説明

ICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム

【課題】 多数の軸受の潤滑剤劣化検出を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することのできる簡素で安価な潤滑剤劣化検出システムを提供する。
【解決手段】 このシステムは、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を検出するシステムである。軸受1に、ICタグ3と、このICタグ3に内蔵されまたはこのICタグ3とは別体に設けられ非接触で前記軸受1の外部から給電された電力を蓄積する電源回路5と、この電源で駆動される潤滑剤の劣化検出センサ4とを搭載する。前記ICタグ3に対する情報の読書き・および前記電源回路5に対する給電は、別に設けたタグ読書き端末2で非接触に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種機械設備に組込まれた転がり軸受を、ICタグおよび潤滑剤劣化検出付きのものとして上記軸受の潤滑剤劣化を検出する潤滑剤劣化検出システムに関し、例えば、火力発電所のベルトコンベヤや鉄道車両の車輪用軸受など、使用される数が非常に多く、寿命管理が必要な軸受等に適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
各種の機械設備において、転がり軸受が多数個使用され、その軸受寿命の管理が必要でありながら、管理が難しい場合が多くある。
例えば、火力発電所では、燃料に使用される石炭は、石炭運搬船で運ばれ、揚炭機でベルトコンベヤへ陸揚げされる。さらに、ベルトコンベヤで貯炭場へ送られて山状に積み上げられて貯炭され、消費時に、貯炭の石炭山からベルトコンベヤでボイラーに送られる。上記ボイラは、電力供給や燃料効率の面から、稼働を停止することができず、ベルトコンベヤも常に稼働させることが必要になる。ベルトコンベヤには、筒状のローラ内に軸受を設けた構造の軸受ユニットが用いられ、例えば数百の軸受ユニットが用いられる。
このようなベルトコンベヤにおいて、駆動部などの主要な軸受部は、損傷が起こるなどして異常が発生すると、装置を停止することになるので、常に監視する必要がある。そのために、軸受に温度センサや振動センサを取付け、温度や振動の変化がないかを常に監視している。それに対して、ベルトコンベヤの中間にあってベルトを支えるローラでは、非常に多くの個数があるので、駆動部の軸受ユニットと同様に各軸受を全て管理することはできず、費用面でも全数を常に監視することは現実的でない。そのため、軸受ユニットの前回交換時の記録から、定格の軸受寿命に対して安全を見て早めに交換している。この場合の軸受の交換は、軸受ユニットであるローラ毎の交換とし、適宜の処置を施して、ベルトコンベヤを止めることなく交換を行うようにしている。
また、鉄道車両では、多数ある各車輪の支持に軸受が用いられているが、客や荷物を目的地まで輸送するため、車両が動き出すと途中では容易に止めることができない。そのため、運転途中で異常が発生しないようにするために、車両停止時に軸受を定期的に検査し、管理している。
【特許文献1】特開2005−024441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の火力発電所のベルトコンベヤにおいて、ベルトを支える中間のローラであっても、軸受に異常が発生すると、損傷状況によってはコンベヤを停止することが必要になる可能性がある。定期的な軸受交換では、適宜の処置を施すことで、コンベヤを停止させることなく交換が行えるようにしているが、不測の軸受異常の場合、コンベヤを稼働させた状態では交換できないことがある。また、軸受を定格寿命に対して早めに交換しても、不測の異常が発生することがあり、このような異常を未然に知ることができない。
また、鉄道車両の車輪支持用の軸受では、上記のように定期的な検査を停止時に行っているが、運転時間が長く、高速で長距離を走る車両では、軸受の使用条件が過酷なものとなる。そのため、停止時の定期検査だけでは、軸受の異常発生を十分に予防することができないことがある。また、走行時の軸受状態が停止時では的確に知ることができない。
【0004】
この発明の目的は、多数の軸受の潤滑剤劣化検出を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することのできる簡素で安価な潤滑剤劣化検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システムは、軸受に、ICタグと、このICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体に設けられ非接触で前記軸受の外部から給電された電力を蓄積する電源回路と、この電源で駆動される潤滑剤の劣化検出センサとを搭載し、前記ICタグに対する情報の読書き・および前記電源回路に対する給電を非接触で行うタグ読書き端末を設けたものである。
