説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 信号線の形成位置に関わらず、信号線とMIM構造のキャパシタ11との間で発生する寄生容量が抑制できるようにする。
【解決手段】 MIM構造のキャパシタ11と、絶縁膜12a,12bを介してMIM構造のキャパシタ11を挟む、少なくとも一対の遮蔽部13a,13bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、半導体装置に対する動作速度の高速化等の要求に応えるために、マルチコア技術が用いられている。このマルチコア技術は、1つの半導体装置の中に複数のプロセッサコアを搭載して、各プロセッサコアを並列動作させることによって、半導体装置全体としての処理性能を向上させる技術である。
【0003】
しかし、このようなマルチコア技術は消費電力の増大をもたらすため、電源線や接地線の電位のゆれ(所謂、電源ノイズ)が問題となる。特に、マルチコア技術が用いられている半導体装置では、膨大な数のトランジスタが搭載されているため、電源ノイズに絡む問題が顕著になっている。
【0004】
そこで、プロセッサコアの動作周波数や電源電圧が変えられるようにして、消費電力を抑制する技術が提案されている。しかし、かかる技術により消費電力が抑えられても、電源ノイズによる影響を抑制することができない。
【0005】
ノイズ対策として、クロストークノイズ対策や電源ノイズ対策が提案されている。クロスノイズ対策としては、信号線の間に電源線を配置する構成が提案されている(特許文献1,2)。この電源線により各信号線をシールドすることで、信号線間のクロストークノイズを低減することができる。
【0006】
一方、電源ノイズ対策として、電源線と接地線との間に層間配線を配置し、その下側にMIM(Metal−Insulator−Metal)構造のキャパシタを形成する構成が提案されている(特許文献3)。このMIM構造キャパシタは、バイパスコンデンサとして機能するので、電源ノイズを抑制することができる。また、MIM構造キャパシタは層間配線によりシールドされるので、信号線とMIM構造キャパシタとの間に発生する寄生容量が抑制できる。なお、寄生容量は、信号の遅延等の原因となる。以下、MIM構造キャパシタをMIMキャパシタと記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−154644号公報
【特許文献2】特開2006−344639号公報
【特許文献3】特開2004−327619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1,2では、クロストークノイズに対しては有効であるが、電源ノイズを抑制できない問題がある。
【0009】
また、特許文献3では、層間配線はMIMキャパシタの上側にのみ設けられているので、MIMキャパシタの下側に信号線が設けられた場合には、この信号線とMIMキャパシタとの間で発生する寄生容量を抑制できない問題がある。特に、マルチコア技術を用いた半導体装置において、電源ノイズを抑制するためのMIMキャパシタに対しては、容量が大きいことや複数箇所に配置されること等が要求される。従って、層間配線が設けられていない下側に配線された信号線とMIMキャパシタとの寄生容量も大きくなる。
【0010】
そこで、半導体装置の配線レイアウト設計において、寄生容量を考慮した設計を行うことが考えられる。しかし、この場合には、レイアウト設計装置における配線ツール、抵抗、コンデンサ等の抽出ツールに、MIMキャパシタを認識させる手間が必要となる。また、発生した寄生容量により生じる信号の遅延等が許容範囲か否かの判断が必要になる。許容範囲が狭い場合は、寄生容量を高精度に評価しなければならない。このため配線位置、抵抗やコンデンサ等の値を高精度に算出しなければならないので、作業工数が増大してしまう。
【0011】
そこで、本発明は、信号線の形成位置に関わらず、信号線とMIMキャパシタとの間で発生する寄生容量が抑制できるようにした半導体装置及びその製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、半導体装置は、MIM構造のキャパシタと、絶縁膜を介してMIM構造のキャパシタを挟む、少なくとも一対の遮蔽部とを備える。
【0013】
