配線構造の製造方法
【課題】 銅を配線材として用いても、微細な配線構造の形成が可能で、製造の工程数が少なく、低コスト化が可能な配線構造の製造方法を提供する。
【解決手段】 配線構造の製造方法が、半導体素子201の上にWプラグ203(下層配線)が形成された基板上に、対電子線感光性を有する材料を含む第二層間絶縁膜204(絶縁膜)を形成する工程と、第二層間絶縁膜204に電子線を照射して、第二層間絶縁膜204を露光する工程と、第二層間絶縁膜204を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程とを有する。
【解決手段】 配線構造の製造方法が、半導体素子201の上にWプラグ203(下層配線)が形成された基板上に、対電子線感光性を有する材料を含む第二層間絶縁膜204(絶縁膜)を形成する工程と、第二層間絶縁膜204に電子線を照射して、第二層間絶縁膜204を露光する工程と、第二層間絶縁膜204を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるダマシン法を用いた配線構造とその製造方法であって、その工程数が少なく、また、配線材として銅を用いても、配線間での銅の拡散が生じない、信頼性の高いLSIの配線構造とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、集積回路の配線材料にはアルミニウム(Al)もしくはAl合金が用いられ、配線間および配線層間の層間絶縁膜にはシリコン酸化膜(SiO2)が広く用いられてきた。しかし、LSIの微細化の進行に伴い、配線における信号伝送の遅延を抑制、低減することが望まれており、配線抵抗の低減のために配線材には銅(Cu)が使用されるようになってきている。また、配線間容量の低減のために、配線間および配線層間の層間絶縁膜には誘電率の低い有機物や空孔を含んだシリコン酸化膜が使用されるようになってきている。しかし、銅は、シリコン(Si)や、シリコン酸化膜をはじめとする層間絶縁膜中における拡散がアルミニウムよりも速い。そのため、トランジスタをはじめとするシリコンデバイス部への銅の侵入、配線間の絶縁耐圧劣化などを防いで信頼性を高めるために、銅の周囲に、銅の拡散を防止するバリア膜を形成することが必要である。
【0003】従って、銅を用いた配線構造の製造においては、アルミニウムなどを配線材に用いたときにはなかった材料と工程が必要となる。そのため、工程の簡略化とプロセスコストダウンが必要であり、これまでにも、デュアルダマシン法の実用化や、感光性材料の提案などがされている。以下に、銅膜の下面および側面に銅の拡散防止(バリア)膜となる導体膜を形成する配線構造とその製造方法について説明する。
【0004】[従来例1]図11は、現在、一般的に用いられるダマシン構造の配線の製造方法を工程順に示す図である。まず、シリコン基板1101上に酸化シリコン膜1102、SiON膜1103、酸化シリコン膜1104を順次堆積し(図11a)、その上にレジストパタン1105(図11b)を形成する。そしてレジストパターン1105をマスクに酸化シリコン膜1104を異方性エッチングし、レジストパターン1105を除去して配線溝を形成する(図11c)。次に、エッチングにより形成した表面に導体からなる導体バリア膜1106を形成後、銅膜1107を形成する(図11d)。続いて、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)によって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜1107を除去し、続いて同様に余剰なバリア膜1106を除去する(図11e)。その後、絶縁体からなる絶縁バリア膜1108を形成することで、銅膜1107の下面および側面が導体バリア膜1106で覆われ、銅膜1107の上面が絶縁バリア膜1108で覆われた配線構造が形成される(図11f)。
【0005】この導体バリア膜1106には、銅の拡散防止能力が高いこと、下地となる絶縁物および銅配線部との密着性、プロセス上の熱的安定性などの理由から、高融点であるチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物、またはそれらにシリコンなどを添加した3元系もしくは4元系の窒化物、もしくはそれらを積層したものが用いられる。一方、上面の絶縁バリア膜1108には、導体バリア膜1106と同様に銅の拡散防止能力が高いこと、下地となる絶縁物および銅配線部との密着性、プロセス上の熱的安定性などの理由から、シリコンの窒化物(SiN)もしくは炭化物(SiC)などが用いられる。
【0006】[従来例2]図12は、現在、一般的に用いられるデュアルダマシン構造の配線の製造方法を工程順に示す図である。まず、シリコン基板上に作製した銅配線1210上に窒化シリコン膜1201、第一の酸化シリコン膜1202、SiON膜1203、第二の酸化シリコン膜1204を順次形成し(図12a)、その上にビアレジストパターン1205を形成する(図12b)。そしてビアレジストパターン1205をマスクに異方性エッチングによって第一の酸化シリコン膜1202、SiON膜1203、第二の酸化シリコン膜1204の順にエッチングした後、レジストパタン1205を除去してビアホール1212を形成する(図12d)。次に、ビアホール上に配線溝レジストパターン1206を形成し(図12e)、トレンチパターン1206をマスクに異方性エッチングを行って配線溝1213となる酸化シリコン膜1204の一部を除去する。そしてレジストパターン1206を除去後、ビアホール1212の底になっている窒化シリコン膜1201をエッチングによって除去し、底が銅配線1210となったビアホールおよび配線溝が形成される(図12f)。
【0007】次に、エッチングによって形成した表面に導体からなる導体バリア膜1207を形成し(図12g)その後、銅膜208を形成する(図12f)。CMPによって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅1208を除去し(図12g)、同様に余剰な導体バリア膜1207を除去する。その後、絶縁バリア膜1209を形成することで、銅膜1208の下面および側面が導体バリア膜1207で覆われ、銅膜1208の上面が層間絶縁膜であるバリア層で覆われた銅配線1211が形成される(図12h)。
【0008】[従来例3]図13は、特開2000−138219号公報などにより提案されている、銅配線を有し、感光性材料を層間絶縁膜に用いたダマシン法の配線構造の製造方法を工程順に示す図である。まず、シリコン基板1301上に酸化シリコン膜1302を形成し(図13a)、続いて感光性材料を塗布し、これをベークすることで感光性層間絶縁膜層1303を形成する(図13b)。この感光性層間絶縁膜層1303としては、ポリイミド、ポリアミド酸、ベンゾシクロブテン、ポリオキシベンゾール(PBO;例えば、住友ベークライト株式会社製CRC8300)などを含むベース材料にポジ型感光材を添加した材料である。
【0009】次に、図13cに示すように、所望の配線溝を形成するため、感光性層間絶縁膜層1303に紫外線を露光し、潜像を形成する。このとき用いるフォトマスクは、合成石英などから構成された透明基板上にクロムなどの金属膜からなる遮光膜が所定のところに形成されたものでる。この方法では、ポジ型の感光性樹脂を用いているため、フォトマスクパターンは透過部で構成される。次に、現像を行うことで感光性層間絶縁膜層に配線溝を形成する(図13d)。現像にはアルカリ水溶液の現像液を用いる。次に配線溝が形成された層間絶縁膜を硬化するため、窒素雰囲気下で150℃で30分加熱した後、310℃〜320℃の温度で30分間加熱する。その後、図13eに示すように硬化処理されて感光性が消失した層間絶縁膜1304に、導体からなる導体バリア膜1305を形成後、銅膜1306を形成する(図13f)。次いで、CMPによって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜1306を除去し、同時に余剰な層間絶縁膜1304とバリア膜1305とを除去し、平面にする。(図13g)。
【0010】上記のように層間絶縁膜に感光性材料が用いられる他の従来技術としては、例えば、特開2000−181069号公報に記載された、感光性ポリシラザン組成物をポジ型レジストとして用い、これを感光して層間絶縁膜に用いる例が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の方法では、次に示すような問題点があった。従来例1では、銅の拡散を防止するバリア膜を形成する工程が増え、工程数が多くなり、結果的に製造装置も多くなりコストアップにつながっていた。また、層間絶縁膜に酸化シリコン膜を用いているが、より集積度を高めるためには、配線間をより近接にしなければならず、そのためにはより誘電率の低い層間絶縁膜を用いなければならない。また、従来例2では、層間絶縁膜にダマシン配線を形成する際には、層間絶縁膜中に配線を形成するための配線溝やビアホールを、レジストを用いたフォトリソグラフィとエッチングを用いた加工技術を用いて形成する。しかしながら、層間絶縁膜のエッチングとアッシングには加工上の課題が多く、微細な配線パターンを形成するには工程数が多くなり、加えて製造装置も多くなりコストアップにつながっていた。
【0012】従来例3、特に特開2000−138219号公報などに記載された配線構造の製造方法は、従来例1および2と異なり、有機感光材料を層間絶縁膜として用いることで、エッチング工程およびアッシング工程が不要である。しかしながら、有機感光性材料は第一に耐熱性が低いため、実用的な多層配線、特に配線材をCuとした場合における層間絶縁膜への適用は不可能である。第二にこれらの公報に開示された方法では、Cuのバリア膜(バリアメタルおよびバリア絶縁膜)と感光性材料との組み合わせを想定していないため、微細な配線において、配線間でのCuの拡散が祖生じ、配線の信頼性が低下する。第三にCuおよび前述のバリア膜を含めた構造を得る場合には、実用的な多層配線のプロセス(条件や手法)としては不十分であった。
【0013】また、特開2000−181069号公報記載の感光性ポリシラザン組成物は、リソグラフィ時における、微細な配線溝パターンの形成、露光条件の大気安定性、焼成後の耐熱性が不十分であり、スループットが低く、実用的な多層配線に適用することができなかった。この感光性ポリシラザン組成物は、光の照射によってポリシラザンのSi−N結合が開裂し、雰囲気中の水分が反応してシラノール(Si−OH結合)を形成し、このシラノールが現像液に溶解することでパターンを形成することを特徴としている。具体的な課題としては、第一に、露光部において選択的にシラノール化反応を進めることが望ましいが、浸水処理では効果的に溶性を促進することができず、微細で良好なパターンを得ることが困難であり、そのための手法及び条件を見出すのは容易ではなかった。第二には加湿加熱処理時に露光部のシラノール化反応が進むことが望ましいが、未露光部が待機時間中に雰囲気中の水分によってシラノール化してしまうことで、所望の微細な寸法のパターニングが不可能であった。第三には未露光部について加熱を行うだけでは膜中に未反応のSi−N結合が残存し、膜質の悪化、詳しくは誘電率の上昇と耐熱性の低下を招いていた。第4にCuおよび前述のバリア膜を含めた構造を得る場合には、実用的な多層配線のプロセス(特に処理手法や条件)としては不十分であった。例えば高い配線信頼性を有した下層ビアとの接続手法や、ミスアライメントが生じた場合の再生手法などである。
【0014】そこで、本発明は、かかる課題を解決するため、銅を配線材として用いても、微細な配線構造の形成が可能で、工程数が少なく、低コスト化が可能な配線構造およびその製造方法を提供することを目的とする。また、配線間での銅の拡散が生じない配線構造およびその製造方法を提供することを目的とする。また、露光条件の大気安定性の高い配線構造の製造方法を提供することを目的とする。また、微細な配線構造を形成可能な現像処理条件およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の配線構造は、半導体素子が形成された基板上に絶縁膜が多層形成され、絶縁膜に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜の層間にはバリア絶縁膜を有し、前記金属配線剤は銅を含むものである。前記絶縁膜がポリシラザンを主成分として含む組成物から形成されたものであることが好ましい。前記バリア絶縁膜が、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素を含むことが好ましい。
【0016】また、本発明の配線構造の製造方法は、半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程と、を有する方法である。絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、絶縁膜を加熱する工程を有することが好ましい。前記絶縁膜を形成する工程と絶縁膜を露光する工程との間に、前記絶縁膜の上に保護膜を塗布し、前記絶縁膜を露光する工程の後に、前記保護膜を除去することが好ましい。
【0017】絶縁膜を露光する工程と絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を所定の湿度及び温度で、加湿と加熱同時処理する工程を有することが好ましい。前記絶縁膜を現像した後に、前記絶縁膜を紫外線照射を行う工程と、これに引き続き、所定の湿度及び温度で加湿と加熱同時に行う工程と、更に加熱を行う工程とを有することが好ましい。前記絶縁膜と金属から形成された配線の上にバリア絶縁膜を形成することが好ましい。配線溝の底面またはビアホールの底面になっているバリア膜を、反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法によって除去する工程を有することが好ましい。前記ビアホールと、ビアホールの上とビアホールが形成された絶縁膜との上に感光性を有する絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝の形成とビアホールの再形成とを同時に行う工程とを有することが好ましい。
【0018】前記ビアホールは、対電子線感光性を有する材料を含む材料から形成された絶縁膜に形成されていることが好ましい。配線溝およびビアホールに金属配線剤を充填して配線を形成する工程と、この配線と絶縁膜とを化学機械研磨する工程と、これにより形成した平面の上に絶縁性バリア膜を形成する工程を有することが好ましい。前記絶縁膜に形成された配線溝またはビアホールが下層配線との間にミスアライメントを生じた際には、前記絶縁膜を絶縁膜の現像を行う溶液と同じ溶液で溶解して除去することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の配線構造の例として、半導体装置の一例を図1に示す。この配線構造は、第一の層間絶縁膜となるシリコン酸化膜101と、配線材からなるWプラグ102と、配線間を分離する絶縁膜103と、絶縁性バリアとなるバリア絶縁膜104と、Ta/TaNからなり銅の拡散を防ぐ導電性バリア膜105と、配線となる銅膜106とから概略構成されている。
