表面検査装置および表面検査方法
【課題】 ウェーハ表面を全体的に欠陥検査する。
【解決手段】 欠陥レビューSEMを用いた欠陥検出に際し、製品ウェーハ20の全面(R端面を除く。)にXY座標系を設定し、製品ウェーハ20表面を全体的に検査できるようにする。これにより、有効チップ領域外の領域についても欠陥検出が行える。また、その検査結果をそれが得られた位置の座標と関連付けて記憶することにより、検査結果を解析等に効率的に利用することができ、より高精度に不良原因を究明し、チップ21aの品質向上、歩留まり向上を図れる。
【解決手段】 欠陥レビューSEMを用いた欠陥検出に際し、製品ウェーハ20の全面(R端面を除く。)にXY座標系を設定し、製品ウェーハ20表面を全体的に検査できるようにする。これにより、有効チップ領域外の領域についても欠陥検出が行える。また、その検査結果をそれが得られた位置の座標と関連付けて記憶することにより、検査結果を解析等に効率的に利用することができ、より高精度に不良原因を究明し、チップ21aの品質向上、歩留まり向上を図れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面検査装置および表面検査方法に関し、特にウェーハ等の試料表面に形成されたパターン欠陥や異物付着等を検査する表面検査装置および表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の製造プロセスにおいては、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)を利用して、ウェーハに形成されたパターン欠陥や異物付着等(単に「欠陥」という。)を検査する欠陥レビューSEMが用いられるようになってきている。
【0003】
このような欠陥レビューSEMを用いた試料表面の検査では、まず、被検査ウェーハを外観検査装置やレーザ式表面異物検査装置等の欠陥検査装置で検査を行い、その検査結果のデータを取得する。この検査データには、例えば、製品番号、ロット、被検査ウェーハID、工程検査装置、日付等のほか、被検査ウェーハ上の欠陥箇所の数、座標、サイズ等が含まれている。欠陥レビューSEMでは、このような検査データを用い、例えば自動的に検査データ中の欠陥箇所の座標と被検査ウェーハとがアライメントされ、その欠陥箇所のSEMによる詳細な欠陥レビューが行われる。最終的には、その欠陥箇所のSEM画像データ(イメージデータ)が生成される。また、欠陥レビューSEMの中には、検出した欠陥について、その欠陥分類や元素分析等を自動で行うものもある。
【0004】
ただし、従来の欠陥検査装置や欠陥レビューSEMをはじめとする各種表面検査装置では、被検査ウェーハ表面の座標が、例えば製品になり得るチップが形成される領域(「有効チップ領域」という。)のみにしか設定されていない。したがって、自動で欠陥検出が行えるのはこの有効チップ領域内に限られることになる。
【0005】
有効チップ領域以外の領域の欠陥検出を行う場合には、有効チップ領域の自動欠陥検出とは別に、オペレータが欠陥レビューSEMに付属のジョイスティックやドラックボールで被検査ウェーハを手動で回転させる等してSEM観察を行い、欠陥箇所の発見の都度、そのSEM画像データを記録したり写真を撮影したりして欠陥検出を行わなければならなかった。
【0006】
しかし、オペレータがこのような作業によって被検査ウェーハ上の欠陥箇所を漏れなく発見することは容易でなく、また、かなりの時間を要する。さらに、このような作業によって得られるSEM画像データやSEM写真は、欠陥検査装置の検査データとの関連付けが行われているわけではなく、欠陥の有無を知ったりその種類を分類したりすることはできても、欠陥の正確な位置や発生源を特定するのは難しい。
【0007】
従来は、検査時間を短縮するために、被検査ウェーハをリング状あるいは螺旋状に回転させながら検査する回転走査領域と被検査ウェーハをXY方向に直進移動させながら検査するXY直進走査領域とに分けて検査データを検出し、その検査データを用いて各座標位置における欠陥を検出する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
また、従来は、オペレータの操作量を低減するために、光学式レビュー装置を用いて被検査ウェーハを予備検査し、それによって得られる検査データとしての予備検査情報を用いて欠陥レビューSEMにより詳細検査するシステムであって、予備検査情報に含まれる欠陥の中から選択されたレビューすべき欠陥に関するレビューにより得られたレビュー情報を記憶するデータベースを備えたシステムも提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−56306号公報
【特許文献2】特開平10−135288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、半導体製造プロセスにおける被検査ウェーハの有効チップ領域には、通常、素子や配線のパターンが密に形成されているため、有効チップ領域の欠陥検出によってその領域内にパーティクル等の異物の付着やパターン剥がれ等の欠陥を発見しても、その情報だけではその発生源を特定したり発生原因を究明したりすることができない場合があるという問題点があった。そして、被検査ウェーハ表面をさらに時間をかけて詳細に検査してみると、そのような欠陥の発生源等が、これまでの欠陥検出の検査対象範囲外であった有効チップ領域以外の領域で発見される場合が少なくない。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ウェーハ等の試料表面を全体的にかつ効率的に欠陥検査することができ、さらに、その欠陥検査によって得られる情報を製造プロセス等に有効に利用することのできる表面検査装置および表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では上記課題を解決するために、試料表面の検査を行う表面検査装置において、前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標が設定され、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶する手段を有することを特徴とする表面検査装置が提供される。
【0012】
このような表面検査装置によれば、図4に例示するように、試料である製品ウェーハ20の外縁近傍に至るまでの領域に座標が設定されるため、有効チップ領域外のより広い領域について欠陥検出が可能になる。それにより、チップ21aの品質向上が図られるとともに、欠陥の発生源を特定するための情報も得られるようになる。さらに、検査結果がそれが得られた位置の座標と関連付けられて記憶されるようになっているので、後に座標と検査結果を種々の解析や分析に利用することが可能になる。
【0013】
また、本発明では、試料表面の検査を行う表面検査方法において、前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定し、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶することを特徴とする表面検査方法が提供される。
【0014】
このような表面検査方法によれば、試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定し、その領域についての検査結果をそれが得られた位置の座標と関連付けて記憶するので、試料表面をより広範囲に検査することが可能になるとともに、記憶された座標と検査結果を用いて種々の解析等が行えるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定するとともに、その領域についての検査結果をそれが得られた位置の座標と関連付けて記憶するようにした。これにより、試料表面のほぼ全面について検査を行うことができ、また、得られた検査結果を解析等に効率的に利用することができる。そのため、製品製造プロセスにあっては、例えば製品不良が発生した場合にはより高精度にその不良原因を究明することができ、製品の品質向上、歩留まり向上が図られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、欠陥検査装置および欠陥レビューSEMを用いた半導体ウェーハの欠陥検出を例に、図面を参照して詳細に説明する。
図1は欠陥レビューSEMの機能ブロック図である。
【0017】
図1に示す欠陥レビューSEM1は、検査データ読み込み手段2、欠陥レビュー手段3、画像データ記憶手段4、欠陥情報抽出手段5、欠陥情報出力手段6、およびこれらを制御する制御手段7を有している。このような欠陥レビューSEM1は、例えばSEMとコンピュータを組み合わせて構成することが可能である。
【0018】
