説明

薄膜堆積方法およびその装置

【課題】本発明は、従来のCVD装置で用いることの出来なかった材料により成膜を可能にし、さらに不純物が混じらない高品質の成膜を可能とした薄膜堆積方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】非平衡プラズマにより原料ガス14に与えるエネルギーと、原料ガス14より生成する目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーとの差分のエネルギーを求め、ポテンシャルエネルギーが不足の場合、前記差分のエネルギーを補充するレーザ光19の波長を求め、ポテンシャルエネルギーが余剰の場合、差分のエネルギーを誘導放出により放出するレーザ光19の波長を求め、非平衡プラズマ化された原料ガス14に、求めた波長のレーザ光19を照射して、原料ガス14の基底準位を前記ポテンシャルエネルギーに遷移し、原料物質より目的の反応生成物を解離または分解し、被成膜物質12に堆積して成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルや太陽電池の薄膜形成に使用される、光を用いたCVD(chemical vapor deposition)による薄膜堆積方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光を用いたCVDによる薄膜堆積方法を使用する光CVD装置の一例が特許文献1に開示されている。
この光CVD装置では、真空容器の上部に、反応ガスが導入される反応ガス導入口が設けられ、真空容器の底部に、真空ポンプに連結された排気口が設けられ、真空容器内は、所定圧(通常、1Torr)の真空状態とされている。また真空容器の下部中央に、試料である複数枚のウェハが載置される円形状の試料載置部が水平に設置されており、この試料載置部は、真空容器の下方に設けたモータにより所定速度で回転される。また試料載置部に下部電極が配置され、その上方に略同形の上部電極が配置され、これら電極間に高周波電源が接続されており、前記電極間にプラズマが発生される。さらに試料載置部の外周は、内周面全体が鏡面処理されたスリット(2箇所)付きの円筒形光反射板により囲まれ、真空容器の内壁には、2台のレーザ光発振器が設置されており、これらレーザ光発振器からレーザ光がそれぞれ、前記光反射板のスリットを通過して試料載置部の上面に水平に照射され、レーザ光は光反射板により高い反射率で繰り返し反射される。
【0003】
上記構成により、真空容器の試料載置部にウェハが載置されると、真空容器内は所定圧の真空状態とされ、続いて反応ガスが導入され、試料載置部が回転され、高周波電源により下部電極と上部電極との間にプラズマが発生され、続いてレーザ光がスリットを通してウェハ周囲の反応ガスに照射される。このとき、導入されたレーザ光は、光反射板の内周面で繰り返し反射され、広い面積に渡ってレーザ光が照射され、反応ガスの反応効率を向上している。そして、レーザ光の照射が一定時間継続すると、ウェハ周囲の反応ガスが光励起され、プラズマのエネルギーと光の励起エネルギーによって生じた反応生成物がウェハの表面に堆積され薄膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−28811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の薄膜堆積方法では、次の課題があった。
1.プラズマCVD(あるいは熱CVD;熱プロセス)においては、成膜速度が速く、大きな面積に成形することが可能だが、図8に示すように、物質に与えるエネルギー幅が大きいため複数の化学反応が生じ、目的以外の物質が生成され(不純物が生成され)、目的の物質のみを得ることは難しかった。すなわち、通常のプラズマCVDではガス温度と電子温度が平衡状態になるため反応物質の温度が高く、種々のポテンシャルエネルギーを超えてしまい、必要とする化学反応以外の複数の化学反応が生じ、目的の物質のみを得ることは難しく、また反応の制御が難しかった。またプラズマCVDにおいて非平衡プラズマを用いる場合、電子のみを加熱できるため、化学反応を制御できるが、加熱が複数段必要な場合やプラズマを安定させるエネルギーが反応生成物のポテンシャルエネルギーより大きな場合は適用ができなかった。
【0006】
2.プラズマCVDでは反応を生じさせるエネルギーに指向性が無いため、直接、微細な領域に成膜を行うことはできない。そのため、被成膜物質の成膜が必要の無い部分にマスクを付け、成膜を行った後、必要でない部分をエッチングを用いて除去する必要があった。
【0007】
3.光としてレーザ光を使用するレーザCVD(レーザプロセス)においてはレーザの発振スペクトルが狭いため化学反応に対応するエネルギーを選択的に与えることができ、化学反応を制御することができるが、下記の式で表されるレーザの光子エネルギーEに限界があるため使用できる材料が限られていた。またレーザ光の発振波長が離散的であるため制御できる反応を持つ材料が少なかった。
【0008】
E=hc/λ
h:プランク定数、c:光速度、λ:波長