【0020】層間絶縁膜103は少なくとも一層は対電子線感光性を有する材料から形成されている。この対電子線感光性を有する材料は、ポリシラザンを主成分として含む組成物である。このポリシラザン組成物は、ポリメチルシラザンまたはフェニルシラザンと光酸発生材とを含むものであり、特開2000−181069号公報に記載されているものも使用できる。本発明で用いるポリシラザンは、ポリシラザン単独、およびポリシラザンと他のポリマーの共重合体やポリシラザンと他の化合物の混合物でも利用できる。用いるポリシラザンの一般式は下記化学式にて示される。
【0021】
【化1】
【0022】(上記化学式中でR1、R2、R3 はそれぞれ単独に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、これらの基以外でケイ素又は水素に直結する部分が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基を表す。)
【0023】バリア絶縁膜104は、絶縁性を有するものが選ばれるが、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)またはこれらの混合物(SiCN)を含むものが好ましい。
【0024】このような配線構造にあっては、半導体素子が形成された基板上に絶縁膜103が多層形成され、絶縁膜103に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜103の層間にはバリア絶縁膜104を有し、前記金属配線剤は銅を含むものため、微細な配線パターンを形成でき、また、エッチングや(エッチング後の)アッシング工程を省略できる。また、層間絶縁膜103の層間に有するバリア絶縁膜104により、銅の拡散を抑制できる。また、配線が銅であるため配線抵抗が小さい。また、前記層間絶縁膜103がポリシラザン組成物を主成分として含むので、層間絶縁膜103の誘電率が低い。
【0025】次に、本発明の配線構造の製造方法の実施の形態について図2〜10を参照して詳細に説明する。
[第一実施形態]本発明の配線構造の製造方法の第一実施形態は、配線部上に埋め込みと研磨によって単層の上層配線を形成する、いわゆるシングルダマシン(SingleDamascene)と呼ばれる手法の場合についての実施の形態である。以下、その実施形態について図2を参照して詳細に説明する。半導体素子が形成された基板上201に、CVD法によりシリコン酸化物を含む第一層間絶縁膜202を形成する。この第一層間絶縁膜202にWプラグ203を形成し(図2a)、これらの上に、スピンコーティング法により配線層間膜となる第二層間絶縁膜204を、回転数と溶液の粘度を調節して塗布膜厚を制御しながら形成する(図2b)。第二層間絶縁膜204は対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下の材料を含むものである。このような材料の例として、クラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物が挙げられる。
【0026】第二層間絶縁膜204を塗布後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA/PGME)を用いてエッジ・バックリンスを行う。続いて、溶媒を蒸発させるため、40℃〜150℃の範囲で加熱処理を行う。この条件より高温では感光性が消失し、低温では下地との密着性が不十分となる場合がある。次に、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面に保護膜205をコーティングする(図2c)。保護膜205を使用しない場合には、大気放置時間が長いと、パターン形成が不可能な場合がある。なお、保護膜205は、現像と同時あるいは前後に除去することが必要である。
【0027】次に、電子線リソグラフィーによるパターニングを行い(図2d)、その後、所望の現像特性を得るために加湿と加熱同時処理を行う。この時の条件は、膜厚や溶剤、露光量などにもよるが、湿度が25〜100%、かつ温度が室温〜80℃であることが好ましく、特に45〜95%、かつ30〜80℃であることが好ましい。加湿と加熱とを同時に行わないと、微細な配線、特に0.6μmピッチ以下の微細配線パターンにおいて膜剥がれが生じる場合がある。次に、露光部を、アルカリ水溶性の現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を現像液として用い、図2eに示すように第二層間絶縁膜204に配線溝を形成する。次に、ウェハの全面に紫外線照射を4分程度行い、感光特性を消失させた後、再び加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度が25%以上、かつ温度が室温〜80℃であることが好ましい。この加湿加熱同時処理によって、未露光部におけるSi−N結合を消失させることが可能となり、層間絶縁膜の耐熱性を高く、かつ比誘電率を低くすることができる。
【0028】これを図8および図9により説明する。図8は、最終的に得られた膜に温度を加えたときの、脱離ガススペクトルを示す。湿度80%/温度50℃および湿度60%/温度70℃で加湿加熱処理を行った場合にはガス量が少ないのに対し、湿度60%/温度90℃で加湿加熱処理を行った場合には、ガス量が非常に多い。図9は比誘電率と400℃までの総脱ガス量(温度50℃/湿度80%を1とした相対量)とをプロットしたグラフである。このように、脱ガス量が多いと、比誘電率は高くなる。硬化処理として300〜400℃の温度で30分加熱する。好ましくは、後に行う銅アニール処理と同一条件である400℃、30分加熱する。この時、ウェハ全面への紫外線照射を行わないと、加熱処理後に得られる膜の耐熱性が劣化する場合がある。このことを図10の脱離ガススペクトルを用いて説明する。紫外線照射処理を行った場合には、脱離ガスが発生しないが、紫外線照射処理を行わない場合には300℃付近で多量の脱離ガスが発生する。従って、膜の耐熱性を向上させるためには紫外線照射処理が非常に有効であることがわかる。これら一連の手法によって、450℃以上の耐熱性を有する低誘電率層間絶縁膜を得ることができる。また、下地のWプラグ203と作製した溝パターンにミスアライメントが生じた場合には、シラノール化反応とその溶解特性を利用し、パターンの再生を行うことが可能である。ウェハの全面に紫外線照射を1分〜4分程度行った後、アルカリ水溶液、例えば、TMAHなどに溶解させて、ミスアライメントパターンを除去することにより、再び対電子線感光性を有する層間絶縁膜204を形成することが可能である。
【0029】次に、この全表面に、図2fに示すように導電性バリア膜206を成膜した後、スパッタ法により銅シード膜を形成し、これを電極として電解メッキ法により銅膜207を形成する。この時、導電性バリア膜206は銅の拡散を阻止できる、例えばチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物またはケイ化物もしくはそれらをを含有したものが良く、好ましくはタンタル/窒化タンタルを含有したものが良い。この導電性バリア膜106の成膜厚さは5〜40nmであることが好ましい。また、銅シード膜の厚さは50〜200nmであることが好ましい。その後、200℃〜400℃の温度範囲で、10〜30分の銅膜の結晶化アニールを行う。特に400℃、30分程度の加熱が最適であるが、これは銅の結晶性が促進されるためである。ここで、NH3などの窒素を含むガス中でプラズマ照射することで、溝側壁部を窒化し、Cuの拡散耐性を向上させることも可能である。
【0030】続いて、図2gに示すようにCMP法によって、配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜207と第二層間絶縁膜204と導電性バリア膜206とを除去して、銅配線208を形成する。次に、図2hに示すように、CMP法によって形成された平面の上に炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)およびそれらの混合物(SiCN)などからなる絶縁性バリア膜209を形成する。この時、絶縁性バリア膜209の厚さは5〜50nmであることが好ましく、特に好ましくは10nm程度が良い。薄すぎると銅の拡散バリア性が不十分となり、厚すぎると配線間容量が増大したり、ビアホール開口時におけるエッチングに負荷がかかる場合がある。また、これら絶縁性のバリア膜の成膜直前にNH3やHeなどを含むガス中のプラズマ照射によってCuおよび絶縁膜の表面処理を行うことで、配線の信頼性を向上させることも可能である。一方、絶縁性のバリア膜を用いない場合には、Cu上に選択的に高融点の金属、たとえばCu合金(シリコン、タンタル、タングステン、などとの合金)やそれらの化合物などを成長させ、Cuの拡散を防ぐことが必要である。
【0031】[第二実施形態]本発明の配線構造の製造方法の第二の実施形態は、上層の配線層および下層と接続するビアホール層を形成した後両者に配線材を埋め込んで研磨を行う、いわゆるデュアルダマシン(Dual Damascene)法の実施の形態であり、ポリシラザン組成物を層間絶縁膜として用いる第一実施形態と同様の手法をデュアルダマシンに適用したものである。以下、その実施形態について図3を参照して詳細に説明する。ポリシラザンの加熱条件や加湿条件、その目的および効果は、基本的には第一実施形態に示すものと同一である。図3aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板301の上に第一層間絶縁膜302とWプラグ303とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜304と、銅および導電性Ta/TaN積層バリア膜からなる配線材305とが形成されている。さらに、その上にSiC、SiN、SiCNからなるバリア絶縁膜膜306が形成されている。
【0032】なお、図3aの下層配線構造においては、上記の材料に限定されるものではなく、層間絶縁膜302および304はSiO2 、ハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)、メチルシルセキオサン(MSQ)および芳香族を含む有機ポリマー、例えばジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテン(BCB)などでもよい。また、配線材305は銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト、タングステン、シリコン、チタン、タンタルおよびそれらの化合物などでもよい。
【0033】図3aに示した下層配線構造の上に、図3bに示すように、第三層間絶縁膜307を形成する。この第三層間絶縁膜307は、対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下の、例えばクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザンを含むものが用いられる。この時、第三層間絶縁膜307は、回転する基板に溶液を塗布するスピンコーティング法などにより形成される。塗布後、PGMEA/PGMEなどを用いて行う。続いて、溶媒を蒸発させるため、40〜150℃の範囲で加熱処理を行う。次に、図3cに示すように、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面に保護膜308をコーティングする。この保護膜308は、現像と同時、あるいは前後に除去することが必要である。
【0034】次に、図3dに示すように電子線リソグラフィによるパターニングを行い、その後、所望の現像特性を得るために加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度は25%以上、かつ温度は室温〜80℃であることが好ましい。特に45〜95%、かつ30〜80℃であることが好ましい。この条件では0.2μmピッチ以下の微細配線パターンの剥がれは観察されない。また、形状も良好である。次に露光部を現像し、図3eに示すように感光性層間絶縁膜にビアパターン309を形成する。この時現像液はアルカリ水溶性の現像液であるTMAHなどを用いる。次に、ウェハの全面に紫外線照射を1分〜5分程度行い、感光特性を消失させた後、再び加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度が25%以上、かつ温度が室温〜80℃の範囲であることが好ましい。その後、硬化処理として300〜400℃の温度で30分加熱して、第三層間絶縁膜310を形成する。
【0035】なお、配線材305と作製したビアホール309にミスアライメントが生じた場合には、ウェハの全面に紫外線照射を1分〜4分程度行い、加湿加熱同時処理を行った後、現像に用いたものと同一のアルカリ水溶液、例えば、TMAHなどに溶解させて、ミスアライメントパターンを除去することにより、再び対電子線感光性を有する層間絶縁膜307を形成することが可能である。
【0036】次に、図3fに示すように、この感光性が消失して形成されたビアパターン309およびその上に、スピンコーティング法などによって感光性を有する第四層間絶縁膜311を形成し、その後、エッジ・バックリンスを行う。次に、前述の温度範囲にて加熱処理を行い、電子線リソグラフィーによる配線溝パターニングを行う。この時、ビアパターン309はすでに感光特性を消失しているため、露光処理による影響は全く受けない。その後、ビアホールパターンと同様にウェハの全面に紫外線処理を1〜5分程度行い、引き続いて、加湿加熱処理を行う。この時の条件は湿度が25%以上、かつ温度が室温〜80℃の範囲であることが好ましい。続いて、硬化処理として300〜400℃の温度で30分加熱する。次に、露光部を現像し、図3gに示すように第三層間絶縁膜上に配線溝パターン形成する。この時現像液はアルカリ水溶性の現像液であるTMAHなどを用いるが、ビアパターン309が形成されている第三層間絶縁膜310はすでに硬化処理を行っているため、現像処理による影響は全く受けない。次に、図3hに示すように、反応性イオンエッチング法、あるいはスパッタリング法などにより、ビアホール底面になっているバリア膜306を除去する。この時のエッチングガスは第四層間絶縁膜311に対して選択比の高い条件が望ましく、例えばCHF3/Ar系ガスやCF4/Ar系ガスが挙げられる。
