説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置全体としてみたとき、微細化によるチップ面積の減少を図りつつ、各素子に必要とされる特性を維持・向上させる。
【解決手段】半導体装置は、FinFET10と、FinFET10と同一のチップ上に設けられたPlanarFET20とを具備する。PlanarFETの第2ゲート絶縁層24は、FinFET10の第1ゲート絶縁層14よりも厚い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関し、特に電界効果トランジスタを含む半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタの一つとして、FinFET(Fin Field Effect Transistor:フィン型電界効果トランジスタ)が知られている。FinFETは、22nmノード以降に有力視されているデバイス構造で、従来のPlanarFET(Planar Field Effect Transistor:プレーナ型電界効果トランジスタ)と比較して、短チャネル効果耐性が高いこと、不純物ランダムばらつきを低減できること等のメリットを有する。このように、FinFETはゲート長の非常に小さいトランジスタを構築する上で有益であり、LSI(Large Scale Integration)の微細化の進展に伴い開発が進められている。
【0003】
FinFETの一例としては、特開2005−86024号公報(特許文献1:対応米国特許US7129550(B2))に半導体装置及びその製造方法が開示されている。この半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成されて第1方向に長くて第1方向に交差する第2方向に短いフィン状の半導体層と、半導体層の第2方向の側面に形成されるゲート絶縁層と、ゲート絶縁層に隣接して配置されるゲート電極と、半導体層内のゲート絶縁層に隣接する位置に形成されるチャネル領域と、半導体層内においてチャネル領域に対し第1方向に隣接する位置に形成されるソース/ドレインエクステンション領域と、半導体層内においてソース/ドレインエクステンション領域に対し第1方向に隣接する位置に形成されるソース/ドレイン領域とを具備する。チャネル領域における半導体層の第2方向の幅は、ソース/ドレイン領域における半導体層の第2方向の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0004】
また、関連する技術として、M.Guillorn,et al.,“FinFET Performance Advantage at 22nm:An AC perspective”,2008 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers,pp.12−13,(2008)にFinFETの技術が開示されている(非特許文献1)。この文献では、FinFETの欠点として寄生抵抗が大きいことが述べられている。そして、その解決方法としてソース/ドレイン領域(SD領域)にシリコンをエピタキシャル成長させて、その寄生抵抗を低減する技術が開示されている。
【0005】
また、関連する技術として、特開2005−19996号公報(特許文献2:対応米国特許US6911383(B2))にハイブリッド・プレーナおよびFinFETCMOSデバイスが開示されている。この集積半導体回路を形成するための方法は、埋込み絶縁層上に位置する少なくとも1つの頂部半導体層を含むシリコン・オン・インシュレータ構造を提供するステップであって、頂部半導体層が、前記構造のFinFET領域内に位置する少なくとも1つのパターン化されたハードマスクと構造のFET領域内に位置する少なくとも1つのパターン化されたハードマスクとを有する、ステップと、FET領域を保護し、FinFET領域内の少なくとも1つのパターン化されたハードマスクをトリミングするステップと、埋込み絶縁体層上のハードマスク・ストッピングで保護されていない頂部半導体の露出部分をエッチングするステップであって、エッチングが、FinFET能動デバイス領域およびFET能動デバイス領域を形成し、FinFET能動デバイス領域がFET能動デバイス領域に垂直である、ステップと、FinFET能動デバイス領域を保護し、及びFET能動デバイス領域を薄くして、その結果FETデバイス領域が、FinFET能動デバイス領域の高さより低くなるようにするステップと、FinFET能動デバイス領域の各露出垂直面上にゲート誘電体を形成し、一方で、FETデバイス領域の露出水平面上にゲート誘電体を形成するステップと、ゲート誘電体の各露出面上に、パターン化されたゲート電極を形成するステップとを有する。
【0006】
また、特開2004−88101号公報(特許文献3:対応米国特許US7163851(B2))に集積回路チップおよびその製造方法が開示されている。この集積回路チップは、少なくとも1つのフィン型電界効果トランジスタと少なくとも1つの厚ボディ・デバイスとを備える。この集積回路チップは、少なくとも1つのフィン型電界効果トランジスタと少なくとも1つの厚ボディ・デバイスとが同時並行的に形成されている。
【0007】
また、WO2005/020325号公報(特許文献4)に半導体装置及びその製造方法が開示されている。この半導体装置は、基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有するMIS型電界効果トランジスタを備える。この半導体装置である。1つのチップ内に、MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−86024号公報
【特許文献2】特開2005−19996号公報
【特許文献3】特開2004−88101号公報