なお、ランプを用いた光CVD(光励起プロセス)においても比較的大きな面積に成膜をすることが出来るが、図8に示すように、使用するランプの発光スペクトルが広いため、やはり必要とする化学反応以外の複数の化学反応が生じ、目的の物質のみを得ることは難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、従来のCVD装置で用いることの出来なかった材料により成膜を可能にし、さらに不純物が混じらない高品質の成膜を可能とした薄膜堆積方法およびその装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、原料ガスをプラズマ化し、このプラズマ化された原料ガスにレーザ光を照射して、前記原料ガスの原料物質より反応生成物を生成し、被成膜物質に堆積して成膜する薄膜堆積方法であって、
前記プラズマにより原料ガスに与えるエネルギーと、前記原料ガスの原料物質から生成する目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーとの差分のエネルギーを求め、前記ポテンシャルエネルギーが不足の場合、前記差分のエネルギーを補充する前記レーザ光の波長を求め、ポテンシャルエネルギーが余剰の場合、差分のエネルギーを誘導放出により放出する前記レーザ光の波長を求め、前記プラズマ化された原料ガスに前記波長のレーザ光を照射して、原料ガスの基底準位を前記目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移し、前記原料ガスの原料物質より前記目的の反応生成物を解離または分解し、この解離または分解した反応生成物を前記被成膜物質に堆積し、成膜することを特徴とするものである。
【0011】
上記方法によれば、プラズマによるエネルギーに、選択的にレーザ光のエネルギーを補充し、または誘導放出により余剰エネルギーを放出させることにより、原料ガスの基底準位を目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移して、原料ガスの原料物質から前記反応生成物を解離または分解し、この解離または分解した反応生成物を被成膜物質と反応させて薄膜を形成する。
【0012】
このように、原料ガスの基底準位を、選択的に目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移することにより、目的の反応生成物を得ることができる方法であることから、従来のCVD装置で用いることのできなかった材料により目的の反応生成物の成膜が可能となり、また不純物が混じらない高品質の成膜が可能となる。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、レーザ光の波長が10nmから20μmであることを特徴とするものである。
上記方法によれば、10nmから20μmの波長のレーザ光により、殆どの反応ガスの原料物質を目的の反応生成物に解離または分解する差分のエネルギーを与えることができるために、従来のCVD装置により使用できなかった材料で目的の反応生成物が得られる。
【0014】
また請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明であって、前記プラズマが非平衡プラズマであることを特徴とするものである。
上記方法によれば、非平衡プラズマは電子温度は高いが、イオンや中性粒子の温度が低いプラズマであり、電子のみを加熱することができるため、化学反応を制御することができ、よって目的の反応生成物に解離または分解する特有のポテンシャルエネルギーに近いエネルギーを得ることが容易となる。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、常圧の容器と、前記容器内の底部中央に配置され、被成膜物質が上面に載置される、平面的に移動可能な試料設置部と、前記容器内で、前記試料設置部に対向して上方に、マイクロメータ単位のギャップを挟んで配置される電極と、前記電極に給電し、電極間に非平衡プラズマを発生させる高周波電源と、前記容器に配置され、前記ギャップに斜め上方から原料ガスを供給する材料ガス供給ノズルと、上方から前記ギャップの中心を通して、前記被成膜物質の薄膜形成面に対して垂直にレーザ光を照射するレーザ光発生装置と
を備え、前記電極間に発生する非平衡プラズマにより原料ガスに与えるエネルギーと、前記原料ガスの原料物質から生成される目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーとの差分のエネルギーを求め、ポテンシャルエネルギーが不足の場合、この差分のエネルギーを補充する前記レーザ光の波長を求め、ポテンシャルエネルギーが余剰の場合、前記差分のエネルギーを誘導放出により放出する前記レーザ光の波長を求め、前記高周波電源より前記電極間に給電し、前記材料ガス供給ノズルから原料ガスを供給し、原料ガスを前記電極間で非平衡プラズマ化して予備加熱し、続いて前記レーザ光発生装置により上方から前記波長のレーザ光を照射して、前記原料ガスの基底準位を前記目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移し、前記原料ガスの原料物質より前記目的の反応生成物を解離または分解し、この解離または分解した反応生成物を前記レーザ光により前記被成膜物質に運んで堆積し、成膜することを特徴とするものである。
