予混合圧縮着火内燃機関
【課題】コストアップや燃費の悪化を招くことなく、着火性のコントロールを安定して行える予混合圧縮着火内燃機関を提供する。
【解決手段】機関に排気を還流させる排気還流通路に燃料を改質する触媒を設けると共に、前記触媒よりも上流側の排気還流通路に副燃料噴射弁を設ける。そして、機関回転速度・要求トルクから着火性の要求を判断すると共に、該着火性を満たす改質燃料割合を求め、要求トルクから決定される総投入燃料量のうち前記改質燃料割合に相当する量だけ、前記触媒により改質された燃料を機関に投入させる。
【解決手段】機関に排気を還流させる排気還流通路に燃料を改質する触媒を設けると共に、前記触媒よりも上流側の排気還流通路に副燃料噴射弁を設ける。そして、機関回転速度・要求トルクから着火性の要求を判断すると共に、該着火性を満たす改質燃料割合を求め、要求トルクから決定される総投入燃料量のうち前記改質燃料割合に相当する量だけ、前記触媒により改質された燃料を機関に投入させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合圧縮着火内燃機関に関し、詳しくは、燃料の改質によって着火性を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャニスタからパージされる蒸発燃料を、EGRガスと混合させることで、圧縮自己着火燃焼に適した性状に改質し、改質された蒸発燃料を機関の燃焼室に噴射する予混合圧縮着火機関が開示されている。
【特許文献1】特開2001−355523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、圧縮自己着火燃焼を安定的に実現するために、改質された蒸発燃料を用いるが、係る改質燃料による燃焼の実現は、キャニスタに蒸発燃料が吸着捕集されていることが前提条件となるため、圧縮自己着火燃焼の安定化を実現できる条件が限定されてしまうという問題があった。
また、蒸発燃料を燃焼室内に噴射させるために圧送器が必要となって、これによってシステムのコストアップを招き、また、圧送器を駆動するためのエネルギーの消費によって燃費性能が悪化する可能性があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、コストアップや燃費の悪化を招くことなく、着火性のコントロールを安定して行える予混合圧縮着火内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、予混合圧縮着火内燃機関において、機関に排気を還流させる排気還流通路に介装され、還流排気中の燃料を改質する改質手段と、前記改質手段よりも上流側の排気還流通路に燃料を噴射する副燃料噴射弁と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によると、改質手段(例えば酸化触媒)で燃料を改質することで、改質前よりも着火性を向上させ(着火温度を低下させ)、着火性の要求が高い運転条件で改質燃料量の割合を増やすことで、圧縮自己着火燃焼の安定化を図れる。
また、着火性の良い改質燃料と共に、燃焼抑制効果がある排気を還流させることで、燃料の反応速度が抑制され、燃焼騒音を下げながら着火性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1及び図2は、実施形態における予混合圧縮着火内燃機関を示す。
図に示す内燃機関101において、各気筒には、吸気マニホールド102及び吸気バルブ103を介して空気が吸引される。
前記吸気マニホールド102の上流側に接続される吸気ダクト104には、スロットルバルブ105が介装される。
【0008】
前記スロットルバルブ105は、図示省略したモータで開閉駆動される電子制御式スロットルである。
各気筒の燃焼室106の中央には、点火プラグ107と主燃料噴射弁108が設けられる。
前記燃焼室106からは、排気バルブ109を介して燃焼ガスが排出され、各気筒の排気は排気マニホールド110によって合流され、その後、下流側の触媒コンバータやマフラー(図示省略)を通過してから、大気中に放出される。
【0009】
前記排気マニホールド110の合流部と前記スロットルバルブ105下流側の吸気ダクト104とを連通する排気還流通路111が設けられており、前記スロットルバルブ105で吸気絞りを行うことで発生する吸入負圧と、排気側の正圧との差圧によって、排気を機関101の吸気系に還流する。
前記排気還流通路111には、機関101に還流させる排気の流量(外部EGR量)を制御するEGRバルブ112(電磁バルブ)が介装されている。
【0010】
更に、前記EGRバルブ112よりも上流側の排気還流通路111には、燃料(ガソリン)を酸化させることで、着火温度(オクタン価)を低下させる改質を行う改質手段としての触媒113が介装される。
前記触媒113は、前記ロジウムやセリア、或いは、プラチナ等の貴金属を担体に担持させた酸化触媒である。
【0011】
また、前記触媒113よりも上流側の排気還流通路111には、副燃料噴射弁114が設けられている。
即ち、前記スロットルバルブ105による吸気絞りによって吸入負圧を発生させた状態で、EGRバルブ112を開くことで排気還流が行われ、係る排気還流が行われる状態で、前記副燃料噴射弁114から燃料(ガソリン)を噴射させると、排気と共に燃料が触媒113に導入される。
【0012】
そして、触媒113に導入された燃料(ガソリン)は、触媒113において部分酸化されることで、着火温度がより低く着火性に優れた燃料に改質され、還流排気と共に機関101に供給される。
