薄膜トランジスタ
【課題】細い線状のパターンを、精度よく安定して形成する。
【解決手段】表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、バンクで区画された領域にゲート電極41の少なくとも一部が形成されている。
【解決手段】表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、バンクで区画された領域にゲート電極41の少なくとも一部が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子回路または集積回路などに使われる配線などのパターンを形成する方法としては、例えばフォトリソグラフィ法が用いられる。このフォトリソグラフィ法は、真空装置などの大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、また材料使用効率も数%程度でそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高い。
【0003】
これに対して、液体吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いて基板上にパターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この方法では、パターン用の液体材料(機能液)を基板に直接パターン配置し、その後熱処理やレーザー照射を行ってパターンに変換する。この方法によれば、フォトリソグラフィが不要となり、プロセスが大幅に簡略化されるとともに、原材料の使用量も少なくてすむというメリットがある。
【特許文献1】特開平11−274671号公報
【特許文献2】特開2000−216330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デバイスを構成する回路の高密度化が進み、例えば配線についてもさらなる微細化、細線化が要求されている。上述した液滴吐出法を用いたパターン形成方法では、吐出した液滴が着弾後に基板上で広がるため、微細なパターンを安定的に形成するのが困難であった。
【0005】
特に、パターンを導電膜とする場合には、上述した液滴の広がりによって、液だまり(バルジ)が生じ、それが断線や短絡等の不具合の発生原因となるおそれがあった。
【0006】
また、液滴吐出法によって吐出した機能液の飛翔径よりも幅が狭い配線を形成する技術も提案されている。このような技術においては、配線の形成領域を区画するバンクの表面が撥液化された状態で配線の形成領域に向けて機能液を吐出することによって、機能液の一部がバンクの上面に吐出された場合であっても、配線の形成領域に全ての機能液が流れ込むようにされている。
【0007】
しかしながら、近年、機能液の一部がバンクの上面に触れると、バンクの上面に微細な残渣が残ることが確認された。例えば機能液が導電性を有している場合には残渣も導電性を有していることとなり、上述のように残渣が残ると、配線自体の特性やこの配線を用いたデバイスの特性が変化することが懸念される。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、細い線状のパターンを、精度よく安定して形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用している。
本発明のパターン形成方法は、機能液を基板上に配置して所定のパターンを形成する方法であって、前記基板上にバンクを形成する工程と、前記バンクによって区画された領域に前記機能液を配置する工程とを有し、前記バンクによって区画された領域は、部分的に幅が広く形成されていることを特徴とする。
本発明のパターン形成方法では、バンクによって区画された領域に機能液が配置され、この機能液が例えば乾燥することにより、基板上に所定のパターンが形成される。この場合、バンクによってパターンの形状が規定されることから、例えば隣接するバンク間の幅を狭くするなど、バンクを適切に形成することにより、パターンの微細化や細線化を図ることができる。
また、本発明のパターン形成方法では、バンクによって区画された領域は、部分的に幅が広く形成されていることから、この幅が広く形成された部分に機能液の一部が退避することにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが防止される。そのため、パターンが所望の形状に正確に形成される。
したがって、本発明のパターン形成方法では、細い線状のパターンを、精度よく安定して形成することができる。
【0010】
上記のパターン形成方法においては、前記バンクによって区画された領域は、一部分の幅が他の部分の幅の110〜500%であるのが好ましい。
バンクによって区画された領域において、一部分の幅が他の部分の幅の110〜500%であることにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが確実に防止される。
【0011】
また、上記のパターン形成方法において、前記バンクによって区画された領域は、他のパターンと交差する部分において部分的に幅が広く形成されているとよい。
この形成方法によれば、基板上のスペースの有効利用を図りやすい。
【0012】
また、上記の膜パターン形成方法において、前記バンクによって区画された領域は、他の膜パターンと交差する部分において部分的に幅が狭く形成することもできる。
この形成方法によれば、膜パターンの交差部において容量が蓄積されず、デバイス特性の向上を図りやすい。
【0013】
また、上記のパターン形成方法において、前記機能液を、液滴吐出法を用いて前記領域に配置するとよい。
この形成方法によれば、液滴吐出法を用いることにより、スピンコート法などの他の塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、基板上に配置する機能液の量や位置の制御を行いやすい。
なお、隣接するバンク間の幅は液滴の直径より狭くしてもよい。この場合、液滴状の機能液は、毛管現象などによりバンク間に入り込む。これにより、吐出する液滴の直径より狭い線幅のパターンが形成される。
【0014】
また、前記機能液が導電性微粒子を含むことにより、導電性を有するパターンが形成される。そのため、このパターンは、配線として、各種デバイスに適用される。
【0015】
次に、本発明の第2のパターン形成方法は、機能液を基板上に液滴吐出法を用いて吐出配置して所定のパターンを形成する方法であって、前記基板上に、前記機能液の飛翔径より大きな幅を有する幅広領域と当該幅広領域よりも狭い幅を有する幅狭領域とが接続されて配置されるようにバンクを形成する工程と、前記幅広領域に前記機能液を吐出配置して前記幅狭領域に前記機能液を流れ込ませることにより、前記幅広領域及び前記幅狭領域に前記機能液を配置する工程とを有することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明の第2のパターン形成方法では、バンクによって区画された幅広領域及び幅狭領域のうち、幅広領域に機能液が吐出配置され、この機能液が濡れ拡がることによって幅狭領域に流れ込む。このため、幅広領域のみに機能液を吐出することによって幅広領域及び幅狭領域に機能液を配置することができる。
また、本発明の第2のパターン形成方法では、幅広領域が機能液の飛翔径よりも大きな幅を有しているため、機能液の一部がバンクの上面に触れることがない。このため、バンクの上面に機能液の残渣が残ることを防止することができる。
したがって、本発明の第2のパターン形成方法では、所望の特性を発揮するパターンを安定して形成することができる。
【0016】
また、上記第2のパターン形成方法においては、前記幅広領域と前記幅狭領域との交差領域に前記機能液を吐出配置することができる。
この形成方法によれば、交差領域に吐出配置された機能液が濡れ拡がる際に容易に幅狭領域に流れ込むため、より円滑に幅狭領域に機能液を配置することが可能となる。
【0017】
また、上記第2のパターン形成方法においては、前記幅広領域と前記幅狭領域との交差領域を囲むように前記機能液を吐出配置した後、前記交差領域に前記機能液を吐出配置することができる。
この形成方法によれば、交差領域を囲むように先に吐出配置された機能液によって、交差領域に吐出配置された機能液の濡れ拡がりが堰きとめられ、幅狭領域に向かう機能液の流量を増加させることができる。このため、より円滑に幅狭領域に機能液を配置するkとが可能となる。
【0018】
本発明のデバイスの製造方法は、基板にパターンが形成されてなるデバイスの製造方法であって、上記のパターン形成方法により、前記基板に前記パターンを形成することを特徴とする。
本発明のデバイス製造方法では、デバイスに形成されるパターンの微細化や細線化が安定して図られる。そのため、高精度なデバイスを安定して製造することができる。
特に、前記パターンが前記基板上に設けられたTFT(膜トランジスタ)等のスイッチング素子の一部を構成する場合には、高集積化されたスイッチング素子を安定的に得ることができる。
【0019】
本発明のデバイスは、上記のデバイス製造方法を用いて製造されることを特徴とすることにより、高い精度を有する。
【0020】
また、本発明の電気光学装置は、上記のデバイスを備えることを特徴とする。
電気光学装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置などを例示できる。
また、本発明の電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これらの発明によれば、高精度なデバイスを有することから、品質や性能の向上が図られる。
【0021】
また、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、アクティブマトリクス基板の製造方法において、基板上にゲート配線を形成する第1の工程と、前記ゲート配線上にゲート絶縁膜を形成する第2の工程と、前記ゲート絶縁膜を介して半導体層を積層する第3の工程と、前記ゲート絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極を形成する第4の工程と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に絶縁材料を配置する第5の工程と、前記ドレイン電極と電気的に接続する画素電極を形成する第6の工程と、を有し、前記第1の工程、前記第4の工程及び前記第6の工程の少なくとも1つの工程では本発明のパターン形成方法を用いることを特徴とする。
【0022】
このような本発明に係るアクティブマトリクス基板の製造方法によれば、細い線状のパターンを備えるアクティブマトリクス基板を精度よく安定して形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
<パターン形成方法(第1実施形態)>
図1は、本発明のパターン形成方法を概念的に示す図である。
本発明のパターン形成方法は、基板P上にバンクBを形成するバンク形成工程、及びバンクBによって区画された線状の領域Aに機能液Lを配置する材料配置工程を有している。
【0024】
本発明のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状領域Aに機能液Lが配置され、この機能液Lが例えば乾燥することにより、基板P上に線状のパターンFが形成される。この場合、バンクBによってパターンFの形状が規定されることから、例えば隣接するバンクB、B間の幅を狭くするなど、バンクBを適切に形成することにより、パターンFの微細化や細線化が図られる。なお、パターンFが形成された後、基板PからバンクBを除去してもよく、そのまま基板P上に残してもよい。
【0025】
また、本発明のパターン形成方法では、基板P上にバンクBを形成する際、バンクBによって区画される線状領域Aについて、一部の幅を広くする。すなわち、線状領域Aの軸方向に関する所定の位置に、他の領域の幅Wに比べて広い幅Wp(Wp>W)からなる部分(以後、必要に応じて幅広部Asと称す)を、単数あるいは複数設ける。
【0026】
ここで、バンクBの形成方法としては、リソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板P上にバンクの形成材料からなる層を形成した後、エッチングやアッシング等によりパターニングすることにより、所定のパターン形状のバンクBが得られる。なお、基板Pとは別の物体上でバンクBを形成し、それを基板P上に配置してもよい。
【0027】
また、バンクBの形成材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料の他、シリカなどの無機物を含む材料が挙げられる。
【0028】
本発明のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状領域Aの幅が部分的(幅広部As)に広く形成されていることにより、機能液Lの配置時、この幅広部Asに機能液Lの一部が退避し、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。
【0029】
一般に、線状領域に液体を配置する際、液体の表面張力の作用などによってその領域に液体が流入しにくかったり、その領域内で液体が広がりにくい場合がある。これに対して、本発明のパターン形成方法では、線幅に差が設けられている部分での液体の動きが誘因となり、線状領域Aへの機能液Lの流入あるいは線状領域A内での機能液Lの広がりが促進され、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。なお、機能液Lの配置に際して、線状領域Aに対する機能液の配置量が適宜設定されることは言うまでもない。
【0030】
このように、本発明のパターン形成方法では、機能液Lの配置時におけるバンクBからの機能液Lの溢れが防止されることから、パターンFが所望の形状に正確に形成される。したがって、細い線状のパターンFを、精度よく安定的に形成することができる。
【0031】
ここで、バンクBによって区画される線状領域Aにおいて、幅広部Asの幅Wpは、他の部分の幅Wの110〜500%であるのが好ましい。これにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが確実に防止される。なお、上記割合が110%未満であると、幅の広い部分に機能液が十分に退避しないおそれがあるので好ましくない。また、500%を超えると、基板上のスペースの有効利用を図る上で好ましくない。
【0032】
なお、線状領域Aの形状は図1に示したものに限らず他の形状でもよい。線状領域Aにおける幅広部Asの個数や大きさ、配置位置、配置ピッチなどはパターンの材質や幅、あるいは要求精度に応じて適宜設定される。
【0033】
図2(a)及び(b)は、線状領域Aの他の形態例を示している。
図1に示した線状領域Aでは、幅広部Asは、他の部分に比べて線状領域Aの中心軸の両側に幅が広がっているのに対して、図2(a)に示した線状領域A2では、幅広部As1,As2は、線状領域A2の中心軸の片側に広がっている。
また、線状領域A2の軸方向に沿って、線状領域A2の中心軸の一方の側に広がった幅広部As1と、他方の側に広がった幅広部As2とが、交互に形成されている。
【0034】
また、図1に示した線状領域Aでは、幅広部Asの縁部が矩形状に形成されているのに対して、図2(b)に示した線状領域A3では、幅広部Asの縁部が三角形状に形成されている。なお、幅広部Asの縁部が円弧状に形成されてもよい。
【0035】
また、図3は、幅広部Asが形成される位置の例を示す図である。
図3において、幅広部Asは、パターン同士(F及びF2)が交差する部分に設けられている。すなわち、線状領域Aは、他のパターンF2が形成される領域と交差する部分において部分的に幅が広く形成されている。これにより、基板上のスペースの有効利用が図れる。なお、図3において、パターンFは例えばTFT構造におけるゲート線として利用され、パターンF2は例えばTFT構造におけるソース線(データ線)として利用される。