【特許文献4】WO2005/020325号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M.Guillorn,et al.,“FinFET Performance Advantage at 22nm:An AC perspective”,2008 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers,pp.12−13,(2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
半導体装置は、主に論理演算を行うコアトランジスタと、外部とのデータ入出力を行う高耐圧用のI/Oトランジスタとで構成されている。これらのトランジスタを、FinFETを用いて作製する場合について検討する。
【0011】
不純物層形成の工程において、チャネル面としてフィンの上部だけでなく側面にもエクステンション注入及びハロー注入を行う必要がある。しかし、フィンが複数ある場合、フィン同士の間隔が狭いために、典型的なイオン注入装置では、シャドウイングが起きてしまいイオン注入が困難になる。そのため、FinFETに対しては、イオン注入の代替として、プラズマドーピングが検討されている。FinFETの不純物層形成の工程にプラズマドーピングを用いると、散乱と拡散により、フィン同士の間隔が狭い場合でも、チャネル面に不純物を注入することができる。しかし、散乱と拡散を原理とするため、イオン注入の場合と比較して、不純物を深く注入することができない。そのため、注入用のマスク酸化膜をできるだけ薄くする必要がある。
【0012】
ここで、高耐圧用のI/Oトランジスタは、コアトランジスタと比較して、ゲート絶縁膜が厚くする必要がある。その場合、フィンゲート形成後、コアトランジスタのソース/ドレイン領域(SD領域)では酸化膜は例えば2nm以下であるが、高耐圧用のI/OトランジスタはSD領域に厚い酸化膜が形成された状態となる。そうなると、プラズマドーピングではエクステンション領域に注入が困難になると考えられる。したがって、FinFETでは、ゲート絶縁膜を厚くして耐圧を向上させることは困難である。
【0013】
このように、22nmノード以降の半導体装置において、コアトランジスタ及びI/OトランジスタをいずれもFinFETを用いて作製することは、極めて困難であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0015】
本発明の半導体装置は、 FinFET(Fin Field Effect Transistor)(10)と、FinFET(10)と同一のチップ上に設けられたPlanarFET(Planar Field Effect Transistor)(20)とを具備する。PlanarFETの第2ゲート絶縁層(24)は、FinFET(10)の第1ゲート絶縁層(14)よりも厚い。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法は、以下の8工程を具備する。第1工程は、複数のフィン(19)を有するFinFET(Fin Field Effect Transistor)(10)を形成する第1領域と、PlanarFET(Planar Field Effect Transistor)(20)を形成する第2領域とを覆い、第2領域での膜厚が第1領域での膜厚よりも厚くなるように第1絶縁膜(12a/22a)を形成する工程である。第2工程は、第1絶縁膜(12a/22a)を覆うように、第2絶縁膜(13a/23a)及び第1導電体(15a/25a)を形成する工程である。第3工程は、第1領域においてFinFET(10)の第1ゲート電極(15)を形成し、第2領域においてPlanarFET(20)の第2ゲート電極(25)を形成するように、第1導電体(15a/25a)をエッチングによりパターンニングする工程である。ここで、第1領域の上面の第2絶縁膜(13a)、及び、第2領域の第2絶縁膜(23a)はエッチングにより除去される。第4工程は、第1領域において第1ゲート電極(15)下以外の第2絶縁膜(13a)及び第1絶縁膜(12a)、及び、第2領域において第2ゲート電極(25)下以外の第1絶縁膜(22a)の上部をエッチングにより除去する工程である。第5工程は、第1領域において、第1ゲート電極(15)をマスクとして、複数のフィン(19)にプラズマドーピングで第1エクステンション領域(17)を形成する工程である。第6工程は、第2領域において、第2ゲート電極(25)をマスクとして、イオン注入又はプラズマドーピングで第2エクステンション領域(27)を形成する工程である。第7工程は、第1ゲート電極(15)及び第2ゲート電極(25)の側面にそれぞれ第1側壁(16)及び第2側壁(26)を形成する工程である。第8工程は、第1領域において第1ゲート電極(15)及び第1側壁(16)をマスクとし、第2領域において第2ゲート電極(25)及び第2側壁(26)をマスクとして、イオン注入でFinFET(10)及びPlanarFET(20)のソース(18S/28S)及びドレイン(18D/28D)をそれぞれ形成する工程である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、半導体装置全体としてみたとき、微細化によるチップ面積の減少を図りつつ、各素子に必要とされる特性を維持・向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すAA’断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すBB’断面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すCC’断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すDD’断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5B】図5Bは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5C】図5Cは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5D】図5Dは