説明

成膜方法、半導体装置の製造方法、半導体装置および成膜装置

処理容器内の被処理基板に成膜する成膜方法であって、ハロゲン元素を含まない有機金属化合物からなる第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第1の工程と、水素または水素化合物を含む第2の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第2の原料ガスを前記処理容器内から除去する第2の工程とを繰り返してなる第1の膜成長工程と、金属ハロゲン化物からなる第3の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第3の原料ガスを前記被処理基板から除去する第3の工程と、水素または水素化合物を含む第4の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第4の原料ガスを前記処理容器内から除去する第4の工程とを繰り返してなる第2の膜成長工程からなる成膜方法を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は本発明は、半導体基板に成膜する成膜方法に係り、更には半導体装置の製造方法、半導体装置および成膜装置に係る。
【背景技術】
近年、半導体装置の高性能化に伴い、半導体デバイスの高集積化が進んで微細化の要求が著しくなっており、配線ルールは0.13μmから0.10μm以下の領域へと開発が進んでいる。また、配線材料は従来のAlから、配線遅延の影響の少ない、抵抗値の低いCuに置き換えられている。
そのため、Cu成膜技術と微細配線技術の組み合わせが、近年の高性能半導体装置の製造技術において重要となっている。
前記したようなCu配線を用いる場合、Cu拡散防止膜を形成してCu配線の周囲に形成される絶縁層へのCuの拡散を防止する必要が有る。前記拡散防止層に対しては、例えば膜中不純物が少なく配向性がよいなど高品質な膜質が要求され、さらには微細パターンへ形成する際のカバレッジが良好である必要がある。
これらの要望を満たす成膜方法として、成膜時に複数種の原料ガスを1種類ずつ交互に供給することで、原料ガスの反応表面への吸着を経由して原子層・分子層に近いレベルで成膜を行ない、これらの工程を繰り返して所定の厚さの薄膜を得る方法が提案されている。このような成膜方法をAtomic Layer Deposition(ALD)と呼ぶことがある。
具体的には,第1の原料ガスを基板上に供給し、その吸着層を基板上に形成する。その後に、第2の原料ガスを基板上に供給し反応させる。この方法によれば、第1の原料ガスが基板に吸着した後第2の原料ガスと反応するため、成膜温度の低温化を図ることができる。また、不純物が少なく高品質な膜質が得られると同時に、微細パターンに成膜するにあたっては、従来のCVD法で問題となっていたような、原料ガスがホール上部で反応消費されてボイドが形成されることがなく、良好なカバレッジ特性を得ることができる。
前記Cu拡散防止膜としては、高融点金属または高融点金属の窒化物を使われることが一般的であり、現状では、TiN膜、TaN膜、Ta/TaN構造の積層膜、W膜、WN膜、W/WN構造の積層膜などを用いることが知られている。
例えば、TiN膜を形成する場合を例にとってみると、前記第1の原料ガスにはTiを含む化合物、例えばTiCl、前記第2の原料ガスには窒素を含む還元性のガス、例えばNHをプラズマ励起したものを用いてTiN膜を形成することが可能である。この場合、NHをプラズマ励起している理由は、形成されるTiN膜の膜中不純物濃度を低下させるためである。
このようにして前記したような、前記第1の原料ガスを基板上に供給し、その吸着層を基板上に形成して、前記第2の原料ガスを基板上に供給し反応させる原子層・分子層に近いレベルの成膜法によって、前記したように膜中の不純物が少ない低比抵抗である高品質のTiN膜を形成することができる。
【特許文献1】特開平6−89873号公報
【特許文献2】特開平7−252660号公報
【非特許文献1】K−K.Elers,V.Saanila,P.S.Soininen & S.Haukka,“The Atomic Layer CVDTM growth of titanium nitride from in−situ reduced titanium chloride”in Proceedings of Advanced Metallization Conference 2000,2000,p35−36
【非特許文献2】S.B.Kang,Y.S.Chae,M.Y.Yoon,H.S.Leen,C.S.Park,S.I.Lee & M.Y.Lee,“Low temperature processing of conformal TiN by ACVD(Advanced Chemical Vapor Deposition)for multilevel metallization in high density ULSI devices”in Proceedings of International Interconnects Technology Conference 1998,1998,p102−104.
【非特許文献3】W.M.Li,K.Elers,J.Kostamo,S.Kaipio,H.Huotari,M.Soinien,M.Tuominen,S.Smith & W.Besling,“Deposition of WNxCy thin film by ALCVDTM method for diffusion barriers in metallization“in Proceedings of International Interconnects Technology Conference 2002,2002
【非特許文献4】J.S.Park,M.J.Lee,C.S.Lee & S.W.Kang,“Plasma−enhanced atomic layer deposition of tantalum nitrides using hydrogen radicals as a reducing agent”Electrochemical & Solid−State Lett.,2001,4,p17−19
しかし、前記したような原子層・分子層レベルに近い成膜でCu拡散防止膜の形成をする場合、当該Cu拡散防止膜の下地膜にダメージを与えてしまうという問題が存在していた。
例えば前記下地膜の具体的な例としては、Cu配線をデュアルダマシン法によって形成する場合を考えた場合、当該Cu拡散防止膜の下地となる下地膜には当該Cu配線の下層のCu配線やW配線、および形成されるべき当該Cu配線の周囲に形成されている絶縁膜が存在する。
まず、Cu拡散防止膜形成時の、前記絶縁膜に対するダメージを、前記したTiN膜形成の場合を例にとって検証してみる。この場合、前記第2の原料ガスであるNHをプラズマ励起して用いているため、NHが解離して生成されるイオンやラジカルが前記絶縁膜にダメージを与えてしまう。特に、近年は前記絶縁膜に低誘電率膜を用いることが多いため、前記低誘電率膜はイオンやラジカルのダメージを受け、絶縁膜の誘電率が高くなってしまうという問題があった。
また、前記下地膜である、下層のCu配線に対するダメージを、同様に前記したTiN膜形成の場合を例にとって検証してみる。この場合、前記第1の原料ガスにハロゲン化合物ガスであるTiClを用いているため、下層のCu配線がハロゲンによって腐食してしまい、Cu配線の表面が荒れてしまうという問題があった。
【発明の開示】
そこで本発明では、上記の課題を解決した、Cu拡散防止膜を形成する際に下地膜にダメージを与えず、かつ膜質が良好である、新規で有用な成膜方法を提供することを統括的課題とする。
本発明の具体的な課題は、不純物の少ない高品質のCu拡散防止膜を形成する際に、下地膜となる絶縁膜にダメージを与えない成膜方法を提供することである。
本発明の別の課題は、不純物の少ない高品質のCu拡散防止膜を形成する際に、下地膜となるCu膜にダメージを与えない成膜方法を提供することである。
本発明では、上記の課題を、処理容器内の被処理基板に成膜する成膜方法であって、金属を含む第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第1の工程と、水素または水素化合物を含む第2の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第2の原料ガスを前記処理容器内から除去する第2の工程とを繰り返してなる第1の膜成長工程と、前記第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第3の工程と、水素または水素化合物を含み、プラズマ励起された第3の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第3の原料ガスを前記処理容器内から除去する第4の工程とを繰り返してなる第2の膜成長工程からなる成膜方法により、解決する。
また、本発明では上記の課題を、処理容器内の被処理基板に成膜する成膜方法であって、ハロゲン元素を含まない有機金属化合物からなる第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第1の工程と、水素または水素化合物を含む第2の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第2の原料ガスを前記処理容器内から除去する第2の工程とを繰り返してなる第1の膜成長工程と、金属ハロゲン化物からなる第3の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第3の原料ガスを前記被処理基板から除去する第3の工程と、水素または水素化合物を含む第4の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第4の原料ガスを前記処理容器内から除去する第4の工程とを繰り返してなる第2の膜成長工程からなる成膜方法により、解決する。
また、本発明では上記の課題を、処理容器内の被処理基板に成膜する成膜方法であって、有機金属化合物からなる第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第1の工程と、電気的に中性な分子からなる、水素または水素化合物を含む第2の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第2の原料ガスを前記処理容器内から除去する第2の工程とを繰り返してなる第1の膜成長工程と、金属ハロゲン化物からなる第3の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第3の原料ガスを前記被処理基板から除去する第3の工程と、水素または水素化合物を含み、プラズマ励起された第4の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第4の原料ガスを前記処理容器内から除去する第4の工程とを繰り返してなる第2の膜成長工程からなる成膜方法により、解決する。
上記成膜方法によれば、Cu拡散防止膜を形成する場合に、当該Cu拡散防止膜の下地となる膜にダメージを与えることなく、成膜を行う事が可能となる。
また、形成されるCu拡散防止膜は不純物が少なく、配向性がよいなど高品質であり、さらには微細パターンへ当該Cu拡散防止膜を形成する際のカバレッジが良好となる。
また、本発明は上記の課題を、前記成膜方法で成膜する成膜装置であって、被処理基板を処理する処理容器と、前記処理容器内に設けられた前記被処理基板を載置する載置台と、前記ハロゲン元素を含まない有機金属化合物の原料ガスと、前記第1の原料ガスまたは前記第3の原料ガスを前記処理容器内に供給する第1のガス供給系と、前記第1のガス供給系とは独立に、前記第2の原料ガスまたは第4の原料ガスを前記処理容器内に供給する第2のガス供給系と、前記第1の原料ガスまたは第2の原料ガスをプラズマ励起するプラズマ励起手段と、と有することを特徴とする成膜装置により、解決する。
当該成膜装置によれば、Cu拡散防止膜を形成する場合に、当該Cu拡散防止膜の下地となる膜にダメージを与えることなく、成膜を行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1A〜図1Cは、実施例1による成膜方法を示す図である。
図2A〜図2Cは、実施例2による成膜方法を示す図である。
図3A〜図3Cは、実施例3による成膜方法を示す図である。
図4は、本発明による成膜方法を実施する成膜装置の概略図(その1)である。
図5は、実施例5による成膜方法の詳細なフローを示す図である。
図6は、実施例6による成膜方法の詳細なフローを示す図である。
図7は、実施例7による成膜方法の詳細なフローを示す図である。
図8A〜図8Fは、本発明の成膜方法を半導体装置の製造に適用した図である。
図9は、本発明の成膜方法により形成した半導体装置の概略断面図である。
図10は、本発明による成膜方法を実施する成膜装置の概略図(その2)である。
図11は、実施例12による成膜方法の詳細なフローを示す図である。
図12は、実施例12による成膜条件を示す図(その1)である。
図13は、実施例12による成膜条件を示す図(その2)である。
図14は、実施例12による成膜によって形成されたCu拡散防止膜の構造を示す図である。
図15A,図15Bは、実施例12によって形成されたTa(C)N膜のXPS(X線光電子分光分析)による分析結果を示す図である。
図16は、実施例12によって形成されたTa(C)N膜のXRD(X線回折)よる分析結果を示す図である。
図17は、実施例12によって形成されたTa(C)N膜の断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
図18は、実施例12によって形成されたTa膜のXPSによる分析結果を示す図である。
図19は、実施例12によって形成されたTa膜のXRD(X線回折)よる分析結果を示す図である。
図20は、実施例12によって形成されたTa膜の断面TEM(透過型電子顕微鏡)写真である。
図21は、実施例13による成膜装置を概略的に示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明では、半導体基板上にCu拡散防止膜を形成する方法として以下のような原子層・分子層に近いレベルの成膜を行うことで高品質な膜質を得ることができる。第1の原料ガスを処理容器内の基板上に供給し、その吸着層を基板上に形成して、未反応の前記第1の原料ガスを処理容器内から除去する。その後に、第2の原料ガスを処理容器内の基板上に供給し反応させて、未反応の前記第2の原料ガスを処理容器内から除去する。
