説明

窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法

【課題】ハイドライド気相成長法(HVPE)を用いて、欠陥及びクラック(crack)が最小化され、結晶性に優れた窒化ガリウム(GaN)単結晶厚膜を製造する方法に関する。
【解決手段】HVPE反応槽内に基板を装着し、ガリウム(Ga)、塩化水素(HCl)ガス及びアンモニア(NH)ガスを供給して、基板上に窒化ガリウム(GaN)単結晶厚膜を成長させることにおいて、1)膜表面の反応速度によって成長速度が決定される温度領域(surface kinetics regime)で第1の窒化ガリウム膜を成長させる段階と、2)段階1)で成長された第1の窒化ガリウム膜上に、気相における物質拡散によって成長速度が決定される温度領域(mass transport regime)で第2の窒化ガリウム膜を成長させる段階と、を含み、この時、段階2)の成長温度が、段階1)の成長温度より高いことを特徴とする窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドライド気相成長法(HVPE:hydride vapor phase epitaxy)を用いて、欠陥及びクラック(crack)が最小化され、結晶性に優れた窒化ガリウム(GaN)単結晶厚膜を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム単結晶厚膜は、窒化ガリウム基板のような同種単結晶基板上に成長されることもあるが、これまでは、例えば、サファイア基板、すなわちヘテロエピタキシャル成長のような異種単結晶基板上に成長させていた。ここで、内部応力は、異種単結晶基板と窒化ガリウム層との間の格子不整合によって接触面近くの窒化ガリウム層で発生する。例えば、サファイア基板と窒化ガリウムとの間の熱膨脹係数は、36%以上の差があり、格子不整合も16%程度の差を有する。多くの応力は、成長後の冷却時に接触面に蓄積されて、一定の厚さ以上に成長したときクラックが発生したりする。また、応力緩和のために、サファイアと窒化ガリウム接触面から転位(dislocation)が発生することとなる。このようにして発生した転位は、結晶の成長方向に伝播され、貫通転位は、成長表面まで伝播されて窒化物系半導体基板の結晶品質を悪くさせ、素子の電気特性を低下させる。
【0003】
このような問題点を解決するために、単結晶基板上に歪んだ緩衝層を成長させた後、窒化ガリウム単結晶厚膜を成長させる方法が主に使用されているが、このような異種緩衝の緩衝層法は、窒化ガリウム単結晶の成長時に、結晶格子の不一致をもたらすという側面から、長所より短所が多い。
【0004】
従って、結晶対の傷と転位を最小化させるために、エピタキシャル側面過成長(ELOG:epitaxial selective lateral overgrowth)技術(特許文献1)、PENDEOエピタキシー技術(特許文献2)、及び窒化ガリウムを横方向に成長させるFIELO(facet−initiated epitaxial lateral overgrowth)技術(非特許文献1)などに関する研究が進んでいる。前記の方法は、窒化ガリウム厚膜の後に、すなわち、サファイアまたはGaAsのような単結晶基板上にまず成長させる。窒化ガリウム厚膜は、マスク材料を用いてパターニングした後、露光及びエッチング工程を経てさらに成長させる。
【特許文献1】米国特許第6,051,849号公報
【特許文献2】米国特許第6,265,289号公報
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys.36,L899(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記の方法は、マスク領域の側面(横)方向に成長された領域では、低欠陥の窒化ガリウムを成長させることができるが、多くの転位は、マスクの間の領域に存在するので、基板全面に均一に分散している転位の表面を得ることは困難である。また、このような方法は、それぞれのマスクで成長する窒化ガリウム膜の不完全な併合のため、窒化ガリウム層の成長後、冷却過程で反りやクラックが発生してしまう。
【0006】
このことから、本発明者は鋭意研究した結果、基板上に窒化ガリウム単結晶厚膜を成長させる場合、成長温度によって成長速度と表面形状が変化することを見出し、成長温度による成長モードを2段階で調節することによって、窒化ガリウム単結晶厚膜の欠陥とクラックを最小化する方法を開発するに至った。
【0007】