また、半導体装置の製造方法は、下側の遮蔽部を形成する手順と、下側の遮蔽部の上に第1の絶縁膜を介してMIM構造のキャパシタを形成する手順と、MIM構造のキャパシタの上に第2の絶縁膜を介して上側の遮蔽部を形成する手順とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、信号線の形成位置に関わらず、信号線とMIMキャパシタとの間で発生する寄生容量が抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる第1の実施形態における半導体装置の部分断面図である。
【図2】本発明にかかる第2の実施形態における半導体装置の部分上面図である。
【図3】図2における領域Aの拡大図である。
【図4】図3のB−B線に沿った半導体装置の断面図である。
【図5】図3のC−C線に沿った半導体装置の断面図である。
【図6】図3のD−D線に沿った半導体装置の断面図である。
【図7】図4に代わる他の構成の半導体装置の部分断面図である。
【図8】半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明にかかる第3の実施形態における半導体装置の部分上面図である。
【図10】図9のE−E線に沿った半導体装置の断面図である。
【図11】図9のF−F線に沿った半導体装置の断面図である。
【図12】図9のG−G線に沿った半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態を図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態にかかる半導体装置10Aの部分断面図である。この半導体装置10Aは、絶縁膜12a,12bを介してMIM(Metal−Insulator−Metal)構造のキャパシタ11を挟み、このMIMキャパシタ11を電気的にシールドする、少なくとも一対の遮蔽部13a,13bを備える。以下、MIM(Metal−Insulator−Metal)構造のキャパシタをMIMキャパシタと記載する。
【0017】
この構成により、例えばMIMキャパシタ11の近くに信号線(図示せず)が配置されていても、MIMキャパシタ11は遮蔽部13a,13bにより遮蔽される。従って、MIMキャパシタ11と信号線との間で発生する寄生容量を抑制することができる。
【0018】
よって、信号線とMIMキャパシタ11との寄生容量を考慮することなく、信号線のレイアウト設計が可能になる。
【0019】
次に、本発明の第2の実施形態を図を参照して説明する。図2は、第2の実施形態にかかるMIMキャパシタ24を備えた半導体装置10Bの部分上面図である。また、図3は、図2における領域Aの拡大図である。図4は、図3におけるB−B線に沿った断面図、図5は、図3におけるC−C線に沿った断面図、図6は、図3におけるD−D線に沿った断面図である。
【0020】
この半導体装置10Bは、VDD線21、GND線22、ブリッジVDD線20a、ブリッジGND線20b、MIMキャパシタ24、VDD接続線23a、GND接続線23b、VDD電極線25a及びGND電極線25bを備える。なお、ブリッジVDD線20a、ブリッジGND線20b、VDD線21及びGND線22は、MIMキャパシタ24の専用VDD線ではなく、電源線メッシュ構造におけるスタンダードセルに電力供給するための配線である。本明細書では、電源電位をVDDで標記すると共に、接地電位をGNDで標記する。例えば、VDD線21は、電源電位の配線であり、GND線は接地電位の配線であることを示す。そして、これらを総称して電源線と記載する。
【0021】
VDD線21及びGND線22は、図4〜図6に示すように、上下2層に分割して互いに平行に配置されている。以下、上側に配置されたVDD線21を上VDD線21a、下側に配置されたVDD線21を下VDD線21bと記載する。同様に、上側に配置されたGND線22を上GND線22a、下側に配置されたGND線22を下GND線22bと記載する。そして、上VDD線21aと上GND線22aとは、それぞれ同一層に形成され、下VDD線21bと下GND線22bとは、それぞれ同一層に形成されている。また、ブリッジVDD線20aとブリッジGND線20bとは、同一層に形成されている。また、ブリッジVDD線20a及びブリッジGND線20bは、VDD線21及びGND線22と直交する位置に形成されている。
【0022】
図4に示すように、上VDD線21aと上GND線22aの上層には絶縁膜28aが設けられ、下VDD線21bと下GND線22bの下層には絶縁膜28dが設けられている。また、上VDD線21a及び上GND線22aと、下VDD線21b及び下GND線22bとの間には絶縁膜28b,28cが、上から順に設けられている。そして、絶縁膜28bと絶縁膜28cとの間にMIMキャパシタ24が設けられている。上VDD線21a、下VDD線21b、上GND線22a及び下GND線22bは、MIMキャパシタ24を電気的にシールドする遮蔽部として機能する。
