説明

検査装置および方法、リソグラフィ装置、リソグラフィ処理セル、およびデバイス製造方法

【課題】オーバーレイ測定、非対称性測定、およびインダイオーバーレイターゲットの再構築を可能にする。
【解決手段】四分くさび光デバイス(QW)は、基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導し、第1方向および第2方向の各々に沿って照明から回折次数を分離する。例えば、0次(0、0’)および1次(−1、+1’)を、各入射方向について分離する。マルチモードファイバ(MF)での捕捉の後、スペクトロメータ(S1−S4)を使用して波長(I0’(λ)、I(λ)、I+1’(λ)、およびI−1(λ))の関数としての空間的に再誘導された回折次数の強度を測定する。そして、これをオーバーレイエラーの計算、または単一格子の非対称パラメータの再構築に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、例えば、リソグラフィ技術によるデバイス製造においてに使用可能な微細構造の非対称性を決定する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィプロセスを監視するために、パターン形成された基板のパラメータが測定される。パラメータとしては、例えば、パターン形成された基板内またはその基板上に形成された連続する層間のオーバーレイエラーおよび現像された感光性レジストの臨界線幅などを含むことができる。この測定は、製品基板および/または専用メトロロジターゲットに対して行うことができる。リソグラフィプロセスにおいて形成された微細構造の測定を行うさまざまな技術があり、走査電子顕微鏡およびさまざまな専用ツールの使用が含まれる。専用検査ツールの高速および非侵入性の形態は、基板表面のターゲット上に放射ビームを誘導し、散乱または反射されたビームの特性を測定するスキャトロメータである。基板によって反射または散乱される前後のビームの特性を比較することによって、基板の特性を決定することができる。これは、例えば、反射ビームを、公知の基板特性に関連する公知の測定値のライブラリに格納されたデータと比較することによって行うことができる。主に2つのタイプのスキャトロメータが知られている。分光スキャトロメータは広帯域放射ビームを基板上の誘導し、特定の狭い角度範囲内に散乱した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは、単色放射を使用し、角度の関数としての散乱放射の強度を測定する。
【0004】
[0004] 現在、イメージベースのオーバーレイメトロロジは、主流のオーバーレイメトロロジ技術である。しかし、より高い精度への要求が高まるにつれて、回折ベースオーバーレイ(DBO)が、半導体製造業者において活発化し、受け入れられてきている。
【0005】
[0005] 一部の用途において、DBOは、最良の全測定不確実性(TMU;total measurement uncertainty)をもたらす大きい格子に対して使用される。製品ウェーハ上で、製造業者は、より小さいインダイ(in-die)ターゲットを目指している。これらの格子を、わずかに大きいTMUを犠牲にして暗視野(DF)検出で測定する。Diffraction Based Overlay and Dark Field detection(回折ベースのオーバーレイおよび暗視野検出)が、米国特許出願公開第2010/0328655号に記載されている。
【0006】
[0006] 製品上のオーバーレイメトロロジの精度の大きい要因は、非対称の格子変形である。エッチングをうけた構造のプロファイルの非対称性は、例えば、エッチング中、エッチャントイオンが基板に垂直に入射しない場合に生じ得る。製品上のオーバーレイメトロロジのために製造業者が必要とする、オーバーレイ測定、非対称性測定、およびインダイオーバーレイターゲットの再構築を可能にする検査装置を提供することが望ましい。
【0007】
[0007] さらに、そのような検査装置のTMUおよび取得時間を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の一態様によれば、基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する検査装置であって、
放射の複数の波長を提供するように構成された照明システムと、
対物レンズを含み、かつ前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で前記対物レンズを介して前記ターゲットを照明するように構成された光学システムと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスと、
前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定するように構成された1つ以上のディテクタと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、検査装置が提供される。
【0009】
[0009] 本発明の一態様によれば、基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する方法であって、
放射の複数の波長を提供することと、
前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で対物レンズを介して前記ターゲットを照明することと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導することと、
1つ以上のディテクタを用いて前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定することと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定することと、を含む、方法。
【0010】
[0010] 本発明の一態様によれば、リソグラフィ装置であって、
パターンを照明するように配置された照明システムと、
前記パターンのイメージを基板上に投影するように配置された投影システムと、
基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する検査装置であって、
放射の複数の波長を提供するように構成された照明システムと、
対物レンズを含み、かつ前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で前記対物レンズを介して前記ターゲットを照明するように構成された光学システムと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスと、
前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定するように構成された1つ以上のディテクタと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、検査装置と、を含む、リソグラフィ装置。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によれば、リソグラフィセルであって、
基板に放射感応性層を塗布するように配置されたコータと、
前記コータによって塗布された基板の前記放射感応性層上にイメージを露光するように配置されたリソグラフィ装置と、
前記リソグラフィ装置によって露光されたイメージを現像するように配置されたデベロッパと、
基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する検査装置であって、
放射の複数の波長を提供するように構成された照明システムと、
対物レンズを含み、かつ前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で前記対物レンズを介して前記ターゲットを照明するように構成された光学システムと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスと、
前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定するように構成された1つ以上のディテクタと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、検査装置と、を含む、リソグラフィセル。
【0012】
[0012] 本発明の一態様によれば、デバイス製造方法であって、
リソグラフィ装置を用いて基板上にパターンを形成することと、
放射の複数の波長を提供することと、
