル−カルバミミドイル)ピペリジン−4−イルエステル。C2833に対するMS m/z:[M+H]の計算値476.25、測定値476.4。
【0190】
(実施例9)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−ベンジルカルバミミドイル)ピペリジン−3−イルエステルもTFA塩として調製した。
【0191】
【化37】

2633に対するMS m/z:[M+H]の計算値436.25、測定値436.5。
【0192】
(実施例10)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−[N−(3−フェニルプロピル)カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステルもTFA塩として調製した。
【0193】
【化38】

2837に対するMS m/z:[M+H]の計算値464.28、測定値464.4。
【0194】
(実施例11)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次の化学式を有する化合物11-1、および11-2もTFA塩として調製した。
【0195】
【化39】

(11‐1) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−メチルカルバミミドイル)−ピロリジン−3−イルエステル(Z=−CH)。C1927に対するMS m/z:[M+H]の計算値346.21、測定値346.2;
(11‐2) (R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸(R)−1−(N−ブチルカルバミミドイル)−ピロリジン−3−イルエステル(Z=−(CHCH)。C2233に対するMS m/z:[M+H]の計算値388.25、測定値388.2。
【0196】
(実施例12)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、(R)−シクロペンチルヒドロキシフェニル酢酸1−カルバミミドイル−ピペリジン−4−イルエステルもTFA塩として調製した。
【0197】
【化40】

1927に対するMS m/z:[M+H]の計算値346.21、測定値346.1。
【0198】
(実施例13)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次の化学式を有する化合物13-1から13-2もTFA塩として調製した。
【0199】
【化41】

(13‐1) 2−ヒドロキシ−4−メチル−2−フェニルペンタン酸(R)−1−(N−ベンジルカルバミミドイル)−ピロリジン−3−イルエステル(Q=フェニル)。C2431に対するMS m/z:[M+H]の計算値410.24、測定値410.2;
(13‐2) 2−ヒドロキシ−4−メチル−2−フェニルペンタン酸(R)−1−[N−(4−ヒドロキシベンジル)−カルバミミドイル]ピロリジン−3−イルエステル(Q=4−ヒドロキシフェニル)。C2431に対するMS m/z:[M+H]の計算値426.23、測定値426.2。
【0200】
(実施例14)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次の化学式を有する化合物14-1から14-4もTFA塩として調製した。
【0201】
【化42】

【0202】
【表5】

(14‐1) N−ベンジル−4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イルアセチル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2224に対するMS m/z:[M+H]の計算値441.13、測定値441.0;
(14‐2) 4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イルアセチル)−N−チオフェン−2−イルメチル−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2022に対するMS m/z:[M+H]の計算値447.09、測定値447.0;
(14‐3) N−(4−ヒドロキシベンジル)−4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセチル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2224に対するMS m/z:[M+H]の計算値457.13、測定値457.0;
(14‐4) N−フラン−2−イルメチル−4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセチル)−ピペラジン−1−カルボキサミジン。C2022に対するMS m/z:[M+H]の計算値431.11、測定値431.0。
【0203】
(実施例15)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、次の化学式を有する化合物15-1から15-2もTFA塩として調製した。
【0204】
【化43】

(15‐1) 9H−キサンテン−9−カルボン酸1−[N−(3−フェニルプロピル)カルバミミドイル]ピペリジン−4−イルエステル(Z=−(CH−フェニル)。C2931に対するMS m/z:[M+H]の計算値470.24、測定値470.4;
(15‐2) 9H−キサンテン−9−カルボン酸(R)−1−(N−ベンジルカルバミミドイル)ピロリジン−3−イルエステル(Z=−CH−フェニル)。C2625に対するMS m/z:[M+H]の計算値428.19、測定値428.5。
【0205】
(実施例16)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、9H−キサンテン−9−カルボン酸(S)−1−カルバミミドイルピペリジン−3−イルメチルエステルもTFA塩として調製した。
【0206】
【化44】

2123に対するMS m/z:[M+H]の計算値366.17、測定値366.2。
【0207】
(実施例17)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、9H−キサンテン−9−カルボン酸(R)−1−カルバミミドイルピロリジン−3−イルメチルエステルもTFA塩として調製した。
【0208】
【化45】

