経路計算装置
【課題】複数の目的地までの経路を走行する場合に、経路上に含まれる有料道路の通行料金の割引条件を考慮して、最も経済効果の大きい経路計算を行うことが可能な経路計算装置を提供する。
【解決手段】車両の現在位置から設定された目的地までの案内経路において、課金道路を複数回利用する案内経路が検索されたとき、予め記憶されたETC割引情報を用いて通行料金のETC割引額を課金道路の区間別に計算し、そのETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出し、その優先ETC利用区間を含む案内情報を出力する経路計算装置として提供可能である。
【解決手段】車両の現在位置から設定された目的地までの案内経路において、課金道路を複数回利用する案内経路が検索されたとき、予め記憶されたETC割引情報を用いて通行料金のETC割引額を課金道路の区間別に計算し、そのETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出し、その優先ETC利用区間を含む案内情報を出力する経路計算装置として提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて目的地までの経路を計算する経路計算装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示器上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示器や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
車載用ナビゲーション装置には、目的地までの経路を案内する他に、ユーザの利便性を向上するために様々な機能が含まれているものがある。例えば、検索条件に応じて出発地から目的地までの経路コストを計算し、最適経路を検索するとき、利用距離と利用料金に基づいて作成される経路コストを経路選択の指標とする車載用経路案内装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
近年、有料道路における料金所でのノンストップ化、渋滞緩和、キャッシュレス化、人的経費削減を目的として自動料金収受(Electronic Toll Collection:ETC)システムが実用化されている。このETCシステムは、車両に装着した車載器に契約情報などを記録したICカードを挿入し、有料道路の料金所のトールゲートに設置された路側機と車載器との間の無線通信により、通行料金などの情報を路側機に接続された有料道路のコンピュータシステムとICカードとの双方に記録して、料金所で料金支払いのために止まることなく通行することができるシステムである。
【0005】
このETCシステムの普及促進策として、特定の時間帯あるいは曜日にETC料金所を通行した場合に、通行料金を割り引くETC割引制度も導入されている(非特許文献1参照)。
【0006】
そこで、有料道路の通行料金割引時間帯を記憶しておき、その通行料金割引時間帯に車両が有料道路を通行するように経路誘導を行うことにより、目的地への車両の走行経路をコストミニマムで誘導することが可能な車載用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0007】
また、通行料金の割引が受けられる有料道路に関する情報を記憶しておくことで、検索した案内経路に通行料金の割引が受けられる有料道路が含むことが可能か否かを判断することができ、そのような有料道路が含まれる場合に、案内経路に通行料金の割引が受けられる旨を出力することで、ユーザが、目的地へ向かう際に有料道路の通行料金の割引を受けることが可能となるナビゲーション装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−303522号公報
【特許文献2】特開2001−041760号公報
【特許文献3】特開2005−077333号公報
【非特許文献1】ETC総合情報ポータルサイトの「割引情報」ページ(インターネットURL,http://www.go-etc.jp/waribiki/waribiki.html),検索日時:2006年9月6日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
高速道路あるいは有料道路(以降、課金道路と総称することもある)の通行料金割引においては、「その時間帯において1回の利用に限り割り引く」といったような、通行回数,通行時間帯,通行距離,等の通行条件が細かく設定されていることが多い。また、従来技術では、最初に利用する課金道路についてのみ割引条件を考慮して案内経路を検索するため、それ以降に利用する課金道路区間の方が割引効果が大きくても、検索結果には反映されず、その恩恵を受けることができない。よって、特許文献1の技術では、有料道路の走行経路によっては、最も経済的な経路が計算されないという問題がある。
【0010】
また、特許文献2,3の技術では、通行料金割引のための条件として通行回数,通行距離が考慮されておらず、必ずしも最も経済的な経路が計算されているとはいえない。
【0011】
上記問題を背景として、本発明の課題は、複数の目的地までの経路を走行する場合に、経路上に含まれる有料道路の通行料金の割引条件を考慮して、最も経済効果の大きい経路計算を行うことが可能な経路計算装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するための経路計算装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、該道路地図データ上にて、現在位置から設定された目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、道路地図データ上の課金道路におけるETC割引情報を記憶するETC割引情報記憶手段と、課金道路を複数回利用する案内経路が検索されたとき、ETC割引情報を用いて通行料金のETC割引額を課金道路の区間別に計算する割引額計算手段と、割引額が計算された課金道路の区間のうち、ETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出する優先ETC利用区間抽出手段と、抽出された優先ETC利用区間を含む案内情報を出力する案内情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によって、案内経路上で最も割引効果の大きい有料道路あるいは高速道路を通行するよう案内情報が出力される。本発明の構成では、課金道路の区間毎にETC割引額を計算し、そのETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出されるので、課金道路を利用する順序によらず、ユーザは常にETC割引額が最も大きくなる経路を走行することが可能となる。
【0014】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の抑制を促すETC利用抑制情報を、案内情報に含めた形で出力するように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、誤って優先ETC利用区間以外の割引率の低い、あるいは割り引きのない課金道路区間でETCを利用して、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けられなくなることを回避できる。
【0016】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、道路地図データ上にて、優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対応する、通行料金を必要としない代替一般道路区間を検索する代替一般道路検索手段を有し、該検索された代替一般道路区間を用いた経路案内情報を、ETC利用抑制情報として出力するように構成することもできる。
【0017】
上記構成によって、案内経路のうち、優先ETC利用区間以外は一般道路を走行するように経路案内を行えば、誤って優先ETC利用区間以外の割引率の低い、あるいは割り引きのない課金道路区間でETCを利用して、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けられなくなることを回避できる。
【0018】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、案内経路における、優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の回避を促す経路案内情報を、ETC利用抑制情報として出力するように構成することもできる。
【0019】
上記構成によって、ユーザがこの出力されたETC利用抑制情報によってETC利用を回避することができ、優先ETC利用区間以外の割引率の低い、あるいは割り引きのない課金道路区間でETCを利用して、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けられなくなることを回避できる。
【0020】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、現在位置が優先ETC利用区間以外の課金道路の料金所に近づいたときに、ETCを利用しないことを促す表示あるいは音声出力を行うように構成することもできる。
【0021】
上記構成によって、ユーザは確実にETC利用抑制情報を知ることができ、誤って料金所のETC対応ゲートを通行することを防ぐことが可能となる。
【0022】
また、本発明の経路計算装置における経路検索手段は、ETC割引情報に含まれる割引適用条件情報に基づいて、検索された案内経路に含まれる課金道路区間のうち、ETC割引適用となる上限通行距離を超える割引対象外課金道路区間を検索する割引対象外課金道路区間検索手段と、案内経路に含まれる優先ETC利用区間よりもETC割引額が大となる新たな割引対象区間を生ずるように、割引対象外課金道路区間を当該区間内に存在するインターチェンジにより分割する割引対象外課金道路区間分割手段とを含み、優先ETC利用区間抽出手段は、ETC割引額が大となる新たな割引対象区間を優先ETC利用区間として再設定する優先ETC利用区間再設定手段を含むように構成することもできる。
【0023】