前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で対物レンズを介して、前記リソグラフィ装置を用いて形成された前記ターゲットを照明することと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導することと、
1つ以上のディテクタを用いて前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定することと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定することと、によって
前記パターンのパラメータに関する値を決定することと、を含む、デバイス製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0014】
【図1】[0013] 図1は、リソグラフィ装置を示す。
【図2】[0013] 図2は、リソグラフィセルまたはクラスタである。
【図3】[0013] 図3は、第1スキャトロメータである。
【図4】[0013] 図4は、第2スキャトロメータである。
【図5】[0013] 図5は、スキャトロメータ測定から構造を再構築するための第1例示プロセスを示す。
【図6】[0013] 図6は、スキャトロメータ測定から構造を再構築するための第2例示プロセスを示す。
【図7】[0013] 図7は、本発明の一実施形態に係る検査装置を示す。
【図8】[0013] 図8は、本発明の基板に入射する光線を示す。
【図9】[0013] 図9は、基板上のターゲット格子に入射する2つの光ビームおよび結果として得られる散乱回折次数である。
【図10】[0013] 図10は、波長可変光源およびCCDディテクタを備える、本発明の一実施形態に係る検査装置を示す。
【図11】[0013] 図11は、対称性および非対称性モデルパラメータを用いる再構築のフローチャートである。
【図12】[0013] 図12は、xおよびyターゲット周期性に起因する次数を分離するための波長可変光源およびCCDディテクタを備える、本発明の一実施形態に係る検査装置を示す。
【図13a】[0013] 図13aは、xおよびyターゲット周期性に起因する次数の瞳面イメージでの分離を示す。
【図13b】[0013] 図13bは、xおよびyターゲット周期性に起因する次数の瞳面イメージでの分離を示す。
【図14a】[0013] 図14aは、くさび構成、ならびに結果として得られる、センサでのターゲットのイメージを示す。
【図14b】[0013] 図14bは、くさび構成、ならびに結果として得られる、センサでのターゲットのイメージを示す。
【図15a】[0013] 図15aは、複合ターゲット構造およびセンサでのターゲットイメージの効率的な重なりを示す。
【図15b】[0013] 図15bは、複合ターゲット構造およびセンサでのターゲットイメージの効率的な重なりを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0014] 本発明の実施形態は、(広帯域光源を用いて並行の、または波長可変単色光源を用いて連続の)複数の波長を使用し、空間的に分離された回折次数の異なる波長の強度を検出する。
【0016】
[0015] 図1は、リソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、
−放射ビームB(例えば、紫外線またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
−パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
−基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
−パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PLと、を備える。
【0017】
[0016] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0018】
[0017] サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちパターニングデバイスの重量を支える。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0019】
[0018] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
【0020】
[0019] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0021】
[0020] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0022】
[0021] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0023】
[0022] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0024】
[0023] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。浸漬技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0025】
[0024] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0026】
[0025] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0027】
[0026] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPLを通過し、投影システムPLは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2次元エンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0028】
[0027] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0029】
[0028] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0030】
[0029] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPLの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0031】
[0030] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0032】
[0031] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0033】
[0032] 図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセルまたはクラスタとも呼ばれるリソグラフィセルLCの一部を形成し、リソグラフィセルLCは、基板に対して露光前および露光後プロセスを行う装置を含む。従来、これらの装置としては、レジスト層を堆積するスピンコータSC、露光されたレジストを現像するデベロッパDE,冷却プレートCH、およびベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラまたはロボットROは、入力/出力ポートI/O1およびI/O2から基板を持ち上げ、異なる処理装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBへ基板を送り出す。総称してトラックと呼ばれることが多いこれらのデバイスは、監視制御システムSCSによって制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にある。また、監視制御システムSCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置を制御する。従って、別の装置を使用してスループットおよび処理効率を最大化することができる。
【0034】
[0033] リソグラフィ装置によって露光される基板が正確にかつ一貫して露光されるために、露光された基板を検査して、連続する層と層との間のオーバーレイエラー、ライン幅、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定することが望ましい。エラーが検出された場合、特に同一のバッチの他の基板が引き続き露光されるのに十分なほど直ちにかつ迅速に検査を実行できるときに、後続する基板の露光を調整することができる。また、すでに露光された基板を取り除き、再加工して歩留まりを向上させ、または廃棄し、それによって欠陥があることが分かっている基板に対する露光の実行が回避され得る。基板の一部のターゲット部分にのみ欠陥がある場合、良好であるターゲット部分に対してのみ、さらなる露光を行うことができる。