この構成によると、上記タグ読書き端末を定期的にあるいは任意時に移動させて軸受に近づけ、そのときに電力を軸受の電源回路に供給し、その電力で潤滑剤の劣化検出センサを駆動し、任意の時間だけ劣化検出センサを稼働させて潤滑剤の劣化検出を行うことができる。軸受に潤滑不良が発生して温度が上昇したり、異常振動が発生する前に潤滑剤の劣化状態を検出することができるため、温度センサや振動センサだけを使用した検査装置よりも早期の劣化検出が可能になる。潤滑剤の劣化検出結果は、常にタグ読書き端末に送信しても良いし、また、ある一定の条件に達したときのみ送信するようにしても良い。このような操作を、1台のタグ読書き端末で多数のICタグ・センサ付き軸受につき行うこともできる。
このため、従来の常時検査の場合のように、各軸受ユニットに温度センサの他に送信装置および常時駆動用の電源を付けずに、ICタグと供給電力を潤滑剤劣化検出センサに伝える電源回路を設けるだけで済み、各軸受ユニット毎に対応する受信機を設ける必要もなく、そのため設置スペースが少なくて済み、設備費用も少なくて済む。例えば、1日1回とか、ある時間毎に1回とかの監視時を決めて断続的に監視するといった日常の定期点検作業を行えるので、多くの軸受を継続して監視することができ、測定したい軸受が多くても対応ができる。また、潤滑剤劣化検出の結果により、軸受異常が発生する前に交換することができるので、機械設備自体の故障に繋がらず、機械設備自体を傷めずに済む。また、機械設備を停止した定期保守時に不良兆候のある軸受を交換することもできるので、交換用の軸受や軸受ユニット等の必要な在庫が行い易い。
【0006】
この発明において、前記軸受に、前記電源で駆動され、前記潤滑剤の劣化検出センサとは別の情報を検出するセンサを、一つまたは複数搭載しても良い。前記別の情報を検出するセンサは、温度センサまたは振動センサであっても良い。
軸受の寿命は、温度や振動によっても判断される。潤滑剤劣化の情報の他に温度や振動の情報が得られると、より精度良く軸受異常の判断が行える。
【0007】
この発明において、前記ICタグに、このICタグを搭載した軸受の識別情報を記憶させても良い。上記識別情報は、製品番号やロット番号等である。軸受の識別情報が潤滑剤の劣化検出情報と共に得られると、管理用のコンピュータ等による寿命判断や管理がより一層容易になる。また、上記ICタグには、機械設備に対する軸受の設置場所の情報を記憶させても良い。
【0008】
この発明において、前記軸受が、鉄道車両の車軸軸受であっても良い。鉄道車両の場合も、多くの軸受が用いられるが、これらの軸受の潤滑剤の劣化状態が走行経路に設けられたタグ読書き端末により読み取れるため、走行中の潤滑剤劣化検出が可能になる。そのため、車両停止時の定期検査を補い、より確実な軸受異常判断が行える。
【0009】
鉄道車両の車軸軸受である場合、軸受の外輪の端部にシールケースを取付け、このシールケースに軸受空間を密封するシールを設け、このシールの内側に前記劣化検出センサを配置し、前記シールケースの外側にICタグを配置しても良い。
例えば軸受の外輪等は、その製造の工程が煩雑であり、強度的にも厳しい要求があるため、上記ICタグや潤滑剤劣化検出センサ等の組み込みを行う場合、工程の増加等のうえで好ましくない場合があるが、簡易な部品であるシールケースにICタグや潤滑剤劣化検出センサを配置する場合、その取付工程が容易である。また、シールケースに上記ICタグや潤滑剤劣化検出センサを配置する場合、その他の軸受構成部品については、ICタグ等を取付けない一般の軸受と軸受部品の共通化が図れ、製造工程を同じにできて生産性に優れる。
【0010】
この発明において、前記劣化検出センサが、検出対象となる潤滑剤を互いの間に介在させる発光部および受光部と、この受光部の出力から前記潤滑剤の光透過率を求めて潤滑剤に混入している異物の量を検出する判定手段とを備えたものであっても良い。
潤滑剤を透過した透過光量は、潤滑剤に含まれる異物の含有量が多いほど減少するので、受光部で検出される透過光量から判定手段は潤滑剤における異物の含有量を推定することができる。軸受に使用される潤滑剤の場合、劣化が進むにつれて摩耗粉などの異物の混合割合が増加するので、潤滑剤に混入している異物の量を検出すれば、潤滑剤の劣化状態を正確に検出することができる。
【0011】
この発明において、前記前記劣化検出センサが、発光部と受光部とが角度をもって配置され、発光部から出た光が潤滑剤の表面で散乱反射して受光部に入る光学系と、受光部の出力の変化から潤滑剤に混入している異物の量を検出する判定手段とを備えるものであっても良い。
この構成の場合、反射光を検出するため、発光部と受光部とを隣接して配置することができ、劣化検出センサをコンパクトなものとできる。
【発明の効果】
【0012】