このように、原子層・分子層レベルに近い成膜を行うことによって、不純物が少なく、電気的な抵抗値の低い高品質な膜質が得られる。また、微細パターンに成膜するにあたっては、従来のCVD法で問題となっていたような、原料ガスがホール上部で反応消費されてボイドが形成されることがなく、良好なカバレッジ特性を得ることができ、さらに被処理基板面内での膜質・成膜される膜厚の均一性に優れている。また、成膜温度の低温化を図ることができるため、特に下地膜に低誘電率膜など高温(400℃以上)で変質してしまう膜を用いた場合、有用である。また、このような成膜方法をAtomic Layer Deposition(ALD)と呼ぶことがある。
前記したような特徴を持つ成膜方法を用いて、さらに下地となる膜にダメージを与えないように、Cu拡散防止膜を形成する本発明の実施例に関して、次に、図面に基づき、以下に説明する。
【実施例1】
図1A〜図1Cは、本発明の実施例1である成膜方法を、手順を追って示したものである。本実施例では、Cu拡散防止膜として、TiN膜を形成する手順について説明する。また、本実施例では、前記TiN膜を形成する際の下地膜が絶縁膜の場合であり、当該絶縁膜にダメージを与えずに、かつ前記したような高品質のCu拡散防止膜を形成する方法を以下に説明する。
まず、図1Aを参照するに、被処理基板上に形成された下地膜1の上に、第1の拡散防止膜2を形成する。この場合、前記したような第1の原料ガスと第2の原料ガスを交互に被処理基板上に供給する方法において、第1の原料ガスにTiCl、第2の原料ガスにはNHを用いている。
次に、図1Bにおいて、前記第1の拡散防止膜2の上に、第2のCu拡散防止膜3を形成する。この場合、第1の原料ガスと第2の原料ガスを交互に被処理基板上に供給する成膜方法において、第1の原料ガスにTiCl、第2の原料ガスにはプラズマ励起されたNHを用いて行う。
次に、図1Cの工程において、前記第2のCu拡散防止膜3の上に、PVD法、CVD法、もしくはメッキ法などによってCu層4を形成する。
本実施例の場合、図1Aの工程において、第2の原料ガスに、プラズマ励起されていないNHを用いることで、前記第2の原料ガス中にイオンやラジカルなど前記絶縁膜1にダメージを与える粒子が存在せず、当該第2の原料ガスが実質的に電気的に中性な粒子からなるため、前記絶縁膜1にダメージを与えることがない。
これは、プラズマ励起されたNHには、N、H、NH、などのラジカルが存在し、これらラジカルが前記絶縁膜1をエッチングする場合があり、さらにイオンが存在する場合は物理的なスパッタのダメージを与えてしまうが、プラズマ励起しないガスを用いる場合はこのような問題が存在しないためである。
また、前記絶縁膜1には従来シリコン酸化膜が多く用いられてきた。しかし、近年の半導体装置においては、通常のシリコン酸化膜と比べて、より誘電率の低い(誘電率4未満)、いわゆる低誘電率膜を用いることが多い。このような低誘電率膜は、化学的、物理的にエッチングされやすく、また膜が変質して誘電率が上昇してしまう場合もある。また、膜中に空孔を形成して低誘電率化を図る、いわゆるポーラス膜を用いる場合もあり、その場合は膜の強度が弱いためにダメージを受けやすい。
前記した理由により、低誘電率膜は、シリコン酸化膜よりも、さらにダメージを受けやすく、前記した本実施例における下地膜にダメージを与えない成膜方法は、特に前記した低誘電率膜の上にCu拡散防止膜を成膜する場合に、さらに有効な技術となる。ここで、前記した、低誘電率の膜の例を以下に示す。
前記低誘電率膜の例としては、大別して無機膜と有機膜にわけることができる。前記無機系の膜の例としては、無機SOD膜(スピンコート法によって成膜される絶縁膜)であるアルキルシロキサンポリマー、HSQ(水素化シルセスキオキサンポリマー)、などがある。また、CVD(化学気相堆積)法によっても低誘電率膜は形成可能であり、無機膜では、例えばフッ素添加シリコン酸化膜などがある。
また、前記した無機膜、およびシリコン酸化膜はいずれもポーラス膜にすることによってさらに誘電率を低下させた、低誘電率膜として用いる場合もある。
また、有機膜の例としては、有機ポリマー膜があり、有機ポリマーの例としては、PTFE系の膜、ポリイミド系の膜、フッ素添加ポリイミド膜、BCB(ベンゾシクロブテン)、パレリン−N、パレリン−F、MSQ(アルキルシルセスキオキサンポリマー)、HOSP(水素化アルキルシルセスキオキサンポリマー)などがある。さらに有機系の膜としては、CVD法によって形成されるフッ素添加カーボン膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)、SiCO膜やSiCO(H)膜などがある。
また、前記した有機膜はいずれもポーラス膜にすることによってさらに低誘電率を図る場合もある。
本発明による成膜方法は、前記したような低誘電率膜に対して特に有効な成膜方法である。そのため、本実施例では前記絶縁層1の上に第1のCu拡散防止膜を形成する図1Aの工程において、前記前記絶縁層1にダメージを与えないために、プラズマ励起されておらず、イオンやラジカルといったダメージを与える反応種が存在しないガスを原料ガスに用いている。
さらに図1Bの工程においては、第2の原料ガスにプラズマ励起されたNHを用いている。これは、NHをプラズマ励起することで解離を進行させて、TiClとの反応を促進させるためである。そのため、形成されるTiN膜中の残留塩素などの不純物が減少して、より電気抵抗値の小さい膜質の良好なTiN膜を形成することができる。
この場合、既に前記絶縁膜1は前記第1のCu拡散防止膜2で覆われているため、プラズマ励起された中に存在するイオンやラジカルによって当該絶縁膜1がダメージを受けることがない。
すなわち、本発明による実施例1に示す成膜方法において、第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜を形成することにより、下地膜である前記絶縁膜1がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜であるTiN膜を形成することが可能となる。
本実施例においては、第1の原料ガスとしてTiCl以外のガスを用いることが可能であり、また第2の原料ガスとしてもNHおよびNHのプラズマ励起されたガス以外にも種々使用することが可能である。
さらに、同様の方法で他のCu拡散防止膜として、TiN膜の他にも、TaN膜、Ta/TaNの積層膜、WN膜、W/WNの積層膜、Ti(C)N膜(Ti(C)N膜とは、TiN膜中に不純物としてCを含む膜で、例えば有機金属ガスを用いてTiNを含む膜を形成した場合に形成される膜を意味する)、Ta(C)N膜(Ta(C)N膜とは、TaN膜中に不純物としてCを含む膜で、例えば有機金属ガスを用いてTaNを含む膜を形成した場合に形成される膜を意味する)、W(C)N膜(W(C)N膜とは、WN膜中に不純物としてCを含む膜で、例えば有機金属ガスを用いてWNを含む膜を形成した場合に形成される膜を意味する)、W/W(C)Nの積層膜を形成することが可能であり、本実施例に記載したTiN膜の場合と同様の効果を奏する。これらの詳細については後述する。
【実施例2】
次に、実施例2として、Cu拡散防止膜を形成する際の下地膜がCu膜の場合において、当該Cu膜にダメージを与えずに、かつ前記したような高品質のCu拡散防止膜を形成する方法を以下に説明する。
図2A〜図2Cは、本発明の実施例1である成膜方法を、手順を追って示したものである。本実施例では、Cu拡散防止膜として、TiN/Ti(C)N膜を形成する手順について説明する。
まず、図2Aを参照するに、被処理基板上に形成されたCu膜5の上に、第1のCu拡散防止膜6を形成する。この場合、前記したような第1の原料ガスと第2の原料ガスを交互に被処理基板上に供給する方法において、第1の原料ガスにTEMAT(Ti[N(CCH)])、第2の原料ガスにはNHを用いてTi(C)N膜からなる、第1のCu拡散防止膜6を形成する。
次に、図2Bにおいて、前記第1の拡散防止膜6の上に、第2のCu拡散防止膜7を形成する。この場合、第1の原料ガスと第2の原料ガスを交互に被処理基板上に供給する成膜方法において、第1の原料ガスにTiCl、第2の原料ガスにNHを用いてTiN膜からなる第2のCu拡散防止膜7を形成する。
次に、図2Cの工程において、前記第2のCu拡散防止層7の上に、PVD法、CVD法、もしくはメッキ法などによってCu層4を形成する。
本実施例においては、図2Aの工程において、ハロゲン化合物のガスを用いずに、有機金属ガスであるTEMATを用いている。そのため、下地膜である前記Cu膜5にダメージを与えることがないが、これは以下の理由による。
下地膜である前記Cu膜5は、例えば、TiClなどのハロゲン化合物を原料ガスに用いた場合、ハロゲンであるClによって当該Cu膜5が腐食してしまうという問題がある。前記したTiClの他にTiを含むハロゲン系のガスとしては、TiF、TiBr、TiIなどがある。
本実施例においては、ハロゲン元素を含まない有機金属化合物、例えば金属アミド化合物または金属カルボニル化合物を用いることが好ましく、この場合、下地膜である前記Cu膜5の腐食を防止している。また、下地膜は、Cu膜に限らず、W膜、Al膜に対しても同様に腐食防止の効果がある。
また、図2Bの工程においては、ハロゲン系ガスであるTiClを用いている。これは、形成されるTiN膜中に、有機物であるCやCHxなどの不純物が取り込まれるのを防止してTiN膜の電気抵抗値を低く抑えるためである。
この場合、既に下地膜である前記Cu膜5は、Ti(C)N膜からなる前記第1のCu拡散防止膜6によって覆われているため、TiN膜からなる前記Cu膜5が第1の原料ガス中に含まれるハロゲンによってダメージを受けることがない。
すなわち、本発明による実施例2に示す成膜方法において、下地膜である前記Cu膜5がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜であるTiN/Ti(C)N膜を形成することが可能となる。
本実施例においては、第1の原料ガスとしてTEMATおよびTiCl以外のガスを用いることが可能であり、また第2の原料ガスとしてNH以外にも種々使用することが可能である。さらに、同様の方法で他のCu拡散防止膜としてTiN/Ti(C)N膜の他にも、TaN/Ta(C)N膜、Ta/Ta(C)Nの積層膜、WN/W(C)N膜、W/W(C)Nの積層膜を形成することが可能であり、本実施例に記載したTiN/Ti(C)N膜の場合と同様の効果を奏する。これらの詳細については後述する。
また、本実施例において、図2Aおよび図2Bの工程において、第2の原料ガスをプラズマ励起させて用いても良い。この場合、第2の原料ガスの解離が促進されてCu拡散防止膜を形成する反応が促進され、形成されるCu拡散防止膜中の不純物が減少してCu拡散防止膜の電気抵抗値を下げる効果がある。
さらに、次に実施例3として示すように、図2Aにおける第1のCu拡散防止膜の形成工程ではプラズマ励起されていない第2原料ガスを用いて、図2Bにおける第2のCu拡散防止膜の形成工程においてのみプラズマ励起された第2の原料ガスを用いることで、下地膜であるCuと絶縁膜の双方にダメージを与えない成膜方法を行う事が可能となる。
また、下地膜はCuに限定されず、WまたはAlの場合も前記したような下地膜、すなわち、WまたはAlにダメージを与えずに成膜を行う事が可能となるという同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
そこで、実施例3として、Cu拡散防止膜を形成する際の下地膜に絶縁膜とCu膜の双方が存在し、当該絶縁膜および当該Cu膜の双方にダメージを与えずに、かつ前記したような高品質のCu拡散防止膜を形成する方法を以下に説明する。図3A〜図3Cは、本発明の実施例3である成膜方法を、手順を追って示したものである。本実施例では、Cu拡散防止膜として、TiN/Ti(C)N膜を形成する手順について説明する。
まず、図3Aを参照するに、被処理基板上に形成された前記絶縁膜1および前記Cu膜5の上に、第1の拡散防止膜8を形成する。この場合、前記したような第1の原料ガスと第2の原料ガスを交互に被処理基板上に供給する方法において、第1の原料ガスにTEMAT、第2の原料ガスにはNHを用いてTi(C)N膜からなる、第1のCu拡散防止膜8を形成する。
次に、図3Bにおいて、前記第1の拡散防止膜8の上に、第2のCu拡散防止膜9を形成する。この場合、第1の原料ガスと第2の原料ガスを交互に被処理基板上に供給する成膜方法において、第1の原料ガスにTiCl、第2の原料ガスにプラズマ励起されたNHを用いてTiN膜からなる第2のCu拡散防止膜9を形成する。
次に、図3Cの工程において、前記第2のCu拡散防止層9の上に、PVD法、CVD法、もしくはメッキ法などによってCu層4を形成する。
本実施例の場合、図3Aの工程において、プラズマ励起されていないNHを用いることで、前記第2の原料ガス中にイオンやラジカルなど前記絶縁層1にダメージを与える粒子が存在しないため、前記絶縁層1にダメージを与えることがない。すなわち、実施例1の場合で前記した場合と同様に、絶縁膜が、Nラジカル、Hラジカル、NHラジカルなど、NHをプラズマ励起したことで生じる反応種によりエッチングされる、もしくは、NHをプラズマ励起したことで生じるイオンの衝撃によって物理的なエッチングがされることがない。
また、図3Bの工程においては、第2の原料ガスにプラズマ励起されたNHを原料ガスに用いている。これは、NHをプラズマ励起することで解離を進行させて、TiClとの反応を促進させるためである。そのため、形成されるTiN膜中の残留塩素などの不純物が減少して、より電気抵抗値の小さい膜質の良好なTiN膜を形成し、その結果TiN/Ti(C)N膜からなるCu拡散防止膜の抵抗値を低く抑えることができる。
この場合、既に前記絶縁膜1は前記第1のCu拡散防止膜2で覆われているため、プラズマ励起された中に存在するイオンやラジカルによって当該絶縁膜1がダメージを受けることがない。
また、実施例2の場合で前記したように、図3Aの工程において、第1の原料ガスに、有機金属ガスであるTEMATを用いている。そのため、下地膜である前記Cu膜5にハロゲンによるダメージを与えることがない。
また、図3Bの工程において、第1の原料ガスにハロゲン化合物ガスであるTiClを用いており、TiN膜中にCやCHxなどの不純物が取り込まれるのを防止してより電気抵抗値の小さい膜質の良好なTiN膜を形成し、その結果TiN/Ti(C)N膜からなるCu拡散防止膜の抵抗値を低く抑えることができる。