従って、本発明の目的は、基板上で成長した成長速度と、窒化ガリウム単結晶厚膜の表面形態を成長の間制御することによって転位密度及びクラックの発生を最小化し、且つ結晶性に優れた良質の窒化ガリウム単結晶厚膜を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、HVPE反応槽内に単結晶基板を挿入すること、ガリウム(Ga)、塩化水素(HCl)ガス及びアンモニア(NH)ガスを供給して、基板上に窒化ガリウム(GaN)単結晶厚膜を成長させる製造方法であって、a)成長速度が膜表面上の反応速度によって決定される第1の温度(表面の速度領域)で第1の窒化ガリウム膜を成長させる工程と、b)成長速度が気相での物質の拡張によって決定される第2の温度(物質輸送領域)で前記第1のGaN膜上に第2のGaN膜を成長させる工程と、を備え、b)での成長温度は、a)での成長温度よりも高いことを特徴とする窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法によると、転位密度とクラックを緩和した優れた品質の窒化ガリウム単結晶膜厚を製造することができる。このようにして製造された窒化ガリウム単結晶厚膜は、電気または電子素子用基板として有用に使用されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の実施形態は、下記の実施形態に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
【0011】
本発明による窒化ガリウム単結晶厚膜を製造するためにハイドライド気相成長法(HVPE)を利用し、第1の窒化ガリウム膜層は、基板と窒化ガリウム膜との間の応力を緩和させるために、表面の速度支配の異種の単結晶基板を成長させる。鏡のような表面形態を有する第2の窒化ガリウム膜層は、さらに高い温度の物質輸送制御領域(mass transport−controlled regime)において、第1の窒化ガリウム層上で析出されることを特徴とする。
【0012】
このような本発明の技術は、基板の上に窒化ガリウム単結晶の表面形態と成長速度は成長温度により変化するという事実に基づいて考案されたものである。成長温度による成長速度の変化を示すグラフを図1に、図1に示すグラフのA、B及びC点における窒化ガリウムの表面形状を図2a、2b及び2cに、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)の写真として示す。図1において、黒丸からなるグラフは、原料としてのHClの供給量が300sccmの場合であり、白丸からなるグラフは、HClの供給量が400sccmの場合である。
【0013】
図1において、成長温度の増加と共に成長速度は徐々に増加し、最大成長速度を示す地点を過ぎた後に減少している。
【0014】
例えば、HClの供給量が300sccmの場合、930℃から最大成長速度を示す970℃までの温度範囲では、成長速度が持続的に増加する。この温度範囲において、窒化ガリウム表面形態は、窒化ガリウムの表面成長における原子の吸着(absorption)、拡散(diffusion)及び脱着(desorption)反応によって決定される。この温度領域を表面の速度支配領域(surface kinetics−controlled regime)という。この温度領域では、図2a(950℃、A点)に示されるように粗い表面形態を有する窒化ガリウム膜が得られる。成長表面の表面温度が、原料物質を過剰に供給しても、低温に制限されるからである。
【0015】
成長温度が増加すると共に原子の表面拡散能が増加し、荒い表面形状が徐々に滑らかになる。最大成長速度を示す970℃では、成長表面に供給される原料物質の析出速度は、窒化ガリウムの熱力学的不安定性による分解速度と両立し得る。
【0016】
最大成長速度を示す970℃から1040℃までの温度範囲では、熱力学的不安定性が増加して、分解速度が原料物質の析出速度より大きくなる。結果として、成長速度が減少する。境界層(boundary layer)を通しての気相における原料輸送(material transport)は、この温度範囲での律速段階となる。この温度領域を物質輸送制御領域(mass transport−controlled regime)という。この温度領域では、成長表面の熱エネルギーは、殆どの原子に起こる表面反応のために十分であり、分解は熱力学的不安定のために同時に起こる。したがって、図2b(B点、990℃)に示されているように、滑らかな表面形状を有する窒化ガリウム単結晶膜が生成される。この温度領域では、原料物質の量が変わっても、窒化ガリウム単結晶の表面形態の成長の変化はあまりない。
【0017】
