説明

サセプタ装置、エピタキシャルウェハの製造装置、および、エピタキシャルウェハの製造方法

【課題】エピタキシャルウェハの裏面に異常成長を発生させることなくエピタキシャル膜の膜厚のばらつきを小さくできるエピタキシャルウェハの製造装置の提供。
【解決手段】サセプタ31の中央とウェハWの中央とが略一致する状態でウェハWを設置してエピタキシャルウェハWEを製造する製造装置1に、上端が半球状の略円柱状のセンターロッド33をサセプタ31の非載置面312側において上下方向に延びるように、かつ、上端がサセプタ31の中央と点接触する状態で設けた。このため、この点接触部分がセンターロッド33により吸熱されて温度が低くなる。また、両者を面接触させる場合と比べて、接触による吸熱作用を小さくでき、サセプタ31中央の局所的な温度低下を招くことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サセプタ装置、エピタキシャルウェハの製造装置、および、エピタキシャルウェハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェハの表面上にエピタキシャル膜を気相成長させてエピタキシャルウェハを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、サセプタを石英製の支持シャフトにより裏面側から三点で支持している構成が開示されている。この支持シャフトで支えられたサセプタの上方および下方には、ハロゲンランプなどで構成されて、輻射熱でサセプタとウェハを加熱する加熱装置が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−269137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、支持シャフトによりサセプタの非載置面の周縁のみを支えているため、サセプタの非載置面中央に前後左右の加熱装置からの輻射光が集中し、サセプタにおけるエピタキシャルウェハの中央(中央の1点のみを意味する)に対応する部分およびその近傍部分(以下、サセプタ中央対応部と称す)の温度がその周りの部分と比べて高くなってしまう。その結果、エピタキシャルウェハ中央のエピタキシャル膜の膜厚(以下、エピ中央膜厚と適宜称す)がその周りの部分と比べて極めて厚くなってしまう。つまり、エピタキシャルウェハの中央部(エピタキシャルウェハの直径をAとしたときに、エピタキシャルウェハの中央を中心とした直径が約A/2の略円形部分を意味する)の膜厚のばらつき(以下、中央部膜厚ばらつきと称す)が大きくなってしまう。
このような中央部膜厚ばらつきを小さくするためには、エピタキシャル膜の気相成長に用いる反応ガスの量を大きく減らすことが考えられる。
しかし、反応ガスの量を大きく減らすと、中央部膜厚ばらつきが改善されるが、エピタキシャルウェハの裏面に異常成長が発生してしまい、ナノトポグラフィが悪化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、エピタキシャルウェハの裏面に異常成長を発生させることなくエピタキシャル膜の膜厚のばらつきを小さくできるサセプタ装置、エピタキシャルウェハの製造装置、および、エピタキシャルウェハの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサセプタ装置は、ウェハに輻射光を照射して前記ウェハを加熱しつつ、前記ウェハの成膜面上にエピタキシャル膜を気相成長させてエピタキシャルウェハを製造するエピタキシャルウェハの製造装置に設けられ、前記ウェハを保持するサセプタ装置であって、前記ウェハが載置される載置面を有するサセプタと、このサセプタの周縁近傍を支持する周縁支持手段と、前記ウェハが載置されたときの前記サセプタにおけるウェハの中央に対応する部分の温度を制御する温度制御手段と、を備え、前記温度制御手段は、略棒状または略板状に形成されて、前記載置面と反対の非載置面側において前記非載置面と略直交する方向に延び、かつ、前記非載置面側の端部が前記非載置面におけるウェハの中央に対応する部分と略点接触または略線接触する状態で設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、略点接触および略線接触とは、温度制御手段とサセプタとの接触面積がウェハの面積と比べて極めて小さいことを意味し、接触面積はサセプタの材質や厚さなどにより適宜設定される。この接触面積としては、例えば、ウェハの面積の0.05%以下であることが好ましい。
