説明

露光装置及び露光方法、デバイス製造方法、並びに搬送方法

【課題】大型化したウエハの搬送を容易にする。
【解決手段】 露光装置は、XY平面に沿って移動可能であるとともに、互いに接近及び離間が可能な第1部分と第2部分とを含む粗動ステージWCS1と、ウエハWを保持するとともに、粗動ステージWCS1によって少なくともXY平面内で相対移動可能に支持される微動ステージWFS1と、粗動ステージWCS1に支持されている微動ステージWFS1を単独で若しくは粗動ステージWCS1と一体で駆動する駆動系と、を備える。また、露光装置は、粗動ステージWCS1との間で、微動ステージWFS1の受け渡しが可能なリレーステージDRSTを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び露光方法、デバイス製造方法、並びに搬送方法に係り、特に、半導体素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置及び露光方法、該露光装置を用いるデバイス製造方法、並びに前記露光装置における露光対象の物体の搬送に好適な搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置で用いられる、露光対象となるウエハ又はガラスプレート等の基板は、次第に(例えばウエハの場合、10年おきに)大型化している。現在は、直径300mmの300mmウエハが主流となっているが、今や直径450mmの450mmウエハ時代の到来が間近に迫っている。450mmウエハに移行すると、1枚のウエハから採れるダイ(チップ)の数が現行の300mmウエハの2倍以上となり、コスト削減に貢献する。加えて、エネルギ、水、その他のリソースの効率的な利用により、1チップにかかるすべてのリソース使用を減少させられるものと期待されている。
【0004】
一方、ウエハのサイズが450mmにもなると、1枚のウエハから採れるダイ(チップ)の数が多くなる分、1枚のウエハの露光処理に要する時間が増加してスループットが低下するおそれがある。そこで、スループットを極力向上させる方法として、1つのウエハステージ上のウエハに対する露光処理と、別のウエハステージ上でのウエハ交換、アライメントなどの処理とを、並行して行う、ツインステージ方式(例えば特許文献1〜4等参照)の採用が考えられる。
【0005】
しかるに、450mmウエハは、300mmウエハに比較して、大面積でかつ薄いという特性を有する。このため、300mmウエハなどの従来サイズのウエハは勿論、450mmウエハにも好適に適用でき、スループット維持又は向上及び/又はランニングコストの低減に寄与する露光装置に関する技術、特に、ウエハの搬送(交換時の移動を含む)に関する新技術の出現が期待されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,161,659号明細書
【特許文献2】米国特許第6,590,634号明細書
【特許文献3】米国特許第6,208,407号明細書
【特許文献4】米国特許第5,969,441号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、
互いに直交する第1軸と第2軸とを含む二次元平面に沿って移動可能な第1移動体と;前記物体を保持するとともに、前記第1移動体によって少なくとも前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持される保持部材と;その少なくとも一部が、少なくとも前記二次元平面に平行な面内の一方向及び前記二次元平面に直交する第3軸に平行な方向の少なくとも1方向に移動可能で、前記第1移動体との間での前記保持部材の受け渡しに用いられる受け渡し装置と;を備える第1の露光装置が、提供される。
【0008】
これによれば、受け渡し装置は、その少なくとも一部が、少なくとも前記二次元平面に平行な面内の一方向及び前記二次元平面に直交する第3軸に平行な方向の少なくとも1方向に移動可能で、前記第1移動体との間での前記保持部材の受け渡しに用いられることからその一部を用いて、第1移動体との間で、保持部材を、物体を保持したまま、受け渡すことが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光装置で用いられる物体の搬送方法であって、前記物体の露光が行われる露光位置の近傍で移動する第1移動体から該第1移動体とは独立して二次元平面内で移動可能な第2移動体に物体を受け渡すため、第1の空間内で前記物体を保持する保持部材を移動させることと;前記第1の空間の鉛直方向の一側に位置する第2の空間内で前記物体を保持する保持部材を移動させることで、前記第2移動体から前記第1移動体へ前記物体を受け渡すことと;を含む搬送方法が、提供される。
【0010】
これによれば、第1移動体から第2移動体への物体の受け渡しは、第1の空間内で物体を保持する保持部材を移動させることで行われ、第2移動体から第1移動体への物体の受け渡しは、第1の空間の鉛直方向の一側に位置する第2の空間内で物体を保持する保持部材を移動させることで行われる。従って、第1移動体と第2移動体との間の物体の受け渡しを、装置のフットプリントを極力増加させることなく、実現することが可能になる。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、 エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、物体に前記エネルギビームを照射する露光処理が行われる露光ステーションと;前記露光ステーションから第1軸に平行な方向の一側に所定距離離れた位置に配置され、物体に対する計測処理が行われる計測ステーションと;前記第1軸及びこれに直交する第2軸を含む二次元平面内の前記露光ステーションを含む第1の範囲内で移動可能な第1移動体と;前記二次元平面内の前記計測ステーションを含む第2の範囲内で移動可能な第2移動体と;前記物体を保持するとともに、前記第1、第2移動体のそれぞれによって少なくとも前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持される少なくとも2つの保持部材と;前記露光ステーションと前記計測ステーションとの間の位置で、前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受け渡しが可能で、かつ前記第1軸、前記第2軸及び前記二次元平面に直交する第3軸にそれぞれ平行な3方向の内の少なくとも一方向に移動が可能な支持装置と;を備える第2の露光装置が、提供される。
【0012】
これによれば、露光ステーションにおいて露光が行われた物体を保持する保持部材を、第1移動体から支持装置に渡し、その支持装置の第1軸、第2軸及び第3軸にそれぞれ平行な3方向の内の少なくとも一方向の移動により、保持部材を交換位置に搬送することができる。従って、露光済みの物体を保持する保持部材を、交換位置に搬送して、露光済みの物体を新たな物体に交換する交換作業を行うことが可能になる。従って、1つの保持部材上に保持された物体に対する露光動作と少なくとも一部並行して、別の保持部材を交換位置に搬送して、物体交換を行うことが可能になる。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、前記物体の露光処理が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で移動可能な第1移動体と;前記物体の計測処理が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で移動可能な第2移動体と;それぞれ物体を保持するとともに、前記第1、第2移動体のそれぞれによって移動可能に支持される少なくとも2つの保持部材と;前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受渡しが行われる可動の支持装置と;前記第1、第2移動体の一方に支持される保持部材を前記支持装置に移動するとともに、前記第1、第2移動体を接近させて前記第1、第2移動体の他方に支持される保持部材を前記一方の移動体に移動する制御装置と;を備える第3の露光装置が、提供される。
ここで、「接近」とは、接触又は近接にまでは至らない状態、及び接触又は近接の前の状態を意味する。
これによれば、制御装置により、第1、第2移動体の一方に支持される物体を保持する保持部材が可動の支持装置に移動されるとともに、第1、第2移動体が接近させられて第1、第2移動体の他方に支持される物体を保持する保持部材が一方の移動体に移動される。このため、第1、第2移動体の一方から他方に、保持部材を、物体を保持したまま受け渡すことが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1〜第3の露光装置のいずれかにより物体を露光することと;露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第6の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光方法であって、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面内で移動可能な第1移動体に保持された保持部材上の物体に対し、露光ステーションにおいて、前記エネルギビームが照射される露光処理が行われることと;露光ステーションから第1軸に平行な方向の一側に所定距離離れた位置に配置された計測ステーションにおいて、前記二次元平面内で移動可能な第2移動体に保持された保持部材上の物体に対し、計測処理が行われることと;前記露光ステーションと前記計測ステーションとの間に設置された支持部材と、前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受け渡しが行われることと;前記物体の交換のため、前記支持部材の近傍と所定の交換位置との間で、前記保持部材が搬送されることと;を含む第1の露光方法が、提供される。
【0016】
これによれば、露光ステーションにおいて露光が行われた物体を保持する保持部材が、第1移動体から直接、あるいは、第2移動体を経由して、支持部材に渡される。そして、支持部材に渡された保持部材が交換位置に搬送される。いずれにしても、露光済みの物体を保持する保持部材を、交換位置に搬送して、露光済みの物体を新たな物体に交換する交換作業を行うことが可能になる。従って、1つの保持部材上に保持された物体に対する露光動作と少なくとも一部並行して、別の保持部材を交換位置に搬送して、物体交換を行うことが可能になる。
【0017】
本発明の第7の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光方法であって、物体に前記エネルギビームを照射する露光処理が行われる露光ステーションを含む、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面内の第1の範囲内で移動可能な第1移動体と、露光ステーションから第1軸に平行な方向の一側に所定距離離れた位置に配置され、物体に対する計測処理が行われる計測ステーションを含む、前記二次元平面内の第2の範囲内で移動可能な第2移動体と、によって少なくとも前記物体を保持する保持部材が、前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持されることと;前記第2軸に平行な方向に関して前記露光ステーションと前記計測ステーションとの間の位置で、少なくとも前記2次元平面内での移動が可能な支持装置と、前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受け渡しが行われることと;を含む第2の露光方法が、提供される。
【0018】
これによれば、露光ステーションにおいて露光が行われた物体を保持する保持部材が、第1移動体から支持装置に渡される。そして、支持装置の2次元平面内での移動により、保持部材が交換位置に搬送される。露光済みの物体を保持する保持部材を、交換位置に搬送して、露光済みの物体を新たな物体に交換する交換作業を行うことが可能になる。従って、1つの保持部材上に保持された物体に対する露光動作と少なくとも一部並行して、別の保持部材を交換位置に搬送して、物体交換を行うことが可能になる。
【0019】
本発明の第8の態様によれば、エネルギビームにより物体を露光する露光方法であって、前記物体の露光処理が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で露光対象の物体を保持する保持部材を移動可能に支持する第1移動体を移動させることと;前記物体の計測処理が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で計測対象の物体を保持する保持部材を移動可能に支持する第2移動体を移動させることと;前記第1、第2移動体の一方に支持される保持部材を可動の支持装置に移載するとともに、前記第1、第2移動体を接近させて前記第1、第2移動体の他方に支持される保持部材を前記一方の移動体に移載することと;を含む第3の露光方法が、提供される。
【0020】
ここで、「接近」とは、接触又は近接にまでは至らない状態、及び接触又は近接の前の状態を意味する。
【0021】
これによれば、第1、第2移動体の一方に支持される、物体を保持する保持部材が可動の支持装置に移載されるとともに、第1、第2移動体が接近して第1、第2移動体の他方に支持される、物体を保持する保持部材が一方の移動体に移載される。このため、第1、第2移動体の一方から他方に、保持部材を、物体を保持したまま受け渡すことが可能となる。
【0022】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第1〜第3の露光方法のいずれかにより物体を露光することと;露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)は、図1の露光装置が備えるウエハステージを示す−Y方向から見た側面図、図2(B)は、ウエハステージを示す平面図である。
【図3】図1の露光装置が備えるアライメント系と投影ユニットPUとの配置を、ウエハステージとともに示す平面図である。
【図4】図1の露光装置が備える可動ブレードについて説明するための図である。
【図5】粗動ステージの分離構造について説明するための図である。
【図6】微動ステージ駆動系を構成する磁石ユニット及びコイルユニットの配置を示す平面図である。
【図7】図7(A)は、微動ステージ駆動系を構成する磁石ユニット及びコイルユニットの配置を示す−Y方向から見た側面図、図7(B)は、微動ステージ駆動系を構成する磁石ユニット及びコイルユニットの配置を示す+X方向から見た側面図である。
【図8】図8(A)は、微動ステージをY軸方向に駆動する際の駆動原理を説明するための図、図8(B)は、微動ステージをZ軸方向に駆動する際の駆動原理を説明するための図、図8(C)は、微動ステージをX軸方向に駆動する際の駆動原理を説明するための図である。
【図9】図9(A)は、微動ステージを粗動ステージに対してZ軸回りに回転させる際の動作を説明するための図、図9(B)は、微動ステージを粗動ステージに対してY軸回りに回転させる際の動作を説明するための図、図9(C)は、微動ステージを粗動ステージに対してX軸回りに回転させる際の動作を説明するための図である。
【図10】微動ステージの中央部を+Z方向に撓ませる際の動作を説明するための図である。
【図11】アライメント装置を示す斜視図である。
【図12】図12(A)は、Xヘッド77xの概略構成を示す図、図12(B)は、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム内での配置を説明するための図である。
【図13】図13(A)は、計測アームの先端部を示す斜視図、図13(B)は、計測アームの先端部の上面を+Z方向から見た平面図である。
【図14】第1の実施形態の露光装置(図1の露光装置)が備える主制御装置の入出力関係を説明するためのブロック図である。
【図15】図15(A)は、スキャン露光時のウエハの駆動方法を説明するための図、図15(B)は、ステッピング時のウエハの駆動方法を説明するための図である。
【図16】図16(A)〜図16(D)は、第1の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その1)である。
【図17】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その1)である。
【図18】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その2)である。
【図19】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その3)である。
【図20】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その4)である。
【図21】図21(A)〜図21(F)は、第1の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その2)である。
【図22】第2の実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図23】図22の露光装置を一部省略して示す平面図である。
【図24】図22のセンターテーブル近傍を拡大して示す図である。
【図25】図25(A)は、図22の露光装置が備えるウエハステージを示す−Y方向から見た側面図、図25(B)は、ウエハステージを示す平面図である。
【図26】図26(A)は、図22の露光装置が備える粗動ステージを取り出して示す平面図、図26(B)は、粗動ステージが2部分に分離した状態を示す平面図である。
【図27】図22の露光装置が備える粗動ステージが分離した状態を示すウエハステージの正面図である。
【図28】第2の実施形態の露光装置(図22の露光装置)が備える主制御装置の入出力関係を説明するためのブロック図である。
【図29】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1、第2の並行処理について説明するための図(その1)である。
【図30】第2の実施形態の露光装置において、露光が終了した直後の状態であって、微動ステージと可動ブレードとの間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しが開始されるときの状態を説明するための図である。
【図31】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージと可動ブレードとの間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しが終了したときの状態を説明するための図である。
【図32】図32(A)〜図32(D)は、第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その2)である。
【図33】図32(B)の状態に対応する平面図である。
【図34】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その3)である。
【図35】図35(A)及び図35(B)は、第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その4)である。
【図36】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その5)である。
【図37】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その6)である。
【図38】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その7)である。
【図39】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その8)である。
【図40】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その9)である。
【図41】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その2)である。
【図42】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その3)である。
【図43】図43(A)〜図43(D)は、第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その4)である。
【図44】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その5)である。
【図45】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その6)である。
【図46】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その7)である。
【図47】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その8)である。
【図48】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その9)である。
【図49】第2の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その10)である。
【図50】図50(A)及び図50(B)は、粗動ステージの変形例を示す図である。
【図51】第3の実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図52】図51の露光装置を一部省略して示す平面図である。
【図53】図53(A)は、図51の露光装置が備えるウエハステージを示す−Y方向から見た側面図、図53(B)は、ウエハステージを示す平面図である。
【図54】図54(A)は、二点鎖線で表示される微動ステージとともに、搬送ステージを示す平面図、図54(B)は、二点鎖線で表示される微動ステージとともに、搬送ステージを示す+Y方向から見た側面図である。
【図55】第3の実施形態の露光装置(図51の露光装置)が備える主制御装置の入出力関係を説明するためのブロック図である。
【図56】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その1)である。
【図57】第3の実施形態の露光装置において、露光が終了した直後の状態であって、微動ステージと可動ブレードとの間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しが開始されるときの状態を説明するための図である。
【図58】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージと可動ブレードとの間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しが終了したときの状態を説明するための図である。
【図59】図59(A)〜図59(D)は、第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その2)である。
【図60】図59(C)の状態に対応する露光装置の平面図である。
【図61】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その3)である。
【図62】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その4)である。
【図63】図59(D)の状態に対応する露光装置の平面図である。
【図64】図64(A)及び図64(B)は、第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その5)である。
【図65】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その6)である。
【図66】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その7)である。
【図67】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その8)である。
【図68】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その9)である。
【図69】第3の実施形態の露光装置において、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その10)である。
【図70】図70(A)は、二点鎖線で表示される微動ステージとともに、第4の実施形態に係る露光装置が備える搬送ステージを示す平面図、図70(B)は、二点鎖線で表示される微動ステージとともに、第4の実施形態に係る搬送ステージを示す+Y方向から見た側面図である。
【図71】第4の実施形態の露光装置が備える主制御装置の入出力関係を説明するためのブロック図である。
【図72】図72(A)〜図72(D)には、第4の実施形態に係る露光装置の主要な動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図21(F)に基づいて説明する。
【0025】
図1には、第1の実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。後で説明する第2の実施形態以下の各実施形態においても同様である。
【0026】
露光装置100は、図1に示されるように、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された露光ステーション200(露光処理部)、ベース盤12上の+Y側端部近傍に配置された計測ステーション(計測処理部)300、2つのウエハステージWST1,WST2、リレーステージDRST、及びこれらの制御系等を、備えている。ここで、ベース盤12は、床面上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の外形を有する部材から成り、その上面は平坦度が非常に高く仕上げられ、上述の3つのステージWST1,WST2,DRSTの移動の際のガイド面とされている。なお、図1において、露光ステーション200には、ウエハステージWST1が位置しており、ウエハステージWST1(より詳細にはウエハ微動ステージ(以下、微動ステージと略記する)WFS1)上にウエハWが保持されている。また、計測ステーション300には、ウエハステージWST2が位置しており、ウエハステージWST2(より詳細には微動ステージWFS2)上に別のウエハWが保持されている。
【0027】
露光ステーション200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
【0028】
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0029】
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図14参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
【0030】
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図14参照)に送られる。なお、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書などに開示されているように、エンコーダシステムによってレチクルステージRSTの位置情報を計測しても良い。
【0031】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレーム(メトロロジーフレームとも呼ばれる)BDによってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上で前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルRを保持するレチクルステージRSTとウエハWを保持する微動ステージWFS1(又は微動ステージWFS2)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。本実施形態では、メインフレームBDが、それぞれ防振機構を介して設置面(床面など)に配置される複数(例えば3つ又は4つ)の支持部材によってほぼ水平に支持されている。なお、その防振機構は各支持部材とメインフレームBDとの間に配置しても良い。また、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される不図示のメインフレーム部材、あるいはレチクルベースなどに対してメインフレームBD(投影ユニットPU)を吊り下げ支持しても良い。
【0032】
局所液浸装置8は、本実施形態の露光装置100が、液浸方式の露光を行うことに対応して設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図14参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31B(いずれも図1では不図示、図3参照)とそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図14参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図14参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図14参照)を制御して、液体供給管31A及びノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図14参照)を制御して、ノズルユニット32及び液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持される。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、純水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
【0033】
この他、露光ステーション200には、メインフレームBDに支持部材72Aを介してほぼ片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Aを含む微動ステージ位置計測系70Aが設けられている。ただし、微動ステージ位置計測系70Aについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。
【0034】
計測ステーション300には、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されたアライメント装置99と、メインフレームBDに支持部材72Bを介して片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Bを含む微動ステージ位置計測系70Bと、を備えている。微動ステージ位置計測系70Bは、前述の微動ステージ位置計測系70Aとは、左右対称である(向きが反対である)が同様に構成されている。
