半導体装置の製造方法、半導体基板の処理装置及び記憶媒体
【課題】 下層の金属膜の抵抗増大、及び水の吸湿による低誘電率絶縁膜の誘電率上昇を招くことなく、銅付着物を除去することが可能な半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】 銅を用いた電気的接続部材4が形成された第1の層間絶縁膜2上に形成され、電気的接続部材4に達する溝7を有する第2の層間絶縁膜6の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物13を除去する工程と、第2の層間絶縁膜6の溝7の底に露出した電気的接続部材4の表面を還元する工程と、還元された電気的接続部材4上、及び第2の層間絶縁膜6上に、バリアメタル層8を形成する工程と、バリアメタル層8上に、銅を用いた導電膜9を形成する工程と、を具備する。
【解決手段】 銅を用いた電気的接続部材4が形成された第1の層間絶縁膜2上に形成され、電気的接続部材4に達する溝7を有する第2の層間絶縁膜6の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物13を除去する工程と、第2の層間絶縁膜6の溝7の底に露出した電気的接続部材4の表面を還元する工程と、還元された電気的接続部材4上、及び第2の層間絶縁膜6上に、バリアメタル層8を形成する工程と、バリアメタル層8上に、銅を用いた導電膜9を形成する工程と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法、半導体基板の処理装置及び記憶媒体に係わり、特に、銅を用いた導電膜を備えた半導体装置の製造方法、半導体基板の処理装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは近時、動作速度の向上ならびに小型化を目的として、配線が多層に設けられている。また、動作速度を高めるには、配線の抵抗および配線間の電気容量を低減させる必要があるため、配線には抵抗の低い銅(Cu)が多く用いられており、Cu配線間に設けられる層間絶縁膜には、Cu配線間の容量が低減されるように低誘電率絶縁膜(Low−k膜)が多く用いられている。
【0003】
しかしながら、ダマシン法を用いてCu配線を形成すると、層間絶縁膜のエッチング及びフォトレジストのアッシングの際に、配線用溝もしくはヴィア等の溝の底に露出したCu配線の表層の一部がエッチングされ、溝の内部に露呈した層間絶縁膜の側面や、層間絶縁膜の上面に付着することが多い。Cuが付着した状態で、熱処理もしくは電界をかけると、Cuが層間絶縁膜の内部に拡散する場合が多い。Cuが層間絶縁膜の内部に拡散すると、半導体装置の歩留りが低下する。
【0004】
そこで、層間絶縁膜に付着したCuを除去するため、一般的にはウェット洗浄が行われている。
【0005】
しかしながら、層間絶縁膜にLow−k膜を用いていると、ウェット洗浄の際にLow−k膜が吸湿して誘電率の上昇を招くことがある。このため、Low−k膜が露出した状態でウェット洗浄を行うことは望ましいことではない。
【0006】
また、ウェット洗浄ではない水蒸気処理も考えられているが(特許文献1)、やはり水(H2O)によるLow−k膜の誘電率上昇が懸念される。
【0007】
また、有機酸ドライクリーニングによるCu除去法も知られているが(特許文献2)、付着したCuが酸化されていない場合、有機酸ガスのみのドライクリーニングでは、ウェット洗浄ほどの除去能力は有さない。
【0008】
また、酢酸蒸気と水蒸気、もしくは酸素を供給しながら銅を除去する方法も知られているが(特許文献1)、水蒸気に関しては前述のLow−k膜の誘電率上昇の懸念があり、また、酸素に関しては、下層のCuが酸化されて配線抵抗が上昇する懸念がある。
【特許文献1】特開2001−271192号公報
【特許文献2】特開2005−330546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、下層の金属膜の抵抗増大、及び水の吸湿による低誘電率絶縁膜の誘電率上昇を招くことなく銅付着物を除去することが可能な半導体装置の製造方法、この製造方法に使用される半導体基板の処理装置、及びこの処理装置を制御する記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明の第1の態様に係る半導体装置の製造方法は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、を具備する。
【0011】
この発明の第2の態様に係る半導体装置の製造方法は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上にマスク膜を形成し、このマスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記第2の層間絶縁膜に前記電気的接続部材に達する溝を形成する工程と、前記マスク膜を除去する工程と、前記電気的接続部材に達する溝が形成された第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、を具備する。
【0012】
この発明の第3の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段と、前記電気的接続部材を還元する還元手段と、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備える。
【0013】
この発明の第4の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段を備えた第1のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第2のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第3のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第4のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第4のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0014】
この発明の第5の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第1のチャンバと、前記酸化された銅付着物を、有機酸ガスを用いてエッチングするエッチング手段を備えた第2のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第3のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第4のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第5のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第5のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0015】
この発明の第6の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段と、前記マスク膜を除去する第1の除去手段と、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段と、前記電気的接続部材を還元する還元手段と、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備える。
【0016】
この発明の第7の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段を備えた第3のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第4のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第5のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第6のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第6のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0017】
この発明の第8の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第3のチャンバと、前記酸化された銅付着物を、銅有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて除去する第2の除去手段を備えた第4のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第5のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第6のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第7のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第7のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0018】
この発明の第9の態様に係る記憶媒体は、コンピュータ上で動作し、半導体基板の処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1又は請求項2いずれか一つに記載の半導体装置の製造方法が行われるように、コンピュータに前記半導体基板の処理装置を制御させる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、下層の金属膜の抵抗増大、及び水の吸湿による低誘電率絶縁膜の誘電率上昇を招くことなく銅付着物を除去することが可能な半導体装置の製造方法、この製造方法に使用される半導体基板の処理装置、及びこの処理装置を制御する記憶媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図面には、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0021】
図1乃至図7は、この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を、主要な製造工程毎に示す断面図である。
【0022】
図1には、半導体装置の製造途中の断面例が示されている。
【0023】
図1に示すように、層間絶縁膜等が形成されている半導体基体1の上方に、配線用溝、又は上層配線と下層配線とを接続する接続用孔等の溝3を有する第1層層間絶縁膜2が形成され、溝3の内部には配線4が形成されている。本例の配線4は銅(Cu)を用いた導電膜からなり、バリアメタル層5上に形成されている。本例では、一例として配線4を銅配線とした(以下銅配線4と言う)。バリアメタル層5は、溝の底部3a及び溝の側面3bを被覆するように形成され、銅配線4の周囲を囲む。バリアメタル層5は、銅の拡散を抑制する機能を持つ。
【0024】
本例の第1層層間絶縁膜2は無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い低誘電率絶縁膜2aからなる。本例の低誘電率絶縁膜2aの上面に、この低誘電率絶縁膜2aとは異なる材料からなるハードマスク層2bが形成されている。
【0025】
第1層層間絶縁膜2上には、第2層層間絶縁膜6が形成されている。本例の第2層層間絶縁膜6は、第1層層間絶縁膜2と同様に、無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い低誘電率絶縁膜6aからなり、その上面には、この低誘電率絶縁膜6aとは異なる材料からなるハードマスク層6bが形成され、その下面には、この低誘電率絶縁膜6aとは異なる材料からなるエッチストップ層6cが形成されている。
【0026】
第2層層間絶縁膜6の上面(ILD-TOP)には、フォトレジスト膜12が形成されており、フォトレジスト膜12には、配線用溝、又は配線接続用開孔等の、半導体装置の内部電気的接続部材を埋め込むための溝のパターンに対応した窓12aが形成されている。
【0027】
図1に示す断面例は、フォトレジスト膜12をマスクに用いて、ハードマスク層6b、低誘電率絶縁膜6a、及びエッチストップ層6cを異方性エッチング、例えば、RIE(Reactive
Ion Etching)し、第2層層間絶縁膜6に、内部電気的接続部材を埋め込むための溝7を形成した時点の断面例である。
【0028】
本例は、上記構造を持つ半導体基板からフォトレジスト膜12を除去した後、フォトレジスト膜12が除去された半導体基板上にバリアメタル層を形成し、さらに、内部電気的接続部材、例えば、配線やヴィアとなる導電膜を、溝7を埋め込むように形成する。
【0029】
まず、図1に示す時点では、第2層層間絶縁膜がエッチングされ、溝7の底部に銅配線4の上面4aが露出する。この際に、銅配線4の表面にエッチャント、本例ではイオンが衝突するために銅配線4から銅が叩き出され、半導体基板の外部へと飛散する。
【0030】
次に、図2に示すように、フォトレジスト膜12をアッシングし、フォトレジスト膜12を除去する。このアッシングの際にも銅配線4の上面4aから銅が飛散する。結果として、図3に示すように、第2層層間絶縁膜6の上面(ILD-TOP)、及び溝7の底部7a、溝7の側面7b上には、銅付着物13が付着する。
【0031】
そこで、図4に示すように、銅付着物13を除去する。本例では、銅付着物13を、水を使用せずに、ドライエッチングを用いて除去する。本例では、ドライエッチングに、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いる。エッチングは、銅付着物13が酸化性ガスにより酸化されて酸化銅Cu2O、又はCuO)に変わり、この酸化銅が、有機酸ガスによりエッチングされることにより進む。銅付着物13は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)で酸化することもでき、この場合には、銅付着物13は、CuX、CuX2となる。Xはハロゲンである。本明細書では、酸化とは、銅に酸素を反応させて酸化することばかりでなく、銅にハロゲンを反応させてハロゲン化することも含む、と定義する。
