説明

MOS電界効果半導体装置の製造方法及びMOS電界効果半導体装置

【課題】メタルゲート電極を用いた高性能のCMOS電界効果半導体装置を提供する。
【解決手段】n型ゲート電極及びp型ゲート電極を同一のメタルで構成し、且つ、そのN濃度をn型ゲート電極とp型ゲート電極とで異ならせる。それにより、所定の仕事関数差のn型ゲート電極及びp型ゲート電極を備える高性能のCMOS電界効果半導体装置が実現可能になる。また、そのように同一のメタルで構成されたN濃度の異なる層上に低抵抗層を形成することにより、n型ゲート電極とp型ゲート電極の仕事関数を制御しつつそれらの低抵抗化を図ることが可能になり、より高性能のCMOS電界効果半導体装置が実現可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMOS電界効果半導体装置の製造方法及びMOS電界効果半導体装置に関し、特に仕事関数差をもつことが必要なn型ゲート電極及びp型ゲート電極を備えたMOS電界効果半導体装置の製造方法及びMOS電界効果半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOS電界効果半導体装置に於いて、ゲート電極を作製する場合、多結晶Siゲート電極に不純物を導入することでn型とp型とを作り分けることが行われ、それ等のゲート電極に於ける仕事関数差は、約1eVになっている。
【0003】
また、ゲート電極をメタル化した場合にも、従来の多結晶Si(シリコン)ゲート電極で実現していたチャネル不純物濃度、及び、不純物濃度プロファイルを変更しないためには、n型及びp型のメタルゲート電極の仕事関数差が1eV程度存在することが必要である。
【0004】
然しながら、メタルゲート電極をn型及びp型に作り分ける場合、多結晶Siの場合のように導入する不純物の種類を選択することで実現することはできず、それぞれの材料を変えることで仕事関数差、従って、閾値電圧差をもたせているのであるが、そのようにした場合、製造工程数が増加し、製造歩留りが低下することは回避できない。
【0005】
ところで、近年、メタルゲート電極をN化(窒化)することにより、仕事関数を変化させ得ることが報告されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1を参照。)。
然しながら、n型Si及びp型Siに合致する仕事関数を得るための具体的な手段は判っていないのが現状であり、また、その時の仕事関数制御範囲(ΔVFB)も不明であるから、メタルゲート電極をN化させた場合に於けるn型/p型ゲート電極の仕事関数制御範囲、及び、その場合のN濃度も明らかではない。
【0006】
従って、現在、メタルゲート電極をN化して仕事関数を変化させる技術を利用して実用になるMOS電界効果半導体装置を実現することは不可能な状態にある。
【特許文献1】特開2000−31296号公報
【非特許文献1】IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, VOL.25, No.2, Feb 2004, "Robust High-Quality HfN-HfO2 Gate Stack for Advanced MOS Device Applications"
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、MOS電界効果半導体装置に於けるn型及びp型ゲート電極を同材料でメタル化した場合に於いて、n型及びp型ゲート電極に於ける仕事関数差の1eVを実現できるようにし、従来の多結晶Siゲート電極で実現していたチャネル不純物濃度、及び、不純物濃度プロファイルを変更しなくてよい旨の利点を享受できるようにする。
【0008】
さらに、本発明では、メタルゲート電極を用いた高性能のMOS電界効果半導体装置の製造方法及びMOS電界効果半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、MOS電界効果半導体装置に於けるn型ゲート電極及びp型ゲート電極をメタル化するに際し、同一材料からなるメタルゲート電極中のN化濃度差によって得られる仕事関数を明確化し、従って、その際の仕事関数制御範囲を明確化し、もって、従来の多結晶Siゲート電極と同じ仕事関数を実現する場合の手段を提示する。
【0010】
そこで、本発明によるMOS電界効果半導体装置に於いては、n型及びp型の各活性領域をもつ半導体層上のゲート絶縁膜上に形成されたn型ゲート電極及びp型ゲート電極が同一のメタルで構成され、且つ、該メタルのN濃度が前記n型ゲート電極及び前記p型ゲート電極とで相違することを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、相補型のMOS電界効果半導体装置の製造方法に於いて、n型MOSトランジスタ形成領域とp型MOSトランジスタ形成領域の半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とでN濃度が異なる仕事関数制御層を形成する工程と、前記仕事関数制御層上に低抵抗層を形成する工程と、を有することを特徴とするMOS電界効果半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