例えば、割引条件に「通行距離が所定の距離を下回る」ことが含まれている場合、従来技術では、課金道路区間が所定の距離を上回っていれば、その区間は割引対象区間として検索されない。一方、上記構成では、課金道路区間が所定の距離を上回っていても、適宜区間分割を行うことで「通行距離が所定の距離を下回る」条件を満たすことができ、ETC割引の対象となることもある。また、最もETC割引額が大きくなるように区間分割を行うことで、ユーザは、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けることができる。
【0024】
また、本発明の経路計算装置は、目的地を複数設定するための目的地設定手段を有し、経路検索手段は、複数の目的地の到達順序が異なる複数の案内経路候補を検索するとともに、優先ETC利用区間抽出手段は、検索された各案内経路候補について優先ETC利用区間を決定するとともに、それら案内経路候補の各優先ETC利用区間のETC割引額を比較し、最もETC割引額が有利となる優先ETC利用区間を含んだ目的地到達順序に従う案内経路候補を、最終的な案内経路として決定する案内経路決定手段を含むように構成することもできる。
【0025】
複数の目的地が設定される場合、目的地の到達順序に制約のないこともある。上記構成によって、目的地の到達順序を変えることで、ETC割引額が最も大きくなる案内経路を検索することが可能となる。
【0026】
また、本発明の経路計算装置における目的地設定手段は、目的地到達順序をユーザが設定入力するための目的地到達順序設定入力手段を含み、案内経路決定手段は、設定入力された目的地到達順序に従うユーザ希望案内経路候補について優先ETC利用区間を決定した後、当該ユーザ希望案内経路候補に対し目的地到達順序を入れ替えて得られる代替案内経路候補を検索し、該代替案内経路候補について前期優先ETC利用区間を決定するとともに、当該代替案内経路候補のETC割引額がユーザ希望案内経路候補のETC割引額よりも有利な場合に、該代替案内経路候補をユーザに提案出力する代替案内経路候補提案出力手段と、ユーザ希望案内経路候補と代替案内経路候補とのいずれかを最終的な案内経路としてユーザに選択入力させるための案内経路選択入力手段と、該案内経路選択入力手段の入力結果に基づいて、最終的な案内経路を決定する案内経路決定手段と、を含むように構成することもできる。
【0027】
上記構成によって、ユーザの意向を尊重した上で代替案内経路候補を検索・提案出力するので、ユーザが案内経路検索の結果に対して混乱したり不快感を持つことはない。また、ユーザの選択の余地が残っているので、ユーザの好みや、走行時の状況に応じて経済的な案内経路を選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の経路計算装置を車載用ナビゲーション装置の機能の一部として構成した例を、図面を参照しながら説明する。無論、経路計算装置として独立した構成としてもよいし、他の車載機器の一部として構成としてもよい。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0029】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0030】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0031】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら本発明の目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段に相当する、操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0032】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0033】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0034】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0035】
なお、制御回路8が本発明の経路検索手段,割引額計算手段,優先ETC利用区間抽出手段,代替一般道路検索手段,割引対象外課金道路区間検索手段,優先ETC利用区間再設定手段,割引対象外課金道路区間分割手段,案内経路決定手段に相当する。
【0036】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0037】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0038】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。取得された日時情報は、例えば走行履歴管理に用いられる。
【0039】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、幅員、車線数、制限速度等がリンク属性に含まれる。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク、距離コスト等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の道路地図データ記憶手段に相当する。
【0040】
HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。なお、データベース21dが本発明のETC割引情報記憶手段に相当する。
【0041】
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、通信ユニット25(後述)を用い、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0042】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0043】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段に相当する。
【0044】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。なお、スピーカ15が本発明の案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段に相当する。
【0045】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0046】
通信ユニット25は周知の無線通信機として構成され、外部ネットワークとのデータ通信を行うために用いられる。また、通信ユニット25を携帯電話機等の携帯通信端末(図示せず)を接続してデータ通信を行うための、携帯通信端末と制御回路8との間のインターフェース回路として構成してもよい。
【0047】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0048】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0049】
すなわち、まず、ユーザは目的地を検索する。目的地の検索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から検索する方法,目的地の電話番号から検索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して検索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから検索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの出力を行う。
【0050】
図2を用いて経路計算処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、上述のように目的地までの案内経路を検索する(S10)。検索された案内経路が高速道路あるいは有料道路(本発明の課金道路)を利用する場合(S11:Yes)、ETC割引の適用回数内かどうか、すなわち案内経路に含まれる高速道路あるいは有料道路がETC割引の対象に該当するかどうかを調べる。
【0051】
図3および図4に、主要道路会社のETC割引内容の抜粋を示す。これは、ETC総合情報ポータルサイトの「ETC割引等早見表」ページ(インターネットURL,http://www.go-etc.jp/waribiki/waribiki23.html,検索日時:2006年9月6日)に記載されている。例えば図3中の「通勤割引」は、図示はされてはいないが、適用回数は朝夕それぞれ1回で通行距離は100km以内という通行回数条件や通行距離条件もある。「深夜割引」や「早朝夜間割引」にも通行回数条件や通行距離条件がある。
【0052】
上記ETC割引内容は、ETC割引情報としてデータベース21dに記憶されている。また、このETC割引情報は、ユーザの操作スイッチ群7等の入力操作により更新可能である。また、通信ユニット25を介して、外部ネットワーク経由でWEBサーバ等からダウンロードすることも可能である。
【0053】
高速道路あるいは有料道路がETC割引の対象に該当しない場合(S12:No)、上記ステップS10で検索された案内経路を最適経路として表示器10に表示する(S14)。
【0054】
一方、ETC割引の対象に該当する場合(S12:Yes)、上記ステップS10で検索された案内経路において、高速道路あるいは有料道路を複数回使用するかを調べる。複数回使用しない場合(S13:No)は、上記ステップS10で検索された案内経路を最適経路として表示器10に表示する(S14)。
【0055】
一方、高速道路あるいは有料道路を複数回使用する場合(S13:Yes)は、目的地が複数箇所あるかどうかを調べる。目的地が複数箇所ない場合(S15:No)、各道路の通行料金を調べ、ETC割引情報を参照して、ETC割引の適用対象となる道路区間が存在すれば、通行料金のETC割引額を計算する(S16)。
【0056】
高速道路あるいは有料道路の通行料金データは、地図データ21mあるいはデータベース21dに記憶されている(図示せず)ので、これを参照する。また、インターネット上の通行料金検索サイトにアクセスして通行料金データを調べてもよい。
【0057】
そして、計算されたETC割引適用時の通行料金のうちで、通行料金のETC割引額が最大となる道路区間を判断する(S17)。
【0058】
次に、検索された高速道路あるいは有料道路において、出入りする料金所を変更することで、ETC割引料金がさらに大きくなるかどうかを調べ、ETC割引料金がさらに大きくなる場合は、高速道路あるいは有料道路の利用区間(出入りする料金所)を変更する(S18,詳細は後述)。