尚、前記主燃料噴射弁108及び副燃料噴射弁114には、共通の燃料タンク内の同一の燃料がそれぞれ圧送されるものとする。
【0013】
前記点火プラグ107による点火動作、主・副燃料噴射弁108,114の噴射動作、前記スロットルバルブ105・EGRバルブ112の開度は、マイクロコンピュータを内蔵する電子コントロールユニット120によって制御される。
尚、本実施形態では、パワートランジスタを内蔵する点火コイル(図示省略)が各点火プラグ107それぞれに直付けされ、前記パワートランジスタのON・OFFを前記電子コントロールユニット120がそれぞれに制御することで、各気筒の点火時期が個別に制御できるようにしてある。
【0014】
前記電子コントロールユニット120には、アクセルペダルの踏み込み量(要求トルク、機関負荷)を検出するアクセル開度センサ121、機関101の回転速度を検出する回転センサ122、前記触媒113の温度を検出する温度センサ123などからの検出信号が入力される。
ここで、前記機関101の燃焼方式は、点火プラグ107の着火によって火炎が伝播する火花点火燃焼と、予混合気を多点で一斉に着火させる圧縮自己着火燃焼(予混合圧縮着火燃焼)とに、要求トルクと機関回転速度とに応じて切り換えられるようになっている。
【0015】
図3のフローチャートは、前記電子コントロールユニット120による、前記燃焼方式の切り替え制御と、該切り替えに伴う燃料噴射制御とを示す。
図3のフローチャートに示すルーチンは、所定微小時間毎に実行され、まず、ステップS101では、要求トルクを示すアクセルペダルの踏み込み量や機関回転速度などの機関運転状態を示す各種検出データを読み込む。
【0016】
次のステップS102では、図4に示すように、要求トルクと機関回転速度とに応じて火花点火燃焼領域と圧縮自己着火燃焼領域を予め記憶したマップを参照して、そのときの要求トルクと機関回転速度とに対応する燃焼方式が圧縮自己着火燃焼であるか否かを判別する。
ここで、現在の要求トルクと機関回転速度とが圧縮自己着火燃焼領域に該当せず、火花点火燃焼領域に該当する場合には、ステップS112へ進んで、火花点火燃焼を行わせる。
【0017】
前記火花点火燃焼においては、前記副燃料噴射弁114からの燃料噴射(燃料の改質)は行わずに、前記主燃料噴射弁108のみから燃料を噴射させ、この主燃料噴射弁108から噴射された燃料を、点火プラグ107による火花点火で着火燃焼させる。
一方、現在の要求トルクと機関回転速度とが圧縮自己着火燃焼領域に該当すると判断されると、ステップS103へ進み、機関101への総投入燃料量及び燃料の着火性の要求を決定する。
【0018】
前記火花点火燃焼領域では、機関101の吸入空気量の制御によって機関負荷を制御するが、圧縮自己着火燃焼領域では、機関101への燃料の投入量によって機関負荷を制御するので、前記総投入燃料量は、図5に示すテーブルに基づいてそのときの要求トルクが高いほど大きな値に設定される。
また、燃料の着火性(着火し易さ)の要求は、図6〜図8に示すように、そのときの機関回転速度及び要求トルクから決定される。
【0019】
まず、機関回転速度が高いほど燃焼速度が速くなるため、図6に示すように、機関回転速度が高いほど、着火性の要求は高くなる。
また、圧縮自己着火燃焼領域では、機関負荷を機関101への投入燃料量で制御するので、要求トルクが小さく総投入燃料量が少ないと、空燃比としてリーンになる。このため、図7に示すように、要求トルクが小さいときほど、着火性の要求は高くなる。
【0020】
上記の機関回転速度による着火性の要求と、要求トルクによる着火性の要求とをまとめると、図8に示すように、低回転・高トルク域で着火性の要求は低く、高回転・低トルク域で着火性の要求は高くなる。
前記ステップS103では、図8に示す特性に従って、そのときの機関回転速度及び要求トルクに対応する着火性の要求を決定する。
【0021】
尚、着火性の要求は、例えば百分率などの数値データで示されるものとする。また、機関回転速度と要求トルクとのいずれか一方に基づいて着火性の要求を決定させることができる。
次のステップS104では、ステップS103で決定した着火性の要求が、改質を行わない燃料(改質前の通常燃料)が実現できる着火性であるか否かを、着火性を示す数値データと閾値との比較から判断する。
【0022】
尚、前記改質前の通常燃料の着火性が、レギュラーガソリンとハイオクガソリンとの違いなどによって変化する場合に、係る通常燃料の着火性の変化に応じて前記閾値を変更させることができる。
そのときの機関回転速度及び要求トルクから要求される着火性を、通常燃料が満たすことができると判断した場合には、燃料の着火性を上げる改質を行う必要がないので、ステップS113へ進み、前記副燃料噴射弁114からの燃料噴射(燃料の改質)は行わずに、前記主燃料噴射弁108のみから総投入燃料量の全てを噴射させ、この主燃料噴射弁108から噴射された燃料を、圧縮自己着火燃焼させる。
【0023】
一方、そのときの機関回転速度及び要求トルクに対応する着火性を、通常燃料のみでは実現できない場合には、ステップS105へ進む。
ステップS105では、機関101への総投入燃料量のうち、前記触媒113による改質燃料の割合を、前記着火性の要求から決定する。
尚、前記着火性の要求を決定する前記ステップS103の機能と、着火性の要求から改質燃料の割合を決定するステップS105の機能とによって、改質割合設定手段が構成される。
【0024】