このようなMOS電界効果半導体装置の製造方法によれば、n型ゲート電極及びp型ゲート電極が共に仕事関数制御層上に低抵抗層が形成され、n型ゲート電極及びp型ゲート電極の低抵抗化が図られた相補型のMOS電界効果半導体装置が形成されるようになる。
【0013】
また、本発明では、相補型のMOS電界効果半導体装置に於いて、n型ゲート電極とp型ゲート電極とが、同一のメタルを用いて形成された仕事関数制御層を有し、前記n型ゲート電極と前記p型ゲート電極のそれぞれの前記仕事関数制御層上にそれぞれの前記仕事関数制御層より低抵抗のメタルを用いて形成された低抵抗層を有していることを特徴とするMOS電界効果半導体装置が提供される。
【0014】
このようなMOS電界効果半導体装置によれば、n型ゲート電極及びp型ゲート電極が共に仕事関数制御層上に低抵抗層が形成された構成を有するため、n型ゲート電極及びp型ゲート電極の低抵抗化が図られるようになる。
【発明の効果】
【0015】
前記手段を採ることにより、同一メタルを用い、そのメタル中のN濃度を変えることで容易且つ簡単に仕事関数差が1eVのn型ゲート電極及びp型ゲート電極を実現することができる。
【0016】
また、本発明では、n型ゲート電極及びp型ゲート電極を仕事関数制御層上に低抵抗層を形成した構成とする。これにより、n型ゲート電極とp型ゲート電極の仕事関数を制御しつつそれらの低抵抗化を図ることができ、より高性能なMOS電界効果半導体装置が実現可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1はHfメタル中のN濃度プロファイルを表す線図であり、また、図2はN濃度と仕事関数の関係を表す線図である。尚、図1はHf(ハフニウム)中のN濃度プロファイルを深さ方向SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析して得たものであり、横軸は深さ(nm)を表し、縦軸はN濃度(cm-3)を表している。また、図2において、横軸はHfN(窒化ハフニウム)のN濃度(cm-3)を表し、縦軸はHfNの仕事関数(eV)を表している。
【0018】
図1及び図2のデータを得た際の実験では、Hfからなるn型ゲート電極界面にNを5×1021cm-3の濃度で導入し、また、同じ材料からなるp型ゲート電極界面にNを1×1022cm-3の濃度で導入することで、HfNの仕事関数差は0.8eV以上にすることができた。
【0019】
即ち、例えば、Hf中のN濃度を5×1021cm-3とすることにより、HfNの仕事関数は4.1eVとなり、そして、N濃度を1×1022cm-3とすることにより、HfNの仕事関数は5.1eVとなっている。
【0020】
このように、同一材料からなるメタルゲート電極であっても、仕事関数差を作り出すことができ、従って、通常の多結晶Siゲート電極の場合と同様、同じチャネル不純物濃度及びプロファイルを利用することができる。
【0021】
また、図1からすると、ゲート絶縁膜(SiO2(酸化シリコン))界面付近のHfにNがパイルアップされることが看取され、効率的に仕事関数差を実現できることが明らかである。
【0022】
また、図2からすると、N濃度が低い場合、或いは、高い場合には、従来の多結晶Siゲート電極と同じ仕事関数を実現できないことが明らかである。
尚、ここではHfを例にして述べたが、Zr(ジルコニウム)を用いた場合にも同様の結果を得ることができ、n型ゲート電極界面及びp型ゲート電極界面にそれぞれ上記濃度でNを導入することで、仕事関数差が0.8eV以上のZrN(窒化ジルコニウム)を得ることができた。
【0023】
(実施例)
ゲート電極用材料膜として、HfN(N濃度5×1021cm-3)膜を成膜し、n型ゲート電極上のみレジスト等の保護膜で覆い、p型ゲート電極を露出させ、イオン注入法を適用してN(窒素)イオンを1×1022cm-3の濃度となるように打ち込みを行う。次いで、温度500℃、時間30分程度の熱処理を行う。
【0024】
これにより、n型ゲート電極のHfNに於けるゲート絶縁膜界面のN濃度は5×1021cm-3となり、p型ゲート電極のHfNに於けるゲート絶縁膜界面のN濃度は1×1022cm-3となる。
【0025】
このようにすることで、同一メタルでN濃度を変えることにより仕事関数差が1eVのゲート電極を実現することができた。また、HfN膜上にMoN(窒化モリブデン)膜を成膜して2層構造とし、HfNの酸化を防止することができるので、後工程での熱処理プロセスにも耐えることができ、高性能のメタルゲート電極をもつCMOS電界効果半導体装置を提供することができる。また、HfN膜上にMoN膜を成膜して2層構造とした場合には、ゲート電極の低抵抗化を図ることも可能になる。この点については後述する。
【0026】
図3は本発明によって作製したHfNゲート電極をもつMOSダイオードのCV測定データ及び従来の多結晶Siゲート電極のCV測定データを比較して表す線図である。尚、図3において、横軸はゲート電圧Vg(V)を表し、縦軸は容量C(F)を表している。
【0027】
図3からすると、B+(ボロン)をドーピングした多結晶Siからなるp型ゲート電極(図中c)と、ゲート絶縁膜界面のN濃度が1×1022cm-3であるHfNからなるp型ゲート電極(図中e)とのVFBが同じであることが看取され、そして、As+(砒素)をドーピングした多結晶Siからなるn型ゲート電極(図中d)と、ゲート絶縁膜界面のN濃度が5×1021cm-3であるHfNからなるn型ゲート電極(図中f)とのVFBが同じであることも看取できる。