【0059】
次に、上記で決定された使用する高速道路あるいは有料道路において、通行料金の支払方法を判断する(S19)。例えば、2つの高速道路を通行する案内経路で、この2つの高速道路で同種のETC割引サービスが受けられる場合、ETC割引料金がより大きい高速道路(優先ETC利用区間)を、ETCを利用して通行し、他方の高速道路はETCを利用しない、現金支払いにより通行するように判断する。あるいは、ETCを利用しない高速道路については、代替案として一般道を走行するような経路を検索する。
【0060】
次に、時計IC88から日時データを取得し、ETC割引情報を参照して、該当するETC割引内容の対象時間帯を調べ、当該ETC割引の条件を満たすように優先ETC利用区間を通行するための、出発地における出発時間を判定する(S20)。優先ETC利用区間までの予想所要時間は、地図データ21mから出発地から当該優先ETC利用区間までの距離を求め、例えば、一般道は40km/h,高速道路は80km/hのような見なし速度で距離を割ったもので推定する。そして、優先ETC利用区間までの予想所要時間とETC割引内容の対象時間帯とから、出発地における出発時間を判定することができる。また、通行日時(時間帯)が別途指定される場合は、その日時を基に判定する。
【0061】
そして、検索された案内経路と、その案内経路における優先ETC利用区間と、この出発地の出発時間を案内情報として、この案内情報を表示器10等に出力する(S14)。
【0062】
一方、目的地が複数箇所あるが(S15:Yes)、目的地到達順序の入れ替えが許可されていない場合(S21:No)、上述のステップS16〜S20の処理を実行する。なお、目的地到達順序の入れ替えを許可するかどうかは、ユーザが案内経路を検索する際に選択する。
【0063】
目的地到達順序の入れ替えが許可されている場合(S21:Yes)、目的地到達順序を入れ替えた状態で案内経路を検索し、その案内経路にしたがって高速道路あるいは有料道路の通行料金のETC割引額を計算し(S22)、ETC割引額が最大となる道路を判断する(S23)。ステップS22における計算方法はステップS16と同様である。
【0064】
そして、上記で計算されたETC割引額から、ETC割引額が最大となる目的地到達順序を判断する(S24)。この後、上述のステップS19以降の処理を実行する。
【0065】
図5〜図8を用いて、図2の経路計算処理の一例を説明する。図5の例では、目的地G1,G2,G3の3箇所(複数)あり、到達順序は目的地G1,G2,G3の順で、到達順序の入れ替えは許可されていない。そして、出発地S〜目的地G1,目的地G1〜目的地G2,目的地G2〜目的地G3の全ての経路において、高速道路を利用する案内経路が検索されている。このとき、従来技術では一番初めに利用する高速道路、すなわち出発地S〜目的地G1間においてETC割引が適用されてしまうが、本発明では、目的地G1〜目的地G2間の方がETC割引額が大きい場合は、目的地G1〜目的地G2間を優先ETC利用区間とし、その他の出発地S〜目的地G1間,目的地G2〜目的地G3間では、一般道優先または、現金による有料道路あるいは高速道路の使用を行う経路となるような経路計算を実施する。
【0066】
この結果、図5の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、優先ETC利用区間である目的地G1〜目的地G2間ではETCを利用する旨の情報が、また、出発地S〜目的地G1間,目的地G2〜目的地G3間では検索された代替一般道路区間を通行するか、当該課金道路区間ではETC利用の回避を促す経路案内情報(ETC利用抑制情報)を含む案内情報が出力される。また、案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0067】
図9,図10に、図5における経路計算結果の一例を示す。図9はETC割引が適用可能かどうかを示したものである。この情報は、データベース21dあるいはメモリ9に例えばフラグ情報として記憶され、例えば、深夜割引,早朝夜間割引,通勤割引等の割引種別毎にフラグ領域が確保されている。これら割引サービスを利用したかどうかは、ナビゲーション装置に記憶される走行履歴から判断できる。走行履歴には走行時刻と走行経路が含まれているので、高速道路あるいは有料道路を通行した場合は、出入り口の通過時刻や走行距離を求めることができる。この通過時刻,走行距離とETC割引内容(図3,図4参照)とから割引サービスを利用したかを判断する。
【0068】
図9の例では、当該ETC割引は利用可能な状態にあるかどうかが記憶されるとともに、既に当該ETC割引が利用されている場合は、経路計算時あるいはETC割引内容参照時に、次に利用可能となる時間帯までの残り時間が算出される。
【0069】
図10に、検索された案内経路に対して、図2の経路計算処理(ステップS16〜S20)により算出された案内情報の例を示す。まず、ETC割引を全く利用しない通行料金が計算される(「経路1(割引無し)」)。次に、ETC割引内容を参照して、より経済的な経路が計算される。「経路2(通常)」の場合は、出発地S〜目的地G1間の高速道路でETC割引を利用するものであるが、ETC割引条件によって出発地における出発時間が9:00〜11:00という制約がある。また、「経路2(経済的)」の場合は、出発地S〜目的地G1間の高速道路は現金で利用し、目的地G1〜目的地G2間の高速道路でETC割引を利用するもので、最も経済的あるが、ETC割引条件によって出発地における出発時間が11:00〜15:00という制約がある。
【0070】
図10の案内情報は、表示器10あるいはスピーカ15により、一括あるいは個別に出力される。この場合、出発時刻や区間毎の予想通行時刻が推定できる場合は、推定された時刻に受けることが可能なETC割引サービスを含む案内経路のみを出力してもよい。また、図10の案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0071】
また、図10の内容を表示器10に一括表示する場合には、操作スイッチ群7等の操作により、その表示内容から所望のルートを選択することができる。そして、選択されたルートに基づいて経路案内が行われる。
【0072】
図6の例では、目的地はGの1箇所で、出発地S〜目的地Gまでは、料金所を挟んで接続される2つの高速道路(A高速,B高速)を利用する案内経路が検索されている。このとき、従来技術では一番初めに通行するA高速においてETC割引が適用されてしまうが、本発明では、B高速の方がETC割引額が大きい場合は、B高速を優先ETC利用区間とし、A高速では現金による通行料金の支払いを行うか、代替一般道路を検索する。
【0073】
この結果、図6の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、優先ETC利用区間であるB高速ではETCを利用する旨の情報が、また、A高速ではETC利用の回避を促すETC利用抑制情報、あるいは検索されたA高速の代替一般道路を通行する旨の経路案内情報を含む案内情報が出力される。また、上記と同様に、案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0074】
図7の例では、目的地はGの1箇所で、出発地S〜目的地Gまでは、料金所を挟んで接続される2つの高速道路(A高速,B高速)を利用する案内経路が検索されている。このとき、従来技術では一番初めの経路すなわちA高速においてETC割引が適用されてしまうが、本発明では、出発地Sから料金所までの距離あるいは通行時間が所定値を下回る場合、あるいは、A高速を通行する距離が短くA高速を利用する(例えば時間的な)効果が小さい場合には、A高速を利用せず出発地から料金所へ直行する経路が検索される。そして、ETC割引額が大きいB高速を優先ETC利用区間とする。
【0075】
この結果、図7の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、A高速とB高速を接続する料金所へ直行し、優先ETC利用区間であるB高速ではETCを利用する旨の案内情報が出力される。また、上記と同様に、案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0076】
図8の例では、目的地はGの1箇所で、出発地S〜目的地Gまでは、高速道路であるA高速を利用する案内経路が検索されている。また、A高速における通行距離がETCの割引適用条件を超える割引対象外課金道路区間となっている。この場合、従来技術ではETC割引が適用されない情報(ETC割引額が0円の情報)が出力される。一方、本発明では、地図データ21mを参照して、A高速にあるインターチェンジと出発地Sあるいは目的地Gの最寄りのインターチェンジとの距離を算出し、その距離がETC割引適用となる上限通行距離に最も近い通行区間(新たな割引対象区間)を生ずるように通行区間をA1,A2のように分割する。そして、例えば、通行区間A1を優先ETC利用区間とする。
【0077】
この結果、図8の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、A高速を利用する際には、ETC利用状態でインターチェンジICにおいて一旦A高速を出て、同じインターチェンジICから再度A高速に入る旨の案内情報が出力される。
【0078】
図5〜図8のそれぞれの例において、表示器10の表示画面上には図5〜図8と同様の内容が表示され、ユーザに最適な経路を案内する。
【0079】
図2のステップS18では、目的地の間の課金道路毎に上述のような区間分割処理を行って、新たな優先ETC利用区間を検索している。また、図5〜図7においても、区間分割処理を行ってもよい。
【0080】
また、図2のステップS13の条件判断において、複数の高速道路あるいは有料道路を利用しない場合(S13:No)においても、図8のような区間分割処理を行ってもよい。すなわち、ステップS13でNoと判断された後に、ステップS18〜S20を実行する。
【0081】
図11〜図13の表示器10における表示画面例を用いて、目的地の到達順序を入れ替えが可能な場合(図2のS21:Yesに相当)の経路計算について説明する。まず、上述のように、出発地および目的地を指定して案内経路を検索する。図11では出発地S、目的地はG1,G2,G3で表されている。このとき、目的地の到達順序はG1,G2,G3の順で、これはユーザによって設定されている。目的地の到達順序の変更は、ナビゲーション装置の周知の機能である。
【0082】