【0035】
アライメント装置99は、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されているように、図3に示される5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24を含む。詳述すると、図3に示されるように、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に、検出中心が位置する状態でプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に沿って配置されている。なお、図1では、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24及びこれらを保持する保持装置(スライダ)を含んでアライメント装置99として示されている。なお、アライメント装置99の具体的な構成等については更に後述する。
【0036】
ウエハステージWST1は、図1及び図2(A)等からわかるように、その底面に設けられた複数の非接触軸受、例えばエアベアリング94によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51A(図14参照)により、XY二次元方向に駆動されるウエハ粗動ステージ(以下、粗動ステージと略述する)WCS1と、粗動ステージWCS1に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS1に対して相対移動可能なウエハ微動ステージ(以下、微動ステージと略述する)WFS1とを有している。微動ステージWFS1は、微動ステージ駆動系52A(図14参照)によって粗動ステージWCS1に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θx方向、θy方向及びθz方向(以下、6自由度方向、又は6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)と記述する)に駆動される。
【0037】
ウエハステージWST1(粗動ステージWCS1)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、ウエハステージ位置計測系16Aによって計測される。また、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に支持された微動ステージWFS1(又は微動ステージWFS2)の6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)の位置情報は微動ステージ位置計測系70Aによって計測される。ウエハステージ位置計測系16A及び微動ステージ位置計測系70Aの計測結果(計測情報)は、粗動ステージWCS1、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置制御のため、主制御装置20(図14参照)に供給される。
【0038】
ウエハステージWST2は、ウエハステージWST1と同様、その底面に設けられた複数の非接触軸受(例えばエアベアリング(図示省略))によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51B(図14参照)により、XY二次元方向に駆動される粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS2に対して相対移動可能な微動ステージWFS2とを有している。微動ステージWFS2は、微動ステージ駆動系52B(図14参照)によって粗動ステージWCS2に対して6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)に駆動される。
【0039】
ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、ウエハステージ位置計測系16Bによって計測される。また、計測ステーション300にある粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2(又はWFS1)の6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)の位置情報は微動ステージ位置計測系70Bによって計測される。ウエハステージ位置計測系16B及び微動ステージ位置計測系70Bの計測結果は、粗動ステージWCS2、微動ステージWFS2(又はWFS1)の位置制御のため、主制御装置20(図14参照)に供給される。
【0040】
粗動ステージWCS1に微動ステージWFS1(又はWFS2)が支持されたとき、その微動ステージWFS1(又はWFS2)と粗動ステージWCS1とのX、Y、θzの3自由度方向に関する相対位置情報は、粗動ステージWCS1と微動ステージWFS1(又はWFS2)との間に設けられた相対位置計測器22A(図14参照)によって計測可能である。
【0041】
同様に、粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2(又はWFS1)が支持されたとき、その微動ステージWFS2(又はWFS1)と粗動ステージWCS2とのX、Y、θzの3自由度方向に関する相対位置情報は、粗動ステージWCS2と微動ステージWFS2(又はWFS1)との間に設けられた相対位置計測器22B(図14参照)によって計測可能である。
【0042】
相対位置計測器22A,22Bとしては、例えば微動ステージWFS1,WFS2に設けられたグレーティングを計測対象とする、粗動ステージWCS1、WCS2に、それぞれ設けられた少なくとも2つのヘッドを含み、該ヘッドの出力に基づいて、微動ステージWFS1,WFS2のX軸方向、Y軸方向及びθz方向の位置を計測するエンコーダなどを用いることができる。相対位置計測器22A,22Bの計測結果は、主制御装置20(図14参照)に供給される。
【0043】
リレーステージDRSTは、粗動ステージWCS1,WCS2と同様、その底面に設けられた複数の非接触軸受(例えばエアベアリング(図示省略))によりベース盤12の上に浮上支持され、リレーステージ駆動系53(図14参照)により、XY二次元方向に駆動可能になっている。
【0044】
リレーステージDRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、例えば干渉計及び/又はエンコーダなどを含む不図示の位置計測系によって計測される。位置計測系の計測結果は、リレーステージDRSTの位置制御のため、主制御装置20に供給される。
【0045】
上記各種計測系を含み、ステージ系の構成各部の構成等については、後に詳述する。
【0046】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図4に示されるように、投影ユニットPUの近傍に、可動ブレードBLが設けられている。可動ブレードBLは、ブレード駆動系58(図4では不図示、図14参照)によって、Z軸方向及びY軸方向に駆動可能である。可動ブレードBLは、+Y側の上端部に他の部分より突出した突出部が形成された板状の部材から成る。
【0047】
本実施形態において、可動ブレードBLの上面は、液体Lqに対して撥液性である。本実施形態において、可動ブレードBLは、例えばステンレス等の金属製の基材と、その基材の表面に形成された撥液性材料の膜とを含む。撥液性材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、テフロン(登録商標)等を含む。なお、膜を形成する材料が、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂でも良い。また、可動ブレードBL全体が、PFA、PTFE、テフロン(登録商標)、アクリル系樹脂、及びシリコン系樹脂の少なくとも一つで形成されても良い。本実施形態において、液体Lqに対する可動ブレードBLの上面の接触角は、例えば90度以上である。
【0048】
可動ブレードBLは、粗動ステージWCS1に支持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)に−Y側から係合可能であり、その係合状態で微動ステージWFS1(又はWFS2)の上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図18参照)。可動ブレードBLは、主制御装置20により、ブレード駆動系58を介して駆動され、微動ステージWFS1(又はWFS2)との間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しを行う。なお、可動ブレードBLと微動ステージWFS1(又はWFS2)との間の液浸空間(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
【0049】
この他、本実施形態の露光装置100には、投影ユニットPUの近傍に、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)AF(図1では不図示、図14参照)が設けられている。多点AF系AFの検出信号は、不図示のAF信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図14参照)。主制御装置20は、多点AF系AFの検出信号に基づいて、多点AF系AFの複数の検出点それぞれにおけるウエハW表面のZ軸方向の位置情報(面位置情報)を検出し、その検出結果に基づいて走査露光中のウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行する。なお、アライメント装置99(アライメント系AL1、AL2〜AL2)の近傍に多点AF系を設けて、ウエハアライメント(EGA)時にウエハW表面の面位置情報(凹凸情報)を事前に取得し、露光時には、その面位置情報と、後述する微動ステージ位置計測系70Aの一部を構成するレーザ干渉計システム75(図14参照)の計測値とを用いて、ウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行することとしても良い。この場合、投影ユニットPUの近傍に多点AF系を設けなくても良い。なお、レーザ干渉計システム75ではなく、微動ステージ位置計測系70Aを構成する後述のエンコーダシステム73の計測値を、フォーカス・レベリング制御で用いても良い。
【0050】
また、本実施形態の露光装置100では、レチクルステージRSTの上方には、例えば米国特許第5,646,413号明細書などに詳細に開示されるように、CCD等の撮像素子を有し、露光波長の光(本実施形態では照明光IL)をアライメント用照明光とする画像処理方式の一対のレチクルアライメント系RA,RA(図1においてはレチクルアライメント系RA2は、レチクルアライメント系RAの紙面奥側に隠れている。)が配置されている。一対のレチクルアライメント系RA,RAは、投影光学系PLの直下に微動ステージWFS1(又はWFS2)上の後述する計測プレートが位置する状態で、主制御装置20により、レチクルRに形成された一対のレチクルアライメントマーク(図示省略)の投影像と対応する計測プレート上の一対の第1基準マークとを投影光学系PLを介して検出することで、投影光学系PLによるレチクルRのパターンの投影領域の中心と計測プレート上の基準位置、すなわち一対の第1基準マークの中心との位置関係を検出するために用いられる。レチクルアライメント系RA,RAの検出信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図14参照)。なお、レチクルアライメント系RA,RAは設けなくても良い。この場合、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるように、微動ステージWFS1に光透過部(受光部)が設けられる検出系を搭載して、レチクルアライメントマークの投影像を検出することが好ましい。
【0051】
ここで、ステージ系の各部の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWST1,WST2について説明する。本実施形態では、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とは、その駆動系、位置計測系などを含み、全く同様に構成されている。従って、以下では、代表的にウエハステージWST1を取り上げて説明する。
【0052】
粗動ステージWCS1は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状の粗動スライダ部91と、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面にYZ平面に平行な状態でそれぞれ固定され、かつY軸方向を長手方向とする長方形板状の一対の側壁部92a,92bと、側壁部92a,92bそれぞれの上面に固定された一対の固定子部93a、93bと、を備えている。粗動ステージWCS1は、全体として、上面のX軸方向中央部及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い箱形の形状を有している。すなわち、粗動ステージWCS1には、その内部にY軸方向に貫通した空間部が形成されている。
【0053】
粗動ステージWCS1は、図5に示されるように、粗動スライダ部91の長手方向の中央の分離線を境として、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとの2つの部分に分離可能に構成されている。従って、粗動スライダ部91は、第1部分WCS1aの一部を構成する第1スライダ部91aと、第2部分WCS1bの一部を構成する第2スライダ部91bとから構成されている。
【0054】
ベース盤12の内部には、図1に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル14を含む、コイルユニットが収容されている。
【0055】
コイルユニットに対応して、粗動ステージWCS1の底面、すなわち第1スライダ部91a、第2スライダ部91bの底面には、図2(A)に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数の永久磁石18から成る磁石ユニットが設けられている。磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196,745号明細書などに開示されるローレンツ電磁力駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51Aa、51Ab(図14参照)を、それぞれ構成している。コイルユニットを構成する各コイル14に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される(図14参照)。
【0056】
第1、第2スライダ部91a、91bそれぞれの底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング94が固定されている。粗動ステージWCS1の第1部分WCS1a及び第2部分WCS1bは、それぞれエアベアリング94によって、ベース盤12上に所定のクリアランス、例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aa、51Abによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
【0057】
通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体化して不図示のロック機構を介してロックされている。すなわち、通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体的に動作する。そこで、以下では、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bが一体化して成る粗動ステージWCS1を駆動する平面モータから成る駆動系を、粗動ステージ駆動系51Aと呼ぶ(図14参照)。
【0058】
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、ローレンツ電磁力駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成しても良い。この場合、粗動スライダ部91の底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
【0059】
一対の固定子部93a、93bそれぞれは、図2(A)及び図2(B)に示されるように、外形が板状の部材から成り、その内部に微動ステージWFS1(又はWFS2)を駆動するための複数のコイルから成るコイルユニットCUa、CUbが収容されている。コイルユニットCUa、CUbを構成する各コイルに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。コイルユニットCUa、CUbの構成については、さらに後述する。ここで、微動ステージWFS1と微動ステージWFS2とは、全く同様に構成され、同様にして、粗動ステージWCS1に非接触で支持され、駆動されるが、以下では、微動ステージWFS1を代表的に取り上げて説明する。
【0060】
一対の固定子部93a,93bそれぞれは、図2(A)及び図2(B)に示されるように、Y軸方向を長手方向とする矩形板状の形状を有する。固定子部93aは、+X側の端部が側壁部92a上面に固定され、固定子部93bは、−X側の端部が側壁部92b上面に固定されている。
【0061】
微動ステージWFS1は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、平面視でX軸方向を長手方向とする八角形板状の部材から成る本体部81と、本体部81の長手方向の一端部と他端部にそれぞれ固定された一対の可動子部82a、82bと、を備えている。
【0062】
本体部81は、その内部を後述するエンコーダシステムの計測ビーム(レーザ光)が進行可能とする必要があることから、光が透過可能な透明な素材で形成されている。また、本体部81は、その内部におけるレーザ光に対する空気揺らぎの影響を低減するため、中実に形成されている(内部に空間を有しない)。なお、透明な素材は、低熱膨張率であることが好ましく、本実施形態では一例として合成石英(ガラス)などが用いられる。なお、本体部81は、その全体が透明な素材で構成されていても良いが、エンコーダシステムの計測ビームが透過する部分のみが透明な素材で構成されていても良く、この計測ビームが透過する部分のみが中実に形成されていても良い。
【0063】
微動ステージWFS1の本体部81(より正確には、後述するカバーガラス)の上面中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。本実施形態では、例えば環状の凸部(リム部)内に、ウエハWを支持する複数の支持部(ピン部材)が形成される、いわゆるピンチャック方式のウエハホルダが用いられ、一面(表面)がウエハ載置面となるウエハホルダの他面(裏面)側に後述するグレーティングRGなどが設けられる。なお、ウエハホルダは、微動ステージWFS1と一体に形成されていても良いし、本体部81に対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。前者では、グレーティングRGは微動ステージWFS1の裏面側に設けられることになる。
【0064】
さらに、本体部81の上面には、ウエハホルダ(ウエハWの載置領域)の外側に、図2(A)及び図2(B)に示されるように、ウエハW(ウエハホルダ)よりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ本体部81に対応する八角形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)83が取り付けられている。プレート83の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている(撥液面が形成されている)。プレート83は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるように本体部81の上面に固定されている。また、プレート83の−Y側端部には、図2(B)に示されるように、その表面がプレート83の表面と、すなわちウエハWの表面とほぼ同一面となる状態でX軸方向に細長い長方形の計測プレート86が設置されている。計測プレート86の表面には、前述した一対のレチクルアライメント系RA,RAそれぞれにより検出される一対の第1基準マークと、プライマリアライメント系AL1により検出される第2基準マークとが少なくとも形成されている(第1及び第2基準マークはいずれも図示省略)。なお、プレート83を本体部81に取り付ける代わりに、例えばウエハホルダを微動ステージWFS1と一体に形成し、微動ステージWFS1の、ウエハホルダを囲む周囲領域(プレート83と同一の領域(計測プレート86の表面を含んでも良い)の上面に撥液化処理を施して、撥液面を形成しても良い。
【0065】
図2(A)に示されるように、本体部81の上面には、二次元グレーティング(以下、単にグレーティングと呼ぶ)RGが水平(ウエハW表面と平行)に配置されている。グレーティングRGは、透明な素材から成る本体部81の上面に、固定(あるいは形成)されている。グレーティングRGは、X軸方向を周期方向とする反射型回折格子(X回折格子)と、Y軸方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)と、を含む。本実施形態では、本体部81上で2次元グレーティングが固定あるいは形成される領域(以下、形成領域)は、一例として、ウエハWよりも一回り大きな円形となっている。
【0066】
グレーティングRGは、保護部材、例えばカバーガラス84によって覆われて、保護されている。本実施形態では、カバーガラス84の上面に、ウエハホルダを吸着保持する前述の保持機構(静電チャック機構など)が設けられている。なお、本実施形態では、カバーガラス84は、本体部81の上面のほぼ全面を覆うように設けられているが、グレーティングRGを含む本体部81の上面の一部のみを覆うように設けても良い。また、保護部材(カバーガラス84)は、本体部81と同一の素材によって形成しても良いが、これに限らず、保護部材を、例えば金属、セラミックスで形成しても良い。また、グレーティングRGを保護するのに十分な厚みを要するため板状の保護部材が望ましいが、素材に応じて薄膜状の保護部材を用いても良い。
【0067】
なお、グレーティングRGの形成領域のうち、ウエハホルダの周囲にはみ出す領域に対応するカバーガラス84の一面には、グレーティングRGに照射されるエンコーダシステムの計測ビームがカバーガラス84を透過しないように、すなわち、ウエハホルダ裏面の領域の内外で計測ビームの強度が大きく変動しないように、例えばその形成領域を覆う反射部材(例えば薄膜など)を設けることが望ましい。
【0068】
この他、一面にグレーティングRGが固定又は形成される透明板の他面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置し、かつその透明板の一面側に保護部材(カバーガラス84)を設ける、あるいは、保護部材(カバーガラス84)を設けずに、グレーティングRGが固定又は形成される透明板の一面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置しても良い。特に前者では、透明板の代わりにセラミックスなどの不透明な部材にグレーティングRGを固定又は形成しても良いし、あるいは、ウエハホルダの裏面にグレーティングRGを固定又は形成しても良い。あるいは、従来の微動ステージにウエハホルダとグレーティングRGを保持するだけでも良い。また、ウエハホルダを、中実のガラス部材によって形成し、該ガラス部材の上面(ウエハ載置面)にグレーティングRGを配置しても良い。
【0069】
本体部81は、図2(A)からもわかるように、長手方向の一端部と他端部との下端部に外側に突出した張り出し部が形成された全体として八角形板状部材から成り、その底面の、グレーティングRGに対向する部分に凹部が形成されている。本体部81は、グレーティングRGが配置された中央の領域は、その厚さが実質的に均一な板状に形成されている。
【0070】
本体部81の+X側、−X側の張り出し部それぞれの上面には、断面凸形状のスペーサ85a、85bが、それぞれの凸部89a、89bを、外側に向けてY軸方向に延設されている。
【0071】
可動子部82aは、図2(A)及び図2(B)に示されるように、Y軸方向寸法(長さ)及びX軸方向寸法(幅)が、共に固定子部93aよりも短い(半分程度の)2枚の平面視矩形状の板状部材82a、82aを含む。2枚の板状部材82a、82aは、本体部81の+X側の端部に対し、前述したスペーサ85aの凸部89aを介して、Z軸方向(上下)に所定の距離だけ離間した状態でともにXY平面に平行に固定されている。この場合、板状部材82aは、スペーサ85aと本体部81の+X側の張り出し部とによって、その−X側端部が挟持されている。2枚の板状部材82a、82aの間には、粗動ステージWCS1の固定子部93aの−X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82a、82aの内部には、後述する磁石ユニットMUa、MUaが、収容されている。
【0072】
可動子部82bは、スペーサ85bにZ軸方向(上下)に所定の間隔が維持された2枚の板状部材82b、82bを含み、可動子部82aと左右対称ではあるが同様に構成されている。2枚の板状部材82b、82bの間には、粗動ステージWCS1の固定子部93bの+X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82b、82bの内部には、磁石ユニットMUa、MUaと同様に構成された磁石ユニットMUb、MUbが、収容されている。
【0073】
ここで、前述したように、粗動ステージWCS1は、Y軸方向に両側面が開口しているので、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1に装着する際には、板状部材82a、82a、及び82b、82b間に固定子部93a、93bがそれぞれ位置するように、微動ステージWFS1のZ軸方向の位置決めを行い、この後に微動ステージWFS1をY軸方向に移動(スライド)させれば良い。
【0074】
次に、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1に対して相対的に駆動するための微動ステージ駆動系52Aの構成について説明する。
【0075】
微動ステージ駆動系52Aは、前述した可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa、MUaと、固定子部93aが有するコイルユニットCUaと、可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb、MUbと、固定子部93bが有するコイルユニットCUbと、を含む。
【0076】
これをさらに詳述する。図6及び図7(A)並びに図7(B)からわかるように、固定子部93aの内部における−X側の端部には、複数(ここでは、12個)の平面視長方形状のYZコイル(以下、適宜「コイル」と略述する)55、57が、Y軸方向に等間隔でそれぞれ配置された2列のコイル列が、X軸方向に所定間隔を隔てて配置されている。YZコイル55は、上下方向(Z軸方向)に重ねて配置された平面視長方形状の上部巻線55aと、下部巻線55bと、を有する。また、固定子部93aの内部であって、上述した2列のコイル列の間には、Y軸方向を長手方向とする細長い平面視長方形状の一つのXコイル(以下、適宜「コイル」と略述する)56が、配置されている。この場合、2列のコイル列と、Xコイル56とは、X軸方向に関して等間隔で配置されている。2列のコイル列と、Xコイル56とを含んで、コイルユニットCUaが構成されている。
【0077】
なお、以下では、図6〜図8(C)を用いて、一対の固定子部93a、93bのうち、一方の固定子部93a、及びこの固定子部93aに支持される可動子部82aについて説明するが、他方(−X側)の固定子部93b及び可動子部82bは、これらと同様に構成され、同様に機能する。従って、コイルユニットCUb、磁石ユニットMUb,MUbは、コイルユニットCUa、磁石ユニットMUa,MUaと同様に構成されている。
【0078】
微動ステージWFS1の可動子部82aの一部を構成する+Z側の板状部材82aの内部には、図6及び図7(A)並びに図7(B)を参照するとわかるように、X軸方向を長手方向とする平面視長方形の複数(ここでは10個)の永久磁石65a、67aが、Y軸方向に等間隔で配置された2列の磁石列が、X軸方向に所定間隔を隔てて配置されている。2列の磁石列それぞれは、コイル55、57に対向して配置されている。
【0079】
複数の永久磁石65aは、図7(B)に示されるように、上面側(+Z側)がN極で下面側(−Z側)がS極である永久磁石と、上面側(+Z側)がS極で下面側(−Z側)がN極である永久磁石とが、Y軸方向に交互に配列されている。複数の永久磁石67aから成る磁石列は、複数の永久磁石65aから成る磁石列と同様に構成されている。
【0080】
また、板状部材82aの内部であって、上述の2列の磁石列の間には、X軸方向に離間して配置されたY軸方向を長手方向とする一対(2つ)の永久磁石66a、66aが、コイル56に対向して配置されている。図7(A)に示されるように、永久磁石66aは、上面側(+Z側)がN極で下面側(−Z側)がS極となっており、永久磁石66aは、上面側(+Z側)がS極で下面側(−Z側)がN極となっている。
【0081】
上述した複数の永久磁石65a、67a及び66a、66aによって、磁石ユニットMUaが構成されている。
【0082】
−Z側の板状部材82aの内部にも、図7(A)に示されるように、上述した+Z側の板状部材82aと同様の配置で、永久磁石65b、66b、66b、67bが配置されている。これらの永久磁石65b、66b、66b、67bによって、磁石ユニットMUaが構成されている。なお、−Z側の板状部材82a内の永久磁石65b、66b、66b、67bは、図6では、磁石65a、66a、66a、67aに対して、紙面奥側に重なって配置されている。
【0083】
ここで、微動ステージ駆動系52Aでは、図7(B)に示されるように、Y軸方向に隣接して配置された複数の永久磁石(図7(B)において、Y軸方向に沿って順に永久磁石65a〜65aとする)は、隣接する2つの永久磁石65a及び65aそれぞれが、YZコイル55の巻線部に対向したとき、これらに隣接する永久磁石65aが、上述のYZコイル55に隣接するYZコイル55の巻線部に対向しないように(コイル中央の中空部、又はコイルが巻き付けられたコア、例えば鉄芯に対向するように)、複数の永久磁石65及び複数のYZコイル55のY軸方向に関する位置関係(それぞれの間隔)が設定されている。なお、図7(B)に示されるように、永久磁石65a及び65aそれぞれは、YZコイル55に隣接するYZコイル55の巻線部に対向する。永久磁石65b、67a、67bのY軸方向に関する間隔も、同様になっている(図7(B)参照)。