【0028】
尚、図2に示したように、HfNは、そのN濃度の増加に伴い仕事関数が増加する傾向があり、特にN濃度が5×1021cm-3から1×1022cm-3の間で仕事関数が大きく変化する。そして、n型ゲート電極のHfNに濃度5×1021cm-3以下のNが含有され、p型ゲート電極のHfNに濃度1×1022cm-3以上のNが含有されている場合に、n型ゲート電極とp型ゲート電極の双方に多結晶Siを用いたときを上回る仕事関数差を得ることも可能である。然しながら、例えば、上記のように、n型ゲート電極の場合には5×1021cm-3に、p型ゲート電極の場合には1×1022cm-3に、それぞれ設定することにより、多結晶Siゲート電極の場合と同等の仕事関数差が得られるようになる。
【0029】
次に、メタルゲート電極の抵抗について説明する。
上記のように、メタルゲート電極のN化に於いては、導入するNの濃度によって仕事関数の制御が可能であるが、Nが導入されることによってメタルゲート電極の抵抗は上昇するようになる。
【0030】
図4はメタルゲート電極の仕事関数制御範囲と抵抗率の関係を示す図である。図4に於いて、横軸は仕事関数制御範囲ΔVFB(V)を表し、縦軸は抵抗率(μΩcm)を表している。
【0031】
図4より、HfN及びZrNの仕事関数制御範囲ΔVFBを増加させていく、即ちHf及びZrへのNの導入量を増加させていくと、HfN及びZrNの抵抗率は上昇する。このように、Nの導入量の増加に伴い、メタルゲート電極の抵抗率は上昇していくようになる。
【0032】
HfNやZrNをゲート電極として用いたときのこのような抵抗の上昇を抑制するため、ここでは、HfNやZrNの層の上に低抵抗のメタル或いは窒化メタル(単に「メタル」という。)の層を積層したゲート電極(「積層メタルゲート電極」という。)を構成する。
【0033】
図5は積層メタルゲート電極を用いたMOS構造の一例の概略模式図である。
図5に示すMOS構造では、Si基板1上にSiO2等のゲート絶縁膜2を介して、積層メタルゲート電極3が形成されている。積層メタルゲート電極3は、下層に仕事関数を制御するための層(「仕事関数制御層」という。)3aが形成され、上層にゲート電極の低抵抗化を図るための層(「低抵抗層」という。)3bが形成されている。
【0034】
仕事関数制御層3aには、上記のような所定濃度のNを含有するHfN層或いはZrN層を用いることができる。即ち、n型の積層メタルゲート電極3を形成する場合には、その仕事関数制御層3aとして、N濃度が5×1021cm-3以下のHfN層或いはZrN層を用いることができ、p型の積層メタルゲート電極3を形成する場合には、その仕事関数制御層3aとして、N濃度が1×1022cm-3以上のHfN層或いはZrN層を用いることができる。
【0035】
低抵抗層3bには、低抵抗のメタル、例えば、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、Cu(銅)、Os(オスミウム)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Co(コバルト)、Au(金)、Ni(ニッケル)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)等のうちの1種又は2種以上からなるメタルやその窒化物を用いることができる。このようなメタルは、HfN層やZrN層に比べて抵抗率が低く、また、融点が1000℃以上になるため以後の熱処理プロセスに於いても安定である。
【0036】
このようなMOS構造は、例えば、常法に従ってSi基板1上にSiO2のゲート絶縁膜2を形成した後、仕事関数制御層3aとしてHfN層或いはZrN層をスパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成する。そして、さらに必要に応じイオン注入法を用いてNを導入し、所定のN濃度のHfN層或いはZrN層を形成する。また、Hf層或いはZr層の形成後にイオン注入法を用いてNを導入し、所定のN濃度のHfN層或いはZrN層を形成するようにしてもよい。このようにして仕事関数制御層3aを形成した後は、低抵抗層3bとしてのメタル層をスパッタ法やCVD法を用いて形成する。最後に、適当なゲート加工処理を行い、ゲート絶縁膜2上に所定形状の積層メタルゲート電極3を形成すればよい。
【0037】
なお、ゲート絶縁膜2には、SiO2のほか、酸窒化シリコン(SiON)、或いは酸化ハフニウム(HfO2)やハフニウムシリケート(HfSiO)等の高誘電率(High−k)材料も用いることができる。その場合も、上記同様にして積層メタルゲート電極3の形成が可能である。
【0038】
ここで、低抵抗層3bを積層することによるゲート電極の抵抗低減効果について、具体例を挙げて説明する。
図6はn型積層メタルゲート電極を用いたMOS構造の要部断面模式図である。
【0039】
この図6に示すMOS構造は、Si基板10上にゲート絶縁膜11を介して、仕事関数制御層のHfN層12aと低抵抗層のPt層12bが積層されたn型積層メタルゲート電極12が形成されている。このn型積層メタルゲート電極12のHfN層12aには、ここでは濃度5×1021cm-3のNが導入されている。また、HfN層12aとその上層のPt層12bの膜厚比は、1:9(HfN層:Pt層=1:9)に設定されている。このような構成を有するn型積層メタルゲート電極12の抵抗率の測定結果を次の図7に示す。