この発明のICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システムは、軸受に、ICタグと、このICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体に設けられ非接触で前記軸受の外部から給電された電力を蓄積する電源回路と、この電源で駆動される潤滑剤の劣化検出センサとを搭載し、前記ICタグに対する情報の読書き・および前記電源回路に対する給電を非接触で行うタグ読書き端末を設けたため、簡素で安価な構成により、多数の軸受の潤滑剤劣化検出を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1に示すように、このICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システムは、機械設備10に組込まれた転がり軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Aとし、タグ読書き端末2を設けたものである。ICタグ・センサ付き軸受1Aは、転がり軸受1に、ICタグ3と、潤滑剤の劣化検出センサ4と、電源回路5とを設けたものである。電源回路5は、ICタグ3に内蔵されまたはこのICタグ3とは別体とされて非接触で軸受外部から給電され、上記劣化検出センサ4を駆動するものである。上記ICタグ3、劣化検出センサ4、および電源回路5は、共通の基板上に設置されて一つの軸受装備電子部品6を構成する。軸受装備電子部品6は、図1中に引き出して拡大したブロック図により概念構成を示してある。タグ読書き端末2は、ICタグ・センサ付き軸受1AのICタグ3に対して記憶情報の読取り、および上記電源回路5に対する給電を非接触で行うものである。
【0014】
機械設備10は、複数個配列された転がり軸受1を有する設備であり、それらの軸受1を上記ICタグ・センサ付き軸受1Aとしてある。機械設備10は、具体的には、例えばベルトコンベヤまたはローラコンベヤ等のコンベヤラインであり、図1はベルトコンベヤラインに適用した例を示している。この例では、ベルト7の長さ方向の中間部を支持するローラ8に組み込まれた転がり軸受1を、上記ICタグ・センサ付き軸受1Aとしている。上記ローラ8およびその両端の軸受1により、軸受ユニット8Aが構成される。転がり軸受1の内輪は、コンベヤフレーム(図1には図示せず)に固定されたローラ支軸に設置される。
タグ読書き端末2は、ICタグ・センサ付き軸受1Aの配列に沿って移動可能に設置され、端末移動手段20によって移動させられる。タグ読書き端末2は、作業者が手で持って移動可能なものであっても良い。
【0015】
ICタグ3は、ICチップ11とアンテナ12とで構成される。これらICチップ11とアンテナ12は、共通の基盤(図示せず)に設けられ、樹脂(図示せず)等で一体に包まれる。ICタグ3は、種々の形式,形状,大きさのものがあり、板状の物の他に、例えば1mm未満の大きさの角状や球状のものなどがあり、また記憶容量も種々異なるが、取付対象となる軸受1に応じて大きさや形式等を選択すれば良い。ICタグ3としては、例えばRFID(無線周波数認識:RadioFrequencyIdetification)技術を応用したRFIDタグが利用できる。RFID形式のICタグ3は、伝送方式として、静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、このうちいずれの形式のものを用いても良いが、図示の例では電磁誘導形式のものを用いている。また、ICタグ3は、周辺に金属があっても使用可能なものがあり、軸受1に取付けるため、このようなものが好ましい。
【0016】
図2は、ICタグ3等を設けた軸受装備電子部品6とタグ読書き端末2の構成の一例を示すブロック図である。ICタグ3のICチップ11は、中央処理装置(CPU)13、メモリ14、送受信回路15、および電源回路5を有しており、電源回路5はアンテナ12から電源を得るものとされている。電源回路5はICタグ3の各部の駆動に用いられる他に、潤滑剤劣化検出センサ4の駆動にも用いられ。メモリ14は情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。
軸受装備電子部品6は、このようなICタグ3と、潤滑剤劣化検出センサ4とを、共通の基板等に搭載するなどして一体に取扱い可能な部品としたものである。潤滑剤劣化検出センサ4の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。潤滑剤劣化検出センサ4としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ16を介してICタグ3等に出力される。A/Dコンバータ16は、潤滑剤劣化検出センサ4と共通の基盤(図示せず)等に設置され、潤滑剤劣化検出センサ4とA/Dコンバータ16とでコンバータ付き劣化検出センサ4Aが構成される。コンバータ付き劣化検出センサ4Aの出力は、図示の例ではICタグ3の中央処理装置13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。
【0017】
タグ読書き端末2は、ICタグ3に対して非接触で信号の伝達および電力の供給が可能なものである。タグ読書き端末2は、中央処理装置(CPU)22、メモリ23、送受信回路24、および電源回路25を有し、アンテナ26および送受信回路24を介して中央処理装置(CPU)22とICタグ3との信号の送受信が行われる。タグ読書き端末2は、さらに管理ホスト機28となるコンピュータに対して通信経路29を介して接続する通信手段27を有している。通信経路29は、単なるケーブルまたは無線通信回線であっても、またローカルエリアネットワークや、インターネット,その他の広域ネットワークであって良い。