【0036】
また、図4は、幅広部Asが形成される位置の他の例を示す図である。
図4において、幅広部Asは、膜パターン同士(F及びF2)が交差する部分以外に設けられている。すなわち、線状領域Aは、他の膜パターンF2が形成される領域と交差する部分において部分的に幅が狭く形成されている。これにより、膜パターンの交差部において容量が蓄積されず、デバイス特性の向上が図れる。なお、図4において、膜パターンFは例えばTFT構造におけるゲート線として利用され、膜パターンF2は例えばTFT構造におけるソース線(データ線)として利用される。
【0037】
本発明における基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものが挙げられる。さらに、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0038】
また、本発明における機能液Lとしては、各種のものが適用されるが、例えば、導電性微粒子を含む配線パターン用インクが用いられる。
また、機能液Lを、バンクBによって区画された領域に配置する方法としては、液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いるのが好ましい。液滴吐出法を用いることにより、スピンコート法などの他の塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、基板上に配置する機能液の量や位置の制御を行いやすいという利点がある。
【0039】
配線パターン用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液や有機銀化合物や酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液からなるものである。
導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の表面にコーティングするコーティング材としては、例えばキシレン、トルエン等の有機溶剤やクエン酸等が挙げられる。
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液体吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーテイング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0040】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0041】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0042】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0043】
液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0044】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0045】
本発明のパターン形成方法では、上述した配線パターン用インクを用いることにより、導電性を有するパターンを形成することができる。この導電性のパターンは、配線として、各種デバイスに適用される。
【0046】
図5は、本発明のパターン形成方法に用いられる装置の一例として、液滴吐出法によって基板上に液体材料を配置する液滴吐出装置(インクジェット装置)IJの概略構成を示す斜視図である。
【0047】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0048】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0049】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0050】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2に液滴吐出ヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構8は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0051】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図5では、液滴吐出ヘッド1は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド1の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド1の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0052】
図6は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図6において、液体材料(配線パターン用インク、機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。
ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。
ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0053】
次に、本発明のパターン形成方法の実施形態の一例として、基板上に導電膜配線を形成する方法について図7を参照して詳しく説明する。
本実施形態に係るパターン形成方法は、上述した配線パターン用のインク(配線パターン形成材料)を基板上に配置し、その基板上に配線用の導電パターンを形成するものであり、バンク形成工程、残渣処理工程、撥液化処理工程、材料配置工程及び中間乾燥工程、焼成工程から概略構成される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
【0054】
(バンク形成工程)
バンクは、仕切部材として機能する部材であり、バンクの形成はリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、図7(a)に示すように、基板P上にバンクの高さに合わせてバンクの形成材料31を塗布し、その上にレジスト層を塗布する。そして、バンク形状(配線パターン)に合わせてマスクを施しレジストを露光・現像することによりバンク形状に合わせたレジストを残す。最後にエッチングしてマスク以外の部分のバンク材料を除去する。また、下層が無機物又は有機物で機能液に対し親液性を示す材料で、上層が有機物で撥液性を示す材料で構成された2層以上でバンク(凸部)を形成してもよい。
【0055】
これにより、図7(b)に示されるように、配線パターンを形成すべき領域の周辺を囲むように、例えば15μm幅でバンクB、Bが突設される。
また、本例では、先の図1に示したように、バンクによって線状の領域が形成され、この線状領域の軸方向に関する所定の位置に、他の領域の幅に比べて広い幅からなる幅広部が形成される。
なお、基板Pに対しては、有機材料塗布前に表面改質処理として、HMDS処理((CH3)3SiNHSi(CH3)3を蒸気状にして塗布する方法)が施されているが、図7ではその図示を省略している。
【0056】
(残渣処理工程(親液化処理工程))
次に、バンク間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、基板Pに対して残渣処理を施す。
残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2 プラズマ処理等を選択できるが、ここではO2 プラズマ処理を実施する。
【0057】
具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。O2 プラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。
なお、基板Pがガラス基板の場合、その表面は配線パターン形成材料に対して親液性を有しているが、本実施の形態のように残渣処理のためにO2 プラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、基板表面の親液性を高めることができる。
【0058】
(撥液化処理工程)
続いて、バンクBに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。
撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4 プラズマ処理法)を採用することができる。CF4 プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000W、4フッ化メタンガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基体搬送速度が0.5〜1020mm/sec、基体温度が70〜90℃とされる。
なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
【0059】
このような撥液化処理を行うことにより、バンクB、Bにはこれを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのO2 プラズマ処理は、バンクBの形成前に行ってもよいが、O2 プラズマによる前処理がなされると、バンクBがフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、バンクBを形成した後にO2 プラズマ処理することが好ましい。
なお、バンクB、Bに対する撥液化処理により、先に親液化処理した基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pはその親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
また、バンクB、Bについては、もともと撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0060】
(材料配置工程及び中間乾燥工程)
次に、先の図5に示した液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、配線パターン形成材料を、基板P上のバンクB、Bによって区画された領域、すなわちバンクB、B間に配置する。なお、本例では、配線パターン用インク(機能液L)として、導電性微粒子を溶媒(分散媒)に分散させた分散液を吐出する。ここで用いられる導電性微粒子は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルの何れかを含有する金属微粒子の他、導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
【0061】
すなわち、材料配置工程では、図7(c)に示すように、液体吐出ヘッド1から機能液Lを液滴にして吐出し、その液滴を基板P上のバンクB、B間に配置する。液滴吐出の条件としては、例えば、インク重量7ng/dot、インク速度(吐出速度)5〜7m/secで行う。
【0062】
このとき、バンクB、Bによって機能液の配置領域が仕切られていることから、その機能液Lが基板P上で拡がることが阻止される。
【0063】
また、図7(c)に示すように、隣接するバンクB、B間の幅Wが液滴の直径Dより狭い場合(すなわち、液滴の直径DがバンクB、B間の幅Wより大きい場合)、図7(d)の二点鎖線で示すように、液滴の一部がバンクB、B上にのるものの、毛管現象などにより機能液LはバンクB、B間に入り込む。本例では、バンクB、Bは撥液性が付与されていることから、機能液がバンクBにはじかれ、バンクB、B間により確実に流れ込む。
また、基板Pの表面は親液性を付与されているため、バンクB、B間に流れ込んだ機能液Lがその区画された領域内で均一に広がる。これにより、吐出する液滴の直径Dより狭い線幅Wの塗膜が形成される。
【0064】
さらに、本例では、先の図1に示したように、線状領域の幅が部分的に広く形成されていることから、機能液の配置時において、この幅広部に機能液の一部が退避し、バンクからの機能液の溢れが確実に防止されるとともに、その領域内での広がりが促進される。
【0065】
(中間乾燥工程)
基板Pに機能液を配置した後、分散媒の除去及び膜厚確保のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。
ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
【0066】
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
【0067】
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行なうこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。この場合、例えば、バンクB及び機能液の乾燥膜の上に低融点ガラスなどを予め塗布してもよい。
また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行なうことが好ましい。
以上の工程により吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、図7(e)に示すように、導電性膜(パターンF)に変換される。
【0068】
以上説明したように、本例のパターン形成方法では、バンクによって区画された線状の領域が部分的に幅が広く形成されていることにより、バンクからの機能液の溢れが確実に防止されるとともに、その線状領域内での広がりが促進される。そのため、細い線状のパターンが、精度よく安定して形成される。
【0069】
<パターン形成方法(第2実施形態)>
次に、本発明の配線パターンの形成方法の第2実施形態について図8を参照しながら説明する。図8は本実施形態に係る配線パターンの形成方法を説明するための模式図である。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0070】
図8において、基板P上には、バンクBによって第1の幅H1を有する第1溝部34A(幅広領域)と、その第1溝部34Aに接続するように第2の幅H2を有する第2溝部34B(幅狭領域)とが形成されている。第1の幅H1は機能液の飛翔径よりも大きく形成されている。第2の幅H2は第1の幅H1よりも狭くなっている。換言すれば、第2の幅H2は第1の幅H1以下である。また、第1溝部34Aは図8中、X軸方向に延びるように形成され、第2溝部34BはX軸方向とは異なる方向のY軸方向に延びるように形成されている。
【0071】
上述した溝部34A、34BにパターンFを形成するためには、まず、図9(a)に示すように、パターンFを形成するための配線パターンインクを含む機能液Lの液滴を液滴吐出ヘッド1により第1溝部34Aの所定位置に配置する。機能液Lの液滴を第1溝部34Aに配置するときには、第1溝部34Aの上方より液滴吐出ヘッド1を使って液滴を第1溝部34Aに吐出する。本実施形態においては、図9(a)に示すように、機能液Lの液滴は、第1溝部34Aの長手方向(X軸方向)に沿って所定間隔で配置される。このとき、機能液Lの液滴は、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍(交差領域)にも配置される。
【0072】