検査データ読み込み手段2は、外観検査装置やレーザ式表面異物検査装置等の欠陥検査装置8の検査データを欠陥レビューSEM1内に読み込む。検査データには、例えば、製品番号、ロット、被検査ウェーハID、検査装置、日付等のほか、被検査ウェーハ上の欠陥箇所の数、座標、サイズ等が含まれる。
【0019】
欠陥レビュー手段3は、検査データ読み込み手段2によって読み込まれた検査データを用い、SEMによる欠陥レビューを行う。例えば、検査データに含まれる欠陥箇所の座標を基に、その座標が示す欠陥箇所のレビューを行い、検査結果としてその欠陥箇所のSEM画像データを生成する。
【0020】
画像データ記憶手段4は、欠陥レビュー手段3によって生成されたSEM画像データを、その生成に用いた検査データと関連付け、必要に応じてデータを追加し、これらを含んだ欠陥情報として記憶する。この画像データ記憶手段4は、例えば、欠陥レビューSEM1に内蔵されたHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置や外付けの記憶装置である。
【0021】
欠陥情報抽出手段5は、SEM画像データや検査データを含む欠陥情報のうち、特定の欠陥情報についての出力指令が入力されたときに、該当する欠陥情報を画像データ記憶手段4から抽出する。
【0022】
欠陥情報出力手段6は、欠陥情報抽出手段5によって抽出された欠陥情報をモニタ等の表示装置に出力する。
このような構成を有する欠陥レビューSEM1は、これと協働するソフトウェアを備え、そのソフトウェアが有するアルゴリズムに従って所定の欠陥検出が実行されるようになっている。そして、この欠陥レビューSEM1では、これに検査データを供給する欠陥検査装置8と共に、被検査ウェーハ外縁のR端面を除くすべての領域について座標が設定されている。
【0023】
ここで、R端面とは、図2のウェーハ外縁部の断面模式図に示すように、ウェーハ10中央からの平坦面10aが外縁近傍で湾曲した端面10bをいい、ウェーハ10の製造上形成されるものである。このR端面10bには、パターン、特に製品となるようなパターンは形成されない。
【0024】
被検査ウェーハに対し、このようなR端面を除いて座標を設定することにより、例えば、有効チップ領域に限らず、それ以外の領域についても検査データを取得し、欠陥レビューを行うことが可能になる。
【0025】
以下、製品ウェーハおよびブランクウェーハを例に、欠陥検出について説明する。なお、製品ウェーハとは、製品にするためのチップ(形成途中のものも含む)が形成されたウェーハをいい、ブランクウェーハとは、それ自体にはチップが形成されず、装置や工程の管理目的で使用されるウェーハをいう。
【0026】
図3は製品ウェーハ全体の平面模式図、図4は製品ウェーハの要部平面模式図である。また、図5はブランクウェーハ全体の平面模式図、図6はブランクウェーハの要部平面模式図である。なお、図4は図3のA部拡大図であり、図6は図5のB部拡大図である。また、図3から図6ではウェーハ外縁のR端面はその図示を省略し、さらに図3および図5では座標系はその図示を省略している。
【0027】
図3および図4に示す製品ウェーハ20には、その表面に多数のチップ21が縦横に並んで形成されている。これらのチップ21のうち、製品ウェーハ20の中央部に並ぶチップ21aの形成領域が有効チップ領域であり、これは従来検査領域となっていたが、チップ21aの形成領域に隣接して横方向に3つだけ並んだチップ21bの形成領域はこれまで非検査領域となっていた。これは、横方向に4つ以上並ばないとこれまでのアルゴリズム上は検査が行えなかったためである。また、これらチップ21の形成領域以外の領域(チップ21が形成されない領域)もこれまで非検査領域となっていた。そこで、図4に示すように、有効チップ領域以外の領域を例えば縦横0.1μm〜2.0μm、好ましくは0.5μm〜1.0μmの間隔で分割し、適当に原点を設けてXY座標系を設定する(図3では図示を省略)。
【0028】
また、図5および図6に示すブランクウェーハ30の場合には、エッジカットの範囲にも依るが、通常その外縁から内側へ約3mmまでの領域が従来検査の行えない非検査領域となっていた。そこで、図6に示すように、この非検査領域を例えば縦横0.1μm〜2.0μm、好ましくは0.5μm〜1.0μmの間隔で分割し、適当に原点を設けてXY座標系を設定する(図5では図示を省略)。
【0029】
このようにしてXY座標系を設定した上で、欠陥検出の際には、製品ウェーハ20あるいはブランクウェーハ30の欠陥検査装置8での欠陥箇所のXY座標に対応する位置について、欠陥レビューSEM1による欠陥検出が行われる。
【0030】
具体的には、例えば、製品ウェーハ20あるいはブランクウェーハ30について数ポイントのXY座標をあらかじめ選択しておき、欠陥検査装置8の検査データを用いて欠陥レビューSEM1による欠陥検出を行う際には、欠陥検査装置8と欠陥レビューSEM1の間で選択ポイントでのアライメントを行い、両装置間のXY座標の対応関係を把握する。これにより、欠陥検査装置8の検査データから欠陥レビューSEM1における製品ウェーハ20上あるいはブランクウェーハ30上の欠陥箇所のXY座標が求められることになる。そして、その欠陥箇所についてSEM画像データの取得が行われる。
【0031】
なお、上記XY座標系の原点は、例えば、製品ウェーハ20やブランクウェーハ30が内接するような四角形(「ダイ(die)」という。)を設定し、そのいずれかの頂点を原点とすることができる。
【0032】
図7は座標の原点を説明する図である。
例えば、製品ウェーハ20を囲むダイ40を設定し、その一の頂点を原点O1とする。上記のアライメントでは、欠陥レビューSEM1において、有効チップ領域あるいはそれ以外のXY座標系を新たに設定した領域について、原点O1に対するXY座標が求められる。欠陥検査装置8の検査データに、例えば有効チップ領域内の欠陥箇所が含まれていた場合には、欠陥レビューSEM1は、従来通りその検査データから欠陥箇所のダイ40内における位置を求め、各欠陥箇所についてレビューを行い、それぞれのSEM画像データを取得する。また、図7に示したように、検査データに、例えばXY座標系を新たに設定した領域内の欠陥箇所a,b,cが含まれていた場合には、欠陥レビューSEM1は、その検査データから欠陥箇所a,b,cのダイ40内における位置を求め、各欠陥箇所a,b,cについてレビューを行い、それぞれのSEM画像データを取得する。
【0033】
また、欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1では、原点O1とは別に、製品ウェーハ20の中心を第2の原点O2とし、各欠陥箇所の原点O2に対するXY座標が求められ、各欠陥箇所のウェーハ上での位置が求められる。このとき求められる位置のXY座標はそれぞれ、欠陥レビューSEM1でSEM画像データが取得された場合には該当検査データに追加され、その検査データがSEM画像データに関連付けられて記憶されるようになっている。
【0034】
なお、図7では製品ウェーハ20の場合を例にして説明したが、ブランクウェーハ30の場合も同様である。
次に、欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いた欠陥検出の流れについて説明する。
【0035】
図8は欠陥レビューSEMにおける欠陥検出の流れを示す図である。
まず、上記の製品ウェーハ20やブランクウェーハ30といった各種被検査ウェーハの欠陥検出に当たり、欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1において、有効チップ領域にO1,O2を原点とするXY座標系を設定するとともに、有効チップ領域以外の領域(R端面を除く。)をX方向とY方向に共に所定間隔で分割し、この領域にもO1,O2を原点とするXY座標系を設定する(ステップS1)。
【0036】
欠陥レビューSEM1では、欠陥検査装置8によって得られた検査データが検査データ読み込み手段2によって読み込まれると(ステップS2)、欠陥レビュー手段3によってその検査データに含まれる欠陥箇所に対応する位置のレビューを行い、その検査結果として欠陥箇所のSEM画像データを取得する(ステップS3)。
【0037】
その際は、まず、欠陥箇所のダイ40内での位置を原点O1に対するXY座標によって求めてSEM画像データを取得するとともに、その欠陥箇所の原点O2に対するXY座標を求めて被検査ウェーハ上での位置を求める。欠陥箇所が複数ある場合には、ダイ40内でのXY座標を基に各欠陥箇所を移動し、それぞれのSEM画像データと被検査ウェーハ上のXY座標を取得していく。
【0038】
欠陥レビュー手段3によって取得されたSEM画像データは、画像データ記憶手段4によって、被検査ウェーハ上のXY座標を含んだ検査データと関連付けられ、欠陥情報として記憶される(ステップS4)。
【0039】
なお、画像データ記憶手段4によって記憶された被検査ウェーハの欠陥情報は、例えばオペレータによってXY座標が指定された場合には、欠陥情報抽出手段5によって該当する欠陥情報が抽出され、欠陥情報出力手段6によってモニタ等に表示される。また、特定のXY座標を指定せずに、欠陥検出の結果その被検査ウェーハ表面全体に存在する欠陥箇所の分布を表示させるようにすることも可能である。