【0032】
有機酸ガスの例としては、例えば、
カルボキシル基(−COOH)を有するカルボン酸
を挙げることができる。
【0033】
上記カルボン酸の例としては、
以下の一般式(1)で記述されるカルボン酸
R1−COOH …(1)
(R1は水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基、好ましくはメチル、エテル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル)
例えば、蟻酸(HCOOH)
酢酸(CH3COOH)
プロピオン酸(CH3CH2COOH)
酪酸(CH3(CH2)2COOH)
吉草酸(CH3(CH2)3COOH)
などを挙げることができる。
【0034】
なお、本第1の実施形態では有機酸ガスとして蟻酸を用いた。
【0035】
また、有機酸ガスの他、有機化合物ガスを用いることも可能である。
【0036】
例えば、有機化合物としては、上述のカルボン酸の他、アルコール、アルデヒド、無水カルボン酸、エステル、及びケトンを挙げることができる。
【0037】
また、有機化合物がアルコールであるとき、このアルコールが、
第1級アルコール、第2級アルコール、ポリヒドロキシアルコール、複数個の炭素原子を環の一部に有する環状アルコール、及び芳香族アルコールのいずれかから選ぶことができる。
【0038】
また、有機化合物がアルデヒドであるとき、このアルデヒドが、
(2)式で記述されるアルデヒド、
R2−CHO …(2)
(R2は水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基)
(3)式で記述されるアルカンジオール化合物、
OHC−R3−CHO …(3)
(R3は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20の飽和又は不飽和炭化水素)
(3)式で記述されるアルカンジオール化合物においてR3が存在せず、両アルデヒド基が互いに結合したもの、のいずれかから選ぶことできる。
【0039】
無水カルボン酸は、以下の一般式(4)
R4−CO−O−CO−R5・・・(4)
(R4、R5は、水素原子または炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基)
で表記されるものと定義することができる。
【0040】
炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基などを挙げることができ、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
【0041】
無水カルボン酸の具体例としては、無水酢酸以外に、無水蟻酸、無水プロピオン酸、無水酢酸蟻酸、無水酪酸、および無水吉草酸などが挙げられる。
【0042】
エステルは、以下の一般式(5)
R6−COO−R7 ・・・(5)
(R6は、水素原子または炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基、R7は、炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基)と表記されるものと定義することができる。
【0043】
炭化水素基およびハロゲン原子の具体例は上記したものと同様である。
【0044】
エステルの具体例としては、蟻酸メチル、蛾酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、酢酸アリル、酢酸プロペニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ベンジル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ペンチル、酪酸ブチル、吉草酸メチルおよび吉草酸エチルなどが挙げられる。
【0045】
酸化性ガスの例としては、
酸素(O2)、オゾン(O3)、酸化窒素(N2O)、空気、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、フッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)
などを挙げることができる。
【0046】
これら酸化性ガスの中でも、取り扱い易さ、及び品質の点を考慮すると、酸素が好ましく、本第1の実施形態では酸化性ガスとして酸素を用いた。
【0047】
酸化性ガスに酸素、有機酸ガスに蟻酸を用いた場合、銅付着物13がエッチングされる際の反応式(2)、(3)は以下の通りである。
【0048】
4Cu + O2 → 2Cu2O …(2)
2Cu2O + 2HCOOH → 2Cu(HCOO) + H2O …(3)
・Cu(HCOO)は揮発性
なお、(3)式の反応により発生するH2OがLow−k膜に吸湿する可能性はあるが、銅付着物13の量はそれほど多くないため、(3)で発生するH2Oの量はわずかであり、Low−k膜の誘電率はほとんど変化しない。
【0049】
有機酸ガスと酸化性ガスとの供給方式としては、以下の方式が挙げられる。
【0050】
1)酸化性ガスを供給して銅を酸化させてから、有機酸ガスを供給して酸化銅をエッチングする(図8A)。
【0051】
この方式による処理条件の一例は以下の通りである。
【0052】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気:(酸化時)O2100%
もしくは不活性ガスで希釈されたO2
酸化時間 : 1sec以上600sec以下
チャンバ内雰囲気:(エッチング時)蟻酸100%
もしくは不活性ガスで希釈された蟻酸
エッチング時間 : 1sec以上600sec以下
2)酸化性ガスと有機酸ガスとを同時供給し、銅の酸化と酸化銅のエッチングとを実質的に同時に行う(図8B)。
【0053】
この方式による処理条件の一例は以下の通りである。
【0054】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気:O2と蟻酸(不活性ガスで希釈されても良い)
処理時間 : 1sec以上600sec以下
3)酸化性ガスと有機酸ガスとを交互に供給し、銅の酸化と酸化銅のエッチングとを交互に繰り返す(図8C)。
【0055】
この方式による処理条件の一例は以下の通りである。
【0056】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気:(酸化時)O2100%
もしくは不活性ガスで希釈されたO2
酸化時間 : 0.1sec以上30sec以下
チャンバ内雰囲気:(エッチング時)蟻酸100%
もしくは不活性ガスで希釈された蟻酸
エッチング時間 : 0.1sec以上30sec以下
繰り返し回数 : 2回以上100回以下
さて、本例では銅付着物13のエッチングに酸化性ガスを用いるので、銅配線4の内部まで酸化が進み、銅配線4の上面4aに酸化銅10が形成される可能性がある。
【0057】
そこで、本例では、図5に示すように、銅配線4の上面4aに形成されているであろう酸化銅10を還元し、銅に戻す処理を行う。この還元に際し、溝3内に残存する銅膜、本例では銅配線4がエッチングされないようにするため、本例では、有機酸ガスは使用しない。その代わりに、周知の水素アニール法、もしくは周知の超低酸素分圧アニール法、もしくは周知の一酸化炭素にアニール法を用いて還元する。周知の水素アニール法、もしくは周知の超低酸素分圧アニール法、もしくは周知の一酸化炭素アニール法のいずれかを用いることで、溝5内に残存する銅配線4をエッチングすることなく、銅配線4の上面4aに形成された酸化銅10のみを還元し、銅に戻すことができる。
【0058】
水素アニール法を用いる場合の処理条件の一例は以下の通りである。
【0059】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 200℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気: 水素100%
もしくは不活性ガスで希釈された水素
処理時間 : 10sec以上300sec以下
超低酸素分圧アニール法を用いる場合の処理条件の一例は以下の通りである。
【0060】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気: O2分圧10−13atm以下
処理時間 : 1sec以上600sec以下
一酸化炭素アニール法を用いる場合の処理条件の一例は以下の通りである。
【0061】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 200℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気: 一酸化炭素100%
もしくは不活性ガスで希釈された一酸化炭素
処理時間 : 10sec以上300sec以下
次に、図6に示すように、酸化銅10を還元した後、酸化銅が再形成される前に、第2層層間絶縁膜6の上面(ILD-TOP)、及び溝7の底部7a及び溝7の側面7b上にバリアメタルを堆積し、バリアメタル層8を形成する。
【0062】
次に、図7に示すように、バリアメタル層8上に、銅を用いた導電膜、本例では銅膜9を形成する。
【0063】
このように、一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、銅付着物13を、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いてエッチングするので、銅付着物13を、水(H2O)を用いずに除去することができる。銅付着物13を、水(H2O)を用いずに除去できるので、たとえ、層間絶縁膜2、6に低誘電率絶縁膜が用いられていたとしても、低誘電率絶縁膜の吸湿を抑制することができ、低誘電率絶縁膜の誘電率が上昇する、という事情を解消することができる。
【0064】
なお、本例では、銅付着物13を除去する際に酸化性ガスを使用するので、銅配線4に酸化が進み、銅配線4の上面4aに酸化銅が残る可能性がある、という点が懸念されるが、この懸念については、銅付着物13を除去した後に、酸化銅10を還元し、銅に戻す処理を行うことで解消している。従って、下層の金属膜、本例では銅配線4の抵抗が増大する、という事情を解消できる。
【0065】
さらに、本例では、酸化銅10の還元を、特に、水素アニール法、超低酸素分圧アニール法、及び一酸化炭素アニール法を用いて還元する。即ち有機酸ガスは使用しないので、酸化銅10の還元に際して、溝3内に残存する銅膜、本例では銅配線4がエッチングされることを抑制できる。銅配線4のエッチングを抑制できると、銅配線4の不用意な膜厚減少を抑制できる。不用意な膜厚減少を抑制できることは、下層の金属膜、本例では銅配線4の抵抗の増大の、更なる抑制に有利である。
【0066】
従って、一実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、下層の金属膜の抵抗増大、及び低誘電率絶縁膜の誘電率上昇を招くことなく、銅付着物を除去することが可能な半導体装置の製造方法を得ることができる。
【0067】
次に、各部材の材料例を説明する。
(層間絶縁膜2、6)
本一実施形態では、銅付着物13を、水(H2O)を用いずに除去できるので、吸湿しやすい層間絶縁膜であっても使うことができる。このため、層間絶縁膜2、6には、無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い低誘電率絶縁膜(Low−k膜)が用いることが良い。低誘電率絶縁膜は無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い絶縁膜である。例えば、原料ガスをTEOSとし、CVD法を用いて堆積された無機シリコン酸化膜の誘電率kは約4.2である。そこで、本明細書においては、低誘電率絶縁膜は、誘電率kが4.2未満の絶縁膜と定義する。
【0068】
低誘電率絶縁膜2、6の例としては、
1)シロキサン系材料
2)有機系材料
3)多孔質材料
などを挙げることができる。
【0069】
上記シロキサン系材料の例としては、
1)Si、O、Hを含む材料
例えば、HSQ(Hydrogen-Silsesquioxane)
2)Si、C、O、Hを含む材料
例えば、MSQ(Methyl-Silsesquioxane)
などを挙げることができる。
【0070】
上記有機系材料の例としては、
1)ポリアリレンエーテル系材料
2)ポリアリレンハイドロカーボン系材料
3)パリレン系材料
4)ベンゾシクロブテン(BCB)系材料
5)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系材料
6)フッ化ポリイミド系材料
7)フルオロカーボンガスを原料にして形成されるCF系材料
などを挙げることができる。
【0071】
上記多孔質材料の例としては、
1)ポーラスMSQ
2)ポーラスポリアリレンハイドロカーボン
3)ポーラスシリカ
などを挙げることができる。
(ハードマスク層2b、6b)
ハードマスク層2b、6bの材料例としては、
1)ポリベンゾオキサゾール
2)SiOC
3)SiC
などを挙げることができる。
(エッチストップ層6c)
エッチストップ層6cは、ハードマスク層2b、6bと同様の材料を用いることができる。
(バリアメタル層8)
バリアメタル層8には、Ti、TiN等のTi系金属、及びTiとTi系金属との積層膜、Ta、TaN等のTa系金属、及びTaとTa系金属との積層膜などを用いることができる。
(半導体基板の処理装置)
次に、本一実施形態に係る半導体装置の製造方法に使用される半導体基板の処理装置の例について説明する。
【0072】
本一実施形態において、銅付着物13の除去と、酸化銅10の還元と、バリアメタル層8の形成と、銅を用いた導電膜9の形成とは同一のチャンバ内で行っても良く、別々のチャンバで行っても良い。別々のチャンバで行う場合の半導体基板の処理装置の一例を図9に示す。
【0073】
図9に示すように、一実施形態に利用される処理装置100は、第1のチャンバ(1st Chamb.)101a、第2のチャンバ(2nd
Chamb.)101b、第3のチャンバ(3rd Chamb.)101c、及び第4のチャンバ(4th Chamb.)101dを備え、これら4つのチャンバ101a乃至101dを、1つの搬送室102を介して相互に接続したマルチチャンバ型の処理装置である。
【0074】