ところが、成長温度がさらに増加すると、図2cに示されているように、C点(1050℃)は熱力学的不安定性のために分解した表面形態が明らかとなる。
【0018】
表面の速度領域(kinetics regime)により形成された第1の窒化ガリウム膜の粗い表面形態は、窒化ガリウム層と基板との間の緩和応力の役割を果たすこととなる。しかしながら、このような粗い形態は、結局のところ最終的に基板の品質を落とすため、物質輸送制御領域(mass transport−controlled regime)での成長温度を上昇させて側面成長を誘導し、欠陥を減少させ、表面形状を制御することによって滑らかな第2の窒化ガリウム膜と形成する。
【0019】
図1において、HClの供給量が400sccmの場合には、300sccmの場合より全体的に成長速度曲線が概して高温の方へ移動し、最大成長速度も増加した。これは、使用されるガリウム金属の量によって成長温度領域が変化され得ることを意味する。
【0020】
ガリウム源として、ガリウム金属と塩化水素ガスを使用し、窒素源としてアンモニアガスを用いる本発明のHVPEによると、表面の速度領域(kinetics regime)は、900ないし1000℃の温度範囲内で正確に選択される。物質輸送領域(mass transport regime)は、950ないし1070℃の温度範囲内で正確に選択される。いずれの場合でも、物質輸送領域(mass transport regime)、すなわち第2の成長温度は、物質輸送領域で選択された温度である。すなわち第2の成長温度は、第1の成長温度で選択された温度よりも高い。
【0021】
第1の成長温度と、第2の成長温度は、同一の成長速度であることが好ましい。それぞれの温度を決定する際には、まず、図1のような成長曲線を描き、物質輸送領域での第2の成長温度、すなわち、B点を選択し、これと同一の成長速度を示す温度、すなわち、A点を表面の速度領域から探して、第1の成長温度とする。
【0022】
また、第1の成長温度における成長時間または成長厚さは、第2の成長温度における成長時間または成長厚さよりも少ない。窒化ガリウム膜の厚さは、10ないし200μmの範囲である。
【0023】
本発明によると、HVPE反応槽内に窒化ガリウムを置き、温度範囲を600ないし900℃に保持しながら、反応槽内に塩化水素ガスを供給しながら塩化ガリウムガスを生成させ、もう一つの注入口を通してアンモニアガスを供給することによって、塩化ガリウムガスとアンモニアガスとの反応により生成させることができる。この時、塩化水素ガスとアンモニアガスの体積比は、約1:1から約1:20に調節することができ、ガリウムは、過量を使用する。
【0024】
本発明に使用可能な基板としては、サファイア、窒化ガリウム、シリコンカーバイド、シリコン(silicon)、亜鉛酸化物(zinc oxide)、アルミン酸リチウム(lithium aluminate)、リチウムガライト(lithium gallite)またはガリウムヒ素化物(gallium arsenide)などの基板を使用することができる。
【0025】
また、より良質の窒化ガリウム単結晶厚膜を成長させるために、基板を窒化処理した後に使用することが望ましい。本発明で使用する窒化処理方法は、米国特許第6,528,394号公報に開示されている方法であって、具体的には、930ないし1000℃の温度で、基板に対して、第1の窒化処理のためにアンモニアガスを供給し、第2の窒化処理のために再びアンモニアガスとHClガスの混合ガスとアンモニアガスを供給することによって行うことができる。
【0026】
本発明の方法の他の実施様態において、窒化ガリウム単結晶厚膜の成長時の時間による温度プロファイルを図3に示す。図3において、時間t1まで成長炉の温度をT1に昇温させ、この温度で時間t2まで基板の表面を窒化処理し、窒化処理された基板上に、時間t3まで第1の窒化ガリウム膜を成長させた後、時間t3で成長温度をT2に昇温して、時間t4まで第2の窒化ガリウム膜を成長させて時間t5まで冷却し、目的とする窒化ガリウム単結晶厚膜を得る。この時、総成長時間は、所望の窒化ガリウム厚膜の厚さによって変わる。
【0027】
本発明によると、応力緩和の效果によるクラック現象の減少及び成長モードの調節による欠陥密度の減少によって、基板上に、厚さ300μm以上及び直径50.8mm(2inch)以上の窒化ガリウム単結晶厚膜を成長させても、欠陥、反り及びクラックが発生せず、この窒化ガリウム単結晶厚膜は、無限大に成長可能である。良質の窒化ガリウム単結晶厚膜を、基板から、レーザー等を用いて分離し、通常の方法により一面または両面を研磨処理し、良質の窒化ガリウム単結晶の自立基板(freestanding plate)を得る。
【0028】