【0040】
このように、この欠陥レビューSEM1では、各欠陥箇所の欠陥情報が記憶されて蓄積されるため、例えば、半導体装置製造における各工程の被検査ウェーハについてそれぞれ欠陥検出を行い、その蓄積データを用いたDSA(Defect Source Analysis)処理解析が容易に行えるようになる。すなわち、DSA処理解析によれば、各工程の被検査ウェーハについて得られた欠陥情報から、各工程の欠陥箇所のXY座標を照合し、同じXY座標の欠陥でいちばん最初の工程がその欠陥の発生工程であると解釈することができる。なお、このDSA処理解析の具体的手法については後述する。また、蓄積された欠陥情報から被検査ウェーハ上の欠陥箇所のXY座標を用いてFIB(Focused Ion Beam)断面解析も容易に行うことができる。
【0041】
なお、上記ステップS1のXY座標系設定の際には、例えば前述のように、XY方向共に0.1μm〜2.0μmの間隔で設けるようにする。これは、座標間隔が0.1μmより小さい場合には、欠陥検出に伴うデータ量が膨大になる可能性があり、特に比較的小さな領域にその間隔よりも大きな欠陥が存在するような場合には、実質的にひとつと認められるような欠陥について多数の検査結果が取得されるようになるためであり、また、座標間隔が2.0μmより大きい場合には、実際には欠陥が存在していてもその欠陥を検出することができず、欠陥検出精度が低下するおそれがあるためである。ただし、データ量に制約がなければ、XY座標間隔は小さければ小さいほど欠陥検出精度を高めることが可能である。座標間隔は、このような点を考慮するとともに、ウェーハ上のチップサイズや仕様等を考慮して適当に設定することができる。
【0042】
以上説明したように、上記の欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1によれば、被検査ウェーハ表面のR端面を除くすべての領域について欠陥検査が行え、製品になり得るチップ21aだけでなく、その他のチップ21bあるいはチップ21形成領域以外の領域の欠陥検査も行うことができる。その結果、有効チップ領域に形成された製品となるチップ21aの品質を高めることが可能になり、また、有効チップ領域以外の領域に存在する可能性のある欠陥発生源を追跡することが可能になる。そして、そのような追跡結果を製造プロセスの条件設定等に反映させることも可能になる。
【0043】
ここで、上記のDSA処理解析手法を、デュアルダマシンプロセスを例に、具体的に説明する。
まず、デュアルダマシンプロセスの流れについて簡単に説明する。図9から図19はデュアルダマシンプロセスの説明図であって、図9はビア用リソグラフィ工程、図10はビア用レジストパターン形成工程、図11はビアエッチング工程、図12は第1アッシング工程、図13はレジストコーティング工程、図14はレジストエッチバック工程、図15はトレンチ用リソグラフィ工程、図16はトレンチ用レジストパターン形成工程、図17はトレンチエッチング工程、図18は第2アッシング工程、図19はバリア層エッチング工程の断面模式図である。
【0044】
この例では、図9に示すように、Low−k膜のような絶縁膜70内に形成された下層銅(Cu)配線71上に、バリア層であるシリコンカーバイド(SiC)膜72a,72b、低誘電率膜(Low−k膜)73,74、SiC膜75、SiO2膜76が順に積層されている。そして、さらにその上に、レジスト膜77、SOG(Spin On Glass)膜78、フッ化アルゴン(ArF)レジスト膜79が順に形成されており、図9には、ArFレジスト膜79のパターニングまで行った状態を示している。この図9に示したような状態まで処理する間、通常は、Low−k膜73,74の形成後に、有効チップ領域内の欠陥検査(I)が行われる。
【0045】
ArFレジスト膜79のパターニング後は、図10に示すように、SOG膜78およびレジスト膜77のエッチングが行われ、下層Cu配線71と上層Cu配線とを接続するビアを形成するためのレジストパターンが形成される。そして、それをマスクに下層のSiC膜72bが露出するまでエッチングが行われ、図11に示すようにビアが形成された状態が得られる。通常は、この図11に示した状態まで処理した後に、有効チップ領域内の欠陥検査(II)が行われる。
【0046】
ビア形成後は、図12に示すように、残るレジスト膜77やその残渣等がアッシングにより除去され、図13および図14に示すように、ビアを埋めるレジスト膜80が形成され、表面側の一部がエッチバックされて除去される。その後、その上に、図15に示すように、再度レジスト膜81、SOG膜82、ArFレジスト膜83が順に形成されて、図16に示すように、上層Cu配線が埋め込まれるトレンチを形成するためのレジストパターンが形成される。そして、それをマスクにして、図17に示すように、上層のLow−k膜74のエッチングが行われる。通常は、この図17に示した状態まで処理した後に、有効チップ領域内の欠陥検査(III)が行われる。
【0047】
続いて、図18に示すように、残るレジスト膜80,81やその残渣等がアッシングにより除去され、通常は、このアッシング後にも有効チップ領域内の欠陥検査(IV)が行われる。そして、図19に示すように、下層のSiC膜72bがエッチングにより除去される。
【0048】
その後は、図示しないが、Cuの堆積、CMP等の各工程を経て、ビアおよびトレンチ内にCuが埋め込まれ、下層Cu配線71と上層Cu配線とがビアで接続される配線構造が形成されるようになる。
【0049】
このような一連のプロセスの中で行われる有効チップ領域を対象とする各欠陥検査(I)〜(IV)の結果を用いてDSA処理解析を行った。
図20は各欠陥検査段階のウェーハ上の欠陥分布を示す図である。また、図21は欠陥検査段階の欠陥数を示す図である。
【0050】
この図20および図21に示すように、各欠陥検査(I)〜(IV)のいずれの段階でも、製品になるチップ91aやその他のチップ91bが形成されているSiウェーハ90上には、多かれ少なかれ欠陥92が検出される。各欠陥検査(I)〜(IV)について見ると、欠陥検査(I),(II)の段階では、欠陥92は検出されるものの、その数は比較的少ない。しかしながら、欠陥検査(III)の段階では、欠陥92の数が一気に増加し、特に、図20中に示した領域Eとその周辺に集中して欠陥92が発生していた。このことから、欠陥検査(II),(III)間のいずれかの工程が欠陥92の発生工程となっていることがわかる。また、欠陥検査(IV)の段階では、欠陥検査(I),(II)の段階のときと同様、欠陥92は検出されるものの、その数は比較的少ない。
【0051】
そこで、欠陥検査(III)の直前に行われた図17のトレンチエッチング工程を、さらに3つの小工程に分け、1次エッチングから3次エッチングまで順に行われる各工程の終了後に、追加欠陥検査を実施した。
【0052】
図22は追加欠陥検査の結果を示す図である。
この図22に示すように、トレンチエッチング工程においては、その最初に行われる1次エッチング工程の段階で既に欠陥92が多発していることがわかる。
【0053】
また、図16のトレンチ用レジストパターン形成工程の後に、通常の有効チップ領域内の欠陥検査を追加して行ったが、この段階での欠陥92の多発は認められなかった。そして、この図20から図22に示したような傾向は、装置のクリーニング周期を早める等の対策を講じても修正されなかった。
【0054】
続いて、各欠陥検査(I)〜(IV)を上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いて行い、同様のDSA処理解析を行った。有効チップ領域外の領域にまで検査対象範囲を広げたところ、欠陥検査(III),(IV)の段階では、上記図20に示した欠陥92が集中する領域E付近の有効チップ領域外のほぼ同じXY座標の所に、異常放電箇所が発見された。このことから、欠陥検査(III)の段階で欠陥92が多発するのは、図17のトレンチエッチング工程の処理前または処理中に有効チップ領域外に生じた欠陥箇所が原因となって、処理装置が異常放電を起こし、そこからパーティクル等が飛び散ってウェーハ上の広範囲に付着したものと考えられる。
【0055】
このように有効チップ領域外も含めたDSA処理解析を行うことにより、欠陥の発生源や発生原因を特定することができ、また、それに基づいて欠陥の多発を未然に防ぐための対策を講じることも可能になる。
【0056】
以下に、上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いて欠陥検出を実施した例を示す。
(実施例1)
図23はSiウェーハ上の有効チップ領域に存在する欠陥の位置とSEM画像の例を示す図である。なお、図23に示すSEM画像はいずれもC部で発見されたすべて異なる欠陥箇所のものである。
【0057】