搬送室102の内部は、チャンバ101a及び101dの内部と同様に、所定の圧力、例えば、10−5Pa以上1333Pa以下の減圧環境下(本明細書ではこの圧力範囲を真空圧と呼ぶ)に保持できるとともに、所定の雰囲気下に保持できる。さらに、搬送室102の内部には、半導体基板(半導体ウエハ)Wを搬送する搬送装置103が備えられており、半導体基板Wを、第1のチャンバ101a乃至第4のチャンバ101dとの間の相互間で、真空を保持したまま、搬送(真空搬送)することができる。
【0075】
以下、処理装置100の詳細を説明する。
【0076】
図10に示すように、第1の処理ユニット100aは銅付着物13をエッチングするユニットであり、上記第1のチャンバ101aを備える。以下同様に、第2の処理ユニット100bは酸化銅10を還元するユニットであり、上記第2のチャンバ101bを備える。第3の処理ユニット100cはバリアメタル層8を形成するユニットであり、第3のチャンバ101cを備える。第4の処理ユニット100dは銅を用いた導電膜、本例では銅膜9を形成するユニットであり、第4のチャンバ101dを備える。これら4つの処理ユニット100a乃至100dは、六角形をなす搬送室102の4つの辺に対応して設けられる。搬送室102の残りの2つの辺にはロードロック室104、及び105が設けられる。ロードロック室104、及び105の搬送室102と反対側には搬入出室106が設けられ、搬入出室106のロードロック室104、及び105と反対側には複数のポート、本例では3つのポート107a乃至107cが設けられる。ポート107a乃至107cには、複数の半導体基板Wを収容可能なキャリア108a乃至108cが取り付けられる。
【0077】
チャンバ101a乃至101d、並びにロードロック室104及び105は、搬送室102の各辺に設けられたゲートバルブGを介して、搬送室102に接続される。
【0078】
ロードロック室104、及び105の搬入出室106に接続される部分にもゲートバルブGが設けられている。
【0079】
ポート107a乃至107cには、半導体基板Wを収容した、又は空のキャリア108a乃至108cが取り付けられる。また、ポート107a乃至107cには、シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0080】
搬入出室106の内部には、キャリア108a乃至108cに収容された半導体基板Wの搬入出、及びロードロック室104、及び105に対する半導体基板Wの搬入出を行う搬送装置109が設けられている。
【0081】
銅付着物13のエッチングは、チャンバ101aにおいて行われる。図10に、第1の処理ユニット100aに用いることができる処理装置の一例を示す。
【0082】
一例に係る処理ユニット(半導体基板の処理装置)100aは、有機酸ガスとして蟻酸(HCOOH)を用い、酸化性ガスとして酸素(O2)を用いることで、銅付着物13をエッチングする。
【0083】
図10に示すように、処理ユニット100aは、半導体基板Wを収容可能なチャンバ101aと、チャンバ101a内に有機酸ガスとして、本例では蟻酸を供給する有機酸ガス供給機構152と、チャンバ101a内に酸化性ガスとして、本例では酸素を供給する酸化性ガス供給機構153と、チャンバ101a内を所定の圧力、例えば、真空圧に減圧可能な減圧機構154とを備えている。なお、図10には図示しないが、有機酸ガスを希釈する希釈ガス、または不活性ガスをチャンバ101a内に供給する希釈ガス/不活性ガスガス供給機構が設けられても良い。希釈ガス、または不活性ガスの一例は窒素(N2)である。
【0084】
チャンバ101aは、上部が開口した略筒状または箱状に形成されている。チャンバ101aの底部には、収容した半導体基板Wを載置するためのサセプタ151aが設けられ、このサセプタ151aには、半導体基板Wを加熱する加熱機構としてのヒーター151bが埋設されている。チャンバ101aの側壁には、半導体基板Wを搬入出するための搬入出口151cが形成されているとともに、この搬入出口151cを開閉するゲートバルブGが設けられている。
【0085】
チャンバ101aの上部には、開口を閉塞し、かつ、サセプタ151aに対向するようにシャワーヘッド151eが設けられている。シャワーヘッド151eは、有機酸ガス供給機構152による有機酸ガスおよび図示せぬ希釈ガスを拡散させる拡散空間151fを内部に有するとともに、サセプタ151aとの対向面に、有機酸ガス供給機構152による有機酸ガスおよび図示せぬ希釈ガスをチャンバ101a内に吐出する複数または多数の吐出孔151gが形成されている。
【0086】
チャンバ101aの底壁には排気口151hが形成されており、減圧機構154は、排気口151hに接続された排気管154aと、この排気管154aを介してチャンバ101a内を強制排気する排気装置154bとを有している。
【0087】
有機酸ガス供給機構152は、有機酸ガスのガス源となる有機酸、本例では蟻酸が貯留される有機酸ガス源貯留部152aと、気化された有機酸ガスを、有機酸ガス源貯留部152aからシャワーヘッド151eの拡散空間151f内に導く供給ライン152bと、供給ライン152bを流通する有機酸ガスの流量を調整する流量調整機構としてのマスフローコントローラ152cおよびバルブ152dとを有している。有機酸ガス供給機構152には、有機酸ガスを所定の温度に加熱し、例えば、気化させるヒーター152eが設けられている。
【0088】
酸化性ガス供給機構153は、酸化性ガス供給源153aと、酸化性ガスを、酸化性ガス供給源153aからシャワーヘッド151eの拡散空間151f内に導く供給ライン153bと、供給ライン153bを流通する酸化性ガスの流量を調整する流量調整機構としてのマスフローコントローラ153cおよびバルブ153dとを有している。
【0089】
このように構成された処理ユニット100aにおいては、減圧機構154によってチャンバ101a内を所定の圧力、例えば、真空圧に減圧するとともに、酸化性ガス供給機構153によってチャンバ101a内に酸化性ガスを供給して、チャンバ101a内を所定の酸化性ガス雰囲気に保持する。次に、チャンバ101a内を所定の圧力、及び所定の酸化性ガス雰囲気に保持した後、ヒーター151bによって半導体基板Wを所定の温度に加熱する。これにより、半導体基板W上に付着した銅付着物13が酸化される。
【0090】
酸化終了後、チャンバ101a内の酸化性ガスを排気する。排気後、図示せぬ希釈ガス/不活性ガス供給機構によってチャンバ101a内に希釈ガスを供給し、かつ、有機酸ガス供給機構152によってチャンバ101a内に有機酸ガスを供給して、チャンバ151内を所定の有機酸ガス及び希釈ガス雰囲気に保持する。次に、チャンバ101a内を所定の有機酸ガス及び希釈ガス雰囲気に保持した後、ヒーター151bによって半導体基板Wを所定の温度に加熱する。これにより、半導体基板W上に付着し、酸化された銅付着物13がエッチングされる。
【0091】
このような処理ユニット100aを用いることで、銅付着物13を、エッチングすることができる。
【0092】
エッチング後、第2のチャンバ101bにおいて、酸化銅10を、本一実施形態において説明した方法に従って還元する。図11に、第2の処理ユニット100bに用いることができる処理装置の一例を示す。一例に係る処理ユニット100bは、水素アニール法に従った還元処理を行う。
【0093】
図11に示すように、処理ユニット100bは、基本的には熱処理装置であり、例えば、図10に示した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。処理ユニット100bが、図10に示した処理ユニット100aと、特に、異なるところは、半導体基板Wを収容可能なチャンバ101b内に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構252と、同じくチャンバ101b内に、水素ガスを供給する水素ガス供給機構253とを備えること、である。これ以外は、処理ユニット100bは、上述した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。
【0094】
処理ユニット100bによる還元処理の一例は、次の通りである。
【0095】
まず、バルブ252d及び253dを開き、不活性ガス及び水素ガスを、不活性ガス供給源252a及び水素ガス供給源253aからマスフローコントローラ252c、253cに導く。マスフローコントローラ252cは不活性ガスの流量を調節する。流量が調節された不活性ガスは、供給ライン252bを介してシャワーヘッド151eの拡散空間151fに導かれる。不活性ガスの一例はアルゴン(Ar)ガスである。
【0096】
また、マスフローコントローラ253cは水素ガスの流量を調節する。流量が調節された水素ガスは、供給ライン253bを介して、不活性ガスと同じくシャワーヘッド151eの拡散空間151fに導かれる。なお、チャンバ101b内の圧力は、減圧機構154を用いて、例えば、10ー5Pa以上1333Pa以下の真空圧とする。
【0097】
この条件で、サセプタ151a上に載置された半導体基板Wを、ヒーター151bを用いて、例えば、300℃程度に加熱する。この状態を所定の時間、例えば、数分間保持することで、酸化銅10を還元することができる。
【0098】
このような処理ユニット100bを用いることで、酸化銅10を還元することができる。
【0099】
還元後、第3のチャンバ101cにおいて、バリアメタル層8を、本一実施形態において説明した方法に従って形成する。図12に、第3の処理ユニット100cに用いることができる処理装置の一例を示す。
【0100】
図12に示すように、処理ユニット100cも基本的に熱処理装置であり、図10に示した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。処理ユニット100cが、図10に示した処理ユニット100aと、特に、異なるところは、バリアメタル層8を成膜するための成膜ガスを、チャンバ101c内に供給する成膜ガス供給機構354を備えること、である。これ以外は、処理ユニット100cは、上述した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。
【0101】
処理ユニット100cによる成膜処理は、成膜ガスをチャンバ100c内に導き、半導体基板Wを、ヒーター151bを用いて加熱してバリアメタル層8を堆積していく熱CVDである。
【0102】
バリアメタル層8を、チタン(Ti)を用いて形成する場合には、成膜ガスの原料となる金属化合物の例として、
1)四塩化チタン(TiCl4)
2)四フッ化チタン(TiF4)
3)四臭化チタン(TiBr4)
4)四ヨウ化チタン(TiI4)
5)テトラキスエチルメチルアミノチタン(Ti[N(C2H5CH3)]4(TEMAT))
6)テトラキスジメチルアミノチタン(Ti[N(CH3)2]4(TDMAT))
7)テトラキスジエチルアミノチタン(Ti[N(C2H5)2]4(TDEAT))などを挙げることができる。
【0103】
また、バリアメタル層8を、タンタル(Ta)を用いて形成する場合には、成膜ガスの原料となる金属化合物の例として、
1)五塩化タンタル(TaCl5)
2)五フッ化タンタル(TaF5)
3)五臭化タンタル(TaBr5)
4)五ヨウ化タンタル(TaI5)
5)ターシャルブチルイミドトリス(ジエチルアミド)タンタル(Ta(NC(CH3)3)(N(C2H5)2)3(TBTDET))、
6)ターシャリーアミルイミドトリス(ジメチルアミド)タンタル(Ta(NC(CH3)2C2H5)(N(CH3)2)3)
などを挙げることができる。
【0104】
また、上記金属化合物を還元する場合には、還元性有機物の例として、
1)ヒドロキシル基(−OH)を有するアルコール
2)アルデヒド基(−CHO)を有するアルデヒド
3)カルボキシル基(−COOH)を有するガルボン酸
4)無水カルボン酸
5)エステル
6)有機酸アンモニウム塩
7)有機酸アミン塩
8)有機酸アミド
9)有機酸ヒドラジド
10)有機酸の金属錯体
11)有機酸の金属塩
などを挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いることができる。また、水素やアンモニアを使用しても良い。
【0105】
なお、上記金属化合物、及び還元性有機物を使用した金属膜の形成手法は、本件特許出願人による特許出願(出願番号:特願2006−208726)に記載されている。
【0106】
さらに、バリアメタル層8の形成には上記堆積法ばかりでなく、スパッタ法を用いて形成することも可能である。
【0107】
バリアメタル層8を形成した後、第4のチャンバ101dにおいて、銅を用いた導電膜、本例では、銅膜9を、本一実施形態において説明した方法に従って形成する。図13に、第4の処理ユニット100dに用いることができる処理装置の一例を示す。
【0108】
図13に示すように、処理ユニット100dには、例えば、成膜ガスの原料となる金属化合物を変えるだけで、図12に示した処理ユニット100cと同じユニットを使うことが可能である。銅膜9を形成する場合には、成膜ガスの原料となる金属化合物を、例えば、以下の金属化合物の例に変えれば良い。
【0109】
1)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート(Cu(hfac)2)
2)銅アセチルアセトネート(Cu(acac)2)
3)銅ジピバロイルメタネート(Cu(dpm)2)
4)銅ジイソブチリルメタネート(Cu(dibm)2)
5)銅イソブチリルピバロイルメタネート(Cu(ibpm)2)
6)銅ビス6−エチル−2,2−ジメチル−3,5−デカネジオネート(Cu(edmdd)2)
7)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネートトリメチルビニルシラン(Cu(hfac)TMVS)
8)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート1,5−シクロオクタジエン(Cu(hfac)COD)
などを挙げることができる。
【0110】
また、上記金属化合物を還元する場合には、還元性有機物には、処理ユニット100cで使用される還元性有機物と同様な物質を使うことができる。
【0111】
なお、銅膜9の形成には、上記堆積法ばかりでなく、スパッタ法、無電解めっき法、電解めっき法を用いて形成することも可能である。また、別の金属材料と合金化させた銅合金膜を形成しても良い。
【0112】