2021に対するMS m/z:[M+H]の計算値352.16、測定値352.2。
【0209】
(実施例18)
先述の実施例に記載された手順に従い、かつ然るべき出発物質および試薬に置き換えて、9H−キサンテン−9−カルボン酸−1−カルバミミドイル−ピペリジン−4−イルメチルエステルもTFA塩として調製した。
【0210】
【化46】

2123に対するMS m/z:[M+H]の計算値366.17、測定値366.2。
【0211】
アッセイ1
放射性リガンド結合アッセイ
hM、hM、hMおよびhMムスカリン受容体サブタイプを発現する細胞からの膜の調製
クローン化されたヒトhM、hM、hMおよびhMムスカリン受容体サブタイプを安定に発現するCHO細胞株を、10% FBSおよび250μg/mlジェネテシンを補充したHAMのF‐12からなる培地においてそれぞれ近い培養密度に増殖させた。細胞を5% CO、37℃のインキュベータで増殖させ、2mM EDTAのdPBS溶液を用いて取り上げた。650×gで5分の遠心分離により細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃で冷凍保存するか、或いはすぐに膜を調製した。膜を調製するためには、細胞ペレットを溶解用緩衝液に再懸濁し、ポリトロンPT‐2100組織破砕器(Kinematica AG;20秒×2回)を用いてホモジナイズした。未精製の膜を4℃において15分間、40,000×gで遠心分離した。次に、膜ペレットを再懸濁用緩衝液に再懸濁し、ポリトロン組織破砕器を用いて再びホモジナイズした。膜懸濁液のタンパク質濃度は、Lowry,O.ら、Journal of Biochemistry 193:265(1951)に記載された方法によって測定した。すべての膜は、アリコットとして−80℃で冷凍保存するか、或いはすぐに使用した。調製済hM受容器膜のアリコットはPerkin Elmerから直接に購入し、使用まで−80℃で保存した。
【0212】
ムスカリン受容体に関する放射性リガンド結合アッセイ
サブタイプhM、hM、hM、hMおよびhM
放射性リガンド結合アッセイは、96ウェルのマイクロタイタープレート中で行い、アッセイ総量は1000μLであった。hM、hM、hM、hMまたはhMムスカリン・サブタイプのいずれかを安定に発現するCHO細胞膜を、アッセイ緩衝液中で以下のの特定の目標タンパク質濃度(μg/ウェル)まで希釈した:hM 10μg、hM 10〜15μg、hM 10〜20μg、hM 10〜20μg、およびhM 10〜12μg。アッセイプレートへの添加に先だって短時間(10秒)、ポリトロン組織破砕器を用いて膜をホモジナイズした。放射性リガンドのK値を決定するための飽和結合の検討は、L−[N−メチル−H]スコポラミンメチルクロリド([H]−NMS:[N−methyl−H]scopolamine methyl chloride)(TRK666、84.0 Ci/mmol、Amersham Pharmacia Biotech、バッキンガムシャー州、英国)を0.001nMから20nMの濃度範囲で用いて行った。テスト化合物のK値を決定するための置換アッセイは、1nMの[H]‐NMS、および11の異なった濃度のテスト化合物を用いて行った。テスト化合物を最初に40μMの濃度で希釈緩衝液に溶解させた後、希釈緩衝液で順次5倍希釈して、最終濃度を400fMから4μMの範囲とした。アッセイプレートへの添加順および量は以下の通りである:0.1%BSAを含むアッセイ緩衝液825μL、放射性リガンド25μL、希釈されたテスト化合物100μL、および膜50μL。アッセイプレートは、37℃で6時間インキュベートした。結合反応は、0.3%ポリエチレンイミン(PEI)中で前処理したGF/Bグラスファイバー製フィルタープレート(Perkin Elmer社、ウェルズリー、マサチューセッツ州)における迅速な濾過によって終結させた。フィルタープレートを洗浄緩衝液(10mM HEPES)で3回すすぎ、放射性の未結合物を除去した。プレートを風乾させ、各ウェルに50μLのMicroscint‐20シンチレーション液体(PerkinElmer社、ウェルズリー、マサチューセッツ州)を添加した。次に、PerkinElmerトップカウント液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer社、ウェルズリー、マサチューセッツ州)を用いてプレートを計数した。結合データは、GraphPad Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Software社、サンディエゴ、カリフォルニア州)により、一部位競争モデルを用いて非線形回帰分析を行った。テスト化合物のK値は、観測されたIC50値および放射性リガンドのK値から、Cheng‐Prusoffの式(Cheng.Y;Prusoff W.H.Biochemical Pharmacology 22(23):3099-108(1973))を用いて計算した。相乗平均および95%信頼区間を決定するために、K値をpK値に変換した。次に、データ報告のためにこれらの要約統計データをK値に戻した。
