説明

内燃機関の制御装置

【課題】筒内における燃焼状態が過剰な急速燃焼の場合に、燃焼状態を燃焼途中で改善する。
【解決手段】本発明に係る内燃機関の制御装置は、筒内情報の検出値に基づき燃焼開始時期直後の所定の判定時期θxにおける燃焼割合MFB(θx)を算出する手段と、その算出された燃焼割合に基づき筒内における燃焼状態を判定する手段と、その判定された燃焼状態が過剰な急速燃焼である場合(S101:YES)、判定時期θxより後の燃焼を抑制するための燃焼抑制制御を実行する手段(S102)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の制御装置に係り、特に、筒内情報検出手段により検出される筒内情報を利用して燃焼状態を改善可能な内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関の制御装置においては、回転速度や負荷などのエンジン運転状態を表す各状態量を検出し、これら各状態量に基づいて、予め実験等を通じて適合されたマップを用いることにより、点火時期や燃料噴射量などの各制御量を制御するようにしている。
【0003】
しかしながら、このような従来の制御装置では、1回の燃焼の途中で各制御量を補正することはできない。従って仮に燃焼がノック気味或いは失火気味であったとしても、その燃焼途中で燃焼状態を改善することはできず、結果として所望の燃焼状態が得られない場合がある。
【0004】
そこで、この問題を解決する一助として特許文献1に開示されている技術がある。この技術によれば、部分燃焼を回避して安定した燃焼を得るため、火炎核成長速度に基づいて複数回の点火回数指令値を算出し、この算出した点火回数指令値に基づいて多重点火を行うようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−239143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この技術によれば、たしかに部分燃焼を回避できる可能性がある。しかしながら、好ましくない燃焼状態としてはこれとは逆に、ノックを引き起こす可能性のある過剰な急速燃焼の場合もある。特許文献1の技術はこの過剰な急速燃焼の問題に何等対処するものではない。また、かかる問題に対して燃焼初期にノックを予測し、同一燃焼行程内で燃焼改善を図る有効な対策も他に別段見当たらない。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筒内における燃焼状態を燃焼途中で改善し得る内燃機関の制御装置を提供することにあり、特に、筒内における燃焼状態が過剰な急速燃焼の場合に、燃焼状態を燃焼途中で改善することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る内燃機関の制御装置は、所定の筒内情報を検出する筒内情報検出手段と、前記筒内情報検出手段の検出値に基づき、燃焼開始時期直後の所定の判定時期における燃焼割合又はその変化速度を算出する燃焼割合算出手段と、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合又はその変化速度に基づき、筒内における燃焼状態を判定する判定手段と、該判定手段により、筒内における燃焼状態が過剰な急速燃焼であると判定された場合に、前記判定時期と同一の燃焼行程における後の燃焼を抑制し、運転条件に基づき目標とする燃焼割合又は燃焼速度となるように所定の燃焼抑制制御を実行する燃焼抑制制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この本発明の一形態によれば、筒内における燃焼状態が過剰な急速燃焼である場合に燃焼抑制制御が実行されるので、燃焼途中で燃焼速度を下げ、ノックの発生を未然に防止することができる。
【0010】
ここで好ましくは、前記判定手段が、前記判定時期における燃焼割合又はその変化速度を所定の急速燃焼判定しきい値と比較し、当該燃焼割合又はその変化速度が前記急速燃焼判定しきい値より大きいとき、前記燃焼状態が過剰な急速燃焼であると判定する。
【0011】
好ましくは、前記内燃機関が筒内に燃料噴射する燃料噴射弁を備え、前記所定の燃焼抑制制御が、前記燃料噴射弁から二次燃料を噴射させる制御である。
【0012】
この場合、好ましくは、前記燃焼抑制制御手段が、前記判定時期における燃焼割合又はその変化速度と前記急速燃焼判定しきい値との差が大きいほど前記二次燃料の噴射量を増大する。また好ましくは、前記燃焼抑制制御手段が、前記判定時期における燃焼割合又はその変化速度と前記急速燃焼判定しきい値との差が大きいほど早い時期に前記二次燃料を噴射する。
【0013】
前記内燃機関が筒内に水を噴射する水噴射弁を備えてもよく、この場合、前記所定の燃焼抑制制御が、前記水噴射弁から水を噴射させる制御であるのが好ましい。
【0014】
