説明

適応的に制御可能なブレーキライニングクリアランスを伴うブレーキシステム

本発明は、少なくとも1つの仕事室が少なくとも1つの油圧ラインを介して車両の車輪ブレーキに接続されるマスタブレーキシリンダ(4)を含む、少なくとも1つの車輪ブレーキ(RB)のブレーキピストン(12a〜12d)が、ブレーキクリアランス(BLS)を生じさせるために、油圧ライン内の負圧によって調節可能である油圧式ブレーキシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの仕事室が少なくとも1つの油圧ラインを介して車両の車輪ブレーキに接続されるマスタブレーキシリンダを有する油圧作動式ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
制動操作の後、特にディスクブレーキを有するブレーキシステムの場合において、ブレーキピストン上の回復力が、ブレーキディスクから充分に離してブレーキライニングを持ち上げるには充分ではないため、残余の制動効果が現れる。この課題を解決するために、とりわけロールバックシールが開発され、それは、制動操作完了状態で、ブレーキピストンを動かし、これと共にブレーキライニングをブレーキディスクから離す。しかし、シールリングのロールバック限度容量はブレーキピストンに制限され、ブレーキキャリパおよび摩擦ライニング内のどのような汚染、経年劣化または弾性変形に対しても完全に補償するには充分ではない。ブレーキライニングとブレーキディスク/ブレーキピストンとの間のエアギャップを有する修正は、独国特許第44 18 801号および独国特許第196 01 434号に説明される。上記の文書により提案される解決策は、効果に対する追加の費用が満足なものではなく、加えて、ペダル移動の損失が、ブレーキクリアランス調整の結果として、次の制動中に起こり、その結果として、完全な制動操作の場合における制動距離が不都合に長くなるため、これまで導入されていない。
【0003】
ブレーキ開発の現状によると、中型車両はNEDC消費を判定するための試験台で、約0.251=6g CO/kmの追加消費を上記の残余の制動効果の結果として示す。この値は、如何なる経年効果もない新しい車両に当てはまり、将来のCO目標を考慮するとかなりのものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、如何なる残余の制動効果も確実に回避されるように、油圧作動式ブレーキシステムをさらに開発することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、この目的は、ブレーキクリアランスが、車輪ブレーキの油圧供給ライン内の負圧によって生成および/または調節できることによって達成できる。本発明による請求項1に従うブレーキシステムのさらに好都合な実施形態は、従属請求項の特徴によって獲得される。
【0006】
本発明は、負圧によって能動的に車輪ブレーキのブレーキピストンを再調整するという概念に基づき、特に、負圧の大きさおよびその継続時間によって、ピストンおよび、結果として1つまたは複数のブレーキライニングの所定の調節が、所定のブレーキクリアランスを達成するために、実行できる。
【0007】
本発明の第1の実施形態において、負圧はマスタブレーキシリンダを使用して生成できる。マスタブレーキシリンダの駆動部が充分に速く働かない場合、負圧を生成するための追加のユニットが本発明の第2の実施形態によって提供でき、それはそれぞれの車輪ブレーキの油圧供給ラインと連通している。
【0008】
上記の両方の実施形態について、少なくとも1つの弁が好都合に提供でき、その1つまたは複数は、油圧伝達媒体のためのリザーバとマスタブレーキシリンダとの間、および/または、負圧を生成するためのユニットとマスタブレーキシリンダとの間に配置される。この少なくとも1つの弁によって、供給ラインまたはマスタブレーキシリンダまたはユニット内へのリザーバからの油圧伝達媒体の流れが負圧生成中に阻止される。
【0009】
本発明は、油圧式ブレーキシステムのための容易な解決策を好都合に提供し、それは、所定のブレーキクリアランスが達成されることを可能にし、診断されることが可能であり、適応的である。本発明による解決策は、電空式および電気油圧式ブレーキシステムの両方に好都合に使用できる。
【0010】
本発明によるブレーキシステムにおいて、ブレーキクリアランスは、車両の運転状態の要素として、好都合に適応的に調節できる。
【0011】
第1の実施形態によると、必要とされるブレーキクリアランスを調節するために、負圧は、制動操作完了状態で、直列式マスタブレーキシリンダ(THZ)のある制御によって車輪ブレーキのブレーキピストンの背後で生成され、その結果として、ブレーキピストンは対応して動かされ、ブレーキクリアランスは獲得される。比較的遅いTHZの調節の場合において、ブレーキピストン移動はTHZのピストンに追従し、ブレーキのピストンの表面とTHZのピストンの表面との割合が、THZ移動を介してブレーキクリアランスを判定するために使用できるので、車輪ブレーキのブレーキピストンの所定の調節のために、調節移動および、任意でTHZの圧力は評価できる。これによって、約0.1mmの適切なブレーキクリアランスの結果として、特に浮動ブレーキキャリパおよび浮動ブレーキキャリパ支持体内のブレーキライニングガイドにおける摩擦の結果として、僅かな残余の制動効果だけが存在することが確実にされる。
【0012】
如何なる場合においても、ブレーキピストンの主構成要素はもはや必要とされない。幾つかのブレーキキャリパ設計において、ブレーキライニングは、バネを介してブレーキピストンに連結され、したがって、ここで、幾らかの僅かな摩擦だけが、浮動ブレーキキャリパガイド内で作用する。
【0013】
浮動ブレーキキャリパを有するブレーキシステムの場合において、ブレーキクリアランスが、ブレーキピストンから離れてそれと面し、ブレーキディスクの側に存在するブレーキライニング上にも、獲得されることを確実にするために、さらなる本発明の実施形態によって、さらなる残余の制動効果が起こらないように、小さいブレーキキャリパクリアランスが生成される、この目的のために、第1の代替手段において、浮動ブレーキキャリパに固定されるブレーキライニングのためのクリアランスを制動操作完了の状態で生成するために、浮動ブレーキキャリパは、パッシブロールバック要素によって戻され、それは従来技術から知られるロールバックシールと同様の仕方で働く。ここで、ロールバック要素は、ブレーキ固定部と浮動ブレーキキャリパガイドピンとの間で好都合に作用できる。第2の代替の実施形態において、浮動ブレーキキャリパは、ブレーキクリアランスを調節するために、アクチュエータによって能動的に動かされる。アクチュエータは、好都合に、磁石または作動モータのような電磁駆動モータであってよい。
【0014】
ブレーキクリアランスが、すべての車輪ブレーキにおいて、同時に、連続して、または、2つ一組で、調節されることは当然可能である。負圧の生成が充分速く実行できる場合、各々の車輪ブレーキのために個別に、すなわち、順次、クリアランスが制御または調整できることは好都合である。これは、特に、電気油圧式ブレーキシステムの場合において可能である。
【0015】
ブレーキクリアランスは、車両の運転中は常時存在すべきではなく、存在できない。したがって、降雨状態においてブレーキライニングは僅かに接触しなくてはならず、または、加速ペダルが戻っている状態での、制動操作の開始に先立って、より一層強く接触しなくてはならない。また、ブレーキライニングは、ディスク掃除の目的のために、乾燥した路面上の制動のない長時間の運転中に、短時間当接させられなくてはならず、本発明による制動システムの場合において、それは所定の僅かな制動力よって実行される。この理由のために、ブレーキクリアランスは、適応的に調整可能である必要がある。例えば駐車中のような車両が止まっている場合、ブレーキクリアランスが調節されないことも好都合である。
【0016】