【0040】
図7はn型積層メタルゲート電極の抵抗率の測定結果を示す図である。尚、図7には、n型積層メタルゲート電極12の抵抗率の測定結果のほか、n型ゲート電極相当のNを含有するHfN層12a及びPt層12bをそれぞれ単独でSi基板10のゲート絶縁膜11上に形成したときの抵抗率の測定結果についても併せて図示している。
【0041】
図7より、まず、Pt層12b(図7中、「Pt層」と表記。)の抵抗率は16.7μΩcmであり、n型ゲート電極相当のN濃度のHfN層12a(図7中、「HfN層(n)」と表記。)の抵抗率は218μΩcmであった。そして、HfN層12aとPt層12bを積層したn型積層メタルゲート電極12(図7中、「Pt層+HfN層(n)」と表記。)では、その抵抗率は23.1μΩcmになった。
【0042】
このように、HfN層12a上にPt層12bを積層することにより、その抵抗率は218μΩcmから23.1μΩcmへと大幅に低下し、Pt層12b単独の場合と同程度の抵抗率が得られるようになった。これにより、N濃度によって仕事関数が制御され且つ非常に低抵抗なメタルゲート電極が形成されていることが確認された。
【0043】
尚、ここでは、HfN層12aとPt層12bの膜厚比が1:9のn型積層メタルゲート電極12の場合を例にして述べたが、HfN層12aの膜厚割合を変化させて同様の測定を行ったところ、HfN層12aの膜厚割合の増加に伴いn型積層メタルゲート電極12の抵抗率が上昇していく傾向が認められた。さらに、n型積層メタルゲート電極の低抵抗層にその他のメタルを用いて同様の測定を行ったところ、HfN層上に低抵抗層を積層することにより、HfN層単独の場合に比べ、低抵抗化を図ることができた。さらに、この場合にも、上記同様、HfN層の膜厚割合の増加に伴いn型積層メタルゲート電極の抵抗率が上昇していく傾向が認められた。
【0044】
また、図8はp型積層メタルゲート電極を用いたMOS構造の要部断面模式図である。
この図8に示すMOS構造は、Si基板20上にゲート絶縁膜21を介して、仕事関数制御層のHfN層22aと低抵抗層のMoN層22bが積層されたp型積層メタルゲート電極22が形成されている。p型積層メタルゲート電極22のHfN層22aには、ここでは濃度1×1022cm-3のNが導入されている。また、HfN層22aとその上層のMoN層22bの膜厚比は、2:8(HfN層:MoN層=2:8)に設定されている。このような構成を有するp型積層メタルゲート電極22の抵抗率の測定結果を次の図9に示す。
【0045】
図9はp型積層メタルゲート電極の抵抗率の測定結果を示す図である。尚、図9には、p型積層メタルゲート電極22の抵抗率の測定結果のほか、p型ゲート電極相当のNを含有するHfN層22a、及びMoN層22bをそれぞれ単独でSi基板20のゲート絶縁膜21上に形成したときの抵抗率の測定結果についても併せて図示している。
【0046】
図9より、まず、MoN層22b(図9中、「MoN層」と表記。)の抵抗率は313μΩcmであり、p型ゲート電極相当のN濃度のHfN層22a(図9中、「HfN層(p)」と表記。)の抵抗率は1980μΩcmであった。そして、HfN層22aとMoN層22bを積層したp型積層メタルゲート電極22(図9中、「MoN層+HfN層(p)」と表記。)では、その抵抗率は616μΩcmになった。
【0047】
このように、HfN層22a上にMoN層22bを積層することにより、その抵抗率は1980μΩcmから616μΩcmへと大幅に低下した。これにより、N濃度によって仕事関数が制御され且つ非常に低抵抗なメタルゲート電極が形成されていることが確認された。
【0048】
尚、ここでは、HfN層22aとMoN層22bの膜厚比が2:8のp型積層メタルゲート電極22の場合を例にして述べたが、HfN層22aの膜厚割合を変化させて同様の測定を行ったところ、HfN層22aの膜厚割合の増加に伴いp型積層メタルゲート電極22の抵抗率が上昇していく傾向が認められた。さらに、p型積層メタルゲート電極の低抵抗層にその他のメタルを用いて同様の測定を行ったところ、HfN層上に低抵抗層を積層することにより、HfN層単独の場合に比べ、低抵抗化を図ることができた。さらに、この場合にも、上記同様、HfN層の膜厚割合の増加に伴いp型積層メタルゲート電極の抵抗率が上昇していく傾向が認められた。
【0049】
続いて、積層メタルゲート電極を用いたCMOS電界効果半導体装置の形成フローについて説明する。
図10から図13はCMOS電界効果半導体装置の形成フローの第1の例の説明図であって、図10は第1の例のHfN層形成工程の要部断面模式図、図11は第1の例のN導入工程の要部断面模式図、図12は第1の例の低抵抗層形成工程の要部断面模式図、図13は第1の例のゲート加工工程の要部断面模式図である。
【0050】
