説明

半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法

【課題】周辺回路領域の素子の寿命が劣化するのを抑制しつつ、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とのカップリング性を確保する。
【解決手段】シリコン基板11は、セル領域および周辺回路領域が設けられている。トンネル絶縁膜12は、セル領域および周辺回路領域のシリコン基板11上に形成されている。浮遊ゲート電極膜13は、セル領域および周辺回路領域のトンネル絶縁膜12上に形成されている。電極間絶縁膜16は、セル領域の浮遊ゲート電極膜13上に形成されている。シリコン酸化膜14および電極間絶縁膜16は、周辺回路領域の浮遊ゲート電極膜13上に形成されている。制御ゲート電極膜17は、セル領域および周辺回路領域の電極間絶縁膜16上に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体記憶装置の高集積化に伴い、浮遊ゲート電極幅および素子分離溝幅が縮小されている。素子分離溝幅が縮小されると、電極間絶縁膜の形成後の制御ゲート電極材料の埋め込み性が劣化する。
【0003】
また、浮遊ゲート電極幅の減少は、加工の難易度を上げるとともに、加工バラツキによる書き込み特性のバラツキへの影響を大きくする。このような問題を回避するために電極間絶縁膜を薄膜化し、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とのカップリング性を向上させると、周辺回路領域の低電界で使用する素子の寿命が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−47590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの実施形態の目的は、周辺回路領域の素子の寿命が劣化するのを抑制しつつ、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とのカップリング性を確保することが可能な半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体記憶装置によれば、半導体基板と、第1の絶縁膜と、第1の導電膜と、第1の導電膜間絶縁膜と、第2の導電膜間絶縁膜と、第2の導電膜とが設けられている。半導体基板は、セル領域および周辺回路領域が設けられている。第1の絶縁膜は、前記セル領域および前記周辺回路領域の半導体基板上に形成されている。第1の導電膜は、前記セル領域および前記周辺回路領域の第1の絶縁膜上に形成されている。第1の導電膜間絶縁膜は、前記セル領域の第1の導電膜上に形成されている。第2の導電膜間絶縁膜は、前記周辺回路領域の第1の導電膜上に形成され、前記第1の導電膜間絶縁膜よりも膜厚保が厚い。第2の導電膜は、前記セル領域の第1の導電膜間絶縁膜および前記周辺回路領域の第2の導電膜間絶縁膜上に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1(a)は、第1実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の概略構成を示す断面図、図1(b)は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の半導体記憶装置の電極間絶縁膜16とその寿命との関係を示す図である。
【図3】図3は、図1のシリコン酸化膜14と電極間絶縁膜16とを用いた場合の電界とリーク電流との関係をシリコン酸化膜14がない時と比較して示す図である。
【図4】図4(a)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の製造方法を示す断面図、図4(b)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の製造方法を示す断面図である。
【図5】図5(a)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の製造方法を示す断面図、図5(b)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の製造方法を示す断面図である。
【図6】図6(a)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の製造方法を示す断面図、図6(b)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の製造方法を示す断面図である。