このような本発明の方法によって製造された窒化ガリウム単結晶の自立基板は、{0001}面または{11−20}面を有し、欠陥及びクラックが減少し、結晶性に優れていることから、様々な電気または電子半導体素子用基板として有用に使用されることができる。
【0029】
以下、本発明を下記の実施例に基づいて、より詳しく説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0030】
直径2インチのサファイア単結晶基板をHVPE反応槽に挿入させた後、約950℃の温度でアンモニアガスを流してサファイア単結晶基板を最初に窒化処理した。アンモニアと塩化水素との混合気体を使用して熱処理し、さらにアンモニアガスを再び流し続けることにより、第2の窒化処理をした。続いて、ガリウム容器にあるガリウムを過量に積載させ、温度を850℃に保持しながら、注入口を通して塩化水素(HCl)ガスを300sccmの速度でガリウム容器に供給し、塩化ガリウム(GaCl)気体を生成させた。もう一つの注入口を通してアンモニア(NH)ガスを供給し、約70μmの厚さを有する第1の窒化ガリウム膜を約950℃でGaClガスで反応させることにより窒化処理されたサファイア単結晶基板上に成長させた。この時、塩化水素ガス及びアンモニアガスの体積比を約1:5に調節した。形成された第1の窒化ガリウム膜の表面形状の写真を図2aに示す。表面が非常に荒い窒化ガリウム膜が形成されていることが分かる。
【0031】
目的とする窒化ガリウム単結晶厚膜は、第1の窒化ガリウム膜の成長が完了した後、直ちに反応槽の温度を約990℃に昇温して、第1の窒化ガリウム膜上に厚さ約350μmの第2の窒化ガリウム膜を成長させることによって得た。形成された第2の窒化ガリウム膜の表面形状の写真を図2bに示しているが、表面が非常に滑らかな窒化ガリウム膜が形成されていることが分かる。
【0032】
この方法で、フォトルミネセンスマッピング(photoluminescence mapping)による窒化ガリウム単結晶厚膜の転位密度は、約3.5×10/cmであり、X線回折(XRD)ロッキングカーブによる半値全幅(FWHM)値は、90arcsecであった。また、曲率半径は、約0.6mであって、従来の平均曲率半径の0.25mより反りが顕著に減少していることを確認し、表面や内部にクラックがないことから、第1の窒化ガリウム膜で応力がかなり緩和していることが分かる。
【実施例2】
【0033】
第1の窒化ガリウム膜を930℃で、第2の窒化ガリウム膜を1010℃で成長させたことを除き、前記実施例1と同様の方法により製造した。
【0034】
この方法で、フォトルミネセンスマッピング(photoluminescence mapping)による窒化ガリウム単結晶厚膜の転位密度は、約3×10/cmであり、X線回折(XRD)ロッキングカーブによる半値全幅(FWHM)値は、82arcsecであった。また、曲率半径は、約0.55mであって、従来の平均曲率半径の0.25mより反りが顕著に減少していることを確認し、表面や内部にクラックがないことから、第1の窒化ガリウム膜で応力がかなり緩和していることが分かる。
【実施例3】
【0035】
塩化水素(HCl)ガスを400sccmの速度で流したことを除き、前記実施例1と同様の方法によりHVPEを行い製造した。
【0036】
この方法で、フォトルミネセンスマッピング(photoluminescence mapping)による窒化ガリウム単結晶厚膜の転位密度は、約2.8×10/cmであり、X線回折(XRD)ロッキングカーブによる半値全幅(FWHM)値は、72arcsecであった。また、曲率半径は、約0.65mであって、従来の平均曲率半径の0.25mより反りが顕著に減少していることを確認し、表面や内部にクラックがないことから、第1の窒化ガリウム膜で応力がかなり緩和していることが分かる。
【実施例4】
【0037】
塩化水素(HCl)気体を400sccmの速度で流したことを除き、前記実施例2と同様の方法によりHVPEを行い製造した。
【0038】
この方法で、フォトルミネセンスマッピング(photoluminescence mapping)による窒化ガリウム単結晶厚膜の転位密度は、約3×10/cmであり、X線回折(XRD)ロッキングカーブによる半値全幅(FWHM)値は、74arcsecであった。また、曲率半径は、約0.58mであって、従来の平均曲率半径の0.25mより反りが顕著に減少していることを確認し、表面や内部にクラックがないことから、第1の窒化ガリウム膜で応力がかなり緩和していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】サファイア基板上に窒化ガリウム(GaN)単結晶を成長時、成長温度による成長速度の変化を示すグラフ(黒丸:HClの供給量が300sccmの場合、白丸:HClの供給量が400sccmの場合)である。