この図23には、Siウェーハ50にドライエッチングにより一定のパターン(図示せず。)を形成し、これをウェット処理した後のそのSiウェーハ50表面に残る欠陥51の位置を示しており、図23には、このSiウェーハ50の有効チップ領域(実線のチップ領域。)に存在する欠陥51を上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1によって検出したときのSEM画像も併せて示している。ウェット処理後のSiウェーハ50表面には、異物が付着している箇所が多数認められた。しかし、このようにパターンが密に形成されている領域では、その異物の発生源が特定できない。
【0058】
図24は有効チップ領域外に存在する欠陥のSEM画像の例である。
上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いることにより、有効チップ領域外のSiウェーハ50表面についても欠陥検出が行える。図24には、そのような有効チップ領域外において検出された欠陥のSEM画像を示している。この図24に示したように、ウェット処理後のSiウェーハ50の有効チップ領域外には、針状の異物が集合して存在している箇所が認められた。この針状の異物が有効チップ領域で見られた異物の発生源と推察された。
【0059】
ウェット処理後のSiウェーハ50の有効チップ領域外で発見された異物をEDX(Energy Dispersive X-ray spectrometer)測定したところ、この異物は主にSiであることがわかった。Siエッチングの際に針状のエッチング残渣が凝集して集合体となり、さらにその一部がウェット処理時、特にエッチング液からのSiウェーハ50の引き上げ時に、有効チップ領域へ流れて付着したものと考えられる。
【0060】
(実施例2)
図25はSiウェーハ上の欠陥の位置を示す図、図26はSiウェーハ上の欠陥のSEM画像の例である。
【0061】
図25には、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)エッチング処理後のSiウェーハ60表面に残る欠陥の位置を示しており、Siウェーハ60上には全体的に多数の欠陥61が認められ、特に一部の領域に欠陥61が集中して認められた。このプラズマCVDエッチング処理前の工程の欠陥情報を用いてDSA処理解析を行ったところ、その近傍の有効チップ領域外の領域Dに図26に示すような異常放電箇所62が認められた。プラズマCVDエッチング処理時に有効チップ領域外で異常放電が引き起こされ、Siウェーハ60全体にわたる欠陥61を招いたと推察された。
【0062】
そこで、エッチング装置の静電チャック電源をダイレクトIO化に改良し、プラス側、マイナス側共に電圧を制御できるようにしたところ、それ以降、このような異常放電や異物付着は発生しなくなった。
【0063】
このように、有効チップ領域外についても欠陥検出を行うことのできる欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いることにより、欠陥の発生源を特定することが可能になる。また、欠陥の発生源を特定することにより、その情報を他の製造プロセスにフィードバックし、欠陥を発生させないための適切な対策を講じることが可能になる。それにより、製品の歩留まりを向上させ、有効チップの高品質化を図ることが可能になる。
【0064】
なお、以上の説明では欠陥レビューSEMと欠陥検査装置を組み合わせた表面検査装置および表面検査方法について述べたが、本発明は、欠陥レビューSEMや欠陥検査装置をそれぞれ表面検査装置として単独で用いる場合にも適用することが可能である。すなわち、各表面検査装置で取り扱う試料表面に対してXY座標系を設定し、それぞれの検査結果を該当するXY座標と関連付けて記憶することのできる構成とすることが可能である。さらに、例えば光学式レビュー装置やUVレビュー装置をはじめとする各種レビュー装置や検査装置にも同様に適用することができる。また、被検査試料は上記のような半導体ウェーハに限られるものではなく、液晶パネルその他の製品・試料の欠陥検出も同様に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】欠陥レビューSEMの機能ブロック図である。
【図2】ウェーハ外縁部の断面模式図である。
【図3】製品ウェーハ全体の平面模式図である。
【図4】製品ウェーハの要部平面模式図である。
【図5】ブランクウェーハ全体の平面模式図である。
【図6】ブランクウェーハの要部平面模式図である。
【図7】座標の原点を説明する図である。
【図8】欠陥レビューSEMにおける欠陥検出の流れを示す図である。
【図9】ビア用リソグラフィ工程の断面模式図である。
【図10】ビア用レジストパターン形成工程の断面模式図である。
【図11】ビアエッチング工程の断面模式図である。
【図12】第1アッシング工程の断面模式図である。
【図13】レジストコーティング工程の断面模式図である。
【図14】レジストエッチバック工程の断面模式図である。
【図15】トレンチ用リソグラフィ工程の断面模式図である。
【図16】トレンチ用レジストパターン形成工程の断面模式図である。
【図17】トレンチエッチング工程の断面模式図である。
【図18】第2アッシング工程の断面模式図である。
【図19】バリア層エッチング工程の断面模式図である。
【図20】各欠陥検査段階のウェーハ上の欠陥分布を示す図である。
【図21】欠陥検査段階の欠陥数を示す図である。
【図22】追加欠陥検査の結果を示す図である。
【図23】Siウェーハ上の有効チップ領域に存在する欠陥の位置とSEM画像の例を示す図である。
【図24】有効チップ領域外に存在する欠陥のSEM画像の例である。
【図25】Siウェーハ上の欠陥の位置を示す図である。
【図26】Siウェーハ上の欠陥のSEM画像の例である。
【符号の説明】
【0066】
1 欠陥レビューSEM
2 検査データ読み込み手段
3 欠陥レビュー手段
4 画像データ記憶手段
5 欠陥情報抽出手段
6 欠陥情報出力手段
7 制御手段
8 欠陥検査装置
10 ウェーハ
10a 平坦面
10b 端面
20 製品ウェーハ
21,21a,21b,91a,91b チップ
30 ブランクウェーハ
40 ダイ
50,60,90 Siウェーハ
51,61,92 欠陥
62 異常放電箇所
70 絶縁膜
71 下層Cu配線
72a,72b,75 SiC膜
73,74 Low−k膜
76 SiO2膜
77,80,81 レジスト膜
78,82 SOG膜
79,83 ArFレジスト膜
a,b,c 欠陥箇所
O1,O2 原点
【技術分野】
【0001】
本発明は表面検査装置および表面検査方法に関し、特にウェーハ等の試料表面に形成されたパターン欠陥や異物付着等を検査する表面検査装置および表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の製造プロセスにおいては、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)を利用して、ウェーハに形成されたパターン欠陥や異物付着等(単に「欠陥」という。)を検査する欠陥レビューSEMが用いられるようになってきている。
【0003】
このような欠陥レビューSEMを用いた試料表面の検査では、まず、被検査ウェーハを外観検査装置やレーザ式表面異物検査装置等の欠陥検査装置で検査を行い、その検査結果のデータを取得する。この検査データには、例えば、製品番号、ロット、被検査ウェーハID、工程検査装置、日付等のほか、被検査ウェーハ上の欠陥箇所の数、座標、サイズ等が含まれている。欠陥レビューSEMでは、このような検査データを用い、例えば自動的に検査データ中の欠陥箇所の座標と被検査ウェーハとがアライメントされ、その欠陥箇所のSEMによる詳細な欠陥レビューが行われる。最終的には、その欠陥箇所のSEM画像データ(イメージデータ)が生成される。また、欠陥レビューSEMの中には、検出した欠陥について、その欠陥分類や元素分析等を自動で行うものもある。
【0004】
ただし、従来の欠陥検査装置や欠陥レビューSEMをはじめとする各種表面検査装置では、被検査ウェーハ表面の座標が、例えば製品になり得るチップが形成される領域(「有効チップ領域」という。)のみにしか設定されていない。したがって、自動で欠陥検出が行えるのはこの有効チップ領域内に限られることになる。
【0005】
有効チップ領域以外の領域の欠陥検出を行う場合には、有効チップ領域の自動欠陥検出とは別に、オペレータが欠陥レビューSEMに付属のジョイスティックやドラックボールで被検査ウェーハを手動で回転させる等してSEM観察を行い、欠陥箇所の発見の都度、そのSEM画像データを記録したり写真を撮影したりして欠陥検出を行わなければならなかった。
【0006】