管理ホスト機28は、機械設備10の全体の軸受1の保守について管理する管理システムを備えたものである。管理ホスト機28は、複数の機械設備10の軸受1の保守について管理するものであっても良い。
【0018】
上記構成による潤滑剤劣化検出方法を説明する。タグ読書き端末2を定期的に、あるいは任意時に移動させてICタグ・センサ付き軸受1Aに近づける。このときに電力を軸受1Aの電源回路5に供給し、その電力で潤滑剤劣化検出センサ4を駆動し、任意の時間だけ潤滑剤劣化検出センサ4を稼働させて潤滑剤32の劣化検出を行う。潤滑剤劣化検出センサ4の検出値は、ICタグ3の中央処理装置13および送受信回路15を通じてタグ読書き端末2に送信される。タグ読書き端末2に送信された検出結果は、常に管理ホスト機28(図2)に送信しても良いし、ある一定の条件に達したときのみに管理ホスト機28に送信するようにしても良い。上記一定の条件に達したか否かの判断は、タグ読書き端末2に設けた条件判定手段(図示せず)によって行わせる。このような操作を、1台のタグ読書き端末2で多数の、例えば100台分のICタグ・センサ付き軸受1Aにつき行うようにしても良い。このように1台のタグ読書き端末2で多くのICタグ・センサ付き軸受1Aを監視することができ、またICタグ・センサ付き軸受1Aがある条件に達した場合の情報のみを管理ホスト機28に送信すれば良いため、例えば1台の機械設備10における数百台のICタグ・センサ付き軸受1Aについて、数台のタグ読書き端末2を設けるだけで済む。劣化検出の結果、一定の条件以上に達すると、軸受1が異常を起こす可能性があっても、すぐに交換しなくても良い場合は、できるだけ連続して監視して、運転停止時など、時期を見て軸受1の交換を行うようにしても良い。
【0019】
このため、従来の常時検査の場合のように、各軸受ユニット8Aにセンサの他に送信装置および常時駆動用の電源を付けずに、ICタグ3と供給電力を潤滑剤劣化検出センサ4に伝える電源回路5を設けるだけで済み、各軸受ユニット8A毎に対応する受信機を設ける必要もない。そのため、設置スペースが少なくて済み、設備費用も少なくて済む。例えば、1日1回とか、2時間毎に1回とかの監視間隔を決めて断続的に監視すれば良く、多くの軸受1を監視することができるので、測定したい軸受1が多くても対応ができる。また、劣化検出の結果により、異常が発生する前に交換することができるので、機械設備10自体の故障に繋がらず、機械設備10自体を傷めずに済む。また、機械設備10を停止した定期保守時に不良兆候のある軸受を交換することもできるので、交換用の軸受や軸受ユニット等の必要な在庫が行い易い。
【0020】
また、ICタグ3を用いるため、このICタグ3に、このICタグ3を設けた転がり軸受1の識別情報を記憶させておくこともできる。上記識別情報は、製品番号やロット番号等である。軸受1の識別情報が潤滑剤32の劣化検出情報と共に得られると、データベース等から軸受の諸元等を知ることができるので、管理ホスト機28等による寿命判断や管理がより一層容易になる。また、ICタグ3には、さらに機械設備10に対する軸受1の設置場所の情報を記憶させても良い。
【0021】
なお、上記実施形態では、潤滑剤劣化検出センサ4を駆動する電源回路5として、ICタグ3に内蔵のものを用いているが、例えば図3に示すように、ICタグ3の駆動用の電源回路51とは別に、潤滑剤劣化検出センサ4の駆動用の電源回路52を設けても良い。この電源回路52も、アンテナ12から電源を得るものとされる。また、電源回路52に対して、充電可能な電池19(図示せず)および充電回路を設けても良い(図5)。
また、軸受装備電子部品6は、潤滑剤劣化検出センサ4の他に、図4に示すように温度センサ17(あるいは振動センサ)を有するものとしても良い。温度センサ17の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。温度センサ17としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ18を介してICタグ3等に入力する。A/Dコンバータ18は、温度センサ17と共通の基板(図示せず)等に設置され、温度センサ17とA/Dコンバータ18とでコンバータ付き劣化検出センサ17Aが構成される。コンバータ付き劣化検出センサ17Aの出力は、図示の例ではICタグ3のCPU13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。温度センサ17(あるいは振動センサ)を設ける場合も、その電源として、ICタグ3に内蔵の電源回路51を用いるものとしても良く、また図4のように別の電源回路52を用いるものとしても良い。
【0022】
