説明

半導体装置の製造方法

【課題】側壁転写技術により倒れにくいマスクパターンを形成するNANDフラッシュメモリ等の製造方法を提供する。
【解決手段】非晶質シリコン膜21上に第1膜のシリコン酸化膜22を形成し(a)、所定のラインアンドスペースのパターンに加工して中間パターン23を形成する(b)。中間パターン23は、パターン部23aを有するとともに、パターン部23aの間に残存部23bを残してた状態で形成される。中間パターン23をスリミング処理し、非晶質シリコン膜21上に芯材パターン24を形成する(c)。残存部23bは除去される。芯材パターン24上に第2膜のシリコン窒化膜を形成し、エッチバック処理で側壁パターンを形成し、芯材パターン24を除去してマスクパターンを得る。マスクパターンは、段差のない非晶質シリコン膜21上に形成されるので応力差に起因した倒れの発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なパターンを備えた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体加工技術のひとつであるフォトリソグラフィ技術においては、レジスト膜の光学的なパターニングの最小幅の限界を超えて微細化する技術として側壁転写加工技術がある。たとえば特許文献1に示すものでは、次のようなプロセスが採用される。
【0003】
まず、被加工膜の上に芯材となる第1膜を形成し、この第1膜を通常のリソグラフィ処理によりパターニングして所定ピッチのパターンを形成する。次に、このパターンに対し所謂スリミング処理により等方的にエッチングを行って所定の幅寸法の芯材パターンとする。続いて、芯材パターンを覆うように第2膜を形成し、これをスペーサ加工することで芯材パターンの両側に側壁パターンを形成する。この後、芯材パターンを選択的に除去することで側壁パターンが残り、芯材パターンのピッチの半分のピッチでマスクパターンを形成できる。
【0004】
しかしながら、パターンの微細化がさらに進んでマスクパターンの幅が狭くなると、エッチング加工に必要な膜厚を保持しながらマスクパターンを形成することになり、隣接するマスクパターン同士が接触する状態となったりするなど、マスクパターンが倒れやすい状況となる。マスクパターン同士が接触状態となったり、一方側に倒れたりする状態となると、所望の加工を実現することが難しくなり、エッチング不良が発生する原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−027991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、側壁転写技術を用いて微細なマスクパターンを形成する場合に、マスクパターンの倒れを防止でき、これによって被加工膜を確実にエッチング加工することができるようにした半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工膜の上面に第1膜を形成する工程と、前記第1膜を上面から途中の深さまでパターニングして複数のパターン部とそれらパターン部間を連結する残存部とからなる中間パターンを形成する工程と、等方的エッチング処理により前記中間パターンの前記残存部を除去して前記被加工膜を露出させるとともに前記パターン部を所定幅に加工して芯材パターンを形成する工程と、前記芯材パターンの上面および側面と露出されている前記被加工膜の上面を覆うように所定膜厚の第2膜を形成する工程と、前記第2膜をエッチバック処理して前記芯材パターンの上面および前記被加工膜の上面を露出させて前記芯材パターンの両側壁にマスクパターンを形成する工程と、前記マスクパターンを形成した後、前記芯材パターンを選択的に除去する工程とを備えたところに特徴を有する。
【0008】
また、本発明の異なる一態様の半導体装置の製造方法は、被加工膜上に第1膜および第2膜を積層形成する工程と、前記第2膜を前記第1膜が露出するまでパターニングして複数のパターン部からなる第1中間パターンを形成する工程と、前記第1中間パターン間を埋め込むとともに前記第1中間パターンを覆うように第3膜を形成する工程と、前記第3膜をエッチバック処理して前記第1中間パターンの上面を露出させる工程と、前記第1中間パターンを除去して前記第1膜を露出させることにより前記第3膜からなる第2中間パターンを形成する工程と、等方的エッチング処理により前記第2中間パターンを所定幅に加工するとともに前記第2中間パターン間に露出する前記第1膜を除去して前記被加工膜を露出