この第1の例のCMOS電界効果半導体装置形成では、まず、従来公知の方法を用い、素子分離領域(図示せず。)が形成されたSi基板30のn型MOSトランジスタ形成領域31にp型ウェル(図示せず。)を、p型MOSトランジスタ形成領域32にn型ウェル(図示せず。)を、それぞれ形成する。そして、ダミーのゲート電極(図示せず。)を形成した後、ソース・ドレイン・エクステンション領域(図示せず。)を形成し、サイドウォール33を形成してからソース・ドレイン領域(図示せず。)を形成する。次いで、層間絶縁膜34を形成し、必要に応じ表面を研磨してダミーのゲート電極の上面を表出させ、そのダミーのゲート電極を除去する。これにより、n型,p型MOSトランジスタ形成領域31,32の双方にサイドウォール33に囲まれたゲートパターンの凹部35,36がそれぞれ形成され、それらの凹部35,36の底にSi基板30のチャネル領域が表出されるようになる。
【0051】
その後、CVD法を用いて全面にSiO2等のゲート絶縁膜37を形成し、さらにその上に、例えば、CVD法を用いてN濃度5×1021cm-3のHfN層38aを膜厚約10nmで形成する。これにより、図10に示したような状態を得る。
【0052】
次いで、図11に示すように、n型MOSトランジスタ形成領域31側をレジスト39で覆い、p型MOSトランジスタ形成領域32のHfN層38aに濃度5×1021cm-3相当のNをイオン注入法により導入し、先にHfN層38aに導入されていたNとの合計でN濃度が1×1022cm-3のHfN層38bを形成する。その後、レジスト39は除去する。これにより、n型,p型MOSトランジスタ形成領域31,32にそれぞれ仕事関数制御層として、所定N濃度のHfN層38a,38bが形成されるようになる。
【0053】
HfN層38a,38bの形成後は、図12に示すように、例えば、CVD法を用いて全面にPt層40を、チャネル領域直上に於ける膜厚が約90nmになるように形成する。そして、最後に、図13に示すように、ゲート加工を行ってn型,p型MOSトランジスタ形成領域31,32間を電気的に分離する。これにより、n型MOSトランジスタ形成領域31には、N濃度が5×1021cm-3のHfN層38aとPt層40の積層メタルゲート電極が形成され、p型MOSトランジスタ形成領域32には、N濃度1×1022cm-3のHfN層38bとPt層40の積層メタルゲート電極が形成されて、図13に示したような所定の仕事関数差を有する積層メタルゲート電極を備えたCMOS電界効果半導体装置の基本構造が完成する。
【0054】
図14から図18はCMOS電界効果半導体装置の形成フローの第2の例の説明図であって、図14は第2の例のHfN層形成工程の要部断面模式図、図15は第2の例のN導入工程の要部断面模式図、図16は第2の例の低抵抗層形成工程の要部断面模式図、図17は第2の例のゲート加工工程の要部断面模式図、図18は第2の例のトランジスタ構造形成工程の要部断面模式図である。
【0055】
この第1の例のCMOS電界効果半導体装置形成では、まず、従来公知の方法を用い、素子分離領域(図示せず。)が形成されたSi基板50のn型MOSトランジスタ形成領域51にp型ウェル(図示せず。)を、p型MOSトランジスタ形成領域52にn型ウェル(図示せず。)を、それぞれ形成する。次いで、図14に示したように、例えば、熱酸化法を用いてSi基板50上にSiO2のゲート絶縁膜53を形成した後、例えば、CVD法を用い全面にN濃度5×1021cm-3のHfN層54aを膜厚約10nmで形成する。
【0056】
次いで、図15に示すように、n型MOSトランジスタ形成領域51側をレジスト55で覆い、p型MOSトランジスタ形成領域52のHfN層54aに濃度5×1021cm-3相当のNをイオン注入法により導入し、先にHfN層54aに導入されていたNとの合計でN濃度が1×1022cm-3のHfN層54bを形成する。その後、レジスト55は除去する。これにより、n型,p型MOSトランジスタ形成領域51,52にそれぞれ仕事関数制御層として、所定N濃度のHfN層54a,54bが形成されるようになる。
【0057】
HfN層54a,54bの形成後は、図16に示すように、例えば、CVD法を用いて全面にPt層56を膜厚約90nmで形成する。そして、図17に示すように、n型,p型MOSトランジスタ形成領域51,52のHfN層54a,54b、Pt層56及びゲート絶縁膜53に対するゲート加工を行う。最後に、ソース・ドレイン・エクステンション領域(図示せず。)を形成し、サイドウォール57を形成してからソース・ドレイン領域(図示せず。)を形成し、層間絶縁膜58を形成する。
【0058】
これにより、n型MOSトランジスタ形成領域51には、N濃度5×1021cm-3のHfN層54aとPt層56の積層メタルゲート電極が形成され、p型MOSトランジスタ形成領域52には、N濃度1×1022cm-3のHfN層54bとPt層56の積層メタルゲート電極が形成されて、図18に示したような所定の仕事関数差を有する積層メタルゲート電極を備えたCMOS電界効果半導体装置の基本構造が完成する。
【0059】
このように、上記第1,第2の例に示したような形成フローにより、積層メタルゲート電極を有するCMOS電界効果半導体装置を形成することができる。
尚、Hf層上にPt層を形成した場合には、適当な熱処理プロセスによってHfとPtが合金化する場合がある。然しながら、上記第1,第2の例に於いては、Nを含有するHfN層38a,38b,54a,54bの上層にPt層40,56が形成されているため、熱処理プロセスに於いてもそれらの合金化が抑えられ、ゲート電極の積層構造が維持されるようになっている。
【0060】