前記触媒113による改質燃料は、改質前の燃料よりも着火性をより高めた燃料であるから、図9に示すように、要求の着火性が高いほど、総投入燃料量のうちの改質燃料の割合を大きくする。
ここで、前記改質燃料の割合と前記総投入燃料量とから、機関101に投入させる改質燃料量が決定されることになる。
【0025】
次のステップS106では、前記温度センサ123の出力から、前記触媒113の温度を検出する。
尚、温度センサ123によって触媒113の温度を検出する代わりに、機関回転速度,要求トルク,機関101の冷却水温度,排気還流量などから、触媒113の温度を推定させることができる。
【0026】
ステップS107では、前記ステップS105で決定された改質燃料量を得るために、副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量を、前記触媒113の温度に応じて決定する(副噴射量設定手段)。
図10に示すように、触媒113の温度が高いほど、触媒113に導入された燃料のうち改質される燃料の割合が高くなり、同じ量の改質燃料を得るためには、触媒113の温度が低いほど多くの燃料を副燃料噴射弁114から噴射させることが必要になる。
【0027】
換言すれば、副燃料噴射弁114から噴射させて触媒113に導入された燃料は、改質される燃料と、改質されずにそのまま触媒113を通過する燃料とに分かれ、触媒113の温度が低いほど改質されずにそのまま触媒113を通過する燃料の割合が多くなる。
図10に示す特性から、そのときの触媒113の温度における燃料の改質割合が求められるので、副燃料噴射弁114からの噴射された燃料のうち前記改質割合だけ改質されるものとして、前記ステップS105で決定される改質燃料量が得られるように、副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量(>改質燃料量)を決定する。
【0028】
また、次のステップS108では、排気還流通路111を介して還流させる排気量(外部EGR量)を決定し、該決定に基づいてEGRバルブ112の開度を制御する(排気還流制御手段)。ここでは、改質燃料濃度×投入外部EGR量=投入改質燃料量を満足させるべく、図11に示すように、機関101に投入する改質燃料量が多いほど排気還流量も多くする。
【0029】
ステップS109では、排気が有する燃焼抑制効果を見込んで所期の着火性が確保できるように、副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量(機関に投入させる改質燃料量)を増量補正させる(増量補正手段)。
ステップS107で決定される燃料噴射量(改質燃料量)は、排気の燃焼抑制効果が考慮されておらず、そのままの量を噴射させても、改質燃料と共に機関101に還流される排気の燃焼抑制効果によって、所期の着火性よりも実際の着火性は低くなってしまう。
【0030】
そこで、前記燃焼抑制効果を見込んで副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量(機関に投入させる改質燃料量)を増量することで、所期の着火性が得られるようにする。
還流排気量が多くなるほど燃焼抑制効果が大きくなることから、前記燃料噴射量の増量は、図12に示すように、還流排気量(外部EGR量)が多くなるほど多くする。
ステップS110では、前記総投入燃料量と前記副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量とから、主燃料噴射弁108による燃料噴射量を決定する。
【0031】
即ち、総投入燃料量から副燃料噴射弁114による噴射量を減算した残りが、主燃料噴射弁108から噴射させるべき燃料量となる。
ステップS111では、主燃料噴射弁108の燃料噴射量がマイナスの量として算出されたか否か、換言すれば、副燃料噴射弁114の燃料噴射量が総投入燃料量を超える量として算出されたか否かを判断する。
【0032】
そして、主燃料噴射弁108の燃料噴射量がマイナスの量として算出された場合(副燃料噴射弁114の燃料噴射量が総投入燃料量を超える量として算出された場合)には、要求の着火性を満たして圧縮自己着火燃焼を行わせることはできないものと判断し、ステップS112へ進んで、本来の圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼に切り換える(燃焼切り換え手段)。
【0033】
上記のように、圧縮自己着火燃焼を行わせるときに、通常の燃料をより高い反応性(着火性)を有する燃料に改質して機関101に供給するので、圧縮自己着火を安定的に引き起こすことができると同時に、改質燃料と共に燃焼抑制効果がある排気を機関101に投入させることで、燃料の反応速度が抑制され、燃焼騒音を下げながら着火性を確保することができる。
【0034】
また、燃料タンク内に蓄えられている通常燃料を、触媒113を用いて改質するので、高い反応性(着火性)を有する燃料を安定的に機関101に供給できる。
更に、排気系と吸気系との圧力差で吸気系に還流される排気の流れに乗せて改質燃料を機関101に供給するので、改質燃料を機関101に供給するための圧送器などが不要で、コストアップや燃費の悪化を抑止することができる。
【0035】
また、排気熱で触媒113が加熱され、改質可能な活性温度にまで昇温させることができるので、触媒113を加熱するためにヒータなどの加熱手段を備える必要がない。
ここで、上記の圧縮自己着火燃焼における着火性のコントロールをまとめると、以下のようになる。