図9(b)に示すように、第1溝部34Aに配置された機能液Lは、自己流動により第1溝部34A内において濡れ拡がる。更に、第1溝部34Aに配置された機能液Lは、自己流動によって第2溝部34Bにも濡れ拡がる。これにより、第2溝部34B上より直接的に第2溝部34Bに対して液滴を吐出することなく、第2溝部34Bにも機能液Lを配置することができる。
【0073】
このように、第1溝部34Aに機能液Lを配置することで、その第1溝部34Aに配置された機能液Lの自己流動(毛管現象)によって機能液Lを第2溝部34Bに配置することができる。したがって、狭い幅H2の第2溝部34Bに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しなくても、広い幅H1の第1溝部34Aに機能液Lの液滴を吐出することで、第2溝部34Bに機能液Lを円滑に配置することができる。特に、第2溝部34Bの幅H2が狭く、液滴吐出ヘッド1より吐出された液滴径(飛翔中の液滴径)が幅H2よりも小さい場合であっても、機能液Lの自己流動によって第2溝部34Bに機能液Lを円滑に配置することができる。そして、第2溝部34Bの幅H2は狭いので、機能液Lは毛管現象によって第2溝部34Bに円滑に配置される。したがって、所望の形状を有するパターンを形成することができる。そして、狭い幅の第2溝部34Bに機能液Lを円滑に配置できるので、パターンの細線化(微細化)を実現することができる。一方、第1溝部34Aの幅H1は広いので、第1溝部34Aに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しても、バンクBの上面38に機能液Lの一部がかかって残渣が残る不都合を回避できる。したがって、所望の特性を発揮するパターンFを安定して形成することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍に機能液Lが配置されるため、機能液Lが濡れ拡がる際に容易に第2溝部34Bに流れ込ませることができ、より円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することが可能となる。
【0075】
第1溝部34A及び第2溝部34Bに機能液Lを配置した後、上述した第1実施形態同様、中間乾燥工程及び焼成工程を経ることによって、パターンFを形成することができる。
【0076】
なお、図10に示すように、第2溝部34Bに機能液の溶媒のみからなる機能液Laを吐出配置しておいてから機能液Lを上述のように配置しても良い。このように第2溝部34Bに機能液Lを吐出配置しておくことによって、第2溝部34Bに機能液Lが流れ込み易くなり、より円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することができる。なお、機能液Laは導電性微粒子を含んでいないため導電性を有していない。このため、バンクB上に機能液Lの残渣が残った場合であってもパターンFの所望の特性を変化させることはない。
【0077】
また、機能液Lを配置した後に真空乾燥工程を行っても良い。真空乾燥工程を行うことによって機能液Lが真空吸引されるため、この場合においてもより円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することが可能となる。
また、機能液Lを配置した後に機能液Lに対して第2溝部34Bに向けてガスを吹付けても良い。このように機能液Lに対して第2溝部34Bに向けてガスを吹付けることによって機能液L第2溝部34Bに流れ込み易くなるため、この場合においてもより円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することが可能となる。
【0078】
なお、図11に示すように、第1溝部34Aと第2溝部34Bとの接続部37を、第1溝部34Aから第2溝部34Bに向かって漸次窄まるようなテーパ形状にしてもよい。こうすることにより、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに円滑に流入させることができる。
【0079】
また、図12に示すように、第1溝部34Aの延在方向と第2溝部34Bの延在方向とが違いに交差する形態において、第1溝部34Aのうち第2溝部34B近傍の領域の幅H1’をその他の領域の幅H1よりも局所的に狭くするようにしてもよい。こうすることによっても、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに円滑に流入させることができる。この場合において、第1溝部34Aを形成するバンクBの内壁面Bhを、第2溝部34Bに向かって傾斜させることにより、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに更に円滑に流入させることができる。
【0080】
なお、上述した各実施形態においては、広い幅H1を有する第1溝部34Aの延在方向と狭い幅H2を有する第2溝部34Bの延在方向とは互いに異なっているが、図13に示すように、広い幅H1を有する第1溝部34Aの延在方向と狭い幅H2を有する第2溝部34Bの延在方向とは同じであってもよい。その場合においても、図13(a)に示すように、第1溝部34Aに機能液Lを配置することによって、その機能液Lの自己流動によって、図13(b)に示すように、機能液Lを第2溝部34Bに配置することができる。またこの場合においても、第1溝部34Aと第2溝部34Bとの接続部37を、第1溝部34Aから第2溝部34Bに向かって漸次窄まるようなテーパ形状にすることで、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに円滑に流入させることができる。
【0081】
また、第1溝部34Aに配置した機能液Lを自己流動によって第2溝部34Bに配置するとき、図14に示すように、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37以外の領域に堤防部39を設けるとよい。図14における堤防部39は、第1溝部34Aに配置した機能液Lの液滴である。すなわち、堤防部39として用いる機能液Lの液滴は、第2溝部34Bに流動させるものではなく、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍(交差領域)を囲うように、最初に配置された液滴である。図14においては、堤防部39として機能する最初に配置される液滴に「1」が付されている。そして、第2溝部34Bに自己流動によって配置させるための機能液Lは接続部37と堤防部39との間に配置される。この液滴には「2」が付されている。こうすることにより、第1溝部34Aのうち接続部37と堤防部39(液滴「1」)との間に配置された機能液Lの液滴「2」は、接続部37以外の方向への流動を阻止され、接続部37側に流動する。したがって、第2溝部34Bに向かう機能液Lの流量を増加させることができ、液滴「2」は、接続部37を介して第2溝部34Bに円滑に流入する。
【0082】
また、図15に示すように、堤防部39としてバンクBの内壁面Bhを使うようにしてもよい。
【0083】
また、図16に示すように、第1溝部34Aに、第1溝部34Aの幅H1及び第2溝部34Bの幅H2よりも狭い幅H3を有する第3溝部34Cが接続されている形態においても、バンクBの内壁面Bhが堤防部39として機能するため、第1溝部H1に配置された機能液Lは、第2溝部34B及び第3溝部34Cに円滑に流入される。
【0084】
<薄膜トランジスタ>
本発明の配線パターンの形成方法は、図17に示すようなスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)及びそれに接続する配線を形成するときに適用可能である。図17において、TFTを有するTFT基板P上には、ゲート配線40と、このゲート配線40に電気的に接続するゲート電極41と、ソース配線42と、このソース配線42に電気的に接続するソース電極43と、ドレイン電極44と、ドレイン電極44に電気的に接続する画素電極45とを備えている。ゲート配線40はX軸方向に延びるように形成され、ゲート電極41はY軸方向に延びるように形成されている。また、ゲート電極41の幅H2はゲート配線40の幅H1よりも狭くなっている。これらゲート配線40及びゲート電極41を、本発明に係る配線パターンの形成方法で形成することができる。
【0085】
また、上述した実施形態においては、本発明に係るパターン形成方法を使って、TFT(薄膜トランジスタ)のゲート配線を形成しているが、ソース電極、ドレイン電極、画素電極などの他の構成要素を製造することも可能である。以下、TFTを製造する方法について図18を参照しながら説明する。
【0086】
図18(a)に示すように、まず、洗浄したガラス基板610の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10の溝611aを設けるための第1層目のバンク611が、フォトリソグラフィ法に基づいて形成される。このバンク611としては、形成後に光透過性と撥液性を備える必要があり、その素材としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が好適に用いられる。
【0087】
この形成後のバンク611に撥液性を持たせるために、CF4プラズマ処理等(フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理)を施す必要があるが、代わりに、バンク611の素材自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておいても良い。この場合には、CF4プラズマ処理等を省略することができる。
【0088】
以上のようにして撥液化されたバンク611の、吐出インクに対する接触角としては、40°以上、またガラス面の接触角としては、10°以下を確保することが好ましい。すなわち、本発明者らが試験により確認した結果、例えば導電性微粒子(テトラデカン溶媒)に対する処理後の接触角は、バンク611の素材としてアクリル樹脂系を採用した場合には約54.0°(未処理の場合には10°以下)を確保することができる。なお、これら接触角は、プラズマパワー550Wのもと、4フッ化メタンガスを0.1L/minで供給する処理条件下で得たものである。
【0089】
上記第1層目のバンク形成工程に続くゲート走査電極形成工程では、バンク611で区画された描画領域である前記溝611a内を満たすように、導電性材料を含む液滴をインクジェットで吐出することでゲート走査電極612を形成する。そして、ゲート走査電極612を形成するときに、本発明に係るパターンの形成方法が適用される。
【0090】
この時の導電性材料としては、Ag,Al,Au,Cu,パラジウム、Ni,W−si,導電性ポリマーなどが好適に採用可能である。このようにして形成されたゲート走査電極612は、バンク611に十分な撥液性が予め与えられているので、溝611aからはみ出ることなく微細な配線パターンを形成することが可能となっている。
【0091】
以上の工程により、基板610上には、バンク611とゲート走査電極612からなる平坦な上面を備えた第1の導電層A1が形成される。
【0092】
また、溝611a内における良好な吐出結果を得るためには、図18(a)に示すように、この溝611aの形状として準テーパ(吐出元に向かって開く向きのテーパ形状)を採用するのが好ましい。これにより、吐出された液滴を十分に奥深くまで入り込ませることが可能となる。
【0093】
次に、図18(b)に示すように、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜613、活性層610、コンタクト層609の連続成膜を行う。ゲート絶縁膜613として窒化シリコン膜、活性層610としてアモルファスシリコン膜、コンタクト層609としてn+型シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成する。CVD法で形成する場合、300℃〜350℃の熱履歴が必要になるが、無機系の材料をバンクに使用することで、透明性、耐熱性に関する問題を回避することが可能である。
【0094】
上記半導体層形成工程に続く第2層目のバンク形成工程では、図18(c)に示すように、ゲート絶縁膜613の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10でかつ前記溝611aと交差する溝614aを設けるための2層目のバンク614を、フォトリソグラフィ法に基づいて形成する。このバンク614としては、形成後に光透過性と撥液性を備える必要があり、その素材としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が好適に用いられる。
【0095】
この形成後のバンク614に撥液性を持たせるためにCF4プラズマ処理等(フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理)を施す必要があるが、代わりに、バンク614の素材自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておくものとしても良い。この場合には、CF4プラズマ処理等を省略することができる。
【0096】
以上のようにして撥液化されたバンク614の、吐出インクに対する接触角としては、40°以上を確保することが好ましい。
【0097】
上記第2層目のバンク形成工程に続くソース・ドレイン電極形成工程では、バンク614で区画された描画領域である前記溝614a内を満たすように、導電性材料を含む液滴をインクジェットで吐出することで、図18(d)に示すように、前記ゲート走査電極612に対して交差するソース電極615及びソース電極616が形成される。そして、ソース電極615及びドレイン電極616を形成するときに、本発明に係るパターンの形成方法が適用される。
【0098】
この時の導電性材料としては、Ag,Al,Au,Cu,パラジウム、Ni,W−si,導電性ポリマーなどが好適に採用可能である。このようにして形成されたソース電極615及びドレイン電極616は、バンク614に十分な撥液性が予め与えられているので、溝614aからはみ出ることなく微細な配線パターンを形成することが可能となっている。
【0099】
また、ソース電極615及びドレイン電極616を配置した溝614aを埋めるように絶縁材料617が配置される。以上の工程により、基板610上には、バンク614と絶縁材料617からなる平坦な上面620が形成される。
【0100】
そして、絶縁材料617にコンタクトホール619を形成するとともに、上面620上にパターニングされた画素電極(ITO)618を形成し、コンタクトホール619を介してドレイン電極616と画素電極618とを接続することで、TFTが形成される。
【0101】
<電気光学装置>
次に、本発明の電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。
図19は、本発明に係る液晶表示装置について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図20は図18のH−H’線に沿う断面図である。図21は、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図22は、液晶表示装置の部分拡大断面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0102】
図19及び図20において、本実施の形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFTアレイ基板10と対向基板20とが光硬化性の封止材であるシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0103】
シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、C−TN法、VA方式、IPS方式モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0104】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図21に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0105】
画素電極19は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図20に示す対向基板20の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極19と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。例えば、画素電極19の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0106】
図22はボトムゲート型TFT30を有する液晶表示装置100の部分拡大断面図であって、TFTアレイ基板10を構成するガラス基板Pには、上記パターン形成方法により、導電性膜としてのゲート配線61が形成されている。
【0107】
ゲート配線61上には、SiNxからなるゲート絶縁膜62を介してアモルファスシリコン(a−Si)層からなる半導体層63が積層されている。このゲート配線部分に対向する半導体層63の部分がチャネル領域とされている。半導体層63上には、オーミック接合を得るための例えばn+型a−Si層からなる接合層64a及び64bが積層されており、チャネル領域の中央部における半導体層63上には、チャネルを保護するためのSiNxからなる絶縁性のエッチストップ膜65が形成されている。なお、これらゲート絶縁膜62、半導体層63、及びエッチストップ膜65は、蒸着(CVD)後にレジスト塗布、感光・現像、フォトエッチングを施されることで、図示されるようにパターニングされる。
【0108】
さらに、接合層64a、64b及びITOからなる画素電極19も同様に成膜するとともに、フォトエッチングを施されることで、図示するようにパターニングされる。そして、画素電極19、ゲート絶縁膜62及びエッチストップ膜65上にそれぞれバンク66…を突設し、これらバンク66…間に上述した液滴吐出装置IJを用いて、銀化合物の液滴を吐出することでソース線、ドレイン線を形成することができる。
【0109】
本実施の形態の液晶表示装置は、上記パターン形成方法により、微細化や細線化が図られた導電膜が、精度よく安定して形成されることから、高い品質や性能が得られる。
【0110】
なお、上記実施形態では、TFT30を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT30を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0111】
図23は、前記液滴吐出装置IJにより一部の構成要素が製造された有機EL装置の側断面図である。図23を参照しながら、有機EL装置の概略構成を説明する。
図23において、有機EL装置401は、基板411、回路素子部421、画素電極431、バンク部441、発光素子451、陰極461(対向電極)、および封止基板471から構成された有機EL素子402に、フレキシブル基板(図示略)の配線および駆動IC(図示略)を接続したものである。回路素子部421は、アクティブ素子であるTFT60が基板411上に形成され、複数の画素電極431が回路素子部421上に整列して構成されたものである。そして、TFT60を構成するゲート配線61が、上述した実施形態の配線パターンの形成方法により形成されている。
【0112】
各画素電極431間にはバンク部441が格子状に形成されており、バンク部441により生じた凹部開口444に、発光素子451が形成されている。なお、発光素子451は、赤色の発光をなす素子と緑色の発光をなす素子と青色の発光をなす素子とからなっており、これによって有機EL装置401は、フルカラー表示を実現するものとなっている。陰極461は、バンク部441および発光素子451の上部全面に形成され、陰極461の上には封止用基板471が積層されている。
【0113】
有機EL素子を含む有機EL装置401の製造プロセスは、バンク部441を形成するバンク部形成工程と、発光素子451を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子451を形成する発光素子形成工程と、陰極461を形成する対向電極形成工程と、封止用基板471を陰極461上に積層して封止する封止工程とを備えている。
【0114】
発光素子形成工程は、凹部開口444、すなわち画素電極431上に正孔注入層452および発光層453を形成することにより発光素子451を形成するもので、正孔注入層形成工程と発光層形成工程とを具備している。そして、正孔注入層形成工程は、正孔注入層452を形成するための液状体材料を各画素電極431上に吐出する第1吐出工程と、吐出された液状体材料を乾燥させて正孔注入層452を形成する第1乾燥工程とを有している。また、発光層形成工程は、発光層453を形成するための液状体材料を正孔注入層452の上に吐出する第2吐出工程と、吐出された液状体材料を乾燥させて発光層453を形成する第2乾燥工程とを有している。なお、発光層453は、前述したように赤、緑、青の3色に対応する材料によって3種類のものが形成されるようになっており、したがって前記の第2吐出工程は、3種類の材料をそれぞれに吐出するために3つの工程からなっている。
【0115】
この発光素子形成工程において、正孔注入層形成工程における第1吐出工程と、発光層形成工程における第2吐出工程とで前記の液滴吐出装置IJを用いることができる。
【0116】
また、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0117】
図24は、液晶表示装置の別の実施形態を示す図である。
図24に示す液晶表示装置(電気光学装置)901は、大別するとカラーの液晶パネル(電気光学パネル)902と、液晶パネル902に接続される回路基板903とを備えている。また、必要に応じて、バックライト等の照明装置、その他の付帯機器が液晶パネル902に付設されている。
【0118】
液晶パネル902は、シール材904によって接着された一対の基板905a及び基板905bを有し、これらの基板905bと基板905bとの間に形成される間隙、いわゆるセルギャップには液晶が封入されている。これらの基板905a及び基板905bは、一般には透光性材料、例えばガラス、合成樹脂等によって形成されている。基板905a及び基板905bの外側表面には偏光板906a及び偏光板906bが貼り付けられている。なお、図24においては、偏光板906bの図示を省略している。
【0119】
また、基板905aの内側表面には電極907aが形成され、基板905bの内側表面には電極907bが形成されている。これらの電極907a、907bはストライプ状または文字、数字、その他の適宜のパターン状に形成されている。また、これらの電極907a、907bは、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等の透光性材料によって形成されている。基板905aは、基板905bに対して張り出した張り出し部を有し、この張り出し部に複数の端子908が形成されている。これらの端子908は、基板905a上に電極907aを形成するときに電極907aと同時に形成される。従って、これらの端子908は、例えばITOによって形成されている。これらの端子908には、電極907aから一体に延びるもの、及び導電材(不図示)を介して電極907bに接続されるものが含まれる。
【0120】
回路基板903には、配線基板909上の所定位置に液晶駆動用ICとしての半導体素子900が実装されている。なお、図示は省略しているが、半導体素子900が実装される部位以外の部位の所定位置には抵抗、コンデンサ、その他のチップ部品が実装されていてもよい。配線基板909は、例えばポリイミド等の可撓性を有するベース基板911の上に形成されたCu等の金属膜をパターニングして配線パターン912を形成することによって製造されている。
【0121】
本実施形態では、液晶パネル902における電極907a、907b及び回路基板903における配線パターン912が上記デバイス製造方法によって形成されている。
本実施形態の液晶表示装置によれば、電気特性の不均一が解消された高品質の液晶表示装置を得ることができる。
【0122】
なお、前述した例はパッシブ型の液晶パネルであるが、アクティブマトリクス型の液晶パネルとしてもよい。すなわち、一方の基板に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、各TFTに対し画素電極を形成する。また、各TFTに電気的に接続する配線(ゲート配線、ソース配線)を上記のようにインクジェット技術を用いて形成することができる。一方、対向する基板には対向電極等が形成されている。このようなアクティブマトリクス型の液晶パネルにも本発明を適用することができる。
【0123】
また、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0124】
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図25(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図25(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図25(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図25(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図25(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図25(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図25(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置を備えたものであるので、高い品質や性能が得られる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0125】
次に、本発明のパターンの形成方法によって形成されるパターンを、アンテナ回路に適用した例について説明する。
図26は、本実施形態例に係る非接触型カード媒体を示しており、非接触型カード媒体400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、図示されない外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行うようになっている。
【0126】
本実施形態では、上記アンテナ回路412が、本発明のパターン形成方法に基づいて形成されている。そのため、上記アンテナ回路412の微細化や細線化が図られ、高い品質や性能を得ることができる。
【0127】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明のパターン形成方法を概念的に示す図である。
【図2】線状領域の他の形態例を示す図である。
【図3】線状領域における幅広部が形成される位置の例を示す図である。
【図4】線状領域における幅広部が形成される位置の他の例を示す図である。
【図5】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図6】ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための図である。
【図7】配線パターン形成する手順を示す図である。
【図8】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図9】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図10】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図11】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図12】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図13】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図14】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図15】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図16】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図17】薄膜トランジスタを有する基板の一例を示す模式図である。
【図18】薄膜トランジスタを製造する工程を説明するための図である。
【図19】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図20】図19のH−H’線に沿う断面図である。
【図21】液晶表示装置の等価回路図である。
【図22】同、液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図23】有機EL装置の部分拡大断面図である。
【図24】液晶表示装置の別形態を示す図である。
【図25】本発明の電子機器の具体例を示す図である。
【図26】非接触型カード媒体の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0129】
B…バンク、P…基板(ガラス基板)、A…線状領域、As…幅広部、W,Wp…幅、F…パターン(導電性膜)、30…TFT(スイッチング素子)、100…液晶表示装置(電気光学装置)、400…非接触型カード媒体(電子機器)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子回路または集積回路などに使われる配線などのパターンを形成する方法としては、例えばフォトリソグラフィ法が用いられる。このフォトリソグラフィ法は、真空装置などの大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、また材料使用効率も数%程度でそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高い。
【0003】
これに対して、液体吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いて基板上にパターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この方法では、パターン用の液体材料(機能液)を基板に直接パターン配置し、その後熱処理やレーザー照射を行ってパターンに変換する。この方法によれば、フォトリソグラフィが不要となり、プロセスが大幅に簡略化されるとともに、原材料の使用量も少なくてすむというメリットがある。
【特許文献1】特開平11−274671号公報
【特許文献2】特開2000−216330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デバイスを構成する回路の高密度化が進み、例えば配線についてもさらなる微細化、細線化が要求されている。上述した液滴吐出法を用いたパターン形成方法では、吐出した液滴が着弾後に基板上で広がるため、微細なパターンを安定的に形成するのが困難であった。
【0005】
