光電子デバイス、太陽電池、及びフォトディテクタ
【課題】光電子デバイス、太陽電池、及びフォトディテクタ等の光電子デバイスを構成するナノウィスカであって、III−V族半導体物質からなる幅の制御された複数のナノウィスカでの製造方法を提供する。
【解決手段】共鳴トンネルダイオード(RTD)は、基板にシード粒子を付着させることと、該シード粒子を物質にさらし、その際物質がシード粒子と共にメルトを形成するように温度と圧力の条件を制御し、それによってシード粒子がコラムの頂上に乗ってナノウィスカを形成することからなる方法によって形成され、ナノウィスカのコラムはナノメートル寸法の一定の径を有し、コラムの成長の間上記気体の組成を変更し、それによってエピタキシャル成長を維持しながらコラムの物質組成をその長さに沿った領域で変更し、これによって各部分の物質の間の格子不整合がその境界におけるウィスカの径方向外向きの膨張によって調整される。
【解決手段】共鳴トンネルダイオード(RTD)は、基板にシード粒子を付着させることと、該シード粒子を物質にさらし、その際物質がシード粒子と共にメルトを形成するように温度と圧力の条件を制御し、それによってシード粒子がコラムの頂上に乗ってナノウィスカを形成することからなる方法によって形成され、ナノウィスカのコラムはナノメートル寸法の一定の径を有し、コラムの成長の間上記気体の組成を変更し、それによってエピタキシャル成長を維持しながらコラムの物質組成をその長さに沿った領域で変更し、これによって各部分の物質の間の格子不整合がその境界におけるウィスカの径方向外向きの膨張によって調整される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は2002年7月8日に出願された米国仮出願60/393.835号に基づく優先権を主張するものであり、本引用により当該出願の全内容を本願に繰り入れる。また、2003年4月4日に出願された米国仮出願60/459,982の全内容も本引用により本願に繰り入れるものとする。
【0002】
本発明は広くは構造体に関わるものであり、基本的に1次元的形態であって、その幅あるいは径の大きさがナノメートルサイズである構造体、即ち一般的にナノウィスカ、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ等として知られる構造体に関わるものである。本明細書において、これらの構造体は1次元ナノ要素と名付ける。より詳しくは、本発明はナノウィスカーおよびナノウィスカの製造方法に関わるものであるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
いわゆるVLS(vapor-liquid-solid:気相−液相−固相)法によって基板上にウィスカを生成する基本プロセスは公知である。基板等の上の触媒物質(多くの場合金である)の粒子を所定の気体存在下で加熱しメルト(melt)を形成する。メルトの下にピラー(pillar)が生成しメルトはピラーの頂部で上昇する。その結果、固体化した粒子メルトがその頂部に乗った所望物質のウィスカが得られる(”Growth of Whiskers by the Vapour-Liquid-Solid Mechanism” - Givargizov - Current Topics in Materials Science Vol. 1 p.79-145 - North Holland Publishing Company 1978を参照)。このようなウィスカの大きさはマイクロメートルの範囲にある。
【0004】
国際出願WO01/84238の図15および図16にはナノウィスカを形成する方法が開示されており、該方法では、エアロゾル(噴霧)によるナノメートルサイズの粒子を基板上に付着(deposit)させ、これら粒子をシード(種)として用いてフィラメント即ちナノウィスカを生成する。本明細書において、ナノウィスカという用語はナノメートルサイズの径を有する1次元ナノ要素であって、VLS法によって形成されたものを意味することとする。
【0005】
一般的にはナノ構造体とは、少なくとも2つの次元方向においておよそ1μmより小さい寸法(即ちナノメートル寸法)を持つデバイスである。通常は、厚さが1μmより小さい1以上の層からなる層状構造または層状素材はナノ構造体とはされない。但し以下に説明するように、ナノ構造体を用いてそのような層を形成する場合はある。以上のように、ナノ構造体という語は、独立したあるいは孤立した構造体であって、2つの次元方向においておよそ1μm以下の寸法であり、より大きな構造体とは異なる機能および用途を有し、ある程度大きな構造体、例えばマイクロオーダーの大きさの構造体を製造する従来の工程とは異なる方法で作製される構造体をその意味内容とする。従って、ナノ構造体という分類を厳密に規定する大きさについての数値上の境界は特にないが、このナノ構造体という語は当業者には明らかなものとして理解されるある一つの分類となっている。多くの場合ナノ構造体を特徴づける寸法の上限は、およそ500nmである。
【0006】
ナノ構造体の径がある値、たとえば50nmよりも小さい場合には、電子がナノ要素の長さ方向にしか移動できないという量子閉じこめが生ずる。これは径方向に沿った面(diametral plane)において、電子が量子力学的固有状態を占拠するからである。
【0007】
半導体ナノウィスカの電気的および光学的特性は、基本的にその結晶構造、形態、大きさによって決まる。特にウィスカ幅の小さな変化は、量子閉じこめ効果によって、エネルギー状態の分離の少なからぬ変化を引き起こす場合がある。従って、ウィスカの幅を自由に任意に選択できることが重要であり、また、ウィスカの長さを延長した場合にも幅を一定に保てるようにすることが同じく重要である。ウィスカ技術と現在の半導体素子技術との融合を可能にするためには、このことがウィスカを基板上の選択された位置に配置することの可能性と共に必要となってくる。GaAsウィスカの成長に関していくつかの実験的研究がなされている。最も重要な報告はHirumaらによるものである。彼らは有機金属化学蒸着(MOCVD)式成長システムにおいて、III−V族基板上にIII−V族ナノウィスカを成長させた(K. Hiruma, M. Yazawa, K. Haraguchi, K ogawa, T. Katsuyama, M. Koguchi, and H. Kakibayashi, J. Appl. Phys. 74, 3162 1993; K. Hiruma, M. Yazawa, T. Katsuyama, K ogawa, K. Haraguchi, M. Koguchi, and H. Kakibayashi, J. Appl. Phys. 77, 447 1995; E.I. Givargizov, J. Cryst. Growth 31, 20 1975; X. F. Duran, J. F. Wang, and C. M. Lieber, Appl. Phys. Lett. 76, 1116 2000; K. Hiruma, H murakoshi, M. Yazawa, K. Ogawa, S Fukuhara, M. Shirai and T. Katsuyama, IEICE Trans. Electron E77C 1420 1994; K. Hiruma, et al, “Self-organised growth on GaAs/InAs heterostructure nanocylinders by organometalic vapor phase epitaxy”, J. Crystal grouwth 163, (1996) 226-231)。彼らは薄いAu(金)フィルムをアニールしてシード粒子を形成する手法を用いている。このようにして、彼らは均一なウィスカ幅分布を実現し、かつその平均サイズをAuの層厚およびこの層がナノ粒子に変成する仕方によって制御することができた。この技術では、大きさと表面被覆率とを別個に制御することは困難であり、また被覆率を低くすることは実質的に不可能である。層厚とウィスカの厚さの関係は単純ではない。なぜなら、ウィスカ厚さは成長温度にも依存し、かつAu粒子には温度に依存する平衡サイズが存在する兆候さえあったからである。著者等はまた、走査型トンネル顕微鏡の探針(tip)からデポジットしたAu飛沫の大きさとそれから得られるウィスカの幅との間に強い相関があることを見出した。Lieberら(Y. Cui, L J. Lauhon, M.S. Guduksen, J. F. Wang, and C. M. Lieber, Appl. Phys. Lett. 78, 2214, 2001)によれば、成長させた自由飛翔(free-flying)Siウィスカにおいて、粒子、ウィスカ間に明白なサイズ相関が示された。
【0008】
ウィスカを電子部品に使用するならば、ウィスカの長さに沿って位置する明確な電気的接合(junctions)が存在することが必要であり、その実現に多くの努力がなされてきた(例えばHiruma et al, “Growth and Characterisation of Nanometer-Scale GaAs, AlGaAs and GaAs/InAs Wires” IEICE Trans. Electron., Vol. E77-C, No. 9 September 1994, pp 1420-1424を参照)。しかし、多くの改良が必要である。
【0009】
カーボンナノチューブ(CNT)に関しても多くの研究がなされている。進展はあるものの、CNTの伝導性タイプの制御ができないこと、および制御された1D(1次元)ヘテロ構造の生成ができないことにより、研究は頓挫している。半導体性CNTのドープ(PN)接合(Derycke et al, Nano Ltters, 2001, 1,453)およびCNTと半導体(SiおよびSiC)ナノウィスカとの間の移行(Hu et al, Nature 1999, 399, 48)と同様にCNTの金属性の部分と半導体性の部分の間のキンク(kink)としてランダムに形成されるインターフェイスがつきとめられ、研究されている。
【0010】
別の開発動向においては、テキサスインスツルメンツ(Texas Instruments)のRandall、Reedおよび協力者たちによって開拓されたものであるトップダウン法により1Dデバイスを製造する試みが1980年代終わりからなされてきている(M.A. Reed et al., Phys. Rev. Lett. 60, 535(1988))。この種の量子デバイスにおいては今なお最先端技術である彼らのトップダウン方式は、2つの障壁(barrier)とその中心の量子井戸を規定する複数層のエピタキシャル成長に基づくものである。その後、電子線リソグラフィーを用いて横閉じこめパターン(lateral confinement pattern)を形成し、加えて金属層のデポジットにより上部接点を形成する。そしてリフトオフプロセスを用いて電子ビーム感受性のレジストを表面から除去し、かつまた、反応性イオンエッチングにより目的とする細いコラム(柱状体)の周りのすべての物質を除去する。最後に基板を介して、および上部からポリイミド層を用いてデバイスに接触する。このボトムアップ法により作製されたデバイスの研究において、直径100乃至200nmのコラムが認められているが、電気的特性はどちらかといえば期待はずれのものであり、山−谷電流比(peak-to-valley currents)は高々1.1:1程度である。微小共鳴トンネル素子を実現するまた別のアプローチが更に最近になって報告されており、これは自己組織化量子ドットの歪み誘起生成(strain-induced formation)を用いたものである(I.E. Itskevich et al,. Phys. Rev. B 54, 16401 (1996); M. Narihiro, G Yusa, Y. Nakamura, T. Noda, H. Sakaki, Appl. Phys. Lett. 70, 105 (1996); M. Borgstrom et al,. Appl. Phys. Lett. 78, 3232 (2001))。
【0011】
(発明の概要)
本発明はナノウィスカや一次元半導体ナノ結晶であって、例えばヒ化インジウムのウィスカがリン化インジウムのセグメントを含む場合のようにウィスカの諸セグメントが異なる組成を有するナノウィスカや一次元半導体ナノ結晶の生成方法を包含し、該方法において、はっきり明確な(abrupt)境界および単層数個分から数百ナノメートルまでの厚さのヘテロ構造障壁の形成を許容し、それにより電子がそれに沿って移動可能な1次元ランドスケイプを生成するような成長条件とする。好適な化学ビームエピタキシー法(CBE)において、急速に交互交代する組成を、前駆物質原子を基板およびシード粒子共融メルト内に、超高真空チャンバ内に供給される分子ビームとして与えることにより制御する。異なる組成の急速な切り替えを、成長を停止するかあるいは少なくとも微々たる量まで低下させ、また成長のための過飽和状態を再確立するというシーケンスによってなすものであり、少なくとも組成の変更と過飽和はいかなる感知可能な成長よりも速く変化する。ウィスカ物質のはっきり明確な移行により、格子不整合に起因する応力や歪みはウィスカの径方向外向きの膨張または少なくとも接合部付近の格子面内の原子の横方向移動によって調整される。
【0012】
更に、本発明は結晶基板上で成長する大きさを選定したエピタキシャルナノウィスカの合成技術を包含する。触媒として大きさを選定した金エアロゾル粒子を用い、これにより表面被覆率をウィスカ径とは完全に独立して変化させることを可能とする。ウィスカはロッド形状であり、10乃至50nmの均一な径を有する。該径は触媒シードの大きさに相関する。エアロゾル粒子のナノ操作を用いることにより、個々のナノウィスカを制御された方法で基板の特定の位置にナノメートルレベルの精度で凝集させることができる。本発明の方法では、ナノ粒子を選択することにより幅の制御性を向上させる。ナノ粒子は基板上のエアロゾルまたは液体合金としてよい。該粒子は基板上に四角形に形成された金から出発して溶融によって正確な径のボールとなすことによって形成してもよい。シード粒子としては金に代わって他の物質、例えばゲルマニウムを用いてもよい。
【0013】
多くの応用例において実質的に一定の径を有するナノウィスカとすることが望ましいが、ウィスカの形その他の属性をウィスカ生成中にIII族物質例えばGaの拡散定数(拡散係数)を選択的に変更することによって変えてもよい。これは以下によって可能である。
・プロセスの温度を低下させる−この場合自由端に向かってテーパのついたウィスカが生成される。
・V族物質の圧力を増加させる。
・III族およびV族物質両方の圧力を増加させる。
【0014】
より詳しくは、本発明はナノウィスカを生成する方法であって、基板上にシード粒子を付着(deposit)させ、シード粒子のメルトを生成するように温度および圧力条件を制御しながら該シード粒子を物質にさらし、それによりシード粒子メルトがコラム(柱状体)の頂上で上昇してナノウィスカを生成し、該ナノウィスカコラムはナノメートル寸法の径を有し、コラムの成長中に、前記物質の組成を変更し、それによってエピタキシャル成長を維持しながらコラム物質の組成を急激に変化させ、その長さに沿って少なくとも第1および第2の半導体セグメント長を有するコラムを形成し、該第1の半導体セグメントは第2の半導体セグメントと異なるバンドギャップを有する物質からなるような方法を提供するものである。
【0015】
III/V族ナノウィスカにおける異なる半導体物質の設計セグメントのボトムアップ型組織化によって、機能的1D(1次元)共鳴トンネルダイオードやその他の部品および構造が作られている。また、ナノウィスカからなる電子部品および光学部品であって、ナノウィスカの長さ方向セグメントが異なる物質からなりウィスカ内の異なるバンドギャップの物質の間に明確な接合を形成するヘテロ構造として単一の結晶生成により作製された、所望の機能を有する部品が製造されている。
【0016】
即ち本発明は、概括的に言って、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有し、該コラムはその長さ方向に配置された異なる物質組成の複数の長さセグメントを有し、該セグメントはナノウィスカコラムの所定長さに渡って延在する隣接するセグメント間の所定の径方向に沿った境界を有し、部品が所望の機能を実現できるようにすべく、該境界における所望のバンドギャップ変化を付与するような、ヘテロ構造電子部品または光学部品を提供する。
【0017】
本発明は、一つの概括的態様において、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなる電子部品または光学部品であって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる物質の少なくとも第1および第2の長さセグメントからなり、該第1および第2のセグメントはその間にエピタキシャル組成のはっきりした境界を有し、該境界における格子不整合が該境界におけるナノウィスカの径方向外向きの膨張によって調整されるような部品を提供する。
【0018】
本発明は、他の概括的態様において、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなる電子部品または光学部品であって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる物質の少なくとも第1および第2の長さセグメントからなり、該第1および第2のセグメントはその間にエピタキシャル組成のはっきりした径方向に沿った境界を有し、第1および第2のセグメントの異なる物質組成間の移行が径方向に沿った格子面の8個分以下の軸方向距離において生ずるような部品を提供する。好適には第1および第2のセグメントの組成の移行は格子面6個分以下の軸方向距離で生じ、さらに好適には格子面5個分以下、さらに好適には格子面4個分以下、さらに好適には格子面3個分以下、さらに好適には格子面2個分以下、そして最適には格子面1個分以下で生ずる。
【0019】
本発明は、また別の態様において、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなる電子部品または光学部品であって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる物質の少なくとも第1および第2の長さセグメントからなり、該第1のセグメントはA1−xBxという形式の化学量論的組成を有し、該第2のセグメントはA1−yByという化学量論的組成を有し、ここでA、Bは選択された元素であり、x、yは変数であり、第1および第2のセグメントの境界に位置するエピタキシャル組成境界は径方向に沿った格子面の所定数分に渡って変数xから変数yへの所定の漸進的変化を示すような部品を提供する。類似の実施形態において、本発明のナノウィスカの第1および第2の組成はそれぞれA1−xBxC、A1−yByCで表され、ここでAおよびBは周期律表内の一つの族、例えばIII族の元素を表し、Cは周期律表の他の族の元素、例えばV族の元素を表す。変数x、yは0と1の間の値とすることができ、その範囲内で異なる数字である。このようなウィスカはその長さ方向に沿って組成の変化しうる化合物半導体から形成され、ヘテロ接合を含んでいる。このような化合物半導体の一例としては、AlxGa1−xAsがある。本発明のナノウィスカは例えば2つの長さ方向セグメントを有し、第1のセグメントの組成をAlxGa1−xAsとし、変数xを0と1の間の所与の値とし、第2のセグメントの組成をAlyGa1−yAsとして変数yはxとは異なる第2の値とすることしてもよい。2つのセグメント間には組成が第1のセグメントの組成から第2のセグメントの組成へと連続的に変化する、言い換えると変数xが連続的にそして通常単調に変数yの値へと変化するような界面が存在する。即ち、この界面はヘテロ接合を構成する。後に詳しく説明するが、ウィスカの成長条件を制御することにより、この移行を径方向に沿った格子面の所定数分に渡って生じさせるようにすることができる。更に、成長条件を周期的に調節してナノウィスカの長さに沿ってこのようなヘテロ接合を複数作り出すことができる。
【0020】
本発明によりナノウィスカの径をナノウィスカの長さ沿って実質的に一定とするように、あるいはテーパ形状を制御するなどの決められた変化を持たせるよう制御される。これにより、ナノウィスカの電気的パラメータの精度が保証される。テーパを制御することはナノウィスカの長さに沿って電圧勾配を生じさせることと等価である。径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を生ずるほど小さくしてもよい。径を正確に制御しても、製造方法に依存する径の微小な変化は生ずる。特にエピタキシャル構造における格子不整合を調整するために、組成境界においてナノウィスカの径方向外向きの膨張が生ずる。また、格子寸法の違いにより、あるセグメントの径は組成の異なる他のセグメントの径とわずかに異なる場合がある。
【0021】
本発明によれば、ナノウィスカの径は好適にはおよそ500nm以下、より好適にはおよそ100nm以下、更に好適にはおよそ50nm以下である。更に、本発明のナノウィスカの径はおよそ20nm以下、またはおよそ10nm以下、またはおよそ5nm以下の範囲にあることが好ましい。
【0022】
ナノウィスカ生成の精度により、量子閉じこめ効果を利用するデバイス、特に共鳴トンネルダイオードの製造が可能となる。これにより、エミッタ、コレクタ、中央量子ドットがInAsで、障壁物質がInPのRTDが開発されている。山−谷比が50:1の理想的共鳴トンネル反応が低温で確認された。
【0023】
本発明はある態様において、共鳴トンネルダイオードであって、ナノメートル寸法の径のコラムを有する量子閉じこめ効果を示すナノウィスカを有し、該コラムはその長さに沿ってエミッタおよびコレクタをそれぞれ構成する第1および第2の半導体長さセグメントと、該第1および第2の半導体セグメントの間に配設され第1および第2の半導体セグメントとは異なるバンドギャップを有する物質の第3および第4の長さセグメントと、第3および第4半導体セグメントの間に配設され第3および第4のセグメントとは異なるバンドギャップを有する半導体物質からなり量子井戸を形成する第5の中央長さセグメントとを有する共鳴トンネルダイオードを提供する。
【0024】
ナノウィスカから作られる電気的または光学的部品の問題点のひとつは、ナノウィスカへの効率的な電気的接点を設けることにある。
【0025】
一つの方法では、機械的なプロセスでナノウィスカを基板からそぎ取り、そのナノウィスカを別の基板上に横たえて置く。そして金属化されたボンディングパッドをナノウィスカの両端部に形成するか、あるいはまたナノウィスカを操作して予め作製した接点パッド上に設置することもできる。
【0026】
量産により適した別の方法では、ナノウィスカの基部側端部を電気的接点上に形成し、ナノウィスカを基板上に置いたままとする。生成後に、ナノウィスカを樹脂またはガラス材に封入してもよく、その後に封入物の表面にナノウィスカの自由端部に接触するように接点パッドを形成してもよい。この過程を補助するために、ナノウィスカ形成の終了近くに付加的な導電性物質を触媒粒子メルトに注入し、ボンディングパッドとの電気的接触を改善してもよい。
【0027】
その他の特定の要素は添付の特許請求の範囲および以下の説明において述べる。これらは特にヘテロバイポーラトランジスタ、発光ダイオード、フォトディテクタを包含している。
【0028】
発光ダイオードは本発明に適している。なぜなら発光ダイオードをUV、可視、赤外領域に渡る連続的な波長範囲から任意に選択された発光波長を有するように構成することができるからである。
【0029】
本発明は量子閉じこめ効果を示すようなナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなる発光ダイオードであって、該コラムはその長さにそって順に、それぞれエミッタ、量子井戸活性セグメントおよびコレクタである第1、第2および第3の半導体長さ方向セグメントを有し、前記第2の半導体長さ方向セグメントは第1および第2半導体長さ方向セグメントのバンドギャップとは異なるバンドギャップを有しかつ発光ダイオードの活性領域を形成する発光ダイオードを提供する。
【0030】
発光ダイオードの特別な用途の一つは、単一光子の発生である。これは様々な応用において有用であり、特に量子暗号において有用である。量子暗号では光子ストリームの権限のない傍受は、量子理論に従って光子の破壊または変化を引き起こし、伝達される信号の劣化を生じさせる(P. Michler, A. Imamoglu, M. D. Mason, P.J. Carson, G. F. Strouse, S. K. Buratto, Nature 406, 968 (2000); C. Santori, M. Pelton, G. Solomon, Y. Dale, Y. Yamamoto, Phys. Rev. Lett. 86, 1502 (2001)を参照)。
【0031】
本発明は1次元ナノ要素からなる単一光子光源であって、その長さに沿って量子井戸を形成するほど十分小さい光学的活性物質部分を有し、量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、使用時には量子井戸が一度に一つの光子を発することが可能である単一光子光源を提供する。
【0032】
本発明による光源の他の形態は遠赤外線を越えるテラヘルツ放射用に設計されている。ルーセントテクノロジーズ(Lucent Technologies)のカパソ(Cappaso)らが開発した超格子について多くの研究がなされている。彼らの「量子カスケード」レーザーはInGaAs/InAlAs/InPヘテロ構造におけるサブバンド間の光子放出を利用しており、波長17ミクロンまでの室温での(パルスモード)動作を達成している。例えばIEEE Spectrum July 2002, pp. 23,24,"Using Unusable Frequencies" and F. Capasso, C. Gmachl, D. L. Sivco, and a. Y. Cho, "Quantum cascade lasers" Physics Today, May 2000, pp. 34-39を参照されたい。
【0033】
本発明は、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなり、該コラムは交互に重ねられた第1のバンドギャップの半導体の複数の層と第2のバンドギャップの物質の複数の層とを含んで超格子を形成し、その寸法はテラヘルツ放射を放出するような波数ベクトルで電子が移動するようなものであるテラヘルツ放射源を提供する。
【0034】
本発明による要素、構造、プロセスにおいて、基板から互いに並行に延在する多数のナノウィスカのアレイを形成してもよい。そのようなアレイを形成する様々な方法がある。例えば基板上にエアロゾル粒子のアレイを配置して触媒シード粒子を供給する方法、コロイド溶液から基板上に粒子をデポジットする方法、基板上にナノインプリントリソグラフィ(NIL)(または電子ビーム、UV、X線などの他のリソグラフィプロセス)により所定の形状(四角その他)および厚さの領域のアレイを形成し、それを加熱するとナノウィスカ成長プロセスを進行させるような所望の体積のボールが形成されるようにする方法などがある。
【0035】
このようなアレイは以下にすべて説明するように、フォトニック結晶、多数のフォトディテクタからなる太陽電池、電界放出ディスプレイ(FED)、赤外像を可視光像に変換するコンバータとして用いることができる。
【0036】
本発明のプロセスにおいて、多くのナノウィスカのアレイを用いて、シリコンなどの安価な物質のウエハ基板上にエピタキシャル物質の層を形成してもよい。この分野において、チップを形成できる高価なIII−V族物質の単結晶ウエハの製造は長い間課題であった。シリコンウエハ基板上に単結晶層を形成する研究が数多くなされてきた(例えばWO01/01648参照)。しかし更なる改良が求められている。
【0037】
本発明はその上にエピタキシャル成長を阻害するマスク物質、例えばSiO2またはSi3N4などを成長させたシリコン(珪素)または他の物質の基板を提供する。NILプロセスなどによりマスク物質上にナノメートル寸法の開口アレイを形成し、該開口内に触媒シード形成物質をデポジットする。別の方法としては、基板にシード形成物質のアレイをデポジットし、その後マスク物質の層を基板およびシード粒子領域にデポジットする。加熱することによってシード粒子領域を溶融してシード粒子を生成し、その後所望のIII−V族物質またはその他の物質のナノウィスカの成長を開始する。ナノウィスカの成長後、物質の連続単一層が形成されるまでウィスカを核生成中心として所望の物質の成長を継続する。物質は単一結晶エピタキシャルである。好適にはナノウィスカの端部のシード粒子メルトを適宜の機会に除去して、エピタキシャル層の汚染を防止する。
【0038】
一変形例においては、ナノウィスカの成長に先立って、シード粒子メルトを核生成点として用いてエピタキシャル層のマス成長(mass growth)を行う。該成長の間、シード粒子の下はまだ液相状態である。
【0039】
また別の変形例では、シリコン基板の上面に微小なV溝を形成する、これは例えば<100>基板における<111>エッチングである。シード粒子形成領域をV溝の表面に形成し、これによりナノウィスカは基板に対してある角度で成長し、溝において互いに交差する。これによりナノウィスカ核生成中心からのエピタキシャル層の成長がより効率的になる。また、異なる成長層のドメイン領域間の結晶粒界が防止できる。これは従来プロセスにおいて問題となっていたものである。
【0040】
かくして本発明はその更なる態様において、所望の物質のエピタキシャル層を異なる物質の基板上に形成する方法であって、基板上にある配置のシード粒子物質領域を形成し、シード粒子領域のまわりにマスク物質の層を形成し、前記所望物質のシード粒子領域からナノウィスカを成長させ、ナノウィスカを成長サイトとして用いて前記所望物質の成長を継続し、それによって前記基板上に広がる前記所望物質のエピタキシャル層の形成を継続する方法を提供する。
【0041】
本発明の別の態様では、通常のナノウィスカの<111>方向とは異なる<100>方向に延びるIII−V族ナノウィスカを形成するプロセスを開発した。これには重要な応用用途があり、特に窒化物物質に適している。窒化物物質は<111>方向に成長する傾向があるが、閃亜鉛鉱型とウルツ鉱型とが交互となるため多くの積層欠陥を有する。
【0042】
本発明はナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備し、その上面上にある配置のシード粒子を形成し、基板から当初<111>方向に延びるナノウィスカを前記シード粒子から成長させ、ナノウィスカの成長方向を<100>方向に変更するように前記ナノウィスカ内に障壁物質の短いセグメントを形成する方法を提供する。
【0043】
本発明はまた別の態様において、ナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備し、その上面上にある配置のシード粒子を形成し、基板から当初<111>方向に延びるナノウィスカを前記シード粒子から成長させ、ナノウィスカの成長方向を<100>方向に変更するように前記ナノウィスカの成長条件を変更する方法を提供する。
【0044】
本発明はまたMEMSデバイス、即ちマイクロメカニカルデバイスに用いられる1次元ナノ要素に関するものでもある。
【0045】
一つの態様において、例えばシリコンの基板は一面上に形成された電気的接点領域のマトリックスを有する。それぞれの接点領域に、例えば金の触媒粒子から一つまたは複数のナノウィスカを、基板表面から直立するように生成する。従って、各ナノウィスカあるいは一群のナノウィスカは電気信号によって個々にアドレス可能である。このような構造は神経の末端、場合によっては眼の網膜内の神経の末端に接触させることができ、電極を励起して神経を機能させる修復または人工機能を提供する。このように、例えば眼の網膜に適用した場合、この構造によりある種の盲目を克服することができる。
【0046】
別の態様は神経電極その他の用途で機能することのできるナノウィスカを提供する。このナノウィスカはシリコンまたは金属から形成され、それらは酸化されていてもよく、ウィスカを酸化してその長さに沿って酸化物の層を形成する。しかし、ウィスカ端部の粒子メルトは金その他の酸化不能な物質を含み酸素を含まない状態を維持し、従って電気的接点の形成に用いることができる。この構成はその長さに沿って露出した導電物質を有するナノウィスカよりも精度の高い電気的特性をもたらし、このようなナノウィスカは神経電極やナノウィスカのキャパシタンスが重要となるデバイスに用いることができる。別の例では他の物質を外側の層として、例えばバンドギャップのより高いシェルとして用いてもよい。例えばウィスカがヒ化ガリウムであるなら、外側層はリン化ガリウムとしてよい。
【0047】
ナノ構造の重要な用途の一つはマイクロメカニカル・カンチレバービーム(片持ち梁)である。これは一端で固定されたビームが空間に突出し、外力、即ち例えば電気的な力、または重量による力、または外物による力、または化学的な力によってカンチレバービームに曲げを生じさせる力を受けるものである。この曲げを例えば該構造の電気的キャパシタンスの変化によって検知する。
【0048】
本発明のまた別の態様では、一つまたは複数のナノウィスカがカンチレバーまたは平行なカンチレバーの列として形成されたカンチレバーアレイをなすものを提供し、該ナノウィスカは本発明の上記の態様に従ってその長さに沿って酸化されていても、また酸化されていなくてもよい。このような構成は大きさの序列、またはエッチング加工でビームを作製する従来の構成よりも高い感度を実現する。
【0049】
このようなカンチレバーの一つの用途として、ウィスカがある有機分子または生体物質に感応性を持つコーティングを有する物質から形成され分子がカンチレバービームに接触するとある化学的反応を生ずるような場合に適用される。これによりカンチレバービームにある応力が生じ、ビームに曲げを引き起こす。これを光学的または電気的モニタにより検知することができる。
【0050】
また別の具体的態様では、ナノウィスカが基板上に形成され、実質的に絶縁性の物質層の開口内に突出する。絶縁層の上面上には導電性物質が形成されている、この導電性物質の基板からの高さはナノウィスカの先端と大体同じである。ナノウィスカ上には導電性のシード粒子メルトが置かれている。導電性物質を適宜に励起することにより、ナノウィスカを例えばギガヘルツ域のある固有振動数で開口内において機械的に振動させることができる。一つの振動周期の間に一つの電子が一方の側の導電物質から他方の側へとシード粒子メルトを介して搬送される。これは電流基準発生器を構成し、導電物質を流れる電流Iは振動周波数と電子の電荷eとの積に等しい。即ちI=f・eとなる。
【0051】
ウィスカにある種の分子を引きつける感応性を与えれば、ウィスカ上への分子の付着によりウィスカの慣性特性が変化し、それによって固有振動数が変化する。導電物質を電気的に励起することによりこれを検出ことができる。この方法を用いて分子の重量を極めて正確に計算することができる。
【0052】
ここで、添付の図面を用いて、単なる例としての本発明の好適な実施の形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
ここで本発明によるナノウィスカを製造する方法を説明する。以下で明らかにされるように、この方法は以下に説明する共鳴トンネルダイオードその他の電子部品および/または光学部品の製造に適している。
【0054】