着火性をY、触媒温度による燃料改質割合係数をA、排気還流量をB、改質燃料による燃焼促進係数をα、還流排気による燃焼抑制係数をβ、改質用燃料噴射総量をXとすると、着火性Yは、Y=B・(A・α・X+β)として求められる。
【0036】
即ち、A・Xは、副燃料噴射弁114から噴射された燃料のうちで改質される燃料量を示し、A・X・αは、改質燃料による着火性の促進効果を示し、該改質燃料による着火性の促進効果が、還流排気による燃焼抑制効果によって減少修正されることで、単位排気還流量当たりの着火性が求まるので、これに排気還流量Bを乗算することで、最終的な着火性が求められる。
【0037】
図13に示すように、改質燃料量が多くなれば着火性は増す一方、図14に示すように、排気還流率が高くなると、不活性ガス量が増えることで着火性は低下するから、図15に示すように、排気還流量が少なくかつ改質燃料量が多いときほど、燃料の着火性は高くなり、逆に、排気還流量が多くかつ改質燃料量が少ないときほど、燃料の着火性は低下する。
【0038】
尚、触媒113で改質させるために副燃料噴射弁114から噴射させる燃料と、主燃料噴射弁108から噴射させる燃料とを、(着火性の)異なる燃料とすることができる。
また、触媒113をバイパスするバイパス排気還流通路を設けると共に、触媒113側とバイパス排気還流通路とに排気の流れを切り換えるバルブを設け、改質を行わない場合に、触媒113を迂回して排気を還流させることができる。
【0039】
また、圧縮自己着火燃焼領域であってかつ燃料の改質が要求される運転条件であっても、触媒113の温度が低い場合には、火花点火を行わせつつ排気還流を行わせ、触媒113の温度が上がってから、改質燃料の投入による圧縮自己着火燃焼を行わせることができる。
更に、触媒113を補助的に加熱するヒータを備えることができる。
【0040】
また、主燃料噴射弁108からの燃料噴射を圧縮行程で行わせることなどにより、改質された燃料による混合気と、改質前の燃料による混合気とが燃焼室内で層をなすようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本願発明の実施形態における予混合圧縮着火内燃機関を示す図。
【図2】前記予混合圧縮着火内燃機関の燃焼室構造を示す図。
【図3】本願発明の実施形態における噴射制御を示すフローチャート。
【図4】本願発明の実施形態における圧縮着火領域と火花点火領域とを示す図。
【図5】本願発明の実施形態における要求トルクと燃料投入量との相関を示す線図。
【図6】本願発明の実施形態における機関回転速度と着火性要求との相関を示す線図。
【図7】本願発明の実施形態における要求トルクと着火性要求との相関を示す線図。
【図8】本願発明の実施形態における機関回転速度及び要求トルクと着火性要求との相関を示す線図。
【図9】本願発明の実施形態における着火性要求と燃料改質の割合との相関を示す線図。
【図10】本願発明の実施形態における触媒温度と改質割合との相関を示す線図。
【図11】本願発明の実施形態における改質燃料量と排気還流量との相関を示す線図。
【図12】本願発明の実施形態における排気還流量と燃料増量補正値との相関を示す線図。
【図13】本願発明の実施形態における燃料改質量と着火性との相関を示す線図。
【図14】本願発明の実施形態における排気還流率(外部EGR率)と着火性及び不活性ガス量との相関を示す線図。
【図15】本願発明の実施形態における改質燃料量及び排気還流量(外部EGR量)と着火性との相関を示す線図。
【符号の説明】
【0042】
101…内燃機関、102…吸気マニホールド、103…吸気バルブ、104…吸気ダクト、105…スロットルバルブ、106…燃焼室、107…点火プラグ、108…主燃料噴射弁、109…排気バルブ、110…排気マニホールド、111…排気還流通路、112…EGRバルブ、113…触媒、114…副燃料噴射弁、120…電子コントロールユニット、121…アクセル開度センサ、122…回転センサ、123…温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合圧縮着火内燃機関に関し、詳しくは、燃料の改質によって着火性を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャニスタからパージされる蒸発燃料を、EGRガスと混合させることで、圧縮自己着火燃焼に適した性状に改質し、改質された蒸発燃料を機関の燃焼室に噴射する予混合圧縮着火機関が開示されている。
【特許文献1】特開2001−355523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、圧縮自己着火燃焼を安定的に実現するために、改質された蒸発燃料を用いるが、係る改質燃料による燃焼の実現は、キャニスタに蒸発燃料が吸着捕集されていることが前提条件となるため、圧縮自己着火燃焼の安定化を実現できる条件が限定されてしまうという問題があった。