【0023】
図3に示すように、MIMキャパシタ24は、VDD線21やGND線22の長手方向に沿った上面視矩形状(図3のポイントR1,R2,R3,R4で囲まれた領域)をなしている。そして、このMIMキャパシタ24は、図4等に示すように、電極24aと電極24bと、これら電極24a,24bの間に設けられた誘電体24cとを備える。
【0024】
MIMキャパシタ24の電極24a,24bは、上VDD線21a、下VDD線21b、上GND線22a及び下GND線22bの面と平行に配置されている。そこで、電極24aを上部電極24a、電極24bを下部電極24bと記載する。しかし、上部、下部の区別は、例えば、MIMキャパシタ24をトレンチ構造のように、電極面が上VDD線21a等の面と垂直に形成される場合を排除する趣旨でない。即ち、本実施形態におけるMIMキャパシタはトレンチ構造のキャパシタであってもよい。
【0025】
図4に示すように、下部電極24bの一辺は、上部電極24aや誘電体24cの一辺より突出して形成されて、この突出部分が下部電極24bの接続端子24dを形成する。なお、上部電極24aの上VDD線21a側の面は、上部電極24aの接続端子となっている。
【0026】
図4において、VDD線21やGND線22の幅方向のMIMキャパシタ24の寸法W1は、これらVDD線21とGND線22の幅寸法W2より適宜小さい寸法に設定されている。MIMキャパシタ24がVDD線21やGND線22からはみ出すと、このはみ出した部分の遮蔽が不十分になる。このため、寸法W1を寸法W2より小さくしている。
【0027】
なお、VDD線21とGND線22との間の隙間領域K(図4参照)に対応するMIMキャパシタ24の領域は、これらVDD線21やGND線22によって覆われていない。しかし、VDD線21とGND線22との間の領域を介して容量結合する信号線は、絶縁膜28dの下層又はブリッジVDD線20aやブリッジGND線20bの上層に設けられることになるので、信号線とMIMキャパシタ24との距離が長くなる。寄生容量は距離に反比例するので、信号線とMIMキャパシタ24との間で生じる寄生容量も小さくなる。従って、VDD線21とGND線22との間に多少の隙間領域Kが存在しても実質上問題にはならない。
【0028】
図5に示すように、VDD接続線23aは、ブリッジVDD線20a、上VDD線21a及び下VDD線21bを接続し、また図6に示すようにGND接続線23bはブリッジGND線20b、上GND線22a及び下GND線22bを接続する。VDD接続線23aは、上VDD線21aを貫通して設けられ、GND接続線23bは、上GND線22aを貫通して設けられている。
【0029】
一方、図4及び図5に示すように、VDD電極線25aは上VDD線21aとMIMキャパシタ24の上部電極24aとを接続し、また図4及び図6に示すように、GND電極線25bは上GND線22aと下部電極24bにおける接続端子24dとを接続する。
【0030】
このような、VDD接続線23aにより、MIMキャパシタ24を挟む上VDD線21aと下VDD線21bは、同電位に設定される。同様にGND接続線23bにより、MIMキャパシタ24を挟む上GND線22aと下GND線22bは同電位となる。従って、MIMキャパシタ24は遮蔽される。
【0031】
なお、信号線は上下のVDD線21a,21bや上下のGND線22a,22bとも容量結合する。しかし、上VDD線21aと下VDD線21bとは同電位であり、また上GND線22aと下GND線22bとは同電位であるので、信号線の信号に対してこれら上下のVDD線21a,21b及び上下のGND線22a,22bは鏡像効果を生じさせる。従って、寄生容量による信号の遅延等は非常に小さくなる。
【0032】
また、図7に示すように、上下のVDD線21a,21bや上下のGND線22a,22bと同一層に信号線29a,29bが形成される場合がある。このような信号線29a,29bは、MIMキャパシタ24と容量結合する。信号線29a,29bとMIMキャパシタ24との位置関係は、斜めの関係となるので、これらの間の距離は長くなる。寄生容量の値は、距離に反比例するので、これらの間の寄生容量は小さくなる。例えば、信号線29a,29bとMIMキャパシタ24とが斜めの関係の場合の寄生容量は、信号線29a,29bがMIMキャパシタ24の上又は下に形成された場合の寄生容量に比べ、数十分の一以下にすることができる。また、MIMキャパシタ24の左右幅W1(図4を参照)を上下のVDD線21a,21bや上下のGND線22a,22bがなす幅W2(図4を参照)より小さくするならば、信号線29a,29bとMIMキャパシタ24との距離は、その分だけ長くなり、更に寄生容量を小さくすることが可能である。