させることで芯材パターンを形成する工程と、前記芯材パターンの上面および側面と露出されている前記被加工膜の上面を覆うように所定膜厚の第4膜を形成する工程と、前記第4膜をエッチバック処理して前記芯材パターンの上面および前記被加工膜の上面を露出させて前記芯材パターンの両側壁にマスクパターンを形成する工程と、前記マスクパターンを形成した後、前記芯材パターンとその下方の前記第1膜を選択的に除去する工程とを備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、側壁転写技術を用いて微細なマスクパターンを形成する場合に、マスクパターンの倒れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態を示し、NAND型フラッシュメモリ装置のメモリセル領域の一部のレイアウトパターンを示す模式的な平面図
【図2】図1中切断線A−Aで示す部分のゲート電極の加工前と加工後の状態を概略的に示す模式的断面図
【図3】図1中切断線B−Bで示す部分の素子分離絶縁膜形成用の溝の加工前と加工後の状態を概略的に示す模式的断面図
【図4】製造工程の各段階に対応する模式的な縦断面図(その1)
【図5】製造工程の各段階に対応する模式的な縦断面図(その2)
【図6】第2の実施形態を示し、製造工程の各段階に対応する模式的な縦断面図(その1)
【図7】製造工程の各段階に対応する模式的な縦断面図(その2)
【図8】製造工程の各段階に対応する模式的な縦断面図(その3)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、NAND型フラッシュメモリ装置の加工工程に適用した本発明の第1の実施形態について図1〜図5を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる模式的なものである。
【0012】
NAND型フラッシュメモリ装置は、メモリセルトランジスタが多数マトリクス状に配置されるメモリセル領域と、メモリセルトランジスタを駆動するための周辺回路トランジスタを備えた周辺回路領域とから構成されている。この実施形態では、メモリセル領域を対象とした例で説明する。
【0013】
図1はメモリセル領域の一部のレイアウトパターンを示す平面図である。図1において、半導体基板としてのシリコン基板1に、STI(shallow trench isolation)技術により形成された素子分離絶縁膜2が図1中Y方向に沿って複数本形成されている。複数本の素子分離絶縁膜2は、図1中X方向に所定間隔で配置されており、これによってシリコン基板1の表層部に複数の活性領域3が分離形成されている。
【0014】
活性領域3と直交するように、図1中X方向に沿ってメモリセルトランジスタのワード線WLが複数本形成されている。また、図1中X方向に沿って一対の選択ゲートトランジスタの選択ゲート線SGL1が形成されている。一対の選択ゲート線SGL1間の活性領域3にはビット線コンタクトCBがそれぞれ形成されている。ワード線WLと交差する活性領域3上にはメモリセルトランジスタのゲート電極MGが、選択ゲート線SGL1と交差する活性領域3上には選択ゲートトランジスタのゲート電極(選択ゲート電極)SGが形成されている。
【0015】
次に、本実施形態において適用対象となる加工工程について説明する。まず、第1の対象として示す図2(a)、(b)は、ワード線WLとなるゲート電極の一括加工を行う場合の加工前と加工後の模式的断面を示しており、図1中、切断線A−Aで示す部分に相当している。
【0016】
加工前の状態を示す図2(a)において、シリコン基板1の上面にはゲート絶縁膜4が形成され、その上面にゲート電極MGを構成する膜が積層形成されている。ゲート電極MGを構成する膜は、下から多結晶シリコン膜5、電極間絶縁膜6、多結晶シリコン膜7およびシリコン窒化膜8である。そして、これらの膜5〜8が最終的に加工対象となる膜の構成である。また、シリコン窒化膜8の上面には、被加工膜としての非晶質シリコン膜により形成された転写用パターン9が形成された状態を示している。
【0017】
そして、上記構成の転写用パターン9を用いて、まずシリコン窒化膜8をエッチング加工してパターニングし、その後、転写用パターン9を除去し、パターニングされたシリコン窒化膜8の加工パターンを用いて多結晶シリコン膜7、電極間絶縁膜6、多結晶シリコン膜5を順次加工することにより、図2(b)に示す構成を得る。
【0018】