また、蒸発燃料を燃焼室内に噴射させるために圧送器が必要となって、これによってシステムのコストアップを招き、また、圧送器を駆動するためのエネルギーの消費によって燃費性能が悪化する可能性があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、コストアップや燃費の悪化を招くことなく、着火性のコントロールを安定して行える予混合圧縮着火内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、予混合圧縮着火内燃機関において、機関に排気を還流させる排気還流通路に介装され、還流排気中の燃料を改質する改質手段と、前記改質手段よりも上流側の排気還流通路に燃料を噴射する副燃料噴射弁と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によると、改質手段(例えば酸化触媒)で燃料を改質することで、改質前よりも着火性を向上させ(着火温度を低下させ)、着火性の要求が高い運転条件で改質燃料量の割合を増やすことで、圧縮自己着火燃焼の安定化を図れる。
また、着火性の良い改質燃料と共に、燃焼抑制効果がある排気を還流させることで、燃料の反応速度が抑制され、燃焼騒音を下げながら着火性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1及び図2は、実施形態における予混合圧縮着火内燃機関を示す。
図に示す内燃機関101において、各気筒には、吸気マニホールド102及び吸気バルブ103を介して空気が吸引される。
前記吸気マニホールド102の上流側に接続される吸気ダクト104には、スロットルバルブ105が介装される。
【0008】
前記スロットルバルブ105は、図示省略したモータで開閉駆動される電子制御式スロットルである。
各気筒の燃焼室106の中央には、点火プラグ107と主燃料噴射弁108が設けられる。
前記燃焼室106からは、排気バルブ109を介して燃焼ガスが排出され、各気筒の排気は排気マニホールド110によって合流され、その後、下流側の触媒コンバータやマフラー(図示省略)を通過してから、大気中に放出される。
【0009】
前記排気マニホールド110の合流部と前記スロットルバルブ105下流側の吸気ダクト104とを連通する排気還流通路111が設けられており、前記スロットルバルブ105で吸気絞りを行うことで発生する吸入負圧と、排気側の正圧との差圧によって、排気を機関101の吸気系に還流する。
前記排気還流通路111には、機関101に還流させる排気の流量(外部EGR量)を制御するEGRバルブ112(電磁バルブ)が介装されている。
【0010】
更に、前記EGRバルブ112よりも上流側の排気還流通路111には、燃料(ガソリン)を酸化させることで、着火温度(オクタン価)を低下させる改質を行う改質手段としての触媒113が介装される。
前記触媒113は、前記ロジウムやセリア、或いは、プラチナ等の貴金属を担体に担持させた酸化触媒である。
【0011】
また、前記触媒113よりも上流側の排気還流通路111には、副燃料噴射弁114が設けられている。
即ち、前記スロットルバルブ105による吸気絞りによって吸入負圧を発生させた状態で、EGRバルブ112を開くことで排気還流が行われ、係る排気還流が行われる状態で、前記副燃料噴射弁114から燃料(ガソリン)を噴射させると、排気と共に燃料が触媒113に導入される。
【0012】
そして、触媒113に導入された燃料(ガソリン)は、触媒113において部分酸化されることで、着火温度がより低く着火性に優れた燃料に改質され、還流排気と共に機関101に供給される。
尚、前記主燃料噴射弁108及び副燃料噴射弁114には、共通の燃料タンク内の同一の燃料がそれぞれ圧送されるものとする。
【0013】
前記点火プラグ107による点火動作、主・副燃料噴射弁108,114の噴射動作、前記スロットルバルブ105・EGRバルブ112の開度は、マイクロコンピュータを内蔵する電子コントロールユニット120によって制御される。
尚、本実施形態では、パワートランジスタを内蔵する点火コイル(図示省略)が各点火プラグ107それぞれに直付けされ、前記パワートランジスタのON・OFFを前記電子コントロールユニット120がそれぞれに制御することで、各気筒の点火時期が個別に制御できるようにしてある。
【0014】
前記電子コントロールユニット120には、アクセルペダルの踏み込み量(要求トルク、機関負荷)を検出するアクセル開度センサ121、機関101の回転速度を検出する回転センサ122、前記触媒113の温度を検出する温度センサ123などからの検出信号が入力される。
ここで、前記機関101の燃焼方式は、点火プラグ107の着火によって火炎が伝播する火花点火燃焼と、予混合気を多点で一斉に着火させる圧縮自己着火燃焼(予混合圧縮着火燃焼)とに、要求トルクと機関回転速度とに応じて切り換えられるようになっている。
【0015】
図3のフローチャートは、前記電子コントロールユニット120による、前記燃焼方式の切り替え制御と、該切り替えに伴う燃料噴射制御とを示す。
図3のフローチャートに示すルーチンは、所定微小時間毎に実行され、まず、ステップS101では、要求トルクを示すアクセルペダルの踏み込み量や機関回転速度などの機関運転状態を示す各種検出データを読み込む。
【0016】
次のステップS102では、図4に示すように、要求トルクと機関回転速度とに応じて火花点火燃焼領域と圧縮自己着火燃焼領域を予め記憶したマップを参照して、そのときの要求トルクと機関回転速度とに対応する燃焼方式が圧縮自己着火燃焼であるか否かを判別する。
ここで、現在の要求トルクと機関回転速度とが圧縮自己着火燃焼領域に該当せず、火花点火燃焼領域に該当する場合には、ステップS112へ進んで、火花点火燃焼を行わせる。
【0017】
前記火花点火燃焼においては、前記副燃料噴射弁114からの燃料噴射(燃料の改質)は行わずに、前記主燃料噴射弁108のみから燃料を噴射させ、この主燃料噴射弁108から噴射された燃料を、点火プラグ107による火花点火で着火燃焼させる。