また、前記内燃機関が圧縮着火式内燃機関であると共に筒内に燃料噴射する燃料噴射弁を備える場合、前記判定手段により、筒内における燃焼状態が過剰な緩慢燃焼であると判定された場合に、前記判定時期より後の燃焼を促進するための所定の燃焼促進制御を実行する燃焼促進制御手段がさらに備えられるのが好ましい。
【0015】
この場合、好ましくは、前記所定の燃焼促進制御が、前記燃料噴射弁から二次燃料を噴射させる制御である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筒内における燃焼状態を燃焼途中で改善することができ、特に、筒内における燃焼状態が過剰な急速燃焼の場合に、燃焼状態を燃焼途中で改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[本実施形態の制御装置の概要]
本実施形態で用いられる内燃機関の制御装置は、一般的な制御装置と異なり、筒内情報検出手段により検出される筒内情報に基づいて各種制御量を制御する。即ち、従来装置では、エンジンの各運転状態について、最適と思われる制御量を予め実験等により求めてマップ化しておき、実際のエンジンの運転時に各マップ値を当てはめてエンジンの制御を行うマップ制御が一般的であった。これに対し、本実施形態の制御装置では、エンジン運転時における筒内の燃焼状態を直接検出し、この検出された燃焼状態を、予め定められた最適な燃焼状態に合わせ込むように各種制御量を制御するものである。この新たな手法によれば、従来多大な時間と労力とが費やされていた各種マップの作成、即ち適合という作業を大幅に簡略化することができ、開発期間の大幅な短縮等を図れる利点がある。特に本実施形態の制御装置は、詳しくは後述するが、演算負荷の低減化を図りつつ内燃機関の高精度な制御を可能としている。
【0018】
このような筒内燃焼状態を表す筒内情報としては、筒内圧力が代表的であり、従って筒内情報を検出する手段としては筒内圧検出手段、具体的には筒内圧センサが代表的である。このほか、筒内の燃焼は化学反応であり、燃焼時にイオンが発生することから、このイオン発生量を筒内情報として用い、このイオン発生量に応じた電流を出力するイオン電流検出装置を筒内情報検出手段として用いることができる。いずれにしても、筒内情報及びこれを検出する手段はこれらに限られない。例えば、これら筒内圧センサやイオン電流検出装置のような、検出部が筒内に露出したものに限らず、筒内情報を間接的に検知するものであってもよい。
【0019】
制御される制御量としては、燃焼開始時期(火花点火式エンジンの場合は点火時期、圧縮着火式エンジンの場合は燃料噴射時期)、燃料噴射量、燃料噴射時期(火花点火式エンジンの場合)等が代表的であるが、これらに限らず、例えば可変バルブタイミング機構を備えた場合のバルブオーバーラップ量や、筒内に吸入される空気量等であってもよい。以下一例として燃焼開始時期の場合を中心に説明を行う。
【0020】
本発明者は、内燃機関の筒内における燃焼開始時期の高精度な制御を可能にするために、筒内圧センサによって検出される筒内圧力と、当該筒内圧力の検出時における筒内容積とに基づいて算出される制御パラメータに着目するに至った。より詳細には、本発明者は、クランク角がθである際に筒内圧検出手段によって検出される筒内圧力をP(θ)とし、クランク角がθである際の筒内容積をV(θ)とし、比熱比をκとした場合に、筒内圧力P(θ)と、筒内容積V(θ)を比熱比(所定の指数)κで累乗した値Vκ(θ)との積として得られる制御パラメータP(θ)・Vκ(θ)(以下、適宜「PVκ」と記す)に着目した。そして、本発明者は、まず、クランク角に対する内燃機関の筒内における熱発生量Qの変化パターンと、クランク角に対する制御パラメータPVκの変化パターンとが、図1に示されるような相関を有していることを見出した。ただし、図1において、−360°,0°および360°は、上死点に、−180°および180°は、下死点に対応する。
【0021】
図1において、実線は、所定のモデル気筒において所定の微小クランク角おきに検出された筒内圧力と、当該筒内圧力の検出時における筒内容積を所定の比熱比κで累乗した値との積である制御パラメータPVκをプロットしたものである。また、図1において、破線は、上記モデル気筒における熱発生量Qを、次の(1)式に基づき、Q=∫dQとして算出・プロットしたものである。なお、何れの場合も、簡単のために、κ=1.32とした。
dQ/dθ={dP/dθ・V+κ・P・dV/dθ}/{κ−1}・・・(1)
【0022】
図1に示される結果からわかるように、クランク角に対する熱発生量Qの変化パターンと、クランク角に対する制御パラメータPVκの変化パターンとは、概ね一致(相似)しており、特に、筒内の混合気の燃焼開始(点火時または着火時)の前後(例えば、図1における約−180°から約135°までの範囲)では、熱発生量Qの変化パターンと、制御パラメータPVκの変化パターンとは極めて良好に一致することがわかる。
【0023】