図6は、前記潤滑剤劣化検出センサ4の一例の原理構成図を示す。この潤滑剤劣化検出センサ4は、検出対象となる潤滑剤32にそれぞれ一端33a,34aを対向させる発光側および受光側の光ファイバー33,34と、これら発光側および受光側の光ファイバー33,34の他端33b,34bにそれぞれ接続された発光部35および受光部36と、この受光部36の検出出力により前記潤滑剤32の劣化を検出する判定手段37とを備える。検出対象となる潤滑剤32は、前記軸受1の内部に封入された潤滑剤である。発光側および受光側の光ファイバー33,34の潤滑剤32に対向させる一端33a,34aは、潤滑剤32を挟んで互いに対向するように配置される。
【0023】
図7は、上記潤滑剤劣化検出センサ4の一構成例を示す。発光部35はLEDなどの発光素子からなり、この発光素子の発光面に発光側の光ファイバー33の他端33bが対向配置される。受光部36はフォトダイオードなどの受光素子からなり、この受光素子の受光面に受光側の光ファイバー34の他端34bが対向配置される。さらに、発光側および受光側の光ファイバー33,34の各端部33a,33b,34a,34bには集光用のレンズ41A〜41Dが配置される。なお、レンズは、例えば両光ファイバー33,34のうち一方の光ファイバーの一端だけに設けても良い。発光部35、受光部36、および判定手段37となる回路は、同一の回路基板38に搭載される。判定手段37の検出信号は配線ケーブル39からICタグ3に入力される。また、配線ケーブル39を経てICタグ3から潤滑剤劣化検出センサ4に電源が供給される。
【0024】
この潤滑剤劣化検出センサ4では、潤滑剤32にそれぞれ対向配置される発光側および受光側の光ファイバー33,34の各一端33a,34aと、集光用レンズ41B,41Cとが検出部30となり、この検出部30を除く部分、つまり両光ファイバー33,34の他端33b,34b、集光用レンズ41A,41D、発光部35、受光部36、および判定手段37等は軸受1の外部に設置される。
【0025】
前記発光部35となる発光素子としては、LEDのほか、白熱電球、半導体レーザダイオード、EL、有機EL、蛍光管などを用いることができる。また、前記受光部36となる受光素子としては、フォトダイオードのほか、フォトトランジスタ、CDS、太陽電池、光電子増倍管などを用いることができる。
【0026】
このように構成された潤滑剤劣化検出センサ4では、発光部35から出射された光が発光側の集光用レンズ41A、光ファイバー33、集光用レンズ41Bを経由して軸受1内の潤滑剤32を透過し、さらに受光側の集光用レンズ41C、光ファイバー34、集光用レンズ41Dを経由して受光部36で検出される。このように潤滑剤32を透過した透過光量は、潤滑剤32に含まれる鉄粉(摩耗粉)などの異物の含有量が多いほど減少するので、受光部36で検出される透過光量から判定手段37は潤滑剤32における異物の含有量を推定することができる。
潤滑剤32が封入される軸受1では、潤滑剤32の劣化の主要な要因として、軸受1の使用に伴って発生する鉄粉(摩耗粉)が潤滑剤32に混入することが挙げられるので、潤滑剤32に混入する異物の含有量を前記判定手段37で推定することにより、潤滑剤32の劣化状態を検出することができる。
【0027】
とくに、この潤滑剤劣化検出センサ4では、発光側および受光側の光ファイバー33,34の一端33a,34aを検出対象となる潤滑剤32に対向させ、これら光ファイバー33,34の他端33b,34bに発光部35および受光部36を接続させているので、発光部35、受光部36、集光用レンズ41A,41Dおよび判定手段37を、光ファイバー33,34の一端33a,34aや集光用レンズ41B,41Cからなる検出部30から離して配置することができ、電気ノイズや温度変化による影響を受けずに潤滑剤32の劣化状態を安定して検出できる。
また、検出部30をコンパクトに構成できるので、例えば軸受1の内部に封止される潤滑剤32の劣化検出に使用する場合、軸受1の内部へ簡単かつコンパクトな構成により設置できる。さらに、検出部30が潤滑剤32の動きを妨げる要因にならないし、検出部30に潤滑剤32を安定供給でき、軸受1の内部への検出部30の配置の自由度も高まることになる。
また、発光側および受光側の光ファイバー33,34の一端33a,34aが潤滑剤32の検出部30となることから、潤滑剤32の測定部位の断面積を小さくでき、粘度の高い潤滑剤32でも検出部30へ入り込み易く、それだけ検出が安定する。
また、光ファイバー33,34の端部33a〜34bに集光用のレンズ41A〜41Dを設けているので、光の拡散を防止でき、潤滑剤32における測定スポットの微細化や検出感度を上げることができる。光ファイバー33,34の端部33a〜34bの一部にレンズを設けた場合にも、同様の効果をある程度上げることができる。
【0028】
図8は、潤滑剤劣化検出センサ4の他の構成例を示す。この潤滑剤劣化検出センサ4は、図6に示す構成例において、発光側および受光側の光ファイバー33,34における潤滑剤32との対向側の端部33a,34aを、鏡42A,42Bを介して潤滑剤32に対向させたものである。具体的には、発光側の光ファイバー33の一端33aには、その一端から出射される光を、直角に曲げて潤滑剤32に入射させるように鏡42Aが設けられる。また、受光側の光ファイバー34の一端34aには、前記鏡42Aを経て潤滑剤32を透過した光を、直角に曲げて光ファイバー34の一端34aに入射させるように鏡42Bが設けられる。これらの各鏡42A,42Bは、対応する各光ファイバー33,34の一端33a,34aと共に透明カバー43A,43Bで被覆され、鏡42A,42Bが汚れるのを防止している。この場合、各光ファイバー33,34の一端33a,34a、鏡42A,42B、および透明カバー43A,43Bで検出部30が構成されることになる。なお、鏡は、例えば両光ファイバー33,34のうち一方の光ファイバーの一端にだけ設けても良い。
