説明

半導体装置、その製造方法及び駆動方法

【課題】FEOLプロセスにおける拡散工程中のチャージアップから正負とも低電圧の範囲からメモリ素子を保護し、且つ製造工程完了後は、メモリ素子の駆動に必要な正負両極性の高電圧をメモリ素子に印加することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板11に形成された被保護素子と、第2導電型ウェル14に形成された第1の保護トランジスタ41と、第1導電型ウェル13に形成された第2の保護トランジスタ42とを備えている。第2の保護トランジスタ42の第4のソース・ドレイン拡散層22Bは第2の拡散層27と接し、第3のソース・ドレイン拡散層22Aは、第2導電型ウェル14において第1の保護トランジスタ41の第2のソース・ドレイン拡散層21Bと接している。第1の保護トランジスタ41の第1のソース・ドレイン拡散層21Aは、被保護素子電極32と接する第1の拡散層26と接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、その製造方法及び駆動方法に関し、特に、局所電荷蓄積型不揮発性メモリ等を備えた半導体装置、その製造方法及び駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
局所電荷蓄積型不揮発性メモリは、拡散工程中にチャージアップにより電荷注入を受けてしまうと、製造工程完了後にそれを除去することが困難な場合が多い。このため、拡散工程中のメモリ部へのチャージアップダメージを抑制する技術が重要になってきている。このため、拡散工程中にメモリ部へ保護素子を接続し、チャージアップダメージを抑制する技術が検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
図22は、従来のチャージアップダメージを抑制する方法を示している。図22に示すように、メモリ素子等の被保護素子150に配線140を用いてチャージアップ保護トランジスタ152を接続する。配線工程において正のチャージが被保護素子150の電極に印加された場合には、同時に保護トランジスタ152の電極にも正電圧が印加される。これにより、保護トランジスタ152が導通するため、チャージは被保護素子150の電極に帯電することなく基板141に抜ける。また、被保護素子150に負のチャージが印加された場合には、保護トランジスタ152のソース・ドレイン拡散層とウェル拡散層とが順バイアスとなる。これにより、チャージは被保護素子150の電極に帯電することなく基板141に抜ける。
【0004】
なお、以降の説明において、ソース・ドレイン拡散層という表記は、一つのトランジスタに属するソース拡散層及びドレイン拡散層のいずれか一方を意味するものと定義する。ここで、一つのトランジスタに属する二つのソース・ドレイン拡散層のうちの一方がソース拡散層として機能するとき、他方はドレイン拡散層として機能する。
【特許文献1】米国登録特許6337502号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術は、保護効果が有効となる工程が配線工程以降であるという問題を有している。このため、配線工程よりも前の製造工程であるFEOL(Front End Of Line)プロセスにおける拡散工程中のチャージングからメモリ素子を保護することができない。また、その構造上、製造工程完了後に負バイアスを被保護素子に印加することができないという問題もある。
【0006】
一方、メモリ素子の微細化進行に伴いFEOLプロセスにおける拡散工程中のチャージアップがメモリセルの初期閾値電圧(Vt)ばらつき等へ及ぼす影響が無視できなくなり、大きな問題となってきている。例えば、素子の微細化に伴い低温プロセスが必要となる。これに伴い、FEOLプロセスにおいて蓄積された電荷を引き抜く熱処理工程を入れることが困難になる。このため、配線工程以降のメモリ素子保護では不十分である。また、メモリ素子のゲート絶縁膜となるONO膜(酸化膜−窒化膜−酸化膜)の膜厚が薄膜化されることによっても、拡散工程中のチャージアップ対策が重要になる。例えば、ONO膜の膜厚が30nmから15nmになると、FEOLレベルの拡散工程中におけるチャージングにより高電圧(例えば、10V)が長時間印加された場合に、初期Vtを変動させる電荷注入を引き起こすおそれが高くなる。このように、素子の微細化に伴いチャージアップの影響が顕著になる。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決し、FEOLプロセスにおける拡散工程中のチャージアップから正負とも低電圧の範囲でメモリ素子を保護し、且つ製造工程完了後は、メモリ素子の駆動に必要な正負両極性の高電圧をメモリ素子に印加することを可能にする半導体装置を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の問題を解決するため、本発明は半導体装置を、第1導電型の保護トランジスタと、第2導電型の保護トランジスタとを備え、保護トランジスタと被保護素子のゲート電極とが拡散層により接続された構成とする。
【0009】
具体的に、本発明に係る第1の半導体装置は、第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルを有する第1導電型の半導体基板と、半導体基板に形成され、被保護素子電極を有する被保護素子と、第2導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタと、第1導電型ウェルに形成された第2の保護トランジスタと、第2導電型ウェルに形成され、被保護素子電極と接する第1導電型の第1の拡散層と、第1導電型ウェルに形成された第1導電型の第2の拡散層とを備え、第1の保護トランジスタは、第2導電型ウェルの上に形成された第1のゲート電極と、第2導電型ウェルにおける第1のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第1導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層とを有し、第2の保護トランジスタは、第1導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、第1導電型ウェルにおける第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層とを有し、第4のソース・ドレイン拡散層は、第2の拡散層と接し、第3のソース・ドレイン拡散層は、第1導電型ウェルと第2導電型ウェルとの境界を越えて第2導電型ウェル内に延伸し且つ第2のソース・ドレイン拡散層と接し、第1のソース・ドレイン拡散層は、第1の拡散層と接していることを特徴とする。
【0010】
第1の半導体装置は、第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層と被保護素子電極とが第1の拡散層を介在させて接続されている。このため、配線工程以前のFEOLプロセスから、被保護素子の保護を行うことができる。また、第2導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタと、第1導電型ウェルに形成された第2の保護トランジスタとを備えているため、製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できる。
【0011】
第1の半導体装置において、第1のソース・ドレイン拡散層、第2のソース・ドレイン拡散層、第3のソース・ドレイン拡散層、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の拡散層は、それぞれ表面が金属シリサイド化されていてもよい。
【0012】
第1の半導体装置において、第1のゲート電極と第2のゲート電極とは、互いに接続されていてもよい。
【0013】
第1の半導体装置は、被保護素子電極と平行して延びるダミー電極をさらに備え、第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、それぞれダミー電極と接続されていてもよい。
【0014】
第1の半導体装置において、被保護素子電極は、上層と下層とを含む積層構造を有し、第1の拡散層は上層と接していてもよい。
【0015】
第1の半導体装置において、被保護素子電極と第1の拡散層とは、厚さが4nm以下の絶縁膜を介在させて接していてもよい。
【0016】
第1の半導体装置において、被保護素子は、電荷蓄積層への電子若しくは正孔の蓄積又は除去によりその特性が変化する不揮発性メモリであってもよい。
【0017】
本発明に係る第2の半導体装置は、選択的に形成された第2導電型の深いウェルと、深いウェルの上部に形成された第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルとを有する第1導電型の半導体基板と、半導体基板に形成され、被保護素子電極を有する被保護素子と、第1導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタと、第2導電型ウェルに形成された第2の保護トランジスタと、第1導電型ウェルに形成され、被保護素子電極と接する第1導電型の第1の拡散層と、第1の保護トランジスタと間隔をおいて形成された第1導電型の第2の拡散層とを備え、第1の保護トランジスタは、第1導電型ウェルの上に形成された第1のゲート電極と、第1導電型ウェルにおける第1のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層を有し、第2の保護トランジスタは、第2導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、第2導電型ウェルにおける第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層とを有し、第1のソース・ドレイン拡散層は、第1の拡散層と接し、第2のソース・ドレイン拡散層は、半導体基板の深いウェルが形成された領域を除く領域と、半導体基板の上に形成された第1の導電膜を介在させて電気的に接続され、第3のソース・ドレイン拡散層は、第2の拡散層と接し、第4のソース・ドレイン拡散層は、半導体基板の深いウェルが形成された領域を除く領域と、半導体基板の上に形成された第2の導電膜を介在させて電気的に接続されていることを特徴とする。
【0018】
第2の半導体装置は、第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層と被保護素子電極とが第1の拡散層を介在させて接続されている。このため、配線工程以前のFEOLプロセスから、被保護素子の保護を行うことができる。また、第1導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタと、第2導電型ウェルに形成された第2の保護トランジスタとため、製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できる。さらに、第2導電型の深いウェルを備えているため、第2導電型の拡散層の形成が容易となる。
【0019】
第2の半導体装置において、被保護素子のゲート電極と、第1の導電膜及び第2の導電膜とは同一の材料であってもよい。
【0020】
第2の半導体装置は、半導体基板の、深いウェルが形成された領域を除く領域に形成された第1導電型の第1の接続用拡散層及び第2の接続用拡散層をさらに備え、第1の導電膜は、第2のソース・ドレイン拡散層及び第1の接続用拡散層と接し、第2の導電膜は、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の接続用拡散層と接していてもよい。
【0021】
第2の半導体装置において、第1のソース・ドレイン拡散層、第2のソース・ドレイン拡散層、第3のソース・ドレイン拡散層、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の拡散層は、それぞれ表面が金属シリサイド化されていてもよい。
【0022】
第2の半導体装置において、第1のゲート電極と第2のゲート電極とは、電気的に接続されていてもよい。
【0023】
第2の半導体装置において、被保護素子電極と平行して延びるダミー電極をさらに備え、第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、それぞれダミー電極と接続されていてもよい。
【0024】
第2の半導体装置において、被保護素子電極は上層と下層とを含む積層構造を有し、第1の拡散層は、上層と接していてもよい。
【0025】
第2の半導体装置において、被保護素子電極と第1の拡散層とは、厚さが4nm以下の絶縁膜を介在させて接していてもよい。
【0026】
第2の半導体装置において、被保護素子は、電荷蓄積層への電子若しくは正孔の蓄積又は除去によりその特性が変化する不揮発性メモリであってもよい。
【0027】