【0037】次に、エッチングにより形成された表面に、図3iに示すように導電性バリア膜312を形成する。その後、スパッタ法による銅シード膜を形成し、これを電極として電解メッキ法により銅膜313を形成する。この時、導電性バリア膜312は銅の拡散を阻止できる材料、例えばチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物またはケイ化物若しくはそれらを含有したものが好ましい。また導電性バリア膜312の成膜厚さは5〜40nmであることが好ましい。続いて、図3jに示すようにCMP法によって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜313と第四層間絶縁膜310と導電性バリア膜312とを除去して、銅配線を形成する。そして、図3kに示すように、CMP法により形成された平面の上にSiC、SiN、SiCNなどからなる絶縁性バリア膜314を形成する。この絶縁性バリア膜314の厚さは5〜50nmであることが好ましい。
【0038】[第三実施形態]第三実施形態は、感光性層間絶縁膜に、従来のフォトレジスト工程とエッチング工程とを組み合わせた配線構造の製造方法である。以下、その実施形態について図4を参照して詳細に説明する。ポリシラザンの加熱条件や加湿条件、その目的および効果は、基本的には第一実施形態および第二実施形態に示すものと同一である。図4aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板401の上に第一層間絶縁膜402とWプラグ403とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜404と、銅および導電性Ta/TaN積層バリア膜からなる配線材405とが形成されている。さらに、その上にSiCNからなるバリア膜406が形成されている。なお、図4aの下層配線構造においては、上記の材料に限定されるものではなく、層間絶縁膜402および404はSiO2 、HSQ、MSQおよび芳香族を含む有機ポリマーなどでもよい。また、配線材405は銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト、タングステン、シリコン、チタン、タンタルおよびそれらの化合物などでもよい。また、バリア膜406はSiC,SiNなどでもよい。
【0039】次に、図4aの下層配線構造の上に、図4bに示すように、第三層間絶縁膜407を形成する。この第三層間絶縁膜407は対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下の、例えばクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザンを含むものである。この時、第三層間絶縁膜407は、回転する基板に溶液を塗布するスピンコーティング法などにより形成する。塗布後、エッジ・バックリンスを、PGMEA/PGMEなどを用いて行う。次に、溶媒を蒸発させるため、40℃〜150℃の範囲で加熱処理を行う。この時、高温の処理では感光性が消失し、逆に低温の処理では下地との密着性が不十分となる。次に、図4cに示すように、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面に保護膜408をコーティングする。この保護膜408は、現像時に除去することが必要である。
【0040】次に、図4dに示すように、電子線リソグラフィによるパターニングを行う。その後、所望の現像特性を得るために加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度は、25〜100%、かつ温度は室温〜80℃であることが好ましい。特に80%、40℃の条件が好ましく、この条件では、0.2μmピッチ以下の微細配線パターンの剥がれは観察されない。次に、露光部を現像し、図4eに示すように、第三層間絶縁膜407にビアホールパターン409を形成する。この時、現像液はアルカリ水溶性の現像液であるTMAHなどを用いる。次に、ウェハの全面に紫外線照射を1〜5分程度行い、感光材料の感光特性を消失させた後、再び加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度が25〜100%、かつ温度が室温〜80℃の範囲で行うことが好ましい。続いて、硬化処理として300℃〜400℃の温度で30分加熱する。
【0041】なお、配線材405と作製したビアホール409にミスアライメントが生じた場合には、ウェハの全面に紫外線照射を1〜4分程度行った後、加湿加熱同時処理を行い、現像に用いたものと同一のアルカリ水溶液、例えば、TMAHなどに溶解させることで、容易にミスアライメントパターンを除去し、再び対電子線感光性を有する第三層間絶縁膜407を形成することが可能である。
【0042】次に、第三層間絶縁膜407の上に、フォトレジストを塗布する。そして、配線溝パターンを露光現像し、所望の配線溝パターンを有するフォトレジストパターン410を形成する(図4f)。次に、そのフォトレジストパターン410をマスクとして第三層間絶縁膜407とフォトレジストを同時にエッチングし、第三層間絶縁膜に溝パターンを形成する(図4g)。次に、図4hに示すように、ビアホールの底面になっているバリア膜406を反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法などにより除去する。この時のエッチングガスは感光性層間絶縁膜に対して選択比の高いものが好ましい。なお、感光性を有する第三層間絶縁膜407をフォトレジストとして使用し、同様の手法によってエッチングを行うことも可能である。
【0043】次に、エッチングまたはスパッタリングにより形成された表面に導電性バリア膜411を形成した後、スパッタリング法による銅シード膜を形成し、これを電極として電解メッキ法により銅膜412を形成する。この時、導電性バリア膜411は銅の拡散を阻止できる材料、例えばチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物またはケイ化物若しくはそれらを含有したものが好ましい。またバリア膜411の成膜厚さは5〜40nmであることが好ましい。続いて、図4iに示すようにCMP法によって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜412と第三層間絶縁膜407と導電性バリア膜411とを除去して、銅配線を形成する。そして、図4jに示すように、CMP法により形成された平面の上に、SiC、SiN、SiCNなどからなる絶縁性バリア膜413を形成する。この絶縁性バリア膜413の厚さは5〜50nmであることが好ましい。
【0044】第三実施形態では、第二実施形態にはなかった、フォトレジスト工程および溝エッチング工程が追加される。しかしながら、あらかじめ形成されたビアパターンに重なって配線溝パターンを形成するため、露光の際にミスアライメントが生じても、配線の信頼性を確保できる構造となる。
【0045】なお、上記実施形態では、銅の成膜方法としてメッキ法を用いたが、これに限定するものではなく、例えばMOCVD法やスピンコーティング法などによる銅成膜も可能である。また、感光性層間絶縁膜を使用する範囲はWプラグの上、銅配線の上に限定するものではなく、いわゆるコンタクトホールの層間膜として適用することも可能である。
【0046】上述した第一〜第三実施形態の配線構造の製造方法にあっては、半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に、その上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程とを有するので、工程数を少なくすることができる。また、微細な配線パターンを形成できる。また、前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、絶縁膜を加熱する工程を有するので、絶縁膜の下地への密着性がよくなる。また、層間絶縁膜を形成する工程と層間絶縁膜を露光する工程との間に、層間絶縁膜の上に保護膜を塗布し、層間絶縁膜を露光する工程の後に、保護膜を除去するので、リソグラフィ時の大気安定性を高くすることができる。また、層間絶縁膜を露光する工程と層間絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を加湿および加熱処理するので、露光部の溶解性を高め、良好なパターンを得ることができる。また、層間絶縁膜を現像した後に、層間絶縁膜に紫外線照射し、加湿および加熱処理を行い、加熱する工程を有しているので、層間絶縁膜の耐熱性を高め、さらに比誘電率を低くすることができる。また、配線溝を形成後に、溝底のバリア絶縁膜を選択的に除去するので、Cuを配線材とした多層配線を形成することができる。
【0047】
【実施例】[実施例1]この実施例は、下層の配線部上に埋め込みと研磨によって単層の上層配線を形成する、いわゆるシングルダマシン(Single Damascene)法に関する例である。以下、この実施例について図5を参照して詳細に説明する。図5aに示すように、半導体素子が形成された基板上501に第一層間絶縁膜502を形成した。この第一層間絶縁膜にWプラグ503を形成し、その後、これらの上に、スピンコーティング法により配線層間膜となる第二層間絶縁膜504を厚さ0.3μm形成した(図5b)。この第二層間絶縁膜504は、対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下であるクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物である。その後、エッジ・バックリンスを、PGMEA/PGMEを用いて行い、続いて、感光性特性を維持し、良好な密着性を確保するため、80℃での加熱を1分間行なって、溶媒を蒸発させた。次に、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面にフッ素樹脂を主成分とした保護膜を0.1μmコーティングした(図5c)。次に、電子線を用いたパターニングを行い、その後、湿度80%、温度40℃での加湿加熱同時処理を1分間行った(図5d)。
【0048】次に、露光部をTMAHを用いて現像し、続いて、ウェハの全面に紫外線照射を4分行い、感光特性を消失させた。その後、湿度80%、温度60℃で加湿加熱処理を行い、硬化処理を400℃の温度で20分間加熱することにより行い、配線溝パターンを得た(図5e)。この時、硬化処理における膜厚の減少は膜厚方向のみであり、その減少割合は10%以下であった。次に、形成された配線溝パターン表面に、図5fに示すように、TaN/Taを積層した導線性バリア膜506を40nm形成した後、スパッタ法による銅シード膜を100nm形成した。これを電極として電解メッキ法により銅膜を500nm形成し、計700nmの銅膜507を形成した。
【0049】次に、20分の銅膜507の結晶化アニールを行った後、CMP法によって配線溝以外の余剰な銅と第二層間絶縁膜504と導電性バリア膜506とを除去して、銅配線508を形成した(図5g)。なお、CMP法はシリカを主成分とする研磨剤に過酸化水素を混合した研磨溶液(スラリー)を用いて行った。この時、第二層間絶縁膜504とバリア膜506との界面および第二層間絶縁膜504と第一層間絶縁膜502との界面のいずれにおいても剥がれなどは起こらなかった。次に、図5hに示すように、CMP法により形成された平面の上にSiCNからなる絶縁性バリア膜509を25nm形成した。
【0050】このような工程により形成された配線構造は、間隔0.20μmで隣接する10mm長の配線対を形成し、400℃で10時間アニールしても配線間リーク電流が10-9A/cm2 程度の十分な絶縁耐性を有していた。また、層間絶縁膜の誘電率が下がり、配線間容量もシリコン酸化膜を層間絶縁膜とした場合と比較して約30%低減した。
【0051】[実施例2]この実施例は、上層の配線層および下層と接続するビアホール層を形成した後両者に配線材を埋め込んで研磨を行う、デュアルダマシン(Dual Damascene)法に関する例である。以下、その実施例について図6を参照して詳細に説明する。図6aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板601の上に第一層間絶縁膜602とWプラグ603とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜604と、銅および導電性Ta/TaN積層バリア膜からなる配線材605とが形成されている。さらに、その上にSiCN膜606が厚さ25nm形成されている。
【0052】次に、図6bに示すように、対電子線感光性を有しかつ比誘電率が2.7のクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物からなる第三層間絶縁膜607をスピンコーティング法により0.7μm形成した。その後、エッジ・バックリンスをPGMEA/PGMEを用いて行った。続いて、感光性特性を維持し、良好な密着性を有するために、40℃での加熱を1分間行い、溶媒を蒸発させた。次に、大気安定性を確保するために、露光前に第三層間絶縁膜607の表面にフッ素樹脂を主成分とした保護膜608を0.1μmコーティングした(図6c)。
【0053】次に、電子線を用いたビアパターニングを行い、その後、湿度80%、温度40℃での加湿加熱同時処理を3分間行った(図6d)。次に、露光部をTMAHを用いて現像した後、ウェハの全面に紫外線照射を4分間行い、感光材料の感光特性を消失させた。その後、湿度80%、温度60℃で加湿加熱処理を行い、続いて400℃の温度で30分加熱して硬化処理を行った(図6e)。次に、ビアパターン609内およびビアパターン609が形成された第三層間絶縁膜607の上に、スピンコーティング法によって再び感光性ポリシラザン組成物を塗布し、塗布後にエッジ・バックリンスを行い、ポリシラザン膜610を形成した(図6f)。
【0054】次に、前述の温度範囲で加熱処理を行い、電子線リソグラフィーによる配線溝パターニングを行った。この時、第三層間絶縁膜607はすでに感光特性を消失しているため、露光処理による影響は全く受けなかった。その後、ビアホールパターンと同様にして加湿加熱処理を湿度80%、温度60℃の条件で行い、続いて硬化処理として300〜400℃で30分加熱した。これにより、ポリシラザンは硬化し、第四層間絶縁膜となった。次に、露光部を現像し、図6gに示すように第二層間絶縁膜および配線材上に配線溝およびビアホールを形成した。現像液にはアルカリ水溶性の現像液TMAHを用いたが、ビアパターン609は硬化処理を行っているため、現像処理による影響は全くなかった。
【0055】次に、CHF3 /Ar系のガスを用いて反応性イオンエッチング法により、ビアホール底面になっていたSiCN膜606を除去した(図6h)。次に、図6iに示すように、TaN/Taを積層した導電性バリア膜612を40nm形成した後、スパッタ法により銅シード膜を100nm形成し、これを電極として電解メッキ法により銅を堆積して銅膜613を700nm形成した。その後、400℃、20分間、銅膜613の結晶化アニールを行った後、CMP法によって配線溝以外の余剰な銅と第四層間絶縁膜611の一部と導電性バリア膜612の一部とを除去した(図6j)。CMP法はシリカを主成分とする研磨剤に過酸化水素を混合した研磨溶液(スラリー)を用いて行った。CMPの際、第四層間絶縁膜611と導電性バリア膜612との界面、および第一層間絶縁膜602と第二層間絶縁膜604との界面のいずれにおいても剥がれ等は起きなかった。次に、図6kに示すように、CMPによって形成された平面の上に、SiCNからなる絶縁性バリア膜614を25nm形成した。
