半導体装置
【課題】ソース電極およびドレイン電極と、チャネル領域との間に形成されるショットキー障壁を共鳴障壁とすることによって、モノリシックな、微分負性抵抗特性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】金属を含有するソース電極102と、金属を含有するドレイン電極104と、このソース電極102とこのドレイン電極104とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域106とを備える半導体装置であって、ソース電極102およびドレイン電極104と、チャネル領域106との間にショットキー障壁が形成され、これらのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作することを特徴とする半導体装置。
【解決手段】金属を含有するソース電極102と、金属を含有するドレイン電極104と、このソース電極102とこのドレイン電極104とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域106とを備える半導体装置であって、ソース電極102およびドレイン電極104と、チャネル領域106との間にショットキー障壁が形成され、これらのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作することを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、微分負性抵抗特性を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、トンネル効果による微分負性抵抗を利用したさまざまな機能素子が提案されてきている(例えば、特許文献1)。高周波の発振、増幅などに用いられる微分負性抵抗素子は、唯一単体で数100GHzの高周波を発振させることができるため、Esakiダイオードに代表されるように世界中で研究開発されている素子である。中でも、二重障壁構造を形成し、特定のエネルギーを持った電子のみが障壁を通り抜ける共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子が、その高速動作特性や室温動作能性から注目されている。
【0003】
図23に、従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子のエネルギーバンド図を示す。図23のように、例えば、GaAsをより障壁の高いAlAsで挟み込む構造を有している。そして、このような、異なる2種類以上の化合物半導体を接合したヘテロ接合障壁を共鳴障壁として利用している。
【0004】
【特許文献1】特開平6−302624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もっとも、従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子は、異なる2種類以上の化合物半導体を接合したヘテロ接合障壁利用しているため、製造工程が複雑になるという問題がある。また、一般に、ヘテロ接合を形成するプロセスの特殊性ゆえに、他の半導体素子との混載が困難となっている。このため、製造工程が簡略化でき、他の半導体素子との混載を容易にするモノリシックな、共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子が求められている。
【0006】
特に、従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子は、化合物半導体により形成されている。このため、様々な機能を高い集積度で容易に実現可能なSi−LSIと、微分負性抵抗素子との混載は不可能であった。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、ソース電極およびドレイン電極と、チャネル領域との間に形成されるショットキー障壁を共鳴障壁とすることによって、モノリシックな、微分負性抵抗特性を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の半導体装置は、金属を含有するソース電極と、金属を含有するドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域とを備える半導体装置であって、前記ソース電極および前記ドレイン電極と、前記チャネル領域との間にショットキー障壁が形成され、前記ショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記チャネル領域のエネルギーバンド図において、動作電圧印加時にキャリアが電子である場合には、前記チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈し、キャリアが正孔である場合には、前記チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈することが望ましい。
【0010】
ここで、前記チャネル領域上に、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極を有することが望ましい。
【0011】
ここで、前記半導体が真性半導体であることが望ましい。
【0012】
ここで、前記半導体がシリコンであることが望ましい。
【0013】
ここで、前記チャネル領域のチャネル長が7.5nm以上10nm以下であることが望ましい。
【0014】
ここで、前記チャネル領域が相対する2つの主面を有し、前記2つの主面上に、前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極が形成されていることが望ましい。
【0015】
ここで、SOI基板上に形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ソース電極およびドレイン電極と、チャネル領域の間に形成されるショットキー障壁を共鳴障壁とする、モノリシックな、微分負性抵抗特性を有する半導体装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の半導体装置は、金属を含有するソース電極と、金属を含有するドレイン電極と、これらのソース電極と前記ドレイン電極とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域とを備えている。そして、ソース電極およびドレイン電極と、チャネル領域との間にショットキー障壁が形成されている。そして、これらのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0019】
また、チャネル領域上に、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極を有する。また、チャネル領域を形成する半導体が、シリコンの真性半導体である。
【0020】
さらに、チャネル領域が相対する2つの主面を有し、2つの主面上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成されている、いわゆるFin型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)構造を有している。
【0021】
そして、本実施の形態の半導体装置は、動作電圧印加時に、キャリアが電子である場合には、チャネル領域のエネルギーバンド図において、チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈する。
【0022】
以下、キャリアが電子である場合を例に説明する。
【0023】
本実施の形態の半導体装置においては、動作電圧として、ゲート電極に一定のゲート電圧(Vg)が印加される。また、動作電圧として、ソース電極およびドレイン電極間にドレイン電圧(Vds)が0Vから所定の正電圧の間で印加される。
【0024】
そして、ドレイン電圧が特定の電圧範囲にある場合に、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0025】
図1は、本実施の形態の半導体装置の説明図である。図1(a)が斜視図、図1(b)がチャネル長方向に対して垂直な断面図、図1(c)が、チャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置は、例えば、シリコンの半導体基板100上に形成されている。そして、金属を含有するソース電極102と、金属を含有するドレイン電極104を備えている。このソース電極102、およびドレイン電極104は、例えば、NiSi等の金属シリサイドあるいは金属で形成される。
【0027】
そして、ソース電極102とドレイン電極104にはさまれ、不純物の導入されていない真性半導体シリコンで形成されるチャネル領域106を備えている。そして、ソース電極102とドレイン電極104との間の距離が、MISFETのチャネル長(Lch)(図1(c))となる。
【0028】
そして、このチャネル領域106が、半導体基板100に垂直な、厚さ(Tsi)(図1(b))を持って相対する2つの主面を有している。そして、この2つの主面上に、それぞれ、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜108が形成されている。そして、2つの主面上に、ゲート絶縁膜108を介して、例えば高濃度のn型ポリシリコンからなるゲート電極110が形成されている。そして、このFin型MISFETのチャネル領域106は、そのFin高さに相当するチャネル幅(Wch)(図1(b))を有している。
【0029】
なお、2つの主面上のゲート電極110は、ゲート配線120で電気的に接続されている。また、ゲート配線120とチャネル領域106の間には、例えば、シリコン窒化膜からなる絶縁膜120が形成されている。したがって、本実施の形態の半導体装置は、いわゆるダブルゲート構造を有するFin型MISFETである。
【0030】
図2には、本実施の形態の半導体装置のチャネルにおけるエネルギーバンド図を示す。図2(a)は本実施の形態の半導体装置のチャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図、図2(b)は、図2(a)のチャネル長方向に対応する動作時のエネルギーバンド図、図2(c)はゲート電圧Vgを変化させた場合のチャネル領域の伝導帯下端のポテンシャル変動を示す図である。