上記のゲート電極MGの加工工程に先立って、マスクパターンを用いて転写用パターン9を形成する工程が行われるが、転写用パターン9は、パターンの幅寸法(ライン寸法)がたとえば20nm程度で形成され、隣接するものとの間隔寸法(スペース寸法)もたとえば20nm程度で形成されている。つまり、ラインアンドスペースの寸法が20/20nmに形成されている。この微細な転写用パターン9は、後述するように、フォトリソグラフィ処理工程で可能なパターニングの寸法からさらに1/2程度の寸法にピッチを縮小させて形成したものである。
【0019】
次に、第2の対象として示す図3(a)、(b)は、NAND型フラッシュメモリ装置の素子分離絶縁膜形成用の溝(トレンチ)を形成する加工工程の加工前と加工後の模式的断面を示しており、図1中切断線B−Bで示す部分に相当している。ただし、図1では、ワード線WLを形成した状態での平面図を示しているが、この場合における構成では、ワード線WLを形成する前の加工工程が対象である。
【0020】
図3(a)に示す加工前の状態では、シリコン基板1上にゲート絶縁膜4が形成され、その上面にゲート電極MGの浮遊ゲート電極となる多結晶シリコン膜5が形成され、さらに、その上面に加工用のシリコン窒化膜10が積層形成されている。これら最終的な加工対象としてのシリコン基板1、ゲート絶縁膜4、多結晶シリコン膜5およびシリコン窒化膜10に対して、被加工膜としてのシリコン酸化膜が所定のパターンに加工され転写用パターン11として形成されている。この転写用パターン11は、これに先立つ製造工程においてマスクパターンが上面に形成され、そのマスクパターンを用いてエッチング加工されたものである。転写用パターン11は、パターンの幅寸法(ライン寸法)がたとえば20nm程度で形成され、隣接するものとの間隔寸法(スペース寸法)もたとえば20nm程度で形成されている。
【0021】
上記した転写用パターン11をマスクとして、図3(b)に示すように、下地のシリコン窒化膜10、多結晶シリコン膜5、ゲート絶縁膜4およびシリコン基板1がRIE法などによりエッチング加工され、シリコン基板1に所定深さの溝1aが形成される。溝1a内には後工程において素子分離用絶縁膜としてシリコン酸化膜などが埋め込み形成され、前述した素子分離絶縁膜2とされる。
【0022】
次に、上記した図2(a)の転写用パターン9の形成工程について図4(a)〜(c)、図5(d)〜(f)に示す一連の製造工程の各段階を示す模式的断面図を参照して説明する。なお、図4、図5では、図2で示した部分のうち、転写用パターン9として加工される被加工膜として非晶質シリコン膜21を用いており、この非晶質シリコン膜21より上の部分の構成について示している。
【0023】
まず、図4(a)に示すように、シリコン窒化膜8(図示せず)の上に形成されている非晶質シリコン膜21の上面に第1膜としてのシリコン酸化膜22を例えば200nm程度の膜厚で形成する。このシリコン酸化膜22の膜厚は、被加工膜を加工する膜厚に応じた膜厚に設定すると良い。
【0024】
次に、図4(b)に示すように、シリコン酸化膜22を加工して中間パターン23を形成する。ここでは、例えばラインアンドスペース(40nm/40nm)のパターンを形成すべく、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジストをパターニングし、そのレジストパターンをマスクとしてRIE(reactive ion etching)法によりシリコン酸化膜22の異方性エッチングを行う。
【0025】
シリコン酸化膜22のエッチング量は、非晶質シリコン膜21上に例えば10nm以下程度の残存部23bを残すように設定される。これにより、パターニングで形成される複数のパターン部23a間を残存部23bで連結した状態の中間パターン23が得られる。また、このエッチングでは、中間パターン23のパターン部23aは、側壁が順テーパ状つまり底面側から上部に向けて幅寸法が狭くなるような傾斜面を有する形状に形成されている。
【0026】
続いて、図4(c)に示すように、中間パターン23をスリミング処理することにより芯材パターン24を形成する。スリミング処理は、シリコン酸化膜からなる中間パターン23のパターン部23aのパターン幅寸法を狭く、且つ高さ寸法を低くするとともに、残存部23bを除去するように等方的エッチングを行う処理で、例えばウェット処理により行われる。
【0027】