【0016】
上記構成によれば、非平衡プラズマによるエネルギーに、選択的にレーザ光のエネルギーを補充し、または誘導放出により余剰エネルギーを放出させることにより、原料ガスの基底準位を目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移して、原料ガスの原料物質から前記反応生成物を解離または分解し、この解離または分解した反応生成物をレーザ光により運んで被成膜物質と反応させて薄膜を形成する。
【0017】
このように、原料ガスの基底準位を、選択的に目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移することにより、目的の反応生成物を得ることができることから、従来CVDで用いることのできなかった材料により目的の反応生成物の成膜が可能となり、また不純物が混じらない高品質の成膜が可能となる。
【0018】
また請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明であって、非平衡プラズマは、マイクロ波励起プラズマ発生装置またはマイクロホローカソード放電プラズマ発生装置により発生されることを特徴とするものである。
【0019】
上記構成によれば、マイクロ波励起プラズマ装置またはマイクロホローカソード放電プラズマ装置により、対向する電極間のマイクロメータ単位のギャップの範囲に限定して非平衡プラズマが発生し、この範囲で、ギャップに供給される原料ガスは非平衡プラズマ化され、これに上方からレーザ光が照射されて、レーザ光が照射された部分が活性化されて目的の反応生成物が生成され、レーザ光に運ばれ、被成膜物質の微細な領域に反応生成物が堆積される。このように直接、微細な領域に成膜を行うことができるため、成膜を行った後に、必要でない部分をエッチングを用いて除去する工程を不要にできる。
【0020】
また請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の発明であって、前記レーザ光発生装置は、一定波長の励起光から、非線形光学結晶または周期的に分極を反転した波長変換素子を通して、任意の波長のレーザ光を得ることを特徴とするものである。
【0021】
上記構成によれば、波長変換素子の調整あるいは交換により、目的の反応生成物のポテンシャルエネルギーを得るためのレーザ光の波長が得られる。
また請求項7に記載の発明は、請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の発明であって、レーザ光の持つ空間選択性と平面的に移動可能な前記試料設置部の作用により、試料設置部に載置された前記被成膜物質の任意の場所に特定の反応生成物のみからなる薄膜を堆積させることを特徴とするものである。
【0022】
上記構成によれば、非平衡プラズマ化された原料ガスに上方からレーザ光が照射されて、レーザ光が照射された部分に目的の反応生成物が生成されるレーザ光の持つ空間選択性があり、且つ試料設置部が平面的に移動可能なことにより、被成膜物質の任意の場所に特定の反応生成物のみからなる薄膜を堆積させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の薄膜堆積方法およびその装置は、プラズマによるエネルギーに、選択的にレーザ光のエネルギーを補充し、または誘導放出により余剰エネルギーを放出させることにより、原料ガスの基底準位を、目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移し、目的の反応生成物を得ることができる方法および装置であることから、従来のCVD装置で用いることのできなかった材料により目的の反応生成物の成膜が可能となり、さらに不純物が混じらない高品質の成膜を得ることができる、という効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における薄膜堆積方法を使用する薄膜堆積装置の構成図である。
【図2】同薄膜堆積装置における非平衡プラズマ源の図であり、(a)はマイクロ波励起プラズマ発生装置、(b)はマイクロホローカソード放電プラズマ発生装置を示す図である。
【図3】同薄膜堆積装置の光パラメトリック発振器の構成を示す図である。
【図4】同薄膜堆積装置における反応経路の選択性を示す図である。
【図5】同薄膜堆積装置におけるプラズマ中でのシランガスの解離過程と生成経路を示す図である。
【図6】同薄膜堆積装置における薄膜堆積方法を説明するフローチャートである。
【図7】被成膜物質上への薄膜形成の他の実施の形態を示す図である。
【図8】CVDで与えられるエネルギーの範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態における薄膜堆積方法を使用する薄膜堆積装置の構成図である。
