説明

スイッチ回路

【課題】低歪み特性、低消費電流のスイッチ回路を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの第1の端子、複数の第2の端子及び前記第1の端子を前記第2の端子のいずれか1つと接続させるスイッチ素子を有するスイッチ部と、外部からの端子切替信号により前記スイッチ素子を駆動するドライバ部と、負荷変動に対する応答特性が第1の状態と、負荷変動に対する応答特性が前記第1の状態よりも遅い第2の状態とを有し、前記ドライバ部に電源を供給するDC−DC変換部と、前記端子切替信号の変化に対応した第1の時間は前記DC−DC変換部を前記第1の状態に制御し、前記第1の時間以外の第2の時間は前記DC−DC変換部を前記第2の状態に制御することにより前記DC−DC変換部の前記第2の状態を定常状態とするように制御する電源制御部と、を備えることを特徴とするスイッチ回路が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ回路に関し、特にDC−DC変換部を内蔵したスイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の移動体通信端末は高機能化に伴い、構成素子の小型化と低消費電流化が求められている。また、マルチバンド化が進んでおり、移動体通信端末内には複数の送信回路と受信回路を設けており、それらとアンテナの接続を切り替えるためにアンテナスイッチが用いられている。アンテナスイッチに求められる重要特性として、挿入損失やスイッチのポート間のアイソレーションなどがあるが、その他に歪み特性がある。
【0003】
例えば、FETでスイッチを構成する場合、歪み特性を上げるためには動作電圧を上げるなどの方法がある。そのため、スイッチ回路にDC−DC変換回路などの電源部を搭載し、動作電圧を内部で昇圧するスイッチ回路が増えてきている。
また、低消費電流化のために、半導体スイッチ集積回路にDC−DC変換回路を制御する端子を設け、低歪みが必要である例えば大信号の送信時のみDC−DC変換回路を動作させることができるような構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−124805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低歪み特性、低消費電流のスイッチ回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの第1の端子、複数の第2の端子及び前記第1の端子を前記第2の端子のいずれか1つと接続させるスイッチ素子を有するスイッチ部と、外部からの端子切替信号により前記スイッチ素子を駆動するドライバ部と、負荷変動に対する応答特性が第1の状態と、負荷変動に対する応答特性が前記第1の状態よりも遅い第2の状態とを有し、前記ドライバ部に電源を供給するDC−DC変換部と、前記端子切替信号の変化に対応した第1の時間は前記DC−DC変換部を前記第1の状態に制御し、前記第1の時間以外の第2の時間は前記DC−DC変換部を前記第2の状態に制御することにより前記DC−DC変換部の前記第2の状態を定常状態とするように制御する電源制御部と、を備えることを特徴とするスイッチ回路が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低歪み特性、低消費電流のスイッチ回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るスイッチ回路の構成を例示するブロック図である。
【図2】図1に表したスイッチ部の構成を例示するブロック図である。
【図3】図1に表したドライバ部の構成を例示するブロック図である。
【図4】図1に表したオシレータの構成を例示する回路図である。
【図5】比較例のスイッチ回路の構成を例示するブロック図である。
【図6】比較例のスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
【図7】図1に表したスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るスイッチ回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図9】スイッチ部の構成を例示する回路図である。
【図10】デコーダ部及びドライバ部の構成を例示する回路図である。
【図11】ドライバ部の構成を例示する回路図である。
【図12】オシレータ及びチャージポンプの構成を例示する回路図である。
【図13】エッジ検出回路の構成を例示する回路図である。
【図14】エッジ検出回路の主要な信号のタイミングチャートである。
【図15】電源制御部の構成を例示する回路図である。
【図16】比較例のスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
【図17】図8に表したスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
【図18】本発明の実施形態に係るスイッチ回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図19】オシレータ及びチャージポンプの構成を例示する回路図である。
【図20】図18に表したスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
【図21】本発明の他の実施形態に係るスイッチ回路の構成を例示するブロック図である。
【図22】図21に表したスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、論理値ローレベルを”0”で表し、論理値ハイレベルを”1”で表す。さらに、mビット(mは、1以上)からなる信号Dを最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)の順番に左側から右側に並べて、例えば、m=3の場合、信号D=4を”100”などと表す。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るスイッチ回路の構成を例示するブロック図である。
図1に表したように、本実施例のスイッチ回路81は、スイッチ部10、ドライバ部20、デコーダ部30、DC−DC変換部40及び電源制御部60を備える。そして、これらを同じ半導体基板に形成して1チップ化した構造、または複数のチップに形成して1つのパッケージ体としてパッケージングした構造を備える。
【0011】
そして、本実施例のスイッチ回路81は、例えば、複数の受信部及び複数の送信部を有する携帯電話端末などのアンテナスイッチに用いることができる。第1の端子P10をアンテナに接続し、第2の端子P01〜P0Nを複数の受信部及び複数の送信部のそれぞれに接続することにより、アンテナを各受信部及び複数の送信部で共有することができる。
【0012】
まず、全体の構成について説明する。
スイッチ部10は、第1の端子P10を複数の第2の端子P01〜P03のいずれか1つと接続させるスイッチ素子を有する。本実施例においては、第1の端子P10を3個の第2の端子P01、P02、P03のいずれか1つと接続させる場合を例示している。
【0013】
デコーダ部30は、制御端子Ctlを介して外部から入力される端子切替信号をデコードしてスイッチ部10のスイッチ素子の導通または非導通状態を制御するスイッチ制御信号を生成する。
ドライバ部20は、デコーダ部30の出力73(スイッチ制御信号)と、DC−DC変換部40の出力72(電源)を入力して、スイッチ部10のスイッチ素子を駆動するスイッチ駆動信号を生成する。
なお、本実施例においては、デコーダ部30を備え、端子切替信号をデコードしてドライバ部20にスイッチ制御信号を入力する構成を例示しているが、本発明はこれに限定されない。制御端子Ctlに入力される外部からの端子切替信号を直接ドライバ部20に入力して、スイッチ素子を駆動してもよい。
【0014】
なお、本実施例においては、3つの第2の端子P01、P02、P03を制御するため、制御端子Ctlから入力される端子切替信号は2ビットであり、デコードしたスイッチ制御信号及びスイッチ素子を駆動するスイッチ駆動信号は少なくとも3本の信号線により出力される。
【0015】
DC−DC変換部40は、スイッチ部10のスイッチ素子を駆動する電源を生成する回路であり、電源制御部60により制御される。ここで、DC−DC変換部40は、負荷変動に対する応答が第1の状態と、第1の状態より負荷変動に対する応答が遅い第2の状態を有する。ここで、第2の状態は負荷変動に対する応答が遅いことから、消費電流が第1の状態より小さい状態である。
【0016】
本実施例のスイッチ回路81においては、DC−DC変換部40が、オシレータ41、チャージポンプ42を有する場合を例示している。つまり、DC−DC変換部40の第1の状態は、オシレータ41が第1の周波数でチャージポンプ42を駆動する状態であり、第2の状態は、オシレータ41が第1の周波数より低い第2の周波数でチャージポンプ42を駆動する状態である。
【0017】
電源制御部60は、外部から入力される端子切替信号に変化がない第2の時間は、すなわち定常状態においては、第2の状態となるようにDC−DC変換部40を制御している。そして、外部から入力される端子切替信号の変化に対応した一定時間T1の間、すなわち第1の時間だけ、DC−DC変換部40を第1の状態となるように制御する。さらに、第1の時間の経過後は、第2の時間としてDC−DC変換部40を第2の状態に戻すように制御する。
【0018】
なお、本実施例においては、電源制御部60は制御端子Ctlからの信号を入力する構成を例示しているが、外部から入力される端子切替信号の変化は、デコーダ部30の出力73の信号を入力して検出することもできる。ただし、検出する必要のある信号がより少ない制御端子Ctlからの信号を入力するほうが望ましい。
【0019】
ここで、第1の時間は、端子切替信号が変化したことにより、DC−DC変換部40の出力が変動してから端子切替信号の変化前の平衡状態の電圧に戻るまでの時間である。この第1の時間は、スイッチ部10、ドライバ部20、DC−DC変換部40の負荷変動に対する応答により定めた設計値である。
【0020】
このように、本実施例のスイッチ回路81は、通常は第2の時間としてDC−DC変換部40を第2の状態に制御しており、外部から入力される端子切替信号が変化した第1の時間だけDC−DC変換部40を第1の状態に制御する。そして、第1の時間の経過後に第2の状態に戻すように制御する。なお、第2の時間は、第1の時間以外の時間であり、第1の時間とは異なり一定時間ではない。