本実施形態では、このような熱発生量Qと制御パラメータPVκとの相関を利用し、筒内圧検出手段によって検出される筒内圧力と、当該筒内圧力の検出時における筒内容積とから算出される制御パラメータPVκに基づいて、ある2点間におけるトータルの熱発生量に対する当該2点間の所定のタイミングまでの熱発生量の比である燃焼割合(MFB)が求められる。ここで、制御パラメータPVκに基づいて筒内における燃焼割合を算出すれば、積分といった高負荷な演算処理を要することなく、筒内における燃焼割合を精度よく得ることができる。すなわち、図2に示されるように、制御パラメータPVκに基づいて求められる燃焼割合(同図における実線参照)は、熱発生量に基づいて求められる燃焼割合(同図における破線参照)とほぼ一致する。
【0024】
この結果に基づき、本実施形態では、演算負荷が少ない方の制御パラメータPVκに基づいて求められる燃焼割合を用いることとする。但し、本発明は、熱発生量Qに基づいて求められる燃焼割合を用いる実施形態も含む。
【0025】
図2において、実線は、上述のモデル気筒においてクランク角=θとなるタイミングにおける燃焼割合を、次の(2)式に従うと共に、検出した筒内圧力P(θ)に基づいて算出し、プロットしたものである。ただし、簡単のために、κ=1.32とした。
【0026】
【数1】

【0027】
また、図2において、破線は、上述のモデル気筒においてクランク角=θとなるタイミングにおける燃焼割合を、上記(1)式および次の(3)式に従うと共に、検出した筒内圧力P(θ)に基づいて算出し、プロットしたものである。この場合も、簡単のために、κ=1.32とした。
【0028】
【数2】

【0029】
そして、本実施形態では、制御パラメータPVκに基づいて求められた燃焼割合が目標値と一致するように筒内における燃焼開始時期が制御される。すなわち、筒内における燃焼状態が最適である場合、言い換えれば最適な燃焼開始時期(MBT)から燃焼を開始した場合の、ある一定のクランク角における燃焼割合は、実験的或いは経験的に求めることができる。よって、そのある一定のクランク角における実測値としての燃焼割合が目標値と一致するように燃焼開始時期を制御することにより、ひいてはその他の制御量を制御することにより、筒内における燃焼状態を最適化することが可能になる。
【0030】
本実施形態の場合、筒内燃焼状態が最適となるのは、クランク角θが圧縮上死点後8°(これをθ0とする)の時点で燃焼割合が50%(これをφとする)になるときと定められる。ただしこれらの値はエンジンに応じて種々の値を採り得る。
【0031】
本実施形態の燃焼開始時期の基本制御は次の通りである。まず、(2)式と、クランク角θがθ1=−120°、θ0=8°及びθ2=120°(それぞれ算出開始時期、基準時期、算出終了時期と称す)の時点における制御パラメータPVκとから、クランク角θがθ0の時点での燃焼割合の実測値が算出される。そして、この実測値が目標値であるφと比較される。実測値が目標値より大きければ、燃焼開始時期が早すぎるとして燃焼開始時期が遅角され、実測値が目標値より小さければ燃焼開始時期が遅すぎるとして燃焼開始時期が進角される。このように、検出されるのは3点(θ1、θ0及びθ2)でのクランク角と筒内圧力とだけであり、演算は(2)式による簡単な四則演算のみである。従って、極めて簡単な検出と演算とによりエンジンの制御量を制御することができ、演算負荷及び制御負荷を著しく軽減することが可能である。
【0032】
なお補足すると、筒内容積Vはクランク角θのみの関数であり、これらの対応関係は予めマップ又は関数の形式で後述のECUに記憶される。算出開始時期θ1と算出終了時期θ2とは、少なくともこれらの間の期間に、燃焼開始から燃焼終了までの期間即ち燃焼期間が含まれるように設定される。−120°及び120°以外の値に設定してもよい。
【0033】
[本実施形態の制御装置の具体的構成]
次に、前述のような制御を実行する本実施形態の内燃機関の制御装置の一例を具体的に説明する。
【0034】
図3は、本実施形態に係る内燃機関の制御装置を示す概略構成図である。同図に示される内燃機関1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生するものである。図には1気筒のみが示されるが、内燃機関1は多気筒エンジンとして構成され、本実施形態の場合4気筒エンジンとして構成される。また本実施形態の内燃機関1は火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
【0035】
内燃機関1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは図示しないカムシャフトによって開閉させられる。
【0036】