【0213】
このアッセイにおいて、より低いK値は、テスト化合物が、試験された受容体に対してより高い結合親和性を有することを示唆する。このアッセイでテストした本発明の例となる化合物は、本アッセイのMムスカリン受容体サブタイプに対して約100nMより小さいK値を有することがわかった。より典型的に、これらの化合物は約50nMより小さいK値を有し、いくつかの化合物では約10nMより小さいか、または約1.0nMより小さいK値を有することがわかった。
【0214】
アッセイ2
ムスカリン受容体に対する機能的作用強度アッセイ
アゴニスト介在によるcAMP蓄積阻害に対する阻止
このアッセイでは、hM受容体を発現するCHO‐K1細胞において、フォルスコリン介在によるcAMPの蓄積がオキソトレモリンによって阻害されることを阻止する、テスト化合物の能力を測定することによって、テスト化合物の機能的作用強度を測定する。
【0215】
cAMPアッセイは、製造者の使用説明書に従って125I‐cAMPを用いたフラッシュプレート・アデニリルシクラーゼ活性化アッセイシステム(NEN SMP004B、PerkinElmer Life Science社、ボストン、マサチューセッツ州)を使用してラジオイムノアッセイ形式で行なう。
【0216】
細胞をdPBSで一度すすぎ、アッセイ1に記載されたように、トリプシン‐EDTA溶液(0.05%トリプシン/0.53mM EDTA)を用いて取り上げる。分離した細胞を、50mLのdPBS中における5分間、650×gの遠心分離により2度洗う。次に、細胞ペレットを10mLのdPBSに再懸濁し、Coulter Z1 Dual Particle Counter(Beckman Coulter、フラトン、カリフォルニア州)を用いて細胞を計数する。細胞を再び650×gで5分間遠心分離して、刺激用緩衝液に1.6×10〜2.8×10細胞/mLのアッセイ濃度で再懸濁する。
【0217】
テスト化合物を、最初に希釈緩衝液(1mg/mLのBSA(0.1%)を補充したdPBS)に400μMの濃度で溶解させ、次に100:Mから0.1nMの最終モル濃度範囲まで希釈緩衝液で順次希釈する。オキソトレモリンも同様のやり方で希釈する。
【0218】
AC活性のオキソトレモリンによる阻害を測定するために、フォルスコリン25μL(dPBS中に希釈され、最終濃度が25μM)、希釈されたオキソトレモリン25μL、および細胞50μLをアゴニストアッセイ・ウェルに加える。AC活性のオキソトレモリンによる阻害を阻止するテスト化合物の能力を測定するために、フォルスコリンおよびオキソトレモリン各25μL(dPBS中に希釈され、最終濃度がそれぞれ25μMおよび5μM)、希釈されたテスト化合物25μL、および細胞50μLを残りのアッセイウェルに加える。
【0219】
反応を37℃で10分間インキュベートし、氷冷の検出緩衝液100μLを添加することによって停止させる。プレートをシールして一晩室温でインキュベートし、翌朝にPerkinElmerトップカウント液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer社、ウェルズリー、マサチューセッツ州)上で計数を行う。生成されたcAMP量(pmol/ウェル)は、試料およびcAMP標準サンプルで観測されたカウント数に基づいて、製造者のユーザーマニュアルに記載されたように計算する。データ分析は、非線形回帰、一部位競争の式を利用するGraphPad Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Software社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いて非線形回帰分析により行う。オキソトレモリンの濃度‐反応曲線におけるEC50、およびオキソトレモリンアッセイ濃度をそれぞれKおよび[L]として用い、Cheng‐Prusoff式を利用してKを計算する。相乗平均および95%信頼区間を決定するために、K値をpK値に変換する。次に、データ報告のためにこれらの要約統計データをK値に戻す。
【0220】