【0056】このような工程により形成された配線構造は、間隔0.20μmで隣接する10mm長の配線対を形成し、400℃で10時間アニールしても配線間リーク電流が10-9A/cm2 程度の十分な絶縁耐性を有していた。また、配線材の埋め込みについてビア部と配線部を同時に行ったため、工程数を減少させることができた。
【0057】[実施例3]この実施例ではビアホール部と上層配線部の感光性層間絶縁膜を堆積し、電子線リソグラフィーによってビアパターンを形成した後、フォトレジストとエッチングを用いて配線溝パターンを形成する例である。以下、その実施例について図7を参照して詳細に説明する。図7aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板701の上に第一層間絶縁膜702とWプラグ703とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜704と、銅およびTa/TaNが積層した導電性バリア膜からなる配線材705とが形成されている。さらに、その上にSiCN膜706が厚さ25nm形成されている。
【0058】図7bに示すように、対電子線感光性を有しかつ比誘電率が2.7のクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物をスピンコーティング法により1.0μm塗布し、第三層間絶縁膜707を形成した。塗布後、エッジ・バックリンスをPGMEA/PGMEを用いて行った。続いて、感光性特性を維持し、良好な密着性を持たせるために、40℃での加熱を1分間行い、溶媒を蒸発させた。次に、大気安定性を確保するために、露光前に第三層間絶縁膜707の表面にフッ素樹脂を主成分とした保護膜708を0.1μmコーティングした(図7c)。次に、電子線を用いたビアパターニングを行った後、湿度80%、温度60℃での加湿加熱同時処理を3分間行った(図7d)。
【0059】次に、露光部をTMAHを用いて現像し、次にウェハの全面に紫外線照射を4分間行い、感光材料の感光特性を消失させた。その後、湿度80%、温度60℃で加湿加熱処理を行い、硬化処理を400℃の温度で30分加熱することにより行い、第三層間絶縁膜711を硬化させた(図7e)。次に、形成されたビアパターン709上に、フォトレジストを塗布し、配線溝パターンを露光現像し、所望の配線溝パターンを有するフォトレジストパターン710を形成した。次に、そのフォトレジストパターン710をマスクとして、第三層間絶縁膜711を同時にエッチングして、第三層間絶縁膜711に溝パターンを形成した。
【0060】次に、CHF3 /Ar系のガスを用いて反応性イオンエッチング法により、ビア底のSiCN膜706を除去した(図7g)。次に、図7hに示すように、TaN/Taを積層した導電性バリア膜712を40nm形成した後、スパッタ法により銅シード膜を100nm形成し、これを電極として電解メッキ法により銅を堆積して銅膜713を700nm形成した。その後、400℃、20分間、銅膜713の結晶化アニールを行った後、CMP法によって配線溝以外の余剰な銅と第三層間絶縁膜711の一部と導電性バリア膜712の一部とを除去した(図7i)。CMP法はシリカを主成分とする研磨剤に過酸化水素を混合した研磨溶液(スラリー)を用いて行った。CMPの際、第三層間絶縁膜711とバリア膜712との界面、および第一層間絶縁膜702と第二層間絶縁膜704との界面のいずれにおいても剥がれ等は起きなかった。次に、図7jに示すように、CMPによって形成された平面の上に、SiCNからなる絶縁性バリア膜714を25nm形成した。
【0061】このような工程により形成された配線構造は、間隔0.20μmで隣接する10mm長の配線対を形成し、400℃で10時間アニールしても配線間リーク電流が10-9A/cm2 程度の十分な絶縁耐性を有していた。また、ビアとその上層の配線溝間にミスアライメントが生じた場合にも、良好な配線信頼性を維持した。実施例3では、実施例2にはなかったフォトレジスト工程および溝エッチング工程が追加された。しかしながら、あらかじめ形成されたビアパターンに重なって配線溝パターンを形成したため、露光の際にミスアライメントが生じても、配線の信頼性が向上する構造になった。
【0062】
【発明の効果】本発明の配線構造は、半導体素子が形成された基板上に絶縁膜が多層形成され、絶縁膜に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜の層間にはバリア絶縁膜を有し、前記金属配線剤は銅を含むものである。このため、配線抵抗、配線間容量が低く、微細な配線構造が可能で、信頼性の高いLSIの製造が可能となる。前記絶縁膜がポリシラザンを主成分として含む組成物から形成されたものであることにより、配線構造を形成するための工程数を少なくでき、コストを低くすることができる。前記バリア絶縁膜が、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素を含むことにより、配線に用いた銅の拡散を防止することができる上に、熱安定性も高くすることができる。
【0063】また、本発明の配線構造の製造方法によれば、半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程とを有する方法であるため、配線溝のドライエッチングや、アッシングを用いることなく、微細は配線構造の形成が可能となる。また、配線工程が簡略化されており、コストを低くすることができる。前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、前記絶縁膜を加熱する工程を有することにより、感光特性および密着性を高めることができる。前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、前記絶縁膜の上に保護膜を塗布し、前記絶縁膜を露光する工程の後に、前記保護膜を除去することにより、露光特性を安定化させることができる。
【0064】絶縁膜を露光する工程と絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を加湿および加熱処理する工程を有することにより、露光部の溶解性を高め、微細な配線パターンを所望の寸法にて得ることができる。前記絶縁膜を現像した後に、前記絶縁膜に紫外線照射し、加湿および加熱同時処理し、加熱する工程を有することにより、感光性材料の感光性を消失させ、感光性材料が用いられた絶縁膜を硬化し、耐熱性を高め、低い比誘電率を得ることができる。前記絶縁膜と金属から形成された配線の上にバリア絶縁膜を形成することにより、絶縁膜間の絶縁性が高くなるので、多層構造の半導体装置の信頼性を高めることができる。配線溝の底面またはビアホールの底面になっているバリア膜を、反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法によって除去する工程を有することにより、配線構造の多層化を行うことができる。前記ビアホールと、ビアホールとビアホールが形成された絶縁膜との上に、感光性を有する絶縁膜を新たに形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝の形成とビアホールの再形成とを同時に行う工程とを有することにより、露光の際のミスアライメントが生じても、配線の信頼性を低下させることがない。
【0065】前記ビアホールは、対電子線感光性を有する材料を含む材料から形成された絶縁膜に形成されていることにより、配線構造の製造工程を少なくすることができる。配線溝およびビアホールに金属配線剤を充填して配線を形成する工程と、この配線と絶縁膜とを化学機械研磨する工程と、これにより形成された平面の上に絶縁性バリア膜を形成する工程を有することにより、銅の拡散のない多層配線構造を形成することができる。前記絶縁膜に形成された配線溝またはビアホールが下層配線との間にミスアライメントを有している際には、前記絶縁膜を絶縁膜の現像を行う溶液と同じ溶液で溶解して除去することにより、再び絶縁膜を形成し、この絶縁膜にビアホールパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の配線構造の一例を示す断面図である。
【図2】 本発明における第一実施形態の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】 本発明における第二実施形態の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】 本発明における第三実施形態の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】 本発明における実施例1の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図6】 本発明における実施例2の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】 本発明における実施例3の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】 露光工程後に行う加湿加熱処理工程の条件を変えたときの脱離ガススペクトルを示す図である。
【図9】 400℃でウェハから発生した脱離ガス量と比誘電率とをプロットしたグラフである。
【図10】 対電子線感光性を有する材料から形成された層間絶縁膜に、紫外線照射を行う前と後における脱離ガススペクトルを示す図である。
【図11】 従来例1の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図12】 従来例2の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図13】 従来例3の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
103 層間絶縁膜
104 バリア絶縁膜
105 導電性バリア膜
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるダマシン法を用いた配線構造とその製造方法であって、その工程数が少なく、また、配線材として銅を用いても、配線間での銅の拡散が生じない、信頼性の高いLSIの配線構造とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、集積回路の配線材料にはアルミニウム(Al)もしくはAl合金が用いられ、配線間および配線層間の層間絶縁膜にはシリコン酸化膜(SiO2)が広く用いられてきた。しかし、LSIの微細化の進行に伴い、配線における信号伝送の遅延を抑制、低減することが望まれており、配線抵抗の低減のために配線材には銅(Cu)が使用されるようになってきている。また、配線間容量の低減のために、配線間および配線層間の層間絶縁膜には誘電率の低い有機物や空孔を含んだシリコン酸化膜が使用されるようになってきている。しかし、銅は、シリコン(Si)や、シリコン酸化膜をはじめとする層間絶縁膜中における拡散がアルミニウムよりも速い。そのため、トランジスタをはじめとするシリコンデバイス部への銅の侵入、配線間の絶縁耐圧劣化などを防いで信頼性を高めるために、銅の周囲に、銅の拡散を防止するバリア膜を形成することが必要である。
【0003】従って、銅を用いた配線構造の製造においては、アルミニウムなどを配線材に用いたときにはなかった材料と工程が必要となる。そのため、工程の簡略化とプロセスコストダウンが必要であり、これまでにも、デュアルダマシン法の実用化や、感光性材料の提案などがされている。以下に、銅膜の下面および側面に銅の拡散防止(バリア)膜となる導体膜を形成する配線構造とその製造方法について説明する。
【0004】[従来例1]図11は、現在、一般的に用いられるダマシン構造の配線の製造方法を工程順に示す図である。まず、シリコン基板1101上に酸化シリコン膜1102、SiON膜1103、酸化シリコン膜1104を順次堆積し(図11a)、その上にレジストパタン1105(図11b)を形成する。そしてレジストパターン1105をマスクに酸化シリコン膜1104を異方性エッチングし、レジストパターン1105を除去して配線溝を形成する(図11c)。次に、エッチングにより形成した表面に導体からなる導体バリア膜1106を形成後、銅膜1107を形成する(図11d)。続いて、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)によって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜1107を除去し、続いて同様に余剰なバリア膜1106を除去する(図11e)。その後、絶縁体からなる絶縁バリア膜1108を形成することで、銅膜1107の下面および側面が導体バリア膜1106で覆われ、銅膜1107の上面が絶縁バリア膜1108で覆われた配線構造が形成される(図11f)。
【0005】この導体バリア膜1106には、銅の拡散防止能力が高いこと、下地となる絶縁物および銅配線部との密着性、プロセス上の熱的安定性などの理由から、高融点であるチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物、またはそれらにシリコンなどを添加した3元系もしくは4元系の窒化物、もしくはそれらを積層したものが用いられる。一方、上面の絶縁バリア膜1108には、導体バリア膜1106と同様に銅の拡散防止能力が高いこと、下地となる絶縁物および銅配線部との密着性、プロセス上の熱的安定性などの理由から、シリコンの窒化物(SiN)もしくは炭化物(SiC)などが用いられる。
【0006】[従来例2]図12は、現在、一般的に用いられるデュアルダマシン構造の配線の製造方法を工程順に示す図である。まず、シリコン基板上に作製した銅配線1210上に窒化シリコン膜1201、第一の酸化シリコン膜1202、SiON膜1203、第二の酸化シリコン膜1204を順次形成し(図12a)、その上にビアレジストパターン1205を形成する(図12b)。そしてビアレジストパターン1205をマスクに異方性エッチングによって第一の酸化シリコン膜1202、SiON膜1203、第二の酸化シリコン膜1204の順にエッチングした後、レジストパタン1205を除去してビアホール1212を形成する(図12d)。次に、ビアホール上に配線溝レジストパターン1206を形成し(図12e)、トレンチパターン1206をマスクに異方性エッチングを行って配線溝1213となる酸化シリコン膜1204の一部を除去する。そしてレジストパターン1206を除去後、ビアホール1212の底になっている窒化シリコン膜1201をエッチングによって除去し、底が銅配線1210となったビアホールおよび配線溝が形成される(図12f)。