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6C】図6Cは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6D】図6Dは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7B】図7Bは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7C】図7Cは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7D】図7Dは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8B】図8Bは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8C】図8Cは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8D】図8Dは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9B】図9Bは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9C】図9Cは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9D】図9Dは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成の変形例を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成の他の変形例を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の他の構成を示すAA’断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の他の構成を示すDD’断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の更に他の構成を示すAA’断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の更に他の構成を示すDD’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置及び半導体装置の製造方法について説明する。
本発明の半導体装置は、同一チップ上にFinFETとPlanarFETとを混載されている。すなわち、同一チップにおいて、高い動作速度と微細化が要求されるトランジスタ(例えば、ロジックのプリミティブトランジスタやSRAMのセルトランジスタ)はFinFETで構成し、高ゲート絶縁膜耐性が要求されるトランジスタ(例えば、アナログ、I/O系のトランジスタ)はPlanarFETで構成する。ただし、FETはMOS(Metal Oxide Semiconductor)FETに例示される。このようにすることで、高性能で微細なFinFETと、高ゲート絶縁膜耐性を持つI/O系のPlanarFETとを1チップ上に実現できる。この場合、FinFETはゲート長が相対的に短いことが好ましい。FinFETの上記特性を発揮しやすくなるからである。一方、PlanarFETは、ゲート長が相対的長くても問題ない。動作速度が相対的に遅いからである。以下、詳細に説明する。
【0020】
まず、FinFETについて説明する。図1、図2A〜図2Cは、それぞれ本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す平面図、図1におけるAA’断面図、BB’断面図、CC’断面図である。FinFET10は、半導体基板11、ソース18(S)、ドレイン18(D)、ゲート電極15、エクステンション領域17、ゲート絶縁層14、サイドウォール16、オフセットスペーサ62を具備する。
【0021】
半導体基板11は、第1導電型(例示:p型)の半導体層である。半導体基板11は、シリコンに例示される。半導体基板11は、ソース(S)及びドレイン(D)用に設けられた領域と、チャネル領域用に設けられた複数のフィン19を含んでいる。ソース及びドレイン用に設けられた領域は、略直方体の平板形状を有し、x方向に並んで設けられている。複数のフィン19は、それぞれ略直方体のフィン型形状を有し、x方向に延伸し、y方向に互いに平行に並んで設けられている。複数のフィン19の各々は、一端をソース用に設けられた領域に、他端をドレイン用に設けられた領域にそれぞれ接続されている。
【0022】
ソース18(S)及びドレイン18(D)は、第2導電型(例示:n型)の半導体層である。それぞれ半導体基板11におけるソース及びドレイン用に設けられた領域の表面領域に設けられている。ソース18(S)は、更に複数のフィン19の表面領域のソース18(S)側サイドウォール16下まで延びている。ドレイン18(D)は、更に複数のフィン19の表面領域のドレイン18(D)側サイドウォール16下まで延びている。
【0023】
エクステンション領域17は、ソース18(S)及びドレイン18(D)よりも低濃度の第2導電型(例示:n型)の半導体層である。複数のフィン19の表面領域に設けられ、ソース18(S)及びドレイン18(D)の先端からサイドウォール16及びオフセットスペーサ62下に延在し、チャネル領域に僅かにオーバーラップしている。複数のフィン19の表面領域であって、ソース(S)側のエクステンション領域17と、ドレイン(D)側のエクステンション領域17との間の領域がチャネル領域50(50a、50b)となる。
【0024】
ゲート絶縁層14は、チャネル領域50を覆うように設けられ、第1絶縁層12と、第2絶縁層13とを備える。第1絶縁層12は、チャネル領域50上に設けられている。第2絶縁層13は、第1絶縁層12上に設けられている。第1絶縁層12は酸化シリコン(SiOx)に例示され、膜厚は例えば0.5nmである。第2絶縁層13は高誘電率材料(High−k)で形成され、窒化ハフニウムシリケート(HfSiOxNy)や酸化ハフニウム(HfOz)に例示され、膜厚は例えば2nmである。