【0035】
[0034] 検査装置を使用して、基板の特性を、特に、異なる基板間または同一の基板の異なる層間で特性が層毎にいかに異なるかを決定する。検査装置は、リソグラフィ装置LAまたはリソセルLCに組み込まれてよく、もしくは独立型デバイスであってもよい。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は、露光直後に露光レジスト層の特性を測定することが望ましい。しかし、レジストの潜像は非常に低いコントラストを有し、つまり放射を受けているレジストの部分と受けていない部分との間で屈折率に非常に小さい差しかなく、全ての検査装置が、潜像を有用に測定するに十分な感度を有しているわけではない。従って、露光基板に対して行われる習慣的に最初のステップであり、レジストの露光部分と非露光部分とのコントラストを向上させる露光後ベークステップ(PEB)の後に、測定を行うことができる。この段階で、レジスト内の像を半潜像的と呼ぶことができる。また、レジストの露光部分または非露光部分が除去されている時点で、もしくはエッチングなどのパターン転写ステップの後に、現像したレジストイメージを測定することが可能である。後者の可能性は、欠陥のある基板を再加工する可能性を制限するが、それでもなお有用な情報を提供することができる。
【0036】
[0035] 図3は、本発明において使用され得るスキャトロメータを示している。スキャトロメータは、放射を基板W上に投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を備える。反射された放射は、スペクトロメータディテクタ4に送られ、スペクトロメータディテクタ4は、鏡面反射された放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造またはプロファイルが、例えば、厳密結合波解析および非線形回帰によって、または図3の下部に示すような模擬スペクトルのライブラリとの比較によって、処理ユニットPUにより再構築され得る。一般に、再構築については、構造の一般的な形態は公知であり、構造を作成したプロセスの知識からいくつかのパラメータが想定され、構造のわずかなパラメータのみがスキャトロメトリデータから決定される。このようなスキャトロメータは、法線入射スキャトロメータまたは斜め入射スキャトロメータとして構成され得る。
【0037】
[0036] 本発明とともに使用され得る別のスキャトロメータが図4に示されている。このデバイスでは、放射源2によって放出された放射は、レンズシステム12を使用して平行にされ、干渉フィルタ13およびポラライザ17を透過し、部分反射面16によって反射され、顕微鏡対物レンズ15を介して基板W上に集束される。顕微鏡対物レンズ15は、高い開口数(NA)、好ましくは少なくとも0.9、より好ましくは少なくとも0.95の開口数を有する。液浸スキャトロメータは、開口数が1を超えるレンズを有することさえ可能である。次に、反射された放射は、部分反射面16を透過して、散乱スペクトルを検出するためにディテクタ18に入る。ディテクタは、レンズシステム15の焦点距離にある後方投影瞳面11内に位置してよいが、その代わりに、瞳面は、補助光学系(図示せず)によってディテクタ上で再結像されてもよい。瞳面は、放射の半径方向位置が入射角を決定し、かつ角度位置が放射のアジマス角を決定する平面である。ディテクタは、基板ターゲット30の2次元角度散乱スペクトルを測定することができるように、2次元ディテクタであることが好ましい。ディテクタ18は、例えばCCDまたはCMOSセンサのアレイであってよく、例えば1フレーム当たり40ミリ秒などの積分時間を使用してよい。
【0038】
[0037] 基準ビームは、例えば、入射放射の強度を測定するために使用されることが多い。そのために、放射ビームがビームスプリッタ16に入射すると、その一部が基準ビームとしてビームスプリッタを透過して、基準ミラー14へと向かう。次に、基準ビームは、同一のディテクタ18の別の部分上、あるいは別のディテクタ(図示せず)上に投影される。
【0039】
[0038] 例えば405〜790nm、またはさらに低い、200〜300nmなどの範囲内で目的とする波長を選択するために、干渉フィルタ13のセットが使用可能である。干渉フィルタは、異なるフィルタのセットを含むのではなく、波長調整可能とすることができる。干渉フィルタの代わりに、格子が使用され得る。
【0040】
[0039] ディテクタ18は、単一波長(または狭い波長範囲)での散乱光の強度を測定するか、複数の波長で別々に強度を測定するか、ある波長範囲にわたって統合された波長を測定してよい。さらに、ディテクタは、TM(transverse magnetic)偏光およびTE(transverse electric)偏光の強度ならびに/もしくはTM偏光とTE偏光の間の位相差を別々に測定し得る。
【0041】
[0040] 広帯域光源(すなわち、広範囲の光の周波数または波長、従って広範囲の色を有する光源)の使用が可能であり、これは大きいエタンデュを与え、複数の波長の混合を可能にする。広帯域の複数の波長は、それぞれΔλの帯域幅および少なくとも2Δλの間隔(すなわち、波長の2倍)を有することが好ましい。いくつかの放射「源」は、ファイバ束を使用して分割されている拡張放射源(extended radiation source)の別々の部分とすることができる。このように、角度分解した散乱スペクトルを複数の波長において並列で測定することができる。3次元スペクトル(波長および2つの異なる角度)を測定することができ、これは2次元スペクトルより多くの情報を含む。これによって、より多くの情報を測定することができ、これはメトロロジプロセスのロバスト性を向上させる。これについては、欧州特許第1,628,164A号により詳細に記載されている。
【0042】
[0041] 基板W上のターゲット30は1次元格子とすることができ、この1次元格子は、現像後にバーが固体レジスト線で形成されるように印刷される。ターゲット30は2次元格子とすることもでき、この2次元格子は、現像後に格子が固体レジストピラーまたはレジストのビアで形成されるように印刷される。あるいは、バー、ピラー、またはビアを基板にエッチングしてよい。このパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPLの色収差に影響されやすく、照明の対称性およびそのような収差の存在は、印刷された格子の変動に現れる。従って、格子を再構築するために、印刷された格子のスキャトロメトリデータが使用される。ライン幅および形状などの1次元格子のパラメータ、あるいはピラーやビアの幅、長さ、または形状などの2次元格子のパラメータを、印刷ステップおよび/または他のスキャトロメトリプロセスの知識から、処理ユニットPUによって行われる再構築プロセスに入力することができる。
【0043】
[0042] 上述のとおり、ターゲットは基板の表面上にある。このターゲットは、格子内の一連の線または2次元アレイ内の略矩形構造の形をとることが多い。メトロロジにおける厳密光回折理論の目的は、ターゲットから反射された回折スペクトルの効果的に計算することである。すなわち、ターゲット形状の情報は、CD(クリティカルディメンジョン)の均一性およびオーバーレイメトロロジのために得られる。オーバーレイメトロロジは、基板上の2つの層が整合されているかどうかを判断するために2つのターゲットのオーバーレイを測定する測定システムである。CD均一性は、リソグラフィ装置の露光システムがどのように機能しているかを判断するためのスペクトル上の格子の均一性の単なる測定値である。具体的には、CD、すなわちクリティカルディメンジョンは、基板上に「書き込まれた」オブジェクトの幅であり、リソグラフィ装置が基板上に書き込むことが物理的に可能である限界である。
【0044】
[0043] 上述のスキャトロメータの1つをターゲット30などのターゲット構造のモデリングおよびその回折特性と組み合わせて用いて、構造の形状および他のパラメータの測定を多数の方法で行うことができる。図5が示す第一のタイプのプロセスでは、ターゲット形状の第1推定値(第1候補構造)に基づく回折パターンを計算し、観察された回折パターンと比較する。そして、モデルのパラメータを体系的に変化させ、回折を反復的に再計算し、それによって新しい候補構造を生成して最良適合に到達する。図6が示す第二のタイプのプロセスでは、多くの異なる候補構造の回折スペクトルを事前に計算して回折スペクトルの「ライブラリ」を生成する。次に、測定ターゲットから観察された回折パターンを、計算されたスペクトルのライブラリと比較して最良適合を見つける。これらの方法を一緒に使用することができる。つまり、粗い適合をライブラリから得ることができ、最良適合を見つけるための反復プロセスがこれに続く。