このアッセイにおいて、より低いK値は、テスト化合物が、試験された受容体においてより高い機能的活性を有することを示唆する。本発明の例となる化合物は、hM受容体を発現するCHO‐K1細胞において、フォルスコリン介在によるcAMPの蓄積をオキソトレモリンが阻害することを阻止するための、約100nMより小さいK値を有することが期待される。
【0221】
アゴニスト介在による[35S]GTPγS結合に対する阻止
第2の機能アッセイでは、hM受容体を発現するCHO‐K1細胞において、オキソトレモリンにより刺激された[35S]GTPγSの結合を阻止するための化合物の能力を測定することによって、テスト化合物の機能的作用強度を決定することができる。
【0222】
使用時に凍結した膜を解凍し、次に最終的な組織濃度目標であるウェル当たりのタンパク質5〜10μgにアッセイ緩衝液で希釈する。ポリトロンPT‐2100組織破砕器を用いて膜を短時間ホモジナイズし、その後アッセイプレートに加える。
【0223】
アゴニストであるオキソトレモリンの[35S]GTPγS結合に対する刺激作用についてEC90値(90%最大反応に対する有効濃度)を各実験で測定する。
【0224】
オキソトレモリンの刺激による[35S]GTPγS結合を阻止するテスト化合物の能力を決定するために、96ウェルプレートの各ウェルに次の添加を行う:[35S]GTPγS(0.4nM)を含むアッセイ緩衝液25μL、オキソトレモリン(EC90)およびGDP(3μM)各25μL、希釈されたテスト化合物25μL、およびhM受容体を発現するCHO細胞膜25μL。アッセイプレートを次に37℃で60分間インキュベートする。PerkinElmerの96ウェル・ハ−ベスターを用い、1%BSAで前処理したGF/Bフィルター上でアッセイプレートを濾過する。氷冷の洗浄緩衝液でプレートを3秒×3回すすぎ、次に空乾または真空乾燥する。各ウェルにMicroscint‐20シンチレーション液体(50μL)を添加し、各プレートをシールして、トップカウンタ−(PerkinElmer)上で放射能を計数する。データ分析は、非線形回帰、一部位競争の式を利用するGraphPad Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Software社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いて非線形回帰分析により行う。テスト化合物に関する濃度‐反応曲線のIC50値、およびアッセイにおけるオキソトレモリン濃度をそれぞれKおよび[L]として用い、Cheng‐Prusoff式を利用してKを計算する。
【0225】
このアッセイにおいて、より低いK値は、テスト化合物が、試験された受容体においてより高い機能的活性を有することを示唆する。本発明の例となる化合物は、hM受容体を発現するCHO‐K1細胞において、オキソトレモリンによって刺激される[35S]GTPγS結合を阻止するための、約100nMより小さいK値を有することが期待される。
【0226】
FLIPRアッセイを用いたアゴニスト介在によるカルシウム放出の阻止
タンパク質と共役するムスカリン受容体サブタイプ(M、MおよびM受容体)は、アゴニストが受容体に結合した時点でホスホリパーゼC(PLC:phospholipase C)経路を活性化する。結果として活性化したPLCは、ホスファチルイノシトール二りん酸(PIP)をジアシルグリセロール(DAG)およびホスファチジル−1,4,5三りん酸(IP)に加水分解し、次には細胞内の貯蔵部、すなわち、小胞体および筋小胞体からカリウムを放出させる。FLIPR(Molecular Devices、サニーベール、カリフォルニア州)アッセイは、細胞内カルシウムにおけるこの増加を利用しており、自由なカルシウムが結合したときに蛍光を発するカリシウム感受性色素(Fluo‐4AM、Molecular Probes、ユージーン、オレゴン州)が用いられる。ヒトのMおよびM、並びにチンパンジーのM受容体でクローン化した細胞の単層における蛍光の変化を検出するFLIPRによって、この蛍光事象は、リアルタイムで測定される。アンタゴニストとしての作用強度は、アゴニスト介在による細胞内カルシウムの増加を阻害するアンタゴニストの能力によって決まる。
【0227】