本発明に係る第3の半導体装置は、選択的に形成された第2導電型の深いウェルと、深いウェルの上部に形成された第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルとを有する第1導電型の半導体基板と、半導体基板に形成され、被保護素子電極を有する被保護素子と、第1導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタと、第2導電型ウェルに形成された第3の保護トランジスタと、第1導電型ウェルに形成され、被保護素子電極と接する第1導電型の第1の拡散層と、第1導電型ウェルに第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタと間隔をおいて形成された第1導電型の第2の拡散層とを備え、第1の保護トランジスタは、第1導電型ウェルの上に形成された第1のゲート電極と、第1導電型ウェルにおける第1のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び共通拡散層とを有し、第2の保護トランジスタは、第1導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、第1導電型ウェルにおける第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成され第2導電型の第2のソース・ドレイン拡散層及び共通拡散層とを有し、第3の保護トランジスタは、第2導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、第2導電型ウェルにおける第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層とを有し、第1のソース・ドレイン拡散層は、第1の拡散層と接し、第2のソース・ドレイン拡散層は、半導体基板の深いウェルが形成された領域を除く領域と、半導体基板の上に形成された第1の導電膜を介在させて電気的に接続され、第3のソース・ドレイン拡散層は、第2の拡散層と接し、第4のソース・ドレイン拡散層は、半導体基板の深いウェルが形成された領域を除く領域と、半導体基板の上に形成された第2の導電膜を介在させて電気的に接続されていることを特徴とする。
【0028】
第3の半導体装置は、第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層と被保護素子電極とが第1の拡散層を介在させて接続されている。このため、配線工程以前のFEOLプロセスから、被保護素子の保護を行うことができる。また、第1導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタと、第2導電型ウェルに形成された第3の保護トランジスタとを備えているため、製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できる。さらに、第2導電型の深いウェルを備えているため、第2導電型の拡散層の形成が容易となる。
【0029】
第3の半導体装置において、被保護素子電極と、第1の導電膜及び第2の導電膜とは同一の材料であってもよい。
【0030】
第3の半導体装置において、半導体基板の、深いウェルが形成された領域を除く領域に形成された第1導電型の第1の接続用拡散層及び第2の接続用拡散層をさらに備え、第1の導電膜は、第2のソース・ドレイン拡散層及び第1の接続用拡散層と接し、第2の導電膜は、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の接続用拡散層と接していてもよい。
【0031】
第3の半導体装置において、第1のソース・ドレイン拡散層、共通拡散層、第2のソース・ドレイン拡散層、第3のソース・ドレイン拡散層、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の拡散層は、それぞれ表面が金属シリサイド化されていてもよい。
【0032】
第3の半導体装置において、第1のゲート電極と第2のゲート電極と第3のゲート電極とは、電気的に接続されていてもよい。
【0033】
第3の半導体装置において、被保護素子電極と平行して延びるダミー電極をさらに備え、第1のゲート電極、第2のゲート電極及び第3のゲート電極は、それぞれダミー電極と接続されていてもよい。
【0034】
第3の半導体装置において、被保護素子電極は上層と下層とを含む積層構造を有し、第1の拡散層は、上層と接続されていてもよい。
【0035】
第3の半導体装置において、被保護素子電極と第1の拡散層とは、厚さが4nm以下の絶縁膜を介在させて接していてもよい。
【0036】
第3の半導体装置において、被保護素子は、電荷蓄積層への電子若しくは正孔の蓄積又は除去によりその特性が変化する不揮発性メモリであってもよい。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、被保護素子は、電荷蓄積層への電子若しくは正孔の蓄積又は除去によりその特性が変化する不揮発性メモリであることが好ましい。
【0037】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板に第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルを形成する工程(a)と、第1導電型ウェル上及び第2導電型ウェル上に絶縁膜を形成する工程(b)と、第2導電型ウェル上の絶縁膜の一部に開口部を形成する工程(c)と、開口部から第2導電型ウェルに不純物を導入して、第2導電型ウェルに第1導電型の第1の拡散層を形成する工程(d)と、絶縁膜及び開口部の上に導電膜を形成した後、形成した導電膜をパターニングして、第2導電型ウェルの上に第1のゲート電極を形成し、第1導電型ウェルの上に第2のゲート電極を形成し、第1の拡散層と接するように被保護素子のゲート電極を形成する工程(e)と、第2導電型ウェルにおける、第1のゲート電極の両側方にそれぞれ第1導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(f)と、第1導電型ウェルに、第1導電型の第2の拡散層を形成する工程(g)と、第1導電型ウェルにおける、第2のゲート電極の両側方にそれぞれ第2導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(h)とを備え、工程(f)では、第1のソース・ドレイン拡散層と第1の拡散層とが接続するように形成し、工程(h)では、第3のソース・ドレイン拡散層が第2導電型ウェルに延伸して、第2のソース・ドレイン拡散層と接するように形成し、工程(g)では、第4のソース・ドレイン拡散層と第2の拡散層とが接するように形成することを特徴とする。
【0038】
第1の半導体装置の製造方法は、第1のソース・ドレイン拡散層と第1の拡散層とが接続するように形成する。このため、配線工程以前のFEOLプロセスから、被保護素子の保護を行うことができる。また、第2導電型ウェルに第1の保護トランジスタを形成し、第1導電型ウェルに第2の保護トランジスタを形成するため、製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できる。
【0039】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板に、第1導電型ウェル、第2導電型ウェルを形成すると共に、第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下方に、該第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下面に接するように第2導電型の深いウェルを形成する工程(a)と、第1導電型ウェル上及び第2導電型ウェル上に絶縁膜を形成する工程(b)と、第1導電型ウェル上の絶縁膜の一部に開口部を形成する工程(c)と、開口部から第1導電型ウェルに不純物を導入して、第1導電型ウェルに第2導電型の第1の拡散層を形成する工程(d)と、絶縁膜及び開口部の上に導電膜を形成した後、形成した導電膜をパターニングして、第1導電型ウェルの上に第1のゲート電極を形成し、第2導電型ウェルの上に第2のゲート電極を形成し、第1の拡散層と接するように被保護素子電極を形成する工程(e)と、第1導電型ウェルにおける、第1のゲート電極の両側方にそれぞれ第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(f)と、第2導電型ウェルにおける、第2のゲート電極の両側方にそれぞれ第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層を形成し、第1導電型ウェルに、第3のソース・ドレイン拡散層と接するように第1導電型の第2の拡散層を形成する工程(g)と、半導体基板における第1導電型ウェルの側方に第1導電型の第1の接続用拡散層を形成し、第2導電型ウェルの側方に第1導電型の第2の接続用拡散層を形成する工程(h)と、第2のソース・ドレイン拡散層と第1の接続用拡散層とを電気的に接続し、第4のソース・ドレイン拡散層と第2の接続用拡散層とを電気的に接続する工程(i)とを備え、工程(f)では、第1のソース・ドレイン拡散層と第1の拡散層とが接するように形成し、工程(g)では、第2の拡散層が第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層と離間するように形成することを特徴とする。
【0040】
第2の半導体装置の製造方法は、第1のソース・ドレイン拡散層と第1の拡散層とが接続するように形成する。このため、配線工程以前のFEOLプロセスから、被保護素子の保護を行うことができる。また、第1導電型ウェルに第1の保護トランジスタを形成し、第2導電型ウェルに第2の保護トランジスタを形成するため、製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できる。
【0041】
第2の半導体装置の製造方法において、工程(h)は、工程(g)よりも前に行うことが好ましい。
【0042】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板に、第1導電型ウェル、第2導電型ウェルを形成すると共に、第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下方に、該第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下面に接するように第2導電型の深いウェルを形成する工程(a)と、第1導電型ウェル上及び第2導電型ウェル上に絶縁膜を形成する工程(b)と、第1導電型ウェル上の絶縁膜の一部に開口部を形成する工程(c)と、開口部から第1導電型ウェルに不純物を導入して、第1導電型ウェルに第2導電型の第1の拡散層を形成する工程(d)と、絶縁膜及び開口部の上に導電膜を形成した後、形成した導電膜をパターニングして、第1導電型ウェルの上に第1のゲート電極及び第2のゲート電極を形成し、第2導電型ウェルの上に第3のゲート電極を形成し、第1の拡散層と接するように被保護素子電極を形成する工程(e)と、第1導電型ウェルにおける、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に第2導電型の共通拡散層を形成し、第1のゲート電極の一側方に第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層を形成し、第2のゲート電極の一側方に第2導電型の第2のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(f)と、第2導電型ウェルにおける、第3のゲート電極の両側方にそれぞれ第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層を形成し、第1導電型ウェルに、第3のソース・ドレイン拡散層と接するように第1導電型の第2の拡散層を形成する工程(g)と、半導体基板における第1導電型ウェルの側方に第1導電型の第1の接続用拡散層を形成し、第2導電型ウェルの側方に第1導電型の第2の接続用拡散層を形成する工程(h)と、第2のソース・ドレイン拡散層と第1の接続用拡散層とを電気的に接続し、第4のソース・ドレイン拡散層と第2の接続用拡散層とを電気的に接続する工程(i)とを備え、工程(f)では、第1のソース・ドレイン拡散層と第1の拡散層とが接するように形成し、工程(g)では、第2の拡散層が第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層と離間するように形成することを特徴とする。
【0043】
第3の半導体装置の製造方法は、第1のソース・ドレイン拡散層と第1の拡散層とが接続するように形成する。このため、配線工程以前のFEOLプロセスから、被保護素子の保護を行うことができる。また、第1導電型ウェルに第1の保護トランジスタを形成し、第2導電型ウェルに第2の保護トランジスタを形成するため、製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できる。
【0044】
第3の半導体装置の製造方法において、工程(h)は、工程(g)よりも前に行うことが好ましい。
【0045】
本発明に係る第1の半導体装置の駆動方法は、被保護素子電極、第1のゲート電極及び第2導電型ウェルに同一の正電位を印加することにより、被保護素子への電子注入及び読み出しを行うステップと、被保護素子電極に負電位、第1のゲート電極及び第2導電型ウェルに接地電位を印加することにより、被保護素子への正孔注入又は被保護素子からの電子引き抜きを行うステップとを備えていることを特徴とする。