【0045】
[0044] 図5をより詳細に参照して、ターゲット形状および/または物質特性の測定を実行する方法を要約して説明する。この説明については、ターゲットは1方向のみにおいて周期的であることを前提とする(1次元構造)。実際には、2方向において周期的であってよく(2次元構造)、処理はそれに応じて適合される。
【0046】
[0045] 502:基板上の実際のターゲットの回折パターンを、上述したようなスキャトロメータを用いて測定する。この測定された回折パターンは、コンピュータなどの計算システムに送られる。計算システムは、上述した処理ユニットPUであってよく、または別個の装置であってよい。
【0047】
[0046] 503:多数のパラメータp(p、p、pなど)について、ターゲット構造のパラメータ化されたモデルを定義する「モデルレシピ」を確立する。これらのパラメータは、例えば、1次元周期構造において、側壁の角度、フィーチャの高さまたは深さ、フィーチャの幅を表すことができる。ターゲット材料およびその下にある層の特性も、(スキャトロメトリ放射ビームに存在する特定の波長における)屈折率などのパラメータによって表される。具体例を以下に示す。重要なことには、ターゲット構造は、その形状および物質特性を示す数十のパラメータによって定義され得るところ、モデルレシピはこれらのうちの多数を定義して固定値を有する一方、他のものは以降のプロセスステップの目的のために可変または「流動的」パラメータである。さらに以下に、固定パラメータと流動パラメータとの間の選択を行うプロセスを説明する。さらに、完全に独立した流動パラメータ無しにパラメータが変化することを可能にすることができる方法を紹介する。図5を説明するために、可変パラメータのみをパラメータpと見なす。
【0048】
[0047] 504:モデルターゲットの形状を、流動パラメータに対する初期値p(0)(すなわち、p(0)、p(0)、p(0)など)を設定することによって推定する。各流動パラメータは、レシピに定義されるようなある所定の範囲内で生成される。
【0049】
[0048] 506:推定形状を表すパラメータは、モデルの別々のエレメントの光学特性とともに使用されて、例えば、RCWAなどの厳密光学回折法またはマクスウェル方程式の他の解法を用いて散乱特性を計算する。これによって、推定ターゲット形状の推定回折パターンまたはモデル回折パターンが与えられる。
【0050】
[0049] 508、510:次に、測定回折パターンおよびモデル回折パターンを比較し、類似点および差を用いてモデルターゲット形状の「メリット関数」を計算する。
【0051】
[0050] 512:実際のターゲット形状を正確に表す前にモデルが改善される必要があることをメリット関数が示すということを前提にして、新しいパラメータp(1)、p(1)、p(1)などを推定し、ステップ506に反復的に戻す。ステップ506〜512を繰り返す。
【0052】
[0051] この検索を補助するために、ステップ506の計算は、メリット関数の偏導関数をさらに生成することができる。これは、パラメータ空間のこの特定の領域において、パラメータを増加または減少させることによってメリット関数が増加または減少する感度を示す。メリット関数の計算および導関数の使用は、一般に当業者に知られており、本明細書では詳細に説明しない。
【0053】
[0052] 514:この反復プロセスが所望の精度で解に収束したことをメリット関数が示す場合、現在の推定パラメータが実際のターゲット構造の測定値として報告される。
【0054】
[0053] この反復プロセスの計算時間は、主に、使用された順方向回折モデル、すなわち、推定ターゲット構造に由来する厳密光回折理論を用いた推定モデル回折パターンの計算によって決定される。より多くのパラメータが必要な場合、より多くの自由度が存在する。原則として、計算時間は、自由度の数に比例して増加する。506で計算された推定回折パターンまたはモデル回折パターンは、さまざまな形で表すことができる。計算されたパラメータが502で生成された測定パラメータと同一の形で表される場合、比較が簡略化される。例えば、モデル化スペクトルを、図3の装置によって測定されたスペクトルと容易に比較することができる。つまり、モデル化された瞳パターンを図4の装置によって測定された瞳パターンと容易に比較することができる。
【0055】
[0054] 図5からこの先の説明を通じて、「回折パターン」という用語は、図4のスキャトロメータが使用されるという前提のもとに使用される。当業者は、この教示を異なるタイプのスキャトロメータ、または他のタイプの測定機器に対してさえも容易に応用することができる。
【0056】
[0055] 図6は、異なる推定ターゲット形状(候補構造)に対する複数のモデル回折パターンを事前に計算し、実測値との比較のためにライブラリに記憶する別の例示的なプロセスを示している。基本的な原則および用語は、図5のプロセスに関するものと同様である。図6のステップは以下の通りである。
【0057】
[0056] 602:ライブラリを生成するプロセスが開始する。ターゲット構造のタイプごとに別個のライブラリを生成することができる。ライブラリは、必要に応じて測定装置のユーザによって生成されてよく、装置の供給業者によって事前に生成されてもよい。
【0058】
[0057] 603:多数のパラメータp(p、p、pなど)について、ターゲット構造のパラメータ化されたモデルを定義する「モデルレシピ」を確立する。考慮事項は、反復プロセスのステップ503のものと同様である。
【0059】
[0058] 604:パラメータの第1セットp(0)、p(0)、p(0)などを、例えば、各々が期待値範囲内にあるすべてのパラメータのランダム値を生成することによって生成する。
【0060】
[0059] 606:モデル回折パターンを計算し、ライブラリに記憶する。このモデル回折パターンは、パラメータが表すターゲット形状から予想された回折パターンを表す。
【0061】
[0060] 608:形状パラメータの新しいセットp(1)、p(1)、p(1)などを生成する。すべての記憶されたモデル化回折パターンを含むライブラリが十分に完成していると判断されるまで、ステップ606〜608を数十回、数百回、またはさらに数千回繰り返す。各々の記憶されたパターンは、多次元パラメータ空間のサンプル点を表す。ライブラリのサンプルは、任意の実際の回折パターンが十分に近接して表されるのに十分な密度でサンプル空間を埋める。
【0062】
[0061] 610:ライブラリが生成されると(すでに生成されているであろうが)、実際のターゲット30をスキャトロメータ内に配置し、その回折パターンを測定する。
【0063】
[0062] 612:測定されたパターンをライブラリに記憶されたモデル化パターンと比較して最良の一致パターンを見つける。比較はライブラリのサンプルごとに行うことができ、または計算負担を低減させるためにより系統的な検索法を採用することができる。
【0064】
[0063] 614:次に、一致するものが見つかった場合、一致するライブラリパターンを生成するために使用される推定ターゲット形状を適切なオブジェクト構造として決定することができる。一致サンプルに対応する形状パラメータを、測定形状パラメータとして出力する。一致プロセスはモデル回折信号に対して直接行うことができ、または高速評価のために最適化された代替モデルに対して行うことができる。
【0065】
[0064] 616:任意に、最近一致サンプルを始点として用い、改良プロセスを用いて報告用の最終パラメータを得る。この改良プロセスは、例えば、図5に示すものと非常に類似する反復プロセスを含むことができる。
【0066】
[0065] 改良ステップ616が必要であるかどうかは、実施者の選択事項である。ライブラリが非常に稠密にサンプリングされている場合、良好な一致が常に見つかるので反復改良は必要とされない場合がある。一方、そのようなライブラリが実用に対して大きすぎる場合がある。従って、実際的な解決法は、パラメータの粗いセットを求めてライブラリ検索を使用し、メリット関数を用いて1つ以上の反復がこれに続くことによってより正確なパラメータのセットを決定して所望の精度でターゲット基板のパラメータを報告することである。追加の反復を行う場合、計算された回折パターンおよび関連する改良パラメータをライブラリの新しいエントリとして追加することは選択項目であろう。このように、比較的少ない計算作業に基づくものの、改良ステップ616の計算作業を用いてより大きいライブラリになるライブラリを、最初に使用することができる。どの方式が用いられても、多数の候補構造の一致という長所に基づいて、報告される可変パラメータの1つ以上の値のさらなる改良を達成することができる。例えば、2つのまたはすべての候補構造が高一致スコアを有することを前提にすると、最終的に報告されるパラメータ値は、2つ以上の候補構造のパラメータ値の間での補間を行うことによって生成することができる。
