運転姿勢矯正装置
【課題】脇見運転などをしていた場合に、運転者に注意を促す。
【解決手段】運転席の座部に座席重み分布センサ15を設け、正しい運転姿勢のときの座席の重み分布を外部メモリ6に登録しておく。車両の走行時、一定の時間間隔で座席重み分布センサ15の重み分布を検出し、登録された重み分布と比較する。重み分布が違っていた場合、脇見などをして運転姿勢が崩れたと判定し、シートベルト制御装置17によってシートベルトを間欠的に引っ張るようにシートベルト用巻取りモータ16を制御すると共に、スピーカ8から注意音声を出力する。
【解決手段】運転席の座部に座席重み分布センサ15を設け、正しい運転姿勢のときの座席の重み分布を外部メモリ6に登録しておく。車両の走行時、一定の時間間隔で座席重み分布センサ15の重み分布を検出し、登録された重み分布と比較する。重み分布が違っていた場合、脇見などをして運転姿勢が崩れたと判定し、シートベルト制御装置17によってシートベルトを間欠的に引っ張るようにシートベルト用巻取りモータ16を制御すると共に、スピーカ8から注意音声を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運転者の運転姿勢が崩れた場合、これを検出して姿勢矯正を促すようにした運転姿勢矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車による事故の発生を抑制するために、居眠り防止が効果的であるとして、従来から、種々の居眠り防止技術が提案されてきている。例えば、特許文献1に記載された居眠り防止技術は、居眠り検出手段が運転者の居眠りを検出すると、運転席を振動させて覚醒させるというものである。
【特許文献1】特開平6−278495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示されたような居眠り防止技術は、居眠りをする運転者を覚醒させることができるので、事故防止にとって大変有効な技術である。
ところが、運転者が脇見運転をしたり、オーディオ装置を操作したり、或いは、携帯電話のハンズフリー装置のマイクに近付いて話をしたりするなど、様々な原因で前方注意力を失うことがある。このような時に運転者に注意を促すことができれば、事故防止にとって効果的であるが、従来の居眠り防止技術では、これら脇見運転などを検出して注意を促すことはできない。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、脇見運転などをしていた場合に、運転者に注意を促すことができる運転姿勢矯正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
運転者が脇見運転をしたり、オーディオ装置を操作したり、或いは、携帯電話のハンズフリー装置のマイクに近付いて話をしたりすると、運転者の姿勢は、それまでの正しい運転姿勢が崩れる。この運転姿勢の崩れを検出して注意を促せば、脇見運転などによる事故の発生を未然に防止することが可能となる。
請求項1では、姿勢検出手段により運転者の姿勢の状態を検出し、この姿勢検出手段により検出された姿勢情報により姿勢の崩れの有無を姿勢判定手段により判定し、姿勢崩れ有りと判定されたとき、注意動作制御手段により注意付与手段を動作させるので、運転者が脇見運転をしていたような場合、正しい運転姿勢を取るように促すことができる。
【0006】
請求項2では、姿勢判定手段による姿勢崩れ有りの判定が所定時間継続されたとき、注意付与手段が動作するので、少し手足を伸ばした程度の姿勢の変化くらいで注意付与手段が動作するようなことがなくなる。
請求項3では、注意付与手段が動作することのない姿勢崩れの継続時間が車両の速度に応じて変化するので、車両の速度が遅いときには、多少の時間の姿勢が崩れても、注意付与手段が動作することはなく、頻繁に注意付与手段が動作するといった煩わしさをなくすことができると共に、高速走行の際には、僅かな時間の姿勢崩れでも注意付与手段が動作して正しい姿勢で運転することを促す。
【0007】
請求項4では、注意付与手段を、運転席のシートベルトを間欠的に引っ張るベルト引張装置としたので、運転者の身体に直接刺激を与えることができ、注意効果が高まる。
請求項5では、ベルトの引っ張り強さは、車両の速度によって変化するので、高速走行中にシートベルトが強く引っ張られることによる危険を回避できる。
請求項6では、車両が交差点の近くでは、姿勢が崩れても、ベルト引張手段は動作しないので、体がベルトに引っ張られてハンドル操作に悪影響が及ぶといった不具合を生ずることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1はカーナビゲーション装置(車載機)1の制御装置2を示しており、この制御装置2には、車両の現在位置を検出するための位置検出器(現在位置取得手段)3、地図データ入力器(地図データ取得手段)4、操作スイッチ群5、外部メモリ6、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置(表示手段)7、スピーカ8が接続された音声コントローラ9、マイク10から入力された音声を認識する音声認識装置11、リモコン12との間でコマンド等の送受信を行うリモコンセンサ13、および外部(例えばVICSセンターや種々の情報センター、VICS:登録商標)との間で無線通信によりデータの送受信を行う送受信機14、座席重み分布センサ15、シートベルト用の巻取りモータ16を制御するシートベルト制御装置17などが接続されている。
【0009】
位置検出器3は、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ18、車両の走行速度を検出する車速センサ19、人工衛星からの送信電波に基づいて車両の現在位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機20を有している。ここで、制御装置2は、車速センサ19の検出速度を積分することによって走行距離を検出するようになっている。上記の各センサ18〜20は、それぞれ性質の異なる誤差を有している。このため、制御装置2は、各センサ18〜20の検出値を補間しながら用いることにより、車両の現在位置、進行方向、速度、走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。なお、精度によっては、位置検出器3を上述したセンサ18〜20の一部のみで構成してもよい。また、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0010】