ところで、サセプタの非載置面と温度制御手段の端部とを面接触させた場合、この面接触している部分が温度制御手段で吸熱されてしまい、他の部分と比べて局所的に低くなってしまう。このため、エピ中央膜厚がその周囲と比べて局所的に薄くなってしまうおそれがある。
これに対して、本発明では、温度制御手段の端部を非載置面のサセプタ中央対応部と略点接触または略線接触させているため、両者を面接触させる構成と比べて、接触によるサセプタ中央対応部の吸熱作用を小さくでき、局所的な温度低下を招くことなく、サセプタ中央対応部の温度を低くすることができる。
したがって、サセプタ中央対応部の温度を適度に低下させることができ、反応ガスの量を大きく減らすことなく中央部膜厚ばらつきが小さいエピタキシャル膜を気相成長させることができる。また、中央部膜厚ばらつきを小さくするために反応ガスを減らす必要がないため、エピタキシャルウェハの裏面に異常成長が発生することを防止できる。
なお、サセプタの中央と、このサセプタに載置されたウェハの中央とが一致する場合、サセプタ中央対応部はサセプタの中央を中心とした部分となる。このため、温度制御手段は、その端部が非載置面の中央に略点接触または略線接触する状態で設けられる。また、サセプタの中央と、このサセプタに載置されたウェハの中央とが一致しない場合、サセプタ中央対応部はサセプタの中央からずれた位置を中心とした部分となる。このため、温度制御手段は、その端部が非載置面の中央からずれた位置に略点接触または略線接触する状態で設けられる。
【0008】
本発明のサセプタ装置では、前記温度制御手段における前記非載置面側の端部は、錐状または半球状に形成されており、前記非載置面と略点接触する状態で設けられている構成が好ましい。
この発明によれば、温度制御手段の端部を錐状または半球状に形成することで、細かい設置調整をすることなく温度制御手段と非載置面とを略点接触させることができる。
【0009】
本発明のサセプタ装置では、前記温度制御手段は、前記周縁支持手段に着脱自在に取り付けられている構成が好ましい。
この発明によれば、温度制御手段を周縁支持手段に着脱自在に取り付けているため、温度制御手段が腐食性ガスでエッチングされて、長さや太さの変化に伴い接触面積が変化する前に温度制御手段を交換することができる。したがって、必要に応じて温度制御手段を交換することで、吸熱作用を略一定にでき、安定した品質のエピタキシャルウェハを製造できる。
【0010】
本発明のエピタキシャルウェハの製造装置は、ウェハの成膜面上にエピタキシャル膜を気相成長させてエピタキシャルウェハを製造するエピタキシャルウェハの製造装置であって、前記ウェハを保持する上述のサセプタ装置と、このサセプタ装置が内部に設置され、前記ウェハの成膜面にエピタキシャル膜を気相成長させるための反応ガスを内部に供給可能とする反応容器と、前記ウェハに向けて輻射光を照射して前記ウェハを加熱する発光加熱手段と、を備えていることを特徴とする。
ここで、発光加熱手段としては、ウェハの成膜面側およびこの成膜面と反対の裏面側のうち少なくとも一方から輻射光を照射するものを適用できる。
【0011】
本発明のエピタキシャルウェハの製造方法は、ウェハを保持するサセプタ装置に前記ウェハを保持させ、前記ウェハに輻射光を照射して前記ウェハを加熱しつつ前記ウェハに反応ガスを供給し、前記ウェハの成膜面上にエピタキシャル膜を気相成長させてエピタキシャルウェハを製造するエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記サセプタ装置は、前記ウェハが載置される載置面を有するサセプタと、このサセプタの周縁近傍を支持する周縁支持手段と、前記ウェハが載置されたときの前記サセプタにおけるウェハの中央に対応する部分の温度を制御する温度制御手段と、を備え、前記温度制御手段は、略棒状または略板状に形成されて、前記載置面と反対の非載置面側において前記非載置面と略直交する方向に延び、かつ、前記非載置面側の端部が前記非載置面におけるウェハの中央に対応する部分と略点接触または略線接触する状態で設けられており、前記非載置面におけるウェハの中央に対応する部分の熱を前記温度制御手段により吸熱することで、前記サセプタにおけるウェハの中央に対応する部分の温度を制御することを特徴とする。