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気集合通路をなす吸気管L1が接続されており、吸気管L1の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管L1には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、スロットルバルブ(本実施形態では電子制御式)10とが組み込まれている。一方、各気筒の排気ポートは気筒毎の枝管を介して排気集合通路をなす排気管6に接続されており、排気管6には、三元触媒を含む前段触媒装置11aおよびNOx吸蔵還元触媒を含む後段触媒装置11bが取り付けられている。
【0037】
本実施形態では1気筒当たりに複数(本実施形態では二つ)の点火プラグ7A,7Bが、燃焼室3内の異なる位置に点火可能となるように配設されている。なお、通常は一方の点火プラグ即ちメインプラグ7Aで点火を行い、後に詳述するが、過剰な緩慢燃焼が生じて2点目点火や多点点火を行うときには他方の点火プラグ即ちサブプラグ7Bが使用される。このように、筒内の異なる位置で同時期又は異なる時期に点火(燃焼開始)可能な点火(燃焼開始)手段が設けられている。かかる点火手段としては他にレーザ点火装置等を使用することもできる。
【0038】
更に、内燃機関1は、気筒毎にインジェクタ(燃料噴射弁)12を有し、インジェクタ12は、対応する燃焼室3内に臨むようにシリンダヘッドに配設されている。また、内燃機関1の各ピストン4は、いわゆる深皿頂面型に構成されており、その上面には、凹部4aが形成されている。そして、内燃機関1では、各燃焼室3内に空気を吸入させた状態で、各インジェクタ12から各燃焼室3内のピストン4の凹部4aに向けて燃料が直接噴射される。これにより、内燃機関1では、点火プラグ(特にメインプラグ7A)の近傍に、燃料と空気との混合気の層が周囲の空気層と分離された状態で形成(成層化)されるので、全体として極めて希薄な混合気を用いて安定した成層燃焼を実行することが可能となる。
【0039】
上述の点火プラグ7A,7B、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。ECU20には、図3に示されるように、前述のエアフローメータ5、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ7、及びその他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御する。
【0040】
また、内燃機関1は、半導体素子、圧電素子あるいは光ファイバ検出素子等を含む筒内圧センサ15を各気筒に有している。各筒内圧センサ15は、対応する燃焼室3内に受圧面が臨むようにシリンダヘッドに配設されており、図示されないA/D変換器等を介してECU20に電気的に接続されている。各筒内圧センサ15は、対応する燃焼室3における筒内圧力(相対圧力)に比例した電圧信号をECU20に与える。更に、内燃機関1は、サージタンク8内の吸入空気の圧力(吸気圧)を絶対圧力として検出する吸気圧センサ16を有している。吸気圧センサ16は、図示されないA/D変換器等を介してECU20に電気的に接続されており、検出したサージタンク8内の吸入空気の絶対圧力を示す信号をECU20に与える。各筒内圧センサ15および吸気圧センサ16の検出値は、微小時間おきにECU20に順次与えられ、ECU20の所定の記憶領域(バッファ)に所定量ずつ格納保持される。
【0041】
[本実施形態の制御装置による制御の内容]
前述したように、ECU20は、筒内圧センサ15により検出される筒内圧力に基づき燃焼開始時期、即ち点火時期を気筒毎に制御する。これをより具体的に説明する。
【0042】
図4は、内燃機関1の運転時におけるクランク角θに対する燃焼割合MFBの変化を示す。前述したように、本実施形態においては、θ=θ0(=8°)の時点で、前述の(2)式により制御パラメータPVκに基づいて算出される燃焼割合がφ(=50%)になるように、点火時期が制御される。このときに最良の燃焼状態が実現され、またこれを実現させるような点火時期が所謂MBT(Minimum Advance for Best Torque:最大トルクを得られる最小進角量)である。このようにθ=θ0の時点で燃焼割合をφにするような点火時期の制御を以下、MBT制御と称す。なお、(2)式により制御パラメータPVκに基づいて燃焼割合を算出する際、圧力値としては、筒内圧センサ15により検出される筒内圧力を、吸気圧センサ16により検出される筒内圧力で絶対圧補正した値を用いる。
【0043】
図中、線図Iが最良の燃焼状態のときの燃焼割合の変化を示す。このとき燃焼割合は、点火時期IGより前の期間では0%であり、点火時期IGで点火が実行された後は所定速度で徐々に増大し、やがて100%に達する。そしてθ=θ0の時点で燃焼割合はφ近傍となっている。
【0044】