【0007】次に、エッチングによって形成した表面に導体からなる導体バリア膜1207を形成し(図12g)その後、銅膜208を形成する(図12f)。CMPによって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅1208を除去し(図12g)、同様に余剰な導体バリア膜1207を除去する。その後、絶縁バリア膜1209を形成することで、銅膜1208の下面および側面が導体バリア膜1207で覆われ、銅膜1208の上面が層間絶縁膜であるバリア層で覆われた銅配線1211が形成される(図12h)。
【0008】[従来例3]図13は、特開2000−138219号公報などにより提案されている、銅配線を有し、感光性材料を層間絶縁膜に用いたダマシン法の配線構造の製造方法を工程順に示す図である。まず、シリコン基板1301上に酸化シリコン膜1302を形成し(図13a)、続いて感光性材料を塗布し、これをベークすることで感光性層間絶縁膜層1303を形成する(図13b)。この感光性層間絶縁膜層1303としては、ポリイミド、ポリアミド酸、ベンゾシクロブテン、ポリオキシベンゾール(PBO;例えば、住友ベークライト株式会社製CRC8300)などを含むベース材料にポジ型感光材を添加した材料である。
【0009】次に、図13cに示すように、所望の配線溝を形成するため、感光性層間絶縁膜層1303に紫外線を露光し、潜像を形成する。このとき用いるフォトマスクは、合成石英などから構成された透明基板上にクロムなどの金属膜からなる遮光膜が所定のところに形成されたものでる。この方法では、ポジ型の感光性樹脂を用いているため、フォトマスクパターンは透過部で構成される。次に、現像を行うことで感光性層間絶縁膜層に配線溝を形成する(図13d)。現像にはアルカリ水溶液の現像液を用いる。次に配線溝が形成された層間絶縁膜を硬化するため、窒素雰囲気下で150℃で30分加熱した後、310℃〜320℃の温度で30分間加熱する。その後、図13eに示すように硬化処理されて感光性が消失した層間絶縁膜1304に、導体からなる導体バリア膜1305を形成後、銅膜1306を形成する(図13f)。次いで、CMPによって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜1306を除去し、同時に余剰な層間絶縁膜1304とバリア膜1305とを除去し、平面にする。(図13g)。
【0010】上記のように層間絶縁膜に感光性材料が用いられる他の従来技術としては、例えば、特開2000−181069号公報に記載された、感光性ポリシラザン組成物をポジ型レジストとして用い、これを感光して層間絶縁膜に用いる例が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の方法では、次に示すような問題点があった。従来例1では、銅の拡散を防止するバリア膜を形成する工程が増え、工程数が多くなり、結果的に製造装置も多くなりコストアップにつながっていた。また、層間絶縁膜に酸化シリコン膜を用いているが、より集積度を高めるためには、配線間をより近接にしなければならず、そのためにはより誘電率の低い層間絶縁膜を用いなければならない。また、従来例2では、層間絶縁膜にダマシン配線を形成する際には、層間絶縁膜中に配線を形成するための配線溝やビアホールを、レジストを用いたフォトリソグラフィとエッチングを用いた加工技術を用いて形成する。しかしながら、層間絶縁膜のエッチングとアッシングには加工上の課題が多く、微細な配線パターンを形成するには工程数が多くなり、加えて製造装置も多くなりコストアップにつながっていた。
【0012】従来例3、特に特開2000−138219号公報などに記載された配線構造の製造方法は、従来例1および2と異なり、有機感光材料を層間絶縁膜として用いることで、エッチング工程およびアッシング工程が不要である。しかしながら、有機感光性材料は第一に耐熱性が低いため、実用的な多層配線、特に配線材をCuとした場合における層間絶縁膜への適用は不可能である。第二にこれらの公報に開示された方法では、Cuのバリア膜(バリアメタルおよびバリア絶縁膜)と感光性材料との組み合わせを想定していないため、微細な配線において、配線間でのCuの拡散が祖生じ、配線の信頼性が低下する。第三にCuおよび前述のバリア膜を含めた構造を得る場合には、実用的な多層配線のプロセス(条件や手法)としては不十分であった。
【0013】また、特開2000−181069号公報記載の感光性ポリシラザン組成物は、リソグラフィ時における、微細な配線溝パターンの形成、露光条件の大気安定性、焼成後の耐熱性が不十分であり、スループットが低く、実用的な多層配線に適用することができなかった。この感光性ポリシラザン組成物は、光の照射によってポリシラザンのSi−N結合が開裂し、雰囲気中の水分が反応してシラノール(Si−OH結合)を形成し、このシラノールが現像液に溶解することでパターンを形成することを特徴としている。具体的な課題としては、第一に、露光部において選択的にシラノール化反応を進めることが望ましいが、浸水処理では効果的に溶性を促進することができず、微細で良好なパターンを得ることが困難であり、そのための手法及び条件を見出すのは容易ではなかった。第二には加湿加熱処理時に露光部のシラノール化反応が進むことが望ましいが、未露光部が待機時間中に雰囲気中の水分によってシラノール化してしまうことで、所望の微細な寸法のパターニングが不可能であった。第三には未露光部について加熱を行うだけでは膜中に未反応のSi−N結合が残存し、膜質の悪化、詳しくは誘電率の上昇と耐熱性の低下を招いていた。第4にCuおよび前述のバリア膜を含めた構造を得る場合には、実用的な多層配線のプロセス(特に処理手法や条件)としては不十分であった。例えば高い配線信頼性を有した下層ビアとの接続手法や、ミスアライメントが生じた場合の再生手法などである。
【0014】そこで、本発明は、かかる課題を解決するため、銅を配線材として用いても、微細な配線構造の形成が可能で、工程数が少なく、低コスト化が可能な配線構造およびその製造方法を提供することを目的とする。また、配線間での銅の拡散が生じない配線構造およびその製造方法を提供することを目的とする。また、露光条件の大気安定性の高い配線構造の製造方法を提供することを目的とする。また、微細な配線構造を形成可能な現像処理条件およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の配線構造は、半導体素子が形成された基板上に絶縁膜が多層形成され、絶縁膜に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜の層間にはバリア絶縁膜を有し、前記金属配線剤は銅を含むものである。前記絶縁膜がポリシラザンを主成分として含む組成物から形成されたものであることが好ましい。前記バリア絶縁膜が、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素を含むことが好ましい。
【0016】また、本発明の配線構造の製造方法は、半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程と、を有する方法である。絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、絶縁膜を加熱する工程を有することが好ましい。前記絶縁膜を形成する工程と絶縁膜を露光する工程との間に、前記絶縁膜の上に保護膜を塗布し、前記絶縁膜を露光する工程の後に、前記保護膜を除去することが好ましい。
【0017】絶縁膜を露光する工程と絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を所定の湿度及び温度で、加湿と加熱同時処理する工程を有することが好ましい。前記絶縁膜を現像した後に、前記絶縁膜を紫外線照射を行う工程と、これに引き続き、所定の湿度及び温度で加湿と加熱同時に行う工程と、更に加熱を行う工程とを有することが好ましい。前記絶縁膜と金属から形成された配線の上にバリア絶縁膜を形成することが好ましい。配線溝の底面またはビアホールの底面になっているバリア膜を、反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法によって除去する工程を有することが好ましい。前記ビアホールと、ビアホールの上とビアホールが形成された絶縁膜との上に感光性を有する絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝の形成とビアホールの再形成とを同時に行う工程とを有することが好ましい。
【0018】前記ビアホールは、対電子線感光性を有する材料を含む材料から形成された絶縁膜に形成されていることが好ましい。配線溝およびビアホールに金属配線剤を充填して配線を形成する工程と、この配線と絶縁膜とを化学機械研磨する工程と、これにより形成した平面の上に絶縁性バリア膜を形成する工程を有することが好ましい。前記絶縁膜に形成された配線溝またはビアホールが下層配線との間にミスアライメントを生じた際には、前記絶縁膜を絶縁膜の現像を行う溶液と同じ溶液で溶解して除去することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の配線構造の例として、半導体装置の一例を図1に示す。この配線構造は、第一の層間絶縁膜となるシリコン酸化膜101と、配線材からなるWプラグ102と、配線間を分離する絶縁膜103と、絶縁性バリアとなるバリア絶縁膜104と、Ta/TaNからなり銅の拡散を防ぐ導電性バリア膜105と、配線となる銅膜106とから概略構成されている。
【0020】層間絶縁膜103は少なくとも一層は対電子線感光性を有する材料から形成されている。この対電子線感光性を有する材料は、ポリシラザンを主成分として含む組成物である。このポリシラザン組成物は、ポリメチルシラザンまたはフェニルシラザンと光酸発生材とを含むものであり、特開2000−181069号公報に記載されているものも使用できる。本発明で用いるポリシラザンは、ポリシラザン単独、およびポリシラザンと他のポリマーの共重合体やポリシラザンと他の化合物の混合物でも利用できる。用いるポリシラザンの一般式は下記化学式にて示される。
【0021】
【化1】
【0022】(上記化学式中でR1、R2、R3 はそれぞれ単独に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、これらの基以外でケイ素又は水素に直結する部分が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基を表す。)
【0023】バリア絶縁膜104は、絶縁性を有するものが選ばれるが、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)またはこれらの混合物(SiCN)を含むものが好ましい。
【0024】このような配線構造にあっては、半導体素子が形成された基板上に絶縁膜103が多層形成され、絶縁膜103に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜103の層間にはバリア絶縁膜104を有し、前記金属配線剤は銅を含むものため、微細な配線パターンを形成でき、また、エッチングや(エッチング後の)アッシング工程を省略できる。また、層間絶縁膜103の層間に有するバリア絶縁膜104により、銅の拡散を抑制できる。また、配線が銅であるため配線抵抗が小さい。また、前記層間絶縁膜103がポリシラザン組成物を主成分として含むので、層間絶縁膜103の誘電率が低い。
【0025】次に、本発明の配線構造の製造方法の実施の形態について図2〜10を参照して詳細に説明する。
[第一実施形態]本発明の配線構造の製造方法の第一実施形態は、配線部上に埋め込みと研磨によって単層の上層配線を形成する、いわゆるシングルダマシン(SingleDamascene)と呼ばれる手法の場合についての実施の形態である。以下、その実施形態について図2を参照して詳細に説明する。半導体素子が形成された基板上201に、CVD法によりシリコン酸化物を含む第一層間絶縁膜202を形成する。この第一層間絶縁膜202にWプラグ203を形成し(図2a)、これらの上に、スピンコーティング法により配線層間膜となる第二層間絶縁膜204を、回転数と溶液の粘度を調節して塗布膜厚を制御しながら形成する(図2b)。第二層間絶縁膜204は対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下の材料を含むものである。このような材料の例として、クラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物が挙げられる。
【0026】第二層間絶縁膜204を塗布後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA/PGME)を用いてエッジ・バックリンスを行う。続いて、溶媒を蒸発させるため、40℃〜150℃の範囲で加熱処理を行う。この条件より高温では感光性が消失し、低温では下地との密着性が不十分となる場合がある。次に、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面に保護膜205をコーティングする(図2c)。保護膜205を使用しない場合には、大気放置時間が長いと、パターン形成が不可能な場合がある。なお、保護膜205は、現像と同時あるいは前後に除去することが必要である。
【0027】次に、電子線リソグラフィーによるパターニングを行い(図2d)、その後、所望の現像特性を得るために加湿と加熱同時処理を行う。この時の条件は、膜厚や溶剤、露光量などにもよるが、湿度が25〜100%、かつ温度が室温〜80℃であることが好ましく、特に45〜95%、かつ30〜80℃であることが好ましい。加湿と加熱とを同時に行わないと、微細な配線、特に0.6μmピッチ以下の微細配線パターンにおいて膜剥がれが生じる場合がある。次に、露光部を、アルカリ水溶性の現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を現像液として用い、図2eに示すように第二層間絶縁膜204に配線溝を形成する。次に、ウェハの全面に紫外線照射を4分程度行い、感光特性を消失させた後、再び加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度が25%以上、かつ温度が室温〜80℃であることが好ましい。この加湿加熱同時処理によって、未露光部におけるSi−N結合を消失させることが可能となり、層間絶縁膜の耐熱性を高く、かつ比誘電率を低くすることができる。