【0046】
本発明に係る第2の半導体装置の駆動方法は、被保護素子電極に正電位を印加し、第1のゲート電極及び第1導電型ウェルに接地電位を印加することにより、被保護素子への電子注入及び読み出しを行うステップと、被保護素子電極、第1のゲート電極及び第2導電型ウェルに同一の負電位を印加することにより、被保護素子への正孔注入又は被保護素子からの電子引き抜きを行うステップとを備えていることを特徴とする。
【0047】
本発明に係る第3の半導体装置の駆動方法は、被保護素子電極に正電位を印加し、第1のゲート電極及び第1導電型ウェルに接地電位を印加することにより、被保護素子への電子注入及び読み出しを行うステップと、被保護素子電極、第1のゲート電極及び第2導電型ウェルに同一の負電位を印加することにより、被保護素子への正孔注入又は被保護素子からの電子引き抜きを行うステップとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法と駆動方法によれば、FEOLプロセスにおける拡散工程中のチャージングからメモリ素子を保護できる。また、正負とも低電圧の範囲まで保護でき、且つ、メモリ素子動作時にはメモリ素子の駆動に必要な正負両極性の高電圧をメモリ素子に印加できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
(第1の実施形態)
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の一例であり、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のIb−Ib線における断面構成を示している。
【0050】
本実施形態の半導体装置は、被保護素子であるメモリ素子と、第1の保護トランジスタ41及び第2の保護トランジスタ42とを備えている。図1(a)及び(b)に示すように、第1導電型の半導体基板11における分離絶縁膜12により区画された領域に、第1導電型ウェル13と第2導電型ウェル14とが形成されている。
【0051】
第2導電型ウェル14の上には、第1のゲート絶縁膜16Aを介在させて第1のゲート電極18Aが形成されている。第2導電型ウェル14における第1のゲート電極18Aの両側方にはそれぞれ第1導電型の第1のソース・ドレイン拡散層21Aと第2のソース・ドレイン拡散層21Bとが形成されている。
【0052】
第1のソース・ドレイン拡散層21Aは第1導電型の第1の拡散層26と接している。第1の拡散層26の上には、開口部を有する絶縁膜31を介在させて被保護素子のゲート電極である被保護素子電極32が形成されている。被保護素子電極32は、開口部において第1の拡散層26と接している。
【0053】
第1導電型ウェル13の上には、第2のゲート絶縁膜16Bを介在させて第2のゲート電極18Bが形成されている。第1導電型ウェル13における第2のゲート電極18Bの両側方にはそれぞれ第2導電型の第3のソース・ドレイン拡散層22Aと第4のソース・ドレイン拡散層22Bとが形成されている。第3のソース・ドレイン拡散層22Aは、第1導電型ウェル13と第2導電型ウェル14との境界を越えて第2導電型ウェル14側に延伸し、且つ第2のソース・ドレイン拡散層21Bと接している。
【0054】
第1導電型ウェル13における第4のソース・ドレイン拡散層22Bの側方には第1導電型の第2の拡散層27が形成されている。第2の拡散層27と第4のソース・ドレイン拡散層22Bとは接している。
【0055】
なお、図1においては、第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとが接続され、共通の電極となっている例を示している。このようにすれば、それぞれを独立した電極とする場合に比べてアンテナ比が向上するため、製造工程中のチャージングを防止する際に、被保護素子電極32に印加される電圧と同極性の電圧が、第1のゲート電極18A及び第2のゲート電極18Bにより確実に印加される。このため、保護効果をより安定して得ることが可能となる。さらに図1においては、第1のゲート電極18A及び第2のゲート電極18Bが被保護素子電極32と並行に延びるダミー電極33と共通となっている。これにより、さらにアンテナ比を向上することができる。
【0056】
図2は、図1に示した第1の実施形態の半導体装置の等価回路を示している。図2に示すように、被保護素子であるメモリ素子のゲート電極に対して直列に第1の保護トランジスタ41及び第2の保護トランジスタ42が接続されている。第1の保護トランジスタ41は、図1に示した第1のゲート電極18Aと第1のソース・ドレイン拡散層21A及び第2のソース・ドレイン拡散層21Bとにより形成される。第2の保護トランジスタ42は、第2のゲート電極18Bと第3のソース・ドレイン拡散層22A及び第4のソース・ドレイン拡散層22Bとにより形成される。また、各拡散層とウェル及びウェルと半導体基板とによりPN接合ダイオードが形成される。
【0057】
次に、本実施形態における半導体装置の駆動方法について図1、図2及び表1を参照して説明する。なお、以下の説明においては、被保護素子電極を端子V1、第1のゲート電極を端子V2、第2導電型ウェルを端子V3、第2のゲート電極を端子V4とする。
【0058】
【表1】

【0059】
配線工程前を含む製造工程中に正のチャージアップが発生した場合には、表1に示すように端子V1、端子V2及び端子V4に正の電圧が印加され、第2の保護トランジスタ42がオン状態になる。このとき、被保護素子電極32、第1の拡散層26、第2導電型ウェル14、第3のソース・ドレイン拡散層22A、第4のソース・ドレイン拡散層22B及び第2の拡散層27を通じてチャージは半導体基板11へと抜ける。このため、メモリ素子への電荷注入及びメモリ素子からの電荷引き抜きを抑制することができる。
【0060】
さらに詳しく説明すると、被保護素子電極32と第1の拡散層26との間はほぼ金属接合であり、この間の電位差はほぼ0Vとなる。第1の拡散層26と第2導電型ウェル14との間はPN接合が順バイアスであるため、この間の電位差は0.7V程度となる。第2導電型ウェル14と第3のソース・ドレイン拡散層22Aとの間は同一導電型であるため、この間の電位差はほぼ0Vとなる。第2の保護トランジスタ42は導通しているため第3のソース・ドレイン拡散層22Aと第4のソース・ドレイン拡散層22Bとの間の電位差はほぼ0Vとなる。また、第4のソース・ドレイン拡散層22Bと第2の拡散層27との間は金属シリサイドシャント構造により電位差はほぼ0Vとなる。従って、全体として製造工程中の正のチャージングを1V程度に抑制できる。
【0061】
配線工程前を含む製造工程中に負のチャージアップが発生した場合には、表1に示すように端子V1、端子V2及び端子V4に負電圧が印加され、第1の保護トランジスタ41がオン状態になる。これにより、被保護素子電極32、第1の拡散層26、第1のソース・ドレイン拡散層21A、第2のソース・ドレイン拡散層21B、第3のソース・ドレイン拡散層22A及び第1導電型ウェル13を通じてチャージは半導体基板11へと抜ける。このため、メモリ素子への電荷注入及びメモリ素子からの電荷引き抜きを抑制することができる。
【0062】
さらに詳しく説明すると、被保護素子電極32と第1の拡散層26及び第1のソース・ドレイン拡散層21Aとの間はほぼ金属接合であり、この間の電位差はほぼ0Vとなる。第1の保護トランジスタ41は導通しているため第1のソース・ドレイン拡散層21Aと第2のソース・ドレイン拡散層21Bとの間の電位差はほぼ0Vとなる。次に、第2のソース・ドレイン拡散層21Bと第3のソース・ドレイン拡散層22Aとの間は金属シリサイドシャント構造により電位差はほぼ0Vとなる。第3のソース・ドレイン拡散層22Aと第1導電型ウェル13との間はPN接合が順バイアスであるため、この間の電位差は0.7V程度となる。従って、全体として製造工程中の負のチャージングを1V程度に抑制できる。
【0063】
なお、端子V1、端子V2及び端子V4のアンテナ比は、同程度又は端子V1と比べて端子V2及び端子V4のアンテナ比が大きくなるように設定しておくことが望ましい。これは、第1の保護トランジスタ41及び第2の保護トランジスタ42がより少ないチャージで閾値電圧よりも高い電圧が印加され、導通状態になるようにするためである。
【0064】
製造工程完了後のメモリ素子への電子注入時には、表1に示すように端子V1、端子V2及び端子V3のそれぞれに、例えば9Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができ、メモリ素子への電子注入を実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することによりCHE(Channel Hot Electron)電流及びFN(Fowler-Nordheim)電流等の様々な電子注入動作を実現することができる。
【0065】
製造工程完了後のメモリ素子の電流読み出しにおいては、表1に示すように端子V1、端子V2及び端子V3のそれぞれに、例えば5Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができ、メモリ素子の電流読み出しを実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することにより読み出し特性を調整することができる。
【0066】
製造工程完了後のメモリ素子からの電子の引き抜き時又は正孔の注入時には、表1に示すように端子V1に例えば−6V、端子V2及び端子V3のそれぞれに例えば0Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができ、メモリ素子からの電子引き抜き又は正孔注入を実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することによりBTBT(Band To Band Tunneling)電流及びFN電流等の様々な電子引き抜き又は正孔注入動作を実現することができる。
【0067】
以下に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について図面を参照して説明する。まず、図3に示すように、第1導電型の半導体基板11上の所定の領域に分離絶縁膜12、第1導電型ウェル13及び第2導電型ウェル14をそれぞれ形成し、被保護素子であるメモリ素子を形成するメモリ素子領域、第1の保護トランジスタを形成する第1の保護トランジスタ領域及び第2の保護トランジスタを形成する第2の保護トランジスタ領域を確定する。
【0068】
次に、図4に示すように、メモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域及び第2の保護トランジスタ領域に、膜厚が2nm〜30nmの絶縁膜66を形成する。なお、絶縁膜66を一体に形成する例を示しているが、メモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域及び第2の保護トランジスタ領域にそれぞれ独立の膜を形成してもよい。また、絶縁膜66は、将来、ゲート絶縁膜となる。
【0069】
次に、図5に示すように、絶縁膜66におけるメモリ素子領域に形成された部分に開口部を形成する。続いて、開口部から第2導電型ウェル14内に例えば1×1015/cm2の注入量で第1導電型不純物を注入し、第1導電型の第1の拡散層26を形成する。なお、このような注入領域形成法に代えて、例えば周辺トランジスタの閾値(Vt)注入等と同時に絶縁膜66を介して第1導電型不純物を注入してもよい。
【0070】
次に、図6に示すように、メモリ素子領域にメモリ素子のゲート電極である被保護素子電極32を形成し、第1の保護トランジスタ領域に第1のゲート電極18Aを形成し、第2の保護トランジスタ領域に第2のゲート電極18Bを形成する。なお、この工程中の熱処理により第1の拡散層26は注入直後よりもその分布領域が広がる。被保護素子電極32は開口部において第1の拡散層26と直接接するように形成すればよい。ただし、界面に厚さが4nm以下の絶縁膜が存在する構成としてもよい。これは、4nm以下であれば被保護素子電極32と第1の拡散層26とがほぼ金属結合するため、被保護素子電極32と第1の拡散層26との電気的な接続が十分に確保できるからである。また、4nm以下の絶縁膜が存在すれば基板からのSi異常成長の可能性を低減できるため、加工の安定性が増すという効果が得られる。
【0071】
また、被保護素子電極32は上層と下層とからなる2層構造であってもよい。この場合にはまず、電極の下層を堆積し、続いて少なくとも開口部を含む領域をエッチングにより除去する。その後、開口部から第1導電型不純物を注入して第1の拡散層を形成し、さらに電極の上層を堆積する。これにより開口部において、電極の上層と第1の拡散層とが直接又は厚さが4nm以下の絶縁膜を介して接続される。
【0072】