【図7】図7(a)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の製造方法を示す断面図、図7(b)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の製造方法を示す断面図である。
【図8】図8(a)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の製造方法を示す断面図、図8(b)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の製造方法を示す断面図である。
【図9】図9は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る半導体記憶装置について図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の概略構成を示す断面図、図1(b)は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の概略構成を示す断面図である。なお、図1(a)は、ワード線方向(チャネル幅方向)に切断した断面図である。
図1において、半導体記憶装置には、半導体基板としてシリコン基板11が用いられている。なお、半導体基板の材料は、Si以外にも、例えば、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、InGaAsP、GaP、GaNまたはZnSeなどを用いることができる。
【0010】
ここで、シリコン基板11には、セル領域および周辺回路領域が設けられている。セル領域には、NAND型フラッシュメモリなどに用いられるメモリセルを配置することができる。周辺回路領域には、メモリセルを動作させる周辺回路を配置することができ、例えば、センスアンプ回路、カラムデコーダ回路およびロウデコーダ回路などを配置することができる。
【0011】
セル領域および周辺回路領域のシリコン基板11上にはトンネル絶縁膜12が形成されている。なお、トンネル絶縁膜12としては、例えば、トンネル酸化膜を用いることができる。
【0012】
セル領域および周辺回路領域のトンネル絶縁膜12上には、浮遊ゲート電極膜13が形成されている。なお、浮遊ゲート電極膜13としては、例えば、不純物がドープされた多結晶シリコン膜を用いることができる。
【0013】
周辺回路領域の浮遊ゲート電極膜13上には、シリコン酸化膜14が形成されている。なお、このシリコン酸化膜14は、浮遊ゲート電極膜13の熱酸化にて形成するようにしてもよいし、浮遊ゲート電極膜13のラジカル酸化にて形成するようにしてもよいし、化学気相成長法にて形成するようにしてもよい。
【0014】
セル領域の浮遊ゲート電極膜13、トンネル絶縁膜12およびシリコン基板11には、素子分離溝M1が形成されている。周辺回路領域のシリコン酸化膜14、浮遊ゲート電極膜13、トンネル絶縁膜12およびシリコン基板11には、素子分離溝M2が形成されている。
【0015】
素子分離溝M1、M2には、素子分離絶縁膜15が埋め込まれている。なお、素子分離絶縁膜15としては、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。
【0016】
素子分離溝M1に埋め込まれた素子分離絶縁膜15は、浮遊ゲート電極膜13の側壁が露出するように膜厚が設定されている。素子分離溝M2に埋め込まれた素子分離絶縁膜15は、シリコン酸化膜14よりも上に突出するように膜厚が設定されている。
【0017】
セル領域の浮遊ゲート電極膜13上および周辺回路領域のシリコン酸化膜14上には、電極間絶縁膜16が形成されている。なお、電極間絶縁膜16としては、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸窒化膜および金属酸化膜の少なくとも2種類以上を用いた積層構造などを用いることができる。
【0018】
ここで、セル領域では、浮遊ゲート電極膜13の上面および側面は電極間絶縁膜16にて覆われている。周辺回路領域では、素子分離溝M2に埋め込まれた素子分離絶縁膜15の上面および側面は電極間絶縁膜16にて覆われている。
【0019】
セル領域および周辺回路領域の電極間絶縁膜16上には、制御ゲート電極膜17が形成されている。なお、制御ゲート電極膜17としては、例えば、多結晶シリコン膜を用いるようにしてもよいし、シリサイド膜を用いるようにしてもよい。