ブレーキクリアランスが調節された場合、制動中の追加の移動損失または、より長い反応時間はブレーキの作動速度に依存して、より長い制動距離をもたらす恐れがあることを意味する場合がある。衝突を回避するための最大の制動操作の場合において、これは、距離において不可欠なメートルを費やす恐れがあり、事故を引き起こす恐れがある。制動距離の延びを回避するために、すなわち、ブレーキクリアランスを除去するために、本発明は、ブレーキ作動の開始に先立って、ブレーキシューをブレーキディスクに当接させることを提供する。したがって、ブレーキシステムは、ブレーキ作動が何時起こるか、および、起こるか否かを検出しなくてはならない。この目的のために、加速ペダルがより速く戻される場合、より小さい制動力によってブレーキシューを駆動するか、または、代替的に足とブレーキペダルとの間の距離のためのセンサを介して、これを制御することは適切である。前方の車両または障害物までの距離を判定する距離測定システムからの信号またはデータを、切迫した制動操作を判定するために、使用することも可能である。同様に、車両速度は評価中考慮に入れられる。
【0017】
ブレーキシステムにおいて、特に電気油圧式システムにおいて、マスタブレーキシリンダ、特にTHZによって供給される、ブレーキライニングを当接してブレーキクリアランスを削減するための容量は、ブレーキライニングを当接した状態で通常位置に戻るマスタブレーキシリンダを用いて、および、マスタブレーキシリンダの膨張ポートを通して容量を補償することによって補給されなくてはならない。このプロセスは50ms未満しかかからず、車両の運転者の足がブレーキペダルに触る前に完了する。
【0018】
本発明によるブレーキシステムのすべての機能は、好都合に、完全に診断できる。例えば、適切なマスタブレーキシリンダ制御を用いて、ブレーキピストンがブレーキライニングと接触している間、特に車両が停止している場合、ブレーキクリアランスが検査できる。
【0019】
本発明は、ブレーキライニングの摩耗センサを置くことが好都合に可能である。この目的のために、車両が停止している間、好ましくはパーク位置において、ブレーキピストンは上記の駆動部を用いてホーム位置に戻され、次いで、ブレーキディスクと接触するように再度前進させられる。追加の利点は、摩耗は適切な診断間隔の間、予測でき、車両診断システムに記録されることである。したがって、例えば、ライニング摩耗を目視するために車輪を外すための、車両検査での追加費用は除去できる。
【0020】
提案される解決策は、あったとしても、非常に僅かな残余の制動効果だけを有し、したがって、かなりのCO削減効果を有する所定のブレーキクリアランスを好都合に可能にする。加えて、本発明によるブレーキシステムは、完全に診断でき、不可欠な安全機能としてのブレーキライニングの摩耗の指標を保存し、改良する。この解決策は、またとても費用効果的である。
【0021】
上記の第2の実施形態は、真空強化機を有する既存のABS/ESPへの付加式の解決という概念を表すものであるため、迅速な市場での立ち上げに適しており、その解決策において、切換弁を有する電気運動式圧力吸引ユニットが、真空ブレーキ力補助ユニットを含む既存の直列式マスタブレーキシリンダに付加され、さらに、ABS入口弁を使用して同じ分配器によって、個別の車輪ブレーキのためにブレーキクリアランス制御を可能にする。独国特許出願公開第10 2005 018 649号による電気運動式ブレーキ力補助ユニットの市場での立ち上げの場合において、切換弁を除くこの追加の費用は除かれるだろう。
【0022】
独国特許出願公開第1020070628392号は、フェード現象ならびに、高圧および大容量を要求される場合のような極端な事例において、ブレーキ回路内に必要に応じ、必要とする追加の容量を取り込む再供給室を説明する。
【0023】
再供給室はさらなる機能、すなわちブレーキライニングクリアランスの調節のためにも使用できる。上記の解決策の場合において、ピストンおよび弁のクリアランスの制御はとても複雑であり、ピストンが初期位置から戻されない場合、これは電気運動式ブレーキ力補助ユニットの場合における追加の設計費用を意味する。しかし、これは、好ましくは1つの車輪シリンダ内に負圧を生成するために、適切な容量がHZピストンから僅かに後方に動かされるので、再供給室によって簡易にされる。残りの車輪シリンダは、順次動かされる。この過程において、ブレーキクリアランスは、車輪シリンダ内に負圧測定中に、圧力トランスデューサおよびプッシュロッドピストンの適切な移動制御によって獲得できる。このブレーキクリアランスは、制動操作中いつでも、または、それに先立って、再度除去できる。したがって、外部信号を基に、制動操作の開始よりも前に、ブレーキライニングをブレーキディスクと接触する状態に戻すことが可能である。このいわゆる予備充填の結果として、特に予備充填の圧力がすでに0.5MPa(5bar)の圧力レベルに達している場合、制動距離は削減できる。
【0024】
幾つかの制御の概念と共に、2つの可能な本発明の実施形態は図面を参照にして以下にさらに詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図である。
【図1a】追加のピストンシリンダユニットを有する本発明の第2の代替の実施形態を示す図である。
【図2】ブレーキクリアランスを調節するための制御プロセスを示す図である。
【図3】制動操作の開始に先立ってブレーキクリアランスを除去するための制御プロセスを示す図である。
【図4】ブレーキライニングの摩耗を判定するための制御プロセスを示す図である。
【図5】最小および最大のブレーキライニングの摩耗における制御プロセスを示す図である。
【図6】浮動ブレーキキャリパとしてロールバック要素を有する第1の代替の実施形態を示す図である。
【図7】ブレーキピストンから離れてそれと面し、ブレーキディスクの側に配置されるブレーキライニングに対するクリアランスを調節するために、浮動ブレーキキャリパを調節するためのアクチュエータを有する第2の代替の実施形態を示す図である。
【図8】再供給のための手段を有する第3の代替の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、独国特許出願公開第10 2005 018 649号に本質的に説明されるような制御弁18、18a、18b、18cを有するブレーキシステムを示し、それらは、その残りの開示と共にここで参照とされる。ブレーキシステムは、とりわけ電気運動式ブレーキ力補助ユニット(BKV)2、8を含み、直列式マスタブレーキシリンダ(THZ)4のみならず、プッシュロッドピストン(DK)3およびその浮動ピストン(SK)3aと、ブレーキペダル1と、ペダル移動トランスデューサ5と、制御弁18から18cと、切換弁16、16aおよび17と、圧力トランスデューサ15と、車輪ブレーキRBaからRBdと、リザーバ(ECU)19とを有する。独国特許出願公開第10 2005 018 649号に説明されるように、ブレーキシステムはブレーキ力補助ユニットを圧力調整ユニットABSおよびESPと結合する。
【0027】
本発明は、個別の車輪ブレーキ内のブレーキクリアランスの能動的調節によって独国特許出願公開第10 2005 018 649号のブレーキシステムを向上させる。
【0028】
制動後に車両が、加速ペダル(図示せず)または速度制御ユニットを使用して加速されるか、または、一定速度で運転される場合、本発明の最も基本的な実施形態、または、その制御において、切換弁16および16aは閉じられ、したがって、THZ4はリザーバ6から分離される。次いで、THZ4のDKピストン3は電気運動式駆動部によって通常位置から戻され、その結果として負圧が仕事室および油圧ライン内で生成される。ここで、例えば、車輪ブレーキRBcのブレーキピストン12cが負圧によって動かされることとなる場合、制御弁18bは開かれ、残りの車輪ブレーキに付随する制御弁18、18a、18cは閉じられなくてはならない。DKピストン3が動き続ける限り、車輪ブレーキRBcのブレーキピストン12cは弁18bが開いた状態で戻される。ブレーキピストン12cとDKピストン3との面積比率から、ブレーキクリアランスは、例えば0.1mmに調節されるものとすると、DKピストン3の必要な調節運動が、ABSのための圧力調整と比較して遅い速度で運動が実行され、動力学的影響因子が存在しない場合、獲得される。