【0025】
ゲート電極15は、ゲート絶縁層14上に設けられている。ゲート電極15は、y方向に延伸し、複数のフィン19を覆うように設けられている。すなわち、ゲート電極15は、ゲート絶縁層14を介してフィン19と接続されている。そして、ゲート絶縁層14を介してゲート電極15と接続されたフィン19の表面領域がチャネル領域50(50a、50b)になる。ゲート電極15は、金属や窒化チタン(TiN)/アモルファスシリコン層などに例示される。ゲート長Lg1はフィン19におけるチャネル領域50のx方向長さ(実質的にゲート電極15の幅)である。
【0026】
サイドウォール(側壁)16は、ゲート電極15の側壁及びエクステンション領域17を覆うように設けられているまた、フィン19の側壁を覆うように設けられている。サイドウォール16は、窒化シリコン(SiNy)や、窒化シリコンと酸化シリコンの積層膜(SiNy/SiOx)に例示される。また、オフセットスペーサ62は、サイドウォール16とゲート電極15との間に設けられている。オフセットスペーサ62は、3〜5nm程度の窒化シリコン(SiNy)に例示される。
【0027】
次に、PlanarFET20について説明する。図3、図4は、それぞれ本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す平面図、図1におけるDD’断面図である。PlanarFET20は、MOSトランジスタに例示される。PlanarFET20は、半導体基板21、ソース28(S)、ドレイン28(D)、ゲート電極25、エクステンション領域27、ゲート絶縁層24、サイドウォール26、オフセットスペーサ65を具備する。
【0028】
半導体基板21は、第1導電型(例示:p型)の半導体層である。半導体基板21は、シリコンに例示される。
【0029】
ソース28(S)及びドレイン28(D)は、第2導電型(例示:n型)の半導体層である。それぞれ半導体基板21の表面領域に設けられている。ソース28(S)は、表面領域のソース28(S)側サイドウォール26下まで延びている。ドレイン28(D)は、表面領域のドレイン28(D)側サイドウォール26下まで延びている。
【0030】
エクステンション領域27は、ソース28(S)及びドレイン28(D)よりも低濃度の第2導電型(例示:n型)の半導体層である。半導体基板21の表面領域に設けられ、ソース18(S)及びドレイン18(D)の先端からサイドウォール26及びオフセットスペーサ65下に延在し、チャネル領域に僅かにオーバーラップしている。半導体基板21の表面領域であって、ソース(S)側のエクステンション領域27と、ドレイン(D)側のエクステンション領域27との間の領域がチャネル領域51となる。
【0031】
ゲート絶縁層24は、チャネル領域51及びエクステンション領域27を覆うように設けられ、第1絶縁層22と第2絶縁層23とを備える。第1絶縁層22は、チャネル領域51及びエクステンション領域27上に設けられている。第2絶縁層23は、チャネル領域51上方の第1絶縁層22上及びエクステンション領域27の端部上方の第1絶縁層22上に設けられている。第1絶縁層22は酸化シリコン(SiOx)に例示され、膜厚は例えば7nmである。第2絶縁層23は高誘電率材料(High−k)で形成され、窒化ハフニウムシリケート(HfSiOxNy)や酸化ハフニウム(HfOz)に例示され、膜厚は例えば2nmである。
【0032】
ゲート電極25は、ゲート絶縁層24上(チャネル領域51上方の第2絶縁層23上)に設けられている。ゲート電極25は、y方向に延伸すように設けられている。そして、ゲート絶縁層24を介してゲート電極25と接続された半導体基板21の表面領域がチャネル領域51になる。ゲート電極25は、金属や窒化チタン(TiN)/アモルファスシリコン層などに例示される。ゲート長Lg2は半導体基板21におけるチャネル領域51のx方向長さ(実質的にゲート電極25の幅)である。
【0033】
サイドウォール(側壁)26は、ゲート電極25の側壁及び第1絶縁層22(エクステンション領域27上)を覆うように設けられている。サイドウォール26は、窒化シリコン(SiNy)や、窒化シリコンと酸化シリコンの積層膜(SiNy/SiOx)に例示される。また、オフセットスペーサ65は、サイドウォール26とゲート電極25との間に設けられている。オフセットスペーサ62は、3〜5nmの窒化シリコン(SiNy)に例示される。
【0034】
FinFET10は、PlanarFET20と比較して、短チャネル効果耐性が高く、ランダムばらつきを低減できる、というメリットがある。従って、本実施の形態では、ゲート長の短く、ゲート絶縁層の膜厚が小さいトランジスタ(例えば、ロジックのプリミティブトランジスタやSRAMのセルトランジスタ)をFinFETで構成することが好ましい。それにより、高性能のトランジスタの微細化を促進することができる。
一方、PlanarFET20は、デバイス構造が3次元化され製造が困難なFinFET10と比較して、製造が容易で、特にゲート絶縁層の品質が良い、というメリットがある。例えば、ゲート絶縁層の均一性が良く、FinFET10のようなチャネル領域50の角部における電界集中がない。従って、本実施の形態では、ゲート長の長く、ゲート絶縁層の膜厚が大きいトランジスタ(例えば、アナログ、I/O系のトランジスタ)をPlanarFETで構成することが好ましい。それにより、トランジスタのゲート絶縁膜の高い耐性(信頼性)を得ることができる。
そして、これらの構成にすることにより、高性能微細FinFETと、高いゲート絶縁膜耐性を持つI/O系のPlanarFETとを1チップ上に実現できる。
【0035】