【0026】
図1において、11は、本発明の薄膜堆積装置10の容器(薄膜形成部)であり、容器11の内部の底部中央には、XYスライダからなり、被成膜物質12が上面に載置され平面的に移動可能な試料設置部13が設けられている。なお、容器11内は大気圧(常圧)である。
【0027】
試料設置部13(被成膜物質12)に対向して上方に、原料ガス14の加熱に用いる非平衡プラズマ源として、図2(a)に示すマイクロ波励起プラズマ発生装置15が設けられている。このマイクロ波励起プラズマ発生装置15は、被成膜物質12に対向して上方で、かつ水平に、大気圧(常圧)でプラズマが発生可能なマイクロメータ単位のギャップ(例えば、100μm;以下、マイクロギャップと称す)16aを挟んで配置された一対の板状の電極16と、これら一対の電極16に接続され、高周波のCW(連続波)の電圧を印加する電源(高周波電源)17から構成され、電源17は、発生する高周波のCW(連続波)の電圧を調整する機能を備えている。前記一対の電極16は、線(あるいは極めて細い面)で対向するように先端が斜めに切り取られた形状とされており、且つマイクロギャップ16aを挟んで配置されていることから、大気圧(常圧)において低電圧で、マイクロ波励起プラズマ(非平衡プラズマ)21がマイクロギャップ16aの限られた範囲で発生される。よって低温での薄膜堆積のプロセスが可能となっている。なお、マイクロギャップ16aは被成膜物質12のほぼ上方中心に位置される。ここで、非平衡プラズマとは、電子と気体原子の温度が大きく異なっている状態のうち、電子の温度が高い場合を示す。
【0028】
また容器11に、マイクロギャップ16aの斜め上方から、電極16間に生成されたマイクロ波励起プラズマ21に原料ガス14を供給する材料ガス供給ノズル18が設けられている。
【0029】
上記電源17により一対の電極16に電圧が印加されてマイクロギャップ放電されると、CW(連続波)マイクロ波をプラズマ源として、材料ガス供給ノズル18から供給される原料ガス14は電極16間でマイクロ波励起プラズマ化(非平衡プラズマ化の一例)される。
【0030】
またマイクロギャップ16aの中心に、上方から垂直に、10nm〜20μmの波長λのレーザ光19を照射可能なレーザ光発生装置20が設けられ、生成されたマイクロ波励起プラズマ21にレーザ光19を照射し、後述する化学反応を生じさせている。またレーザ光19は、マイクロギャップ16aを介して被成膜物質12の薄膜形成面に対して垂直に照射されており、生成した目的の反応生成物はレーザ光19によって速やかに被成膜物質12の薄膜形成面に運ばれ堆積される。
【0031】
上記レーザ光発生装置20は、波長λpのレーザ光(励起光)22を出力するレーザ装置23と、光パラメトリック発振器(OPO:Optical Parametric Oscillation)24と、マイクロギャップ16aの真上に配置され、光パラメトリック発振器24から出力され、鏡等で導かれたレーザ光を集光し、レーザ光の径を特定する凸レンズ25とから構成され、凸レンズ25から出力されたレーザ光19が、マイクロギャップ16aの中心に照射される。
【0032】
光パラメトリック発振器24は、図3(a)に示すように、全反射の入射ミラー30と、必要な反射率を有しOPO光のみを出力する出力結合ミラー31とを配置し、これらミラー30,31間に、非線形光学結晶または周期的に分極を反転した結晶(波長変換素子)32とプリズム33を順に配置して構成されている。
【0033】
前記結晶32に、レーザ装置23より入射ミラー30を介して波長λpの励起光22が入射すると、結晶32により、エネルギーの大きい(波長λsの短い)シグナル光34と、エネルギーの小さい{波長λi(>λs)の長い}アイドラ光35の2つの波長のレーザ光が同時に発生され、プリズム33に入射される。これらシグナル光34の波長λsとアイドラ光35の波長λiは、次の関係を満たしている。
【0034】
1/λp=(1/λs)+(1/λi)
プリズム33では、入射する光の波長によって出射する光の角度(屈折角)が異なることから、プリズム33により波長の異なるシグナル光34とアイドラ光35は分離され、波長λsが短いシグナル光34が大きく屈折され、シグナル光34が出力結合ミラー31に入射されて反射・出力され、シグナル光34により発振される。
【0035】
なお、プリズム33と出力結合ミラー31の向きは調整可能とされ、励起光22の波長λpが変わると、これらの向きが調整される。
このように、光パラメトリック発振器24において、レーザ装置23より入力した波長λpのレーザ光(励起光)22から、非線形光学結晶または周期的に分極を反転した結晶32を通して、波長λsのシグナル光34と、波長λiのアイドラ光35との2つの波長のレーザ光を得ている。よって、励起光22の波長λpを調整、あるいは結晶32を調整あるいは取り替えることにより、目的の波長のシグナル光34とアイドラ光35を得ることができ、一方のシグナル光34またはアイドラ光35を選択することにより、目的の波長λのレーザ光(シグナル光またはアイドラ光)19を得ることができる。