特に、パターンを導電膜とする場合には、上述した液滴の広がりによって、液だまり(バルジ)が生じ、それが断線や短絡等の不具合の発生原因となるおそれがあった。
【0006】
また、液滴吐出法によって吐出した機能液の飛翔径よりも幅が狭い配線を形成する技術も提案されている。このような技術においては、配線の形成領域を区画するバンクの表面が撥液化された状態で配線の形成領域に向けて機能液を吐出することによって、機能液の一部がバンクの上面に吐出された場合であっても、配線の形成領域に全ての機能液が流れ込むようにされている。
【0007】
しかしながら、近年、機能液の一部がバンクの上面に触れると、バンクの上面に微細な残渣が残ることが確認された。例えば機能液が導電性を有している場合には残渣も導電性を有していることとなり、上述のように残渣が残ると、配線自体の特性やこの配線を用いたデバイスの特性が変化することが懸念される。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、細い線状のパターンを、精度よく安定して形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用している。
本発明のパターン形成方法は、機能液を基板上に配置して所定のパターンを形成する方法であって、前記基板上にバンクを形成する工程と、前記バンクによって区画された領域に前記機能液を配置する工程とを有し、前記バンクによって区画された領域は、部分的に幅が広く形成されていることを特徴とする。
本発明のパターン形成方法では、バンクによって区画された領域に機能液が配置され、この機能液が例えば乾燥することにより、基板上に所定のパターンが形成される。この場合、バンクによってパターンの形状が規定されることから、例えば隣接するバンク間の幅を狭くするなど、バンクを適切に形成することにより、パターンの微細化や細線化を図ることができる。
また、本発明のパターン形成方法では、バンクによって区画された領域は、部分的に幅が広く形成されていることから、この幅が広く形成された部分に機能液の一部が退避することにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが防止される。そのため、パターンが所望の形状に正確に形成される。
したがって、本発明のパターン形成方法では、細い線状のパターンを、精度よく安定して形成することができる。
【0010】
上記のパターン形成方法においては、前記バンクによって区画された領域は、一部分の幅が他の部分の幅の110〜500%であるのが好ましい。
バンクによって区画された領域において、一部分の幅が他の部分の幅の110〜500%であることにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが確実に防止される。
【0011】
また、上記のパターン形成方法において、前記バンクによって区画された領域は、他のパターンと交差する部分において部分的に幅が広く形成されているとよい。
この形成方法によれば、基板上のスペースの有効利用を図りやすい。
【0012】
また、上記の膜パターン形成方法において、前記バンクによって区画された領域は、他の膜パターンと交差する部分において部分的に幅が狭く形成することもできる。
この形成方法によれば、膜パターンの交差部において容量が蓄積されず、デバイス特性の向上を図りやすい。
【0013】
また、上記のパターン形成方法において、前記機能液を、液滴吐出法を用いて前記領域に配置するとよい。
この形成方法によれば、液滴吐出法を用いることにより、スピンコート法などの他の塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、基板上に配置する機能液の量や位置の制御を行いやすい。
なお、隣接するバンク間の幅は液滴の直径より狭くしてもよい。この場合、液滴状の機能液は、毛管現象などによりバンク間に入り込む。これにより、吐出する液滴の直径より狭い線幅のパターンが形成される。
【0014】
また、前記機能液が導電性微粒子を含むことにより、導電性を有するパターンが形成される。そのため、このパターンは、配線として、各種デバイスに適用される。
【0015】
次に、本発明の第2のパターン形成方法は、機能液を基板上に液滴吐出法を用いて吐出配置して所定のパターンを形成する方法であって、前記基板上に、前記機能液の飛翔径より大きな幅を有する幅広領域と当該幅広領域よりも狭い幅を有する幅狭領域とが接続されて配置されるようにバンクを形成する工程と、前記幅広領域に前記機能液を吐出配置して前記幅狭領域に前記機能液を流れ込ませることにより、前記幅広領域及び前記幅狭領域に前記機能液を配置する工程とを有することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明の第2のパターン形成方法では、バンクによって区画された幅広領域及び幅狭領域のうち、幅広領域に機能液が吐出配置され、この機能液が濡れ拡がることによって幅狭領域に流れ込む。このため、幅広領域のみに機能液を吐出することによって幅広領域及び幅狭領域に機能液を配置することができる。
また、本発明の第2のパターン形成方法では、幅広領域が機能液の飛翔径よりも大きな幅を有しているため、機能液の一部がバンクの上面に触れることがない。このため、バンクの上面に機能液の残渣が残ることを防止することができる。
したがって、本発明の第2のパターン形成方法では、所望の特性を発揮するパターンを安定して形成することができる。
【0016】
また、上記第2のパターン形成方法においては、前記幅広領域と前記幅狭領域との交差領域に前記機能液を吐出配置することができる。
この形成方法によれば、交差領域に吐出配置された機能液が濡れ拡がる際に容易に幅狭領域に流れ込むため、より円滑に幅狭領域に機能液を配置することが可能となる。
【0017】
また、上記第2のパターン形成方法においては、前記幅広領域と前記幅狭領域との交差領域を囲むように前記機能液を吐出配置した後、前記交差領域に前記機能液を吐出配置することができる。
この形成方法によれば、交差領域を囲むように先に吐出配置された機能液によって、交差領域に吐出配置された機能液の濡れ拡がりが堰きとめられ、幅狭領域に向かう機能液の流量を増加させることができる。このため、より円滑に幅狭領域に機能液を配置するkとが可能となる。
【0018】
本発明のデバイスの製造方法は、基板にパターンが形成されてなるデバイスの製造方法であって、上記のパターン形成方法により、前記基板に前記パターンを形成することを特徴とする。
本発明のデバイス製造方法では、デバイスに形成されるパターンの微細化や細線化が安定して図られる。そのため、高精度なデバイスを安定して製造することができる。
特に、前記パターンが前記基板上に設けられたTFT(膜トランジスタ)等のスイッチング素子の一部を構成する場合には、高集積化されたスイッチング素子を安定的に得ることができる。
【0019】
本発明のデバイスは、上記のデバイス製造方法を用いて製造されることを特徴とすることにより、高い精度を有する。
【0020】
また、本発明の電気光学装置は、上記のデバイスを備えることを特徴とする。
電気光学装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置などを例示できる。
また、本発明の電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これらの発明によれば、高精度なデバイスを有することから、品質や性能の向上が図られる。
【0021】
また、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、アクティブマトリクス基板の製造方法において、基板上にゲート配線を形成する第1の工程と、前記ゲート配線上にゲート絶縁膜を形成する第2の工程と、前記ゲート絶縁膜を介して半導体層を積層する第3の工程と、前記ゲート絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極を形成する第4の工程と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に絶縁材料を配置する第5の工程と、前記ドレイン電極と電気的に接続する画素電極を形成する第6の工程と、を有し、前記第1の工程、前記第4の工程及び前記第6の工程の少なくとも1つの工程では本発明のパターン形成方法を用いることを特徴とする。
【0022】
このような本発明に係るアクティブマトリクス基板の製造方法によれば、細い線状のパターンを備えるアクティブマトリクス基板を精度よく安定して形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
<パターン形成方法(第1実施形態)>
図1は、本発明のパターン形成方法を概念的に示す図である。
本発明のパターン形成方法は、基板P上にバンクBを形成するバンク形成工程、及びバンクBによって区画された線状の領域Aに機能液Lを配置する材料配置工程を有している。
【0024】
本発明のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状領域Aに機能液Lが配置され、この機能液Lが例えば乾燥することにより、基板P上に線状のパターンFが形成される。この場合、バンクBによってパターンFの形状が規定されることから、例えば隣接するバンクB、B間の幅を狭くするなど、バンクBを適切に形成することにより、パターンFの微細化や細線化が図られる。なお、パターンFが形成された後、基板PからバンクBを除去してもよく、そのまま基板P上に残してもよい。
【0025】
また、本発明のパターン形成方法では、基板P上にバンクBを形成する際、バンクBによって区画される線状領域Aについて、一部の幅を広くする。すなわち、線状領域Aの軸方向に関する所定の位置に、他の領域の幅Wに比べて広い幅Wp(Wp>W)からなる部分(以後、必要に応じて幅広部Asと称す)を、単数あるいは複数設ける。
【0026】
ここで、バンクBの形成方法としては、リソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板P上にバンクの形成材料からなる層を形成した後、エッチングやアッシング等によりパターニングすることにより、所定のパターン形状のバンクBが得られる。なお、基板Pとは別の物体上でバンクBを形成し、それを基板P上に配置してもよい。
【0027】
また、バンクBの形成材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料の他、シリカなどの無機物を含む材料が挙げられる。
【0028】
本発明のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状領域Aの幅が部分的(幅広部As)に広く形成されていることにより、機能液Lの配置時、この幅広部Asに機能液Lの一部が退避し、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。
【0029】
一般に、線状領域に液体を配置する際、液体の表面張力の作用などによってその領域に液体が流入しにくかったり、その領域内で液体が広がりにくい場合がある。これに対して、本発明のパターン形成方法では、線幅に差が設けられている部分での液体の動きが誘因となり、線状領域Aへの機能液Lの流入あるいは線状領域A内での機能液Lの広がりが促進され、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。なお、機能液Lの配置に際して、線状領域Aに対する機能液の配置量が適宜設定されることは言うまでもない。
【0030】
このように、本発明のパターン形成方法では、機能液Lの配置時におけるバンクBからの機能液Lの溢れが防止されることから、パターンFが所望の形状に正確に形成される。したがって、細い線状のパターンFを、精度よく安定的に形成することができる。
【0031】
ここで、バンクBによって区画される線状領域Aにおいて、幅広部Asの幅Wpは、他の部分の幅Wの110〜500%であるのが好ましい。これにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが確実に防止される。なお、上記割合が110%未満であると、幅の広い部分に機能液が十分に退避しないおそれがあるので好ましくない。また、500%を超えると、基板上のスペースの有効利用を図る上で好ましくない。
【0032】
なお、線状領域Aの形状は図1に示したものに限らず他の形状でもよい。線状領域Aにおける幅広部Asの個数や大きさ、配置位置、配置ピッチなどはパターンの材質や幅、あるいは要求精度に応じて適宜設定される。
【0033】
図2(a)及び(b)は、線状領域Aの他の形態例を示している。
図1に示した線状領域Aでは、幅広部Asは、他の部分に比べて線状領域Aの中心軸の両側に幅が広がっているのに対して、図2(a)に示した線状領域A2では、幅広部As1,As2は、線状領域A2の中心軸の片側に広がっている。
また、線状領域A2の軸方向に沿って、線状領域A2の中心軸の一方の側に広がった幅広部As1と、他方の側に広がった幅広部As2とが、交互に形成されている。
【0034】
また、図1に示した線状領域Aでは、幅広部Asの縁部が矩形状に形成されているのに対して、図2(b)に示した線状領域A3では、幅広部Asの縁部が三角形状に形成されている。なお、幅広部Asの縁部が円弧状に形成されてもよい。
【0035】
また、図3は、幅広部Asが形成される位置の例を示す図である。
図3において、幅広部Asは、パターン同士(F及びF2)が交差する部分に設けられている。すなわち、線状領域Aは、他のパターンF2が形成される領域と交差する部分において部分的に幅が広く形成されている。これにより、基板上のスペースの有効利用が図れる。なお、図3において、パターンFは例えばTFT構造におけるゲート線として利用され、パターンF2は例えばTFT構造におけるソース線(データ線)として利用される。
【0036】
また、図4は、幅広部Asが形成される位置の他の例を示す図である。
図4において、幅広部Asは、膜パターン同士(F及びF2)が交差する部分以外に設けられている。すなわち、線状領域Aは、他の膜パターンF2が形成される領域と交差する部分において部分的に幅が狭く形成されている。これにより、膜パターンの交差部において容量が蓄積されず、デバイス特性の向上が図れる。なお、図4において、膜パターンFは例えばTFT構造におけるゲート線として利用され、膜パターンF2は例えばTFT構造におけるソース線(データ線)として利用される。
【0037】
本発明における基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものが挙げられる。さらに、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0038】
また、本発明における機能液Lとしては、各種のものが適用されるが、例えば、導電性微粒子を含む配線パターン用インクが用いられる。
また、機能液Lを、バンクBによって区画された領域に配置する方法としては、液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いるのが好ましい。液滴吐出法を用いることにより、スピンコート法などの他の塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、基板上に配置する機能液の量や位置の制御を行いやすいという利点がある。
【0039】
配線パターン用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液や有機銀化合物や酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液からなるものである。
導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の表面にコーティングするコーティング材としては、例えばキシレン、トルエン等の有機溶剤やクエン酸等が挙げられる。