このような、処理装置100によれば、半導体基板Wを、チャンバ101a乃至101dとの間の相互間を、真空を保持したまま搬送できる。このため、例えば、酸化銅10を還元した後、還元された銅配線4の上面4aに酸化銅が再形成され難い状態で、バリアメタル層8を形成できる、という利点を得ることができる。
【0113】
さらに、バリアメタル層8を形成した後、バリアメタル層8が酸化され難い状態で、銅膜9を形成できる、という利点を得ることができる。
【0114】
次に、本一実施形態に係る半導体装置の製造方法に使用される半導体基板の処理装置の他例について説明する。
【0115】
図14は、一実施形態に係る製造方法に使用される半導体基板の処理装置の他例を示す水平断面図である。
【0116】
図14に示す、他例に係る処理装置200は、図9に示した処理装置100に対して、さらに、図1に示した層間絶縁膜6のエッチングと、フォトレジスト膜12のアッシングとを、真空を保持したまま、搬送可能としたチャンバにて行うようにした装置である。
【0117】
図14に示すように、他例に係る処理装置200は、1つの搬送室102に、6つのチャンバ201a乃至201fを接続している。
【0118】
搬送室102の内部は、チャンバ201a乃至201fの内部と同様に、所定の圧力、例えば、真空圧に保持できるとともに、所定の雰囲気下に保持できる。さらに、搬送室102の内部には、半導体基板(半導体ウエハ)Wを搬送する搬送装置103が備えられており、半導体基板Wを、第1のチャンバ201a乃至第6のチャンバ201fとの間の相互間で、真空を保持したまま、搬送することができる。
【0119】
図14に示すように、第1の処理ユニット200aは層間絶縁膜6に溝7を形成するユニットであり、第1のチャンバ201aを備える。第2の処理ユニット200bはフォトレジスト膜12をアッシングするユニットであり、第2のチャンバ201bを備える。他の処理ユニット200c乃至200fは、図9に示した処理装置100の処理ユニット100a乃至100dと同じユニットである。これら6つの処理ユニット200a乃至200fは、八角形をなす搬送室102の6つの辺に対応して設けられ、残りの2辺にロードロック室104、及び105が設けられている。これ以外は、図9に示した処理装置100と同じである。
【0120】
処理装置200のように、溝7の形成、及びフォトレジスト膜12のアッシングを、銅付着物13の除去、酸化銅10の還元、バリアメタル層8の形成、及び銅を用いた導電膜9の形成と同一の処理装置において施すようにしても良い。
【0121】
処理装置200による利点は、層間絶縁膜6に低誘電率絶縁膜6bを用いたとき、低誘電率膜6bへの吸湿を抑制できる、ということである。低誘電率絶縁膜6bに溝7を形成すると、溝7の側面7bにおいては、低誘電率絶縁膜6bが剥き出しとなる。低誘電率絶縁膜6bが剥き出しの状態で処理装置の外に出してしまうと、低誘電率絶縁膜6bに、例えば、空気中の水分が吸い込まれてしまう可能性があり、低誘電率絶縁膜6bの誘電率が上昇する懸念がある。
【0122】
この点、処理装置200によれば、溝7の形成、及びフォトレジスト膜12のアッシングを同じ処理装置内で行い、さらに、同じ処理装置内で銅付着物13の除去以降の工程も行うから、たとえ、溝7の側面7bに低誘電率絶縁膜6が剥き出しとなっていても、低誘電率絶縁膜6への吸湿が発生し難くなる。よって、溝7の形成、及びフォトレジスト膜12のアッシングと、銅付着物13の除去以降の工程とを別々の処理装置で行う場合に比較して低誘電率絶縁膜6bの誘電率の上昇を抑制することができる。
【0123】
以上、この発明を一実施形態に従って説明したが、この発明は一実施形態に限られるものではなく様々な変形が可能である。また、この発明の実施形態は、上記一実施形態が唯一の実施形態でもない。
【0124】
例えば、上記一実施形態では、この発明に係る半導体装置の製造方法を、銅配線4に達する溝7を、銅を用いた導電膜で埋め込む場合に適用した例を示したが、銅配線4に達する溝7の埋め込みに限らず、内部電気的接続部材である銅ヴィアに達する溝の埋め込みや、その他の半導体装置の内部に形成される様々な埋め込みパターン、例えば、半導体メモリ装置のワード線パターン(ゲート電極パターン)に達する溝の埋め込み等にも適用できることは言うまでもない。
【0125】
また、銅付着物13のエッチングに際し、上記一実施形態では、銅付着物13の酸化と、酸化された銅付着物13の有機酸ガスを用いたエッチングとを同一のチャンバで行ったが、これら酸化とエッチングとを別々のチャンバで行うようにしても良い。
【0126】
また、本例では、バリアメタル層5、8は、溝の側面及び底部に形成するようにしたが、バリアメタル層5、8は溝の少なくとも層間絶縁膜上に形成されていればよく、例えば、溝の側面のみに形成されたものであっても良い。
【0127】
また、処理装置に、プロセスコントローラと、記憶媒体を有する記憶部とを備えた制御機構を設け、記憶媒体に、上記一実施形態により説明した半導体装置の製造方法を実行する読み取り可能なプログラム、すなわちレシピを格納するようにしても良い。プロセスコントローラは、レシピを読み取り、読み取ったレシピに従って処理装置を制御する。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであっても良いし、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のある記憶媒体であっても良い。また、レシピは記憶媒体に格納するだけでなく、他の装置から、例えば、専用回線を介してプロセスコントローラに伝送させることも可能である。
【0128】
その他、上記一実施形態は、この発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図2】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図3】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図4】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図5】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図6】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図7】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図8】図8A乃至図8Cは有機酸ガスと酸化性ガスとの供給方式を示す図
【図9】一実施形態に係る製造方法に使用される半導体基板の処理装置の一例を示す水平断面図
【図10】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図11】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図12】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図13】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図14】一実施形態に係る製造方法に使用される半導体基板の処理装置の他例を示す水平断面図
【符号の説明】
【0130】
1…半導体基体、2…第1層層間絶縁膜、3…溝、4…銅配線、5…バリアメタル層、6…第2層層間絶縁膜、7…溝、8…バリアメタル層、9…銅もしくは銅合金膜、10…酸化銅、12…フォトレジスト膜、13…銅付着物、101a〜101d…チャンバ、201a〜201f…チャンバ、102…搬送室
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法、半導体基板の処理装置及び記憶媒体に係わり、特に、銅を用いた導電膜を備えた半導体装置の製造方法、半導体基板の処理装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは近時、動作速度の向上ならびに小型化を目的として、配線が多層に設けられている。また、動作速度を高めるには、配線の抵抗および配線間の電気容量を低減させる必要があるため、配線には抵抗の低い銅(Cu)が多く用いられており、Cu配線間に設けられる層間絶縁膜には、Cu配線間の容量が低減されるように低誘電率絶縁膜(Low−k膜)が多く用いられている。
【0003】
しかしながら、ダマシン法を用いてCu配線を形成すると、層間絶縁膜のエッチング及びフォトレジストのアッシングの際に、配線用溝もしくはヴィア等の溝の底に露出したCu配線の表層の一部がエッチングされ、溝の内部に露呈した層間絶縁膜の側面や、層間絶縁膜の上面に付着することが多い。Cuが付着した状態で、熱処理もしくは電界をかけると、Cuが層間絶縁膜の内部に拡散する場合が多い。Cuが層間絶縁膜の内部に拡散すると、半導体装置の歩留りが低下する。
【0004】
そこで、層間絶縁膜に付着したCuを除去するため、一般的にはウェット洗浄が行われている。
【0005】
しかしながら、層間絶縁膜にLow−k膜を用いていると、ウェット洗浄の際にLow−k膜が吸湿して誘電率の上昇を招くことがある。このため、Low−k膜が露出した状態でウェット洗浄を行うことは望ましいことではない。
【0006】
また、ウェット洗浄ではない水蒸気処理も考えられているが(特許文献1)、やはり水(H2O)によるLow−k膜の誘電率上昇が懸念される。
【0007】
また、有機酸ドライクリーニングによるCu除去法も知られているが(特許文献2)、付着したCuが酸化されていない場合、有機酸ガスのみのドライクリーニングでは、ウェット洗浄ほどの除去能力は有さない。
【0008】
また、酢酸蒸気と水蒸気、もしくは酸素を供給しながら銅を除去する方法も知られているが(特許文献1)、水蒸気に関しては前述のLow−k膜の誘電率上昇の懸念があり、また、酸素に関しては、下層のCuが酸化されて配線抵抗が上昇する懸念がある。
【特許文献1】特開2001−271192号公報
【特許文献2】特開2005−330546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、下層の金属膜の抵抗増大、及び水の吸湿による低誘電率絶縁膜の誘電率上昇を招くことなく銅付着物を除去することが可能な半導体装置の製造方法、この製造方法に使用される半導体基板の処理装置、及びこの処理装置を制御する記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明の第1の態様に係る半導体装置の製造方法は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、を具備する。
【0011】
この発明の第2の態様に係る半導体装置の製造方法は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上にマスク膜を形成し、このマスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記第2の層間絶縁膜に前記電気的接続部材に達する溝を形成する工程と、前記マスク膜を除去する工程と、前記電気的接続部材に達する溝が形成された第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、を具備する。
【0012】
この発明の第3の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段と、前記電気的接続部材を還元する還元手段と、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備える。
【0013】
この発明の第4の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段を備えた第1のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第2のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第3のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第4のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第4のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0014】
この発明の第5の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第1のチャンバと、前記酸化された銅付着物を、有機酸ガスを用いてエッチングするエッチング手段を備えた第2のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第3のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第4のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第5のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第5のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0015】
この発明の第6の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段と、前記マスク膜を除去する第1の除去手段と、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段と、前記電気的接続部材を還元する還元手段と、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備える。
【0016】
この発明の第7の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段を備えた第3のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第4のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第5のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第6のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第6のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0017】