出発日時が現在ではない場合は、図11で[日時]ボタンを押下すると、図示しない出発日時設定画面が表示されるので、表示にしたがって出発日時を設定する。
【0083】
図11で[検索]ボタンを押下すると、図12のように案内経路が表示される。図12の例では、出発地S〜目的地G1間は高速道路利用,目的地G1〜目的地G2間は一般道路利用,目的地G2〜目的地G3間は一般道路利用となり、出発日時は現在時刻相当であって、高速道路では通勤割引が適用されて通常よりも800円安くなっている。
【0084】
ユーザが図12の案内経路検索結果では満足できない場合には、図12で[はい]ボタンをクリックすると、目的地G1,G2,G3の到達順序を入れ替えて案内経路検索が行われる。その一例を図13に示す。図13では、目的地の到達順序はG3,G1,G2で、出発地S〜目的地G3間は高速道路利用,目的地G3〜目的地G1間は一般道路利用,目的地G1〜目的地G2間は一般道路利用となっていて、高速道路では通勤割引が適用されて通常よりも1000円安くなっている。これは、図12の例よりも通行料金がさらに安くなっている。
【0085】
ユーザが図12の案内経路検索結果で[いいえ]ボタンをクリックすると、この検索された案内経路に基づいて経路案内が行われる。
【0086】
一方、ユーザが図13の案内経路検索結果でも満足できない場合には、図13で[次のルート]ボタンをクリックすると、目的地G1,G2,G3の到達順序を入れ替えて再び案内経路検索が行われる。また、表示された案内経路で経路案内を行う場合には、[決定]ボタンを押下する。
【0087】
ユーザが図12の案内経路検索結果では満足できない場合に、図12で[はい]ボタンをクリックしたとき、目的地G1,G2,G3を入れ替えた全ての案内経路についてETC割引額を求め、最もETC割引額の大きい案内経路を表示器10に表示する構成としてもよい。
【0088】
図14〜図19を用いて、経路案内時に優先ETC利用区間あるいは優先ETC利用区間以外の課金道路区間を通行する際の案内情報を、表示器10における表示例を挙げて説明する。図14は、入口料金所を通行する際の案内情報出力例である。まず、位置検出器1から車両の現在位置を取得する(S31)。車両の現在位置と案内経路上の課金道路(高速道路あるいは有料道路)の入口料金所との距離が所定の値となり、車両が入口料金所に接近したと判定された場合(S32:Yes)、その料金所から先の課金道路が優先ETC利用区間であるかを調べる。
【0089】
その料金所から先の、車両が進入しようとしている課金道路が優先ETC利用区間である場合(S33:Yes)、ETCゲートを通行するように案内を行う(S34)。図16に表示画面例を示す。スピーカ15から音声メッセージを送出してもよい。一方、車両が進入しようとしている課金道路が優先ETC利用区間でない場合(S33:No)、ETC専用ゲートでない有人ゲート(一般ゲート)を通行するように案内を行う(S35)。図17に表示画面例を示す。
【0090】
図15は、出口料金所を通行する際の案内情報出力例である。まず、位置検出器1から車両の現在位置を取得する(S51)。車両の現在位置と案内経路上の課金道路(高速道路あるいは有料道路)の出口料金所との距離が所定の値となり、車両が出口料金所に接近したと判定された場合(S52:Yes)、現在走行中の課金道路が優先ETC利用区間であるかを調べる。
【0091】
現在走行中の課金道路が優先ETC利用区間である場合(S53:Yes)、ETCゲートを通行するように案内を行う(S54)。図18に表示画面例を示す。スピーカ15から音声メッセージを送出してもよい。一方、現在走行中の課金道路が優先ETC利用区間でない場合(S53:No)、ETC専用ゲートでない有人ゲート(一般ゲート)を通行するように案内を行う(S55)。図19に表示画面例を示す。
【0092】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】経路計算処理を説明するフロー図。
【図3】主要道路会社のETC割引内容の抜粋を示す図。
【図4】図3に続く、主要道路会社のETC割引内容の抜粋を示す図。
【図5】経路計算の例を示す図。
【図6】経路計算の別例を示す図。
【図7】経路計算のさらに別例を示す図。
【図8】経路計算における区間分割の例を示す図。
【図9】ETC割引適用可能状況の例を示す図。
【図10】経路計算結果の例を示す図。
【図11】目的地が複数ある場合の経路計算を説明する図。
【図12】図11に続く、目的地が複数ある場合の経路計算を説明する図。
【図13】図12に続く、目的地が複数ある場合の経路計算を説明する図。
【図14】入口料金所を通行する際の案内情報出力を説明するフロー図。
【図15】出口料金所を通行する際の案内情報出力を説明するフロー図。
【図16】入口料金所を通行する際の案内情報出力例を示す図。
【図17】入口料金所を通行する際の案内情報出力の別例を示す図。
【図18】出口料金所を通行する際の案内情報出力例を示す図。
【図19】出口料金所を通行する際の案内情報出力の別例を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
8 制御回路(経路検索手段,割引額計算手段,優先ETC利用区間抽出手段,代替一般道路検索手段,割引対象外課金道路区間検索手段,優先ETC利用区間再設定手段,割引対象外課金道路区間分割手段,案内経路決定手段)
10 表示器(案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段)
12 リモコン端末(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
15 スピーカ(案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(ETC割引情報記憶手段)
21m 地図データ(道路地図データ記憶手段)
22 タッチパネル(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
23 車速センサ
24 音声合成回路
30 音声認識ユニット
31 マイク(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
100 車載用ナビゲーション装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて目的地までの経路を計算する経路計算装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示器上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示器や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
車載用ナビゲーション装置には、目的地までの経路を案内する他に、ユーザの利便性を向上するために様々な機能が含まれているものがある。例えば、検索条件に応じて出発地から目的地までの経路コストを計算し、最適経路を検索するとき、利用距離と利用料金に基づいて作成される経路コストを経路選択の指標とする車載用経路案内装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
近年、有料道路における料金所でのノンストップ化、渋滞緩和、キャッシュレス化、人的経費削減を目的として自動料金収受(Electronic Toll Collection:ETC)システムが実用化されている。このETCシステムは、車両に装着した車載器に契約情報などを記録したICカードを挿入し、有料道路の料金所のトールゲートに設置された路側機と車載器との間の無線通信により、通行料金などの情報を路側機に接続された有料道路のコンピュータシステムとICカードとの双方に記録して、料金所で料金支払いのために止まることなく通行することができるシステムである。
【0005】
このETCシステムの普及促進策として、特定の時間帯あるいは曜日にETC料金所を通行した場合に、通行料金を割り引くETC割引制度も導入されている(非特許文献1参照)。
【0006】
そこで、有料道路の通行料金割引時間帯を記憶しておき、その通行料金割引時間帯に車両が有料道路を通行するように経路誘導を行うことにより、目的地への車両の走行経路をコストミニマムで誘導することが可能な車載用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0007】
また、通行料金の割引が受けられる有料道路に関する情報を記憶しておくことで、検索した案内経路に通行料金の割引が受けられる有料道路が含むことが可能か否かを判断することができ、そのような有料道路が含まれる場合に、案内経路に通行料金の割引が受けられる旨を出力することで、ユーザが、目的地へ向かう際に有料道路の通行料金の割引を受けることが可能となるナビゲーション装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−303522号公報
【特許文献2】特開2001−041760号公報
【特許文献3】特開2005−077333号公報
【非特許文献1】ETC総合情報ポータルサイトの「割引情報」ページ(インターネットURL,http://www.go-etc.jp/waribiki/waribiki.html),検索日時:2006年9月6日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
高速道路あるいは有料道路(以降、課金道路と総称することもある)の通行料金割引においては、「その時間帯において1回の利用に限り割り引く」といったような、通行回数,通行時間帯,通行距離,等の通行条件が細かく設定されていることが多い。また、従来技術では、最初に利用する課金道路についてのみ割引条件を考慮して案内経路を検索するため、それ以降に利用する課金道路区間の方が割引効果が大きくても、検索結果には反映されず、その恩恵を受けることができない。よって、特許文献1の技術では、有料道路の走行経路によっては、最も経済的な経路が計算されないという問題がある。
【0010】
また、特許文献2,3の技術では、通行料金割引のための条件として通行回数,通行距離が考慮されておらず、必ずしも最も経済的な経路が計算されているとはいえない。
【0011】