【0084】
従って、微動ステージ駆動系52Aでは、一例として図7(B)に示される状態で、図8(A)に示されるように、コイル55,55の上部巻線及び下部巻線それぞれに、+Z方向から見て右回りの電流が供給されると、コイル55,55には−Y方向の力(ローレンツ力)が作用し、その反作用として、永久磁石65a、65bそれぞれには、+Y方向の力が作用する。これらの力の作用により、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して+Y方向に移動する。上記の場合とは逆に、コイル55,55に、それぞれ+Z方向から見て左回りの電流が供給されると、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して−Y方向に移動する。
【0085】
コイル57に電流を供給することにより、永久磁石67(67a,67b)との間で電磁相互作用が行われ、微動ステージWFS1をY軸方向に駆動することができる。主制御装置20は、各コイルに供給する電流を制御することによって、微動ステージWFS1のY軸方向の位置を制御する。
【0086】
また、微動ステージ駆動系52Aでは、一例として図7(B)に示される状態で、図8(B)に示されように、コイル55の上部巻線に+Z方向から見て左回りの電流、下部巻線に+Z方向から見て右回りの電流がそれぞれ供給されると、コイル55と永久磁石65aとの間に吸引力、コイル55と永久磁石65bとの間に反発力(斥力)がそれぞれ発生し、微動ステージWFS1は、これらの吸引力及び反発力によって粗動ステージWCS1に対して下方(−Z方向)、すなわち降下する方向に移動する。上記の場合とは逆向きの電流が、コイル55の上部巻線及び下部巻線のそれぞれに供給されると、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して上方(+Z方向)、すなわち上昇する方向に移動する。主制御装置20は、各コイルに供給する電流を制御することによって、浮上状態の微動ステージWFS1のZ軸方向の位置を制御する。
【0087】
また、図7(A)に示される状態で、図8(C)に示されるように、コイル56に+Z方向から見て右回りの電流が供給されると、コイル56に+X方向の力が作用し、その反作用として永久磁石66a、66a及び66b,66bそれぞれには、−X方向の力が作用し、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して−X方向に移動する。また、上記の場合とは逆に、コイル56に+Z方向から見て左回りの電流が供給されると、永久磁石66a、66a及び66b,66bには、+X方向の力が作用し、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して+X方向に移動する。主制御装置20は、各コイルに供給する電流を制御することによって、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を制御する。
【0088】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、主制御装置20は、Y軸方向に配列された複数のYZコイル55、57に対して、一つおきに電流を供給することによって、微動ステージWFS1をY軸方向に駆動する。また、これと併せて、主制御装置20は、YZコイル55、57のうち、微動ステージWFS1のY軸方向への駆動に使用していないコイルに電流を供給することによって、Y軸方向への駆動力とは別に、Z軸方向への駆動力を発生させ、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から浮上させる。そして、主制御装置20は、微動ステージWFS1のY軸方向の位置に応じて、電流供給対象のコイルを順次切り替えることによって、微動ステージWFS1の粗動ステージWCS1に対する浮上状態、すなわち非接触状態を維持しつつ、微動ステージWFS1をY軸方向に駆動する。また、主制御装置20は、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から浮上させた状態で、Y軸方向と併せて独立にX軸方向にも駆動可能である。
【0089】
また、主制御装置20は、例えば図9(A)に示されるように、微動ステージWFS1の+X側の可動子部82aと−X側の可動子部82bとに、互いに異なる大きさのY軸方向の駆動力(推力)を作用させることによって(図9(A)の黒塗り矢印参照)、微動ステージWFS1をZ軸回りに回転(θz回転)させることができる(図9(A)の白抜き矢印参照)。なお、図9(A)とは反対に、+X側の可動子部82aに作用させる駆動力を−X側よりも大きくすることで、微動ステージWFS1をZ軸に対して左回りに回転させることができる。
【0090】
また、主制御装置20は、図9(B)に示されるように、微動ステージWFS1の+X側の可動子部82aと−X側の可動子部82bとに、互いに異なる浮上力(図9(B)の黒塗り矢印参照)を作用させることによって、微動ステージWFSをY軸回りに回転(θy駆動)させること(図9(B)の白抜き矢印参照)ができる。なお、図9(B)とは反対に、+X側の可動子部82aに作用させる浮上力を−X側よりも大きくすることで、微動ステージWFS1をY軸に対して左回りに回転させることができる。
【0091】
さらに、主制御装置20は、例えば図9(C)に示されるように、微動ステージWFS1の可動子部82a、82bそれぞれにおいて、Y軸方向の+側と−側とに、互いに異なる浮上力(図9(C)の黒塗り矢印参照)を作用させることによって、微動ステージWFS1をX軸回りに回転(θx駆動)させること(図9(C)の白抜き矢印参照)ができる。なお、図9(C)とは反対に、可動子部82a(及び82b)の−Y側の部分に作用させる浮上力を+Y側の部分に作用させる浮上力よりも小さくすることで、微動ステージWFS1をX軸に対して左回りに回転させることができる。
【0092】
以上の説明からわかるように、本実施形態では、微動ステージ駆動系52Aにより、微動ステージWFS1を、粗動ステージWCS1に対して非接触状態で浮上支持するとともに、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)へ駆動することができるようになっている。
【0093】
また、本実施形態では、主制御装置20は、微動ステージWFS1に浮上力を作用させる際、固定子部93a内に配置された2列のコイル55、57(図6参照)に互いに反対方向の電流を供給することによって、例えば図10に示されるように、可動子部82aに対して、浮上力(図10の黒塗り矢印参照)と同時にY軸回りの回転力(図10の白抜き矢印参照)を作用させることができる。また、主制御装置20は、一対の可動子部82a、82bそれぞれに、互いに反対の方向のY軸回りの回転力を作用させることによって、微動ステージWFS1の中央部を+Z方向又は−Z方向に撓ませることができる(図10のハッチング付き矢印参照)。従って、図10に示されるように、微動ステージWFS1の中央部を+Z方向に撓ませることによって、ウエハW及び本体部81の自重に起因する微動ステージWFS1(本体部81)のX軸方向の中間部分の撓みを打ち消して、ウエハW表面のXY平面(水平面)に対する平行度を確保できる。これにより、ウエハWが大径化して微動ステージWFS1が大型化した時などに、特に効果を発揮する。
【0094】
また、ウエハWが自重等により変形すると、照明光ILの照射領域(露光領域IA)内において、微動ステージWFS1上に載置されたウエハWの表面が、投影光学系PLの焦点深度の範囲内に入らなくなるおそれもある。そこで、主制御装置20が、上述した微動ステージWFS1のX軸方向に関する中央部を+Z方向に撓ませる場合と同様に、一対の可動子部82a、82bそれぞれに、互いに反対の方向のY軸回りの回転力を作用させることによって、ウエハWがほぼ平坦になるように変形され、露光領域IA内でウエハWの表面が投影光学系PLの焦点深度の範囲内に入るようにすることもできる。なお、図10には、微動ステージWFS1を+Z方向に(凸形状に)撓ませる例が示されているが、コイルに対する電流の向きを制御することによって、これとは反対の方向に(凹形状に)微動ステージWFS1を撓ませることも可能である。
【0095】
なお、自重撓み補正及び/又はフォーカス・レベリング制御のためだけでなく、ウエハのショット領域内の所定点が露光領域IAを横切る間に、焦点深度の範囲内でその所定点のZ軸方向の位置を変化させて実質的に焦点深度を増大させる超解像技術を採用する場合にも、微動ステージWFS1(及びこれに保持されたウエハW)をY軸に垂直な面(XZ面)内で凹形状又は凸形状に変形させる手法を適用することができる。
【0096】
本実施形態の露光装置100では、ウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作時には、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報(θz方向の位置情報を含む)は、主制御装置20により、後述する微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73(図14参照)を用いて計測される。微動ステージWFS1の位置情報は、主制御装置20に送られ、主制御装置20は、この位置情報に基づいて微動ステージWFS1の位置を制御する。
【0097】
これに対し、ウエハステージWST1(微動ステージWFS1)が微動ステージ位置計測系70Aの計測領域外に位置する際には、ウエハステージWST1(及び微動ステージWFS1)の位置情報は、主制御装置20により、ウエハステージ位置計測系16A(図1及び図14参照)を用いて計測される。ウエハステージ位置計測系16Aは、図1に示されるように、粗動ステージWCS1側面に鏡面加工により形成された反射面に測長ビームを照射してウエハステージWST1のXY平面内の位置情報を計測するレーザ干渉計を含んでいる。なお、図1では図示が省略されているが、実際には、粗動ステージWCS1には、Y軸に垂直なY反射面とX軸に垂直なX反射面とが形成され、これに対応して、レーザ干渉計もX反射面、Y反射面にそれぞれ測長ビームを照射するX干渉計、Y干渉計とが設けられている。なお、ウエハステージ位置計測系16Aでは、例えばY干渉計は複数の測長軸を有し、各測長軸の出力に基づいて、ウエハステージWST1のθz方向の位置情報(回転情報)をも計測できる。なお、ウエハステージWST1のXY平面内での位置情報は、上述のウエハステージ位置計測系16Aに代えて、その他の計測装置、例えばエンコーダシステムによって計測しても良い。この場合、例えばベース盤12の上面に二次元スケールを配置し、粗動ステージWCS1の底面にエンコーダヘッドを設けることができる。
【0098】
前述の如く、微動ステージWFS2は、上述した微動ステージWFS1と全く同様に構成されており、微動ステージWFS1に代えて、粗動ステージWCS1に非接触で支持させることができる。この場合、粗動ステージWCS1と、粗動ステージWCS1によって支持された微動ステージWFS2とによって、ウエハステージWST1が構成され、微動ステージWFS2が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa、MUa及びMUb、MUb)と粗動ステージWCS1の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52Aが構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Aによって、微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0099】
また、微動ステージWFS2、WFS1は、それぞれ粗動ステージWCS2に非接触で支持させることができ、粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2によって支持された微動ステージWFS2又はWFS1とによってウエハステージWST2が構成される。この場合、微動ステージWFS2又はWFS1が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa、MUa及びMUb、MUb)と粗動ステージWCS2の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52B(図14参照)が構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Bによって、微動ステージWFS2又はWFS1が、粗動ステージWCS2に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0100】
図1に戻り、リレーステージDRSTは、粗動ステージWCS1,WCS2と同様(ただし、第1部分と第2部分とに分離できるようには構成されていない)に構成されたステージ本体44と、ステージ本体44の内部に設けられた搬送装置46(図14参照)とを備えている。従って、ステージ本体44は、粗動ステージWCS1,WCS2と同様に、微動ステージWFS1又はWFS2を非接触で支持(保持)できるようになっており、リレーステージDRSTに支持された微動ステージは、微動ステージ駆動系52C(図14参照)によってリレーステージDRSTに対して6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)に駆動可能である。ただし、微動ステージは、リレーステージDRSTに対して少なくともY軸方向にスライド可能であれば良い。
【0101】
搬送装置46は、リレーステージDRSTのステージ本体44のX軸方向の両側壁に沿ってY軸方向に所定ストロークで往復移動可能でかつZ軸方向に関しても所定ストロークで上下動可能な搬送部材本体と、微動ステージWFS1又はWFS2を保持して搬送部材本体に対してY軸方向に相対移動可能な移動部材とを含む搬送部材48と、搬送部材48を構成する搬送部材本体及び移動部材を個別に駆動可能な搬送部材駆動系54(図14参照)とを備えている。
【0102】
次に、図1に示されるアライメント装置99の具体的な構成等について、図11に基づいて説明する。
【0103】
図11には、メインフレームBDが一部破断された状態で、アライメント装置99が斜視図にて示されている。アライメント装置99は、上述したように、プライマリアライメント系AL1と、4本のセカンダリアライメント系AL21、AL22、AL23、AL24と、を備えている。プライマリアライメント系AL1に対して+X側に配置される一対のセカンダリアライメント系AL21、AL22と、−X側に配置される一対のセカンダリアライメント系AL23、AL24とは、プライマリアライメント系AL1を中心として左右対称な構成となっている。また、セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、例えば国際公開第2008/056735号(対応米国特許出願公開第2009/0233234号明細書)などに開示されているように、後述のスライダ及び駆動機構などを含む駆動システムによって独立に移動可能となっている。
【0104】
プライマリアライメント系AL1は、支持部材202を介して、メインフレームBDの下面にて吊り下げ支持されている。プライマリアライメント系AL1としては、例えば、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(各アライメント系内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このプライマリアライメント系AL1からの撮像信号は、主制御装置20に供給されるようになっている(図14参照)。
【0105】
セカンダリアライメント系AL21、AL22の上面にはそれぞれスライダSL1、SL2が固定されている。スライダSL1、SL2の+Z側には、メインフレームBDの下面に固定されたFIA定盤302が設けられている。また、セカンダリアライメント系AL23、AL24の上面にはそれぞれスライダSL3、SL4が固定されている。スライダSL3、SL4の+Z側には、メインフレームBDの下面に固定されたFIA定盤102が設けられている。
【0106】
セカンダリアライメント系AL24は、プライマリアライメント系AL1と同様、FIA系であって、内部にレンズ等の光学部材が設けられた略L字状の鏡筒109を含む。鏡筒109のY軸方向に延びる部分における上面(+Z側の面)には、前述したスライダSL4が固定されており、このスライダSL4は前述のFIA定盤102に対向して設けられている。
【0107】
FIA定盤102は、磁性体かつ低熱膨張率の部材(例えば、インバ等)から成り、その一部(+Y側の端部近傍)に複数の電機子コイルを含む電機子ユニットが設けられている。電機子ユニットは、一例として、2つのY駆動用コイルと、一対のX駆動用コイル群とを含む。また、FIA定盤102の内部には、液体流路(不図示)が形成されており、該流路内を流れる冷却用液体により、FIA定盤102が所定温度に温調(冷却)されている。
【0108】
スライダSL4は、スライダ本体、該スライダ本体に設けられた複数の気体静圧軸受、複数の永久磁石、及び磁石ユニットを含む。気体静圧軸受としては、FIA定盤102内の気体流路を介して気体が供給される、いわゆるグランド給気型の気体静圧軸受が用いられている。複数の永久磁石は、前述した磁性体から成るFIA定盤102と対向し、複数の永久磁石とFIA定盤102との間には、磁気的吸引力が常時作用している。従って、複数の気体静圧軸受に気体を供給しない間は、磁気的吸引力により、スライダSL4が、FIA定盤102の下面に最接近(接触)する。複数の気体静圧軸受に気体を供給すると、気体の静圧により、FIA定盤102とスライダSL4との間に斥力が発生する。磁気的吸引力と気体の静圧とのバランスにより、スライダSL4はその上面とFIA定盤102の下面との間に所定のクリアランスが形成された状態で維持(保持)される。以下においては、前者を「着地状態」と呼び、後者を「浮上状態」と呼ぶものとする。
【0109】
磁石ユニットは、前述の電機子ユニットに対応して設けられており、本実施形態では、磁石ユニットと電機子ユニット(2つのY駆動用コイルと、一対のX駆動用コイル群)との間の電磁相互作用によって、スライダSL4にX軸方向の駆動力及びY軸方向の駆動力、並びにZ軸回りの回転(θz)方向の駆動力を作用させることができる。なお、以下においては、上記磁石ユニットと電機子ユニットとにより構成される駆動機構(アクチュエータ)を、「アライメント系モータ」と呼ぶものとする。
【0110】
セカンダリアライメント系AL24の+X側に配置されたセカンダリアライメント系AL23は、上述したセカンダリアライメント系AL24と同様に構成され、スライダSL3もスライダSL4とほぼ同様に構成されている。また、スライダSL3とFIA定盤102との間には、前述と同様の駆動機構(アライメント系モータ)が設けられている。
【0111】
主制御装置20は、セカンダリアライメント系AL24、及びAL23を駆動する(位置調整する)際、前述した気体静圧軸受に対して気体を供給することにより、スライダSL4、SL3とFIA定盤102との間に所定のクリアランスを形成することでスライダSL4、SL3を上記浮上状態とする。そして、主制御装置20は、該浮上状態を維持した状態で、不図示の計測装置の計測値に基づいて、各アライメント系モータを構成する電機子ユニットに供給する電流を制御することにより、スライダSL4(セカンダリアライメント系AL24)、スライダSL3(セカンダリアライメント系AL2)をX軸、Y軸及びθz方向に微小駆動する。
【0112】
図11に戻り、セカンダリアライメント系AL21,AL22は、上述したセカンダリアライメント系AL23,AL24と同様の構成であり、スライダSL2は、上述したスライダSL3と左右対称の構成を有し、スライダSL1は、上述したスライダSL4と左右対称の構成を有している。また、FIA定盤302の構成は、上述したFIA定盤102と左右対称の構成を有している。
【0113】
次に、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に移動可能に保持される(ウエハステージWST1を構成する)微動ステージWFS1又はWFS2の位置情報の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70A(図14参照)の構成について説明する。ここでは、微動ステージ位置計測系70Aが微動ステージWFS1の位置情報を計測する場合について説明する。
【0114】
微動ステージ位置計測系70Aは、図1に示されるように、ウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態で、粗動ステージWCS1の内部に設けられた空間部内に挿入されるアーム部材(計測アーム71A)を備えている。計測アーム71Aは、露光装置100のメインフレームBDに支持部72Aを介して片持ち状態で支持(一端部近傍を支持)されている。従って、計測アーム71Aは、粗動ステージWCS1の移動に伴い、該粗動ステージWCS1の内部の空間部内に−Y側から挿入される。なお、アーム部材は、ウエハステージの移動の妨げにならない構成を採用する場合には、片持ち支持に限らず、その長手方向の両端部で支持されても良い。また、アーム部材は、前述したグレーティングRG(XY平面と実質的に平行なその配置面)よりも下方(−Z側)に配置されていれば良く、例えばベース盤12の上面よりも下方に配置しても良い。さらに、アーム部材はメインフレームBDに支持されるものとしたが、例えば防振機構を介して設置面(床面など)に設けても良い。この場合、メインフレームBDとアーム部材との相対的な位置関係を計測する計測装置を設けることが好ましい。アーム部材は、メトロロジーアームあるいは計測用部材などとも呼ぶことができる。
【0115】
計測アーム71Aは、Y軸方向を長手方向とする、幅方向(X軸方向)よりも高さ方向(Z軸方向)の寸法が大きい縦長の長方形断面を有する四角柱状(すなわち直方体状)の部材であり、光を透過する同一の素材、例えばガラス部材が複数貼り合わされて形成されている。計測アーム71Aは、後述するエンコーダヘッド(光学系)が収容される部分を除き、中実に形成されている。計測アーム71Aは、前述したようにウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態では、先端部が粗動ステージWCS1の空間部内に挿入され、図1に示されるように、その上面が微動ステージWFS1の下面(より正確には、本体部81(図1では不図示、図2(A)等参照)の下面)に対向している。計測アーム71Aの上面は、微動ステージWFS1の下面との間に所定のクリアランス、例えば数mm程度のクリアランスが形成された状態で、微動ステージWFS1下面とほぼ平行に配置される。なお、計測アーム71Aの上面と微動ステージWFSの下面との間のクリアランスは、数mm以上でも以下でも良い。
【0116】
微動ステージ位置計測系70Aは、図14に示されるように、微動ステージWFS1のX軸方向、Y軸方向、及びθz方向の位置を計測するエンコーダシステム73と、微動ステージWFS1のZ軸方向、θx方向及びθy方向の位置を計測するレーザ干渉計システム75とを備えている。エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXリニアエンコーダ73x、微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYリニアエンコーダ73ya、73yb(以下、適宜これらを併せてYリニアエンコーダ73yとも呼ぶ)を含む。エンコーダシステム73では、例えば米国特許第7,238,931号明細書、及び国際公開第2007/083758号(対応する米国特許出願公開第2007/0288121号明細書)などに開示されるエンコーダヘッド(以下、適宜ヘッドと略記する)と同様の構成の回折干渉型のヘッドが用いられている。ただし、本実施形態では、ヘッドは、後述するように光源及び受光系(光検出器を含む)が、計測アーム71Aの外部に配置され、光学系のみが計測アーム71Aの内部に、すなわちグレーティングRGに対向して配置されている。以下、特に必要な場合を除いて、計測アーム71Aの内部に配置された光学系をヘッドと呼ぶ。
【0117】
エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を1つのXヘッド77x(図12(A)及び図12(B)参照)で計測し、Y軸方向の位置を一対のYヘッド77ya、77yb(図12(B)参照)で計測する。すなわち、グレーティングRGのX回折格子を用いて微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXヘッド77xによって、前述のXリニアエンコーダ73xが構成され、グレーティングRGのY回折格子を用いて微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYヘッド77ya、77ybによって、一対のYリニアエンコーダ73ya、73ybが構成されている。
【0118】
ここで、エンコーダシステム73を構成する3つのヘッド77x、77ya、77ybの構成について説明する。図12(A)には、3つのヘッド77x、77ya、77ybを代表して、Xヘッド77xの概略構成が示されている。また、図12(B)には、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム71A内での配置が示されている。
【0119】
図12(A)に示されるように、Xヘッド77xは、その分離面がYZ平面と平行である偏光ビームスプリッタPBS、一対の反射ミラーR1a,R1b、レンズL2a,L2b、四分の一波長板(以下、λ/4板と表記する)WP1a,WP1b、反射ミラーR2a,R2b、及び反射ミラーR3a,R3b等を有し、これらの光学素子が所定の位置関係で配置されている。Yヘッド77ya、77ybも同様の構成の光学系を有している。Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれは、図12(A)及び図12(B)に示されるように、ユニット化されて計測アーム71Aの内部に固定されている。
【0120】
図12(B)に示されるように、Xヘッド77x(Xリニアエンコーダ73x)では、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられた光源LDxから−Z方向にレーザビームLBxが射出され、計測アーム71Aの一部にXY平面に対して45°の角度で斜設された反射面RPを介してY軸方向に平行にその光路が折り曲げられる。このレーザビームLBxは、計測アーム71Aの内部の中実な部分を、計測アーム71Aの長手方向(Y軸方向)に平行に進行し、図12(A)に示される反射ミラーR3aに達する。そして、レーザビームLBxは、反射ミラーR3aによりその光路が折り曲げられて、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。レーザビームLBxは、偏光ビームスプリッタPBSで偏光分離されて2つの計測ビームLBx1,LBx2となる。偏光ビームスプリッタPBSを透過した計測ビームLBx1は反射ミラーR1aを介して微動ステージWFS1に形成されたグレーティングRGに到達し、偏光ビームスプリッタPBSで反射された計測ビームLBx2は反射ミラーR1bを介してグレーティングRGに到達する。なお、ここで「偏光分離」とは、入射ビームをP偏光成分とS偏光成分に分離することを意味する。
【0121】
計測ビームLBx1,LBx2の照射によってグレーティングRGから発生する所定次数の回折ビーム、例えば1次回折ビームそれぞれは、レンズL2a,L2bを介して、λ/4板WP1a,WP1bにより円偏光に変換された後、反射ミラーR2a,R2bにより反射されて再度λ/4板WP1a,WP1bを通り、往路と同じ光路を逆方向に辿って偏光ビームスプリッタPBSに達する。
【0122】
偏光ビームスプリッタPBSに達した2つの1次回折ビームは、各々その偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、先に偏光ビームスプリッタPBSを透過した計測ビームLBx1の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSで反射される。先に偏光ビームスプリッタPBSで反射された計測ビームLBx2の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSを透過する。それにより、計測ビームLBx1,LBx2それぞれの1次回折ビームは同軸上に合成ビームLBx12として合成される。合成ビームLBx12は、反射ミラーR3bでその光路が、Y軸に平行に折り曲げられて、計測アーム71Aの内部をY軸に平行に進行し、前述の反射面RPを介して、図12(B)に示される、計測アーム71の−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられたX受光系74xに送光される。
【0123】
X受光系74xでは、合成ビームLBx12として合成された計測ビームLBx1,LBx2の1次回折ビームが不図示の偏光子(検光子)によって偏光方向が揃えられ、相互に干渉して干渉光となり、この干渉光が不図示の光検出器によって検出され、干渉光の強度に応じた電気信号に変換される。ここで、微動ステージWFS1が計測方向(この場合、X軸方向)に移動すると、2つのビーム間の位相差が変化して干渉光の強度が変化する。この干渉光の強度の変化は、微動ステージWFS1のX軸方向に関する位置情報として主制御装置20(図14参照)に供給される。
【0124】
図12(B)に示されるように、Yヘッド77ya、77ybには、それぞれの光源LDya、LDybから射出され、前述の反射面RPで光路が90°折り曲げられたY軸に平行なレーザビームLBya、LBybが入射し、前述と同様にして、Yヘッド77ya、77ybから、偏向ビームスプリッタで偏向分離された計測ビームそれぞれのグレーティングRG(のY回折格子)による1次回折ビームの合成ビームLBya12、LByb12が、それぞれ出力され、Y受光系74ya、74ybに戻される。ここで、光源LDya、LDybから射出されるレーザビームLBya、LBybとY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とは、図12(B)における紙面垂直方向に重なる光路をそれぞれ通る。また、上述のように、光源から照射されるレーザビームLBya、LBybとY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とが、Z軸方向に離れた平行な光路を通るように、Yヘッド77ya、77ybでは、それぞれの内部で光路が適宜折り曲げられている(図示省略)。
【0125】