【0031】
まず、ソース電極102とチャネル領域106、および、ドレイン電極104とチャネル領域106との間には、図2(b)に示すように、実効的ショットキー障壁高さΦeffを有するショットキー障壁がそれぞれ形成されている。ここで、実効的ショットキー障壁高さΦeffとは、ソース電極またはドレイン電極を形成する金属を含有する材料と、チャネル領域を形成する半導体材料との間のショットキー障壁高さΦBに、チャネル領域厚さが薄くなること等による量子閉じ込め効果で変動する障壁高さ分を加味したものである(J.Guo et al.“A Computational Study of Thin−Body,Double−Gate,Shottky Barrier MOSFETs”,IEEE Trans. Electron. Devices 49, 1897(2002) 参照)。
【0032】
なお、図2(b)(c)のEfsおよびEfdはそれぞれソース電極およびドレイン電極のフェルミレベルである。
【0033】
そして、本実施の形態の半導体装置は、これら二つのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。すなわち、動作ゲート電圧が印加されている時、チャネル領域には、これらのショットキー障壁ではさまれた量子井戸が形成される。これらのショットキー障壁ではさまれた量子井戸には、量子準位が形成される。そして、ドレイン電極にドレイン電圧が印加されると、ソース電極中の電子が二つのショットキー障壁をトンネリングして、ドレイン電極に到達しドレイン電流となる。このとき、量子準位に共鳴したエネルギーを持つ電子のみがトンネリングしてドレイン電極に到達できる。そして、トンネリングする電子の量は必ずしもドレイン電圧に比例しない。このため、ドレイン電圧−ドレイン電流特性において、ドレイン電圧の増加に従いドレイン電流が減少する領域が存在するという微分負性抵抗特性を示すよう半導体装置が動作する。
【0034】
このように、本実施の形態の半導体装置は、図23に示すような従来の微分負性抵抗素子が、ヘテロ接合障壁で量子井戸を形成していたことにかえて、ソース電極およびドレイン電極とチャネル領域の半導体との間のショットキー障壁で量子井戸を形成している。
【0035】
また、本実施の形態の半導体装置は、図2(b)に示すように、動作電圧印加時に、半導体装置の動作時のチャネル領域の伝導帯下端が、下に凸の形状を呈するよう、半導体装置の構成要素の材料、構造および動作条件が決定されている。図2(b)においては、ドレイン電圧(Vds)=0Vの場合のエネルギーバンド図を示している。
【0036】
このように、チャネル領域の伝導帯下端が下に凸の形状を有することによって、ショットキー障壁ではさまれた量子井戸が形成されるため、半導体装置が微分負性抵抗を示すよう動作する。
【0037】
そして、図2(c)に示すように、チャネル領域の伝導帯下端の形状は、例えば、ゲート電圧Vgを変化させることによって、制御することが可能である。例えば、負のゲート電圧を印加することにより、チャネル領域の伝導帯下端の形状、すなわち、エネルギーバンドを上に凸になるよう変動させることが可能である。また、例えば、正のゲート電圧を印加することにより、チャネル領域の伝導帯下端の形状、すなわち、エネルギーバンドを一層下に凸になるよう変動させることが可能である。したがって、半導体装置の構成要素の材料、構造等で決定されるチャネル領域の伝導帯下端の形状が上に凸であったとしても、ゲート電極に印加する動作電圧を制御することで、微分負性抵抗動作を実現可能とすることができる。
【0038】
ここで、エネルギーバンド図において、チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈するのは、下記の条件式が充足される時である。
ΔV=Vg−{(Φm−χ)−Φeff}>0・・・(式1)
ここで、Vgは動作時に印加されるゲート電圧、Φmはゲート電極材料の仕事関数、χはチャネル領域の半導体材料の電子親和力、Φeffは電子に対する実効的なショットキー障壁高さである。
【0039】
次に、本実施の形態の半導体装置の示す微分負性抵抗特性について、シミュレーション結果を参照しつつ説明する。シミュレーションは、図1(c)に示した構造をもとに行われている。
【0040】
シミュレーションは、非平衡グリーン関数(NEGF)法(J.Guo et al.“A Computational Study of Thin−Body,Double−Gate,Shottky Barrier MOSFETs”,IEEE Trans. Electron. Devices 49, 1897(2002) 参照)により、チャネル長方向に沿ったバリスティックな量子伝導効果を一次元的に計算した。この際、チャネル領域のチャネル厚さ方向の量子閉じ込め効果もシュレーディンガー方程式を解くことにより、考慮した。そして最終的に、これらの量子伝導効果と量子閉じ込め効果を、ポアソン方程式に対して自己無憧着(self−consistent)に解いている。
【0041】
なお、シミュレーションにおいては、半導体装置のチャネル長(Lch)は10nm、ゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚(Tins)は1nmとしている。また、チャネル領域は真性シリコンとし、チャネル領域の厚さ(Tsi)は3nm、チャネル領域幅(Wch)は1μmとしている。また、チャネル長方向の電子の実効有効質量(m*)は、0.98m0としている。また、温度(T)は300Kである。
【0042】
そして、ソース電極とドレイン電極は、真性半導体シリコンとの間のショットキー障壁高さΦBが、0.75eVとなる金属または金属シリサイドを仮定している。例えば、NiSi、Au(金)あるいはPd(パラジウム)が挙げられる。実際のシミュレーションにおいては、量子閉じ込め効果を考慮して、ショットキー障壁高さは、ΦBより40mV高い0.79eVの実効ショットキー障壁高さΦeffを用いて計算している。
【0043】
また、ゲート電極材料の仕事関数(Φm)は、4.05eVとした。Φmが4.05eVとなる材料としては、P(リン)を例えば、1E20atoms/cm3以上と高濃度にドープしたn型ポリシリコンが挙げられる。
【0044】
図3は、本実施の形態の半導体装置のドレイン電圧(Vds)−ドレイン電流(Ids)特性のシミュレーション結果を示す図である。図3(a)、図3(b)および図3(c)は、それぞれ、ゲート電圧(Vg)が、0.0V、0.1V、0.2Vの場合を示す。
【0045】
図3に示すように、Vg=0.2Vで特に顕著であるが、すべてのゲート電圧範囲で、微分負性抵抗特性を示す動作をしていることがわかる。
【0046】
図4は、上記シミュレーション条件のVg=0.2Vの場合で、ドレイン電圧(Vds)を変化させた場合の、半導体装置動作時のエネルギーバンド図を示す。横軸は、チャネル長に沿った方向の距離、縦軸が電子のエネルギーである。
【0047】
図4に示すように、チャネル領域の伝導帯の下端が、動作時に下に凸の形状を呈していることがわかる。上述のように、このようにチャネル領域の伝導帯の下端が、下に凸の形状を呈することで、ショットキー障壁ではさまれた量子井戸が形成されるため、半導体装置が微分負性抵抗を示すよう動作する。
【0048】
図5は、微分負性抵抗が現れている場合の、チャネル領域中の電子状態密度をシミュレーションにより求めた結果を示す図である。図5(a)がVg=0.2V、図5(b)がVg=0.25Vの場合である。そして、横軸は、チャネル長に沿った方向の距離、縦軸が電子のエネルギーであり、電子のエネルギーが増大する方向を上と定義している。そして、図中に電子状態密度を、濃淡で示している。
【0049】
図5に示すように、微分負性抵抗が現れている場合、ソース電極側のショットキー障壁を透過して、ドレイン電極に向かう電子波が、ドレイン電極側のショットキー障壁により跳ね返されてしまい、空間電荷として局在化してしまう。特に、図5(b)のVg=0.25Vの場合で顕著である。ドレイン電圧の単調増加とともに、ソース電極側のショットキー障壁を透過する電子の数は単調増加する。
【0050】
しかしながら、ゲート電極により変調される、エネルギーバンド図における伝導帯下端の形状、すなわち、共鳴ポテンシャルの形状により、ドレイン電極側のショットキー障壁を電子がうまく通過できず、ドレイン電極までたどり着けない場合が生ずる。すなわち、ソース電極からドレイン電極への電流とならない場合が生ずる。このようなメカニズムにより、本実施の形態の半導体装置は微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0051】
次に、本実施の形態の半導体装置について、微分負性抵抗特性のチャネル長(Lch)依存性をシミュレーションした結果を図6に示す。図6(a)、図6(b)および図6(c)は、それぞれ、Lch=10nm、7.5nm、5nmの場合を示している。チャネル長以外の条件は、上述のシミュレーションの場合の条件と同様である。
【0052】
それぞれのチャネル長の場合について、ゲート電極を変調させて、微分負性抵抗特性の現出を確認している。Lch=7.5nmでは、微分負性抵抗特性のピーク(peak)−バレー(valley)比が、Lch=10nmの場合に比較して小さくなっている。そして、Lch=5nmまで小さくなると、明瞭な微分負性抵抗特性は現出していない。
【0053】
図7は、チャネル長を変化させた場合のエネルギーバンド図である。横軸は、チャネル長に沿った方向の距離、縦軸が電子のエネルギーである。また、Lch=7.5nmおよび10nmで負性抵抗特性を示す条件、すなわちドレイン電圧(Vds)が0.2V、ゲート電極(Vg)が0.2Vでのエネルギーバンド図を示している。
【0054】
図7に示すように、2つのショットキー障壁で囲まれた量子井戸の底(Bottom of Cavity)の深さは、チャネル長が短くなるにつれて浅くなる。加えて、量子井戸のポテンシャルエネルギーレベルも上昇している。
【0055】
このような場合、数の少ない高いエネルギーレベルを有する電子しか、共鳴トンネリング現象に寄与できないことになる。そして、チャネル長が短くなると、多くの原子がソース電極からドレイン電極に直接トンネリングしてしまうことになる。このような理由により、チャネル長が短くなると、微分負性抵抗特性が現出しない場合が生ずると考えられる。
【0056】
したがって、本実施の形態の半導体装置において、チャネル領域のチャネル長が7.5nm以上10nm以下であることが望ましい。ここで、上限を10nmと限定しているのは、シリコン中の電子の室温における平均自由行程がおよそ10nmであることに由来する(非特許文献、N. Sano,