この場合、既に下地膜である前記Cu膜5は前記第1のCu拡散防止膜8によって覆われているため、前記Cu膜5が第1の原料ガス中に含まれるハロゲンによってダメージを受けることがない。
すなわち、本発明による実施例3に示す成膜方法において、下地膜である前記絶縁膜1および前記Cu膜5の双方がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜であるTiN/Ti(C)N膜を形成することが可能となる。
本実施例においては、第1の原料ガスとしてTEMATおよびTiCl以外のガスを用いることが可能であり、また第2の原料ガスとしてもNH以外にも種々使用することが可能である。さらに、同様の方法で他のCu拡散防止膜としてTiN/Ti(C)N膜の他にも、TaN/Ta(C)N膜、Ta/Ta(C)Nの積層膜、WN/W(C)N膜、W/W(C)Nの積層膜を形成することが可能であり、本実施例に記載したTiN/Ti(C)N膜の場合と同様の効果を奏する。これらの詳細については後述する。
また、下地膜はCuに限定されず、WまたはAlの場合も前記したような下地膜、すなわち、WまたはAlにダメージを与えずに成膜を行う事が可能となるという同様の効果を得ることができる。
次に、実施例1〜実施例3に前記した成膜方法を行う成膜装置を図4に基づき、以下に説明する。
【実施例4】
図4は、前記した実施例1〜実施例3の成膜方法を実施可能な成膜装置10を示す。
図4を参照するに、前記成膜装置10は、例えばアルミニウム、表面をアルマイト処理されたアルミニウムもしくはステンレススチールなどからなる処理容器11を有し、前記処理容器11の内部には基板保持台支持部15に支持されたAlNからなる基板保持台12が設置され、前記基板保持台12の中心には被処理基板である半導体被処理基板Wが載置される。前記基板保持台12には図示しないヒータが内蔵されて前記被処理基板を所望の温度に加熱することが可能な構造となっている。
前記基板処理容器11内は、排気口18に接続される図示しない排気系により真空排気され、前記処理容器11内を減圧状態とすることが可能である。また、前記被処理基板Wは、前記処理容器11に設置された図示しないゲートバルブより搬入もしくは搬出される。
そのため、前記基板保持台12には、前記被処理基板Wの前記処理容器11内への搬入・搬出時に前記被処理基板Wを保持して前記基板保持台15より離脱または載置するリフターピン13が設置されている。前記リフターピン13は、連結棒14を介してベローズ16にて真空シールされた上下機構17に接続されており、前記リフターピン13を上下動させて、前記基板載置台12より前記被処理基板Wを離脱、もしくは載置することが可能となっている。
前記処理容器11の上部にはガス導入路11Aが設けられており、前記被処理基板Wに成膜を行うための原料ガス、もしくは希釈ガスなどが導入される。
前記ガス導入路11Aには、第1原料ガスおよび当該第1原料ガスを希釈する希釈ガスを導入するガスライン24が接続されており、前記ガスライン24はさらにハロゲン第1原料ガスライン25、有機金属第1原料ガスライン26および希釈ガスライン27に接続されている。
前記ハロゲン第1原料ガスライン25は質量流量コントローラ25Aおよびバルブ25Bを介してハロゲン第1原料ガス源25Cに接続されている。前記ハロゲン第1原料ガス源25Cには、例えばTi、TaまたはWを含むハロゲン化合物のガス源が接続されて、それぞれTi、TaまたはWを含むハロゲン化合物である第1原料ガスを、前記処理容器11に供給する。
前記有機金属第1原料ガスライン26は質量流量コントローラ26Aおよびバルブ26Bを介して有機金属第1原料ガス源26Cに接続されている。前記有機金属第1原料ガス源26Cには、例えばTi、TaまたはWを含む有機金属化合物のガス源が接続されて、それぞれTi、TaまたはWを含む有機金属化合物である第1原料ガスを、前記処理容器11に供給する。
また、前記希釈ガスライン27は質量流量コントローラ27Aおよびバルブ27Bを介して希釈ガス源27Cに接続されており、必要に応じて第1原料ガスを希釈するための、例えばN、Ar、Heなどの希釈ガス源を設置して、N、Ar、Heなどを前記ガスライン24を介して前記処理容器11内に供給する。また、希釈ガスを前記ガスライン24から導入することで、前記処理容器11内から前記ガスライン24へのガスの逆流を防止する効果もある。
また、前記ガス導入路11Aには、後述するリモートプラズマ源19を介してガスライン20が接続されている。前記ガスライン20には、窒化第2原料ガスライン21、水素第2原料ガスライン22および希釈ライン23が接続されている。窒化第2原料ガスライン21には、質量流量コントローラ21A、バルブ21Bを介して窒化第2原料ガス源21Cが接続されており、第2原料ガスの供給源として窒素化合物、例えば、NH、N、NH(CH、NCHなどのガス源が接続されて前記処理容器11内に窒素化合物ガスを導入する。
また、前記水素第2原料ガスライン22には、質量流量コントローラ22A、バルブ22Bを介して水素原料ガス源22Cが接続されており、第2原料ガスの供給源として還元性のガスである例えばHのガス源が接続されて前記処理容器11内にHガスを導入する。
また、前記希釈ライン23には、質量流量コントローラ23A,バルブ23Bを介して希釈原料ガス源23Cが接続されており、必要に応じて第2原料ガスを希釈するための、例えばN、Ar、Heなどの希釈ガス源を設置して、N、Ar、Heなどを前記ガスライン20を介して前記処理容器11内に供給する。また、希釈ガスをガスライン20から導入することで、前記処理容器11内から前記ガスライン20、前記リモートプラズマ源19へのガスの逆流を防止する効果もある。
前記リモートプラズマ源19は、高周波電力を印加されて、前記リモートプラズマ源19に導入されるガスをプラズマ励起するプラズマ発生装置が内臓されている。前記リモートプラズマ源19は、必要に応じて前記リモートプラズマ源19に供給される前記窒素原料ガスまたは前記水素原料ガスをプラズマ励起する。また、前記したようなプラズマ励起を行わない場合は供給されるガスはそのまま前記リモートプラズマ源19を通過して前記処理容器11内へ供給される。プラズマ励起されたガスからは、ガスが解離したイオン、ラジカルなどの反応種が生成され、前記ガス導入路11Aより前記処理容器11内へ導入される。例えば第2原料ガスをプラズマ励起した場合は、NH(ラジカル)、H(ラジカル)、N(ラジカル)などが前記処理容器11内へ導入される。
本実施例では、前記リモートプラズマ源のプラズマ励起方法は2MHzの高周波を用いたICP(誘導結合型プラズマ)装置を用いているが、前記の方法に限定されるものではない。プラズマ励起は、たとえば平行平板プラズマでもECRプラズマでもよい。また、例えば周波数は400kHz、800kHzなどのより低周波を用いてもよく、また13.56MHzなどの高周波や、マイクロ波(2.45GHz)を用いることも可能であり、プラズマが励起されてガスを解離することが可能であれば、印加する周波数やプラズマ励起の方法は、いずれの方法でもよい。
また、前記したようなバルブ21B〜27Bまでの開閉動作、前記リフターピン13の動作、前記リモートプラズマ源19のプラズマ励起の動作など成膜に関する前記成膜装置10の動作は制御装置10Aによって一括制御され、実施例5以下で後述するプロセスフローは前記制御装置10Aによって制御される。
次に、実施例1〜実施例3の説明で前記した図1〜3に示した成膜方法について、前記成膜装置10を用いた場合においてより具体的に説明する。
【実施例5】
図5は、前記成膜装置10を用いて行う本発明によるCu拡散防止膜の成膜方法によるプロセスフローを示す図であり、図1に示した実施例1をより具体的に示したものである。本実施例では、被処理基板上の下地膜である酸化膜上にCu拡散防止膜を形成する例としてTiN膜を形成する。当該プロセスフローはステップ101(図中S101と示す。以下同様)〜ステップ116よりなる。
まず、ステップ101において、被処理基板である被処理基板Wを前記成膜装置10に搬入する。
次に、ステップ102において、前記被処理基板Wを前記基板保持台12に載置する。
ステップ103においては、前記基板載置台12に内蔵したヒータによって前記被処理基板が昇温され、略400℃に保持される。以後の工程においては前記被処理基板Wは略400℃に保持される。
次にステップ104において、前記バルブ25Bを開放し、前記質量流量コントローラ25Aで流量を制御して前記処理容器11内に第1原料であるTiClを30sccm供給する。その際に同時にバルブ27Bおよびバルブ23Bを開放して前記質量流量コントローラ27Aおよび23Aで流量を制御して希釈ガスであるNを前記希釈ガスライン27および希釈ガスライン23からそれぞれ100sccmずつ合計で200sccmを前記処理容器11内に導入する。
本ステップにおいて、TiClが被処理基板上に供給されることで、被処理基板上に形成されている前記絶縁膜1上にTiClが吸着する。
次に、ステップ105で、前記バルブ23B、25Bおよび27Bを閉じて前記処理容器11へのTiClおよびNの供給を停止する。ここで前記絶縁層1上に吸着していない未吸着で前記処理容器11内に残留していたTiClは、前記排気口18より前記処理容器11の外へと排出される。
次に、ステップ106において、前記バルブ21Bを開放し、前記質量流量コントローラ21Aで流量を制御して前記処理容器11内にNHを800sccm供給する。その際に同時にバルブ27Bおよびバルブ23Bを開放して前記質量流量コントローラ27Aおよび23Aで流量を制御して希釈ガスであるNを前記希釈ガスライン27および希釈ガスライン23からそれぞれ100sccmずつ合計で200sccmを前記処理容器11内に導入する。
本ステップにおいて、NHが略400℃となっている被処理基板上に供給されることで、被処理基板上に吸着しているTiClとNHが反応してTiNが形成される。
次に、ステップ107で、前記バルブ21B、23Bおよび27Bを閉じて前記処理容器11へのNHおよびNの供給を停止する。ここで未反応で前記処理容器11内に残留していたNHは、前記排気口18より前記処理容器11の外へと排出される。
次に、ステップ108においては、必要な膜厚の第1のCu拡散防止層を形成するために、成膜工程を再びステップ104に戻して所望の膜厚となるまでステップ104〜107を繰り返し、必要な回数終了後に次のステップ109に移行する。この場合、第2の原料ガスに、プラズマ励起されていないNHを用いることで、前記第2の原料ガス中にイオンやラジカルなど絶縁膜にダメージを与える粒子が存在しないため、下地の絶縁膜にダメージを与えることがない。
次のステップ109〜110はそれぞれ前記したステップ104〜105と同一である。
次に、ステップ111において、前記バルブ21Bを開放し、前記質量流量コントローラ21Aで流量を制御して前記処理容器11内にNHを400sccm供給する。その際に同時にバルブ27Bおよびバルブ23Bを開放して前記質量流量コントローラ27Aおよび23Aで流量を制御して希釈ガスであるNを前記希釈ガスライン27および希釈ガスライン23からそれぞれ100sccmずつ合計で200sccmを前記処理容器11内に導入する。その際に、前記リモートプラズマ源19で高周波電力を400W印加してプラズマ励起を行う。前記リモートプラズマ源においては、供給されるNHが解離してNHとなり、前記処理容器11内に供給される。そこで、前記ステップ109〜110によって、前記被処理基板上のTiN膜上に吸着しているTiClとNHが反応してTiNが形成される。本実施例の場合はTiN形成のためにNHに換わっておもにNHを用いているため、TiClとの反応が促進されてTiNの形成が進むために、形成されるTiN膜中に残留塩素などの不純物が少なく、膜質が良好であるという特長がある。
次に、ステップ112において、前記リモート電源19の高周波電力の印加を停止し、前記バルブ21B、23Bおよび27Bを閉じて前記処理容器11へのNHおよびNの供給を停止する。ここで未反応で前記処理容器11内に残留していたNHは、前記排気口18より前記処理容器11の外へと排出される。
次に、ステップ113においては、必要な膜厚の第2のCu拡散防止層を形成するために、成膜工程を再びステップ109に戻して所望の膜厚となるまでステップ109〜112を繰り返し、必要な回数終了後に次のステップ114に移行する。
次に、ステップ114では前記リフターピン13を上昇させて前記被処理基板Wを前記基板保持台12より離間する。
次にステップ115で前記処理容器11から前記被処理基板Wを搬出する。
次に、ステップ116において、形成された前記第2のCu拡散防止層3上に、前記Cu膜4を形成するため、Cu成膜装置に搬送して、前記Cu膜4を成膜する。この場合、前記したように、Cu膜はPVD装置、CVD装置、メッキ装置のいずれで成膜してもよい。
また、本実施例においては、ステップ104および109で導入する第1原料ガスとしてTiCl、第2原料ガスとしてはステップ106で導入する第1のCu拡散防止膜形成時はNH、ステップ111で導入する第2のCu拡散防止膜形成時はNHをプラズマ励起したものを用いてTiN膜を形成しているが、これに限定されるものではない。
例えば、第1原料ガスにハロゲン化合物ガスを用いてTiN膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTiN膜を形成することが可能であり、本実施例の場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、第1原料ガスにハロゲン化合物ガスを用いてTaN膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTaN膜を形成することが可能である。但し、第2のCu拡散防止膜形成時に、第2の原料ガスとして、Hをプラズマ励起したH/Hを用いた場合には、Ta/TaN膜が形成される。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、第1原料ガスにハロゲン化合物ガスを用いてWN膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTaN膜を形成することが可能である。但し、第2のCu拡散防止膜形成時に、第2の原料ガスとして、Hをプラズマ励起したH/Hを用いた場合には、W/WN膜が形成される。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