【0067】
[0066] この反復プロセスの計算時間は、主に、ステップ506および606での順方向回折モデル、すなわち、推定ターゲット形状に由来する厳密光回折理論を用いた推定モデル回折パターンの計算によって決定される。
【0068】
[0067] 本発明は、格子などの周期ターゲットの非対称特性を決定する装置の実施形態に関する。
【0069】
[0068] 図7は、本発明の一実施形態に係る検査装置を示している。図7を参照すると、広帯域光源702が白色光の細いペンシルビームを供給し、それによって放射の複数の波長が提供される。従って、複数の波長は、装置による高速測定のために同時に提供される。別の実施形態においては、波長可変光源が、別々の時に別々の波長を供給する。光源702は、例えば、白色光レーザまたはキセノンランプとすることができる。イルミネータの出口における照明瞳706は、1つのスポット708を有する。ペンシルビームは「イメージコピー−回転」デバイス710を介して送られる。このデバイスは、ペンシルビームのコピーを作成し、元のビームに対して180°コピーされたバージョンを回転させる。「イメージコピー−回転」デバイスの例は、米国特許第6,961,116号および第6,628,406号に記載された自己参照干渉計である。
【0070】
[0069] このコピー動作の結果として、照明瞳面714が、原点に対して点反射された(かつ、ゼロ空間周波数を実質的に有する)2つの同一の白色光源716、716’で照明される。これによって、格子の再構築を容易にする、ターゲットにわたる良好に定義された照明入射角が与えられる。このため、点光源の範囲は、小さく維持される。
【0071】
[0070] レンズL1およびL2は、照明瞳を高NA(開口数)レンズL3の瞳面に結像する二重テレセントリックシステムを形成する。この対物レンズL3は、不明の製品パターンによって囲まれた小さい格子とすることができるターゲット30を照明する。従って、レンズL1、L2、およびL3は、対物系を介してターゲットを照明する光学システムを形成する。ウェーハ上の照明スポットは、通常、格子よりかなり大きく選択される。典型値は、例えば、ウェーハ上に投影された30μmのスポット径および10x10μmの格子サイズである。照明スポットが格子より小さい場合、例えば、スクライブラインにおいて比較的大きい格子である場合、当該実施形態は、依然として機能する。
【0072】
[0071] 図8は、第1方向および第2鏡面反射方向から基板に入射する光線を示している。実線の矢印は、照明面714の点716から来る光線を表す。点線の矢印は、照明面714の点716’から来る光線を表す。基板Wは、製品領域802に囲まれたターゲット格子30を有する。従って、照明ビームは、ターゲット格子30をオーバフィルする。実線の矢印は、固定位置にある基板の表面に沿った水平方向に実質的に沿った方向に伝播するような入射角で格子を照明する。点線の矢印は、基板の表面に沿った逆の水平方向に実質的に沿った方向に伝播するような同一の入射角で格子を照明する。
【0073】
[0072] 図9は、基板W上のターゲット格子30に入射する2つの光ビームおよび結果として得られる散乱回折次数を示している。実線の矢印902は、照明面714の点716から来る光線を表す。実線の矢印−1、0、および+1は、それぞれ入射ビーム902から生じる負の1次、0次、および正の1次散乱回折ビームを表す。点線の矢印902’は、照明面714の点716’から来る光線を表す。点線の矢印−1’、0’、および+1’は、それぞれ入射ビーム902’から生じる負の1次、0次、および正の1次散乱回折ビームを表す。散乱ビームの各々は、白色光源が使用されるので光の波長帯域を有する。例えば、光が別々の左右の側壁から別々に反射される場合、格子の非対称性は、ビーム+1’、−1について別々に光のスペクトルに影響を及ぼすことになる。格子に非対称性が存在しない場合、ビーム+1’、−1は、同一のスペクトルプロファイルを有するであろう。+1’、−1ビームのスペクトル成分の差の分析は、ターゲット格子の非対称性を決定するために本発明の実施形態において使用される。オーバーレイターゲットにおける積層格子の場合、積層格子の間のオーバーレイエラーの回折次数に対する影響は、非対称の単一格子の影響と同様であり得る。そして、+1’、−1ビームのスペクトル成分の差についての分析は、積層格子オーバーレイターゲットのオーバーレイエラーを決定するために、本発明の実施形態において使用することができる。
【0074】
[0073] 本発明の実施形態は、ビーム0’、+1’、−1、および0のうちの2つ以上の(波長の関数としての強度などの)特性を選択的に検出してターゲットの非対称特性を決定する。例えば、+1’および−1ビームを比較することによって、積層オーバーレイターゲットのオーバーレイエラーを決定することができ、+1’および−1ビームを比較することによって、単一格子の非対称性を決定することができ、0’、+1’、−1、および0ビームを検出し、再構築を用いることによって、単一または積層ターゲット構造の非対称性を決定することができる。
【0075】
[0074] 図7を参照すると、ターゲット格子30および周囲の製品領域(図8の802)によって散乱した光がレンズL3によって平行にされ、二重テレセントリックシステムL3およびL4は、視野絞りFS上に格子および製品環境の拡大イメージを形成する。視野絞りFSは、対物レンズL3の像面に配置される。視野絞りFSの目的は、中間イメージの空間範囲を制限し、検出光学系内の迷光を抑制することである。従って、空間フィルタは、ターゲットに隣接する基板表面から散乱した放射を空間的に遮って、ターゲットによって散乱した放射を選択する。
【0076】
[0075] レンズL4およびL5は、散乱光の瞳面PPをアクロマート型四分くさびQW上に再結像する。瞳面のこのイメージ718は、散乱光0、−1、0’、および+1’の4つの成分を有する。四分くさびQWは、4つの異なる方向に瞳面718の4つの四分円の光を再誘導する。従って、四分くさびQWは、基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスである。四分くさびQWは、4つのくさびを含むことができる。四分くさびQWの結果として、レンズL6が、像面IPに、開口絞りFSが透過させた光の4つの空間的に分離されたサブイメージ720を生成する。4つのサブイメージ720の各々は、視野絞りFSの幅WFSである。各サブイメージの中心正方形は、ターゲット格子を表し、製品回路によって囲まれる。ターゲット格子は正方形として示されているが、長方形などの別の形状を有することができる。イメージ720は、0次イメージ0および0’から成る2つの対向するイメージと、負の1次イメージ−1および正の1次イメージ+1’から成る残りの2つの対向するイメージとを含む。当業者には、像面の4つのサブイメージの各々の配置はくさび配置によって決まることが理解されよう。従って、くさびおよび/または1つ以上のレンズL6の他の相対的な向きを用いてサブイメージの別の配置を実現することができる。さらに、サブイメージを同一平面上に配置する必要はない。
【0077】
[0076] 白色光が使用されるので、四分くさびはアクロマート型であり、そうでなければ、イメージシフトが色依存的になるであろう。アクロマート型くさびは透過型として形成することができるが、反射型くさびも本質的にアクロマート型であるので適切である。
【0078】
[0077] 4つのマルチモード検出ファイバMFを使用して、格子の2つの0次強度成分および正負の1次強度成分を捕捉する。従って、ファイバは、別々に再誘導された回折次数のうちの1つ以上を捕捉するように構成された捕捉デバイスである。これは、製品環境に由来する光を抑制する「選択領域」検出である。レンズに対するファイバの位置は、ターゲット格子に対応する各サブイメージ720の選択領域を捕捉するように構成される。任意に、ピエゾマイクロマニピュレータをセンサでの動的調整のために使用することができる。
【0079】
[0078] マルチモードファイバは、通常、200μmのコア径を有し、この径は、周囲の製品領域によって散乱した光よりもむしろ格子によって散乱した光を選択するために、格子のイメージより小さい。格子が10μmの長さを有する場合、本実施形態のレンズシステムL3、L4、L5、およびL6の倍率は、少なくとも40である。
【0080】
[0079] くさび角度は、4つのサブイメージ720の完全な分離を可能にするのに十分なほど大きい。その分離が小さすぎると、イメージが重なって製品領域から格子領域へのクロストークを引き起こす。