“Kinetic study of velocity distributions in nanoscale semiconductor devices under room−temperature operation”, Applied Physics Letter 85,4208(2004) 参照)。すなわち、本実施の形態の半導体装置において室温動作を考える場合、10nmよりチャネル長が長くなった場合、チャネル領域で電子が散乱される確率が高まり、共鳴トンネリング現象が阻害されるおそれがあるからである。
【0057】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、図8ないし図19を参照して説明する。
【0058】
まず、図8の平面図、図8のA−A’方向の断面図である図9および図8のB−B’方向の断面図である図10に示すように、面方位(100)面の真性半導体シリコン基板100に50〜100nm程度のシリコン窒化膜等のマスク材となる絶縁膜210を堆積する。その後、リソグラフィー技術および反応性イオンエッチング(以下RIEともいう)等のエッチング技術により絶縁膜210とシリコン基板100をエッチングし、素子領域201および素子分離領域となる溝を形成する。
【0059】
次に、図11の平面図、図11のC−C’方向の断面図である図12および図11のD−D’方向の断面図である図13に示すように、素子分離領域となる溝にシリコン酸化膜等の絶縁膜215が堆積され、この絶縁膜215が化学的機械的研磨法(以下、CMPともいう)等により、絶縁膜210の上面まで平坦化され、素子分離領域が形成される。このとき、素子分離耐圧の向上や、寄生トランジスタのリーク電流低減のため、素子分離領域下にp型の不純物をイオンインプランテーション等によって導入しても構わない。その後、絶縁膜215の一部が除去され、素子領域201の側面が露出するよう溝205が形成される。
【0060】
次に、図14の平面図、図14のE−E’方向の断面図である図15および図14のF−F’方向の断面図である図16に示すように、素子領域201の側面部にゲート絶縁膜108が形成される。このゲート絶縁膜108としては、例えば、熱酸化法によるシリコン酸化膜であってもよいし、CVD(Chemical Vapor Deposition)法や、ALD(Atomic Layer Deposition)法による高誘電体膜であっても構わない。
【0061】
次に、ゲート絶縁膜108上にゲート電極110となる導電材が堆積され、溝205が埋め込まれる。その後、CMPにより、絶縁膜210の上面が露出するまで埋め込まれた導電材およびゲート絶縁膜が平坦化される。ここで、ゲート電極110となる導電材は、例えば、(ドープト)ポリシリコン、シリサイド、金属等の材料からなる。
【0062】
次に、図17の平面図、図17のG−G’方向の断面図である図18および図17のH−H’方向の断面図である図19に示すように、ゲート配線120となる導電材が堆積される。そして、リソグラフィーおよびRIEにより、2つのゲート電極110を物理的かつ電気的に接続するように、ゲート配線120が形成される。ここで、ゲート配線120は、例えば、(ドープト)ポリシリコン、シリサイド、金属等の材料からなる。
【0063】
その後、例えば、シリコン窒化膜からなる側壁絶縁膜220がゲート配線120の両側に形成される。
【0064】
次に、側壁絶縁膜220の両側に露出する素子領域201上を、希フッ酸などによって洗浄する。その後、例えば、Niをスパッタし、熱処理を行うことにより、素子領域201のシリコンをシリサイド化する。その後、硫酸と過酸化水素水との混合溶液等により、未反応のNiを除去する。
【0065】
このようにして、NiSiからなるソース電極102およびドレイン電極104が形成される。そして、ソース電極102とドレイン領域ではさまれた領域が、チャネル領域106となる。
【0066】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が形成される。
【0067】
以上説明した、本実施の形態の微分負性抵抗特性を示すよう動作する半導体装置は、従来の微分負性抵抗素子と異なり、半導体がシリコン単体で構成されるモノリシックな半導体装置である。そして、素子構造も、通常Si−LSIのCMOS回路を構成するFin型MISFETと同様の構造で実現されている。
【0068】
特に、量子井戸を、通常のMISFETで用いられる、ソース電極およびドレイン電極の金属または金属シリサイドとチャネル領域との間のショットキー障壁で形成するという画期的な構造となっている。このため、例えば、微分負性抵抗特性素子を用いた高周波発振回路を、Si−LSIのCMOS回路と容易に混載することが可能となり、極めて微細な高機能Si−LSIが実現できる。
【0069】
例えば、上記製造方法を利用して、通常のトランジスタ動作をするFin型MISFETを形成しようとする場合を考える。ソース電極およびドレイン電極のNiSi形成前に、ショットキー障壁を下げてオーミックコンタクトを形成するためのn型不純物のイオン注入工程を設けるだけで、通常のトランジスタ特性を示すn型MISFETの形成が可能である。また、ソース電極およびドレイン電極のNiSi形成前にp型不純物のイオン注入工程を設けるだけで、通常のトランジスタ特性を示すp型MISFETの形成が可能である。このように、通常のトランジスタ特性を示すMISFETと、本実施の形態の半導体装置は、同時に、同一基板上に製造することが極めて容易である。
【0070】
なお、本実施の形態においては、電子をキャリアとする半導体装置を例に記述を行った。しかしながら、本発明は電子をキャリアとする半導体装置に限定されるものではなく、正孔をキャリアとする半導体装置にも適用可能である。
【0071】
そして、キャリアが正孔である場合には、エネルギーバンド図において、動作電圧印加時に、チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈することになる。
【0072】
キャリアが正孔である場合には、動作電圧として、ゲート電極に一定のゲート電圧(Vg)が印加される。また、動作電圧として、ソース電極およびドレイン電極間にドレイン電圧(Vds)が0Vから所定の負電圧の間で印加される。
【0073】
ここで、エネルギーバンド図において、チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈するのは、下記の条件式が充足される時である。
ΔV=Vg−{(Φm−χ)−(Eg−Φeff,p}<0・・・(式2)
ここで、Vgは動作時に印加されるゲート電圧、Φmはゲート電極材料の仕事関数、χはチャネル領域の半導体材料の電子親和力、Egはシリコンのエネルギーギャップ、Φeff,pは正孔に対する実効的なショットキー障壁高さである。
【0074】
このような、条件を充足するソース電極、ドレイン電極およびゲート電極の組み合わせとしては、例えば、ソース、ドレイン電極にAl、Ti、ErあるいはGdSi2を用い、ゲート電極にBを1E20atoms/cm3以上と高濃度にドープしたp型ポリシリコン電極を用いて、ゲート電極に負の電圧を印加した組み合わせが挙げられる。
【0075】
例えば、Vg=0V、Φeff,p=0.75eVである場合、Eg=1.12eV、χ=4.05eVであるので、上の(式2)は、
ΔV=0−{(Φm−4.05−1.12+0.75}=4.42−Φm<0
となる。したがって、Φm=5.17eV程度となる高濃度にドープしたp型ポリシリコン電極を用いると、4.42−5.17<0となり、上記不等式が充足される。なお、先に例示したAl、Ti、ErあるいはGdSi2を用いれば、Φeff,p=0.75eV程度となる。
【0076】
また、本実施の形態においては、不純物の導入されていない真性半導体シリコンをチャネル領域とする場合について説明した。しかしながら、チャネル領域をn型やp型半導体にすることによって、例えば、ドレイン電流量を変調することも可能である。しかしながら、チャネル領域の不純物による電子の散乱が生じると、共鳴トンネリング現象を阻害する恐れがある。したがって、チャネル領域は、不純物の導入されていない真性半導体であることが望ましい。
【0077】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の半導体装置は、ゲート電極を有しないこと以外は、第1の実施の形態と同様であるので記述を省略する。
【0078】
図20は、本実施の形態の半導体装置の説明図である。図20(a)が斜視図、図20(b)がチャネル長方向に対して垂直な断面図、図20(c)が、チャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図である。
【0079】
図20に示すように、本実施の形態の半導体装置は、例えば、シリコンの半導体基板100に形成されている。そして、金属を含有するソース電極102と、金属を含有するドレイン電極104を備えている。このソース電極102、およびドレイン電極104は、例えば、NiSi等の金属シリサイドあるいは金属で形成される。
【0080】
そして、ソース電極102とドレイン電極104にはさまれ、不純物の導入されていない真性半導体シリコンで形成されるチャネル領域106を備えている。そして、ソース電極102とドレイン電極104との間の距離がチャネル長(Lch)(図20(c))となる。
【0081】
そして、このチャネル領域106が、半導体基板100に垂直な、厚さ(Tsi)(図20(b))を持って相対する2つの主面を有している。そして、このチャネル領域106は、その高さに相当するチャネル幅(Wch)(図20(b))を有している。
【0082】
第1の実施の形態で説明したように、チャネル領域106の伝導帯下端の形状、すなわち、共鳴ポテンシャルの形状は、チャネル領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を設けることで変調が可能になる。
【0083】
そして、半導体装置が微分負性抵抗を示すか否かは、この共鳴ポテンシャルの形状に依存する。このため、ゲート電極を有する構造とすることによって、微分負性抵抗特性を現出させることは容易となる。
【0084】
もっとも、本実施の形態のようにゲート電極を有しない構造であったとしても、微分負性抵抗特性を現出させることは可能であり、必ずしも、ゲート電極は本発明の必須の構成要素ではない。