これにより、残存部23bが除去されて非晶質シリコン膜21が露出し、パターン部23aの両側壁および上面がそれぞれ10nm程度エッチングされ、パターン幅が例えば20nm程度の芯材パターン24が形成される。一方、芯材パターン24間のスペース幅は、エッチングでパターン幅寸法が狭くなったことで60nm程度となっている。また、このスリミング処理は、中間パターン23の残存部23bが残った状態で開始して非晶質シリコン膜21の上面を露出させるので、非晶質シリコン膜21の露出面は平坦に形成されている。
【0028】
次に、図5(d)に示すように、芯材パターン24の上面および側面に沿い、且つ芯材パターン24間に露出している非晶質シリコン膜21の上面に沿うように第2膜であるシリコン窒化膜25を形成する。この場合、シリコン窒化膜25の膜厚は、例えば20nm程度であり、これはシリコン窒化膜25を形成した状態での芯材パターン24間の空隙の幅が略20nm程度となる膜厚である。
【0029】
続いて、図5(e)に示すように、シリコン窒化膜25をエッチバックして芯材パターン24の上面および芯材パターン24間の非晶質シリコン膜21の上面を露出させる。これによって、シリコン窒化膜25はスペーサ加工され、芯材パターン24の両側壁に形成されたマスクパターン26が得られる。
【0030】
次に、図5(f)に示すように、芯材パターン24を選択的に除去することにより、マスクパターン26を非晶質シリコン膜21上面に残存させる。ここでは、芯材パターン24の除去を、例えば芯材パターン24を構成しているシリコン酸化膜のウェットエッチング処理により行う。
【0031】
得られたマスクパターン26は、非晶質シリコン膜21の平坦な部分に直接形成されるので、孤立状態でも非晶質シリコン膜21から受ける応力で倒れる方向への力は作用しなくなる。また、マスクパターン26は、芯材パターン24を挟んで対向していた一対のパターン26a、26bが繰り返し並べられた状態に形成される。さらに、マスクパターン26は、芯材パターン24がテーパ状で形成されていたことから、その傾斜面に沿うように傾斜したパターンとして形成される。
【0032】
このようなマスクパターン26は、パターン幅/間隔が20nm/20nm程度の微細なラインアンドスペースパターンとして形成することができる。これによりフォトリソグラフィ技術で形成した中間パターン23のパターン幅に対して、その半分程度のパターン幅の微細なラインアンドスペースのパターンを形成することができる。そして、このマスクパターン26をマスクとして非晶質シリコン膜21をエッチング加工することにより、転写用パターン9を得ることができる。
【0033】
また、マスクパターン26は、前述のような側壁転写技術を用いて形成しているので、芯材パターン24に面していた側面は平面状に形成されており、芯材パターン24に面していない側の側面は上端部において丸みを帯びた形状に形成されている。尚、マスクパターン26は芯材パターン24に沿うように形成されることで傾斜した状態となっているが、これを非晶質シリコン膜21に転写するエッチングを行うことで、図2(a)に示したように、傾斜状態が解消されるとともに上端部の丸みも少なくなった転写用パターン9を得ることができる。
【0034】
このような第1の実施形態によれば、被加工膜である非晶質シリコン膜21上にストッパ膜を設けることなく芯材パターン24を形成したにも拘わらず、非晶質シリコン膜21の芯材パターン24から露出した部分に段差は生じておらず、非晶質シリコン膜21の平坦面上に直接マスクパターン26を形成することができる。これによって芯材パターン24を除去して孤立された状態にマスクパターン26が形成されたときに、非晶質シリコン膜21との間で倒れる方向への応力を受けることがなくなり、マスクパターン26が倒れるのを抑制することができる。
【0035】
また、芯材パターン24の形成に際して下地にストッパ膜を用いないでマスクパターン26を形成することができるので、膜形成工程を減らすことができる。
図2のゲート電極の加工工程について説明したが、図3の素子分離絶縁膜形成用の溝加工に適用することもできる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、図6ないし図8を参照して第2の実施形態について説明する。この実施形態では、前述した図3(a)に示す素子分離絶縁膜形成用の溝1aを形成するための転写用パターン11をシリコン酸化膜31から形成する場合を示すもので、図6(a)〜(c)、図7(d)〜(f)、図8(g)〜(i)に示す一連の製造工程の各段階を示す模式的断面図を参照して説明する。なお、図6〜図8では、図3で示した部分のうち、シリコン酸化膜31を被加工膜として転写用パターン11を形成する場合を想定し、シリコン酸化膜31より上の部分の構成について示している。