【0081】
[0080] 検出ファイバによって捕捉された広帯域光は、好ましくは公称上同一の4つのスペクトロメータに送られる。これらの4つのスペクトロメータは、波長の関数としての、2つの0次I0’(λ)およびI(λ)ならびに正の1次I+1’(λ)および負の1次I−1(λ)の強度を同時にかつ並行して測定する。オーバーレイメトロロジに関して、5nmのスペクトル解像度で、通常の波長範囲は400〜800nmであり得る。これによってスペクトルごとに80ピクセル、総計約320サンプルが得られる。広帯域光源の複数の波長λでの測定は、高スループットを可能にする非常に短い取得時間で達成することができる。
【0082】
[0081] 別の時間多重化の実施形態において、4つのスペクトロメータより少ないスペクトロメータを使用することができ、2つ以上の別々に捕捉された回折次数を、波長の関数として測定ごとに一つずつスペクトロメータに誘導する。
【0083】
[0082] 1つの所与の入射角について4つの信号を測定する。当業者は、これを、照明瞳面706の照明スポット708の位置を変えることによってより多い入射角について繰り返すことが可能であることが理解されよう。
【0084】
[0083] 測定スペクトルのセットをプロセッサPU内で用いてターゲット格子の非対称特性を計算することができる。
【0085】
[0084] (2つ以上の重なった格子の積層を有するオーバーレイターゲットについての)計算されたオーバーレイエラーおよび(単一格子についての)非対称性などの非対称特性は、回折ベースオーバーレイ方法のように、測定された+1’スペクトルおよび−1スペクトルを比較することによって決定することができる。
【0086】
[0085] 図10は別の実施形態を示している。図7と共通するエレメントは、同一の参照符号を有する。白色光源を使用する代わりに、単一波長光源1002を使用する。単一波長光源は、複数の波長を提供するように調整可能または切換可能とすることができる。単一波長はλで示される。単一波長ごとに、イメージ「720」が、負の1次、正の1次、および0次によって形成されたイメージの強度を測定するCCDカメラなどのディテクタ上に投影される。本実施形態において、処理ユニットPU上で動作するパターン認識ソフトウェアモジュール1004を使用して格子イメージが位置する領域を特定し、波長λにおける2つの0次I0’(λ)およびI(λ)ならびに正の1次I+1’(λ)および負の1次I−1(λ)の強度を抽出する。従って、波長λを調整し、測定を連続して繰り返して複数の単一波長λにおける2つの0次I0’(λ)およびI(λ)ならびに正の1次I+1’(λ)および負の1次I−1(λ)の強度を決定する。
【0087】
[0086] (単一格子についての)非対称構造パラメータおよび/または(単一格子または積層格子オーバーレイターゲットについての)格子の形状などの非対称特性を、再構築を用いて決定することができる。これは、図5および図6に関連して説明した方法と同様の方法を用いて達成される。しかし、モデリングおよび測定回折パターンの代わりに、0次および1次の波長の関数としての強度(および/または偏光)を測定しモデル化する。非対称性をモデル化するために、パラメータp(p、p、pなど)に関してターゲット構造のパラメータ化されたモデルを定義する「モデルレシピ」は、ターゲット格子非対称性に関するパラメータを含む。そのようなパラメータは、異なる左右の側壁角度およびルーフトップ形状である。モデルは、照明波長の関数として測定強度(および/または偏光)パラメータを計算する。
【0088】
[0087] 対称および非対称パラメータを使用する際のモデリングに対する手法が図11に示されている。
1102:非対称パラメータをゼロに設定する
1104:収束に到達するまで対称パラメータを用いて再構築する
1106:変更されないように対称パラメータを固定する
1108:収束に到達するまで非対称パラメータを用いて再構築する
1110:変更されないように非対称パラメータを固定する
対称パラメータの小規模更新のためにステップ1104から1108の反復を行う。
【0089】
[0088] 別の実施形態において、図4に関して説明した方法と同様の方法で、基準分岐を追加して強度変動を補償することができる。そのような手法は、別のスペクトロメータの追加を伴うことがある。
【0090】
[0089] 図7および図10に関する上述の実施形態は、点反射された照明ビームを有する。これによって高測定速度がもたらされる。しかし、他の実施形態は、点反射位置に順次に切り換えられる1つの入力ビームのみで実現され得る。
【0091】
[0090] 周波数の関数としての回折光の強度の測定およびモデリングは図7および図10に関して説明されるが、本発明の実施形態は、適切な楕円偏光または旋光技術を用いた、周波数の関数としての偏光状態の測定およびモデリングも含む。
【0092】
[0091] 本発明の実施形態の利点は、以下を含む。
【0093】
[0092] インダイ格子上のロバスト性プロセスオーバーレイメトロロジが可能になる。
【0094】
[0093] 並行データ取得のための多数のスペクトロメータを用いることによって高スループットが可能になる。
【0095】
[0094] 0次散乱光の測定によってCDメトロロジおよび非対称が可能になる。
【0096】
[0095] 別の実施形態を図12から図15を参照して以下に説明する。図10に関して説明したアクロマート型の四分くさびQWの代わりに、特定のそれぞれの角度スペクトルのための複数の単一くさびMSWを使用することができる。
【0097】
[0096] 図12は、xおよびyターゲット周期性に起因する次数を分離するための波長可変光源およびCCDディテクタを備える、本発明の一実施形態に係る検査装置を示している。図12において、図7および図10と共通するエレメントは同一の参照符号を有する。図10の実施形態に関して、単一波長光源1002を使用する。単一波長光源は、複数の波長を提供するように調整可能または切換可能とすることができる。単一波長は、再びλで示される。
【0098】
[0097] イルミネータの出口における照明瞳706は、1つのスポット1208を有する。単一スポットは、(ターゲット周期性のxおよびy方向の)波長とターゲット格子ピッチの組合せが、瞳面1218のイメージ内に離れて位置決めされたxおよびy方向にウェーハから散乱した1次回折をもたらすように照明瞳に位置決めされる。これを図13に関して以下に説明する。以下に説明するように、このような位置決めによって、xおよびy方向にウェーハから散乱した1次回折が複数の単一くさびMSWによって分離されることが可能になる。
【0099】
[0098] ペンシルビームは「イメージコピー−回転」デバイス710を介して送られる。このコピー動作の結果として、照明瞳面714が、原点に対して点反射された(かつ、ゼロ空間周波数を実質的に有する)2つの同一の単一波長光源1216、1216’で照明される。前と同じように、これによって、格子の再構築を容易にする、ターゲットにわたる良好に定義された照明入射角がもたらされる。このため、点光源の範囲は、小さく維持される。
【0100】
[0099] レンズL1およびL2は、照明瞳を高NA(開口数)レンズL3の瞳面に結像する二重テレセントリックシステムを形成する。この対物レンズL3は、複数方向に周期的な領域を有する、例えば、図15aが示す別々のxおよびy格子を有する、複合格子とすることができるターゲット30を照明する。あるいは、xおよびyの周期性は、同一の2次元格子内に、例えば、矩形または円のアレイを有することができる。ターゲットは、不明の製品パターンによって囲むことができる。従って、レンズL1、L2、およびL3は、対物系を介してターゲットを照明する光学システムを形成する。ウェーハ上の照明スポットは、通常、ターゲット格子よりかなり大きく選択される。典型値は、例えば、ウェーハ上に投影された30μmのスポット径および10x10μmの格子サイズである。照明スポットが格子より小さい場合、例えば、スクライブラインにおいて比較的大きい格子である場合、当該実施形態は、依然として機能する。
【0101】
[00100] ターゲット格子30および周囲の製品領域によって散乱した光がレンズL3によって平行にされ、二重テレセントリックシステムL3およびL4は、視野絞りFS上に格子および製品環境の拡大イメージを形成する。視野絞りFSは、対物レンズL3の像面に配置される。視野絞りFSの目的は、中間イメージの空間範囲を制限し、検出光学系内の迷光を抑制することである。従って、空間フィルタは、ターゲットに隣接する基板表面から散乱した放射を空間的に遮って、ターゲットによって散乱した放射を選択する。
【0102】