図13(A)には、計測アーム71Aの先端部が斜視図にて示されており、図13(B)には、計測アーム71Aの先端部の上面を+Z方向から見た平面図が示されている。図13(A)及び図13(B)に示されるように、Xヘッド77xは、X軸に平行な直線LX上で計測アーム71AのセンターラインCL(X軸方向の中点を通るY軸に平行な直線)から等距離にある2点(図13(B)の白丸参照)から、計測ビームLBx、LBx(図13(A)中に実線で示されている)を、グレーティングRG上の同一の照射点に照射する(図12(A)参照)。計測ビームLBx、LBxの照射点、すなわちXヘッド77xの検出点(図13(B)中の符号DP参照)は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致している(図1参照)。なお、計測ビームLBx、LBxは、実際には、本体部81と空気層との境界面などで屈折するが、図12(A)等では、簡略化して図示されている。
【0126】
図12(B)に示されるように、一対のYヘッド77ya、77ybそれぞれは、計測アーム71Aの前述のセンターラインCLの+X側、−X側に配置されている。Yヘッド77yaは、図13(A)及び図13(B)に示されるように、Y軸に平行な直線LYa上で直線LXからの距離が等しい2点(図13(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上の共通の照射点に図13(A)においてそれぞれ破線で示される計測ビームLBya,LByaを照射する。計測ビームLBya,LByaの照射点、すなわちYヘッド77yaの検出点が、図13(B)に符号DPyaで示されている。
【0127】
Yヘッド77ybは、センターラインCLに関して、Yヘッド77yaの計測ビームLBya,LByaの射出点に対称な2点(図13(B)の白丸参照)から、計測ビームLByb,LBybを、グレーティングRG上の共通の照射点DPybに照射する。図13(B)に示されるように、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの検出点DPya、DPybは、X軸に平行な直線LX上に配置される。
【0128】
ここで、主制御装置20は、微動ステージWFS1のY軸方向の位置を、2つのYヘッド77ya、77ybの計測値の平均に基づいて決定する。従って、本実施形態では、微動ステージWFS1のY軸方向の位置は、検出点DPya、DPybの中点DPを実質的な計測点として計測される。中点DPは、計測ビームLBx,LBXのグレーティングRG上の照射点と一致する。
【0129】
すなわち、本実施形態では、微動ステージWFS1のX軸方向及びY軸方向の位置情報の計測に関して、共通の検出点を有し、この検出点は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する。従って、本実施形態では、主制御装置20は、エンコーダシステム73を用いることで、微動ステージWFS1上に載置されたウエハWの所定のショット領域にレチクルRのパターンを転写する際、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報の計測を、常に露光位置の直下(微動ステージWFS1の裏面側)で行うことができる。また、主制御装置20は、一対のYヘッド77ya、77ybの計測値の差に基づいて、微動ステージWFS1のθz方向の回転量を計測する。
【0130】
レーザ干渉計システム75は、図13(A)に示されるように、3本の測長ビームLBz、LBz、LBzを計測アーム71の先端部から、微動ステージWFS1の下面に入射させる。レーザ干渉計システム75は、これら3本の測長ビームLBz、LBz、LBzそれぞれを照射する3つのレーザ干渉計75a〜75c(図14参照)を備えている。
【0131】
レーザ干渉計システム75では、3本の測長ビームLBz、LBz、LBzは、図13(A)及び図13(B)に示されるように、その重心が、照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する、二等辺三角形(又は正三角形)の各頂点に相当する3点(計測アーム71Aの上面上の同一直線上に無い3点)から、それぞれZ軸に平行に射出される。この場合、測長ビームLBzの射出点(照射点)はセンターラインCL上に位置し、残りの測長ビームLBz、LBzの射出点(照射点)は、センターラインCLから等距離にある。本実施形態では、主制御装置20は、レーザ干渉計システム75を用いて、微動ステージWFS1のZ軸方向の位置、θz方向及びθy方向の回転量の情報を計測する。なお、レーザ干渉計75a〜75cは、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられている。レーザ干渉計75a〜75cから−Z方向に射出された測長ビームLBz、LBz、LBzは、前述の反射面RPを介して計測アーム71内をY軸方向に沿って進行し、その光路がそれぞれ折り曲げられて、上述の3点から射出される。
【0132】
本実施形態では、微動ステージWFS1の下面に、エンコーダシステム73からの各計測ビームを透過させ、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの透過を阻止する、波長選択フィルタ(図示省略)が設けられている。この場合、波長選択フィルタは、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの反射面をも兼ねる。波長選択フィルタは、波長選択性を有する薄膜などが用いられ、本実施形態では、例えば透明板(本体部81)の一面に設けられ、グレーティングRGはその一面に対してウエハホルダ側に配置される。
【0133】
以上の説明からわかるように、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73及びレーザ干渉計システム75を用いることで、微動ステージWFS1の6自由度方向の位置を計測することができる。この場合、エンコーダシステム73では、計測ビームの空気中での光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響が殆ど無視できる。従って、エンコーダシステム73により、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報(θz方向も含む)を高精度に計測できる。また、エンコーダシステム73によるX軸方向、及びY軸方向の実質的なグレーティング上の検出点、及びレーザ干渉計システム75によるZ軸方向の微動ステージWFS1下面上の検出点は、それぞれ露光領域IAの中心(露光位置)に一致するので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFS1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。また、粗動ステージWCS1が投影ユニットPUの下方にあり、粗動ステージWCS1に微動ステージWFS2が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、微動ステージWFS2の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0134】
また、計測ステーション300が備える微動ステージ位置計測系70Bは、図1に示されるように、微動ステージ位置計測系70Aと左右対称であるが、同様に構成されている。従って、微動ステージ位置計測系70Bが備える計測アーム71Bは、Y軸方向を長手方向とし、その+Y側の端部近傍が、支持部材72Bを介してメインフレームBDによってほぼ片持ち支持されている。計測アーム71Bは、粗動ステージWCS2の移動に伴い、該粗動ステージWCS2の内部の空間部内に+Y側から挿入される。
【0135】
粗動ステージWCS2がアライメント装置99の下方にあり、粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2又はWFS1が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Bを用いることで、微動ステージWFS2(又はWFS1)の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2(又はWFS1)のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0136】
図14には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、前述の局所液浸装置8、粗動ステージ駆動系51A,51B、微動ステージ駆動系52A,52B、及びリレーステージ駆動系53など、露光装置100の構成各部を統括制御する。
【0137】
上述のようにして構成された本実施形態の露光装置100では、デバイスの製造に際し、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に保持された一方の微動ステージ(ここでは、一例としてWFS1であるものとする)に保持されたウエハWに対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、そのウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンがそれぞれ転写される。このステップ・アンド・スキャン方式の露光動作は、主制御装置20により、事前に行われた、ウエハアライメントの結果(例えばエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)により得られるウエハW上の各ショット領域の配列座標を第2基準マークを基準とする座標に変換した情報)、及びレチクルアライメントの結果等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へ微動ステージWFS1が移動されるショット間移動動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で各ショット領域に転写する走査露光動作と、を繰り返すことにより、行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体Lqを保持した状態で、すなわち液浸露光により行われる。また、+Y側に位置するショット領域から−Y側に位置するショット領域の順で行われる。なお、EGAについては、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに詳細に開示されている。
【0138】
本実施形態の露光装置100では、上述の一連の露光動作中、主制御装置20により、微動ステージ位置計測系70Aを用いて、微動ステージWFS1(ウエハW)の位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハWの位置が制御される。
【0139】
なお、上述の走査露光動作時は、ウエハWをY軸方向に高加速度で駆動する必要があるが、本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、走査露光動作時には、図15(A)に示されように、原則的に粗動ステージWCS1を駆動せず、微動ステージWFS1のみをY軸方向に(必要に応じて他の5自由度方向にも併せて)駆動する(図15(A)の黒塗り矢印参照)ことで、ウエハWをY軸方向に走査する。これは、粗動ステージWCS1を駆動する場合に比べ、微動ステージWFS1のみを動かす方が駆動対象の重量が軽い分、高加速度でウエハWを駆動できて有利だからである。また、前述のように、微動ステージ位置計測系70Aは、その位置計測精度がウエハステージ位置計測系16Aよりも高いので、走査露光時には微動ステージWFS1を駆動した方が有利である。なお、この走査露光時には、微動ステージWFS1の駆動による反力(図15(A)の白抜き矢印参照)の作用により、粗動ステージWCS1が微動ステージWFS1と反対側に駆動される。すなわち、粗動ステージWCS1がカウンタマスとして機能し、ウエハステージWST1の全体から成る系の運動量が保存され、重心移動が生じないので、微動ステージWFS1の走査駆動によってベース盤12に偏荷重が作用するなどの不都合が生じることがない。
【0140】
一方、X軸方向にショット間移動(ステッピング)動作を行う際には、微動ステージWFS1のX軸方向への移動可能量が少ないことから、主制御装置20は、図15(B)に示されるように、粗動ステージWCS1をX軸方向に駆動することによって、ウエハWをX軸方向に移動させる。
【0141】
本実施形態では、上述した一方の微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光と並行して、他方の微動ステージWFS2上では、ウエハ交換、ウエハアライメント等が行われる。ウエハ交換は、微動ステージWFS2を支持する粗動ステージWCS2が、計測ステーション300又はその近傍の所定のウエハ交換位置にあるときに、不図示のウエハ搬送系の一部を構成する不図示のアンロードアーム及びロードアームによって、露光済みのウエハWが微動ステージWFS2上からアンロードされるとともに、新たなウエハWが微動ステージWFS2上へロードされることで行われる。ここで、アンロードアーム及びロードアームは、一例としていわゆるベルヌーイ・チャックをそれぞれ有している。ここで、ウエハ交換位置には、不図示のテーブルが設置されており、ウエハ交換は、微動ステージWFS1(又はWFS2)がテーブル上に載置された状態で行われる。微動ステージWFS1(又はWFS2)がテーブル上にあるとき、微動ステージWFS1のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室(減圧空間)が、不図示の給気管路及び配管を介して、加圧気体の供給源に接続された給気用ポンプに接続されている。また、微動ステージWFS2のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室(減圧空間)が、不図示の排気管路及び配管を介してバキュームポンプに接続されている。ウエハのアンロードに際しては、給気用ポンプを主制御装置20が作動させることにより、ウエハホルダによるウエハWの吸着解除と、下方からの加圧気体の吹き出しによる、ベルヌーイ・チャックによるウエハWの吸着保持動作に対するアシストが行われる。なお、ウエハが吸着されているときを含み、ポンプの停止状態(非作動状態)では、不図示のチェック弁の作用により、給気管路は閉じられている。一方、ウエハのロードに際しては、バキュームポンプを主制御装置20が作動させることにより、減圧室内の気体が排気管路及び配管を介して外部に排気され、減圧室内が負圧となって、ウエハホルダによるウエハWの吸着が開始される。そして、減圧室内が所定の圧力(負圧)となったとき、主制御装置20によりバキュームポンプが停止される。バキュームポンプが停止されると、不図示のチェック弁の作用により、排気管路は閉じられる。従って、減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS1(又はWF2)に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される。このため、微動ステージWFS1(又はWF2)を、粗動ステージから分離して支障なく搬送することができる。
【0142】
ウエハアライメントに際し、主制御装置20は、まず、プライマリアライメント系AL1の直下に微動ステージWFS2上の計測プレート86を位置決めすべく、微動ステージWFS2を駆動し、プライマリアライメント系AL1を用いて、第2基準マークを検出する。そして、主制御装置20は、例えば、国際公開第2007/097379号(対応米国特許出願公開第2008/0088843号明細書)などに開示されるように、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2及び微動ステージWFS2)を例えば−Y方向に移動させ、その移動経路上における複数箇所にウエハステージWSTを位置決めし、位置決めの都度、アライメント系AL1,AL22,AL23の少なくとも1つを用いてアライメントショット領域(サンプルショット領域)におけるアライメントマークの位置情報を、計測する(求める)。例えば、4回の位置決めを行う場合を考えると、主制御装置20は、例えば1回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3箇所のサンプルショット領域におけるアライメントマーク(以下、サンプルマークとも呼ぶ)を、2回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いてウエハW上の5つのサンプルマークを、3回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて5つのサンプルマークを、4回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて3つのサンプルマークを、それぞれ検出する。これにより、合計16箇所のアライメントショット領域におけるアライメントマークの位置情報を、16箇所のアライメントマークを単一のアライメント系で順次検出する場合などに比べて、格段に短時間で得ることができる。この場合において、上記のウエハステージWST2の移動動作と連動して、アライメント系AL1,AL22,AL23はそれぞれ、検出領域(例えば、検出光の照射領域に相当)内に順次配置されるY軸方向に沿って配列された複数のアライメントマーク(サンプルマーク)を検出する。このため、上記のアライメントマークの計測に際して、ウエハステージWST2をX軸方向に移動させる必要が無い。
【0143】
本実施形態では、主制御装置20は、第2基準マークの検出を含み、ウエハアライメントの際には、計測アーム71Bを含む微動ステージ位置計測系70Bを用いてウエハアライメント時における粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2のXY平面内の位置計測を行う。ただし、これに限らず、ウエハアライメント時の微動ステージWFS2の移動を粗動ステージWCS2と一体で行う場合には、前述したウエハステージ位置計測系16Bを介してウエハWの位置を計測しながらウエハアライメントを行っても良い。また、計測ステーション300と露光ステーション200とが離間しているので、ウエハアライメント時と露光時とでは、微動ステージWFS2の位置は、異なる座標系上で管理される。そこで、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標を、第2基準マークを基準とする配列座標に変換する。
【0144】
このようにして微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了するが、このときは未だ、露光ステーション200において微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光が続行されている。図16(A)には、このウエハWに対するウエハアライメントが終了した段階の、粗動ステージWCS1、WCS2及びリレーステージDRSTの位置関係が示されている。
【0145】
主制御装置20は、粗動ステージ駆動系51Bを介してウエハステージWST2を図16(B)中の白抜き矢印で示されるように、−Y方向に所定距離駆動し、所定の待機位置(例えば、投影光学系PLの光軸AXとプライマリアライメント系AL1の検出中心との中央位置にほぼ一致)に静止しているリレーステージDRSTに接触又は500μm程度隔てて近接させる。
【0146】
次に、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52B,52CのY駆動コイルに流れる電流を制御して、ローレンツ力により微動ステージWFS2を、図16(C)中の黒塗り矢印で示されるように、−Y方向に駆動し、粗動ステージWCS2からリレーステージDRSTへ微動ステージWFS2を移載する。図16(D)には、リレーステージDRSTへの微動ステージWFS2の移載が終了した状態が示されている。
【0147】
主制御装置20は、図16(D)に示される位置にリレーステージDRST及び粗動ステージWCS2を待機させた状態で、微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了するのを待つ。
【0148】
図18には、露光が終了した直後のウエハステージWST1の状態が示されている。
【0149】
主制御装置20は、露光終了に先立って、図17の白抜き矢印で示されるように、ブレード駆動系58を介して図4に示される状態から可動ブレードBLを所定量下方に駆動する。これにより、図17に示されるように、可動ブレードBL上面と投影光学系PLの下方に位置する微動ステージWFS1(及びウエハW)上面とが同一面上に位置する。そして、主制御装置20は、この状態で、露光が終了するのを待つ。
【0150】
そして、露光が終了すると、主制御装置20は、ブレード駆動系58を介して可動ブレードBLを+Y方向に所定量駆動し(図18中の白抜き矢印参照)、可動ブレードBLを、微動ステージWFS1に接触又は300μm程度のクリアランスを介して近接させる。すなわち、主制御装置20は、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とをスクラム状態に設定する。
【0151】
次に、主制御装置20は、図19に示されるように、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とのスクラム状態を維持しつつ、ウエハステージWST1と一体で可動ブレードBLを+Y方向に駆動する(図19の白抜き矢印参照)。これにより、先端レンズ191との間に保持されていた液体Lqで形成される液浸空間が、微動ステージWFS1から可動ブレードBLに渡される。図19には、液体Lqで形成される液浸空間が微動ステージWFS1から可動ブレードBLに渡される直前の状態が示されている。この図19の状態では、先端レンズ191と、微動ステージWFS1及び可動ブレードBLとの間に、液体Lqが保持されている。なお、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とを近接させて駆動する場合、液体Lqの漏出が防止あるいは抑制されるように可動ブレードBLと微動ステージWFS1とのギャップ(クリアランス)を設定することが好ましい。ここで、近接は、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とのギャップ(クリアランス)が零の場合、すなわち両者が接触する場合をも含む。
【0152】
そして、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しが終了すると、主制御装置20は、図20に示されるように、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1が、前述の待機位置で微動ステージWFS2を保持して、粗動ステージWCS2と近接した状態で待機しているリレーステージDRSTに接触又は300μm程度のクリアランスを介して近接する。この微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1が、+Y方向に移動している途中の段階で、主制御装置20は、搬送部材駆動系54を介して搬送装置46の搬送部材48を粗動ステージWCS1の空間部内に挿入している。
【0153】
そして、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1が、リレーステージDRSTに接触又は近接した時点で、主制御装置20は、搬送部材48を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS1を支持させる。
【0154】
そして、この状態で、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、粗動ステージWCS1を、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離する。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS1から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図21(A)の白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を支持している搬送部材48を下方に駆動する。
【0155】
そして、主制御装置20は、粗動ステージWCS1の、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを合体後、不図示のロック機構をロックする。
【0156】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS1を下方から支持する搬送部材48をリレーステージDRSTのステージ本体44の内部に移動させる。図21(B)には、搬送部材48の移動が行われている状態が示されている。また、主制御装置20は、搬送部材48の移動と並行して、微動ステージ駆動系52C,52AのY駆動コイルに流れる電流を制御して、ローレンツ力により微動ステージWFS2を、図21(B)中の黒塗り矢印で示されるように、−Y方向に駆動し、微動ステージWFS2をリレーステージDRSTから粗動ステージWCS1に移載(スライド移動)する。
【0157】
また、主制御装置20は、微動ステージWFS1がリレーステージDRSTの空間に完全に収容されるように、搬送部材48の搬送部材本体をリレーステージDRSTの空間に収容後、微動ステージWFS1を保持している移動部材を搬送部材本体上で+Y方向に移動させる(図21(C)中の白抜き矢印参照)。
【0158】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS2を保持した粗動ステージWCS1を、−Y方向に移動して、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0159】
そして、主制御装置20は、露光開始に先立って、前述の一対のレチクルアライメント系RA,RA、及び微動ステージWFS2の計測プレート86上の一対の第1基準マークなどを用いて、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順(例えば、米国特許第5,646,413号明細書などに開示される手順)で、レチクルアライメントを行う。図21(D)には、レチクルアライメント中の微動ステージWFS2が、これを保持する粗動ステージWCS1とともに示されている。そして、主制御装置20は、レチクルアライメントの結果と、ウエハアライメントの結果(ウエハW上の各ショット領域の第2基準マークを基準とする配列座標)とに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。この露光は、図21(E)及び図21(F)からも明らかなように、レチクルアライメント後、微動ステージWFS2を一端−Y側に戻し、ウエハW上の+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で行われる。
【0160】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のような動作が行われている。
【0161】
すなわち、主制御装置20は、図21(D)に示されるように、微動ステージWFS1を保持している搬送部材48を粗動ステージWCS2の空間内に移動させる。このとき、主制御装置20は、搬送部材48の移動とともに、微動ステージWFS1を保持している移動部材を搬送部材本体上で+Y方向に移動させる。
【0162】
次に、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、粗動ステージWCS2を、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離するとともに、図21(E)中の白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を保持している搬送部材48を上方に駆動し、微動ステージWFS1を、微動ステージWFS1が備える各一対の可動子部が、粗動ステージWCS2の一対の固定子部に係合可能となる高さに位置決めする。
【0163】
そして、主制御装置20は、粗動ステージWCS2の第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとを合体させる。これにより、露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2に支持される。そこで、主制御装置20は、不図示のロック機構をロックする。
【0164】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS1を支持している粗動ステージWCS2を、図21(F)の白抜き矢印で示されるように+Y方向に駆動し、計測ステーション300に移動させる。
【0165】
その後、主制御装置20によって、微動ステージWFS1上では、ウエハ交換、第2基準マークの検出、ウエハアライメント等が、前述と同様の手順で行われる。
【0166】
そして、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標を、第2基準マークを基準とする配列座標に変換する。この場合も、微動ステージ位置計測系70Bを用いて、アライメントの際の微動ステージWFS1の位置計測が行われる。
【0167】
このようにして微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了するが、このときは未だ、露光ステーション200において微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対する露光が続行されている。
【0168】
そして、主制御装置20は、前述と同様にして、微動ステージWFS1をリレーステージDRSTへ移載する。主制御装置20は、リレーステージDRST及び粗動ステージWCS2を前述の待機位置で待機させた状態で、微動ステージWFS2上のウエハWに対する露光が終了するのを待つ。
【0169】
以降、同様の処理が、微動ステージWFS1、WFS2を交互に用いて繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0170】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置20により、粗動ステージ駆動系51Aを介して粗動ステージWCS1の第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとがそれぞれ駆動され、該第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとが分離すると、分離前の粗動ステージWCS1によって保持されていた微動ステージWFS1(又はWFS2)を、露光済みのウエハWを保持したまま、粗動ステージWCS1から容易に離脱させることができる。すなわち、微動ステージWFS1と一体でウエハWを粗動ステージWCS1から容易に離脱させることができる。