【0020】
ここで、周辺回路領域では、シリコン酸化膜14を介して浮遊ゲート電極膜13上に電極間絶縁膜16を形成し、セル領域では、シリコン酸化膜14を介することなく浮遊ゲート電極膜13上に電極間絶縁膜16を形成することにより、周辺回路領域ではセル領域に比べて、浮遊ゲート電極膜13と制御ゲート電極膜17との間の絶縁膜の膜厚を厚くすることができる。このため、周辺回路領域ではセル領域に比べて、浮遊ゲート電極膜13と制御ゲート電極膜17との間の絶縁膜の寿命を長くすることが可能となるとともに、セル領域では周辺回路領域に比べて、浮遊ゲート電極膜13と制御ゲート電極膜17との間のカップリング性を向上させることができる。
【0021】
また、浮遊ゲート電極膜13の側壁が露出するように素子分離溝M1に埋め込まれた素子分離絶縁膜15の膜厚を設定することにより、浮遊ゲート電極膜13の側壁との間でも制御ゲート電極膜17とカップリングさせることが可能となり、浮遊ゲート電極膜13の電位の制御性を向上させることができる。
【0022】
また、シリコン酸化膜14よりも上に突出するように素子分離溝M2に埋め込まれた素子分離絶縁膜15の膜厚を設定することにより、浮遊ゲート電極膜13の角が制御ゲート電極膜17にて覆われるのを防止することが可能となり、電界集中を抑制することが可能となるとともに、素子分離絶縁膜15が深く掘り下げられるのを防止することができ、ダストを低減することができる。
【0023】
図2は、図1の半導体記憶装置の電極間絶縁膜16とその寿命との関係を示す図である。
図2において、電極間絶縁膜16の電気膜厚IPD EOTが薄くなると、電極間絶縁膜16が破壊されるまでの時間Tbdが短くなる。このため、電極間絶縁膜16下にシリコン酸化膜14を設けることにより、電極間絶縁膜16の電気膜厚IPD EOTを実質的に増大させることができ、電極間絶縁膜16が破壊されるまでの時間Tbdを長くすることができる。
【0024】
図3は、図1のシリコン酸化膜14と電極間絶縁膜16とを用いた場合の電界とリーク電流との関係(L1)をシリコン酸化膜14がない時の関係(L2)と比較して示す図である。
図3において、シリコン酸化膜14と電極間絶縁膜16との積層構造は、電極間絶縁膜16に比べて低電界領域RLでの電流リークが少なく、高電界領域RHでの電流リークが多くなっている。
【0025】
このため、シリコン酸化膜14と電極間絶縁膜16との積層構造を用いることにより、周辺回路領域における低電界領域RLでの電流リークを減少させることが可能となり、消費電力を低減することができる。
【0026】
(第2実施形態)
図4(a)〜図8(a)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置のセル領域の製造方法を示す断面図、図4(b)〜図8(b)は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の製造方法を示す断面図である。
【0027】
図4(a)および図4(b)において、不純物をドーピングしたシリコン基板11の表面に、トンネル絶縁膜12を熱酸化法で形成する。なお、トンネル絶縁膜12の厚さは、例えば、6〜10nmに設定することができる。
【0028】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で浮遊ゲート電極膜13をトンネル絶縁膜12上に堆積する。なお、浮遊ゲート電極膜13の厚さは、例えば、50〜100nmに設定することができる。また、浮遊ゲート電極膜13として、例えば、リンドープシリコン膜を用いることができる。
【0029】
次に、熱酸化法で浮遊ゲート電極膜13の表面にシリコン酸化膜14を形成する。なお、熱酸化法の酸化剤としては、例えば、酸素を用いることができる。シリコン酸化膜14の厚さは、例えば、1〜10nmに設定することができる。
【0030】
酸素を用いた熱酸化法によってシリコン酸化膜14を形成することにより、周辺回路領域の耐圧(寿命)を向上させることができる。
【0031】
また、浮遊ゲート電極膜13上面にシリコン酸化膜14を形成する工程では、絶縁膜形成と同時に、リンの活性化、およびリンの拡散防止や、アモルファスシリコンの多結晶化も兼ねることができる。
【0032】
なお、酸素を酸化剤として用いる方法以外にも、水素やHOなどを酸化剤として熱酸化法によりシリコン酸化膜14を形成するようにしてもよい。熱による下地への負荷を軽減するために、酸素を物理的に励起した酸化剤を用いることによって、シリコン酸化膜14を形成するようにしてもよい。