地図データ入力器4は、道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ(施設データベース)、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種データを記録した地図データ記録メディアからデータを読み出すためのドライブ装置により構成されている。地図データ記録メディアには、DVD等の大容量記憶媒体を用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク装置等の媒体を用いてもよい。
【0011】
上記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、交差点、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むとともに、その道路地図を表示装置7の画面上に表示するためのデータを含んでいる。また、目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度および経度等のデータが含まれるとともに、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0012】
操作手段である操作スイッチ群5は、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネルを含んで構成されている。ドライバは、この操作スイッチ群5を用いて、目的地、目的地の検索に必要な情報(目的地検索条件)、通過点などの入力、表示装置7の画面や表示態様の切り替え(地図縮尺変更、メニュー表示選択、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、音量調整等)を行う各種のコマンドの入力を行う。
【0013】
また、リモコン12には複数の操作スイッチが設けられており、スイッチ操作によりリモコン12からリモコンセンサ13を介して各種の指令信号が制御装置2に送信される。なお、操作スイッチ群5とリモコン12は、何れの操作によっても制御装置2に同様の機能を実行させることができる。外部メモリ6は、フラッシュメモリカード等から構成されている。この外部メモリ6には、特定のデータ例えば経路案内時に制御装置2が設定した目的地までの経路のデータ、車両が通過した経路のデータなどが記憶される。
【0014】
表示装置7の画面には、車両の位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置と進行方向とを示す現在地マーク(ポインタ)が表示される。また、目的地までの経路案内の実行時には経路案内用の画面が表示される。更に、ドライバが目的地の検索に必要な情報等を入力したり、目的地の検索や設定を行うための入力用の画面や、各種のメッセージなども表示される。
【0015】
音声コントローラ9は、音声認識装置11によって認識された音声をスピーカ8を介してトークバック出力したり、制御装置2からの音声出力指令に基づいて音声出力信号をスピーカ8に出力したりする。音声認識装置11は、マイク10を介して入力した音声と内部に記憶する認識用の辞書データとを照合し、入力された音声を認識して制御装置2に入力する。
【0016】
制御装置2はマイコンによって構成され、CPU、メモリ(RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等)、I/Oなどを備えている。CPUがROM(またはフラッシュメモリ)に記憶されたプログラムを実行することにより、制御装置2は、目的地設定手段、経路探索手段、表示制御手段、経路案内手段、通過経路特定手段、機能制御手段、現在位置修正手段として機能する。経路探索手段としての機能は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行経路を自動計算するものであり、その手法としては例えばダイクストラ法が用いられている。
【0017】
経路案内手段としての機能は、走行経路に沿って移動可能なように、表示装置7の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両の現在位置と進行方向を示す現在地マークを道路地図に重ね合わせて表示する機能である。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動し、地図は車両の位置に応じてスクロール表示される。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行われる。
【0018】
さて、前記座席重み分布センサ15は、図3に示すように、シート状をなし、車両の運転席21の座部21aの表層部全体に設けられている。この座席重み分布センサ15は、シート状部分15aに多数の歪センサ(図示せず)を装着して構成され、運転者が運転席21に座ると、そのときの座部21aの各部に生ずる歪を歪センサが検出することにより、座部21aの各部に作用する運転者の重みを検出するように構成されている。
【0019】
前記シートベルト用巻取りモータ16は、図5に示す緊急ロック式巻取り装置22のシート巻取り軸に連結して設けられている。シートベルト用巻取りモータ16は、直流モータからなり、通電されると、シートベルト23を巻取り装置22に巻き取るように作用する。なお、このシートベルト用巻取りモータ16の巻取り力はそれ程大きくはなく、シートベルト23を装着した運転者を弱く締める程度のものである。
【0020】
次に上記構成の作用を図2に示すフローチャートをも参照しながら説明する。まず、車両の運転者は、前方を見た楽な運転姿勢で運転席21に座った状態での座部21aへの重み分布を登録しておく。これは、人によって楽な(正しい)運転姿勢も座部21aへ座る位置も異なるため、楽な運転姿勢のときの重み分布は一義的に求めることができないからである。この重み分布を登録するには、運転席21に座り、操作スイッチ群5のうちのいずれかのスイッチを操作して重み分布登録モードに設定する。
【0021】