【0029】
このように、光ファイバー33,34における潤滑剤32との対向側の端部33a,34aを、鏡42A,42Bを介して潤滑剤32に対向させた場合、これら光ファイバー33,34の端部33a,34aを直接に潤滑剤32に対向配置しなくても良いので、検出部30を軸受1の内部に取付けるときに、光ファイバー33,34の端部33a,34aの向きの自由度が上がり、例えば軸受1のシール部に検出部30を取付けたり、潤滑剤32に差し込んだ状態で取付けたりすることができる。
【0030】
図9は、潤滑剤劣化検出センサ4の他の構成例を示す。この潤滑剤劣化検出センサ4は、例えば図8に示す構成例において、発光部35、受光部36、判定手段37を、検出部30と共に例えばハウジング44などに設置して一体化したものである。その他の構成は図8の構成例の場合と同様である。
【0031】
このように、発光部35、受光部36、判定手段37を、検出部30と共に一体化した場合、軸受1の内部に封止された潤滑剤32の劣化検出において、光ファイバー33,34を軸受1の内部から外部へ配線する作業が不要となり、潤滑剤劣化検出センサ4の設置を容易に行うことができる。
【0032】
図10は、潤滑剤劣化検出センサ4のさらに他の構成例を示す。この潤滑剤劣化検出センサ4は、図6に示す構成例において、発光側の光ファイバー33の潤滑剤32に対向する一端から出た光が反射部材45で反射して、受光側の光ファイバー34の潤滑剤剤32に対向する一端に入射するように、両光ファイバー33,34の各一端および前記反射部材45を配置したものである。発光部35、受光部36、判定手段37は、検出部30と共に例えばハウジング44などに設置して一体化している。
【0033】
このように、発光側の光ファイバー33の一端から出た光が反射部材45を介して受光側の光ファイバー34の一端に入射するようにした場合、両光ファイバー33,34の各一端を対向配置しなくて良いので、これら各一端の向きの自由度が上がり、例えば軸受1のシール部に検出部30を取付けたり、潤滑剤32に差し込んだ状態で取付けたりすることができる。
また、発光部35、受光部36、判定手段37を、検出部30と共に一体化しているので、軸受1の内部に封止された潤滑剤32の劣化検出において、光ファイバー33,34を軸受1の内部から外部へ配線する作業が不要となり、潤滑剤劣化検出センサ4の設置を容易に行うことができる。
【0034】
図11は、潤滑剤劣化検出センサ4のさらに他の構成例を示す。この潤滑剤劣化検出センサ4は、光ファイバーを用いないで、対向配置した発光部35と受光部36の間に検出対象となる潤滑剤32を介在させ、発光部35から出て潤滑剤32を透過する光を受光部36で検出するようにしたものである。発光部35、受光部36、および受光部36の検出出力により潤滑剤32の劣化を検出する判定手段37となる回路は、同一の回路基板38に搭載される。発光部35、受光部36、判定手段37は、ハウジング44に設置して一体化され、そのハウジング44に潤滑剤32を収容する凹部44aが設けられている。
【0035】
図12は、潤滑剤劣化検出センサ4のさらに他の構成例を示す。この潤滑剤劣化検出センサ4は、発光部35と受光部36とが角度をもって配置され、発光部35から出た光が潤滑剤32の表面で散乱反射して受光部36に入射する光学系46と判定手段37とを備える。発光部35、受光部36、および判定手段37となる回路は同一の回路基板38に搭載される。判定手段37は、受光部36に入る光量の変化による受光部36の出力の変化から、潤滑剤32に含まれる異物を推定するものである。判定手段37の検出信号が配線ケーブル39からICタグ3に入力され、配線ケーブル39を経てICタグ3から潤滑剤劣化検出センサ4に電源が供給されることは、上記した各構成例の場合と同様である。
【0036】
この潤滑剤劣化検出センサ4では、発光部35から出た光が潤滑剤32の表面で散乱反射して、その散乱反射した光の一部が受光部36で検出される。潤滑剤32に含まれる鉄粉等の異物の含有量が増加すると、潤滑剤32の表面での散乱反射光量が減少するので、受光部36で検出される散乱反射光量から判定手段37は潤滑剤32に含まれる異物の量を推定することができる。
軸受内部に封入された潤滑剤32の場合、その劣化の主要な要因として、軸受の使用に伴って発生する鉄粉等の摩耗粉が混入することが挙げられるので、潤滑剤32に混入する異物である摩耗粉の含有量を前記判定手段37で推定することにより、潤滑剤32の劣化状態を判定することができる。
【0037】