【0029】
DKピストン3の運動は、また、圧力曲線を用いてセンサ15を使用して監視できる。ブレーキクリアランスを制御するために、+/−40%の精度で充分である。また、ブレーキピストンの接触加圧力が除去される結果、その結果としてのブレーキライニング上の力、または、ブレーキ固定部(図示せず)上のその耐力は削減される。多くのブレーキキャリパ設計において、ブレーキライニングは、制止バネによってブレーキピストンまたは浮動ブレーキキャリパにも接続され、したがって、ブレーキピストンの再調整によって自動的にブレーキライニング上の如何なる残余の制動効果も除去される。また、浮動ブレーキキャリパのガイドピン(図示せず)内の支持力は削減され、したがって、最終的にとても僅かな残余の制動効果だけが残ることとなる。図2から図5は、ブレーキクリアランス制御の時間推移をさらに詳細に示す。
【0030】
THZのDKピストン3およびSKピストン4の示される位置において、リザーバ6からのブレーキ液吸引後の間、いわゆる膨張ポートが開かれている。この位置は通常位置と称される。通常作動方向に対抗してこの通常位置から後方へDKピストン3を動かすことは、幾らかの設計労力を必要とする。代替手段として、DKピストン3の適切な前進運動によって、僅かな圧力をブレーキ回路の2つのブレーキピストン上に印加し、次いで、負圧を使用して第1のブレーキピストンだけを後方へ動かすことが可能であると考えられ、その結果として、必要以上のブレーキクリアランスは調整されることとなる。一方で、他方の第2のブレーキピストンは、その制御弁が閉じられた状態で付随するために、その位置に留まることとなる。次いで、第1のブレーキピストンは、より小さいブレーキクリアランスの位置になるまで、適切なDKピストンの運動によって動かされ、次いで、第2のブレーキピストンは、適切なブレーキクリアランスになるまでDKピストンの戻り運動によって再度制御される。圧力が印加されている間、すなわち、低い圧力レベルにおける通常位置から外れる弁の運動の間、例えばブレーキ回路の制御弁18bおよび18cは開いた状態であり、それはDKピストン3によって引き起こされる。切換弁16および16aも開いている。DKピストン3の戻り運動の間、切換弁16、および、制御弁、例えば18cは閉じられ、ブレーキピストン12cは、2倍のブレーキクリアランスの位置になるまで動かされる。次いで、DKピストン3は、「通常位置」に留まることとなり、そのとき、切換弁16は開いた状態であり、制御弁18bも開いた状態である。この過程において、ブレーキピストン12dは、如何なるブレーキクリアランスも伴わずに、その初期位置に動くこととなる。次の段階において、弁16および18bが開いた状態で、ブレーキピストン12cは、適切なDKピストンの運動によって通常のブレーキクリアランスに調整される。ここで、制御弁18cは閉じられる。次いで、切換弁16および制御弁18bは閉じられ、DKピストンの戻り運動が作動され、一方制御弁18cは開く。この過程において、第2のブレーキピストン12dのクリアランスは調節される。その後、ピストンは、制御弁18cが閉じられ、切換弁16が開いた状態で、その通常位置に戻る。通常位置において、すべての弁は開いている。
【0031】
通常位置からの戻り運動を回避する、上記の1つに類似した、さらなる制御可能な手段は、弁が開いた状態で、低い圧力レベルを圧力ピストン12cおよび12dの両方に印加する間、通常位置からDKピストン3を動かすことにある。次いで、切換弁16が閉じられ、制御弁18bが開いた状態で、ピストン12c内でブレーキクリアランスが達せられるまで、DKピストン3は戻される。次いで、制御弁18bが閉じられ、制御弁18cが開かれて、クリアランスがブレーキピストン12d内で達成されるまで、再度さらにDKピストン3は動かされる。その後、制御弁18cも閉じられて、DKピストン3は、切換弁16が開いた状態で、通常位置へ戻る。一旦、通常位置が達せられると、開いていないすべての弁は、再度開かれることとなる。この制御は実施することが最も容易な1つとして示されている。
【0032】
ブレーキピストンのクリアランスを制御するための様々な実現可能な手段がある。他の1つは、THZ4と車輪ブレーキとの間の接続内の主回路内に、切換弁17を配置することにある。クリアランスを制御するために、両方の車輪ブレーキ内の適切なブレーキ回路内に、小さい圧力が生成される。DKピストン3およびSKピストン3aの戻り運動は、制御弁18が開いて、制御弁、例えば18a、18bおよび18cが閉じられた状態で、ブレーキRBaのブレーキピストン12a内に負圧をもたらすこととなる。これは圧力トランスデューサ15によって検出できる。DKピストン3からの適切なピストン運動は、センサ14を使用することによって判定でき、上記の例に類似する仕方で、車輪ブレーキRBa内に所望のクリアランスをもたらすこととなる。ストロークセンサ14は、通常のBKV8のECモータの回転角検出機(図示せず)によって交換できる。かなりの追加費用で、ブレーキピストンのクリアランスは、車輪ブレーキ上に配置されるセンサ37によって、直接測定および制御できる。
【0033】
すべての4つの車輪ブレーキの中の所定のブレーキクリアランスの生成は、ブレーキ作動、すなわち、追加のペダル移動中に追加の容量をもたらすこととなり、それは、一方で、緊急事態の場合における制動距離の延びを意味する反応時間の悪化を引き起こす。この容量の補償は、THZ4と共に急速ブレーキ力補助ユニットBKV2を使用する適切な制御によって、ブレーキ作動に先立って、実行できる。このプロセスは図4を参照にして説明される。この容量の補償の制御は、加速ペダルが急速に戻される場合、開始される。しかし、この解決策は、常時加速ペダル上に足が置かれる必要がない、速度制御ユニットを有する車両では働かないだろう。ここで、例えば、足がブレーキペダルに接近する際に反応距離aを測定する簡易な距離センサ7がブレーキペダル1上に提供できる。距離がある値を下回る場合、例えば、容量の補償の開始が始められる。
【0034】
ブレーキクリアランスは、特に、降雨状態において、操作されるべきでない。雨天または濡れた路面では、例えばbusを介してECU19に送られる、フロントガラスのワイパのための駆動信号によって、ブレーキシステムに信号を送ることができる。同様に、例えば、降雨センサからの信号を使用することが可能である。ここで、上記の規準に加えて、ブレーキディスクは、ブレーキ操作の僅か前に0.5MPa(5bar)未満の上昇された圧力で自由に制動できる。ブレーキ作動を伴わない乾いた路面上での長い移動の間、ディスクは、僅かな時間でブレーキライニングを当接することによって掃除できる。
【0035】
ブレーキクリアランスはまた、パーク位置または遅い速度において除去できる。同様のことが低温にも適用でき、それは、エンジン室内の温度センサ、または、既存の外部温度センサを用いて、ECU19によって与えられる。
【0036】