【0033】
以上説明したように、MIMキャパシタ24を上下のVDD線21a,21bや上下のGND線22a,22bにより挟むことにより、このMIMキャパシタ24が遮蔽されるので、信号線のレイアウト設計において寄生容量を考慮した設計の必要性が大幅に削減される。よって、設計工数が削減できる。
【0034】
また、MIMキャパシタ24は、電源線メッシュ構造における電源線(上下のVDD線21a,21bや上下のGND線22a,22b)に沿って必要な箇所に設けることができるので、電源ノイズを効果的に抑制することが可能になる。
【0035】
次に、本第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を図8を参照して説明する。なお、図示しない半導体基板にトランジスタ等を形成する工程は、説明を省略する。以下の説明では、MIMキャパシタ24等を形成する下地としての絶縁膜28dを形成する工程から開始する(ステップS1)。
【0036】
なお、絶縁膜28a〜28d及びMIMキャパシタ24の誘電体24cは、プラズマCVD(Plasma−enhanced chemical vapor deposition)法等の一般的な膜生成方法を用いて製造可能である。また、その材料としては、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)又はこれらの複合体等の電気絶縁性物質を利用することが可能である。
【0037】
次に、絶縁膜28dの上に下VDD線21b及び下GND線22bを形成する(ステップS2)。なお、VDD線21a,21b、GND線22a,22b、ブリッジVDD線20a、ブリッジGND線20b、VDD接続線23a、GND接続線23b、VDD電極線25a、GND電極線25b及び、MIMキャパシタ24における上部電極24a及び下部電極24b等は、スパッタ法等の一般的な膜生成方法が適用可能である。また、その材料としては、チタン(Ti)、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSix)、窒化タングステンシリサイド(WSiN)、タンタル(Ta),白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、アルミニューム(Al)、銅(Cu)等の金属を用いることができる。
【0038】
これらの金属膜をフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて所定のパターンにパターニングする。なお、電子ビーム露光法を用いても良い。このような工程では、絶縁膜や金属膜の上にレジストが塗布され、マスクを用いてレジストパターンの潜像が形成される。そして、現像液を用いて現像し、所定のレジストパターンが得られる。その後、レジストパターンをエッチングマスクとして、エッチング液によるウエットエッチングや反応性の気体(エッチングガス)やイオン、ラジカルによってドライエッチングにより絶縁膜や金属膜をパターニングする。以下、このような技術を露光・エッチング技術と称する。
【0039】
次に、絶縁膜28cを形成し(ステップS3)、この絶縁膜28cの上にMIMキャパシタ24を形成する(ステップS4)。なお、絶縁膜28cの形成方法は、上述した絶縁膜28dと同様なので説明は省略する。
【0040】
MIMキャパシタ24は、まず下部電極24bの材料となる金属膜を成膜し、その上に誘電体24cの材料となる誘電体膜、及び上部電極24aの材料となる金属膜を順次成膜する。そして、これらを露光・エッチング技術を用いてエッチングすることにより、MIMキャパシタ24を形成する。
【0041】
次に、絶縁膜28bを形成し(ステップS5)、この絶縁膜28bにビアホール(コンタクトホール)33a(図4を参照)を露光・エッチング技術を用いて形成する(ステップS6)。その後、ビアホール33a内にVDD電極線25a及びGND電極線25bの材料となる金属膜を成膜する(ステップS7)。
【0042】
ビアホール33aは、上部電極24a及び接続端子24dをエッチングストッパとして絶縁膜28bをエッチングすることにより形成する。VDD電極線25a及びGND電極線25bの材料となる金属膜は、このビアホール33aに埋め込まれる。このビアホール33aに埋め込まれた金属膜は、上部電極24a及び接続端子24dと電気的に接続する。
【0043】
次に、上VDD線21a,上GND線22aの材料となる金属膜を成膜し、露光・エッチング技術を用いて上VDD線21a,上GND線22aを形成する(ステップS8)。