【図2a】図1に示されているグラフのA、B及びC点における窒化ガリウムの異なる温度による表面形状を示す走査電子顕微鏡(SEM)の写真である。
【図2b】図1に示されているグラフのA、B及びC点における窒化ガリウムの異なる温度による表面形状を示す走査電子顕微鏡(SEM)の写真である。
【図2c】図1に示されているグラフのA、B及びC点における窒化ガリウムの異なる温度による表面形状を示す走査電子顕微鏡(SEM)の写真である。
【図3】本発明の方法の一実施形態によって、窒化ガリウム単結晶厚膜成長時の時間による温度プロファイルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドライド気相成長(HVPE)反応槽内に基板を挿入し、ガリウム(Ga)、塩化水素(HCl)ガス及びアンモニア(NH)ガスを供給する工程を備える窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法において、
a)成長速度が膜表面上の反応速度によって決定される第1の温度(表面の速度領域)で第1の窒化ガリウム膜を成長させる工程と、
b)成長速度が気相での物質の拡張によって決定される第2の温度(物質輸送領域)で前記第1のGaN膜上に第2のGaN膜を成長させる工程と、を備え、
b)での成長温度は、a)での成長温度よりも高いことを特徴とする窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項2】
前記a)での前記成長速度は、前記第1の温度での温度の昇温次第で増加し、前記b)での前記成長速度は、前記第2の温度での温度の昇温次第で減少する請求項1に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項3】
前記第1の成長温度が、900ないし1000℃であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項4】
前記第2の成長温度が、950ないし1070℃であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項5】
前記第1および前記第2の成長温度が、同一の成長速度を示すことを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項6】
前記第1の窒化ガリウム膜の成長時間は、前記第2の窒化ガリウム膜の成長時間より少ないことを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項7】
前記第1の窒化ガリウムの膜厚が、10ないし200μmの範囲であることを特徴とする請求項6に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項8】
前記基板が、予め窒化処理されたことを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項9】
930ないし1000℃の温度で、アンモニアガスを供給して前記基板の第1の窒化処理をし、アンモニアと塩化水素との混合気体を供給し、さらにアンモニアガスを供給して第2の窒化処理をする請求項8に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項10】
塩化水素ガスとアンモニアガスとの体積比が、1:1ないし1:20であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10の何れか1項による方法から製造された窒化ガリウム単結晶厚膜。
【請求項12】
請求項11に記載の窒化ガリウム単結晶厚膜を基板と分離し、研磨処理して得られた窒化ガリウム単結晶独立(freestanding)基板。
【請求項13】
請求項12に記載の窒化ガリウム単結晶自立基板を含む半導体素子。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−137763(P2007−137763A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315832(P2006−315832)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(501379281)三星コーニング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】