上記問題を背景として、本発明の課題は、複数の目的地までの経路を走行する場合に、経路上に含まれる有料道路の通行料金の割引条件を考慮して、最も経済効果の大きい経路計算を行うことが可能な経路計算装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するための経路計算装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、該道路地図データ上にて、現在位置から設定された目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、道路地図データ上の課金道路におけるETC割引情報を記憶するETC割引情報記憶手段と、課金道路を複数回利用する案内経路が検索されたとき、ETC割引情報を用いて通行料金のETC割引額を課金道路の区間別に計算する割引額計算手段と、割引額が計算された課金道路の区間のうち、ETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出する優先ETC利用区間抽出手段と、抽出された優先ETC利用区間を含む案内情報を出力する案内情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によって、案内経路上で最も割引効果の大きい有料道路あるいは高速道路を通行するよう案内情報が出力される。本発明の構成では、課金道路の区間毎にETC割引額を計算し、そのETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出されるので、課金道路を利用する順序によらず、ユーザは常にETC割引額が最も大きくなる経路を走行することが可能となる。
【0014】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の抑制を促すETC利用抑制情報を、案内情報に含めた形で出力するように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、誤って優先ETC利用区間以外の割引率の低い、あるいは割り引きのない課金道路区間でETCを利用して、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けられなくなることを回避できる。
【0016】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、道路地図データ上にて、優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対応する、通行料金を必要としない代替一般道路区間を検索する代替一般道路検索手段を有し、該検索された代替一般道路区間を用いた経路案内情報を、ETC利用抑制情報として出力するように構成することもできる。
【0017】
上記構成によって、案内経路のうち、優先ETC利用区間以外は一般道路を走行するように経路案内を行えば、誤って優先ETC利用区間以外の割引率の低い、あるいは割り引きのない課金道路区間でETCを利用して、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けられなくなることを回避できる。
【0018】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、案内経路における、優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の回避を促す経路案内情報を、ETC利用抑制情報として出力するように構成することもできる。
【0019】
上記構成によって、ユーザがこの出力されたETC利用抑制情報によってETC利用を回避することができ、優先ETC利用区間以外の割引率の低い、あるいは割り引きのない課金道路区間でETCを利用して、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けられなくなることを回避できる。
【0020】
また、本発明の経路計算装置における案内情報出力手段は、現在位置が優先ETC利用区間以外の課金道路の料金所に近づいたときに、ETCを利用しないことを促す表示あるいは音声出力を行うように構成することもできる。
【0021】
上記構成によって、ユーザは確実にETC利用抑制情報を知ることができ、誤って料金所のETC対応ゲートを通行することを防ぐことが可能となる。
【0022】
また、本発明の経路計算装置における経路検索手段は、ETC割引情報に含まれる割引適用条件情報に基づいて、検索された案内経路に含まれる課金道路区間のうち、ETC割引適用となる上限通行距離を超える割引対象外課金道路区間を検索する割引対象外課金道路区間検索手段と、案内経路に含まれる優先ETC利用区間よりもETC割引額が大となる新たな割引対象区間を生ずるように、割引対象外課金道路区間を当該区間内に存在するインターチェンジにより分割する割引対象外課金道路区間分割手段とを含み、優先ETC利用区間抽出手段は、ETC割引額が大となる新たな割引対象区間を優先ETC利用区間として再設定する優先ETC利用区間再設定手段を含むように構成することもできる。
【0023】
例えば、割引条件に「通行距離が所定の距離を下回る」ことが含まれている場合、従来技術では、課金道路区間が所定の距離を上回っていれば、その区間は割引対象区間として検索されない。一方、上記構成では、課金道路区間が所定の距離を上回っていても、適宜区間分割を行うことで「通行距離が所定の距離を下回る」条件を満たすことができ、ETC割引の対象となることもある。また、最もETC割引額が大きくなるように区間分割を行うことで、ユーザは、最も有利となるETC割引額の恩恵を受けることができる。
【0024】
また、本発明の経路計算装置は、目的地を複数設定するための目的地設定手段を有し、経路検索手段は、複数の目的地の到達順序が異なる複数の案内経路候補を検索するとともに、優先ETC利用区間抽出手段は、検索された各案内経路候補について優先ETC利用区間を決定するとともに、それら案内経路候補の各優先ETC利用区間のETC割引額を比較し、最もETC割引額が有利となる優先ETC利用区間を含んだ目的地到達順序に従う案内経路候補を、最終的な案内経路として決定する案内経路決定手段を含むように構成することもできる。
【0025】
複数の目的地が設定される場合、目的地の到達順序に制約のないこともある。上記構成によって、目的地の到達順序を変えることで、ETC割引額が最も大きくなる案内経路を検索することが可能となる。
【0026】
また、本発明の経路計算装置における目的地設定手段は、目的地到達順序をユーザが設定入力するための目的地到達順序設定入力手段を含み、案内経路決定手段は、設定入力された目的地到達順序に従うユーザ希望案内経路候補について優先ETC利用区間を決定した後、当該ユーザ希望案内経路候補に対し目的地到達順序を入れ替えて得られる代替案内経路候補を検索し、該代替案内経路候補について前期優先ETC利用区間を決定するとともに、当該代替案内経路候補のETC割引額がユーザ希望案内経路候補のETC割引額よりも有利な場合に、該代替案内経路候補をユーザに提案出力する代替案内経路候補提案出力手段と、ユーザ希望案内経路候補と代替案内経路候補とのいずれかを最終的な案内経路としてユーザに選択入力させるための案内経路選択入力手段と、該案内経路選択入力手段の入力結果に基づいて、最終的な案内経路を決定する案内経路決定手段と、を含むように構成することもできる。
【0027】
上記構成によって、ユーザの意向を尊重した上で代替案内経路候補を検索・提案出力するので、ユーザが案内経路検索の結果に対して混乱したり不快感を持つことはない。また、ユーザの選択の余地が残っているので、ユーザの好みや、走行時の状況に応じて経済的な案内経路を選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の経路計算装置を車載用ナビゲーション装置の機能の一部として構成した例を、図面を参照しながら説明する。無論、経路計算装置として独立した構成としてもよいし、他の車載機器の一部として構成としてもよい。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0029】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0030】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0031】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら本発明の目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段に相当する、操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0032】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0033】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0034】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0035】
なお、制御回路8が本発明の経路検索手段,割引額計算手段,優先ETC利用区間抽出手段,代替一般道路検索手段,割引対象外課金道路区間検索手段,優先ETC利用区間再設定手段,割引対象外課金道路区間分割手段,案内経路決定手段に相当する。
【0036】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0037】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0038】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。取得された日時情報は、例えば走行履歴管理に用いられる。
【0039】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、幅員、車線数、制限速度等がリンク属性に含まれる。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク、距離コスト等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の道路地図データ記憶手段に相当する。
【0040】
HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。なお、データベース21dが本発明のETC割引情報記憶手段に相当する。
【0041】