すると、制御装置2は、「運転者の姿勢を登録します。前方を向き、楽な運転姿勢を取ってください。」との音声をスピーカ8から出力し、その後、所定時間経過したとき、座席重み分布センサ15の複数の歪センサをスキャンして各部の歪ひいては重量を検出し、これを重み分布として記憶手段である外部メモリ6に記憶させる。このとき、車両を運転する者が複数人いる場合には、ユーザは、操作スイッチ群5を操作してIDを入力する。これにより、制御装置2は、そのIDと共に重み分布状態を外部メモリ6に登録する。 図4(a)は、前方を向いた楽な運転姿勢を取ったときの重み分布の一例を示すもので、このとき、座部21aは、運転者の左右の大腿部から同じような分布で重みを受けることが理解される。なお、図4では、重い部分ほど、網目を細かくして示した。
【0022】
さて、車両の走行時には、制御装置2は、図2に示す姿勢矯正プログラムを実行し、一定時間(例えば、0.05秒)の経過毎に、座席重み分布センサ15が検出する重み分布状態を取得する(ステップS1で「YES」、ステップS2)。次いで、制御装置2は、取得した重み分布と外部メモリ6に登録してある重み分布とを比較し、姿勢の崩れの有無を判定する(ステップS3;姿勢判定手段)。登録されている重み分布が複数存在する場合には、運転の開始の際に入力されたIDの重み分布と比較するものである。
【0023】
ここで、運転者が例えば運転席や助手席のドアのガラス窓越しに外を見たりする脇見運転や、オーディオ装置を操作したり、或いは、携帯電話のハンズフリー装置のマイクに近付いて話をしたりすると、運転者の姿勢は、正面を向いた正しい運転姿勢から崩れ、座部21aへの重み分布が変化する。例えば脇見運転すると、首が右や左を向くため人体の重心位置が左右に変化し、オーディオ装置を操作する場合には、前方に人体の重心が移り、或いは携帯電話のハンズフリー装置のマイクに向けば、人体が多少伸びて人体の重心位置が変わる。このため、例えば図4(b)に示すように、座部21aに対する重み分布が変化する。従って、座席重み分布センサ15は、運転者の姿勢の状態を検出する姿勢検出手段として機能する。
【0024】
制御装置2は、取得した重み分布と登録してある重み分布とを比較し、左右の大腿部のうちの一方が他方に比較してより広い範囲でより大きな重みが検出されていたり、重さの大きく加わる個所が左右の大腿部の前方に移っていたりした場合、姿勢が崩れていると判定する(ステップS3)。姿勢が崩れていると判定した場合(ステップS3で「YES」)、制御装置2は、スピーカ8およびシートベルト23により、運転者に対して注意を与える(ステップS7)。このとき、僅かに大腿部を浮かしたり、少し手足を伸ばしたりした程度でも注意が与えられると、運転者が煩わしく感じるので、姿勢が崩れたままX時間(秒)以上継続したとき、注意が与えられるようにしている。ただ、同じ時間だけ脇見をしても、車両速度が速ければ速いほど危険度は高くなるので、上記X時間は、車速によって違えるようにしている。
【0025】
即ち、制御装置2は、姿勢が崩れたことを検出すると、次に車速センサ19から現在の車両速度を検出し(ステップS3で「YES」、ステップS4)、記憶手段としての例えば外部メモリ6に記憶されているデータテーブルから車両速度に応じた危険継続時間X(秒)を取得する(ステップS5)。なお、車両速度とX時間との関係を示すデータテーブルの一例を図6に示した。そして、姿勢が崩れたままの状態がX秒以上経過すると(ステップS6で「YES」)、制御装置2は、音声コントローラ9およびシートベルト制御装置(シートベルト制御手段)17を制御し、スピーカ8およびシートベルト23によって運転者に注意を与える(ステップS7;注意動作制御手段)。
【0026】
具体的には、制御装置2は、姿勢が崩れたままの状態がX秒以上経過ことを検出すると、シートベルト制御装置17に対して注意動作指令を発する。シートベルト制御装置17は、注意動作指令を受けると、巻取りモータ(注意付与手段、ベルト引張手段)16に間欠的に通電し、シートベルト23を緊急ロック式巻取り装置22に間欠的に巻き取るようにする。すると、シートベルト23が間欠的に引っ張られるようになるため、シートベルト23を装着している運転者は、シートベルト23から間欠的に緊迫力を受ける。同時に、制御装置2は、音声コントローラ9を制御してスピーカ(注意付与手段、音出力手段)8から「交通状況に注意して下さい。」との音声を出力させる。
【0027】
このように本実施形態では、運転者の姿勢が崩れると、シートベルト23から緩い緊迫力を間欠的に受けたり、音声でガイダンスが行われたりするので、無意識にした行為に対してこれを正すようになる。このため、運転から注意をそらすことがなくなり、安全な運転を続けようとする意識が高まる。
【0028】
(第2の実施形態)
図7〜図9は本発明の第2の実施形態を示すもので、以下、上記第1の実施形態と異なる部分を説明する。この第2の実施形態では、第1の実施形態での座席重み分布センサ15に代えて撮影手段としてのCCDカメラ(以下、カメラ)24を用いている。カメラ(姿勢検出手段)24は、運転席21の前方のインスツルメントパネル(図示せず)に運転席21に座った運転者の上半身を撮影できるように設置されている。
【0029】
制御装置2は、このカメラ24の撮影画像情報を取得して姿勢の崩れの有無を判断するが、その判断は次のようにして行う。即ち、制御装置2は、カメラ24から送られてくる動画を、一定時間経過毎に、静止画として取得し(ステップA1で「YES」、ステップA2)、取得した静止画を図9に示すように縦横多数のブロックに分け、同様にしてブロックに分けられた前回取得の静止画像と、ブロック毎に照合して各ブロックの画像変化を判断する(ステップA3)。そして、所定数のブロックに画像変化があったとき、姿勢の崩れ有りと判定する(ステップA4で「YES」)。なお、このような画像の変化の判断は自己組織化MAP(SOM)といわれ、高速に画像を認識することができる。
【0030】
(第3の実施形態)
図10は本発明の第3の実施形態を示す。この第3の実施形態では、次のような場合を考慮してなされたものである。例えば、運転者が前方を見ながらオーディオ装置を操作しているような場合、姿勢は崩れてはいるが、前方を注意しているので、この場合に注意動作を受けることは煩わしい。また、交差点付近では、とっさのハンドル操作やブレーキ操作が必要である場合があり、このような場合に、姿勢が崩れたと判断されてシートベルト23が引っ張られることはかえって危険を招く。
【0031】
本実施形態では、車両の現在位置を位置検出器3により検出し、検出した現在位置が交差点の近傍では、姿勢が崩れても、シートベルト23を引っ張ることは行わない。また、姿勢が崩れても、視線が前方を見ていれば、シートベルト23を引っ張ることは行わないようにしている。なお、本発明はカメラ24によって運転者を撮影することを前提としている。
【0032】