ウィスカは異方性の強い構造であり、結晶表面上の溶融金属小滴(これは意図されたものではない汚染物質として入り込むことが多い)によって空間的な触媒作用を受ける。触媒、即ちシード粒子としては、一般的には金が用いられる。これは金が半導体物質即ちSi、GaやInといった構成物質と共融合金を形成するからである。これらの共融合金の融点はSiおよびIII−V族物質の通常の成長温度よりも低い。溶融金属小滴は極小液相エピタキシー系(miniature, liquid phase, epitaxy system)として作用し、この系では先駆物質が蒸気として、すなわち本件の場合真空中の分子ビームとして供給される。この成長は通常気相−液相−固相成長と呼ばれる。半導体ナノウィスカの電気的および光学的特性は基本的にその結晶構造、形態および大きさによって決まる。特にウィスカの幅における小さな変化は、量子閉じこめ効果によって、エネルギー状態の分離の少なからぬ変化を引き起こす場合がある。従って、ウィスカの幅を自由に任意に選択できることが重要であり、また、ウィスカの長さを延長した場合にも幅を一定に保つことができることが同じく重要である。ウィスカ技術と現在の半導体素子技術との融合を可能にするためには、このことがウィスカを基板上の選択された位置に配置することの可能性と共に必要となってくる。
【0055】
本発明により、結晶基板上に成長する大きさの選択されたエピタキシャルナノウィスカの合成手法が開発された。図3はこの技術で使用される以下に説明する化学ビームエピタキシー装置を図式的に示している。
【0056】
化学ビームエピタキシー(CBE)は分子ビームエピタキシー(MBE)のようなビームエピタキシー手法と有機金属化学蒸着(MOCVD)のような化学ソースの使用とを結びつけたものである。MOCVDや関連するレーザーアブレイション手法においては、リアクター内の圧力は通常10ミリバール以上であり、かつ気体反応物は粘性を有している、即ち比較的高い流れ抵抗を有する。化学物質は基板表面に拡散によって到達する。CBEにより圧力は10−4ミリバール以下に低減され、拡散物の平均自由行程はソース導入口から基板までの距離よりも長くなる。輸送中の衝突はなくなり、輸送は分子ビームとして行われる。このCBEシステムにおけるガス拡散の排除は、基板表面における流れの応答が早いことを意味し、これにより原子的に境界のはっきりした境界面(atomically abrupt interfaces)が自動的に成長する。
【0057】
図3に示すCBE装置はUHV(超高真空)成長チャンバ1001を示し、サンプル1021がヒーター1061に接続された金属サンプルホルダー1041上に設置されている。チャンバの周りにはクライオシュラウド(cryoshroud:低温覆い)と呼ばれる液体窒素で満たされたリング1081が設けられている。クライオシュラウドは衝突しないまたは脱着されない種(species)を基板表面からポンプ排出する。クライオシュラウドは成長表面層の汚染を防止し、メモリー効果を低減する。また、真空ポンプ1101が設けられる。
【0058】
CBEのソース1121は液相であり、これらソースはチャンバより圧力の高いボトルに収容されている。通常ソースはTMGa、TEGa、TMIn、TBAs、TBPである。ボトルは低温浴中に保存され、液体ソースの温度を制御することによって液体上の蒸気の分圧を制御する。この蒸気は複合パイプ1141を介して成長チャンバ内に供給され、成長チャンバの直前のパイプ終端部においてソース注入器1161に供給される。ソース注入器は気体ソースを成長チャンバ1001内に注入するものであり、かつ安定した均一な強度の分子ビームを生成するものである。有機金属化合物TMIn(トリメチルインジウム)またはTMGa(トリメチルガリウム)またはTEGa(トリエチルガリウム)に由来するIII族物質は、低温注入器によって注入して成長種(growth species)の凝縮を防止する。それらの物質は基板表面で分解する。V族物質は有機金属化合物TBAs(第3ブチルアルシン)またはTBP(第3ブチルホスフィン)によって供給される。III族物質の分解とは異なり、V族物質は成長チャンバに注入される前に、高い温度で注入器1161内において分解される。これらの注入器1161はクラッキングセル(cracking cell)と呼ばれ、温度は900℃程度に保たれる。ソースビームは加熱された基板表面に直接入射する。分子は基板表面から十分な熱エネルギーを得て、III族原子を表面上に残してすべてその3つのアルキルラジカルに分離するか、または分子は未分離または部分的に分離した形態で脱着される。これらプロセスのうちのどちらが優勢となるかは、基板の温度と基板表面への分子の到達速度(arrival rate)に依存する。比較的高い温度では成長速度は供給によって律速され、また比較的低い温度ではサイトをブロックするアルキル脱着によって律速される。
【0059】
この化学ビームエピタキシー法によりナノウィスカ内にヘテロ接合を形成することができ、このヘテロ接合は、少数の原子層の間で一つの物質から他の物質に急激に移行するという意味において境界がはっきりしている。
【0060】
本明細書においては「原子的に境界のはっきりしたヘテロ接合(atomically abrupt heterojunction)」とは、2層以下の原子単層の間に生ずる一つの物質から他の物質に移行であって、該一つの物質はその2つの単層の一方の側において少なくとも90%以上の純度を有し、該他の物質は該2つの単層の他方の側において少なくとも90%以上の純度を有することを意味するものとする。このような「原子的に境界のはっきりしたヘテロ接合」は、一連のヘテロ接合およびそれに関連する量子井戸を有する電子部品において量子井戸を境界づけるヘテロ接合の作製を可能とするに十分な明確な境界を持つ。
【0061】
本明細書において、「シャープなヘテロ接合(sharp heterojunction)」とは、5層以下の原子単層の間に生ずる一つの物質から他の物質に移行であって、該一つの物質はその5つの単層の一方の側において90%以上の純度を有し、該他の物質は該5つの単層の他方の側において90%以上の純度を有することを意味するものとする。このような「シャープなヘテロ接合」は、ナノ要素内に一つまたは一連のヘテロ接合を有し、該ヘテロ接合を正確に境界づける必要のある電子部品の作製を可能とするに十分なシャープさを持つ。このような「シャープなヘテロ接合」はまた量子効果を利用した多くの部品用としても十分にシャープである。
【0062】
一つの例として、本発明のナノウィスカにおいて用いられる化合物ABにおいて、Aは第1群から選択した一つ以上の元素を、Bは第2群から選択した一つ以上の元素を表し、選択された第1群の元素と選択された第2群の元素との総比率は、所望の性質を持つように設計された半導体化合物を構成するようにあらかじめ決められる。各群において選択した元素の総比率がその所定比率の90%以上であるとき、該化合物ABは90%の純度を持つと考えられる。
【0063】
例1
図1および3はいくつかのIII−V族物質から成長させた所定サイズのウィスカを示しており、詳しくは幅が10nmから50nmの間のGaAsウィスカである。前に報告されているエピタキシャル成長によるナノウィスカは下部から頂上に向かって狭まるテーパ形状となる傾向があるが、それとは異なり、ここに示したウィスカは、均一な径でロッド状に成長させることができる。触媒としてはサイズを選定した金エアロゾル粒子を用い、それによって表面被覆率をウィスカ径とは独立して変化させることができる。
【0064】
ウィスカ幅は概してシード粒子の径よりもわずかに大きい。これは主に2つの要因による。即ち第1に、金粒子には基板からGaおよび場合によってはAsが取り込まれ、これによって粒子が成長する。第2に、粒子が溶融すると液体キャップの径は合金と基板表面との間のぬれ角によって決まる。単純な仮定で、温度・粒径によっては拡大は50%までになり、粒径とウィスカ幅の間に再現可能な相関関係が導かれる。
【0065】
GaAs<111>B基板10を用い、これをエアロゾルデポジットに先立ってHCL:H2O,1:10内でエッチングして自然酸化物および表面汚染物を除去した。選択されたサイズのAu粒子12を超高純度N2雰囲気のグローブボックス14内に局在的に設置されたエアロゾル設備により生成する。粒子は温度1750℃において蒸発凝縮法(evaporation/condensation method)によりチューブ炉16内に生成され、18においてUV光によって帯電される。粒子は微分型電気移動度分級装置DMA20によりサイズ選択される。DMAは帯電したエアロゾル粒子の空気抵抗を電場内におけるその粒子移動度に対して釣り合わせることにより、粒子サイズを分級する。サイズ分級後、緻密化および球形化するために、粒子を600℃に加熱した。このような設定により、平均粒径からの標準偏差が5%より小さい狭い大きさ分布を有するエアロゾル流れが得られる。粒子はまだ帯電しているので、電場Eにより基板10上にデポジットされた。粒径が10乃至50nmの範囲のサイズ選択されたエアロゾル粒子をウィスカ成長に用いた。
【0066】
エアロゾルデポジット後、いくつかのサンプルをグローブボックス内に設置されエアロゾル形成装置と連結されたTopometrix社製のAFM(原子間力顕微鏡)であるExplorer24に搬入した。これにより、これらサンプルはデポジットおよび操作段階の間、サブppm程度のH2OおよびO2にさらされるのみとなった。AFM探針(tip)を用いて粒子12を選択して所定の配置に設定し、個々のシード粒子の位置決めを完全に制御した。
【0067】
配列されたまたはデポジットされたままのAuエアロゾル粒子12を有するGaAs基板10を化学ビームエピタキシーCBEチャンバに搬入した。あるCBE配置において、GaAs成長は真空/分子ビーム条件下で有機金属ソース、即ちこの場合トリエチルガリウムTEGおよび第3ブチルアルシンTBAによって生ずる。TBAは熱的に予め主にAs2分子に分解される(pre-cracked)のに対し、TEGは通常基板表面に衝突後に分解する。一般的に成長はAs2がやや圧力超過した状態で行われ、これは成長速度がGa流量によって決定されることを意味する。成長の直前に基板をAs2ビームにさらしながらヒーターにより600℃まで5分間加熱した。この工程で、Au小滴はGaAsの構成元素と合金を形成することができ、そのためAu粒子はいくつかのGaを基板から吸着する。このAu/Ga合金は339℃において生成する。この工程は脱酸素工程としても作用し、グローブボックスシステムへの出し入れの際に作られた新たな自然酸化物層を除去する。酸化物は590℃において揮発すると考えられるが、常にそうであるわけではない。酸化物の揮発を高速反射電子回折装置RHEEDによって行うこともできる。搬送が成功すると、結晶性の再構築された面を示唆するすじ状の回折パターンを500℃以下の温度ですでに観察することができる。しかし、酸化物は590℃まで安定したままであることも多く、630℃までという場合もある。ウィスカ成長は基板温度500℃〜560℃の間で、TEG圧力0.5ミリバール、TBA圧力2.0ミリバールで行った。成長後にサンプルを走査型および透過型電子顕微鏡SEM、TEMにより調べた。
【0068】
得られたウィスカはロッド状で、長さに多少のばらつきはあるが、極めて均一な大きさであった。大きさの均一性は明らかに表面酸化物の揮発に依存する。RHEEDの場合に見られるように酸化物が甚だしいサンプルの場合は大きさの均一性が劣化した。したがって、再現可能な結果を得るためには酸素の存在しない環境が望ましい。蒸気の成長温度においては、粒子サイズにかかわらずウィスカのテーパ(先細り)は見られなかった。しかし500℃以下で成長したウィスカについてはテーパの兆候が見られた。温度に依存するロッド状またはテーパ状のウィスカの成長は、ウィスカの長手軸に平行な面上の触媒作用を受けない成長の存否によって説明される。この向きの最も単純な面は<110>面(facets)である。本実験に近い通常のCBE成長条件では<110>面は移動面(migration surfaces)である。しかし、より低い温度ではGaの拡散定数は低下し、これによって<110>面での成長が始まる。MOCVD成長ではGaの移動長(migration length)は更に小さくなり、これが従来一般的なテーパ状ウィスカとなる理由である。
【0069】
図2(a)は10nmの粒子から成長させた幅10±2nmのウィスカのトラス(truss)についてのTEM画像を示す。ウィスカの相対的低密度性は図2(b)のSEM画像によって解明される。図2(b)のSEM画像は40nmのAuエアロゾル粒子から成長させたGaAsウィスカを有するGaAs<111>B基板についてのものである。図2(c)は高解像度TEMマイクログラフによる幅40nmの単一ウィスカを示す。成長方向は、他のグループでも見られるように、最密結晶面(close-packed planes)、即ち立方晶閃亜鉛鉱型構造における111面に垂直な方向である。双晶化欠陥および積層欠陥も観察され、そこではウィスカが立方晶と六方晶とを交互に繰り返している。ほとんどのウィスカが不規則なウルツ鉱型構造Wであるが、Au触媒に最も近接した部分は例外的に閃亜鉛鉱型Zである。なお、SFは積層欠陥、Tは双晶面である。中核部における画像コントラストの変化は六角形断面によるものである。
【0070】
このような成長方法は以下に図4乃至6を参照して説明する異なる組成を有するウィスカのセグメントを有するウィスカを生成する方法に用いられる。この方法はInPセグメント含有するInAsウィスカによって例示される。
【0071】
例2
ナノウィスカの成長諸条件は単層数個分の厚さから数百ナノメートルまでの厚さのヘテロ構造障壁および境界のはっきりした界面の生成を可能なものとし、これにより電子がそれに沿って移動可能な1次元ランドスケイプを生成する。結晶完全性、界面品質および格子定数の変動は高解像度透過型電子顕微鏡によって検証され、0.6eVの伝導帯オフセットがInP障壁上における電子の熱励起による電流から生ずる。
【0072】
本方法において、III−V族ウィスカは気相−液相−固相成長モードにより、金ナノ粒子触媒誘起成長で上述したように成長させる。成長は化学ビームエピタキシー(CBE)用に設計された図3の超高真空チャンバ100内で生ずる。組成の急速な交代は先駆物質原子の共融メルト内への供給によって制御し、これは分子ビームとして超高真空チャンバ内に供給する。異なる組成(例えばInAsとInP)の急速な切り替えは、インジウムソース(TMIn)を止めて成長を中断し、その後III族ソースを変更するというシーケンスによって得られる。最後に、インジウムソースを再び成長チャンバ内に注入することにより、成長再開の必要条件である過飽和条件を再確立する。
【0073】
界面がはっきりしているという点について、図4はいくつかのInPヘテロ構造障壁を含むInAsウィスカのTEM分析を示す。図4(a)は400kVHRTEM(点解像0.16nm)によって記録された最も上の障壁の高解像度画像を示す。図4(b)はHREMの非2次パワースペクトル(nonquadratic power spectrum)であり、成長方向が立方格子の[001]に沿っていることを示している。反射(reflections)はInAsとInPの格子定数の差に起因する微小な裂け目を示している。図4(c)は逆フーリエ変換を示し、これはInP格子から生ずる200反射の部分上にソフトエッジマスクを使用している。対応するマスクを反射のInAs部分上に置いた。2つの像は図4(d)のように重ねられた。
【0074】
図5(a)はInAs/InPウィスカのTEM画像を示している。図5(b)における5nm障壁の拡大図はヘテロ構造界面の原子的完全性およびはっきりした境界を示している。厚さ100nmのInP障壁と並べて、ウィスカに沿って移動する電子が経ると考えられるヘテロ構造1Dエネルギーランドスケイプの1Dポワソンシミュレーション(横方向の量子化は、その寄与分が10meV程度にすぎないので無視する)の結果を示している(図5(c))。これは予想される0.6eVの伝導帯(電子がn型物質内を移動する)のバンドオフセット(q1/4B)を与える。この障害物競走のようなポテンシャル構造は均一なInAsウィスカ内で電子が遭遇する状況とは極めて異なっている、後者においてはオームの法則的な性質(即ち電流(I)と電圧(V)との直線的な(リニアな)依存性)が予想されされ、かつ実際に観察される(図5(d)内の線に示される)。このような直線的な性質は厚さ80nmのInP障壁を含むInAsウィスカについて測定された図示のI−V曲線とは非常に対照的である。ウィスカ内に電流を誘起するのに必要とされる1V以上の電圧バイアスにより、きわめて非直線的な性質が観測される。この電場により誘起された(field-induced)トンネル電流は、電子が通り抜けなければならない実効障壁が狭くなるとき、バイアス電圧の増加につれて急峻に増加する。1Dウィスカ内における理想的ヘテロ構造バンド図式が有効なものであるかどうかをテストするため、熱電子励起によるInP障壁に打ち勝つ電子電流の熱依存性を測定した。その結果を図5(e)に示す。ここでは電流(T2で除する)の対数をアレニウスプロット方式で温度の逆数の関数としてプロットしており、バンドベンディング効果や蒸気のトンネルプロセスを最小化するために低バイアス電圧(V)(10mV)で測定している。実験データポイントに沿って描かれた傾斜線から、0.57eVの実効障壁高さ、q1/4B、が導かれ、これはシミュレーションとよく一致する。
【0075】
このアプローチのもう一つの利点は、1Dウィスカ内にヘテロ構造を実現することが、極めて不整合な(highly mismatched)物質の結合に好都合な条件となることであり、これは近傍側からウィスカ形状の開放側表面への有効な応力緩和によってもたらされる。これに対し、孤立化(islanding)またはミスフィット転移(misfit dislocation)が生ずる以前にはInAsとInPのような異なる格子定数の物質間には原子2、3層程しかエピタキシャル成長せず、理想的なヘテロ界面は形成されない。
【0076】
共鳴トンネルダイオードとヘテロバイポーラトランジスタ
本発明はまた、少なくともその好適な実施形態において、III/V族ナノウィスカにおける異なる半導体物質の設計セグメントのボトムアップ組織化によって得られる機能的1D(1次元)共鳴トンネルダイオード(RTD)を含む。このようなRTDは順に、エミッタセグメント、第1障壁セグメント、量子井戸セグメント、第2障壁セグメント、コレクタセグメント、を含む。当業者には公知のように、RTDにおける各障壁セグメントは、トンネリング(通り抜け)に適した条件の時に電荷キャリアの有意な量子トンネリングが可能となる程度に十分薄くなされる。本発明のナノウィスカ内に作製されるRTDでは、ナノウィスカは中央の量子井戸が実質的に量子ドットとなるように十分薄くしてよい。具体的な例では、エミッタ、コレクタ、量子ドットはInAsから、障壁物質はInPから形成してよい。一つの例において、山−谷比が50:1まで達する良好な共鳴トンネル現象が見られた。
【0077】
本発明では、半導体ナノウィスカを用いて1Dヘテロ構造デバイスを作製する。ウィスカは気相−液相−固相成長モードによって成長させ、上記の例1および例2においてより詳しく述べたようにAuエアロゾル粒子をシードとしかつ該粒子によって大きさを制御する。成長は超高真空条件下で化学ビームエピタキシーチャンバ内において行い、その際Au粒子と反応物との間の共融メルトの過飽和がウィスカ成長の推進力として作用する。
【0078】
ウィスカへのヘテロ構造セグメントの導入は以下の切り替えシーケンス(前により詳細に説明した)によって実現される。III族のソースビームをオフにして成長を停止させ、そのすぐ後にV族ソースを変える。ひとたびIII族ソースをチャンバ内に再導入すれば、過飽和が再確立され、成長が続く。以下に述べる例で用いる物質系は、エミッタ、コレクタ、ドットについてはInAs、障壁物質としてはInPであった。エアロゾル粒子は最終的なウィスカ系が40〜50nmとなるように選定した。活性要素として単独のナノウィスカを有する接点を設けた電子デバイスを作製するために、ウィスカを成長基板からSiO2キャップを有するシリコンウエハ上に移送した。該シリコンの上には大きなボンディングパッドが透過型電子顕微鏡(TEM)グリッドマスクを介してAu金属蒸着により前もって形成された。図6(b)はナノワイヤデバイスの走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、ナノワイヤ上に金属電極を位置決めすることにおいて100nm以上の精度を実現しうる、電子線リソグラフィのアライメント能力を示している。図6(d)は一組の単一障壁デバイスにおいてInP障壁の厚さを80nmからゼロまで変化させたときの電流−電圧(I−V)特性を示す。より厚いInPセグメントは電子輸送に対して理想的なトンネル障壁として作用し、障壁を有効に薄くすることによって、サンプルに大きなバイアスが加えられた場合に、この障壁を越える熱励起(測定値およそ0.6eV(23))またはトンネリングのみが可能となる。図6Dより厚いInP障壁を通り抜けて流れる電流はほとんどないことがわかる。より薄い単一障壁を含むサンプル(図2(c)では量子トンネリングが可能であり、電子は厚さおよそ10nm以下の障壁を通過することができる。極限として障壁厚さがゼロの場合には、I−V特性は少なくとも4.2Kまで完全に直線的となる。結晶品質を立証しかつヘテロ界面の明確さ(abruptness)を評価するために高解像度TEM検査を実施した。図7(a)は、<111>InAsナノウィスカにおける厚さ5.5nmのInP障壁の拡大したものであり、(111)面がはっきりと見える。図7(a)の領域の積分プロファイル(integrated profile)から、界面の明確さは1〜3格子間隔分であることがわかった。より軽いバンド(lighter band)における格子フリンジ間の平均間隔は0.344nmであり、InPのd111=0.338とよく一致する。図7(b)は図7(a)の四角で囲んだ領域の1次元的積分プロファイル(one-dimensionally integrated profile)である。画像コントラストの格差から判断して、障壁の幅は5.5nm(16格子間隔)であり、界面の明確さは1〜3格子間隔程度である。界面周囲の屈曲および応力コントラスト(bend and strain contrast)によりバックグラウンドはリニアではない。InPとInAsとの間の格子間隔の差は3.4%であり、これは格子格差の理論値(3.3%)とよく一致する。
【0079】
ヘテロ界面は高品質の量子デバイスを作製するのに十分なほどはっきりしていることがわかったので、二重障壁共鳴トンネルデバイスの実現を期待することができる。障壁厚を5nmに選定した。図8(a)に幅40nmのナノウィスカ内に形成されたこのような二重障壁構造のTEM画像を示す。障壁厚は厚さ15nmのInAs量子ドットのどちらの側でもおよそ5nmである。TEM画像の下(図8(b))にこのデバイスの予想されるエネルギーバンドダイアグラムを示す。長手方向の閉じこめ(Z−方向)はドットの長さによって決まり、横方向の閉じこめ(垂直方向)はウィスカの直径に依存する。このデバイスでは最下位の横方向量子化レベル(transverse quantized level)のみが占有され(5meVのオーダーのスプリット)、示されたフェルミエネルギーが電子で満たされる最上位の占有される長手方向状態を決定する。2つのInP障壁の間に中央量子ドットの完全に量子化されたレベルが示されており、エミッタ領域において同じシーケンスが横方向の量子化レベルについて図式的に示されているが、量子ドットの長手方向の量子化状態とElz=40meVの基底状態の近似的量子化エネルギーとの間のスプリットはより大きい(100meVのオーダー)。バイアスがゼロのときは電流はゼロとなるはずである。これはドットとエミッタの間のエネルギー量子化の差異により、どのエミッタの電子状態も中央ドットの状態と一致することはないからである。バイアスが増加するにつれ、ドットの状態は低エネルギー側へと移動し、最下位ドット状態がフェルミレベルと並んだときに電流が増加しはじめる(ここではフェルミレベルがエミッタ内の2つの最下位状態の間にあると仮定している)。ドット状態が第1のエミッタ状態以下に低下すると、電流は再びゼロに落ち、特徴的な負の差抵抗(negative differential resistance)となる。
【0080】
この1D・DBRTデバイスの電気的特性を図8(c)に示す。この図はこうしたデバイスにおいて予期されるように、ほとんど理想的なI−V特性を示している。このI−V曲線はバイアスが70mV程度より下の場合、電流がゼロであることを示しており、これは電子がエミッタからコレクタへ移動するためには2つの障壁と中央のInAsセグメントを通り抜けなければならないというバイアス条件に対応している。バイアスが約80mVのあたりにI−V特性の鋭いピークが認められ、バイアスの半値幅はおよそ5mVである(共鳴のエネルギーの鋭敏さ(sharpness)に換算すると約1−2meV)。この80mVピークの山−谷比は非常に大きく、およそ50:1であり、検査した他のサンプルにおいても見られた。深い谷の後で電流はおよそ100mVのバイアスの間再び増加し、いくつかの未解決のショルダー形状(unresolved shoulder features)が上昇スロープに見られる。増加するバイアス電圧におけるI−V曲線は減少するバイアス電圧におけるものと一致していることに注目してほしい。これはデバイス特性が再現性の高いものであり、かつヒステリシス効果は無視できるものであることを示している。また、80mVは逆のバイアス極性に対しても同様に出現する。この場合ピークはほんの少し(5mV)ずれるだけであり、デバイス構造の対称性が高いことを示唆している。従って、これらの結果は、半導体ナノワイヤ内部の単一ヘテロ構造障壁の障壁特性および物質についての情報を示しており、これは障壁を越える熱励起のみが可能であるような厚い障壁と障壁を通るトンネリングが支配的な単一のバリア厚さとのギャップを橋渡しするものである。
【0081】
このアプローチにより、高いデバイス品質を有し、エネルギーの鋭敏さ(sharpness)が1meV程度であり、山−谷電流比が50:1である1次元二重障壁共鳴トンネルデバイスを作製した。
【0082】
ここで図9を参照すると、共鳴トンネルダイオードの好適な実施形態が図示されており、このダイオードは2ミクロン離間したコレクタとエミッタの接点42、44の間に延在するナノウィスカ40を有している。ウィスカの第1および第2のInAs部46、48はそれぞれ接点42,44と電気的に接触している。InPの障壁部50、52はInAsの中央量子ドットすなわち中央量子井戸部54をエミッタ部およびコレクタ部から隔てている。部分54の長さはおよそ30nmである。正確な寸法は適切な量子閉じこめを実現するように、バンドギャップ障壁高さ等に基づいて選定する。
【0083】
このダイオードは従来のRTDと同様に動作する。動作理論の説明は例えばFerryとGoldnickによるTransport in Nanostructures, CUP1999, pp94以下を参照されたい。
【0084】
図9のRTDにおいて、セグメント50、52は図10に示すように広いバンドギャップの絶縁物質で置き換えてもよい。図10は絶縁セグメントを有する実施形態を示している。ゲルマニウムウィスカ100は上述したプロセスによって成長させたものであり、シリコンの短いセグメント102を有している。格子不整合はウィスカの径方向外向きの膨張によって調節される。このシリコンドットを熱によって酸化しゲルマニウムウィスカ内に大きな二酸化シリコンスペーサ104を与える。これは極めて安定な大きなバンドギャップオフセットを有する。シリコンの代わりにアルミニウムを用いてもよい。この実施形態は例えば図9の実施形態におけるトンネル効果に用いることができる。
【0085】
図9の実施形態のコレクタおよびエミッタ部分との電気的接点の形成については、別の方法で行うこともできる。図9に示すように、ウィスカを大きな金属化ボンディングパッドを横切って位置決めしてもよい。あるいはまた、ナノウィスカをその位置を適切な走査方法で確かめながら基板上に配置し、その後金属化プロセスによりウィスカの端部上にボンディングパッドを形成してもよい。又別の方法としてはナノウィスカを基板から延在するままにし、そこでナノウィスカがその基部(ベース)において電気接点と接触し、その後ウィスカを樹脂またはガラス材で封入して、更に該封入の上から電極を形成してウィスカ先端との電気的接点を形成する。この後者の方法は他の電機部品や回路との一体化(集積化)に適している。
【0086】
図11乃至14は本発明の一実施形態を開示している。この実施形態はヘテロ接合バイポーラトランジスタ(ヘテロバイポーラトランジスタHBT)からなる。これは異なるバンドギャップ物質が用いられている従来のバイポーラトランジスタとは異なるものである。一例としては、ウィスカ110はGaPのエミッタセグメント112を有してもよく、これはPドープSiのベースセグメント114と結合され、該ベースセグメント114はNドープSiのコレクタセグメント116と連結されたものであってよい。金属化電極118は各セグメント112,114,116と接触する。図12はHBTのバンドギャップダイアグラムである。エミッタのバンドギャップが相対的に広いので、ベースからエミッタへの小電流(minority current flow)は禁じられる。ベースとコレクタの間の空乏領域はドープがP型からN型に徐々に変化していることを特徴とする。また別の例ではベースおよびコレクタを化学量論的組成の3要素または4要素物質から形成してもよく、該組成は多数の格子面、たとえば100乃至1000の格子面を介して徐々に変化し必要とされる空乏領域場をもたらす。組成に伴うエネルギーバンドギャップの変化を、3要素の混合であるAlXGa1−XAsについて図13に示す。
【0087】
図14は様々なIII−V族物質についてバンドギャップエネルギーおよび格子パラメータの変化を示す。本発明のナノウィスカ形成方法により、広く異なった格子パラメータの分子(例えばGaN/AlP)のヘテロエピタキシャル接合が可能であり、格子不整合はウィスカの径方向膨張によって調整されることがわかる。
【0088】
光学部品
図15は1個の光子を射出可能な極小のLEDを図式的に示している。1個の光子の射出は例えば量子写真や分子種内の個々の分子の検出用として重要である。ウィスカ150はヒ化インジウムから作られた内側領域156の両側にリン化インジウムのアノードおよびカソード外側領域152を有し、量子井戸を形成している。領域152はそれぞれ金属化領域158に形成されたアノードおよびカソード電気接点に接続されている。格子整合の必要性および不整合歪み解放の必要性から可能な波長が限られている平面デバイスとは異なり、本実施形態の重要な点はLEDの波長が全般的に可変であるところである。これは所望の射出波長を実現すべく、ダイオードを構成する物質を所望の任意の物質としてよいからである(上に説明した図14を参照)。なぜなら格子不整合はウィスカの径方向外向きの膨張によって調整されるからである。物質は化学量論的組成としてよいので、波長を1.5eVから0.35eVの範囲で連続的に変えられる。1次元構造は従来の層構造に比してかなり少ないプロセスしか必要とせず、また自己組織化プロセスにより生成され、すべての構造が電気接点の間に備わる。レーザー構造が求められる場合は、ファブリ・ペロー裂開面159が適度な離間距離で形成される。別の例では領域159が超格子からなるミラーとして形成される。当業者には公知のように、この超格子はInP/InAsの交互に交代するシーケンスとして形成されてもよく、該シーケンスは格子面数個分のみで交代する。
【0089】
LEDやレーザーその他のマイクロキャビティ構造は窒化ガリウム(GaN)で形成されることが多い。窒化物は多くの利点を有するとはいえ、特に光学的に以下のような問題がある。まず第1に窒化物は転移(dislocations)に満ちていること、第2に適切な基板がないこと(普通に用いられる基板の一つとしてサファイアがある)である。ウィスカは欠陥のない窒化物として作製することができ、基板に対する格子不整合の問題はない。図15に示す構造を有する大きさが300nm以下、好適には100nmオーダーの規則的なFPレーザーを作製することが可能である。これはボトムアップ構造であり、DVDの読みとりおよび書き込みに適している。窒化物系はウィスカ成長には極めて適している。
【0090】
光源射出領域156はおよそ20nm3ほどに小さくすることが可能である。これは点光源の極限的な例を表しており、図16に図式的に示すように個々の生物細胞160を局所的に励起するために用いることができる。光源156は細胞160を励起する近接場162(指数的に減衰する)をもたらす。これは光源と対象との距離が波長の数分の一であるからである。これはDNA配列決定において有用であり、図に示されているように、光源156はガラスキャピラリーチューブ166の溝164に設置することができる。細胞はチューブに沿って流体混合物の一部として光源156を通過して流れる。
【0091】
図17はナノインプリントリソグラフィ(NIL)に適用した本発明の実施形態を示す。この例において、点光源を提供するウィスカ156のアレイ170は電源172から個々にアドレス可能である。該アレイはレジスト物質176の表面上を移動可能なキャリッジ174上に設置されている。キャリッジは20nmステップで移動可能で、各ステップで物質176を近接場光により照明すべく、各ウィスカ156に選択的に通電しレジスト176内に所望の現像可能なパターンを形成する。
【0092】
図18(a)は本発明によるフォトディテクタを示す。例えば、ナノウィスカ180は金属化された接点パッド182の間に延在するものとしてよい。パッド182とウィスカ180の間の接触領域が小さいため、典型的には10KΩ〜100KΩという高い接触抵抗がある。ウィスカはNドープリン化インジウム部分184とPドープリン化インジウム部分186とを有し、その間にP−N接合部188がある。この接合部は境界のはっきりしたものでもよく、あるいは多くの格子面に渡るものでもよい。この構成は波長1.3ミクロン乃至1.55ミクロンの光の検出に適している。図14に示すように所望のどのような組成的「整合」(compositional “match”)を用いてもよく、従って物質を変えて、1.55ミクロン以下のいかなる波長を検出するようにもすることができる。別の例として、PINまたはショットキーダイオード構造を用いてもよい。図18(b)に示すように、PIN構造は2つの半導体部分184および186の間に真性半導体物質セグメント188を有している。ウィスカは図10に関連して説明したもののように構成される。ショットキーダイオード構造は、図18(c)に示すように、金属化接点として形成されたベース部分189を有し、そこからウィスカが延在する。接点とウィスカとの間の界面がショットキーダイオードを構成する。放射検出の周波数の下限は、電磁スペクトルのテラヘルツ領域にある。
【0093】
図19(a)は図18のフォトディテクタ構造の太陽電池への応用を示す。それぞれPドープ部とNドープ部191、192を有する数百万のウィスカ190がドープ(P+)された基板193上に形成される。ウィスカは基板193上に例えばエアロゾルによって付着された金またはその他のナノ粒子を用いた成長過程により形成される。ウィスカはプラスチック194に封入してもよく、またその上面にウィスカの自由端と接触しウィスカの長さに沿って電流が流れることを許容する透明な酸化スズ電極196を有してもよい。各ウィスカの信頼度は100%なので、この構造は光の捕獲に非常に適している。全体的な効率は35%〜50%の間であり、マルチバンドギャップ太陽電池における使用に適している。これに対し、300℃で成長させたアモルファスシリコンの効率は約10%である。結晶シリコンの効率は約15%であり、また400℃で成長させた宇宙空間で用いる特別用途のIII−V属太陽電池の効率は25%までである。宇宙空間で用いるためのグレッツェル太陽電池はソーラーパネルに適当な染料と共に塗布された二酸化チタンナノ粒子を有しており、このような電池の効率は約8%までである。
【0094】
図19(b)に示す変形例においては、太陽電池アレイの各ウィスカを197で示すようにその長さに沿って異なる物質198の異なるセグメントを有するように変形している。これらの物質はP−N接合が異なる波長の光を吸収するように選定している。ウィスカ長さ方向でウィスカの特定の波長に対する感度が最も高くなる点は、太陽電池の正確な構造および該構造内における反射や屈折などの要因によって決まる。
【0095】
図19(a)、19(b)の実施形態は成長条件が安価であり、かつまた高価な物質をほとんど必要としないので安価である。別の構成ではウィスカをシリコン(最も安価)またはゲルマニウムにすることもできる。ウィスカの長さは1乃至2ミクロンである。PN接合はウィスカ長さの一部にドープすることによって、あるいは図18(c)に示すようにウィスカのベース部にショットキー障壁を形成することによって実現する。