基本的に、この線図Iから多少ずれる線図を示すような燃焼割合変化は、良好な燃焼状態の範疇であり、MBT制御の範疇である。しかしながら、場合によっては、線図Iから大きくずれる線図を示すような燃焼割合変化を呈する、良好でない燃焼状態となる場合がある。これを示すのが線図II、III、IVである。線図IIの場合、線図Iよりも燃焼割合の変化速度が著しく大であり、燃焼速度が過剰に高く、ノック(特に重度ノック)又はプレイグニッションを引き起こす可能性のある過剰な急速燃焼の場合である。この燃焼状態は例えば高負荷運転時で燃焼室3内が著しく高温の場合に起こり得る。逆に、線図IIIの場合、線図Iよりも燃焼割合の変化速度が著しく小であり、燃焼速度が過剰に低く、効率の悪い過剰な(しかしながら軽度の)緩慢燃焼の場合である。この燃焼状態だと所望のトルクが得られず、燃費も悪化する。この燃焼状態は例えばまだ内燃機関1が十分に暖機されていなかったり、筒内混合気の総空燃比が比較的大きなリーンの場合に起こり得る。線図IVの場合、線図Iよりも燃焼割合の変化速度が極小であり、ほぼ失火寸前であり、過剰でしかも重度の緩慢燃焼の場合である。この燃焼状態だと図に見られるようにやがて燃焼割合が0%となり、失火に至る可能性がある。この燃焼状態は例えば冷間始動直後で筒内が冷えていたり、筒内混合気の総空燃比がかなり大きなリーンの場合に起こり得る。
【0045】
そこで、本実施形態の制御装置は、線図II、III、IVに見られるように燃焼室3内の燃焼状態が過剰な急速燃焼又は緩慢燃焼である場合に、燃焼途中で燃焼状態を改善する制御を行う。言い換えれば、本実施形態の制御装置は、燃焼状態が良好でない場合にそれを燃焼開始直後の燃焼初期段階で検知し、同一の燃焼サイクル中にその燃焼状態を改善する制御を行う。
【0046】
より具体的には、ECU20は、点火時期IG直後の所定クランク角θxの時点における燃焼割合MFB(θx)を算出する。ここで所定クランク角θxは、判定時期と称し、少なくとも燃焼初期段階の、後の燃焼改善制御が実施可能となるクランク角に定められ、本実施形態では前記基準時期θ0より前の圧縮上死点TDCに設定される。そして、ECU20は、その燃焼割合MFB(θx)を所定のしきい値α、β、γと比較し、筒内における燃焼状態を判定する。そしてこの判定結果に応じて、後述の燃焼状態改善制御を直ちに実行する。
【0047】
図4に示されるように、α>γ>βであり、例えばα=46%、γ=17%、β=5%である。しきい値α、β、γはそれぞれ急速燃焼判定しきい値、重度緩慢燃焼判定しきい値、軽度緩慢燃焼判定しきい値と称される。そして筒内における燃焼状態は、P2で示されるようなα<MFB(θx)のときは過剰な急速燃焼、P1で示されるようなγ≦MFB(θx)≦αのときは良好、P3で示されるようなβ≦MFB(θx)<γのときは軽度の過剰な緩慢燃焼、P4で示されるようなMFB(θx)<βのときは重度の過剰な緩慢燃焼と判定される。
【0048】
この判定時期θxにおける燃焼割合MFB(θx)は、それ自体燃焼割合を示す値であるが、見方を変えれば、判定時期θxにおける燃焼割合MFBの変化速度(つまり図4の線図の傾き)を示しているとも言える。なぜなら、図4に示されるように、点火時期IGにおける燃焼割合MFBは0%であり、(判定時期θxにおける燃焼割合MFBの変化速度)=(MFB(θx)−0)/(θx−IG)として表せるからである。これから理解されるように、燃焼状態の判定は燃焼割合MFBの変化速度をしきい値と比較して行ってもよい。また、点火時期IGと判定時期θxとの間に別の1点を設定し、この1点と判定時期θxとの間の燃焼割合変化速度を求めるようにしてもよい。
【0049】
ここで、クランク角θxの時点における燃焼割合MFB(θx)の算出について説明する。本実施形態のECU20は、前記式(2)に従い、θ1=−120°からθ2(=120°までの間の任意のクランク角θにおける燃焼割合MFBを算出可能である。従って、判定時期θx(=0°)における燃焼割合MFBも当然に算出可能である。但し、判定時期θxの時点では、(2)式の分母のクランク角120°の時点における制御パラメータP(120°)Vκ(120°)の値が実測不可能である。ここで、(2)式の分母の値即ちP(120°)Vκ(120°)−P(−120°)Vκ(−120°)は、(3)式の分母に対応する値であり、−120°から120°までの総熱発生量Qmaxに対応する値である。判定時期θxの時点では、クランク角120°の時点における制御パラメータP(120°)Vκ(120°)の値が未知であることから、(2)式分母の値が未知であり、このままでは判定時期θxの時点でその時点の燃焼割合MFBを算出できない。よってここでは、総熱発生量Qmaxに対応する制御パラメータPVκの値(PVκmaxと称す)を次のように推定して判定時期θxにおける燃焼割合MFBを算出する。なお、燃焼割合MFBの算出を(3)式に従って行うときには総熱発生量Qmaxそれ自体を推定することになる。このように本実施形態では、判定時期θxにおける燃焼割合MFB(θx)の算出に際し、当該燃焼の総熱発生量Qmax又はその対応値PVκmaxを推定する手段が設けられている。