即ち、第2の実施形態と同様に、一定時間毎に静止画像を取得し、前回の静止画像と縦横に区画された各ブロック毎に比較する(ステップB2,3)。これにより姿勢が崩れたと判定し、その姿勢の崩れがX秒間続いた場合(ステップB5,6、ステップB7で「YES」)、制御装置2は、位置検出器3から車両の現在位置を取得し、地図データ入力器4から取得した地図データに基づいて現在位置が交差点付近であるか否かを判断する(ステップB8)。なお、交差点付近の判断は、交差点から所定距離(例えば100m)以内にある場合に交差点付近と判断する。
姿勢崩れがX秒間続き、これが交差点付近であった場合(ステップB8で「YES」)、制御装置2は、シートベルト引っ張り指令は出力せず、注意音声出力指令だけを出す。これにより、スピーカ8から「交通状況に注意して下さい。」との音声が出力される(ステップB9)。
【0033】
交差点付近でなかった場合(ステップB8で「NO」)、制御装置2は、次に今回取得したカメラ24の撮影画像(動画)から運転者の両目(瞳)の位置を検出し、これが前方を見ているか否(脇目をしていないか否か)かを公知の手段によって判断する(ステップB10)。この場合の公知の手段としては、特開平6−278495号公報に示された手段がある。そして、両目の位置によって脇目をしていないと判断される場合、制御装置2は、(ステップB10で「YES」)、制御装置2は、シートベルト引っ張り指令は出力せず、注意音声出力指令だけを出す。これにより、スピーカ8から「交通状況に注意して下さい。」との音声が出力される(ステップB9)。
【0034】
交差点付近でもなく(ステップB8で「NO」)、視線が前方を見ているのでもない場合には(ステップB10で「NO」)、制御装置2は、シートベルト引っ張り指令および注意音声出力指令を出す。これにより、シートベルト23が間欠的に引っ張られると共に、スピーカ8から「交通状況に注意して下さい。」との音声が出力される(ステップB11)。
【0035】
(第4の実施形態)
図11は本発明の第4の実施形態を示す。この第4の実施形態では、次のような場合を考慮してなされたものである。例えば、高速道路を運転している場合、これが長時間にわたると運転者の注意力も散漫となり易い。そこで、本実施形態では、車両速度に応じてシートベルト23の引っ張り強さ、つまりシートベルト用巻取りモータ16の巻取り力を変化させるようにしている。
図11は、シートベルト用モータ16による引っ張り力を、高速道路の走行中と考えられる時速80Km走行時を100%として、速度に応じた引っ張り力を示したものである。このように、高速道路の走行時にシートベルト23の引っ張り力を強くすれば、これが刺激となって注意力を集中できるようになる。しかしながら、時速100Km以上の高速走行時にシートベルト23を時速80Km走行時と同じ強さで引っ張ることは逆に危険を招くことがあるので、この場合の引っ張り力は弱く、時速120Km走行時には更に弱くするようにしている。
一方、時速60Kmでの走行時には、一般道路走行中と考えられるから、高速道路を時速80Kmで走行しているときよりも弱い力でシートベルト23を引っ張るものとし、更に、時速が低くなれば、更に弱い力でシートベルト23を引っ張るようにしている。
【0036】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
運転者の姿勢の状態を検出する姿勢検出手段は、座席重み分布センサ15、カメラ24の外、運転席の背もたれ部の重み分布を検出するセンサなど、他に種々考えられる。
注意付与手段としては、運転席21を振動させる振動付与手段であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、電気的構成のブロック図
【図2】姿勢崩れを注意するためのプログラムの内容を示すフローチャート
【図3】座席重み分布センサを示す断面図
【図4】座席重み分布センサの検出状態を示すもので、(a)は正常時、(b)は姿勢が崩れた場合の一例を夫々示す平面図
【図5】シートベルトの構成を示す概略図
【図6】車両速度と姿勢崩れ継続時間との関係を示すデータテーブルの構成図
【図7】本発明の第2の実施形態を示すもので、電気的構成のブロック図
【図8】姿勢崩れを注意するためのプログラムの内容を示すフローチャート
【図9】姿勢崩れを検出するための撮影画像の処理を説明するための図
【図10】本発明の第3の実施形態を示すもので、姿勢崩れを注意するためのプログラムの内容を示すフローチャート
【図11】本発明の第4の実施形態を示すもので、車両速度とシートベルトの引っ張り力との関係を示すデータデーブルの構成図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2は制御装置(姿勢判定手段、注意動作制御手段)、3は位置検出器(現在位置取得手段)、4は地図データ入力器(地図データ取得手段)、6は外部メモリ、7は表示装置、8はスピーカ(注意付与手段、音出力手段)、15は座席重み分布センサ(姿勢検出手段)、16はシートベルト用巻取りモータ(注意付与手段、ベルト引張手段)、17はシートベルト制御装置、21は運転席、22は緊急ロック式巻取り装置、23はシートベルト、24はCCDカメラ(姿勢検出手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は運転者の運転姿勢が崩れた場合、これを検出して姿勢矯正を促すようにした運転姿勢矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車による事故の発生を抑制するために、居眠り防止が効果的であるとして、従来から、種々の居眠り防止技術が提案されてきている。例えば、特許文献1に記載された居眠り防止技術は、居眠り検出手段が運転者の居眠りを検出すると、運転席を振動させて覚醒させるというものである。
【特許文献1】特開平6−278495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示されたような居眠り防止技術は、居眠りをする運転者を覚醒させることができるので、事故防止にとって大変有効な技術である。
ところが、運転者が脇見運転をしたり、オーディオ装置を操作したり、或いは、携帯電話のハンズフリー装置のマイクに近付いて話をしたりするなど、様々な原因で前方注意力を失うことがある。このような時に運転者に注意を促すことができれば、事故防止にとって効果的であるが、従来の居眠り防止技術では、これら脇見運転などを検出して注意を促すことはできない。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、脇見運転などをしていた場合に、運転者に注意を促すことができる運転姿勢矯正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