【0036】
そして、上記光パラメトリック発振器24から出力され、マイクロギャップ16aの中心に照射されるレーザ光19の波長λは、原料ガス14の原料物質より生成する反応生成物により、予め設定している(後述する)。
【0037】
上述したように、プラズマCVD、熱CVD、光CVDでは、原料ガス14から目的の物質(反応生成物)のみを得ることは難しい(不純物が多く発生する)。これに対して、レーザ光19は、化学反応に対応するエネルギーを選択的に与えることができることから、原料ガス14の原料物質の基底準位を目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移することが可能となり、原料ガス14から目的の反応生成物のみを得ることが可能となる。しかし、レーザ光19のエネルギーは小さいために、原料ガス14の原料物質に、前記目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーを与えるにはエネルギーが不足することから、プラズマ加熱のエネルギーを補助的に使用し、プラズマで加熱した後に、選択的にレーザ光19によるエネルギー供給または誘導放出による余剰エネルギーの放出を行うことによって、原料ガス14の原料物質に前記目的の反応生成物のポテンシャルエネルギーを与えることができ、従来CVDで用いることのできなかった材料により選択的に成膜が可能となる。
【0038】
図4に化学反応例を示す。
原料物質ABと原料物質CDからなる原料ガス14はマイクロ波プラズマで予備加熱され高い電子エネルギーを持ち、非平衡プラズマ化されて原料物質(A+B+C+D)の状態とされる。
【0039】
この高い電子エネルギー(プラズマエネルギー)を持つ原料ガス14にレーザ光19を照射し反応に不足しているエネルギーを吸収(補充)させることによって、目的の反応生成物AD固有のポテンシャルエネルギーに遷移させ目的の反応生成物ADを得る{図4(a)}。このときレーザ光19の持つエネルギー幅が非常に狭いので化学反応(解離または分解)を選択的に起こすことができる。
【0040】
または、プラズマで加熱を行うことにより目的の反応生成物AD固有のポテンシャルエネルギーを超えた状態にある物質に対して、前記固有のポテンシャルエネルギーに遷移でき、且つ目的の反応生成物AD以外の物質に影響を与えないレーザ光19を照射し、誘導放出により光の形で余剰なエネルギーを放出させることによって目的の反応生成物ADを得る{図4(b)}。このときレーザ光19の持つエネルギー幅が非常に狭いので化学反応(解離または分解)を選択的に起こすことができる。誘導放出は、図4(b)のプラズマエネルギーを持つ状態にある物質(A+B+C+D)が、目的の反応生成物ADを含む状態にある物質(AD+B+C)より多い場合に起きる。したがって、薄膜堆積では、目的の反応生成物ADが速やかに被成膜物質12に堆積し、速やかに光を吸収しない状態とすることが必要である。
【0041】
例として、シランガスSiHからSiとSiHの生成反応を考える。シランガスSiHのプラズマによる解離過程を図5に示す。プラズマを維持するためには13.6eVのエネルギーが必要である。
【0042】
Si場合、この13.6eVのエネルギーからSiの固有のポテンシャルエネルギー10.53eVの差である余剰分エネルギー3.07eVを強制的に放出させ、強制的にSi生成反応を促進する必要がある。図4(b)に示した余剰エネルギーを与えた場合の生成経路にしたがって、余剰分エネルギー3.07eVに相当する403nmのレーザ光19をプラズマ中に照射することによって、プラズマから余剰エネルギーが誘導放出光として放出されSiが生成する。
【0043】
また、SiHの場合、同様に余剰エネルギー3.27eVに相当する382nmのレーザ光19をプラズマ中に照射することによってSiHが生成する。
上記原理および構成により、目的の反応生成物を得る手順は下記の通りである。なお、一例としてシランガスSiHからSiを生成する手順について図6を参照しながら説明する。
【0044】
ステップ−1
マイクロ波励起プラズマ21により原料ガス14に与えられるエネルギーと、原料ガス14の原料物質から生成する目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーとの差分のエネルギー(解離または分解するエネルギー)を求め、ポテンシャルエネルギーが不足の場合、この差分のエネルギーを補充するレーザ光19の波長λを求め、ポテンシャルエネルギーが余剰の場合、前記差分のエネルギーを誘導放出により放出するレーザ光19の波長λを求める。
【0045】
今、マイクロ波励起プラズマ21により原料ガス14に与えるエネルギーは、13.6eV、Siのポテンシャルエネルギーは、10.53eVであるから、差分は余剰分エネルギー3.07eVとなり、この余剰分エネルギー3.07eVに相当する、誘導放出により放出する前記レーザ光19の波長λとして403nmが求められる。
【0046】
ステップ−2
次に、レーザ光発生装置20(光パラメトリック発振器24)から照射されるレーザ光19の波長を、求めたレーザ光19の波長λに調整する(403nmに予め調整する)。