FLIPRカルシウム刺激作用アッセイのために、hM、hMおよびcM受容体を安定に発現するCHO細胞をアッセイ前夜に96ウェルのFLIPRプレートに播く。播いた細胞をCellwash(MTX Labsystems社)を用いてFLIPR緩衝液(HEPES 10mM、pH7.4、塩化カルシウム2mM、プロベネシド2.5mMのカルシウムおよびグネシウムのないHBSS溶液)で2回洗い、増殖培地を除去して、50μL/ウェルのFLIPR緩衝液を残す。50μL/ウェルの4μM FLUO‐4AM(2倍溶液を作製)を用いて、細胞を37℃、5%二酸化炭素で40分間インキュベートする。色素インキュベーション時間に続いて、細胞をFLIPR緩衝液で2回洗い、最終量50μL/ウェルを残す。
【0228】
アンタゴニストの作用強度を決定するためにEC90濃度におけるオキソトレモリンの刺激作用に対するアンタゴニストの作用強度を後ほど測定できるように、まず細胞内Ca2+放出に対するオキソトレモリンの刺激作用の用量依存性を測定する。最初に、化合物の希釈緩衝液で細胞を20分間インキュベートする。続いてアゴニストを加えるが、これはFLIPRによって行う。オキソトレモリンに対するEC90値は、FLIPR測定およびデータ整理ついて後述する部分に詳しく説明する方法と式EC=((F/100−F)Λ1/H)*EC50を併せて発生させる。EC90濃度のオキソトレモリンが、アンタゴニスト阻害アッセイプレートの各ウェルに加えられるように、3×ECのオキソトレモリン濃度を刺激作用プレートに調製する。
【0229】
FLIPRに用いるパラメータは、曝露の長さ0.4秒、レーザー強度0.5ワット、励起波長488nm、および放出波長550nmである。基準値は、アゴニストの添加前に10秒間、蛍光の変化を測定することによって決定する。アゴニストによる刺激に続く蛍光の変化をFLIPRが0.5から1秒毎に1.5分間連続的に測定し、蛍光の最大変化を捕える。
【0230】
蛍光の変化は、各ウェルに対して最大蛍光値引く基準蛍光値として表現する。生データの分析は、GraphPad Prism(GraphPad Software社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いた非線形回帰により薬物濃度の対数に対して行い、S字型の用量‐反応曲線に関する組み込みモデルを利用する。アンタゴニストのK値は、オキソトレモリンのEC50値をKとし、かつオキソトレモリンのEC90をリガンド濃度に対して用いてCheng‐Prusoffの式(Cheng & Prusoff,1973)に照らしてPrismによって決定する。
【0231】
このアッセイにおいて、より低いK値は、テスト化合物が、試験された受容体においてより高い機能的活性を有することを示唆する。本発明の例となる化合物は、hMを安定に発現するCHO細胞において、アゴニスト介在によるカルシウム放出を阻止するための約100nMより小さいK値を有することが期待される。
【0232】
アッセイ3
ラットのEinthovenアッセイ
このインビボアッセイは、ムスカリン受容体アンタゴニスト活性を示すテスト化合物の気管支保護効果を評価するために用いられる。
【0233】
すべてのテスト化合物を滅菌水で希釈し、吸入経路(IH:inhalation route)を通じて投与する。ラット(Sprague‐Dawley、オス、250〜350g)を、LC Star噴霧器セットから発生し混合気体(CO5%/大気95%)により送り出されたエアロゾルに曝す。各テスト化合物の溶液を、6匹のラットを維持できるパイ型の投薬チャンバーに10分間にわたって噴霧する。化合物の吸入後、所定の時間ポイントでEinthovenアッセイを行う。
【0234】
肺評価を開始する30分前に、動物をイナクチン(チオブタバルビタール、120mg/kg 腹腔内)で麻酔する。生理食塩水を満たしたポリエチレンカテーテル(PE‐50)を頸静脈に挿入してMChを注入するために用いる。次に気管を解剖して、14G針でカニューレ処置を行い、肺評価の間ラットに酸素を供給するために用いる。手術が完了した時点で、ピストンレスピレーターセットを用い、1ml/体重100gで2.5ml容量を超えない1回拍出量、および毎分90回の拍出速度でラットに酸素を供給する。
【0235】
各呼吸で生じる圧力変化を測定する。基準値を少なくとも2.5分間収集し、次に気管支収縮薬MChを2倍づつ増加させて(5、10、20、40および80μg/ml)、非累積的にラットにチャレンジする。MChは2mL/kg/分の速度でシリンジポンプから2.5分間注入する。動物は検査が完了した時点で安楽死させる。
【0236】
治療を受けた動物の換気圧力(cm H0)の変化は、対照動物との比較におけるMCh反応の阻害パーセンテージとして表現する。このアッセイにおいて、より高いパーセント阻害値は、テスト化合物が、気管支保護効果を有することを示す。本アッセイにおいて100μg/mlの用量でテストした本発明の例となる化合物は、35%より大きい阻害を示すことが期待され、いくつかは70%より大きい阻害を示すことが期待され、さらにいくつかは90%より大きい阻害を示すことが期待される。