次に、図7に示すように、第2導電型ウェル14における第1のゲート電極18Aの両側方の領域に例えば1×1015/cm2の注入量で第1導電型不純物を注入する。これにより、第1のソース・ドレイン拡散層21Aと第2のソース・ドレイン拡散層21Bとを第1のゲート電極18Aの両側方にそれぞれ形成する。この際に、第1のソース・ドレイン拡散層21Aと第1の拡散層26とが接するようにイオン注入を行う。また、第1導電型ウェル13における第2のゲート電極18Bの両側方の領域に例えば1×1015/cm2の注入量で第2導電型不純物を注入する。これにより第2のゲート電極18Bの両側方にそれぞれ、第3のソース・ドレイン拡散層22Aと第4のソース・ドレイン拡散層22Bとを形成する。この際に、第3のソース・ドレイン拡散層22Aが第2導電型ウェル14に延伸し、第2のソース・ドレイン拡散層21Bと接するようにする。さらに、第1導電型ウェル13には、第4のソース・ドレイン拡散層22Bと接するように第1導電型不純物を注入して第2の拡散層27を形成する。なお、不純物注入の順番は特に限定されない。また、同一の導電型の不純物注入を組み合わせて行ってもよい。
【0073】
なお、被保護素子、第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタのそれぞれにおいて、ゲート電極にサイドウォールを形成したり、拡散層にエクステンション領域等を設けたりしてもよい。
【0074】
また、第1のソース・ドレイン拡散層21A、第2のソース・ドレイン拡散層21B、第3のソース・ドレイン拡散層22A、第4のソース・ドレイン拡散層22B及び第2の拡散層27の上部に金属シリサイド層を形成することが好ましい。金属シリサイド層がない場合には、第1導電型の第2のソース・ドレイン拡散層21Bと第2導電型の第3のソース・ドレイン拡散層22Aとの接続及び第2導電型の第4のソース・ドレイン拡散層22Bと第1導電型の第2の拡散層27との接続は、逆バイアス時において高濃度不純物拡散層同士のPN接合耐圧による低耐圧を利用する。しかし、金属シリサイド層を形成することにより、直接の金属接合となるため接続性が向上し、製造工程中のチャージアップ保護電圧範囲をより低電圧とすることができる。
【0075】
以上のように、本実施形態の半導体装置は、従来技術においては被保護素子の保護効果が配線工程以降においてしか発揮できなかったのに対して、FEOLプロセスから保護効果が発揮される。
【0076】
また、従来技術においては、その構造上、製造工程完了後は被保護素子に負電圧を印加することができないのに対し、本実施形態の半導体装置は製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できるという効果が得られる。
【0077】
なお、本実施形態においては、被保護素子であるメモリ素子のゲート電極と、第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層とを、第1の拡散層を介して接続することによりFEOLプロセスから保護効果を発揮させている。しかし、メモリ素子のゲート電極と第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層とを従来技術と同様の配線工程を通じて接続する構造も有用である。この場合、被保護素子は配線工程以降に保護されることになるが、製造工程完了後においてメモリ素子駆動のために負極性の高電圧をメモリ素子に印加できるとともに、基板中の拡散層同士を直結する構造としない分、製造工程数及び製造難易度を低減できるという効果が得られる。
【0078】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図8(a)〜(d)は、第2の実施形態に係る半導体装置の一例であり、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のVIIIb−VIIIb線における断面構成を示し、(c)は(a)のVIIIc−VIIIc線における断面構成を示し、(d)は(a)のVIIId−VIII(d)線における断面構成を示している。
【0079】
本実施形態の半導体装置は、被保護素子であるメモリ素子と、第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタとを備えている。図8(a)〜(d)に示すように、本実施形態の半導体装置は、第1導電型の半導体基板11に第2導電型の深いウェル15が形成されている。深いウェル15の上部には、第1導電型ウェル13と第2導電型ウェル14とが形成されている。
【0080】
第1導電型ウェル13には、第1の保護トランジスタ41が形成されている。第1の保護トランジスタ41は、第1導電型ウェル13の上に順次形成された第1のゲート絶縁膜16A及び第1のゲート電極18Aと、第1導電型ウェル13における第1のゲート電極18Aの両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層51A及び第2のソース・ドレイン拡散層51Bとを有している。
【0081】
第1のソース・ドレイン拡散層51Aは第2導電型の第1の拡散層56と接している。第1の拡散層56の上には、開口部を有する絶縁膜31を介在させて被保護素子のゲート電極である被保護素子電極32が形成されている。被保護素子電極32は、開口部において第1の拡散層56と接している。
【0082】
第1導電型ウェル13における分離絶縁膜12により分離された領域には、第1導電型の第2の拡散層57が形成されている。
【0083】
第2導電型ウェル14には、第2の保護トランジスタ42が形成されている。第2の保護トランジスタ42は、第2導電型ウェル14の上に順次形成された第2のゲート絶縁膜16B及び第2のゲート電極18Bと、第2導電型ウェル14における第2のゲート電極18Bの両側方にそれぞれ形成された第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層52A及び第4のソース・ドレイン拡散層52Bとを有している。第3のソース・ドレイン拡散層52Aは、第2の拡散層57と接している。
【0084】
半導体基板11における深いウェル15が形成された領域と分離絶縁膜12により分離された領域には、第1導電型の第1の接続用拡散層58A及び第2の接続用拡散層58Bが形成されている。第1の接続用拡散層58Aと第2のソース・ドレイン拡散層51Bとは、接続用電極である第1の導電膜35Aにより電気的に接続され、第2の接続用拡散層58Bと第4のソース・ドレイン拡散層52Bとは、第2の導電膜35Bにより電気的に接続されている。
【0085】
なお、図8においては、第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとが接続され、共通の電極となっている例を示している。このようにすれば、それぞれを独立した電極とする場合に比べてアンテナ比が向上するため、製造工程中のチャージングを防止する際に、被保護素子電極32に印加される電圧と同極性の電圧が、第1のゲート電極18A及び第2のゲート電極18Bにより確実に印加される。このため、保護効果をより安定して得ることが可能となる。さらに図8においては、第1のゲート電極18A、第2のゲート電極18Bが被保護素子電極32と並行に延びるダミー電極33と共通となっている。これにより、さらにアンテナ比を向上できる。
【0086】
図9は、図8に示した半導体装置の等価回路を示している。図9に示すように、被保護素子であるメモリ素子のゲート電極に対して直列に第1の保護トランジスタ41と第2の保護トランジスタとが接続されている。第1の保護トランジスタ41は、図8に示した第1のゲート電極18Aと第1のソース・ドレイン拡散層51A及び第2のソース・ドレイン拡散層51Bとにより形成される。第2の保護トランジスタ42は、第2のゲート電極18Bと第3のソース・ドレイン拡散層52A及び第4のソース・ドレイン拡散層52Bとにより形成される。また、各拡散層とウェル及びウェルと半導体基板とによりPN接合ダイオードが形成される。
【0087】
次に、本実施形態における半導体装置の駆動方法について図8、図9及び表2を参照して説明する。なお、以下の説明においては、被保護素子電極を端子V1、第1のゲート電極を端子V2、第2導電型ウェルを端子V3、第2のゲート電極を端子V4とする。
【0088】
【表2】

【0089】
配線工程前を含む製造工程中に正のチャージアップが発生した場合には、表2に示すように端子V1、端子V2及び端子V4に正電圧が印加され、第1の保護トランジスタがオン状態になる。これにより、被保護素子電極32、第1の拡散層56、第1のソース・ドレイン拡散層51A、第2のソース・ドレイン拡散層51B、第1の導電膜35A、第1の接続用拡散層58Aを通じてチャージは半導体基板11へと抜ける。このため、被保護素子であるメモリ素子への電荷注入及びメモリ素子からの電荷引き抜きを抑制することができる。
【0090】
さらに詳しく説明すると、被保護素子電極32と第1の拡散層56との間はほぼ金属接合であり、この間の電位差はほぼ0Vとなる。第1の保護トランジスタは導通しているため第1のソース・ドレイン拡散層51Aと第2のソース・ドレイン拡散層51Bとの間の電位差はほぼ0Vとなる。また、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと半導体基板11との間はほぼ金属接合のため電位差はほぼ0Vである。従って、全体として製造工程中の正のチャージングを1V程度に抑制できることになる。
【0091】
配線工程前を含む製造工程中に負のチャージアップが発生した場合には、表2に示すように端子V1、端子V2及び端子V4に負電圧が印加され、第2の保護トランジスタがオン状態になる。これにより、被保護素子電極32、第1の拡散層56、第1導電型ウェル13、第2の拡散層57、第3のソース・ドレイン拡散層52A、第2の導電膜35B、第2の接続用拡散層58Bを通じてチャージは半導体基板11へと抜ける。このため、メモリ素子への電荷注入及びメモリ素子からの電荷引き抜きを抑制することができる。
【0092】
さらに詳しく説明すると、被保護素子電極32と第1の拡散層56との間はほぼ金属接合であり、この間の電位差はほぼ0Vとなる。第1の拡散層56と第1導電型ウェル13との間はPN接合が順バイアスであり電位差は0.7V程度となる。第2の保護トランジスタは導通しているため第3のソース・ドレイン拡散層52Aと第4のソース・ドレイン拡散層52Bとの間の電位差は0Vとなる。第4のソース・ドレイン拡散層52Bと半導体基板11との間はほぼ金属接合のため電位差はほぼ0Vである。従って、全体として製造工程中の負のチャージングを1V程度に抑制できることになる。
【0093】
なお、端子V1、端子V2及び端子V4のアンテナ比は、同程度又は端子V1に比べて端子V2及び端子V4のアンテナ比が大きくなるように設定しておくことが望ましい。これは、第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタがより少ないチャージで閾値電圧よりも高い電圧が印加され、導通状態になるようにするためである。
製造工程完了後のメモリ素子への電子注入時には、表2に示すように端子V1に例えば9Vを印加し、端子V2及び端子V3のそれぞれに例えば0Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができる。これにより、メモリ素子への電子注入を実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することによりCHE電流やFN電流等の様々な電子注入動作を実現することができる。
【0094】
製造工程完了後のメモリ素子の電流読み出しにおいては、表2に示すように端子V1に5V、端子V2及び端子V3のそれぞれに0Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができる。これにより、メモリ素子の電流読み出しを実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することにより読み出し特性を調整することができる。
【0095】
製造工程完了後のメモリ素子からの電子の引き抜き時又は正孔の注入時には、表2に示すように端子V1、端子V2及び端子V3のそれぞれに−6Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができる。これにより、メモリ素子からの電子引き抜き又は正孔注入を実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することによりBTBT電流やFN電流等の様々な電子引き抜き又は正孔注入動作を実現することができる。
【0096】
以下に、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について図面を参照して説明する。図10〜図14はそれぞれ第2の実施形態の半導体装置の製造方法を工程順に示している。また、各図において(a)は図8(a)のVIIIb−VIIIb線における断面を示し、(b)はVIIIc−VIIIc線における断面を示し、(c)はVIIId−VIIId線における断面を示している。
【0097】
まず、図10に示すように、第1導電型の半導体基板11の所定領域に分離絶縁膜12、第1導電型ウェル13、第2導電型ウェル14及び第2導電型の深いウェル15を形成し、メモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域及び第2の保護トランジスタ領域を確定する。
【0098】