【0171】
この場合において、本実施形態では、粗動ステージWCS1の内部の空間部内に先端部が位置する片持ち支持状態の計測アーム71Aの固定端から自由端に向かう方向(+Y方向)に粗動ステージWCS1と一体で微動ステージWFS1(又はWFS2)を移動させた後、粗動ステージWCS1を第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離させて、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から容易に離脱させるので、その離脱の際に、計測アーム71Aに邪魔されることなく、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から離脱させることができる。
【0172】
また、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)が粗動ステージWCS1から離脱した後、露光前のウエハWを保持する別の微動ステージWFS2(又はWFS1)を、粗動ステージWCS1に保持させる。従って、露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1(又はWFS2)と、露光前のウエハWを保持する別の微動ステージWFS2(又はWFS1)とを、それぞれウエハWを保持したままの状態で、粗動ステージWCS1から離脱、又は粗動ステージWCS1に保持させることが可能になる。
【0173】
また、主制御装置20により、搬送部材駆動系54を介して搬送部材48が駆動され、露光済みのウエハWを保持したまま粗動ステージWCS1から離脱した微動ステージWFS1(又はWFS2)がリレーステージDRSTの内部空間に収納される。
【0174】
また、主制御装置20により、粗動ステージ駆動系51Bを介して粗動ステージWCS2の第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが分離された状態で、搬送部材駆動系54を介して搬送部材48が駆動され、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)が所定高さに位置決めされる。そして、主制御装置20により、粗動ステージ駆動系51Bを介して粗動ステージWCS2の第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが一体化されることで、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)を、リレーステージDRSTから粗動ステージWCS2に受け渡すことができる。
【0175】
さらに、主制御装置20により、露光前のウエハWを保持する微動ステージWFS2(又はWFS1)が、微動ステージ駆動系52B,52Cを介して粗動ステージWCS2からリレーステージDRSTへ、さらには微動ステージ駆動系52C,52Aを介してリレーステージDRSTから粗動ステージWCS1へ、移載される。
【0176】
従って、本実施形態の露光装置100によると、ウエハWが大型化しても、特に支障なく、微動ステージWFS1又はWFS2と一体でウエハWを、粗動ステージWCS1、リレーステージDRST、及び粗動ステージWCS2の3者間で、受け渡すことができる。
【0177】
また、可動ブレードBLは、微動ステージWFS1(又はWFS2)が先端レンズ191(投影光学系PL)との間で液体Lqを保持しているとき、Y軸方向に関して微動ステージWFS1(又はWFS2)に接触又は300μm程度のクリアランスを介して近接するスクラム状態となり、該スクラム状態を維持して微動ステージWFS1(又はWFS2)と共にY軸方向に沿って計測アーム71Aの固定端側から自由端側に移動し、その移動後に先端レンズ191(投影光学系PL)との間で液体Lqを保持する。このため、計測アーム71Aに邪魔されることなく、先端レンズ191(投影光学系PL)との間に保持される液体Lq(該液体Lqによって形成される液浸空間)を、微動ステージWFS1(又はWFS2)から可動ブレードBLに受け渡すことが可能となる。
【0178】
また、本実施形態の露光装置100によると、露光ステーション200において、粗動ステージWCS1に相対移動可能に保持された微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWがレチクルR及び投影光学系PLを介して露光光ILで露光される。この際、粗動ステージWCS1に移動可能に保持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、微動ステージWFS1(又はWFS2)に配置されたグレーティングRGに対向する計測アーム71Aを有する微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73を用いて計測される。この場合、粗動ステージWCS1には、その内部に空間部が形成され、微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドは、この空間部内に配置されているので、微動ステージWFS1(又はWFS2)と微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドとの間には、空間が存在するのみである。従って、各ヘッドを微動ステージWFS1(又はWFS2)(グレーティングRG)に近接して配置することができ、これにより、微動ステージ位置計測系70Aによる微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報の高精度な計測が可能になる。また、この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51A及び/又は微動ステージ駆動系52Aを介した微動ステージWFS1(又はWFS2)の高精度な駆動が可能になる。
【0179】
また、この場合、計測アーム71Aから射出される、微動ステージ位置計測系70Aを構成するエンコーダシステム73、レーザ干渉計システム75の各ヘッドの計測ビームのグレーティングRG上の照射点は、ウエハWに照射される露光光ILの照射領域(露光領域)IAの中心(露光位置)に一致している。従って、主制御装置20は、いわゆるアッベ誤差の影響を受けることなく、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。また、計測アーム71AをグレーティングRGの直下に配置することによって、エンコーダシステム73の各ヘッドの計測ビームの大気中の光路長を極短くできるので、空気揺らぎの影響が低減され、この点においても、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。
【0180】
また、本実施形態では、計測ステーション300には、微動ステージ位置計測系70Aと左右対称に構成された微動ステージ位置計測系70Bが設けられている。そして、計測ステーション300において、粗動ステージWCS2に保持された微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハWに対するウエハアライメントがアライメント系AL1、AL21〜AL24などによって行われる際、粗動ステージWCS2に移動可能に保持されている微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報が、微動ステージ位置計測系70Bによって高精度に計測される。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51B及び/又は微動ステージ駆動系52Bを介した微動ステージWFS2(又はWFS1)の高精度な駆動が可能になる。
【0181】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1,WFS2のXY平面に実質的に平行な一面にグレーティングRGが形成された計測面がそれぞれ設けられている。微動ステージWFS1(又はWFS2)が、粗動ステージWCS1(又はWCS2)により、XY平面に沿って相対移動可能に保持される。そして、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)が、粗動ステージWCS1の空間部内にグレーティングRGが形成された計測面に対向して配置され、計測面に一対の計測ビームLBx,LBx、LBya,LBya、LByb,LBybをそれぞれ照射し、該計測ビームの計測面からの光(例えば各計測ビームのグレーティングRGによる一次回折ビームの合成ビームLBx12、LBya12、LByb12)を受光するXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybを有している。そして、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)により、そのヘッドXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybの出力に基づいて微動ステージWFS1(又はWFS2)の少なくともXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)が計測される。このため、微動ステージWFS1(又はWFS2)のグレーティングRGが形成された計測面にXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybから一対の計測ビームLBx,LBx、LBya,LBya、LByb,LBybをそれぞれ照射して、いわゆる裏面計測により微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報を精度良く計測することが可能となる。そして、主制御装置20により、微動ステージ駆動系52A、あるいは(微動ステージ駆動系52A及び粗動ステージ駆動系51A)を介して、(又は微動ステージ駆動系52B、あるいは(微動ステージ駆動系52B及び粗動ステージ駆動系51B)を介して、)微動ステージ位置計測系70A(又は70B)で計測された位置情報に基づいて、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、単独で若しくはWCS1(又はWCS2)と一体で駆動される。また、上述の如く、微動ステージ上に上下動部材を設ける必要がないので、上記の裏面計測を採用しても特に支障は生じない。
【0182】
また、本実施形態では、露光ステーション200側の計測アーム71Aと計測ステーション300側の計測アーム71Bとは、互いの自由端と固定端とが反対向きに設定されているので、それらの計測アーム71A,71Bに邪魔されることなく、粗動ステージWCS1を計測ステーション300に(より正確には、リレーステージDRSTに)近づけることができるとともに、粗動ステージWCS2を露光ステーション200に(より正確には、リレーステージDRSTに)近づけることができる。
【0183】
また、本実施形態によると、露光前のウエハを保持する微動ステージWFS2(又はWFS1)の粗動ステージWCS2からリレーステージDRSTへの受け渡し及びリレーステージDRSTから粗動ステージWCS1への受け渡しは、粗動ステージWCS2、リレーステージDRST、及び粗動ステージWCS1の上端面(一対の固定子部93a、93bを含むXY平面に平行な面(第1面))に沿って微動ステージWFS2(又はWFS1)を、スライド移動させることで行われる。また、露光済みのウエハを保持する微動ステージWFS1(又はWFS2)の粗動ステージWCS1からリレーステージDRSTへの受け渡し及びリレーステージDRSTから粗動ステージWCS2への受け渡しは、第1面の−Z側に位置する、粗動ステージWCS1、リレーステージDRST、及び粗動ステージWCS2の内部の空間内で微動ステージWFS1(又はWFS2)を移動させることで行われる。従って、粗動ステージWCS1とリレーステージDRSTとの間、及び粗動ステージWCS2リレーステージDRSTとの間における、ウエハの受け渡しを、装置のフットプリントの増加を極力抑制して、実現することが可能になる。従って、ランニングコストの維持又は低減が可能である。
【0184】
また、上記実施形態では、リレーステージDRSTは、XY平面内で移動可能な構成であるにもかかわらず、前述の一連の並行処理動作の説明から明らかなように、実際のシーケンスでは、前述した待機位置に待機したままである。この点においても、装置のフットプリントの増加が抑制されている。
【0185】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1(又はWFS2)を精度良く駆動することができるので、この微動ステージWFS1(又はWFS2)に載置されたウエハWをレチクルステージRST(レチクルR)に同期して精度良く駆動し、走査露光により、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することが可能になる。また、本実施形態の露光装置100では、露光ステーション200において、微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWに対する露光動作を行うのと並行して、計測ステーション300において、微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハ交換、及びそのウエハWに対するアライメント計測などを行うことができるので、ウエハ交換、アライメント計測、露光の各処理をシーケンシャルに行う場合に比べて、スループットの向上が可能である。
【0186】
なお、上記実施形態では、図21(A)〜図21(C)を用いて、露光済のウエハWを保持する微動ステージWFS1を先にリレーステージDRSTの搬送部材48に受渡し、その後でリレーステージDRSTに保持された微動ステージWFS2をスライドさせて粗動ステージWCS1で保持することとした。しかし、これに限らず、微動ステージWFS2を先にリレーステージDRSTの搬送部材48に受渡し、その後で粗動ステージWCS1に保持された微動ステージWFS1をスライドさせてリレーステージDRSTで保持しても良い。
【0187】
また、上記実施形態では、微動ステージWFS1、WFS2を、粗動ステージWCS1、WCS2間で入れ替えるために、リレーステージDRSTに対して粗動ステージWCS1、WCS2をそれぞれ近接させる場合、リレーステージDRSTと粗動ステージWCS1、WCS2とのギャップ(クリアランス)を300μm程度に設定するものとしたが、このギャップは、例えば可動ブレードBLと微動ステージWFS1とを近接させて駆動する場合などのように狭く設定する必要はない。この場合、リレーステージDRSTと粗動ステージとの間での微動ステージの移動時に微動ステージが大きく傾かない(要はリニアモータの固定子と可動子とが接触しない)範囲で、リレーステージDRSTと粗動ステージとを離しても良い。すなわち、リレーステージDRSTと粗動ステージWCS1、WCS2とのギャップは、300μm程度に限らず、極端に大きくしても良い。
【0188】
また、上記実施形態では、粗動ステージWCS1,WCS2に加えて、リレーステージDRSTを備える場合について説明したが、以下で説明する各実施形態のように、リレーステージは、必ずしも設けなくても良い。この場合には、例えば粗動ステージWCS2と粗動ステージWCS1との間で微動ステージを直接受け渡す、あるいは例えばロボットアームその他の支持装置を介して受け渡すこととすれば良い。前者の場合、例えば粗動ステージWCS1に対して微動ステージを渡し、粗動ステージWCS1から微動ステージを受け取って不図示の外部搬送系に渡す搬送機構を、粗動ステージWCS2に設けても良い。この場合、外部搬送系によってウエハを保持する微動ステージを粗動ステージWCS2に対して装着するようにすれば良い。後者の場合、粗動ステージWCS1、WCS2の一方が支持する微動ステージを支持装置に受け渡し、他方が支持する微動ステージを一方に直接受け渡し、最後に支持装置が支持している微動ステージを他方に受け渡す。この場合、支持装置としては、ロボットアームなどの他、通常時は、床面から上方に突出しないようにベース盤12の内部に収まっており、粗動ステージWCS1、WCS2が2つの部分に分離した際に上昇して微動ステージを支持し、支持したまま下降する上下動可能なテーブルなどを用いることができる。この他、粗動ステージWCS1、WCS2の粗動スライダ部91にY軸方向に細長い切り欠きが形成されている場合には、軸部が床面から上方に突出した上下動可能なテーブルなどを用いることもできる。いずれにしても支持装置は、その微動ステージを支持する部分が、少なくとも一方向に可動で、微動ステージを支持した状態で、粗動ステージWCS1、WCS2間で微動ステージが直接受け渡される際、その妨げとならない構造であれば良い。いずれにしてもリレーステージを設けない場合には、その分装置のフットプリントを小さくすることができる。従って、ランニングコストの維持又は低減が可能である。
【0189】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を、図22〜図49に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いると共に、その説明を簡略化し若しくは省略する。
【0190】
図22には、本第2の実施形態の露光装置1100の構成が概略的に示され、図23には、露光装置1100の一部省略した平面図が示されている。また、図25(A)には、露光装置1100が備えるウエハステージを示す−Y方向から見た側面図が示され、図25(B)には、ウエハステージの平面図が示されている。また、図26(A)には、粗動ステージが取り出して平面図にて示され、図26(B)には、粗動ステージが2部分に分離した状態が平面図にて示されている。さらに、図27には、粗動ステージが分離した状態のウエハステージの正面図が示されている。
【0191】
露光装置1100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0192】
露光装置1100は、図22に示されるように、ベース盤12上の計測ステーション300と前記露光ステーション200との間に配置されたセンターテーブル130を、前述のリレーステージに代えて、備えている。また、露光装置1100は、センターテーブル130が設けられたことに対応して、センターテーブル130上に載置された微動ステージWFS1又はWFS2を、ウエハ交換のため、アンローディングポジション兼ローディングポジション、すなわちウエハ交換位置ULP/LPに搬送するロボットアーム140を備えている(図22及び図23参照)。さらに、露光装置1100では、センターテーブル130が設けられたことに対応して、粗動ステージWCS1、WCS2の粗動スライダ部91に、U字状の切り欠き95が形成されている(図26(A)参照)。露光装置1100では、その他の部分の構成は、前述した第1の実施形態の露光装置100と同様になっている。以下では、重複説明を避ける観点から、露光装置100との相違点を中心に説明を行う。
【0193】
センターテーブル130は、図23に示されるように、計測ステーション300と露光ステーション200との間の位置であって、基準軸LV上にその中心がほぼ一致して配置されている。センターテーブル130は、図24に示されるように、ベース盤12の内部に配置された駆動装置132と、該駆動装置132によって上下に駆動される軸134と、軸134の上端に固定された平面視X字形のテーブル本体136とを備えている。センターテーブル130の駆動装置132は、主制御装置20によって制御される(図28参照)。
【0194】
露光装置1100は、前述の如く、センターテーブル130上に載置された微動ステージWFS1又はWFS2を、ウエハ交換位置ULP/LPに搬送するロボットアーム140を備えているが、ロボットアーム140も、主制御装置20によって制御される(図28参照)。
【0195】
露光装置1100が備える粗動ステージWCS1、WCS2は、図26(A)に、粗動ステージWCS1を代表的に取り上げて示されるように、粗動スライダ部91の長手方向(X軸方向)の中央のY軸方向の一側(+Y側)端部に前述の駆動軸134の直径より大きな幅のU字状の切り欠き95が形成されている。
【0196】
また、粗動ステージWCS1は、図26(B)及び図27に示されるように、長手方向の中央の分離線を境として、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとの2つの部分に分離可能に構成されている。そして、第1部分WCS1a、第2部分WCS1bが、それぞれ粗動ステージ駆動系51Aa、51Abによって駆動されるようになっている(図28参照)。
【0197】
通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体化して不図示のロック機構を介してロックされている。すなわち、通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体的に動作する。そして、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bが一体化して成る粗動ステージWCS1が、粗動ステージ駆動系51Aa、51Abを含む粗動ステージ駆動系51Aによって駆動される(図28参照)。
【0198】
粗動ステージWCS2も、粗動ステージWCS1と同様に第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとの2つの部分に分離可能に構成され(例えば図42参照)、粗動ステージ駆動系51Aと同様に構成された粗動ステージ駆動系51Bによって駆動される(図28参照)。なお、粗動ステージWCS2は、粗動ステージWCS1とは反対向き、すなわち粗動スライダ部91の切り欠き95がY軸方向の他側(−Y側)に向かって開口する向きで、ベース盤12上に配置されている。
【0199】
図28には、露光装置1100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、露光装置1100の構成各部を統括制御する。
【0200】
本第2の実施形態では、一方の微動ステージ上で、上述したウエハWに対する露光が行われるのと並行して、他方の微動ステージ上では、ウエハ交換及びウエハアライメントが少なくとも一部行われる。
【0201】
《並行処理動作(その1)》
以下、本第2の実施形態の露光装置1100において、2つの微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理動作(その1)について、説明する。
【0202】
図29には、微動ステージWFS1が、露光ステーション200にあり、その微動ステージWFS1に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、微動ステージWFS2が、計測ステーション300にあり、その微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態が示されている。
【0203】
上記の微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントは、前述した第1の実施形態と同様にして行われる。そして、微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了する。図23には、このウエハアライメントが終了したときの状態が示されている。図23からわかるように、このとき、露光ステーション200において微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光が終了間近の状態にある。
【0204】
図32(A)には、このウエハWに対するウエハアライメントが終了した段階の、粗動ステージWCS1、WCS2の位置関係が示されている。
【0205】
主制御装置20は、図32(A)に示される位置にウエハステージWST2を待機させた状態で、微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了するのを待つ。主制御装置20は、露光終了に先立って、前述と同様に、可動ブレードBLを所定量下方に駆動する。
【0206】
そして、露光が終了すると、図30に示されるように、主制御装置20は、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しを開始する。この受け渡しは、前述の第1の実施形態と同様の手順で、行われる。
【0207】
そして、図31に示されるように、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しが終了すると、主制御装置20は、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1を、さらに+Y方向に駆動して、所定の待機位置で微動ステージWFS2を保持して待機している粗動ステージWCS2の近傍まで移動させる。これにより、粗動ステージWCS1により、微動ステージWFS1がセンターテーブル130の真上に搬送される。このとき、図32(B)に示されるように、粗動ステージWCS1が、内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS1を支持する状態となる。図33には、このときの露光装置1100の状態が平面図にて示されている。ただし、可動ブレードBLの図示は省略されている。他の平面図においても同様である。
【0208】
そして、主制御装置20は、センターテーブル130の駆動装置132を介してテーブル本体136を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS1を支持させる。
【0209】
そして、この状態で、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図34に示されるように、粗動ステージWCS1を、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離する。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS1から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図32(C)中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を支持しているテーブル本体136を下方に駆動する。
【0210】
そして、主制御装置20は、粗動ステージWCS1の、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを合体後、不図示のロック機構をロックする。
【0211】
次に、主制御装置20は、粗動ステージWCS2を粗動ステージWCS1にほぼ接触させるとともに、微動ステージ駆動系52A,52Bを介して微動ステージWFS2を、図32(D)中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向に駆動し、微動ステージWFS2を粗動ステージWCS2から粗動ステージWCS1に移載(スライド移動)する。
【0212】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1を、図35(A)中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向に移動させて、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0213】
そして、主制御装置20は、前述と同様の手順で、レチクルアライメント、及びステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、微動ステージWFS2上のウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。
【0214】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のa.〜f.のような動作が行われている。
【0215】
a. すなわち、主制御装置20によって、ロボットアーム140がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に所定の手順で駆動され(図36及び図37の白抜き矢印参照)、センターテーブル130のテーブル本体136上に載置された露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1が、ロボットアーム140によってウエハ交換位置ULP/LPに搬送される。図37には、微動ステージWFS1が、ウエハ交換位置ULP/LPに搬送された状態が示されている。このとき、微動ステージWFS2上のウエハWに対する露光は続行されている。
【0216】
b. そして、ウエハ交換位置で、前述の第1の実施形態と同様の不図示のアンロードアーム及びロードアームによって、前述の第1の実施形態と同様にして、微動ステージWFS1上の露光済みのウエハWが、露光前の新たなウエハWに交換される。この場合も、不図示のチェック弁の作用により、微動ステージWFS1のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS1(又はWF2)に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される。このため、微動ステージWFS1(又はWF2)を、粗動ステージから分離して支障なく搬送することができる。
【0217】
c. ウエハ交換後、主制御装置20によって、ロボットアーム140がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に所定の手順で駆動され、新たなウエハWを保持する微動ステージWFS1が、ロボットアーム140によって、センターテーブル130のテーブル本体136上に搬送される。図38には、微動ステージWFS1のセンターテーブル130上への搬送が終了した状態が示されている。搬送終了後、センターテーブル130のテーブル本体136は、主制御装置20により、駆動装置132を介して所定量上方に駆動される。このとき、微動ステージWFS2上では、ウエハWの露光が続行されている。
d. 次いで、主制御装置20により、アライメント終了位置の近傍で待機していた粗動ステージWCS2が−Y方向に駆動され、これにより、テーブル本体136上に支持されている微動ステージWFS1が、図39に示されるように、粗動ステージWCS2に装着される。その後、テーブル本体136が所定量下降駆動される。これにより、微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2に支持されるようになる。
e. 次いで、主制御装置20により、粗動ステージWCS2が+Y方向に駆動され、計測ステーション300に移動される。