好ましい電気運動式ブレーキ力補助ユニットの代替手段として、真空または油圧式ブレーキ力補助ユニットが使用でき、その結果として、追加の切換弁9および圧力供給ライン10が必要となる。しかし、現在の最先端技術によると、これらの補助ユニットの原動力は、ブレーキクリアランスおよび容量の補償の充分に速い制御を実行するためには充分ではない。これらのブレーキ力補助ユニットのために、付加式の解決が図1aに提案される。これは、すでに上記に説明されたような切換弁16および16aと、ピストン49ならびに電動駆動部40および移動センサ14を備える軸41とを含む圧力吸引制御装置38とからなる。この移動センサ14の代替に、その中に組み込まれる一体化される回転角センサが、電気モータが使用される場合、使用できる。電気モータの代替手段として、必要な負圧を達成するために必要とされる性能はあまり高くないので、線形の磁石も使用できる。ここで、ブレーキクリアランスは、例えば、車輪ブレーキ11a内で、調整されるものとする場合、ABS/ESP HCU(油圧計算ユニット)42の電気モータ44およびポンプ45によってすべての電気弁(図示せず)は閉じられる。切換弁16および16aも閉じられる。直列式マスタブレーキシリンダに関連してすでに説明されたように、電気弁43が開かれた状態で、ピストン39は所定の距離を戻る。ここで、プロセスも圧力トランスデューサ14を介して監視できる。ブレーキクリアランスが一旦調整されると、電気弁43は閉じる。ピストン39は戻り続け、残りの車輪ブレーキ11bから11d内の必要とされるブレーキクリアランスを連続して調節する。その後、ピストン39は停止し、切換弁およびすべての電気弁は開かれる。ここで、ブレーキクリアランスがオフに切り換えられるか、または、制動操作が開始されるものとする場合、ピストン39の初期位置への急速な変位が実行される。この過程において、切換弁16および16aは閉じられる。この結果、容量の補償は制動操作に先立って実行され、ブレーキの反応特性は影響されない。圧力レベルは0.2MPa(2bar)未満の範囲内であり、その結果、調節性能および設計労力と同様に重量も低くなるだろう。圧力トランスデューサ15は、各々のESPシステム内に存在し、必要に応じて、負圧のための測定範囲について拡張される必要がある。
【0037】
図2は、基本的な制御に適切なブレーキクリアランスを調節するための制御タイミングを示す。図はピストン移動およびブレーキピストンに対する圧力を示す。Sはそれぞれのブレーキピストンの移動−時間推移を指し、SDKはDKピストン3の移動−時間推移を指し、pはブレーキピストンに対する圧力を指し、BLSはブレーキクリアランスの大きさを指す。V16およびV18は弁16および18の位置を特定する。グラフのMは、DKピストン3の調節のための運動の方向を指す。時間tにおいて、切換弁16/16aは作動され、時間tにおいて、DKピストン3を通常位置から戻すためにモータが駆動され、そこで、膨張ポートが開かれる。切換位置tおよびtの両方はまた、同時に起こってよい。DKピストン3が後方へ動くのに従い、負圧pが増加し、一旦ある値を超えると、ブレーキピストンSは動かされることとなる。DKピストン3およびブレーキピストンSの運動中、圧力は概ね一定に、−0.1MPa(−1bar)の制限値よりかなり低く留まり、ピストンが動いていることを示す。完全なまたは最大の負圧は、ピストンが動いていないかまたは、動けなくなっている指標となる。時間tにおいて、説明されたピストン表面面積と適切な移動との間の相関関係を超えるBLSの目標値が、SおよびSDKによって達せられる。Sの運動の最後において、負圧は削減される。tまでは、さらなる運動は起こらない。その後、DKピストン3は通常位置に動かされ、それは時間tにおいて達せられる。DKピストンの運動中、制御弁18は閉じられた状態を維持し、切換弁16および16aは、圧力補償のために開かれる。
【0038】
において、制御弁18は開かれ、それによって、大気圧がブレーキピストンの両側に存在する。tの後、ブレーキクリアランスは圧力を上昇されることによってゼロまで削減される。DKピストン3の通常位置からのさらなる運動中、クリアランスは、再当接のために、圧力推移およびSDK移動から判定でき、それによって、ブレーキクリアランスは診断される。如何なる空気もブレーキ液内に混入することを回避するために、不可欠なことは、負圧の継続時間およびそのレベルが低いことである。したがって、時間tにおいて、圧力上昇がない場合、DKピストン3は通常位置に位置し、切換弁は開かれなくてはならず、それによって、完全な圧力補償が、ブレーキピストン上に作用し、それらは、クリアランス位置に留まることとなる。ロールバックシールの摩擦力は比較的高い。この所定のクリアランス制御の間、他のシールも使用でき、それは、僅かな制動遅れの間、制動性能を改善する。
【0039】
図3は容量の補償制御のプロセスを説明する。時間tにおいて、加速ペダルは急速に後退させられ、それは、時間tにおいて、モータ制御と、DKピストン3の運動と、ブレーキライニングが適切なS移動後に再度当接されることと、をもたらす。これは、時間tにおいて起こり、モータの極反転をもたらすこととなって、切換弁16および16aが開くこととなる。この戻り運動中、制御弁18/18cは閉じられ、HZのピストンのカラーを介して、HZ室内の適切な容量の不足が負圧によって吸引される。時間tにおいて、圧力バランスは再度回復される。そして、時間tにおいて、ブレーキは再度通常通りに、昇圧が起こるための容量またはペダル移動の如何なる損失もなく、作動される。ここで、また、このプロセスが、例えば、50ms未満以内で、急速に実行されることが不可欠である。
【0040】
図4は、ブレーキライニングの摩耗を判断するための制御を示す。縦軸は、SK1(最小)およびSK2(最大)摩耗のためのピストン移動Sを示す。ジグザクの形状は、ピストンを初期位置またはホーム位置まで戻すための、負圧の間隔を示す。このブレーキピストンのホーム位置のための制御プロセスは、図5を参照にさらに詳細に説明されるだろう。一旦ブレーキピストンがホーム位置で止まると、ブレーキディスクと接触する方向に運動は再度実行される。最小の摩耗において、これは、制御ピストンΔSK1またはΔSの後に起こることとなる。大きな摩耗の場合において、完全なHZのストロークは充分ではなく、したがって、摩耗に比例するピストンの運動の全体が、幾つかの局面ΔS2+ΔS2’において判定される。この検査はまた、例えば、10、000km毎のより大きな間隔で実行されてもよい。利点は、摩耗量の予測であって、したがって、点検中の高価な検査費は不要にできる。
【0041】
図5は、ブレーキピストンがそのホーム位置に達する僅か前の制御プロセスを示す。t後の第1の部分は、すでに図3において説明された部分に相当する。時間t10において、ピストンは、ブレーキライニングの摩耗を測定するための基礎として使用されるそのホーム位置に達すると、直ちに負圧は増加する。t11において、モータはオフに切り換えられ、切換弁16、16aは閉じられる。t12において、DKピストンはその初期位置に戻る。
【0042】
図6は、ブレーキ固定部33と、ブレーキキャリパ11aと、ガイドピン31とを有する浮動ブレーキキャリパ支持体からの断面を示す。ここで、圧力印加の最後において、ブレーキキャリパのクリアランスのためにロールバック要素30を使用することが提案され、それはブレーキピストン上のクリアランスばかりでなく、ブレーキキャリパ側上のクリアランスも生成する。ブレーキピストンは、拡張バネを使用して、ブレーキライニングに連結し、それに伴い、ブレーキディスクまでの距離を生じるので、したがって、残りの制動トルクはほとんどゼロである。
【0043】
図7による解決策の目的は、また、ブレーキキャリパ側上にクリアランスを生成することである。ここで、ベアリングピン32を有する磁石電機子は、拡張要素34と共に提供され、その摩擦は、ブレーキキャリパの2つのガイドピンの摩擦より大きい。制動操作の開始において、磁石はコイルによって活性化され、ブレーキキャリパ11と共に電機子を引き寄せる。反対側において、ブレーキピストンの反動力は、ブレーキキャリパ11がブレーキライニング52を介してブレーキディスク上に押圧される原因となり、それによって、よく知られているように制動効果が生成される。制動操作の最後において、磁石46はオフに切り換えられ、圧縮バネ36を含む戻りピン35は、所定のブレーキクリアランスBLSを生成し、それに伴い、ブレーキキャリパの戻りの原因となる。図1に類似して、制動操作の開始において、磁石が、ブレーキペダルまでの距離トランスデューサによって始動される事実の結果として、このブレーキクリアランスBLSは、ペダル移動の延びをもたらさない。
【0044】