【0012】
以上の発明によれば、上述のサセプタ装置と同様の構成を製造装置に設けることで、エピタキシャルウェハの裏面に異常成長を発生させることなく中央部膜厚ばらつきを小さくできるエピタキシャルウェハの製造装置および製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
[エピタキシャルウェハの製造装置の構成]
まず、エピタキシャルウェハの製造装置の構成について説明する。
図1は、エピタキシャルウェハの製造装置の要部を示す断面図である。図2は、エピタキシャルウェハの製造装置の平面図である。
エピタキシャルウェハの製造装置1は、図1に示すように、半導体結晶を板状に加工したウェハWの成膜面W1にエピタキシャル膜Eを気相成長させて、エピタキシャルウェハWEを製造する。この製造装置1は、図1および図2に示すように、反応容器2と、サセプタ装置3と、加熱部4と、を備えている。
【0014】
反応容器2は、サセプタ装置3が内部に設置され、内部に反応ガスおよびパージガスを供給可能に構成されている。そして、反応ガスをサセプタ装置3上に載置されたウェハWに供給することで、ウェハWの成膜面W1にエピタキシャル膜Eを気相成長させる。この反応容器2は、上部チャンバ部材21と、下部チャンバ部材22と、を備えている。
上部チャンバ部材21および下部チャンバ部材22は、詳細は図示しないが、石英などの複数の透光性部材を組み合わせることにより、平面視中央部分が窪む略凹状に形成されている。そして、上部チャンバ部材21の略凹状の開口が下側を向き、下部チャンバ部材22の開口が上側を向く状態で両者が取り外し可能に固定されることで、反応容器2内部に反応室2Aが形成される。
また、下部チャンバ部材22の上端側の内周面には、予備加熱リング23が取り付けられている。この予備加熱リング23の内径寸法は、後述するサセプタ31の外径寸法よりも大きく設定されている。
【0015】
反応容器2の側面には、ウェハWの成膜面W1上において反応ガスを略水平方向に流通させるための、図示しない反応ガス供給管および反応ガス排出管が設けられている。また、反応容器2の側面には、サセプタ31の下方においてパージガスを反応ガスと略等しい方向に流通させるための、図示しないパージガス供給管およびパージガス排出管が設けられている。
ここで、反応ガスとしては、エピタキシャル膜Eを気相成長させるための原料ガスの他、キャリアガスを混合させたものを採用できる。原料ガスとしては、気相成長させるエピタキシャル膜Eに応じたものを採用すればよく、例えば、シリコンソースであるSiHClおよびボロンドーパントソースBを水素ガスで希釈した混合反応ガスを採用できる。また、キャリアガスとしては、例えば水素(キャリア水素)を含んだものを採用できる。
さらに、パージガスとしては、種々のものを採用でき、例えば水素ガス(スリット水素)などを採用できる。
【0016】
サセプタ装置3は、直径が200mmまたは300mmのウェハWを保持し、反応容器2内部に設置される。そして、サセプタ装置3は、サセプタ31と、周縁支持手段32と、温度制御手段としてのセンターロッド33と、を備えている。
サセプタ31は、平面視略円盤形状に形成されている。このサセプタ31の一面は、ウェハWが載置される載置面311である。この載置面311の中央には、ウェハWの外形形状に応じた平面視円形状の図示しない凹部が形成されており、この凹部内にサセプタ31の中央とウェハWの中央とが略一致する状態でウェハWが設置される。
周縁支持手段32は、石英などの透光性部材から構成され、反応容器2の下部チャンバ部材22の中央部分から反応室2A内に突出し、サセプタ31を水平状態で反応容器2内に設置するとともに、ウェハWをサセプタ31に設置するものである。この周縁支持手段32は、回転軸Rを中心として回転自在に構成されている。そして、周縁支持手段32は、下部チャンバ部材22の中央部分から反応室2A内に突出する支持本体部321と、この支持本体部321の上端部から斜め上方に延びる3個の周縁支持ロット322と、を備えている。