【0047】
ステップ−3
次に、試料設置部13をスライドさせてSiを被覆する被成膜物質12の位置を、レーザ光19が照射される位置に調整する。
【0048】
ステップ−4
次に、電源17により一対の電極16に高周波の電圧を印加してマイクロギャップ放電を発生し、電極16間のマイクロギャップ16aの範囲に限定して非平衡プラズマを発生する。
【0049】
ステップ−5
次に、材料ガス供給ノズル18から原料ガス14をマイクロギャップ16aへ供給し、電極16間のマイクロギャップ16aの範囲で原料ガス14を非平衡プラズマ化し、予備加熱する。
【0050】
ステップ−6
次に、レーザ光発生装置20からレーザ光19を照射して、原料ガス14の原料物質から目的の反応生成物を生成する差分のエネルギー(解離または分解するエネルギー)を与え、レーザ光19の径の範囲で原料ガス14から目的の反応生成物のみを解離または分解する。今、化学反応(解離または分解)を生じさせてSiを生成する。
【0051】
ステップ−7
生成した目的の反応生成物(Si)をレーザ光19によって速やかに被成膜物質12に運んで堆積し、成膜する。すなわち、上記プラズマエネルギーを持つ状態にある物質(A+B+C+D)が、目的の反応生成物ADを含む状態の物質(AD+B+C)より多い場合を実現し、誘導放出の反応を継続・促進する。このとき、レーザ光19の照射の径の範囲で成膜反応が起こるため成膜領域を限定することができ、レーザ光19の径で特定される微小な領域で微細構造を持つ成膜が可能である。なお、レーザ光19の照射時間で化学反応の量を調整され、このレーザ光19の照射時間は目的の膜厚により予め設定される。
【0052】
目的の反応生成物(Si)を堆積する被成膜物質12の位置を変更するときは、ステップ−3に戻って、試料設置部13をスライドさせて被成膜物質12の位置を変えて成膜を続行する。
【0053】
このように、試料設置部13をスライドさせて被成膜物質12の目的の位置に、Siを被覆できる。
以上のように本実施の形態によれば、非平衡プラズマによるエネルギーに、選択的にレーザ光19のエネルギーを補充し、または誘導放出により余剰エネルギーを放出させることにより、原料ガス14の基底準位を、目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移することができ、よって原料ガス14から目的の反応生成物のみを生成して堆積することができる。このように、原料ガス14の基底準位を、選択的に目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移することにより、目的の反応生成物を得ることができる方法であることから、従来のCVD装置で用いることのできなかった材料により目的の反応生成物を成膜することが可能となり、不純物が混じらない高品質の成膜を得ることができる。
【0054】
また本実施の形態によれば、マイクロ波励起プラズマ発生装置15の一対の電極16を線で対向させ、且つ電極16の間隔をマイクロギャップ16aとしたことにより、大気中で、低電圧で非平衡プラズマを発生でき、よって低温における薄膜堆積プロセスを実現でき、原料物質のイオン損傷が少ない薄膜を形成することができる。
【0055】
また本実施の形態によれば、レーザ光19を、被成膜物質12の薄膜形成面に対して垂直に照射することにより、解離または分解した反応生成物をレーザ光19により被成膜物質12の薄膜形成面に対して速やかに運ぶことができ、解離または分解の反応を継続することができる。
【0056】
また本実施の形態によれば、原料ガス14の原料物質に非平衡プラズマにより予めエネルギーを与えることにより、レーザ光19により活性化された原料物質に与えるエネルギー(原料ガス14の原料物質から目的の反応生成物に解離または分解する差分のエネルギー)を小さくでき、よってほとんどの材料から目的の生成物を、10nmから20μmの波長のレーザ光19のエネルギーにより成膜することができる。
【0057】
また本実施の形態によれば、非平衡プラズマは電子温度は高いが、イオンや中性粒子の温度が低いプラズマであり、電子のみを加熱することができるため、化学反応を制御することができ、よって目的の反応生成物に解離または分解するための差分のエネルギーに近いエネルギーを容易に得ることができる。
【0058】
また本実施の形態によれば、レーザ光19の径と照射時間に調整により、被成膜物質12の微小な領域に微細構造の反応生成物を堆積でき、成膜を行うことができるため、成膜を行った後に、必要でない部分をエッチングを用いて除去する工程を不要にできる。
【0059】
また本実施の形態によれば、光パラメトリック発振器24の波長変換素子の調整あるいは交換により、目的の反応生成物のポテンシャルエネルギーを得るためのレーザ光の波長を得ることができ、従来CVDで用いることのできなかった材料により目的の反応生成物を成膜することを可能にできる。
【0060】