【0021】
すなわち、本実施例のスイッチ回路81は、定常状態においてDC−DC変換部40は負荷変動に対する応答特性が遅い第2の状態、つまり低消費電流の状態で動作している。そして、第1の端子P10と接続する第2の端子P01〜P03が切替わったときの一定時間の第1の時間だけ、DC−DC変換部40は応答特性が速い第1の状態、つまり消費電流の大きい状態で動作する。
【0022】
これにより、後述するように、低歪み特性、低消費電流のスイッチ回路を提供するものである。
次に、スイッチ部10、ドライバ部20、DC−DC変換部40の各部について説明する。
【0023】
図2は、図1に表したスイッチ部の構成を例示するブロック図である。
図2に表したように、本実施例のスイッチ部10aは、第1の端子P10を3つの第2の端子P01、P02、P03のいずれか1つと接続するスイッチ素子S11、S12、S13を有する。また、スイッチ素子S11、S12、S13は、ドライバ部20の出力71のスイッチ駆動信号によりそれぞれオン、またはオフに制御される。
スイッチ素子S11、S12、S13としては、例えばFETを用いることができる。
【0024】
なお、本実施例においては、第2の端子が3つの場合を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、スイッチ素子をn個有するSPnT(Single-Pole n-Throw)のスイッチを構成することもできる。また、本実施例においては、第1の端子が1つの場合を例示しているが、任意数のm個の第1の端子のそれぞれを、n個の第2の端子のいずれか1つと接続するmPnT(m-Pole n-Throw)のスイッチを構成することもできる。
なお、本実施例においては、ドライバ部20の出力71が3本の信号線71a、71b、71cを有する場合を例示している。
【0025】
スイッチ駆動信号を供給するドライバ部20の構成例を、図3に例示する。
図3は、図1に表したドライバ部の構成を例示するブロック図である。
図3に表したように、ドライバ部20aは、3つのインバータ(否定回路)21a〜21cを有する。インバータ21a〜21cのそれぞれの出力に信号線71a〜71cが接続されている。また、インバータ21a〜21cのすべての電源端子は、DC−DC変換部40の出力72に接続されている。つまり、インバータ21a〜21cには、外部から供給される電源Vddと異なるドライバ部の電源72がDC−DC変換部40より供給される。
【0026】
インバータ21a〜21cの入力端子は、デコーダ部30の出力73に接続され、外部から入力した端子切替信号をデコードしたスイッチ制御信号が、それぞれインバータ21a〜21cに入力される。
デコーダ部30は、外部から入力される端子切替信号をデコードしてスイッチ制御信号を生成するもので、例えば、本実施例においては、2ビットの端子切替信号を3ビットのスイッチ制御信号に変換する論理回路により構成される。例えば、端子切替信号が2から0に切り替わる場合、デコードしたスイッチ制御信号は”100”から”001”に変化する。すなわち、2ビット目がオンの状態から0ビット目がオンの状態にスイッチ制御信号が変化する。
【0027】
ドライバ部20に電源を供給するDC−DC変換部40は、本実施例においては、オシレータ41とチャージポンプ42とを有する。オシレータ41は、例えば図4に例示したように構成される。
図4に表したように、オシレータ41aは、遅延回路43、2入力1出力の選択回路45(マルチプレクサ)を有する。ここで、遅延回路43は、直列に接続された奇数個のインバータ43a〜43eを有する。なお、本実施例においては、5個のインバータ43a〜43eを有する場合を例示しているが、奇数個の任意数のインバータを直列接続して構成することができる。
【0028】
インバータ43a〜43eの電源には、本実施例のスイッチ回路81の外部から電源Vddが供給されている。
選択回路45(マルチプレクサ)は、入力A、入力Bの2つの入力端子、出力端子Y及び選択端子Sを有し、選択端子Sに入力される信号が”0”のとき、入力Aに入力された信号を出力Yに出力し、選択端子Sに入力される信号が”1”のとき、入力Bに入力された信号を出力Yに出力する論理回路である。
【0029】
本実施例のオシレータ41aにおいては、インバータ43eの出力信号が選択回路45の入力Aに入力され、インバータ43cの出力信号が選択回路45の入力Bに入力されている。また、選択回路45の出力Yの信号は、インバータ43aの入力に帰還され、選択端子Sは、電源制御部60の出力76(電源制御信号)に接続されている。
【0030】
従って、オシレータ41aは、電源制御部60から出力される電源制御信号が”0”のとき、インバータ43a〜43eを有するリングオシレータを構成し(第2の状態)、出力76の信号が”1”のとき、インバータ43a〜43cを有するリングオシレータを構成する(第1の状態)。
【0031】
このように、オシレータ41aは、電源制御部60から出力される電源制御信号により発振周波数が異なる、2つの状態を有するオシレータ41を構成している。すなわち、オシレータ41aは、第1の状態のときは、インバータ43a〜43cを有するリングオシレータの発振周波数fで発振し、第2の状態のときは、インバータ43a〜43eを有するリングオシレータの発振周波数fで発振する。ここで、第2の状態の方がインバータの段数が多いため、f>fである。
【0032】
なお、本実施例においては、リングオシレータ41aを構成するインバータ43a〜43eの段数を選択回路45で切替えることにより、発振周波数fを変化させているが、インバータ43a〜43eに供給する電源Vddの電圧を変化させることにより、発振周波数fを変化させることもできる。すなわち、電源制御信号により、電源Vddの電位を変化させて、電圧制御オシレータの発振周波数fを変化させることも可能である。
【0033】
ところで、オシレータ41aにより駆動されるチャージポンプ42は、例えばキャパシタ、スイッチを有し、キャパシタに蓄積された電荷をスイッチにより転送して出力を得るように構成される。そのため、オシレータ41aの発振周波数fが低いほど、電荷を転送する速度が遅くなり、負荷変動に対する応答も遅くなる。従って、本実施例のDC−DC変換部40は、電源制御部60から出力される電源制御信号が”1”のとき、第1の周波数fの第1の状態であり、出力76の信号が”0”のとき、第2の周波数fの負荷変動に対する応答が遅い第2の状態となる。ただし、f>fである。
【0034】
このように、本実施例のスイッチ回路81は、通常は第2の時間としてDC−DC変換部40を第2の状態に制御しており、外部から入力される端子切替信号が変化した第1の時間だけDC−DC変換部40を第1の状態に制御する。そして、第1の時間の経過後に第2の状態に戻すように制御する。これにより、低歪み特性、低消費電流のスイッチ回路を提供するものである。
【0035】
ここで、このような制御を行わない比較例のスイッチ回路について説明する。
(比較例)
図5は、比較例のスイッチ回路の構成を例示するブロック図である。
図5に表したように、比較例のスイッチ回路181は、スイッチ部10、ドライバ部20、デコーダ部30及びDC−DC変換部140を備える。
すなわち、電源制御部60がなく、電源制御信号による制御がないDC−DC変換部140を備えることが本実施例のスイッチ回路81と異なる。
【0036】
そのため、比較例のスイッチ回路181においては、DC−DC変換部140は、オシレータ141、チャージポンプ142を有し、外部から制御できない構成となっている。
比較例のスイッチ回路181の動作について、主要な信号のタイミングチャートを用いて説明する。
【0037】
図6においては、比較例のスイッチ回路の主要な信号、図6(a)端子切替信号Vc、図6(b)オシレータ発振周波数f、図6(c)DC−DC変換部の消費電流Idd、図6(d)ドライバ部の電源電圧Vのタイミングチャートを表している。
図6(a)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vc=2=”10”の状態である。つまり、比較例のスイッチ部110は、時間T<0で、第1の端子P10を第2の端子P03に接続した状態である。
【0038】
オシレータの発振周波数fは、図6(b)に表したように、f=fで一定である。また、図6(d)に表したように、チャージポンプ142より供給されるドライバ部20の電源172の電圧Vも、V=Vで一定である。そのため、DC−DC変換部140の消費電流Iddは、Idd=Idd1で一定である。
このように、時間T<0においては、外部から入力される端子切替信号Vc=2に応じて第1の端子P10と第2の端子P03とが接続され、安定した状態となっている。
【0039】
この状態より、時間T=0において、第1の端子P10を第2の端子P03から、例えば第2の端子P02に接続を切替えた場合を考える。図6(a)に表したように、外部から入力する端子切替信号Vcが、T=0でVc=2からVc=1に変化した場合である。
デコーダ部30は、端子切替信号Vcをデコードしてドライバ部20にスイッチ制御信号”010”を出力する。ドライバ部20は、スイッチ制御信号”010”を入力してスイッチ駆動信号を生成しスイッチ部10に出力する。
【0040】
このとき、図6(b)に表したように、オシレータ141の発振周波数fに変化はなく、T=0の前後で一定である。また、図6(c)に表したように、DC−DC変換部の消費電流Iddは、消費電流Idd1で一定である。
【0041】
一方、スイッチ部10では第1の端子P10の接続を第2の端子P03から第2の端子P02に切替えるため、今までオンしていたスイッチ素子がオフし、今までオフしていたスイッチ素子がオンする。例えば、スイッチ素子をFETで構成した場合、FETをオンするときにはFETのゲート容量に電荷がチャージされることとなるため、チャージポンプ142のコンデンサに蓄えられていた電荷の放出が一時的に増え、ドライバ部20の電源172の電圧Vは一時的に降下し、再度チャージポンプ142に電荷が蓄えられるまで数〜数十μs程度かけてスイッチ部10の切替前の電圧に戻ることになる(図6(d))。
【0042】