周縁支持ロット322は、平面視で約120°間隔で設けられている。そして、この3個の周縁支持ロット322の先端部分にて、サセプタ31の非載置面312の周縁近傍を3点で支持することで、サセプタ31は、反応室2A内で水平状態に設置される。
なお、周縁支持ロット322を3個以上設けてもよいし、周縁支持ロット322の代わりに支持本体部321の上端部から放射状に拡がる略円錐筒状の部材を設けてもよい。
【0017】
また、支持本体部321の上端面には、センターロッド33の下端が着脱自在に嵌合されるロッド嵌合凹部321Aが設けられている。センターロッド33は、石英などの透明部材により先端が半球状の略円柱状に形成されており、その下端がロッド嵌合凹部321Aに嵌合されることで、サセプタ31の非載置面312側において非載置面312と略直交する方向(上下方向)に延びるように設置される。また、センターロッド33は、表面がサンドブラスト処理により荒らされている。ここで、センターロッド33の長さ寸法は、センターロッド33の上端と非載置面312の中央とが点接触する大きさに設定されている。また、センターロッド33におけるロッド嵌合凹部321Aに嵌合していない部分の直径は、3.0mm以上、22.0mm以下に設定されている。ここで、センターロッド33の直径は、ウェハWの直径に応じた大きさに設定できる。すなわち、センターロッド33の直径としては、ウェハWの直径が200mmの場合は、4.7mm、ウェハWの直径が300mmの場合は、20.5mmにすることが例示できる。
【0018】
加熱部4は、反応容器2の上方に設けられた複数の表面側発光加熱手段41と、反応容器2の下方に設けられた複数の裏面側発光加熱手段42と、を備えている。裏面側発光加熱手段42は、サセプタ31と略同心のリング状に並んで配置されており、反応容器2の下方から輻射光を照射して、ウェハWおよびサセプタ31を加熱する。表面側発光加熱手段41は、ここでは図示しないが、裏面側発光加熱手段42と同様にサセプタ31と略同心のリング状に並んで配置されており、反応容器2の上方からウェハWおよびサセプタ31を加熱する。
この表面側発光加熱手段41および裏面側発光加熱手段42としては、例えば、ハロゲンランプや赤外ランプなどを採用できる。
また、加熱部4は、それぞれ略筒状に形成された、表内反射部43と、裏内反射部44と、表外反射部45と、裏外反射部46と、を備えている。表内反射部43および裏内反射部44は、表面側発光加熱手段41および裏面側発光加熱手段42で構成される略リング状の内部空間からサセプタ31に近づく方向に、突出して設けられている。表外反射部45および裏外反射部46は、表内反射部43および裏内反射部44における上述の突出部分を囲むように設けられている。そして、表面側発光加熱手段41から出射される輻射光は、表内反射部43と表外反射部45との間を通過するとともに、これらにより反射されてウェハWに照射される。また、裏面側発光加熱手段42から出射される輻射光は、裏内反射部44と裏外反射部46との間を通過するとともに、これらにより反射されてサセプタ31の非載置面312に照射される。
【0019】
[エピタキシャルウェハの製造方法]
次に、上述の製造装置1を用いたエピタキシャルウェハWEの製造方法について説明する。
まず、表面側発光加熱手段41および裏面側発光加熱手段42を駆動して、ウェハWが載置されたサセプタ31を所望の成長温度に加熱する。
そして、回転軸Rを中心として周縁支持手段32を回転させながら、以下に示すように、ウェハWの成膜面W1上にエピタキシャル膜Eを気相成長させる。
具体的には、まず、気相成長の直前に、例えば腐食性ガスである塩化水素ガスをウェハWの成膜面W1に流すことにより気相エッチングを実施して、成膜面W1の自然酸化膜を除去する。この後、ウェハWの成膜面W1上に水平に反応ガスを常時供給し、サセプタ31の下方にパージガスを所定のタイミングで導入する。
すなわち、反応ガスの流量とパージガスの流量を制御することで、エピタキシャル膜Eの気相成長時に、ウェハWの上方側を反応ガスが流通する反応ガス流が形成され、サセプタ31の下方にパージガスが流通するパージガス流が形成される。このようにして気相成長を実施することにより、ウェハWの表面上にエピタキシャル膜Eが形成され、エピタキシャルウェハWEが製造される。
【0020】