【0096】
図20に示す実施形態は、超長波長(例えばテラヘルツ周波数)の赤外放射源である。リン化インジウムのナノウィスカ200はリン化インジウムのスペーサストライプ204によって分離された非常に薄い一連のヒ化インジウムのストライプ202を有している。このストライプは上に説明したプロセスによって成長させる。各ストライプ202、204の幅は格子面数個分であり、ストライプによって超格子206が形成される。電極接点208を通じて電圧を加えることにより、電子は超格子を移動する。超格子は一連の量子井戸バンドギャップ(ポテンシャル井戸)を形成し、これがブロッホの定理により許容される領域の電子波数または運動量kの伝導帯を与え、これらの許容される領域がテラヘルツ周波数に対応することによってテラヘルツ放射を生成する。
【0097】
図21(a)−21(d)はフォトニック結晶としての本発明の実施形態を示す。フォトニック結晶はよく知られており、例えば同時係属中のWO01/77726を参照されたい。概して従来のフォトニック結晶形成方法は基板内に所定の格子パターンでエアホールをエッチングする工程を含んでいる。本実施形態の構想は基板上に結晶格子パターンを規定するためにパターニング技術を用いるというものであるが、ホールをエッチングするのではなく、ナノウィスカを成長させて結晶を規定する。この技術には多くの有利な点がある。なぜならエッチング技術がウィスカを成長させるボトムアップ技術に比べて信頼性が低いからである(エッチングは基板表面を損傷する)。従ってウィスカ技術の方がより高精度、高品質かつ簡単であり、また、必要とする工程数が少ないので経済的である。
【0098】
図21(a)を参照すると、基板210は距離300nmで離間する約300nm2の金の正方形パッチ212の三角形格子パターンを有している。該パッチは電子ビームリソグラフィまたはUVリソグラフィまたはナノインプリントリソグラフィ(NIL)工程により形成されたものである。基板は金をデポジットする前に、酸化物汚染のない清浄な基板としてはじめに用意しておく。基板を加熱して金の四角片を溶融し、図21(b)に示すように直径100nm程度のボール214を形成し、その後アニールする。そして例1で説明したプロセスにより約100nmの幅でウィスカ216を成長させて図21(c)に示すフォトニック結晶を形成する。
【0099】
本発明によれば、ウィスカ形成により3次元フォトニック結晶を規定することが可能である。これは図21(d)に示すように、異なる物質のセグメント217、218のシーケンス、例えばInAs/GaAsなどのIII−V族物質やGe/SiなどのIV属物質を交互に交代するシーケンスにより例2の方法に従って個々のウィスカを形成し、各ウィスカに沿って間隔をおいた適切な屈折率を有するセグメントを設けてフォトニックバンドギャップを形成することによって実行することができる。
【0100】
III−V族物質の単結晶層
図22(a)〜22(g)は基板上に所望の物質のエピタキシャル層を成長させるための本発明の実施形態を示す。図22(a)および22(b)に示すように、シリコンまたはゲルマニウムのヒ化物基板220を金またはインジウムまたはガリウムの四角片222の上面上に形成する。これらの四角片はNILスタンプ223により、または例1に説明したようにして基板上に配置する。たとえば二酸化シリコンまたは窒化シリコンの数ナノメートル幅の誘電体物質であるエピタキシャルマスクデポジット224を基板220上の四角片222の周りに形成する。熱を加えて図22(c)に示すように四角片をボール226にアニールし、図22(d)に示すように例えばInPまたはGaAsのウィスカ228を成長させる。別の例では、デポジット224として炭素ベースの物質を用いる(炭素ベースの物質は誘電体物質が脱着されボールがアニールによって形成されたときに粒子を安定させる)。ボールはバルク成長即ち所望物質の層のためのシードオープニング(seed openings)として用いられる。誘電体層は基板と結晶層間の格子不整合効果および原子結合を防止する。図22(e)に示すように、ウィスカはInPまたはGaAs229のバルク層と共に成長する。ウィスカから層へと成長条件が徐々に変化する。このようにして、欠陥を形成しないウィスカ上の核生成(nucleation)がもたらされる。小さな核生成ステップが存在し、歪み効果は転移を起こさないように思われる。物質がIII−V族物質である場合の重要な利点は、ミスフィット転移を起こすことなく基板上に格子不整合層を形成する点である。
【0101】
図22(f)に示す変形例においては、金ボール226を例1の方法によってエアロゾルから基板上にデポジットする。エピタキシャルマスクデポジット224をボールの上から形成する。その後図22(d)のようにウィスカを成長させる。
【0102】
本発明による更なる開発により、ウィスカは<111>B方向に優先的に成長する傾向があることがわかった。これはヒ素原子がピラミッドの頂点に位置しガリウムイオンがピラミッドの基部に位置するヒ化ガリウム(閃亜鉛鉱型格子)のためである(図23(a)を参照)。本発明の好適な実施形態を図23(b)に示す。この実施形態ではシリコン基板230は<111>面が露出するようにエッチングされた顕微鏡的寸法のV溝232を有するセレーション面を有している。金粒子234はV溝の表面にデポジットされる。図23(c)において破線で示すGaAsウィスカ236は例1に従って成長させたものであり、セレーションの壁面に垂直に延びる。これらウィスカはGaAs層238のバルク成長の核生成点を提供する。ウィスカから層へと成長条件は徐々に変化する。こうして欠陥を形成することなくヒ化ガリウムの核生成が生ずる。転移を生じさせるいかなる小さな核生成ステップや歪み効果も起こらない。基板に対して角度を持った<111>方向のウィスカ方向は、ある方向へのエピタキシャル成長を強いるものであり、これまで問題であった反対位相ドメイン(antiphase domain)の問題を排除する。従って、これによりIII−V族化合物をシリコン(または他のIV族)基板上に一体化する方法を提供し、これはまた既存の方法よりも安価である(例えばPCT公開特許出願WO02/01648を参照)。
【0103】
図19に示す太陽電池に対する応用においてV溝基板は更なる利点を有する。即ち、セレーションを設けた基板は入射光の複数の反射を生じさせ、それにより格子捕獲の可能性を増加させる。
【0104】
図24はウィスカの配向を制御するための好適な実施形態を示している。すでに述べたように通常はIII−V族化合物のウィスカは<111>B方向に成長する。ここで問題となるのはそのようなウィスカは多かれ少なかれ、六方(ウルツ鉱型)(図24(a))構造と立方(閃亜鉛鉱型)(図23(a))構造の間で変化することである。これにより多くの積層欠陥が生ずる。積層欠陥は特に光学的特性に関して常に問題であり、また電気的特性に関しても問題である。生成中にウィスカに歪みを与えることにより、そして成長条件を変えることにより、ウィスカの成長方向を<100>方向に変えることができ、これによって積層欠陥を持たない立方格子構造(閃亜鉛鉱型)を得ることができる。
【0105】
図24(b)において、<100>面を有するシリコン基板240はその上に成長させた、例えばInPからなるウィスカ242を有する。ウィスカは244のように<111>方向に成長しはじめるが、初期成長のすぐ後に成長速度とCBE装置内の温度および圧力を増加させて条件を変更することにより、246のように<100>方向に継続して成長する。方向が変わる点248は<110>面(facet)である。この移行においてウィスカはエピタキシャル結晶性を維持する。セグメント246における結晶構造は六方稠密であり、これにより積層欠陥の問題を少なからず低減する。
【0106】
他の成長方法では、点248において例えばInAsなどの広バンドギャップ物質の短い障壁セグメントを成長させる。これはウィスカの後続方向を変更することと同様の効果をもたらす。
【0107】
従って、この実施形態は六方格子として成長する性向を持ち積層欠陥を生じやすいGaNなどの窒化物の成長に特に適している。窒化物結晶を「強制的に」立方形に成長させることにより積層欠陥が低減される。更に、例2に従って作製された、ウィスカに沿った異なる物質のセグメントを有する構造においては、窒化ガリウムレーザー用のマイクロキャビティ構造を作り出すことができる。窒化物系はウィスカ成長に極めて適している。窒化物の問題点は、転移に満ちていること、および適切な基板がないこと、である。ウィスカを欠陥のない窒化物で作ることができ、格子整合の問題は存在しない。100nmオーダーの規則的なFPレーザーを長さ300nm以下のナノウィスカ内に作製することが可能である。これはボトムアップ構造であり、DVDの読みとりおよび書き込みに適している。
【0108】
続いて図25の実施形態について説明する。この実施形態は電界放出端部(field emission tip)即ちSpindt型カソードに関するものである。これは電界放出ディスプレイ(FED)に使用することができ、このようなディスプレイを製造する多くの方法が提案されている。図25(a)に示す一従来技術の構成は、表面252を有するシリコン基板250を有し、該基板はレーザーアブレイションなどによってパターニングされ、微細なナノメートルサイズの先端部(tips)253を形成している。該先端部に隣接して蛍光スクリーン254が配置され、先端部とスクリーンとの間の電圧により先端部に極めて強い電界が生ずる。これによりスクリーンに電流が流れ、スクリーンから可視光が放射される。
【0109】
図25(b)に示す本発明の実施形態は、FEDからなり、ディスプレイの各要素に個々にアドレス可能である。エッチングされた接触金属化領域256をシリコン基板上に形成する。金シード粒子258を例1の方法に従って各金属化領域に配置する。金粒子はSiウィスカ259成長時のウィスカ成長のシードとして用いられ、各ウィスカはそれぞれの金属化領域から伸延する。一つのディスプレイ要素を形成する図示のような単独のウィスカまたは一群のナノウィスカが、各金属化領域から伸延してもよい。個々にアドレス可能であることに加えて、本実施形態のもう一つの利点は、例えばカーボンナノチューブ(CNT)などの従来技術の方法とは異なり、FEDの信頼性が100%であることである。
【0110】
図26は赤外線を可視光にアップコンバートするための実施形態を示している。波長1.55乃至2.5μmの赤外線放射画像260がヒ化ガリウム基板262のベース面を照らしている。該基板は比較的大きなバンドギャップを有する物質であり、この放射とは相互作用しない。基板の他方の面は例1で説明したように成長させたヒ化インジウムのウィスカ突起264を有しており、そのバンドギャップは比較的小さく、該放射の光子の吸収が生ずる。しかし図25の例とは異なり、ウィスカ264に個々にアドレス可能ではない。ウィスカ端部と近接する蛍光面266との間に約20〜50ボルトの電圧が印加され、ヒ化インジウムウィスカから電子が発生する。ヒ化インジウムは3ミクロンに相当するバンドギャップを有し、従って3ミクロンより短い放射に応じて電子を生成する。代わりにリン化ガリウムを用いてもよいが、この場合可視光相当のバンドギャップとなる。放出された電子は蛍光を引き起こし、蛍光スクリーンから可視光268が放射され、可視光波長にアップコンバートされた形態の画像となる。印加電圧は雪崩効果を誘起する程度まで高めてもよい。
【0111】
図27は本発明の一実施形態を示す。該実施形態では長さ400nmのGaAsウィスカ270(例1に従って作製される)がシリコン基板274上の金属化接触領域272から延在する。その大きさは1.55ミクロン放射の1/4であり、従ってウィスカは1.55ミクロン放射に対するλ/4共振アンテナを提供する。接触領域272は基底面(ground plane)を提供する。アンテナは放射276を自由空間において受信するように配置してもよいし、あるいは第3の光学窓において放射を検知するためのシリカファイバリンク278の端部に隣接して配置してもよい。
【0112】
図28はスピントロニクスの分野で用いる本発明の一実施形態を示す。スピントロニクスは電子デバイスの特性が該デバイスを介しての電子スピンの搬送に依存する技術分野である(例えば、Scientific American June 2002 pp 52-59, “Spintronics”, David D. Awschalom et al.を参照)。図28において、例1のプロセスにより形成されたヒ化マンガンガリウム(manganese gallium arsenide)(半磁性(semi-magnetic))またはヒ化マンガン(強磁性)のような磁性または半磁性物質からなるウィスカ280をSi基板上に形成する。印加電圧Vの下で、スピン偏極電子283がウィスカの先端から放出され、これにより基板286上におかれた電気接点284との電気的接触をもたらす。スピン偏極電子283は基板286上に配設された磁気記憶装置288の読みとり・書き込みに用いる。
【0113】
この実施形態を更に発展させることにより、一つの問題が解決される。即ち強磁性において、普通強磁性領域の幅におよそ10〜15nmという下限があり、それより下では強磁性は超常磁性に変化する。しかし例1の方法によりナノウィスカ内に取り入れると、領域径を低減することができる。これは1次元系において対称的整列の可能性が低減するためであり、これは物質のイオンが2以上の方向を向くことを更に難しくする。ウィスカ物質は鉄、コバルト、マンガンまたはそれらの合金としてよい。
【0114】
図29はまた別の実施形態を示す。この実施形態は例えば眼の網膜などの神経機能の修復のために神経内に移植する電極アレイを有する基板を有している。電極は個々にアドレス可能である。エッチングされた接触金属化領域350をシリコン基板352上に形成する。金シード粒子354を上に述べた方法で各金属化領域に配置する。金粒子はSiウィスカ358成長時のウィスカ成長のシードとして用いられ、各ウィスカはそれぞれの金属化領域から伸延する。一つの電極要素を形成する図示のような単独のウィスカまたは一群のナノウィスカが、各金属化領域から伸延してもよい。個々にアドレス可能であることに加えて、本実施形態のもう一つの利点は、電極の信頼性が100%であることである。
【0115】
図30はまた別の実施形態を示す。この実施形態は上に述べた方法で生成されたナノウィスカ360を有する。ウィスカはシリコンで形成され、一端362に金粒子メルトを有する。ウィスカの生成後、ウィスカを適切な温度で大気にさらしシリコンを酸化させる。これにより、ウィスカを包囲しその長さに沿って延在するシリコンダイオードの外殻364が形成される。金粒子メルト362は未酸化状態を維持する。従って、これは図29に示す電極アセンブリに極めて適した構造を提供し、電極は非常に正確な電気的特性を有する。シリコン物質は酸化可能な他の物質と置き換えてもよい。
【0116】
別の例では、ウィスカ360を適切な物質の雰囲気にさらし、酸化層364に代わってバンドギャップの広い物質を形成してもよい。
【0117】
図31はシリコンベース部材370を有する本発明のまた別の実施形態を示す。このベース部材は板状の基板あるいは単なるバーであってもよい。いずれにしても、バーあるいは基板の一つの端面上にナノウィスカ372が一列に形成される。ナノウィスカは等間隔で離間し、空間に突出する。ナノウィスカ上に或る分子構造を吸収するコーティングを設けてもよい。いずれにしても、このカンチレバービーム(片持ち梁)構造を分子種の測定などのためのカンチレバー構造など公知の用途に用いることができる。
【0118】
図32は分子検知装置からなる本発明のまた別の実施形態を示す。例えば窒化シリコンの基板380は、その上に形成された絶縁層382を有する。該絶縁層は例えば金の導電表面384を有している。開口386を層382,382内に形成し、ナノウィスカ388を該開口内に形成する。
【0119】
これは本質的に自己組織化プロセスとして行われる。なぜなら、開口が絶縁層382に形成されかつ金の層384がその後デポジット(堆積)されるからである。従って、金は結果として389で示すように開口の底にデポジットし、加熱することにより、ナノウィスカを適切な条件下で生成することを可能とする金粒子メルトを形成する。金粒子メルト389は完成したナノウィスカの頂部に位置する。ナノウィスカの高さは、粒子メルト389が少なくともほぼ金表面層384と同一平面となるような高さである。
【0120】
ナノウィスカは本来的に弾性を有するので、その長さ方向を横断する横方向の固有振動数を有する。粒子メルト389の振動を、導電層384に生ずる電圧または電流信号によって検出することができる。これは即ちナノウィスカ388の振動周波数を検出する手段を与える。
【0121】
電圧を印加することによって導電物質を適切に励起することにより、ウィスカを例えばギガヘルツ帯の或る固有振動数で開口内で機械的に振動させることができる。これは、寸法および電流が小さいことに鑑みて、一つの振動周期の間に単一の電子が導電物質の一方の側から他方の側へとシード粒子メルトを介して搬送されるからである。これは電流基準生成器(current standard generator)を形成し、導電物質を流れる電流Iは振動の周波数fと電子の電荷eとの積に等しい、すなわちI=f・eとなる。これにより、しかるべき状況で利用することのできる既知の基準信号が発生される。
【0122】
また、粒子メルト389をレセプタ物質でコーティングして、粒子メルト389の表面に或る分子種を吸着するようにしてもよい。これにより、ナノウィスカの固有振動数が変化する。この振動数の変化を検知することにより、メルト389の表面に吸着された分子種の質量を計算する手段を得ることもできる。
【0123】
図33はシリコンの可撓なビーム(梁)394の端部に形成されたInPナノウィスカ392を有する走査型トンネル顕微鏡(STM)を示す。ビーム394は基板またはバーをエッチングすることにより形成する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】ナノウィスカを形成するための本発明の製造手法を図式的に説明する図であって、 (a)は、選択された大きさのAuエアロゾル粒子のGaAs基板への付着を示す。 (b)は、ナノウィスカを位置決めするための粒子のAFM操作を示す。 (c)は、AuおよびGaの共融メルトを表面から作り出す合金過程を示す。 (d)は、GaAsウィスカの成長を示す。
【図2】(a)は、10nmのAuエアロゾル粒子から成長させたGaAsナノウィスカのTEM顕微鏡写真である。(b)は、40nmAuエアロゾル粒子からGaAsウィスカを成長させたGaAs<111>B基板のSEM顕微鏡写真である。(c)は、Auクラスターから成長させたGaAsウィスカ高解像度電子顕微鏡画像(400kV)である。挿入部はウィスカを一部拡大して示す。
【図3】本発明の方法を実施する装置を図式的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるいくつかのInPヘテロ構造を含むInAsナノウィスカの、逆格子空間分析を用いた組成プロファイルを示す図であり、 (a)は、径が40nmのウィスカの高解像度TEM画像である。 (b)は、(a)の画像のパワースペクトルである。 (c)は、InP部分に最も近い分離200反射(split 200 reflection)の情報を用いた逆フーリエ変換である。 (d)は、200反射のInPおよびInAs部分上にそれぞれ同一のマスクを用いた重ね合わせ画像である。
【図5】InAsナノウィスカ内のInPヘテロ構造分析を示す図であり、 (a)は、径が40nmのInAsナノウィスカ内のInP障壁(100、25、8、1.5nm)のTEM画像である。 (b)は、結晶完全性およびナノ層レベルでの境界の明確さを示す8nm障壁領域の拡大図である。 (c)は、InAsへの(左側の)理想的なオーム接点部を含むInAs/InPヘテロ構造のシミュレーションによるバンド構造図である。 (d)は、均一なInAsウィスカのオームの法則的なI−V依存性を示しており、80nmのInP障壁を含むInAsウィスカにおいて見られる極めて非直線的なI−V特性と対照的である。 (e)は、障壁高さ0.57eVのInP障壁(バイアス10mV)を通じての熱電子励起電子測定のアレニウスプロットを示す。
【図6】本発明の共鳴トンネルダイオードにおいて用いられる様々な厚さの単一障壁についての搬送メカニズムの評価を示す図であり、 (a)は、成長基板上のウィスカのSEM画像である(スケールバーは1μmを表す)。 (b)は、2つの合金オーム接点に接触しているInAs/InPナノウィスカを示す(スケールバーは2μmを表す)。 (c)は、ウィスカの長軸に垂直な8nmのInPセグメントを有するInAsウィスカのTEM画像である。 (d)は、3つの異なる障壁状態について電流−電圧特性を示す図である。
【図7】(a)は、<111>方向に成長し、2つのInP障壁を有する本発明の実施形態を構成するためのInAsウィスカの高解像度TEM画像である(スケールバーは8μmを表す)。(b)は、(a)において四角で囲った領域の積分プロファイルであり、画像コントラストから判断して障壁の幅は約5.5nm(16格子間隔)、界面のシャープさは1乃至3格子間隔程度である。
【図8】(a)は、本発明の実施形態構成する共鳴トンネルダイオード(RTD)におけるウィスカの上端部のTEM画像であり、二重の障壁がはっきりと見て取れ、この場合の障壁厚さは約5nmである(スケールバーは30μmを表す)。(b)は、本発明の実施形態構成する共鳴トンネルダイオード(RTD)において研究対象としたデバイスについてエネルギーバンドダイアグラムの原理を示す図であり、エミッタ領域での特性電子状態(characteristic electronic states)が示されている(左側)。(c)は、本発明の実施形態構成する共鳴トンネルダイオード(RTD)において、(a)および(b)に示したものと同一の装置の電流−電圧データを示すものであり、基底状態Elzへの共鳴トンネリング(resonant tunneling)を反映する電圧幅約5mVの鋭いピーク特性が明らかにされている。この幅は遷移のエネルギー幅約2meVに相当し、電子がそこからトンネリングするエミッタの陰影付けされた(shaded)エネルギーバンド幅に対応している。デバイス特性が挿入図に示され、この挿入図は増加する電圧と減少する電圧に対する共鳴ピークを拡大して示している。
【図9】本発明の共鳴トンネルダイオードの好適な実施形態を図式的に示す図である。
【図10】バンドギャップの大きい絶縁セグメントを有する本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図11】ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)からなる本発明の別の実施形態を示す図である。
【図12】HBT構造と関連するHBTのバンドギャップを示すグラフである。
【図13】3元化合物の組成変化に伴うバンドギャップ変化を示すグラフである。
【図14】(a),(b)は、様々な半導体化合物の格子寸法に対するバンドギャップを示すグラフである。
【図15】発光ダイオードおよびレーザーからなる本発明の実施形態を図式的に示す図である。
【図16】所望の種類の分子の個々の検知にレーザーを用いた本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図17】NILプロセスにおいてフォトレジストのパターニングにレーザーアレイを用いた本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図18】(a)は、フォトディテクタからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。(b),(c)は、(a)の実施形態の変型例を示す図である。
【図19】(a)は、太陽電池からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。(b)は、(a)の実施形態の変型例を示す図である。
【図20】テラヘルツ放射の放射源からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図21】(a)〜(c)は、フォトニック結晶からなる本発明の実施形態を図式的に説明する図である。(d)は、3Dフォトニック結晶を形成するための上記実施形態の変形例をしめす図である。
【図22】(a)〜(g)は、基板を有するエピタキシャル物質層(格子は互いに整合していない)を形成するための本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図23】(a)は、基板を有するエピタキシャル物質層(格子は互いに整合していない)を形成するための本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。(b),(c)は、同実施形態を図式的に示す図である。
【図24】(a),(b)は、通常の<111>方向とは異なる<100>方向に延びるウィスカを形成するための本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図25】(a),(b)は、電界放出ディスプレイ(FED)からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図であり、ディスプレイの個々の要素は個別にアドレス可能なナノウィスカである。
【図26】赤外域の像を可視光域にアップコンバートする構成からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図27】赤外放射用のアンテナからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図28】スピントロニクスに応用した強磁性ウィスカからなる別の構成を図式的に示す図である。
【図29】神経にインプラントされる選択的にアドレス可能な電極アレイからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図30】その長さに沿って酸化された外表面を有するナノウィスカからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図31】基板から直立しカンチレバーを構成するナノウィスカ列からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図32】振動するようになされ重量と周波数の正確な測定を可能とするナノウィスカからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図33】走査型トンネル顕微鏡の探針からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は2002年7月8日に出願された米国仮出願60/393.835号に基づく優先権を主張するものであり、本引用により当該出願の全内容を本願に繰り入れる。また、2003年4月4日に出願された米国仮出願60/459,982の全内容も本引用により本願に繰り入れるものとする。
【0002】
本発明は広くは構造体に関わるものであり、基本的に1次元的形態であって、その幅あるいは径の大きさがナノメートルサイズである構造体、即ち一般的にナノウィスカ、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ等として知られる構造体に関わるものである。本明細書において、これらの構造体は1次元ナノ要素と名付ける。より詳しくは、本発明はナノウィスカーおよびナノウィスカの製造方法に関わるものであるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
いわゆるVLS(vapor-liquid-solid:気相−液相−固相)法によって基板上にウィスカを生成する基本プロセスは公知である。基板等の上の触媒物質(多くの場合金である)の粒子を所定の気体存在下で加熱しメルト(melt)を形成する。メルトの下にピラー(pillar)が生成しメルトはピラーの頂部で上昇する。その結果、固体化した粒子メルトがその頂部に乗った所望物質のウィスカが得られる(”Growth of Whiskers by the Vapour-Liquid-Solid Mechanism” - Givargizov - Current Topics in Materials Science Vol. 1 p.79-145 - North Holland Publishing Company 1978を参照)。このようなウィスカの大きさはマイクロメートルの範囲にある。
【0004】
国際出願WO01/84238の図15および図16にはナノウィスカを形成する方法が開示されており、該方法では、エアロゾル(噴霧)によるナノメートルサイズの粒子を基板上に付着(deposit)させ、これら粒子をシード(種)として用いてフィラメント即ちナノウィスカを生成する。本明細書において、ナノウィスカという用語はナノメートルサイズの径を有する1次元ナノ要素であって、VLS法によって形成されたものを意味することとする。
【0005】
一般的にはナノ構造体とは、少なくとも2つの次元方向においておよそ1μmより小さい寸法(即ちナノメートル寸法)を持つデバイスである。通常は、厚さが1μmより小さい1以上の層からなる層状構造または層状素材はナノ構造体とはされない。但し以下に説明するように、ナノ構造体を用いてそのような層を形成する場合はある。以上のように、ナノ構造体という語は、独立したあるいは孤立した構造体であって、2つの次元方向においておよそ1μm以下の寸法であり、より大きな構造体とは異なる機能および用途を有し、ある程度大きな構造体、例えばマイクロオーダーの大きさの構造体を製造する従来の工程とは異なる方法で作製される構造体をその意味内容とする。従って、ナノ構造体という分類を厳密に規定する大きさについての数値上の境界は特にないが、このナノ構造体という語は当業者には明らかなものとして理解されるある一つの分類となっている。多くの場合ナノ構造体を特徴づける寸法の上限は、およそ500nmである。
【0006】
ナノ構造体の径がある値、たとえば50nmよりも小さい場合には、電子がナノ要素の長さ方向にしか移動できないという量子閉じこめが生ずる。これは径方向に沿った面(diametral plane)において、電子が量子力学的固有状態を占拠するからである。
【0007】
半導体ナノウィスカの電気的および光学的特性は、基本的にその結晶構造、形態、大きさによって決まる。特にウィスカ幅の小さな変化は、量子閉じこめ効果によって、エネルギー状態の分離の少なからぬ変化を引き起こす場合がある。従って、ウィスカの幅を自由に任意に選択できることが重要であり、また、ウィスカの長さを延長した場合にも幅を一定に保てるようにすることが同じく重要である。ウィスカ技術と現在の半導体素子技術との融合を可能にするためには、このことがウィスカを基板上の選択された位置に配置することの可能性と共に必要となってくる。GaAsウィスカの成長に関していくつかの実験的研究がなされている。最も重要な報告はHirumaらによるものである。彼らは有機金属化学蒸着(MOCVD)式成長システムにおいて、III−V族基板上にIII−V族ナノウィスカを成長させた(K. Hiruma, M. Yazawa, K. Haraguchi, K ogawa, T. Katsuyama, M. Koguchi, and H. Kakibayashi, J. Appl. Phys. 74, 3162 1993; K. Hiruma, M. Yazawa, T. Katsuyama, K ogawa, K. Haraguchi, M. Koguchi, and H. Kakibayashi, J. Appl. Phys. 77, 447 1995; E.I. Givargizov, J. Cryst. Growth 31, 20 1975; X. F. Duran, J. F. Wang, and C. M. Lieber, Appl. Phys. Lett. 76, 1116 2000; K. Hiruma, H murakoshi, M. Yazawa, K. Ogawa, S Fukuhara, M. Shirai and T. Katsuyama, IEICE Trans. Electron E77C 1420 1994; K. Hiruma, et al, “Self-organised growth on GaAs/InAs heterostructure nanocylinders by organometalic vapor phase epitaxy”, J. Crystal grouwth 163, (1996) 226-231)。彼らは薄いAu(金)フィルムをアニールしてシード粒子を形成する手法を用いている。このようにして、彼らは均一なウィスカ幅分布を実現し、かつその平均サイズをAuの層厚およびこの層がナノ粒子に変成する仕方によって制御することができた。この技術では、大きさと表面被覆率とを別個に制御することは困難であり、また被覆率を低くすることは実質的に不可能である。層厚とウィスカの厚さの関係は単純ではない。なぜなら、ウィスカ厚さは成長温度にも依存し、かつAu粒子には温度に依存する平衡サイズが存在する兆候さえあったからである。著者等はまた、走査型トンネル顕微鏡の探針(tip)からデポジットしたAu飛沫の大きさとそれから得られるウィスカの幅との間に強い相関があることを見出した。Lieberら(Y. Cui, L J. Lauhon, M.S. Guduksen, J. F. Wang, and C. M. Lieber, Appl. Phys. Lett. 78, 2214, 2001)によれば、成長させた自由飛翔(free-flying)Siウィスカにおいて、粒子、ウィスカ間に明白なサイズ相関が示された。
【0008】
ウィスカを電子部品に使用するならば、ウィスカの長さに沿って位置する明確な電気的接合(junctions)が存在することが必要であり、その実現に多くの努力がなされてきた(例えばHiruma et al, “Growth and Characterisation of Nanometer-Scale GaAs, AlGaAs and GaAs/InAs Wires” IEICE Trans. Electron., Vol. E77-C, No. 9 September 1994, pp 1420-1424を参照)。しかし、多くの改良が必要である。
【0009】
カーボンナノチューブ(CNT)に関しても多くの研究がなされている。進展はあるものの、CNTの伝導性タイプの制御ができないこと、および制御された1D(1次元)ヘテロ構造の生成ができないことにより、研究は頓挫している。半導体性CNTのドープ(PN)接合(Derycke et al, Nano Ltters, 2001, 1,453)およびCNTと半導体(SiおよびSiC)ナノウィスカとの間の移行(Hu et al, Nature 1999, 399, 48)と同様にCNTの金属性の部分と半導体性の部分の間のキンク(kink)としてランダムに形成されるインターフェイスがつきとめられ、研究されている。
【0010】
別の開発動向においては、テキサスインスツルメンツ(Texas Instruments)のRandall、Reedおよび協力者たちによって開拓されたものであるトップダウン法により1Dデバイスを製造する試みが1980年代終わりからなされてきている(M.A. Reed et al., Phys. Rev. Lett. 60, 535(1988))。この種の量子デバイスにおいては今なお最先端技術である彼らのトップダウン方式は、2つの障壁(barrier)とその中心の量子井戸を規定する複数層のエピタキシャル成長に基づくものである。その後、電子線リソグラフィーを用いて横閉じこめパターン(lateral confinement pattern)を形成し、加えて金属層のデポジットにより上部接点を形成する。そしてリフトオフプロセスを用いて電子ビーム感受性のレジストを表面から除去し、かつまた、反応性イオンエッチングにより目的とする細いコラム(柱状体)の周りのすべての物質を除去する。最後に基板を介して、および上部からポリイミド層を用いてデバイスに接触する。このボトムアップ法により作製されたデバイスの研究において、直径100乃至200nmのコラムが認められているが、電気的特性はどちらかといえば期待はずれのものであり、山−谷電流比(peak-to-valley currents)は高々1.1:1程度である。微小共鳴トンネル素子を実現するまた別のアプローチが更に最近になって報告されており、これは自己組織化量子ドットの歪み誘起生成(strain-induced formation)を用いたものである(I.E. Itskevich et al,. Phys. Rev. B 54, 16401 (1996); M. Narihiro, G Yusa, Y. Nakamura, T. Noda, H. Sakaki, Appl. Phys. Lett. 70, 105 (1996); M. Borgstrom et al,. Appl. Phys. Lett. 78, 3232 (2001))。