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液体吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーテイング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0040】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0041】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0042】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0043】
液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0044】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0045】
本発明のパターン形成方法では、上述した配線パターン用インクを用いることにより、導電性を有するパターンを形成することができる。この導電性のパターンは、配線として、各種デバイスに適用される。
【0046】
図5は、本発明のパターン形成方法に用いられる装置の一例として、液滴吐出法によって基板上に液体材料を配置する液滴吐出装置(インクジェット装置)IJの概略構成を示す斜視図である。
【0047】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0048】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0049】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0050】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2に液滴吐出ヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構8は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0051】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図5では、液滴吐出ヘッド1は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド1の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド1の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0052】
図6は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図6において、液体材料(配線パターン用インク、機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。
ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。
ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0053】
次に、本発明のパターン形成方法の実施形態の一例として、基板上に導電膜配線を形成する方法について図7を参照して詳しく説明する。
本実施形態に係るパターン形成方法は、上述した配線パターン用のインク(配線パターン形成材料)を基板上に配置し、その基板上に配線用の導電パターンを形成するものであり、バンク形成工程、残渣処理工程、撥液化処理工程、材料配置工程及び中間乾燥工程、焼成工程から概略構成される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
【0054】
(バンク形成工程)
バンクは、仕切部材として機能する部材であり、バンクの形成はリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、図7(a)に示すように、基板P上にバンクの高さに合わせてバンクの形成材料31を塗布し、その上にレジスト層を塗布する。そして、バンク形状(配線パターン)に合わせてマスクを施しレジストを露光・現像することによりバンク形状に合わせたレジストを残す。最後にエッチングしてマスク以外の部分のバンク材料を除去する。また、下層が無機物又は有機物で機能液に対し親液性を示す材料で、上層が有機物で撥液性を示す材料で構成された2層以上でバンク(凸部)を形成してもよい。
【0055】
これにより、図7(b)に示されるように、配線パターンを形成すべき領域の周辺を囲むように、例えば15μm幅でバンクB、Bが突設される。
また、本例では、先の図1に示したように、バンクによって線状の領域が形成され、この線状領域の軸方向に関する所定の位置に、他の領域の幅に比べて広い幅からなる幅広部が形成される。
なお、基板Pに対しては、有機材料塗布前に表面改質処理として、HMDS処理((CH3)3SiNHSi(CH3)3を蒸気状にして塗布する方法)が施されているが、図7ではその図示を省略している。
【0056】
(残渣処理工程(親液化処理工程))
次に、バンク間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、基板Pに対して残渣処理を施す。
残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2 プラズマ処理等を選択できるが、ここではO2 プラズマ処理を実施する。
【0057】
具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。O2 プラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。
なお、基板Pがガラス基板の場合、その表面は配線パターン形成材料に対して親液性を有しているが、本実施の形態のように残渣処理のためにO2 プラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、基板表面の親液性を高めることができる。
【0058】
(撥液化処理工程)
続いて、バンクBに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。
撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4 プラズマ処理法)を採用することができる。CF4 プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000W、4フッ化メタンガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基体搬送速度が0.5〜1020mm/sec、基体温度が70〜90℃とされる。
なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
【0059】
このような撥液化処理を行うことにより、バンクB、Bにはこれを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのO2 プラズマ処理は、バンクBの形成前に行ってもよいが、O2 プラズマによる前処理がなされると、バンクBがフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、バンクBを形成した後にO2 プラズマ処理することが好ましい。
なお、バンクB、Bに対する撥液化処理により、先に親液化処理した基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pはその親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
また、バンクB、Bについては、もともと撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0060】
(材料配置工程及び中間乾燥工程)
次に、先の図5に示した液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、配線パターン形成材料を、基板P上のバンクB、Bによって区画された領域、すなわちバンクB、B間に配置する。なお、本例では、配線パターン用インク(機能液L)として、導電性微粒子を溶媒(分散媒)に分散させた分散液を吐出する。ここで用いられる導電性微粒子は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルの何れかを含有する金属微粒子の他、導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
【0061】
すなわち、材料配置工程では、図7(c)に示すように、液体吐出ヘッド1から機能液Lを液滴にして吐出し、その液滴を基板P上のバンクB、B間に配置する。液滴吐出の条件としては、例えば、インク重量7ng/dot、インク速度(吐出速度)5〜7m/secで行う。
【0062】
このとき、バンクB、Bによって機能液の配置領域が仕切られていることから、その機能液Lが基板P上で拡がることが阻止される。
【0063】
また、図7(c)に示すように、隣接するバンクB、B間の幅Wが液滴の直径Dより狭い場合(すなわち、液滴の直径DがバンクB、B間の幅Wより大きい場合)、図7(d)の二点鎖線で示すように、液滴の一部がバンクB、B上にのるものの、毛管現象などにより機能液LはバンクB、B間に入り込む。本例では、バンクB、Bは撥液性が付与されていることから、機能液がバンクBにはじかれ、バンクB、B間により確実に流れ込む。
また、基板Pの表面は親液性を付与されているため、バンクB、B間に流れ込んだ機能液Lがその区画された領域内で均一に広がる。これにより、吐出する液滴の直径Dより狭い線幅Wの塗膜が形成される。
【0064】
さらに、本例では、先の図1に示したように、線状領域の幅が部分的に広く形成されていることから、機能液の配置時において、この幅広部に機能液の一部が退避し、バンクからの機能液の溢れが確実に防止されるとともに、その領域内での広がりが促進される。
【0065】
(中間乾燥工程)
基板Pに機能液を配置した後、分散媒の除去及び膜厚確保のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。
ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
【0066】
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
【0067】
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行なうこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。この場合、例えば、バンクB及び機能液の乾燥膜の上に低融点ガラスなどを予め塗布してもよい。
また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行なうことが好ましい。
以上の工程により吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、図7(e)に示すように、導電性膜(パターンF)に変換される。
【0068】
以上説明したように、本例のパターン形成方法では、バンクによって区画された線状の領域が部分的に幅が広く形成されていることにより、バンクからの機能液の溢れが確実に防止されるとともに、その線状領域内での広がりが促進される。そのため、細い線状のパターンが、精度よく安定して形成される。
【0069】
<パターン形成方法(第2実施形態)>
次に、本発明の配線パターンの形成方法の第2実施形態について図8を参照しながら説明する。図8は本実施形態に係る配線パターンの形成方法を説明するための模式図である。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0070】
図8において、基板P上には、バンクBによって第1の幅H1を有する第1溝部34A(幅広領域)と、その第1溝部34Aに接続するように第2の幅H2を有する第2溝部34B(幅狭領域)とが形成されている。第1の幅H1は機能液の飛翔径よりも大きく形成されている。第2の幅H2は第1の幅H1よりも狭くなっている。換言すれば、第2の幅H2は第1の幅H1以下である。また、第1溝部34Aは図8中、X軸方向に延びるように形成され、第2溝部34BはX軸方向とは異なる方向のY軸方向に延びるように形成されている。
【0071】
上述した溝部34A、34BにパターンFを形成するためには、まず、図9(a)に示すように、パターンFを形成するための配線パターンインクを含む機能液Lの液滴を液滴吐出ヘッド1により第1溝部34Aの所定位置に配置する。機能液Lの液滴を第1溝部34Aに配置するときには、第1溝部34Aの上方より液滴吐出ヘッド1を使って液滴を第1溝部34Aに吐出する。本実施形態においては、図9(a)に示すように、機能液Lの液滴は、第1溝部34Aの長手方向(X軸方向)に沿って所定間隔で配置される。このとき、機能液Lの液滴は、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍(交差領域)にも配置される。
【0072】
図9(b)に示すように、第1溝部34Aに配置された機能液Lは、自己流動により第1溝部34A内において濡れ拡がる。更に、第1溝部34Aに配置された機能液Lは、自己流動によって第2溝部34Bにも濡れ拡がる。これにより、第2溝部34B上より直接的に第2溝部34Bに対して液滴を吐出することなく、第2溝部34Bにも機能液Lを配置することができる。
【0073】
このように、第1溝部34Aに機能液Lを配置することで、その第1溝部34Aに配置された機能液Lの自己流動(毛管現象)によって機能液Lを第2溝部34Bに配置することができる。したがって、狭い幅H2の第2溝部34Bに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しなくても、広い幅H1の第1溝部34Aに機能液Lの液滴を吐出することで、第2溝部34Bに機能液Lを円滑に配置することができる。特に、第2溝部34Bの幅H2が狭く、液滴吐出ヘッド1より吐出された液滴径(飛翔中の液滴径)が幅H2よりも小さい場合であっても、機能液Lの自己流動によって第2溝部34Bに機能液Lを円滑に配置することができる。そして、第2溝部34Bの幅H2は狭いので、機能液Lは毛管現象によって第2溝部34Bに円滑に配置される。したがって、所望の形状を有するパターンを形成することができる。そして、狭い幅の第2溝部34Bに機能液Lを円滑に配置できるので、パターンの細線化(微細化)を実現することができる。一方、第1溝部34Aの幅H1は広いので、第1溝部34Aに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しても、バンクBの上面38に機能液Lの一部がかかって残渣が残る不都合を回避できる。したがって、所望の特性を発揮するパターンFを安定して形成することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍に機能液Lが配置されるため、機能液Lが濡れ拡がる際に容易に第2溝部34Bに流れ込ませることができ、より円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することが可能となる。
【0075】
第1溝部34A及び第2溝部34Bに機能液Lを配置した後、上述した第1実施形態同様、中間乾燥工程及び焼成工程を経ることによって、パターンFを形成することができる。
【0076】