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、通信ユニット25(後述)を用い、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0042】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0043】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段に相当する。
【0044】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。なお、スピーカ15が本発明の案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段に相当する。
【0045】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0046】
通信ユニット25は周知の無線通信機として構成され、外部ネットワークとのデータ通信を行うために用いられる。また、通信ユニット25を携帯電話機等の携帯通信端末(図示せず)を接続してデータ通信を行うための、携帯通信端末と制御回路8との間のインターフェース回路として構成してもよい。
【0047】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0048】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0049】
すなわち、まず、ユーザは目的地を検索する。目的地の検索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から検索する方法,目的地の電話番号から検索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して検索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから検索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの出力を行う。
【0050】
図2を用いて経路計算処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、上述のように目的地までの案内経路を検索する(S10)。検索された案内経路が高速道路あるいは有料道路(本発明の課金道路)を利用する場合(S11:Yes)、ETC割引の適用回数内かどうか、すなわち案内経路に含まれる高速道路あるいは有料道路がETC割引の対象に該当するかどうかを調べる。
【0051】
図3および図4に、主要道路会社のETC割引内容の抜粋を示す。これは、ETC総合情報ポータルサイトの「ETC割引等早見表」ページ(インターネットURL,http://www.go-etc.jp/waribiki/waribiki23.html,検索日時:2006年9月6日)に記載されている。例えば図3中の「通勤割引」は、図示はされてはいないが、適用回数は朝夕それぞれ1回で通行距離は100km以内という通行回数条件や通行距離条件もある。「深夜割引」や「早朝夜間割引」にも通行回数条件や通行距離条件がある。
【0052】
上記ETC割引内容は、ETC割引情報としてデータベース21dに記憶されている。また、このETC割引情報は、ユーザの操作スイッチ群7等の入力操作により更新可能である。また、通信ユニット25を介して、外部ネットワーク経由でWEBサーバ等からダウンロードすることも可能である。
【0053】
高速道路あるいは有料道路がETC割引の対象に該当しない場合(S12:No)、上記ステップS10で検索された案内経路を最適経路として表示器10に表示する(S14)。
【0054】
一方、ETC割引の対象に該当する場合(S12:Yes)、上記ステップS10で検索された案内経路において、高速道路あるいは有料道路を複数回使用するかを調べる。複数回使用しない場合(S13:No)は、上記ステップS10で検索された案内経路を最適経路として表示器10に表示する(S14)。
【0055】
一方、高速道路あるいは有料道路を複数回使用する場合(S13:Yes)は、目的地が複数箇所あるかどうかを調べる。目的地が複数箇所ない場合(S15:No)、各道路の通行料金を調べ、ETC割引情報を参照して、ETC割引の適用対象となる道路区間が存在すれば、通行料金のETC割引額を計算する(S16)。
【0056】
高速道路あるいは有料道路の通行料金データは、地図データ21mあるいはデータベース21dに記憶されている(図示せず)ので、これを参照する。また、インターネット上の通行料金検索サイトにアクセスして通行料金データを調べてもよい。
【0057】
そして、計算されたETC割引適用時の通行料金のうちで、通行料金のETC割引額が最大となる道路区間を判断する(S17)。
【0058】
次に、検索された高速道路あるいは有料道路において、出入りする料金所を変更することで、ETC割引料金がさらに大きくなるかどうかを調べ、ETC割引料金がさらに大きくなる場合は、高速道路あるいは有料道路の利用区間(出入りする料金所)を変更する(S18,詳細は後述)。
【0059】
次に、上記で決定された使用する高速道路あるいは有料道路において、通行料金の支払方法を判断する(S19)。例えば、2つの高速道路を通行する案内経路で、この2つの高速道路で同種のETC割引サービスが受けられる場合、ETC割引料金がより大きい高速道路(優先ETC利用区間)を、ETCを利用して通行し、他方の高速道路はETCを利用しない、現金支払いにより通行するように判断する。あるいは、ETCを利用しない高速道路については、代替案として一般道を走行するような経路を検索する。
【0060】
次に、時計IC88から日時データを取得し、ETC割引情報を参照して、該当するETC割引内容の対象時間帯を調べ、当該ETC割引の条件を満たすように優先ETC利用区間を通行するための、出発地における出発時間を判定する(S20)。優先ETC利用区間までの予想所要時間は、地図データ21mから出発地から当該優先ETC利用区間までの距離を求め、例えば、一般道は40km/h,高速道路は80km/hのような見なし速度で距離を割ったもので推定する。そして、優先ETC利用区間までの予想所要時間とETC割引内容の対象時間帯とから、出発地における出発時間を判定することができる。また、通行日時(時間帯)が別途指定される場合は、その日時を基に判定する。
【0061】
そして、検索された案内経路と、その案内経路における優先ETC利用区間と、この出発地の出発時間を案内情報として、この案内情報を表示器10等に出力する(S14)。
【0062】
一方、目的地が複数箇所あるが(S15:Yes)、目的地到達順序の入れ替えが許可されていない場合(S21:No)、上述のステップS16〜S20の処理を実行する。なお、目的地到達順序の入れ替えを許可するかどうかは、ユーザが案内経路を検索する際に選択する。
【0063】
目的地到達順序の入れ替えが許可されている場合(S21:Yes)、目的地到達順序を入れ替えた状態で案内経路を検索し、その案内経路にしたがって高速道路あるいは有料道路の通行料金のETC割引額を計算し(S22)、ETC割引額が最大となる道路を判断する(S23)。ステップS22における計算方法はステップS16と同様である。
【0064】
そして、上記で計算されたETC割引額から、ETC割引額が最大となる目的地到達順序を判断する(S24)。この後、上述のステップS19以降の処理を実行する。
【0065】
図5〜図8を用いて、図2の経路計算処理の一例を説明する。図5の例では、目的地G1,G2,G3の3箇所(複数)あり、到達順序は目的地G1,G2,G3の順で、到達順序の入れ替えは許可されていない。そして、出発地S〜目的地G1,目的地G1〜目的地G2,目的地G2〜目的地G3の全ての経路において、高速道路を利用する案内経路が検索されている。このとき、従来技術では一番初めに利用する高速道路、すなわち出発地S〜目的地G1間においてETC割引が適用されてしまうが、本発明では、目的地G1〜目的地G2間の方がETC割引額が大きい場合は、目的地G1〜目的地G2間を優先ETC利用区間とし、その他の出発地S〜目的地G1間,目的地G2〜目的地G3間では、一般道優先または、現金による有料道路あるいは高速道路の使用を行う経路となるような経路計算を実施する。
【0066】
この結果、図5の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、優先ETC利用区間である目的地G1〜目的地G2間ではETCを利用する旨の情報が、また、出発地S〜目的地G1間,目的地G2〜目的地G3間では検索された代替一般道路区間を通行するか、当該課金道路区間ではETC利用の回避を促す経路案内情報(ETC利用抑制情報)を含む案内情報が出力される。また、案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0067】
図9,図10に、図5における経路計算結果の一例を示す。図9はETC割引が適用可能かどうかを示したものである。この情報は、データベース21dあるいはメモリ9に例えばフラグ情報として記憶され、例えば、深夜割引,早朝夜間割引,通勤割引等の割引種別毎にフラグ領域が確保されている。これら割引サービスを利用したかどうかは、ナビゲーション装置に記憶される走行履歴から判断できる。走行履歴には走行時刻と走行経路が含まれているので、高速道路あるいは有料道路を通行した場合は、出入り口の通過時刻や走行距離を求めることができる。この通過時刻,走行距離とETC割引内容(図3,図4参照)とから割引サービスを利用したかを判断する。
【0068】
図9の例では、当該ETC割引は利用可能な状態にあるかどうかが記憶されるとともに、既に当該ETC割引が利用されている場合は、経路計算時あるいはETC割引内容参照時に、次に利用可能となる時間帯までの残り時間が算出される。
【0069】
図10に、検索された案内経路に対して、図2の経路計算処理(ステップS16〜S20)により算出された案内情報の例を示す。まず、ETC割引を全く利用しない通行料金が計算される(「経路1(割引無し)」)。次に、ETC割引内容を参照して、より経済的な経路が計算される。「経路2(通常)」の場合は、出発地S〜目的地G1間の高速道路でETC割引を利用するものであるが、ETC割引条件によって出発地における出発時間が9:00〜11:00という制約がある。また、「経路2(経済的)」の場合は、出発地S〜目的地G1間の高速道路は現金で利用し、目的地G1〜目的地G2間の高速道路でETC割引を利用するもので、最も経済的あるが、ETC割引条件によって出発地における出発時間が11:00〜15:00という制約がある。