[00101] レンズL4およびL5は、散乱光の瞳面PPを複数の単一くさび光デバイスMSW上に再結像する。瞳面のこの像1218は、散乱光0’、+1、+1’、0、−1’、および−1の6つの成分を有する。多重単一くさびMSWデバイスは、0次回折光0’および0を遮断または放棄し、4つの異なる方向に+1、+1’、−1’、および−1次の光を再誘導する。従って、複数の単一くさびMSWは、基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスである。さらに、複数の単一くさびMSWは、複数の周期性方向、この例ではxおよびy方向に基板から散乱した放射の回折次数を分離するように構成される。
【0103】
[00102] 強度変動を補正するための強度測定のために、0次放射を捕捉し、光学システムの別の分岐、またはイメージセンサCCDの別の未使用部分に誘導することができる。従って、0次強度は、例えば、スペクトル測定と同時に、または測定されるウェーハ基板の各バッチの開始時に測定することができる。
【0104】
[00103] 図14は、くさび構成QWおよびMSW、ならびに結果として得られるセンサでのターゲットのイメージ1420および1220を示している。複数の単一くさびMSWは、図14aに示すように4つのくさびを含むことができる。平面視の形状は、球面レンズの平坦部分の研磨から生じる図14aに示す形状に限定されない。
【0105】
[00104] 図12に戻ると、複数の単一くさびMSWの構成の結果として、レンズL6は、像面IPに、xおよびy方向の周期性に起因する次数を空間的に分離する、開口絞りFSが透過させた光の4つのサブイメージ1220を生成する。これらは図14bに示され、複数の単一くさびMSWの対応するくさびを一致させるように引かれた線影を含む図15bに拡大されている。例えば、図14aの+1’のくさびは、図14aの対応する線影を有し、かつ図15bで+1’−dおよび+1’+dと表記されたサブイメージを生じさせる。一対の正方形を含む、同一の線影を有する各サブイメージは、ターゲット格子を表す。周囲の製品回路は、視野絞りFSによって空間的に遮られている。ターゲット格子は正方形として示されているが、長方形などの別の形状を有することができる。イメージ1220は、+1、+1’、−1’、および−1次に起因する、ターゲットの空間的に重なったイメージを含む。従って、複数の単一くさび光デバイスMSWは、分離された回折次数を1つ以上のディテクタ上に投影して、分離された異なる回折次数に起因するターゲットの空間的に重なったイメージを形成するように構成される。
【0106】
[00105] 当業者には、像面の4つのサブイメージの各々の配置はくさび配置によって決まることが理解されよう。従って、くさびおよび/または1つ以上のレンズL6の別の相対的な向きを用いてサブイメージの他の配置を実現することができる。さらに、サブイメージを同一平面上に配置する必要はない。
【0107】
[00106] 図12、図14b、および図15bに示すサブイメージ1220の配置の利点は、検出センサCCD領域のより広い部分を利用でき(より多いピクセル)、それによって、図10に関して説明した実施形態に係る四分くさびQW(図14aに示す)によって生成された、空間的に分離されたサブイメージ(図14bの1420)と比較して、TMUの向上および測定時間の減少が可能になる。この例では、サブフィールドの重なりによって、バイアスされた複合格子のイメージの効率的な配置が得られる。当然のことながら、イメージセンサを効率的に対象として含みながら特定のターゲットレイアウトに適切な、サブイメージの他の重なりまたはモザイク配置が想定される。
【0108】
[00107] 複数の単一くさびMSWは、波長依存のイメージシフトを防止するためにアクロマート型とすることができる。アクロマート型くさびは透過型として形成することができるが、反射型くさびも本質的にアクロマート型であるので適切である。
【0109】
[00108] 単一波長λごとに、イメージ1220が、負の1次および正の1次によって形成されたイメージの強度を測定するCCDカメラなどのディテクタ上に投影される。本実施形態において、処理ユニットPU上で動作するパターン認識ソフトウェアモジュール1004を使用して格子イメージが位置する領域を特定し、波長λにおける+1、+1’、−1’、および−1次の強度I+1y(λ)、I+1’x(λ)、I−1’y(λ)、およびI−1x(λ)を抽出する。従って、波長λを調整し、測定を連続して繰り返して複数の単一波長λにおける強度I+1y(λ)、I+1’x(λ)、I−1’y(λ)、およびI−1x(λ)を決定する。
【0110】
[00109] 図13は、xおよびyターゲット周期性に起因する次数の瞳面での分離を示している。図13aに関して、1つの照明スポット1216をのみを検討する。この照明スポット1216は、瞳面イメージ1218に0次スポット0を生じさせる。y方向の周期性に起因する回折は、照明波長λおよびy方向の格子ピッチpの関数である距離の分、瞳面イメージ1218の0次スポットからy方向にオフセットされた正の1次スポット+1を生じさせる。負の1次スポット−1は、瞳イメージから外れ、存在しない。
【0111】
[00110] x方向の周期性に起因する回折は、照明波長λおよびx方向の格子ピッチの関数である距離の分、0次スポットからx方向にオフセットされた負の1次スポット−1を生じさせる。この例では、y方向と同様に、x方向の格子ピッチはpであるが、y方向のピッチと異なり得る。正の1次スポット+1は、瞳イメージから外れ、存在しない。
【0112】
[00111] 図13bは、図12に示すようにイメージコピー−回転デバイス170の動作によって2つの点光源1216および1216’で照明される照明瞳面714を示している。図13aについて説明したのと同様に、照明スポット1216’は瞳面イメージ1218に回折次数+1’および−1’を生じさせる。
【0113】
[00112] 図15は、複合ターゲット構造1502、ならびに図12および図14bに示すような、センサにおけるターゲットサブイメージ1220の効率的な重なりの拡大図を示している。ターゲット構造1502において、各ターゲットの周期性はxおよびyで表され、それぞれ縦および横の線影で示されている(原寸に比例していない)。米国特許出願公開第2010/0328655号に記載されるようなバイアスされた複合格子を用いるオーバーレイオフセットの計算について知られているように、上付き文字−dおよび+dは、各格子に施されるオーバーレイバイアスを表す。
【0114】
[00113] (単一格子についての)非対称構造パラメータおよび/または(単一格子または積層格子オーバーレイターゲットについての)格子の形状などの非対称特性を、再構築を用いて決定することができる。これは、図5および図6に関連して説明した方法と同様の方法を用いて達成される。しかし、モデリングおよび測定回折パターンの代わりに、1次の波長の関数としての強度(および/または偏光)を測定しモデル化する。非対称性をモデル化するために、パラメータp(p、p、pなど)に関してターゲット構造のパラメータ化されたモデルを定義する「モデルレシピ」は、ターゲット格子非対称性に関するパラメータを含む。そのようなパラメータは、異なる左右の側壁角度およびルーフトップ形状である。モデルは、照明波長の関数としての測定強度(および/または偏光)パラメータを計算する。
【0115】
[00114] 図7および図10に関して説明した実施形態について、対称および非対称パラメータを使用する際のモデリングに対する手法が図11に示されている。
【0116】
[00115] 本明細書に記載した検査装置および検査方法の実施形態は、デバイス製造方法において用いることができ、リソグラフィ装置およびリソグラフィプロセシングセルに組み込むことができる。
【0117】
[00116] 本明細書において、IC製造における検査装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載の検査装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0118】
[00117] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0119】
[00118] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0120】
[00119] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0121】
[00120] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0122】
[00121] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。従って、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する検査装置であって、