【0011】
(発明の概要)
本発明はナノウィスカや一次元半導体ナノ結晶であって、例えばヒ化インジウムのウィスカがリン化インジウムのセグメントを含む場合のようにウィスカの諸セグメントが異なる組成を有するナノウィスカや一次元半導体ナノ結晶の生成方法を包含し、該方法において、はっきり明確な(abrupt)境界および単層数個分から数百ナノメートルまでの厚さのヘテロ構造障壁の形成を許容し、それにより電子がそれに沿って移動可能な1次元ランドスケイプを生成するような成長条件とする。好適な化学ビームエピタキシー法(CBE)において、急速に交互交代する組成を、前駆物質原子を基板およびシード粒子共融メルト内に、超高真空チャンバ内に供給される分子ビームとして与えることにより制御する。異なる組成の急速な切り替えを、成長を停止するかあるいは少なくとも微々たる量まで低下させ、また成長のための過飽和状態を再確立するというシーケンスによってなすものであり、少なくとも組成の変更と過飽和はいかなる感知可能な成長よりも速く変化する。ウィスカ物質のはっきり明確な移行により、格子不整合に起因する応力や歪みはウィスカの径方向外向きの膨張または少なくとも接合部付近の格子面内の原子の横方向移動によって調整される。
【0012】
更に、本発明は結晶基板上で成長する大きさを選定したエピタキシャルナノウィスカの合成技術を包含する。触媒として大きさを選定した金エアロゾル粒子を用い、これにより表面被覆率をウィスカ径とは完全に独立して変化させることを可能とする。ウィスカはロッド形状であり、10乃至50nmの均一な径を有する。該径は触媒シードの大きさに相関する。エアロゾル粒子のナノ操作を用いることにより、個々のナノウィスカを制御された方法で基板の特定の位置にナノメートルレベルの精度で凝集させることができる。本発明の方法では、ナノ粒子を選択することにより幅の制御性を向上させる。ナノ粒子は基板上のエアロゾルまたは液体合金としてよい。該粒子は基板上に四角形に形成された金から出発して溶融によって正確な径のボールとなすことによって形成してもよい。シード粒子としては金に代わって他の物質、例えばゲルマニウムを用いてもよい。
【0013】
多くの応用例において実質的に一定の径を有するナノウィスカとすることが望ましいが、ウィスカの形その他の属性をウィスカ生成中にIII族物質例えばGaの拡散定数(拡散係数)を選択的に変更することによって変えてもよい。これは以下によって可能である。
・プロセスの温度を低下させる−この場合自由端に向かってテーパのついたウィスカが生成される。
・V族物質の圧力を増加させる。
・III族およびV族物質両方の圧力を増加させる。
【0014】
より詳しくは、本発明はナノウィスカを生成する方法であって、基板上にシード粒子を付着(deposit)させ、シード粒子のメルトを生成するように温度および圧力条件を制御しながら該シード粒子を物質にさらし、それによりシード粒子メルトがコラム(柱状体)の頂上で上昇してナノウィスカを生成し、該ナノウィスカコラムはナノメートル寸法の径を有し、コラムの成長中に、前記物質の組成を変更し、それによってエピタキシャル成長を維持しながらコラム物質の組成を急激に変化させ、その長さに沿って少なくとも第1および第2の半導体セグメント長を有するコラムを形成し、該第1の半導体セグメントは第2の半導体セグメントと異なるバンドギャップを有する物質からなるような方法を提供するものである。
【0015】
III/V族ナノウィスカにおける異なる半導体物質の設計セグメントのボトムアップ型組織化によって、機能的1D(1次元)共鳴トンネルダイオードやその他の部品および構造が作られている。また、ナノウィスカからなる電子部品および光学部品であって、ナノウィスカの長さ方向セグメントが異なる物質からなりウィスカ内の異なるバンドギャップの物質の間に明確な接合を形成するヘテロ構造として単一の結晶生成により作製された、所望の機能を有する部品が製造されている。
【0016】
即ち本発明は、概括的に言って、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有し、該コラムはその長さ方向に配置された異なる物質組成の複数の長さセグメントを有し、該セグメントはナノウィスカコラムの所定長さに渡って延在する隣接するセグメント間の所定の径方向に沿った境界を有し、部品が所望の機能を実現できるようにすべく、該境界における所望のバンドギャップ変化を付与するような、ヘテロ構造電子部品または光学部品を提供する。
【0017】
本発明は、一つの概括的態様において、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなる電子部品または光学部品であって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる物質の少なくとも第1および第2の長さセグメントからなり、該第1および第2のセグメントはその間にエピタキシャル組成のはっきりした境界を有し、該境界における格子不整合が該境界におけるナノウィスカの径方向外向きの膨張によって調整されるような部品を提供する。
【0018】
本発明は、他の概括的態様において、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなる電子部品または光学部品であって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる物質の少なくとも第1および第2の長さセグメントからなり、該第1および第2のセグメントはその間にエピタキシャル組成のはっきりした径方向に沿った境界を有し、第1および第2のセグメントの異なる物質組成間の移行が径方向に沿った格子面の8個分以下の軸方向距離において生ずるような部品を提供する。好適には第1および第2のセグメントの組成の移行は格子面6個分以下の軸方向距離で生じ、さらに好適には格子面5個分以下、さらに好適には格子面4個分以下、さらに好適には格子面3個分以下、さらに好適には格子面2個分以下、そして最適には格子面1個分以下で生ずる。
【0019】
本発明は、また別の態様において、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなる電子部品または光学部品であって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる物質の少なくとも第1および第2の長さセグメントからなり、該第1のセグメントはA1−xBxという形式の化学量論的組成を有し、該第2のセグメントはA1−yByという化学量論的組成を有し、ここでA、Bは選択された元素であり、x、yは変数であり、第1および第2のセグメントの境界に位置するエピタキシャル組成境界は径方向に沿った格子面の所定数分に渡って変数xから変数yへの所定の漸進的変化を示すような部品を提供する。類似の実施形態において、本発明のナノウィスカの第1および第2の組成はそれぞれA1−xBxC、A1−yByCで表され、ここでAおよびBは周期律表内の一つの族、例えばIII族の元素を表し、Cは周期律表の他の族の元素、例えばV族の元素を表す。変数x、yは0と1の間の値とすることができ、その範囲内で異なる数字である。このようなウィスカはその長さ方向に沿って組成の変化しうる化合物半導体から形成され、ヘテロ接合を含んでいる。このような化合物半導体の一例としては、AlxGa1−xAsがある。本発明のナノウィスカは例えば2つの長さ方向セグメントを有し、第1のセグメントの組成をAlxGa1−xAsとし、変数xを0と1の間の所与の値とし、第2のセグメントの組成をAlyGa1−yAsとして変数yはxとは異なる第2の値とすることしてもよい。2つのセグメント間には組成が第1のセグメントの組成から第2のセグメントの組成へと連続的に変化する、言い換えると変数xが連続的にそして通常単調に変数yの値へと変化するような界面が存在する。即ち、この界面はヘテロ接合を構成する。後に詳しく説明するが、ウィスカの成長条件を制御することにより、この移行を径方向に沿った格子面の所定数分に渡って生じさせるようにすることができる。更に、成長条件を周期的に調節してナノウィスカの長さに沿ってこのようなヘテロ接合を複数作り出すことができる。
【0020】
本発明によりナノウィスカの径をナノウィスカの長さ沿って実質的に一定とするように、あるいはテーパ形状を制御するなどの決められた変化を持たせるよう制御される。これにより、ナノウィスカの電気的パラメータの精度が保証される。テーパを制御することはナノウィスカの長さに沿って電圧勾配を生じさせることと等価である。径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を生ずるほど小さくしてもよい。径を正確に制御しても、製造方法に依存する径の微小な変化は生ずる。特にエピタキシャル構造における格子不整合を調整するために、組成境界においてナノウィスカの径方向外向きの膨張が生ずる。また、格子寸法の違いにより、あるセグメントの径は組成の異なる他のセグメントの径とわずかに異なる場合がある。
【0021】
本発明によれば、ナノウィスカの径は好適にはおよそ500nm以下、より好適にはおよそ100nm以下、更に好適にはおよそ50nm以下である。更に、本発明のナノウィスカの径はおよそ20nm以下、またはおよそ10nm以下、またはおよそ5nm以下の範囲にあることが好ましい。
【0022】
ナノウィスカ生成の精度により、量子閉じこめ効果を利用するデバイス、特に共鳴トンネルダイオードの製造が可能となる。これにより、エミッタ、コレクタ、中央量子ドットがInAsで、障壁物質がInPのRTDが開発されている。山−谷比が50:1の理想的共鳴トンネル反応が低温で確認された。
【0023】
本発明はある態様において、共鳴トンネルダイオードであって、ナノメートル寸法の径のコラムを有する量子閉じこめ効果を示すナノウィスカを有し、該コラムはその長さに沿ってエミッタおよびコレクタをそれぞれ構成する第1および第2の半導体長さセグメントと、該第1および第2の半導体セグメントの間に配設され第1および第2の半導体セグメントとは異なるバンドギャップを有する物質の第3および第4の長さセグメントと、第3および第4半導体セグメントの間に配設され第3および第4のセグメントとは異なるバンドギャップを有する半導体物質からなり量子井戸を形成する第5の中央長さセグメントとを有する共鳴トンネルダイオードを提供する。
【0024】
ナノウィスカから作られる電気的または光学的部品の問題点のひとつは、ナノウィスカへの効率的な電気的接点を設けることにある。
【0025】
一つの方法では、機械的なプロセスでナノウィスカを基板からそぎ取り、そのナノウィスカを別の基板上に横たえて置く。そして金属化されたボンディングパッドをナノウィスカの両端部に形成するか、あるいはまたナノウィスカを操作して予め作製した接点パッド上に設置することもできる。
【0026】
量産により適した別の方法では、ナノウィスカの基部側端部を電気的接点上に形成し、ナノウィスカを基板上に置いたままとする。生成後に、ナノウィスカを樹脂またはガラス材に封入してもよく、その後に封入物の表面にナノウィスカの自由端部に接触するように接点パッドを形成してもよい。この過程を補助するために、ナノウィスカ形成の終了近くに付加的な導電性物質を触媒粒子メルトに注入し、ボンディングパッドとの電気的接触を改善してもよい。
【0027】
その他の特定の要素は添付の特許請求の範囲および以下の説明において述べる。これらは特にヘテロバイポーラトランジスタ、発光ダイオード、フォトディテクタを包含している。
【0028】
発光ダイオードは本発明に適している。なぜなら発光ダイオードをUV、可視、赤外領域に渡る連続的な波長範囲から任意に選択された発光波長を有するように構成することができるからである。
【0029】
本発明は量子閉じこめ効果を示すようなナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなる発光ダイオードであって、該コラムはその長さにそって順に、それぞれエミッタ、量子井戸活性セグメントおよびコレクタである第1、第2および第3の半導体長さ方向セグメントを有し、前記第2の半導体長さ方向セグメントは第1および第2半導体長さ方向セグメントのバンドギャップとは異なるバンドギャップを有しかつ発光ダイオードの活性領域を形成する発光ダイオードを提供する。
【0030】
発光ダイオードの特別な用途の一つは、単一光子の発生である。これは様々な応用において有用であり、特に量子暗号において有用である。量子暗号では光子ストリームの権限のない傍受は、量子理論に従って光子の破壊または変化を引き起こし、伝達される信号の劣化を生じさせる(P. Michler, A. Imamoglu, M. D. Mason, P.J. Carson, G. F. Strouse, S. K. Buratto, Nature 406, 968 (2000); C. Santori, M. Pelton, G. Solomon, Y. Dale, Y. Yamamoto, Phys. Rev. Lett. 86, 1502 (2001)を参照)。
【0031】
本発明は1次元ナノ要素からなる単一光子光源であって、その長さに沿って量子井戸を形成するほど十分小さい光学的活性物質部分を有し、量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、使用時には量子井戸が一度に一つの光子を発することが可能である単一光子光源を提供する。
【0032】
本発明による光源の他の形態は遠赤外線を越えるテラヘルツ放射用に設計されている。ルーセントテクノロジーズ(Lucent Technologies)のカパソ(Cappaso)らが開発した超格子について多くの研究がなされている。彼らの「量子カスケード」レーザーはInGaAs/InAlAs/InPヘテロ構造におけるサブバンド間の光子放出を利用しており、波長17ミクロンまでの室温での(パルスモード)動作を達成している。例えばIEEE Spectrum July 2002, pp. 23,24,"Using Unusable Frequencies" and F. Capasso, C. Gmachl, D. L. Sivco, and a. Y. Cho, "Quantum cascade lasers" Physics Today, May 2000, pp. 34-39を参照されたい。
【0033】
本発明は、ナノメートル寸法の径を有するコラムを有するナノウィスカからなり、該コラムは交互に重ねられた第1のバンドギャップの半導体の複数の層と第2のバンドギャップの物質の複数の層とを含んで超格子を形成し、その寸法はテラヘルツ放射を放出するような波数ベクトルで電子が移動するようなものであるテラヘルツ放射源を提供する。
【0034】
本発明による要素、構造、プロセスにおいて、基板から互いに並行に延在する多数のナノウィスカのアレイを形成してもよい。そのようなアレイを形成する様々な方法がある。例えば基板上にエアロゾル粒子のアレイを配置して触媒シード粒子を供給する方法、コロイド溶液から基板上に粒子をデポジットする方法、基板上にナノインプリントリソグラフィ(NIL)(または電子ビーム、UV、X線などの他のリソグラフィプロセス)により所定の形状(四角その他)および厚さの領域のアレイを形成し、それを加熱するとナノウィスカ成長プロセスを進行させるような所望の体積のボールが形成されるようにする方法などがある。
【0035】
このようなアレイは以下にすべて説明するように、フォトニック結晶、多数のフォトディテクタからなる太陽電池、電界放出ディスプレイ(FED)、赤外像を可視光像に変換するコンバータとして用いることができる。
【0036】
本発明のプロセスにおいて、多くのナノウィスカのアレイを用いて、シリコンなどの安価な物質のウエハ基板上にエピタキシャル物質の層を形成してもよい。この分野において、チップを形成できる高価なIII−V族物質の単結晶ウエハの製造は長い間課題であった。シリコンウエハ基板上に単結晶層を形成する研究が数多くなされてきた(例えばWO01/01648参照)。しかし更なる改良が求められている。
【0037】
本発明はその上にエピタキシャル成長を阻害するマスク物質、例えばSiO2またはSi3N4などを成長させたシリコン(珪素)または他の物質の基板を提供する。NILプロセスなどによりマスク物質上にナノメートル寸法の開口アレイを形成し、該開口内に触媒シード形成物質をデポジットする。別の方法としては、基板にシード形成物質のアレイをデポジットし、その後マスク物質の層を基板およびシード粒子領域にデポジットする。加熱することによってシード粒子領域を溶融してシード粒子を生成し、その後所望のIII−V族物質またはその他の物質のナノウィスカの成長を開始する。ナノウィスカの成長後、物質の連続単一層が形成されるまでウィスカを核生成中心として所望の物質の成長を継続する。物質は単一結晶エピタキシャルである。好適にはナノウィスカの端部のシード粒子メルトを適宜の機会に除去して、エピタキシャル層の汚染を防止する。
【0038】
一変形例においては、ナノウィスカの成長に先立って、シード粒子メルトを核生成点として用いてエピタキシャル層のマス成長(mass growth)を行う。該成長の間、シード粒子の下はまだ液相状態である。
【0039】
また別の変形例では、シリコン基板の上面に微小なV溝を形成する、これは例えば<100>基板における<111>エッチングである。シード粒子形成領域をV溝の表面に形成し、これによりナノウィスカは基板に対してある角度で成長し、溝において互いに交差する。これによりナノウィスカ核生成中心からのエピタキシャル層の成長がより効率的になる。また、異なる成長層のドメイン領域間の結晶粒界が防止できる。これは従来プロセスにおいて問題となっていたものである。
【0040】
かくして本発明はその更なる態様において、所望の物質のエピタキシャル層を異なる物質の基板上に形成する方法であって、基板上にある配置のシード粒子物質領域を形成し、シード粒子領域のまわりにマスク物質の層を形成し、前記所望物質のシード粒子領域からナノウィスカを成長させ、ナノウィスカを成長サイトとして用いて前記所望物質の成長を継続し、それによって前記基板上に広がる前記所望物質のエピタキシャル層の形成を継続する方法を提供する。
【0041】
本発明の別の態様では、通常のナノウィスカの<111>方向とは異なる<100>方向に延びるIII−V族ナノウィスカを形成するプロセスを開発した。これには重要な応用用途があり、特に窒化物物質に適している。窒化物物質は<111>方向に成長する傾向があるが、閃亜鉛鉱型とウルツ鉱型とが交互となるため多くの積層欠陥を有する。
【0042】
本発明はナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備し、その上面上にある配置のシード粒子を形成し、基板から当初<111>方向に延びるナノウィスカを前記シード粒子から成長させ、ナノウィスカの成長方向を<100>方向に変更するように前記ナノウィスカ内に障壁物質の短いセグメントを形成する方法を提供する。
【0043】
本発明はまた別の態様において、ナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備し、その上面上にある配置のシード粒子を形成し、基板から当初<111>方向に延びるナノウィスカを前記シード粒子から成長させ、ナノウィスカの成長方向を<100>方向に変更するように前記ナノウィスカの成長条件を変更する方法を提供する。
【0044】
本発明はまたMEMSデバイス、即ちマイクロメカニカルデバイスに用いられる1次元ナノ要素に関するものでもある。
【0045】
一つの態様において、例えばシリコンの基板は一面上に形成された電気的接点領域のマトリックスを有する。それぞれの接点領域に、例えば金の触媒粒子から一つまたは複数のナノウィスカを、基板表面から直立するように生成する。従って、各ナノウィスカあるいは一群のナノウィスカは電気信号によって個々にアドレス可能である。このような構造は神経の末端、場合によっては眼の網膜内の神経の末端に接触させることができ、電極を励起して神経を機能させる修復または人工機能を提供する。このように、例えば眼の網膜に適用した場合、この構造によりある種の盲目を克服することができる。
【0046】
別の態様は神経電極その他の用途で機能することのできるナノウィスカを提供する。このナノウィスカはシリコンまたは金属から形成され、それらは酸化されていてもよく、ウィスカを酸化してその長さに沿って酸化物の層を形成する。しかし、ウィスカ端部の粒子メルトは金その他の酸化不能な物質を含み酸素を含まない状態を維持し、従って電気的接点の形成に用いることができる。この構成はその長さに沿って露出した導電物質を有するナノウィスカよりも精度の高い電気的特性をもたらし、このようなナノウィスカは神経電極やナノウィスカのキャパシタンスが重要となるデバイスに用いることができる。別の例では他の物質を外側の層として、例えばバンドギャップのより高いシェルとして用いてもよい。例えばウィスカがヒ化ガリウムであるなら、外側層はリン化ガリウムとしてよい。
【0047】
ナノ構造の重要な用途の一つはマイクロメカニカル・カンチレバービーム(片持ち梁)である。これは一端で固定されたビームが空間に突出し、外力、即ち例えば電気的な力、または重量による力、または外物による力、または化学的な力によってカンチレバービームに曲げを生じさせる力を受けるものである。この曲げを例えば該構造の電気的キャパシタンスの変化によって検知する。
【0048】
本発明のまた別の態様では、一つまたは複数のナノウィスカがカンチレバーまたは平行なカンチレバーの列として形成されたカンチレバーアレイをなすものを提供し、該ナノウィスカは本発明の上記の態様に従ってその長さに沿って酸化されていても、また酸化されていなくてもよい。このような構成は大きさの序列、またはエッチング加工でビームを作製する従来の構成よりも高い感度を実現する。
【0049】
このようなカンチレバーの一つの用途として、ウィスカがある有機分子または生体物質に感応性を持つコーティングを有する物質から形成され分子がカンチレバービームに接触するとある化学的反応を生ずるような場合に適用される。これによりカンチレバービームにある応力が生じ、ビームに曲げを引き起こす。これを光学的または電気的モニタにより検知することができる。
【0050】
また別の具体的態様では、ナノウィスカが基板上に形成され、実質的に絶縁性の物質層の開口内に突出する。絶縁層の上面上には導電性物質が形成されている、この導電性物質の基板からの高さはナノウィスカの先端と大体同じである。ナノウィスカ上には導電性のシード粒子メルトが置かれている。導電性物質を適宜に励起することにより、ナノウィスカを例えばギガヘルツ域のある固有振動数で開口内において機械的に振動させることができる。一つの振動周期の間に一つの電子が一方の側の導電物質から他方の側へとシード粒子メルトを介して搬送される。これは電流基準発生器を構成し、導電物質を流れる電流Iは振動周波数と電子の電荷eとの積に等しい。即ちI=f・eとなる。
【0051】
ウィスカにある種の分子を引きつける感応性を与えれば、ウィスカ上への分子の付着によりウィスカの慣性特性が変化し、それによって固有振動数が変化する。導電物質を電気的に励起することによりこれを検出ことができる。この方法を用いて分子の重量を極めて正確に計算することができる。
【0052】
ここで、添付の図面を用いて、単なる例としての本発明の好適な実施の形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
ここで本発明によるナノウィスカを製造する方法を説明する。以下で明らかにされるように、この方法は以下に説明する共鳴トンネルダイオードその他の電子部品および/または光学部品の製造に適している。
【0054】
ウィスカは異方性の強い構造であり、結晶表面上の溶融金属小滴(これは意図されたものではない汚染物質として入り込むことが多い)によって空間的な触媒作用を受ける。触媒、即ちシード粒子としては、一般的には金が用いられる。これは金が半導体物質即ちSi、GaやInといった構成物質と共融合金を形成するからである。これらの共融合金の融点はSiおよびIII−V族物質の通常の成長温度よりも低い。溶融金属小滴は極小液相エピタキシー系(miniature, liquid phase, epitaxy system)として作用し、この系では先駆物質が蒸気として、すなわち本件の場合真空中の分子ビームとして供給される。この成長は通常気相−液相−固相成長と呼ばれる。半導体ナノウィスカの電気的および光学的特性は基本的にその結晶構造、形態および大きさによって決まる。特にウィスカの幅における小さな変化は、量子閉じこめ効果によって、エネルギー状態の分離の少なからぬ変化を引き起こす場合がある。従って、ウィスカの幅を自由に任意に選択できることが重要であり、また、ウィスカの長さを延長した場合にも幅を一定に保つことができることが同じく重要である。ウィスカ技術と現在の半導体素子技術との融合を可能にするためには、このことがウィスカを基板上の選択された位置に配置することの可能性と共に必要となってくる。
【0055】
本発明により、結晶基板上に成長する大きさの選択されたエピタキシャルナノウィスカの合成手法が開発された。図3はこの技術で使用される以下に説明する化学ビームエピタキシー装置を図式的に示している。
【0056】
化学ビームエピタキシー(CBE)は分子ビームエピタキシー(MBE)のようなビームエピタキシー手法と有機金属化学蒸着(MOCVD)のような化学ソースの使用とを結びつけたものである。MOCVDや関連するレーザーアブレイション手法においては、リアクター内の圧力は通常10ミリバール以上であり、かつ気体反応物は粘性を有している、即ち比較的高い流れ抵抗を有する。化学物質は基板表面に拡散によって到達する。CBEにより圧力は10−4ミリバール以下に低減され、拡散物の平均自由行程はソース導入口から基板までの距離よりも長くなる。輸送中の衝突はなくなり、輸送は分子ビームとして行われる。このCBEシステムにおけるガス拡散の排除は、基板表面における流れの応答が早いことを意味し、これにより原子的に境界のはっきりした境界面(atomically abrupt interfaces)が自動的に成長する。
【0057】
図3に示すCBE装置はUHV(超高真空)成長チャンバ1001を示し、サンプル1021がヒーター1061に接続された金属サンプルホルダー1041上に設置されている。チャンバの周りにはクライオシュラウド(cryoshroud:低温覆い)と呼ばれる液体窒素で満たされたリング1081が設けられている。クライオシュラウドは衝突しないまたは脱着されない種(species)を基板表面からポンプ排出する。クライオシュラウドは成長表面層の汚染を防止し、メモリー効果を低減する。また、真空ポンプ1101が設けられる。
【0058】
CBEのソース1121は液相であり、これらソースはチャンバより圧力の高いボトルに収容されている。通常ソースはTMGa、TEGa、TMIn、TBAs、TBPである。ボトルは低温浴中に保存され、液体ソースの温度を制御することによって液体上の蒸気の分圧を制御する。この蒸気は複合パイプ1141を介して成長チャンバ内に供給され、成長チャンバの直前のパイプ終端部においてソース注入器1161に供給される。ソース注入器は気体ソースを成長チャンバ1001内に注入するものであり、かつ安定した均一な強度の分子ビームを生成するものである。有機金属化合物TMIn(トリメチルインジウム)またはTMGa(トリメチルガリウム)またはTEGa(トリエチルガリウム)に由来するIII族物質は、低温注入器によって注入して成長種(growth species)の凝縮を防止する。それらの物質は基板表面で分解する。V族物質は有機金属化合物TBAs(第3ブチルアルシン)またはTBP(第3ブチルホスフィン)によって供給される。III族物質の分解とは異なり、V族物質は成長チャンバに注入される前に、高い温度で注入器1161内において分解される。これらの注入器1161はクラッキングセル(cracking cell)と呼ばれ、温度は900℃程度に保たれる。ソースビームは加熱された基板表面に直接入射する。分子は基板表面から十分な熱エネルギーを得て、III族原子を表面上に残してすべてその3つのアルキルラジカルに分離するか、または分子は未分離または部分的に分離した形態で脱着される。これらプロセスのうちのどちらが優勢となるかは、基板の温度と基板表面への分子の到達速度(arrival rate)に依存する。比較的高い温度では成長速度は供給によって律速され、また比較的低い温度ではサイトをブロックするアルキル脱着によって律速される。
【0059】
この化学ビームエピタキシー法によりナノウィスカ内にヘテロ接合を形成することができ、このヘテロ接合は、少数の原子層の間で一つの物質から他の物質に急激に移行するという意味において境界がはっきりしている。
【0060】
本明細書においては「原子的に境界のはっきりしたヘテロ接合(atomically abrupt heterojunction)」とは、2層以下の原子単層の間に生ずる一つの物質から他の物質に移行であって、該一つの物質はその2つの単層の一方の側において少なくとも90%以上の純度を有し、該他の物質は該2つの単層の他方の側において少なくとも90%以上の純度を有することを意味するものとする。このような「原子的に境界のはっきりしたヘテロ接合」は、一連のヘテロ接合およびそれに関連する量子井戸を有する電子部品において量子井戸を境界づけるヘテロ接合の作製を可能とするに十分な明確な境界を持つ。
【0061】
本明細書において、「シャープなヘテロ接合(sharp heterojunction)」とは、5層以下の原子単層の間に生ずる一つの物質から他の物質に移行であって、該一つの物質はその5つの単層の一方の側において90%以上の純度を有し、該他の物質は該5つの単層の他方の側において90%以上の純度を有することを意味するものとする。このような「シャープなヘテロ接合」は、ナノ要素内に一つまたは一連のヘテロ接合を有し、該ヘテロ接合を正確に境界づける必要のある電子部品の作製を可能とするに十分なシャープさを持つ。このような「シャープなヘテロ接合」はまた量子効果を利用した多くの部品用としても十分にシャープである。
【0062】
一つの例として、本発明のナノウィスカにおいて用いられる化合物ABにおいて、Aは第1群から選択した一つ以上の元素を、Bは第2群から選択した一つ以上の元素を表し、選択された第1群の元素と選択された第2群の元素との総比率は、所望の性質を持つように設計された半導体化合物を構成するようにあらかじめ決められる。各群において選択した元素の総比率がその所定比率の90%以上であるとき、該化合物ABは90%の純度を持つと考えられる。
【0063】
例1
図1および3はいくつかのIII−V族物質から成長させた所定サイズのウィスカを示しており、詳しくは幅が10nmから50nmの間のGaAsウィスカである。前に報告されているエピタキシャル成長によるナノウィスカは下部から頂上に向かって狭まるテーパ形状となる傾向があるが、それとは異なり、ここに示したウィスカは、均一な径でロッド状に成長させることができる。触媒としてはサイズを選定した金エアロゾル粒子を用い、それによって表面被覆率をウィスカ径とは独立して変化させることができる。
【0064】
ウィスカ幅は概してシード粒子の径よりもわずかに大きい。これは主に2つの要因による。即ち第1に、金粒子には基板からGaおよび場合によってはAsが取り込まれ、これによって粒子が成長する。第2に、粒子が溶融すると液体キャップの径は合金と基板表面との間のぬれ角によって決まる。単純な仮定で、温度・粒径によっては拡大は50%までになり、粒径とウィスカ幅の間に再現可能な相関関係が導かれる。
【0065】
GaAs<111>B基板10を用い、これをエアロゾルデポジットに先立ってHCL:H2O,1:10内でエッチングして自然酸化物および表面汚染物を除去した。選択されたサイズのAu粒子12を超高純度N2雰囲気のグローブボックス14内に局在的に設置されたエアロゾル設備により生成する。粒子は温度1750℃において蒸発凝縮法(evaporation/condensation method)によりチューブ炉16内に生成され、18においてUV光によって帯電される。粒子は微分型電気移動度分級装置DMA20によりサイズ選択される。DMAは帯電したエアロゾル粒子の空気抵抗を電場内におけるその粒子移動度に対して釣り合わせることにより、粒子サイズを分級する。サイズ分級後、緻密化および球形化するために、粒子を600℃に加熱した。このような設定により、平均粒径からの標準偏差が5%より小さい狭い大きさ分布を有するエアロゾル流れが得られる。粒子はまだ帯電しているので、電場Eにより基板10上にデポジットされた。粒径が10乃至50nmの範囲のサイズ選択されたエアロゾル粒子をウィスカ成長に用いた。
【0066】
エアロゾルデポジット後、いくつかのサンプルをグローブボックス内に設置されエアロゾル形成装置と連結されたTopometrix社製のAFM(原子間力顕微鏡)であるExplorer24に搬入した。これにより、これらサンプルはデポジットおよび操作段階の間、サブppm程度のH2OおよびO2にさらされるのみとなった。AFM探針(tip)を用いて粒子12を選択して所定の配置に設定し、個々のシード粒子の位置決めを完全に制御した。
【0067】
配列されたまたはデポジットされたままのAuエアロゾル粒子12を有するGaAs基板10を化学ビームエピタキシーCBEチャンバに搬入した。あるCBE配置において、GaAs成長は真空/分子ビーム条件下で有機金属ソース、即ちこの場合トリエチルガリウムTEGおよび第3ブチルアルシンTBAによって生ずる。TBAは熱的に予め主にAs2分子に分解される(pre-cracked)のに対し、TEGは通常基板表面に衝突後に分解する。一般的に成長はAs2がやや圧力超過した状態で行われ、これは成長速度がGa流量によって決定されることを意味する。成長の直前に基板をAs2ビームにさらしながらヒーターにより600℃まで5分間加熱した。この工程で、Au小滴はGaAsの構成元素と合金を形成することができ、そのためAu粒子はいくつかのGaを基板から吸着する。このAu/Ga合金は339℃において生成する。この工程は脱酸素工程としても作用し、グローブボックスシステムへの出し入れの際に作られた新たな自然酸化物層を除去する。酸化物は590℃において揮発すると考えられるが、常にそうであるわけではない。酸化物の揮発を高速反射電子回折装置RHEEDによって行うこともできる。搬送が成功すると、結晶性の再構築された面を示唆するすじ状の回折パターンを500℃以下の温度ですでに観察することができる。しかし、酸化物は590℃まで安定したままであることも多く、630℃までという場合もある。ウィスカ成長は基板温度500℃〜560℃の間で、TEG圧力0.5ミリバール、TBA圧力2.0ミリバールで行った。成長後にサンプルを走査型および透過型電子顕微鏡SEM、TEMにより調べた。
【0068】
得られたウィスカはロッド状で、長さに多少のばらつきはあるが、極めて均一な大きさであった。大きさの均一性は明らかに表面酸化物の揮発に依存する。RHEEDの場合に見られるように酸化物が甚だしいサンプルの場合は大きさの均一性が劣化した。したがって、再現可能な結果を得るためには酸素の存在しない環境が望ましい。蒸気の成長温度においては、粒子サイズにかかわらずウィスカのテーパ(先細り)は見られなかった。しかし500℃以下で成長したウィスカについてはテーパの兆候が見られた。温度に依存するロッド状またはテーパ状のウィスカの成長は、ウィスカの長手軸に平行な面上の触媒作用を受けない成長の存否によって説明される。この向きの最も単純な面は<110>面(facets)である。本実験に近い通常のCBE成長条件では<110>面は移動面(migration surfaces)である。しかし、より低い温度ではGaの拡散定数は低下し、これによって<110>面での成長が始まる。MOCVD成長ではGaの移動長(migration length)は更に小さくなり、これが従来一般的なテーパ状ウィスカとなる理由である。