運転者が脇見運転をしたり、オーディオ装置を操作したり、或いは、携帯電話のハンズフリー装置のマイクに近付いて話をしたりすると、運転者の姿勢は、それまでの正しい運転姿勢が崩れる。この運転姿勢の崩れを検出して注意を促せば、脇見運転などによる事故の発生を未然に防止することが可能となる。
請求項1では、姿勢検出手段により運転者の姿勢の状態を検出し、この姿勢検出手段により検出された姿勢情報により姿勢の崩れの有無を姿勢判定手段により判定し、姿勢崩れ有りと判定されたとき、注意動作制御手段により注意付与手段を動作させるので、運転者が脇見運転をしていたような場合、正しい運転姿勢を取るように促すことができる。
【0006】
請求項2では、姿勢判定手段による姿勢崩れ有りの判定が所定時間継続されたとき、注意付与手段が動作するので、少し手足を伸ばした程度の姿勢の変化くらいで注意付与手段が動作するようなことがなくなる。
請求項3では、注意付与手段が動作することのない姿勢崩れの継続時間が車両の速度に応じて変化するので、車両の速度が遅いときには、多少の時間の姿勢が崩れても、注意付与手段が動作することはなく、頻繁に注意付与手段が動作するといった煩わしさをなくすことができると共に、高速走行の際には、僅かな時間の姿勢崩れでも注意付与手段が動作して正しい姿勢で運転することを促す。
【0007】
請求項4では、注意付与手段を、運転席のシートベルトを間欠的に引っ張るベルト引張装置としたので、運転者の身体に直接刺激を与えることができ、注意効果が高まる。
請求項5では、ベルトの引っ張り強さは、車両の速度によって変化するので、高速走行中にシートベルトが強く引っ張られることによる危険を回避できる。
請求項6では、車両が交差点の近くでは、姿勢が崩れても、ベルト引張手段は動作しないので、体がベルトに引っ張られてハンドル操作に悪影響が及ぶといった不具合を生ずることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1はカーナビゲーション装置(車載機)1の制御装置2を示しており、この制御装置2には、車両の現在位置を検出するための位置検出器(現在位置取得手段)3、地図データ入力器(地図データ取得手段)4、操作スイッチ群5、外部メモリ6、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置(表示手段)7、スピーカ8が接続された音声コントローラ9、マイク10から入力された音声を認識する音声認識装置11、リモコン12との間でコマンド等の送受信を行うリモコンセンサ13、および外部(例えばVICSセンターや種々の情報センター、VICS:登録商標)との間で無線通信によりデータの送受信を行う送受信機14、座席重み分布センサ15、シートベルト用の巻取りモータ16を制御するシートベルト制御装置17などが接続されている。
【0009】
位置検出器3は、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ18、車両の走行速度を検出する車速センサ19、人工衛星からの送信電波に基づいて車両の現在位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機20を有している。ここで、制御装置2は、車速センサ19の検出速度を積分することによって走行距離を検出するようになっている。上記の各センサ18〜20は、それぞれ性質の異なる誤差を有している。このため、制御装置2は、各センサ18〜20の検出値を補間しながら用いることにより、車両の現在位置、進行方向、速度、走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。なお、精度によっては、位置検出器3を上述したセンサ18〜20の一部のみで構成してもよい。また、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0010】
地図データ入力器4は、道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ(施設データベース)、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種データを記録した地図データ記録メディアからデータを読み出すためのドライブ装置により構成されている。地図データ記録メディアには、DVD等の大容量記憶媒体を用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク装置等の媒体を用いてもよい。
【0011】
上記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、交差点、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むとともに、その道路地図を表示装置7の画面上に表示するためのデータを含んでいる。また、目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度および経度等のデータが含まれるとともに、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0012】
操作手段である操作スイッチ群5は、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネルを含んで構成されている。ドライバは、この操作スイッチ群5を用いて、目的地、目的地の検索に必要な情報(目的地検索条件)、通過点などの入力、表示装置7の画面や表示態様の切り替え(地図縮尺変更、メニュー表示選択、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、音量調整等)を行う各種のコマンドの入力を行う。
【0013】
また、リモコン12には複数の操作スイッチが設けられており、スイッチ操作によりリモコン12からリモコンセンサ13を介して各種の指令信号が制御装置2に送信される。なお、操作スイッチ群5とリモコン12は、何れの操作によっても制御装置2に同様の機能を実行させることができる。外部メモリ6は、フラッシュメモリカード等から構成されている。この外部メモリ6には、特定のデータ例えば経路案内時に制御装置2が設定した目的地までの経路のデータ、車両が通過した経路のデータなどが記憶される。