一方、現在の要求トルクと機関回転速度とが圧縮自己着火燃焼領域に該当すると判断されると、ステップS103へ進み、機関101への総投入燃料量及び燃料の着火性の要求を決定する。
【0018】
前記火花点火燃焼領域では、機関101の吸入空気量の制御によって機関負荷を制御するが、圧縮自己着火燃焼領域では、機関101への燃料の投入量によって機関負荷を制御するので、前記総投入燃料量は、図5に示すテーブルに基づいてそのときの要求トルクが高いほど大きな値に設定される。
また、燃料の着火性(着火し易さ)の要求は、図6〜図8に示すように、そのときの機関回転速度及び要求トルクから決定される。
【0019】
まず、機関回転速度が高いほど燃焼速度が速くなるため、図6に示すように、機関回転速度が高いほど、着火性の要求は高くなる。
また、圧縮自己着火燃焼領域では、機関負荷を機関101への投入燃料量で制御するので、要求トルクが小さく総投入燃料量が少ないと、空燃比としてリーンになる。このため、図7に示すように、要求トルクが小さいときほど、着火性の要求は高くなる。
【0020】
上記の機関回転速度による着火性の要求と、要求トルクによる着火性の要求とをまとめると、図8に示すように、低回転・高トルク域で着火性の要求は低く、高回転・低トルク域で着火性の要求は高くなる。
前記ステップS103では、図8に示す特性に従って、そのときの機関回転速度及び要求トルクに対応する着火性の要求を決定する。
【0021】
尚、着火性の要求は、例えば百分率などの数値データで示されるものとする。また、機関回転速度と要求トルクとのいずれか一方に基づいて着火性の要求を決定させることができる。
次のステップS104では、ステップS103で決定した着火性の要求が、改質を行わない燃料(改質前の通常燃料)が実現できる着火性であるか否かを、着火性を示す数値データと閾値との比較から判断する。
【0022】
尚、前記改質前の通常燃料の着火性が、レギュラーガソリンとハイオクガソリンとの違いなどによって変化する場合に、係る通常燃料の着火性の変化に応じて前記閾値を変更させることができる。
そのときの機関回転速度及び要求トルクから要求される着火性を、通常燃料が満たすことができると判断した場合には、燃料の着火性を上げる改質を行う必要がないので、ステップS113へ進み、前記副燃料噴射弁114からの燃料噴射(燃料の改質)は行わずに、前記主燃料噴射弁108のみから総投入燃料量の全てを噴射させ、この主燃料噴射弁108から噴射された燃料を、圧縮自己着火燃焼させる。
【0023】
一方、そのときの機関回転速度及び要求トルクに対応する着火性を、通常燃料のみでは実現できない場合には、ステップS105へ進む。
ステップS105では、機関101への総投入燃料量のうち、前記触媒113による改質燃料の割合を、前記着火性の要求から決定する。
尚、前記着火性の要求を決定する前記ステップS103の機能と、着火性の要求から改質燃料の割合を決定するステップS105の機能とによって、改質割合設定手段が構成される。
【0024】
前記触媒113による改質燃料は、改質前の燃料よりも着火性をより高めた燃料であるから、図9に示すように、要求の着火性が高いほど、総投入燃料量のうちの改質燃料の割合を大きくする。
ここで、前記改質燃料の割合と前記総投入燃料量とから、機関101に投入させる改質燃料量が決定されることになる。
【0025】
次のステップS106では、前記温度センサ123の出力から、前記触媒113の温度を検出する。
尚、温度センサ123によって触媒113の温度を検出する代わりに、機関回転速度,要求トルク,機関101の冷却水温度,排気還流量などから、触媒113の温度を推定させることができる。
【0026】
ステップS107では、前記ステップS105で決定された改質燃料量を得るために、副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量を、前記触媒113の温度に応じて決定する(副噴射量設定手段)。
図10に示すように、触媒113の温度が高いほど、触媒113に導入された燃料のうち改質される燃料の割合が高くなり、同じ量の改質燃料を得るためには、触媒113の温度が低いほど多くの燃料を副燃料噴射弁114から噴射させることが必要になる。
【0027】
換言すれば、副燃料噴射弁114から噴射させて触媒113に導入された燃料は、改質される燃料と、改質されずにそのまま触媒113を通過する燃料とに分かれ、触媒113の温度が低いほど改質されずにそのまま触媒113を通過する燃料の割合が多くなる。
図10に示す特性から、そのときの触媒113の温度における燃料の改質割合が求められるので、副燃料噴射弁114からの噴射された燃料のうち前記改質割合だけ改質されるものとして、前記ステップS105で決定される改質燃料量が得られるように、副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量(>改質燃料量)を決定する。
【0028】
また、次のステップS108では、排気還流通路111を介して還流させる排気量(外部EGR量)を決定し、該決定に基づいてEGRバルブ112の開度を制御する(排気還流制御手段)。ここでは、改質燃料濃度×投入外部EGR量=投入改質燃料量を満足させるべく、図11に示すように、機関101に投入する改質燃料量が多いほど排気還流量も多くする。
【0029】