【0033】
その他の方法として、化学気相成長法による堆積酸化膜によりシリコン酸化膜14を形成してもよい。この時のシリコンソースは、例えば、DCS(ジクロロシラン)、HCD(ヘキサクロロジシラン)、有機シリコン化合物、アミン系であれば、TDMAS(トリスジメチルアミノシラン)、BTBAS(ビスターシャリーブチルアミノシラン)、TEOS(テトラエトキシシラン)などを用いることができる。
【0034】
また、シリコン酸化膜14の膜質を向上させるために、シリコン酸化膜14を形成する酸化剤として、NOガスを用いてシリコン酸窒化膜を形成することも可能である。NOガスを用いることによって、窒素を界面側へ注入することで、界面の未結合手や結合エネルギーの小さいSi−H結合をSi−N結合に置換することができ、絶縁性の経時変化や電荷トラップの低減などを図ることができ、シリコン酸化膜14の信頼性を向上できる。
【0035】
次に、ハードマスク膜としてシリコン窒化膜18をシリコン酸化膜14上にCVD法で堆積する。なお、シリコン窒化膜18の厚さは、例えば、5〜100nmに設定することができる。
【0036】
次に、第1のレジストマスク(図示せず)をマスクとして用いて、RIE(Reactive Ion Etching)法により、シリコン窒化膜18、シリコン酸化膜14、浮遊ゲート電極膜13、トンネル絶縁膜12及びシリコン基板11を順次エッチングすることにより、素子分離溝M1、M2で分離された素子形成領域を形成する。なお、素子形成領域の幅及び素子分離溝M1、M2の幅は、例えば、5〜50nm程度に設定することができる。
【0037】
次に、CVDなどの方法にて、素子分離溝M1、M2が埋め込まれるようにして素子分離絶縁膜15をシリコン窒化膜18上に形成する。なお、素子分離絶縁膜15としては、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。
【0038】
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、シリコン窒化膜18をストッパー膜として、シリコン窒化膜18上の素子分離絶縁膜15を除去する。
【0039】
次に、異方性エッチングもしくは等方性エッチングにてシリコン窒化膜18の下面と同じ高さになる程度に素子分離絶縁膜15を薄膜化する。
【0040】
ここで、素子分離絶縁膜15を薄膜化することにより、シリコン窒化膜18を剥離しやすくすることが可能となるとともに、周辺回路領域の素子分離絶縁膜15の高さを調整することができる。
【0041】
周辺回路領域にキャパシタ素子を形成する十分な面積を確保できる場合には、シリコン窒化膜18の下面より高くなるように素子分離絶縁膜15を残すことが好ましい。これにより、周辺回路領域にキャパシタを形成した場合においても、浮遊ゲート電極膜13のエッジと制御ゲート電極膜17との距離を大きくすることができ、側壁部が電気的に電極として機能しないようにして、エッジ部の電界集中による寿命の劣化を抑制できる。
【0042】
また、この時の素子分離絶縁膜15のエッチング方法としては、等方性エッチングでも異方性エッチングでも良く、シリコン窒化膜18の下面より上にくるように素子分離絶縁膜15を残すことにより、シリコン窒化膜18の剥がれによるダスト発生を抑制し、歩留り低下を抑制することができる。
【0043】
なお、周辺回路領域の素子を集積化させるために、浮遊ゲート電極膜13の側壁部も電極として活用したい場合には、シリコン窒化膜18の下面より低くなるように素子分離絶縁膜15を残すことができる。
【0044】
このように形成することによって、下部電極の側面部をキャパシタとして利用できるとともに、上面部では、電極間の絶縁膜厚が厚いため、エッジ部の電界集中を緩和することができる。
【0045】
ただし、この形状を形成する場合、異方性エッチングで浮遊ゲート電極膜13上のシリコン酸化膜14が削り取られないようにすることが好ましい。セル領域でシリコン酸化膜14が削り取られないようにすることで、シリコン窒化膜18の剥がれによるダストの発生を抑制することができ、歩留り低下を抑制することができる。
【0046】
次に、図5に示すように、シリコン窒化膜18を化学薬液等でエッチング除去することにより、シリコン酸化膜14を露出させる。
【0047】
次に、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、周辺回路領域が覆われるとともに、セル領域が覆われないようにパターニングされたレジストマスク19をシリコン酸化膜14上に形成する。