また、同様に第1原料ガスに有機金属ガスを用いてTi(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTi(C)N膜を形成することが可能であり、本実施例の場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、第1原料ガスに有機金属ガスを用いてTa(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTa(C)N膜を形成することが可能である。

また、同様に、第1原料ガスに有機金属ガスを用いてW(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてW(C)N膜を形成することが可能である。但し、第2のCu拡散防止膜形成時に、第2の原料ガスとして、Hをプラズマ励起したH/Hを用いた場合には、W(C)/W(C)N膜が形成される。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

【実施例6】
次に、同様にして、図2に示した、下地膜であるCu膜にダメージを与えないCu拡散防止膜の成膜方法によるプロセスフローを図6に示す。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を用い、一部説明を省略する。本実施例は、さきに図2に示した実施例2をより具体的に示したものであり、当該プロセスフローは、ステップ201〜216よりなる。
本実施例におけるステップ201〜203および214〜216は、それぞれ実施例5で前記したステップ101〜103および114〜116と同一である。
図6を参照するに、ステップ204において、前記バルブ26Bを開放し、前記質量流量コントローラ26Aで流量を制御して前記処理容器11内に第1原料であるTEMATを30sccm供給する。その際に同時にバルブ27Bおよびバルブ23Bを開放して前記質量流量コントローラ27Aおよび23Aで流量を制御して希釈ガスであるNを前記希釈ガスライン27および希釈ガスライン23からそれぞれ100sccmずつ合計で200sccmを前記処理容器11内に導入する。
本ステップにおいて、TEMATが被処理基板上に供給されることで、被処理基板上に形成されている前記絶縁膜1上にTEMATが吸着する。
次に、ステップ205で、前記バルブ23B、26Bおよび27Bを閉じて前記処理容器11へのTEMATおよびNの供給を停止する。ここで前記絶縁層1上に吸着していない未吸着で前記処理容器11内に残留していたTEMATは、前記排気口18より前記処理容器11の外へと排出される。
次に、ステップ206において、前記バルブ21Bを開放し、前記質量流量コントローラ21Aで流量を制御して前記処理容器11内にNHを800sccm供給する。その際に同時にバルブ27Bおよびバルブ23Bを開放して前記質量流量コントローラ27Aおよび23Aで流量を制御して希釈ガスであるNを前記希釈ガスライン27および希釈ガスライン23からそれぞれ100sccmずつ合計で200sccmを前記処理容器11内に導入する。
本ステップにおいて、NHが略400℃となっている被処理基板上に供給されることで、被処理基板上に吸着しているTEMATとNHが反応してTi(C)Nが形成される。
次に、ステップ207で、前記バルブ21B、23Bおよび27Bを閉じて前記処理容器11へのNHおよびNの供給を停止する。ここで未反応で前記処理容器11内に残留していたNHは、前記排気口18より前記処理容器11の外へと排出される。
次に、ステップ208においては、必要な膜厚の、Ti(C)N膜からなる第1のCu拡散防止層を形成するために、成膜工程を再びステップ204に戻して所望の膜厚となるまでステップ204〜207を繰り返し、必要な回数終了後に次のステップ209に移行する。
次に、ステップ209〜212において、第1の原料ガスにTiClを用いてTiNを形成する。ステップ209〜212は、図5のステップ104〜107と同一である。
その後、ステップ213において、必要な膜厚のTiN膜からなる第2のCu拡散防止層を形成するために、成膜工程を再びステップ209に戻して所望の膜厚となるまでステップ209〜212を繰り返し、必要な回数終了後に次のステップ214に移行する。
本実施例においては、このように第1のCu拡散防止膜形成時のステップ204では第1原料ガスとして有機金属ガスを用いてTi(C)N膜を形成しており、第2のCu拡散防止膜形成時のステップ209ではハロゲン化合物ガスを用いてTiN膜を形成している。そのため、実施例2の場合で前記したように、下地膜であるCu膜がハロゲンで腐食することなく、かつ膜中不純物の少ない電気抵抗値の低いCu拡散防止膜を形成することができる。
また、本実施例の場合は例えば、ステップ204に用いる第1原料ガスとして有機金属ガスのTEMAT、ステップ209に用いる第1原料ガスとしてハロゲン化合物ガスのTiCl、また、ステップ206およびステップ211に用いる第2原料ガスとしてはNHを用いているが、これに限定されるものではない
例えば、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTiN/Ti(C)N膜を形成することが可能であり、本実施例の場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、TaN/Ta(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTaN/Ta(C)N膜を形成することが可能である。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、WN/W(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてWN/W(C)N膜を形成することが可能である。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