制動効果を可能なだけ低く維持する目的のためのブレーキクリアランスの適応制御を可能にする多くの実現可能な解決策が上記に説明された。その結果、COおよび燃料消費における大きな削減が達成される。本発明の概念によると、ブレーキピストン側だけでなく、キャリパ側においても、クリアランスは、特に本発明による解決策によって調節でき、したがって、残余の制動効果はほとんどゼロになる。
【0045】
図8は、独国特許出願公開第102005018649.19号、独国特許出願公開第102006059840.7号および独国特許出願公開第102005003648号に説明されるような電気モータBKVの基本設計を示し、本願は全体としてそれらの開示を採用する。BKVが損なわれていない状態で、ペダルは、マスタブレーキシリンダHzから分離される。ペダル力は移動シミュレータ(図示せず)によって受け取られ、それは、通常のペダルの感覚を生成する。ペダルストロークセンサ113はペダルストロークを検出し、それは、特性曲線を介して所望のブレーキ圧に関連付けられる。したがって、ブレーキペダル101を作動することによって、ブレーキ力補助ユニット102は作動され、それは、マスタブレーキシリンダ105のプッシュロッドピストン103上に作用する。排出量および圧力の結果として、浮動ピストン104が動かされる。ピストン103および104の両方は、圧力がそれぞれのブレーキ回路内に生成される原因となる。適切なブレーキ液は、リザーバ内に提供される。知られたマスタブレーキシリンダの構造についての詳細のために、独国特許出願公開第102005018649.19号、独国特許出願公開第102006059840.7号および独国特許出願公開第102005003648号が参照される。よく知られているように、ペダル移動およびピストン移動は移動シミュレータシステム内で異なる場合がある。高い摩擦値を伴う制動操作の場合において、ピストンはペダルの前を進む。ここで、ピストン103、104がストローク端部領域に達する場合、再供給プロセスが実施される.この過程において、初期において、制御弁107は閉じられ、達せられた圧力は、車輪ブレーキ内に閉じ込められる。次いで、再供給弁108が開かれる。同時に、プッシュロッドピストン103は電動BKVによって戻され、その結果として、マスタブレーキシリンダ内の圧力はゼロ(0)に向かって減少する。蓄積されるブレーキ液は、再供給手段Fのすでに充填された再供給室120から、バネ110およびピストン109によって、マスタブレーキシリンダの仕事室A1、A2内に送出される。再供給室120において、正圧は、例えば、0.5MPa(5bar)で存在することが好ましく、したがって、ブレーキ液はマスタブレーキシリンダ内に能動的に供給される。次いで、再供給弁108は閉じられ、制御弁107は開かれる。適切なモータ制御によって、ここで、ブレーキ液はブレーキ回路122内に排出され、その結果、それぞれのブレーキ回路122内の圧力は、弁107の位置の機能として、さらに増加する。したがって、ピストン103および104が、制限領域(左手側の位置)に達することなく、さらなる圧力増加が可能である。任意に、1つのブレーキ回路122内にだけ再供給することも可能である。ピストン表面面積およびピストンストロークの適切な設計によって、Hz内の損失容量は、如何なる極度状態についても適応するために、再供給室120内に予備貯蔵できる。バネ110の付勢の結果として、充填圧力は、適切なバネ設計によって、例えば0.5から1.0MPa(5から10bar)になる。大きな開口断面積を備える再供給弁108と一体となって、それに伴い、仕事室A、A内への急速再供給が、例えば50ms以内で可能にされ、それによって、如何なる重大な圧力上昇の遅れも回避される。
【0046】
再供給弁108は、流量および切換時間に関して最適化されなくてはならない。弁108は、非活性化状態の場合に閉じられるように設計されることが好ましく、大きい弁座断面積を有することができる。したがって、通常のコイルを使用することによって、弁108は、例えば5.0MPa(50bar)の平均圧力であっても開くことができる。再供給弁は、約1.0MPa(約10bar)で切り換えられるため、これは再供給にとって、如何なる欠点でもない。したがって、高価な圧力バランス弁は再供給のために必要ではない。時間の理由のために、再供給中に、再供給室120または仕事室内に1回で容量全体を再供給しないことは、また都合がよい場合がある。例えば、ピストン103、104が、14.0MPa(140bar)で制限位置に接近する場合、17.0MPa(170bar)まで昇圧するための容量は、初期に再供給できる。圧力がさらに一層増加することとなる場合、例えば、20.0MPa(200bar)の最大圧力のための残りの容量は、新しい再供給段階で再供給できる。大多数の場合に、第1の再供給段階は充分なので、したがって、これらの制動操作のための再供給プロセスの間の昇圧中のむだ時間を削減することが可能である。
【0047】
再供給室120は、各々の車両の発車においてか、または、加速段階中においてでも、ラインの端部での充填または稼働中に、充填および診断ができる。この目的のために、約1.0MPa(約10bar)の圧力でモータ制御によって、再供給室内で最大圧力が取り込まれ、制御されることが好ましい。ここで、再供給弁108が開いている場合、プッシュロッドピストン103は動いてはいけない。しかし、万一この場合には、そのときこれはピストンシール内の漏れ、または、漏れのある再供給弁108を示す。容量の差はピストン移動sKによって判定できる。容量の差および診断間隔から漏れの程度が判定できる。この目的のために、マスタブレーキシリンダ内の再供給圧力がその最大となるように制御される。加えて、ここで、再供給弁108および/またはピストン109(単数または複数)が動けなくなっているかどうかを診断できる。再供給ブロック20が再充填されると直ちに、ピストン103は後退させられる。圧力−容量の特性曲線の推移を基にして、ここで、再供給ピストン109も動くかどうか、および、再供給弁108が切り換えられているかどうかを判定できる。
【0048】
代替的に、再供給室20の充填状態は、制御弁107を閉じることによって確認でき、例えば1.0MPa(10bar)の再供給室20の最大充填圧力がHz内に調整され、ピストンの位置は、調整変数として制御され、再供給弁108は開かれ、圧力センサ112は、Hz内の圧力が急降下してよいかどうかを監視するために使用される。
【0049】
そのようにして、再供給容量を適用することによって、同じ基本的なシステムを幾つかの車両の分類のために使用することが可能である。Hzおよび真空BKVからなる従来の解決策の場合において、異なる寸法が各々の車両の分類のために使用されるために必要であり、それは生産および修理における物流のための追加の費用をもたらす。
【0050】
さらに、ブレーキ力補助の故障の場合において、非常に低いペダル力が、より小さいピストンの直径によって発生する。
【0051】
移動シミュレータシステムの場合に、ブレーキシステムの通気状態が、圧力−容量特性曲線によって定期的に確認できるので、マスタブレーキシリンダ容量および再供給ブロック排出量からなる全体のブレーキ作動の容量は、従来のシステムと比較して、全体で削減できる。従来のシステムの場合のような乏しい通気容量のための追加の安全容量は、もはや提供される必要がない。
【0052】
再供給室20の充填状態を監視するためのさらなる実現可能な手段は、任意のセンサ24の使用である。このセンサはピストン9の位置を検出する。センサ24は、ピストン9の位置を検出する移動解像度センサまたは切換機として設計できる。このセンサは、診断または所定のピストン制御のために使用でき、したがって、充分な容量が負圧を生成する機能のために提供される。
【0053】
ブレーキディスクとブレーキライニングとの間のライニングクリアランスを調節するために、負圧が短時間の間、THZ103、104、105内に生成される。したがって、車輪ブレーキ内のブレーキピストンは、能動的に後退させられ、その結果として、ブレーキライニングとブレーキディスクとの間の距離が生じさせられる。これはブレーキライニングとブレーキディスクとの間の残余の摩擦効果を除去する可能性をもたらす。再供給室120は、負圧を生成するために使用できる。
