説明

出力回路、出力方法、出力回路の製造方法、および電子機器

【課題】 ノイズを発生させ難い出力回路等を提供する。
【解決手段】 出力回路(10)は、入力ノード(IN)と、出力ノード(OUT)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第1のゲート(13)を有する第1の出力トランジスタ(12)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第2のゲート(16)を有する第2の出力トランジスタ(15)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第3のゲート(19)を有する第3の出力トランジスタ(18)と、を備える。第1のゲート(13)および第2のゲート(16)は、第1の方向(DR1)に、第3のゲート(19)を介さず、互いに接続される。第2のゲート(16)および第3のゲート(19)は、第1の方向とは異なる第2の方向(DR2)に、第1のゲート(13)を介さず、互いに接続される。第1のゲート(13)および第3のゲート(19)は、第2のゲート(16)を介して接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路、出力方法、出力回路の製造方法、および電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの電子機器又はそれに含まれる回路(たとえば、サーマルヘッドドライバ)は、出力回路を備えることができる(たとえば、特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開平07−195727号公報(図4)
【特許文献2】特開平06−216735号公報(図1〜図6、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、電子機器又はそれに含まれる回路(たとえば、サーマルヘッドドライバ、および出力回路)は、ノイズを発生させないことが望ましい。しかしながら、ノイズを発生させ難い回路を設計することは、当業者にとって困難である。
本発明に従う複数の形態のうち少なくとも1つの形態において、ノイズを発生させ難い回路が提供される。当業者は、(必要に応じて、本明細書およびそれに添付される図面(および、場合によって技術常識)を参照することによって、)本発明に従う各形態によって提供される少なくとも1つのさらなる利点を容易に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下に、本発明に従う複数の形態を例示する。以下に例示される複数の形態において、添付の図面で示される参照符号は、本発明を容易に理解するために用いられている。したがって、当業者は、本発明が、参照符号によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0005】
本発明に従う第1の形態は、出力回路(10、50)に関係する。たとえば、出力回路(10)は、入力ノード(IN)と、出力ノード(OUT)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第1のゲート(13)を有する第1の出力トランジスタ(12)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第2のゲート(16)を有する第2の出力トランジスタ(15)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第3のゲート(19)を有する第3の出力トランジスタ(18)と、を備える。
第1のゲート(13)および第2のゲート(16)は、第1の方向(DR1)に、第3のゲート(19)を介さず、互いに接続される。第2のゲート(16)および第3のゲート(19)は、第1の方向とは異なる第2の方向(DR2)に、第1のゲート(13)を介さず、互いに接続される。第1のゲート(13)および第3のゲート(19)は、第2のゲート(16)を介して接続される。
【0006】
第1、第2および第3の出力トランジスタ(12)(15)(18)が、順次にON乃至OFFされるので、本発明に従う出力回路(10)の出力ノード(OUT)からの出力信号(28)は、緩やかな立ち上がり乃至立ち下がりを有する。このように、本発明に従う出力回路(10)は、サージ電圧の発生を抑制することができ、ノイズを発生させ難い。
【0007】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第1のゲート(13)および第2のゲート(16)は、第1の抵抗器(14)を介して、接続される。第2のゲート(16)および第3のゲート(19)は、第2の抵抗器(17)を介して、接続される。
第1および第2の抵抗器(14)(17)が配置される場合には、本発明に従う出力回路(10)の出力ノード(OUT)からの出力信号(28)は、より緩やかな立ち上がり乃至立ち下がりを有する。この場合、本発明に従う出力回路(10)は、ノイズをより発生させ難い。
【0008】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第1の抵抗器(14)は、第1のゲート(13)および第2のゲート(16)を直接に接続する第1の配線(14)である。第2の抵抗器(17)は、第2のゲート(16)および第3のゲート(19)を直接に接続する第2の配線(17)である。
第1および第2の配線(14)(17)が、第1および第2の抵抗器(14)(17)として機能するので、追加的な工程を省略できる。この場合、出力回路(10)の製造コストは、低い。