【0048】
次に、図6に示すように、レジストマスク19をマスクとしてシリコン酸化膜14および素子分離絶縁膜15を選択的にエッチングすることにより、セル領域のシリコン酸化膜14を除去するとともに、セル領域の素子分離絶縁膜15を薄膜化し、浮遊ゲート電極膜13の上面および側面の上側部分を露出させる。なお、浮遊ゲート電極膜13の側面の露出部分の高さは、例えば、5〜100nm程度に設定することができる。
【0049】
次に、図7に示すように、アッシングなどの方法にてレジストマスク19を除去する。この時、レジストマスク19で覆われていた周辺回路領域では、浮遊ゲート電極膜13上にシリコン酸化膜14が残されたままになる。
【0050】
次に、図8に示すように、例えば、CVD法により、セル領域の浮遊ゲート電極膜13上および周辺回路領域のシリコン酸化膜14上に電極間絶縁膜16を形成する。電極間絶縁膜16としては、例えば、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜(ONO)の積層構造を用いることができる。なお、セル領域では、浮遊ゲート電極膜13の上面および側面が覆われるように電極間絶縁膜16を形成することができる。
【0051】
次に、図1に示すように、CVDまたはスパッタなどの方法にて電極間絶縁膜16上に制御ゲート電極膜17を形成する。なお、制御ゲート電極膜17は、例えば、多結晶シリコン膜とタングステンシリサイド膜の積層構造を用いることができる。また、制御ゲート電極膜17の厚さは、例えば、100nm程度に設定することができる。
【0052】
次に、CVD法にて制御ゲート電極膜17上にシリコン窒化膜を堆積する(図示せず)。
【0053】
次に、素子分離溝M1と直交するように第2のレジストマスクをシリコン窒化膜上に形成する(図示せず)。
【0054】
次に、第2のレジストマスクをマスクとしてRIEを行うことにより、シリコン窒化膜、制御ゲート電極膜17、電極間絶縁膜16、浮遊ゲート電極膜13及びトンネル絶縁膜12に素子分離溝M1に直交する溝を形成する(図示せず)。なお、この時の浮遊ゲート電極膜13の幅および間隔は、例えば、50nm程度に設定することができる。
【0055】
次に、厚さ10nm程度のゲート側壁膜を、熱酸化法及びCVD法により形成する(図示せず)。
【0056】
次に、イオン注入法と熱アニールによりソース/ドレイン領域となる不純物拡散層を形成する(図示せず)。
【0057】
次に、CVD法などを用いて層間絶縁膜を形成した後、配線等を形成する(図示せず)。
【0058】
このようにして得られた不揮発性半導体記憶装置の各メモリセルでは、シリコン基板11と制御ゲート電極膜17との間に高電圧を印加することで、カップリング比に応じた電界がトンネル絶縁膜12に印加され、トンネル絶縁膜12にトンネル電流が流れる。その結果、浮遊ゲート電極膜13の蓄積電荷量が変化して、メモリセルの閾値が変化し、データの書き込みあるいは消去動作が行われる。
【0059】
この不揮発性半導体記憶装置では、複数のメモリセルがワード線方向及びビット線方向に配列されている。代表的には、上述した不揮発性半導体記憶装置として、直列接続された複数のメモリセルを選択トランジスタ間に設けた構成を有するNAND型不揮発性メモリが挙げられる。
【0060】
なお、以上の説明は、不揮発性半導体記憶装置の基本的な構成及び製造方法に関するものであり、上述した不揮発性半導体記憶装置の基本的な構成及び製造方法は、他の実施形態についても同様に適用される。
【0061】
上述した実施形態では、浮遊ゲート電極膜13上に形成したシリコン酸化膜14を周辺回路領域で選択的に残すことによって、セル領域よりも周辺回路領域で制御ゲート電極膜17と浮遊ゲート電極膜13との間の導電膜間絶縁膜を厚くすることができる。このため、セル領域では所望のカップリングを確保しつつ、周辺回路領域では寿命に優れた半導体記憶装置が実現できる。
【0062】
また、周辺回路領域におけるシリコン酸化膜14を浮遊ゲート電極膜13上に形成し、電極間絶縁膜16とともに、制御ゲート電極膜17と浮遊ゲート電極膜13との間の絶縁膜として用いる構造では、バリアハイトが比較的高いシリコン酸化膜14が電子の注入される界面に比較的厚く形成されるため、低電界領域でのリーク電流を減少させ、信頼性の高い(消費電力の小さい)構造を実現することができる。
【0063】