【0069】
図2(a)は10nmの粒子から成長させた幅10±2nmのウィスカのトラス(truss)についてのTEM画像を示す。ウィスカの相対的低密度性は図2(b)のSEM画像によって解明される。図2(b)のSEM画像は40nmのAuエアロゾル粒子から成長させたGaAsウィスカを有するGaAs<111>B基板についてのものである。図2(c)は高解像度TEMマイクログラフによる幅40nmの単一ウィスカを示す。成長方向は、他のグループでも見られるように、最密結晶面(close-packed planes)、即ち立方晶閃亜鉛鉱型構造における111面に垂直な方向である。双晶化欠陥および積層欠陥も観察され、そこではウィスカが立方晶と六方晶とを交互に繰り返している。ほとんどのウィスカが不規則なウルツ鉱型構造Wであるが、Au触媒に最も近接した部分は例外的に閃亜鉛鉱型Zである。なお、SFは積層欠陥、Tは双晶面である。中核部における画像コントラストの変化は六角形断面によるものである。
【0070】
このような成長方法は以下に図4乃至6を参照して説明する異なる組成を有するウィスカのセグメントを有するウィスカを生成する方法に用いられる。この方法はInPセグメント含有するInAsウィスカによって例示される。
【0071】
例2
ナノウィスカの成長諸条件は単層数個分の厚さから数百ナノメートルまでの厚さのヘテロ構造障壁および境界のはっきりした界面の生成を可能なものとし、これにより電子がそれに沿って移動可能な1次元ランドスケイプを生成する。結晶完全性、界面品質および格子定数の変動は高解像度透過型電子顕微鏡によって検証され、0.6eVの伝導帯オフセットがInP障壁上における電子の熱励起による電流から生ずる。
【0072】
本方法において、III−V族ウィスカは気相−液相−固相成長モードにより、金ナノ粒子触媒誘起成長で上述したように成長させる。成長は化学ビームエピタキシー(CBE)用に設計された図3の超高真空チャンバ100内で生ずる。組成の急速な交代は先駆物質原子の共融メルト内への供給によって制御し、これは分子ビームとして超高真空チャンバ内に供給する。異なる組成(例えばInAsとInP)の急速な切り替えは、インジウムソース(TMIn)を止めて成長を中断し、その後III族ソースを変更するというシーケンスによって得られる。最後に、インジウムソースを再び成長チャンバ内に注入することにより、成長再開の必要条件である過飽和条件を再確立する。
【0073】
界面がはっきりしているという点について、図4はいくつかのInPヘテロ構造障壁を含むInAsウィスカのTEM分析を示す。図4(a)は400kVHRTEM(点解像0.16nm)によって記録された最も上の障壁の高解像度画像を示す。図4(b)はHREMの非2次パワースペクトル(nonquadratic power spectrum)であり、成長方向が立方格子の[001]に沿っていることを示している。反射(reflections)はInAsとInPの格子定数の差に起因する微小な裂け目を示している。図4(c)は逆フーリエ変換を示し、これはInP格子から生ずる200反射の部分上にソフトエッジマスクを使用している。対応するマスクを反射のInAs部分上に置いた。2つの像は図4(d)のように重ねられた。
【0074】
図5(a)はInAs/InPウィスカのTEM画像を示している。図5(b)における5nm障壁の拡大図はヘテロ構造界面の原子的完全性およびはっきりした境界を示している。厚さ100nmのInP障壁と並べて、ウィスカに沿って移動する電子が経ると考えられるヘテロ構造1Dエネルギーランドスケイプの1Dポワソンシミュレーション(横方向の量子化は、その寄与分が10meV程度にすぎないので無視する)の結果を示している(図5(c))。これは予想される0.6eVの伝導帯(電子がn型物質内を移動する)のバンドオフセット(q1/4B)を与える。この障害物競走のようなポテンシャル構造は均一なInAsウィスカ内で電子が遭遇する状況とは極めて異なっている、後者においてはオームの法則的な性質(即ち電流(I)と電圧(V)との直線的な(リニアな)依存性)が予想されされ、かつ実際に観察される(図5(d)内の線に示される)。このような直線的な性質は厚さ80nmのInP障壁を含むInAsウィスカについて測定された図示のI−V曲線とは非常に対照的である。ウィスカ内に電流を誘起するのに必要とされる1V以上の電圧バイアスにより、きわめて非直線的な性質が観測される。この電場により誘起された(field-induced)トンネル電流は、電子が通り抜けなければならない実効障壁が狭くなるとき、バイアス電圧の増加につれて急峻に増加する。1Dウィスカ内における理想的ヘテロ構造バンド図式が有効なものであるかどうかをテストするため、熱電子励起によるInP障壁に打ち勝つ電子電流の熱依存性を測定した。その結果を図5(e)に示す。ここでは電流(T2で除する)の対数をアレニウスプロット方式で温度の逆数の関数としてプロットしており、バンドベンディング効果や蒸気のトンネルプロセスを最小化するために低バイアス電圧(V)(10mV)で測定している。実験データポイントに沿って描かれた傾斜線から、0.57eVの実効障壁高さ、q1/4B、が導かれ、これはシミュレーションとよく一致する。
【0075】
このアプローチのもう一つの利点は、1Dウィスカ内にヘテロ構造を実現することが、極めて不整合な(highly mismatched)物質の結合に好都合な条件となることであり、これは近傍側からウィスカ形状の開放側表面への有効な応力緩和によってもたらされる。これに対し、孤立化(islanding)またはミスフィット転移(misfit dislocation)が生ずる以前にはInAsとInPのような異なる格子定数の物質間には原子2、3層程しかエピタキシャル成長せず、理想的なヘテロ界面は形成されない。
【0076】
共鳴トンネルダイオードとヘテロバイポーラトランジスタ
本発明はまた、少なくともその好適な実施形態において、III/V族ナノウィスカにおける異なる半導体物質の設計セグメントのボトムアップ組織化によって得られる機能的1D(1次元)共鳴トンネルダイオード(RTD)を含む。このようなRTDは順に、エミッタセグメント、第1障壁セグメント、量子井戸セグメント、第2障壁セグメント、コレクタセグメント、を含む。当業者には公知のように、RTDにおける各障壁セグメントは、トンネリング(通り抜け)に適した条件の時に電荷キャリアの有意な量子トンネリングが可能となる程度に十分薄くなされる。本発明のナノウィスカ内に作製されるRTDでは、ナノウィスカは中央の量子井戸が実質的に量子ドットとなるように十分薄くしてよい。具体的な例では、エミッタ、コレクタ、量子ドットはInAsから、障壁物質はInPから形成してよい。一つの例において、山−谷比が50:1まで達する良好な共鳴トンネル現象が見られた。
【0077】
本発明では、半導体ナノウィスカを用いて1Dヘテロ構造デバイスを作製する。ウィスカは気相−液相−固相成長モードによって成長させ、上記の例1および例2においてより詳しく述べたようにAuエアロゾル粒子をシードとしかつ該粒子によって大きさを制御する。成長は超高真空条件下で化学ビームエピタキシーチャンバ内において行い、その際Au粒子と反応物との間の共融メルトの過飽和がウィスカ成長の推進力として作用する。
【0078】
ウィスカへのヘテロ構造セグメントの導入は以下の切り替えシーケンス(前により詳細に説明した)によって実現される。III族のソースビームをオフにして成長を停止させ、そのすぐ後にV族ソースを変える。ひとたびIII族ソースをチャンバ内に再導入すれば、過飽和が再確立され、成長が続く。以下に述べる例で用いる物質系は、エミッタ、コレクタ、ドットについてはInAs、障壁物質としてはInPであった。エアロゾル粒子は最終的なウィスカ系が40〜50nmとなるように選定した。活性要素として単独のナノウィスカを有する接点を設けた電子デバイスを作製するために、ウィスカを成長基板からSiO2キャップを有するシリコンウエハ上に移送した。該シリコンの上には大きなボンディングパッドが透過型電子顕微鏡(TEM)グリッドマスクを介してAu金属蒸着により前もって形成された。図6(b)はナノワイヤデバイスの走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、ナノワイヤ上に金属電極を位置決めすることにおいて100nm以上の精度を実現しうる、電子線リソグラフィのアライメント能力を示している。図6(d)は一組の単一障壁デバイスにおいてInP障壁の厚さを80nmからゼロまで変化させたときの電流−電圧(I−V)特性を示す。より厚いInPセグメントは電子輸送に対して理想的なトンネル障壁として作用し、障壁を有効に薄くすることによって、サンプルに大きなバイアスが加えられた場合に、この障壁を越える熱励起(測定値およそ0.6eV(23))またはトンネリングのみが可能となる。図6Dより厚いInP障壁を通り抜けて流れる電流はほとんどないことがわかる。より薄い単一障壁を含むサンプル(図2(c)では量子トンネリングが可能であり、電子は厚さおよそ10nm以下の障壁を通過することができる。極限として障壁厚さがゼロの場合には、I−V特性は少なくとも4.2Kまで完全に直線的となる。結晶品質を立証しかつヘテロ界面の明確さ(abruptness)を評価するために高解像度TEM検査を実施した。図7(a)は、<111>InAsナノウィスカにおける厚さ5.5nmのInP障壁の拡大したものであり、(111)面がはっきりと見える。図7(a)の領域の積分プロファイル(integrated profile)から、界面の明確さは1〜3格子間隔分であることがわかった。より軽いバンド(lighter band)における格子フリンジ間の平均間隔は0.344nmであり、InPのd111=0.338とよく一致する。図7(b)は図7(a)の四角で囲んだ領域の1次元的積分プロファイル(one-dimensionally integrated profile)である。画像コントラストの格差から判断して、障壁の幅は5.5nm(16格子間隔)であり、界面の明確さは1〜3格子間隔程度である。界面周囲の屈曲および応力コントラスト(bend and strain contrast)によりバックグラウンドはリニアではない。InPとInAsとの間の格子間隔の差は3.4%であり、これは格子格差の理論値(3.3%)とよく一致する。
【0079】
ヘテロ界面は高品質の量子デバイスを作製するのに十分なほどはっきりしていることがわかったので、二重障壁共鳴トンネルデバイスの実現を期待することができる。障壁厚を5nmに選定した。図8(a)に幅40nmのナノウィスカ内に形成されたこのような二重障壁構造のTEM画像を示す。障壁厚は厚さ15nmのInAs量子ドットのどちらの側でもおよそ5nmである。TEM画像の下(図8(b))にこのデバイスの予想されるエネルギーバンドダイアグラムを示す。長手方向の閉じこめ(Z−方向)はドットの長さによって決まり、横方向の閉じこめ(垂直方向)はウィスカの直径に依存する。このデバイスでは最下位の横方向量子化レベル(transverse quantized level)のみが占有され(5meVのオーダーのスプリット)、示されたフェルミエネルギーが電子で満たされる最上位の占有される長手方向状態を決定する。2つのInP障壁の間に中央量子ドットの完全に量子化されたレベルが示されており、エミッタ領域において同じシーケンスが横方向の量子化レベルについて図式的に示されているが、量子ドットの長手方向の量子化状態とElz=40meVの基底状態の近似的量子化エネルギーとの間のスプリットはより大きい(100meVのオーダー)。バイアスがゼロのときは電流はゼロとなるはずである。これはドットとエミッタの間のエネルギー量子化の差異により、どのエミッタの電子状態も中央ドットの状態と一致することはないからである。バイアスが増加するにつれ、ドットの状態は低エネルギー側へと移動し、最下位ドット状態がフェルミレベルと並んだときに電流が増加しはじめる(ここではフェルミレベルがエミッタ内の2つの最下位状態の間にあると仮定している)。ドット状態が第1のエミッタ状態以下に低下すると、電流は再びゼロに落ち、特徴的な負の差抵抗(negative differential resistance)となる。
【0080】
この1D・DBRTデバイスの電気的特性を図8(c)に示す。この図はこうしたデバイスにおいて予期されるように、ほとんど理想的なI−V特性を示している。このI−V曲線はバイアスが70mV程度より下の場合、電流がゼロであることを示しており、これは電子がエミッタからコレクタへ移動するためには2つの障壁と中央のInAsセグメントを通り抜けなければならないというバイアス条件に対応している。バイアスが約80mVのあたりにI−V特性の鋭いピークが認められ、バイアスの半値幅はおよそ5mVである(共鳴のエネルギーの鋭敏さ(sharpness)に換算すると約1−2meV)。この80mVピークの山−谷比は非常に大きく、およそ50:1であり、検査した他のサンプルにおいても見られた。深い谷の後で電流はおよそ100mVのバイアスの間再び増加し、いくつかの未解決のショルダー形状(unresolved shoulder features)が上昇スロープに見られる。増加するバイアス電圧におけるI−V曲線は減少するバイアス電圧におけるものと一致していることに注目してほしい。これはデバイス特性が再現性の高いものであり、かつヒステリシス効果は無視できるものであることを示している。また、80mVは逆のバイアス極性に対しても同様に出現する。この場合ピークはほんの少し(5mV)ずれるだけであり、デバイス構造の対称性が高いことを示唆している。従って、これらの結果は、半導体ナノワイヤ内部の単一ヘテロ構造障壁の障壁特性および物質についての情報を示しており、これは障壁を越える熱励起のみが可能であるような厚い障壁と障壁を通るトンネリングが支配的な単一のバリア厚さとのギャップを橋渡しするものである。
【0081】
このアプローチにより、高いデバイス品質を有し、エネルギーの鋭敏さ(sharpness)が1meV程度であり、山−谷電流比が50:1である1次元二重障壁共鳴トンネルデバイスを作製した。
【0082】
ここで図9を参照すると、共鳴トンネルダイオードの好適な実施形態が図示されており、このダイオードは2ミクロン離間したコレクタとエミッタの接点42、44の間に延在するナノウィスカ40を有している。ウィスカの第1および第2のInAs部46、48はそれぞれ接点42,44と電気的に接触している。InPの障壁部50、52はInAsの中央量子ドットすなわち中央量子井戸部54をエミッタ部およびコレクタ部から隔てている。部分54の長さはおよそ30nmである。正確な寸法は適切な量子閉じこめを実現するように、バンドギャップ障壁高さ等に基づいて選定する。
【0083】
このダイオードは従来のRTDと同様に動作する。動作理論の説明は例えばFerryとGoldnickによるTransport in Nanostructures, CUP1999, pp94以下を参照されたい。
【0084】
図9のRTDにおいて、セグメント50、52は図10に示すように広いバンドギャップの絶縁物質で置き換えてもよい。図10は絶縁セグメントを有する実施形態を示している。ゲルマニウムウィスカ100は上述したプロセスによって成長させたものであり、シリコンの短いセグメント102を有している。格子不整合はウィスカの径方向外向きの膨張によって調節される。このシリコンドットを熱によって酸化しゲルマニウムウィスカ内に大きな二酸化シリコンスペーサ104を与える。これは極めて安定な大きなバンドギャップオフセットを有する。シリコンの代わりにアルミニウムを用いてもよい。この実施形態は例えば図9の実施形態におけるトンネル効果に用いることができる。
【0085】
図9の実施形態のコレクタおよびエミッタ部分との電気的接点の形成については、別の方法で行うこともできる。図9に示すように、ウィスカを大きな金属化ボンディングパッドを横切って位置決めしてもよい。あるいはまた、ナノウィスカをその位置を適切な走査方法で確かめながら基板上に配置し、その後金属化プロセスによりウィスカの端部上にボンディングパッドを形成してもよい。又別の方法としてはナノウィスカを基板から延在するままにし、そこでナノウィスカがその基部(ベース)において電気接点と接触し、その後ウィスカを樹脂またはガラス材で封入して、更に該封入の上から電極を形成してウィスカ先端との電気的接点を形成する。この後者の方法は他の電機部品や回路との一体化(集積化)に適している。
【0086】
図11乃至14は本発明の一実施形態を開示している。この実施形態はヘテロ接合バイポーラトランジスタ(ヘテロバイポーラトランジスタHBT)からなる。これは異なるバンドギャップ物質が用いられている従来のバイポーラトランジスタとは異なるものである。一例としては、ウィスカ110はGaPのエミッタセグメント112を有してもよく、これはPドープSiのベースセグメント114と結合され、該ベースセグメント114はNドープSiのコレクタセグメント116と連結されたものであってよい。金属化電極118は各セグメント112,114,116と接触する。図12はHBTのバンドギャップダイアグラムである。エミッタのバンドギャップが相対的に広いので、ベースからエミッタへの小電流(minority current flow)は禁じられる。ベースとコレクタの間の空乏領域はドープがP型からN型に徐々に変化していることを特徴とする。また別の例ではベースおよびコレクタを化学量論的組成の3要素または4要素物質から形成してもよく、該組成は多数の格子面、たとえば100乃至1000の格子面を介して徐々に変化し必要とされる空乏領域場をもたらす。組成に伴うエネルギーバンドギャップの変化を、3要素の混合であるAlXGa1−XAsについて図13に示す。
【0087】
図14は様々なIII−V族物質についてバンドギャップエネルギーおよび格子パラメータの変化を示す。本発明のナノウィスカ形成方法により、広く異なった格子パラメータの分子(例えばGaN/AlP)のヘテロエピタキシャル接合が可能であり、格子不整合はウィスカの径方向膨張によって調整されることがわかる。
【0088】
光学部品
図15は1個の光子を射出可能な極小のLEDを図式的に示している。1個の光子の射出は例えば量子写真や分子種内の個々の分子の検出用として重要である。ウィスカ150はヒ化インジウムから作られた内側領域156の両側にリン化インジウムのアノードおよびカソード外側領域152を有し、量子井戸を形成している。領域152はそれぞれ金属化領域158に形成されたアノードおよびカソード電気接点に接続されている。格子整合の必要性および不整合歪み解放の必要性から可能な波長が限られている平面デバイスとは異なり、本実施形態の重要な点はLEDの波長が全般的に可変であるところである。これは所望の射出波長を実現すべく、ダイオードを構成する物質を所望の任意の物質としてよいからである(上に説明した図14を参照)。なぜなら格子不整合はウィスカの径方向外向きの膨張によって調整されるからである。物質は化学量論的組成としてよいので、波長を1.5eVから0.35eVの範囲で連続的に変えられる。1次元構造は従来の層構造に比してかなり少ないプロセスしか必要とせず、また自己組織化プロセスにより生成され、すべての構造が電気接点の間に備わる。レーザー構造が求められる場合は、ファブリ・ペロー裂開面159が適度な離間距離で形成される。別の例では領域159が超格子からなるミラーとして形成される。当業者には公知のように、この超格子はInP/InAsの交互に交代するシーケンスとして形成されてもよく、該シーケンスは格子面数個分のみで交代する。
【0089】
LEDやレーザーその他のマイクロキャビティ構造は窒化ガリウム(GaN)で形成されることが多い。窒化物は多くの利点を有するとはいえ、特に光学的に以下のような問題がある。まず第1に窒化物は転移(dislocations)に満ちていること、第2に適切な基板がないこと(普通に用いられる基板の一つとしてサファイアがある)である。ウィスカは欠陥のない窒化物として作製することができ、基板に対する格子不整合の問題はない。図15に示す構造を有する大きさが300nm以下、好適には100nmオーダーの規則的なFPレーザーを作製することが可能である。これはボトムアップ構造であり、DVDの読みとりおよび書き込みに適している。窒化物系はウィスカ成長には極めて適している。
【0090】
光源射出領域156はおよそ20nm3ほどに小さくすることが可能である。これは点光源の極限的な例を表しており、図16に図式的に示すように個々の生物細胞160を局所的に励起するために用いることができる。光源156は細胞160を励起する近接場162(指数的に減衰する)をもたらす。これは光源と対象との距離が波長の数分の一であるからである。これはDNA配列決定において有用であり、図に示されているように、光源156はガラスキャピラリーチューブ166の溝164に設置することができる。細胞はチューブに沿って流体混合物の一部として光源156を通過して流れる。
【0091】
図17はナノインプリントリソグラフィ(NIL)に適用した本発明の実施形態を示す。この例において、点光源を提供するウィスカ156のアレイ170は電源172から個々にアドレス可能である。該アレイはレジスト物質176の表面上を移動可能なキャリッジ174上に設置されている。キャリッジは20nmステップで移動可能で、各ステップで物質176を近接場光により照明すべく、各ウィスカ156に選択的に通電しレジスト176内に所望の現像可能なパターンを形成する。
【0092】
図18(a)は本発明によるフォトディテクタを示す。例えば、ナノウィスカ180は金属化された接点パッド182の間に延在するものとしてよい。パッド182とウィスカ180の間の接触領域が小さいため、典型的には10KΩ〜100KΩという高い接触抵抗がある。ウィスカはNドープリン化インジウム部分184とPドープリン化インジウム部分186とを有し、その間にP−N接合部188がある。この接合部は境界のはっきりしたものでもよく、あるいは多くの格子面に渡るものでもよい。この構成は波長1.3ミクロン乃至1.55ミクロンの光の検出に適している。図14に示すように所望のどのような組成的「整合」(compositional “match”)を用いてもよく、従って物質を変えて、1.55ミクロン以下のいかなる波長を検出するようにもすることができる。別の例として、PINまたはショットキーダイオード構造を用いてもよい。図18(b)に示すように、PIN構造は2つの半導体部分184および186の間に真性半導体物質セグメント188を有している。ウィスカは図10に関連して説明したもののように構成される。ショットキーダイオード構造は、図18(c)に示すように、金属化接点として形成されたベース部分189を有し、そこからウィスカが延在する。接点とウィスカとの間の界面がショットキーダイオードを構成する。放射検出の周波数の下限は、電磁スペクトルのテラヘルツ領域にある。
【0093】
図19(a)は図18のフォトディテクタ構造の太陽電池への応用を示す。それぞれPドープ部とNドープ部191、192を有する数百万のウィスカ190がドープ(P+)された基板193上に形成される。ウィスカは基板193上に例えばエアロゾルによって付着された金またはその他のナノ粒子を用いた成長過程により形成される。ウィスカはプラスチック194に封入してもよく、またその上面にウィスカの自由端と接触しウィスカの長さに沿って電流が流れることを許容する透明な酸化スズ電極196を有してもよい。各ウィスカの信頼度は100%なので、この構造は光の捕獲に非常に適している。全体的な効率は35%〜50%の間であり、マルチバンドギャップ太陽電池における使用に適している。これに対し、300℃で成長させたアモルファスシリコンの効率は約10%である。結晶シリコンの効率は約15%であり、また400℃で成長させた宇宙空間で用いる特別用途のIII−V属太陽電池の効率は25%までである。宇宙空間で用いるためのグレッツェル太陽電池はソーラーパネルに適当な染料と共に塗布された二酸化チタンナノ粒子を有しており、このような電池の効率は約8%までである。
【0094】
図19(b)に示す変形例においては、太陽電池アレイの各ウィスカを197で示すようにその長さに沿って異なる物質198の異なるセグメントを有するように変形している。これらの物質はP−N接合が異なる波長の光を吸収するように選定している。ウィスカ長さ方向でウィスカの特定の波長に対する感度が最も高くなる点は、太陽電池の正確な構造および該構造内における反射や屈折などの要因によって決まる。
【0095】
図19(a)、19(b)の実施形態は成長条件が安価であり、かつまた高価な物質をほとんど必要としないので安価である。別の構成ではウィスカをシリコン(最も安価)またはゲルマニウムにすることもできる。ウィスカの長さは1乃至2ミクロンである。PN接合はウィスカ長さの一部にドープすることによって、あるいは図18(c)に示すようにウィスカのベース部にショットキー障壁を形成することによって実現する。
【0096】
図20に示す実施形態は、超長波長(例えばテラヘルツ周波数)の赤外放射源である。リン化インジウムのナノウィスカ200はリン化インジウムのスペーサストライプ204によって分離された非常に薄い一連のヒ化インジウムのストライプ202を有している。このストライプは上に説明したプロセスによって成長させる。各ストライプ202、204の幅は格子面数個分であり、ストライプによって超格子206が形成される。電極接点208を通じて電圧を加えることにより、電子は超格子を移動する。超格子は一連の量子井戸バンドギャップ(ポテンシャル井戸)を形成し、これがブロッホの定理により許容される領域の電子波数または運動量kの伝導帯を与え、これらの許容される領域がテラヘルツ周波数に対応することによってテラヘルツ放射を生成する。
【0097】
図21(a)−21(d)はフォトニック結晶としての本発明の実施形態を示す。フォトニック結晶はよく知られており、例えば同時係属中のWO01/77726を参照されたい。概して従来のフォトニック結晶形成方法は基板内に所定の格子パターンでエアホールをエッチングする工程を含んでいる。本実施形態の構想は基板上に結晶格子パターンを規定するためにパターニング技術を用いるというものであるが、ホールをエッチングするのではなく、ナノウィスカを成長させて結晶を規定する。この技術には多くの有利な点がある。なぜならエッチング技術がウィスカを成長させるボトムアップ技術に比べて信頼性が低いからである(エッチングは基板表面を損傷する)。従ってウィスカ技術の方がより高精度、高品質かつ簡単であり、また、必要とする工程数が少ないので経済的である。
【0098】
図21(a)を参照すると、基板210は距離300nmで離間する約300nm2の金の正方形パッチ212の三角形格子パターンを有している。該パッチは電子ビームリソグラフィまたはUVリソグラフィまたはナノインプリントリソグラフィ(NIL)工程により形成されたものである。基板は金をデポジットする前に、酸化物汚染のない清浄な基板としてはじめに用意しておく。基板を加熱して金の四角片を溶融し、図21(b)に示すように直径100nm程度のボール214を形成し、その後アニールする。そして例1で説明したプロセスにより約100nmの幅でウィスカ216を成長させて図21(c)に示すフォトニック結晶を形成する。
【0099】
本発明によれば、ウィスカ形成により3次元フォトニック結晶を規定することが可能である。これは図21(d)に示すように、異なる物質のセグメント217、218のシーケンス、例えばInAs/GaAsなどのIII−V族物質やGe/SiなどのIV属物質を交互に交代するシーケンスにより例2の方法に従って個々のウィスカを形成し、各ウィスカに沿って間隔をおいた適切な屈折率を有するセグメントを設けてフォトニックバンドギャップを形成することによって実行することができる。
【0100】
III−V族物質の単結晶層
図22(a)〜22(g)は基板上に所望の物質のエピタキシャル層を成長させるための本発明の実施形態を示す。図22(a)および22(b)に示すように、シリコンまたはゲルマニウムのヒ化物基板220を金またはインジウムまたはガリウムの四角片222の上面上に形成する。これらの四角片はNILスタンプ223により、または例1に説明したようにして基板上に配置する。たとえば二酸化シリコンまたは窒化シリコンの数ナノメートル幅の誘電体物質であるエピタキシャルマスクデポジット224を基板220上の四角片222の周りに形成する。熱を加えて図22(c)に示すように四角片をボール226にアニールし、図22(d)に示すように例えばInPまたはGaAsのウィスカ228を成長させる。別の例では、デポジット224として炭素ベースの物質を用いる(炭素ベースの物質は誘電体物質が脱着されボールがアニールによって形成されたときに粒子を安定させる)。ボールはバルク成長即ち所望物質の層のためのシードオープニング(seed openings)として用いられる。誘電体層は基板と結晶層間の格子不整合効果および原子結合を防止する。図22(e)に示すように、ウィスカはInPまたはGaAs229のバルク層と共に成長する。ウィスカから層へと成長条件が徐々に変化する。このようにして、欠陥を形成しないウィスカ上の核生成(nucleation)がもたらされる。小さな核生成ステップが存在し、歪み効果は転移を起こさないように思われる。物質がIII−V族物質である場合の重要な利点は、ミスフィット転移を起こすことなく基板上に格子不整合層を形成する点である。
【0101】
図22(f)に示す変形例においては、金ボール226を例1の方法によってエアロゾルから基板上にデポジットする。エピタキシャルマスクデポジット224をボールの上から形成する。その後図22(d)のようにウィスカを成長させる。
【0102】
本発明による更なる開発により、ウィスカは<111>B方向に優先的に成長する傾向があることがわかった。これはヒ素原子がピラミッドの頂点に位置しガリウムイオンがピラミッドの基部に位置するヒ化ガリウム(閃亜鉛鉱型格子)のためである(図23(a)を参照)。本発明の好適な実施形態を図23(b)に示す。この実施形態ではシリコン基板230は<111>面が露出するようにエッチングされた顕微鏡的寸法のV溝232を有するセレーション面を有している。金粒子234はV溝の表面にデポジットされる。図23(c)において破線で示すGaAsウィスカ236は例1に従って成長させたものであり、セレーションの壁面に垂直に延びる。これらウィスカはGaAs層238のバルク成長の核生成点を提供する。ウィスカから層へと成長条件は徐々に変化する。こうして欠陥を形成することなくヒ化ガリウムの核生成が生ずる。転移を生じさせるいかなる小さな核生成ステップや歪み効果も起こらない。基板に対して角度を持った<111>方向のウィスカ方向は、ある方向へのエピタキシャル成長を強いるものであり、これまで問題であった反対位相ドメイン(antiphase domain)の問題を排除する。従って、これによりIII−V族化合物をシリコン(または他のIV族)基板上に一体化する方法を提供し、これはまた既存の方法よりも安価である(例えばPCT公開特許出願WO02/01648を参照)。
【0103】
図19に示す太陽電池に対する応用においてV溝基板は更なる利点を有する。即ち、セレーションを設けた基板は入射光の複数の反射を生じさせ、それにより格子捕獲の可能性を増加させる。
【0104】
図24はウィスカの配向を制御するための好適な実施形態を示している。すでに述べたように通常はIII−V族化合物のウィスカは<111>B方向に成長する。ここで問題となるのはそのようなウィスカは多かれ少なかれ、六方(ウルツ鉱型)(図24(a))構造と立方(閃亜鉛鉱型)(図23(a))構造の間で変化することである。これにより多くの積層欠陥が生ずる。積層欠陥は特に光学的特性に関して常に問題であり、また電気的特性に関しても問題である。生成中にウィスカに歪みを与えることにより、そして成長条件を変えることにより、ウィスカの成長方向を<100>方向に変えることができ、これによって積層欠陥を持たない立方格子構造(閃亜鉛鉱型)を得ることができる。
【0105】
図24(b)において、<100>面を有するシリコン基板240はその上に成長させた、例えばInPからなるウィスカ242を有する。ウィスカは244のように<111>方向に成長しはじめるが、初期成長のすぐ後に成長速度とCBE装置内の温度および圧力を増加させて条件を変更することにより、246のように<100>方向に継続して成長する。方向が変わる点248は<110>面(facet)である。この移行においてウィスカはエピタキシャル結晶性を維持する。セグメント246における結晶構造は六方稠密であり、これにより積層欠陥の問題を少なからず低減する。
【0106】
他の成長方法では、点248において例えばInAsなどの広バンドギャップ物質の短い障壁セグメントを成長させる。これはウィスカの後続方向を変更することと同様の効果をもたらす。
【0107】
従って、この実施形態は六方格子として成長する性向を持ち積層欠陥を生じやすいGaNなどの窒化物の成長に特に適している。窒化物結晶を「強制的に」立方形に成長させることにより積層欠陥が低減される。更に、例2に従って作製された、ウィスカに沿った異なる物質のセグメントを有する構造においては、窒化ガリウムレーザー用のマイクロキャビティ構造を作り出すことができる。窒化物系はウィスカ成長に極めて適している。窒化物の問題点は、転移に満ちていること、および適切な基板がないこと、である。ウィスカを欠陥のない窒化物で作ることができ、格子整合の問題は存在しない。100nmオーダーの規則的なFPレーザーを長さ300nm以下のナノウィスカ内に作製することが可能である。これはボトムアップ構造であり、DVDの読みとりおよび書き込みに適している。
【0108】
続いて図25の実施形態について説明する。この実施形態は電界放出端部(field emission tip)即ちSpindt型カソードに関するものである。これは電界放出ディスプレイ(FED)に使用することができ、このようなディスプレイを製造する多くの方法が提案されている。図25(a)に示す一従来技術の構成は、表面252を有するシリコン基板250を有し、該基板はレーザーアブレイションなどによってパターニングされ、微細なナノメートルサイズの先端部(tips)253を形成している。該先端部に隣接して蛍光スクリーン254が配置され、先端部とスクリーンとの間の電圧により先端部に極めて強い電界が生ずる。これによりスクリーンに電流が流れ、スクリーンから可視光が放射される。
【0109】
図25(b)に示す本発明の実施形態は、FEDからなり、ディスプレイの各要素に個々にアドレス可能である。エッチングされた接触金属化領域256をシリコン基板上に形成する。金シード粒子258を例1の方法に従って各金属化領域に配置する。金粒子はSiウィスカ259成長時のウィスカ成長のシードとして用いられ、各ウィスカはそれぞれの金属化領域から伸延する。一つのディスプレイ要素を形成する図示のような単独のウィスカまたは一群のナノウィスカが、各金属化領域から伸延してもよい。個々にアドレス可能であることに加えて、本実施形態のもう一つの利点は、例えばカーボンナノチューブ(CNT)などの従来技術の方法とは異なり、FEDの信頼性が100%であることである。
【0110】
図26は赤外線を可視光にアップコンバートするための実施形態を示している。波長1.55乃至2.5μmの赤外線放射画像260がヒ化ガリウム基板262のベース面を照らしている。該基板は比較的大きなバンドギャップを有する物質であり、この放射とは相互作用しない。基板の他方の面は例1で説明したように成長させたヒ化インジウムのウィスカ突起264を有しており、そのバンドギャップは比較的小さく、該放射の光子の吸収が生ずる。しかし図25の例とは異なり、ウィスカ264に個々にアドレス可能ではない。ウィスカ端部と近接する蛍光面266との間に約20〜50ボルトの電圧が印加され、ヒ化インジウムウィスカから電子が発生する。ヒ化インジウムは3ミクロンに相当するバンドギャップを有し、従って3ミクロンより短い放射に応じて電子を生成する。代わりにリン化ガリウムを用いてもよいが、この場合可視光相当のバンドギャップとなる。放出された電子は蛍光を引き起こし、蛍光スクリーンから可視光268が放射され、可視光波長にアップコンバートされた形態の画像となる。印加電圧は雪崩効果を誘起する程度まで高めてもよい。