放射の複数の波長を提供するように構成された照明システムと、
対物レンズを含み、かつ前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で前記対物レンズを介して前記ターゲットを照明するように構成された光学システムと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスと、
前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定するように構成された1つ以上のディテクタと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、検査装置。
【請求項2】
前記照明システムは、前記対物レンズの瞳面に対して点反射された2つの放射ビームを提供するように構成される、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記光デバイスは、前記第1方向および前記第2方向の各々からの照明によって、前記基板から散乱した放射の回折次数を分離するように構成される、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記ターゲットは、複数の周期性方向において周期的であり、前記光デバイスは、前記複数の周期性方向に前記基板から散乱した放射の回折次数を分離するように構成される、請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記光デバイスは、前記分離された回折次数を前記1つ以上のディテクタ上に投影して、別々に分離された回折次数から生じる前記ターゲットの空間的に重なったイメージを形成するように構成される、請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記照明システムは、広帯域光源を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の検査装置。
【請求項7】
前記ターゲットに隣接する前記基板の表面から散乱した放射を空間的に遮って前記ターゲットによって散乱した放射を選択するように構成された、前記対物レンズの像面における空間フィルタをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の検査装置。
【請求項8】
前記光デバイスは、前記対物レンズの瞳面に配置される、請求項1〜7のいずれかに記載の検査装置。
【請求項9】
前記光デバイスは、4つの四分円の各々からの放射を別々に再誘導するように構成された4つのくさびを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の検査装置。
【請求項10】
前記ターゲットは、複数の周期性方向において周期的であり、前記光デバイスは、前記複数の周期性方向に前記基板から散乱した放射の回折次数にそれぞれ対応する複数の面を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の検査装置。
【請求項11】
前記光デバイスはアクロマート型である、請求項1〜10のいずれかに記載の検査装置。
【請求項12】
前記別々に再誘導された回折次数のうちの1つ以上を捕捉するように構成された捕捉デバイスをさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の検査装置。
【請求項13】
前記捕捉デバイスは、1つ以上の光ファイバを含む、請求項12に記載の検査装置。
【請求項14】
前記捕捉デバイスは、前記基板から散乱した前記放射を空間的に遮って前記ターゲットによって散乱した放射を選択するように構成される、請求項12または13に記載の検査装置。
【請求項15】
前記測定特性は、前記複数の波長における強度を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の検査装置。
【請求項16】
前記ディテクタはスペクトロメータそ含む、請求項1〜15のいずれかに記載の検査装置。
【請求項17】
前記測定特性は、波長の関数としての偏光を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の検査装置。
【請求項18】
基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する方法であって、
放射の複数の波長を提供することと、
前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で対物レンズを介して前記ターゲットを照明することと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導することと、
1つ以上のディテクタを用いて前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定することと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定することと、を含む、方法。
【請求項19】
リソグラフィ装置であって、
パターンを照明するように配置された照明システムと、
前記パターンのイメージを基板上に投影するように配置された投影システムと、
基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する検査装置であって、
放射の複数の波長を提供するように構成された照明システムと、
対物レンズを含み、かつ前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で前記対物レンズを介して前記ターゲットを照明するように構成された光学システムと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスと、
前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定するように構成された1つ以上のディテクタと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、検査装置と、を含む、リソグラフィ装置。
【請求項20】
リソグラフィセルであって、
基板に放射感応性層を塗布するように配置されたコータと、
前記コータによって塗布された基板の前記放射感応性層上にイメージを露光するように配置されたリソグラフィ装置と、
前記リソグラフィ装置によって露光されたイメージを現像するように配置されたデベロッパと、
基板の平面において周期的な当該基板上のターゲットの非対称特性を決定する検査装置であって、
放射の複数の波長を提供するように構成された照明システムと、
対物レンズを含み、かつ前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で前記対物レンズを介して前記ターゲットを照明するように構成された光学システムと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導するように構成された光デバイスと、
前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定するように構成された1つ以上のディテクタと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、検査装置と、を含む、リソグラフィセル。
【請求項21】
デバイス製造方法であって、
リソグラフィ装置を用いて基板上にパターンを形成することと、
放射の複数の波長を提供することと、
前記基板の平面に対して鏡面反射された第1方向および第2方向からの前記放射で対物レンズを介して、前記リソグラフィ装置を用いて形成された前記ターゲットを照明することと、
前記基板から散乱した放射の回折次数を別々に再誘導することと、
1つ以上のディテクタを用いて前記複数の波長で前記別々に再誘導された回折次数の特性を測定することと、
前記複数の波長で測定された前記特性を用いて前記ターゲットの非対称特性を決定することと、によって
前記パターンのパラメータに関する値を決定することと、を含む、デバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【公開番号】特開2012−169617(P2012−169617A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−22628(P2012−22628)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】