次に、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図5A〜図5D乃至図9A〜図9Dは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。ただし、図5A、図6A、図7A、図8A及び図9Aは、図1のAA’断面図である。図5B、図6B、図7B、図8B及び図9Bは、図1のBB’断面図である。図5C、図6C、図7C、図8C及び図9Cは、図1のCC’断面図である。これらはFinFET10の形成工程を示している。図5D、図6D、図7D、図8D及び図9Dは、図2のDD’断面図である。これらはPlanarFET20の形成工程を示している。これらFinFET10とPlanarFET20とは同一のチップ上に形成される。また、図5A、図5B、図5C、及び図5Dは、半導体装置の製造方法における同じタイミングでの各部の状態を示している。図6A、図6B、図6C、及び図6Dは、半導体装置の製造方法における同じタイミングでの各部の状態を示している。図7A、図7B、図7C、及び図7Dは、半導体装置の製造方法における同じタイミングでの各部の状態を示している。図8A、図8B、図8C、及び図8Dは、半導体装置の製造方法における同じタイミングでの各部の状態を示している。図9A、図9B、図9C、及び図9Dは、半導体装置の製造方法における同じタイミングでの各部の状態を示している。
【0036】
図5A〜図5Cに示されるように、まず、半導体基板11(例示:p型シリコン)において、FinFET10を形成する領域(第1領域)に、ソース(S)及びドレイン(D)用の領域と、チャネル用の複数のフィン19とが形成される。ただし、ソース(S)及びドレイン(D)用の領域は、略直方体の平板形状を有し、x方向に並んで設けられる。複数のフィン19は、それぞれ略直方体のフィン型形状を有し、x方向に延伸し、y方向に互いに平行に並んで設けられる。複数のフィン19の各々は、一端をソース(S)用の領域に、他端をドレイン(D)用の領域にそれぞれ接続される。次に、半導体基板11を覆うように、第1絶縁膜12a(例示:酸化シリコン)を、例えばISSG(In−Situ Steam Generataion)酸化法により0.5nm程度形成する。続いて、第1絶縁膜12aを覆うように第2絶縁膜13a(例示:窒化ハフニウムシリケート)を、例えばCVD法により2nm程度形成する。続いて、ゲート電極膜15aを、例えばスパッタ法により40−45nm程度形成する。ゲート電極膜としては、例えば、5nmのTiN上にアモルファスシリコンが40nm形成された膜が用いられる。TiN上にアモルファスシリコンが積層された構造にしているのは、後述するエクステンション領域の形成に用いるレジストの剥離液であるSPM(硫酸過酸化水素;Salfaricacid Hydrogen Peroxide)溶液によりTiNがエッチングされてしまうのを防ぐためである。その他のゲート電極膜としては、単層で構成されるW、TaSi、TaSiNなどが例示される。これらの金属ではレジスト剥離液でエッチングされるという問題がないため、表面をアモルファスシリコンで覆う必要はない。
【0037】
一方、図5Dに示されるように、半導体基板21(例示:p型シリコン)において、PlanarFET20を形成する領域(第2領域)に、半導体基板21を覆うように、第1絶縁膜22a(例示:酸化シリコン)を、例えばISSG酸化法により7nm程度形成する。続いて、第1絶縁膜22aを覆うように第2絶縁膜23a(例示:窒化ハフニウムシリケート)を、例えばCVD法により2nm程度形成する。続いて、ゲート電極膜25a(例示:窒化チタン)を、例えばスパッタ法により40−45nm程度形成する。ゲート電極膜としては、例えば、5nmのTiN上にアモルファスシリコンが40nm形成された膜が用いられる。TiN上にアモルファスシリコンが積層された構造にしているのは、後述するエクステンション領域の形成に用いるレジストの剥離液であるSPM(硫酸過酸化水素;Salfaricacid Hydrogen Peroxide)溶液によりTiNがエッチングされてしまうのを防ぐためである。その他のゲート電極膜としては、単層で構成されるW、TaSi、TaSiNなどが例示される。これらの金属ではレジスト剥離液でエッチングされるという問題がないため、表面をアモルファスシリコンで覆う必要はない。
【0038】
ただし、半導体基板11と半導体基板21とは同一である。まず、第1絶縁膜22aを成膜した後、第2領域の第1絶縁膜22aをレジスト等で被覆して、第1領域の第1絶縁膜22aのみウエットエッチングして除去する。続いて、薄膜の第1絶縁膜12aを成膜した後、第2絶縁膜13a及び第2絶縁膜23aを成膜する。ただし、この場合、第2絶縁膜13aと第2絶縁膜23aとは同一膜である。すなわち、第1領域の第1絶縁膜12aと第2絶縁膜13aとの積層膜は全体として相対的に薄く、第2領域の第1絶縁膜22aと第2絶縁膜23aとの積層膜は全体として相対的に厚くなる。この結果、FinFET用のゲート絶縁膜14aは全体として薄くなり(例えば2.5nm程度)、PlanarFET用のゲート酸化膜24aは全体として厚くなる(例えば9nm)。ゲート電極膜15aとゲート電極膜25aとは膜が同じ場合、同一工程で、同一膜で形成される。なお、第2領域は、第1絶縁膜22aに対して、第2絶縁膜を形成する酸化雰囲気が追加されるが、第1絶縁膜22aは12aに対して相対的に厚く、第1絶縁膜22aの成長が飽和しているため、図示されるように実質的に第1絶縁膜22aと第2絶縁膜23aとの積層膜とみなすことができる。
【0039】
次に、図6A〜図6Cに示されるように、ゲート電極膜15aをフォトリソグラフィ及びRIE(Reactive Ion Etching)により、所定のゲートパターンにエッチングする。それにより、y方向に延伸し、複数のフィン19を覆うようにゲート電極15が形成される。それとともに、半導体基板11の上面(フィン19の上面を含む)におけるゲート電極15に覆われていない第2絶縁膜13aもエッチングされ、ゲート電極15直下に第2絶縁層13が形成される。ただし、フィン19の側面の第2絶縁膜13aは残存している。
一方、図6Dに示されるように、ゲート電極膜25aをRIEにより、所定のゲートパターンにエッチングする。それにより、y方向に延伸すようにゲート電極25が形成される。それとともに、半導体基板21の上面におけるゲート電極25に覆われていない第2絶縁膜23aもエッチングされ、ゲート電極25直下に第2絶縁層23が形成される。