【0028】これを図8および図9により説明する。図8は、最終的に得られた膜に温度を加えたときの、脱離ガススペクトルを示す。湿度80%/温度50℃および湿度60%/温度70℃で加湿加熱処理を行った場合にはガス量が少ないのに対し、湿度60%/温度90℃で加湿加熱処理を行った場合には、ガス量が非常に多い。図9は比誘電率と400℃までの総脱ガス量(温度50℃/湿度80%を1とした相対量)とをプロットしたグラフである。このように、脱ガス量が多いと、比誘電率は高くなる。硬化処理として300〜400℃の温度で30分加熱する。好ましくは、後に行う銅アニール処理と同一条件である400℃、30分加熱する。この時、ウェハ全面への紫外線照射を行わないと、加熱処理後に得られる膜の耐熱性が劣化する場合がある。このことを図10の脱離ガススペクトルを用いて説明する。紫外線照射処理を行った場合には、脱離ガスが発生しないが、紫外線照射処理を行わない場合には300℃付近で多量の脱離ガスが発生する。従って、膜の耐熱性を向上させるためには紫外線照射処理が非常に有効であることがわかる。これら一連の手法によって、450℃以上の耐熱性を有する低誘電率層間絶縁膜を得ることができる。また、下地のWプラグ203と作製した溝パターンにミスアライメントが生じた場合には、シラノール化反応とその溶解特性を利用し、パターンの再生を行うことが可能である。ウェハの全面に紫外線照射を1分〜4分程度行った後、アルカリ水溶液、例えば、TMAHなどに溶解させて、ミスアライメントパターンを除去することにより、再び対電子線感光性を有する層間絶縁膜204を形成することが可能である。
【0029】次に、この全表面に、図2fに示すように導電性バリア膜206を成膜した後、スパッタ法により銅シード膜を形成し、これを電極として電解メッキ法により銅膜207を形成する。この時、導電性バリア膜206は銅の拡散を阻止できる、例えばチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物またはケイ化物もしくはそれらをを含有したものが良く、好ましくはタンタル/窒化タンタルを含有したものが良い。この導電性バリア膜106の成膜厚さは5〜40nmであることが好ましい。また、銅シード膜の厚さは50〜200nmであることが好ましい。その後、200℃〜400℃の温度範囲で、10〜30分の銅膜の結晶化アニールを行う。特に400℃、30分程度の加熱が最適であるが、これは銅の結晶性が促進されるためである。ここで、NH3などの窒素を含むガス中でプラズマ照射することで、溝側壁部を窒化し、Cuの拡散耐性を向上させることも可能である。
【0030】続いて、図2gに示すようにCMP法によって、配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜207と第二層間絶縁膜204と導電性バリア膜206とを除去して、銅配線208を形成する。次に、図2hに示すように、CMP法によって形成された平面の上に炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)およびそれらの混合物(SiCN)などからなる絶縁性バリア膜209を形成する。この時、絶縁性バリア膜209の厚さは5〜50nmであることが好ましく、特に好ましくは10nm程度が良い。薄すぎると銅の拡散バリア性が不十分となり、厚すぎると配線間容量が増大したり、ビアホール開口時におけるエッチングに負荷がかかる場合がある。また、これら絶縁性のバリア膜の成膜直前にNH3やHeなどを含むガス中のプラズマ照射によってCuおよび絶縁膜の表面処理を行うことで、配線の信頼性を向上させることも可能である。一方、絶縁性のバリア膜を用いない場合には、Cu上に選択的に高融点の金属、たとえばCu合金(シリコン、タンタル、タングステン、などとの合金)やそれらの化合物などを成長させ、Cuの拡散を防ぐことが必要である。
【0031】[第二実施形態]本発明の配線構造の製造方法の第二の実施形態は、上層の配線層および下層と接続するビアホール層を形成した後両者に配線材を埋め込んで研磨を行う、いわゆるデュアルダマシン(Dual Damascene)法の実施の形態であり、ポリシラザン組成物を層間絶縁膜として用いる第一実施形態と同様の手法をデュアルダマシンに適用したものである。以下、その実施形態について図3を参照して詳細に説明する。ポリシラザンの加熱条件や加湿条件、その目的および効果は、基本的には第一実施形態に示すものと同一である。図3aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板301の上に第一層間絶縁膜302とWプラグ303とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜304と、銅および導電性Ta/TaN積層バリア膜からなる配線材305とが形成されている。さらに、その上にSiC、SiN、SiCNからなるバリア絶縁膜膜306が形成されている。
【0032】なお、図3aの下層配線構造においては、上記の材料に限定されるものではなく、層間絶縁膜302および304はSiO2 、ハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)、メチルシルセキオサン(MSQ)および芳香族を含む有機ポリマー、例えばジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテン(BCB)などでもよい。また、配線材305は銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト、タングステン、シリコン、チタン、タンタルおよびそれらの化合物などでもよい。
【0033】図3aに示した下層配線構造の上に、図3bに示すように、第三層間絶縁膜307を形成する。この第三層間絶縁膜307は、対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下の、例えばクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザンを含むものが用いられる。この時、第三層間絶縁膜307は、回転する基板に溶液を塗布するスピンコーティング法などにより形成される。塗布後、PGMEA/PGMEなどを用いて行う。続いて、溶媒を蒸発させるため、40〜150℃の範囲で加熱処理を行う。次に、図3cに示すように、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面に保護膜308をコーティングする。この保護膜308は、現像と同時、あるいは前後に除去することが必要である。
【0034】次に、図3dに示すように電子線リソグラフィによるパターニングを行い、その後、所望の現像特性を得るために加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度は25%以上、かつ温度は室温〜80℃であることが好ましい。特に45〜95%、かつ30〜80℃であることが好ましい。この条件では0.2μmピッチ以下の微細配線パターンの剥がれは観察されない。また、形状も良好である。次に露光部を現像し、図3eに示すように感光性層間絶縁膜にビアパターン309を形成する。この時現像液はアルカリ水溶性の現像液であるTMAHなどを用いる。次に、ウェハの全面に紫外線照射を1分〜5分程度行い、感光特性を消失させた後、再び加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度が25%以上、かつ温度が室温〜80℃の範囲であることが好ましい。その後、硬化処理として300〜400℃の温度で30分加熱して、第三層間絶縁膜310を形成する。
【0035】なお、配線材305と作製したビアホール309にミスアライメントが生じた場合には、ウェハの全面に紫外線照射を1分〜4分程度行い、加湿加熱同時処理を行った後、現像に用いたものと同一のアルカリ水溶液、例えば、TMAHなどに溶解させて、ミスアライメントパターンを除去することにより、再び対電子線感光性を有する層間絶縁膜307を形成することが可能である。
【0036】次に、図3fに示すように、この感光性が消失して形成されたビアパターン309およびその上に、スピンコーティング法などによって感光性を有する第四層間絶縁膜311を形成し、その後、エッジ・バックリンスを行う。次に、前述の温度範囲にて加熱処理を行い、電子線リソグラフィーによる配線溝パターニングを行う。この時、ビアパターン309はすでに感光特性を消失しているため、露光処理による影響は全く受けない。その後、ビアホールパターンと同様にウェハの全面に紫外線処理を1〜5分程度行い、引き続いて、加湿加熱処理を行う。この時の条件は湿度が25%以上、かつ温度が室温〜80℃の範囲であることが好ましい。続いて、硬化処理として300〜400℃の温度で30分加熱する。次に、露光部を現像し、図3gに示すように第三層間絶縁膜上に配線溝パターン形成する。この時現像液はアルカリ水溶性の現像液であるTMAHなどを用いるが、ビアパターン309が形成されている第三層間絶縁膜310はすでに硬化処理を行っているため、現像処理による影響は全く受けない。次に、図3hに示すように、反応性イオンエッチング法、あるいはスパッタリング法などにより、ビアホール底面になっているバリア膜306を除去する。この時のエッチングガスは第四層間絶縁膜311に対して選択比の高い条件が望ましく、例えばCHF3/Ar系ガスやCF4/Ar系ガスが挙げられる。
【0037】次に、エッチングにより形成された表面に、図3iに示すように導電性バリア膜312を形成する。その後、スパッタ法による銅シード膜を形成し、これを電極として電解メッキ法により銅膜313を形成する。この時、導電性バリア膜312は銅の拡散を阻止できる材料、例えばチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物またはケイ化物若しくはそれらを含有したものが好ましい。また導電性バリア膜312の成膜厚さは5〜40nmであることが好ましい。続いて、図3jに示すようにCMP法によって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜313と第四層間絶縁膜310と導電性バリア膜312とを除去して、銅配線を形成する。そして、図3kに示すように、CMP法により形成された平面の上にSiC、SiN、SiCNなどからなる絶縁性バリア膜314を形成する。この絶縁性バリア膜314の厚さは5〜50nmであることが好ましい。
【0038】[第三実施形態]第三実施形態は、感光性層間絶縁膜に、従来のフォトレジスト工程とエッチング工程とを組み合わせた配線構造の製造方法である。以下、その実施形態について図4を参照して詳細に説明する。ポリシラザンの加熱条件や加湿条件、その目的および効果は、基本的には第一実施形態および第二実施形態に示すものと同一である。図4aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板401の上に第一層間絶縁膜402とWプラグ403とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜404と、銅および導電性Ta/TaN積層バリア膜からなる配線材405とが形成されている。さらに、その上にSiCNからなるバリア膜406が形成されている。なお、図4aの下層配線構造においては、上記の材料に限定されるものではなく、層間絶縁膜402および404はSiO2 、HSQ、MSQおよび芳香族を含む有機ポリマーなどでもよい。また、配線材405は銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト、タングステン、シリコン、チタン、タンタルおよびそれらの化合物などでもよい。また、バリア膜406はSiC,SiNなどでもよい。
【0039】次に、図4aの下層配線構造の上に、図4bに示すように、第三層間絶縁膜407を形成する。この第三層間絶縁膜407は対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下の、例えばクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザンを含むものである。この時、第三層間絶縁膜407は、回転する基板に溶液を塗布するスピンコーティング法などにより形成する。塗布後、エッジ・バックリンスを、PGMEA/PGMEなどを用いて行う。次に、溶媒を蒸発させるため、40℃〜150℃の範囲で加熱処理を行う。この時、高温の処理では感光性が消失し、逆に低温の処理では下地との密着性が不十分となる。次に、図4cに示すように、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面に保護膜408をコーティングする。この保護膜408は、現像時に除去することが必要である。
【0040】次に、図4dに示すように、電子線リソグラフィによるパターニングを行う。その後、所望の現像特性を得るために加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度は、25〜100%、かつ温度は室温〜80℃であることが好ましい。特に80%、40℃の条件が好ましく、この条件では、0.2μmピッチ以下の微細配線パターンの剥がれは観察されない。次に、露光部を現像し、図4eに示すように、第三層間絶縁膜407にビアホールパターン409を形成する。この時、現像液はアルカリ水溶性の現像液であるTMAHなどを用いる。次に、ウェハの全面に紫外線照射を1〜5分程度行い、感光材料の感光特性を消失させた後、再び加湿加熱処理を行う。この時の条件は、湿度が25〜100%、かつ温度が室温〜80℃の範囲で行うことが好ましい。続いて、硬化処理として300℃〜400℃の温度で30分加熱する。
【0041】なお、配線材405と作製したビアホール409にミスアライメントが生じた場合には、ウェハの全面に紫外線照射を1〜4分程度行った後、加湿加熱同時処理を行い、現像に用いたものと同一のアルカリ水溶液、例えば、TMAHなどに溶解させることで、容易にミスアライメントパターンを除去し、再び対電子線感光性を有する第三層間絶縁膜407を形成することが可能である。
【0042】次に、第三層間絶縁膜407の上に、フォトレジストを塗布する。そして、配線溝パターンを露光現像し、所望の配線溝パターンを有するフォトレジストパターン410を形成する(図4f)。次に、そのフォトレジストパターン410をマスクとして第三層間絶縁膜407とフォトレジストを同時にエッチングし、第三層間絶縁膜に溝パターンを形成する(図4g)。次に、図4hに示すように、ビアホールの底面になっているバリア膜406を反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法などにより除去する。この時のエッチングガスは感光性層間絶縁膜に対して選択比の高いものが好ましい。なお、感光性を有する第三層間絶縁膜407をフォトレジストとして使用し、同様の手法によってエッチングを行うことも可能である。
【0043】次に、エッチングまたはスパッタリングにより形成された表面に導電性バリア膜411を形成した後、スパッタリング法による銅シード膜を形成し、これを電極として電解メッキ法により銅膜412を形成する。この時、導電性バリア膜411は銅の拡散を阻止できる材料、例えばチタン、タンタル、タングステンなどの金属およびその窒化物またはケイ化物若しくはそれらを含有したものが好ましい。またバリア膜411の成膜厚さは5〜40nmであることが好ましい。続いて、図4iに示すようにCMP法によって配線溝およびビアホール以外の余剰な銅膜412と第三層間絶縁膜407と導電性バリア膜411とを除去して、銅配線を形成する。そして、図4jに示すように、CMP法により形成された平面の上に、SiC、SiN、SiCNなどからなる絶縁性バリア膜413を形成する。この絶縁性バリア膜413の厚さは5〜50nmであることが好ましい。