【0014】
表示装置7の画面には、車両の位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置と進行方向とを示す現在地マーク(ポインタ)が表示される。また、目的地までの経路案内の実行時には経路案内用の画面が表示される。更に、ドライバが目的地の検索に必要な情報等を入力したり、目的地の検索や設定を行うための入力用の画面や、各種のメッセージなども表示される。
【0015】
音声コントローラ9は、音声認識装置11によって認識された音声をスピーカ8を介してトークバック出力したり、制御装置2からの音声出力指令に基づいて音声出力信号をスピーカ8に出力したりする。音声認識装置11は、マイク10を介して入力した音声と内部に記憶する認識用の辞書データとを照合し、入力された音声を認識して制御装置2に入力する。
【0016】
制御装置2はマイコンによって構成され、CPU、メモリ(RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等)、I/Oなどを備えている。CPUがROM(またはフラッシュメモリ)に記憶されたプログラムを実行することにより、制御装置2は、目的地設定手段、経路探索手段、表示制御手段、経路案内手段、通過経路特定手段、機能制御手段、現在位置修正手段として機能する。経路探索手段としての機能は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行経路を自動計算するものであり、その手法としては例えばダイクストラ法が用いられている。
【0017】
経路案内手段としての機能は、走行経路に沿って移動可能なように、表示装置7の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両の現在位置と進行方向を示す現在地マークを道路地図に重ね合わせて表示する機能である。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動し、地図は車両の位置に応じてスクロール表示される。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行われる。
【0018】
さて、前記座席重み分布センサ15は、図3に示すように、シート状をなし、車両の運転席21の座部21aの表層部全体に設けられている。この座席重み分布センサ15は、シート状部分15aに多数の歪センサ(図示せず)を装着して構成され、運転者が運転席21に座ると、そのときの座部21aの各部に生ずる歪を歪センサが検出することにより、座部21aの各部に作用する運転者の重みを検出するように構成されている。
【0019】
前記シートベルト用巻取りモータ16は、図5に示す緊急ロック式巻取り装置22のシート巻取り軸に連結して設けられている。シートベルト用巻取りモータ16は、直流モータからなり、通電されると、シートベルト23を巻取り装置22に巻き取るように作用する。なお、このシートベルト用巻取りモータ16の巻取り力はそれ程大きくはなく、シートベルト23を装着した運転者を弱く締める程度のものである。
【0020】
次に上記構成の作用を図2に示すフローチャートをも参照しながら説明する。まず、車両の運転者は、前方を見た楽な運転姿勢で運転席21に座った状態での座部21aへの重み分布を登録しておく。これは、人によって楽な(正しい)運転姿勢も座部21aへ座る位置も異なるため、楽な運転姿勢のときの重み分布は一義的に求めることができないからである。この重み分布を登録するには、運転席21に座り、操作スイッチ群5のうちのいずれかのスイッチを操作して重み分布登録モードに設定する。
【0021】
すると、制御装置2は、「運転者の姿勢を登録します。前方を向き、楽な運転姿勢を取ってください。」との音声をスピーカ8から出力し、その後、所定時間経過したとき、座席重み分布センサ15の複数の歪センサをスキャンして各部の歪ひいては重量を検出し、これを重み分布として記憶手段である外部メモリ6に記憶させる。このとき、車両を運転する者が複数人いる場合には、ユーザは、操作スイッチ群5を操作してIDを入力する。これにより、制御装置2は、そのIDと共に重み分布状態を外部メモリ6に登録する。 図4(a)は、前方を向いた楽な運転姿勢を取ったときの重み分布の一例を示すもので、このとき、座部21aは、運転者の左右の大腿部から同じような分布で重みを受けることが理解される。なお、図4では、重い部分ほど、網目を細かくして示した。
【0022】
さて、車両の走行時には、制御装置2は、図2に示す姿勢矯正プログラムを実行し、一定時間(例えば、0.05秒)の経過毎に、座席重み分布センサ15が検出する重み分布状態を取得する(ステップS1で「YES」、ステップS2)。次いで、制御装置2は、取得した重み分布と外部メモリ6に登録してある重み分布とを比較し、姿勢の崩れの有無を判定する(ステップS3;姿勢判定手段)。登録されている重み分布が複数存在する場合には、運転の開始の際に入力されたIDの重み分布と比較するものである。
【0023】
ここで、運転者が例えば運転席や助手席のドアのガラス窓越しに外を見たりする脇見運転や、オーディオ装置を操作したり、或いは、携帯電話のハンズフリー装置のマイクに近付いて話をしたりすると、運転者の姿勢は、正面を向いた正しい運転姿勢から崩れ、座部21aへの重み分布が変化する。例えば脇見運転すると、首が右や左を向くため人体の重心位置が左右に変化し、オーディオ装置を操作する場合には、前方に人体の重心が移り、或いは携帯電話のハンズフリー装置のマイクに向けば、人体が多少伸びて人体の重心位置が変わる。このため、例えば図4(b)に示すように、座部21aに対する重み分布が変化する。従って、座席重み分布センサ15は、運転者の姿勢の状態を検出する姿勢検出手段として機能する。
【0024】
制御装置2は、取得した重み分布と登録してある重み分布とを比較し、左右の大腿部のうちの一方が他方に比較してより広い範囲でより大きな重みが検出されていたり、重さの大きく加わる個所が左右の大腿部の前方に移っていたりした場合、姿勢が崩れていると判定する(ステップS3)。姿勢が崩れていると判定した場合(ステップS3で「YES」)、制御装置2は、スピーカ8およびシートベルト23により、運転者に対して注意を与える(ステップS7)。このとき、僅かに大腿部を浮かしたり、少し手足を伸ばしたりした程度でも注意が与えられると、運転者が煩わしく感じるので、姿勢が崩れたままX時間(秒)以上継続したとき、注意が与えられるようにしている。ただ、同じ時間だけ脇見をしても、車両速度が速ければ速いほど危険度は高くなるので、上記X時間は、車速によって違えるようにしている。