ステップS109では、排気が有する燃焼抑制効果を見込んで所期の着火性が確保できるように、副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量(機関に投入させる改質燃料量)を増量補正させる(増量補正手段)。
ステップS107で決定される燃料噴射量(改質燃料量)は、排気の燃焼抑制効果が考慮されておらず、そのままの量を噴射させても、改質燃料と共に機関101に還流される排気の燃焼抑制効果によって、所期の着火性よりも実際の着火性は低くなってしまう。
【0030】
そこで、前記燃焼抑制効果を見込んで副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量(機関に投入させる改質燃料量)を増量することで、所期の着火性が得られるようにする。
還流排気量が多くなるほど燃焼抑制効果が大きくなることから、前記燃料噴射量の増量は、図12に示すように、還流排気量(外部EGR量)が多くなるほど多くする。
ステップS110では、前記総投入燃料量と前記副燃料噴射弁114から噴射させる燃料量とから、主燃料噴射弁108による燃料噴射量を決定する。
【0031】
即ち、総投入燃料量から副燃料噴射弁114による噴射量を減算した残りが、主燃料噴射弁108から噴射させるべき燃料量となる。
ステップS111では、主燃料噴射弁108の燃料噴射量がマイナスの量として算出されたか否か、換言すれば、副燃料噴射弁114の燃料噴射量が総投入燃料量を超える量として算出されたか否かを判断する。
【0032】
そして、主燃料噴射弁108の燃料噴射量がマイナスの量として算出された場合(副燃料噴射弁114の燃料噴射量が総投入燃料量を超える量として算出された場合)には、要求の着火性を満たして圧縮自己着火燃焼を行わせることはできないものと判断し、ステップS112へ進んで、本来の圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼に切り換える(燃焼切り換え手段)。
【0033】
上記のように、圧縮自己着火燃焼を行わせるときに、通常の燃料をより高い反応性(着火性)を有する燃料に改質して機関101に供給するので、圧縮自己着火を安定的に引き起こすことができると同時に、改質燃料と共に燃焼抑制効果がある排気を機関101に投入させることで、燃料の反応速度が抑制され、燃焼騒音を下げながら着火性を確保することができる。
【0034】
また、燃料タンク内に蓄えられている通常燃料を、触媒113を用いて改質するので、高い反応性(着火性)を有する燃料を安定的に機関101に供給できる。
更に、排気系と吸気系との圧力差で吸気系に還流される排気の流れに乗せて改質燃料を機関101に供給するので、改質燃料を機関101に供給するための圧送器などが不要で、コストアップや燃費の悪化を抑止することができる。
【0035】
また、排気熱で触媒113が加熱され、改質可能な活性温度にまで昇温させることができるので、触媒113を加熱するためにヒータなどの加熱手段を備える必要がない。
ここで、上記の圧縮自己着火燃焼における着火性のコントロールをまとめると、以下のようになる。
着火性をY、触媒温度による燃料改質割合係数をA、排気還流量をB、改質燃料による燃焼促進係数をα、還流排気による燃焼抑制係数をβ、改質用燃料噴射総量をXとすると、着火性Yは、Y=B・(A・α・X+β)として求められる。
【0036】
即ち、A・Xは、副燃料噴射弁114から噴射された燃料のうちで改質される燃料量を示し、A・X・αは、改質燃料による着火性の促進効果を示し、該改質燃料による着火性の促進効果が、還流排気による燃焼抑制効果によって減少修正されることで、単位排気還流量当たりの着火性が求まるので、これに排気還流量Bを乗算することで、最終的な着火性が求められる。
【0037】
図13に示すように、改質燃料量が多くなれば着火性は増す一方、図14に示すように、排気還流率が高くなると、不活性ガス量が増えることで着火性は低下するから、図15に示すように、排気還流量が少なくかつ改質燃料量が多いときほど、燃料の着火性は高くなり、逆に、排気還流量が多くかつ改質燃料量が少ないときほど、燃料の着火性は低下する。
【0038】
尚、触媒113で改質させるために副燃料噴射弁114から噴射させる燃料と、主燃料噴射弁108から噴射させる燃料とを、(着火性の)異なる燃料とすることができる。
また、触媒113をバイパスするバイパス排気還流通路を設けると共に、触媒113側とバイパス排気還流通路とに排気の流れを切り換えるバルブを設け、改質を行わない場合に、触媒113を迂回して排気を還流させることができる。
【0039】
また、圧縮自己着火燃焼領域であってかつ燃料の改質が要求される運転条件であっても、触媒113の温度が低い場合には、火花点火を行わせつつ排気還流を行わせ、触媒113の温度が上がってから、改質燃料の投入による圧縮自己着火燃焼を行わせることができる。
更に、触媒113を補助的に加熱するヒータを備えることができる。
【0040】
また、主燃料噴射弁108からの燃料噴射を圧縮行程で行わせることなどにより、改質された燃料による混合気と、改質前の燃料による混合気とが燃焼室内で層をなすようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本願発明の実施形態における予混合圧縮着火内燃機関を示す図。
【図2】前記予混合圧縮着火内燃機関の燃焼室構造を示す図。
【図3】本願発明の実施形態における噴射制御を示すフローチャート。
【図4】本願発明の実施形態における圧縮着火領域と火花点火領域とを示す図。
【図5】本願発明の実施形態における要求トルクと燃料投入量との相関を示す線図。