なお、図10に示すように、第2溝部34Bに機能液の溶媒のみからなる機能液Laを吐出配置しておいてから機能液Lを上述のように配置しても良い。このように第2溝部34Bに機能液Lを吐出配置しておくことによって、第2溝部34Bに機能液Lが流れ込み易くなり、より円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することができる。なお、機能液Laは導電性微粒子を含んでいないため導電性を有していない。このため、バンクB上に機能液Lの残渣が残った場合であってもパターンFの所望の特性を変化させることはない。
【0077】
また、機能液Lを配置した後に真空乾燥工程を行っても良い。真空乾燥工程を行うことによって機能液Lが真空吸引されるため、この場合においてもより円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することが可能となる。
また、機能液Lを配置した後に機能液Lに対して第2溝部34Bに向けてガスを吹付けても良い。このように機能液Lに対して第2溝部34Bに向けてガスを吹付けることによって機能液L第2溝部34Bに流れ込み易くなるため、この場合においてもより円滑に第2溝部34Bに機能液Lを配置することが可能となる。
【0078】
なお、図11に示すように、第1溝部34Aと第2溝部34Bとの接続部37を、第1溝部34Aから第2溝部34Bに向かって漸次窄まるようなテーパ形状にしてもよい。こうすることにより、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに円滑に流入させることができる。
【0079】
また、図12に示すように、第1溝部34Aの延在方向と第2溝部34Bの延在方向とが違いに交差する形態において、第1溝部34Aのうち第2溝部34B近傍の領域の幅H1’をその他の領域の幅H1よりも局所的に狭くするようにしてもよい。こうすることによっても、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに円滑に流入させることができる。この場合において、第1溝部34Aを形成するバンクBの内壁面Bhを、第2溝部34Bに向かって傾斜させることにより、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに更に円滑に流入させることができる。
【0080】
なお、上述した各実施形態においては、広い幅H1を有する第1溝部34Aの延在方向と狭い幅H2を有する第2溝部34Bの延在方向とは互いに異なっているが、図13に示すように、広い幅H1を有する第1溝部34Aの延在方向と狭い幅H2を有する第2溝部34Bの延在方向とは同じであってもよい。その場合においても、図13(a)に示すように、第1溝部34Aに機能液Lを配置することによって、その機能液Lの自己流動によって、図13(b)に示すように、機能液Lを第2溝部34Bに配置することができる。またこの場合においても、第1溝部34Aと第2溝部34Bとの接続部37を、第1溝部34Aから第2溝部34Bに向かって漸次窄まるようなテーパ形状にすることで、第1溝部34Aに配置した機能液Lを第2溝部34Bに円滑に流入させることができる。
【0081】
また、第1溝部34Aに配置した機能液Lを自己流動によって第2溝部34Bに配置するとき、図14に示すように、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37以外の領域に堤防部39を設けるとよい。図14における堤防部39は、第1溝部34Aに配置した機能液Lの液滴である。すなわち、堤防部39として用いる機能液Lの液滴は、第2溝部34Bに流動させるものではなく、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍(交差領域)を囲うように、最初に配置された液滴である。図14においては、堤防部39として機能する最初に配置される液滴に「1」が付されている。そして、第2溝部34Bに自己流動によって配置させるための機能液Lは接続部37と堤防部39との間に配置される。この液滴には「2」が付されている。こうすることにより、第1溝部34Aのうち接続部37と堤防部39(液滴「1」)との間に配置された機能液Lの液滴「2」は、接続部37以外の方向への流動を阻止され、接続部37側に流動する。したがって、第2溝部34Bに向かう機能液Lの流量を増加させることができ、液滴「2」は、接続部37を介して第2溝部34Bに円滑に流入する。
【0082】
また、図15に示すように、堤防部39としてバンクBの内壁面Bhを使うようにしてもよい。
【0083】
また、図16に示すように、第1溝部34Aに、第1溝部34Aの幅H1及び第2溝部34Bの幅H2よりも狭い幅H3を有する第3溝部34Cが接続されている形態においても、バンクBの内壁面Bhが堤防部39として機能するため、第1溝部H1に配置された機能液Lは、第2溝部34B及び第3溝部34Cに円滑に流入される。
【0084】
<薄膜トランジスタ>
本発明の配線パターンの形成方法は、図17に示すようなスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)及びそれに接続する配線を形成するときに適用可能である。図17において、TFTを有するTFT基板P上には、ゲート配線40と、このゲート配線40に電気的に接続するゲート電極41と、ソース配線42と、このソース配線42に電気的に接続するソース電極43と、ドレイン電極44と、ドレイン電極44に電気的に接続する画素電極45とを備えている。ゲート配線40はX軸方向に延びるように形成され、ゲート電極41はY軸方向に延びるように形成されている。また、ゲート電極41の幅H2はゲート配線40の幅H1よりも狭くなっている。これらゲート配線40及びゲート電極41を、本発明に係る配線パターンの形成方法で形成することができる。
【0085】
また、上述した実施形態においては、本発明に係るパターン形成方法を使って、TFT(薄膜トランジスタ)のゲート配線を形成しているが、ソース電極、ドレイン電極、画素電極などの他の構成要素を製造することも可能である。以下、TFTを製造する方法について図18を参照しながら説明する。
【0086】
図18(a)に示すように、まず、洗浄したガラス基板610の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10の溝611aを設けるための第1層目のバンク611が、フォトリソグラフィ法に基づいて形成される。このバンク611としては、形成後に光透過性と撥液性を備える必要があり、その素材としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が好適に用いられる。
【0087】
この形成後のバンク611に撥液性を持たせるために、CF4プラズマ処理等(フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理)を施す必要があるが、代わりに、バンク611の素材自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておいても良い。この場合には、CF4プラズマ処理等を省略することができる。
【0088】
以上のようにして撥液化されたバンク611の、吐出インクに対する接触角としては、40°以上、またガラス面の接触角としては、10°以下を確保することが好ましい。すなわち、本発明者らが試験により確認した結果、例えば導電性微粒子(テトラデカン溶媒)に対する処理後の接触角は、バンク611の素材としてアクリル樹脂系を採用した場合には約54.0°(未処理の場合には10°以下)を確保することができる。なお、これら接触角は、プラズマパワー550Wのもと、4フッ化メタンガスを0.1L/minで供給する処理条件下で得たものである。
【0089】
上記第1層目のバンク形成工程に続くゲート走査電極形成工程では、バンク611で区画された描画領域である前記溝611a内を満たすように、導電性材料を含む液滴をインクジェットで吐出することでゲート走査電極612を形成する。そして、ゲート走査電極612を形成するときに、本発明に係るパターンの形成方法が適用される。
【0090】
この時の導電性材料としては、Ag,Al,Au,Cu,パラジウム、Ni,W−si,導電性ポリマーなどが好適に採用可能である。このようにして形成されたゲート走査電極612は、バンク611に十分な撥液性が予め与えられているので、溝611aからはみ出ることなく微細な配線パターンを形成することが可能となっている。
【0091】
以上の工程により、基板610上には、バンク611とゲート走査電極612からなる平坦な上面を備えた第1の導電層A1が形成される。
【0092】
また、溝611a内における良好な吐出結果を得るためには、図18(a)に示すように、この溝611aの形状として準テーパ(吐出元に向かって開く向きのテーパ形状)を採用するのが好ましい。これにより、吐出された液滴を十分に奥深くまで入り込ませることが可能となる。
【0093】
次に、図18(b)に示すように、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜613、活性層610、コンタクト層609の連続成膜を行う。ゲート絶縁膜613として窒化シリコン膜、活性層610としてアモルファスシリコン膜、コンタクト層609としてn+型シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成する。CVD法で形成する場合、300℃〜350℃の熱履歴が必要になるが、無機系の材料をバンクに使用することで、透明性、耐熱性に関する問題を回避することが可能である。
【0094】
上記半導体層形成工程に続く第2層目のバンク形成工程では、図18(c)に示すように、ゲート絶縁膜613の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10でかつ前記溝611aと交差する溝614aを設けるための2層目のバンク614を、フォトリソグラフィ法に基づいて形成する。このバンク614としては、形成後に光透過性と撥液性を備える必要があり、その素材としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が好適に用いられる。
【0095】
この形成後のバンク614に撥液性を持たせるためにCF4プラズマ処理等(フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理)を施す必要があるが、代わりに、バンク614の素材自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておくものとしても良い。この場合には、CF4プラズマ処理等を省略することができる。
【0096】
以上のようにして撥液化されたバンク614の、吐出インクに対する接触角としては、40°以上を確保することが好ましい。
【0097】
上記第2層目のバンク形成工程に続くソース・ドレイン電極形成工程では、バンク614で区画された描画領域である前記溝614a内を満たすように、導電性材料を含む液滴をインクジェットで吐出することで、図18(d)に示すように、前記ゲート走査電極612に対して交差するソース電極615及びソース電極616が形成される。そして、ソース電極615及びドレイン電極616を形成するときに、本発明に係るパターンの形成方法が適用される。
【0098】
この時の導電性材料としては、Ag,Al,Au,Cu,パラジウム、Ni,W−si,導電性ポリマーなどが好適に採用可能である。このようにして形成されたソース電極615及びドレイン電極616は、バンク614に十分な撥液性が予め与えられているので、溝614aからはみ出ることなく微細な配線パターンを形成することが可能となっている。
【0099】
また、ソース電極615及びドレイン電極616を配置した溝614aを埋めるように絶縁材料617が配置される。以上の工程により、基板610上には、バンク614と絶縁材料617からなる平坦な上面620が形成される。
【0100】
そして、絶縁材料617にコンタクトホール619を形成するとともに、上面620上にパターニングされた画素電極(ITO)618を形成し、コンタクトホール619を介してドレイン電極616と画素電極618とを接続することで、TFTが形成される。
【0101】
<電気光学装置>
次に、本発明の電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。
図19は、本発明に係る液晶表示装置について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図20は図18のH−H’線に沿う断面図である。図21は、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図22は、液晶表示装置の部分拡大断面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0102】
図19及び図20において、本実施の形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFTアレイ基板10と対向基板20とが光硬化性の封止材であるシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0103】
シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、C−TN法、VA方式、IPS方式モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0104】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図21に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0105】
画素電極19は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図20に示す対向基板20の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極19と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。例えば、画素電極19の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0106】
図22はボトムゲート型TFT30を有する液晶表示装置100の部分拡大断面図であって、TFTアレイ基板10を構成するガラス基板Pには、上記パターン形成方法により、導電性膜としてのゲート配線61が形成されている。
【0107】
ゲート配線61上には、SiNxからなるゲート絶縁膜62を介してアモルファスシリコン(a−Si)層からなる半導体層63が積層されている。このゲート配線部分に対向する半導体層63の部分がチャネル領域とされている。半導体層63上には、オーミック接合を得るための例えばn+型a−Si層からなる接合層64a及び64bが積層されており、チャネル領域の中央部における半導体層63上には、チャネルを保護するためのSiNxからなる絶縁性のエッチストップ膜65が形成されている。なお、これらゲート絶縁膜62、半導体層63、及びエッチストップ膜65は、蒸着(CVD)後にレジスト塗布、感光・現像、フォトエッチングを施されることで、図示されるようにパターニングされる。
【0108】
さらに、接合層64a、64b及びITOからなる画素電極19も同様に成膜するとともに、フォトエッチングを施されることで、図示するようにパターニングされる。そして、画素電極19、ゲート絶縁膜62及びエッチストップ膜65上にそれぞれバンク66…を突設し、これらバンク66…間に上述した液滴吐出装置IJを用いて、銀化合物の液滴を吐出することでソース線、ドレイン線を形成することができる。
【0109】