以上のように、ドライバ部20の電源電圧Vは、スイッチ部10の第2の端子P01〜P03の切り替えの際に一度降下し、再度チャージポンプ142のコンデンサにチャージされていくことで定常状態の電圧に戻る動作となる。スイッチ部10の第2の端子P01〜P03の切り替えた時のVの電圧降下後に、チャージポンプ142のコンデンサに電荷をチャージし定常状態の電圧に戻るための時間は、オシレータ141の周波数fが高い方が早く、低い方が遅い。またスイッチ回路181全体の消費電流はオシレータ141の周波数fが高い方が多く、低い方が少ないという特徴がある。
【0043】
一方、例えば、携帯端末などにおいては、スイッチ回路181の第2の端子P01〜P03の切り替え時には数〜数十μs以内に切り替えが完了し、所望のRF特性が得られなければならないという規定がある。そのため、オシレータ部の周波数fは規定を満足するための発振周波数fに設計する必要がある。しかし、比較例のスイッチ回路181では切替え完了後の定常状態でも同じ周波数f=fで駆動させているため、オシレータ141の周波数fはスイッチ切替えに必要な時間の周波数に設定し、そのときの消費電流のままに一定に流れている。すなわち、比較例のスイッチ回路181の消費電流は、大きくなっている。
【0044】
次に、本実施例のスイッチ回路81の動作について説明する。
図7は、図1に表したスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
図7においては、スイッチ回路81の主要な信号、図7(a)端子切替信号Vc、図7(b)電源制御信号Vmode、図7(c)オシレータ発振周波数f、図7(d)DC−DC変換部の消費電流Idd、図7(e)ドライバ部の電源電圧Vのタイミングチャートを表している。
【0045】
図7(a)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vc=2=”10”の状態である。つまり、スイッチ部10は、時間T<0で、第1の端子P10を第2の端子P03に接続した状態である。
また、図7(b)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vcに変化がないため、電源制御信号Vmodeは、”0”である。
【0046】
図7(c)〜(e)に表したように、時間T<0で、オシレータ41の発振周波数fは、f=fであり、チャージポンプ42より供給されるドライバ部20の電源電圧Vも、V=Vで一定である。また、DC−DC変換部40の消費電流Iddも、Idd=Idd2で一定である。
【0047】
このように、時間T<0においては、外部から入力される端子切替信号Vc=2に応じて第1の端子P10と第2の端子P03とが接続され、安定した状態となっている。また、オシレータ41は第2の周波数fの低い周波数で発振しており、DC−DC変換部40は第2の状態である。つまり、スイッチ回路81は低消費電流の状態になっている。
【0048】
この状態より、時間T=0において、第1の端子P10を第2の端子P03から、例えば第2の端子P02に接続を切替えた場合を考える。図7(a)に表したように、外部から入力する端子切替信号Vcが、T=0でVc=2=”10”からVc=1=”01”に変化した場合である。
デコーダ部30は、端子切替信号Vcをデコードしてドライバ部20にスイッチ制御信号を出力する。ドライバ部20は、スイッチ制御信号を入力してスイッチ駆動信号を生成しスイッチ部10に出力する。
【0049】
このとき、図7(b)〜(d)に表したように、電源制御信号Vmodeが”0”から”1”に変化し、オシレータ41の発振周波数fは、f=fからfに変化する。また、DC−DC変換部40の消費電流Iddも、Idd=Idd1に変化する。つまり、負荷変動に対する応答の早い第1の状態であり、消費電流が大きい状態である。
【0050】
図7(e)に表したように、ドライバ部20の電源電圧Vは、時間T=0でスイッチ部10のスイッチ素子が切替わるため、降下する。
このとき、図7(b)〜(d)に表したように、電源制御信号Vmodeが”1”のため、オシレータ41の発振周波数fが周波数の高いfとなる。
【0051】
すなわち、電源制御信号Vmodeが”1”の間、DC−DC変換部40は負荷変動に対する応答の早い第1の状態となっている。この第1の状態におけるオシレータ41の発振周波数fは、fで比較例のスイッチ回路181のそれと等しい。
そのため、図7(d)に表したように、比較例のスイッチ回路181と同様に、ドライバ部20の電源電圧Vは数〜数十μsで定常状態の電圧に戻る。
【0052】
電源制御部60は、このドライバ部20の電源電圧Vが定常状態に戻る時間を第1の時間T1として、第1の時間T1の経過後に電源制御信号Vmodeが”1”から”0”に戻るように制御する(図7(b))。
電源制御信号Vmodeが”0”になると、オシレータ41の発振周波数fは、再びfに戻る。DC−DC変換部40の消費電流Iddも、Idd1より小さいIdd2に戻る。
【0053】
以下、T>T1は、再び第2の時間T2として、低消費電流の状態となる。このとき、チャージポンプ42のコンデンサにはスイッチ素子を切替えるために放出した電荷がすでにチャージされているために、オシレータ41が低周波数の第2の状態となっても動作に問題がない。
【0054】
このように、図5に表した比較例のスイッチ回路181と図1に表した本実施例のスイッチ回路81とが、同じチャージポンプ、デコーダ部、スイッチ部を備えると仮定した場合、図1に表した本実施例のスイッチ回路81の第1の状態の発振周波数f、すなわち第1の周波数fは、比較例のオシレータ141の発振周波数fと等しく設定できる。
【0055】
そのため、図1に表した本実施例のスイッチ回路81においては、電源制御部60のない図5に表した比較例のスイッチ回路181に対し、端子切り替え動作時以外の定常状態では低消費電流に抑える事が可能となる。
【0056】
例えば、UMTS/GSMデュアルモードの携帯電話端末において、本実施例のスイッチ回路81を使用した場合には、UMTSモードでは待ち受け中、通話中ともにハンドオーバする時だけ第1の端子と接続する第2の端子の切替えが実施される。また、GSMでは通話中は送信と受信で端子切替が発生するため常時、待ち受け中はハンドオーバする時だけ端子切替が実施される事となる。
【0057】
このように、本実施例のスイッチ回路81によれば、外部から入力される端子切替信号が変化して、第1の端子P10と接続する第2の端子P01〜P03が切り替わったときだけ、消費電流の大きい第1の状態となる。また、端子切替後に定常状態に戻った第2の時間は低消費電流の第2の状態に戻るため、低消費電流を実現することができる。
また、定常状態の第2の状態においては、ドライバ部20の電源電圧Vは、比較例のスイッチ回路181の電源電圧V=Vと等しいため、低歪み特性も維持される。
【0058】
従って、本実施例のスイッチ回路81を例えば携帯電話端末に用いた場合、低消費電流の第2の状態が定常的であり、携帯電話端末のセットとしての消費電流低減に繋がることになる。
また、本実施例のスイッチ回路81においては、スイッチ回路81が備える電源制御部60により外部からの端子切替え信号を検出して、第2の状態から第1の状態に動作モードの切り替え制御を行う。そのため、スイッチ回路81に外部からDC−DC変換部40の制御をする端子が不要であり、スイッチ回路81の端子切替信号とDC−DC変換部40を制御する電源制御信号とのタイミングを同期させるなどの制御も不要となる。
【0059】
なお、本実施例においては、DC−DC変換部40より供給されるドライバ部の電源72が、外部から供給される電源Vddより高い場合を例示している。すなわち、DC−DC変換部40は昇圧電源である場合を例示している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、昇圧、降圧、負電圧のいずれか、またはこれらを組合せた電圧に変換する場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、本実施例のスイッチ回路81においては、1つの第1の端子P10を3つの第2の端子P01〜P03のいずれか1つと接続させるSP3Tの構成を例示して動作を説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、n個(nは、2以上)の第2の端子P01〜P0Nを備えたSPnTのスイッチ回路についても同様に構成することができる。
【0061】
また、任意数のm個の第1の端子を備えたmPnT(m-Pole n-Throw)のスイッチ回路についても同様に構成することができる。
【0062】
図8は、本発明の実施形態に係るスイッチ回路の他の構成を例示するブロック図である。
図8に表したように、スイッチ回路81bは、スイッチ部10b、ドライバ部20、デコーダ部30、DC−DC変換部40b及び電源制御部60を備える。そして、これらを同じ半導体基板に形成して1チップ化した構造、または複数のチップに形成して1つのパッケージ体としてパッケージングした構造を備える。
【0063】
すなわち、スイッチ回路81bにおいては、図1に表したスイッチ回路81のスイッチ部10、DC−DC変換部40を、それぞれスイッチ部10b、DC−DC変換部40bに置き換えて構成されている。DC−DC変換部40bにおいては、出力電流を蓄電するコンデンサCp及びドライバ部20へ入力される電圧が所定の範囲を超えないようにするクランプ回路51が追加されている。
【0064】
スイッチ回路81bは、図1に表したスイッチ回路81と同様に、例えば、複数の受信部及び複数の送信部を有する携帯電話端末などのアンテナスイッチに用いることができる。第1の端子P10をアンテナに接続し、第2の端子P01〜P06を複数の受信部及び複数の送信部のそれぞれに接続することにより、アンテナを各受信部及び複数の送信部で共有することができる。
【0065】
スイッチ回路81bのスイッチ部10bは、スイッチ回路81と同様に、例えば、図2に表したスイッチ部10aのように構成される。また、例えば、スイッチ素子S11〜S13などにFETを用いて、図9に表したように構成することができる。
図9は、スイッチ部の構成を例示する回路図である。
図9に表したように、第1の端子P10と、複数の第2の端子P01〜P06のそれぞれとの間には、n段(nは自然数)のスルーFET(Field Effect Transistor)T11、T12、・・・、T1n、T21、T22、・・・、T2n、・・・、T61、T62、・・・、T6nが直列に接続されている。
【0066】