次に、図11に示すように、メモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域及び第2の保護トランジスタ領域に、膜厚2nm〜30nmの絶縁膜66を形成する。絶縁膜66はメモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域及び第2の保護トランジスタ領域で共通の膜でもよく、それぞれ独立の膜でもよい。
【0099】
次に、図12に示すように、メモリ素子領域の一部において絶縁膜66を除去して開口部を形成する。続いて、この開口部から第1導電型ウェル13内に例えば1×1015/cm2の注入量で第2導電型の不純物を注入し、第1の拡散層56を形成する。なお、このような注入領域形成法ではなく、例えば周辺トランジスタの閾値(Vt)注入等と同時に絶縁膜66を介して第2導電型の不純物を注入してもよい。
【0100】
その後、絶縁膜66を選択的に除去し、例えば1×1015/cm2の注入量で第1導電型の不純物を注入し、半導体基板11における深いウェル15が形成された領域の外側で且つ第1導電型ウェル13と分離絶縁膜12を挟んで隣接する領域に第1の接続用拡散層58Aを形成し、第2導電型ウェル14と分離絶縁膜12を挟んで隣接する領域に第2の接続用拡散層58Bを形成する。また、第2導電型ウェル14における第2の接続用拡散層58Bと分離絶縁膜12を挟んで対向する領域に第1導電型拡散層59Aを形成する。第1導電型拡散層59Aは、将来第4のソース・ドレイン拡散層と一体となる。また、例えば1×1015/cm2の注入量で第2導電型不純物を注入し、第1導電型ウェル13における第1の接続用拡散層58Aと分離絶縁膜12を挟んで対向する領域に第2導電型拡散層59Bを形成する。第2導電型拡散層59Bは、将来第2のソース・ドレイン拡散層51Bと一体となる。
【0101】
次に、図13に示すように、メモリ素子の形成領域にメモリ素子のゲート電極である被保護素子電極32を形成し、第1の保護トランジスタの形成領域に第1のゲート電極18Aを形成し、第2の保護トランジスタ領域に第2のゲート電極18Bをそれぞれ形成する。また、第2導電型拡散層59Bと第1の接続用拡散層58Aとを分離絶縁膜12を跨いで電気的に接続する第1の導電膜35Aと、第1導電型拡散層59Aと第2の接続用拡散層58Bとを分離絶縁膜12を跨いで電気的に接続する第2の導電膜35Bとを形成する。なお、この工程中の熱処理により第1の拡散層56は注入直後よりもその分布領域が広がる。被保護素子電極32は開口部において第1の拡散層56と直接接するように形成すればよい。ただし、界面に厚さが4nm以下の絶縁膜が存在する構成としてもよい。これは、4nm以下であれば被保護素子電極32と第1の拡散層56とがほぼ金属結合するため、被保護素子電極32と第1の拡散層56との電気的な接続が十分に確保できるからである。また、4nm以下の絶縁膜が存在すれば基板からのSi異常成長の可能性を低減できるため、加工の安定性が増すという効果が得られる。
【0102】
また、被保護素子電極32は上層と下層とからなる2層構造であってもよい。この場合、まず、電極の下層を堆積し、続いて少なくとも開口部を含む領域をエッチングにより除去する。その後、開口部から第1導電型不純物を注入して第1の拡散層を形成し、さらに電極の上層を堆積する。これにより開口部において、電極の上層と第1の拡散層とが直接又は厚さが4nm以下の絶縁膜を介して接続される。
【0103】
次に、図14に示すように、第1導電型ウェル13における第1のゲート電極18Aの両側方の領域に例えば1×1015/cm2の注入量で第2導電型不純物を注入する。これにより、第1のソース・ドレイン拡散層51Aと第2のソース・ドレイン拡散層51Bとを第1のゲート電極18Aの両側方にそれぞれ形成する。この際に、第1のソース・ドレイン拡散層51Aと第1の拡散層56とが接するようにイオン注入を行う。また、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと第2導電型拡散層59Bとが接し、一体となるようにイオン注入を行う。これにより第2のソース・ドレイン拡散層51Bは、第1の導電膜35A及び第1の接続用拡散層58Aを介して半導体基板11と接続される。
【0104】
また、第2導電型ウェル14における第2のゲート電極18Bの両側方の領域に例えば1×1015/cm2の注入量で第1導電型不純物を注入する。これにより第2のゲート電極18Bの両側方にそれぞれ、第3のソース・ドレイン拡散層52Aと第4のソース・ドレイン拡散層52Bとを形成する。この際に、第4のソース・ドレイン拡散層52Bが第1導電型拡散層59Aと接し、一体となるようにするようにする。これにより、第4のソース・ドレイン拡散層52Bは、第2の導電膜35B及び第2の接続用拡散層58Bを介して半導体基板11と接続される。
【0105】
さらに、第1導電型ウェル13には、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと分離されるように第1導電型の不純物を注入して第2の拡散層57を形成する。この際に第2の拡散層57は第1導電型ウェル13と第2導電型ウェル14とに跨り、第2導電型ウェル内において第3のソース・ドレイン拡散層52Aと接するように形成する。なお、不純物注入の順番は特に限定されない。また、同一の導電型の不純物注入を組み合わせて行ってもよい。
【0106】
なお、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと半導体基板11とを、分離絶縁膜12により分離するのではなく、第1導電型の拡散層を用いた拡散層分離方式としてもよい。この場合には、分離絶縁膜12の上に形成した第1の導電膜35Aにより第2のソース・ドレイン拡散層51Bと半導体基板とを接続するのではなく、半導体基板11上に形成した金属シリサイドシャント構造によって接続すればよい。この場合は、第1の接続用拡散層58A及び第2導電型拡散層59Bは、先に述べたような製造工程において形成する必要はなく、且つ注入量は1×1014/cm2程度でよい。
【0107】
また、第4のソース・ドレイン拡散層52Bと半導体基板11についても同様に、拡散層分離方式とし、半導体基板11上に形成した金属シリサイドシャント構造によって接続してもよい。
【0108】
なお、被保護素子、第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタのそれぞれにおいて、ゲート電極にサイドウォールを形成したり、拡散層にエクステンション領域等を設けたりしてもよい。
【0109】
また、第1のソース・ドレイン拡散層51A、第2のソース・ドレイン拡散層51B、第3のソース・ドレイン拡散層52A、第4のソース・ドレイン拡散層52B及び第2の拡散層57の上部に金属シリサイド層を形成してもよい。このようにすれば、各保護トランジスタの駆動力が増加し、工程中におけるチャージアップ時に電荷を逃がす効果が向上する。
【0110】
以上のように、本実施形態の半導体装置は、従来技術においては被保護素子の保護効果が配線工程以降においてしか発揮できなかったのに対して、FEOLプロセスから保護効果が発揮される。
【0111】
また、従来技術においては、その構造上、製造工程完了後は被保護素子に負電圧を印加することができないのに対し、本実施形態の半導体装置は製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できるという効果が得られる。
【0112】
なお、本実施形態においては、被保護素子であるメモリ素子のゲート電極と、第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層とを、第1の拡散層を介して接続することによりFEOLプロセスから保護効果を発揮させている。しかし、メモリ素子のゲート電極と第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層とを従来技術と同様の配線工程を通じて接続する構造も有用である。この場合、被保護素子は配線工程以降に保護されることになるが、製造工程完了後においてメモリ素子駆動のために負極性の高電圧をメモリ素子に印加できるとともに、基板中の拡散層同士を直結する構造としない分、製造工程数及び製造難易度を低減できるという効果が得られる。
【0113】
また、第2の実施形態の半導体装置は第1の実施形態と比べて保護構造の形成に要するレイアウト面積が大きくなるが、第2導電型の不純物拡散層の形成が容易である。具体的には、被保護素子であるメモリ素子が上下2層の積層電極を用いた不揮発性メモリである場合に、下層をマスクにしたメモリ素子のソース・ドレイン部注入と第2型導電型の不純物拡散層の注入とを兼ねることができる。
【0114】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図15(a)〜(d)は、第3の実施形態に係る半導体装置の一例であり、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のXVb−XVb線における断面構成を示し、(c)は(a)のXVc−XVc線における断面構成を示し、(d)は(a)のXVd−XV(d)線における断面構成を示している。
【0115】
本実施形態の半導体装置は、第1導電型ウェル13に形成された第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタと、第2導電型ウェル14に形成された第2の保護トランジスタとを備えている。図15(a)〜(d)に示すように、本実施形態の半導体装置は、第1導電型の半導体基板11、第2導電型の深いウェル15が形成されている。深いウェル15の上部には、第1導電型ウェル13と第2導電型ウェル14とが形成されている。
【0116】
第1導電型ウェル13には第1の保護トランジスタ41及び第2の保護トランジスタ42が形成されている。第1の保護トランジスタ41は、第1導電型ウェル13の上に順次形成された第1のゲート絶縁膜16A及び第1のゲート電極18Aと、第1導電型ウェル13における第1のゲート電極18Aの両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層51A及び共通拡散層51Cとを有している。第2の保護トランジスタ42は、第1導電型ウェル13の上に順次形成された第2のゲート絶縁膜16B及び第2のゲート電極18Bと、第1導電型ウェル13における第2のゲート電極18Bの両側方にそれぞれ形成された第2導電型の共通拡散層51Cと第2のソース・ドレイン拡散層51Bとを有している。第1の保護トランジスタ41と第2の保護トランジスタ42は、共通拡散層51Cを共有している。
【0117】
第1のソース・ドレイン拡散層51Aは第2導電型の第1の拡散層56と接している。第1の拡散層56の上には、開口部を有する絶縁膜31を介在させて被保護素子のゲート電極である被保護素子電極32が形成されている。被保護素子電極32は、開口部において第1の拡散層56と接している。
【0118】
第1導電型ウェル13における分離絶縁膜12により分離された領域には、第1導電型の第2の拡散層57が形成されている。
【0119】
第2導電型ウェル14の上には、第3のゲート絶縁膜16Cを介在させて第3のゲート電極18Cが形成されている。第2導電型ウェル14における第3のゲート電極18Cの両側方にはそれぞれ第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層52A及び第4のソース・ドレイン拡散層52Bが形成されている。第3のソース・ドレイン拡散層52Aは、第2の拡散層57と接している。
【0120】
半導体基板11における深いウェル15が形成された領域と分離絶縁膜12により分離された領域には、第1導電型の第1の接続用拡散層58A及び第2の接続用拡散層58Bが形成されている。第1の接続用拡散層58Aと第2のソース・ドレイン拡散層51Bとは、接続用電極である第1の導電膜35Aにより電気的に接続され、第2の接続用拡散層58Bと第4のソース・ドレイン拡散層52Bとは、第2の導電膜35Bにより電気的に接続されている。
【0121】
なお、図15においては、第1のゲート電極18A、第2のゲート電極18B及び第3のゲート電極18Cが接続され、共通の電極となっている例を示している。このようにすれば、それぞれを独立した電極とする場合に比べてアンテナ比が向上するため、製造工程中のチャージングを防止する際に、被保護素子電極32に印加される電圧と同極性の電圧が、第1のゲート電極18A、第2のゲート電極18B及び第3のゲート電極18Cにより確実に印加されることになる。このため、保護効果をより安定して得ることが可能となる。さらに図15においては、第1のゲート電極18A、第2のゲート電極18B及び第3のゲート電極18Cが被保護素子電極32と並行に延びるダミー電極33と共通となっている。このようにすれば、さらにアンテナ比の向上を得ることができる。
【0122】