【0009】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第1のゲート(13)の比抵抗は、第2のゲート(16)の比抵抗と等しい。第1の配線(14)の比抵抗は、第1のゲート(13)の比抵抗、または第2のゲート(16)の比抵抗より高い。第2のゲート(16)の比抵抗は、第3のゲート(19)の比抵抗と等しい。第2の配線(17)の比抵抗は、第2のゲート(16)の比抵抗、または第3のゲート(19)の比抵抗より高い。
【0010】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第1のゲート(13)、第2のゲート(16)、第3のゲート(19)、第1の配線(14)、および第2の配線(17)は、ポリシリコンで形成される。第1のゲート(13)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、第2のゲート(16)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度と等しい。第1の配線(14)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、第1ゲート(13)の不純物の濃度、または第2のゲート(16)の不純物の濃度より低い。第2のゲート(16)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、第3のゲート(19)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度と等しい。第2の配線(17)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、第2ゲート(16)の不純物の濃度、または第3のゲート(19)の不純物の濃度より低い。
このように、不純物注入工程を用いて、第1および第2の抵抗器(14)(17)を形成してもよい。
【0011】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第1のゲート(13)に含まれる不純物、第2のゲート(16)に含まれる不純物、第3のゲート(19)に含まれる不純物、第1の配線(14)に含まれる不純物、および第2の配線(17)に含まれる不純物は、同時に注入された。
1つのフォトマスクを用いて各ゲート(13)、(16)、(19)の領域と各配線(14)(17)の領域とに不純物を注入することで、追加的なフォトマスクは、不要となる。この場合、出力回路(10)の製造コストは、低い。
【0012】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第1のゲート(13)、第2のゲート(16)、第3のゲート(19)、第1の配線(14)、および第2の配線(17)は、ポリシリコンで形成される。第1のゲート(13)、第2のゲート(16)、および第3のゲート(19)のポリシリコンは、シリサイド化される。第1の配線(14)および第2の配線(17)のポリシリコンは、シリサイド化されない。
このように、シリサイド工程を用いて、第1および第2の抵抗器(14)(17)を形成してもよい。
なお、シリサイド工程および不純物注入工程を用いて、第1および第2の抵抗器(14)(17)を形成してもよい。
【0013】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、出力回路(10)は、入力ノード(IN)と出力ノード(OUT)との間に配置され、第4のゲート(33、43)を有する第4の出力トランジスタ(32、42)を、さらに備える。
【0014】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第3のゲート(19)および第4のゲート(33)は、第1のゲート(13)および第2のゲート(16)を介さず、互いに接続される。第1のゲート(13)および第4のゲート(33)は、第2のゲート(16)および第3のゲート(19)を介して、接続される。
代替的に、第4のゲート(43)および第1のゲート(13)は、第1の方向(DR1)に、第2のゲート(16)および第3のゲート(19)を介さず、互いに接続される。第4のゲート(43)および第3のゲート(19)は、第1のゲート(13)および第2のゲート(16)を介して、接続される。
【0015】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、出力回路(50)は、入力ノード(IN)と出力ノード(OUT)との間に配置される、少なくとも1つの出力トランジスタ(42)を、さらに備える。
第1の出力トランジスタ(13)、第2の出力トランジスタ(16)、第3の出力トランジスタ(19)、および少なくとも1つの出力トランジスタ(42)は、第1番目から第N番目の出力トランジスタ(52−1、52−2、52−3、52−4)を構成する。Nは、4以上の整数である。
第1番目から第N番目の出力トランジスタの第1番目から第N番目のゲート(53−1、53−2、53−3、53−4)は、順次に接続される。第1番目から第N番目のゲート(53−1、53−2、53−3、53−4)は、入力ノード(IN)を介して、入力信号を順次に入力する。
第1番目から第N番目の出力トランジスタ(52−1、52−2、52−3、52−4)の第1番目から第N番目のゲート53−1、53−2、53−3、53−4)は、順次に直列接続されているので、出力回路(50)は、ノイズをより発生させ難い。
【0016】
本発明に従う第1の形態において、たとえば、出力回路(10、50)は、論理演算回路を、さらに備える。