また、本実施例においては、実施例2で前記したように、ステップ206およびステップ211において、第2の原料ガスをプラズマ励起させて用いても良い。この場合、第2の原料ガスの解離が促進されてCu拡散防止膜を形成する反応が促進され、形成されるCu拡散防止膜中の不純物が減少してCu拡散防止膜の電気抵抗値を下げる効果がある。その実施例を以下に示す。
例えば、TiN/Ti(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTiN/Ti(C)N膜を形成することが可能であり、本実施例の場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、TaN/Ta(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTaN/Ta(C)N膜を形成することが可能である。但し、第2のCu拡散防止膜形成時に、第2の原料ガスとして、Hをプラズマ励起したH/Hを用いた場合には、Ta/Ta(C)N膜が形成される。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。また、プラズマ励起したガスを用いると、さらに、形成される膜中の不純物が少なくなる効果がある。

また、同様に、WN/W(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてWN/W(C)N膜を形成することが可能である。但し、第2のCu拡散防止膜形成時に、第2の原料ガスとして、Hをプラズマ励起したH/Hを用いた場合には、W/W(C)N膜が形成される。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

さらに、次に実施例7として示すように、ステップ206における第1のCu拡散防止膜の形成工程ではプラズマ励起されていない第2原料ガスを用いて、ステップ211における第2のCu拡散防止膜の形成工程においてのみプラズマ励起された第2の原料ガスを用いることで、下地膜であるCuと絶縁膜の双方にダメージを与えない成膜方法を行う事が可能となる。
【実施例7】
図7は、下地膜である絶縁膜とCu膜の双方にダメージを与えないCu拡散防止膜の成膜方法によるプロセスフローである。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を用い、一部説明を省略する。本実施例は、さきに図3に示した実施例3をより具体的に示したものであり、当該プロセスフローは、ステップ301〜316よりなる。
本実施例において、ステップ301〜310および313〜316は前記した図6のステップ201〜210および213〜216とそれぞれ同一である。
またステップ311〜312は前記した図5の111〜112と同一である。
すなわち、実施例3の場合で前記したように、下地膜である絶縁膜およびCu膜の双方がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜であるTiN/Ti(C)N膜を形成することが可能となる。
また、第1の原料ガスおよび第2の原料ガスを変更して、同様にTiN/Ti(C)N膜を形成することができる。
例えば、TiN/Ti(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTiN/Ti(C)N膜を形成することが可能であり、本実施例の場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、TaN/Ta(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてTaN/Ta(C)N膜を形成することが可能である。但し、第2のCu拡散防止膜形成時に、第2の原料ガスとして、Hをプラズマ励起したH/Hを用いた場合には、Ta/Ta(C)N膜が形成される。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

また、同様に、WN/W(C)N膜を形成する場合に、第1のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガス、また第2のCu拡散防止膜形成時に用いる第1の原料ガスおよび第2の原料ガスの例を示す。表中に示したいずれかのガスを用いることで、本実施例に示した場合と同様にしてWN/W(C)N膜を形成することが可能である。但し、第2のCu拡散防止膜形成時に、第2の原料ガスとして、Hをプラズマ励起したH/Hを用いた場合には、W/W(C)N膜が形成される。いずれの場合も、本実施例に示した場合と同様の効果を奏する。