第1の端子P10と第2の端子P01との間には、スルーFET T11、T12、・・・、T1nが接続されている。第1の端子P10と第2の端子P02との間には、スルーFET T21、T22、・・・、T2nが接続されている。第1の端子P10と第2の端子P03との間には、スルーFET T31、T32、・・・、T3nが接続されている。第1の端子P10と第2の端子P04との間には、スルーFET T41、T42、・・・、T4nが接続されている。第1の端子P10と第2の端子P05との間には、スルーFET T51、T52、・・・、T5nが接続されている。第1の端子P10と第2の端子P06との間には、スルーFET T61、T62、・・・、T6nが接続されている。
【0067】
第2の端子P01〜P06のそれぞれとグランドとの間には、m段(mは自然数)のシャントFET S11、S12、・・・、S1m、S21、S22、・・・、S2m、・・・、S61、S62、・・・、S6mが直列に接続されている。第2の端子P01とグランドとの間には、シャントFET S11、S12、・・・、S1mが接続されている。第2の端子P02とグランドとの間には、シャントFET S21、S22、・・・、S2mが接続されている。第2の端子P03とグランドとの間には、シャントFET S31、S32、・・・、S3mが接続されている。第2の端子〜04とグランドとの間には、シャントFET S41、S42、・・・、S4mが接続されている。第2の端子P05とグランドとの間には、シャントFET S51、S52、・・・、S5mが接続されている。第2の端子P06とグランドとの間には、シャントFET S61、S62、・・・、S6mが接続されている。
【0068】
第2の端子P01に接続されたスルーFET T11、T12、・・・、T1nのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RT11、RT12、・・・、RT1nを介して、制御端子Con1aと接続されている。制御端子Con1aは、ドライバ部20bと接続されている。抵抗RT11、RT12、・・・、RT1nは、それぞれ高周波信号がドライバ部20bに漏洩しない程度の高い抵抗値を有する。
【0069】
第2の端子P01に接続されたシャントFET S11、S12、・・・、S1mのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RS11、RS12、・・・、RS1mを介して、制御端子Con1bと接続されている。制御端子Con1bは、ドライバ部20bと接続されている。
【0070】
第2の端子P02に接続されたスルーFET T21、T22、・・・、T2nのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RT21、RT22、・・・、RT2nを介して、制御端子Con2aと接続されている。制御端子Con2aは、ドライバ部20bと接続されている。
【0071】
第2の端子P02に接続されたシャントFET S21、S22、・・・、S2mのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RS21、RS22、・・・、RS2mを介して、制御端子Con2bと接続されている。制御端子Con2bは、ドライバ部20bと接続されている。
【0072】
第2の端子P03に接続されたスルーFET T31、T32、・・・、T3nのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RT31、RT32、・・・、RT3nを介して、制御端子Con3aと接続されている。制御端子Con3aは、ドライバ部20bと接続されている。
【0073】
第2の端子P03に接続されたシャントFET S31、S32、・・・、S3mのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RS31、RS32、・・・、RS3mを介して、制御端子Con3bと接続されている。制御端子Con3bは、ドライバ部20bと接続されている。
【0074】
第2の端子P04に接続されたスルーFET T41、T42、・・・、T4nのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RT41、RT42、・・・、RT4nを介して、制御端子Con4aと接続されている。制御端子Con4aは、ドライバ部20bと接続されている。
【0075】
第2の端子P04に接続されたシャントFET S41、S42、・・・、S4mのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RS41、RS42、・・・、RS4mを介して、制御端子Con4bと接続されている。制御端子Con4bは、ドライバ部20bと接続されている。
【0076】
第2の端子P05に接続されたスルーFET T51、T52、・・・、T5nのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RT51、RT52、・・・、RT5nを介して、制御端子Con5aと接続されている。制御端子Con5aは、ドライバ部20bと接続されている。
【0077】
第2の端子P05に接続されたシャントFET S51、S52、・・・、S5mのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RS51、RS52、・・・、RS5mを介して、制御端子Con5bと接続されている。制御端子Con5bは、ドライバ部20bと接続されている。
【0078】
第2の端子P06に接続されたスルーFET T61、T62、・・・、T6nのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RT61、RT62、・・・、RT6nを介して、制御端子Con6aと接続されている。制御端子Con6aは、ドライバ部20bと接続されている。
【0079】
第2の端子P06に接続されたシャントFET S61、S62、・・・、S6mのゲートは、それぞれ、高周波漏洩防止用の抵抗RS61、RS62、・・・、RS6mを介して、制御端子Con6bと接続されている。制御端子Con6bは、ドライバ部20bと接続されている。
抵抗RT21、・・・、RT6n、RS21、・・・、RS6mは、それぞれ高周波信号がドライバ部20bに漏洩しない程度の高い抵抗値を有する。
【0080】
シャントFETは、そのシャントFETが接続された第2の端子に接続されたスルーFETがオフにされた際、その第2の端子と第1の端子間のアイソレーションを高める。すなわち、スルーFETがオフ状態であってもそのオフ状態のスルーFETと接続された第2の端子に高周波信号が漏れてしまう場合があるが、この時、オン状態のシャントFETを介して、漏れた高周波信号をグランドに逃がすことができる。
【0081】
例えば、第2の端子P01と第1の端子P10との間を導通するには、第2の端子P01と第1の端子P10との間のn段直列接続スルーFET T11〜T1nをオンとし、第2の端子P01とグランドとの間のm段直列接続シャントFET S11〜S1mをオフとする。同時に他の第2の端子P02〜P06と第1の端子P10との間のスルーFETをすべてオフとし、他の各第2の端子P02〜P06とグランドとの間のシャントFETをすべてオンとすればよい。
【0082】
すなわち、上記の場合、制御端子Con1aにはオン電位Von、制御端子Con2b〜Con6bにはオン電位Von、制御端子Con1bにはオフ電位Voff、制御端子Con2a〜Con6aにはオフ電位Voffの電位が与えられる。オン電位Vonは、各FETが導通状態となりそのオン抵抗が十分小さい値になるゲート電位であり、オフ電位Voffは各FETが遮断状態となり高周波信号が重畳しても遮断状態を十分維持できるゲート電位である。各FETのしきい値電圧Vthは例えば0.1Vである。
【0083】
オン電位Vonが所望の電位(例えば3V)よりも低いと導通状態のFETのオン抵抗が高くなり、挿入損失が劣化すると共に、導通状態のFETで発生する歪(オン歪)が増大する。また、オフ電位Voffが所望の電位(例えば−1V)よりも高いと、最大許容入力電力が下がると共に、規定入力時に遮断状態のFETで発生する歪(オフ歪)が増大する。
ただし、オン電位Vonが高すぎたり、オフ電位Voffが低すぎるとFETの耐圧を超えてしまうので、オン電位Vonおよびオフ電位Voffには最適な範囲がある。
【0084】
スイッチ部10bの各FETのゲート電位を制御する制御信号は、図8に表したデコーダ部30、ドライバ部20で生成される。
図10は、デコーダ部及びドライバ部の構成を例示する回路図である。
図10に表したように、ドライバ部20bは、レベルシフタ23a〜23fが並置されている。各レベルシフタ23a〜23fには、他の回路部に供給される電源電位Vddよりも高い電圧Vが高電位電源72として供給されている。
【0085】
また、ドライバ部20bには、負電圧Vが供給される場合もあるが、図10においては、低電位電源72aは接地されているものとして説明する。
スイッチ回路81bは、SP6Tのスイッチ部10bを備えている。そのため、デコーダ部30bは、制御端子Ctlに入力される3ビットの端子切替信号Vcをデコードしている。また、レベルシフタ23a〜23fは、差動回路であるため、デコーダ部30bとレベルシフタ23a〜23fとの間に、反転・非反転信号生成回路部が設けられている。
【0086】
図11は、ドライバ部の構成を例示する回路図である。
図11においては、図10に表したドライバ部20bを構成するレベルシフタ23の回路図を表している。
ドライバ部20bは、図11に表したレベルシフタ23と同一構成の6つのレベルシフタ23a〜23fにより構成される。
【0087】
レベルシフタ23は、初段レベルシフタ21と後段レベルシフタ22とを有する。初段レベルシフタ21は、一対のNチャンネル型MOSFET(以下、NMOS)N11、N12と、一対のPチャンネル型MOSFET(以下、PMOS)P11、P12とを有する。後段レベルシフタ22は、一対のPMOS P21、P22と、一対のNMOS N21、N22とを有する。
【0088】
NMOS N11及びN12のそれぞれのソースはグランドに接続されている。NMOS N11、N12のゲートはそれぞれ入力端子INA、INBを介して図示されない前段のデコーダ部に接続されている。
【0089】
NMOS N11、N12のドレインは、それぞれPMOS P11、P12のドレインと接続されている。PMOS P11、P12のそれぞれのソースは、高電位電源端子を介して、正の電圧Vが供給されるDC−DC変換部40b(図示せず)の出力72に接続されている。PMOS P11のゲートは、PMOS P12のドレインと接続され、これらは初段レベルシフタ21の差動出力の一方のラインL2に接続されている。PMOS P12のゲートは、PMOS P11のドレインと接続され、これらは初段レベルシフタ21の差動出力の他方のラインL1に接続されている。