この発明の第8の態様に係る半導体基板の処理装置は、銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第3のチャンバと、前記酸化された銅付着物を、銅有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて除去する第2の除去手段を備えた第4のチャンバと、前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第5のチャンバと、前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第6のチャンバと、前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第7のチャンバと、前記半導体基板を、前記第1乃至第7のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、を具備する。
【0018】
この発明の第9の態様に係る記憶媒体は、コンピュータ上で動作し、半導体基板の処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1又は請求項2いずれか一つに記載の半導体装置の製造方法が行われるように、コンピュータに前記半導体基板の処理装置を制御させる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、下層の金属膜の抵抗増大、及び水の吸湿による低誘電率絶縁膜の誘電率上昇を招くことなく銅付着物を除去することが可能な半導体装置の製造方法、この製造方法に使用される半導体基板の処理装置、及びこの処理装置を制御する記憶媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図面には、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0021】
図1乃至図7は、この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を、主要な製造工程毎に示す断面図である。
【0022】
図1には、半導体装置の製造途中の断面例が示されている。
【0023】
図1に示すように、層間絶縁膜等が形成されている半導体基体1の上方に、配線用溝、又は上層配線と下層配線とを接続する接続用孔等の溝3を有する第1層層間絶縁膜2が形成され、溝3の内部には配線4が形成されている。本例の配線4は銅(Cu)を用いた導電膜からなり、バリアメタル層5上に形成されている。本例では、一例として配線4を銅配線とした(以下銅配線4と言う)。バリアメタル層5は、溝の底部3a及び溝の側面3bを被覆するように形成され、銅配線4の周囲を囲む。バリアメタル層5は、銅の拡散を抑制する機能を持つ。
【0024】
本例の第1層層間絶縁膜2は無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い低誘電率絶縁膜2aからなる。本例の低誘電率絶縁膜2aの上面に、この低誘電率絶縁膜2aとは異なる材料からなるハードマスク層2bが形成されている。
【0025】
第1層層間絶縁膜2上には、第2層層間絶縁膜6が形成されている。本例の第2層層間絶縁膜6は、第1層層間絶縁膜2と同様に、無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い低誘電率絶縁膜6aからなり、その上面には、この低誘電率絶縁膜6aとは異なる材料からなるハードマスク層6bが形成され、その下面には、この低誘電率絶縁膜6aとは異なる材料からなるエッチストップ層6cが形成されている。
【0026】
第2層層間絶縁膜6の上面(ILD-TOP)には、フォトレジスト膜12が形成されており、フォトレジスト膜12には、配線用溝、又は配線接続用開孔等の、半導体装置の内部電気的接続部材を埋め込むための溝のパターンに対応した窓12aが形成されている。
【0027】
図1に示す断面例は、フォトレジスト膜12をマスクに用いて、ハードマスク層6b、低誘電率絶縁膜6a、及びエッチストップ層6cを異方性エッチング、例えば、RIE(Reactive
Ion Etching)し、第2層層間絶縁膜6に、内部電気的接続部材を埋め込むための溝7を形成した時点の断面例である。
【0028】
本例は、上記構造を持つ半導体基板からフォトレジスト膜12を除去した後、フォトレジスト膜12が除去された半導体基板上にバリアメタル層を形成し、さらに、内部電気的接続部材、例えば、配線やヴィアとなる導電膜を、溝7を埋め込むように形成する。
【0029】
まず、図1に示す時点では、第2層層間絶縁膜がエッチングされ、溝7の底部に銅配線4の上面4aが露出する。この際に、銅配線4の表面にエッチャント、本例ではイオンが衝突するために銅配線4から銅が叩き出され、半導体基板の外部へと飛散する。
【0030】
次に、図2に示すように、フォトレジスト膜12をアッシングし、フォトレジスト膜12を除去する。このアッシングの際にも銅配線4の上面4aから銅が飛散する。結果として、図3に示すように、第2層層間絶縁膜6の上面(ILD-TOP)、及び溝7の底部7a、溝7の側面7b上には、銅付着物13が付着する。
【0031】
そこで、図4に示すように、銅付着物13を除去する。本例では、銅付着物13を、水を使用せずに、ドライエッチングを用いて除去する。本例では、ドライエッチングに、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いる。エッチングは、銅付着物13が酸化性ガスにより酸化されて酸化銅Cu2O、又はCuO)に変わり、この酸化銅が、有機酸ガスによりエッチングされることにより進む。銅付着物13は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)で酸化することもでき、この場合には、銅付着物13は、CuX、CuX2となる。Xはハロゲンである。本明細書では、酸化とは、銅に酸素を反応させて酸化することばかりでなく、銅にハロゲンを反応させてハロゲン化することも含む、と定義する。
【0032】
有機酸ガスの例としては、例えば、
カルボキシル基(−COOH)を有するカルボン酸
を挙げることができる。
【0033】
上記カルボン酸の例としては、
以下の一般式(1)で記述されるカルボン酸
R1−COOH …(1)
(R1は水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基、好ましくはメチル、エテル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル)
例えば、蟻酸(HCOOH)
酢酸(CH3COOH)
プロピオン酸(CH3CH2COOH)
酪酸(CH3(CH2)2COOH)
吉草酸(CH3(CH2)3COOH)
などを挙げることができる。
【0034】
なお、本第1の実施形態では有機酸ガスとして蟻酸を用いた。
【0035】
また、有機酸ガスの他、有機化合物ガスを用いることも可能である。
【0036】
例えば、有機化合物としては、上述のカルボン酸の他、アルコール、アルデヒド、無水カルボン酸、エステル、及びケトンを挙げることができる。
【0037】
また、有機化合物がアルコールであるとき、このアルコールが、
第1級アルコール、第2級アルコール、ポリヒドロキシアルコール、複数個の炭素原子を環の一部に有する環状アルコール、及び芳香族アルコールのいずれかから選ぶことができる。
【0038】
また、有機化合物がアルデヒドであるとき、このアルデヒドが、
(2)式で記述されるアルデヒド、
R2−CHO …(2)
(R2は水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基)
(3)式で記述されるアルカンジオール化合物、
OHC−R3−CHO …(3)
(R3は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20の飽和又は不飽和炭化水素)
(3)式で記述されるアルカンジオール化合物においてR3が存在せず、両アルデヒド基が互いに結合したもの、のいずれかから選ぶことできる。
【0039】
無水カルボン酸は、以下の一般式(4)
R4−CO−O−CO−R5・・・(4)
(R4、R5は、水素原子または炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基)
で表記されるものと定義することができる。
【0040】
炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基などを挙げることができ、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
【0041】
無水カルボン酸の具体例としては、無水酢酸以外に、無水蟻酸、無水プロピオン酸、無水酢酸蟻酸、無水酪酸、および無水吉草酸などが挙げられる。
【0042】
エステルは、以下の一般式(5)
R6−COO−R7 ・・・(5)
(R6は、水素原子または炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基、R7は、炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基)と表記されるものと定義することができる。
【0043】
炭化水素基およびハロゲン原子の具体例は上記したものと同様である。
【0044】
エステルの具体例としては、蟻酸メチル、蛾酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、酢酸アリル、酢酸プロペニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ベンジル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ペンチル、酪酸ブチル、吉草酸メチルおよび吉草酸エチルなどが挙げられる。
【0045】
酸化性ガスの例としては、
酸素(O2)、オゾン(O3)、酸化窒素(N2O)、空気、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、フッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)
などを挙げることができる。
【0046】
これら酸化性ガスの中でも、取り扱い易さ、及び品質の点を考慮すると、酸素が好ましく、本第1の実施形態では酸化性ガスとして酸素を用いた。
【0047】
酸化性ガスに酸素、有機酸ガスに蟻酸を用いた場合、銅付着物13がエッチングされる際の反応式(2)、(3)は以下の通りである。
【0048】
4Cu + O2 → 2Cu2O …(2)
2Cu2O + 2HCOOH → 2Cu(HCOO) + H2O …(3)
・Cu(HCOO)は揮発性
なお、(3)式の反応により発生するH2OがLow−k膜に吸湿する可能性はあるが、銅付着物13の量はそれほど多くないため、(3)で発生するH2Oの量はわずかであり、Low−k膜の誘電率はほとんど変化しない。
【0049】
有機酸ガスと酸化性ガスとの供給方式としては、以下の方式が挙げられる。
【0050】
1)酸化性ガスを供給して銅を酸化させてから、有機酸ガスを供給して酸化銅をエッチングする(図8A)。
【0051】
この方式による処理条件の一例は以下の通りである。
【0052】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気:(酸化時)O2100%
もしくは不活性ガスで希釈されたO2
酸化時間 : 1sec以上600sec以下
チャンバ内雰囲気:(エッチング時)蟻酸100%
もしくは不活性ガスで希釈された蟻酸
エッチング時間 : 1sec以上600sec以下
2)酸化性ガスと有機酸ガスとを同時供給し、銅の酸化と酸化銅のエッチングとを実質的に同時に行う(図8B)。
【0053】
この方式による処理条件の一例は以下の通りである。
【0054】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気:O2と蟻酸(不活性ガスで希釈されても良い)
処理時間 : 1sec以上600sec以下
3)酸化性ガスと有機酸ガスとを交互に供給し、銅の酸化と酸化銅のエッチングとを交互に繰り返す(図8C)。
【0055】
この方式による処理条件の一例は以下の通りである。
【0056】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気:(酸化時)O2100%
もしくは不活性ガスで希釈されたO2
酸化時間 : 0.1sec以上30sec以下
チャンバ内雰囲気:(エッチング時)蟻酸100%
もしくは不活性ガスで希釈された蟻酸
エッチング時間 : 0.1sec以上30sec以下
繰り返し回数 : 2回以上100回以下
さて、本例では銅付着物13のエッチングに酸化性ガスを用いるので、銅配線4の内部まで酸化が進み、銅配線4の上面4aに酸化銅10が形成される可能性がある。
【0057】
そこで、本例では、図5に示すように、銅配線4の上面4aに形成されているであろう酸化銅10を還元し、銅に戻す処理を行う。この還元に際し、溝3内に残存する銅膜、本例では銅配線4がエッチングされないようにするため、本例では、有機酸ガスは使用しない。その代わりに、周知の水素アニール法、もしくは周知の超低酸素分圧アニール法、もしくは周知の一酸化炭素にアニール法を用いて還元する。周知の水素アニール法、もしくは周知の超低酸素分圧アニール法、もしくは周知の一酸化炭素アニール法のいずれかを用いることで、溝5内に残存する銅配線4をエッチングすることなく、銅配線4の上面4aに形成された酸化銅10のみを還元し、銅に戻すことができる。
【0058】
水素アニール法を用いる場合の処理条件の一例は以下の通りである。
【0059】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 200℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気: 水素100%
もしくは不活性ガスで希釈された水素
処理時間 : 10sec以上300sec以下
超低酸素分圧アニール法を用いる場合の処理条件の一例は以下の通りである。
【0060】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 100℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気: O2分圧10−13atm以下