【0237】
1.5時間におけるID50の決定
標準的なムスカリン・アンタゴニストの評価を、投薬の1.5時間後にラットのEinthovenアッセイで行った。テストした5つの標準的な物質に対する作用強度(ID50)の順位は次のように測定された:イプラトロピウム(4.4μg/ml)>チオトロピウム(6μg/ml)>デス−メチル−チオトロピウム(12μg/ml)>グリコピロレート(15μg/ml)>LAS‐34237(24μg/ml)。テスト化合物の作用強度を投薬の1.5時間後に同様に測定した。
【0238】
6および24時間におけるID50の決定
投薬の24時間および/または6時間後にも、標準的な物質チオトロピウムおよびイプラトロピウムをEinthovenアッセイで評価した。イプラトロピウム(10および30μg/ml)の作用強度は、投薬の1.5時間後と比較して、6時間後には約3分の1倍であった。この時間ポイント(6時間)で観測された活性の損失は、病院で作用持続時間が比較的短いことと辻褄があう。チオトロピウムは、効果の発現が遅く、投薬の6時間後に気管支保護がピークを示した。6時間および24時間における作用強度値は、相互に著しくは相違せず、1.5時間と比較して約2倍の作用強度であった。6および24時間における作用強度値のみならず、テスト化合物の作用発現も同様に測定される。
【0239】
アッセイ4
ラットの抗唾液分泌促進アッセイ
ラット(Sprague‐Dawley、オス、250〜350g)に投薬し、アッセイ3に記載されたように麻酔およびカニューレ処置を行う。所定の時間ポイントにおいて、かつ手術後に、動物の頭部が傾斜の下方に来るように20°傾けて仰向けに配置する。予め秤量したガーゼパッドを動物の口に挿入し、ムスカリン・アゴニストのピロカルピン(PILO)(3mg/kg、静脈内)を投与する。PILO前後のガーゼパッドの重さを測定することによって、PILO後10分の間に生じた唾液の重量を測定する。抗唾液分泌促進効果は、対照動物との比較における唾液分泌の阻害パーセンテージとして表現する。
【0240】
1.6および24時間におけるID50の決定
ラットの抗唾液分泌促進アッセイは、テスト化合物の全身曝露を評価して肺選択指数(LSI:lung selectivity index)を計算するために開発された。このモデルでは、標準的な物質チオトリピウムを投薬の1、6、24時間後に評価した。チオトロピウムは、ピロカルピンによって誘発される唾液分泌を阻害する作用強度が、投薬の6時間後にもっとも高いことが見出された。この知見は、Einthovenアッセイで観測された効果のピークと辻褄が合う。
【0241】
このモデルは、Rechter,“Estimation of anticholinergic drug effects in mice by antagonism against pilocarpine‐induced salivation” Ata Pharmacol Toxicol 24:243-254(1996)に記載された手順の改良版である。各々の前治療時間に媒体で治療された動物の平均唾液重量を算定し、対応する前治療時間、各用量における唾液分泌の阻害パーセンテージを計算するために用いる。
【0242】
本アッセイでテストした本発明の例となる化合物は、100μg/ml(24時間における測定)より小さいID50値を示すことが期待され、いくつかの化合物は30μg/mlより小さい、いくつかは20μg/mlより小さい、さらにいくつかは15μg/mlより小さいID50値を示すことが期待される。
【0243】
抗唾液分泌促進ID50の気管支保護ID50に対する比率は、テスト化合物の見掛けの肺選択指数を計算するために用いられる。一般に、約5より大きい見掛けの肺選択指数を有する化合物が望ましい。
【0244】
本発明は、特定の様態またはその実施形態に関連して記載されてきたが、本発明の本来の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変化を与えることができ、或いは等価物で置き換えることができることを当業者は理解するであろう。加えて、適用可能な特許像および規則が許す範囲で、本明細書に引用されるすべての出版物、特許および特許出願は、あたかも各文献が参照により本明細書に個別に組み込まれたかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化47】