図16は、図15に示した半導体装置の等価回路を示している。図16に示すように、被保護素子であるメモリ素子のゲート電極に対して直列に第1の保護トランジスタ41、第2の保護トランジスタ42及び第3の保護トランジスタ43が接続されている。第1の保護トランジスタ41は、図15に示した第1のゲート電極18Aと第1のソース・ドレイン拡散層51A及び共通拡散層51Cとにより形成される。第2の保護トランジスタ42は、第2のゲート電極18Bと第2のソース・ドレイン拡散層51B及び共通拡散層51Cとにより形成される。第3の保護トランジスタ43は、第3のゲート電極18Cと第3のソース・ドレイン拡散層52A及び第4のソース・ドレイン拡散層52Bとにより形成される。また、各拡散層とウェル及びウェルと半導体基板とによりPN接合ダイオードが形成される。
【0123】
次に、本実施形態における半導体装置の駆動方法について図15、図16及び表3を参照して説明する。なお、以下の説明においては、被保護素子電極を端子V1、第1のゲート電極を端子V2、第2導電型ウェルを端子V3、第2のゲート電極を端子V4、第3のゲート電極を端子V5とする。
【0124】
【表3】

【0125】
配線工程前を含む製造工程中に正のチャージアップが発生した場合には、表3に示すように端子V1、端子V2、端子V4及び端子V5に正電圧が印加され、第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタがオン状態になる。これにより、被保護素子電極32、第1の拡散層56、第1のソース・ドレイン拡散層51A、共通拡散層51C、第2のソース・ドレイン拡散層51B、第1の導電膜35A、第1の接続用拡散層58Aを通じてチャージは半導体基板11へと抜ける。従って、メモリ素子への電荷注入及びメモリ素子からの電荷引き抜きを抑制することができる。
【0126】
さらに詳しく説明すると、被保護素子電極32と第1の拡散層56との間はほぼ金属接合であり、この間の電位差はほぼ0Vとなる。第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタは導通しているため第1のソース・ドレイン拡散層51Aと第2のソース・ドレイン拡散層51Bとの間の電位差はほぼ0Vとなる。また、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと半導体基板11との間はほぼ金属接合のため電位差はほぼ0Vである。従って、全体として製造工程中の正のチャージングを1V程度に抑制できることになる。
【0127】
配線工程前を含む製造工程中に負のチャージアップが発生した場合には、表3に示すように端子V1、端子V2、端子V4、端子V5に負電圧が印加され、第3の保護トランジスタがオン状態になる。これにより、被保護素子電極32、第1の拡散層56、第1導電型ウェル13、第2の拡散層57、第3のソース・ドレイン拡散層52A、第2の導電膜35B、第2の接続用拡散層58Bを通じてチャージは半導体基板11へと抜ける。従って、メモリ素子への電荷注入及びメモリ素子からの電荷引き抜きを抑制することができる。
【0128】
さらに詳しく説明すると、被保護素子電極32と第1の拡散層56との間はほぼ金属接合であり、この間の電位差はほぼ0Vとなる。第1の拡散層56と第1導電型ウェル13との間はPN接合が順バイアスであり電位差は0.7V程度となる。第2の保護トランジスタは導通しているため第3のソース・ドレイン拡散層52Aと第4のソース・ドレイン拡散層52Bとの間の電位差は0Vとなる。第4のソース・ドレイン拡散層52Bと半導体基板11との間はほぼ金属接合のため電位差はほぼ0Vである。従って、全体として製造工程中の負のチャージングを1V程度に抑制できることになる。
【0129】
なお、端子V1、端子V2、端子V4及び端子V5のアンテナ比は、同程度又は端子V1に比べて端子V2、端子V4及び端子V5のアンテナ比が大きくなるように設定しておくことが望ましい。これは、第1の保護トランジスタ、第2の保護トランジスタ及び第3の保護トランジスタがより少ないチャージで閾値電圧よりも高い電圧が印加され、導通状態になるようにするためである。
【0130】
製造工程完了後のメモリ素子への電子注入時には、表3に示すように端子V1に例えば9Vを印加し、端子V2及び端子V3のそれぞれに例えば0Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができる。これにより、メモリ素子への電子注入を実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することによりCHE電流やFN電流等の様々な電子注入動作を実現することができる。
【0131】
製造工程完了後のメモリ素子の電流読み出しにおいては、表3に示すように端子V1に5V、端子V2及び端子V3のそれぞれに0Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができる。これにより、メモリ素子の電流読み出しを実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することにより読み出し特性を調整することができる。
【0132】
製造工程完了後のメモリ素子からの電子の引き抜き時又は正孔の注入時には、表3に示すように端子V1、端子V2及び端子V3のそれぞれに−6Vを印加することにより、保護素子を動作させることなくメモリ素子に所望の電圧を印加することができる。これにより、メモリ素子からの電子引き抜き又は正孔注入を実現することができる。なお、このとき同時にメモリ素子のビット線及びメモリ素子のウェルに電圧を印加することによりBTBT電流やFN電流等の様々な電子引き抜き又は正孔注入動作を実現することができる。
【0133】
以下に、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について図面を参照して説明する。図17〜図21はそれぞれ第3の実施形態の半導体装置の製造方法を工程順に示している。また、各図において(a)は図15(a)のXVb−XVb線における断面を示し、(b)はXVc−XVc線における断面を示し、(c)はXVd−XVd線における断面を示している。
【0134】
まず、図17に示すように、第1導電型の半導体基板11の所定領域に分離絶縁膜12、第1導電型ウェル13、第2導電型ウェル14及び第2導電型の深いウェル15を形成し、メモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域、第2の保護トランジスタ領域及び第3の保護トランジスタ領域を確定する。
【0135】
次に、図18に示すように、メモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域、第2の保護トランジスタ領域及び第3の保護トランジスタ領域に、膜厚2nm〜30nmの絶縁膜66を形成する。絶縁膜66はメモリ素子領域、第1の保護トランジスタ領域及び第2の保護トランジスタ領域で共通の膜でもよく、それぞれ独立の膜でもよい。
【0136】
次に、図19に示すように、メモリ素子領域の一部において絶縁膜66を除去して開口部を形成する。続いて、この開口部から第1導電型ウェル13内に例えば1×1015/cm2の注入量で第2導電型の不純物を注入し、第1の拡散層56を形成する。なお、このような注入領域形成法ではなく、例えば周辺トランジスタの閾値(Vt)注入等と同時に絶縁膜66を介して第2導電型の不純物を注入してもよい。
【0137】
その後、絶縁膜66を選択的に除去し、例えば1×1015/cm2の注入量で第1導電型の不純物を注入し、半導体基板11における深いウェル15が形成された領域の外側で且つ第1導電型ウェル13と隣接する領域に第1の接続用拡散層58Aを形成し、第2導電型ウェル14と隣接する領域に第2の接続用拡散層58Bを形成する。また、第2導電型ウェル14における第2の接続用拡散層58Bと分離絶縁膜12を挟んで対向する領域に第1導電型拡散層59Aを形成する。第1導電型拡散層59Aは、将来第4のソース・ドレイン拡散層と一体となる。また、例えば1×1015/cm2の注入量で第2導電型不純物を注入し、第1導電型ウェル13における第1の接続用拡散層58Aと分離絶縁膜12を挟んで対向する領域に第2導電型拡散層59Bを形成する。第2導電型拡散層59Bは、将来第2のソース・ドレイン拡散層51Bと一体となる。
【0138】
次に、図20に示すように、メモリ素子の形成領域にメモリ素子のゲート電極である被保護素子電極32を形成し、第1の保護トランジスタの形成領域に第1のゲート電極18Aを形成し、第2の保護トランジスタ領域に第2のゲート電極18Bを形成し、第3の保護トランジスタ領域に第3のゲート電極18Cを形成する。また、第2導電型拡散層59Bと第1の接続用拡散層58Aとを分離絶縁膜12を跨いで電気的に接続する第1の導電膜35Aと、第1導電型拡散層59Aと第2の接続用拡散層58Bとを分離絶縁膜12を跨いで電気的に接続する第2の導電膜35Bとを形成する。なお、この工程中の熱処理により第1の拡散層56は注入直後よりもその分布領域が広がる。被保護素子電極32は開口部において第1の拡散層56と直接接するように形成すればよい。ただし、界面に厚さが4nm以下の絶縁膜が存在する構成としてもよい。これは、4nm以下であれば被保護素子電極32と第1の拡散層56とがほぼ金属結合するため、被保護素子電極32と第1の拡散層56との電気的な接続が十分に確保できるからである。また、4nm以下の絶縁膜が存在すれば基板からのSi異常成長の可能性を低減できるため、加工の安定性が増すという効果が得られる。
【0139】
また、被保護素子電極32は上層と下層とからなる2層構造であってもよい。この場合、まず、電極の下層を堆積し、続いて少なくとも開口部を含む領域をエッチングにより除去する。その後、開口部から第1導電型不純物を注入して第1の拡散層を形成し、さらに電極の上層を堆積する。これにより開口部において、電極の上層と第1の拡散層とが直接又は厚さが4nm以下の絶縁膜を介して接続される。
【0140】
次に、図21に示すように、第1導電型ウェル13における第1のゲート電極18Aの両側方の領域に例えば1×1015/cm2の注入量で第2導電型不純物を注入する。これにより、第1のソース・ドレイン拡散層51Aと第2のソース・ドレイン拡散層51Bと共通拡散層51Cとそれぞれ形成する。この際に、第1のソース・ドレイン拡散層51Aと第1の拡散層56とが接するようにイオン注入を行う。また、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと第2導電型拡散層59Bとが接し、一体となるようにイオン注入を行う。これにより第2のソース・ドレイン拡散層51Bは、第1の導電膜35A及び第1の接続用拡散層58Aを介して半導体基板11と接続される。
【0141】
また、第2導電型ウェル14における第2のゲート電極18Bの両側方の領域に例えば1×1015/cm2の注入量で第1導電型不純物を注入する。これにより第2のゲート電極18Bの両側方にそれぞれ、第3のソース・ドレイン拡散層52Aと第4のソース・ドレイン拡散層52Bとを形成する。この際に、第4のソース・ドレイン拡散層52Bが第1導電型拡散層59Aと接し、一体となるようにするようにする。これにより、第4のソース・ドレイン拡散層52Bは、第2の導電膜35B及び第2の接続用拡散層58Bを介して半導体基板11と接続される。
【0142】
さらに、第1導電型ウェル13には、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと分離されるように第1導電型の不純物を注入して第2の拡散層57を形成する。この際に第2の拡散層57は第1導電型ウェル13と第2導電型ウェル14とに跨り、第2導電型ウェル内において第3のソース・ドレイン拡散層52Aと接するように形成する。なお、不純物注入の順番は特に限定されない。また、同一の導電型の不純物注入を組み合わせて行ってもよい。
【0143】
なお、第2のソース・ドレイン拡散層51Bと半導体基板11とを、分離絶縁膜12により分離するのではなく、第1導電型の拡散層を用いた拡散層分離方式としてもよい。この場合には、分離絶縁膜12の上に形成した第1の導電膜35Aにより第2のソース・ドレイン拡散層51Bと半導体基板とを接続するのではなく、半導体基板11上に形成した金属シリサイドシャント構造によって接続すればよい。この場合は、第1の接続用拡散層58A及び第2導電型拡散層59Bは、先に述べたような製造工程において形成する必要はなく、且つ注入量は1×1014/cm2程度でよい。
【0144】
また、第4のソース・ドレイン拡散層52Bと半導体基板11についても同様に、拡散層分離方式とし、半導体基板11上に形成した金属シリサイドシャント構造によって接続してもよい。
【0145】
なお、被保護素子、第1の保護トランジスタ、第2の保護トランジスタ及び第3の保護トランジスタのそれぞれにおいて、ゲート電極にサイドウォールを形成したり、拡散層にエクステンション領域等を設けたりしてもよい。
【0146】
また、第1のソース・ドレイン拡散層51A、第2のソース・ドレイン拡散層51B、共通拡散層51C、第3のソース・ドレイン拡散層52A、第4のソース・ドレイン拡散層52B及び第2の拡散層57の上部に金属シリサイド層を形成してもよい。このようにすれば、各保護トランジスタの駆動力が増加し、工程中におけるチャージアップ時に電荷を逃がす効果が向上する。
【0147】
以上のように、本実施形態の半導体装置は、従来技術においては被保護素子の保護効果が配線工程以降においてしか発揮できなかったのに対して、FEOLプロセスから保護効果が発揮される。