【0085】
以下、キャリアが電子である場合を例に説明する。
【0086】
本実施の形態の半導体装置においては、動作電圧として、ソース電極およびドレイン電極間にドレイン電圧(Vds)が0Vから所定の正電圧の間で印加される。
【0087】
そして、ドレイン電圧が特定の電圧範囲にある場合に、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0088】
図21には、本実施の形態の半導体装置に動作電圧を印加した場合の、エネルギーバンド図を示す。図21(a)は本実施の形態の半導体装置のチャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図、図21(b)は、図21(a)のチャネル長方向に対応する動作時のエネルギーバンド図である。図21(b)では、ドレイン電圧(Vds)が0Vの場合を示している。
【0089】
まず、ソース電極102とチャネル領域106、および、ドレイン電極104とチャネル領域106との間には、図21(b)に示すように、ショットキー障壁高さΦBnを有するショットキー障壁が形成されている。ここで、ショットキー障壁高さΦBnは、ソース電極またはドレイン電極を形成する金属を含有する材料と、チャネル領域を形成する半導体材料とから決定される値である。
【0090】
なお、図21(b)のエネルギーバンド図においては、Efs、Efdはそれぞれソース電極、ドレイン電極及びチャネル領域のフェルミレベルである。
【0091】
そして、本実施の形態の半導体装置は、第1の実施の形態同様、これら二つのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0092】
そして、本実施の形態の半導体装置は、図21(b)に示すように、半導体装置に動作電圧を印加した場合に、チャネル領域の伝導帯下端が、下に凸の形状を呈するよう、半導体装置の構成要素の材料、構造および動作条件が決定されている。
【0093】
ここで、エネルギーバンド図において、チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈するのは、動作電圧印加時に下記の条件式が充足される時である。
ΔV=ΦBn−Vn>0
ここで、Vnは動作時のチャネル領域のフェルミ準位(Ef)と、チャネル領域のエネルギーバンドの伝導帯下端のエネルギー(Ec)との差である。
【0094】
例えば、ソース電極およびドレイン電極をNiSi、チャネル領域を真性半導体シリコンとした場合、ΦBn=0.75eV、Vn=0.55eVとなるため、ΔV=ΦBn−Vn=0.20eV>0と、上記条件式が充足されることになる。
【0095】
本実施の形態の半導体装置によれば、第1の実施の形態に比較して、ゲート電極を有しないため、一層容易に微分負性抵抗特性を示すよう動作する半導体装置の実現が可能となる。
【0096】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の半導体装置は、SOI基板上に形成されている、いわゆるプレーナ型のMISFET構造を有すること以外は、第1の実施の形態と同様であるので記述を省略する。
【0097】
図22は、本発明の第3の実施の形態の半導体装置の素子構造を示す断面図である。
【0098】
まず、p型のシリコン基板100上に、例えばシリコン酸化膜の埋め込み絶縁層180を介して、真性半導体シリコンのSOI(Silicon On Insulator)層が形成されている。
【0099】
そして、金属を含有する、例えばNiSiのソース電極102およびドレイン電極104を備えている。そして、ソース電極102およびドレイン電極104にはさまれたSOI層がチャネル領域106となっている。
【0100】
そして、チャネル領域106上にゲート絶縁膜108を介して例えば、n型ポリシリコンのゲート電極110が形成されている。そして、ゲート電極110の両側面には、例えば、シリコン窒化膜のゲート側壁絶縁膜220が形成されている。
【0101】
そして、ソース電極102とドレイン電極104との間の距離が、MISFETのチャネル長(Lch)となる。また、このチャネル領域106の厚さは、SOI層の厚さ(Tsi)で規定されている。また、図示しないが、図22の紙面に垂直な方向に任意のチャネル幅(Wch)を有している。
【0102】
本実施の形態の半導体装置によれば、第1の実施の形態のFin型構造に比較して構造が簡便なため、より容易に、微分負性抵抗特性を示す動作をする半導体装置が実現できる。また、Si−LSI上にプレーナ型MISFETで回路が組まれている場合に、構造上の整合性がよいため、簡便に混載が可能となるという利点がある。
【0103】
なお、本実施の形態においては、SOI基板上にプレーナ型の半導体装置を形成する場合について説明したが、必ずしもSOI基板上に形成することが本発明の半導体装置をプレーナ型で実現する場合において必須の要件となるわけではない。
【0104】
しかしながら、埋め込み絶縁層を有しないバルク基板上にプレーナ型の半導体装置を形成した場合、チャネル領域下部にできるリークパスが、共鳴トンネリング現象の阻害要因となる恐れがある。したがって、特に、プレーナ型の構造で本発明を実現する上では、SOI基板上に半導体装置が形成されることが望ましい。
【0105】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、実施の形態の説明においては、半導体装置、半導体装置の製造方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる半導体装置、半導体装置の製造方法等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0106】
例えば、実施の形態においては、半導体基板の材料やチャネル領域の材料がSi(シリコン)ある場合について記述したが、本発明をその他の半導体材料とする半導体基板、例えば、SixGe1−x(0≦x<1)、SiC、GaN、GaAs、InP等を材料とする半導体基板についても適用することが可能である。
【0107】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置、半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施の形態の半導体装置の説明図。
【図2】第1の実施の形態の半導体装置のエネルギーバンド図。
【図3】第1の実施の形態の半導体装置のドレイン電圧(Vds)−ドレイン電流(Ids)特性のシミュレーション結果を示す図。
【図4】第1の実施の形態の半導体装置の半導体装置動作時のエネルギーバンド図。
【図5】第1の実施の形態の半導体装置のチャネル領域中の電子状態密度をシミュレーションにより求めた結果を示す図。
【図6】第1の実施の形態の半導体装置の微分負性抵抗特性のチャネル長(Lch)依存性をシミュレーションした結果を示す図。
【図7】第1の実施の形態の半導体装置のチャネル長を変化させた場合のエネルギーバンド図。
【図8】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図9】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図10】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図11】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図12】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図13】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図14】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図15】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図16】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図17】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図18】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図19】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図20】第2の実施の形態の半導体装置の説明図。
【図21】第2の実施の形態の半導体装置の半導体装置動作時のエネルギーバンド図。
【図22】第3の実施の形態の半導体装置の素子構造を示す断面図。
【図23】従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子のエネルギーバンド図
【符号の説明】
【0109】
100 半導体基板
102 ソース電極
104 ドレイン電極
106 チャネル領域
108 ゲート絶縁膜
110 ゲート電極
180 埋め込み絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、微分負性抵抗特性を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、トンネル効果による微分負性抵抗を利用したさまざまな機能素子が提案されてきている(例えば、特許文献1)。高周波の発振、増幅などに用いられる微分負性抵抗素子は、唯一単体で数100GHzの高周波を発振させることができるため、Esakiダイオードに代表されるように世界中で研究開発されている素子である。中でも、二重障壁構造を形成し、特定のエネルギーを持った電子のみが障壁を通り抜ける共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子が、その高速動作特性や室温動作能性から注目されている。
【0003】
図23に、従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子のエネルギーバンド図を示す。図23のように、例えば、GaAsをより障壁の高いAlAsで挟み込む構造を有している。そして、このような、異なる2種類以上の化合物半導体を接合したヘテロ接合障壁を共鳴障壁として利用している。
【0004】