【0054】
通常操作中、再供給室120は、完全に充填されない。それらは、高圧力の要求のためのブレーキ液を、追加の容量を受け取らずに提供できるように、充分な容量を含む。
【0055】
ライニングクリアランス調節の開始において、ピストン103は、モータ駆動部102によって前進させられる。ピストン104はそれに類似して動く。再供給弁108が開いた状態で、それに伴い、ブレーキ液は、部分的にだけ充填された再供給室120内に排出される。ここで、ソレノイド118は閉じられ、制御弁107の1つは開かれる。伸長した位置に未だにあるピストン103は、モータ軸駆動によって初期位置の方向に少しの道のりを後退させられる。結果として、ブレーキライン122を介して、制御弁107が開いている車輪ブレーキRB上に伝達される負圧が生成される。ここで、残りの3つの車輪ブレーキは、順次それぞれの制御弁を開くことによって、後退させられる。ピストン103の移動は、ブレーキピストンとの面積比によって、ブレーキピストンの移動に比例する。この段階において、圧力がある値または圧力推移未満に降下するまで、ピストン運動は評価されないこととなるように、負圧が評価される。用語「圧力推移」は、負圧がピストンの摩擦に関して一定である場合、これはブレーキピストンの運動と同等であることを意味すると理解されるべきである。次いで、ソレノイド118は再度開かれる。それに伴い、THZ105内の真空圧は除去される。THZ内の負圧段階の間、如何なるブレーキ液もTHZシールを介してコンテナからTHZの仕事室AおよびAに達すること防止することが、ソレノイド118の目的である。すべての車輪ブレーキRBのブレーキピストンを、すべての制御弁107を開くことによって、負圧段階の間、同時に後退させることも可能である。
【0056】
冒頭に述べられたように、再供給室120は通常操作中完全に充填されず、したがって、それらはライニングクリアランス調節のためのブレーキ液の容量を受け取ることができる。センサ124は、充填状態を監視するために使用できる。代替的に、所定の容量が再供給室から流出することを可能にするために、初期に完全に再供給室を充填して、ピストン103が後退させられ、制御弁107が閉じられ、ソレノイド118が開かれた状態で、再供給弁108を短時間の間開くことも可能である。さらなる実現可能な手段は、再供給室を完全に空にして、ピストンストローク103によって所定の容量を取り込むことである。ここで、2つの再供給室120が1つずつ個別に充填される場合、したがって、1つのチェンバは常に充満していることとなり、容量は高圧力の要求のために利用可能であることとなることは、有利である。
【0057】
調節されたライニングクリアランスの結果、ブレーキライニングとブレーキディスクとの間に、大きな距離が発生する。これは、ピストン103から受け取られるはずの追加の容量、および、それに伴う移動の損失の原因となるので、制動操作を阻害する。したがって、可能性のある制動操作に先立って、ブレーキライニングをブレーキディスクに再当接することは重要である。これは予備充填と称される。
【0058】
この目的のために、再供給室120からのブレーキ液が使用できる。最初に、ソレノイド118は閉じられ、制御弁107は開かれ、次いで、再供給弁108が開かれる。したがって、バネ110は、ピストン109によって再供給室120から車輪ブレーキRB内にブレーキ液を排出する。必要とされる容量は、センサ124によって与えられるような、ピストン109の位置によって制御できる。代替的に、予備充填の容量は、再供給弁の開時間および、再供給室120の充填圧力を基に調節できる。圧力センサ112によって、ライニングクリアランスがない場合も検出できる。ブレーキライニングがブレーキディスクに当接されると直ちに、ブレーキ回路内の圧力が増加する。制動距離を削減することに関して、さらに一層効果的であることは、約0.5MPa(約5bar)までの予備充填であるが、それは外部センサを必要とする。
【0059】
調節されたライニングクリアランスと共に、再供給室120が空にされている場合に適用できるプロセスは、例えば、漏れの結果として、次のプロセス段階を提供する。初期に再供給弁108は閉じた状態を維持し、制御弁107は開いている。ピストン103はモータ駆動部によって作動され、したがって、容量はブレーキライニングが当接されるまでブレーキ回路に供給される。次いで、制御弁107は閉じられ、ピストン103は再度戻される。それに伴い、負圧は仕事室A1およびA2内で生成される。ピストン103がその初期位置に達すると直ちに、適切な容量の差は、負圧によってリザーバから吸引される。
【符号の説明】
【0060】
1 ブレーキペダル
2 BKV
3 DKピストン
3a SKピストン
4 THZ、直列式マスタブレーキシリンダ
5 ペダル移動トランスデューサ
6 リザーバ
7 距離センサ
8 ブレーキ力補助ユニットの電動駆動部(BKV)
9 切換弁
10 圧力供給ライン
11a〜d ブレーキキャリパ
12a〜d ブレーキピストン
14 DK移動センサ
15 DK回路内の圧力トランスデューサ
16 切換弁
16a 切換弁
17 切換弁
18 制御弁
18a 制御弁
18b 制御弁
18c 制御弁
19 リザーバECU
20 HCUのための感温素子
21 足
29 ブレーキピストンシール
30 ロールバック要素
31 ガイドピン
32 ベアリングピンを伴う磁石電機子
33 ブレーキ固定部
34 拡張要素
35 戻りピン
36 戻りバネ
37 ブレーキピストンセンサ
38 圧力吸引制御ユニット
39 予備ピストン
40 電気モータ
41 軸
42 HCU(ABS、ESP)
43 ABS/ESPからの逆止め弁を伴う電気弁
44 HCUモータ
45 HCUポンプ
46 コイルを伴う磁気回路
52 キャリパ側ブレーキライニング
59 ブレーキディスク
BLS ブレーキクリアランス
RB〜RB 車輪ブレーキ
101 ブレーキペダル
102 移動シミュレータを伴うモータ駆動部
103 プッシュロッドピストンDK
104 浮動ピストン
105 マスタブレーキシリンダHz
106 リザーバ
107 制御弁
108 再供給弁
109 ピストン
110 バネ
111 ペダル移動センサ
112 圧力センサ
118 ソレノイド
120 再供給室
121 入口開口部
122 ブレーキ回路
124 センサ
、A HZの仕事室
BL ブレーキライン
ZL 供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの仕事室が少なくとも1つの油圧ラインを介して車両の少なくとも1つの車輪ブレーキに接続されるマスタブレーキシリンダ(4)を有する油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
少なくとも1つの油圧ライン内の負圧によって、前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(RB〜RB)のブレーキピストン(12a〜12d)は、ブレーキクリアランス(BLS)を生成するために調節できる、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項2】
請求項1記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキシステムは、前記マスタブレーキシリンダ(4)の前記1つまたは複数のピストン(3、3a)が電気駆動によって調節される電気油圧式ブレーキシステムである、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項3】
請求項1記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキシステムは、前記マスタブレーキシリンダ(4)が空圧によって調節される空油圧式ブレーキシステムである、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