また本実施の形態によれば、非平衡プラズマ化された原料ガス14に上方からレーザ光19が照射されて、レーザ光19が照射された部分に目的の反応生成物が生成されるレーザ光19の持つ空間選択性があり、且つ試料設置部13が平面的に移動可能なことにより、被成膜物質12の任意の場所に特定の反応生成物のみからなる薄膜を堆積させることができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、非平衡プラズマ源としてマイクロ波励起プラズマ発生装置を使用しているが、図2(b)に示すマイクロホローカソード放電プラズマ発生装置を使用して予備加熱をするようにしてもよい。またマイクロホローカソードの電極と材料ガス供給ノズルを単一の部品とすることが可能である。
【0062】
また本実施の形態では、試料設置部を移動可能として被成膜物質12の任意の位置(微小の領域)に成膜しているが、レーザ光19の照射位置を移動可能とすることにより、被成膜物質12の任意の位置に成膜するようにしてもよい。
【0063】
また本実施の形態では、レーザ光19の照射経路と、材料ガス供給ノズル18は別な配置となっているが、材料ガス供給ノズル18内をレーザ光19の照射経路とすることもできる。このとき、材料ガス供給ノズル18を移動することにより、被成膜物質12の任意の位置に成膜することができる。
【0064】
また本実施の形態では、マイクロ波励起プラズマ発生装置15の電極は、先端が切り取られた一対の板状の電極16としているが、先端が針の形状の電極としてもよい。これにより、さらに限定された範囲に、低電圧で非平衡プラズマを発生できる。
【0065】
また本実施の形態では、被成膜物質12に必要な膜厚の薄膜を形成しているが、図7に示すように、反応生成物として被成膜物質12に核となる吸着分子のみを形成し、その後、従来のCVD装置または光CVD装置内に被成膜物質12を移して、膜を成長させるようにすることもできる。これによると、被成膜物質12上への薄膜の形成時間の短縮が期待できる。
【0066】
また本実施の形態では、光パラメトリック発振器24は、図3(a)に示すように、入射ミラー30と出力結合ミラー31と結晶32とプリズム33から構成されているが、図3(b)に示すように、プリズム33を、同一材質の2つのプリズム、すなわち第1プリズム33Aと第2プリズム33Bから構成し、これらプリズム33A,33Bに対応する第1出力結合ミラー31Aと第2出力結合ミラー31Bを設けて構成することもできる。
【0067】
この光パラメトリック発振器24の構成によれば、結晶32で発生した波長λsのシグナル光34と波長λiのアイドラ光35は、第1プリズム33Aで分離され、さらに第2プリズム33Bで平行光とされる。第2プリズム33Bから出力された平行光(シグナル光34とアイドラ光35)はそれぞれ、第1出力結合ミラー31Aと第2出力結合ミラー31Bに垂直に入射され、これら第1出力結合ミラー31Aと第2出力結合ミラー31Bにより反射・出力され、シグナル光34とアイドラ光35により発振される。なお、プリズム33での屈折角は波長毎に異なるが、同じ材質(屈折率)のプリズム33をペアで使用することにより、波長が変化してもシグナル光34とアイドラ光35は平行に保たれる。また第2プリズム33Bにより、シグナル光34とアイドラ光35との間隔が開くことにより2つの出力結合ミラー31の配置が可能となっている。
【0068】
このように、図3(b)に示す光パラメトリック発振器24の構成とするよって、第1出力結合ミラー31Aと第2出力結合ミラー31Bをそれぞれ、最適に反射率を持つように容易に提供でき、またシグナル光34とアイドラ光35の両波長λs,λiで発振させることができることにより、図3(a)に示す光パラメトリック発振器24と比較して、発振閾値を下げることができ、また平行光(シグナル光34とアイドラ光35)はそれぞれ垂直に、第1出力結合ミラー31Aと第2出力結合ミラー31Bへ入射されることにより、励起光22の波長λpが変わっても、向きを調整する必要を無くすことができる。
【0069】
また図3(b)に示す光パラメトリック発振器24では、2つのプリズム33を使用しているが、図3(c)に示すように、2つのプリズム33に代えて、同一回折特性の2つの反射型回折格子(グレーティング)36A,36Bを使用することもできる。第1反射型回折格子36Aにより、シグナル光34とアイドラ光35はそれぞれ波長に応じた角度で回折されることにより分離され、第2反射型回折格子36Bにより平行光とされる。
【0070】
なお、光パラメトリック発振器24については、図3(a)〜(c)の構成に限らず、前記結晶32を用いて波長を可変可能な装置であれば良く、OPG(光パラメトリック発生)装置であっても良い。OPG装置は、OPO装置において、例えば図3(a)において、30,31のミラーを使用せずに単に波長変換を行う装置である。
【0071】
また変換されたシグナル光34とアイドラ光35を分離する機構は、光パラメトリック発振器24の内部または外部のいずれに配置しても良い。
また本実施の形態では、レーザ光19を、被成膜物質12の薄膜形成面に対して垂直に照射しているが、必ずしも薄膜形成面に対して垂直にする必要はなく、レーザ光19が薄膜形成面に照射されず、その近傍を通過することでも薄膜形成は可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 薄膜堆積装置