【特許文献1】特開平6−302624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もっとも、従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子は、異なる2種類以上の化合物半導体を接合したヘテロ接合障壁利用しているため、製造工程が複雑になるという問題がある。また、一般に、ヘテロ接合を形成するプロセスの特殊性ゆえに、他の半導体素子との混載が困難となっている。このため、製造工程が簡略化でき、他の半導体素子との混載を容易にするモノリシックな、共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子が求められている。
【0006】
特に、従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子は、化合物半導体により形成されている。このため、様々な機能を高い集積度で容易に実現可能なSi−LSIと、微分負性抵抗素子との混載は不可能であった。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、ソース電極およびドレイン電極と、チャネル領域との間に形成されるショットキー障壁を共鳴障壁とすることによって、モノリシックな、微分負性抵抗特性を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の半導体装置は、金属を含有するソース電極と、金属を含有するドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域とを備える半導体装置であって、前記ソース電極および前記ドレイン電極と、前記チャネル領域との間にショットキー障壁が形成され、前記ショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記チャネル領域のエネルギーバンド図において、動作電圧印加時にキャリアが電子である場合には、前記チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈し、キャリアが正孔である場合には、前記チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈することが望ましい。
【0010】
ここで、前記チャネル領域上に、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極を有することが望ましい。
【0011】
ここで、前記半導体が真性半導体であることが望ましい。
【0012】
ここで、前記半導体がシリコンであることが望ましい。
【0013】
ここで、前記チャネル領域のチャネル長が7.5nm以上10nm以下であることが望ましい。
【0014】
ここで、前記チャネル領域が相対する2つの主面を有し、前記2つの主面上に、前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極が形成されていることが望ましい。
【0015】
ここで、SOI基板上に形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ソース電極およびドレイン電極と、チャネル領域の間に形成されるショットキー障壁を共鳴障壁とする、モノリシックな、微分負性抵抗特性を有する半導体装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の半導体装置は、金属を含有するソース電極と、金属を含有するドレイン電極と、これらのソース電極と前記ドレイン電極とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域とを備えている。そして、ソース電極およびドレイン電極と、チャネル領域との間にショットキー障壁が形成されている。そして、これらのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0019】
また、チャネル領域上に、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極を有する。また、チャネル領域を形成する半導体が、シリコンの真性半導体である。
【0020】
さらに、チャネル領域が相対する2つの主面を有し、2つの主面上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成されている、いわゆるFin型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)構造を有している。
【0021】
そして、本実施の形態の半導体装置は、動作電圧印加時に、キャリアが電子である場合には、チャネル領域のエネルギーバンド図において、チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈する。
【0022】
以下、キャリアが電子である場合を例に説明する。
【0023】
本実施の形態の半導体装置においては、動作電圧として、ゲート電極に一定のゲート電圧(Vg)が印加される。また、動作電圧として、ソース電極およびドレイン電極間にドレイン電圧(Vds)が0Vから所定の正電圧の間で印加される。
【0024】
そして、ドレイン電圧が特定の電圧範囲にある場合に、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0025】
図1は、本実施の形態の半導体装置の説明図である。図1(a)が斜視図、図1(b)がチャネル長方向に対して垂直な断面図、図1(c)が、チャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置は、例えば、シリコンの半導体基板100上に形成されている。そして、金属を含有するソース電極102と、金属を含有するドレイン電極104を備えている。このソース電極102、およびドレイン電極104は、例えば、NiSi等の金属シリサイドあるいは金属で形成される。
【0027】
そして、ソース電極102とドレイン電極104にはさまれ、不純物の導入されていない真性半導体シリコンで形成されるチャネル領域106を備えている。そして、ソース電極102とドレイン電極104との間の距離が、MISFETのチャネル長(Lch)(図1(c))となる。
【0028】
そして、このチャネル領域106が、半導体基板100に垂直な、厚さ(Tsi)(図1(b))を持って相対する2つの主面を有している。そして、この2つの主面上に、それぞれ、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜108が形成されている。そして、2つの主面上に、ゲート絶縁膜108を介して、例えば高濃度のn型ポリシリコンからなるゲート電極110が形成されている。そして、このFin型MISFETのチャネル領域106は、そのFin高さに相当するチャネル幅(Wch)(図1(b))を有している。
【0029】
なお、2つの主面上のゲート電極110は、ゲート配線120で電気的に接続されている。また、ゲート配線120とチャネル領域106の間には、例えば、シリコン窒化膜からなる絶縁膜120が形成されている。したがって、本実施の形態の半導体装置は、いわゆるダブルゲート構造を有するFin型MISFETである。
【0030】
図2には、本実施の形態の半導体装置のチャネルにおけるエネルギーバンド図を示す。図2(a)は本実施の形態の半導体装置のチャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図、図2(b)は、図2(a)のチャネル長方向に対応する動作時のエネルギーバンド図、図2(c)はゲート電圧Vgを変化させた場合のチャネル領域の伝導帯下端のポテンシャル変動を示す図である。
【0031】
まず、ソース電極102とチャネル領域106、および、ドレイン電極104とチャネル領域106との間には、図2(b)に示すように、実効的ショットキー障壁高さΦeffを有するショットキー障壁がそれぞれ形成されている。ここで、実効的ショットキー障壁高さΦeffとは、ソース電極またはドレイン電極を形成する金属を含有する材料と、チャネル領域を形成する半導体材料との間のショットキー障壁高さΦBに、チャネル領域厚さが薄くなること等による量子閉じ込め効果で変動する障壁高さ分を加味したものである(J.Guo et al.“A Computational Study of Thin−Body,Double−Gate,Shottky Barrier MOSFETs”,IEEE Trans. Electron. Devices 49, 1897(2002) 参照)。
【0032】
なお、図2(b)(c)のEfsおよびEfdはそれぞれソース電極およびドレイン電極のフェルミレベルである。
【0033】
そして、本実施の形態の半導体装置は、これら二つのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。すなわち、動作ゲート電圧が印加されている時、チャネル領域には、これらのショットキー障壁ではさまれた量子井戸が形成される。これらのショットキー障壁ではさまれた量子井戸には、量子準位が形成される。そして、ドレイン電極にドレイン電圧が印加されると、ソース電極中の電子が二つのショットキー障壁をトンネリングして、ドレイン電極に到達しドレイン電流となる。このとき、量子準位に共鳴したエネルギーを持つ電子のみがトンネリングしてドレイン電極に到達できる。そして、トンネリングする電子の量は必ずしもドレイン電圧に比例しない。このため、ドレイン電圧−ドレイン電流特性において、ドレイン電圧の増加に従いドレイン電流が減少する領域が存在するという微分負性抵抗特性を示すよう半導体装置が動作する。
【0034】
このように、本実施の形態の半導体装置は、図23に示すような従来の微分負性抵抗素子が、ヘテロ接合障壁で量子井戸を形成していたことにかえて、ソース電極およびドレイン電極とチャネル領域の半導体との間のショットキー障壁で量子井戸を形成している。
【0035】
また、本実施の形態の半導体装置は、図2(b)に示すように、動作電圧印加時に、半導体装置の動作時のチャネル領域の伝導帯下端が、下に凸の形状を呈するよう、半導体装置の構成要素の材料、構造および動作条件が決定されている。図2(b)においては、ドレイン電圧(Vds)=0Vの場合のエネルギーバンド図を示している。
【0036】
このように、チャネル領域の伝導帯下端が下に凸の形状を有することによって、ショットキー障壁ではさまれた量子井戸が形成されるため、半導体装置が微分負性抵抗を示すよう動作する。