しかし、オペレータがこのような作業によって被検査ウェーハ上の欠陥箇所を漏れなく発見することは容易でなく、また、かなりの時間を要する。さらに、このような作業によって得られるSEM画像データやSEM写真は、欠陥検査装置の検査データとの関連付けが行われているわけではなく、欠陥の有無を知ったりその種類を分類したりすることはできても、欠陥の正確な位置や発生源を特定するのは難しい。
【0007】
従来は、検査時間を短縮するために、被検査ウェーハをリング状あるいは螺旋状に回転させながら検査する回転走査領域と被検査ウェーハをXY方向に直進移動させながら検査するXY直進走査領域とに分けて検査データを検出し、その検査データを用いて各座標位置における欠陥を検出する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
また、従来は、オペレータの操作量を低減するために、光学式レビュー装置を用いて被検査ウェーハを予備検査し、それによって得られる検査データとしての予備検査情報を用いて欠陥レビューSEMにより詳細検査するシステムであって、予備検査情報に含まれる欠陥の中から選択されたレビューすべき欠陥に関するレビューにより得られたレビュー情報を記憶するデータベースを備えたシステムも提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−56306号公報
【特許文献2】特開平10−135288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、半導体製造プロセスにおける被検査ウェーハの有効チップ領域には、通常、素子や配線のパターンが密に形成されているため、有効チップ領域の欠陥検出によってその領域内にパーティクル等の異物の付着やパターン剥がれ等の欠陥を発見しても、その情報だけではその発生源を特定したり発生原因を究明したりすることができない場合があるという問題点があった。そして、被検査ウェーハ表面をさらに時間をかけて詳細に検査してみると、そのような欠陥の発生源等が、これまでの欠陥検出の検査対象範囲外であった有効チップ領域以外の領域で発見される場合が少なくない。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ウェーハ等の試料表面を全体的にかつ効率的に欠陥検査することができ、さらに、その欠陥検査によって得られる情報を製造プロセス等に有効に利用することのできる表面検査装置および表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では上記課題を解決するために、試料表面の検査を行う表面検査装置において、前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標が設定され、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶する手段を有することを特徴とする表面検査装置が提供される。
【0012】
このような表面検査装置によれば、図4に例示するように、試料である製品ウェーハ20の外縁近傍に至るまでの領域に座標が設定されるため、有効チップ領域外のより広い領域について欠陥検出が可能になる。それにより、チップ21aの品質向上が図られるとともに、欠陥の発生源を特定するための情報も得られるようになる。さらに、検査結果がそれが得られた位置の座標と関連付けられて記憶されるようになっているので、後に座標と検査結果を種々の解析や分析に利用することが可能になる。
【0013】
また、本発明では、試料表面の検査を行う表面検査方法において、前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定し、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶することを特徴とする表面検査方法が提供される。
【0014】
このような表面検査方法によれば、試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定し、その領域についての検査結果をそれが得られた位置の座標と関連付けて記憶するので、試料表面をより広範囲に検査することが可能になるとともに、記憶された座標と検査結果を用いて種々の解析等が行えるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定するとともに、その領域についての検査結果をそれが得られた位置の座標と関連付けて記憶するようにした。これにより、試料表面のほぼ全面について検査を行うことができ、また、得られた検査結果を解析等に効率的に利用することができる。そのため、製品製造プロセスにあっては、例えば製品不良が発生した場合にはより高精度にその不良原因を究明することができ、製品の品質向上、歩留まり向上が図られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、欠陥検査装置および欠陥レビューSEMを用いた半導体ウェーハの欠陥検出を例に、図面を参照して詳細に説明する。
図1は欠陥レビューSEMの機能ブロック図である。
【0017】
図1に示す欠陥レビューSEM1は、検査データ読み込み手段2、欠陥レビュー手段3、画像データ記憶手段4、欠陥情報抽出手段5、欠陥情報出力手段6、およびこれらを制御する制御手段7を有している。このような欠陥レビューSEM1は、例えばSEMとコンピュータを組み合わせて構成することが可能である。
【0018】
検査データ読み込み手段2は、外観検査装置やレーザ式表面異物検査装置等の欠陥検査装置8の検査データを欠陥レビューSEM1内に読み込む。検査データには、例えば、製品番号、ロット、被検査ウェーハID、検査装置、日付等のほか、被検査ウェーハ上の欠陥箇所の数、座標、サイズ等が含まれる。
【0019】
欠陥レビュー手段3は、検査データ読み込み手段2によって読み込まれた検査データを用い、SEMによる欠陥レビューを行う。例えば、検査データに含まれる欠陥箇所の座標を基に、その座標が示す欠陥箇所のレビューを行い、検査結果としてその欠陥箇所のSEM画像データを生成する。
【0020】
画像データ記憶手段4は、欠陥レビュー手段3によって生成されたSEM画像データを、その生成に用いた検査データと関連付け、必要に応じてデータを追加し、これらを含んだ欠陥情報として記憶する。この画像データ記憶手段4は、例えば、欠陥レビューSEM1に内蔵されたHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置や外付けの記憶装置である。
【0021】
欠陥情報抽出手段5は、SEM画像データや検査データを含む欠陥情報のうち、特定の欠陥情報についての出力指令が入力されたときに、該当する欠陥情報を画像データ記憶手段4から抽出する。
【0022】
欠陥情報出力手段6は、欠陥情報抽出手段5によって抽出された欠陥情報をモニタ等の表示装置に出力する。
このような構成を有する欠陥レビューSEM1は、これと協働するソフトウェアを備え、そのソフトウェアが有するアルゴリズムに従って所定の欠陥検出が実行されるようになっている。そして、この欠陥レビューSEM1では、これに検査データを供給する欠陥検査装置8と共に、被検査ウェーハ外縁のR端面を除くすべての領域について座標が設定されている。
【0023】
ここで、R端面とは、図2のウェーハ外縁部の断面模式図に示すように、ウェーハ10中央からの平坦面10aが外縁近傍で湾曲した端面10bをいい、ウェーハ10の製造上形成されるものである。このR端面10bには、パターン、特に製品となるようなパターンは形成されない。
【0024】
被検査ウェーハに対し、このようなR端面を除いて座標を設定することにより、例えば、有効チップ領域に限らず、それ以外の領域についても検査データを取得し、欠陥レビューを行うことが可能になる。
【0025】
以下、製品ウェーハおよびブランクウェーハを例に、欠陥検出について説明する。なお、製品ウェーハとは、製品にするためのチップ(形成途中のものも含む)が形成されたウェーハをいい、ブランクウェーハとは、それ自体にはチップが形成されず、装置や工程の管理目的で使用されるウェーハをいう。
【0026】
図3は製品ウェーハ全体の平面模式図、図4は製品ウェーハの要部平面模式図である。また、図5はブランクウェーハ全体の平面模式図、図6はブランクウェーハの要部平面模式図である。なお、図4は図3のA部拡大図であり、図6は図5のB部拡大図である。また、図3から図6ではウェーハ外縁のR端面はその図示を省略し、さらに図3および図5では座標系はその図示を省略している。
【0027】
図3および図4に示す製品ウェーハ20には、その表面に多数のチップ21が縦横に並んで形成されている。これらのチップ21のうち、製品ウェーハ20の中央部に並ぶチップ21aの形成領域が有効チップ領域であり、これは従来検査領域となっていたが、チップ21aの形成領域に隣接して横方向に3つだけ並んだチップ21bの形成領域はこれまで非検査領域となっていた。これは、横方向に4つ以上並ばないとこれまでのアルゴリズム上は検査が行えなかったためである。また、これらチップ21の形成領域以外の領域(チップ21が形成されない領域)もこれまで非検査領域となっていた。そこで、図4に示すように、有効チップ領域以外の領域を例えば縦横0.1μm〜2.0μm、好ましくは0.5μm〜1.0μmの間隔で分割し、適当に原点を設けてXY座標系を設定する(図3では図示を省略)。