処理時間 : 1sec以上600sec以下
一酸化炭素アニール法を用いる場合の処理条件の一例は以下の通りである。
【0061】
チャンバ内圧力 : 1Pa以上101.3kPa以下
基板温度 : 200℃以上400℃以下
チャンバ内雰囲気: 一酸化炭素100%
もしくは不活性ガスで希釈された一酸化炭素
処理時間 : 10sec以上300sec以下
次に、図6に示すように、酸化銅10を還元した後、酸化銅が再形成される前に、第2層層間絶縁膜6の上面(ILD-TOP)、及び溝7の底部7a及び溝7の側面7b上にバリアメタルを堆積し、バリアメタル層8を形成する。
【0062】
次に、図7に示すように、バリアメタル層8上に、銅を用いた導電膜、本例では銅膜9を形成する。
【0063】
このように、一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、銅付着物13を、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いてエッチングするので、銅付着物13を、水(H2O)を用いずに除去することができる。銅付着物13を、水(H2O)を用いずに除去できるので、たとえ、層間絶縁膜2、6に低誘電率絶縁膜が用いられていたとしても、低誘電率絶縁膜の吸湿を抑制することができ、低誘電率絶縁膜の誘電率が上昇する、という事情を解消することができる。
【0064】
なお、本例では、銅付着物13を除去する際に酸化性ガスを使用するので、銅配線4に酸化が進み、銅配線4の上面4aに酸化銅が残る可能性がある、という点が懸念されるが、この懸念については、銅付着物13を除去した後に、酸化銅10を還元し、銅に戻す処理を行うことで解消している。従って、下層の金属膜、本例では銅配線4の抵抗が増大する、という事情を解消できる。
【0065】
さらに、本例では、酸化銅10の還元を、特に、水素アニール法、超低酸素分圧アニール法、及び一酸化炭素アニール法を用いて還元する。即ち有機酸ガスは使用しないので、酸化銅10の還元に際して、溝3内に残存する銅膜、本例では銅配線4がエッチングされることを抑制できる。銅配線4のエッチングを抑制できると、銅配線4の不用意な膜厚減少を抑制できる。不用意な膜厚減少を抑制できることは、下層の金属膜、本例では銅配線4の抵抗の増大の、更なる抑制に有利である。
【0066】
従って、一実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、下層の金属膜の抵抗増大、及び低誘電率絶縁膜の誘電率上昇を招くことなく、銅付着物を除去することが可能な半導体装置の製造方法を得ることができる。
【0067】
次に、各部材の材料例を説明する。
(層間絶縁膜2、6)
本一実施形態では、銅付着物13を、水(H2O)を用いずに除去できるので、吸湿しやすい層間絶縁膜であっても使うことができる。このため、層間絶縁膜2、6には、無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い低誘電率絶縁膜(Low−k膜)が用いることが良い。低誘電率絶縁膜は無機シリコン酸化膜よりも誘電率が低い絶縁膜である。例えば、原料ガスをTEOSとし、CVD法を用いて堆積された無機シリコン酸化膜の誘電率kは約4.2である。そこで、本明細書においては、低誘電率絶縁膜は、誘電率kが4.2未満の絶縁膜と定義する。
【0068】
低誘電率絶縁膜2、6の例としては、
1)シロキサン系材料
2)有機系材料
3)多孔質材料
などを挙げることができる。
【0069】
上記シロキサン系材料の例としては、
1)Si、O、Hを含む材料
例えば、HSQ(Hydrogen-Silsesquioxane)
2)Si、C、O、Hを含む材料
例えば、MSQ(Methyl-Silsesquioxane)
などを挙げることができる。
【0070】
上記有機系材料の例としては、
1)ポリアリレンエーテル系材料
2)ポリアリレンハイドロカーボン系材料
3)パリレン系材料
4)ベンゾシクロブテン(BCB)系材料
5)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系材料
6)フッ化ポリイミド系材料
7)フルオロカーボンガスを原料にして形成されるCF系材料
などを挙げることができる。
【0071】
上記多孔質材料の例としては、
1)ポーラスMSQ
2)ポーラスポリアリレンハイドロカーボン
3)ポーラスシリカ
などを挙げることができる。
(ハードマスク層2b、6b)
ハードマスク層2b、6bの材料例としては、
1)ポリベンゾオキサゾール
2)SiOC
3)SiC
などを挙げることができる。
(エッチストップ層6c)
エッチストップ層6cは、ハードマスク層2b、6bと同様の材料を用いることができる。
(バリアメタル層8)
バリアメタル層8には、Ti、TiN等のTi系金属、及びTiとTi系金属との積層膜、Ta、TaN等のTa系金属、及びTaとTa系金属との積層膜などを用いることができる。
(半導体基板の処理装置)
次に、本一実施形態に係る半導体装置の製造方法に使用される半導体基板の処理装置の例について説明する。
【0072】
本一実施形態において、銅付着物13の除去と、酸化銅10の還元と、バリアメタル層8の形成と、銅を用いた導電膜9の形成とは同一のチャンバ内で行っても良く、別々のチャンバで行っても良い。別々のチャンバで行う場合の半導体基板の処理装置の一例を図9に示す。
【0073】
図9に示すように、一実施形態に利用される処理装置100は、第1のチャンバ(1st Chamb.)101a、第2のチャンバ(2nd
Chamb.)101b、第3のチャンバ(3rd Chamb.)101c、及び第4のチャンバ(4th Chamb.)101dを備え、これら4つのチャンバ101a乃至101dを、1つの搬送室102を介して相互に接続したマルチチャンバ型の処理装置である。
【0074】
搬送室102の内部は、チャンバ101a及び101dの内部と同様に、所定の圧力、例えば、10−5Pa以上1333Pa以下の減圧環境下(本明細書ではこの圧力範囲を真空圧と呼ぶ)に保持できるとともに、所定の雰囲気下に保持できる。さらに、搬送室102の内部には、半導体基板(半導体ウエハ)Wを搬送する搬送装置103が備えられており、半導体基板Wを、第1のチャンバ101a乃至第4のチャンバ101dとの間の相互間で、真空を保持したまま、搬送(真空搬送)することができる。
【0075】
以下、処理装置100の詳細を説明する。
【0076】
図10に示すように、第1の処理ユニット100aは銅付着物13をエッチングするユニットであり、上記第1のチャンバ101aを備える。以下同様に、第2の処理ユニット100bは酸化銅10を還元するユニットであり、上記第2のチャンバ101bを備える。第3の処理ユニット100cはバリアメタル層8を形成するユニットであり、第3のチャンバ101cを備える。第4の処理ユニット100dは銅を用いた導電膜、本例では銅膜9を形成するユニットであり、第4のチャンバ101dを備える。これら4つの処理ユニット100a乃至100dは、六角形をなす搬送室102の4つの辺に対応して設けられる。搬送室102の残りの2つの辺にはロードロック室104、及び105が設けられる。ロードロック室104、及び105の搬送室102と反対側には搬入出室106が設けられ、搬入出室106のロードロック室104、及び105と反対側には複数のポート、本例では3つのポート107a乃至107cが設けられる。ポート107a乃至107cには、複数の半導体基板Wを収容可能なキャリア108a乃至108cが取り付けられる。
【0077】
チャンバ101a乃至101d、並びにロードロック室104及び105は、搬送室102の各辺に設けられたゲートバルブGを介して、搬送室102に接続される。
【0078】
ロードロック室104、及び105の搬入出室106に接続される部分にもゲートバルブGが設けられている。
【0079】
ポート107a乃至107cには、半導体基板Wを収容した、又は空のキャリア108a乃至108cが取り付けられる。また、ポート107a乃至107cには、シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0080】
搬入出室106の内部には、キャリア108a乃至108cに収容された半導体基板Wの搬入出、及びロードロック室104、及び105に対する半導体基板Wの搬入出を行う搬送装置109が設けられている。
【0081】
銅付着物13のエッチングは、チャンバ101aにおいて行われる。図10に、第1の処理ユニット100aに用いることができる処理装置の一例を示す。
【0082】
一例に係る処理ユニット(半導体基板の処理装置)100aは、有機酸ガスとして蟻酸(HCOOH)を用い、酸化性ガスとして酸素(O2)を用いることで、銅付着物13をエッチングする。
【0083】
図10に示すように、処理ユニット100aは、半導体基板Wを収容可能なチャンバ101aと、チャンバ101a内に有機酸ガスとして、本例では蟻酸を供給する有機酸ガス供給機構152と、チャンバ101a内に酸化性ガスとして、本例では酸素を供給する酸化性ガス供給機構153と、チャンバ101a内を所定の圧力、例えば、真空圧に減圧可能な減圧機構154とを備えている。なお、図10には図示しないが、有機酸ガスを希釈する希釈ガス、または不活性ガスをチャンバ101a内に供給する希釈ガス/不活性ガスガス供給機構が設けられても良い。希釈ガス、または不活性ガスの一例は窒素(N2)である。
【0084】
チャンバ101aは、上部が開口した略筒状または箱状に形成されている。チャンバ101aの底部には、収容した半導体基板Wを載置するためのサセプタ151aが設けられ、このサセプタ151aには、半導体基板Wを加熱する加熱機構としてのヒーター151bが埋設されている。チャンバ101aの側壁には、半導体基板Wを搬入出するための搬入出口151cが形成されているとともに、この搬入出口151cを開閉するゲートバルブGが設けられている。
【0085】
チャンバ101aの上部には、開口を閉塞し、かつ、サセプタ151aに対向するようにシャワーヘッド151eが設けられている。シャワーヘッド151eは、有機酸ガス供給機構152による有機酸ガスおよび図示せぬ希釈ガスを拡散させる拡散空間151fを内部に有するとともに、サセプタ151aとの対向面に、有機酸ガス供給機構152による有機酸ガスおよび図示せぬ希釈ガスをチャンバ101a内に吐出する複数または多数の吐出孔151gが形成されている。
【0086】
チャンバ101aの底壁には排気口151hが形成されており、減圧機構154は、排気口151hに接続された排気管154aと、この排気管154aを介してチャンバ101a内を強制排気する排気装置154bとを有している。
【0087】
有機酸ガス供給機構152は、有機酸ガスのガス源となる有機酸、本例では蟻酸が貯留される有機酸ガス源貯留部152aと、気化された有機酸ガスを、有機酸ガス源貯留部152aからシャワーヘッド151eの拡散空間151f内に導く供給ライン152bと、供給ライン152bを流通する有機酸ガスの流量を調整する流量調整機構としてのマスフローコントローラ152cおよびバルブ152dとを有している。有機酸ガス供給機構152には、有機酸ガスを所定の温度に加熱し、例えば、気化させるヒーター152eが設けられている。
【0088】
酸化性ガス供給機構153は、酸化性ガス供給源153aと、酸化性ガスを、酸化性ガス供給源153aからシャワーヘッド151eの拡散空間151f内に導く供給ライン153bと、供給ライン153bを流通する酸化性ガスの流量を調整する流量調整機構としてのマスフローコントローラ153cおよびバルブ153dとを有している。
【0089】
このように構成された処理ユニット100aにおいては、減圧機構154によってチャンバ101a内を所定の圧力、例えば、真空圧に減圧するとともに、酸化性ガス供給機構153によってチャンバ101a内に酸化性ガスを供給して、チャンバ101a内を所定の酸化性ガス雰囲気に保持する。次に、チャンバ101a内を所定の圧力、及び所定の酸化性ガス雰囲気に保持した後、ヒーター151bによって半導体基板Wを所定の温度に加熱する。これにより、半導体基板W上に付着した銅付着物13が酸化される。
【0090】
酸化終了後、チャンバ101a内の酸化性ガスを排気する。排気後、図示せぬ希釈ガス/不活性ガス供給機構によってチャンバ101a内に希釈ガスを供給し、かつ、有機酸ガス供給機構152によってチャンバ101a内に有機酸ガスを供給して、チャンバ151内を所定の有機酸ガス及び希釈ガス雰囲気に保持する。次に、チャンバ101a内を所定の有機酸ガス及び希釈ガス雰囲気に保持した後、ヒーター151bによって半導体基板Wを所定の温度に加熱する。これにより、半導体基板W上に付着し、酸化された銅付着物13がエッチングされる。
【0091】
このような処理ユニット100aを用いることで、銅付着物13を、エッチングすることができる。
【0092】
エッチング後、第2のチャンバ101bにおいて、酸化銅10を、本一実施形態において説明した方法に従って還元する。図11に、第2の処理ユニット100bに用いることができる処理装置の一例を示す。一例に係る処理ユニット100bは、水素アニール法に従った還元処理を行う。
【0093】
図11に示すように、処理ユニット100bは、基本的には熱処理装置であり、例えば、図10に示した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。処理ユニット100bが、図10に示した処理ユニット100aと、特に、異なるところは、半導体基板Wを収容可能なチャンバ101b内に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構252と、同じくチャンバ101b内に、水素ガスを供給する水素ガス供給機構253とを備えること、である。これ以外は、処理ユニット100bは、上述した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。
【0094】
処理ユニット100bによる還元処理の一例は、次の通りである。
【0095】
まず、バルブ252d及び253dを開き、不活性ガス及び水素ガスを、不活性ガス供給源252a及び水素ガス供給源253aからマスフローコントローラ252c、253cに導く。マスフローコントローラ252cは不活性ガスの流量を調節する。流量が調節された不活性ガスは、供給ライン252bを介してシャワーヘッド151eの拡散空間151fに導かれる。不活性ガスの一例はアルゴン(Ar)ガスである。