さらに、上述した実施形態では、図6のレジストマスク19を用いて、周辺回路領域では浮遊ゲート電極膜13上を保護し、セル領域では素子分離絶縁膜15の上部と浮遊ゲート電極膜13上のシリコン酸化膜14を一括に除去して浮遊ゲート電極膜13側壁を露出させる。このため、セル領域におけるシリコン酸化膜14の除去と素子分離絶縁膜15の薄膜化とを別々のレジストマスクを用いて行う場合に比べて、浮遊ゲート電極膜13側壁を露出させるエッチング工程のバラツキを低減することができ、浮遊ゲート電極膜13側壁の面積のバラツキを低減させることができる。この結果、電極間絶縁膜16の電気容量のバラツキを低減させることができ、浮遊ゲート電極膜13と制御ゲート電極膜17とのカップリングのバラツキを低減させることが可能となることから、セル動作を安定化させることができる。
【0064】
また、周辺回路領域の浮遊ゲート電極膜13側壁に電極間絶縁膜16を形成しないことにより、周辺回路領域での素子の寿命を確保することが可能である。CMP後、素子分離絶縁膜15を薄膜化し、シリコン窒化膜18の下面より上側に素子分離絶縁膜15を残した状態にすることによって、周辺回路領域での浮遊ゲート電極膜13の側面部に電極間絶縁膜16を形成しないことが可能となる。
【0065】
また、周辺回路領域にキャパシタが形成された場合、浮遊ゲート電極膜13のエッジと制御ゲート電極膜17との距離を大きくすることができる。このため、電気的に側壁部は電極として機能しないようにすることができ、エッジ部の電界集中による寿命の劣化を抑制できる。
【0066】
また、電極間絶縁膜16では、バーズビーク抑制の目的で最下層面にラジカル窒化を行う場合がある。この場合には、図7の工程の後、ラジカル窒化による酸窒化膜が周辺回路領域とセル領域に形成される。浮遊ゲート電極膜13上のシリコン酸化膜14が十分に厚い場合には、電極間絶縁膜16のラジカル窒化が行われた場合においても、浮遊ゲート電極膜13上にシリコン酸化膜14が残り、セル領域より周辺回路領域で物理膜厚が厚い絶縁膜を得ることができる。
【0067】
一方、シリコン酸化膜14が薄い場合にも、電気的にはセル領域より周辺回路領域で厚い絶縁膜を得ることができる。これは、ラジカル窒化によって形成される酸窒化膜が下地の影響を受けるためである。周辺回路領域においてシリコン酸化膜14を窒化することによって形成される酸窒化膜は、セル領域における浮遊ゲート電極膜13を窒化して形成される酸窒化膜にくらべて、酸素比率(O/N)が高くなっており、誘電率が、セル領域に比べて周辺回路領域で低くなるためである。
【0068】
また、ラジカル窒化以外にも、下地を利用して窒化膜を形成する場合であれば同様なことが発生する。例えば、熱窒化やNOを用いた窒化を用いた場合にも同様な場合が発生する。
なお、上述した半導体記憶装置の製造方法において、シリコン酸化膜14を過度に大きくすると、素子分離溝M1で分離された素子形成領域の形成時にパターン倒れが発生する懸念が生じる。このような場合には、浮遊ゲート電極膜13上にシリコン酸化膜を介さずシリコン窒化膜18を形成し、素子形成領域のシリコン窒化膜18を除去した後にシリコン酸化膜を形成し、次いで周辺回路領域を選択的にレジストで覆った状態で、セル領域のシリコン酸化膜の除去と素子分離絶縁膜15の薄膜化を行ってもよい。これにより、パターン倒れのおそれを回避しながら、セル領域よりも周辺回路領域で制御ゲート電極膜17と浮遊ゲート電極膜13との間の導電膜間絶縁膜を厚くすることができる。また、周辺回路領域に残すシリコン酸化膜を、浮遊ゲート電極膜13の形成後とシリコン窒化膜18の除去後の両方で形成することもできる。
【0069】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の周辺回路領域の概略構成を示す断面図である。なお、この第3実施形態では、周辺回路領域のキャパシタを形成する方法を示す。
図9において、セル領域の浮遊ゲート電極膜13上および周辺回路領域のシリコン酸化膜14上に電極間絶縁膜16を形成した後、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いることにより、浮遊ゲート電極膜13を露出させる開口部Kを周辺回路領域のシリコン酸化膜14および電極間絶縁膜16に形成する。この開口部Kは、例えば、セル領域における選択トランジスタに関し、浮遊ゲート電極膜と制御ゲート電極膜を導通させるために電極間絶縁膜に設けられる開口部(図示せず)と同時に形成することができる。
【0070】