【図6】本願発明の実施形態における機関回転速度と着火性要求との相関を示す線図。
【図7】本願発明の実施形態における要求トルクと着火性要求との相関を示す線図。
【図8】本願発明の実施形態における機関回転速度及び要求トルクと着火性要求との相関を示す線図。
【図9】本願発明の実施形態における着火性要求と燃料改質の割合との相関を示す線図。
【図10】本願発明の実施形態における触媒温度と改質割合との相関を示す線図。
【図11】本願発明の実施形態における改質燃料量と排気還流量との相関を示す線図。
【図12】本願発明の実施形態における排気還流量と燃料増量補正値との相関を示す線図。
【図13】本願発明の実施形態における燃料改質量と着火性との相関を示す線図。
【図14】本願発明の実施形態における排気還流率(外部EGR率)と着火性及び不活性ガス量との相関を示す線図。
【図15】本願発明の実施形態における改質燃料量及び排気還流量(外部EGR量)と着火性との相関を示す線図。
【符号の説明】
【0042】
101…内燃機関、102…吸気マニホールド、103…吸気バルブ、104…吸気ダクト、105…スロットルバルブ、106…燃焼室、107…点火プラグ、108…主燃料噴射弁、109…排気バルブ、110…排気マニホールド、111…排気還流通路、112…EGRバルブ、113…触媒、114…副燃料噴射弁、120…電子コントロールユニット、121…アクセル開度センサ、122…回転センサ、123…温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関に排気を還流させる排気還流通路に介装され、還流排気中の燃料を改質する改質手段と、前記改質手段よりも上流側の排気還流通路に燃料を噴射する副燃料噴射弁と、を備えたことを特徴とする予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項2】
機関への総投入燃料量のうち前記触媒による改質燃料量の割合を、機関の要求トルク及び/又は機関回転速度に基づいて決定する改質割合設定手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項3】
前記改質燃料の要求量と、前記触媒の温度とから、前記副燃料噴射弁による燃料噴射量を決定する副噴射量設定手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項4】
前記改質燃料の要求量に基づいて、前記排気還流通路を介して還流させる排気量を制御する排気還流制御手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項5】
前記排気還流通路を介して機関に還流される排気量に基づいて前記副燃料噴射弁による燃料噴射量を増量補正する増量補正手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項6】
前記副燃料噴射弁の燃料噴射量の要求が機関への総投入燃料量を上回る場合に、予混合圧縮着火から、主燃料噴射弁のみの燃料噴射による火花点火燃焼に切り換える燃焼切り換え手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項1】
機関に排気を還流させる排気還流通路に介装され、還流排気中の燃料を改質する改質手段と、前記改質手段よりも上流側の排気還流通路に燃料を噴射する副燃料噴射弁と、を備えたことを特徴とする予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項2】
機関への総投入燃料量のうち前記触媒による改質燃料量の割合を、機関の要求トルク及び/又は機関回転速度に基づいて決定する改質割合設定手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項3】
前記改質燃料の要求量と、前記触媒の温度とから、前記副燃料噴射弁による燃料噴射量を決定する副噴射量設定手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項4】
前記改質燃料の要求量に基づいて、前記排気還流通路を介して還流させる排気量を制御する排気還流制御手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項5】
前記排気還流通路を介して機関に還流される排気量に基づいて前記副燃料噴射弁による燃料噴射量を増量補正する増量補正手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【請求項6】
前記副燃料噴射弁の燃料噴射量の要求が機関への総投入燃料量を上回る場合に、予混合圧縮着火から、主燃料噴射弁のみの燃料噴射による火花点火燃焼に切り換える燃焼切り換え手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の予混合圧縮着火内燃機関。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−95516(P2008−95516A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274943(P2006−274943)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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