【0148】
また、従来技術においては、その構造上、製造工程完了後は被保護素子に負電圧を印加することができないのに対し、本実施形態の半導体装置は製造工程完了後に被保護素子に正負両極性の高電圧を印加できるという効果が得られる。
【0149】
なお、本実施形態においては、被保護素子であるメモリ素子のゲート電極と、第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層とを、第1の拡散層を介して接続することによりFEOLプロセスから保護効果を発揮させている。しかし、メモリ素子のゲート電極と第1の保護トランジスタのソース・ドレイン拡散層とを従来技術と同様の配線工程を通じて接続する構造も有用である。この場合、被保護素子は配線工程以降に保護されることになるが、製造工程完了後においてメモリ素子駆動のために負極性の高電圧をメモリ素子に印加できるとともに、基板中の拡散層同士を直結する構造としない分、製造工程数及び製造難易度を低減できるという効果が得られる。
【0150】
また、第3の実施形態の半導体装置は第1の実施形態と比べて保護構造の形成に要するレイアウト面積が大きくなるが、第2導電型の不純物拡散層の形成が容易である。具体的には、被保護素子であるメモリ素子が上下2層の積層電極を用いた不揮発性メモリである場合に、下層をマスクにしたメモリ素子のソース・ドレイン部注入と第2型導電型の不純物拡散層の注入とを兼ねることができる。
【0151】
また、本実施形態の半導体装置は、保護トランジスタが3個必要であるが、第2のソース・ドレイン拡散層と半導体基板との接続部及び第4のソース・ドレイン拡散層と半導体基板との接続部を同一の側(ダミー電極側)に形成することができる。このため、レイアウト面積を低減できるという効果がある。
【0152】
各実施形態おいて、第1導電型をn型、第2導電型をp型としているが、逆の構成でも同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明に係る半導体装置、その製造方法及び駆動方法は、FEOLプロセスにおける拡散工程中のチャージアップから正負とも低電圧の範囲でメモリ素子を保護し、且つ製造工程完了後は、メモリ素子の駆動に必要な正負両極性の高電圧をメモリ素子に印加することを可能にする半導体装置を実現でき、特に局所電荷蓄積型不揮発性メモリ等の半導体装置、その製造方法及び駆動方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線における断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図8】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のVIIIb−VIIIb線における断面図であり、(c)は(a)のVIIIc−VIIIc線における断面図であり、(d)は(a)のVIIId−VIIId線における断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図15】(a)〜(d)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のXVb−XVb線における断面図であり、(c)は(a)のXVc−XVc線における断面図であり、(d)は(a)のXVd−XVd線における断面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図21】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図22】従来例に係る半導体装置を示す回路図である。
【符号の説明】
【0155】
11 半導体基板
12 分離絶縁膜
13 第1導電型ウェル
14 第2導電型ウェル
15 深いウェル
16A 第1のゲート絶縁膜
16B 第2のゲート絶縁膜
16C 第3のゲート絶縁膜
18A 第1のゲート電極
18B 第2のゲート電極
18C 第3のゲート電極
21A 第1のソース・ドレイン拡散層
21B 第2のソース・ドレイン拡散層
22A 第3のソース・ドレイン拡散層
22B 第4のソース・ドレイン拡散層
26 第1の拡散層
27 第2の拡散層
31 絶縁膜
32 被保護素子電極
33 ダミー電極
35A 第1の導電膜
35B 第2の導電膜
41 第1の保護トランジスタ
42 第2の保護トランジスタ
43 第3の保護トランジスタ
51A 第1のソース・ドレイン拡散層
51B 第2のソース・ドレイン拡散層
51C 共通拡散層
52A 第3のソース・ドレイン拡散層
52B 第4のソース・ドレイン拡散層
56 第1の拡散層
57 第2の拡散層
58A 第1の接続用拡散層
58B 第2の接続用拡散層
59A 第1導電型拡散層
59B 第2導電型拡散層
66 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルを有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、被保護素子電極を有する被保護素子と、
前記第2導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタと、
前記第1導電型ウェルに形成された第2の保護トランジスタと、
前記第2導電型ウェルに形成され、前記被保護素子電極と接する第1導電型の第1の拡散層と、
前記第1導電型ウェルに形成された第1導電型の第2の拡散層とを備え、
前記第1の保護トランジスタは、前記第2導電型ウェルの上に形成された第1のゲート電極と、前記第2導電型ウェルにおける前記第1のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第1導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層とを有し、
前記第2の保護トランジスタは、前記第1導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、前記第1導電型ウェルにおける前記第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層とを有し、
前記第4のソース・ドレイン拡散層は、前記第2の拡散層と接し、
前記第3のソース・ドレイン拡散層は、前記第1導電型ウェルと前記第2導電型ウェルとの境界を越えて前記第2導電型ウェル内に延伸し且つ前記第2のソース・ドレイン拡散層と接し、
前記第1のソース・ドレイン拡散層は、前記第1の拡散層と接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1のソース・ドレイン拡散層、第2のソース・ドレイン拡散層、第3のソース・ドレイン拡散層、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の拡散層は、それぞれ表面が金属シリサイド化されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極とは、互いに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記被保護素子電極と平行して延びるダミー電極をさらに備え、
前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、それぞれ前記ダミー電極と接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記被保護素子電極は、上層と下層とを含む積層構造を有し、
前記第1の拡散層は、前記上層と接していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記被保護素子電極と前記第1の拡散層とは、厚さが4nm以下の絶縁膜を介在させて接していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記被保護素子は、電荷蓄積層への電子若しくは正孔の蓄積又は除去によりその特性が変化する不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
選択的に形成された第2導電型の深いウェルと、前記深いウェルの上部に形成された第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルとを有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、被保護素子電極を有する被保護素子と、
前記第1導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタと、
前記第2導電型ウェルに形成された第2の保護トランジスタと、
前記第1導電型ウェルに形成され、前記被保護素子電極と接する第1導電型の第1の拡散層と、
前記第1の保護トランジスタと間隔をおいて形成された第1導電型の第2の拡散層とを備え、
前記第1の保護トランジスタは、前記第1導電型ウェルの上に形成された第1のゲート電極と、前記第1導電型ウェルにおける前記第1のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層を有し、
前記第2の保護トランジスタは、前記第2導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、前記第2導電型ウェルにおける前記第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層とを有し、
前記第1のソース・ドレイン拡散層は、前記第1の拡散層と接し、
前記第2のソース・ドレイン拡散層は、前記半導体基板の前記深いウェルが形成された領域を除く領域と、前記半導体基板の上に形成された第1の導電膜を介在させて電気的に接続され、
前記第3のソース・ドレイン拡散層は、前記第2の拡散層と接し、
前記第4のソース・ドレイン拡散層は、前記半導体基板の前記深いウェルが形成された領域を除く領域と、前記半導体基板の上に形成された第2の導電膜を介在させて電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記被保護素子のゲート電極と、前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜とは同一の材料からなることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体基板の、前記深いウェルが形成された領域を除く領域に形成された第1導電型の第1の接続用拡散層及び第2の接続用拡散層をさらに備え、
前記第1の導電膜は、前記第2のソース・ドレイン拡散層及び前記第1の接続用拡散層と接し、
前記第2の導電膜は、前記第4のソース・ドレイン拡散層及び前記第2の接続用拡散層と接していることを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1のソース・ドレイン拡散層、第2のソース・ドレイン拡散層、第3のソース・ドレイン拡散層、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の拡散層は、それぞれ表面が金属シリサイド化されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極とは、電気的に接続されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記被保護素子電極と平行して延びるダミー電極をさらに備え、
前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、それぞれ前記ダミー電極と接続されていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記被保護素子電極は上層と下層とを含む積層構造を有し、
前記第1の拡散層は、前記上層と接していることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記被保護素子電極と前記第1の拡散層とは、厚さが4nm以下の絶縁膜を介在させて接していることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記被保護素子は、電荷蓄積層への電子若しくは正孔の蓄積又は除去によりその特性が変化する不揮発性メモリであることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
選択的に形成された第2導電型の深いウェルと、前記深いウェルの上部に形成された第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルとを有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、被保護素子電極を有する被保護素子と、
前記第1導電型ウェルに形成された第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタと、
前記第2導電型ウェルに形成された第3の保護トランジスタと、
前記第1導電型ウェルに形成され、前記被保護素子電極と接する第1導電型の第1の拡散層と、
前記第1導電型ウェルに前記第1の保護トランジスタ及び第2の保護トランジスタと間隔をおいて形成された第1導電型の第2の拡散層とを備え、