【0037】
まず、図6(a)に示すように、被加工膜であるシリコン酸化膜31の上に第1膜としてストッパ膜となるシリコン窒化膜32を所定膜厚で形成し、続いて第2膜としてシリコン酸化膜33を例えば200nmの膜厚で形成する。このシリコン酸化膜33の膜厚は、被加工膜を加工する膜厚に応じた膜厚に設定すると良い。
【0038】
次に、図6(b)に示すように、シリコン酸化膜33をパターニング加工して第1中間パターン34を形成する。ここでは、例えばラインアンドスペース(40nm/40nm)のパターンを形成すべく、フォトリソグラフィ技術によりパターニングしたレジストをマスクとしてRIE法によりシリコン酸化膜33の異方性エッチングを行う。このエッチングでは、シリコン酸化膜33をシリコン窒化膜32が露出するまでエッチングして分離し、これにより第1中間パターン34を形成する。
【0039】
このエッチングでは、第1の実施形態と異なり第1中間パターン34の各々のパターン部が分離されるまで加工がおこなわれるので、シリコン窒化膜32の露出した第1部分32aは、第1中間パターン34として形成された部分の下方に位置する被覆された第2部分32bよりも若干薄くなり、図6(b)に示したように、この部分に段差が生じている。また、第1中間パターン34は、上部で幅寸法が狭くなるようにその両側壁が順テーパ状に形成されている。
【0040】
次に、図6(c)に示すように、第1中間パターン34間の空隙を埋め込むとともに、第1中間パターン34の全体を覆うように第3膜としてシリコン窒化膜35を形成する。この場合、シリコン窒化膜35は、第1中間パターン34の上面よりも高い位置まで形成されている。
【0041】
続いて、図7(d)に示すように、エッチバック処理を行って、シリコン窒化膜35を第1中間パターン34の上面が露出する高さまで除去する。このエッチバック処理を行うことで、シリコン窒化膜35は第1中間パターン34のパターン部間に介在した状態となり、これにより第2中間パターン36となる部分が形成される。
【0042】
この後、図7(e)に示すように、第1中間パターン34をエッチングにより選択的に除去する。このエッチングは、例えばウェットエッチング処理で行い、これにより第2中間パターン36がシリコン酸化膜31上にシリコン窒化膜32の第1部分32aを介して形成された状態となる。また、第1中間パターン34の両側壁が順テーパ状に形成されていたのに対して、その反転されたパターンとなるように、第2中間パターン36の両側壁は逆テーパ状に形成される。
【0043】
次に、図7(f)に示すように、第2中間パターン36をスリミング処理することにより芯材パターン37を形成する。スリミング処理は、シリコン窒化膜からなる第2中間パターン36のパターン幅寸法を半分程度まで狭くするとともに、第2中間パターン36間に露出しているシリコン窒化膜32の第2部分32bおよび第1部分32aの一部を除去するように等方的なエッチング処理を行う。
【0044】
このスリミング処理では、第2中間パターン36が第3膜に相当するシリコン窒化膜であるから、同種の材料である第1膜のシリコン窒化膜32を同じエッチングレートで同時にエッチングすることができる。また、このため、第2中間パターン36のパターン幅寸法を狭くするスリミング量に対して、第2部分32bがエッチングで除去される程度もしくはそれよりも薄い膜厚となるように第2部分32bを形成しておくことで、スリミング処理時にシリコン酸化膜31の上面を露出させることができる。
【0045】
これにより、第2中間パターン36間はシリコン酸化膜31が露出した状態となり、第2中間パターン36は、両側壁および上面がそれぞれ10nm程度エッチングされ、パターン幅が例えば20nm程度の芯材パターン37が形成される。また、芯材パターン37間のスペース幅は、エッチングでパターン幅寸法が狭くなったことで60nm程度となっている。
【0046】
そして、芯材パターン37は、シリコン窒化膜32の平坦に形成された第1部分32aの上に形成され、段差部分を介した状態で形成されていないため、下地膜との間で段差に起因した応力差により倒れることを防止できる。また、芯材パターン37は、第2中間パターン36と同様に、両側壁が逆テーパ状に形成されている。
【0047】