【0070】
図10の案内情報は、表示器10あるいはスピーカ15により、一括あるいは個別に出力される。この場合、出発時刻や区間毎の予想通行時刻が推定できる場合は、推定された時刻に受けることが可能なETC割引サービスを含む案内経路のみを出力してもよい。また、図10の案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0071】
また、図10の内容を表示器10に一括表示する場合には、操作スイッチ群7等の操作により、その表示内容から所望のルートを選択することができる。そして、選択されたルートに基づいて経路案内が行われる。
【0072】
図6の例では、目的地はGの1箇所で、出発地S〜目的地Gまでは、料金所を挟んで接続される2つの高速道路(A高速,B高速)を利用する案内経路が検索されている。このとき、従来技術では一番初めに通行するA高速においてETC割引が適用されてしまうが、本発明では、B高速の方がETC割引額が大きい場合は、B高速を優先ETC利用区間とし、A高速では現金による通行料金の支払いを行うか、代替一般道路を検索する。
【0073】
この結果、図6の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、優先ETC利用区間であるB高速ではETCを利用する旨の情報が、また、A高速ではETC利用の回避を促すETC利用抑制情報、あるいは検索されたA高速の代替一般道路を通行する旨の経路案内情報を含む案内情報が出力される。また、上記と同様に、案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0074】
図7の例では、目的地はGの1箇所で、出発地S〜目的地Gまでは、料金所を挟んで接続される2つの高速道路(A高速,B高速)を利用する案内経路が検索されている。このとき、従来技術では一番初めの経路すなわちA高速においてETC割引が適用されてしまうが、本発明では、出発地Sから料金所までの距離あるいは通行時間が所定値を下回る場合、あるいは、A高速を通行する距離が短くA高速を利用する(例えば時間的な)効果が小さい場合には、A高速を利用せず出発地から料金所へ直行する経路が検索される。そして、ETC割引額が大きいB高速を優先ETC利用区間とする。
【0075】
この結果、図7の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、A高速とB高速を接続する料金所へ直行し、優先ETC利用区間であるB高速ではETCを利用する旨の案内情報が出力される。また、上記と同様に、案内情報をメモリ9あるいはHDD21に記憶してもよい。
【0076】
図8の例では、目的地はGの1箇所で、出発地S〜目的地Gまでは、高速道路であるA高速を利用する案内経路が検索されている。また、A高速における通行距離がETCの割引適用条件を超える割引対象外課金道路区間となっている。この場合、従来技術ではETC割引が適用されない情報(ETC割引額が0円の情報)が出力される。一方、本発明では、地図データ21mを参照して、A高速にあるインターチェンジと出発地Sあるいは目的地Gの最寄りのインターチェンジとの距離を算出し、その距離がETC割引適用となる上限通行距離に最も近い通行区間(新たな割引対象区間)を生ずるように通行区間をA1,A2のように分割する。そして、例えば、通行区間A1を優先ETC利用区間とする。
【0077】
この結果、図8の例では、表示器10あるいはスピーカ15により、A高速を利用する際には、ETC利用状態でインターチェンジICにおいて一旦A高速を出て、同じインターチェンジICから再度A高速に入る旨の案内情報が出力される。
【0078】
図5〜図8のそれぞれの例において、表示器10の表示画面上には図5〜図8と同様の内容が表示され、ユーザに最適な経路を案内する。
【0079】
図2のステップS18では、目的地の間の課金道路毎に上述のような区間分割処理を行って、新たな優先ETC利用区間を検索している。また、図5〜図7においても、区間分割処理を行ってもよい。
【0080】
また、図2のステップS13の条件判断において、複数の高速道路あるいは有料道路を利用しない場合(S13:No)においても、図8のような区間分割処理を行ってもよい。すなわち、ステップS13でNoと判断された後に、ステップS18〜S20を実行する。
【0081】
図11〜図13の表示器10における表示画面例を用いて、目的地の到達順序を入れ替えが可能な場合(図2のS21:Yesに相当)の経路計算について説明する。まず、上述のように、出発地および目的地を指定して案内経路を検索する。図11では出発地S、目的地はG1,G2,G3で表されている。このとき、目的地の到達順序はG1,G2,G3の順で、これはユーザによって設定されている。目的地の到達順序の変更は、ナビゲーション装置の周知の機能である。
【0082】
出発日時が現在ではない場合は、図11で[日時]ボタンを押下すると、図示しない出発日時設定画面が表示されるので、表示にしたがって出発日時を設定する。
【0083】
図11で[検索]ボタンを押下すると、図12のように案内経路が表示される。図12の例では、出発地S〜目的地G1間は高速道路利用,目的地G1〜目的地G2間は一般道路利用,目的地G2〜目的地G3間は一般道路利用となり、出発日時は現在時刻相当であって、高速道路では通勤割引が適用されて通常よりも800円安くなっている。
【0084】
ユーザが図12の案内経路検索結果では満足できない場合には、図12で[はい]ボタンをクリックすると、目的地G1,G2,G3の到達順序を入れ替えて案内経路検索が行われる。その一例を図13に示す。図13では、目的地の到達順序はG3,G1,G2で、出発地S〜目的地G3間は高速道路利用,目的地G3〜目的地G1間は一般道路利用,目的地G1〜目的地G2間は一般道路利用となっていて、高速道路では通勤割引が適用されて通常よりも1000円安くなっている。これは、図12の例よりも通行料金がさらに安くなっている。
【0085】
ユーザが図12の案内経路検索結果で[いいえ]ボタンをクリックすると、この検索された案内経路に基づいて経路案内が行われる。
【0086】
一方、ユーザが図13の案内経路検索結果でも満足できない場合には、図13で[次のルート]ボタンをクリックすると、目的地G1,G2,G3の到達順序を入れ替えて再び案内経路検索が行われる。また、表示された案内経路で経路案内を行う場合には、[決定]ボタンを押下する。
【0087】
ユーザが図12の案内経路検索結果では満足できない場合に、図12で[はい]ボタンをクリックしたとき、目的地G1,G2,G3を入れ替えた全ての案内経路についてETC割引額を求め、最もETC割引額の大きい案内経路を表示器10に表示する構成としてもよい。
【0088】
図14〜図19を用いて、経路案内時に優先ETC利用区間あるいは優先ETC利用区間以外の課金道路区間を通行する際の案内情報を、表示器10における表示例を挙げて説明する。図14は、入口料金所を通行する際の案内情報出力例である。まず、位置検出器1から車両の現在位置を取得する(S31)。車両の現在位置と案内経路上の課金道路(高速道路あるいは有料道路)の入口料金所との距離が所定の値となり、車両が入口料金所に接近したと判定された場合(S32:Yes)、その料金所から先の課金道路が優先ETC利用区間であるかを調べる。
【0089】
その料金所から先の、車両が進入しようとしている課金道路が優先ETC利用区間である場合(S33:Yes)、ETCゲートを通行するように案内を行う(S34)。図16に表示画面例を示す。スピーカ15から音声メッセージを送出してもよい。一方、車両が進入しようとしている課金道路が優先ETC利用区間でない場合(S33:No)、ETC専用ゲートでない有人ゲート(一般ゲート)を通行するように案内を行う(S35)。図17に表示画面例を示す。
【0090】
図15は、出口料金所を通行する際の案内情報出力例である。まず、位置検出器1から車両の現在位置を取得する(S51)。車両の現在位置と案内経路上の課金道路(高速道路あるいは有料道路)の出口料金所との距離が所定の値となり、車両が出口料金所に接近したと判定された場合(S52:Yes)、現在走行中の課金道路が優先ETC利用区間であるかを調べる。
【0091】
現在走行中の課金道路が優先ETC利用区間である場合(S53:Yes)、ETCゲートを通行するように案内を行う(S54)。図18に表示画面例を示す。スピーカ15から音声メッセージを送出してもよい。一方、現在走行中の課金道路が優先ETC利用区間でない場合(S53:No)、ETC専用ゲートでない有人ゲート(一般ゲート)を通行するように案内を行う(S55)。図19に表示画面例を示す。
【0092】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】経路計算処理を説明するフロー図。
【図3】主要道路会社のETC割引内容の抜粋を示す図。
【図4】図3に続く、主要道路会社のETC割引内容の抜粋を示す図。
【図5】経路計算の例を示す図。
【図6】経路計算の別例を示す図。
【図7】経路計算のさらに別例を示す図。
【図8】経路計算における区間分割の例を示す図。
【図9】ETC割引適用可能状況の例を示す図。
【図10】経路計算結果の例を示す図。
【図11】目的地が複数ある場合の経路計算を説明する図。
【図12】図11に続く、目的地が複数ある場合の経路計算を説明する図。
【図13】図12に続く、目的地が複数ある場合の経路計算を説明する図。
【図14】入口料金所を通行する際の案内情報出力を説明するフロー図。
【図15】出口料金所を通行する際の案内情報出力を説明するフロー図。
【図16】入口料金所を通行する際の案内情報出力例を示す図。
【図17】入口料金所を通行する際の案内情報出力の別例を示す図。
【図18】出口料金所を通行する際の案内情報出力例を示す図。
【図19】出口料金所を通行する際の案内情報出力の別例を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
8 制御回路(経路検索手段,割引額計算手段,優先ETC利用区間抽出手段,代替一般道路検索手段,割引対象外課金道路区間検索手段,優先ETC利用区間再設定手段,割引対象外課金道路区間分割手段,案内経路決定手段)
10 表示器(案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段)
12 リモコン端末(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