前記第1の保護トランジスタは、前記第1導電型ウェルの上に形成された第1のゲート電極と、前記第1導電型ウェルにおける前記第1のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び共通拡散層とを有し、
前記第2の保護トランジスタは、前記第1導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、前記第1導電型ウェルにおける前記第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成され第2導電型の第2のソース・ドレイン拡散層及び前記共通拡散層とを有し、
前記第3の保護トランジスタは、前記第2導電型ウェルの上に形成された第2のゲート電極と、前記第2導電型ウェルにおける前記第2のゲート電極の両側方にそれぞれ形成された第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層とを有し、
前記第1のソース・ドレイン拡散層は、前記第1の拡散層と接し、
前記第2のソース・ドレイン拡散層は、前記半導体基板の前記深いウェルが形成された領域を除く領域と、前記半導体基板の上に形成された第1の導電膜を介在させて電気的に接続され、
前記第3のソース・ドレイン拡散層は、前記第2の拡散層と接し、
前記第4のソース・ドレイン拡散層は、前記半導体基板の前記深いウェルが形成された領域を除く領域と、前記半導体基板の上に形成された第2の導電膜を介在させて電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
前記被保護素子電極と、前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜とは同一の材料からなることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記半導体基板の、前記深いウェルが形成された領域を除く領域に形成された第1導電型の第1の接続用拡散層及び第2の接続用拡散層をさらに備え、
前記第1の導電膜は、前記第2のソース・ドレイン拡散層及び前記第1の接続用拡散層と接し、
前記第2の導電膜は、前記第4のソース・ドレイン拡散層及び前記第2の接続用拡散層と接していることを特徴とする請求項17又は18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第1のソース・ドレイン拡散層、共通拡散層、第2のソース・ドレイン拡散層、第3のソース・ドレイン拡散層、第4のソース・ドレイン拡散層及び第2の拡散層は、それぞれ表面が金属シリサイド化されていることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極とは、電気的に接続されていることを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記被保護素子電極と平行して延びるダミー電極をさらに備え、
前記第1のゲート電極、第2のゲート電極及び第3のゲート電極は、それぞれ前記ダミー電極と接続されていることを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記被保護素子電極は上層と下層とを含む積層構造を有し、
前記第1の拡散層は、前記上層と接続されていることを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記被保護素子電極と前記第1の拡散層とは、厚さが4nm以下の絶縁膜を介在させて接していることを特徴とする請求項17〜23のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記被保護素子は、電荷蓄積層への電子若しくは正孔の蓄積又は除去によりその特性が変化する不揮発性メモリであることを特徴とする請求項17〜24のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項26】
第1導電型の半導体基板に第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルを形成する工程(a)と、
前記第1導電型ウェル上及び第2導電型ウェル上に絶縁膜を形成する工程(b)と、
前記第2導電型ウェル上の前記絶縁膜の一部に開口部を形成する工程(c)と、
前記開口部から前記第2導電型ウェルに不純物を導入して、前記第2導電型ウェルに第1導電型の第1の拡散層を形成する工程(d)と、
前記絶縁膜及び前記開口部の上に導電膜を形成した後、形成した導電膜をパターニングして、前記第2導電型ウェルの上に第1のゲート電極を形成し、前記第1導電型ウェルの上に第2のゲート電極を形成し、前記第1の拡散層と接するように被保護素子のゲート電極を形成する工程(e)と、
前記第2導電型ウェルにおける、前記第1のゲート電極の両側方にそれぞれ第1導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(f)と、
前記第1導電型ウェルに、第1導電型の第2の拡散層を形成する工程(g)と、
前記第1導電型ウェルにおける、前記第2のゲート電極の両側方にそれぞれ第2導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(h)とを備え、
前記工程(f)では、前記第1のソース・ドレイン拡散層と前記第1の拡散層とが接続するように形成し、
前記工程(h)では、前記第3のソース・ドレイン拡散層が前記第2導電型ウェルに延伸して、前記第2のソース・ドレイン拡散層と接するように形成し、
前記工程(g)では、前記第4のソース・ドレイン拡散層と前記第2の拡散層とが接するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項27】
第1導電型の半導体基板に、第1導電型ウェル、第2導電型ウェルを形成すると共に、前記第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下方に、該第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下面に接するように第2導電型の深いウェルを形成する工程(a)と、
前記第1導電型ウェル上及び第2導電型ウェル上に絶縁膜を形成する工程(b)と、
前記第1導電型ウェル上の前記絶縁膜の一部に開口部を形成する工程(c)と、
前記開口部から前記第1導電型ウェルに不純物を導入して、前記第1導電型ウェルに第2導電型の第1の拡散層を形成する工程(d)と、
前記絶縁膜及び前記開口部の上に導電膜を形成した後、形成した導電膜をパターニングして、前記第1導電型ウェルの上に第1のゲート電極を形成し、前記第2導電型ウェルの上に第2のゲート電極を形成し、前記第1の拡散層と接するように被保護素子電極を形成する工程(e)と、
前記第1導電型ウェルにおける、前記第1のゲート電極の両側方にそれぞれ第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(f)と、
前記第2導電型ウェルにおける、前記第2のゲート電極の両側方にそれぞれ第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層を形成し、前記第1導電型ウェルに、前記第3のソース・ドレイン拡散層と接するように第1導電型の第2の拡散層を形成する工程(g)と、
前記半導体基板における前記第1導電型ウェルの側方に第1導電型の第1の接続用拡散層を形成し、前記第2導電型ウェルの側方に第1導電型の第2の接続用拡散層を形成する工程(h)と、
前記第2のソース・ドレイン拡散層と前記第1の接続用拡散層とを電気的に接続し、前記第4のソース・ドレイン拡散層と前記第2の接続用拡散層とを電気的に接続する工程(i)とを備え、
前記工程(f)では、前記第1のソース・ドレイン拡散層と前記第1の拡散層とが接するように形成し、
前記工程(g)では、前記第2の拡散層が前記第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層と離間するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
前記工程(h)は、前記工程(g)よりも前に行うことを特徴とする請求項27に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項29】
第1導電型の半導体基板に、第1導電型ウェル、第2導電型ウェルを形成すると共に、前記第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下方に、該第1導電型ウェルと第2導電型ウェルの下面に接するように第2導電型の深いウェルを形成する工程(a)と、
前記第1導電型ウェル上及び第2導電型ウェル上に絶縁膜を形成する工程(b)と、
前記第1導電型ウェル上の前記絶縁膜の一部に開口部を形成する工程(c)と、
前記開口部から前記第1導電型ウェルに不純物を導入して、前記第1導電型ウェルに第2導電型の第1の拡散層を形成する工程(d)と、
前記絶縁膜及び前記開口部の上に導電膜を形成した後、形成した導電膜をパターニングして、前記第1導電型ウェルの上に第1のゲート電極及び第2のゲート電極を形成し、前記第2導電型ウェルの上に第3のゲート電極を形成し、前記第1の拡散層と接するように被保護素子電極を形成する工程(e)と、
前記第1導電型ウェルにおける、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に第2導電型の共通拡散層を形成し、前記第1のゲート電極の一側方に第2導電型の第1のソース・ドレイン拡散層を形成し、前記第2のゲート電極の一側方に第2導電型の第2のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(f)と、
前記第2導電型ウェルにおける、前記第3のゲート電極の両側方にそれぞれ第1導電型の第3のソース・ドレイン拡散層及び第4のソース・ドレイン拡散層を形成し、前記第1導電型ウェルに、前記第3のソース・ドレイン拡散層と接するように第1導電型の第2の拡散層を形成する工程(g)と、
前記半導体基板における前記第1導電型ウェルの側方に第1導電型の第1の接続用拡散層を形成し、前記第2導電型ウェルの側方に第1導電型の第2の接続用拡散層を形成する工程(h)と、
前記第2のソース・ドレイン拡散層と前記第1の接続用拡散層とを電気的に接続し、前記第4のソース・ドレイン拡散層と前記第2の接続用拡散層とを電気的に接続する工程(i)とを備え、
前記工程(f)では、前記第1のソース・ドレイン拡散層と前記第1の拡散層とが接するように形成し、
前記工程(g)では、前記第2の拡散層が前記第1のソース・ドレイン拡散層及び第2のソース・ドレイン拡散層と離間するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項30】
前記工程(h)は、前記工程(g)よりも前に行うことを特徴とする請求項29に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項31】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の駆動方法であって、
前記被保護素子電極、前記第1のゲート電極及び前記第2導電型ウェルに正の同電位を印加することにより、前記被保護素子への電子注入及び読み出しを行うステップと、
前記被保護素子電極に負電位、前記第1のゲート電極及び前記第2導電型ウェルに接地電位を印加することにより、前記被保護素子への正孔注入又は前記被保護素子からの電子引き抜きを行うステップとを備えていることを特徴とする半導体装置の駆動方法。
【請求項32】
請求項8〜16のいずれか1項に記載の半導体装置の駆動方法であって、
前記被保護素子電極に正電位を印加し、前記第1のゲート電極及び前記第1導電型ウェルに接地電位を印加することにより、前記被保護素子への電子注入及び読み出しを行うステップと、
前記被保護素子電極、前記第1のゲート電極及び前記第2導電型ウェルに負の同電位を印加することにより、前記被保護素子への正孔注入又は前記被保護素子からの電子引き抜きを行うステップとを備えていることを特徴とする半導体装置の駆動方法。
【請求項33】
請求項17〜25のいずれか1項に記載の半導体装置の駆動方法であって、
前記被保護素子電極に正電位を印加し、前記第1のゲート電極及び前記第1導電型ウェルに接地電位を印加することにより、前記被保護素子への電子注入及び読み出しを行うステップと、
前記被保護素子電極、前記第1のゲート電極及び前記第2導電型ウェルに負の同電位を印加することにより、前記被保護素子への正孔注入又は前記被保護素子からの電子引き抜きを行うステップとを備えていることを特徴とする半導体装置の駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2009−54909(P2009−54909A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222139(P2007−222139)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】