また、前記した場合はいずれも同様に、下地膜にダメージを与えずに高品質のCu拡散防止膜を形成することができる。
【実施例8】
次に、実施例5に前記した成膜方法を半導体装置の製造工程に適用した例を以下図8A〜図8Fにおいて、手順を追って説明する。
まず、図8Aは、図示しない半導体基板上に形成された半導体装置の一部の製造過程を示すものである。
この構成に関して説明すると、まず、シリコンからなる当該半導体基板上に形成された、例えば、MOSトランジスタなどの素子に電気的に接続されている配線層(図示せず)と、これに電気的に接続された、例えばCuからなる配線膜31が形成されている。配線膜31の上部にはキャップ膜32、第1の絶縁膜33、第1のマスク膜34、第2の絶縁膜35、第2のマスク膜36が形成されている。
次に、図8Bにおいて、例えば、プラズマによるドライエッチングによってホール状のエッチングを行い、前記第2のマスク膜36、前記第2の絶縁膜35、前記第2のマスク膜34、前記第1の絶縁膜33およびキャップ膜32に円筒状のホール部37を設けるいわゆるビアのエッチングを行う。その際に、例えば前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35がシリコン酸化膜、シリコン酸化物にフッ素を添加したものなどの無機系の膜である場合はCF、Cなどフロロカーボン系のガスを用いる。また前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35が、有機系の膜である場合はOやHまたはNなどをエッチングガスに用いる。
また前記キャップ膜32、前記第1のマスク膜34および第2のマスク膜36に関しても、材料に対して適切にエッチングに用いるガスを適宜選択、変更しながらドライエッチングを行う。
次に、図8Cの工程において、前記第2の絶縁膜35および第2のマスク膜36に対して溝部を形成するいわゆるトレンチのエッチングを行い、溝部38を形成する。この場合も、図8Bのビアのエッチングの場合で前記したように、ドライエッチングをもって行う。この場合も前記したように、前記第2の絶縁膜35および前記第2のマスク膜36の材質に合わせて、ドライエッチングのガスを選択して、必要に応じてドライエッチングのガスを変更してエッチングを行う必要がある。
なお、図8Bの工程と図8Cの工程の順番を入れ替えて、トレンチエッチングを最初に行って、ビアエッチングを行うようにしてもよい。
次に、図8Dの工程において、図5のステップ104〜108の工程を適用して、TiNからなる第1のCu拡散防止膜39を形成する。
この場合、前記したように、原子層・分子層に近いレベルで成膜が行われ、例えば前記ホール部37または前記溝部38のカバレッジが優れており、微細パターンにも均一にかつ良好な膜質でカバレッジよくTiN層39を形成することが可能である。
また、実施例1で前記したように、図8Dに示す本工程においては、第2の原料ガスに、プラズマ励起されていないNHを用いることで、前記第2の原料ガス中にイオンやラジカルなど前記第1の絶縁膜33および前記第2の絶縁膜35にダメージを与える粒子が存在しないため、前記第1の絶縁膜33および前記第2の絶縁膜35にダメージを与えることがない。
次に、図8Eの工程において、図5のステップ109〜113の工程を適用して、TiNからなる第2のCu拡散防止膜40の形成を行う。この場合も、前記第1のCu拡散防止膜39を形成した場合と同様に、原子層・分子層に近いレベルで成膜が行われ、例えば前記ホール部37または前記溝部38のカバレッジが優れており、微細パターンにも均一にかつ良好な膜質でカバレッジよくTiN層40を形成することが可能である。
また、前記したように本工程においては、第2の原料ガスにプラズマ励起されたNHを用いている。これは、第2の原料ガスをプラズマ励起することで解離を進行させて、第1の原料ガスとして供給されるTiClとの反応を促進させるためである。そのため、形成されるTiN膜中のClなどの不純物が減少して、より電気抵抗値の小さい膜質の良好なTiN膜を形成することができる。
この場合、既に前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35は、前記第1のCu拡散防止膜39で覆われているため、プラズマ励起されたガス中に存在するイオンやラジカルによって前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35がダメージを受けることがない。
すなわち、本実施例の成膜方法において、第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜を形成することにより、下地膜である前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜を形成することが可能となる。
次に、図8Fの工程において、前記ホール部37および前記溝部38を満たすように、Cu膜41を形成する。前記Cu膜41を形成する場合は、PVD法、CVD法またはメッキ法などいずれの方法を用いることも可能である。
また、この後の工程において、前記第2のマスク膜36の上に形成された、前記Cu膜41の上部、前記第1のCu拡散防止膜39および前記第2のCu拡散防止膜40を、例えば、CMP(化学機械研磨)などで研削して、前記第2のマスク膜36の上面が露出するようにして、前記Cu層41の上面と前記第2のマスク層36の上面が面一になるようにする。必要に応じて前記マスク層36はCMPですべて削除してもよい。
また、本実施例による成膜方法を用いて、図9に示すように、多層配線構造を有する半導体装置を形成することができる。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図9は、図8Fに示した工程の後で、さらに本実施例による成膜方法を適用して形成した、多層配線構造を有する半導体装置の概略断面図である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
当該半導体装置は以下のようにして形成する。まず、図8Fに示す工程の後で、CMP後の前記Cu配線41上に、別のキャップ膜32A、別の第1の絶縁膜33A、別の第1のマスク膜34A、別の第2の絶縁膜35Aおよび別の第2のマスク膜36Aを形成して、前記したような図8B〜図8Fと同様の工程を適用する。
その結果、別の第1のCu拡散防止膜39A、別の第2のCu拡散防止膜40Aおよび別のCu膜41Aが形成されることによって、いわゆる多膜配線構造が形成される。必要に応じて、さらに前記Cu膜41の上に、前記したような絶縁膜と導電膜を形成する本発明による基板処理方法を適用して、さらに多層化してもよい。
また、実施例5の説明で記述したように、Cu拡散防止膜としてTiN膜を形成する場合は第1の原料ガス、第2の原料ガスを変更することが可能である。
同様に、実施例5に記述したように第1の原料ガス、第2の原料ガスを変更することで、TaN膜、Ta/TaN構造の積層膜、WN膜、W/WN構造の積層膜、Ti(C)N膜、Ta(C)N膜、W(C)N膜、W(C)/W(C)Nの積層膜を形成することができる。
いずれの場合も、同様に第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜を形成することにより、下地膜である前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜を形成することが可能となる。
また、前記第1の絶縁膜39および第2の絶縁膜に用いられる絶縁膜の例としては、前記したように、大別して無機系の膜と有機系の膜がある。
前記無機系の膜の例としては、無機SOD膜(スピンコート法によって成膜される絶縁膜)であるアルキルシロキサンポリマー、HSQ(水素化シルセスキオキサンポリマー)、などがある。また、CVD(化学気相堆積)法によっても低誘電率膜は形成可能であり、無機膜では、例えばフッ素添加シリコン酸化膜などがある。
また、前記した無機膜、およびシリコン酸化膜はいずれもポーラス膜にすることによってさらに誘電率を低下させた、低誘電率膜として用いる場合もある。
また、有機膜の例としては、有機ポリマー膜があり、有機ポリマーの例としては、PTFE系の膜、ポリイミド系の膜、フッ素添加ポリイミド膜、BCB(ベンゾシクロブテン)、パレリン−N、パレリン−F、MSQ(アルキルシルセスキオキサンポリマー)、HOSP(水素化アルキルシルセスキオキサンポリマー)などがある。さらに有機系の膜としては、CVD法によって形成されるフッ素添加カーボン膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)、SiCO膜やSiCO(H)膜などがある。
また、前記した有機膜はいずれもポーラス膜にすることによってさらに低誘電率を図る場合もある。
前記した、いずれの膜を用いても本実施例は前記したような効果を奏する。
【実施例9】
次に、実施例6に前記した成膜方法を半導体装置の製造工程に適用した例の説明をする。本実施例は前記した実施例8における、図8Dおよび図8Eの第1のCu拡散防止膜39および第2の拡散防止膜40の形成工程を変更すればよい。
まず、図8Dの第1のCu拡散防止膜が形成される工程に関しては、図6に示したステップ204〜208の工程を適用すればよい。本工程では、第1の原料ガスに、ハロゲン化合物のガスを用いずに、有機金属ガスであるTEMATを用いている。そのため、下地膜である前記Cu膜31がハロゲンによって腐食されることがなく、ダメージを受けることない。
次に、図8Eの第2のCu拡散防止膜が形成される工程に関しては、図6に示したステップ209〜213の工程を適用すればよい。本工程では第1の原料ガスに、ハロゲン化合物ガスであるTiClを用いている。これは、形成される膜中に、有機物であるCやCHxなどの不純物が取り込まれるのを防止してTiN膜の抵抗値を下げるためである。
この場合、既に下地膜である前記Cu膜31は前記第1のCu拡散防止膜39によって覆われているため、前記Cu膜31が第1の原料ガス中に含まれるハロゲンによってダメージを受けることがない。また、この場合下地膜がW(タングステン)またはAl(アルミニウム)からなる場合も同様の効果がある。
すなわち、本実施例の成膜方法において、第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜を形成することにより、下地膜である前記Cu膜31がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜であるTi(C)N膜を形成することが可能となる。
また、実施例6の説明で記述したように、Cu拡散防止膜としてTi(C)N膜を形成する場合は第1の原料ガス、第2の原料ガスを変更することが可能である。
同様に、実施例6に記述したように第1の原料ガス、第2の原料ガスを変更することで、TaN/Ta(C)N膜、Ta/Ta(C)Nの積層膜、WN/W(C)N膜、W/W(C)Nの積層膜を形成することが可能である。
いずれの場合も、同様に第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜を形成することにより、下地膜であるCu膜がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜を形成することが可能となる。
【実施例10】
次に、実施例7に前記した成膜方法を半導体装置の製造工程に適用した例の説明をする。本実施例は前記した実施例8における、図8Dおよび図8Eの第1のCu拡散防止膜39および第2の拡散防止膜40の形成工程を変更すればよい。
まず、図8Dの第1のCu拡散防止膜に関しては、図7に示したステップ304〜308の工程を適用すればよい。図8Dに示す本工程においては、第2の原料ガスに、プラズマ励起されていないNHを用いることで、前記第2の原料ガス中にイオンやラジカルなど前記第1の絶縁膜33および前記第2の絶縁膜35にダメージを与える粒子が存在しないため、前記第1の絶縁膜33および前記第2の絶縁膜35にダメージを与えることがない。
さらに本工程では、第1の原料ガスに、ハロゲン化合物のガスを用いずに、有機金属ガスであるTEMATを用いている。そのため、下地膜である前記Cu膜31がハロゲンによって腐食されることがなく、ダメージを受けることない。
このように、本実施例においては、Cu拡散防止膜の下地膜である第1の絶縁膜33、第2の絶縁膜35およびCu膜31の双方がダメージを受けない成膜方法である。
次に、図8Eの第2のCu拡散防止膜に関しては、図7に示したステップ309〜313の工程を適用すればよい。本工程においては、第2の原料ガスにプラズマ励起されたNHを用いている。これは、第2の原料ガスをプラズマ励起することで解離を進行させて、第1の原料ガスとの反応を促進させるためである。そのため、形成されるCu拡散防止膜中の不純物が減少して、より電気抵抗値の小さい膜質の良好なCu拡散防止膜を形成することができる。
この場合、既に前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35は、前記第1のCu拡散防止膜39で覆われているため、プラズマ励起されたガス中に存在するイオンやラジカルによって前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35がダメージを受けることがない。
さらに本工程では第1の原料ガスに、ハロゲン化合物ガスであるTiClを用いている。これは、形成されるTiN膜中に、有機物であるCやCHxなどの不純物が取り込まれるのを防止してTiN膜の抵抗値を下げるためである。
この場合、既に下地膜である前記Cu膜31は前記第1のCu拡散防止膜39によって覆われているため、前記Cu膜31が第1の原料ガス中に含まれるハロゲンによってダメージを受けることがない。また、この場合下地膜がW(タングステン)の場合も同様の効果がある。
すなわち、本実施例の成膜方法において、第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜を形成することにより、下地膜である前記第1の絶縁膜、第2の絶縁膜35およびCu膜31がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜を形成することが可能となる。
また、実施例7の説明で記述したように、Cu拡散防止膜としてTiN/Ti(C)N膜を形成する場合は第1の原料ガス、第2の原料ガスを変更することが可能である。
同様に、実施例7に記述したように第1の原料ガス、第2の原料ガスを変更することで、TaN/Ta(C)N膜、Ta/Ta(C)Nの積層膜、WN/W(C)N膜、W/W(C)Nの積層膜を形成することができる。
いずれの場合も、同様に第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜を形成することにより、下地膜である前記第1の絶縁膜33、第2の絶縁膜35およびCu膜31がダメージをうけることなく、さらに膜中不純物の少ない良質なCu拡散防止膜を形成することが可能となる。
また、前記第1の絶縁膜33および第2の絶縁膜35に用いられる絶縁膜の例としては、実施例8に前記した膜に関して、実施例8に前記した場合と同様に有効である。
【実施例11】
また、本実施例に記載した第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜は、次に図10に示す成膜装置50を用いて形成することも可能である。
図10を参照するに、前記成膜装置50は、例えばアルミニウム、表面をアルマイト処理されたアルミニウムもしくはステンレススチールなどからなる処理容器51を有し、前記処理容器51の内部には基板保持台支持部52aに支持されたAlNからなる基板保持台52が設置され、前記基板保持台52の中心には被処理基板である半導体被処理基板Wが載置される。前記基板保持台52には図示しないヒータが内蔵されて前記被処理基板を所望の温度に加熱することが可能な構造となっている。
前記基板処理容器51内の処理空間51Aは、排気口55に接続される、たとえばターボ分子ポンプなどの排気手段53により真空排気され、前記処理空間51Aを減圧状態とすることが可能である。また、前記被処理基板Wは、前記処理容器51に設置された図示しないゲートバルブより搬入もしくは搬出される。
前記処理容器51の上部には、前記処理容器51内に、第1の原料ガスおよび第2の原料ガスを導入するガス導入路51Cが設けられ、当該ガス導入路51Cは前記処理容器51の開口部51Bに接続されている。
前記ガス導入路51Cには、第1の原料ガスを導入するガスライン60が接続されており、前記ガスライン60にはバルブ62aを付したハロゲンの第1の原料のガスライン62、バルブ61aを付した有機金属の第1の原料のガスライン61が接続されている。
前記ガスライン61には、気化器61Aが接続され、前記気化器61Aには、バルブ63a,63b,63cおよび液体質量流量コントローラ63Aを有するガスライン63が接続され、前記ガスライン63は、有機金属の第1の原料ガスである、例えば、Taimata(登録商標、Ta(NC(CH)(N(CH)からなる原料66Aを保持する原料容器66に接続されている。
前記原料容器66には、バルブ65aを付したガスライン65が接続され、前記ガスライン65から、例えばHeなどの不活性ガスを前記原料容器66に導入することにより、図示しないヒータにより50℃に加熱されて液体となって前記原料容器66中に保持される前記原料66Aを加圧する。