15 スピーカ(案内情報出力手段,代替案内経路候補提案出力手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(ETC割引情報記憶手段)
21m 地図データ(道路地図データ記憶手段)
22 タッチパネル(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
23 車速センサ
24 音声合成回路
30 音声認識ユニット
31 マイク(目的地設定手段,目的地到達順序設定入力手段,案内経路選択入力手段)
100 車載用ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、
該道路地図データ上にて、前記現在位置から設定された目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、
前記道路地図データ上の課金道路におけるETC割引情報を記憶するETC割引情報記憶手段と、
前記課金道路を複数回利用する前記案内経路が検索されたとき、前記ETC割引情報を用いて通行料金のETC割引額を前記課金道路の区間別に計算する割引額計算手段と、
前記割引額が計算された前記課金道路の区間のうち、ETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出する優先ETC利用区間抽出手段と、
抽出された前記優先ETC利用区間を含む案内情報を出力する案内情報出力手段と、
を備えることを特徴とする経路計算装置。
【請求項2】
前記案内情報出力手段は、前記優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の抑制を促すETC利用抑制情報を、前記案内情報に含めた形で出力するものである請求項1に記載の経路計算装置。
【請求項3】
前記案内情報出力手段は、前記道路地図データ上にて、前記優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対応する、通行料金を必要としない代替一般道路区間を検索する代替一般道路検索手段を有し、該検索された代替一般道路区間を用いた経路案内情報を、前記ETC利用抑制情報として出力するものである請求項2に記載の経路計算装置。
【請求項4】
前記案内情報出力手段は、前記案内経路における、前記優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の回避を促す経路案内情報を、前記ETC利用抑制情報として出力するものである請求項2または請求項3に記載の経路計算装置。
【請求項5】
前記案内情報出力手段は、前記現在位置が前記優先ETC利用区間以外の課金道路の料金所に近づいたときに、ETCを利用しないことを促す表示あるいは音声出力を行うものである請求項4に記載の経路計算装置。
【請求項6】
前記経路検索手段は、
前記ETC割引情報に含まれる割引適用条件情報に基づいて、検索された前記案内経路に含まれる前記課金道路区間のうち、ETC割引適用となる上限通行距離を超える割引対象外課金道路区間を検索する割引対象外課金道路区間検索手段と、
前記案内経路に含まれる前記優先ETC利用区間よりもETC割引額が大となる新たな割引対象区間を生ずるように、前記割引対象外課金道路区間を当該区間内に存在するインターチェンジにより分割する割引対象外課金道路区間分割手段とを含み、
前記優先ETC利用区間抽出手段は、前記ETC割引額が大となる新たな割引対象区間を前記優先ETC利用区間として再設定する優先ETC利用区間再設定手段を含む請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の経路計算装置。
【請求項7】
前記目的地を複数設定するための目的地設定手段を有し、
前記経路検索手段は、前記複数の目的地の到達順序が異なる複数の案内経路候補を検索するとともに、
前記優先ETC利用区間抽出手段は、検索された各案内経路候補について前記優先ETC利用区間を決定するとともに、それら案内経路候補の各優先ETC利用区間のETC割引額を比較し、最もETC割引額が有利となる優先ETC利用区間を含んだ目的地到達順序に従う案内経路候補を、最終的な案内経路として決定する案内経路決定手段を含む請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の経路計算装置。
【請求項8】
前記目的地設定手段は、前記目的地到達順序をユーザが設定入力するための目的地到達順序設定入力手段を含み、
前記案内経路決定手段は、
設定入力された目的地到達順序に従うユーザ希望案内経路候補について前記優先ETC利用区間を決定した後、当該ユーザ希望案内経路候補に対し前記目的地到達順序を入れ替えて得られる代替案内経路候補を検索し、該代替案内経路候補について前期優先ETC利用区間を決定するとともに、当該代替案内経路候補のETC割引額が前記ユーザ希望案内経路候補のETC割引額よりも有利な場合に、該代替案内経路候補を前記ユーザに提案出力する代替案内経路候補提案出力手段と、
前記ユーザ希望案内経路候補と前記代替案内経路候補とのいずれかを最終的な案内経路としてユーザに選択入力させるための案内経路選択入力手段と、
該案内経路選択入力手段の入力結果に基づいて、前記最終的な案内経路を決定する案内経路決定手段と、を含むものである請求項7に記載の経路計算装置。
【請求項1】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、
該道路地図データ上にて、前記現在位置から設定された目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、
前記道路地図データ上の課金道路におけるETC割引情報を記憶するETC割引情報記憶手段と、
前記課金道路を複数回利用する前記案内経路が検索されたとき、前記ETC割引情報を用いて通行料金のETC割引額を前記課金道路の区間別に計算する割引額計算手段と、
前記割引額が計算された前記課金道路の区間のうち、ETC割引額が最も有利となる区間を優先ETC利用区間として抽出する優先ETC利用区間抽出手段と、
抽出された前記優先ETC利用区間を含む案内情報を出力する案内情報出力手段と、
を備えることを特徴とする経路計算装置。
【請求項2】
前記案内情報出力手段は、前記優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の抑制を促すETC利用抑制情報を、前記案内情報に含めた形で出力するものである請求項1に記載の経路計算装置。
【請求項3】
前記案内情報出力手段は、前記道路地図データ上にて、前記優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対応する、通行料金を必要としない代替一般道路区間を検索する代替一般道路検索手段を有し、該検索された代替一般道路区間を用いた経路案内情報を、前記ETC利用抑制情報として出力するものである請求項2に記載の経路計算装置。
【請求項4】
前記案内情報出力手段は、前記案内経路における、前記優先ETC利用区間以外の課金道路区間に対するETC利用の回避を促す経路案内情報を、前記ETC利用抑制情報として出力するものである請求項2または請求項3に記載の経路計算装置。
【請求項5】
前記案内情報出力手段は、前記現在位置が前記優先ETC利用区間以外の課金道路の料金所に近づいたときに、ETCを利用しないことを促す表示あるいは音声出力を行うものである請求項4に記載の経路計算装置。
【請求項6】
前記経路検索手段は、
前記ETC割引情報に含まれる割引適用条件情報に基づいて、検索された前記案内経路に含まれる前記課金道路区間のうち、ETC割引適用となる上限通行距離を超える割引対象外課金道路区間を検索する割引対象外課金道路区間検索手段と、
前記案内経路に含まれる前記優先ETC利用区間よりもETC割引額が大となる新たな割引対象区間を生ずるように、前記割引対象外課金道路区間を当該区間内に存在するインターチェンジにより分割する割引対象外課金道路区間分割手段とを含み、
前記優先ETC利用区間抽出手段は、前記ETC割引額が大となる新たな割引対象区間を前記優先ETC利用区間として再設定する優先ETC利用区間再設定手段を含む請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の経路計算装置。
【請求項7】
前記目的地を複数設定するための目的地設定手段を有し、
前記経路検索手段は、前記複数の目的地の到達順序が異なる複数の案内経路候補を検索するとともに、
前記優先ETC利用区間抽出手段は、検索された各案内経路候補について前記優先ETC利用区間を決定するとともに、それら案内経路候補の各優先ETC利用区間のETC割引額を比較し、最もETC割引額が有利となる優先ETC利用区間を含んだ目的地到達順序に従う案内経路候補を、最終的な案内経路として決定する案内経路決定手段を含む請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の経路計算装置。
【請求項8】
前記目的地設定手段は、前記目的地到達順序をユーザが設定入力するための目的地到達順序設定入力手段を含み、
前記案内経路決定手段は、
設定入力された目的地到達順序に従うユーザ希望案内経路候補について前記優先ETC利用区間を決定した後、当該ユーザ希望案内経路候補に対し前記目的地到達順序を入れ替えて得られる代替案内経路候補を検索し、該代替案内経路候補について前期優先ETC利用区間を決定するとともに、当該代替案内経路候補のETC割引額が前記ユーザ希望案内経路候補のETC割引額よりも有利な場合に、該代替案内経路候補を前記ユーザに提案出力する代替案内経路候補提案出力手段と、
前記ユーザ希望案内経路候補と前記代替案内経路候補とのいずれかを最終的な案内経路としてユーザに選択入力させるための案内経路選択入力手段と、
該案内経路選択入力手段の入力結果に基づいて、前記最終的な案内経路を決定する案内経路決定手段と、を含むものである請求項7に記載の経路計算装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図13】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−70204(P2008−70204A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248474(P2006−248474)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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