【0090】
上記ラインL1、L2はそれぞれ後段レベルシフタ22のPMOS P21、P22のゲートに接続される。ラインL1、L2を介して、初段レベルシフタ21の出力は、後段レベルシフタ22への入力される。PMOS P21、P22のそれぞれのソースは、高電位電源端子を介して、正の電圧Vが供給されるDC−DC変換部40b(図示せず)の出力72に接続されている。
【0091】
PMOS P21のドレインは、NMOS N21のドレインと接続され、これらの接続ノードは出力端子OUTAに接続されている。PMOS P22のドレインはNMOS N22のドレインと接続され、これらの接続ノードは出力端子OUTBに接続されている。出力端子OUTA、OUTBを介して前述したオン電位Von、オフ電位Voffが、図9に表したスイッチ部10bのスルーFET、シャントFETのゲートに供給される。
【0092】
初段レベルシフタ21の差動入力INA、INBの入力レベルは例えばハイレベルが1.8V、ローレベルが0Vであり、図示されない前段のデコーダ部30b、反転・非反転信号生成回路部から供給される。高電位電源端子には、正の電圧Vとして、例えば3.5Vが供給される。
【0093】
例えば、INAにハイレベル(1.8V)、INBにローレベル(0V)が入力すると、ラインL1の電位はローレベル(0V)になり、ラインL2の電位は、Vと等しい3.5Vになる。すなわち、初段レベルシフタ21における出力振幅は0〜Vの3.5V程度となる。
【0094】
後段レベルシフタ22は、初段レベルシフタ21の出力信号を入力とする。高電位電源端子72には、初段レベルシフタ21と同様正の電圧Vとして、例えば3.5Vが供給される。また、低電位電源端子72aには、負電圧Vとして、例えば−1.5Vが供給されるとする。
【0095】
例えば、ラインL1がローレベル(0V)、ラインL2がハイレベル(3.5V)とすると、出力端子OUTAの電位は、正の電圧Vと等しい3.5Vになり、出力端子OUTBの電位は、負電圧Vと等しい−1.5Vになる。したがって、オン電位Vonとして3.5Vを、オフ電位Voffとして−1.5Vを、図9に示すスイッチ部10bのスルーFET、シャントFETのゲートに供給することができ、スイッチ部10bが駆動される。
【0096】
すなわち、初段レベルシフタ21は、入力のハイレベルがVdd、ローレベルが0Vである差動入力信号を、ハイレベルが正の電圧V、ローレベルが0Vの差動信号に電圧変換する。また後段レベルシフタ22は、その出力レベルをハイレベルが正の電圧V、ローレベルが負電圧Vに変換する。
【0097】
従って、レベルシフタ23は、入力のハイレベルがVdd、ローレベルが0Vである差動入力信号を、ハイレベルが正の電圧V、ローレベルが負電圧Vの差動信号に電圧変換する。
負電圧Vが接地電位の場合は、レベルシフタ23は、ハイレベルがVdd、ローレベルが0Vの差動入力信号を、ハイレベルが正の電圧V、ローレベルが0Vの差動出力信号に変換する。なお、負電圧Vが接地電位の場合は、後段レベルシフタ22はなくてもよく、ラインL1、L2を差動出力とすることができる。
【0098】
図12は、オシレータ及びチャージポンプの構成を例示する回路図である。
図12に表したように、チャージポンプ42bは、高電位電源端子72と接地との間に直列接続した複数のダイオードと、各ダイオード間とオシレータ41bの出力である差動クロックCLK、CLK−とに接続された複数のコンデンサを有する。
差動クロックCLK、CLK−によるコンデンサの電荷の蓄積、移動により高電位電源端子72に正の電圧Vが生成される。
【0099】
オシレータ41bは、リングオシレータ、バッファ、NMOS N1、抵抗R1、R2などで構成される。リングオシレータは、カレントミラー負荷のCMOSインバータ3段で構成されている。また、CMOSインバータの段間には、遅延時間を大きくするためにコンデンサが接地との間に接続されている。リングオシレータの出力は、カレントミラー負荷のCMOSインバータ2段のバッファに入力され、差動クロックCLK、CLK−が出力される。
【0100】
差動クロックCLK、CLK−の周波数が高くなると、チャージポンプ42bの出力電流も上昇する。また、差動クロックCLK、CLK−を供給するバッファの電流駆動能力が上昇すると、チャージポンプ42bの出力電流も上昇する。
カレントミラーの基準側には、抵抗R2が挿入されている。また、抵抗R2の両端には、直列接続したNMOS N1及び抵抗R1が接続されている。NMOS N1のゲートには、電源制御信号Vmodeが入力される。
【0101】
カレントミラーの電流は、抵抗R1、R2により制限される。また、カレントミラーの電流により、リングオシレータ41bの出力電流が制御される。従って、抵抗R1、R2により、リングオシレータ41bの出力電流が制御される。
ここで、カレントミラーの抵抗R1、R2は、R1<R2の関係を有し、かつ、NMOS N1のオン抵抗は、抵抗R1に比べて十分小さいものとする。
【0102】
電源制御信号Vmodeがローレベルのとき、リングオシレータ41b、DC−DC変換部40bは、第2の状態である。NMOS N1はオフ状態となり、リングオシレータ41bの出力電流は、抵抗R2により制限された電流となる。また、電源制御信号Vmodeがハイレベルのとき、リングオシレータ41b、DC−DC変換部40bは第1の状態である。NMOS N1はオン状態となり、リングオシレータ41bの出力電流は、抵抗R1、R2の並列接続により制限された電流となる。
【0103】
従って、チャージポンプ42bの出力電流は、第2の状態のときの出力電流Iから、第1の状態のときはIよりも絶対値の大きいIに上昇する。
これにより、正の電圧Vが所望の値に達する時定数が短縮する。
【0104】
なお、電源制御信号Vmodeがハイレベルの期間、すなわち第1の時間は、リングオシレータに定常状態と比べると大きな電流が生じるが、その期間は、全動作期間の内、僅かな期間であるので、消費電流の増加も僅少である。
【0105】
電源制御部60は、図1において説明したとおり、外部から入力される端子切替信号Vcに変化がない第2の時間、すなわち定常状態においては、第2の状態となるように、DC−DC変換部40bを制御している。そして、外部から入力される端子切替信号Vcの変化に対応した一定時間T1の間、すなわち第1の時間だけ、DC−DC変換部40bを第1の状態となるように制御する。さらに、第1の時間の経過後は、第2の時間としてDC−DC変換部40bを第2の状態となるように制御する。
【0106】
電源制御部60は、例えば、端子切替信号Vcの立上がり及び立ち下がりの両エッジを検出する回路を用いて構成できる。
図13は、エッジ検出回路の構成を例示する回路図である。
図13に表したように、エッジ検出回路61においては、端子切替信号Vcの否定をRC遅延回路DLYで遅延させ、バッファBUFで波形整形した信号Vdを生成している。そして、端子切替信号Vcと信号Vdとの排他的論理和の否定をとることにより、端子切替信号の変化を検出している。
【0107】
なお、図13に表したバッファBUFは、シュミットトリガ回路である。RC遅延回路DLYにより立上がり及び立ち下がりの遅くなった信号をバッファBUFに通して、ノイズなどによる誤動作を回避している。
【0108】
図14は、エッジ検出回路の主要な信号のタイミングチャートである。
図14においては、エッジ検出回路61の主要な信号、制御端子Ctlの端子切替信号Vc(図14(a))、遅延信号Vd(図14(b))、出力OUT(図14(c))のタイミングチャートを表している。
図14(c)に表したように、端子切替信号Vcが変化する立上がり及び立ち下がりにおいて、出力OUTには一定幅のパルスが発生している。
【0109】
図15は、電源制御部の構成を例示する回路図である。
図15に表したように、電源制御部60bは、3つのエッジ検出回路61a〜61c、論理和回路OR1などにより構成される。端子切替信号Vcの各ビットVc1〜Vc3のそれぞれにエッジ検出回路61a〜61cが設けられている。そして、エッジ検出回路61a〜61cの出力の論理和(OR)が電源制御部60bの出力となっている。すなわち、端子切替信号Vcの各ビットVc1〜Vc3の内、少なくとも1つが変化すれば、電源制御信号Vmodeに第1の時間T1の幅のパルスが生じる。
【0110】
なお、図13においては、エッジ検出回路61a〜61cにより、第1の時間T1の幅のパルスを発生させる構成を例示している。しかし、エッジ検出回路61a〜61cは、第1の時間T1よりも短いパルスを発生し、電源制御信号Vmodeを入力する側、すなわちDC−DC変換部40bが第1の時間T1の間だけ動作する構成としてもよい。第1の時間T1は、例えば、タイマー、単安定マルチバイブレータなどにより発生することができる。
【0111】
また、図15に表した電源制御部60bは、制御端子Ctlに接続されて端子切替信号Vcの切り替えを検出している。しかし、電源制御部60bは、デコーダ部30bとドライバ部20bとの間に接続して切り替えを検出してもよい。ただし、検出する必要のある信号がより少ない制御端子Ctlに接続するのが最良の形態である。
【0112】
図8に表したスイッチ回路81bにおいて、電源制御部60がない場合の比較例のスイッチ回路をタイミングチャートを用いて説明する。
図16は、比較例のスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
図16においては、比較例のスイッチ回路の主要な信号、図16(a)端子切替信号Vc、図16(b)チャージポンプの出力電流I、図16(c)DC−DC変換部の消費電流Idd、図16(d)ドライバ部の電源電圧Vのタイミングチャートを表している。
図16(a)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vc=4=”100”の状態である。つまり、スイッチ部10bは、時間T<0で、第1の端子P10を第2の端子P05に接続した状態である。
【0113】
図16(b)に表したように、チャージポンプ42bの出力電流Iは、第1の状態の電流I=Iで一定である。また、図16(d)に表したように、ドライバ部20の電源72の電圧Vも、V=Vで一定である。図16(c)に表したように、DC−DC変換部の消費電流Iddは、第1の状態の消費電流Idd1で一定である。