【0044】第三実施形態では、第二実施形態にはなかった、フォトレジスト工程および溝エッチング工程が追加される。しかしながら、あらかじめ形成されたビアパターンに重なって配線溝パターンを形成するため、露光の際にミスアライメントが生じても、配線の信頼性を確保できる構造となる。
【0045】なお、上記実施形態では、銅の成膜方法としてメッキ法を用いたが、これに限定するものではなく、例えばMOCVD法やスピンコーティング法などによる銅成膜も可能である。また、感光性層間絶縁膜を使用する範囲はWプラグの上、銅配線の上に限定するものではなく、いわゆるコンタクトホールの層間膜として適用することも可能である。
【0046】上述した第一〜第三実施形態の配線構造の製造方法にあっては、半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に、その上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程とを有するので、工程数を少なくすることができる。また、微細な配線パターンを形成できる。また、前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、絶縁膜を加熱する工程を有するので、絶縁膜の下地への密着性がよくなる。また、層間絶縁膜を形成する工程と層間絶縁膜を露光する工程との間に、層間絶縁膜の上に保護膜を塗布し、層間絶縁膜を露光する工程の後に、保護膜を除去するので、リソグラフィ時の大気安定性を高くすることができる。また、層間絶縁膜を露光する工程と層間絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を加湿および加熱処理するので、露光部の溶解性を高め、良好なパターンを得ることができる。また、層間絶縁膜を現像した後に、層間絶縁膜に紫外線照射し、加湿および加熱処理を行い、加熱する工程を有しているので、層間絶縁膜の耐熱性を高め、さらに比誘電率を低くすることができる。また、配線溝を形成後に、溝底のバリア絶縁膜を選択的に除去するので、Cuを配線材とした多層配線を形成することができる。
【0047】
【実施例】[実施例1]この実施例は、下層の配線部上に埋め込みと研磨によって単層の上層配線を形成する、いわゆるシングルダマシン(Single Damascene)法に関する例である。以下、この実施例について図5を参照して詳細に説明する。図5aに示すように、半導体素子が形成された基板上501に第一層間絶縁膜502を形成した。この第一層間絶縁膜にWプラグ503を形成し、その後、これらの上に、スピンコーティング法により配線層間膜となる第二層間絶縁膜504を厚さ0.3μm形成した(図5b)。この第二層間絶縁膜504は、対電子線感光性を有し、かつ比誘電率が3.0以下であるクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物である。その後、エッジ・バックリンスを、PGMEA/PGMEを用いて行い、続いて、感光性特性を維持し、良好な密着性を確保するため、80℃での加熱を1分間行なって、溶媒を蒸発させた。次に、大気安定性を確保するために、露光前に感光性材料の表面にフッ素樹脂を主成分とした保護膜を0.1μmコーティングした(図5c)。次に、電子線を用いたパターニングを行い、その後、湿度80%、温度40℃での加湿加熱同時処理を1分間行った(図5d)。
【0048】次に、露光部をTMAHを用いて現像し、続いて、ウェハの全面に紫外線照射を4分行い、感光特性を消失させた。その後、湿度80%、温度60℃で加湿加熱処理を行い、硬化処理を400℃の温度で20分間加熱することにより行い、配線溝パターンを得た(図5e)。この時、硬化処理における膜厚の減少は膜厚方向のみであり、その減少割合は10%以下であった。次に、形成された配線溝パターン表面に、図5fに示すように、TaN/Taを積層した導線性バリア膜506を40nm形成した後、スパッタ法による銅シード膜を100nm形成した。これを電極として電解メッキ法により銅膜を500nm形成し、計700nmの銅膜507を形成した。
【0049】次に、20分の銅膜507の結晶化アニールを行った後、CMP法によって配線溝以外の余剰な銅と第二層間絶縁膜504と導電性バリア膜506とを除去して、銅配線508を形成した(図5g)。なお、CMP法はシリカを主成分とする研磨剤に過酸化水素を混合した研磨溶液(スラリー)を用いて行った。この時、第二層間絶縁膜504とバリア膜506との界面および第二層間絶縁膜504と第一層間絶縁膜502との界面のいずれにおいても剥がれなどは起こらなかった。次に、図5hに示すように、CMP法により形成された平面の上にSiCNからなる絶縁性バリア膜509を25nm形成した。
【0050】このような工程により形成された配線構造は、間隔0.20μmで隣接する10mm長の配線対を形成し、400℃で10時間アニールしても配線間リーク電流が10-9A/cm2 程度の十分な絶縁耐性を有していた。また、層間絶縁膜の誘電率が下がり、配線間容量もシリコン酸化膜を層間絶縁膜とした場合と比較して約30%低減した。
【0051】[実施例2]この実施例は、上層の配線層および下層と接続するビアホール層を形成した後両者に配線材を埋め込んで研磨を行う、デュアルダマシン(Dual Damascene)法に関する例である。以下、その実施例について図6を参照して詳細に説明する。図6aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板601の上に第一層間絶縁膜602とWプラグ603とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜604と、銅および導電性Ta/TaN積層バリア膜からなる配線材605とが形成されている。さらに、その上にSiCN膜606が厚さ25nm形成されている。
【0052】次に、図6bに示すように、対電子線感光性を有しかつ比誘電率が2.7のクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物からなる第三層間絶縁膜607をスピンコーティング法により0.7μm形成した。その後、エッジ・バックリンスをPGMEA/PGMEを用いて行った。続いて、感光性特性を維持し、良好な密着性を有するために、40℃での加熱を1分間行い、溶媒を蒸発させた。次に、大気安定性を確保するために、露光前に第三層間絶縁膜607の表面にフッ素樹脂を主成分とした保護膜608を0.1μmコーティングした(図6c)。
【0053】次に、電子線を用いたビアパターニングを行い、その後、湿度80%、温度40℃での加湿加熱同時処理を3分間行った(図6d)。次に、露光部をTMAHを用いて現像した後、ウェハの全面に紫外線照射を4分間行い、感光材料の感光特性を消失させた。その後、湿度80%、温度60℃で加湿加熱処理を行い、続いて400℃の温度で30分加熱して硬化処理を行った(図6e)。次に、ビアパターン609内およびビアパターン609が形成された第三層間絶縁膜607の上に、スピンコーティング法によって再び感光性ポリシラザン組成物を塗布し、塗布後にエッジ・バックリンスを行い、ポリシラザン膜610を形成した(図6f)。
【0054】次に、前述の温度範囲で加熱処理を行い、電子線リソグラフィーによる配線溝パターニングを行った。この時、第三層間絶縁膜607はすでに感光特性を消失しているため、露光処理による影響は全く受けなかった。その後、ビアホールパターンと同様にして加湿加熱処理を湿度80%、温度60℃の条件で行い、続いて硬化処理として300〜400℃で30分加熱した。これにより、ポリシラザンは硬化し、第四層間絶縁膜となった。次に、露光部を現像し、図6gに示すように第二層間絶縁膜および配線材上に配線溝およびビアホールを形成した。現像液にはアルカリ水溶性の現像液TMAHを用いたが、ビアパターン609は硬化処理を行っているため、現像処理による影響は全くなかった。
【0055】次に、CHF3 /Ar系のガスを用いて反応性イオンエッチング法により、ビアホール底面になっていたSiCN膜606を除去した(図6h)。次に、図6iに示すように、TaN/Taを積層した導電性バリア膜612を40nm形成した後、スパッタ法により銅シード膜を100nm形成し、これを電極として電解メッキ法により銅を堆積して銅膜613を700nm形成した。その後、400℃、20分間、銅膜613の結晶化アニールを行った後、CMP法によって配線溝以外の余剰な銅と第四層間絶縁膜611の一部と導電性バリア膜612の一部とを除去した(図6j)。CMP法はシリカを主成分とする研磨剤に過酸化水素を混合した研磨溶液(スラリー)を用いて行った。CMPの際、第四層間絶縁膜611と導電性バリア膜612との界面、および第一層間絶縁膜602と第二層間絶縁膜604との界面のいずれにおいても剥がれ等は起きなかった。次に、図6kに示すように、CMPによって形成された平面の上に、SiCNからなる絶縁性バリア膜614を25nm形成した。
【0056】このような工程により形成された配線構造は、間隔0.20μmで隣接する10mm長の配線対を形成し、400℃で10時間アニールしても配線間リーク電流が10-9A/cm2 程度の十分な絶縁耐性を有していた。また、配線材の埋め込みについてビア部と配線部を同時に行ったため、工程数を減少させることができた。
【0057】[実施例3]この実施例ではビアホール部と上層配線部の感光性層間絶縁膜を堆積し、電子線リソグラフィーによってビアパターンを形成した後、フォトレジストとエッチングを用いて配線溝パターンを形成する例である。以下、その実施例について図7を参照して詳細に説明する。図7aはデュアルダマシン法の下層配線構造を示す図である。この構造は、半導体素子が形成された基板701の上に第一層間絶縁膜702とWプラグ703とが形成されており、これらの上に対電子線感光特性を有する層間絶縁膜から形成されている第二層間絶縁膜704と、銅およびTa/TaNが積層した導電性バリア膜からなる配線材705とが形成されている。さらに、その上にSiCN膜706が厚さ25nm形成されている。
【0058】図7bに示すように、対電子線感光性を有しかつ比誘電率が2.7のクラリアントジャパン株式会社製のポリシラザン組成物をスピンコーティング法により1.0μm塗布し、第三層間絶縁膜707を形成した。塗布後、エッジ・バックリンスをPGMEA/PGMEを用いて行った。続いて、感光性特性を維持し、良好な密着性を持たせるために、40℃での加熱を1分間行い、溶媒を蒸発させた。次に、大気安定性を確保するために、露光前に第三層間絶縁膜707の表面にフッ素樹脂を主成分とした保護膜708を0.1μmコーティングした(図7c)。次に、電子線を用いたビアパターニングを行った後、湿度80%、温度60℃での加湿加熱同時処理を3分間行った(図7d)。
【0059】次に、露光部をTMAHを用いて現像し、次にウェハの全面に紫外線照射を4分間行い、感光材料の感光特性を消失させた。その後、湿度80%、温度60℃で加湿加熱処理を行い、硬化処理を400℃の温度で30分加熱することにより行い、第三層間絶縁膜711を硬化させた(図7e)。次に、形成されたビアパターン709上に、フォトレジストを塗布し、配線溝パターンを露光現像し、所望の配線溝パターンを有するフォトレジストパターン710を形成した。次に、そのフォトレジストパターン710をマスクとして、第三層間絶縁膜711を同時にエッチングして、第三層間絶縁膜711に溝パターンを形成した。
【0060】次に、CHF3 /Ar系のガスを用いて反応性イオンエッチング法により、ビア底のSiCN膜706を除去した(図7g)。次に、図7hに示すように、TaN/Taを積層した導電性バリア膜712を40nm形成した後、スパッタ法により銅シード膜を100nm形成し、これを電極として電解メッキ法により銅を堆積して銅膜713を700nm形成した。その後、400℃、20分間、銅膜713の結晶化アニールを行った後、CMP法によって配線溝以外の余剰な銅と第三層間絶縁膜711の一部と導電性バリア膜712の一部とを除去した(図7i)。CMP法はシリカを主成分とする研磨剤に過酸化水素を混合した研磨溶液(スラリー)を用いて行った。CMPの際、第三層間絶縁膜711とバリア膜712との界面、および第一層間絶縁膜702と第二層間絶縁膜704との界面のいずれにおいても剥がれ等は起きなかった。次に、図7jに示すように、CMPによって形成された平面の上に、SiCNからなる絶縁性バリア膜714を25nm形成した。
【0061】このような工程により形成された配線構造は、間隔0.20μmで隣接する10mm長の配線対を形成し、400℃で10時間アニールしても配線間リーク電流が10-9A/cm2 程度の十分な絶縁耐性を有していた。また、ビアとその上層の配線溝間にミスアライメントが生じた場合にも、良好な配線信頼性を維持した。実施例3では、実施例2にはなかったフォトレジスト工程および溝エッチング工程が追加された。しかしながら、あらかじめ形成されたビアパターンに重なって配線溝パターンを形成したため、露光の際にミスアライメントが生じても、配線の信頼性が向上する構造になった。
【0062】
【発明の効果】本発明の配線構造は、半導体素子が形成された基板上に絶縁膜が多層形成され、絶縁膜に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜の層間にはバリア絶縁膜を有し、前記金属配線剤は銅を含むものである。このため、配線抵抗、配線間容量が低く、微細な配線構造が可能で、信頼性の高いLSIの製造が可能となる。前記絶縁膜がポリシラザンを主成分として含む組成物から形成されたものであることにより、配線構造を形成するための工程数を少なくでき、コストを低くすることができる。前記バリア絶縁膜が、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素を含むことにより、配線に用いた銅の拡散を防止することができる上に、熱安定性も高くすることができる。
【0063】また、本発明の配線構造の製造方法によれば、半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程とを有する方法であるため、配線溝のドライエッチングや、アッシングを用いることなく、微細は配線構造の形成が可能となる。また、配線工程が簡略化されており、コストを低くすることができる。前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、前記絶縁膜を加熱する工程を有することにより、感光特性および密着性を高めることができる。前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、前記絶縁膜の上に保護膜を塗布し、前記絶縁膜を露光する工程の後に、前記保護膜を除去することにより、露光特性を安定化させることができる。