図13および図14は、図1における機械設備10の具体例を示す。図13に示すように、この機械設備10は、ベルトコンベヤ51を縦列に複数台連ねて設置したコンベヤラインからなる。この機械設備10は、例えば、火力発電所において、石炭を貯炭部からボイラー(図示せず)に搬送するコンベヤラインである。
各ベルトコンベヤ51は、両端の端部ローラ52間にベルト7を掛装し、中間部で搬送方向に並ぶ複数の搬送面支持用のローラ8および戻り支持用のローラ8′によりベルト7を支えるものである。両端の端部ローラ52のうち、両方または片方が駆動ローラとされる。支持用の各ローラ8には、図14に示すように、コンベヤ幅方向に並ぶ水平な中央のローラ8と、両側の傾斜したサイドローラ8とがあり、これら3つのローラ8でベルト7を逆台形の溝形状に支持している。中央および両サイドのローラ8は、いずれもローラ8内の両端に転がり軸受1を組み込んだ軸受ユニット8Aを構成する。転がり軸受1の内輪はローラ支軸(図示せず)に嵌合し、そのロータ支軸がコンベヤフレーム9に固定設置される。
このようなコンベヤラインからなる機械設備10における上記各ローラ8の転がり軸受1が、上記のようにICタグ3および潤滑剤劣化検出センサ4等を取付けたICタグ・センサ付き軸受1Aとされる。
【0038】
図15は、ICタグ・センサ付き軸受の他の例を示す。このICタグ・センサ付き軸受1Bは、鉄道車両用軸受ユニットに組込まれた軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Bとしたものである。この場合の鉄道車両用軸受ユニットは、ICタグ・センサ付き軸受1Bとその内輪64の両側に各々接して設けられた付属部品である油切り62および後ろ蓋63とで構成される。軸受1は、ころ軸受、詳しくは複列の円すいころ軸受からなり、各列のころ66,66に対して設けた分割型の内輪64,64と、一体型の外輪65と、前記ころ66,66と、保持器67とを備える。
後ろ蓋63は、車軸60に軸受1よりも中央側で取付けられて外周のオイルシール68を摺接させたものである。油切り62は、車軸60に取付けられて外周にオイルシール69を摺接させたものである。これら軸受1の両端部に配置される両オイルシール68,69により軸受1の内部に潤滑剤が封止され、かつ防塵・耐水性が確保される。
【0039】
軸受1の外輪65の両端部には、それぞれシールケース70,71が取付けられ、これらシールケース70,71に前記オイルシール68,69が設けられる。図16は、一方のオイルシール69の取付け構造を示す拡大断面図である。同図において、シールケース71は、軸方向に複数の段部が階段状に並ぶ断面形状とした環状の部材であって、その一端部を軸受外輪65の内径面に圧入嵌合させることで、外輪65に取付けられる。このシールケース71の中間段部71aの内径面には、断面L字状のリング部材72がその円筒部72aを圧入嵌合させて取付けられており、そのリング部材72の内径側に延びる立板部72bが前記油切り62の外径面に対して所定のラビリンス隙間を形成するように配置されている。前記シールケース71に設けられるオイルシール69は、断面L字状の環状芯金73と、この環状芯金73の立板部73bに固定される弾性部材74とでなり、環状芯金73の円筒部73aを前記リング部材72の円筒部72aの内周面に圧入嵌合させることにより、リング部材72を介してシールケース71に固定されている。前記弾性部材74には、油切り62の外径面に摺接するラジアルリップ74a,74bが形成されている。シールケース71の他端部は、油切り62のフランジ部62aの内向き幅面に形成されたリング状の溝75に遊嵌させることで、この溝75とシールケース71の他端部との間にラビリンス隙間を形成している。このような構成により、軸受1の内外輪64,65間の環状空間の一端部では、前記リング部材立片部72bと油切り62の外径面との間に形成されるラビリンス隙間と、油切り62の外径面に摺接するオイルシール69と、油切り62の溝75とシールケース71の他端部との間に形成されるラビリンス隙間とで、密封が図られている。軸受1の内外輪64,65間の環状空間の他端部については説明を省略するが、上記した一端部と同様のシール構造とされる。
【0040】
このICタグ・センサ付き軸受1Bでは、前記オイルシール69の軸方向内側に潤滑剤劣化検出センサ4が配置され、前記シールケース71の外側にICタグ3が配置される。具体的には、劣化検出センサ4は、前記リング部材立板部72bの軸方向内側に向く面に配置され、その配線ケーブル39がシールケース71を貫通してICタグ3に接続されている。シールケース71における配線ケーブル39の貫通部には防水・防油処理が施され、これにより潤滑剤劣化検出センサ4の取付部から軸受内部へ水分やゴミ等が侵入するのを防止している。
【0041】
例えば軸受1の外輪65等は、その製造の工程が煩雑であり、強度的にも厳しい要求があるため、上記ICタグ3や潤滑剤劣化検出センサ4等の組み込みを行う場合、工程の増加等のうえで好ましくない場合があるが、簡易な部品であるシールケース71にICタグ3や潤滑剤劣化検出センサ4を配置する場合、その取付工程が容易である。また、シールケース71に上記ICタグ3や潤滑剤劣化検出センサ4を配置する場合、その他の軸受構成部品については、ICタグ等を取付けない一般の軸受と軸受部品の共通化が図れ、製造工程を同じにできて生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の一実施形態にかかるICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システムの概念構成を示すブロック図である。