【0218】
f. その後、粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS1上の第2基準マークの検出、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメント等が、前述と同様の手順で行われる。そして、主制御装置20により、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標が、第2基準マークを基準とする配列座標に変換される。この場合も、微動ステージ位置計測系70Bを用いて、アライメントの際の微動ステージWFS1の位置計測が行われる。図40には、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメントが行われている状態が示されている。
【0219】
図40の状態は、前述の図29の場合と同様の状態、すなわち露光ステーション200にある微動ステージWFS2に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、計測ステーション300にある微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態である。
【0220】
以降、主制御装置20により、微動ステージWFS1、WFS2を順次用いて、前述と同様の並行処理が、繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0221】
《並行処理動作(その2)》
次に、本第2の実施形態の露光装置1100において、2つの微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理動作(その2)について、説明する。
【0222】
図29には、微動ステージWFS1が、露光ステーション200にあり、その微動ステージWFS1に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、微動ステージWFS2が、計測ステーション300にあり、その微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態が示されている。
【0223】
この場合、微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了する。図41には、このウエハアライメントが終了した直後の状態が示されている。図41からわかるように、このとき、露光ステーション200において微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光は続行中である。
【0224】
次いで、主制御装置20は、図41中の白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を保持する粗動ステージWCS2を、−Y方向に駆動して、センターテーブル130の所に移動させる。これにより、図43(A)に示されるように、粗動ステージWCS1が、内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持する状態となる。すなわち、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS2がセンターテーブル130の真上に搬送される。
【0225】
そして、主制御装置20は、センターテーブル130の駆動装置132を介してテーブル本体136を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS2を支持させる。
【0226】
そして、この状態で、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図42に示されるように、粗動ステージWCS2を、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離する。これにより、微動ステージWFS2が粗動ステージWCS2から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図43(B)の白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を支持しているテーブル本体136を下方に駆動する。そして、主制御装置20は、粗動ステージWCS2の、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとを合体後、不図示のロック機構をロックする。このとき、露光ステーション200において微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光は続行中である。
【0227】
そして、主制御装置20は、露光が終了するのを待ち、露光が終了すると、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とをスクラム状態に設定し、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とのスクラム状態を維持しつつ、ウエハステージWST1と一体で可動ブレードBLを+Y方向に駆動する。そして、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しが終了すると、主制御装置20は、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1を、さらに+Y方向に駆動して、粗動ステージWCS2にほぼ接触する位置まで移動させる。
【0228】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS1を、図43(C)の白抜き矢印で示されるように、+Y方向に駆動し、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から粗動ステージWCS2に移載(スライド移動)するとともに、粗動ステージWCS1及びWCS2を+Y方向に駆動して、図43(D)に示される位置まで移動させる。
【0229】
次いで、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図44に示されるように、粗動ステージWCS1を、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離した後、微動ステージWFS2を支持しているテーブル本体136を所定量上方に駆動する。これにより、微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS1により支持可能となる高さの位置に移動する。そして、主制御装置20は、粗動ステージWCS1の、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを合体後、不図示のロック機構をロックする。これにより、図45に示されるように、粗動ステージWCS1により微動ステージWFS2が、支持される。
【0230】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1を、投影光学系PLに向かって−Y方向に移動させ、その移動の途中で、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0231】
そして、主制御装置20は、露光開始に先立って、前述の一対のレチクルアライメント系RA,RA、及び微動ステージWFS2の計測プレート86上の一対の第1基準マークなどを用いて、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順(例えば、米国特許第5,646,413号明細書などに開示される手順)で、レチクルアライメントを行う。そして、主制御装置20は、レチクルアライメントの結果と、ウエハアライメントの結果(ウエハW上の各ショット領域の第2基準マークを基準とする配列座標)とに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。
【0232】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のg.〜k.のような動作が行われている。
【0233】
g. すなわち、主制御装置20によって、微動ステージWFS1を支持した粗動ステージWCS2が、−Y方向に駆動され、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS1がセンターテーブル130の真上に搬送される。図46には、このときの露光装置1100の状態が平面図にて示されている。次いで、主制御装置20によって、テーブル本体136が上方に駆動され、これによって、テーブル本体136によって微動ステージWFS1が下方から支持される。
h. 次に、主制御装置20によって、不図示のロック機構が解除され、図47に示されるように、粗動ステージWCS2が、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離される。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS2から離脱可能となる。次いで、主制御装置20により、微動ステージWFS1を支持しているテーブル本体136が下方に駆動される。
i. 次に、主制御装置20により、粗動ステージWCS2の、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、図48に示されるように、+Y方向に駆動され、計測ステーション300に移動される。
j. 次に、主制御装置20により、ロボットアーム140がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に所定の手順で駆動され(図48及び図49の白抜き矢印参照)、センターテーブル130のテーブル本体136上に載置された露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1が、ロボットアーム140によってウエハ交換位置ULP/LPに搬送される。図49には、微動ステージWFS1が、ウエハ交換位置ULP/LPに搬送された状態が示されている。このとき、微動ステージWFS2上のウエハWに対する露光は続行されている。なお、微動ステージWFS1のウエハ交換位置ULP/LPへの搬送と並行して、主制御装置20により、粗動ステージWCS2の、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、図49に示されるように、合体され、不図示のロック機構がロックされる。このとき、露光ステーション200において微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光は続行中である。
k. その後、前述のb.〜f.と同様の並行処理動作が行われ、これにより、前述の図29の場合と同様の状態、すなわち露光ステーション200にある微動ステージWFS2に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、計測ステーション300にある微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態となる。
【0234】
以降、主制御装置20により、微動ステージWFS1、WFS2を順次用いて、前述と同様の並行処理が、繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0235】
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態の露光装置1100によると、主制御装置20は、露光ステーション200において露光が行われたウエハWを保持する微動ステージ(WFS1又はWFS2)を、粗動ステージWCS1からセンターテーブル130のテーブル本体136に渡し、ロボットアーム140により、テーブル本体136上の微動ステージをウエハ交換位置ULP/LPに搬送することができる。また、主制御装置20は、露光ステーション200において露光が行われたウエハWを保持する微動ステージ(WFS1又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から粗動ステージWCS2に移載し、粗動ステージWCS2からセンターテーブル130のテーブル本体136に渡し、ロボットアーム140により、テーブル本体136上の微動ステージをウエハ交換位置ULP/LPに搬送することができる。いずれにしても、露光ステーション200と計測ステーション300とを結ぶ経路が外れた位置にあるウエハ交換位置ULP/LPに、露光済みのウエハWを保持する微動ステージが搬送された後に露光済みのウエハを新たなウエハに交換するウエハ交換が行われる。従って、1つの微動ステージ上に保持されたウエハに対する露光動作と少なくとも一部並行して、ウエハ交換を、ウエハ交換位置ULP/LPで行うことが可能となり、従来と同様の手法によるウエハ交換が困難な450mmウエハなどを処理対象とする場合であっても、スループットを殆ど低下させることなく、ウエハ処理を実現することが可能である。
【0236】
これに加え、本実施形態の露光装置1100によると、前述した第1の実施形態の露光装置100と同様の構成部分を備えているので、同等の効果を得ることができる。具体的には、粗動ステージWCS1に相対移動可能に保持された微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWがレチクルR及び投影光学系PLを介して露光光ILで露光される際に、前述の微動ステージ位置計測系70Aによって、いわゆる裏面計測により微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報を精度良く計測することが可能となる。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51A及び/又は微動ステージ駆動系52Aを介した微動ステージWFS1(又はWFS2)の高精度な駆動が可能になる。
【0237】
また、粗動ステージWCS2に保持された微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハWに対するウエハアライメントがアライメント系AL1、AL21〜AL24などによって行われる際、粗動ステージWCS2に移動可能に保持されている微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報が、微動ステージ位置計測系70Bによって高精度に計測される。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51B及び/又は微動ステージ駆動系52Bを介した微動ステージWFS2(又はWFS1)の高精度な駆動が可能になる。
【0238】
また、本実施形態の露光装置1100によると、微動ステージWFS1(又はWFS2)を精度良く駆動することができるので、この微動ステージWFS1(又はWFS2)に載置されたウエハWをレチクルステージRST(レチクルR)に同期して精度良く駆動し、走査露光により、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することが可能になる。
【0239】
なお、上記第2の実施形態におけるセンターテーブル130上の微動ステージの搬出入に着目すれば、露光済みのウエハWを保持する微動ステージがセンターテーブル130上から主制御装置20の制御下にあるロボットアーム140によって搬出され、新たなウエハWを保持する微動ステージがロボットアーム140によってセンターテーブル130上に搬入されている。従って、ロボットアーム140によってウエハWは微動ステージと一体で交換されているとも言える。なお、微動ステージが3つ以上ある場合には、ウエハWと微動ステージとを、別の微動ステージと別のウエハとに交換することができる。
【0240】
また、上記第2の実施形態では、センターテーブル130に保持される微動ステージを、ロボットアーム140によってウエハ交換位置ULP/LPまで搬送するものとしたが、これに限らず、前述の第1の実施形態と同様に、計測ステーション300内にウエハ交換位置を設定しても良く、この場合には、微動ステージを搬送するためのロボットアーム140を設けなくても良い。
【0241】
また、センターテーブル130は、微動ステージWFS1,WFS2の裏面にグレーティングRGが設けられている場合に、そのグレーティングRGと接触しないように微動ステージWFS1,WFS2の保持を行う必要がある。また、上記第2の実施形態の粗動ステージWCS1、WCS2のように、第1部分と第2部分とに分離可能な粗動ステージでは、両者をロックするロック機構を必ずしも設けなくても良い。
【0242】
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、微動ステージWFS1、WFS2を2つの粗動ステージWCS1,WCS2の相互間で受け渡す際に、両者WCS1,WCS2を極端に近接させなくても良い。粗動ステージWCS1,WCS2の相互間での微動ステージの移動時に微動ステージが大きく傾かない(要はリニアモータの固定子と可動子とが接触しない)範囲で、粗動ステージWCS1と粗動ステージWCS2とを離しても良い。
【0243】
なお、上記第1、第2の実施形態では、粗動ステージWCS1、WCS2が、第1部分と第2部分とに分離可能でかつ第1部分と第2部分とが係合可能である場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば図50(A)及び図50(B)に示される粗動ステージWCSのように、第1部分と第2部分とは、物理的には常時離れていても良い。この場合、第1部分と第2部分とは、相互に接近(図50(A)参照)及び離間(図50(B)参照)が可能で、離間した際には、保持部材(上記実施形態の微動ステージ)を離脱可能で、接近した際には、保持部材を支持可能であれば良い。あるいは、反対に、以下の第3、第4の実施形態のように、粗動ステージは、必ずしも2部分に分離できなくても良い。この場合、センターテーブルの軸が侵入可能な、粗動ステージWCS1,WCS2の底面の切欠きは必ずしも設けられていなくても良い。
【0244】
なお、上記第1、第2の実施形態において、露光済ウエハを保持する微動ステージを、リレーステージDRST又はセンターテーブル130に保持した状態でウエハ交換を行っても良い。この場合も、ウエハ交換後に不図示のチェック弁の作用により、微動ステージのウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS1(又はWF2)に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される構成を採用することが望ましい。この場合、未露光のウエハを保持する他方の微動ステージは粗動ステージWCS1で保持され、露光動作(例えば基準マークの検出などの露光準備動作を含む)が開始されている。
【0245】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態を、図51〜図69に基づいて説明する。ここで、前述した第1、第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いると共に、その説明を簡略化し若しくは省略する。
【0246】
図51には、本第3の実施形態の露光装置2100の構成が概略的に示され、図52には、露光装置2100の一部省略した平面図が示されている。
【0247】
露光装置2100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0248】
露光装置2100は、図51に示されるように、計測ステーション300と前記露光ステーション200との間に配置された搬送ステージCSTを、前述のリレーステージに代えて、備えている。
【0249】
搬送ステージCSTは、図52に示されるように、ロボットアーム140の先端上面に取り付けられている。ロボットアーム140は、少なくともXY平面内で移動可能である。搬送ステージCSTは、ロボットアーム140の移動により、図52に示される位置、すなわち計測ステーション300と露光ステーション200との間の位置と、ベース盤12の−X側の外部の位置との間で往復移動する(図52の矢印A、A’参照)。ロボットアーム140は、主制御装置20によって制御される(図55参照)。
【0250】
搬送ステージCSTは、ウエハステージWST1、WST2の一部を構成する粗動ステージWCS1,WCS2が備える固定子部と同様の構成部分を有している。
【0251】
図53(A)には、露光装置2100が備えるウエハステージを示す−Y方向から見た側面図が示され、図53(B)には、ウエハステージの平面図が示されている。図53(A)及び図53(B)を、第1の実施形態における図2(A)及び図2(B)と比較すると明らかなように、本第3の実施形態の露光装置2100が備えるウエハステージWST1、WST2は、粗動ステージWCS1,WCS2が、第1部分と第2部分に分離可能でない点が、前述した第1の実施形態と異なるのみである。従って、粗動ステージWCS1,WCS2は、コイルユニットCUa、CUbをそれぞれ有する一対の固定子部93a,93bを備えている。粗動ステージWCS1,WCS2は、それぞれ、例えばローレンツ電磁力駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51A,51B(図55参照)によって駆動される。その他の部分の構成は、前述した第1の実施形態の露光装置100と同様になっている。以下では、重複説明を避ける観点から、露光装置100との相違点を中心に説明を行う。
【0252】
ここで、搬送ステージCSTの構成について説明する。図54(A)には、搬送ステージCSTの平面図が示され、図54(B)には、搬送ステージCSTの+Y方向から見た側面図が示されている。ここで、図54(A)及び図54(B)では、微動ステージWFS1(WFS2)が、仮想線(二点鎖線)で、併せて図示されている。
【0253】
搬送ステージCSTは、図54(A)及び図54(B)からわかるように、ロボットアーム140の先端部上面に、X軸方向に前述の一対の側壁部92a,92bと同じ間隔隔てて固定された長方形板状部材から成る一対の支持部材92a’,92b’と、支持部材92a’,92b’それぞれの上面に固定された一対の固定子部93a’、93b’と、を備えている。図54(B)に示されるように、ロボットアーム140の先端部が、一対の支持部材92a’,92b’の連結部を兼ねている。そこで、以下では、この連結部をも含んで、搬送ステージCSTが構成されているものとして説明を行う。
【0254】
一対の固定子部93a’、93b’のそれぞれは、前述の固定子部93a、93bと同様に構成されている。すなわち、固定子部93a’、93b’それぞれは、外形が板状の部材から成り、その内部にコイルユニットCUa’、CUb’が収容されている。
【0255】
ここで、搬送ステージCSTは、図54(B)からもわかるように、微動ステージWFS1(又はWFS2)の板状部材82a、82a、及び82b、82b間に固定子部93a’、93b’がそれぞれ位置するように、微動ステージWFS1(又はWFS2)に対する搬送ステージCSTのZ軸方向(高さ方向)の位置決めを行い、この後に微動ステージWFS1(又はWFS2)をY軸方向に移動(スライド)させれば、微動ステージWFS1(又はWFS2)を搬送ステージCSTにより支持することができる。本実施形態では、上記の微動ステージWFS1(又はWFS2)に対する搬送ステージCSTの位置決めが出来る高さに、搬送ステージCSTは維持されている。
【0256】
固定子部93a’が有するコイルユニットCUa’と、可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa、MUaとによって、可動子部82aを少なくともY軸方向に駆動するリニアモータが構成され、固定子部93b’が有するコイルユニットCUb’と、可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb、MUbとによって、可動子部82bを少なくともY軸方向に駆動するリニアモータが構成される。そして、その2つ(一対)のリニアモータによって、微動ステージWFS1(又はWFS2)を、搬送ステージCSTに対して、少なくともY軸方向にスライド駆動する、微動ステージ駆動系52C(図55参照)が構成される。
【0257】
図55には、露光装置2100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、露光装置2100の構成各部を統括制御する。
【0258】
本第3の実施形態では、一方の微動ステージ上で、上述したウエハWに対する露光が行われるのと並行して、他方の微動ステージ上では、ウエハ交換及びウエハアライメントが少なくとも一部行われる。
【0259】
《並行処理動作》
以下、本第3の実施形態の露光装置2100において、2つの微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理動作について、説明する。
【0260】
図56には、微動ステージWFS1が、露光ステーション200にあり、その微動ステージWFS1に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、微動ステージWFS2が、計測ステーション300にあり、その微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態が示されている。
【0261】
上記の微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントは、前述した第1の実施形態と同様にして行われる。そして、微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了する。ウエハアライメントが終了すると、図56中に白抜き矢印で示されるように、主制御装置20によって、ロボットアーム140と一体で搬送ステージCSTが+X方向に駆動される。図52には、ウエハアライメントが終了し、搬送ステージCSTが、ウエハステージWST1、WST2の間の待機位置に移動された状態が示されている。この待機位置は、ウエハアライメントが終了したウエハステージWST2に、ほぼ接した状態で搬送ステージCSTが対向する位置に定められている。図52からわかるように、このとき、露光ステーション200において微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光が終了間近の状態にある。
【0262】
図59(A)には、このウエハWに対するウエハアライメントが終了した段階の、粗動ステージWCS1、WCS2の位置関係が示されている。
【0263】
主制御装置20は、図59(A)に示される位置にウエハステージWST2を待機させた状態で、微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了するのを待つ。主制御装置20は、露光終了に先立って、前述と同様に、可動ブレードBLを所定量下方に駆動する。
【0264】
そして、露光が終了すると、図57に示されるように、主制御装置20は、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しを開始する。この受け渡しは、前述の第1の実施形態と同様の手順で行われる。
【0265】
そして、図58に示されるように、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しが終了する段階では、図59(B)に示されるように、前述の待機位置で待機している搬送ステージCSTに粗動ステージWCS1は、ほぼ接触状態で対向している。そこで、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52A,52Cを介して微動ステージWFS1を、図58及び図59(C)中に白抜き矢印で示されるように、+Y方向に駆動し、露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から搬送ステージCSTに移載(スライド移動)する。
【0266】
図60には、図59(C)の状態に対応する露光装置2100の平面図が示されている。また、図61には、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS1から搬送ステージCSTに移載された直後の状態に対応する露光装置2100の平面図が示されている。ただし、可動ブレードBLの図示は省略されている。他の平面図においても同様である。
【0267】
次に、主制御装置20は、ロボットアーム140と一体的に微動ステージWFS1を支持する搬送ステージCSTを、図62中に白抜き矢印で示されるように、−X方向に駆動してウエハ交換位置に搬送する。
【0268】
次に、主制御装置20は、アライメントが終了したウエハWを保持する微動ステージWFS2を支持する粗動ステージWCS2を、−Y方向に駆動して、粗動ステージWCS1にほぼ接触させる。そして、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52A,52Bを介して微動ステージWFS2を、図59(D)白抜き矢印で示されるように、−Y方向に駆動し、微動ステージWFS2を粗動ステージWCS2から粗動ステージWCS1に移載(スライド移動)する。図63には、図59(D)の状態に対応する露光装置2100の平面図が示されている。
【0269】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS2及び微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1を、図64(A)中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向に移動させて、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0270】
そして、主制御装置20は、前述と同様の手順で、レチクルアライメント、及びステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、微動ステージWFS2上のウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。
【0271】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のl.〜p.のような動作が行われている。
【0272】