加圧された前記原料66Aは、前記ガスライン63より、前記液体流量質量コントローラ63Aによって流量が制御され、前記気化器61Aに導入されて気化される。前記気化器61Aには、バルブ64a,64bおよび質量流量コントローラ64Aを付したガスライン64が接続されており、前記気化器61Aにおいて気化した前記原料66Aは、前記ガスライン64から導入される、例えばArからなるキャリアガスと共に、前記ガスライン61、さらに前記ガスライン60を介して前記ガス導入管51Cに導入され、前記処理空間51Aに供給される。
また、前記原料66Aは、例えばオクタンやヘキサンなどの有機溶媒に溶かして供給するようにしてもよい。この場合、原料容器66の加熱は不用になる。またこの場合、例えば撹拌棒などを前記原料容器66に挿入して有機溶媒を撹拌することによって、前記原料66Aが有機溶媒に均一に溶けて好適である。
前記ガスライン62には、バルブ68a,68b,68cおよび質量流量コントローラ68Aを有するガスライン68が接続され、前記ガスライン68は、ハロゲン化合物の第1の原料ガスである、例えば、TaClからなる原料69Aを保持する原料容器69に接続されている。
前記原料容器69は、例えば150℃に加熱され、TaClからなる前記原料69Aは気化し、気化した前記原料69Aは前記質量流量コントローラ68Aによって流量を制御され、前記ガスライン62、さらに前記ガスライン60を介して前記ガス導入管51Cに導入され、前記処理空間51Aに供給される。また、その場合、バルブ67a,67bおよび質量流量コントローラ67Aを付したガスライン67Aから供給される、例えばArガスを同時に供給することも可能である。
また、前記ガス導入路51Cには、後述するプラズマ源54を介してガスライン57が接続されている。前記ガスライン57には、例えばHからなる第2の原料ガスを前記プラズマ源54に導入する、バルブ58a,58bおよび質量流量コントローラ58Aを付したガスライン58が接続されている。
また、同様に前記ガスライン57には、例えばArからなるキャリアガスを前記プラズマ源54に導入する、バルブ59a,59bおよび質量流量コントローラ59Aを付したガスライン59が接続されている。
前記プラズマ源54は、例えばAl、石英、SiNおよびBNなどの略円筒状の誘電体材料からなり、前記プラズマ源54の外側にはコイル54aが巻かれ、前記コイル54aには高周波電源56が接続されている。前記コイル54aには、前記高周波電源56より高周波電力が印加され、前記プラズマ源54に導入されるガスをプラズマ励起する。前記プラズマ源54は、必要に応じて前記プラズマ源54に導入される前記第2の原料ガスをプラズマ励起する。プラズマ励起された第2の原料ガスからは、ガスが解離したイオン、ラジカルなどの反応種が生成され、前記ガス導入路51Cより前記処理空間51Aへ導入される。
本実施例では、前記プラズマ源54のプラズマ励起方法は例えば13.56MHzの高周波を用いたICP(誘導結合型プラズマ)装置を用いているが、前記の方法に限定されるものではない。プラズマ励起は、たとえば平行平板プラズマでもECRプラズマでもよい。また、例えば周波数は400kHz、800kHzなどのより低周波を用いてもよく、また13.56MHzなどの高周波や、マイクロ波(2.45GHz)を用いることも可能であり、プラズマが励起されてガスを解離することが可能であれば、印加する周波数やプラズマ励起の方法は、いずれの方法でもよい。
また、前記したバルブや前記プラズマ源54のプラズマ励起の動作など成膜に関する前記成膜装置50の動作は、図示しない制御装置によって一括制御される。
次に、前記成膜装置50を用いて、Cu拡散防止膜を形成する方法に関して具体的に説明する。
【実施例12】
図11は、前記成膜装置50を用いて行う本発明によるCu拡散防止膜の成膜方法によるプロセスフローを示す図である。本実施例では、被処理基板上の下地膜である酸化膜上にCu拡散防止膜を形成する例としてTa/Ta(C)N膜を形成する。当該プロセスフローはステップ401〜ステップ417よりなる。
まず、ステップ401において、被処理基板である被処理基板Wを前記成膜装置50に搬入する。
次に、ステップ402において、前記被処理基板Wを前記基板保持台52に載置する。
ステップ403においては、前記基板載置台12に内蔵したヒータによって前記被処理基板が昇温され、略270℃に保持される。以後の工程においては前記被処理基板Wは略270℃に保持される。
次にステップ404において、前記バルブ65a,63a,63b,63cおよび61aを開放し、前記原料容器66を加圧することで、液体であるTa(NC(CH)(N(CHからなる原料66Aを前記ガスライン63から供給する。
その場合、前記原料66Aは前記液体質量流量コントローラ63Aで流量を制御され、前記気化器61Aに、前記原料66Aが20mg/min供給されて気化される。
気化した前記原料66Aは、前記ガスライン64から前記気化器61Aに供給されるAr200sccmと共に、前記処理空間51Aに供給される。
その際に同時にバルブ59aおよびバルブ59bを開放して前記質量流量コントローラ59Aで流量を制御してArを100sccm、前記ガスライン57より前記処理空間51Aに導入する。このため、気化した前記原料66Aが、前記ガス導入路51Cより前記プラズマ源54の方向へ逆流することを防止する。
本ステップにおいて、原料66Aが被処理基板上に供給されることで、被処理基板上に原料66Aが吸着する。
次に、ステップ405で、前記バルブ65a,63a,63b,63cおよび61aを閉じて前記処理空間51Aへの原料66Aの供給を停止する。ここで前記被処理基板上に吸着していない、未吸着で前記処理空間51Aに残留していた原料66Aは、前記排気口55より前記処理容器51の外へと排出される。
また、本ステップにおいては、前記バルブ58aおよび58bを開放し、前記質量流量コントローラ58Aで流量を制御することで、Hを200sccm、前記ガスライン57より前記処理空間51Aに導入する。また、前記質量流量コントローラ59Aを制御して、前記ガスライン57から供給されるArの流量を200sccmにする。
次に、ステップ406において、前記コイル54aに高周波電力を800W印加して、前記プラズマ源54でプラズマ励起を行う。この場合、前記ステップ405においてHの供給が開始されており、本ステップの開始時には供給されるHの流量が安定しているため、本ステップで高周波電力を印加した場合のプラズマ励起が容易となる。
次に、ステップ407で前記ガスライン57から供給されるAr供給を停止して、前記プラズマ源54に供給されるガスをHのみにする。前記プラズマ源54においては、供給されるHが解離してH/H(水素イオンと水素ラジカル)となり、前記処理空間51Aに供給される。そこで、前記ステップ404で被処理基板上に吸着している原料66AとH/Hが反応してTa(C)Nが形成される。また、この場合、Arの供給を停止することで、H/Hが被処理基板の周縁部まで十分に供給されて、前記原料66Aとの反応が促進される。
次に、ステップ408で、前記バルブ58a,58bを閉じて前記処理空間51AへのH/Hの供給を停止する。ここで、未反応で前記処理空間に残留していたH/HやHや反応副生成物は、前記排気口55より前記処理容器51の外へと排出される。
このようなステップ404,405,406,407,408の処理は、典型的には、それぞれ、3秒、3秒、10秒、10秒、1秒の期間行われる。
次に、ステップ409においては、必要な膜厚のTa(C)N膜からなる第1のCu拡散防止層を形成するために、成膜工程を再びステップ404に戻して所望の膜厚となるまでステップ404〜408からなる成膜工程aを繰り返す。ここで、前記成膜工程aを必要な回数実施して、所望の膜厚のTa(C)N膜からなる第1のCu拡散防止膜を形成した後、次のステップ410に移行する。
次に、ステップ410において、前記バルブ68a,68b,68cおよび62aを開放し、前記質量流量コントローラ68Aで流量を制御して前記処理空間51Aに、気化したTaClからなる原料69Aを3sccm供給する。
また、本ステップではさらにバルブ59aおよび59bを開放して前記質量流量コントローラ59Aで流量を制御してArを200sccm、前記ガスライン57より前記処理空間51Aに導入する。このため、気化した前記原料69Aが、前記ガス導入路51Cより前記プラズマ源54の方向へ逆流することを防止する。
本ステップにおいて、原料69Aが被処理基板上に供給されることで、被処理基板上に原料69Aが吸着する。
次に、ステップ411で、前記バルブ68a,68b,68cおよび62aを閉じて前記処理空間51Aへの原料69Aの供給を停止する。ここで前記被処理基板上に吸着していない、未吸着で前記処理空間51Aに残留していた原料66Aは、前記処理空間51Aに供給されているArと共に、前記排気口55より前記処理容器51の外へと排出される。
次に、ステップ412で、前記ガスライン57からのArの供給を停止すると共に、前記バルブ58aおよび58bを開放して前記質量流量コントローラ59Aで流量を制御してHを750sccm、前記ガスライン58より、前記プラズマ源54に導入されるようにする。このとき、前記コイル54aに高周波電力を1000W印加して、前記プラズマ源54でプラズマ励起を行う。
前記プラズマ源54においては、供給されるHが解離してH/Hとなり、前記処理空間51Aに供給される。そこで、前記ステップ410で被処理基板上に吸着している原料69AとH/Hが反応して被処理基板上にTaが形成される。
次に、ステップ413で、高周波電力の印加を停止すると共に、前記バルブ58aおよび58bを閉じてHの供給を停止する。そのため、未反応で前記処理空間51Aに残留していたH/HやHや反応副生成物は、前記排気口55より前記処理容器51の外へと排出される。
次に、ステップ414においては、必要な膜厚のTa膜からなる第2のCu拡散防止層を形成するために、成膜工程を再びステップ410に戻して所望の膜厚となるまでステップ410〜413からなる成膜工程bを繰り返す。ここで、前記成膜工程bを必要な回数実施して、所望の膜厚のTa膜からなる第2のCu拡散防止膜を形成した後、次のステップ415に移行する。
次にステップ416で前記処理容器51から被処理基板Wを搬出する。
次に、ステップ417において、形成された前記第2のCu拡散防止膜上にCu膜を形成するため、Cu成膜装置に搬送して、例えばメッキ装置でCu膜を成膜する。この場合、Cu膜はPVD装置、CVD装置、メッキ装置のいずれで成膜してもよい。
図12および図13には、図11に示した、それぞれ前記成膜工程aおよび成膜工程bの成膜条件を示す。なお、図中、Ar(a)は、前記ガスライン64から供給されるキャリアガスを示し、Ar(b)は、前記ガスライン59から供給されるArガスを示している。
前記図11〜図13に示した成膜方法により、形成されたCu拡散防止膜の例を図14に示す。
図14を参照するに、被処理基板500上に形成された膜厚が100nmのシリコン酸化膜(SiO膜)501上に、図12に示した成膜工程aを32回繰り返して実施することにより形成された膜厚が5nmのTa(C)N膜からなる第1のCu拡散防止膜502が形成されている。
さらに当該第1のCu拡散防止膜502上には、図11に示した成膜工程bを300回繰り返して実施することにより形成された膜厚が3nmのTa膜からなる第2のCu拡散防止膜503が形成され、当該第2のCu拡散防止膜503上には、図11のステップ417において形成された膜厚が100nmのCu層504が形成されている。
さらに、このようにして形成された第1のCu拡散防止膜であるTa(C)N膜および第2のCu拡散防止膜であるTa膜を分析した結果を、図15A,図15B〜図20に示す。図15A,図15B〜図17は、成膜温度220℃で図11に示した成膜工程aを200回繰り返して実施することにより形成された第1のCu拡散防止膜であるTa(C)N膜を分析した結果であり、図18〜20は、成膜温度270℃で図11に示した成膜工程bを300回繰り返して実施することにより形成された第2のCu拡散防止膜であるTa膜を分析した結果である。
まず、図15A,図15Bは、Ta(C)N膜をXPS(X線光電子分光分析)により分析した結果であり、図15AはC1sのスペクトルを、図15BはTa4fのスペクトルを示したものである。図15A,図15Bを参照するに、形成されたTa(C)N膜中に、Ta−C,N−C,Ta−Nの結合が存在している様子がわかる。
図16には、Ta(C)N膜をXRD(X線回折)により分析した結果を示す。図16を参照するに、Ta(C)N膜中で、TaN,TaCの(111)面、(200)面、(220)面、(311)面が観測された。
図17は、被処理基板上のSiO膜上に形成された、Ta(C)N膜の状態を示す、断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真である。図17を参照するに、被処理基板上に形成されたSiO膜上に、図11に記載した方法で形成されたTa(C)N膜が29nm形成されていることがわかる。また、図17に示すTa(C)N膜の比抵抗値は、740μΩ─cmである。
図18は、第2のCu拡散防止膜であるTa膜をXPSにより分析した結果である。図18を参照するに、Ta−Ta結合が存在している様子がわかる。
図19は、Ta膜をXRDにより分析した結果である。図19を参照するに、Ta膜中で、αTaの(110)面が観測された。
図20は、被処理基板上のSiO膜上に形成された、Ta膜の状態を示す、断面TEM(透過型電子顕微鏡)写真である。図20を参照するに、被処理基板上にTa膜が2.7nm形成されていることがわかる。
【実施例13】
また、実施例中に記載した第1のCu拡散防止膜および第2のCu拡散防止膜からなるCu拡散防止膜は、次に図21に示す、成膜装置70を用いて、前記成膜装置10または前記成膜装置50を用いた場合と同様に形成することが可能である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図21を参照するに、成膜装置70は、例えばアルミニウム、表面をアルマイト処理されたアルミニウムもしくはステンレススチールなどからなる処理容器71を有し、前記処理容器71の内部には基板保持台支持部72aに支持された、例えばハステロイからなる基板保持台72が設置され、前記基板保持台72の中心には被処理基板である半導体被処理基板Wが載置される。前記基板保持台72には図示しないヒータが内蔵されて前記被処理基板を所望の温度に加熱することが可能な構造となっている。
前記基板処理容器71内の処理空間71Aは、排気口75に接続される、図示しない排気手段により真空排気され、前記処理空間71Aを減圧状態とすることが可能である。また、前記被処理基板Wは、前記処理容器71に設置された図示しないゲートバルブより搬入もしくは搬出される。
また、前記処理容器71内には、前記基板保持台72に対向するように、略円筒状のシャワーヘッド部73が設置されており、前記シャワーヘッド部73の側壁面および当該シャワーヘッド部73の前記基板保持台72に対向する面と対向する面を覆うように絶縁体、例えば石英やSiN、AlNなどのセラミックからなるインシュレータ76が設けられている。
また、前記処理容器の上部には開口部が設けられて、絶縁体からなるインシュレータ74が挿通されている。前記インシュレータ74には、高周波電源77に接続された導入線77aが挿通され、前記導入線77aは前記シャワーヘッド部73に接続されて、前記導入線77aによって前記シャワーヘッド部73には高周波電源が印加される構造となっている。
さらに前記ガスライン60には、絶縁体、例えば石英やSiN、AlN、Alなどのセラミックからなるインシュレータ60Aが挿入され、前記ガスライン60は、前記インシュレータ60Aを介して前記シャワーヘッド部73に接続される構造になっており、前記シャワーヘッド部73に前記原料66Aまたは69Aを供給すると共に、前記ガスライン60を、前記シャワーヘッド部73から電気的に絶縁する構造になっている。
同様に、前記ガスライン57には、絶縁体、例えば石英やSiN、AlN、Alなどのセラミックからなるインシュレータ57Aが挿入され、前記ガスライン57は、前記インシュレータ57Aを介して前記シャワーヘッド部73に接続される構造になっており、前記シャワーヘッド部73にHガスおよびArガスを供給すると共に、前記ガスライン57を、前記シャワーヘッド部73から電気的に絶縁する構造になっている。また、前記ガスライン57には、Hガスに加えて、例えば水素化合物を含むガスを接続することが可能である。
また、HガスまたはArガスを前記処理空間71Aに供給する時には、必要に応じて、前記シャワーヘッド部73に高周波電力77より高周波電力を印加して、前記処理空間71Aにプラズマ励起を行う。そこで、前記成膜装置70において、プラズマ励起を行ってHガスを解離する。
このように、前記成膜装置70を用いることで、実施例12に記載した場合と同様の方法で、第1のCu拡散防止膜であるTa(C)N膜、または第2のCu拡散防止膜であるTa膜を形成することができる。また、実施例1〜実施例3に記載した成膜方法を実施することも可能である。
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、Cu拡散防止膜を形成する場合に、当該Cu拡散防止膜の下地となる膜にダメージを与えることなく、成膜を行う事が可能となる。
また、形成されるCu拡散防止膜は不純物が少なく、配向性がよいなど高品質であり、さらには微細パターンへ当該Cu拡散防止膜を形成する際のカバレッジが良好となる。