【0037】
そして、図2(c)に示すように、チャネル領域の伝導帯下端の形状は、例えば、ゲート電圧Vgを変化させることによって、制御することが可能である。例えば、負のゲート電圧を印加することにより、チャネル領域の伝導帯下端の形状、すなわち、エネルギーバンドを上に凸になるよう変動させることが可能である。また、例えば、正のゲート電圧を印加することにより、チャネル領域の伝導帯下端の形状、すなわち、エネルギーバンドを一層下に凸になるよう変動させることが可能である。したがって、半導体装置の構成要素の材料、構造等で決定されるチャネル領域の伝導帯下端の形状が上に凸であったとしても、ゲート電極に印加する動作電圧を制御することで、微分負性抵抗動作を実現可能とすることができる。
【0038】
ここで、エネルギーバンド図において、チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈するのは、下記の条件式が充足される時である。
ΔV=Vg−{(Φm−χ)−Φeff}>0・・・(式1)
ここで、Vgは動作時に印加されるゲート電圧、Φmはゲート電極材料の仕事関数、χはチャネル領域の半導体材料の電子親和力、Φeffは電子に対する実効的なショットキー障壁高さである。
【0039】
次に、本実施の形態の半導体装置の示す微分負性抵抗特性について、シミュレーション結果を参照しつつ説明する。シミュレーションは、図1(c)に示した構造をもとに行われている。
【0040】
シミュレーションは、非平衡グリーン関数(NEGF)法(J.Guo et al.“A Computational Study of Thin−Body,Double−Gate,Shottky Barrier MOSFETs”,IEEE Trans. Electron. Devices 49, 1897(2002) 参照)により、チャネル長方向に沿ったバリスティックな量子伝導効果を一次元的に計算した。この際、チャネル領域のチャネル厚さ方向の量子閉じ込め効果もシュレーディンガー方程式を解くことにより、考慮した。そして最終的に、これらの量子伝導効果と量子閉じ込め効果を、ポアソン方程式に対して自己無憧着(self−consistent)に解いている。
【0041】
なお、シミュレーションにおいては、半導体装置のチャネル長(Lch)は10nm、ゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚(Tins)は1nmとしている。また、チャネル領域は真性シリコンとし、チャネル領域の厚さ(Tsi)は3nm、チャネル領域幅(Wch)は1μmとしている。また、チャネル長方向の電子の実効有効質量(m*)は、0.98m0としている。また、温度(T)は300Kである。
【0042】
そして、ソース電極とドレイン電極は、真性半導体シリコンとの間のショットキー障壁高さΦBが、0.75eVとなる金属または金属シリサイドを仮定している。例えば、NiSi、Au(金)あるいはPd(パラジウム)が挙げられる。実際のシミュレーションにおいては、量子閉じ込め効果を考慮して、ショットキー障壁高さは、ΦBより40mV高い0.79eVの実効ショットキー障壁高さΦeffを用いて計算している。
【0043】
また、ゲート電極材料の仕事関数(Φm)は、4.05eVとした。Φmが4.05eVとなる材料としては、P(リン)を例えば、1E20atoms/cm3以上と高濃度にドープしたn型ポリシリコンが挙げられる。
【0044】
図3は、本実施の形態の半導体装置のドレイン電圧(Vds)−ドレイン電流(Ids)特性のシミュレーション結果を示す図である。図3(a)、図3(b)および図3(c)は、それぞれ、ゲート電圧(Vg)が、0.0V、0.1V、0.2Vの場合を示す。
【0045】
図3に示すように、Vg=0.2Vで特に顕著であるが、すべてのゲート電圧範囲で、微分負性抵抗特性を示す動作をしていることがわかる。
【0046】
図4は、上記シミュレーション条件のVg=0.2Vの場合で、ドレイン電圧(Vds)を変化させた場合の、半導体装置動作時のエネルギーバンド図を示す。横軸は、チャネル長に沿った方向の距離、縦軸が電子のエネルギーである。
【0047】
図4に示すように、チャネル領域の伝導帯の下端が、動作時に下に凸の形状を呈していることがわかる。上述のように、このようにチャネル領域の伝導帯の下端が、下に凸の形状を呈することで、ショットキー障壁ではさまれた量子井戸が形成されるため、半導体装置が微分負性抵抗を示すよう動作する。
【0048】
図5は、微分負性抵抗が現れている場合の、チャネル領域中の電子状態密度をシミュレーションにより求めた結果を示す図である。図5(a)がVg=0.2V、図5(b)がVg=0.25Vの場合である。そして、横軸は、チャネル長に沿った方向の距離、縦軸が電子のエネルギーであり、電子のエネルギーが増大する方向を上と定義している。そして、図中に電子状態密度を、濃淡で示している。
【0049】
図5に示すように、微分負性抵抗が現れている場合、ソース電極側のショットキー障壁を透過して、ドレイン電極に向かう電子波が、ドレイン電極側のショットキー障壁により跳ね返されてしまい、空間電荷として局在化してしまう。特に、図5(b)のVg=0.25Vの場合で顕著である。ドレイン電圧の単調増加とともに、ソース電極側のショットキー障壁を透過する電子の数は単調増加する。
【0050】
しかしながら、ゲート電極により変調される、エネルギーバンド図における伝導帯下端の形状、すなわち、共鳴ポテンシャルの形状により、ドレイン電極側のショットキー障壁を電子がうまく通過できず、ドレイン電極までたどり着けない場合が生ずる。すなわち、ソース電極からドレイン電極への電流とならない場合が生ずる。このようなメカニズムにより、本実施の形態の半導体装置は微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0051】
次に、本実施の形態の半導体装置について、微分負性抵抗特性のチャネル長(Lch)依存性をシミュレーションした結果を図6に示す。図6(a)、図6(b)および図6(c)は、それぞれ、Lch=10nm、7.5nm、5nmの場合を示している。チャネル長以外の条件は、上述のシミュレーションの場合の条件と同様である。
【0052】
それぞれのチャネル長の場合について、ゲート電極を変調させて、微分負性抵抗特性の現出を確認している。Lch=7.5nmでは、微分負性抵抗特性のピーク(peak)−バレー(valley)比が、Lch=10nmの場合に比較して小さくなっている。そして、Lch=5nmまで小さくなると、明瞭な微分負性抵抗特性は現出していない。
【0053】
図7は、チャネル長を変化させた場合のエネルギーバンド図である。横軸は、チャネル長に沿った方向の距離、縦軸が電子のエネルギーである。また、Lch=7.5nmおよび10nmで負性抵抗特性を示す条件、すなわちドレイン電圧(Vds)が0.2V、ゲート電極(Vg)が0.2Vでのエネルギーバンド図を示している。
【0054】
図7に示すように、2つのショットキー障壁で囲まれた量子井戸の底(Bottom of Cavity)の深さは、チャネル長が短くなるにつれて浅くなる。加えて、量子井戸のポテンシャルエネルギーレベルも上昇している。
【0055】
このような場合、数の少ない高いエネルギーレベルを有する電子しか、共鳴トンネリング現象に寄与できないことになる。そして、チャネル長が短くなると、多くの原子がソース電極からドレイン電極に直接トンネリングしてしまうことになる。このような理由により、チャネル長が短くなると、微分負性抵抗特性が現出しない場合が生ずると考えられる。
【0056】
したがって、本実施の形態の半導体装置において、チャネル領域のチャネル長が7.5nm以上10nm以下であることが望ましい。ここで、上限を10nmと限定しているのは、シリコン中の電子の室温における平均自由行程がおよそ10nmであることに由来する(非特許文献、N. Sano,
“Kinetic study of velocity distributions in nanoscale semiconductor devices under room−temperature operation”, Applied Physics Letter 85,4208(2004) 参照)。すなわち、本実施の形態の半導体装置において室温動作を考える場合、10nmよりチャネル長が長くなった場合、チャネル領域で電子が散乱される確率が高まり、共鳴トンネリング現象が阻害されるおそれがあるからである。
【0057】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、図8ないし図19を参照して説明する。
【0058】
まず、図8の平面図、図8のA−A’方向の断面図である図9および図8のB−B’方向の断面図である図10に示すように、面方位(100)面の真性半導体シリコン基板100に50〜100nm程度のシリコン窒化膜等のマスク材となる絶縁膜210を堆積する。その後、リソグラフィー技術および反応性イオンエッチング(以下RIEともいう)等のエッチング技術により絶縁膜210とシリコン基板100をエッチングし、素子領域201および素子分離領域となる溝を形成する。
【0059】
次に、図11の平面図、図11のC−C’方向の断面図である図12および図11のD−D’方向の断面図である図13に示すように、素子分離領域となる溝にシリコン酸化膜等の絶縁膜215が堆積され、この絶縁膜215が化学的機械的研磨法(以下、CMPともいう)等により、絶縁膜210の上面まで平坦化され、素子分離領域が形成される。このとき、素子分離耐圧の向上や、寄生トランジスタのリーク電流低減のため、素子分離領域下にp型の不純物をイオンインプランテーション等によって導入しても構わない。その後、絶縁膜215の一部が除去され、素子領域201の側面が露出するよう溝205が形成される。
【0060】
次に、図14の平面図、図14のE−E’方向の断面図である図15および図14のF−F’方向の断面図である図16に示すように、素子領域201の側面部にゲート絶縁膜108が形成される。このゲート絶縁膜108としては、例えば、熱酸化法によるシリコン酸化膜であってもよいし、CVD(Chemical Vapor Deposition)法や、ALD(Atomic Layer Deposition)法による高誘電体膜であっても構わない。
【0061】
次に、ゲート絶縁膜108上にゲート電極110となる導電材が堆積され、溝205が埋め込まれる。その後、CMPにより、絶縁膜210の上面が露出するまで埋め込まれた導電材およびゲート絶縁膜が平坦化される。ここで、ゲート電極110となる導電材は、例えば、(ドープト)ポリシリコン、シリサイド、金属等の材料からなる。