【0025】
即ち、制御装置2は、姿勢が崩れたことを検出すると、次に車速センサ19から現在の車両速度を検出し(ステップS3で「YES」、ステップS4)、記憶手段としての例えば外部メモリ6に記憶されているデータテーブルから車両速度に応じた危険継続時間X(秒)を取得する(ステップS5)。なお、車両速度とX時間との関係を示すデータテーブルの一例を図6に示した。そして、姿勢が崩れたままの状態がX秒以上経過すると(ステップS6で「YES」)、制御装置2は、音声コントローラ9およびシートベルト制御装置(シートベルト制御手段)17を制御し、スピーカ8およびシートベルト23によって運転者に注意を与える(ステップS7;注意動作制御手段)。
【0026】
具体的には、制御装置2は、姿勢が崩れたままの状態がX秒以上経過ことを検出すると、シートベルト制御装置17に対して注意動作指令を発する。シートベルト制御装置17は、注意動作指令を受けると、巻取りモータ(注意付与手段、ベルト引張手段)16に間欠的に通電し、シートベルト23を緊急ロック式巻取り装置22に間欠的に巻き取るようにする。すると、シートベルト23が間欠的に引っ張られるようになるため、シートベルト23を装着している運転者は、シートベルト23から間欠的に緊迫力を受ける。同時に、制御装置2は、音声コントローラ9を制御してスピーカ(注意付与手段、音出力手段)8から「交通状況に注意して下さい。」との音声を出力させる。
【0027】
このように本実施形態では、運転者の姿勢が崩れると、シートベルト23から緩い緊迫力を間欠的に受けたり、音声でガイダンスが行われたりするので、無意識にした行為に対してこれを正すようになる。このため、運転から注意をそらすことがなくなり、安全な運転を続けようとする意識が高まる。
【0028】
(第2の実施形態)
図7〜図9は本発明の第2の実施形態を示すもので、以下、上記第1の実施形態と異なる部分を説明する。この第2の実施形態では、第1の実施形態での座席重み分布センサ15に代えて撮影手段としてのCCDカメラ(以下、カメラ)24を用いている。カメラ(姿勢検出手段)24は、運転席21の前方のインスツルメントパネル(図示せず)に運転席21に座った運転者の上半身を撮影できるように設置されている。
【0029】
制御装置2は、このカメラ24の撮影画像情報を取得して姿勢の崩れの有無を判断するが、その判断は次のようにして行う。即ち、制御装置2は、カメラ24から送られてくる動画を、一定時間経過毎に、静止画として取得し(ステップA1で「YES」、ステップA2)、取得した静止画を図9に示すように縦横多数のブロックに分け、同様にしてブロックに分けられた前回取得の静止画像と、ブロック毎に照合して各ブロックの画像変化を判断する(ステップA3)。そして、所定数のブロックに画像変化があったとき、姿勢の崩れ有りと判定する(ステップA4で「YES」)。なお、このような画像の変化の判断は自己組織化MAP(SOM)といわれ、高速に画像を認識することができる。
【0030】
(第3の実施形態)
図10は本発明の第3の実施形態を示す。この第3の実施形態では、次のような場合を考慮してなされたものである。例えば、運転者が前方を見ながらオーディオ装置を操作しているような場合、姿勢は崩れてはいるが、前方を注意しているので、この場合に注意動作を受けることは煩わしい。また、交差点付近では、とっさのハンドル操作やブレーキ操作が必要である場合があり、このような場合に、姿勢が崩れたと判断されてシートベルト23が引っ張られることはかえって危険を招く。
【0031】
本実施形態では、車両の現在位置を位置検出器3により検出し、検出した現在位置が交差点の近傍では、姿勢が崩れても、シートベルト23を引っ張ることは行わない。また、姿勢が崩れても、視線が前方を見ていれば、シートベルト23を引っ張ることは行わないようにしている。なお、本発明はカメラ24によって運転者を撮影することを前提としている。
【0032】
即ち、第2の実施形態と同様に、一定時間毎に静止画像を取得し、前回の静止画像と縦横に区画された各ブロック毎に比較する(ステップB2,3)。これにより姿勢が崩れたと判定し、その姿勢の崩れがX秒間続いた場合(ステップB5,6、ステップB7で「YES」)、制御装置2は、位置検出器3から車両の現在位置を取得し、地図データ入力器4から取得した地図データに基づいて現在位置が交差点付近であるか否かを判断する(ステップB8)。なお、交差点付近の判断は、交差点から所定距離(例えば100m)以内にある場合に交差点付近と判断する。
姿勢崩れがX秒間続き、これが交差点付近であった場合(ステップB8で「YES」)、制御装置2は、シートベルト引っ張り指令は出力せず、注意音声出力指令だけを出す。これにより、スピーカ8から「交通状況に注意して下さい。」との音声が出力される(ステップB9)。
【0033】
交差点付近でなかった場合(ステップB8で「NO」)、制御装置2は、次に今回取得したカメラ24の撮影画像(動画)から運転者の両目(瞳)の位置を検出し、これが前方を見ているか否(脇目をしていないか否か)かを公知の手段によって判断する(ステップB10)。この場合の公知の手段としては、特開平6−278495号公報に示された手段がある。そして、両目の位置によって脇目をしていないと判断される場合、制御装置2は、(ステップB10で「YES」)、制御装置2は、シートベルト引っ張り指令は出力せず、注意音声出力指令だけを出す。これにより、スピーカ8から「交通状況に注意して下さい。」との音声が出力される(ステップB9)。
【0034】
交差点付近でもなく(ステップB8で「NO」)、視線が前方を見ているのでもない場合には(ステップB10で「NO」)、制御装置2は、シートベルト引っ張り指令および注意音声出力指令を出す。これにより、シートベルト23が間欠的に引っ張られると共に、スピーカ8から「交通状況に注意して下さい。」との音声が出力される(ステップB11)。
【0035】
(第4の実施形態)
図11は本発明の第4の実施形態を示す。この第4の実施形態では、次のような場合を考慮してなされたものである。例えば、高速道路を運転している場合、これが長時間にわたると運転者の注意力も散漫となり易い。そこで、本実施形態では、車両速度に応じてシートベルト23の引っ張り強さ、つまりシートベルト用巻取りモータ16の巻取り力を変化させるようにしている。