11 容器
12 被成膜物質
13 試料設置部
14 原料ガス
15 マイクロ波励起プラズマ発生装置
16 電極
16a マイクロギャップ
17 電源
18 材料ガス供給ノズル
19 レーザ光
20 レーザ光発生装置
21 マイクロ波励起プラズマ
22 励起光
23 レーザ装置
24 光パラメトリック発振器
25 凸レンズ
30 入射ミラー
31,31A,31B 出力結合ミラー
32 結晶
33,33A,33B プリズム
34 シグナル光
35 アイドラ光
36A,36B 反射型回折格子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスをプラズマ化し、このプラズマ化された原料ガスにレーザ光を照射して、前記原料ガスの原料物質より反応生成物を生成し、被成膜物質に堆積して成膜する薄膜堆積方法であって、
前記プラズマにより原料ガスに与えるエネルギーと、前記原料ガスの原料物質から生成する目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーとの差分のエネルギーを求め、
前記ポテンシャルエネルギーが不足の場合、前記差分のエネルギーを補充する前記レーザ光の波長を求め、ポテンシャルエネルギーが余剰の場合、差分のエネルギーを誘導放出により放出する前記レーザ光の波長を求め、
前記プラズマ化された原料ガスに前記波長のレーザ光を照射して、原料ガスの基底準位を前記目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移し、前記原料ガスの原料物質より前記目的の反応生成物を解離または分解し、この解離または分解した反応生成物を前記被成膜物質に堆積し、成膜すること
を特徴とする薄膜堆積方法。
【請求項2】
前記レーザ光の波長が10nmから20μmであること
を特徴とする請求項1に記載の薄膜堆積方法。
【請求項3】
前記プラズマが非平衡プラズマであること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜堆積方法。
【請求項4】
常圧の容器と、
前記容器内の底部中央に配置され、被成膜物質が上面に載置される、平面的に移動可能な試料設置部と、
前記容器内で、前記試料設置部に対向して上方に、マイクロメータ単位のギャップを挟んで配置される電極と、
前記電極に給電し、電極間に非平衡プラズマを発生させる高周波電源と、
前記容器に配置され、前記ギャップに斜め上方から原料ガスを供給する材料ガス供給ノズルと、
上方から前記ギャップの中心を通して、前記被成膜物質の薄膜形成面に対して垂直にレーザ光を照射するレーザ光発生装置と
を備え、
前記電極間に発生する非平衡プラズマにより原料ガスに与えるエネルギーと、前記原料ガスの原料物質から生成される目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーとの差分のエネルギーを求め、ポテンシャルエネルギーが不足の場合、この差分のエネルギーを補充する前記レーザ光の波長を求め、ポテンシャルエネルギーが余剰の場合、前記差分のエネルギーを誘導放出により放出する前記レーザ光の波長を求め、
前記高周波電源より前記電極間に給電し、前記材料ガス供給ノズルから原料ガスを供給し、原料ガスを前記電極間で非平衡プラズマ化して予備加熱し、続いて前記レーザ光発生装置により上方から前記波長のレーザ光を照射して、前記原料ガスの基底準位を前記目的の反応生成物固有のポテンシャルエネルギーに遷移し、前記原料ガスの原料物質より前記目的の反応生成物を解離または分解し、この解離または分解した反応生成物を前記レーザ光により前記被成膜物質に運んで堆積し、成膜すること
を特徴とする薄膜堆積装置。
【請求項5】
非平衡プラズマは、マイクロ波励起プラズマ発生装置またはマイクロホローカソード放電プラズマ発生装置により発生されること
を特徴とする請求項4に記載の薄膜堆積装置。
【請求項6】
前記レーザ光発生装置は、一定波長の励起光から、非線形光学結晶または周期的に分極を反転した波長変換素子を通して、任意の波長のレーザ光を得ること
を特徴とする請求項4または請求項5に記載の薄膜堆積装置。
【請求項7】
レーザ光の持つ空間選択性と平面的に移動可能な前記試料設置部の作用により、試料設置部に載置された前記被成膜物質の任意の場所に特定の反応生成物のみからなる薄膜を堆積させること
を特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の薄膜堆積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−60796(P2011−60796A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205395(P2009−205395)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】