【0096】
また、マスフローコントローラ253cは水素ガスの流量を調節する。流量が調節された水素ガスは、供給ライン253bを介して、不活性ガスと同じくシャワーヘッド151eの拡散空間151fに導かれる。なお、チャンバ101b内の圧力は、減圧機構154を用いて、例えば、10ー5Pa以上1333Pa以下の真空圧とする。
【0097】
この条件で、サセプタ151a上に載置された半導体基板Wを、ヒーター151bを用いて、例えば、300℃程度に加熱する。この状態を所定の時間、例えば、数分間保持することで、酸化銅10を還元することができる。
【0098】
このような処理ユニット100bを用いることで、酸化銅10を還元することができる。
【0099】
還元後、第3のチャンバ101cにおいて、バリアメタル層8を、本一実施形態において説明した方法に従って形成する。図12に、第3の処理ユニット100cに用いることができる処理装置の一例を示す。
【0100】
図12に示すように、処理ユニット100cも基本的に熱処理装置であり、図10に示した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。処理ユニット100cが、図10に示した処理ユニット100aと、特に、異なるところは、バリアメタル層8を成膜するための成膜ガスを、チャンバ101c内に供給する成膜ガス供給機構354を備えること、である。これ以外は、処理ユニット100cは、上述した処理ユニット100aと同様の構成を持つ。
【0101】
処理ユニット100cによる成膜処理は、成膜ガスをチャンバ100c内に導き、半導体基板Wを、ヒーター151bを用いて加熱してバリアメタル層8を堆積していく熱CVDである。
【0102】
バリアメタル層8を、チタン(Ti)を用いて形成する場合には、成膜ガスの原料となる金属化合物の例として、
1)四塩化チタン(TiCl4)
2)四フッ化チタン(TiF4)
3)四臭化チタン(TiBr4)
4)四ヨウ化チタン(TiI4)
5)テトラキスエチルメチルアミノチタン(Ti[N(C2H5CH3)]4(TEMAT))
6)テトラキスジメチルアミノチタン(Ti[N(CH3)2]4(TDMAT))
7)テトラキスジエチルアミノチタン(Ti[N(C2H5)2]4(TDEAT))などを挙げることができる。
【0103】
また、バリアメタル層8を、タンタル(Ta)を用いて形成する場合には、成膜ガスの原料となる金属化合物の例として、
1)五塩化タンタル(TaCl5)
2)五フッ化タンタル(TaF5)
3)五臭化タンタル(TaBr5)
4)五ヨウ化タンタル(TaI5)
5)ターシャルブチルイミドトリス(ジエチルアミド)タンタル(Ta(NC(CH3)3)(N(C2H5)2)3(TBTDET))、
6)ターシャリーアミルイミドトリス(ジメチルアミド)タンタル(Ta(NC(CH3)2C2H5)(N(CH3)2)3)
などを挙げることができる。
【0104】
また、上記金属化合物を還元する場合には、還元性有機物の例として、
1)ヒドロキシル基(−OH)を有するアルコール
2)アルデヒド基(−CHO)を有するアルデヒド
3)カルボキシル基(−COOH)を有するガルボン酸
4)無水カルボン酸
5)エステル
6)有機酸アンモニウム塩
7)有機酸アミン塩
8)有機酸アミド
9)有機酸ヒドラジド
10)有機酸の金属錯体
11)有機酸の金属塩
などを挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いることができる。また、水素やアンモニアを使用しても良い。
【0105】
なお、上記金属化合物、及び還元性有機物を使用した金属膜の形成手法は、本件特許出願人による特許出願(出願番号:特願2006−208726)に記載されている。
【0106】
さらに、バリアメタル層8の形成には上記堆積法ばかりでなく、スパッタ法を用いて形成することも可能である。
【0107】
バリアメタル層8を形成した後、第4のチャンバ101dにおいて、銅を用いた導電膜、本例では、銅膜9を、本一実施形態において説明した方法に従って形成する。図13に、第4の処理ユニット100dに用いることができる処理装置の一例を示す。
【0108】
図13に示すように、処理ユニット100dには、例えば、成膜ガスの原料となる金属化合物を変えるだけで、図12に示した処理ユニット100cと同じユニットを使うことが可能である。銅膜9を形成する場合には、成膜ガスの原料となる金属化合物を、例えば、以下の金属化合物の例に変えれば良い。
【0109】
1)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート(Cu(hfac)2)
2)銅アセチルアセトネート(Cu(acac)2)
3)銅ジピバロイルメタネート(Cu(dpm)2)
4)銅ジイソブチリルメタネート(Cu(dibm)2)
5)銅イソブチリルピバロイルメタネート(Cu(ibpm)2)
6)銅ビス6−エチル−2,2−ジメチル−3,5−デカネジオネート(Cu(edmdd)2)
7)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネートトリメチルビニルシラン(Cu(hfac)TMVS)
8)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート1,5−シクロオクタジエン(Cu(hfac)COD)
などを挙げることができる。
【0110】
また、上記金属化合物を還元する場合には、還元性有機物には、処理ユニット100cで使用される還元性有機物と同様な物質を使うことができる。
【0111】
なお、銅膜9の形成には、上記堆積法ばかりでなく、スパッタ法、無電解めっき法、電解めっき法を用いて形成することも可能である。また、別の金属材料と合金化させた銅合金膜を形成しても良い。
【0112】
このような、処理装置100によれば、半導体基板Wを、チャンバ101a乃至101dとの間の相互間を、真空を保持したまま搬送できる。このため、例えば、酸化銅10を還元した後、還元された銅配線4の上面4aに酸化銅が再形成され難い状態で、バリアメタル層8を形成できる、という利点を得ることができる。
【0113】
さらに、バリアメタル層8を形成した後、バリアメタル層8が酸化され難い状態で、銅膜9を形成できる、という利点を得ることができる。
【0114】
次に、本一実施形態に係る半導体装置の製造方法に使用される半導体基板の処理装置の他例について説明する。
【0115】
図14は、一実施形態に係る製造方法に使用される半導体基板の処理装置の他例を示す水平断面図である。
【0116】
図14に示す、他例に係る処理装置200は、図9に示した処理装置100に対して、さらに、図1に示した層間絶縁膜6のエッチングと、フォトレジスト膜12のアッシングとを、真空を保持したまま、搬送可能としたチャンバにて行うようにした装置である。
【0117】
図14に示すように、他例に係る処理装置200は、1つの搬送室102に、6つのチャンバ201a乃至201fを接続している。
【0118】
搬送室102の内部は、チャンバ201a乃至201fの内部と同様に、所定の圧力、例えば、真空圧に保持できるとともに、所定の雰囲気下に保持できる。さらに、搬送室102の内部には、半導体基板(半導体ウエハ)Wを搬送する搬送装置103が備えられており、半導体基板Wを、第1のチャンバ201a乃至第6のチャンバ201fとの間の相互間で、真空を保持したまま、搬送することができる。
【0119】
図14に示すように、第1の処理ユニット200aは層間絶縁膜6に溝7を形成するユニットであり、第1のチャンバ201aを備える。第2の処理ユニット200bはフォトレジスト膜12をアッシングするユニットであり、第2のチャンバ201bを備える。他の処理ユニット200c乃至200fは、図9に示した処理装置100の処理ユニット100a乃至100dと同じユニットである。これら6つの処理ユニット200a乃至200fは、八角形をなす搬送室102の6つの辺に対応して設けられ、残りの2辺にロードロック室104、及び105が設けられている。これ以外は、図9に示した処理装置100と同じである。
【0120】
処理装置200のように、溝7の形成、及びフォトレジスト膜12のアッシングを、銅付着物13の除去、酸化銅10の還元、バリアメタル層8の形成、及び銅を用いた導電膜9の形成と同一の処理装置において施すようにしても良い。
【0121】
処理装置200による利点は、層間絶縁膜6に低誘電率絶縁膜6bを用いたとき、低誘電率膜6bへの吸湿を抑制できる、ということである。低誘電率絶縁膜6bに溝7を形成すると、溝7の側面7bにおいては、低誘電率絶縁膜6bが剥き出しとなる。低誘電率絶縁膜6bが剥き出しの状態で処理装置の外に出してしまうと、低誘電率絶縁膜6bに、例えば、空気中の水分が吸い込まれてしまう可能性があり、低誘電率絶縁膜6bの誘電率が上昇する懸念がある。
【0122】
この点、処理装置200によれば、溝7の形成、及びフォトレジスト膜12のアッシングを同じ処理装置内で行い、さらに、同じ処理装置内で銅付着物13の除去以降の工程も行うから、たとえ、溝7の側面7bに低誘電率絶縁膜6が剥き出しとなっていても、低誘電率絶縁膜6への吸湿が発生し難くなる。よって、溝7の形成、及びフォトレジスト膜12のアッシングと、銅付着物13の除去以降の工程とを別々の処理装置で行う場合に比較して低誘電率絶縁膜6bの誘電率の上昇を抑制することができる。
【0123】
以上、この発明を一実施形態に従って説明したが、この発明は一実施形態に限られるものではなく様々な変形が可能である。また、この発明の実施形態は、上記一実施形態が唯一の実施形態でもない。
【0124】
例えば、上記一実施形態では、この発明に係る半導体装置の製造方法を、銅配線4に達する溝7を、銅を用いた導電膜で埋め込む場合に適用した例を示したが、銅配線4に達する溝7の埋め込みに限らず、内部電気的接続部材である銅ヴィアに達する溝の埋め込みや、その他の半導体装置の内部に形成される様々な埋め込みパターン、例えば、半導体メモリ装置のワード線パターン(ゲート電極パターン)に達する溝の埋め込み等にも適用できることは言うまでもない。
【0125】
また、銅付着物13のエッチングに際し、上記一実施形態では、銅付着物13の酸化と、酸化された銅付着物13の有機酸ガスを用いたエッチングとを同一のチャンバで行ったが、これら酸化とエッチングとを別々のチャンバで行うようにしても良い。
【0126】
また、本例では、バリアメタル層5、8は、溝の側面及び底部に形成するようにしたが、バリアメタル層5、8は溝の少なくとも層間絶縁膜上に形成されていればよく、例えば、溝の側面のみに形成されたものであっても良い。
【0127】
また、処理装置に、プロセスコントローラと、記憶媒体を有する記憶部とを備えた制御機構を設け、記憶媒体に、上記一実施形態により説明した半導体装置の製造方法を実行する読み取り可能なプログラム、すなわちレシピを格納するようにしても良い。プロセスコントローラは、レシピを読み取り、読み取ったレシピに従って処理装置を制御する。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであっても良いし、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のある記憶媒体であっても良い。また、レシピは記憶媒体に格納するだけでなく、他の装置から、例えば、専用回線を介してプロセスコントローラに伝送させることも可能である。
【0128】
その他、上記一実施形態は、この発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図2】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図3】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図4】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図5】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図6】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図7】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の、主要な製造工程を示す断面図
【図8】図8A乃至図8Cは有機酸ガスと酸化性ガスとの供給方式を示す図
【図9】一実施形態に係る製造方法に使用される半導体基板の処理装置の一例を示す水平断面図
【図10】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図11】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図12】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図13】図9に示す処理装置に使用される処理ユニットの例を示す断面図
【図14】一実施形態に係る製造方法に使用される半導体基板の処理装置の他例を示す水平断面図
【符号の説明】
【0130】
1…半導体基体、2…第1層層間絶縁膜、3…溝、4…銅配線、5…バリアメタル層、6…第2層層間絶縁膜、7…溝、8…バリアメタル層、9…銅もしくは銅合金膜、10…酸化銅、12…フォトレジスト膜、13…銅付着物、101a〜101d…チャンバ、201a〜201f…チャンバ、102…搬送室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、
前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上にマスク膜を形成し、このマスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記第2の層間絶縁膜に前記電気的接続部材に達する溝を形成する工程と、
前記マスク膜を除去する工程と、
前記電気的接続部材に達する溝が形成された第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、
前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記有機酸ガスがカルボン酸であるとき、このカルボン酸は(1)式で記述されるカルボン酸
R1−COOH …(1)
(R1は水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基)