このように、時間T<0においては、外部から入力される端子切替信号Vc=4に応じて第1の端子P10と第2の端子P05とが接続され、安定した状態となっている。
【0114】
この状態より、時間T=0において、第1の端子P10を第2の端子P05から、例えば第2の端子P01に接続を切替えた場合を考える。図16(a)に表したように、外部から入力する端子切替信号Vcが、T=0でVc=4からVc=0に変化した場合である。
【0115】
デコーダ部30は、端子切替信号Vcをデコードしてドライバ部20に6ビットのスイッチ制御信号”000001”を出力する。ドライバ部20は、スイッチ制御信号”000001”を入力してスイッチ駆動信号を生成しスイッチ部10bに出力する。
【0116】
このとき、図16(b)に表したように、チャージポンプ42bの出力電流Iに変化はなく、T=0の前後で、I=Iで一定である。また、DC−DC変換部の消費電流Iddも、T=0の前後で、電流を消費する回路に変化はないため、T=0の前後で変化はない。
【0117】
一方、スイッチ部10bでは第1の端子P10の接続を第2の端子P05から第2の端子P01に切替えるため、今までオンしていたスイッチ素子がオフし、今までオフしていたスイッチ素子がオンする。例えば、図9に表したように、スイッチ素子をFETで構成した場合、FETをオンするときにはFETのゲート容量に電荷がチャージされることとなる。そのため、チャージポンプ42bのコンデンサに蓄えられていた電荷の放出が一時的に増え、ドライバ部20の電源72の電圧Vは一時的に降下し、再度チャージポンプ42bに電荷が蓄えられるまで数〜数十μs程度かけてスイッチ部10bの切替前の電圧に戻ることになる。
【0118】
以上のように、ドライバ部20の電源72の電圧Vは、スイッチ部10bの第2の端子P01〜P06の切り替えの際に一度降下し、再度チャージポンプ42bのコンデンサにチャージされていくことで定常状態の電圧に戻る動作となる。スイッチ部10bの第2の端子P01〜P06の切り替えた時の電圧Vの電圧降下後に、チャージポンプ42bのコンデンサに電荷をチャージし定常状態の電圧に戻るための時間は、チャージポンプ42bの出力電流が大きい方が早く、小さい方が遅い。またスイッチ回路81b全体の消費電流Iddは、チャージポンプ42bの出力電流が大きい方が多く、小さい方が少ないという特徴がある。
【0119】
一方、例えば、携帯端末などにおいては、スイッチ回路の第2の端子P01〜P06の切り替え時には数〜数十μs以内に切り替えが完了し、所望のRF特性が得られなければならないという規定がある。そのため、チャージポンプ42bの出力電流は規定を満足するために十分大きくする必要がある。
【0120】
しかし、電源制御部60のない比較例では、切替え完了後の定常状態でも同じ出力電流I=Iでチャージポンプを動作させている。そのため、所定の切替時間を満足しながら、スイッチ回路の消費電流を下げることには限界がある。なお、チャージポンプ42bのコンデンサに十分電荷がチャージされた後は、チャージポンプ42bの出力電流は、クランプ回路51を経由して使用されることなく消費される。
【0121】
次に、図8に表したスイッチ回路81bの動作について説明する。すなわち、電源制御部60がある場合である。
図17は、図8に表したスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
図17においては、スイッチ回路81bの主要な信号、図17(a)端子切替信号Vc、図17(b)電源制御信号Vmode、図17(c)チャージポンプの出力電流I、図17(d)DC−DC変換部の消費電流Idd、図17(e)ドライバ部の電源電圧Vのタイミングチャートを表している。
【0122】
図17(a)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vc=4=”100”の状態である。つまり、スイッチ部10bは、時間T<0で、第1の端子P10を第2の端子P05に接続した状態である。
また、図17(b)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vcに変化がないため、電源制御信号Vmodeは、”0”である。
【0123】
図17(c)〜(d)に表したように、時間T<0で、チャージポンプ42bの出力電流I=Iであり、チャージポンプ42より供給されるドライバ部20bの電源電圧Vも、V=Vで一定である。そのため、DC−DC変換部の消費電流Iddは、Idd=Idd2で一定である。
【0124】
このように、時間T<0においては、外部から入力される端子切替信号Vc=4に応じて第1の端子P10と第2の端子P05とが接続され、安定した状態となっている。また、チャージポンプ42bは定常状態の電流Iを出力しており、DC−DC変換部40bは第2の状態である。つまり、スイッチ回路81bは低消費電流の状態になっている。
【0125】
この状態より、時間T=0において、第1の端子P10を第2の端子P05から、例えば第2の端子P01に接続を切替えた場合を考える。図17(a)に表したように、外部から入力する端子切替信号Vcが、T=0でVc=4=”100”からVc=0=”000”に変化した場合である。
【0126】
デコーダ部30は、端子切替信号Vcをデコードしてドライバ部20にスイッチ制御信号を出力する。ドライバ部20は、スイッチ制御信号を入力してスイッチ駆動信号を生成しスイッチ部10bに出力する。
【0127】
このとき、図17(b)〜(d)に表したように、電源制御信号Vmodeが”0”から”1”に変化し、チャージポンプ42bの出力電流は、I=IからIに変化する。DC−DC変換部の消費電流Iddも、Idd=Idd2からIdd1に変化する。すなわち、負荷変動に対する応答の早い第1の状態であり、消費電流が大きい状態である。
【0128】
図17(e)に表したように、ドライバ部20の電源電圧Vは、時間T=0でスイッチ部10のスイッチ素子が切替わるため、降下する。
このとき、図17(b)〜(d)に表したように、電源制御信号Vmodeが”1”のため、チャージポンプ42bの出力電流Iは、第1の状態のときの電流Iに切り替わっている。降下した電圧Vを所定時間内に定常状態の電圧に戻すようにチャージポンプ42bのコンデンサに電荷がチャージされる。このため、DC−DC変換部の消費電流Iddは、電源制御信号Vmodeが”1”の間は、Idd1に増えることになる。
【0129】
すなわち、電源制御信号Vmodeが”1”の間、DC−DC変換部40bは負荷変動に対する応答の早い第1の状態となっている。この第1の状態におけるチャージポンプ42bの出力電流IはIで、図16に表した比較例のスイッチ回路のそれと等しい。
そのため、図17(e)に表したように、比較例のスイッチ回路と同様に、ドライバ部20の電源電圧Vは数〜数十μsで定常状態の電圧に戻る。
【0130】
電源制御部60は、このドライバ部20の電源電圧Vが定常状態に戻る時間を第1の時間T1として、第1の時間T1の経過後に電源制御信号Vmodeが”1”から”0”に戻るように制御する(図17(b))。
電源制御信号Vmodeが”0”になると、チャージポンプ42bの出力電流Iは、再び電流Iに戻り、DC−DC変換部の消費電流Iddも低消費電流Idd2に戻る。
【0131】
以下、T>T1は、再び第2の時間T2として、低消費電流の状態となる。このとき、チャージポンプ42bのコンデンサにはスイッチ素子を切替えるために放出した電荷がすでにチャージされているために、チャージポンプ42bの出力電流Iが定常状態の電流Iの第2の状態となっても動作に問題がない。
【0132】
このように、スイッチ回路81bにおいては、第1の状態のときのチャージポンプの出力電流Iを、電源制御部60のない比較例のチャージポンプの出力電流と等しく設定できる。
そのため、スイッチ回路81bにおいては、電源制御部60のない比較例のスイッチ回路に対し、端子切り替え動作時以外の定常状態では低消費電流に抑える事が可能となる。
【0133】
例えば、UMTS/GSMデュアルモードの携帯電話端末において、スイッチ回路81bを使用した場合には、UMTSモードでは待ち受け中、通話中ともにハンドオーバする時だけ第1の端子と接続する第2の端子の切替えが実施される。また、GSMでは通話中は送信と受信で端子切替が発生するため常時、待ち受け中はハンドオーバする時だけ端子切替が実施される事となる。すなわち、スイッチ回路81bとしては、低消費電流の第2の状態が定常的である。
【0134】
このように、スイッチ回路81bによれば、外部から入力される端子切替信号が変化して、第1の端子P10と接続する第2の端子P01〜P06が切り替わったときだけ、消費電流の大きい第1の状態となる。また、端子切替後に定常状態に戻った第2の時間は低消費電流の第2の状態に戻るため、低消費電流を実現することができる。
また、定常状態の第2の状態においては、ドライバ部20の電源電圧Vは、比較例のスイッチ回路の電源電圧V=Vと等しいため、低歪み特性も維持される。
【0135】
従って、スイッチ回路81bを例えば携帯電話端末に用いた場合、低消費電流の第2の状態が定常的であり、携帯電話端末のセットとしての消費電流低減に繋がることになる。
また、スイッチ回路81bにおいては、スイッチ回路81bが備える電源制御部60により外部からの端子切替え信号を検出して、第2の状態から第1の状態に動作モードの切り替え制御を行う。そのため、スイッチ回路81bに外部からDC−DC変換部40bの制御をする端子が不要であり、スイッチ回路81bの端子切替信号とDC−DC変換部40bを制御する電源制御信号とのタイミングを同期させるなどの制御も不要となる。
【0136】
なお、スイッチ回路81bにおいては、DC−DC変換部40bより供給されるドライバ部の電源72が、外部から供給される電源Vddより高い場合を例示している。すなわち、DC−DC変換部40bは昇圧電源である場合を例示している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、昇圧、降圧、負電圧のいずれか、またはこれらを組合せた電圧に変換する場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0137】
図18は、本発明の実施形態に係るスイッチ回路の他の構成を例示するブロック図である。
図18に表したように、スイッチ回路81cにおいては、DC−DC変換部40cが負電圧Vを生成するチャージポンプ42cをさらに有する点が、図8に表したスイッチ回路81bと相違する。なお、チャージポンプ42cの出力には、クランプ回路52とコンデンサCnが接続されている。