l. すなわち、上記の液浸空間の受け渡しの開始に先立って、図62に示されるように、微動ステージWFS1が、ウエハ交換位置に搬送されている。ウエハ交換位置で、前述の第1の実施形態と同様の不図示のアンロードアーム及びロードアームによって、前述の第1の実施形態と同様にして、微動ステージWFS1上の露光済みのウエハWが、露光前の新たなウエハWに交換される(図62、及び図63参照)。この場合も、不図示のチェック弁の作用により、微動ステージWFS1のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS1(又はWF2)に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される。このため、微動ステージWFS1(又はWF2)を、粗動ステージから分離して支障なく搬送することができる。
【0273】
m. 上記のウエハ交換と並行して、主制御装置20により、図65に示されるように、粗動ステージWCS2が、計測ステーション300に向かって+Y方向に駆動される。図64(B)には、粗動ステージWCS2が、計測ステーション300に移動した状態が示されている。
【0274】
n. ウエハ交換後、主制御装置20によって、図66の白抜き矢印で示されるように、ロボットアーム140が+X方向に駆動され、新たなウエハWを保持する微動ステージWFS1が、搬送ステージCSTと一体的に、+X方向に駆動される。これにより、粗動ステージWCS2に、ほぼ接した状態で搬送ステージCSTが対向する(図66参照)。このとき、微動ステージWFS2上では、ウエハWの露光が続行されている。
【0275】
o. 次いで、主制御装置20により、露光前のウエハWを保持する微動ステージWFS1が、図67中に白抜き矢印で示されるように、+Y方向に駆動され、搬送ステージCSTから粗動ステージWCS2に移載される。図68には、微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2に移載された状態が示されている。
【0276】
p. その後、粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS1上の第2基準マークの検出、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメント等が、前述と同様の手順で行われる。そして、主制御装置20により、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標が、第2基準マークを基準とする配列座標に変換される。この場合も、微動ステージ位置計測系70Bを用いて、アライメントの際の微動ステージWFS1の位置計測が行われる。図69には、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメントが行われている状態が示されている。これに先だって、搬送ステージCSTは、図69に示されるように、ウエハ交換位置の近傍に移動している。
【0277】
図69の状態は、前述の図56の場合と同様の状態、すなわち露光ステーション200にある微動ステージWFS2に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、計測ステーション300にある微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態である。
【0278】
以降、主制御装置20により、微動ステージWFS1、WFS2を順次用いて、前述と同様の並行処理が、繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0279】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置2100によると、主制御装置20は、露光ステーション200において露光が行われたウエハWを保持する微動ステージ(WFS1又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から搬送ステージCSTに渡し、その搬送ステージCSTをXY平面内で移動させることで、微動ステージをウエハ交換位置に搬送する。そして、露光ステーション200と計測ステーション300とを結ぶ経路が外れた位置にあるウエハ交換位置に、露光済みのウエハWを保持する微動ステージが搬送された後に露光済みのウエハを新たなウエハに交換するウエハ交換が行われる。また、粗動ステージWCS1(又はWCS2)と搬送ステージCSTとの間の微動ステージの受け渡し(移載)は、粗動ステージの分離動作などを伴うことなく、微動ステージのスライド移動のみで行うことができるので、速やかな受け渡しが可能である。従って、1つの微動ステージ上に保持されたウエハに対する露光動作と少なくとも一部並行して、ウエハ交換を、ウエハ交換位置で行うことが可能となり、従来と同様の手法によるウエハ交換が困難な450mmウエハなどを処理対象とする場合であっても、スループットを殆ど低下させることなく、ウエハ処理を実現することが可能である。
【0280】
これに加え、本実施形態の露光装置2100によると、前述した第1の実施形態の露光装置100と同様の構成部分を備えているので、同等の効果を得ることができる。具体的には、粗動ステージWCS1に相対移動可能に保持された微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWがレチクルR及び投影光学系PLを介して露光光ILで露光される際に、前述の微動ステージ位置計測系70Aによって、いわゆる裏面計測により微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報を精度良く計測することが可能となる。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51A及び/又は微動ステージ駆動系52Aを介した微動ステージWFS1(又はWFS2)の高精度な駆動が可能になる。
【0281】
また、粗動ステージWCS2に保持された微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハWに対するウエハアライメントがアライメント系AL1、AL21〜AL24などによって行われる際、粗動ステージWCS2に移動可能に保持されている微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報が、微動ステージ位置計測系70Bによって高精度に計測される。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51B及び/又は微動ステージ駆動系52Bを介した微動ステージWFS2(又はWFS1)の高精度な駆動が可能になる。
【0282】
また、本実施形態の露光装置2100によると、微動ステージWFS1(又はWFS2)を精度良く駆動することができるので、この微動ステージWFS1(又はWFS2)に載置されたウエハWをレチクルステージRST(レチクルR)に同期して精度良く駆動し、走査露光により、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することが可能になる。
【0283】
なお、上記第3の実施形態では、搬送ステージCSTがロボットアーム140の先端部に一体的に設けられ、搬送ステージCSTと粗動ステージWCS1又はWCS2との間で、微動ステージWFS1,WFS2の受け渡しが可能である場合について説明した。しかし、これに限らず、露光ステーション200と計測ステーション300との間の位置で、粗動ステージWCS1、WCS2との間で微動ステージWFS1,WFS2の受け渡しが可能で、かつ少なくともXY平面内での移動が可能な支持装置を構成しても良い。この他、支持装置として次の第4の実施形態に係る搬送ステージCST’を用いることも可能である。
【0284】
なお、上記第3の実施形態では、露光済みのウエハWを保持する一方の微動ステージを、粗動ステージWCS1から搬送ステージCSTに移載(Y軸に沿ってスライド移動)した後、その一方の微動ステージWFS1を支持する搬送ステージCSTを、ロボットアーム140と一体的に−X方向に駆動して(横に引き出して)ウエハ交換位置に搬送し、ウエハ交換を行うものとした。しかし、これに限らず、露光済みのウエハWを保持する一方の微動ステージを保持した搬送ステージCSTを、粗動ステージWCS2の計測ステーション300から露光ステーション200への移動経路を外れた位置で待機させ、アライメント済みのウエハWを保持する他方の微動ステージを、粗動ステージWCS2から粗動ステージWCS1に移載(Y軸に沿ってスライド移動)する。しかる後、粗動ステージWCS1と粗動ステージWCS2とがY軸方向に離れたとき、待機中の搬送ステージCSTを+X方向に移動(横スライド)させて粗動ステージWCS2と接触又は近接させ、搬送ステージCSTに保持されている微動ステージを粗動ステージWCS2に受け渡すようにしても良い。この場合、ウエハ交換位置は計測ステーション300内に設定される。
【0285】
また、上記第3の実施形態において、搬送ステージCSTに代えて、粗動ステージと同様の構成の搬送ステージを用いることとしても良い。すなわち、ロボットアームを必ずしも用いる必要はない。
【0286】
また、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、微動ステージWFS1、WFS2を2つの粗動ステージWCS1,WCS2の相互間で入れ替えるために搬送ステージCSTと粗動ステージWCS1(又はWCS2)とを近接させる場合に、搬送ステージCSTと粗動ステージWCS1(又はWCS2)とを極端に近接させなくても良い。搬送ステージCSTと粗動ステージWCS1(又はWCS2)との間での微動ステージの移動時に微動ステージが大きく傾かない(要はリニアモータの固定子と可動子とが接触しない)範囲で、搬送ステージCSTと粗動ステージWCS1(又はWCS2)とを離しても良い。
【0287】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態を、図70(A)〜図72(D)に基づいて説明する。ここで、前述した第1、第3の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を省略する。
【0288】
本第4の実施形態に係る露光装置は、前述した搬送ステージCSTに代えて、天井搬送式の搬送ステージCST’を備えている点が、前述した第3の実施形態の露光装置2100と相違する。その他の部分構成等は、露光装置2100と同様に構成されている。そこで、以下では、相違点を中心として説明する。
【0289】
図70(A)には、第4の実施形態に係る搬送ステージCST’の平面図が示され、図70(B)には、搬送ステージCST’の+Y方向から見た側面図が示されている。ここで、図70(A)及び図70(B)では、微動ステージWFS1(WFS2)が、仮想線(二点鎖線)で、併せて図示されている。図71には、本第4の実施形態に係る露光装置の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。
【0290】
図70(A)及び図70(B)と、図54(A)及び図54(B)とを比較するとわかるように、この搬送ステージCST’は、基本的には、搬送ステージCSTの上下を反転したような構成であるが、搬送ステージCSTと同様に構成されている。
【0291】
この搬送ステージCST’では、一対の固定子部93a’、93b’が、板状の連結部材146の下面に前述の一対の側壁部92a,92bと同じ間隔隔てて固定されている。また、連結部材146は、上下動可能な駆動軸147の下端に固定されている。駆動軸147は、図72(A)等に示される駆動装置148によって上下方向に駆動される。駆動装置148及び搬送ステージCST’は、天井搬送系149(図71参照)によってXY平面内で駆動される。
【0292】
本第4の実施形態に係る露光装置では、基本的には、第3の実施形態の露光装置2100と同様の手順で、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて並行処理動作が行われる。ただし、その際に行われる、搬送ステージCST’と粗動ステージWCS1,WCS2との間の微動ステージWFS1,WFS2の受け渡しの際の動作が相違する。以下、この点について、図72(A)〜図72(D)に基づいて、簡単に説明する。
【0293】
図72(A)は、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しが終了する直前の段階、すなわち前述の図59(B)に対応する状態を示す図である。ただし、図72(A)〜図72(D)では、可動ブレードBLの図示は省略されている。
【0294】
図72(A)では、粗動ステージWCS1は、搬送ステージCST’にほぼ接触状態で対向している。このとき、搬送ステージCST’の固定子部93a’と、粗動ステージWCS1の固定子部93aとが対向し、搬送ステージCST’の固定子部93b’と、粗動ステージWCS1の固定子部93bとが対向している。そこで、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52A,52Cを介して微動ステージWFS1を、図72(B)中に白抜き矢印で示されるように、+Y方向に駆動し、露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から搬送ステージCST’に移載(スライド移動)する。
【0295】
次に、主制御装置20は、駆動装置148を介して、微動ステージWFS1を支持する搬送ステージCST’を、図72(C)中に白抜き矢印で示されるように、上昇駆動する。
【0296】
そして、搬送ステージCST’及び微動ステージWFS1が所定高さより高い位置まで上昇すると、主制御装置20は、アライメントが終了したウエハWを保持する微動ステージWFS2を支持する粗動ステージWCS2を、図72(D)中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向に駆動して、粗動ステージWCS1にほぼ接触させる。そして、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52A,52Bを介して微動ステージWFS2を、−Y方向に駆動し、微動ステージWFS2を粗動ステージWCS2から粗動ステージWCS1に移載(スライド移動)する。
【0297】
上記の粗動ステージWCS2及び微動ステージWFS2の駆動と並行して、主制御装置20は、天井搬送系149を介して、駆動装置148と一体的に搬送ステージCST’をウエハ交換位置に搬送する。
【0298】
このように、本第4の実施形態では、粗動ステージWCS1又はWCS2との間で微動ステージの受け渡しを行う際には、搬送ステージCST’が、粗動ステージWCS1、WCS2間に、上下方向から出し入れされる点が、第3の実施形態の露光装置2100と異なるが、その他の動作については、並行処理動作を含め、前述した第3の実施形態の露光装置2100と同様である。
【0299】
以上説明したように、本第4の実施形態の露光装置によると、前述した第3の実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0300】
なお、上記第4の実施形態では、搬送ステージCST’で保持した、露光済みのウエハWを保持する一方の微動ステージを、上方に引き出してウエハ交換を行うものとしたが、これに限らず、露光済みのウエハWを保持する一方の微動ステージを保持した搬送ステージCST’を、粗動ステージWCS2の計測ステーション300から露光ステーション200への移動経路を外れた上方の位置でで待機させ、アライメント済みのウエハWを保持する他方の微動ステージを、粗動ステージWCS2から粗動ステージWCS1に移載(Y軸に沿ってスライド移動)する。しかる後、粗動ステージWCS1と粗動ステージWCS2とがY軸方向に離れたとき、待機中の搬送ステージCST’を下降させて粗動ステージWCS2と接触又は近接させ、微動ステージを粗動ステージWCS2に受け渡すようにしてもよい。この場合、ウエハ交換位置は計測ステーション300内に設定される。
【0301】
また、第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、微動ステージWFS1、WFS2を2つの粗動ステージWCS1,WCS2の相互間で入れ替えるために搬送ステージCST’と粗動ステージWCS1(又はWCS2)とを近接させる場合に、搬送ステージCST’と粗動ステージWCS1(又はWCS2)とを極端に近接させなくても良い。搬送ステージCST’と粗動ステージWCS1(又はWCS2)との間での微動ステージの移動時に微動ステージが大きく傾かない(要はリニアモータの固定子と可動子とが接触しない)範囲で、搬送ステージCST’と粗動ステージWCS1(又はWCS2)とを離しても良い。
【0302】
なお、上記第3、第4の実施形態における粗動ステージWCS1,WCS2への搬送ステージによる微動ステージの搬出入に着目すれば、露光済みのウエハWを保持する微動ステージが主制御装置20の制御下にある搬送ステージによって粗動ステージWCS1から搬出され、新たなウエハWを保持する微動ステージが搬送ステージによって粗動ステージWCS2へ搬入されている。従って、ロボットアーム140によってウエハWは微動ステージと一体で交換されているとも言える。なお、微動ステージが3つ以上ある場合には、ウエハWと微動ステージとを、別の微動ステージと別のウエハとに交換することができる。
【0303】
上述した第1〜第4の実施形態によると、リレーステージDRST、センターテーブル130又は搬送ステージCST(又はCST’)と、該各装置の駆動系と、主制御装置とを含んで、受け渡し装置が構成され、該受け渡し装置の少なくとも一部(リレーステージDRSTの搬送装置46又は一対の固定子部、センターテーブル130のテーブル本体136、搬送ステージCST(又はCST’)の一対の固定子部93a’、93b’)が、少なくともXY平面に平行な面内の少なくとも1方向及び/又はZ軸方向に移動可能で、粗動ステージWCS1との間での微動ステージWFS1(又はWFS2)の受け渡しに用いられる。このため、その一部を用いて、粗動ステージWCS1と間で、微動ステージWFS1(又はWFS2)を、ウエハWを保持したまま、受け渡すことが可能となっている。
【0304】
なお、上記第1ないし第4の実施形態のそれぞれ(以下、各実施形態と略記する)では、微動ステージ位置計測系70A,70Bが、全体が例えばガラスによって形成され、内部を光が進行可能な計測アーム71A,71Bを備える場合を説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、計測アームは、少なくとも前述の各レーザビームが進行する部分が、光を透過可能な中実な部材によって形成されていれば良く、その他の部分は、例えば光を透過させない部材であっても良いし、中空構造であっても良い。また、例えば計測アームとしては、グレーティングに対向する部分から計測ビームを照射できれば、例えば計測アームの先端部に光源や光検出器等を内蔵していても良い。この場合、計測アームの内部にエンコーダの計測ビームを進行させる必要は無い。
【0305】
また、計測アームは、各レーザビームが進行する部分(ビーム光路部分)が中空などでも良い。あるいは、エンコーダシステムとして、格子干渉型のエンコーダシステムを採用する場合には、回折格子が形成される光学部材を、セラミックス又はインバーなどの低熱膨張性のアームに設けるだけでも良い。これは、特にエンコーダシステムでは、空気揺らぎの影響を極力受けないように、ビームが分離している空間が極めて狭く(短く)なっているからである。さらに、この場合、温度制御した気体を、微動ステージ(ウエハホルダ)と計測アームとの間(及びビーム光路)に供給して温度安定化を図っても良い。さらに、計測アームは、その形状は特に問わない。
【0306】
なお、上記実施形態では、計測アーム71A,71BがメインフレームBDに一体的に固定されているので、内部応力(熱応力を含む)によって計測アーム71A,71Bにねじれ等が発生し、計測アーム71A,71BとメインフレームBDとの相対位置が変化する可能性がある。そこで、かかる場合の対策として、計測アーム71A,71Bの位置(メインフレームBDに対する相対位置、又は基準位置に対する位置の変化)を計測し、アクチュエータ等で計測アーム71A,71Bの位置を微調整する、あるいは、測定結果を補正するなどしても良い。
【0307】
また、上記実施形態では、計測アーム71A,71BとメインフレームBDとが一体である場合について説明したが、これに限らず、計測アーム71A,71BとメインフレームBDとが、分離されていても良い。この場合、メインフレームBD(あるいは基準位置)に対する計測アーム71A,71Bの位置(あるいは変位)を計測する計測装置(例えばエンコーダ及び/又は干渉計など)と、計測アーム71A,71Bの位置を調整するアクチュエータ等とを設け、主制御装置20その他の制御装置が、計測装置の計測結果に基づいて、メインフレームBD(及び投影光学系PL)と、計測アーム71A,71Bとの位置関係を、所定の関係(例えば一定)に維持することとすれば良い。
【0308】
また、計測アーム71A,71Bに、光学的な手法により計測アーム71A,71Bの変動を計測する計測システム(センサ)、温度センサ、圧力センサ、振動計測用の加速度センサ等を設けても良い。あるいは、計測アーム71A,71Bの変動を測定する歪みセンサ(歪みゲージ)、又は変位センサ等を設けても良い。そして、これらのセンサで求めた値を使って、微動ステージ位置計測系70A及び/又はウエハステージ位置計測系68A、又は微動ステージ位置計測系70B及び/又はウエハステージ位置計測系68Bで得られた位置情報を補正するようにしても良い。
【0309】
また、上記実施形態では、計測アーム71A(又は71B)が、メインフレームBDから1つの支持部材72A(又は72B)を介して片持ち状態で支持された場合について説明したが、これに限らず、例えば、X軸方向に離れた2本の吊り下げ部材を含むU字状の吊り下げ部を介して計測アーム71A(又は71B)をメインフレームBDから吊り下げ支持しても良い。この場合、2本の吊り下げ部材の間を微動ステージが移動できるように、その2本の吊り下げ部材の間隔を設定することが望ましい。
【0310】
また、微動ステージ位置計測系70A,70Bは、必ずしも、計測アームを備えている必要はなく、粗動ステージWCS1,WCS2の空間部内にグレーティングRGに対向して配置され、該グレーティングRGに少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの回折光を受光するヘッドを有し、該ヘッドの出力に基づいて微動ステージWFS1(又はWFS2)の少なくともXY平面内の位置情報を計測できれば足りる。
【0311】
また、上記各実施形態では、エンコーダシステム73が、Xヘッドと一対のYヘッドとを備える場合について例示したが、これに限らず、例えばX軸方向及びY軸方向の2方向を計測方向とする二次元ヘッド(2Dヘッド)を、1つ又は2つ設けても良い。2Dヘッドを2つ設ける場合には、それらの検出点がグレーティング上で露光位置を中心として、X軸方向に同一距離離れた2点になるようにしても良い。
【0312】
なお、微動ステージ位置計測系70Aは、レーザ干渉計システム75を備えることなく、エンコーダシステム73のみで微動ステージの6自由度方向に関する位置情報を計測できるようにしても良い。この場合、例えばX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダを用いることができる。例えば、2次元のグレーティングRG上の同一直線上に無い3つの計測点に、X軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダと、Y軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダとを含む合計3つのエンコーダから計測ビームを照射し、グレーティングRGからのそれぞれの戻り光を受光することで、グレーティングRGが設けられた移動体の6自由度方向の位置情報を計測することとすることができる。また、エンコーダシステム73の構成は上記実施形態に限られないで任意で構わない。
【0313】
なお、上記各実施形態では、微動ステージの上面、すなわちウエハに対向する面にグレーティングが配置されているものとしたが、これに限らず、グレーティングは、ウエハを保持するウエハホルダに形成されていても良い。この場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。また、グレーティングは、微動ステージの下面に配置されていても良く、この場合、エンコーダヘッドから照射される計測ビームが微動ステージの内部を進行しないので、微動ステージを光が透過可能な中実部材とする必要がなく、微動ステージを中空構造にして内部に配管、配線等を配置することができ、微動ステージを軽量化できる。
【0314】
なお、上記各実施形態では、計測アーム71A,71Bの内部を進行させて計測ビームを微動ステージのグレーティングRGに下方から照射するエンコーダシステムを用いるものとしたが、これに限らず、計測アームにエンコーダヘッドの光学系(ビームスプリッタ等)を設け、その光学系と光源とを光ファイバで接続し、その光ファイバを介して光源からレーザ光を光学系に伝送する、及び/又は光学系と受光部とを光ファイバで接続し、その光ファイバによりグレーティングRGからの戻り光を光学系から受光部に伝送するエンコーダシステムを用いても良い。
【0315】
また、微動ステージを粗動ステージに対して駆動する駆動機構は、上記実施形態で説明したものに限られない。例えば実施形態では、微動ステージをY軸方向に駆動するコイルが微動ステージをZ軸方向に駆動するコイルとしても機能したが、これに限らず微動ステージをY軸方向に駆動するアクチュエータ(リニアモータ)と、微動ステージをZ軸方向に駆動する、すなわち微動ステージを浮上させるアクチュエータとを、それぞれ独立して設けても良い。この場合、微動ステージに常に一定の浮上力を作用させることができるので、微動ステージのZ軸方向の位置が安定する。なお、上記各実施形態では、微動ステージが備える可動子部82a,82bが側面視でU字状である場合について説明したが、微動ステージを駆動するリニアモータが備える可動子部は勿論、固定子部もU字状である必要はない。
【0316】
なお、上記各実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2は、ローレンツ力(電磁力)の作用により粗動ステージWCS1又WCS2に非接触支持されたが、これに限らず、例えば微動ステージWFS1,WFS2に真空予圧型の空気静圧軸受等を設けて、粗動ステージWCS1又WCS2に対して浮上支持しても良い。また、上記各実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2は、全6自由度方向に駆動可能であったが、これに限らず少なくともXY平面に平行な二次元平面内を移動できれば良い。また、微動ステージ駆動系52A,52Bは、上述したムービングマグネット式のものに限らず、ムービングコイル式のものであっても良い。さらに微動ステージWFS1,WFS2は、粗動ステージWCS1又はWCS2に接触支持されていても良い。従って、微動ステージWFS1,WFS2を粗動ステージWCS1又はWCS2(又はリレーステージ)に対して駆動する微動ステージ駆動系は、例えばロータリモータとボールねじ(又は送りねじ)とを組み合わせたものであっても良い。
【0317】
なお、上記各実施形態では、ウエハステージの移動範囲全域でその位置計測が可能となるように微動ステージ位置計測系を構成しても良い。この場合にはウエハステージ位置計測系が不要になる。また、上記実施形態において、ベース盤12をウエハステージの駆動力の反力の作用により移動可能なカウンタマスとしても良い。この場合、粗動ステージをカウンタマスとして使用してもしなくても良いし、粗動ステージを上記実施形態と同様にカウンタマスとして使用するときでも粗動ステージを軽量化することができる。
【0318】
また、上記各実施形態では、計測ステーション300において、ウエハWに対する計測の一例としてアライメントマーク計測(ウエハアライメント)が行われるものとしたが、これに加えて(あるいはこれに代えて)ウエハW表面の投影光学系PLの光軸AX方向の位置を計測する面位置計測が行われても良い。この場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されるように、面位置計測と同時に、ウエハを保持する微動ステージの上面の面位置計測を行い、これらの結果を用いて、露光時のウエハWのフォーカス・レベリング制御を行っても良い。
【0319】
なお、上記各実施形態の露光装置で用いられるウエハは、450mmウエハに限られものでなく、それよりサイズの小さいウエハ(300mmウエハなど)でも良い。
【0320】
なお、上記各実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも本発明は好適に適用することができる。
【0321】
また、上記各実施形態では、スキャニング・ステッパに本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置をエンコーダで計測することにより、干渉計を用いてこのステージの位置を計測する場合と異なり、空気揺らぎに起因する位置計測誤差の発生を殆ど零にすることができ、エンコーダの計測値に基づいて、ステージを高精度に位置決めすることが可能になり、結果的に高精度なレチクルパターンの物体上への転写が可能になる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも本発明は適用することができる。
【0322】
また、上記各実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
【0323】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0324】
また、本発明の露光装置では、照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置に本発明を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0325】
また、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等が搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置をエンコーダシステム及びレーザ干渉計システムを用いて計測することで、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0326】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0327】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0328】
なお、本発明の露光装置でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
【0329】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0330】