次に、図8(g)に示すように、芯材パターン37の上面および側面に沿うとともに芯材パターン37間に露出しているシリコン酸化膜31の上面に沿うように第4膜である非晶質シリコン膜38を形成する。この場合、非晶質シリコン膜38の膜厚は、例えば20nm程度であり、これは非晶質シリコン膜38を形成した状態での芯材パターン37間の空隙の幅が略20nm程度となる膜厚である。
【0048】
続いて、図8(h)に示すように、非晶質シリコン膜38をエッチバック処理して芯材パターン37の上面および芯材パターン37間のシリコン酸化膜31の上面を露出させる。これによって、非晶質シリコン膜38はスペーサ加工され、芯材パターン37の両側壁に形成されたマスクパターン39が得られる。
【0049】
次に、図8(i)に示すように、芯材パターン37とその下方の第1部分32aを選択的に除去することで、マスクパターン39をシリコン酸化膜31上面に残存させる。芯材パターン37および第1部分32aの除去は、これら芯材パターン37と第1部分32aを構成しているシリコン窒化膜をウェットエッチング処理することで行う。得られたマスクパターン39は、除去した芯材パターン37を挟んで対向していた一対のパターン39a、39bを繰り返し並べた状態に形成される。
【0050】
この場合、第1の実施形態と異なり芯材パターン37の両側壁が、逆テーパ状とされていたことから、マスクパターン39はその逆テーパ状の芯材パターン37に沿うように形成される部分(芯材パターン37を挟んで対向するペア部P)の一対のパターン39a、39bの側面同士が上部で間隔が広がるように傾斜したパターンとして形成される。反対に、マスクパターン39の芯材パターン37と反対側の部分(隣接部Aj)では、パターン39a、39bの上部の丸みを帯びた部分の間隔が狭くなるように傾斜したパターンとなる。
【0051】
このようなマスクパターン39は、被加工膜であるシリコン酸化膜31の上に直接形成されたものであり、下地の段差に起因した応力差を受けることがないので倒れにくいものとすることができる。そして、このマスクパターン39は、パターン幅/間隔が20nm/20nm程度の微細なラインアンドスペースパターンとして形成することができる。そして、このマスクパターン39をマスクとしてシリコン酸化膜31をエッチング加工することにより、転写用パターン11を得ることができる。この場合、マスクパターン39は、ペア部Pの間隔が上部において広くなるように傾斜された状態に形成されているので、転写用パターン11の形成時にペア部Pと隣接部Ajとでエッチングを均等に進行させることができる。
【0052】
また、マスクパターン39は、上述したように断面が左右対称の形状に形成されていないが、これをシリコン酸化膜31に転写することで図3(a)に示したように、傾斜状態が解消されるとともに上端部の丸みも少なくなった左右対称に近い形状の転写用パターン11を得ることができる。
【0053】
本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
上記各実施形態では、被加工膜を転写用パターン9あるいは11を形成するための膜である非晶質シリコン膜21あるいはシリコン酸化膜31としているが、最終的な加工対象であるゲート電極の膜構成あるいは素子分離膜形成用の溝の膜構成を被加工膜として、その上面に直接マスクパターン26あるいは39を形成することもできる。
【0054】
第1実施形態においては、被加工膜である非晶質シリコン膜21に対する第1膜としてシリコン酸化膜22を用い、第2膜としてシリコン窒化膜25を用いる場合で示したが、第1膜及び第2膜は、これらの材料に限らず、被加工膜を構成する膜の種類に応じて、互いにエッチングの選択性を得られる膜を選択して用いることができる。
【0055】
同様に、第2実施形態においては、被加工膜であるシリコン酸化膜31に対する第1膜としてシリコン窒化膜32、第2膜としてシリコン酸化膜33、第3膜としてシリコン窒化膜35、第4膜として非晶質シリコン膜38を用いる場合で示したが、第1膜と第3膜とを互いにエッチングの選択性を有することなく等方的なエッチング処理を行うことが可能な膜種を選ぶことを条件として、第1膜、第2膜、第4膜について互いにエッチングの選択性を得られる膜種を選ぶことができる。
【0056】
中間パターン23あるいは第2中間パターン36のスリミング処理は、ウェット処理以外に、CDE(chemical dry etching)法などの等方的なエッチングが可能なドライプロセスによる処理を採用することができる。
【0057】