【0028】
また、図5および図6に示すブランクウェーハ30の場合には、エッジカットの範囲にも依るが、通常その外縁から内側へ約3mmまでの領域が従来検査の行えない非検査領域となっていた。そこで、図6に示すように、この非検査領域を例えば縦横0.1μm〜2.0μm、好ましくは0.5μm〜1.0μmの間隔で分割し、適当に原点を設けてXY座標系を設定する(図5では図示を省略)。
【0029】
このようにしてXY座標系を設定した上で、欠陥検出の際には、製品ウェーハ20あるいはブランクウェーハ30の欠陥検査装置8での欠陥箇所のXY座標に対応する位置について、欠陥レビューSEM1による欠陥検出が行われる。
【0030】
具体的には、例えば、製品ウェーハ20あるいはブランクウェーハ30について数ポイントのXY座標をあらかじめ選択しておき、欠陥検査装置8の検査データを用いて欠陥レビューSEM1による欠陥検出を行う際には、欠陥検査装置8と欠陥レビューSEM1の間で選択ポイントでのアライメントを行い、両装置間のXY座標の対応関係を把握する。これにより、欠陥検査装置8の検査データから欠陥レビューSEM1における製品ウェーハ20上あるいはブランクウェーハ30上の欠陥箇所のXY座標が求められることになる。そして、その欠陥箇所についてSEM画像データの取得が行われる。
【0031】
なお、上記XY座標系の原点は、例えば、製品ウェーハ20やブランクウェーハ30が内接するような四角形(「ダイ(die)」という。)を設定し、そのいずれかの頂点を原点とすることができる。
【0032】
図7は座標の原点を説明する図である。
例えば、製品ウェーハ20を囲むダイ40を設定し、その一の頂点を原点O1とする。上記のアライメントでは、欠陥レビューSEM1において、有効チップ領域あるいはそれ以外のXY座標系を新たに設定した領域について、原点O1に対するXY座標が求められる。欠陥検査装置8の検査データに、例えば有効チップ領域内の欠陥箇所が含まれていた場合には、欠陥レビューSEM1は、従来通りその検査データから欠陥箇所のダイ40内における位置を求め、各欠陥箇所についてレビューを行い、それぞれのSEM画像データを取得する。また、図7に示したように、検査データに、例えばXY座標系を新たに設定した領域内の欠陥箇所a,b,cが含まれていた場合には、欠陥レビューSEM1は、その検査データから欠陥箇所a,b,cのダイ40内における位置を求め、各欠陥箇所a,b,cについてレビューを行い、それぞれのSEM画像データを取得する。
【0033】
また、欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1では、原点O1とは別に、製品ウェーハ20の中心を第2の原点O2とし、各欠陥箇所の原点O2に対するXY座標が求められ、各欠陥箇所のウェーハ上での位置が求められる。このとき求められる位置のXY座標はそれぞれ、欠陥レビューSEM1でSEM画像データが取得された場合には該当検査データに追加され、その検査データがSEM画像データに関連付けられて記憶されるようになっている。
【0034】
なお、図7では製品ウェーハ20の場合を例にして説明したが、ブランクウェーハ30の場合も同様である。
次に、欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いた欠陥検出の流れについて説明する。
【0035】
図8は欠陥レビューSEMにおける欠陥検出の流れを示す図である。
まず、上記の製品ウェーハ20やブランクウェーハ30といった各種被検査ウェーハの欠陥検出に当たり、欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1において、有効チップ領域にO1,O2を原点とするXY座標系を設定するとともに、有効チップ領域以外の領域(R端面を除く。)をX方向とY方向に共に所定間隔で分割し、この領域にもO1,O2を原点とするXY座標系を設定する(ステップS1)。
【0036】
欠陥レビューSEM1では、欠陥検査装置8によって得られた検査データが検査データ読み込み手段2によって読み込まれると(ステップS2)、欠陥レビュー手段3によってその検査データに含まれる欠陥箇所に対応する位置のレビューを行い、その検査結果として欠陥箇所のSEM画像データを取得する(ステップS3)。
【0037】
その際は、まず、欠陥箇所のダイ40内での位置を原点O1に対するXY座標によって求めてSEM画像データを取得するとともに、その欠陥箇所の原点O2に対するXY座標を求めて被検査ウェーハ上での位置を求める。欠陥箇所が複数ある場合には、ダイ40内でのXY座標を基に各欠陥箇所を移動し、それぞれのSEM画像データと被検査ウェーハ上のXY座標を取得していく。
【0038】
欠陥レビュー手段3によって取得されたSEM画像データは、画像データ記憶手段4によって、被検査ウェーハ上のXY座標を含んだ検査データと関連付けられ、欠陥情報として記憶される(ステップS4)。
【0039】
なお、画像データ記憶手段4によって記憶された被検査ウェーハの欠陥情報は、例えばオペレータによってXY座標が指定された場合には、欠陥情報抽出手段5によって該当する欠陥情報が抽出され、欠陥情報出力手段6によってモニタ等に表示される。また、特定のXY座標を指定せずに、欠陥検出の結果その被検査ウェーハ表面全体に存在する欠陥箇所の分布を表示させるようにすることも可能である。
【0040】
このように、この欠陥レビューSEM1では、各欠陥箇所の欠陥情報が記憶されて蓄積されるため、例えば、半導体装置製造における各工程の被検査ウェーハについてそれぞれ欠陥検出を行い、その蓄積データを用いたDSA(Defect Source Analysis)処理解析が容易に行えるようになる。すなわち、DSA処理解析によれば、各工程の被検査ウェーハについて得られた欠陥情報から、各工程の欠陥箇所のXY座標を照合し、同じXY座標の欠陥でいちばん最初の工程がその欠陥の発生工程であると解釈することができる。なお、このDSA処理解析の具体的手法については後述する。また、蓄積された欠陥情報から被検査ウェーハ上の欠陥箇所のXY座標を用いてFIB(Focused Ion Beam)断面解析も容易に行うことができる。
【0041】
なお、上記ステップS1のXY座標系設定の際には、例えば前述のように、XY方向共に0.1μm〜2.0μmの間隔で設けるようにする。これは、座標間隔が0.1μmより小さい場合には、欠陥検出に伴うデータ量が膨大になる可能性があり、特に比較的小さな領域にその間隔よりも大きな欠陥が存在するような場合には、実質的にひとつと認められるような欠陥について多数の検査結果が取得されるようになるためであり、また、座標間隔が2.0μmより大きい場合には、実際には欠陥が存在していてもその欠陥を検出することができず、欠陥検出精度が低下するおそれがあるためである。ただし、データ量に制約がなければ、XY座標間隔は小さければ小さいほど欠陥検出精度を高めることが可能である。座標間隔は、このような点を考慮するとともに、ウェーハ上のチップサイズや仕様等を考慮して適当に設定することができる。
【0042】
以上説明したように、上記の欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1によれば、被検査ウェーハ表面のR端面を除くすべての領域について欠陥検査が行え、製品になり得るチップ21aだけでなく、その他のチップ21bあるいはチップ21形成領域以外の領域の欠陥検査も行うことができる。その結果、有効チップ領域に形成された製品となるチップ21aの品質を高めることが可能になり、また、有効チップ領域以外の領域に存在する可能性のある欠陥発生源を追跡することが可能になる。そして、そのような追跡結果を製造プロセスの条件設定等に反映させることも可能になる。
【0043】
ここで、上記のDSA処理解析手法を、デュアルダマシンプロセスを例に、具体的に説明する。
まず、デュアルダマシンプロセスの流れについて簡単に説明する。図9から図19はデュアルダマシンプロセスの説明図であって、図9はビア用リソグラフィ工程、図10はビア用レジストパターン形成工程、図11はビアエッチング工程、図12は第1アッシング工程、図13はレジストコーティング工程、図14はレジストエッチバック工程、図15はトレンチ用リソグラフィ工程、図16はトレンチ用レジストパターン形成工程、図17はトレンチエッチング工程、図18は第2アッシング工程、図19はバリア層エッチング工程の断面模式図である。
【0044】