ところで、裏面側発光加熱手段42は、略リング状に配置されている。このため、センターロッド33を設けない場合、サセプタ31における裏面側発光加熱手段42からの輻射光の照射量が周縁側よりも中央の方が多くなり、サセプタ31の温度は、周縁側よりも中央の方が高くなる。
一方、製造装置1にはサセプタ31の中央に点接触するセンターロッド33が設けられているため、この点接触部分がセンターロッド33により吸熱されて温度が低くなる。また、両者を面接触させる場合、例えば、接触面積がウェハの面積の0.05%を超えるようにする場合と比べて、接触による吸熱作用を小さくでき、サセプタ31中央の局所的な温度低下を招くことがない。
以上のことから、サセプタ31は、センターロッド33を設けない構成と比べて、中央の温度が適度に下げられた状態に加熱される。したがって、反応ガスの量を大きく減らすことなく、中央部膜厚ばらつきが小さいエピタキシャル膜Eを気相成長させることができる。
【0021】
[実施形態の作用効果]
上述したような一実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)製造装置1に、センターロッド33を、サセプタ31の非載置面312側において上下方向に延びるように、かつ、上端がサセプタ31の中央(サセプタ中央対応部)に点接触する状態で設けている。
このため、上述したように、反応ガスの量を大きく減らすことなく中央部膜厚ばらつきを小さくできるとともに、エピタキシャルウェハWEの裏面に異常成長が発生することを防止できる。
【0022】
(2)センターロッド33の上端を半球状に形成しているため、細かい設置のための調整をすることなくセンターロッド33とサセプタ31とを点接触させることができる。
【0023】
(3)センターロッド33を周縁支持手段32の支持本体部321に着脱自在に設けているため、センターロッド33が塩化水素ガスでエッチングされて接触面積が変化する前にセンターロッド33を交換することで、吸熱作用を略一定にでき、安定した品質のエピタキシャルウェハWEを製造できる。
【0024】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
【0025】
すなわち、図3に示すように、上端が円錐状に形成された略棒状のセンターロッド33Aを、サセプタ31に点接触させて設けてもよい。ここで、上端の形状としては、角錐状にしてもよい。
また、図4に示すように、円柱部33B1と、この円柱部33B1の先端に設けられた球状部33B2とを有する略棒状のセンターロッド33Bを適用して、球状部33B2の先端33B3をサセプタ31に点接触させてもよい。
そして、図5に示すように、略棒状としての円錐状に形成されたセンターロッド33Cを適用して、先端33C3をサセプタ31に点接触させてもよい。
さらに、図6に示すように、縦断面が三角形の略壁状に形成されたセンターロッド33Dを適用して、先端33D3をサセプタ31に線接触させてもよい。
また、上端が円弧面状に形成された略棒状の温度制御部材を、サセプタ31に線接触させて設けてもよい。
また、石英などの透明部材で形成されたセンターロッド33をサンドブラスト処理しなくてもよいし、センターロッド33を不透明石英、SiC(炭化珪素)などの不透明部材で形成してもよい。そして、センターロッド33と周縁支持手段32とを一体的に形成して、センターロッド33を周縁支持手段32から脱着できないような構成としてもよい。
さらに、サセプタ31の中央と、このサセプタ31に載置されたウェハWの中央とが一致しない状態で成膜をする構成の場合、センターロッド33の上端を、非載置面312の中央ではなく、非載置面312の中央からずれたウェハWの中央に対応する位置に略点接触または略線接触する状態で設けることにより、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、サセプタ装置、エピタキシャルウェハの製造装置、および、エピタキシャルウェハの製造方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るエピタキシャルウェハの製造装置の要部を示す断面図である。
【図2】前記エピタキシャルウェハの製造装置の平面図である。
【図3】本発明の変形例に係るセンターロッドの側面図である。