の化合物であって、
は−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C3〜9シクロアルキル、およびヘテロアリールから選択され;Rはアリールおよびヘテロアリールから選択され;RはHおよび−C0〜1アルキレン−OHから選択される、またはRはRと二重結合を形成するか;或いは−CRは、式:
【化48】

の基であって、Aは結合、−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−CHCH−、−NH−、および−N(CH)−から選択され;RはH、ハロ、−OH、−C1〜8アルキル、および−C1〜8アルコキシから選択される基を一緒に形成し;
Xは結合、−O−、および−O−CH−から選択され;Xが結合であるとき、Yは−CH−であり、Y’は−N−であり、Y”は−CH−であり;Xが−O−または−O−CH−であるとき、Y’は−CH−であり、Yは結合でありY”は−CH−または−(CH−であるか、或いはYは−CH−でありY”は−CH−であり;
はフルオロおよび−C1〜4アルキルから選択され;aは0か、または1から3までの整数であり、
およびRは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択され、さらにRまたはRのうち1つは−NHであってもよく;
ZはH、−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、および−NH−C0〜1アルキレン−Qから選択され;Qは−C3〜7シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C0〜2アルキレン−COOH、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、−CONR8a8b、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−N−ジ−C1〜4アルキル、および−N(O)Oから独立に選択された1〜5個のR基で任意に置換されており;R8aおよびR8bは、Hおよび−C1〜4アルキルから独立に選択された;式Iの化合物であって、
およびRは、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、−C3〜6シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR、−C(O)OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−C(O)NR,および−NRから独立に選択された1から5個までのR基で任意に置換されており;各Rは、H、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、および−C3〜6シクロアルキルから独立に選択され;各RおよびRは、H、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、および−C3〜6シクロアルキルから独立に選択され、
a〜d、R4〜8およびZにおける各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、およびシクロアルキル基は、1から5個までのフルオロ原子で任意に置換されている基であって、Ra〜dにおける各シクロアルキルは、−C1〜4アルキル、−C2〜4アルケニル、−C2〜4アルキニル、シアノ、ハロ、−O(C1〜4アルキル)、−S(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−S(O)(C1〜4アルキル)、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、および−N(C1〜4アルキル)から独立に選択された1から3個までの置換基で任意に置換されており、各アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1から5個までのフルオロ置換基で任意に置換されており;Zにおける前記アルキレン基は、−C1〜2アルキルおよび−OHから独立に選択された1または2個の置換基で任意に置換されている、
化合物、または医薬として許容されるその塩。
【請求項2】
はイソブチル、シクロペンチル、またはチオフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
はフェニルまたはチオフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
は−OHであるか、またはCRは一緒に:
【化49】