【0062】
次に、図17の平面図、図17のG−G’方向の断面図である図18および図17のH−H’方向の断面図である図19に示すように、ゲート配線120となる導電材が堆積される。そして、リソグラフィーおよびRIEにより、2つのゲート電極110を物理的かつ電気的に接続するように、ゲート配線120が形成される。ここで、ゲート配線120は、例えば、(ドープト)ポリシリコン、シリサイド、金属等の材料からなる。
【0063】
その後、例えば、シリコン窒化膜からなる側壁絶縁膜220がゲート配線120の両側に形成される。
【0064】
次に、側壁絶縁膜220の両側に露出する素子領域201上を、希フッ酸などによって洗浄する。その後、例えば、Niをスパッタし、熱処理を行うことにより、素子領域201のシリコンをシリサイド化する。その後、硫酸と過酸化水素水との混合溶液等により、未反応のNiを除去する。
【0065】
このようにして、NiSiからなるソース電極102およびドレイン電極104が形成される。そして、ソース電極102とドレイン領域ではさまれた領域が、チャネル領域106となる。
【0066】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が形成される。
【0067】
以上説明した、本実施の形態の微分負性抵抗特性を示すよう動作する半導体装置は、従来の微分負性抵抗素子と異なり、半導体がシリコン単体で構成されるモノリシックな半導体装置である。そして、素子構造も、通常Si−LSIのCMOS回路を構成するFin型MISFETと同様の構造で実現されている。
【0068】
特に、量子井戸を、通常のMISFETで用いられる、ソース電極およびドレイン電極の金属または金属シリサイドとチャネル領域との間のショットキー障壁で形成するという画期的な構造となっている。このため、例えば、微分負性抵抗特性素子を用いた高周波発振回路を、Si−LSIのCMOS回路と容易に混載することが可能となり、極めて微細な高機能Si−LSIが実現できる。
【0069】
例えば、上記製造方法を利用して、通常のトランジスタ動作をするFin型MISFETを形成しようとする場合を考える。ソース電極およびドレイン電極のNiSi形成前に、ショットキー障壁を下げてオーミックコンタクトを形成するためのn型不純物のイオン注入工程を設けるだけで、通常のトランジスタ特性を示すn型MISFETの形成が可能である。また、ソース電極およびドレイン電極のNiSi形成前にp型不純物のイオン注入工程を設けるだけで、通常のトランジスタ特性を示すp型MISFETの形成が可能である。このように、通常のトランジスタ特性を示すMISFETと、本実施の形態の半導体装置は、同時に、同一基板上に製造することが極めて容易である。
【0070】
なお、本実施の形態においては、電子をキャリアとする半導体装置を例に記述を行った。しかしながら、本発明は電子をキャリアとする半導体装置に限定されるものではなく、正孔をキャリアとする半導体装置にも適用可能である。
【0071】
そして、キャリアが正孔である場合には、エネルギーバンド図において、動作電圧印加時に、チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈することになる。
【0072】
キャリアが正孔である場合には、動作電圧として、ゲート電極に一定のゲート電圧(Vg)が印加される。また、動作電圧として、ソース電極およびドレイン電極間にドレイン電圧(Vds)が0Vから所定の負電圧の間で印加される。
【0073】
ここで、エネルギーバンド図において、チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈するのは、下記の条件式が充足される時である。
ΔV=Vg−{(Φm−χ)−(Eg−Φeff,p}<0・・・(式2)
ここで、Vgは動作時に印加されるゲート電圧、Φmはゲート電極材料の仕事関数、χはチャネル領域の半導体材料の電子親和力、Egはシリコンのエネルギーギャップ、Φeff,pは正孔に対する実効的なショットキー障壁高さである。
【0074】
このような、条件を充足するソース電極、ドレイン電極およびゲート電極の組み合わせとしては、例えば、ソース、ドレイン電極にAl、Ti、ErあるいはGdSi2を用い、ゲート電極にBを1E20atoms/cm3以上と高濃度にドープしたp型ポリシリコン電極を用いて、ゲート電極に負の電圧を印加した組み合わせが挙げられる。
【0075】
例えば、Vg=0V、Φeff,p=0.75eVである場合、Eg=1.12eV、χ=4.05eVであるので、上の(式2)は、
ΔV=0−{(Φm−4.05−1.12+0.75}=4.42−Φm<0
となる。したがって、Φm=5.17eV程度となる高濃度にドープしたp型ポリシリコン電極を用いると、4.42−5.17<0となり、上記不等式が充足される。なお、先に例示したAl、Ti、ErあるいはGdSi2を用いれば、Φeff,p=0.75eV程度となる。
【0076】
また、本実施の形態においては、不純物の導入されていない真性半導体シリコンをチャネル領域とする場合について説明した。しかしながら、チャネル領域をn型やp型半導体にすることによって、例えば、ドレイン電流量を変調することも可能である。しかしながら、チャネル領域の不純物による電子の散乱が生じると、共鳴トンネリング現象を阻害する恐れがある。したがって、チャネル領域は、不純物の導入されていない真性半導体であることが望ましい。
【0077】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の半導体装置は、ゲート電極を有しないこと以外は、第1の実施の形態と同様であるので記述を省略する。
【0078】
図20は、本実施の形態の半導体装置の説明図である。図20(a)が斜視図、図20(b)がチャネル長方向に対して垂直な断面図、図20(c)が、チャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図である。
【0079】
図20に示すように、本実施の形態の半導体装置は、例えば、シリコンの半導体基板100に形成されている。そして、金属を含有するソース電極102と、金属を含有するドレイン電極104を備えている。このソース電極102、およびドレイン電極104は、例えば、NiSi等の金属シリサイドあるいは金属で形成される。
【0080】
そして、ソース電極102とドレイン電極104にはさまれ、不純物の導入されていない真性半導体シリコンで形成されるチャネル領域106を備えている。そして、ソース電極102とドレイン電極104との間の距離がチャネル長(Lch)(図20(c))となる。
【0081】
そして、このチャネル領域106が、半導体基板100に垂直な、厚さ(Tsi)(図20(b))を持って相対する2つの主面を有している。そして、このチャネル領域106は、その高さに相当するチャネル幅(Wch)(図20(b))を有している。
【0082】
第1の実施の形態で説明したように、チャネル領域106の伝導帯下端の形状、すなわち、共鳴ポテンシャルの形状は、チャネル領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を設けることで変調が可能になる。
【0083】
そして、半導体装置が微分負性抵抗を示すか否かは、この共鳴ポテンシャルの形状に依存する。このため、ゲート電極を有する構造とすることによって、微分負性抵抗特性を現出させることは容易となる。
【0084】
もっとも、本実施の形態のようにゲート電極を有しない構造であったとしても、微分負性抵抗特性を現出させることは可能であり、必ずしも、ゲート電極は本発明の必須の構成要素ではない。
【0085】
以下、キャリアが電子である場合を例に説明する。
【0086】
本実施の形態の半導体装置においては、動作電圧として、ソース電極およびドレイン電極間にドレイン電圧(Vds)が0Vから所定の正電圧の間で印加される。
【0087】
そして、ドレイン電圧が特定の電圧範囲にある場合に、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0088】
図21には、本実施の形態の半導体装置に動作電圧を印加した場合の、エネルギーバンド図を示す。図21(a)は本実施の形態の半導体装置のチャネル長方向に対して平行かつ基板に平行な断面図、図21(b)は、図21(a)のチャネル長方向に対応する動作時のエネルギーバンド図である。図21(b)では、ドレイン電圧(Vds)が0Vの場合を示している。
【0089】
まず、ソース電極102とチャネル領域106、および、ドレイン電極104とチャネル領域106との間には、図21(b)に示すように、ショットキー障壁高さΦBnを有するショットキー障壁が形成されている。ここで、ショットキー障壁高さΦBnは、ソース電極またはドレイン電極を形成する金属を含有する材料と、チャネル領域を形成する半導体材料とから決定される値である。
【0090】
なお、図21(b)のエネルギーバンド図においては、Efs、Efdはそれぞれソース電極、ドレイン電極及びチャネル領域のフェルミレベルである。
【0091】
そして、本実施の形態の半導体装置は、第1の実施の形態同様、これら二つのショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作する。
【0092】
そして、本実施の形態の半導体装置は、図21(b)に示すように、半導体装置に動作電圧を印加した場合に、チャネル領域の伝導帯下端が、下に凸の形状を呈するよう、半導体装置の構成要素の材料、構造および動作条件が決定されている。
【0093】
ここで、エネルギーバンド図において、チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈するのは、動作電圧印加時に下記の条件式が充足される時である。
ΔV=ΦBn−Vn>0
ここで、Vnは動作時のチャネル領域のフェルミ準位(Ef)と、チャネル領域のエネルギーバンドの伝導帯下端のエネルギー(Ec)との差である。
【0094】
例えば、ソース電極およびドレイン電極をNiSi、チャネル領域を真性半導体シリコンとした場合、ΦBn=0.75eV、Vn=0.55eVとなるため、ΔV=ΦBn−Vn=0.20eV>0と、上記条件式が充足されることになる。
【0095】
本実施の形態の半導体装置によれば、第1の実施の形態に比較して、ゲート電極を有しないため、一層容易に微分負性抵抗特性を示すよう動作する半導体装置の実現が可能となる。