図11は、シートベルト用モータ16による引っ張り力を、高速道路の走行中と考えられる時速80Km走行時を100%として、速度に応じた引っ張り力を示したものである。このように、高速道路の走行時にシートベルト23の引っ張り力を強くすれば、これが刺激となって注意力を集中できるようになる。しかしながら、時速100Km以上の高速走行時にシートベルト23を時速80Km走行時と同じ強さで引っ張ることは逆に危険を招くことがあるので、この場合の引っ張り力は弱く、時速120Km走行時には更に弱くするようにしている。
一方、時速60Kmでの走行時には、一般道路走行中と考えられるから、高速道路を時速80Kmで走行しているときよりも弱い力でシートベルト23を引っ張るものとし、更に、時速が低くなれば、更に弱い力でシートベルト23を引っ張るようにしている。
【0036】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
運転者の姿勢の状態を検出する姿勢検出手段は、座席重み分布センサ15、カメラ24の外、運転席の背もたれ部の重み分布を検出するセンサなど、他に種々考えられる。
注意付与手段としては、運転席21を振動させる振動付与手段であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、電気的構成のブロック図
【図2】姿勢崩れを注意するためのプログラムの内容を示すフローチャート
【図3】座席重み分布センサを示す断面図
【図4】座席重み分布センサの検出状態を示すもので、(a)は正常時、(b)は姿勢が崩れた場合の一例を夫々示す平面図
【図5】シートベルトの構成を示す概略図
【図6】車両速度と姿勢崩れ継続時間との関係を示すデータテーブルの構成図
【図7】本発明の第2の実施形態を示すもので、電気的構成のブロック図
【図8】姿勢崩れを注意するためのプログラムの内容を示すフローチャート
【図9】姿勢崩れを検出するための撮影画像の処理を説明するための図
【図10】本発明の第3の実施形態を示すもので、姿勢崩れを注意するためのプログラムの内容を示すフローチャート
【図11】本発明の第4の実施形態を示すもので、車両速度とシートベルトの引っ張り力との関係を示すデータデーブルの構成図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2は制御装置(姿勢判定手段、注意動作制御手段)、3は位置検出器(現在位置取得手段)、4は地図データ入力器(地図データ取得手段)、6は外部メモリ、7は表示装置、8はスピーカ(注意付与手段、音出力手段)、15は座席重み分布センサ(姿勢検出手段)、16はシートベルト用巻取りモータ(注意付与手段、ベルト引張手段)、17はシートベルト制御装置、21は運転席、22は緊急ロック式巻取り装置、23はシートベルト、24はCCDカメラ(姿勢検出手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席に着座した運転者の姿勢の状態を検出するための姿勢検出手段と、
前記姿勢検出手段により検出された運転者の状態情報により姿勢の崩れの有無を判定する姿勢判定手段と、
運転者に注意を与える注意付与手段と、
前記姿勢判定手段により姿勢崩れ有りと判定されたとき、前記注意付与手段を動作させる注意動作制御手段と
を具備してなる運転姿勢矯正装置。
【請求項2】
前記注意動作制御手段は、前記姿勢判定手段による姿勢崩れ有りの判定が所定時間継続されるとき、前記注意付与手段を動作させることを特徴とする請求項1記載の運転姿勢矯正装置。
【請求項3】
前記所定時間は、車両の速度に応じて変化することを特徴とする請求項2記載の運転姿勢矯正装置。
【請求項4】
前記注意付与手段は、運転席のシートベルトを引っ張るベルト引張手段であることを特徴とする運転姿勢矯正装置。
【請求項5】
前記ベルト引張手段が前記シートベルトに付与する引張強さは、車両の速度に応じて変化することを特徴とする請求項4記載の運転姿勢矯正装置。
【請求項6】
更に、車両の現在位置取得手段と、
地図データ取得手段とを備え
前記注意付与手段は、前記ベルト引張手段の外に音出力手段を有し、
前記注意動作制御手段は、前記現在位置取得手段により取得した現在位置が、前記地図データ取得手段により取得した地図データ上で交差点の近傍位置であったとき、前記注意付与手段のうち、前記ベルト引張手段を動作させることなく、前記音出力手段を動作させることを特徴とする請求項4記載の運転姿勢矯正装置。
【請求項1】
車両の運転席に着座した運転者の姿勢の状態を検出するための姿勢検出手段と、
前記姿勢検出手段により検出された運転者の状態情報により姿勢の崩れの有無を判定する姿勢判定手段と、
運転者に注意を与える注意付与手段と、
前記姿勢判定手段により姿勢崩れ有りと判定されたとき、前記注意付与手段を動作させる注意動作制御手段と
を具備してなる運転姿勢矯正装置。
【請求項2】
前記注意動作制御手段は、前記姿勢判定手段による姿勢崩れ有りの判定が所定時間継続されるとき、前記注意付与手段を動作させることを特徴とする請求項1記載の運転姿勢矯正装置。
【請求項3】
前記所定時間は、車両の速度に応じて変化することを特徴とする請求項2記載の運転姿勢矯正装置。
【請求項4】
前記注意付与手段は、運転席のシートベルトを引っ張るベルト引張手段であることを特徴とする運転姿勢矯正装置。
【請求項5】
前記ベルト引張手段が前記シートベルトに付与する引張強さは、車両の速度に応じて変化することを特徴とする請求項4記載の運転姿勢矯正装置。
【請求項6】
更に、車両の現在位置取得手段と、
地図データ取得手段とを備え
前記注意付与手段は、前記ベルト引張手段の外に音出力手段を有し、
前記注意動作制御手段は、前記現在位置取得手段により取得した現在位置が、前記地図データ取得手段により取得した地図データ上で交差点の近傍位置であったとき、前記注意付与手段のうち、前記ベルト引張手段を動作させることなく、前記音出力手段を動作させることを特徴とする請求項4記載の運転姿勢矯正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−126209(P2009−126209A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300219(P2007−300219)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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