【0044】
その後、絶縁膜28aを形成し(ステップS9)、露光・エッチング技術を用いてビアホール33b(図5及び図6を参照)を形成する(ステップS10)。ビアホール33bを形成した後、ブリッジVDD線20a及びブリッジGND線20bの材料となる金属膜を成膜し、露光・エッチング技術を用いてブリッジVDD線20a及びブリッジGND線20bを形成する(ステップS11)。
【0045】
なお、上述した各工程において、特にステップS2は、第2の実施形態にかかる半導体装置を製造する上で特に必要となる工程であるが、他の工程は一般的な半導体装置において用いられている工程である。このことは、少ない工程の追加のみで、寄生容量の発生を抑制した半導体装置が製造できることを意味する。よって、安価に寄生容量の発生を抑制した半導体装置が製造できるようになる。
【0046】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図9は、本実施形態にかかる半導体装置の部分上面図であり、図10は図9におけるE−E線に沿った半導体装置の断面図、図11は図9におけるF−F線に沿った半導体装置の断面図、図12は図9におけるG−G線に沿った半導体装置の断面図である。
【0047】
第3の実施形態は、フリップチップ構造の半導体装置10Cとして半田バンプ用のVDD線用パッド51a,51bを備えている。この種の半導体装置10Cにおいては、半田バンプが形成されるVDD線41及びGND線42が、最上位の配線層として形成されている。
【0048】
即ち、この半導体装置10Cは、VDD線41、GND線42、ブリッジVDD線40a、ブリッジGND線40b、MIMキャパシタ44、VDD接続線43am,43an、GND接続線43bm,43bn、VDD電極線45am,45an、GND電極線45bm,45bn及び絶縁膜28a,28b,28c,28d,28eを備える。なお、番号51aはハンダバンプ用のVDDパッドであり、番号51bは、GNDパッドである。
【0049】
VDD線41、GND線42は、MIMキャパシタ44の専用VDD線ではなく、電源線メッシュ構造におけるスタンダードセルに電源供給する配線である。
【0050】
VDD線41は、MIMキャパシタ44の上側に配置された線幅の太い上VDD線41amと、それよりも線幅の細い上VDD線41anとを備え、またMIMキャパシタ44の下側に配置された線幅の太い下VDD線41bmと、それよりも線幅の細い下VDD線41bnとを備える。
【0051】
GND線42は、MIMキャパシタ44の上側に配置された線幅の太い上GND線42amと、それよりも線幅の細い上GND線42anとを備え、またMIMキャパシタ44の下側に配置された線幅の太い下GND線42bmと、それよりも線幅の細い下GND線42bnとを備える。
【0052】
このとき図9、図10に示すように、太い上VDD線41am及び太い下VDD線41bmは、それぞれ2本の細い上GND線42an及び細い下GND線42bnにより挟まれている(図9の領域P1を参照)。
【0053】
また、太い上GND線42am及び下GND線42bmは、それぞれ2本の細い上VDD線41an及び細い下VDD線41bnにより挟まれている(図9の領域P2を参照)。そして、領域P1と領域P2とは、図9において長手方向紙面上下方向で、ブリッジVDD線40a及びブリッジGND線40bの長手方向に交互に形成されている。
【0054】
VDD接続線43amは、太い上VDD線41amと、太い下VDD線41bmと、ブリッジVDD線40aとを接続する(図9の領域P1を参照)。また、VDD接続線43anは、細い上VDD線41anと、細い下VDD線41bnと、ブリッジVDD線40aとを接続する(図9の領域P2及び図12を参照)。
【0055】
同様に、GND接続線43bmは、太い上GND線42amと、太い下GND線42bmと、ブリッジGND線40bとを接続する(図9の領域P2及び図11を参照)。また、GND接続線43bnは、細い上GND線42anと、細い下GND線42bnと、ブリッジGND線40bとを接続する(図9の領域P1を参照)。
【0056】
VDD電極線45amは、太い上VDD線41amとMIMキャパシタ44の上部電極44aとを接続する(図9の領域P1及び図10を参照)。VDD電極線45anは、細い上VDD線41anとMIMキャパシタ44の上部電極44aとを接続する(図9の領域P2及び図10を参照)。
【0057】
同様に、GND電極線45bnは、細い上GND線42anとMIMキャパシタ44の下部電極44bとを接続する(図9の領域P1を参照)。GND電極線45bmは、太い上GND線42anとMIMキャパシタ44の下部電極44bとを接続する(図9の領域P2を参照)。