を形成する。
【請求項5】
aは0である、請求項1に記載の化合物
【請求項6】
はHまたは−C1〜4アルキルであり、RはHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で任意に置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
はイソブチル、シクロペンチル、またはチオフェニルであり;Rはフェニルまたはチオフェニルであり;Rは−OHであるか;または−CRは一緒に式:
【化50】

の基を形成し;aは0であり;RはHまたは−C1〜4アルキルであり;RはHであり;ZはH、−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、または−NH−C0〜1アルキレン−Qであり;Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキルおよび−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で任意に置換されており;Rにおける前記アルキル基は1から5個のフルオロ原子で任意に置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化51】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
はシクロペンチルまたはチオフェニルであり、Rはフェニルまたはチオフェニルであり;Rは−OHであり;RはHまたは−C1〜2アルキルであり;RはHであり;Zは−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、または−NH−C0〜1アルキレン−Qであり;Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で任意に置換されており、Rにおける前記アルキル基は、1から5個のフルオロ原子で任意に置換されている、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
式:
【化52】

を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
はHまたは−C1〜2アルキルであり;Zは−C1〜6アルキル、−C1〜3アルキレン−Q、または−NH−C0〜1アルキレン−Qであり;Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で任意に置換されており;Rにおける前記アルキル基は、1から5個のフルオロ原子で任意に置換されている、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式:
【化53】

を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
Qはシクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、シアノ、−C(O)O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキル、−S−C1〜4アルキル、および−CONHから独立に選択された1〜2個のR基で任意に置換されており、Rにおける前記アルキル基は、1から5個のフルオロ原子で任意に置換されている、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
Qはフラニルまたはチオフェニルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−フラン−2−イルメチルピペラジン−1−カルボキサミジン;および
4−((R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)−N−チオフェン−2−イルメチルピペラジン−1−カルボキサミジン
から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
式:
【化54】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
はシクロペンチルであり;Rはフェニルであり;Rは−OHであり;RおよびRはHであり;Zは−C1〜3アルキレン−Qであり;Qはフェニル、ベンゾフラニル、フラニル、ピリジニル、またはチオフェニルであり;Qにおける前記フェニルは、ハロおよび−C0〜4アルキレン−OHから独立に選択された1〜2個のR基で任意に置換されている、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
式:
【化55】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
はイソブチルまたはシクロペンチルであり;Rはフェニルであり;Rは−OHであり;RおよびRはHであり;Zは−C1〜6アルキルまたは−C1〜3アルキレン−Qであり;Qはフェニル、フラニル、ピリジニル、またはチオフェニルであり;Qはハロ、−C1〜4アルキル、−C0〜4アルキレン−OH、および−O−C1〜4アルキルから独立に選択された1〜2個のR基で任意に置換されており;Rにおける前記アルキル基は、1から5個までのフルオロ原子で任意に置換されている、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
(a)化合物(1)および化合物(2)を、アミド結合を形成する条件下で結合させ、生成物を脱保護して化合物(3):
【化56】

を形成するステップ、または化合物(1)および化合物(4)の光延カップリングまたはエステル転移反応、並びに生成物の脱保護により化合物(5):
【化57】

を形成するステップであって、Pはアミノ保護基であるステップ;
(b)化合物(3)または化合物(5)を化合物(6)と反応させて化合物(7):
【化58】

を形成するステップ;および
(c)化合物(7)および化合物(8)を反応させて式I:
【化59】

の化合物を提供するステップ
を備える、請求項1から21のいずれか1つのものの調製のためのプロセス。
【請求項23】
請求項22のプロセスによって調製される化合物。
【請求項24】
請求項1から21のいずれか1つ、および医薬として許容されるキャリアを含む医薬組成物。
【請求項25】
第2の治療薬をさらに含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記第2の治療薬は、βアドレナリン受容体アゴニスト、ステロイド系抗炎症薬、ホスホジエステラーゼ−4阻害剤、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記組成物は、βアドレナリン受容体アゴニスト、およびステロイド系抗炎症薬を含む、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
薬物を製造するための請求項1から21のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
前記薬物は、慢性閉塞性肺疾患または喘息を治療するために有用である、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記薬物は、気管支拡張を発生させるために有用である、請求項28に記載の使用。

【公表番号】特表2010−538070(P2010−538070A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524041(P2010−524041)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/010431
【国際公開番号】WO2009/035542
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】