また、上記第1,第2の例では、仕事関数制御層にHfNを用いた場合を例にして述べたが、HfNに替えてZrNを用いることも可能であり、その場合にも上記同様の手順でCMOS電界効果半導体装置の形成が可能である。また、上記第1,第2の例では、低抵抗層にPtを用いた場合を例にして述べたが、Pt以外にも、例えば先に例示したような種々のメタルを用いることが可能であり、その場合にも上記同様の手順でCMOS電界効果半導体装置の形成が可能である。
【0061】
また、上記第1,第2の例では、n型積層メタルゲート電極とp型積層メタルゲート電極の仕事関数制御層にHfNを用い、低抵抗層にPtを用いた場合を例にして述べたが、n型積層メタルゲート電極とp型積層メタルゲート電極の低抵抗層を異なるメタルを用いて形成することも可能である。
【0062】
即ち、n型積層メタルゲート電極の仕事関数制御層上にはその仕事関数制御層より低抵抗のメタルを用いた低抵抗層を形成し、p型積層メタルゲート電極の仕事関数制御層上にはその仕事関数制御層より低抵抗のメタルを用いた低抵抗層を形成する。その場合は、例えば上記第1,第2の例において、図12,図16に示したように全面にPt層40,56を形成した後に、n型MOSトランジスタ形成領域31,51をレジスト等でマスクしてp型MOSトランジスタ形成領域32,52のPt層40,56を除去し、その除去した部分に他のメタル層を形成するようにすればよい。或いは、図10,図14の工程後に、図12,図16に示したように全面にPt層40,56を形成し、n型MOSトランジスタ形成領域31,51をマスクしてp型MOSトランジスタ形成領域32,52のPt層40,56及びHfN層38a,54aを除去し、その除去した部分に所定のN濃度のHfN層38b,54b及び再度Pt層40,56を形成するようにしてもよい。
【0063】
ただし、CMOS電界効果半導体装置の製造に於いては、n型,p型積層メタルゲート電極の低抵抗層を上記第1,第2の例のように同一メタルで構成する場合の方が、製造プロセスの簡素化を図ることができる点では有効である。
【0064】
また、上記第1,第2の例で述べた各部の膜厚や成膜条件等は一例であって、形成すべきCMOS電界効果半導体装置の形態やその要求特性等に応じて適当に設定可能である。
尚、以上の説明では、積層メタルゲート電極の仕事関数制御層に用いるメタルとしてHfNやZrNを用いたが、これらのほか、TiN(窒化チタン)、TaN(窒化タンタル)、MoN、WN(窒化タングステン)等を用いることもできる。或いはHf、Zr、Ti(チタン)、Ta、Mo、Wのうちの1種又は2種以上からなるメタルや、2種以上を含む窒化物を用いることも可能である。
【0065】
(付記1) 相補型のMOS電界効果半導体装置の製造方法に於いて、
n型MOSトランジスタ形成領域とp型MOSトランジスタ形成領域の半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とでN濃度が異なる仕事関数制御層を形成する工程と、
前記仕事関数制御層上に低抵抗層を形成する工程と、
を有することを特徴とするMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【0066】
(付記2) 前記ゲート絶縁膜上に前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とでN濃度が異なる前記仕事関数制御層を形成する工程に於いては、
前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とに所定濃度のNを含有するメタル層を形成し、
前記n型MOSトランジスタ形成領域をマスクして前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記メタル層に所定量のNを導入して、
前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とでN濃度が異なる前記メタル層によって前記仕事関数制御層を形成することを特徴とする付記1記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【0067】
(付記3) 前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とに所定濃度のNを含有する前記メタル層を形成する際には、
前記メタル層をN濃度が5×1021cm-3以下になるように形成することを特徴とする付記2記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【0068】
(付記4) 前記n型MOSトランジスタ形成領域をマスクして前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記メタル層に所定量のNを導入する際には、
前記メタル層に所定量のNを導入することによって前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記メタル層のN濃度が1×1022cm-3以上になるようにすることを特徴とする付記2記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【0069】
(付記5) 前記仕事関数制御層上に前記低抵抗層を形成する工程に於いては、