この例では、図9に示すように、Low−k膜のような絶縁膜70内に形成された下層銅(Cu)配線71上に、バリア層であるシリコンカーバイド(SiC)膜72a,72b、低誘電率膜(Low−k膜)73,74、SiC膜75、SiO2膜76が順に積層されている。そして、さらにその上に、レジスト膜77、SOG(Spin On Glass)膜78、フッ化アルゴン(ArF)レジスト膜79が順に形成されており、図9には、ArFレジスト膜79のパターニングまで行った状態を示している。この図9に示したような状態まで処理する間、通常は、Low−k膜73,74の形成後に、有効チップ領域内の欠陥検査(I)が行われる。
【0045】
ArFレジスト膜79のパターニング後は、図10に示すように、SOG膜78およびレジスト膜77のエッチングが行われ、下層Cu配線71と上層Cu配線とを接続するビアを形成するためのレジストパターンが形成される。そして、それをマスクに下層のSiC膜72bが露出するまでエッチングが行われ、図11に示すようにビアが形成された状態が得られる。通常は、この図11に示した状態まで処理した後に、有効チップ領域内の欠陥検査(II)が行われる。
【0046】
ビア形成後は、図12に示すように、残るレジスト膜77やその残渣等がアッシングにより除去され、図13および図14に示すように、ビアを埋めるレジスト膜80が形成され、表面側の一部がエッチバックされて除去される。その後、その上に、図15に示すように、再度レジスト膜81、SOG膜82、ArFレジスト膜83が順に形成されて、図16に示すように、上層Cu配線が埋め込まれるトレンチを形成するためのレジストパターンが形成される。そして、それをマスクにして、図17に示すように、上層のLow−k膜74のエッチングが行われる。通常は、この図17に示した状態まで処理した後に、有効チップ領域内の欠陥検査(III)が行われる。
【0047】
続いて、図18に示すように、残るレジスト膜80,81やその残渣等がアッシングにより除去され、通常は、このアッシング後にも有効チップ領域内の欠陥検査(IV)が行われる。そして、図19に示すように、下層のSiC膜72bがエッチングにより除去される。
【0048】
その後は、図示しないが、Cuの堆積、CMP等の各工程を経て、ビアおよびトレンチ内にCuが埋め込まれ、下層Cu配線71と上層Cu配線とがビアで接続される配線構造が形成されるようになる。
【0049】
このような一連のプロセスの中で行われる有効チップ領域を対象とする各欠陥検査(I)〜(IV)の結果を用いてDSA処理解析を行った。
図20は各欠陥検査段階のウェーハ上の欠陥分布を示す図である。また、図21は欠陥検査段階の欠陥数を示す図である。
【0050】
この図20および図21に示すように、各欠陥検査(I)〜(IV)のいずれの段階でも、製品になるチップ91aやその他のチップ91bが形成されているSiウェーハ90上には、多かれ少なかれ欠陥92が検出される。各欠陥検査(I)〜(IV)について見ると、欠陥検査(I),(II)の段階では、欠陥92は検出されるものの、その数は比較的少ない。しかしながら、欠陥検査(III)の段階では、欠陥92の数が一気に増加し、特に、図20中に示した領域Eとその周辺に集中して欠陥92が発生していた。このことから、欠陥検査(II),(III)間のいずれかの工程が欠陥92の発生工程となっていることがわかる。また、欠陥検査(IV)の段階では、欠陥検査(I),(II)の段階のときと同様、欠陥92は検出されるものの、その数は比較的少ない。
【0051】
そこで、欠陥検査(III)の直前に行われた図17のトレンチエッチング工程を、さらに3つの小工程に分け、1次エッチングから3次エッチングまで順に行われる各工程の終了後に、追加欠陥検査を実施した。
【0052】
図22は追加欠陥検査の結果を示す図である。
この図22に示すように、トレンチエッチング工程においては、その最初に行われる1次エッチング工程の段階で既に欠陥92が多発していることがわかる。
【0053】
また、図16のトレンチ用レジストパターン形成工程の後に、通常の有効チップ領域内の欠陥検査を追加して行ったが、この段階での欠陥92の多発は認められなかった。そして、この図20から図22に示したような傾向は、装置のクリーニング周期を早める等の対策を講じても修正されなかった。
【0054】
続いて、各欠陥検査(I)〜(IV)を上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いて行い、同様のDSA処理解析を行った。有効チップ領域外の領域にまで検査対象範囲を広げたところ、欠陥検査(III),(IV)の段階では、上記図20に示した欠陥92が集中する領域E付近の有効チップ領域外のほぼ同じXY座標の所に、異常放電箇所が発見された。このことから、欠陥検査(III)の段階で欠陥92が多発するのは、図17のトレンチエッチング工程の処理前または処理中に有効チップ領域外に生じた欠陥箇所が原因となって、処理装置が異常放電を起こし、そこからパーティクル等が飛び散ってウェーハ上の広範囲に付着したものと考えられる。
【0055】
このように有効チップ領域外も含めたDSA処理解析を行うことにより、欠陥の発生源や発生原因を特定することができ、また、それに基づいて欠陥の多発を未然に防ぐための対策を講じることも可能になる。
【0056】
以下に、上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いて欠陥検出を実施した例を示す。
(実施例1)
図23はSiウェーハ上の有効チップ領域に存在する欠陥の位置とSEM画像の例を示す図である。なお、図23に示すSEM画像はいずれもC部で発見されたすべて異なる欠陥箇所のものである。
【0057】
この図23には、Siウェーハ50にドライエッチングにより一定のパターン(図示せず。)を形成し、これをウェット処理した後のそのSiウェーハ50表面に残る欠陥51の位置を示しており、図23には、このSiウェーハ50の有効チップ領域(実線のチップ領域。)に存在する欠陥51を上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1によって検出したときのSEM画像も併せて示している。ウェット処理後のSiウェーハ50表面には、異物が付着している箇所が多数認められた。しかし、このようにパターンが密に形成されている領域では、その異物の発生源が特定できない。
【0058】
図24は有効チップ領域外に存在する欠陥のSEM画像の例である。
上記欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いることにより、有効チップ領域外のSiウェーハ50表面についても欠陥検出が行える。図24には、そのような有効チップ領域外において検出された欠陥のSEM画像を示している。この図24に示したように、ウェット処理後のSiウェーハ50の有効チップ領域外には、針状の異物が集合して存在している箇所が認められた。この針状の異物が有効チップ領域で見られた異物の発生源と推察された。
【0059】
ウェット処理後のSiウェーハ50の有効チップ領域外で発見された異物をEDX(Energy Dispersive X-ray spectrometer)測定したところ、この異物は主にSiであることがわかった。Siエッチングの際に針状のエッチング残渣が凝集して集合体となり、さらにその一部がウェット処理時、特にエッチング液からのSiウェーハ50の引き上げ時に、有効チップ領域へ流れて付着したものと考えられる。
【0060】
(実施例2)
図25はSiウェーハ上の欠陥の位置を示す図、図26はSiウェーハ上の欠陥のSEM画像の例である。
【0061】
図25には、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)エッチング処理後のSiウェーハ60表面に残る欠陥の位置を示しており、Siウェーハ60上には全体的に多数の欠陥61が認められ、特に一部の領域に欠陥61が集中して認められた。このプラズマCVDエッチング処理前の工程の欠陥情報を用いてDSA処理解析を行ったところ、その近傍の有効チップ領域外の領域Dに図26に示すような異常放電箇所62が認められた。プラズマCVDエッチング処理時に有効チップ領域外で異常放電が引き起こされ、Siウェーハ60全体にわたる欠陥61を招いたと推察された。
【0062】
そこで、エッチング装置の静電チャック電源をダイレクトIO化に改良し、プラス側、マイナス側共に電圧を制御できるようにしたところ、それ以降、このような異常放電や異物付着は発生しなくなった。
【0063】
このように、有効チップ領域外についても欠陥検出を行うことのできる欠陥検査装置8および欠陥レビューSEM1を用いることにより、欠陥の発生源を特定することが可能になる。また、欠陥の発生源を特定することにより、その情報を他の製造プロセスにフィードバックし、欠陥を発生させないための適切な対策を講じることが可能になる。それにより、製品の歩留まりを向上させ、有効チップの高品質化を図ることが可能になる。
【0064】