【0096】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の半導体装置は、SOI基板上に形成されている、いわゆるプレーナ型のMISFET構造を有すること以外は、第1の実施の形態と同様であるので記述を省略する。
【0097】
図22は、本発明の第3の実施の形態の半導体装置の素子構造を示す断面図である。
【0098】
まず、p型のシリコン基板100上に、例えばシリコン酸化膜の埋め込み絶縁層180を介して、真性半導体シリコンのSOI(Silicon On Insulator)層が形成されている。
【0099】
そして、金属を含有する、例えばNiSiのソース電極102およびドレイン電極104を備えている。そして、ソース電極102およびドレイン電極104にはさまれたSOI層がチャネル領域106となっている。
【0100】
そして、チャネル領域106上にゲート絶縁膜108を介して例えば、n型ポリシリコンのゲート電極110が形成されている。そして、ゲート電極110の両側面には、例えば、シリコン窒化膜のゲート側壁絶縁膜220が形成されている。
【0101】
そして、ソース電極102とドレイン電極104との間の距離が、MISFETのチャネル長(Lch)となる。また、このチャネル領域106の厚さは、SOI層の厚さ(Tsi)で規定されている。また、図示しないが、図22の紙面に垂直な方向に任意のチャネル幅(Wch)を有している。
【0102】
本実施の形態の半導体装置によれば、第1の実施の形態のFin型構造に比較して構造が簡便なため、より容易に、微分負性抵抗特性を示す動作をする半導体装置が実現できる。また、Si−LSI上にプレーナ型MISFETで回路が組まれている場合に、構造上の整合性がよいため、簡便に混載が可能となるという利点がある。
【0103】
なお、本実施の形態においては、SOI基板上にプレーナ型の半導体装置を形成する場合について説明したが、必ずしもSOI基板上に形成することが本発明の半導体装置をプレーナ型で実現する場合において必須の要件となるわけではない。
【0104】
しかしながら、埋め込み絶縁層を有しないバルク基板上にプレーナ型の半導体装置を形成した場合、チャネル領域下部にできるリークパスが、共鳴トンネリング現象の阻害要因となる恐れがある。したがって、特に、プレーナ型の構造で本発明を実現する上では、SOI基板上に半導体装置が形成されることが望ましい。
【0105】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、実施の形態の説明においては、半導体装置、半導体装置の製造方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる半導体装置、半導体装置の製造方法等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0106】
例えば、実施の形態においては、半導体基板の材料やチャネル領域の材料がSi(シリコン)ある場合について記述したが、本発明をその他の半導体材料とする半導体基板、例えば、SixGe1−x(0≦x<1)、SiC、GaN、GaAs、InP等を材料とする半導体基板についても適用することが可能である。
【0107】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置、半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施の形態の半導体装置の説明図。
【図2】第1の実施の形態の半導体装置のエネルギーバンド図。
【図3】第1の実施の形態の半導体装置のドレイン電圧(Vds)−ドレイン電流(Ids)特性のシミュレーション結果を示す図。
【図4】第1の実施の形態の半導体装置の半導体装置動作時のエネルギーバンド図。
【図5】第1の実施の形態の半導体装置のチャネル領域中の電子状態密度をシミュレーションにより求めた結果を示す図。
【図6】第1の実施の形態の半導体装置の微分負性抵抗特性のチャネル長(Lch)依存性をシミュレーションした結果を示す図。
【図7】第1の実施の形態の半導体装置のチャネル長を変化させた場合のエネルギーバンド図。
【図8】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図9】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図10】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図11】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図12】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図13】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図14】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図15】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図16】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図17】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図18】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図19】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す図。
【図20】第2の実施の形態の半導体装置の説明図。
【図21】第2の実施の形態の半導体装置の半導体装置動作時のエネルギーバンド図。
【図22】第3の実施の形態の半導体装置の素子構造を示す断面図。
【図23】従来の共鳴トンネリング現象を利用した微分負性抵抗素子のエネルギーバンド図
【符号の説明】
【0109】
100 半導体基板
102 ソース電極
104 ドレイン電極
106 チャネル領域
108 ゲート絶縁膜
110 ゲート電極
180 埋め込み絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を含有するソース電極と、
金属を含有するドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域とを備える半導体装置であって、
前記ソース電極および前記ドレイン電極と、前記チャネル領域との間にショットキー障壁が形成され、
前記ショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記チャネル領域のエネルギーバンド図において、動作電圧印加時にキャリアが電子である場合には、前記チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈し、キャリアが正孔である場合には、前記チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記チャネル領域上に、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体が真性半導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体がシリコンであることを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記チャネル領域のチャネル長が7.5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記チャネル領域が相対する2つの主面を有し、
前記2つの主面上に、前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
SOI基板上に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7記載の半導体装置。
【請求項1】
金属を含有するソース電極と、
金属を含有するドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極とにはさまれ、半導体で形成されるチャネル領域とを備える半導体装置であって、
前記ソース電極および前記ドレイン電極と、前記チャネル領域との間にショットキー障壁が形成され、
前記ショットキー障壁が共鳴障壁となることによって、微分負性抵抗特性を示すよう動作することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記チャネル領域のエネルギーバンド図において、動作電圧印加時にキャリアが電子である場合には、前記チャネル領域の伝導帯の下端が下に凸の形状を呈し、キャリアが正孔である場合には、前記チャネル領域の価電子帯の上端が上に凸の形状を呈することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記チャネル領域上に、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体が真性半導体であることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体がシリコンであることを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記チャネル領域のチャネル長が7.5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記チャネル領域が相対する2つの主面を有し、
前記2つの主面上に、前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
SOI基板上に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図5】
【公開番号】特開2008−311452(P2008−311452A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158173(P2007−158173)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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