【0058】
図9の領域P1に示すように、線幅の太い上VDD線41am及び太い下VDD線41bmは、線幅の細い上GND線42an及び細い下GND線42bnによって、それぞれ挟まれている。また領域P2に示すように、線幅の細い上VDD線41an及び細い下VDD線41bnは、線幅の太い上GND線42am及び太い下GND線42bmによって、それぞれ挟まれている。
【0059】
このように、太いVDD線を細いGND線で挟み、また太いGND線を細いVDD線で挟むようにしたのは、MIMキャパシタ44との接続抵抗を低減するためである。従って、MIMキャパシタ44をVDD線41とGND線42とで遮蔽する目的に対しては、太いVDD線を細いGND線で挟み、また太いGND線を細いVDD線で挟むようにすることは、必ずしも必要としない。
【0060】
半田バンプが形成されるVDD線及びGND線は、最上位の配線層として形成されるので、その上に遮蔽層をなす配線を設ける必要がない。一方、MIMキャパシタ44の下側には下VDD線41bm,41bn及び下GND線42bm,42bnが形成されているので、図示しない信号線に対してMIMキャパシタ44が遮蔽される。よって、信号線の配置位置に関わらず、信号線とMIMキャパシタとの間で発生する寄生容量を抑制できるようになる。
【符号の説明】
【0061】
21a 上VDD線
21b 下VDD線
22a 上GND線
22b 下GND線
42am,42an 上GND線
42bm,42bn 下GND線
41am,41an 上VDD線
41bm,41bn 下VDD線
20b,40b ブリッジGND線
20a,40a ブリッジVDD線
10A、10B,10C 半導体装置
11 キャパシタ
12a,12b 絶縁膜
13a,13b 遮蔽部
24c 誘電体
24a,44a 上部電極
24b,44b 下部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MIM(Metal−Insulator−Metal)構造のキャパシタと、
絶縁膜を介して前記MIM構造のキャパシタを挟む、少なくとも一対の遮蔽部とを備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記MIM構造のキャパシタを挟む一対の前記遮蔽部は、それぞれ固定電位であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置であって、
前記遮蔽部は、前記半導体装置における電源線と接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体装置であって、
一対の前記遮蔽部は、前記MIM構造のキャパシタの一方の電極に接続される第1の遮蔽部と、他方の電極に接続される第2の遮蔽部とにより形成したことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体装置であって、
前記電源線は、電源線メッシュ構造に配線されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記遮蔽部は、電源電位又は接地電位の配線であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記遮蔽部は、前記MIM構造のキャパシタを覆うことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記MIM構造のキャパシタが、電源ノイズを吸収するMIM構造のキャパシタであることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
下側の遮蔽部を形成する手順と、
前記下側の遮蔽部の上に第1の絶縁膜を介してMIM構造のキャパシタを形成する手順と、
前記MIM構造のキャパシタの上に第2の絶縁膜を介して上側の遮蔽部を形成する手順と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記上側の遮蔽部と前記下側の遮蔽部とを電気的に接続する手順とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−225880(P2010−225880A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71866(P2009−71866)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】