制御装置が、運転状態を要素として前記ブレーキクリアランス(BLS)を調節または制御する、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項5】
請求項4記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
前記制御装置は、降雨状態においておよび/または路面が濡れている場合、当該車輪ブレーキ内のブレーキクリアランス(BLS)を制御しない、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項6】
請求項4または5記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
制動効果を達成するために、前記制御装置は、乾燥した路面上である移動時間および/または移動距離の後、前記ブレーキクリアランス(BLS)をゼロに削減し、ある時間の間、ブレーキディスクに対抗して前記車輪ブレーキのブレーキライニング上に圧力を印加する、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
運転者がブレーキを作動することのない通常運転操作中、前記制御装置はブレーキクリアランス(BLS)調節する、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
前記負圧は、前記マスタブレーキシリンダ(4)の前記ピストン(3、3a)を調節することによって生成される、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
切換弁(16、16a;118)が、リザーバ(6、106)と前記マスタブレーキシリンダ(4、105)の前記1つまたは複数の仕事室との間の接続ラインに取り付けられる、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
前記負圧は、生成装置(14、38、49、40、41)、特に、被駆動ピストンシリンダシステムまたはポンプシステムによって生成され、
前記生成装置(14、38、49、40、41)は、少なくとも1つの特にすべての前記車輪ブレーキまで供給ライン、または、前記マスタブレーキシリンダ(4)の少なくとも1つの供給ラインと連通している、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
切換弁(16、16a)は、リザーバ(6)と前記生成装置(14、38、49、40、41)との間の接続ラインに取り付けられる、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
各々の車輪ブレーキは、それに付随する制御される制御弁(18、18a、18b、18c)を有し、それらは、前記車輪ブレーキのブレーキピストンシリンダシステムの前記仕事室を前記マスタブレーキシリンダ(4)または前記生成装置(14、38、49、40、41)に接続する前記油圧ライン内に配置され、
前記制御弁(18、18a、18b、18c)が閉じられた状態で、前記ブレーキピストン(12a、12b、12c、12d)は、封入された油圧容量によってその位置に維持され、その結果、前記ブレーキクリアランス(BLS)は、前記車輪ブレーキ内において、保持される、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
制動操作の終わりに、クリアランス(BLS)が、前記ブレーキピストンから離れてそれと面するブレーキディスク(59)の面に係合するブレーキライニング(52)上に生じさせられるような仕方で、ブレーキキャリパ(11)を調節するために、ユニット(30;32、35、36、46)が、当該ブレーキキャリパ(11)、特に、浮動ブレーキキャリパに力を及ぼす、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項14】
請求項13記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
手段(30)は、車輪キャリア(33)から前記ブレーキキャリパ(11)のガイドピン(31)内への調節力を起こすロールバック要素、特にロールバックシールであることを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項15】
請求項13記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
前記手段は、アクチュエータ(32、35、36、46)、特に、電磁石(46)を含み、それによって前記浮動キャリパ(11)、特に、その前記ガイドピン(31)内に、調節力が取り込まれ、前記アクチュエータまたは前記電磁石は、前記車輪キャリアまたはブレーキキャリア(33)上に支持される、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
再供給手段(F)が、ブレーキライン(BL)に弁(108)を介して供給ライン(ZL)によって接続される、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項17】
請求項16記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
遮断弁(118)が、ブレーキ力補助ユニットの仕事室(A、A)をリザーバ(106)に接続する前記接続ライン(L)に取り付けられることを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項18】
請求項16または17記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
前記再供給手段(F)は、バネ荷重ピストン(109)とバネ(110)と仕事室(120)とを有するピストンシリンダシステムであり、
前記仕事室(110)はリザーバとして使用され、
前記バネ(110)は前記仕事室(120)を削減する方向に前記ピストン(109)に力を印加する、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項19】
請求項18記載の油圧作動式ブレーキシステムにおいて、
センサが前記ピストン(109)の位置を判定する、ことを特徴とする油圧作動式ブレーキシステム。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項記載のブレーキシステムを操作するための方法において、
ライニングクリアランスを達成するために、前記マスタブレーキシリンダ(105)内の容量の部分が、1つまたは複数の再供給室(120)内に前記マスタブレーキシリンダ(105)によって再供給弁(108)が開いた状態で排出され、
次いで、前記再供給弁(108)が閉じ、制御弁(107)が開いた状態で、前記マスタブレーキシリンダ(105)の前記ピストン(103、104)を後退させることによって、前記車輪ブレーキ(RB)内の前記ブレーキピストンがブレーキライニングから離して持ち上げられる、ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
前記車輪ブレーキ(RB)内の前記ライニングクリアランスが連続してまたは一斉にまたは2つ一組で調節される、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20または21記載の方法において、
前記リザーバ(106)を前記マスタブレーキシリンダ(105)に接続する前記ライン(L)内に取り付けられる弁(118)が、前記マスタブレーキシリンダ(105)の前記ピストン(103、104)を後退させることによる負圧の生成中に閉じられる、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか一項記載の方法において、