なお、以上の説明では欠陥レビューSEMと欠陥検査装置を組み合わせた表面検査装置および表面検査方法について述べたが、本発明は、欠陥レビューSEMや欠陥検査装置をそれぞれ表面検査装置として単独で用いる場合にも適用することが可能である。すなわち、各表面検査装置で取り扱う試料表面に対してXY座標系を設定し、それぞれの検査結果を該当するXY座標と関連付けて記憶することのできる構成とすることが可能である。さらに、例えば光学式レビュー装置やUVレビュー装置をはじめとする各種レビュー装置や検査装置にも同様に適用することができる。また、被検査試料は上記のような半導体ウェーハに限られるものではなく、液晶パネルその他の製品・試料の欠陥検出も同様に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】欠陥レビューSEMの機能ブロック図である。
【図2】ウェーハ外縁部の断面模式図である。
【図3】製品ウェーハ全体の平面模式図である。
【図4】製品ウェーハの要部平面模式図である。
【図5】ブランクウェーハ全体の平面模式図である。
【図6】ブランクウェーハの要部平面模式図である。
【図7】座標の原点を説明する図である。
【図8】欠陥レビューSEMにおける欠陥検出の流れを示す図である。
【図9】ビア用リソグラフィ工程の断面模式図である。
【図10】ビア用レジストパターン形成工程の断面模式図である。
【図11】ビアエッチング工程の断面模式図である。
【図12】第1アッシング工程の断面模式図である。
【図13】レジストコーティング工程の断面模式図である。
【図14】レジストエッチバック工程の断面模式図である。
【図15】トレンチ用リソグラフィ工程の断面模式図である。
【図16】トレンチ用レジストパターン形成工程の断面模式図である。
【図17】トレンチエッチング工程の断面模式図である。
【図18】第2アッシング工程の断面模式図である。
【図19】バリア層エッチング工程の断面模式図である。
【図20】各欠陥検査段階のウェーハ上の欠陥分布を示す図である。
【図21】欠陥検査段階の欠陥数を示す図である。
【図22】追加欠陥検査の結果を示す図である。
【図23】Siウェーハ上の有効チップ領域に存在する欠陥の位置とSEM画像の例を示す図である。
【図24】有効チップ領域外に存在する欠陥のSEM画像の例である。
【図25】Siウェーハ上の欠陥の位置を示す図である。
【図26】Siウェーハ上の欠陥のSEM画像の例である。
【符号の説明】
【0066】
1 欠陥レビューSEM
2 検査データ読み込み手段
3 欠陥レビュー手段
4 画像データ記憶手段
5 欠陥情報抽出手段
6 欠陥情報出力手段
7 制御手段
8 欠陥検査装置
10 ウェーハ
10a 平坦面
10b 端面
20 製品ウェーハ
21,21a,21b,91a,91b チップ
30 ブランクウェーハ
40 ダイ
50,60,90 Siウェーハ
51,61,92 欠陥
62 異常放電箇所
70 絶縁膜
71 下層Cu配線
72a,72b,75 SiC膜
73,74 Low−k膜
76 SiO2膜
77,80,81 レジスト膜
78,82 SOG膜
79,83 ArFレジスト膜
a,b,c 欠陥箇所
O1,O2 原点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料表面の検査を行う表面検査装置において、
前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標が設定され、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶する手段を有することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記試料は、ウェーハであり、前記領域は、前記ウェーハ中央から前記ウェーハ外縁の湾曲した端面に至るまでの領域であることを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記検査結果は、前記試料表面の画像データであることを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項4】
特定の座標が指定されたときに、前記特定の座標に関連付けて記憶されている前記検査結果を抽出し出力する手段を有することを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項5】
試料表面の検査を行う表面検査方法において、
前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定し、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶することを特徴とする表面検査方法。
【請求項6】
前記試料は、ウェーハであり、前記領域は、前記ウェーハ中央から前記ウェーハ外縁の湾曲した端面に至るまでの領域であることを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【請求項7】
前記検査結果は、前記試料表面の画像データであることを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【請求項8】
特定の座標が指定されたときに、前記特定の座標に関連付けて記憶されている前記検査結果を抽出し出力することを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【請求項9】
前記特定の座標は、ウェーハの有効チップ領域を除いた特定領域上の座標であることを特徴とする請求項8記載の表面検査方法。
【請求項10】
前記領域について記憶されている一の検査結果と他の検査結果とを比較してDSA処理解析を行うことを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【請求項1】
試料表面の検査を行う表面検査装置において、
前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標が設定され、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶する手段を有することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記試料は、ウェーハであり、前記領域は、前記ウェーハ中央から前記ウェーハ外縁の湾曲した端面に至るまでの領域であることを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記検査結果は、前記試料表面の画像データであることを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項4】
特定の座標が指定されたときに、前記特定の座標に関連付けて記憶されている前記検査結果を抽出し出力する手段を有することを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項5】
試料表面の検査を行う表面検査方法において、
前記試料表面の中央から外縁近傍に至るまでの領域に座標を設定し、前記領域についての検査結果を、前記検査結果が得られた位置の座標と関連付けて記憶することを特徴とする表面検査方法。
【請求項6】
前記試料は、ウェーハであり、前記領域は、前記ウェーハ中央から前記ウェーハ外縁の湾曲した端面に至るまでの領域であることを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【請求項7】
前記検査結果は、前記試料表面の画像データであることを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【請求項8】
特定の座標が指定されたときに、前記特定の座標に関連付けて記憶されている前記検査結果を抽出し出力することを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【請求項9】
前記特定の座標は、ウェーハの有効チップ領域を除いた特定領域上の座標であることを特徴とする請求項8記載の表面検査方法。
【請求項10】
前記領域について記憶されている一の検査結果と他の検査結果とを比較してDSA処理解析を行うことを特徴とする請求項5記載の表面検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
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【図4】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−105946(P2006−105946A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315078(P2004−315078)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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