【0064】絶縁膜を露光する工程と絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を加湿および加熱処理する工程を有することにより、露光部の溶解性を高め、微細な配線パターンを所望の寸法にて得ることができる。前記絶縁膜を現像した後に、前記絶縁膜に紫外線照射し、加湿および加熱同時処理し、加熱する工程を有することにより、感光性材料の感光性を消失させ、感光性材料が用いられた絶縁膜を硬化し、耐熱性を高め、低い比誘電率を得ることができる。前記絶縁膜と金属から形成された配線の上にバリア絶縁膜を形成することにより、絶縁膜間の絶縁性が高くなるので、多層構造の半導体装置の信頼性を高めることができる。配線溝の底面またはビアホールの底面になっているバリア膜を、反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法によって除去する工程を有することにより、配線構造の多層化を行うことができる。前記ビアホールと、ビアホールとビアホールが形成された絶縁膜との上に、感光性を有する絶縁膜を新たに形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝の形成とビアホールの再形成とを同時に行う工程とを有することにより、露光の際のミスアライメントが生じても、配線の信頼性を低下させることがない。
【0065】前記ビアホールは、対電子線感光性を有する材料を含む材料から形成された絶縁膜に形成されていることにより、配線構造の製造工程を少なくすることができる。配線溝およびビアホールに金属配線剤を充填して配線を形成する工程と、この配線と絶縁膜とを化学機械研磨する工程と、これにより形成された平面の上に絶縁性バリア膜を形成する工程を有することにより、銅の拡散のない多層配線構造を形成することができる。前記絶縁膜に形成された配線溝またはビアホールが下層配線との間にミスアライメントを有している際には、前記絶縁膜を絶縁膜の現像を行う溶液と同じ溶液で溶解して除去することにより、再び絶縁膜を形成し、この絶縁膜にビアホールパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の配線構造の一例を示す断面図である。
【図2】 本発明における第一実施形態の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】 本発明における第二実施形態の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】 本発明における第三実施形態の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】 本発明における実施例1の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図6】 本発明における実施例2の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】 本発明における実施例3の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】 露光工程後に行う加湿加熱処理工程の条件を変えたときの脱離ガススペクトルを示す図である。
【図9】 400℃でウェハから発生した脱離ガス量と比誘電率とをプロットしたグラフである。
【図10】 対電子線感光性を有する材料から形成された層間絶縁膜に、紫外線照射を行う前と後における脱離ガススペクトルを示す図である。
【図11】 従来例1の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図12】 従来例2の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図13】 従来例3の配線構造の製造方法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
103 層間絶縁膜
104 バリア絶縁膜
105 導電性バリア膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体素子が形成された基板上に絶縁膜が多層形成され、絶縁膜に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜の層間および配線間には対銅バリア膜を有し、前記金属配線剤は銅を含むことを特徴とする配線構造。
【請求項2】 前記絶縁膜がポリシラザンを主成分として含む組成物から形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】 前記対銅バリア絶縁膜が、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素を含むことを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項4】 半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に、その上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程と、を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項5】 請求項4に記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、絶縁膜を加熱する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項6】 請求項4または5に記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を形成する工程と前記絶縁膜を露光する工程との間に、前記絶縁膜の上に保護膜を塗布し、前記絶縁膜を露光する工程の後に、前記保護膜を除去することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項7】 請求項4〜6のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を露光する工程と絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を加湿および加熱処理する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項8】 請求項4〜7のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を現像した後に、前記絶縁膜に紫外線照射し、加湿および加熱処理し、加熱する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項9】 請求項4〜8のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜と金属から形成された配線の上にバリア絶縁膜を形成することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項10】 請求項4〜9のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、配線溝の底面またはビアホールの底面になっているバリア絶縁膜を、反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法によって除去する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項11】 請求項4〜10のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記ビアホールと、ビアホールの上と、ビアホールが形成された絶縁膜との上に感光性を有する絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝の形成とビアホールの再形成とを同時に行う工程とを有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項12】 前記ビアホールが、対電子線感光性を有する材料を含む材料から形成された絶縁膜に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の配線構造の製造方法。
【請求項13】 請求項4〜12のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、配線溝およびビアホールに金属配線剤を充填して配線を形成する工程と、この配線と絶縁膜とを化学機械研磨する工程と、これにより形成された平面の上に絶縁性バリア膜を形成する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項14】 請求項4〜12のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜に形成された配線溝またはビアホールが下層配線との間にミスアライメントを生じた際には、前記絶縁膜を絶縁膜の現像を行う溶液と同じ溶液で溶解して除去することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項1】 半導体素子が形成された基板上に絶縁膜が多層形成され、絶縁膜に形成された配線溝およびビアホールに金属配線剤が充填されて、配線および接続プラグが形成された配線構造において、前記絶縁膜のうち少なくとも一層が対電子線感光性を有する材料から形成されており、絶縁膜の層間および配線間には対銅バリア膜を有し、前記金属配線剤は銅を含むことを特徴とする配線構造。
【請求項2】 前記絶縁膜がポリシラザンを主成分として含む組成物から形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】 前記対銅バリア絶縁膜が、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素を含むことを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項4】 半導体素子の上に下層配線が形成された基板上に、その上に対電子線感光性を有する材料を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して、前記絶縁膜を露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝および/またはビアホールおよび/またはコンタクトホールを形成する工程と、を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項5】 請求項4に記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を形成する工程と露光する工程との間に、絶縁膜を加熱する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項6】 請求項4または5に記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を形成する工程と前記絶縁膜を露光する工程との間に、前記絶縁膜の上に保護膜を塗布し、前記絶縁膜を露光する工程の後に、前記保護膜を除去することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項7】 請求項4〜6のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を露光する工程と絶縁膜を現像する工程との間に、露光した基板を加湿および加熱処理する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項8】 請求項4〜7のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜を現像した後に、前記絶縁膜に紫外線照射し、加湿および加熱処理し、加熱する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項9】 請求項4〜8のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜と金属から形成された配線の上にバリア絶縁膜を形成することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項10】 請求項4〜9のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、配線溝の底面またはビアホールの底面になっているバリア絶縁膜を、反応性イオンエッチング法またはスパッタリング法によって除去する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項11】 請求項4〜10のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記ビアホールと、ビアホールの上と、ビアホールが形成された絶縁膜との上に感光性を有する絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に電子線を照射して露光する工程と、前記絶縁膜を現像して未露光部を除去し、配線溝の形成とビアホールの再形成とを同時に行う工程とを有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項12】 前記ビアホールが、対電子線感光性を有する材料を含む材料から形成された絶縁膜に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の配線構造の製造方法。
【請求項13】 請求項4〜12のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、配線溝およびビアホールに金属配線剤を充填して配線を形成する工程と、この配線と絶縁膜とを化学機械研磨する工程と、これにより形成された平面の上に絶縁性バリア膜を形成する工程を有することを特徴とする配線構造の製造方法。
【請求項14】 請求項4〜12のいずれかに記載の配線構造の製造方法において、前記絶縁膜に形成された配線溝またはビアホールが下層配線との間にミスアライメントを生じた際には、前記絶縁膜を絶縁膜の現像を行う溶液と同じ溶液で溶解して除去することを特徴とする配線構造の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2002−170882(P2002−170882A)
【公開日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−367058(P2000−367058)
【出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(397040605)クラリアント ジャパン 株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(397040605)クラリアント ジャパン 株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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