前記ピストン(103、104)の所定のストロークが、前記ブレーキライン(BL)または前記マスタブレーキシリンダ(105)内のセンサ(112)によって検出される圧力によって実行される、ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか一項記載の方法において、
前記再供給室(120)の前記ピストン(109)は中間位置に位置付けられ、したがって、それは前記ライニングクリアランスの真空圧制御または調節のためのさらなる容量を受け取ることができる、ことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、
この中間位置は、前記ソレノイド(108)を目標時間開けておくこと、および、容量を前記マスタブレーキシリンダ(105)の前記仕事室(A、A)に戻すことによって、制動が起こらない時間の間に達成される、ことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項20から25のいずれか一項記載の方法において、
再供給室(120)の前記ピストン(109)の中間位置の制御が、位置トランスデューサ(124)によって実行される、ことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項20から26のいずれか一項記載の方法において、
再供給室(120)に蓄積されるブレーキ液の容量が、外部信号による制動操作の開始に先立って、ブレーキを予備充填するために、前記再供給弁(108)および、任意に1つまたはすべての前記制御弁(107)を開くことによって提供される、ことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、
この容量は、ブレーキの予備充填中に約0.5MPa(約5bar)の圧力が獲得されるような仕方で、真空圧制御中に選択される、ことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項20から28のいずれか一項記載の方法において、
前記ピストン(103、104)によって車輪ブレーキ(RB)の前記ブレーキディスクと前記ブレーキライニングとの間のブレーキクリアランスを調節するために、負圧が前記ブレーキ力補助ユニットの前記仕事室(A、A)内に生成され、同時に1つまたは複数のそれぞれの弁(107)は開かれ、前記ブレーキ力補助ユニットの前記それぞれの仕事室(A、A)および前記リザーバ(106)を接続する前記ライン(L)は前記1つまたは複数の弁(118)によって閉じられる、ことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項20から29のいずれか一項記載の方法において、
前記ライニングクリアランスをゼロまで削減するために、前記弁(118)は閉じられ、次いで、前記弁(7)と同様に前記それぞれの弁(108)も開かれる、ことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、
それぞれのブレーキライン(122)内に圧力を生成するブレーキ力の場合に、前記ブレーキラインは、前記適切な弁(118)を開くことによって前記リザーバ(106)に接続される、ことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項20から31のいずれか一項記載の方法において、
前記ブレーキクリアランスをゼロまで削減するために、前記弁(108)は閉じられ、前記1つまたは複数の弁(107)は開かれ、
その後、油圧伝達媒体が前記ピストン(103、104)によって前記ブレーキライン(122)を通して前記車輪ブレーキ内に供給される、ことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項1から19のいずれか一項記載の油圧作動式ブレーキシステムを使用する方法において、
車輪ブレーキ内にクリアランスを生成するために、前記マスタブレーキシリンダ(4)とリザーバ(6、106)との間の接続が切換弁(16、16a)によって閉じられ、
前記マスタブレーキシリンダ(4)の前記ピストン(3、3a)を調節することによって、および/または、生成装置(14、38、49、40、41)によって、負圧が油圧ライン(BL)内に前記車輪ブレーキまで生成され、または、ある量の油圧伝達媒体が前記車輪ブレーキ(RB)のブレーキピストンシリンダシステムの前記仕事室から供給される、ことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、
前記所望のクリアランス(BLS)を達成した状態で、前記車輪ブレーキに付随する制御弁(18、18a、18b、18c)が、当該クリアランス(BLS)を保持するために閉じられる、ことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項33または34記載の方法において、
所定のブレーキクリアランス(BLS)は、前記個別の車輪ブレーキ内で前記マスタブレーキシリンダまたは前記生成装置によって連続して調節される、ことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項33から35のいずれか一項記載の方法において、
前記ブレーキクリアランスを調節している状態で、前記マスタブレーキシリンダ(4)の前記ピストン(3、3a)は通常位置に動かされ、
すべての弁が開いた位置に切り換えられる、ことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項33から36のいずれか一項記載の方法において、
前記個別の車輪ブレーキ内の前記クリアランス(BLS)は、ゼロまで削減され、
前記ブレーキピストンは、ブレーキライニングがブレーキディスクに接触する結果として、僅かなブレーキ力が生成されるように、前記油圧ライン内に正圧を生成することによって調節される、ことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項33から37のいずれか一項記載の方法において、
前記ブレーキシステムが、運転状態を基に制動操作が切迫していることを検出すると直ちに、前記個別の車輪ブレーキ内の前記クリアランス(BLS)はゼロまで削減される、ことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38記載の方法において、
加速ペダルの運動、特に、その速度、足が前記ブレーキを作動させる速度、ブレーキペダルに対して足がブレーキペダルを作動させる距離、および/または、距離警報システムの信号によって、前記ブレーキシステムは切迫した制動操作の開始を検出する、ことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項38または39記載の方法において、
少なくとも1つの距離センサ(7)が、少なくとも1つの、好ましくは、3つの方向で前記ブレーキペダルから前記足が外れたことを検出する、ことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項33から40のいずれか一項記載の方法において、
前記制御は、圧力信号の時間推移から前記ブレーキピストンの運動を検出する、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−506187(P2011−506187A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538493(P2010−538493)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/011020
【国際公開番号】WO2009/083216
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509159159)アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト (6)
【Fターム(参考)】