【0111】
図27は本発明の一実施形態を示す。該実施形態では長さ400nmのGaAsウィスカ270(例1に従って作製される)がシリコン基板274上の金属化接触領域272から延在する。その大きさは1.55ミクロン放射の1/4であり、従ってウィスカは1.55ミクロン放射に対するλ/4共振アンテナを提供する。接触領域272は基底面(ground plane)を提供する。アンテナは放射276を自由空間において受信するように配置してもよいし、あるいは第3の光学窓において放射を検知するためのシリカファイバリンク278の端部に隣接して配置してもよい。
【0112】
図28はスピントロニクスの分野で用いる本発明の一実施形態を示す。スピントロニクスは電子デバイスの特性が該デバイスを介しての電子スピンの搬送に依存する技術分野である(例えば、Scientific American June 2002 pp 52-59, “Spintronics”, David D. Awschalom et al.を参照)。図28において、例1のプロセスにより形成されたヒ化マンガンガリウム(manganese gallium arsenide)(半磁性(semi-magnetic))またはヒ化マンガン(強磁性)のような磁性または半磁性物質からなるウィスカ280をSi基板上に形成する。印加電圧Vの下で、スピン偏極電子283がウィスカの先端から放出され、これにより基板286上におかれた電気接点284との電気的接触をもたらす。スピン偏極電子283は基板286上に配設された磁気記憶装置288の読みとり・書き込みに用いる。
【0113】
この実施形態を更に発展させることにより、一つの問題が解決される。即ち強磁性において、普通強磁性領域の幅におよそ10〜15nmという下限があり、それより下では強磁性は超常磁性に変化する。しかし例1の方法によりナノウィスカ内に取り入れると、領域径を低減することができる。これは1次元系において対称的整列の可能性が低減するためであり、これは物質のイオンが2以上の方向を向くことを更に難しくする。ウィスカ物質は鉄、コバルト、マンガンまたはそれらの合金としてよい。
【0114】
図29はまた別の実施形態を示す。この実施形態は例えば眼の網膜などの神経機能の修復のために神経内に移植する電極アレイを有する基板を有している。電極は個々にアドレス可能である。エッチングされた接触金属化領域350をシリコン基板352上に形成する。金シード粒子354を上に述べた方法で各金属化領域に配置する。金粒子はSiウィスカ358成長時のウィスカ成長のシードとして用いられ、各ウィスカはそれぞれの金属化領域から伸延する。一つの電極要素を形成する図示のような単独のウィスカまたは一群のナノウィスカが、各金属化領域から伸延してもよい。個々にアドレス可能であることに加えて、本実施形態のもう一つの利点は、電極の信頼性が100%であることである。
【0115】
図30はまた別の実施形態を示す。この実施形態は上に述べた方法で生成されたナノウィスカ360を有する。ウィスカはシリコンで形成され、一端362に金粒子メルトを有する。ウィスカの生成後、ウィスカを適切な温度で大気にさらしシリコンを酸化させる。これにより、ウィスカを包囲しその長さに沿って延在するシリコンダイオードの外殻364が形成される。金粒子メルト362は未酸化状態を維持する。従って、これは図29に示す電極アセンブリに極めて適した構造を提供し、電極は非常に正確な電気的特性を有する。シリコン物質は酸化可能な他の物質と置き換えてもよい。
【0116】
別の例では、ウィスカ360を適切な物質の雰囲気にさらし、酸化層364に代わってバンドギャップの広い物質を形成してもよい。
【0117】
図31はシリコンベース部材370を有する本発明のまた別の実施形態を示す。このベース部材は板状の基板あるいは単なるバーであってもよい。いずれにしても、バーあるいは基板の一つの端面上にナノウィスカ372が一列に形成される。ナノウィスカは等間隔で離間し、空間に突出する。ナノウィスカ上に或る分子構造を吸収するコーティングを設けてもよい。いずれにしても、このカンチレバービーム(片持ち梁)構造を分子種の測定などのためのカンチレバー構造など公知の用途に用いることができる。
【0118】
図32は分子検知装置からなる本発明のまた別の実施形態を示す。例えば窒化シリコンの基板380は、その上に形成された絶縁層382を有する。該絶縁層は例えば金の導電表面384を有している。開口386を層382,382内に形成し、ナノウィスカ388を該開口内に形成する。
【0119】
これは本質的に自己組織化プロセスとして行われる。なぜなら、開口が絶縁層382に形成されかつ金の層384がその後デポジット(堆積)されるからである。従って、金は結果として389で示すように開口の底にデポジットし、加熱することにより、ナノウィスカを適切な条件下で生成することを可能とする金粒子メルトを形成する。金粒子メルト389は完成したナノウィスカの頂部に位置する。ナノウィスカの高さは、粒子メルト389が少なくともほぼ金表面層384と同一平面となるような高さである。
【0120】
ナノウィスカは本来的に弾性を有するので、その長さ方向を横断する横方向の固有振動数を有する。粒子メルト389の振動を、導電層384に生ずる電圧または電流信号によって検出することができる。これは即ちナノウィスカ388の振動周波数を検出する手段を与える。
【0121】
電圧を印加することによって導電物質を適切に励起することにより、ウィスカを例えばギガヘルツ帯の或る固有振動数で開口内で機械的に振動させることができる。これは、寸法および電流が小さいことに鑑みて、一つの振動周期の間に単一の電子が導電物質の一方の側から他方の側へとシード粒子メルトを介して搬送されるからである。これは電流基準生成器(current standard generator)を形成し、導電物質を流れる電流Iは振動の周波数fと電子の電荷eとの積に等しい、すなわちI=f・eとなる。これにより、しかるべき状況で利用することのできる既知の基準信号が発生される。
【0122】
また、粒子メルト389をレセプタ物質でコーティングして、粒子メルト389の表面に或る分子種を吸着するようにしてもよい。これにより、ナノウィスカの固有振動数が変化する。この振動数の変化を検知することにより、メルト389の表面に吸着された分子種の質量を計算する手段を得ることもできる。
【0123】
図33はシリコンの可撓なビーム(梁)394の端部に形成されたInPナノウィスカ392を有する走査型トンネル顕微鏡(STM)を示す。ビーム394は基板またはバーをエッチングすることにより形成する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】ナノウィスカを形成するための本発明の製造手法を図式的に説明する図であって、 (a)は、選択された大きさのAuエアロゾル粒子のGaAs基板への付着を示す。 (b)は、ナノウィスカを位置決めするための粒子のAFM操作を示す。 (c)は、AuおよびGaの共融メルトを表面から作り出す合金過程を示す。 (d)は、GaAsウィスカの成長を示す。
【図2】(a)は、10nmのAuエアロゾル粒子から成長させたGaAsナノウィスカのTEM顕微鏡写真である。(b)は、40nmAuエアロゾル粒子からGaAsウィスカを成長させたGaAs<111>B基板のSEM顕微鏡写真である。(c)は、Auクラスターから成長させたGaAsウィスカ高解像度電子顕微鏡画像(400kV)である。挿入部はウィスカを一部拡大して示す。
【図3】本発明の方法を実施する装置を図式的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるいくつかのInPヘテロ構造を含むInAsナノウィスカの、逆格子空間分析を用いた組成プロファイルを示す図であり、 (a)は、径が40nmのウィスカの高解像度TEM画像である。 (b)は、(a)の画像のパワースペクトルである。 (c)は、InP部分に最も近い分離200反射(split 200 reflection)の情報を用いた逆フーリエ変換である。 (d)は、200反射のInPおよびInAs部分上にそれぞれ同一のマスクを用いた重ね合わせ画像である。
【図5】InAsナノウィスカ内のInPヘテロ構造分析を示す図であり、 (a)は、径が40nmのInAsナノウィスカ内のInP障壁(100、25、8、1.5nm)のTEM画像である。 (b)は、結晶完全性およびナノ層レベルでの境界の明確さを示す8nm障壁領域の拡大図である。 (c)は、InAsへの(左側の)理想的なオーム接点部を含むInAs/InPヘテロ構造のシミュレーションによるバンド構造図である。 (d)は、均一なInAsウィスカのオームの法則的なI−V依存性を示しており、80nmのInP障壁を含むInAsウィスカにおいて見られる極めて非直線的なI−V特性と対照的である。 (e)は、障壁高さ0.57eVのInP障壁(バイアス10mV)を通じての熱電子励起電子測定のアレニウスプロットを示す。
【図6】本発明の共鳴トンネルダイオードにおいて用いられる様々な厚さの単一障壁についての搬送メカニズムの評価を示す図であり、 (a)は、成長基板上のウィスカのSEM画像である(スケールバーは1μmを表す)。 (b)は、2つの合金オーム接点に接触しているInAs/InPナノウィスカを示す(スケールバーは2μmを表す)。 (c)は、ウィスカの長軸に垂直な8nmのInPセグメントを有するInAsウィスカのTEM画像である。 (d)は、3つの異なる障壁状態について電流−電圧特性を示す図である。
【図7】(a)は、<111>方向に成長し、2つのInP障壁を有する本発明の実施形態を構成するためのInAsウィスカの高解像度TEM画像である(スケールバーは8μmを表す)。(b)は、(a)において四角で囲った領域の積分プロファイルであり、画像コントラストから判断して障壁の幅は約5.5nm(16格子間隔)、界面のシャープさは1乃至3格子間隔程度である。
【図8】(a)は、本発明の実施形態構成する共鳴トンネルダイオード(RTD)におけるウィスカの上端部のTEM画像であり、二重の障壁がはっきりと見て取れ、この場合の障壁厚さは約5nmである(スケールバーは30μmを表す)。(b)は、本発明の実施形態構成する共鳴トンネルダイオード(RTD)において研究対象としたデバイスについてエネルギーバンドダイアグラムの原理を示す図であり、エミッタ領域での特性電子状態(characteristic electronic states)が示されている(左側)。(c)は、本発明の実施形態構成する共鳴トンネルダイオード(RTD)において、(a)および(b)に示したものと同一の装置の電流−電圧データを示すものであり、基底状態Elzへの共鳴トンネリング(resonant tunneling)を反映する電圧幅約5mVの鋭いピーク特性が明らかにされている。この幅は遷移のエネルギー幅約2meVに相当し、電子がそこからトンネリングするエミッタの陰影付けされた(shaded)エネルギーバンド幅に対応している。デバイス特性が挿入図に示され、この挿入図は増加する電圧と減少する電圧に対する共鳴ピークを拡大して示している。
【図9】本発明の共鳴トンネルダイオードの好適な実施形態を図式的に示す図である。
【図10】バンドギャップの大きい絶縁セグメントを有する本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図11】ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)からなる本発明の別の実施形態を示す図である。
【図12】HBT構造と関連するHBTのバンドギャップを示すグラフである。
【図13】3元化合物の組成変化に伴うバンドギャップ変化を示すグラフである。
【図14】(a),(b)は、様々な半導体化合物の格子寸法に対するバンドギャップを示すグラフである。
【図15】発光ダイオードおよびレーザーからなる本発明の実施形態を図式的に示す図である。
【図16】所望の種類の分子の個々の検知にレーザーを用いた本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図17】NILプロセスにおいてフォトレジストのパターニングにレーザーアレイを用いた本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図18】(a)は、フォトディテクタからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。(b),(c)は、(a)の実施形態の変型例を示す図である。
【図19】(a)は、太陽電池からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。(b)は、(a)の実施形態の変型例を示す図である。
【図20】テラヘルツ放射の放射源からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図21】(a)〜(c)は、フォトニック結晶からなる本発明の実施形態を図式的に説明する図である。(d)は、3Dフォトニック結晶を形成するための上記実施形態の変形例をしめす図である。
【図22】(a)〜(g)は、基板を有するエピタキシャル物質層(格子は互いに整合していない)を形成するための本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図23】(a)は、基板を有するエピタキシャル物質層(格子は互いに整合していない)を形成するための本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。(b),(c)は、同実施形態を図式的に示す図である。
【図24】(a),(b)は、通常の<111>方向とは異なる<100>方向に延びるウィスカを形成するための本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図25】(a),(b)は、電界放出ディスプレイ(FED)からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図であり、ディスプレイの個々の要素は個別にアドレス可能なナノウィスカである。
【図26】赤外域の像を可視光域にアップコンバートする構成からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図27】赤外放射用のアンテナからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図28】スピントロニクスに応用した強磁性ウィスカからなる別の構成を図式的に示す図である。
【図29】神経にインプラントされる選択的にアドレス可能な電極アレイからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図30】その長さに沿って酸化された外表面を有するナノウィスカからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図31】基板から直立しカンチレバーを構成するナノウィスカ列からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図32】振動するようになされ重量と周波数の正確な測定を可能とするナノウィスカからなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図33】走査型トンネル顕微鏡の探針からなる本発明の別の実施形態を図式的に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノメートル寸法の径を有するコラムからなるナノウィスカであって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる結晶物質の少なくとも第1および第2の長さ方向セグメントを有し、該第1および第2のセグメント間には組成境界があり、前記コラムの前記径は組成境界における格子不整合により引き起こされる格子歪みが横方向外向きの原子の変位によって実質的に調整されるようになされ、第1および第2の部分の結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の8個分以下の軸方向間隔に渡って延在するナノウィスカ。
【請求項2】
コラムの径はコラムの長さに沿ってほぼ一定である請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項3】
ナノウィスカは、コラムの長さに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項4】
コラムの径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項5】
ナノウィスカはその一端に触媒粒子を有する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項6】
第1および第2の部分の結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の7個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項7】
第1および第2のセグメントの物質は半導体のIII−V族物質である請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項8】
複数の請求項1記載のナノウィスカからなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するアレイ。
【請求項9】
ナノメートル寸法の径のコラムからなるナノウィスカであって、該コラムはその長さに沿って異なる結晶物質の少なくとも第1および第2の長さ方向セグメントを有し、該第1のセグメントはA1−xBxCという形式の化学量論的組成を有し、該第2のセグメントはA1−yByCという化学量論的組成を有し、ここでA、B、Cは選択された元素であり、x、yは0と1の間の異なる数であり、第1および第2のセグメントの境界に位置する組成境界は径方向に沿った所定数の格子面に渡って変数xから変数yへの変化を示すナノウィスカ。
【請求項10】
コラムの径はコラムの長さに沿ってほぼ一定である請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項11】
ナノウィスカは、コラムの長さに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項12】
コラムの径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項13】
ナノウィスカはその一端に触媒粒子を有する請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項14】
組成境界における格子不整合は横方向外向きの原子の変位によって実質的に調整される請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項15】
第1および第2のセグメントの物質は半導体のIII−V族物質である請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項16】
複数のクレーム9のナノウィスカからなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するアレイ。
【請求項17】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカであって、該コラムはその長さに沿って異なる結晶物質の少なくとも第1および第2の長さ方向セグメントを含み、該第1および第2のセグメント間には物質境界があり、前記物質境界は径方向に沿った格子面の8個分以下の軸方向間隔内で生ずる異なる結晶物質間の移行によって規定されるナノウィスカ。
【請求項18】
コラムの径はコラムに沿って一定である請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項19】
ナノウィスカは、コラムに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項20】
ナノウィスカの径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項21】
ナノウィスカはその一端に触媒粒子を有する請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項22】
第1および第2の部分の結晶物質間の組成境界は格子面の1乃至3個分の軸方向間隔に渡って延在する請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項23】
第1および第2のセグメントの物質は半導体のIII−V族物質である請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項24】
複数の請求項1記載のナノウィスカからなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するアレイ。
【請求項25】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するヘテロ構造ナノウィスカであって、該コラムはその長さに沿って配置された異なる物質組成の複数の長さ方向セグメントを有し、隣接するセグメント間には所定の組成境界があり、該組成境界はナノウィスカコラムの所定長さに渡って延在し、該境界において所定のバンドギャップ変化を作り出すようなナノウィスカ。
【請求項26】
量子閉じこめ効果を示すようなナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなる共鳴トンネルダイオードであって、該コラムはその長さにそって順に、エミッタセグメント、第1障壁セグメント、量子井戸セグメント、第2障壁セグメント、コレクタセグメントを含み、前記障壁セグメントのそれぞれは隣接するセグメントよりも大きなバンドギャップを有し、かつその長さは電荷キャリアが前記エミッタセグメントと前記量子井戸セグメントとの間および前記量子井戸と前記コレクタセグメントとの間をトンネリングすることができるような長さである共鳴トンネルダイオード。
【請求項27】
障壁セグメントはバンドギャップの大きい絶縁物質からなる請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項28】
エミッタセグメント、障壁セグメント、量子井戸セグメント、コレクタセグメントは半導体物質からなる請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項29】
エミッタセグメント、量子井戸セグメント、コレクタセグメントはヒ化インジウムからなり、障壁セグメントはリン化インジウムからなる請求項28記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項30】
コラムの径はコラムの長さに沿ってほぼ一定である請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項31】
ナノウィスカは、コラムの径がコラムの長さに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項32】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるヘテロバイポーラトランジスタであって、該コラムはその長さに沿って順に、エミッタ、ベース、コレクタの各半導体セグメントを含み、前記半導体セグメントの各々はバンドギャップを有し、エミッタ半導体セグメントのバンドギャップはベースおよびコレクタ半導体セグメントのバンドギャップよりも大きく、ベースおよび半導体セグメントは異なる型をドープされてそれらの間にP−N接合を形成するヘテロバイポーラトランジスタ。
【請求項33】
ベースおよびコレクタ半導体セグメント間の前記P−N接合は勾配付けされた化学量論的組成を有する請求項32記載のヘテロバイポーラトランジスタ。
【請求項34】
1次元ナノ要素からなる単一光子光源であって、その長さに沿って量子井戸を形成する光学的活性物質部分を有し、量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、使用時には量子井戸が一度に一つの光子を発することが可能である単一光子光源。
【請求項35】
量子閉じこめ効果を示すようなナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなる発光ダイオードであって、該コラムはその長さにそって順に、それぞれエミッタ、量子井戸活性セグメントおよびコレクタである第1、第2および第3の半導体長さ方向セグメントを有し、前記第2の半導体長さ方向セグメントは第1および第3半導体長さ方向セグメントのバンドギャップとは異なるバンドギャップを有しかつ発光ダイオードの活性領域を形成する発光ダイオード。
【請求項36】
レーザからなり、前記第1および第2セグメントに反射鏡面を有する請求項35記載の発光ダイオード。
【請求項37】
前記反射鏡プレートは前記ナノウィスカ内の超格子によって形成され、個々の超格子は異なるバンドギャップの物質が交互に交替するシーケンスによって形成される請求項36記載の発光ダイオード。
【請求項38】
生体物質の選択的近接場励起のための構造であって、1次元ナノ要素からなる発光ダイオードであって、該ナノ要素はその長さに沿って量子井戸を形成するほど十分小さい光学的活性物質部分を有し、量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、電磁放射を発する発光ダイオードと、生体物質を該ダイオードに隣接して位置決めし、該ダイオードが発した近接場放射が生体物質を励起するようにする位置決め装置とを有する構造。
【請求項39】
ナノインプリントリソグラフィプロセスにおいてフォトレジスト層をパターニングするための装置であって、発光ダイオードアレイを担持しフォトレジスト表面上を移動可能なキャリッジを有し、前記アレイの個々の発光ダイオードはその長さに沿って量子井戸を形成するほど十分小さい光学的活性物質部分を有する1次元ナノ要素からなり、かつ量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、該ナノ要素は並んで配置されており、かつ選択的に励起可能であり、それにより前記フォトレジスト表面に所望のパターンを形成する装置。
【請求項40】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるフォトディテクタであって、該コラムはP−N接合を形成する界面を有する第1および第2のセグメントをその長さに沿って有するフォトディテクタ。
【請求項41】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるフォトディテクタであって、該コラムは第1のPドープ半導体長さ方向セグメントと第2のNドープ半導体長さ方向セグメントと、前記第1および第2の半導体セグメントの間の第3の真性(intrinsic)半導体長さ方向セグメントを有してPINダイオードを形成するフォトディテクタ。
【請求項42】
導電性の基板と、前記基板から延在する複数のナノウィスカと、該ナノウィスカの自由端上に延在しかつ接触する電気的接点をもつ透明電極とを有し、個々のナノウィスカはナノメートル寸法の径のコラムを有し、該コラムは第1のPドープ半導体長さ方向セグメントと第2のNドープ半導体長さ方向セグメントとを有し、前記第1および第2の半導体セグメントはその間にP−N接合を形成する界面を有し、該ナノウィスカは透明物質内に封入されている太陽電池。
【請求項43】
個々のナノウィスカは長さ方向半導体セグメント間に複数のP−N接合を有し、前記半導体は異なる波長の太陽放射を吸収するP−N接合を形成するように選択されている請求項42記載の太陽電池。
【請求項44】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるテラヘルツ放射源であって、該コラムは第1のバンドギャップの半導体の複数層を有し、該複数の層は第2のバンドギャップの半導体の複数層の間に交互に挟まれ、それによって超格子を形成し、その寸法は電子が前記超格子内をテラヘルツ放射を発するような波数で移動するように選択されるテラヘルツ放射源。
【請求項45】
基板と、該基板の一つの側面から延在する1次元ナノ要素アレイを有するフォトニック結晶であって、各要素は基板から直立するように延在し、かつナノメートル寸法のほぼ一定の径を有し、該ナノ要素アレイは2次元格子として配列されて、入射する電磁放射に対してフォトニックバンドギャップを提供するフォトニック結晶。
【請求項46】
各ナノ要素の径はおよそ100nm以下である請求項45記載のフォトニック結晶。
【請求項47】
ナノ要素は距離およそ300nmで離間している請求項45記載のフォトニック結晶。
【請求項48】
各ナノ要素は第1の屈折率および第1の所定長さを有する物質からなる第1の種類の複数の長さ方向セグメントを有するナノウィスカからなり、前記第1の種類のセグメントは第2の屈折率および第2の所定長さを有する物質からなる第2の種類の少なくとも一つのセグメントと交互に配置され、前記第1および第2の屈折率および前記第1および第2の所定長さは3次元フォトニック結晶を形成するように選択される請求項45記載のフォトニック結晶。
【請求項49】
フォトニック結晶を形成する方法であって、基板表面上にシード粒子形成領域のアレイであって2次元格子配置をなすように配置されたアレイを形成することと、前記領域を加工してシード粒子を形成することと、前記シード粒子を用いてナノウィスカが基板から直立し、所定寸法のほぼ一定の径を有するようナノウィスカを成長させ、それによって入射する電磁放射に対してフォトニックバンドギャップを提供するようになすことと、からなる方法。
【請求項50】
第2の結晶物質のエピタキシャル層を前記第2の結晶物質とは異なる第1の結晶物質の基板上に形成する方法であって、基板表面に複数のシード粒子物質領域を形成することと、該シード粒子物質領域の周りにマスク物質の層を形成することと、該シード粒子物質領域から前記第2の結晶物質のナノウィスカを成長させることと、該ナノウィスカを成長サイトとして用いて前記第2の結晶物質の成長を継続し、それによって前記基板上に広がる前記第2の結晶物質のエピタキシャル層の形成を継続することと、からなる方法。
【請求項51】
誘電体物質は炭素ベースの物質である請求項50記載の方法。
【請求項52】
第1の結晶物質からなる結晶基板と、
前記結晶基板の表面を覆うマスク物質層であって、前記結晶基板の前記表面上でのエピタキシャル成長を阻害することができ、その中にナノメートル寸法の開口のアレイを有し該開口内に前記結晶基板の前記表面上のエピタキシャル成長サイトが露出しているマスク物質層と、
前記結晶基板の前記表面上の前記エピタキシャル成長サイトから成長した第2の結晶物質のエピタキシャル層と、
からなる層構造。
【請求項53】
第2の結晶物質のエピタキシャル層を前記第2の結晶物質とは異なる第1の結晶物質の基板上に形成する方法であって、前記基板上に触媒シード粒子物質領域アレイを形成することと、該シード粒子物質領域の周りにマスク物質の層を形成することと、触媒シード粒子領域の下に前記第2の結晶物質の結晶相からなる初期成長領域を触媒作用により成長させることと、前記初期成長領域を成長サイトとして用いて前記第2の結晶物質の成長を継続し、それによって前記第1の結晶物質の前記基板上に広がる前記第2の結晶物質のエピタキシャル層の形成を継続することと、からなる方法。
【請求項54】
第2の結晶物質のエピタキシャル層を前記第2の結晶物質とは異なる第1の結晶物質の基板上に形成する方法であって、前記第1の結晶物質基板の上面にV字形の溝を形成することと、前記V字形の溝の中に複数の触媒シード粒子を供給することと、前記第2の結晶物質のナノウィスカを触媒シード粒子から成長させることと、該ナノウィスカを成長核生成サイトとして用いて前記第2の結晶物質の成長を継続し、それによって前記第1の結晶物質の前記基板上に広がる前記第2の結晶物質のエピタキシャル層の形成を継続することと、からなる方法。
【請求項55】
前記第1の結晶物質の基板の上面は<100>面であり、前記V字形の溝内で該V字形溝の<111>面が露出している請求項54記載の方法。
【請求項56】
第1の結晶物質の基板の表面上に成長させた前記第1の結晶物質とは異なる第2の結晶物質のエピタキシャル層からなる層構造であって、第1の結晶物質の基板の前記表面はV字形の溝を備え、前記V字形の溝から延びる複数のナノウィスカが前記第2の結晶物質のエピタキシャル層のための核生成サイトを構成する層構造。
【請求項57】
基板上にナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備することと、前記基板の一表面上に複数の触媒シード粒子を形成することと、はじめに基板から<111>成長方向に延びるナノウィスカを形成する第1の成長条件の下に前記触媒シード粒子からナノウィスカを成長させることと、続いて前記ナノウィスカ内に障壁物質の短いセグメントを成長させることにより前記ナノウィスカの<111>成長方向を<100>方向に変更することとからなり、前記障壁物質を前記<111>成長方向を前記<100>成長方向に方向転換するように選択する方法。
【請求項58】
基板上にナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備することと、前記基板の一表面上に複数の触媒シード粒子を形成することと、はじめに基板から<111>成長方向に延びるナノウィスカを形成する第1の成長条件の下に前記触媒シード粒子からナノウィスカを成長させることと、続いて該第1の成長条件を前記ナノウィスカの<100>方向への成長をもたらす第2の成長条件に変更することにより前記ナノウィスカの<111>成長方向を<100>方向に変更することと、からなる方法。
【請求項59】
基板の上に形成されたナノウィスカであって、基板から当初は<111>方向に延在し、ナノウィスカの長さのより大きい部分において<100>方向に延在するナノウィスカ。
【請求項60】
その表面上に個々にアドレス可能な電気的接点領域のアレイを有する基板と、
前記接点領域の各々から延在し自由端で終端する少なくとも一つの1次元ナノ要素と、
前記少なくとも一つの1次元ナノ要素の自由端に隣接して配設することにより電界放出ディスプレイを構成し、該ディスプレイの要素は個々にアドレス可能である蛍光ディスプレイスクリーンと、
を有する電界放出ディスプレイ。
【請求項61】
赤外域の像を可視光域の像にアップコンバートするディスプレイシステムであって、
一表面において赤外像を受光するための赤外放射透過性の導電性基板と、
基板の反対側から延在する1次元導電性ナノ要素であって自由端で終端する1次元ナノ要素のアレイと、
赤外像を可視光化したものを生成する、1次元ナノ要素の自由端に隣接して配置された電極を内蔵した蛍光ディスプレイスクリーンと、
を有するディスプレイシステム。
【請求項62】
基板の金属化された接点領域から延在する1次元導電性ナノ要素からなる赤外または可視または紫外電磁放射用アンテナであって、該1次元ナノ要素は前記電磁放射の波長のおよそ四分の一の長さを有するアンテナ。
【請求項63】
共鳴トンネルダイオードを作製する方法であって、該方法は基板上に設けられた結晶半導体物質のナノメートル寸法の径のコラムからなるナノウィスカを以下のプロセスによって形成することからなる方法:
基板上にナノメートル寸法の径の触媒シード粒子を付着させる、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が溶融する温度に加熱する、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記溶融触媒シード粒子に溶解しそこから結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行う、なお前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなる、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第1の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第2の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第2の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第3の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は量子井戸を形成する長さの前記ナノウィスカの第3のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第3の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第3の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第4の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第4のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第4の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第4の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第5の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は前記ナノウィスカの第5のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記ナノウィスカの前記第1および第5のセグメント間の電気的接点および電気的端子を形成し、それによって前記共鳴トンネルダイオードのエミッタとコレクタを形成する。
【請求項64】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に付着させることと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が溶融する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記溶融触媒シード粒子に溶解しそこから結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止し、シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該セグメント物質の間の格子不整合により引き起こされる格子歪みは実質的に横方向外向きの原子変位によって調整されることと、からなる方法。
【請求項65】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に付着させることと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が溶融する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記溶融触媒シード粒子に溶解しそこから結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止することと、
シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該組成境界は格子面8個分以下の軸方向間隔に渡って延在することと、からなる方法。
【請求項66】
前記基板は超高真空チャンバ内に設置され、前記原料は該超高真空チャンバ内に導入される分子ビームとしてシード粒子に供給される請求項65記載の方法。
【請求項67】
成長速度を微々たる程度まで低減し、その後継続的な成長のための過飽和状態を再確立するというシーケンスにより異なる組成間の急速な交替を行う請求項65記載の方法。
【請求項68】
前記触媒シード粒子は、10乃至50nmの均一な径のナノウィスカが得られるように選択した大きさを有する金エアロゾル粒子である請求項65記載の方法。
【請求項69】
前記第1の半導体物質および前記第2の半導体物質の一方は少なくとも一つのIII族元素と少なくとも一つのV族元素を含むIII−V物質であり、該III族元素の拡散定数は前記制御された温度条件を変えることによりナノウィスカの形成中に選択的に変えられる請求項65記載の方法。
【請求項70】
一表面に形成された電気的接点領域のマトリックスを有する基板と、選択された電気的接点領域上に形成され基板表面から直立する一つまたは複数のナノウィスカからなる電極構造であって、個々の前記ナノウィスカあるいは個々の前記複数のナノウィスカは電気信号によって個別にアドレス可能である電極構造。
【請求項71】
神経構造内にインプラントするようになされた請求項70記載の電極構造。
【請求項72】
酸化可能な物質で作られたナノウィスカであって、その長さに沿って酸化物の外周層を形成するように酸化されるが、該ナノウィスカがその自由端に有する触媒シード粒子メルトは酸素を含まない状態を維持するナノウィスカ。
【請求項73】
第1のバンドギャップを有する物質からなるナノウィスカであって、その長さに沿って第2のバンドギャップを有する物質の外周層を形成するように処理されるが、該ナノウィスカがその自由端に有する触媒シード粒子メルトは該第2のバンドギャップを有する物質を含まないままであるナノウィスカ。
【請求項74】
複数の並列し離間してナノウィスカ列を形成する複数のナノウィスカがそこから延在するベース部材を有するカンチレバービームアレイであって、それぞれのナノウィスカは外力を受けると屈曲するビームを構成し、かつ該ビームの屈曲運動を検知する手段を有するアレイ。
【請求項75】
該ビームにはある有機分子または生体分子に対する感応性を有するコーティングが施され、分子がカンチレバービームに接触した際にある化学反応が生じて曲げ応力を発生する請求項74記載のアレイ。
【請求項76】
絶縁物質の層をその上に有する基板と、絶縁層の上に形成された導電層と、導電層および絶縁層内に形成された開口と、開口内に形成され基板から延在するナノウィスカとからなり、該ナノウィスカの自由端部の導電シード粒子メルトは導電層とほぼ同じ高さであり、ナノウィスカの機械的振動が前記導電層に電気的振動信号を生じさせるナノウィスカ構造。
【請求項77】
該ナノウィスカはある種の分子を引きつけるコーティングを有し、ナノウィスカ上への分子の付着がナノウィスカの慣性特性を変化させ、それに従って前記導電層内の振動信号の周波数を変化させる請求項76記載のナノウィスカ構造。
【請求項78】
該構造は基準電流発生器を提供し、ナノウィスカの一振動周期あたり一つの電子が導電シード粒子メルトを介して導電層を輸送される請求項76記載のナノウィスカ構造。
【請求項79】
可撓性のカンチレバービームと、該ビームの端部にあるいは端部に向かって形成されカンチレバービームから直立するナノウィスカと、からなる走査型トンネル顕微鏡の探針。
【請求項80】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の6個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項81】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の5個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項82】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の4個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項83】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の3個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項84】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の2個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項85】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の1個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項86】
共鳴トンネルダイオードを作製する方法であって、該方法は基板上に設けられた結晶半導体物質のナノメートル寸法の径のコラムからなるナノウィスカを以下のプロセスによって形成することからなる方法:
基板上にナノメートル寸法の径の触媒シード粒子を供給する、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が触媒として作用する温度に加熱する、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記触媒シード粒子から結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行う、なお前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなる、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第1の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第2の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第2の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第3の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は量子井戸を形成する長さの前記ナノウィスカの第3のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第3の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第3の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第4の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第4のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第4の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第4の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第5の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は前記ナノウィスカの第5のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記ナノウィスカの前記第1および第5のセグメント間の電気的接点および電気的端子を形成し、それによって前記共鳴トンネルダイオードのエミッタとコレクタを形成する。
【請求項87】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に供給することと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が触媒として作用する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記シード粒子から結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止し、シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該セグメント物質の間の格子不整合により引き起こされる格子歪みは実質的に横方向外向きの原子変位によって調整されることと、からなる方法。
【請求項88】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に供給することと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が触媒として作用する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記触媒シード粒子から結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止することと、
シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該組成境界は格子面8個分よりも小さい軸方向間隔に渡って延在することと、からなる方法。
【請求項89】
前記基板は超高真空チャンバ内に設置され、前記原料は該超高真空チャンバ内に導入される分子ビームとしてシードに供給される請求項88記載の方法。
【請求項90】
成長速度を微々たる程度まで低減し、その後継続的な成長のための過飽和状態を再確立するというシーケンスにより異なる組成間の急速な交替を行う請求項88記載の方法。
【請求項91】
前記触媒シード粒子は、10乃至50nmの均一な径のナノウィスカが得られるように選択した大きさを有する金エアロゾル粒子である請求項88記載の方法。
【請求項92】
前記第1の半導体物質および前記第2の半導体物質の一方は少なくとも一つのIII族元素と少なくとも一つのV族元素を含むIII−V物質であり、該III族元素の拡散定数は前記制御された温度条件を変えることによりナノウィスカの形成中に選択的に変えられる請求項88記載の方法。
【請求項93】
前記触媒シード粒子はナノインプリントリソグラフィによって形成され、前記ナノウィスカはおよそ10乃至50nmの均一な径を有する請求項88記載の方法。
【請求項94】
長手軸を有しかつ前記軸に沿ったある長さと前記軸に垂直な少なくとも一つの寸法とを有し、前記軸に垂直な寸法はおよそ500nm以下であるコラムからなるナノウィスカであって、前記コラムは少なくとも、
第1の組成を有する第1の結晶半導体物質の第1の長さ方向セグメントと、
第2の組成を有する第2の結晶半導体物質の第2の長さ方向セグメントと、からなり、
前記第1の長さ方向セグメントと前記第2の長さ方向セグメントとは一界面で接しており、
前記界面は前記第1の組成が前記第2の組成へと格子面8個分以下の軸方向距離内で変化する接合を構成しているナノウィスカ。
【請求項95】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ100nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項96】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ50nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項97】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ30nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項98】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ20nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項99】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ10nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項100】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ5nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項101】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面7個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項102】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面6個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項103】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面5個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項104】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面4個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項105】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面3個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項106】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面2個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項107】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面1個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項108】
前記コラムは概ね円形または多角形の断面を有し、前記コラムの前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はその径である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項109】
前記コラムの前記径は前記コラムの長さに沿って概ね一定である請求項108記載のナノウィスカ。
【請求項110】
前記コラムはテーパがつけられており、前記コラムの前記径は前記コラムの軸に沿って減少する請求項108記載のナノウィスカ。
【請求項111】
前記コラムの前記径は前記軸に沿った前記コラムの長さの少なくとも一部が量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項108記載のナノウィスカ。
【請求項112】
前記コラムはその一端部に一体化された触媒粒子を更に有する請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項113】
前記第1および第2の結晶物質はIII−V族半導体物質からなる群から選択される請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項114】
請求項94記載のナノウィスカの複数からなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するナノウィスカアレイ。
【請求項115】
前記ナノウィスカの各々はその一端において基板に取り付けられている請求項114記載のナノウィスカアレイ。
【請求項116】
前記第1の結晶半導体物質はA1−xBxCという形式の化学量論的組成を有し、前記第2の結晶半導体物質はA1−yByCという化学量論的組成を有し、ここでA、B、Cは選択された元素であり、x、yは0と1の間の異なる数である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項117】
前記元素AおよびBはIII族半導体であり、前記元素CはV族半導体である請求項116記載のナノウィスカ。
【請求項118】
前記第1および第2の結晶半導体物質は前記接合部において所定のバンドギャップ変化を生ずるように選択される請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項119】
長手軸を有しかつ前記軸に沿ったある長さと前記軸に垂直な少なくとも一つの寸法とを有するコラムからなるナノウィスカであって、前記コラムは少なくとも、
第1の組成と第1の結晶格子とを有する第1の結晶半導体物質の第1の長さ方向セグメントと、
第2の組成と第2の結晶格子とを有する第2の結晶半導体物質の第2の長さ方向セグメントと、からなり、
前記第1の長さ方向セグメントと前記第2の長さ方向セグメントとは一界面で接しており、 前記界面は前記第1の組成が前記第2の組成へと格子面8個分以下の軸方向距離内で変化する接合を構成しており、
前記軸に垂直な前記寸法は前記第1の長さ方向セグメントと前記第2の長さ方向セグメントとの間の前記界面における前記第1の結晶格子と前記第2の結晶格子との間の格子不整合に起因する格子歪みが原子の横方向移動によって実質的に調整されるような寸法であるナノウィスカ。
【請求項120】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面7個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項121】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面6個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項122】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面5個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項123】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面4個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項124】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面3個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項125】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面2個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項126】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面1個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項127】
前記コラムは概ね円形または多角形の断面を有し、前記コラムの前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はその径である請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項128】
前記コラムの前記径は前記コラムの長さに沿って概ね一定である請求項127記載のナノウィスカ。
【請求項129】
前記コラムはテーパがつけられており、前記コラムの前記径は前記コラムの軸に沿って減少する請求項127記載のナノウィスカ。
【請求項130】
前記コラムの前記径は前記軸に沿った前記コラムの長さの少なくとも一部が量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項127記載のナノウィスカ。
【請求項131】
前記コラムはその一端部に一体化された触媒粒子を更に有する請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項132】
前記第1および第2の結晶物質はIII−V族半導体物質からなる群から選択される請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項133】
請求項119記載のナノウィスカの複数からなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するナノウィスカアレイ。
【請求項134】
前記ナノウィスカの各々はその一端において基板に取り付けられている請求項133記載のナノウィスカアレイ。
【請求項135】
前記第1の結晶半導体物質はA1−xBxCという形式の化学量論的組成を有し、前記第2の結晶半導体物質はA1−yByCという化学量論的組成を有し、ここでA、B、Cは選択された元素であり、x、yは0と1の間の異なる数である請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項136】
前記元素AおよびBはIII族半導体であり、前記元素CはV族半導体である請求項135記載のナノウィスカ。
【請求項137】
前記第1および第2の結晶半導体物質は前記接合部において所定のバンドギャップ変化を生ずるように選択される請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項1】
ナノメートル寸法の径を有するコラムからなるナノウィスカであって、該コラムはその長さ方向に沿って異なる結晶物質の少なくとも第1および第2の長さ方向セグメントを有し、該第1および第2のセグメント間には組成境界があり、前記コラムの前記径は組成境界における格子不整合により引き起こされる格子歪みが横方向外向きの原子の変位によって実質的に調整されるようになされ、第1および第2の部分の結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の8個分以下の軸方向間隔に渡って延在するナノウィスカ。
【請求項2】
コラムの径はコラムの長さに沿ってほぼ一定である請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項3】
ナノウィスカは、コラムの長さに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項4】
コラムの径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項5】
ナノウィスカはその一端に触媒粒子を有する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項6】
第1および第2の部分の結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の7個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項7】
第1および第2のセグメントの物質は半導体のIII−V族物質である請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項8】
複数の請求項1記載のナノウィスカからなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するアレイ。
【請求項9】
ナノメートル寸法の径のコラムからなるナノウィスカであって、該コラムはその長さに沿って異なる結晶物質の少なくとも第1および第2の長さ方向セグメントを有し、該第1のセグメントはA1−xBxCという形式の化学量論的組成を有し、該第2のセグメントはA1−yByCという化学量論的組成を有し、ここでA、B、Cは選択された元素であり、x、yは0と1の間の異なる数であり、第1および第2のセグメントの境界に位置する組成境界は径方向に沿った所定数の格子面に渡って変数xから変数yへの変化を示すナノウィスカ。
【請求項10】
コラムの径はコラムの長さに沿ってほぼ一定である請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項11】
ナノウィスカは、コラムの長さに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項12】
コラムの径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項13】
ナノウィスカはその一端に触媒粒子を有する請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項14】
組成境界における格子不整合は横方向外向きの原子の変位によって実質的に調整される請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項15】
第1および第2のセグメントの物質は半導体のIII−V族物質である請求項9記載のナノウィスカ。
【請求項16】
複数のクレーム9のナノウィスカからなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するアレイ。
【請求項17】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカであって、該コラムはその長さに沿って異なる結晶物質の少なくとも第1および第2の長さ方向セグメントを含み、該第1および第2のセグメント間には物質境界があり、前記物質境界は径方向に沿った格子面の8個分以下の軸方向間隔内で生ずる異なる結晶物質間の移行によって規定されるナノウィスカ。
【請求項18】
コラムの径はコラムに沿って一定である請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項19】
ナノウィスカは、コラムに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項20】
ナノウィスカの径はナノウィスカが量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項21】
ナノウィスカはその一端に触媒粒子を有する請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項22】
第1および第2の部分の結晶物質間の組成境界は格子面の1乃至3個分の軸方向間隔に渡って延在する請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項23】
第1および第2のセグメントの物質は半導体のIII−V族物質である請求項17記載のナノウィスカ。
【請求項24】
複数の請求項1記載のナノウィスカからなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するアレイ。
【請求項25】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するヘテロ構造ナノウィスカであって、該コラムはその長さに沿って配置された異なる物質組成の複数の長さ方向セグメントを有し、隣接するセグメント間には所定の組成境界があり、該組成境界はナノウィスカコラムの所定長さに渡って延在し、該境界において所定のバンドギャップ変化を作り出すようなナノウィスカ。
【請求項26】
量子閉じこめ効果を示すようなナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなる共鳴トンネルダイオードであって、該コラムはその長さにそって順に、エミッタセグメント、第1障壁セグメント、量子井戸セグメント、第2障壁セグメント、コレクタセグメントを含み、前記障壁セグメントのそれぞれは隣接するセグメントよりも大きなバンドギャップを有し、かつその長さは電荷キャリアが前記エミッタセグメントと前記量子井戸セグメントとの間および前記量子井戸と前記コレクタセグメントとの間をトンネリングすることができるような長さである共鳴トンネルダイオード。
【請求項27】
障壁セグメントはバンドギャップの大きい絶縁物質からなる請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項28】
エミッタセグメント、障壁セグメント、量子井戸セグメント、コレクタセグメントは半導体物質からなる請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項29】
エミッタセグメント、量子井戸セグメント、コレクタセグメントはヒ化インジウムからなり、障壁セグメントはリン化インジウムからなる請求項28記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項30】
コラムの径はコラムの長さに沿ってほぼ一定である請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項31】
ナノウィスカは、コラムの径がコラムの長さに沿ってその径が制御された仕方で変化するようにテーパが付けられている請求項26記載の共鳴トンネルダイオード。
【請求項32】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるヘテロバイポーラトランジスタであって、該コラムはその長さに沿って順に、エミッタ、ベース、コレクタの各半導体セグメントを含み、前記半導体セグメントの各々はバンドギャップを有し、エミッタ半導体セグメントのバンドギャップはベースおよびコレクタ半導体セグメントのバンドギャップよりも大きく、ベースおよび半導体セグメントは異なる型をドープされてそれらの間にP−N接合を形成するヘテロバイポーラトランジスタ。
【請求項33】
ベースおよびコレクタ半導体セグメント間の前記P−N接合は勾配付けされた化学量論的組成を有する請求項32記載のヘテロバイポーラトランジスタ。
【請求項34】
1次元ナノ要素からなる単一光子光源であって、その長さに沿って量子井戸を形成する光学的活性物質部分を有し、量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、使用時には量子井戸が一度に一つの光子を発することが可能である単一光子光源。
【請求項35】
量子閉じこめ効果を示すようなナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなる発光ダイオードであって、該コラムはその長さにそって順に、それぞれエミッタ、量子井戸活性セグメントおよびコレクタである第1、第2および第3の半導体長さ方向セグメントを有し、前記第2の半導体長さ方向セグメントは第1および第3半導体長さ方向セグメントのバンドギャップとは異なるバンドギャップを有しかつ発光ダイオードの活性領域を形成する発光ダイオード。
【請求項36】
レーザからなり、前記第1および第2セグメントに反射鏡面を有する請求項35記載の発光ダイオード。
【請求項37】
前記反射鏡プレートは前記ナノウィスカ内の超格子によって形成され、個々の超格子は異なるバンドギャップの物質が交互に交替するシーケンスによって形成される請求項36記載の発光ダイオード。
【請求項38】
生体物質の選択的近接場励起のための構造であって、1次元ナノ要素からなる発光ダイオードであって、該ナノ要素はその長さに沿って量子井戸を形成するほど十分小さい光学的活性物質部分を有し、量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、電磁放射を発する発光ダイオードと、生体物質を該ダイオードに隣接して位置決めし、該ダイオードが発した近接場放射が生体物質を励起するようにする位置決め装置とを有する構造。
【請求項39】
ナノインプリントリソグラフィプロセスにおいてフォトレジスト層をパターニングするための装置であって、発光ダイオードアレイを担持しフォトレジスト表面上を移動可能なキャリッジを有し、前記アレイの個々の発光ダイオードはその長さに沿って量子井戸を形成するほど十分小さい光学的活性物質部分を有する1次元ナノ要素からなり、かつ量子井戸のいずれかの側にトンネル障壁があり、該ナノ要素は並んで配置されており、かつ選択的に励起可能であり、それにより前記フォトレジスト表面に所望のパターンを形成する装置。