から選ばれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記酸化性ガスが、
O2、O3、N2O、HF、HCl、HBr、HI、F2、Cl2、Br2、I2
のいずれかから選ばれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記電気的接続部材の表面の還元に、水素アニール法、超低酸素分圧アニール法、及び一酸化炭素アニール法のいずれかを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段と、
前記電気的接続部材を還元する還元手段と、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備えることを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項7】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段を備えた第1のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第2のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第3のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第4のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第4のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項8】
前記除去手段は、
前記銅付着物を酸化する酸化手段と、
前記酸化された銅付着物をエッチングするエッチング手段と、を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の半導体基板の処理装置。
【請求項9】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第1のチャンバと、
前記酸化された銅付着物を、有機酸ガスを用いてエッチングするエッチング手段を備えた第2のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第3のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第4のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第5のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第5のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項10】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段と、
前記マスク膜を除去する第1の除去手段と、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段と、
前記電気的接続部材を還元する還元手段と、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備えることを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項11】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、
前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段を備えた第3のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第4のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第5のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第6のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第6のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項12】
前記第2の除去手段は、
前記銅付着物を酸化する酸化手段と、
前記酸化された銅付着物をエッチングするエッチング手段と、を備えることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の半導体基板の処理装置。
【請求項13】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、
前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、
前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第3のチャンバと、
前記酸化された銅付着物を、銅有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて除去する第2の除去手段を備えた第4のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第5のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第6のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第7のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第7のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項14】
コンピュータ上で動作し、半導体基板の処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記プログラムは、実行時に、請求項1又は請求項2いずれか一つに記載の半導体装置の製造方法が行われるように、コンピュータに前記半導体基板の処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、
前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上にマスク膜を形成し、このマスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記第2の層間絶縁膜に前記電気的接続部材に達する溝を形成する工程と、
前記マスク膜を除去する工程と、
前記電気的接続部材に達する溝が形成された第2の層間絶縁膜の表面から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝の底に露出した前記電気的接続部材の表面を還元する工程と、
前記第2の層間絶縁膜上に、バリアメタル層を形成する工程と、
前記第2の層間絶縁膜の溝を埋め込む、銅を用いた導電膜を形成する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記有機酸ガスがカルボン酸であるとき、このカルボン酸は(1)式で記述されるカルボン酸
R1−COOH …(1)
(R1は水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基)
から選ばれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記酸化性ガスが、
O2、O3、N2O、HF、HCl、HBr、HI、F2、Cl2、Br2、I2
のいずれかから選ばれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記電気的接続部材の表面の還元に、水素アニール法、超低酸素分圧アニール法、及び一酸化炭素アニール法のいずれかを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段と、
前記電気的接続部材を還元する還元手段と、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備えることを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項7】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する除去手段を備えた第1のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第2のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第3のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第4のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第4のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項8】
前記除去手段は、
前記銅付着物を酸化する酸化手段と、
前記酸化された銅付着物をエッチングするエッチング手段と、を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の半導体基板の処理装置。
【請求項9】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上に形成され、前記電気的接続部材に達する溝を有する第2の層間絶縁膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第1のチャンバと、
前記酸化された銅付着物を、有機酸ガスを用いてエッチングするエッチング手段を備えた第2のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第3のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第4のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第5のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第5のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項10】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段と、
前記マスク膜を除去する第1の除去手段と、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段と、
前記電気的接続部材を還元する還元手段と、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段と、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段と、を同一のチャンバに備えることを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項11】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、
前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、
前記半導体基板上から、有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて銅付着物を除去する第2の除去手段を備えた第3のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第4のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第5のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第6のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第6のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項12】
前記第2の除去手段は、
前記銅付着物を酸化する酸化手段と、
前記酸化された銅付着物をエッチングするエッチング手段と、を備えることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の半導体基板の処理装置。
【請求項13】
銅を用いた電気的接続部材が形成された第1の層間絶縁膜上の第2の層間絶縁膜上に、マスク膜を備えた半導体基板を処理する半導体基板の処理装置であって、
前記マスク膜をエッチングのマスクに用いて前記第2の層間絶縁膜をエッチングし、前記電気的接続部材に達する溝を形成するエッチング手段を備えた第1のチャンバと、
前記マスク膜を除去する第1の除去手段を備えた第2のチャンバと、
前記半導体基板上の銅付着物を酸化する酸化手段を備えた第3のチャンバと、
前記酸化された銅付着物を、銅有機酸ガスと酸化性ガスとを用いて除去する第2の除去手段を備えた第4のチャンバと、
前記電気的接続部材を還元する還元手段を備えた第5のチャンバと、
前記半導体基板上に、バリアメタル層を形成するバリアメタル層形成手段を備えた第6のチャンバと、
前記半導体基板上に、銅を用いた導電膜を形成する導電膜形成手段を備えた第7のチャンバと、
前記半導体基板を、前記第1乃至第7のチャンバ相互間で搬送する搬送機構と、
を具備することを特徴とする半導体基板の処理装置。
【請求項14】
コンピュータ上で動作し、半導体基板の処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記プログラムは、実行時に、請求項1又は請求項2いずれか一つに記載の半導体装置の製造方法が行われるように、コンピュータに前記半導体基板の処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−43974(P2009−43974A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207909(P2007−207909)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]