前記n型MOSトランジスタ形成領域の前記仕事関数制御層上に一のメタルを用いて一のメタル層を形成し、
前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記仕事関数制御層上に他のメタルを用いて他のメタル層を形成して、
前記一のメタル層及び前記他のメタル層によって前記低抵抗層を形成することを特徴とする付記1記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【0070】
(付記6) 前記仕事関数制御層は、HfN,ZrN,TiN,TaN,MoN,WNのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする付記1記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【0071】
(付記7) 前記低抵抗層は、融点が1000℃以上であることを特徴とする付記1記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記低抵抗層は、Nb,Ta,W,Fe,Mo,Cu,Os,Ru,Rh,Co,Au,Ni,Ir,Pt又はそれらの窒化物のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする付記1記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【0072】
(付記9) n型及びp型の各活性領域をもつ半導体層上のゲート絶縁膜上に形成されたn型ゲート電極及びp型ゲート電極が同一のメタルで構成され、且つ、該メタルのゲート絶縁膜界面に於けるN濃度が前記n型ゲート電極及び前記p型ゲート電極とで相違することを特徴とするMOS電界効果半導体装置。
【0073】
(付記10) 前記n型ゲート電極が5×1021cm-3以下のN濃度であることを特徴とする付記9記載のMOS電界効果半導体装置。
(付記11) 前記p型ゲート電極が1×1022cm-3以上のN濃度であることを特徴とする付記9記載のMOS電界効果半導体装置。
【0074】
(付記12) 前記n型ゲート電極と前記p型ゲート電極の仕事関数差が0.8eV以上であることを特徴とする付記9記載のMOS電界効果半導体装置。
(付記13) 相補型のMOS電界効果半導体装置に於いて、
n型ゲート電極とp型ゲート電極とが、同一のメタルを用いて形成された仕事関数制御層を有し、前記n型ゲート電極と前記p型ゲート電極のそれぞれの前記仕事関数制御層上にそれぞれの前記仕事関数制御層より低抵抗のメタルを用いて形成された低抵抗層を有していることを特徴とするMOS電界効果半導体装置。
【0075】
(付記14) 前記仕事関数制御層は、HfN,ZrN,TiN,TaN,MoN,WNのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする付記13記載のMOS電界効果半導体装置。
【0076】
(付記15) 前記n型ゲート電極の前記仕事関数制御層は、5×1021cm-3以下のN濃度であることを特徴とする付記13記載のMOS電界効果半導体装置。
(付記16) 前記p型ゲート電極の前記仕事関数制御層は、1×1022cm-3以上のN濃度であることを特徴とする付記13記載のMOS電界効果半導体装置。
【0077】
(付記17) 前記低抵抗層は、融点が1000℃以上であることを特徴とする付記13記載のMOS電界効果半導体装置。
(付記18) 前記低抵抗層は、Nb,Ta,W,Fe,Mo,Cu,Os,Ru,Rh,Co,Au,Ni,Ir,Pt又はそれらの窒化物のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする付記13記載のMOS電界効果半導体装置。
【0078】
(付記19) 前記n型ゲート電極と前記p型ゲート電極の仕事関数差が0.8eV以上であることを特徴とする付記13記載のMOS電界効果半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】Hfメタル中のN濃度プロファイルを表す線図である。
【図2】N濃度と仕事関数の関係を表す線図である。
【図3】C−V特性を表す線図である。
【図4】メタルゲート電極の仕事関数制御範囲と抵抗率の関係を示す図である。
【図5】積層メタルゲート電極を用いたMOS構造の一例の概略模式図である。
【図6】n型積層メタルゲート電極を用いたMOS構造の要部断面模式図である。
【図7】n型積層メタルゲート電極の抵抗率の測定結果を示す図である。
【図8】p型積層メタルゲート電極を用いたMOS構造の要部断面模式図である。
【図9】p型積層メタルゲート電極の抵抗率の測定結果を示す図である。
【図10】第1の例のHfN層形成工程の要部断面模式図である。
【図11】第1の例のN導入工程の要部断面模式図である。
【図12】第1の例の低抵抗層形成工程の要部断面模式図である。
【図13】第1の例のゲート加工工程の要部断面模式図である。
【図14】第2の例のHfN層形成工程の要部断面模式図である。
【図15】第2の例のN導入工程の要部断面模式図である。
【図16】第2の例の低抵抗層形成工程の要部断面模式図である。
【図17】第2の例のゲート加工工程の要部断面模式図である。
【図18】第2の例のトランジスタ構造形成工程の要部断面模式図である。