ただし、ゲート電極15及び第2絶縁層13と、ゲート電極25及び第2絶縁層23とは、同一の工程で形成される。
【0040】
次に、図7A〜図7Cに示されるように、フィン19の側面の第2絶縁膜13aをウエットエッチングにより除去する。そのとき、第2絶縁膜13aの除去により露出した第1絶縁膜12aや、もともと露出していた第1絶縁膜12aも同時に除去される。それにより、ゲート電極15直下の第2絶縁層13の直下に第1絶縁層12が形成される。続いて、シリコン窒化膜を3nm成膜し、RIEによりエッチバックして、オフセットスペーサ62を形成する。その後、半導体基板11のフィン19の表面領域に、ゲート電極15をマスクとして、ハロー注入(例示:Bイオン)及びエクステンション注入(例示:Asイオン)を、プラズマドーピングにより行う。その結果、ゲート電極15直下の領域を除いた、半導体基板11のフィン19の表面領域に、エクステンション領域17が形成される。プラズマドーピングを用いると、散乱と拡散の原理により、チャネル面となるフィン19の表面領域に不純物イオンが注入される。ただし、ハロー注入は素子特性に応じて省略しても良い。
【0041】
上記イオンのドーピングにおいて、フィン19の表面領域の一部(側壁部分)に、薄膜の絶縁膜であるオフセットスペーサ62が存在するのみである。そのため、散乱と拡散の原理を用いるエネルギーの相対的に低いプラズマドーピングを用いても、不純物イオンを確実に注入することができる。また、フィン19同士の間隔が狭いため、通常のイオン注入装置による不純物イオンの注入では、シャドウイングが発生しやすい。しかし、本実施の形態では散乱と拡散の原理によるプラズマドーピングを用いることで、シャドウイングが発生せず、不純物イオンを確実に注入することができる。
【0042】
一方、図7Dに示されるように、図7A〜図7Cでのウエットエッチングにより、表面に露出している第1絶縁膜22aの表面が一部エッチングされる。ただし、第1絶縁膜22aの膜厚は、第1絶縁膜12aの膜厚よりも厚いため、本ウエットエッチングにおいても第1絶縁膜22aの大部分は残存し、図7Dのように第1絶縁層22が形成される。続いて、シリコン窒化膜を3nm成膜し、RIEによりエッチバックして、オフセットスペーサ65を形成する。この工程は図7A〜図7Cでのオフセットスペーサ62と同時に形成される。その後、半導体基板21の表面領域に、ゲート電極25をマスクとして、ハロー注入(例示:Bイオン)及びエクステンション注入(例示:Asイオン)を、イオン注入又はプラズマドーピングにより行う。その結果、ゲート電極25直下を除いた、半導体基板21の表面領域に、エクステンション領域27が形成される。
【0043】
ただし、第1絶縁膜12a及び第1絶縁膜22aのウエットエッチングは、同一の工程で実行される。一方、エクステンション領域17とエクステンション領域27とは、レジストマスクを用いて別々に形成される。例えば、PlanarFET20を形成する領域(第2領域)をレジストマスクして、FinFET10を形成する領域(第1領域)に対してプラズマドーピングを行う。次にレジスト剥離を行い、FinFET10を形成する領域(第1領域)をレジストマスクして、PlanarFET20を形成する領域(第2領域)に対してイオン注入またはプラズマドーピングを行う。最後にレジストマスクを剥離する。レジスト剥離工程では、SPM溶液が剥離液として用いられるため、ゲート電極15、25のTiNが露出しているとTiNがエッチングされてしまう。これを防ぐために、ゲート電極15、25において、TiNの上にはアモルファスシリコンが覆い、TiNの側面にはオフセットスペーサ62、65が覆うことで、TiNがエッチングされないようにしてある。
【0044】
次に、図8A〜図8Cに示されるように、半導体基板11やゲート電極15を覆うように、オフセット膜16a(例示:窒化シリコン)を、例えばCVD法により膜厚20nm程度成膜する。
一方、図8Dに示されるように、半導体基板21やゲート電極25を覆うように、オフセット膜26a(例示:窒化シリコン)を、例えばCVD法により膜厚20nm程度成膜する。
ただし、オフセット膜16aとオフセット膜26aとは、同一工程で、同一膜で形成される。
【0045】
次に、図9A〜図9Cに示されるように、オフセット膜16aをエッチバックして、ゲート電極15の側面にサイドウォール16を形成する。その後、半導体基板11の表面領域に、ゲート電極15をマスクとして、拡散層用の不純物注入(例示:Asイオン)を、イオン注入により行う。その結果、ゲート電極15及びサイドウォール16直下を除いた、半導体基板11の表面領域に、ソース(S)18及びドレイン(D)18が形成される。
一方、図9Dに示されるように、オフセット膜26aをエッチバックして、ゲート電極25の側面にサイドウォール26を形成する。その後、半導体基板21の表面領域に、ゲート電極25をマスクとして、拡散層用の不純物注入(例示:Asイオン)をイオン注入により行う。その結果、ゲート電極25及びサイドウォール26直下を除いた、半導体基板21の表面領域に、ソース(S)28及びドレイン(D)28が形成される。
ただし、オフセット膜16a及びオフセット膜26aのエッチバックは同一工程で行われる。また、ソース(S)18及びドレイン(D)18とソース(S)28及びドレイン(D)28とは、同一工程で形成される。
【0046】
以上の工程により、同一チップ上にFinFET10とPlanarFET20とを混載して形成するという本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を実施することができる。
【0047】
なお、以上の製造方法では、オフセットスペーサ62、65として、シリコン窒化膜を3nm成膜した後、RIEによりエッチバックしてゲート電極15、25の側壁に形成する例を説明した。しかし、オフセットスペーサ62、65は、シリコン窒化膜を成膜するだけとし、RIEでエッチバックしないようにしてもよい。この場合、エッチバック工程が無いため、エクステンション注入領域17が形成されるフィン19にドライエッチングによるダメージ層が形成されないという利点がある。この場合、FinFET10における図1のAA’断面図は図12のようになる。またPlanarFET20のDD’断面図は図13のようになる。この場合、そのシリコン窒化膜は、ゲート電極15、25の側壁のサイドウォール16、26を形成するときのエッチバックにより、オフセットスペーサ62、65の形状となる。