加工対象とするパターンの寸法は、20nm/20nmのラインアンドスペースのパターンに限らず、パターン寸法は適宜所望する寸法に設定することができる。また、これに応じて、エッチング量や膜厚などの設定を適宜行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
図面中、8はシリコン窒化膜、9は転写用パターン、10はシリコン窒化膜、11は転写用パターン、21は非晶質シリコン膜(被加工膜)、22はシリコン酸化膜(第1膜)、23は中間パターン、24は芯材パターン、25はシリコン窒化膜(第2膜)、26はマスクパターン、31はシリコン酸化膜(被加工膜)、32はシリコン窒化膜(第1膜)、33はシリコン酸化膜(第2膜)、34は第1中間パターン、35はシリコン窒化膜(第3膜)、36は第2中間パターン、37は芯材パターン、38は非晶質シリコン膜(第4膜)、39はマスクパターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜の上面に第1膜を形成する工程と、
前記第1膜を上面から途中の深さまでパターニングして複数のパターン部とそれらパターン部間を連結する残存部とからなる中間パターンを形成する工程と、
等方的エッチング処理により前記中間パターンの前記残存部を除去して前記被加工膜を露出させるとともに前記パターン部を所定幅に加工して芯材パターンを形成する工程と、
前記芯材パターンの上面および側面と露出されている前記被加工膜の上面を覆うように所定膜厚の第2膜を形成する工程と、
前記第2膜をエッチバック処理して前記芯材パターンの上面および前記被加工膜の上面を露出させて前記芯材パターンの両側壁にマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターンを形成した後、前記芯材パターンを選択的に除去する工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
被加工膜上に第1膜および第2膜を積層形成する工程と、
前記第2膜を前記第1膜が露出するまでパターニングして複数のパターン部からなる第1中間パターンを形成する工程と、
前記第1中間パターン間を埋め込むとともに前記第1中間パターンを覆うように第3膜を形成する工程と、
前記第3膜をエッチバック処理して前記第1中間パターンの上面を露出させる工程と、
前記第1中間パターンを除去して前記第1膜を露出させることにより前記第3膜からなる第2中間パターンを形成する工程と、
等方的エッチング処理により前記第2中間パターンを所定幅に加工するとともに前記第2中間パターン間に露出する前記第1膜を除去して前記被加工膜を露出させることで芯材パターンを形成する工程と、
前記芯材パターンの上面および側面と露出されている前記被加工膜の上面を覆うように所定膜厚の第4膜を形成する工程と、
前記第4膜をエッチバック処理して前記芯材パターンの上面および前記被加工膜の上面を露出させて前記芯材パターンの両側壁にマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターンを形成した後、前記芯材パターンとその下方の前記第1膜を選択的に除去する工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1中間パターンを形成する工程では、前記パターン部の両側壁が順テーパ状となるように前記第1中間パターンが形成され、
前記芯材パターンを形成する工程では、前記芯材パターンの両側壁が逆テーパ状になるように前記芯材パターンが形成され、
前記マスクパターンを形成する工程では、前記芯材パターンを挟んで対向する一対のパターンの側面同士が下部よりも上部で間隔が広がるように傾斜したパターンとして前記マスクパターンが形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1膜および前記第3膜は、前記等方的エッチング処理の際、互いに選択性を有することなくエッチングされる材料により形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1膜および前記第3膜は、同種の材料により形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−199013(P2011−199013A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64200(P2010−64200)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】