【符号の説明】
【0080】
1,10,20,30,50 Si基板
2,11,21,37,53 ゲート絶縁膜
3 積層メタルゲート電極
3a 仕事関数制御層
3b 低抵抗層
12 n型積層メタルゲート電極
12a,22a,38a,38b,54a,54b HfN層
12b,40,56 Pt層
22 p型積層メタルゲート電極
22b MoN層
31,51 n型MOSトランジスタ形成領域
32,52 p型MOSトランジスタ形成領域
33,57 サイドウォール
34,58 層間絶縁膜
35,36 凹部
39,55 レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補型のMOS電界効果半導体装置の製造方法に於いて、
n型MOSトランジスタ形成領域とp型MOSトランジスタ形成領域の半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とでN濃度が異なる仕事関数制御層を形成する工程と、
前記仕事関数制御層上に低抵抗層を形成する工程と、
を有することを特徴とするMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ゲート絶縁膜上に前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とでN濃度が異なる前記仕事関数制御層を形成する工程に於いては、
前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とに所定濃度のNを含有するメタル層を形成し、
前記n型MOSトランジスタ形成領域をマスクして前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記メタル層に所定量のNを導入して、
前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とでN濃度が異なる前記メタル層によって前記仕事関数制御層を形成することを特徴とする請求項1記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記n型MOSトランジスタ形成領域と前記p型MOSトランジスタ形成領域とに所定濃度のNを含有する前記メタル層を形成する際には、
前記メタル層をN濃度が5×1021cm-3以下になるように形成することを特徴とする請求項2記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記n型MOSトランジスタ形成領域をマスクして前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記メタル層に所定量のNを導入する際には、
前記メタル層に所定量のNを導入することによって前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記メタル層のN濃度が1×1022cm-3以上になるようにすることを特徴とする請求項2記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記仕事関数制御層上に前記低抵抗層を形成する工程に於いては、
前記n型MOSトランジスタ形成領域の前記仕事関数制御層上に一のメタルを用いて一のメタル層を形成し、
前記p型MOSトランジスタ形成領域の前記仕事関数制御層上に他のメタルを用いて他のメタル層を形成して、
前記一のメタル層及び前記他のメタル層によって前記低抵抗層を形成することを特徴とする請求項1記載のMOS電界効果半導体装置の製造方法。
【請求項6】
相補型のMOS電界効果半導体装置に於いて、
n型ゲート電極とp型ゲート電極とが、同一のメタルを用いて形成された仕事関数制御層を有し、前記n型ゲート電極と前記p型ゲート電極のそれぞれの前記仕事関数制御層上にそれぞれの前記仕事関数制御層より低抵抗のメタルを用いて形成された低抵抗層を有していることを特徴とするMOS電界効果半導体装置。
【請求項7】
前記仕事関数制御層は、HfN,ZrN,TiN,TaN,MoN,WNのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項6記載のMOS電界効果半導体装置。
【請求項8】
前記n型ゲート電極の前記仕事関数制御層は、5×1021cm-3以下のN濃度であることを特徴とする請求項6記載のMOS電界効果半導体装置。
【請求項9】
前記p型ゲート電極の前記仕事関数制御層は、1×1022cm-3以上のN濃度であることを特徴とする請求項6記載のMOS電界効果半導体装置。
【請求項10】
前記低抵抗層は、Nb,Ta,W,Fe,Mo,Cu,Os,Ru,Rh,Co,Au,Ni,Ir,Pt又はそれらの窒化物のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項6記載のMOS電界効果半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−295123(P2006−295123A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363112(P2005−363112)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】