【図4】

【図5】

【図6】

【図7】



【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内の被処理基板に成膜する成膜方法であって、
金属を含む第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第1の工程と、
水素または水素化合物を含む第2の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第2の原料ガスを前記処理容器内から除去する第2の工程とを繰り返してなる第1の膜成長工程と、
前記第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第3の工程と、
水素または水素化合物を含み、プラズマ励起された第3の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第3の原料ガスを前記処理容器内から除去する第4の工程とを繰り返してなる第2の膜成長工程からなる成膜方法。
【請求項2】
前記第1の膜成長工程は前記被処理基板上に形成された絶縁膜を含む下地膜の上に膜成長が行われることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】
前記絶縁膜は無機SOD膜であることを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
【請求項4】
前記絶縁膜は、有機ポリマー膜であることを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
【請求項5】
前記絶縁膜は、当該絶縁膜中に空孔を形成したポーラス膜であることを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
【請求項6】
前記第1の膜成長工程と前記第2の膜成長工程において形成される膜は、Cuの拡散防止膜であることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項7】
前記第1の膜成長工程の前に、前記絶縁膜をエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
【請求項8】
前記エッチングは、前記絶縁膜にホール部を形成するビアエッチングであることを特徴とする請求項7記載の成膜方法。
【請求項9】
前記エッチングは、前記絶縁膜に溝部を形成するトレンチエッチングであることを特徴とする請求項7記載の成膜方法。
【請求項10】
前記第2の膜成長工程の後に、Cu膜を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項11】
請求項1記載の成膜方法を含む半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1記載の成膜方法を用いて形成された半導体装置。
【請求項13】
処理容器内の被処理基板に成膜する成膜方法であって、
ハロゲン元素を含まない有機金属化合物からなる第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第1の工程と、
水素または水素化合物を含む第2の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第2の原料ガスを前記処理容器内から除去する第2の工程とを繰り返してなる第1の膜成長工程と、
金属ハロゲン化物からなる第3の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第3の原料ガスを前記被処理基板から除去する第3の工程と、
水素または水素化合物を含む第4の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第4の原料ガスを前記処理容器内から除去する第4の工程とを繰り返してなる第2の膜成長工程からなる成膜方法。
【請求項14】
前記処理容器内に供給される前記第2の原料ガスおよび前記第4の原料ガスは、プラズマ励起されていることを特徴とする請求項13記載の成膜方法。
【請求項15】
前記有機金属化合物は金属アミド化合物または金属カルボニル化合物であることを特徴とする請求項13記載の成膜方法。
【請求項16】
前記第1の膜成長工程は前記被処理基板上に形成された金属膜を含む下地膜の上に膜成長が行われることを特徴とする請求項13記載の成膜方法。
【請求項17】
前記金属膜は、Cu、W、Alのいずれかよりなることを特徴とする請求項16記載の成膜方法。
【請求項18】
前記第1の膜成長工程と前記第2の膜成長工程において形成される膜は、Cuの拡散防止膜であることを特徴とする請求項13記載の成膜方法。
【請求項19】
前記下地膜は絶縁膜を含み、前記第1の膜成長工程の前に、前記絶縁膜をエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の成膜方法。
【請求項20】
前記エッチングは、前記絶縁膜にホール部を形成するビアエッチングであることを特徴とする請求項19記載の成膜方法。
【請求項21】
前記エッチングは、前記絶縁膜に溝部を形成するトレンチエッチングであることを特徴とする請求項19記載の成膜方法。
【請求項22】
前記第2の膜成長工程の後に、Cu膜を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の成膜方法。
【請求項23】
請求項13記載の成膜方法を含む半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項13記載の成膜方法を用いて形成された半導体装置。
【請求項25】
処理容器内の被処理基板に成膜する成膜方法であって、
ハロゲン元素を含まない有機金属化合物からなる第1の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第1の原料ガスを前記処理容器内から除去する第1の工程と、
水素または水素化合物を含む第2の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第2の原料ガスを前記処理容器内から除去する第2の工程とを繰り返してなる第1の膜成長工程と、
金属ハロゲン化物からなる第3の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第3の原料ガスを前記被処理基板から除去する第3の工程と、
水素または水素化合物を含み、プラズマ励起された第4の原料ガスを前記処理容器内に供給した後、前記第4の原料ガスを前記処理容器内から除去する第4の工程とを繰り返してなる第2の膜成長工程からなる成膜方法。
【請求項26】
前記有機金属化合物は金属アミド化合物または金属カルボニル化合物であることを特徴とする請求項25記載の成膜方法。
【請求項27】
前記第1の膜成長工程は前記被処理基板上に形成された絶縁膜および金属膜を含む下地膜の上に膜成長が行われることを特徴とする請求項25記載の成膜方法。
【請求項28】
前記絶縁膜は無機SOD膜であることを特徴とする請求項27記載の成膜方法。
【請求項29】
前記絶縁膜は、有機ポリマー膜であることを特徴とする請求項27記載の成膜方法。
【請求項30】
前記絶縁膜は、当該絶縁膜中に空孔を形成したポーラス膜であることを特徴とする請求項27記載の成膜方法。
【請求項31】
前記金属膜は、Cu、W、Alのいずれかよりなることを特徴とする請求項27記載の成膜方法。
【請求項32】
前記第1の膜成長工程と前記第2の膜成長工程において形成される膜は、Cuの拡散防止膜であることを特徴とする請求項25記載の成膜方法。
【請求項33】
前記第1の膜成長工程の前に、前記絶縁膜をエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項27記載の成膜方法。
【請求項34】
前記エッチングは、前記絶縁膜にホール部を形成するビアエッチングであることを特徴とする請求項33記載の成膜方法。
【請求項35】
前記エッチングは、前記絶縁膜に溝部を形成するトレンチエッチングであることを特徴とする請求項33記載の成膜方法。
【請求項36】
前記第2の成膜工程の後に、Cu膜を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の成膜方法。
【請求項37】
請求項25記載の成膜方法を含む半導体装置の製造方法。
【請求項38】
請求項25記載の成膜方法を用いて形成された半導体装置。
【請求項39】
請求項13記載の成膜方法で成膜する成膜装置であって、
被処理基板を処理する処理容器と、
前記処理容器内に設けられた前記被処理基板を載置する載置台と、
前記第1の原料ガスまたは前記第3の原料ガスを前記処理容器内に供給する第1のガス供給系と、
前記第1のガス供給系とは独立に、前記第2の原料ガスまたは前記第4の原料ガスを前記処理容器内に供給する第2のガス供給系と、
前記第2の原料ガスまたは前記第4の原料ガスをプラズマ励起するプラズマ励起手段と、を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項40】
前記第1のガス供給系および前記第2のガス供給系が接続され、前記処理容器内に、前記第1の原料ガス、前記第2の原料ガス、前記第3の原料ガスまたは前記第4の原料ガスのいずれかを供給するシャワーヘッドを具備することを特徴とする請求項39記載の成膜装置。
【請求項41】
前記シャワーヘッドには高周波電力が印加されることでプラズマ励起が可能な構造であることを特徴とする請求項39記載の成膜装置。

【国際公開番号】WO2004/112114
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【発行日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506876(P2005−506876)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006060
【国際出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】