【0050】
総熱発生量Qmaxは基本的には吸入空気量KLの関数であり、吸入空気量KLが大きくなるほど総熱発生量Qmaxは大きくなる。よって本実施形態では、図5に示されるような吸入空気量KLと総熱発生量Qmaxとの関係、具体的には吸入空気量KLと、総熱発生量Qmaxに対応する制御パラメータの値PVκmaxとの関係が予め実験的に求められ、ECU20にマップ又は関数の形式で記憶されている。ECU20は、判定時期θx又はそれより前の時期において、エアフローメータ5により検出された吸入空気量KLに基づき、当該マップ等を用いて制御パラメータPVκmaxを算出ないし推定する。これにより判定時期θxの時点でその時点の燃焼割合MFBを算出できるようになる。
【0051】
或いは、この方法に代えて次のような方法を採用することもできる。図6に示されるように、本制御は各気筒の燃焼サイクル毎に実行され、例えば本実施形態の4気筒エンジンの場合、#1、#3、#4,#2の気筒順で燃焼及び制御が行われる。ここで、今回対象気筒(例えば#3)とその直前の前回気筒(#1)とでは運転状態が極く近いので、今回対象気筒の計算に前回気筒の値を一部流用可能な場合がある。従ってここではかかる流用を行い、今回対象気筒の燃焼割合MFB(θx)の算出に際し、前回気筒の総熱発生量Qmaxに対応する制御パラメータの値PVκmaxを用いる。前回気筒でクランク角が120°になった時点で、その前回気筒の制御パラメータP(120°)Vκ(120°)ひいては制御パラメータPVκmaxが算出され、この制御パラメータPVκmaxが今回対象気筒の制御パラメータPVκmaxの値として用いられる。こうすることでも判定時期θxの時点でその時点の燃焼割合MFBを算出できるようになる。
【0052】
次に、本実施形態の燃焼改善制御の具体的内容を図7に示すフローチャートに基づき説明する。まずステップS101において、ECU20は、判定時期θxに、その時点における対象気筒の燃焼割合MFB(θx)を(2)式により算出する。なお前述したように(2)式分母の値は、図5に示されたような吸入空気量KLに基づく制御パラメータPVκmaxの値を用いるか、又は図6に示されたような前回気筒の制御パラメータPVκmaxの値を用いる。そしてECU20は、その算出された燃焼割合MFB(θx)を急速燃焼判定しきい値αと比較する。
【0053】
燃焼割合MFB(θx)が急速燃焼判定しきい値αより大きい場合(S101:YES)、燃焼状態は過剰な急速燃焼と判定され、ステップS102において直ちに、後の燃焼を抑制するための燃焼抑制制御が実行される。この燃焼抑制制御は、例えばECU20がインジェクタ12をオンし、インジェクタ12から二次燃料を噴射させる制御である。燃料も液体であることから、かかる二次燃料の噴射により筒内温度を下げたり消炎(強制的に火炎を消失させること)することができ、これにより燃焼を抑制し、燃焼速度を下げることができる。そして結果的に、図4に線図II’で示すように、判定時期θx以降の燃焼割合MFBの変化速度を緩慢な方向に改善することができ、ノックの発生も未然に防止することが可能となる。
【0054】
ここで、燃焼抑制制御としてはこのような二次燃料の噴射に代わって、或いはこれに加えて、燃焼室3に臨んで取り付けられた水噴射弁(図示せず)から燃焼室3内に水を噴射させるようにしてもよい。こうすることによっても同様の作用効果を奏し得る。
【0055】
この燃焼抑制制御における燃料噴射(又は水噴射)の量と時期は次のように設定することができる。例えば、燃焼割合MFB(θx)と急速燃焼判定しきい値αとの差(MFB(θx)−α)が大きいほど(つまり燃焼が急速であるほど)、噴射量を増大し、積極的に燃焼を抑制するようにする。また、燃焼割合MFB(θx)と急速燃焼判定しきい値αとの差が大きいほど(燃焼が急速であるほど)、噴射時期を早い時期に設定し、つまり判定時期θxから噴射開始までの時間遅れを少なくし、早期に燃焼を抑制するようにする。
【0056】
また、二次燃料噴射又は水噴射の量又は時期と、燃焼割合MFB(θx)及び急速燃焼判定しきい値αの差(MFB(θx)−α)との関係を、運転条件(例えばエンジン回転速度NEと負荷KL)ごとに適合したマップを用いて、燃焼抑制制御における二次燃料噴射又は水噴射の量又は時期を設定してもよい。また、前記の如く設定した量及び時期に従って二次燃料噴射又は水噴射を実行した後、同一の燃焼行程での燃焼結果を燃焼割合又は燃焼速度に基づいて検証し、検証結果に基づいて学習するようにしてもよい。例えば、二次燃料噴射又は水噴射後の所定時期における燃焼割合の値と、運転条件から適合される適正値との差の大きさに基づいて、マップ上の二次燃料噴射又は水噴射の量又は時期を補正する。
【0057】
他方、図7に戻って、ステップS101において燃焼割合MFB(θx)が急速燃焼判定しきい値α以下と判定された場合(S101:NO)、ステップS103に進んで燃焼割合MFB(θx)を重度緩慢燃焼判定しきい値βと比較する。