【0138】
図19は、オシレータ及びチャージポンプの構成を例示する回路図である。
図19に表したように、オシレータ41b、チャージポンプ42bについては、図12に表したリングオシレータ41b、チャージポンプ42bと同様である。また、チャージポンプ42cは、低電位電源72aに負電圧Vを出力する。チャージポンプ42cは、ダイオードの向きが逆であることと段数が少ないこと以外は、チャージポンプ42bと同様である。
【0139】
リングオシレータ41bは、図12に表したものと同様であり、チャージポンプ42b、42cの出力電流は、電源制御信号Vmodeが”0”の第2の状態のときは、それぞれ消費電流の小さい状態となっている。また、電源制御信号Vmodeが”1”の第1の状態のときは、それぞれ第2の状態のときよりも大きい出力電流となる。
【0140】
図20は、図18に表したスイッチ回路81cの主要な信号のタイミングチャートである。
図20においては、スイッチ回路81cの主要な信号、図20(a)端子切替信号Vc、図20(b)電源制御信号Vmode、図20(c)チャージポンプ42bの出力電流Ip、図20(d)チャージポンプ42cの出力電流I、図20(e)DC−DC変換部の消費電流Idd、図20(f)ドライバ部入力正電圧(高電位電源電圧)V、図20(g)ドライバ部入力負電圧(低電位電源電圧)Vのタイミングチャートを表している。
【0141】
図20(a)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vc=4=”100”の状態である。つまり、スイッチ部10bは、時間T<0で、第1の端子P10を第2の端子P05に接続した状態である。
また、図20(b)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vcに変化がないため、電源制御信号Vmodeは、”0”である。
【0142】
図20(c)〜(d)に表したように、時間T<0で、チャージポンプ42b、42cの出力電流I、Iは、それぞれI=I、I=In2で一定ある。チャージポンプ42より供給されるドライバ部20の電源電圧V、Vも、V=V、V=Vn1で一定である。そのため、DC−DC変換部の消費電流IddもIdd=Idd2の低消費電流の状態で一定である。
【0143】
このように、時間T<0においては、外部から入力される端子切替信号Vc=4に応じて第1の端子P10と第2の端子P05とが接続され、安定した状態となっている。また、チャージポンプ42b、42cはそれぞれ定常状態の電流I、In2を出力しており、DC−DC変換部40cは第2の状態である。つまり、スイッチ回路81cは低消費電流の状態になっている。
【0144】
この状態より、時間T=0において、第1の端子P10を第2の端子P05から、例えば第2の端子P01に接続を切替えた場合を考える。図20(a)に表したように、外部から入力する端子切替信号Vcが、T=0でVc=4=”100”からVc=0=”000”に変化した場合である。
【0145】
デコーダ部30は、端子切替信号Vcをデコードしてドライバ部20にスイッチ制御信号を出力する。ドライバ部20は、スイッチ制御信号を入力してスイッチ駆動信号を生成しスイッチ部10bに出力する。
【0146】
このとき、図20(b)〜(e)に表したように、電源制御信号Vmodeが”0”から”1”に変化し、チャージポンプ42b、42cの出力電流は、I=IからIに、I=In2からIn1にそれぞれ変化する。DC−DC変換部の消費電流Iddも、Idd=Idd2からIdd1に変化する。すなわち、負荷変動に対する応答の早い第1の状態であり、消費電流が大きい状態である。
【0147】
図20(f)に表したように、ドライバ部20の高電位電源電圧Vは、時間T=0でスイッチ部10のスイッチ素子が切替わるため、降下する。同様に、低電位電源電圧Vは、時間T=0で上昇する(図20(g))。
【0148】
このとき、図20(b)〜(e)に表したように、電源制御信号Vmodeが”1”のため、チャージポンプ42b、42cの出力電流I、Iは、それぞれ電流I、In1に切り替わっている。降下した電圧Vを所定時間内に定常状態の電圧に戻すようにチャージポンプ42bのコンデンサに電荷がチャージされる。同様に、上昇した電圧Vを所定期間内に定常状態の電圧に戻すように、チャージポンプ42cのコンデンサに電荷がチャージされる。このため、DC−DC変換部の消費電流Iddは、電源制御信号Vmodeが”1”の間は、Idd1に増えることになる。
【0149】
すなわち、電源制御信号Vmodeが”1”の間、DC−DC変換部40cは負荷変動に対する応答の早い第1の状態となっている。この第1の状態におけるチャージポンプ42b、42cの出力電流はI=I、I=In1である。
図20(f)、図20(g)に表したように、比較例のスイッチ回路と同様に、ドライバ部20の電源電圧V、Vは数〜数十μsで定常状態の電圧に戻る。
【0150】
電源制御部60は、このドライバ部20の電源電圧V、Vが定常状態に戻る時間を第1の時間T1として、第1の時間T1の経過後に電源制御信号Vmodeが”1”から”0”に戻るように制御する(図20(b))。
電源制御信号Vmodeが”0”になると、チャージポンプ42b、42cの出力電流I、Iは、再び電流I、In2に戻り、DC−DC変換部の消費電流Iddも低消費電流Idd12に戻る。
【0151】
以下、T>T1は、再び第2の時間T2として、低消費電流の状態となる。このとき、チャージポンプ42b、42cのコンデンサにはスイッチ素子を切替えるために放出した電荷がすでにチャージされているために、チャージポンプ42b、42cの出力電流I=I、I=In2の第2の状態となっても動作に問題がない。
【0152】
このように、スイッチ回路81cにおいては、第1の状態のときのチャージポンプの出力電流を、電源制御部60のない場合のチャージポンプの出力電流と等しく設定できる。
そのため、スイッチ回路81cにおいては、電源制御部60のない場合のスイッチ回路に対し、端子切り替え動作時以外の定常状態では低消費電流に抑える事が可能となる。
【0153】
例えば、UMTS/GSMデュアルモードの携帯電話端末において、スイッチ回路81bを使用した場合には、UMTSモードでは待ち受け中、通話中ともにハンドオーバする時だけ第1の端子と接続する第2の端子の切替えが実施される。また、GSMでは通話中は送信と受信で端子切替が発生するため常時、待ち受け中はハンドオーバする時だけ端子切替が実施される事となる。すなわち、スイッチ回路81cとしては、低消費電流の第2の状態が定常的である。
【0154】
このように、スイッチ回路81cによれば、外部から入力される端子切替信号が変化して、第1の端子P10と接続する第2の端子P01〜P06が切り替わったときだけ、消費電流の大きい第1の状態となる。また、端子切替後に定常状態に戻った第2の時間は低消費電流の第2の状態に戻るため、低消費電流を実現することができる。
また、定常状態の第2の状態においては、ドライバ部20の高電位電源電圧V、低電位電源電圧Vは、電源制御部のないスイッチ回路の電源電圧V=V、V=Vn1と等しいため、低歪み特性も維持される。
【0155】
従って、スイッチ回路81cを例えば携帯電話端末に用いた場合、低消費電流の第2の状態が定常的であり、携帯電話端末のセットとしての消費電流低減に繋がることになる。
また、スイッチ回路81cにおいては、スイッチ回路81cが備える電源制御部60により外部からの端子切替え信号を検出して、第2の状態から第1の状態に動作モードの切り替え制御を行う。そのため、スイッチ回路81cに外部からDC−DC変換部40bの制御をする端子が不要であり、スイッチ回路81cの端子切替信号とDC−DC変換部40bを制御する電源制御信号とのタイミングを同期させるなどの制御も不要となる。
【0156】
なお、スイッチ回路81b及び81cにおいては、第1の状態のときのオシレータ41bの出力電流を、第2の状態よりも大きく設定している。これにより第1の状態のときのチャージポンプ42b及び42cの出力電流を、第2の状態よりも大きくしている。すなわち、第1の状態のときのDC−DC変換部40b及び40cは負荷変動に対する応答が、第2の状態よりも速くなっている。
【0157】
しかし、図4に表したオシレータ41aのように、第1の状態のときのオシレータの発振周波数f1を第2の状態よりも高く設定することによっても、第1の状態のときのチャージポンプ40の出力電流を第2の状態よりも大きくすることができる。すなわち、第1の状態のときのDC−DC変換部40の負荷変動に対する応答を第2の状態のときよりも速くすることができる。
【0158】
また、第1の状態のときのオシレータの発振周波数と出力電流とをともに、第2の状態よりも大きく設定することにより、第1の状態のときのチャージポンプの出力電流を第2の状態よりも大きくすることができる。すなわち、第1の状態のときのDC−DC変換部の負荷変動に対する応答を第2の状態よりも速くすることができる。
【0159】
なお、スイッチ回路81cにおいては、1つの第1の端子P10を6つの第2の端子P01〜P06のいずれか1つと接続させるSP6Tの構成を例示して動作を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、n個(nは、2以上)の第2の端子P01〜P0Nを備えたSPnTのスイッチ回路についても同様に構成することができる。
【0160】
また、任意数のm個の第1の端子を備えたmPnT(m-Pole n-Throw)のスイッチ回路についても同様に構成することができる。
また、スイッチ回路81cは、図11において説明したように、正の電源電圧Vと負の電源電圧Vとを用いてスイッチFETを駆動することにより、より優れた挿入損失特性や歪み特性を得ることが可能となる。
【0161】
図21は、本発明の他の実施形態に係るスイッチ回路の構成を例示するブロック図である。
図21に表したように、本実施例のスイッチ回路82は、クランプ回路50を備えている点がスイッチ回路81と異なり、これ以外については、図1に表したスイッチ回路81と同様である。
【0162】
クランプ回路50は、DC−DC変換部40から出力される電圧を安定化して、ドライバ部20に電源を供給する。クランプ回路50としては、例えば、複数の直列接続したダイオードにより構成することができる。ダイオードがオンすることにより、順方向の電圧をクランプすることができる。また、FETによりクランプ回路50を構成することもできる。FETで構成した場合は、電源制御部60によりFETをオンまたはオフに制御することにより、オン、オフ制御可能なクランプ回路50が構成される。