【請求項40】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるフォトディテクタであって、該コラムはP−N接合を形成する界面を有する第1および第2のセグメントをその長さに沿って有するフォトディテクタ。
【請求項41】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるフォトディテクタであって、該コラムは第1のPドープ半導体長さ方向セグメントと第2のNドープ半導体長さ方向セグメントと、前記第1および第2の半導体セグメントの間の第3の真性(intrinsic)半導体長さ方向セグメントを有してPINダイオードを形成するフォトディテクタ。
【請求項42】
導電性の基板と、前記基板から延在する複数のナノウィスカと、該ナノウィスカの自由端上に延在しかつ接触する電気的接点をもつ透明電極とを有し、個々のナノウィスカはナノメートル寸法の径のコラムを有し、該コラムは第1のPドープ半導体長さ方向セグメントと第2のNドープ半導体長さ方向セグメントとを有し、前記第1および第2の半導体セグメントはその間にP−N接合を形成する界面を有し、該ナノウィスカは透明物質内に封入されている太陽電池。
【請求項43】
個々のナノウィスカは長さ方向半導体セグメント間に複数のP−N接合を有し、前記半導体は異なる波長の太陽放射を吸収するP−N接合を形成するように選択されている請求項42記載の太陽電池。
【請求項44】
ナノメートル寸法の径のコラムを有するナノウィスカからなるテラヘルツ放射源であって、該コラムは第1のバンドギャップの半導体の複数層を有し、該複数の層は第2のバンドギャップの半導体の複数層の間に交互に挟まれ、それによって超格子を形成し、その寸法は電子が前記超格子内をテラヘルツ放射を発するような波数で移動するように選択されるテラヘルツ放射源。
【請求項45】
基板と、該基板の一つの側面から延在する1次元ナノ要素アレイを有するフォトニック結晶であって、各要素は基板から直立するように延在し、かつナノメートル寸法のほぼ一定の径を有し、該ナノ要素アレイは2次元格子として配列されて、入射する電磁放射に対してフォトニックバンドギャップを提供するフォトニック結晶。
【請求項46】
各ナノ要素の径はおよそ100nm以下である請求項45記載のフォトニック結晶。
【請求項47】
ナノ要素は距離およそ300nmで離間している請求項45記載のフォトニック結晶。
【請求項48】
各ナノ要素は第1の屈折率および第1の所定長さを有する物質からなる第1の種類の複数の長さ方向セグメントを有するナノウィスカからなり、前記第1の種類のセグメントは第2の屈折率および第2の所定長さを有する物質からなる第2の種類の少なくとも一つのセグメントと交互に配置され、前記第1および第2の屈折率および前記第1および第2の所定長さは3次元フォトニック結晶を形成するように選択される請求項45記載のフォトニック結晶。
【請求項49】
フォトニック結晶を形成する方法であって、基板表面上にシード粒子形成領域のアレイであって2次元格子配置をなすように配置されたアレイを形成することと、前記領域を加工してシード粒子を形成することと、前記シード粒子を用いてナノウィスカが基板から直立し、所定寸法のほぼ一定の径を有するようナノウィスカを成長させ、それによって入射する電磁放射に対してフォトニックバンドギャップを提供するようになすことと、からなる方法。
【請求項50】
第2の結晶物質のエピタキシャル層を前記第2の結晶物質とは異なる第1の結晶物質の基板上に形成する方法であって、基板表面に複数のシード粒子物質領域を形成することと、該シード粒子物質領域の周りにマスク物質の層を形成することと、該シード粒子物質領域から前記第2の結晶物質のナノウィスカを成長させることと、該ナノウィスカを成長サイトとして用いて前記第2の結晶物質の成長を継続し、それによって前記基板上に広がる前記第2の結晶物質のエピタキシャル層の形成を継続することと、からなる方法。
【請求項51】
誘電体物質は炭素ベースの物質である請求項50記載の方法。
【請求項52】
第1の結晶物質からなる結晶基板と、
前記結晶基板の表面を覆うマスク物質層であって、前記結晶基板の前記表面上でのエピタキシャル成長を阻害することができ、その中にナノメートル寸法の開口のアレイを有し該開口内に前記結晶基板の前記表面上のエピタキシャル成長サイトが露出しているマスク物質層と、
前記結晶基板の前記表面上の前記エピタキシャル成長サイトから成長した第2の結晶物質のエピタキシャル層と、
からなる層構造。
【請求項53】
第2の結晶物質のエピタキシャル層を前記第2の結晶物質とは異なる第1の結晶物質の基板上に形成する方法であって、前記基板上に触媒シード粒子物質領域アレイを形成することと、該シード粒子物質領域の周りにマスク物質の層を形成することと、触媒シード粒子領域の下に前記第2の結晶物質の結晶相からなる初期成長領域を触媒作用により成長させることと、前記初期成長領域を成長サイトとして用いて前記第2の結晶物質の成長を継続し、それによって前記第1の結晶物質の前記基板上に広がる前記第2の結晶物質のエピタキシャル層の形成を継続することと、からなる方法。
【請求項54】
第2の結晶物質のエピタキシャル層を前記第2の結晶物質とは異なる第1の結晶物質の基板上に形成する方法であって、前記第1の結晶物質基板の上面にV字形の溝を形成することと、前記V字形の溝の中に複数の触媒シード粒子を供給することと、前記第2の結晶物質のナノウィスカを触媒シード粒子から成長させることと、該ナノウィスカを成長核生成サイトとして用いて前記第2の結晶物質の成長を継続し、それによって前記第1の結晶物質の前記基板上に広がる前記第2の結晶物質のエピタキシャル層の形成を継続することと、からなる方法。
【請求項55】
前記第1の結晶物質の基板の上面は<100>面であり、前記V字形の溝内で該V字形溝の<111>面が露出している請求項54記載の方法。
【請求項56】
第1の結晶物質の基板の表面上に成長させた前記第1の結晶物質とは異なる第2の結晶物質のエピタキシャル層からなる層構造であって、第1の結晶物質の基板の前記表面はV字形の溝を備え、前記V字形の溝から延びる複数のナノウィスカが前記第2の結晶物質のエピタキシャル層のための核生成サイトを構成する層構造。
【請求項57】
基板上にナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備することと、前記基板の一表面上に複数の触媒シード粒子を形成することと、はじめに基板から<111>成長方向に延びるナノウィスカを形成する第1の成長条件の下に前記触媒シード粒子からナノウィスカを成長させることと、続いて前記ナノウィスカ内に障壁物質の短いセグメントを成長させることにより前記ナノウィスカの<111>成長方向を<100>方向に変更することとからなり、前記障壁物質を前記<111>成長方向を前記<100>成長方向に方向転換するように選択する方法。
【請求項58】
基板上にナノウィスカを形成する方法であって、基板を準備することと、前記基板の一表面上に複数の触媒シード粒子を形成することと、はじめに基板から<111>成長方向に延びるナノウィスカを形成する第1の成長条件の下に前記触媒シード粒子からナノウィスカを成長させることと、続いて該第1の成長条件を前記ナノウィスカの<100>方向への成長をもたらす第2の成長条件に変更することにより前記ナノウィスカの<111>成長方向を<100>方向に変更することと、からなる方法。
【請求項59】
基板の上に形成されたナノウィスカであって、基板から当初は<111>方向に延在し、ナノウィスカの長さのより大きい部分において<100>方向に延在するナノウィスカ。
【請求項60】
その表面上に個々にアドレス可能な電気的接点領域のアレイを有する基板と、
前記接点領域の各々から延在し自由端で終端する少なくとも一つの1次元ナノ要素と、
前記少なくとも一つの1次元ナノ要素の自由端に隣接して配設することにより電界放出ディスプレイを構成し、該ディスプレイの要素は個々にアドレス可能である蛍光ディスプレイスクリーンと、
を有する電界放出ディスプレイ。
【請求項61】
赤外域の像を可視光域の像にアップコンバートするディスプレイシステムであって、
一表面において赤外像を受光するための赤外放射透過性の導電性基板と、
基板の反対側から延在する1次元導電性ナノ要素であって自由端で終端する1次元ナノ要素のアレイと、
赤外像を可視光化したものを生成する、1次元ナノ要素の自由端に隣接して配置された電極を内蔵した蛍光ディスプレイスクリーンと、
を有するディスプレイシステム。
【請求項62】
基板の金属化された接点領域から延在する1次元導電性ナノ要素からなる赤外または可視または紫外電磁放射用アンテナであって、該1次元ナノ要素は前記電磁放射の波長のおよそ四分の一の長さを有するアンテナ。
【請求項63】
共鳴トンネルダイオードを作製する方法であって、該方法は基板上に設けられた結晶半導体物質のナノメートル寸法の径のコラムからなるナノウィスカを以下のプロセスによって形成することからなる方法:
基板上にナノメートル寸法の径の触媒シード粒子を付着させる、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が溶融する温度に加熱する、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記溶融触媒シード粒子に溶解しそこから結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行う、なお前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなる、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第1の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第2の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第2の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第3の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は量子井戸を形成する長さの前記ナノウィスカの第3のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第3の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第3の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第4の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第4のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第4の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第4の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第5の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は前記ナノウィスカの第5のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記ナノウィスカの前記第1および第5のセグメント間の電気的接点および電気的端子を形成し、それによって前記共鳴トンネルダイオードのエミッタとコレクタを形成する。
【請求項64】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に付着させることと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が溶融する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記溶融触媒シード粒子に溶解しそこから結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止し、シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該セグメント物質の間の格子不整合により引き起こされる格子歪みは実質的に横方向外向きの原子変位によって調整されることと、からなる方法。
【請求項65】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に付着させることと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が溶融する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記溶融触媒シード粒子に溶解しそこから結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止することと、
シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該組成境界は格子面8個分以下の軸方向間隔に渡って延在することと、からなる方法。
【請求項66】
前記基板は超高真空チャンバ内に設置され、前記原料は該超高真空チャンバ内に導入される分子ビームとしてシード粒子に供給される請求項65記載の方法。
【請求項67】
成長速度を微々たる程度まで低減し、その後継続的な成長のための過飽和状態を再確立するというシーケンスにより異なる組成間の急速な交替を行う請求項65記載の方法。
【請求項68】
前記触媒シード粒子は、10乃至50nmの均一な径のナノウィスカが得られるように選択した大きさを有する金エアロゾル粒子である請求項65記載の方法。
【請求項69】
前記第1の半導体物質および前記第2の半導体物質の一方は少なくとも一つのIII族元素と少なくとも一つのV族元素を含むIII−V物質であり、該III族元素の拡散定数は前記制御された温度条件を変えることによりナノウィスカの形成中に選択的に変えられる請求項65記載の方法。
【請求項70】
一表面に形成された電気的接点領域のマトリックスを有する基板と、選択された電気的接点領域上に形成され基板表面から直立する一つまたは複数のナノウィスカからなる電極構造であって、個々の前記ナノウィスカあるいは個々の前記複数のナノウィスカは電気信号によって個別にアドレス可能である電極構造。
【請求項71】
神経構造内にインプラントするようになされた請求項70記載の電極構造。
【請求項72】
酸化可能な物質で作られたナノウィスカであって、その長さに沿って酸化物の外周層を形成するように酸化されるが、該ナノウィスカがその自由端に有する触媒シード粒子メルトは酸素を含まない状態を維持するナノウィスカ。
【請求項73】
第1のバンドギャップを有する物質からなるナノウィスカであって、その長さに沿って第2のバンドギャップを有する物質の外周層を形成するように処理されるが、該ナノウィスカがその自由端に有する触媒シード粒子メルトは該第2のバンドギャップを有する物質を含まないままであるナノウィスカ。
【請求項74】
複数の並列し離間してナノウィスカ列を形成する複数のナノウィスカがそこから延在するベース部材を有するカンチレバービームアレイであって、それぞれのナノウィスカは外力を受けると屈曲するビームを構成し、かつ該ビームの屈曲運動を検知する手段を有するアレイ。
【請求項75】
該ビームにはある有機分子または生体分子に対する感応性を有するコーティングが施され、分子がカンチレバービームに接触した際にある化学反応が生じて曲げ応力を発生する請求項74記載のアレイ。
【請求項76】
絶縁物質の層をその上に有する基板と、絶縁層の上に形成された導電層と、導電層および絶縁層内に形成された開口と、開口内に形成され基板から延在するナノウィスカとからなり、該ナノウィスカの自由端部の導電シード粒子メルトは導電層とほぼ同じ高さであり、ナノウィスカの機械的振動が前記導電層に電気的振動信号を生じさせるナノウィスカ構造。
【請求項77】
該ナノウィスカはある種の分子を引きつけるコーティングを有し、ナノウィスカ上への分子の付着がナノウィスカの慣性特性を変化させ、それに従って前記導電層内の振動信号の周波数を変化させる請求項76記載のナノウィスカ構造。
【請求項78】
該構造は基準電流発生器を提供し、ナノウィスカの一振動周期あたり一つの電子が導電シード粒子メルトを介して導電層を輸送される請求項76記載のナノウィスカ構造。
【請求項79】
可撓性のカンチレバービームと、該ビームの端部にあるいは端部に向かって形成されカンチレバービームから直立するナノウィスカと、からなる走査型トンネル顕微鏡の探針。
【請求項80】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の6個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項81】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の5個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項82】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の4個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項83】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の3個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項84】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の2個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項85】
第1および第2のセグメントの結晶物質間の組成境界は径方向に沿った格子面の1個分以下の軸方向間隔に渡って延在する請求項1記載のナノウィスカ。
【請求項86】
共鳴トンネルダイオードを作製する方法であって、該方法は基板上に設けられた結晶半導体物質のナノメートル寸法の径のコラムからなるナノウィスカを以下のプロセスによって形成することからなる方法:
基板上にナノメートル寸法の径の触媒シード粒子を供給する、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が触媒として作用する温度に加熱する、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記触媒シード粒子から結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行う、なお前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなる、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第1の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第2の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第2の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第3の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は量子井戸を形成する長さの前記ナノウィスカの第3のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第3の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第3の半導体物質よりも大きいバンドギャップを有する第4の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は電荷キャリアがそこをトンネリングすることを許容する長さの前記ナノウィスカの第4のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記第4の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止する、
シード粒子に前記第4の半導体物質よりも小さいバンドギャップを有する第5の半導体物質を生成するための原料を供給する、なお該供給は前記ナノウィスカの第5のセグメントを形成するに十分な期間の間行う、
前記ナノウィスカの前記第1および第5のセグメント間の電気的接点および電気的端子を形成し、それによって前記共鳴トンネルダイオードのエミッタとコレクタを形成する。
【請求項87】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に供給することと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が触媒として作用する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記シード粒子から結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止し、シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該セグメント物質の間の格子不整合により引き起こされる格子歪みは実質的に横方向外向きの原子変位によって調整されることと、からなる方法。
【請求項88】
ナノウィスカの形成方法であって、
ナノメートル寸法の径のシード粒子を基板上に供給することと、
前記基板および前記触媒シード粒子を前記触媒シード粒子が触媒として作用する温度に加熱することと、
シード粒子に第1の半導体物質を生成するための原料を供給し、該供給は前記原料が前記触媒シード粒子から結晶化して前記基板から延びる前記ナノウィスカの第1のセグメントを形成するような制御された温度・圧力条件下で行い、前記ナノウィスカの前記第1のセグメントは前記第1の結晶半導体物質からなることと、
前記第1の半導体物質を形成するための前記シード粒子への原料の供給を中止することと、
シード粒子に前記第1の半導体物質とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体物質を生成するための原料を供給して前記ナノウィスカの前記第1のセグメントとの間に組成境界を有する前記ナノウィスカの第2のセグメントを形成し、それによって少なくとも第1および第2の半導体セグメントを有するコラムを形成し、該組成境界は格子面8個分よりも小さい軸方向間隔に渡って延在することと、からなる方法。
【請求項89】
前記基板は超高真空チャンバ内に設置され、前記原料は該超高真空チャンバ内に導入される分子ビームとしてシードに供給される請求項88記載の方法。
【請求項90】
成長速度を微々たる程度まで低減し、その後継続的な成長のための過飽和状態を再確立するというシーケンスにより異なる組成間の急速な交替を行う請求項88記載の方法。
【請求項91】
前記触媒シード粒子は、10乃至50nmの均一な径のナノウィスカが得られるように選択した大きさを有する金エアロゾル粒子である請求項88記載の方法。
【請求項92】
前記第1の半導体物質および前記第2の半導体物質の一方は少なくとも一つのIII族元素と少なくとも一つのV族元素を含むIII−V物質であり、該III族元素の拡散定数は前記制御された温度条件を変えることによりナノウィスカの形成中に選択的に変えられる請求項88記載の方法。
【請求項93】
前記触媒シード粒子はナノインプリントリソグラフィによって形成され、前記ナノウィスカはおよそ10乃至50nmの均一な径を有する請求項88記載の方法。
【請求項94】
長手軸を有しかつ前記軸に沿ったある長さと前記軸に垂直な少なくとも一つの寸法とを有し、前記軸に垂直な寸法はおよそ500nm以下であるコラムからなるナノウィスカであって、前記コラムは少なくとも、
第1の組成を有する第1の結晶半導体物質の第1の長さ方向セグメントと、
第2の組成を有する第2の結晶半導体物質の第2の長さ方向セグメントと、からなり、
前記第1の長さ方向セグメントと前記第2の長さ方向セグメントとは一界面で接しており、
前記界面は前記第1の組成が前記第2の組成へと格子面8個分以下の軸方向距離内で変化する接合を構成しているナノウィスカ。
【請求項95】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ100nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項96】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ50nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項97】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ30nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項98】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ20nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項99】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ10nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項100】
前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はおよそ5nm以下である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項101】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面7個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項102】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面6個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項103】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面5個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項104】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面4個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項105】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面3個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項106】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面2個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項107】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面1個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項108】
前記コラムは概ね円形または多角形の断面を有し、前記コラムの前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はその径である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項109】
前記コラムの前記径は前記コラムの長さに沿って概ね一定である請求項108記載のナノウィスカ。
【請求項110】
前記コラムはテーパがつけられており、前記コラムの前記径は前記コラムの軸に沿って減少する請求項108記載のナノウィスカ。
【請求項111】
前記コラムの前記径は前記軸に沿った前記コラムの長さの少なくとも一部が量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項108記載のナノウィスカ。
【請求項112】
前記コラムはその一端部に一体化された触媒粒子を更に有する請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項113】
前記第1および第2の結晶物質はIII−V族半導体物質からなる群から選択される請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項114】
請求項94記載のナノウィスカの複数からなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するナノウィスカアレイ。
【請求項115】
前記ナノウィスカの各々はその一端において基板に取り付けられている請求項114記載のナノウィスカアレイ。
【請求項116】
前記第1の結晶半導体物質はA1−xBxCという形式の化学量論的組成を有し、前記第2の結晶半導体物質はA1−yByCという化学量論的組成を有し、ここでA、B、Cは選択された元素であり、x、yは0と1の間の異なる数である請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項117】
前記元素AおよびBはIII族半導体であり、前記元素CはV族半導体である請求項116記載のナノウィスカ。
【請求項118】
前記第1および第2の結晶半導体物質は前記接合部において所定のバンドギャップ変化を生ずるように選択される請求項94記載のナノウィスカ。
【請求項119】
長手軸を有しかつ前記軸に沿ったある長さと前記軸に垂直な少なくとも一つの寸法とを有するコラムからなるナノウィスカであって、前記コラムは少なくとも、
第1の組成と第1の結晶格子とを有する第1の結晶半導体物質の第1の長さ方向セグメントと、
第2の組成と第2の結晶格子とを有する第2の結晶半導体物質の第2の長さ方向セグメントと、からなり、
前記第1の長さ方向セグメントと前記第2の長さ方向セグメントとは一界面で接しており、 前記界面は前記第1の組成が前記第2の組成へと格子面8個分以下の軸方向距離内で変化する接合を構成しており、
前記軸に垂直な前記寸法は前記第1の長さ方向セグメントと前記第2の長さ方向セグメントとの間の前記界面における前記第1の結晶格子と前記第2の結晶格子との間の格子不整合に起因する格子歪みが原子の横方向移動によって実質的に調整されるような寸法であるナノウィスカ。
【請求項120】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面7個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項121】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面6個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項122】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面5個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項123】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面4個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項124】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面3個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項125】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面2個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項126】
前記第1の組成は径方向に沿った格子面1個分以下の軸方向距離内で前記第2の組成に変わる請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項127】
前記コラムは概ね円形または多角形の断面を有し、前記コラムの前記軸に垂直な前記少なくとも一つの寸法はその径である請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項128】
前記コラムの前記径は前記コラムの長さに沿って概ね一定である請求項127記載のナノウィスカ。
【請求項129】
前記コラムはテーパがつけられており、前記コラムの前記径は前記コラムの軸に沿って減少する請求項127記載のナノウィスカ。
【請求項130】
前記コラムの前記径は前記軸に沿った前記コラムの長さの少なくとも一部が量子閉じこめ効果を示すようなものである請求項127記載のナノウィスカ。
【請求項131】
前記コラムはその一端部に一体化された触媒粒子を更に有する請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項132】
前記第1および第2の結晶物質はIII−V族半導体物質からなる群から選択される請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項133】
請求項119記載のナノウィスカの複数からなり、各ナノウィスカは互いに並行に延在するナノウィスカアレイ。
【請求項134】
前記ナノウィスカの各々はその一端において基板に取り付けられている請求項133記載のナノウィスカアレイ。
【請求項135】
前記第1の結晶半導体物質はA1−xBxCという形式の化学量論的組成を有し、前記第2の結晶半導体物質はA1−yByCという化学量論的組成を有し、ここでA、B、Cは選択された元素であり、x、yは0と1の間の異なる数である請求項119記載のナノウィスカ。
【請求項136】
前記元素AおよびBはIII族半導体であり、前記元素CはV族半導体である請求項135記載のナノウィスカ。
【請求項137】
前記第1および第2の結晶半導体物質は前記接合部において所定のバンドギャップ変化を生ずるように選択される請求項119記載のナノウィスカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2011−121862(P2011−121862A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−284952(P2010−284952)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【分割の表示】特願2004−518992(P2004−518992)の分割
【原出願日】平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願人】(505371379)キューナノ エービー (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284952(P2010−284952)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【分割の表示】特願2004−518992(P2004−518992)の分割
【原出願日】平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願人】(505371379)キューナノ エービー (4)
【Fターム(参考)】
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