【0058】
燃焼割合MFB(θx)が重度緩慢燃焼判定しきい値βより小さい場合(S103:YES)、燃焼状態は図4に線図IVで示したような重度の過剰な緩慢燃焼と判定され、ステップS104において直ちに、後の燃焼を促進するための第1の燃焼促進制御が実行される。この第1の燃焼促進制御は具体的には、ECU20が点火プラグ7A,7Bのうちの一方をオンし、2点目点火(再度の点火)を実行させる制御である。この2点目点火は、最初の点火位置と異なる位置で行うのが好ましく、本実施形態では最初の点火が行われるメインプラグ7Aではなくサブプラグ7Bで行われる。これは、最初の点火位置では既に混合気が燃焼して既燃ガスとなっており、異なる位置で点火を行った方が新たな燃焼を引き起こす確率が高いからである。この2点目点火により、失火寸前のような極度に悪い燃焼状態を改善し、燃焼を持ち直して燃焼速度を上げ、燃焼割合MFBの変化速度を急速側の方向に改善することができる。そして最終的な失火に至ることを未然に防止することが可能となる。こうして第1の燃焼促進制御が行われた後にはステップS105に進む。
【0059】
他方、ステップS103において、燃焼割合MFB(θx)が重度緩慢燃焼判定しきい値β以上の場合(S103:NO)、ステップS104をスキップしてステップS105に進む。
【0060】
ステップS105では、判定時期θx直後の所定時期θx+(但しθx+はθ0より前)における燃焼割合MFB(θx+)が、ステップS101で算出したのと同様な方法で算出され、かつこの燃焼割合MFB(θx+)が軽度緩慢燃焼判定しきいγと比較される。
【0061】
燃焼割合MFB(θx+)が軽度緩慢燃焼判定しきい値γより小さい場合(S105:YES)、第1の燃焼促進制御(2点目点火)を実施したにも拘わらず燃焼状態は十分に促進されておらず、燃焼状態は未だ重度又は軽度の過剰な緩慢燃焼状態にあると判定される(第1のケース)。或いは、燃焼状態は当初から、図4の線図IIIで示されるような重度ではないが軽度の過剰な緩慢燃焼状態にあると判定される(第2のケース)。この場合、ステップS106において直ちに、後の燃焼を促進するための第2の燃焼促進制御が実行される。この第2の燃焼促進制御は具体的には、ECU20が点火プラグ7A,7Bのうちの両方をオンし、異なる位置で同時に点火、即ち多点点火を実行させる制御である。これにより燃焼が促進され、前述のケース1の場合では燃焼が持ち直し、最終的な失火を防止できる可能性がある。また前述のケース2の場合では、燃焼状態を良好な燃焼状態に近づけることができる。
【0062】
他方、ステップS105において、燃焼割合MFB(θx+)が軽度緩慢燃焼判定しきい値γ以上の場合(S105:NO)、燃焼状態は良好と判定される。この場合は本ルーチンを直ちに終了する。
【0063】
このように本実施形態の制御装置によれば、筒内における燃焼状態が良好でなく、過剰な急速燃焼又は緩慢燃焼である場合に、燃焼状態を燃焼途中で改善することができる。特に、その燃焼状態が過剰な急速燃焼の場合(ステップS101でMFB(θx)>αの場合)には、直ちに燃焼抑制制御を実行するので、燃焼途中で燃焼速度を下げ、ノックの発生を未然に防止することができる。
【0064】
本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば上述の内燃機関1は火花点火式内燃機関(ガソリンエンジン)であったが、これに限られるものではなく、本発明は圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)にも適用可能である。この場合、点火が行われないことから、前記第1又は第2の燃焼促進制御は燃料噴射弁から二次燃料を噴射することにより行う。
【0065】
前記実施形態では緩慢燃焼の態様として重度と軽度との二段階の緩慢燃焼を設定し、且つこれに対応して緩慢燃焼判定しきい値も重度緩慢燃焼判定しきい値γと軽度緩慢燃焼判定しきい値βとの二つを設定したが、これに限らず、単一の緩慢燃焼を設定してしきい値を一つとしたり、より段階数を多くして(例えば三段階)より多くのしきい値を設定することも可能である。急速燃焼の態様についても同様で、前記実施形態では単一の急速燃焼を設定してしきい値も一つとしたが、これに限らず、多段階の急速燃焼を設定して複数のしきい値を設定することも可能である。
【0066】
前記実施形態では判定時期θxを圧縮上死点TDCに設定したが、これに限らず、判定時期θxは、燃焼開始直後の燃焼初期段階の時期で且つ後の燃焼改善制御が行えるようなタイミングであればどのような時期であってもよい。例えば燃焼開始時期から所定クランク角(例えば10°)後の時期に設定することができる。
【0067】
前記実施形態では、検出された筒内情報に基づいて各制御量を直接的に制御する制御装置の例を示したが、本発明の適用はこれのみに限られず、従来より一般的なマップ制御方式を採用する制御装置にも本発明は適用可能である。