【0048】
また、ゲート電極15、25が、W、TaSi、TaSiNなどの単層膜で構成される場合、SPM溶液等のレジスト剥離液によりゲート電極がエッチングされる心配が無いので、オフセットスペーサ62、65を無くしても良い。この場合のFinFET10の図1のAA’断面図は図14のようになる。また、PlanarFET20のDD’断面図は図15のようになる。
【0049】
なお、FinFET10は、PlanarFET20と比較して寄生抵抗が大きい。これを回避するため、ソース(S)18及びドレイン(D)18の領域に、シリコンをエピタキシャル成長させる構造としても良い。それを示したのが、図10である。すなわち、図10は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成の変形例を示す断面図である。図1におけるAA’断面に対応する。ソース(S)18及びドレイン(D)18の領域に膜厚Tepiのシリコンエピ層(シリコンエピタキシャル層)31が形成されている。このような構成により、FinFET10において、寄生抵抗を低減することができる(非特許文献1参照)。一方、シリコンをエピタキシャル成長させる場合の欠点として、ゲート電極とソース及びドレインとの間の寄生容量の増大が挙げられる。ゲート長が比較的長いPlanarFET20ではチャネル抵抗がそれほど低くなく、寄生抵抗の寄与は小さい。このため、寄生抵抗低減のためのシリコンのエピタキシャル成長は、FinFET10のみに行うことがデバイス特性上望ましい。すなわち、FinFET10にはシリコンのエピタキシャル成長を行い、PlanarFET20にはシリコンのエピタキシャル成長を行わない構造とすることが好ましい。
【0050】
また、FinFET10において、フィン19の上部に、絶縁層を設けてもよい。それを示したのが、図11である。すなわち、図11は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成の他の変形例を示す断面図である。図1におけるBB’断面に対応する。フィン19の上部に絶縁層34(例示:酸化シリコン、窒化シリコン)が設けられている。それにより、フィン19中のチャネル領域を側面だけに限定することができる。これは、側面の面方位が上面の面方位に比較して、チャネル領域としてキャリア移動度が高い場合、有効であると考えられる。例えば、p型シリコンのFinFET10において、上面の面方位(100)であり側面の面方位(110)である場合、(110)のチャネル領域のキャリア移動度は、(100)のキャリア移動度の1.5倍程度となる。従って、絶縁層34を上面(100)上に形成することで、当該部分にゲート電圧が印加され難くなり、チャネル領域として上面(100)を用いず、側面(110)のみを用いることができる。
【0051】
半導体装置をFinFETのみで構成した場合、I/O系の高耐圧トランジスタを実現することは非常に困難である。FinFETはチャネルが三次元構造でありチャネルに角が存在するため、チャネル角に形成された絶縁膜の耐性は低く、高耐圧を実現できないからである。一方、半導体装置をPlanarFETのみで構成した場合、短チャネル効果耐性が高くランダムばらつきの小さい高性能微細トランジスタを実現できない。
しかし、本発明は、同一チップ上にFinFETとPlanarFETとを混載させる。すなわち、ゲート長の短いトランジスタはFinFETで構成する。それにより、短チャネル効果耐性が高く、ランダムばらつきの小さい高性能で微細なトランジスタを実現できる。一方、ゲート長が長く、高耐圧が求められるI/O系、アナログ系のトランジスタ(ゲート絶縁膜が厚い)はPlanarFETで構成する。それにより、製造上の観点から困難である長いFin(ゲート長が長いトランジスタを形成する場合、必然的に長いFinを形成する必要がある)を形成する必要がなく、ゲート長が長く、ゲート絶縁膜が厚いI/O系、アナログ系のトランジスタを実現できる。この結果、半導体装置全体としてみたとき、微細化によるチップ面積の減少を図りつつ、各素子に必要とされる特性を維持・向上させることができる。
【0052】
更に、本発明において、好ましくは、FinFETにおいてソース及びドレインの領域にシリコンをエピタキシャル成長させ、ソース及びドレイン領域をせり上げ、一方、PlanarFETにおいてシリコンをエピタキシャル成長させない構造とする。それにより、PlanarFETでのゲート電極とソース及びドレインとの間の寄生容量の増大を抑制しつつ、FinFETの寄生抵抗低減を低減することができる。
【0053】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、上記の各技術は互いに矛盾の発生しない限り、適宜組み合わせて用いることができる。例えば、図10や図11に記載の技術は、それぞれ他の構成(図2A/図4、図12/図13、図14/図15など)と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 FinFET
11 半導体基板
12 第1絶縁層
13 第2絶縁層
14 ゲート絶縁層
15 ゲート電極
16 サイドウォール
17 エクステンション領域
18(S) ソース
18(D) ドレイン
19 フィン
20 PlanarFET
21 半導体基板
22 第1絶縁層
23 第2絶縁層
24 ゲート絶縁層
25 ゲート電極
26 サイドウォール
27 エクステンション領域
28(S) ソース
28(D) ドレイン
31 シリコンエピ層
34 絶縁層
50、50a、50b、51、51a、51b チャネル領域
62、65 オフセットスペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FinFET(Fin Field Effect Transistor)と、