【図2】同潤滑剤劣化検出システムの軸受装備電子部品およびタグ読書き端末の回路構成例を示すブロック図である。
【図3】軸受装備電子部品の変形例のブロック図である。
【図4】軸受装備電子部品の他の変形例のブロック図である。
【図5】軸受装備電子部品のさらに他の変形例のブロック図である。
【図6】軸受装備電子部品に搭載される潤滑剤劣化検出センサの一例の原理構成図である。
【図7】潤滑剤劣化検出センサの一例の概略構成図である。
【図8】潤滑剤劣化検出センサの他の例の概略構成図である。
【図9】潤滑剤劣化検出センサのさらに他の例の概略構成図である。
【図10】潤滑剤劣化検出センサのさらに他の例の概略構成図である。
【図11】潤滑剤劣化検出センサのさらに他の例の概略構成図である。
【図12】潤滑剤劣化検出センサのさらに他の例の概略構成図である。
【図13】この発明を適用する機械設備となるコンベヤラインの一例の側面図である。
【図14】同コンベヤラインの一つのコンベヤの横断面図である。
【図15】ICタグ・センサ付き軸受の一例の断面図である。
【図16】図5のXVI 部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0043】
1…転がり軸受
1A,1B…ICタグ・センサ付き軸受
2…タグ読書き端末
3…ICタグ
4…潤滑剤劣化検出センサ
5…電源回路
6…軸受装備電子部品
8…ローラ
8A…軸受ユニット
10…機械設備
12…アンテナ
13…中央処理装置
17…温度センサ(または振動センサ)
20…端末移動手段
32…潤滑剤
35…発光部
36…受光部
37…判定手段
68,69…オイルシール
70,71…シールケース
65…外輪
67…保持器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受に、ICタグと、このICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体に設けられ非接触で前記軸受の外部から給電された電力を蓄積する電源回路と、この電源で駆動される潤滑剤の劣化検出センサとを搭載し、前記ICタグに対する情報の読書き・および前記電源回路に対する給電を非接触で行うタグ読書き端末を設けたICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。
【請求項2】
請求項1において、前記軸受に、前記電源で駆動され、前記潤滑剤の劣化検出センサとは別の情報を検出するセンサを、一つまたは複数搭載したICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。
【請求項3】
請求項2において、前記別の情報を検出するセンサが、温度センサまたは振動センサであるICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ICタグに、このICタグを搭載した軸受の識別情報を記憶させたICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記軸受が、鉄道車両の車軸軸受であるICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。
【請求項6】
請求項4において、軸受の外輪の端部にシールケースを取付け、このシールケースに軸受空間を密封するシールを設け、このシールの内側に前記劣化検出センサを配置し、前記シールケースの外側にICタグを配置したICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記劣化検出センサが、検出対象となる潤滑剤を互いの間に介在させる発光部および受光部と、この受光部の出力から前記潤滑剤の光透過率を求めて潤滑剤に混入している異物の量を検出する判定手段とを備えるものであるICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記劣化検出センサが、発光部と受光部とが角度をもって配置され、発光部から出た光が潤滑剤の表面で散乱反射して受光部に入る光学系と、受光部の出力の変化から潤滑剤に混入している異物の量を検出する判定手段とを備えるものであるICタグ・センサ付き軸受の潤滑剤劣化検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−256033(P2007−256033A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79891(P2006−79891)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】