論理演算回路は、複数のトランジスタを含む。複数のトランジスタの中の1つのトランジスタは、入力ノード(IN)と直接に接続される。1つのトランジスタの能力は、複数のトランジスタの中の他のトランジスタの能力より低く、1つのトランジスタの導電型は、他のトランジスタの伝導型と同じである。
出力回路(10、50)の出力トランジスタを駆動する論理演算回路の1つのトランジスタの能力が絞られているので、出力回路(10、50)は、ノイズをより一層発生させ難い。
【0017】
本発明に従う第1の形態において、出力回路(10、50)は、たとえば、サーマルヘッドドライバ、サーマルヘッド、電子機器、および、印刷システムに適用することができる。
したがって、サーマルヘッドドライバ、サーマルヘッド、電子機器、および、印刷システムは、ノイズを発生させ難い。
【0018】
本発明に従う第1の形態は、以下に述べる本発明に従う第2の形態に適用することができる。
本発明に従う第1の形態において、たとえば、第1の出力トランジスタ(12)、第2の出力トランジスタ(15)および第3の出力トランジスタ(18)は、出力トランジスタ部(182)を形成する。第1のゲート(13)、第2のゲート(16)および第3のゲート(19)は、ゲート部(183)を形成する。ゲート部(183)を形成する層の第1の比抵抗(184)は、出力トランジスタ部が形成される領域以外の領域(189)に形成されるトランジスタ(186)のゲート(187)を形成する層の第2の比抵抗(188)より高い。
【0019】
本発明に従う第2の形態は、出力回路(180)に関係する。たとえば、出力回路(180)は、出力トランジスタ領域(185)に形成され、ゲート部(183)を有する出力トランジスタ部(182)を、備える。ゲート部(183)を形成する層の第1の比抵抗(184)は、出力トランジスタ領域以外の領域(189)に形成されるトランジスタ(186)のゲート(187)を形成する層の第2の比抵抗(188)より高い。
出力トランジスタ部(182)のゲート部(183)の第1の比抵抗(184)が高く設定されるので、本発明に従う出力回路(180)の出力トランジスタ部(182)からの出力信号(198)は、緩やかな立ち上がり乃至立ち下がりを有する。このように、本発明に従う出力回路(180)は、サージ電圧の発生を抑制することができ、ノイズを発生させ難い。
【0020】
本発明に従う第2の形態において、たとえば、第1の比抵抗は、ゲート部(183)そのものの比抵抗、または、ゲート部と直接に接続される配線の比抵抗である。第2の比抵抗は、ゲート(187)そのものの比抵抗、または、ゲートと直接に接続される配線の比抵抗である。
【0021】
本発明に従う第2の形態において、たとえば、ゲート部(183)を形成する層、および出力トランジスタ領域以外の領域に形成されるトランジスタのゲート(187)を形成する層は、ポリシリコンで形成される。ゲート部(183)を形成する層のポリシリコンは、シリサイド化されない。
このように、シリサイド工程を用いて、ゲート部(183)を高抵抗化してもよい。
なお、不純物注入工程を用いて、ゲート部(183)を高抵抗化してもよい。
【0022】
本発明に従う第2の形態は、本発明に従う第1の形態に適用することができる。
本発明に従う第2の形態において、たとえば、第1の比抵抗に対応するゲート部と直接に接続される配線の比抵抗は、第1の比抵抗に対応するゲート部(183)そのものの比抵抗より高い。
本発明に従う第2の形態を第1の形態に適用することで、本発明に従う出力回路(180)は、ノイズをより発生させ難い。
【0023】
本発明に従う第2の形態は、本発明に従う第1の形態に適用することができる。
本発明に従う第2の形態において、たとえば、出力トランジスタ部(182)は、入力ノード(IN)と、出力ノード(OUT)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第1のゲート(13)を有する第1の出力トランジスタ(12)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第2のゲート(16)を有する第2の出力トランジスタ(15)と、を含む。
【0024】
本発明に従う第2の形態は、本発明に従う第1の形態に適用することができる。
本発明に従う第2の形態において、たとえば、出力トランジスタ部(182)は、入力ノードと出力ノードとの間に配置され、第3のゲート(19)を有する第3の出力トランジスタ(18)を、さらに含む。
【0025】
本発明に従う第3の形態は、出力方法に関係する。たとえば、出力方法は、第1の出力トランジスタ(12)の第1のゲート(13)において、入力信号を入力ノード(IN)から入力すること、入力信号に応じて第1の出力信号を出力ノード(OUT)において出力するように、第1の出力トランジスタ(12)を動作させること、第2の出力トランジスタ(15)の第2のゲート(16)であって、第1のゲート(13)と第1の配線(14)を介して直接に接続される第2のゲート(19)において、入力信号を第1の配線(14)を介して入力すること、第2のゲート(16)に入力され、遅延した入力信号に応じて第2の出力信号を出力ノード(OUT)において出力するように、第2の出力トランジスタ(15)を動作させること、第3の出力トランジスタ(18)の第3のゲート(19)であって、第2のゲート(16)と第2の配線(17)を介して直接に接続される第3のゲート(19)において、入力信号を第1の配線(14)および第2の配線(17)を介して入力すること、および