前記FinFETと同一のチップ上に設けられたPlanarFET(Planar Field Effect Transistor)と
を具備し、
前記PlanarFETの第2ゲート絶縁層は、前記FinFETの第1ゲート絶縁層よりも厚い
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記PlanarFETの第2ゲート電極の側面に設けられた第2側壁下には前記第2ゲート絶縁層が存在し、
前記FinFETの第1ゲート電極の側面に設けられた第1側壁下には前記第1ゲート絶縁層が存在しない
半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記PlanarFETのゲート長は、前記FinFETのゲート長より長い
半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記PlanarFETは、前記第2ゲート電極と前記第2側壁との間に設けられた第2オフセットスペーサを備え、
前記FinFETは、前記第1ゲート電極と前記第1側壁との間に設けられた第1オフセットスペーサを備える
半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第2オフセットスペーサは、更に、前記第2側壁と前記第2ゲート絶縁膜との間に伸び、
前記第1オフセットスペーサは、更に、前記第1側壁と半導体基板表面との間に伸びる
半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記FinFETのソース及びドレインの上面は、前記第1ゲート絶縁層と第1チャネル領域との界面よりもせり上がり、
前記PlanarFETのソース領域及びドレイン領域の上面は、前記第1ゲート絶縁層と第2チャネル領域との界面と同じレベルである
半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記FinFETは、コアトランジスタであり、
前記PlanarFETは、I/Oトランジスタである
半導体装置。
【請求項8】
複数のフィンを有するFinFET(Fin Field Effect Transistor)を形成する第1領域と、PlanarFET(Planar Field Effect Transistor)を形成する第2領域とを覆い、前記第2領域での膜厚が前記第1領域での膜厚よりも厚くなるように第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜を覆うように、第2絶縁膜及び第1導電体を形成する工程と、
前記第1領域において前記FinFETの第1ゲート電極を形成し、前記第2領域において前記PlanarFETの第2ゲート電極を形成するように、前記第1導電体をエッチングによりパターンニングする工程と、ここで、前記第1領域の上面の前記第2絶縁膜、及び、前記第2領域の前記第2絶縁膜はエッチングにより除去され、
前記第1領域において前記第1ゲート電極下以外の前記第2絶縁膜及び前記第1絶縁膜、及び、前記第2領域において前記第2ゲート電極下以外の前記第1絶縁膜の上部をエッチングにより除去する工程と、
前記第1領域において、前記第1ゲート電極をマスクとして、前記複数のフィンにプラズマドーピングで第1エクステンション領域を形成する工程と、
前記第2領域において、前記第2ゲート電極をマスクとして、イオン注入又はプラズマドーピングで第2エクステンション領域を形成する工程と、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の側面にそれぞれ第1側壁及び第2側壁を形成する工程と、
前記第1領域において前記第1ゲート電極及び前記第1側壁をマスクとし、前記第2領域において前記第2ゲート電極及び前記第2側壁をマスクとして、イオン注入で前記FinFET及び前記PlanarFETのソース及びドレインをそれぞれ形成する工程と
を具備する
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記PlanarFETのゲート長は、前記FinFETのゲート長より長い
半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1領域にて前記第2絶縁膜及び前記第1絶縁膜、及び、前記第2領域にて前記第1絶縁膜の上部をエッチングにより除去する工程に続いて、
前記第1領域及び前記第2領域を覆うように第3絶縁膜を形成する工程を更に具備する
半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3絶縁膜を形成する工程に続いて、
前記第3絶縁膜をエッチングして、前記第1領域において前記第1ゲート電極及び前記複数のフィンの側面、及び、前記第2領域において前記第2ゲート電極の側面に、それぞれ第1オフセットスペーサ及び第2オフセットスペーサを形成する工程を更に具備する
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記FinFETの前記ソース及び前記ドレインの上面を、前記第1絶縁膜と第1チャネル領域との界面よりもせり上がらせる工程を更に具備し、
前記PlanarFETの前記ソース及び前記ドレインの上面は、前記第1絶縁膜と第2チャネル領域との界面と同じレベルである
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記FinFETは、コアトランジスタであり、
前記PlanarFETは、I/Oトランジスタ
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−258124(P2010−258124A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104723(P2009−104723)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】