次に、電極間絶縁膜16上に制御ゲート電極膜17を形成した後、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いることにより、制御ゲート電極膜17を分離する溝M3をシリコン酸化膜14、電極間絶縁膜16および制御ゲート電極膜17に形成し、開口部Kを介して浮遊ゲート電極膜13に接続されたキャパシタ電極17aと、シリコン酸化膜14および電極間絶縁膜16を介して浮遊ゲート電極膜13と絶縁されたキャパシタ電極17bとを電極間絶縁膜16上に形成する。
【0071】
次に、キャパシタ電極17aに接続されたコンタクト電極20aと、キャパシタ電極17bに接続されたコンタクト電極20bとを形成する。
【0072】
これにより、シリコン酸化膜14および電極間絶縁膜16をキャパシタ絶縁膜とするキャパシタを周辺回路領域に形成することができ、シリコン酸化膜14の分だけキャパシタ絶縁膜の厚さを増大させることが可能となることから、電極間絶縁膜16をキャパシタ絶縁膜として用いた場合に比べてキャパシタの寿命を向上させることができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
11 シリコン基板、12 トンネル絶縁膜、13 浮遊ゲート電極膜、14 シリコン酸化膜、15 素子分離絶縁膜、16 電極間絶縁膜、17 制御ゲート電極膜、17a、17b キャパシタ電極、18 シリコン窒化膜、19 レジストマスク、20a、20b コンタクト電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル領域および周辺回路領域が設けられた半導体基板と、
前記セル領域および前記周辺回路領域の半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
前記セル領域および前記周辺回路領域の第1の絶縁膜上に形成された第1の導電膜と、
前記セル領域の第1の導電膜上に形成された第1の導電膜間絶縁膜と、
前記周辺回路領域の第1の導電膜上に形成され、前記第1の導電膜間絶縁膜よりも膜厚保が厚い第2の導電膜間絶縁膜と、
前記セル領域の第1の導電膜間絶縁膜および前記周辺回路領域の第2の導電膜間絶縁膜上に形成された第2の導電膜とを備えることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1の導電膜間絶縁膜および前記第2の導電膜間絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸窒化膜および金属酸化膜の少なくとも2種類以上を用いた積層構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1の導電膜間絶縁膜は、前記第1の導電膜に接する第1の酸窒化膜を備え、
前記第2の導電膜間絶縁膜は、前記第1の酸窒化膜よりも窒素に対する酸素の組成比が大きく、前記第1の導電膜に接する第2の酸窒化膜を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記周辺回路領域の第2の導電膜が分離されることで前記第2の導電膜間絶縁膜上に形成された第1および第2のキャパシタ電極と、
前記第2の導電膜間絶縁膜に形成され、前記第1のキャパシタ電極を前記第1の導電膜に接続する開口部とを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
半導体基板上のセル領域および周辺回路領域に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記セル領域および前記周辺回路領域の第1の絶縁膜上に第1の導電膜を形成する工程と、
前記セル領域および前記周辺回路領域の第1の導電膜上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記セル領域の前記第2の絶縁膜を選択的に除去する工程と、
前記セル領域の第1の導電膜上および前記周辺回路領域の前記第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜を形成する工程と、
前記セル領域および前記周辺回路領域の第3の絶縁膜上に第2の導電膜を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−49455(P2012−49455A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192420(P2010−192420)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】