【0163】
電源制御信号Vmodeが”0”のとき、すなわち、DC−DC変換部40が第2の状態のとき、クランプ回路50はオンで、DC−DC変換部40から出力される電圧を安定化して、ドライバ部20に供給する。
また、電源制御信号Vmodeが”1”のとき、すなわち、第2の端子の切替が発生してDC−DC変換部40が第1の状態に制御されるとき、クランプ回路50はオフで、DC−DC変換部40から出力されるドライバ電源の電圧はそのまま、ドライバ部20に供給される。
【0164】
図22は、図21に表したスイッチ回路の主要な信号のタイミングチャートである。
図22においては、スイッチ回路82の主要な信号、図22(a)端子切替信号Vc、図22(b)電源制御信号Vmode、図22(c)クランプ回路の動作、図22(d)オシレータ発振周波数f、図22(e)DC−DC変換部の消費電流Idd、図22(f)ドライバ部の電源電圧Vのタイミングチャートを表している。
【0165】
図22(a)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vc=2=”10”の状態である。つまり、スイッチ部10は、時間T<0で、第1の端子P10を第2の端子P03に接続した状態である。
また、図22(b)に表したように、時間T<0で、端子切替信号Vcに変化がないため、電源制御信号Vmodeは、”0”である。
【0166】
図22(d)〜(e)に表したように、時間T<0で、オシレータ41の発振周波数fは、f=fであり、チャージポンプ42より供給されるドライバ部20の電源72の電圧Vも、V=Vで一定である。DC−DC変換部40の消費電流Iddは、Idd=Idd2で一定である。
図22(c)に表したように、時間T<0で、クランプ回路50はオンの状態であり、DC−DC変換部40の出力を安定化してドライバ部20に電源を供給している。
【0167】
このように、時間T<0においては、外部から入力される端子切替信号Vc=2に応じて第1の端子P10と第2の端子P03とが接続され、安定した状態となっている。また、オシレータ41は第2の周波数fの低い周波数で発振しており、DC−DC変換部40は第2の状態である。つまり、スイッチ回路81は低消費電流の状態になっている。
【0168】
この状態より、時間T=0において、第1の端子P10を第2の端子P03から、例えば第2の端子P02に接続を切替えた場合を考える。図22(a)に表したように、外部から入力する端子切替信号Vcが、T=0でVc=2=”10”からVc=1=”01”に変化した場合である。
デコーダ部30は、端子切替信号Vcをデコードしてドライバ部20にスイッチ制御信号を出力する。ドライバ部20は、スイッチ制御信号を入力してスイッチ駆動信号を生成しスイッチ部10に出力する。
【0169】
このとき、図22(b)〜(e)に表したように、電源制御信号Vmodeが”0”から”1”に変化し、クランプ回路50はオフとなる。オシレータ41の発振周波数fは、f=fからfに変化する。また、DC−DC変換部40の消費電流Iddも、Idd=Idd1に変化する。つまり、負荷変動に対する応答の早い第1の状態であり、消費電流が大きい状態である。
【0170】
図22(f)に表したように、ドライバ部20の電源電圧Vは、時間T=0でスイッチ部10のスイッチ素子が切替わったため、降下する。
このとき、図22(b)〜(d)に表したように、電源制御信号Vmodeが”1”のため、オシレータ41の発振周波数fが周波数の高いfとなる。
【0171】
すなわち、電源制御信号Vmodeが”1”の間、DC−DC変換部40は負荷変動に対する応答の早い第1の状態となっている。
この第1の状態は、チャージポンプ42のコンデンサの電荷が放電され、チャージポンプ42のコンデンサの電荷を充電中の状態であり、クランプ回路50で電位を安定化する必要はない。この第1の状態のときクランプ回路50をオンさせたままでは、クランプ回路50の不要な電流が流れることになる。このため、本実施例のように、DC−DC変換部40の状態に連動してオン、オフさせることにより、電流消費を抑えることができる。
【0172】
第1の時間T1の後、ドライバ部20の電源電圧Vが定常状態に戻り、電源制御信号Vmodeが”1”から”0”に戻ることは、図7に表したスイッチ回路81と同様である。
【0173】
このように、本実施例のスイッチ回路82によれば、外部から入力される端子切替信号が変化して、第1の端子P10と接続する第2の端子P01〜P03が切り替わったときだけ、消費電流の大きい第1の状態となり、クランプ回路50がオフする。また、端子切替後に定常状態に戻った第2の時間は、低消費電流の第2の状態に戻り、クランプ回路50がオンし、低消費電流を実現することができる。
【0174】
なお、本実施例のスイッチ回路82においては、1つの第1の端子P10を3つの第2の端子P01〜P03のいずれか1つと接続させるSP3Tの構成を例示して動作を説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、n個(nは、2以上)の第2の端子P01〜P0Nを備えたSPnTのスイッチ回路についても同様に構成することができる。さらに、任意数のm個の第1の端子を備えたmPnT(m-Pole n-Throw)のスイッチ回路についても同様に構成することができる。
【0175】
また、スイッチ回路82においては、図1に表したスイッチ回路81をもとに電源制御信号Vmodeにより制御されるクランプ回路50を追加した構成を例示した。同様に、図8、図18にそれぞれ表したスイッチ回路81b、81cをもとに、電源制御信号Vmodeにより制御されるクランプ回路50を追加した構成も可能である。
【0176】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、スイッチ回路を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0177】
その他、本発明の実施形態として上述したスイッチ回路を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのスイッチ回路も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0178】
10、10a、10b スイッチ部
20、20a、20b ドライバ部
21a〜21c、43a〜43e インバータ(否定回路)
21、22、23、23a〜23f レベルシフタ
30、30b デコーダ部
40、40b、40c DC−DC変換部
41、41a、41b オシレータ(リングオシレータ)
42、42b、42c チャージポンプ
43 遅延回路
45 選択回路(マルチプレクサ)
50、51、52 クランプ回路
60、60b 電源制御部
61、61a〜61c エッジ検出回路
71 ドライバ部の出力
72、72a ドライバ部の電源(チャージポンプの出力)
73 デコーダ部の出力
74 オシレータ出力
81、81b、81c、82 スイッチ回路
110 スイッチ部
140 DC−DC変換部
141 オシレータ
142 チャージポンプ
172 電源
181 スイッチ回路
Cp、Cn コンデンサ
Ctl 制御端子
N1 NMOS
P01、P02、P03、P04、P05、P06、P0N 第2の端子
P10 第1の端子
R1、R2 抵抗
Vdd 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の端子、複数の第2の端子及び前記第1の端子を前記第2の端子のいずれか1つと接続させるスイッチ素子を有するスイッチ部と、
外部からの端子切替信号により前記スイッチ素子を駆動するドライバ部と、
負荷変動に対する応答特性が第1の状態と、負荷変動に対する応答特性が前記第1の状態よりも遅い第2の状態とを有し、前記ドライバ部に電源を供給するDC−DC変換部と、
前記端子切替信号の変化に対応した第1の時間は前記DC−DC変換部を前記第1の状態に制御し、前記第1の時間以外の第2の時間は前記DC−DC変換部を前記第2の状態に制御することにより前記DC−DC変換部の前記第2の状態を定常状態とするように制御する電源制御部と、
を備えることを特徴とするスイッチ回路。
【請求項2】
前記DC−DC変換部から供給される電源の電圧を安定化するクランプ回路と、
前記クランプ回路を制御するクランプ制御回路と、
をさらに備え、
前記クランプ制御回路は、前記第1の時間は前記クランプ回路をオフし、前記第2の時間は前記クランプ回路をオンすることを特徴とする請求項1記載のスイッチ回路。
【請求項3】
前記DC−DC変換部において、前記第1の状態のときの出力電流は、前記第2の状態よりも大きくなることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ回路。
【請求項4】
前記DC−DC変換部は、
オシレータと、
前記オシレータの出力により動作するチャージポンプと、
を有し、
前記第1の状態は、前記オシレータの発振周波数が第1の周波数であり、前記第2の状態は、前記第1の周波数より発振周波数が低い第2の周波数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
【請求項5】
前記DC−DC変換部は、
オシレータと、
前記オシレータの出力により動作するチャージポンプと、
を有し、
前記第1の状態のときの前記オシレータの出力電流は、前記第2の状態よりも大きくなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
【請求項6】
前記オシレータは、電圧制御オシレータを有し、
前記第1の状態は、前記オシレータの入力電圧が第1の電圧であり、前記第2の状態は、前記入力電圧が前記第1の電圧と異なる第2の電圧であることを特徴とする請求項4記載のスイッチ回路。
【請求項7】
前記オシレータは、リングオシレータを有し、
前記第1の状態と前記第2の状態とで前記リングオシレータの段数が異なることを特徴とする請求項4記載のスイッチ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−246081(P2010−246081A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208286(P2009−208286)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】