【図4】本発明のさらに他の変形例に係るセンターロッドの側面図である。
【図5】本発明のさらに他の変形例に係るセンターロッドの側面図である。
【図6】本発明のさらに他の変形例に係るセンターロッドの側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…製造装置
2…反応容器
3…サセプタ装置
31…サセプタ
32…周縁支持手段
33,33A,33B,33C,33D…温度制御手段としてのセンターロッド
42…裏面側発光加熱手段
311…載置面
312…非載置面
E…エピタキシャル膜
W…ウェハ
W1…成膜面
WE…エピタキシャルウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハに輻射光を照射して前記ウェハを加熱しつつ、前記ウェハの成膜面上にエピタキシャル膜を気相成長させてエピタキシャルウェハを製造するエピタキシャルウェハの製造装置に設けられ、前記ウェハを保持するサセプタ装置であって、
前記ウェハが載置される載置面を有するサセプタと、
このサセプタの周縁近傍を支持する周縁支持手段と、
前記ウェハが載置されたときの前記サセプタにおけるウェハの中央に対応する部分の温度を制御する温度制御手段と、を備え、
前記温度制御手段は、略棒状または略板状に形成されて、前記載置面と反対の非載置面側において前記非載置面と略直交する方向に延び、かつ、前記非載置面側の端部が前記非載置面におけるウェハの中央に対応する部分と略点接触または略線接触する状態で設けられている
ことを特徴とするサセプタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサセプタ装置であって、
前記温度制御手段における前記非載置面側の端部は、錐状または半球状に形成されており、前記非載置面と略点接触する状態で設けられている
ことを特徴とするサセプタ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のサセプタ装置であって、
前記温度制御手段は、前記周縁支持手段に着脱自在に取り付けられている
ことを特徴とするサセプタ装置。
【請求項4】
ウェハの成膜面上にエピタキシャル膜を気相成長させてエピタキシャルウェハを製造するエピタキシャルウェハの製造装置であって、
前記ウェハを保持する請求項1から請求項3のいずれかに記載のサセプタ装置と、
このサセプタ装置が内部に設置され、前記ウェハの成膜面にエピタキシャル膜を気相成長させるための反応ガスを内部に供給可能とする反応容器と、
前記ウェハに向けて輻射光を照射して前記ウェハを加熱する発光加熱手段と、
を備えていることを特徴とするエピタキシャルウェハの製造装置。
【請求項5】
ウェハを保持するサセプタ装置に前記ウェハを保持させ、前記ウェハに輻射光を照射して前記ウェハを加熱しつつ前記ウェハに反応ガスを供給し、前記ウェハの成膜面上にエピタキシャル膜を気相成長させてエピタキシャルウェハを製造するエピタキシャルウェハの製造方法であって、
前記サセプタ装置は、前記ウェハが載置される載置面を有するサセプタと、このサセプタの周縁近傍を支持する周縁支持手段と、前記ウェハが載置されたときの前記サセプタにおけるウェハの中央に対応する部分の温度を制御する温度制御手段と、を備え、
前記温度制御手段は、略棒状または略板状に形成されて、前記載置面と反対の非載置面側において前記非載置面と略直交する方向に延び、かつ、前記非載置面側の端部が前記非載置面におけるウェハの中央に対応する部分と略点接触または略線接触する状態で設けられており、
前記非載置面におけるウェハの中央に対応する部分の熱を前記温度制御手段により吸熱することで、前記サセプタにおけるウェハの中央に対応する部分の温度を制御する
ことを特徴とするエピタキシャルウェハの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−114139(P2010−114139A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283183(P2008−283183)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000184713)SUMCO TECHXIV株式会社 (265)
【Fターム(参考)】