本実施の形態の液晶表示装置は、上記パターン形成方法により、微細化や細線化が図られた導電膜が、精度よく安定して形成されることから、高い品質や性能が得られる。
【0110】
なお、上記実施形態では、TFT30を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT30を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0111】
図23は、前記液滴吐出装置IJにより一部の構成要素が製造された有機EL装置の側断面図である。図23を参照しながら、有機EL装置の概略構成を説明する。
図23において、有機EL装置401は、基板411、回路素子部421、画素電極431、バンク部441、発光素子451、陰極461(対向電極)、および封止基板471から構成された有機EL素子402に、フレキシブル基板(図示略)の配線および駆動IC(図示略)を接続したものである。回路素子部421は、アクティブ素子であるTFT60が基板411上に形成され、複数の画素電極431が回路素子部421上に整列して構成されたものである。そして、TFT60を構成するゲート配線61が、上述した実施形態の配線パターンの形成方法により形成されている。
【0112】
各画素電極431間にはバンク部441が格子状に形成されており、バンク部441により生じた凹部開口444に、発光素子451が形成されている。なお、発光素子451は、赤色の発光をなす素子と緑色の発光をなす素子と青色の発光をなす素子とからなっており、これによって有機EL装置401は、フルカラー表示を実現するものとなっている。陰極461は、バンク部441および発光素子451の上部全面に形成され、陰極461の上には封止用基板471が積層されている。
【0113】
有機EL素子を含む有機EL装置401の製造プロセスは、バンク部441を形成するバンク部形成工程と、発光素子451を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子451を形成する発光素子形成工程と、陰極461を形成する対向電極形成工程と、封止用基板471を陰極461上に積層して封止する封止工程とを備えている。
【0114】
発光素子形成工程は、凹部開口444、すなわち画素電極431上に正孔注入層452および発光層453を形成することにより発光素子451を形成するもので、正孔注入層形成工程と発光層形成工程とを具備している。そして、正孔注入層形成工程は、正孔注入層452を形成するための液状体材料を各画素電極431上に吐出する第1吐出工程と、吐出された液状体材料を乾燥させて正孔注入層452を形成する第1乾燥工程とを有している。また、発光層形成工程は、発光層453を形成するための液状体材料を正孔注入層452の上に吐出する第2吐出工程と、吐出された液状体材料を乾燥させて発光層453を形成する第2乾燥工程とを有している。なお、発光層453は、前述したように赤、緑、青の3色に対応する材料によって3種類のものが形成されるようになっており、したがって前記の第2吐出工程は、3種類の材料をそれぞれに吐出するために3つの工程からなっている。
【0115】
この発光素子形成工程において、正孔注入層形成工程における第1吐出工程と、発光層形成工程における第2吐出工程とで前記の液滴吐出装置IJを用いることができる。
【0116】
また、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0117】
図24は、液晶表示装置の別の実施形態を示す図である。
図24に示す液晶表示装置(電気光学装置)901は、大別するとカラーの液晶パネル(電気光学パネル)902と、液晶パネル902に接続される回路基板903とを備えている。また、必要に応じて、バックライト等の照明装置、その他の付帯機器が液晶パネル902に付設されている。
【0118】
液晶パネル902は、シール材904によって接着された一対の基板905a及び基板905bを有し、これらの基板905bと基板905bとの間に形成される間隙、いわゆるセルギャップには液晶が封入されている。これらの基板905a及び基板905bは、一般には透光性材料、例えばガラス、合成樹脂等によって形成されている。基板905a及び基板905bの外側表面には偏光板906a及び偏光板906bが貼り付けられている。なお、図24においては、偏光板906bの図示を省略している。
【0119】
また、基板905aの内側表面には電極907aが形成され、基板905bの内側表面には電極907bが形成されている。これらの電極907a、907bはストライプ状または文字、数字、その他の適宜のパターン状に形成されている。また、これらの電極907a、907bは、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等の透光性材料によって形成されている。基板905aは、基板905bに対して張り出した張り出し部を有し、この張り出し部に複数の端子908が形成されている。これらの端子908は、基板905a上に電極907aを形成するときに電極907aと同時に形成される。従って、これらの端子908は、例えばITOによって形成されている。これらの端子908には、電極907aから一体に延びるもの、及び導電材(不図示)を介して電極907bに接続されるものが含まれる。
【0120】
回路基板903には、配線基板909上の所定位置に液晶駆動用ICとしての半導体素子900が実装されている。なお、図示は省略しているが、半導体素子900が実装される部位以外の部位の所定位置には抵抗、コンデンサ、その他のチップ部品が実装されていてもよい。配線基板909は、例えばポリイミド等の可撓性を有するベース基板911の上に形成されたCu等の金属膜をパターニングして配線パターン912を形成することによって製造されている。
【0121】
本実施形態では、液晶パネル902における電極907a、907b及び回路基板903における配線パターン912が上記デバイス製造方法によって形成されている。
本実施形態の液晶表示装置によれば、電気特性の不均一が解消された高品質の液晶表示装置を得ることができる。
【0122】
なお、前述した例はパッシブ型の液晶パネルであるが、アクティブマトリクス型の液晶パネルとしてもよい。すなわち、一方の基板に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、各TFTに対し画素電極を形成する。また、各TFTに電気的に接続する配線(ゲート配線、ソース配線)を上記のようにインクジェット技術を用いて形成することができる。一方、対向する基板には対向電極等が形成されている。このようなアクティブマトリクス型の液晶パネルにも本発明を適用することができる。
【0123】
また、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0124】
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図25(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図25(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図25(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図25(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図25(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図25(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図25(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置を備えたものであるので、高い品質や性能が得られる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0125】
次に、本発明のパターンの形成方法によって形成されるパターンを、アンテナ回路に適用した例について説明する。
図26は、本実施形態例に係る非接触型カード媒体を示しており、非接触型カード媒体400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、図示されない外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行うようになっている。
【0126】
本実施形態では、上記アンテナ回路412が、本発明のパターン形成方法に基づいて形成されている。そのため、上記アンテナ回路412の微細化や細線化が図られ、高い品質や性能を得ることができる。
【0127】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明のパターン形成方法を概念的に示す図である。
【図2】線状領域の他の形態例を示す図である。
【図3】線状領域における幅広部が形成される位置の例を示す図である。
【図4】線状領域における幅広部が形成される位置の他の例を示す図である。
【図5】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図6】ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための図である。
【図7】配線パターン形成する手順を示す図である。
【図8】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図9】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図10】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図11】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図12】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図13】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図14】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図15】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図16】配線パターン形成方法の別形態を示す図である。
【図17】薄膜トランジスタを有する基板の一例を示す模式図である。
【図18】薄膜トランジスタを製造する工程を説明するための図である。
【図19】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図20】図19のH−H’線に沿う断面図である。
【図21】液晶表示装置の等価回路図である。
【図22】同、液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図23】有機EL装置の部分拡大断面図である。
【図24】液晶表示装置の別形態を示す図である。
【図25】本発明の電子機器の具体例を示す図である。
【図26】非接触型カード媒体の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0129】
B…バンク、P…基板(ガラス基板)、A…線状領域、As…幅広部、W,Wp…幅、F…パターン(導電性膜)、30…TFT(スイッチング素子)、100…液晶表示装置(電気光学装置)、400…非接触型カード媒体(電子機器)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、
バンクで区画された領域にゲート電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、
バンクで区画された領域にソース電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項3】
表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、
バンクで区画された領域にドレイン電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記バンクで区画された領域がゲート配線よりも狭い幅を有することを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記バンクで区画された領域がソース配線よりも狭い幅を有することを特徴とする請求項2記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記バンクは、テーパ形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記バンクは、高分子材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記高分子材料は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記バンクは、光透過性及び撥液性を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
【請求項1】
表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、
バンクで区画された領域にゲート電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、
バンクで区画された領域にソース電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項3】
表示装置の駆動のための薄膜トランジスタであって、
バンクで区画された領域にドレイン電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記バンクで区画された領域がゲート配線よりも狭い幅を有することを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記バンクで区画された領域がソース配線よりも狭い幅を有することを特徴とする請求項2記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記バンクは、テーパ形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記バンクは、高分子材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記高分子材料は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記バンクは、光透過性及び撥液性を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2007−288203(P2007−288203A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121692(P2007−121692)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【分割の表示】特願2005−365341(P2005−365341)の分割
【原出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【分割の表示】特願2005−365341(P2005−365341)の分割
【原出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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