【0068】
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態において用いられる制御パラメータPVκと、燃焼室内における熱発生量との相関を示すグラフである。
【図2】制御パラメータPVκに基づいて求められる燃焼割合と、熱発生率に基づいて求められる燃焼割合との相関を示すグラフである。
【図3】本実施形態の内燃機関の制御装置を示す概略構成図である。
【図4】内燃機関の運転時におけるクランク角に対する燃焼割合の変化を示すグラフである。
【図5】吸入空気量KLと総熱発生量Qmax(又は総熱発生量Qmaxに対応する制御パラメータPVκmax)との関係を示すグラフである。
【図6】本実施形態のエンジンの燃焼順序と、前回気筒の総熱発生量Qmax(又は総熱発生量Qmaxに対応する制御パラメータPVκmax)の流用を説明するための図である。
【図7】本実施形態の燃焼改善制御の具体的内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 内燃機関
3 燃焼室
7A,7B 点火プラグ
12 インジェクタ
15 筒内圧センサ
16 吸気圧センサ
θx 判定時期
α 急速燃焼判定しきい値
β 重度緩慢燃焼判定しきい値
γ 軽度緩慢燃焼判定しきい値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の筒内情報を検出する筒内情報検出手段と、
前記筒内情報検出手段の検出値に基づき、燃焼開始時期直後の所定の判定時期における燃焼割合又はその変化速度を算出する燃焼割合算出手段と、
前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合又はその変化速度に基づき、筒内における燃焼状態を判定する判定手段と、
該判定手段により、筒内における燃焼状態が過剰な急速燃焼であると判定された場合に、前記判定時期と同一の燃焼行程における後の燃焼を抑制し、運転条件に基づき目標とする燃焼割合又は燃焼速度となるように所定の燃焼抑制制御を実行する燃焼抑制制御手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記判定手段が、前記判定時期における燃焼割合又はその変化速度を所定の急速燃焼判定しきい値と比較し、当該燃焼割合又はその変化速度が前記急速燃焼判定しきい値より大きいとき、前記燃焼状態が過剰な急速燃焼であると判定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関が筒内に燃料噴射する燃料噴射弁を備え、前記所定の燃焼抑制制御が、前記燃料噴射弁から二次燃料を噴射させる制御であることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関が筒内に燃料噴射する燃料噴射弁を備え、前記所定の燃焼抑制制御が、前記燃料噴射弁から二次燃料を噴射させる制御であり、
前記燃焼抑制制御手段が、前記判定時期における燃焼割合又はその変化速度と前記急速燃焼判定しきい値との差が大きいほど前記二次燃料の噴射量を増大することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記内燃機関が筒内に燃料噴射する燃料噴射弁を備え、前記所定の燃焼抑制制御が、前記燃料噴射弁から二次燃料を噴射させる制御であり、
前記燃焼抑制制御手段が、前記判定時期における燃焼割合又はその変化速度と前記急速燃焼判定しきい値との差が大きいほど早い時期に前記二次燃料を噴射することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記内燃機関が筒内に水を噴射する水噴射弁を備え、前記所定の燃焼抑制制御が、前記水噴射弁から水を噴射させる制御であることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記内燃機関が圧縮着火式内燃機関であると共に筒内に燃料噴射する燃料噴射弁を備え、
前記判定手段により、筒内における燃焼状態が過剰な緩慢燃焼であると判定された場合に、前記判定時期より後の燃焼を促進するための所定の燃焼促進制御を実行する燃焼促進制御手段がさらに備えられることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記所定の燃焼促進制御が、前記燃料噴射弁から二次燃料を噴射させる制御であることを特徴とする請求項7記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−14275(P2008−14275A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188407(P2006−188407)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】