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した各実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記各実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0331】
以上説明したように、本発明の露光装置及び露光方法は、エネルギビームを物体上に照射して物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、電子デバイスを製造するのに適している。また、本発明の搬送方法は、露光装置における露光対象の物体の搬送に適している。
【符号の説明】
【0332】
10…照明系、20…主制御装置、32…液浸ユニット、46…搬送装置、48…搬送部材、51A,51B…粗動ステージ駆動系、52A,52B,52C…微動ステージ駆動系、53…リレーステージ駆動系、54…搬送部材駆動系、93a,93b…固定子部、70A,70B…微動ステージ位置計測系、71A,71B…計測アーム、82a、82b…可動子部、77x…Xヘッド、77ya,77yb…Yヘッド、100…露光装置、191…先端レンズ、200…露光ステーション、300…計測ステーション、IL…照明光、BL…可動ブレード、R…レチクル、RST…レチクルステージ、WST1,WST2…ウエハステージ、WCS1,WCS2…粗動ステージ、WCS1a…第1部分、WCS1b…第2部分、WFS1,WFS2…微動ステージ、DRST…リレーステージ、PL…投影光学系、W…ウエハ、RG…グレーティング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、
互いに直交する第1軸と第2軸とを含む二次元平面に沿って移動可能な第1移動体と;
前記物体を保持するとともに、前記第1移動体によって少なくとも前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持される保持部材と;
その少なくとも一部が、少なくとも前記二次元平面に平行な面内の一方向及び前記二次元平面に直交する第3軸に平行な方向の少なくとも1方向に移動可能で、前記第1移動体との間での前記保持部材の受け渡しに用いられる受け渡し装置と;を備える露光装置。
【請求項2】
前記第1移動体は、互いに接近及び離間が可能な第1部分と第2部分とを含み、
前記第1部分と第2部分とを離間させる第1駆動系を、さらに備える請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1部分と前記第2部分とが離間した状態では、前記保持部材が、前記第1移動体から離脱する請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記第1移動体は、内部に空間部を有し、
前記受け渡し装置の前記一部は、前記第1移動体から離脱する前記保持部材を前記空間部内で支持する請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記受け渡し装置の前記一部は、前記保持部材を支持して少なくとも前記第3軸と平行な方向に移動可能である請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記受け渡し装置の前記一部は、前記第1移動体から離脱する前に、前記保持部材を前記空間部内で支持するとともに、前記第1移動体から離脱された前記保持部材を支持して少なくとも前記第1軸に平行な方向に移動する請求項4又は5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記受け渡し装置は、内部に空間部を有し、前記第1移動体とは独立して前記二次元平面内で移動可能な第2移動体をさらに有し、
前記受け渡し装置の前記一部は、前記第2移動体に設けられている請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記第1移動体に保持された前記保持部材の少なくとも前記二次元平面内の位置情報を計測する位置計測系をさらに備え、
前記第1駆動系は、前記位置計測系で計測された前記位置情報に基づいて、前記保持部材を単独で若しくは前記第1移動体と一体で駆動する請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記保持部材の前記二次元平面に実質的に平行な一面に計測面が設けられ、
前記位置計測系は、前記第1移動体の前記空間部内に前記計測面に対向してその一部が配置され、前記計測面に少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームの前記計測面からの光を受光するヘッドを有する計測部材を含み、前記ヘッドの出力に基づいて前記第1移動体に保持される前記保持部材の少なくとも前記二次元平面内の位置情報を計測する請求項8に記載の露光装置。
【請求項10】
前記計測部材は、片持ち支持構造の計測アームを含み、
前記計測アームの固定端から自由端に向かう方向に、前記第1移動体を移動後に、前記第1移動体の前記第1部分と前記第2部分の離間、及び前記保持部材の前記第1移動体からの離脱が行われる請求項9に記載の露光装置。
【請求項11】
前記保持部材は、その内部を光が進行可能な中実部を少なくとも一部に有し、
前記計測面は、前記保持部材の前記物体の載置面側に前記中実部に対向して配置され、
前記ヘッドは、前記物体の載置面とは反対側に前記中実部に対向して配置されている請求項9又は10に記載の露光装置。
【請求項12】
前記計測面には、グレーティングが形成され、
前記ヘッドは、前記グレーティングに少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームの前記グレーティングからの回折光を受光する請求項9〜11のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項13】
前記グレーティングは、前記第1軸及び第2軸に平行な方向をそれぞれ周期方向とする第1及び第2回折格子を含み、
前記ヘッドは、前記計測ビームとして前記第1及び第2回折格子にそれぞれ対応する第1軸方向計測用ビーム及び第2軸方向計測用ビームを照射し、前記第1軸方向計測用ビーム及び第2軸方向計測用ビームそれぞれの前記グレーティングからの回折光を受光し、前記位置計測系は、前記ヘッドの出力に基づいて、前記保持部材の前記第1軸及び第2軸に平行な方向に関する位置情報を計測する請求項12に記載の露光装置。
【請求項14】
前記ヘッドは、前記第1軸方向計測用ビームとして、前記グレーティング上の照射点が前記第2軸方向で互いに異なる少なくとも2本の計測用ビームを、前記第1回折格子に照射する請求項13に記載の露光装置。
【請求項15】
前記少なくとも2本の計測用ビームと前記第2軸方向計測用ビームとは、前記グレーティング上の前記第2軸に平行な同一の直線上の照射点にそれぞれ照射される請求項14に記載の露光装置。
【請求項16】
前記ヘッドから前記グレーティングに対して照射される前記第1軸方向計測用ビームの照射点の中心である計測中心は、前記物体に照射される前記エネルギビームの照射領域の中心である露光位置に一致する請求項13〜15のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項17】
前記受け渡し装置は、前記一部が設けられた第2移動体をさらに有し、
前記一部は、前記第2軸及び前記第3軸にそれぞれ平行な2方向のうちの少なくとも1方向に移動可能である請求項1に記載の露光装置。
【請求項18】
前記第2移動体によって支持された前記保持部材を単独で若しくは前記第2移動体と一体で駆動する第2駆動系をさらに備える請求項7〜17のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項19】
前記保持部材は、複数設けられ、
前記複数の保持部材のそれぞれは、前記第1及び前記第2移動体のそれぞれによって少なくとも前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持可能である請求項18に記載の露光装置。
【請求項20】
前記第2駆動系は、前記保持部材の前記第2軸に平行な方向の両端部にそれぞれ設けられた一対の第1可動子と、該一対の第1可動子のそれぞれに対応して前記第2移動体に設けられた一対の第1固定子とを含み、前記各第1可動子と対応する各第1固定子との間の電磁相互作用により、前記二次元平面に平行な面内で前記第2移動体に支持された前記保持部材を駆動する一対の駆動装置を含む請求項19に記載の露光装置。
【請求項21】
前記第1駆動系は、さらに、前記第1移動体によって支持された前記保持部材を単独で若しくは前記第1移動体と一体で駆動する請求項19又は20に記載の露光装置。
【請求項22】
前記第1移動体と、前記保持部材を保持する前記第2移動体とを前記第1軸に平行な方向に関して接触又は近接させ、前記第2移動体に保持された前記保持部材を、前記第2移動体から前記第1移動体に移載する制御装置を、さらに備える請求項21に記載の露光装置。
【請求項23】
前記第1駆動系は、前記保持部材の前記第2軸に平行な方向の両端部にそれぞれ設けられた一対の第1可動子と、該一対の第1可動子のそれぞれに対応して前記第1移動体に設けられた一対の第2固定子とを含み、
前記制御装置は、前記保持部材を保持する前記第2移動体を、前記第1移動体に対して、前記第1軸に平行な方向に関して接触又は近接させたときに、互いに接触又は近接する前記各第2固定子と前記各第1可動子との間に電磁相互作用を行わせ、該電磁相互作用により前記第2移動体から前記第1移動体に移載する際の前記保持部材の駆動力を発生する請求項22に記載の露光装置。
【請求項24】
前記第1駆動系は、前記各第1可動子と対応する各第2固定子との間の電磁相互作用により、前記二次元平面に平行な面内で前記保持部材を駆動する一対の駆動装置を含む請求項23に記載の露光装置。
【請求項25】
前記エネルギビームを射出する射出面を有する光学部材と;
該光学部材と前記第1移動体に保持された前記保持部材との間に液体を供給する液浸部材を有する液浸装置と;をさらに備える請求項1〜24のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項26】
前記液浸部材との間で前記液体を保持するシャッタ部材をさらに備える請求項25に記載の露光装置。
【請求項27】
エネルギビームにより物体を露光する露光装置で用いられる物体の搬送方法であって、
前記物体の露光が行われる露光位置の近傍で移動する第1移動体から該第1移動体とは独立して二次元平面内で移動可能な第2移動体に物体を受け渡すため、第1の空間内で前記物体を保持する保持部材を移動させることと;
前記第1の空間の鉛直方向の一側に位置する第2の空間内で前記物体を保持する保持部材を移動させることで、前記第2移動体から前記第1移動体へ前記物体を受け渡すことと;を含む搬送方法。
【請求項28】
前記第1の空間は、前記第2の空間の鉛直下方に位置する請求項27に記載の搬送方法。
【請求項29】
前記移動させることでは、前記物体として露光済みの物体を保持する前記保持部材を移動させ、
前記受け渡すことでは、前記物体として露光前の物体を保持する前記保持部材を移動させる請求項28に記載の搬送方法。
【請求項30】
前記第1移動体は、内部に空間部を有し、互いに接近及び離間が可能な第1部分と第2部分とを含み、
前記移動させることに先立って、前記第1部分と第2部分とを離間させ、前記保持部材を前記二次元平面に垂直な鉛直方向下方に移動させて前記第1移動体から離脱させることをさらに含む請求項29に記載の搬送方法。
【請求項31】
前記保持部材が前記第1移動体から離脱した後、
前記受け渡すことで、前記露光前の物体を保持する前記保持部材を、前記第2の空間内で移動させる請求項30に記載の搬送方法。
【請求項32】
前記保持部材の前記二次元平面に実質的に平行な一面に配置された計測面に、前記空間部内に先端部が位置する片持ち支持状態の計測アームから少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームの前記計測面からの光を受光して前記保持部材の前記二次元平面内の位置情報を計測することと;
前記離脱させること第3工程に先だって、計測アームの固定端から自由端に向かう方向に前記第1移動体と一体で前記保持部材を移動させることと;をさらに含む請求項30又は31に記載の搬送方法。
【請求項33】
前記受け渡すことでは、前記保持部材を、前記計測アームの自由端から固定端に向かう方向に移動させる請求項32に記載の搬送方法。
【請求項34】
前記計測面には、グレーティングが形成され、
前記計測することでは、前記計測アームから少なくとも1本の計測ビームを前記グレーティングに照射し、該計測ビームの前記グレーティングからの回折光を受光して前記保持部材の前記二次元平面内の位置情報を計測する請求項32又は33に記載の搬送方法。
【請求項35】
エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、
物体に前記エネルギビームを照射する露光処理が行われる露光ステーションと;
前記露光ステーションから第1軸に平行な方向の一側に所定距離離れた位置に配置され、物体に対する計測処理が行われる計測ステーションと;
前記第1軸及びこれに直交する第2軸を含む二次元平面内の前記露光ステーションを含む第1の範囲内で移動可能な第1移動体と;
前記二次元平面内の前記計測ステーションを含む第2の範囲内で移動可能な第2移動体と;
前記物体を保持するとともに、前記第1、第2移動体のそれぞれによって少なくとも前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持される少なくとも2つの保持部材と;
前記露光ステーションと前記計測ステーションとの間の位置で、前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受け渡しが可能で、かつ前記第1軸、前記第2軸及び前記二次元平面に直交する第3軸にそれぞれ平行な3方向の内の少なくとも一方向に移動が可能な支持装置と;
を備える露光装置。
【請求項36】
前記支持装置は、少なくとも前記第2軸に平行な方向に移動可能である請求項35に記載の露光装置。
【請求項37】
前記露光ステーションで露光が行われた露光済みの物体を保持する保持部材が前記第1移動体から前記支持装置に渡され、前記保持部材を支持する前記支持装置が所定の交換位置へ移動し、該交換位置で前記支持装置上の物体の交換が行われるのと少なくとも一部並行して、
前記計測ステーションで計測が終了した物体を保持する保持部材が前記第2移動体から前記第1移動体に渡される請求項36に記載の露光装置。
【請求項38】
前記第1移動体上の保持部材に保持された物体の露光が前記露光ステーションで行われるのと少なくとも一部並行して、前記支持装置に保持された新たな物体を保持した保持部材が、前記支持装置から前記第2移動体に渡され、該第2移動体上の保持装置に保持された物体の計測が前記計測ステーションで行われる請求項37に記載の露光装置。
【請求項39】
前記支持装置は、少なくとも前記第3軸に平行な方向に移動可能である請求項35〜38のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項40】
前記支持装置が所定高さ位置で前記保持部材を支持しているとき、前記第1移動体と前記第2移動体とは、互いに接近して、前記支持装置上の保持部材とは別の保持部材を受け渡し可能である請求項39に記載の露光装置。
【請求項41】
前記支持装置は、前記露光ステーションと前記計測ステーションとの間に設置されている請求項39又は40に記載の露光装置。
【請求項42】
前記第1移動体及び第2移動体は、ともに前記第2軸に平行な方向に関して2部分に分離可能であり、
前記支持装置は、前記第1、第2移動体が前記2部分に分離した状態で、該第1、第2移動体との間で前記保持部材の受け渡しが可能である請求項41に記載の露光装置。
【請求項43】
前記露光ステーションで露光が行われた露光済みの物体を保持する保持部材が前記第1移動体から前記支持装置上に渡され、前記計測ステーションで計測が終了した物体を保持する保持部材が前記第2移動体から前記第1移動体に渡される請求項42に記載の露光装置。
【請求項44】
前記保持部材を、前記支持装置の近傍と所定の交換位置との間で搬送する搬送系をさらに備える請求項42又は43に記載の露光装置。
【請求項45】
前記搬送系により、前記支持装置上の前記保持部材が物体の交換のため前記交換位置へ搬送されるとともに、前記物体交換後に新たな物体を保持する保持部材が前記支持装置上に搬入される請求項44に記載の露光装置。
【請求項46】
計測ステーションで計測が終了した前記物体を保持する保持部材が前記第2移動体から前記支持装置上に渡され、前記露光ステーションで露光が行われた露光済みの物体を保持する保持部材が前記第1移動体から前記第2移動体に渡され、前記支持装置上の前記保持部材が前記第1移動体に渡され、前記第2移動体から前記支持装置に前記保持部材が渡され、前記搬送系により、前記支持部材上の前記保持部材が物体の交換のため前記交換位置へ搬送されるとともに、前記物体交換後に新たな物体を保持する保持部材が前記支持装置上に搬入される請求項42〜45のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項47】
前記支持装置上への搬入に続いて、前記新たな物体を保持する保持部材が、前記支持装置から前記第2移動体に渡される請求項46に記載の露光装置。
【請求項48】
前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方の底面には、前記支持装置に妨げられることなく、相互の接近を可能にする開口部又は切り欠きが設けられている請求項41〜47のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項49】
前記保持部材の前記二次元平面に実質的に平行な一面に計測面が設けられ、
前記露光ステーションに、前記保持部材を支持する前記第1移動体があるとき、前記保持部材の前記計測面に少なくとも1つの第1計測ビームを下方から照射し、該第1計測ビームの戻り光を受光して前記保持部材の前記二次元平面内の位置情報を計測する第1計測系をさらに備える請求項35〜48のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項50】
前記計測ステーションに、前記保持部材を支持する前記第2移動体があるとき、前記計測面に少なくとも1つの第2計測ビームを下方から照射し、該第2計測ビームの戻り光を受光して前記保持部材の前記二次元平面内の位置情報を計測する第2計測系をさらに備える請求項49に記載の露光装置。
【請求項51】
前記第2計測系は、前記第1軸方向に伸びる部材から成り、前記第2計測ビームを前記計測面に照射し、該第2計測ビームの戻り光を受光する第2計測アームを有する請求項50に記載の露光装置。
【請求項52】
前記前記第2移動体は、内部に空間部を有し、
前記第2計測アームは、前記第2移動体の前記空間部内に少なくとも一側から挿入可能である請求項51に記載の露光装置。
【請求項53】
前記第2計測アームは、前記第1軸方向の一端が固定端で他端が自由端であるカンチレバー状の部材である請求項52に記載の露光装置。
【請求項54】
前記保持部材は、その内部を光が進行可能な中実部を少なくとも一部に有し、
前記計測面は、前記保持部材の前記物体の載置面側に前記中実部に対向して配置され、前記第1軸及び第2軸の少なくとも一方に平行な方向を周期方向とするグレーティングが配置され、
前記第2計測アームは、前記グレーティングに前記第2計測ビームを照射し、前記グレーティングからの回折光を受光するヘッドを有し、
前記第2計測系は、前記ヘッドからのヘッドの出力に基づいて、前記保持部材の前記グレーティングの周期方向の位置情報を計測する請求項51〜53のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項55】
前記第1計測系は、前記第1軸方向に伸びる部材から成り、前記第1計測ビームを前記計測面に照射し、該第1計測ビームの戻り光を受光する第1計測アームを有する請求項49〜54のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項56】
前記第1移動体は、内部に空間部を有し、
前記第1計測アームは、前記第1移動体の前記空間部内に少なくとも一側から挿入可能である請求項55に記載の露光装置。
【請求項57】
前記第1計測アームは、前記第1軸方向の一端が固定端で他端が自由端であるカンチレバー状の部材である請求項56に記載の露光装置。
【請求項58】
前記保持部材は、その内部を光が進行可能な中実部を少なくとも一部に有し、
前記計測面は、前記保持部材の前記物体の載置面側に前記中実部に対向して配置され、前記第1軸及び第2軸の少なくとも一方に平行な方向を周期方向とするグレーティングが配置され、
前記第1計測アームは、前記グレーティングに前記第1計測ビームを照射し、前記グレーティングからの回折光を受光するヘッドを有し、
前記第1計測系は、前記ヘッドからのヘッドの出力に基づいて、前記保持部材の前記グレーティングの周期方向の位置情報を計測する請求項55〜57のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項59】
前記物体の交換は、前記保持部材と一体で行われる請求項35〜58のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項60】
前記計測ステーションは、前記物体上のマークを検出する少なくとも1つのマーク検出系を含む請求項35〜59のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項61】
前記計測ステーションは、前記第2軸に平行な方向に関して検出領域が離れて配置され、前記物体上の異なるマークをそれぞれ検出する複数のマーク検出系を含む請求項60に記載の露光装置。
【請求項62】
前記エネルギビームを射出する射出面を有する光学部材と;
該光学部材と前記第1移動体に保持された前記保持部材との間に液体を供給する液浸部材を有する液浸装置と;をさらに備える請求項35〜61のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項63】
前記液浸部材との間で前記液体を保持するシャッタ部材をさらに備える請求項62に記載の露光装置。
【請求項64】
エネルギビームにより物体を露光する露光装置であって、
前記物体の露光処理が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で移動可能な第1移動体と;
前記物体の計測処理が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で移動可能な第2移動体と;
それぞれ物体を保持するとともに、前記第1、第2移動体のそれぞれによって移動可能に支持される少なくとも2つの保持部材と;
前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受渡しが行われる可動の支持装置と;
前記第1、第2移動体の一方に支持される保持部材を前記支持装置に移動するとともに、前記第1、第2移動体を接近させて前記第1、第2移動体の他方に支持される保持部材を前記一方の移動体に移動する制御装置と;を備える露光装置。
【請求項65】
前記一方の移動体から前記支持装置への前記保持部材の移動と、前記他方の移動体から前記一方の移動体への前記保持部材の移動は、前記露光処理が行われる露光位置と前記計測処理が行われる計測位置との間の位置で行われる請求項64に記載の露光装置。
【請求項66】
前記第1、第2移動体の少なくとも一方が、前記保持部材を移動可能に支持したとき、その保持部材の下方に配置される計測用部材を有し、該計測用部材に少なくとも一部が設けられ、前記保持部材の計測面に計測ビームを照射して前記保持部材の位置情報を計測する位置計測系をさらに備える請求項64又は65に記載の露光装置。
【請求項67】
前記保持部材の下方側にグレーティングを有する前記計測面が設けられ、
前記位置計測系は、前記計測ビームの照射により前記グレーティングで発生する回折光を受光して前記保持部材の位置情報を計測するエンコーダシステムである請求項66に記載の露光装置。
【請求項68】
前記露光ステーションに配置され、前記エネルギビームを前記物体に投射する投影系と;
前記投影系を支持するとともに、前記計測用部材が設けられた支持部材と;をさらに備える請求項66又は67に記載の露光装置。
【請求項69】
請求項1〜26、請求項35〜68のいずれか一項に記載の露光装置により物体を露光することと;
前記露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【請求項70】
エネルギビームにより物体を露光する露光方法であって、
互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面内で移動可能な第1移動体に保持された保持部材上の物体に対し、露光ステーションにおいて、前記エネルギビームが照射される露光処理が行われることと;
露光ステーションから第1軸に平行な方向の一側に所定距離離れた位置に配置された計測ステーションにおいて、前記二次元平面内で移動可能な第2移動体に保持された保持部材上の物体に対し、計測処理が行われることと;
前記露光ステーションと前記計測ステーションとの間に設置された支持部材と、前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受け渡しが行われることと;
前記物体の交換のため、前記支持部材の近傍と所定の交換位置との間で、前記保持部材が搬送されることと;を含む露光方法。
【請求項71】
前記露光ステーションで露光が行われた露光済みの物体を保持する保持部材が前記第1移動体から前記支持部材上に渡され、前記計測ステーションで計測が終了した物体を保持する保持部材が前記第2移動体から前記第1移動体に渡され、前記搬送系により、前記支持部材上の前記保持部材が前記交換位置へ搬送され、該交換位置で物体の交換が行われ、新たな物体を保持する保持部材が、前記支持部材上に搬入される請求項70に記載の露光方法。
【請求項72】
計測ステーションで計測が終了した前記物体を保持する保持部材が前記第2移動体から前記支持部材上に渡され、前記露光ステーションで露光が行われた露光済みの物体を保持する保持部材が前記第1移動体から前記第2移動体に渡され、前記支持部材上の前記保持部材が前記第1移動体に渡され、前記第2移動体から前記支持部材に前記保持部材が渡され、前記搬送系により、前記支持部材上の前記保持部材を前記交換位置へ搬送され、該交換位置で物体の交換が行われ、新たな物体を保持する保持部材が、前記支持部材上に搬入される請求項70に記載の露光方法。
【請求項73】
前記支持部材上への搬入に続いて、前記新たな物体を保持する保持部材が、前記支持部材から前記第2移動体に渡される請求項72に記載の露光方法。
【請求項74】
エネルギビームにより物体を露光する露光方法であって、
物体に前記エネルギビームを照射する露光処理が行われる露光ステーションを含む、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面内の第1の範囲内で移動可能な第1移動体と、露光ステーションから第1軸に平行な方向の一側に所定距離離れた位置に配置され、物体に対する計測処理が行われる計測ステーションを含む、前記二次元平面内の第2の範囲内で移動可能な第2移動体と、によって少なくとも前記物体を保持する保持部材が、前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持されることと;
前記第2軸に平行な方向に関して前記露光ステーションと前記計測ステーションとの間の位置で、少なくとも前記2次元平面内での移動が可能な支持装置と、前記第1、第2移動体との間で前記保持部材の受け渡しが行われることと;を含む露光方法。
【請求項75】
前記露光ステーションで露光が行われた露光済みの物体を保持する保持部材が前記第1移動体から前記支持装置に渡され、前記保持部材を支持する前記支持装置が所定の交換位置へ移動し、該交換位置で前記支持装置上の物体の交換が行われるのと少なくとも一部並行して、
前記計測ステーションで計測が終了した物体を保持する保持部材が前記第2移動体から前記第1移動体に渡される請求項74に記載の露光方法。
【請求項76】
前記第1移動体上の保持部材に保持された物体の露光が前記露光ステーションで行われるのと少なくとも一部並行して、前記支持装置に保持された新たな物体を保持した保持部材が、前記支持装置から前記第2移動体に渡され、該第2移動体上の保持装置に保持された物体の計測が前記計測ステーションで行われる請求項75に記載の露光方法。
【請求項77】
エネルギビームにより物体を露光する露光方法であって、
前記物体の露光処理が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で露光対象の物体を保持する保持部材を移動可能に支持する第1移動体を移動させることと;
前記物体の計測処理が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で計測対象の物体を保持する保持部材を移動可能に支持する第2移動体を移動させることと;
前記第1、第2移動体の一方に支持される保持部材を可動の支持装置に移載するとともに、前記第1、第2移動体を接近させて前記第1、第2移動体の他方に支持される保持部材を前記一方の移動体に移載することと;を含む露光方法。
【請求項78】
前記一方の移動体から前記支持装置への前記保持部材の移載と、前記他方の移動体から前記一方の移動体への前記保持部材の移載は、前記露光処理が行われる露光位置と前記計測処理が行われる計測位置との間の位置で行われる請求項77に記載の露光方法。
【請求項79】
前記第1、第2移動体の少なくとも一方が、前記保持部材を移動可能に支持したとき、その保持部材の下方に配置される計測用部材に少なくとも一部が設けられた位置計測系を用いて、前記保持部材の位置情報を計測することをさらに含む請求項77又は78に記載の露光方法。
【請求項80】
前記保持部材の下方側にグレーティングを有する前記計測面が設けられ、
前記位置計測系として、前記計測ビームの照射により前記グレーティングで発生する回折光を受光して前記保持部材の位置情報を計測するエンコーダシステムが用いられる請求項79に記載の露光方法。
【請求項81】
前記露光ステーションに配置され、前記エネルギビームを前記物体に投射する投影系を支持する支持部材に前記計測用部材が設けられる請求項79又は80に記載の露光方法。
【請求項82】
請求項70〜81のいずれか一項に記載の露光方法により物体を露光することと;
前記露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【公開番号】特開2011−3875(P2011−3875A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287382(P2009−287382)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】