第3のゲート(19)に入力され、さらに遅延した入力信号に応じて第3の出力信号を出力ノード(OUT)において出力するように、第3の出力トランジスタ(18)を動作させること、を含む。
本発明に従う出力方法は、ノイズを発生させ難い。
【0026】
本発明に従う第4の形態は、出力方法に関係する。たとえば、出力方法は、入力ノード(IN)において、入力信号を準備すること、および出力トランジスタ部(182)のゲート部(183)に入力され、遅延した入力信号に応じて出力信号を出力ノード(OUT)において出力するように、出力トランジスタ部(182)を動作させること、を含む。ゲート部(183)を形成する層の第1の比抵抗は、入力信号の生成に関連するトランジスタ(186)のゲート(187)を形成する層の第2の比抵抗より高い。
本発明に従う出力方法は、ノイズを発生させ難い。
【0027】
本発明に従う第5の形態は、出力回路(10)の製造方法に関係する。たとえば、出力回路(10)は、第1のゲート(13)を有する第1の出力トランジスタ(12)と、第1のゲート(13)と第1の配線(14)を介して直接に接続される第2のゲート(16)を有する第2の出力トランジスタ(15)と、第2のゲート(16)と第2の配線(17)を介して直接に接続される第3のゲート(19)を有する第3の出力トランジスタ(18)と、を備える。
出力回路(10)の製造方法は、第1のゲート(13)、第2のゲート(16)、第3のゲート(19)、第1の配線(14)、および第2の配線(17)の領域を、ポリシリコンで同時に形成すること、および、第1のゲート(13)、第2のゲート(16)、第3のゲート(19)、第1の配線(14)、および第2の配線(17)の領域に、不純物を注入すること、を含む。
第1の配線(14)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、第1のゲート(13)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度、または第2のゲート(16)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度より低い。第2の配線(17)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、第2のゲート(16)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度、または第3のゲート(19)のポリシリコンに含まれる不純物の濃度より低い。
本発明に従う製造方法によって製造される出力回路(10)は、ノイズを発生させ難い。
【0028】
本発明に従う第5の形態において、たとえば、第1のゲート(13)、第2のゲート(16)、第3のゲート(19)、第1の配線(14)、および第2の配線(17)の領域に、不純物を注入することは、第1の配線(14)および第2の配線(17)の領域の一部をマスクして、第1の配線(14)および第2の配線(17)の領域の残部に不純物を注入することを含む。
1つのフォトマスクを用いて各ゲート(13)、(16)、(19)の領域と各配線(14)(17)の領域とに不純物を注入することで、追加的なフォトマスクは、不要となる。
【0029】
本発明に従う第6の形態は、出力回路(180)の製造方法に関係する。たとえば、出力回路(180)の製造方法は、入力信号の生成に関連するトランジスタ(186)のゲート(187)、および、出力トランジスタ部(182)のゲート部(183)をポリシリコンで形成すること、および、ゲート部(183)をマスクして、ゲート(187)をシリサイド化すること、を含む。
本発明に従う製造方法によって製造される出力回路(180)は、ノイズを発生させ難い。
【0030】
当業者は、上述した本発明に従う各形態が、本発明の精神を逸脱することなく、変形され得ることを容易に理解できるであろう。たとえば、本発明に従うある形態を構成する少なくとも1つの要素は、本発明に従う他の形態に加えることができる。代替的に、本発明に従うある形態を構成する少なくとも1つの要素は、本発明に従う他の形態を構成する少なくとも1つの要素に組み替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、添付の図面を参照しながら、本発明に従う複数の実施形態を説明する。以下に説明する各実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。したがって、当業者は、本発明が、以下に説明される各実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0032】
1. 出力回路
1.1 出力回路の構成
図1は、本発明に従う出力回路の概略ブロック図を示す。
図1に示される出力回路10は、入力ノード(IN)と、出力ノード(OUT)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置される第1、第2および第3の出力トランジスタ12、15、18と、を備える。好ましくは、出力回路10は、第1および第2の抵抗器14、17を備える。
また、出力回路10は、図1に示されない更なる出力トランジスタを備えてもよい(たとえば、図3、図4、図5、図7、図8、図9)。さらに、出力ノード(OUT)は、たとえば、図1に示されないサーマル抵抗素子(広義には発熱素子、発熱抵抗体)、有機LED(広義には発光素子)等に接続される。
【0033】
第1の出力トランジスタ12は、第1のゲート13を有する。第1のゲート13は、入力ノード(IN)に直接に接続される。また、第1の出力トランジスタ12は、ソースおよびドレインを備え、ソースまたはドレインが、出力ノード(OUT)に直接に接続される。なお、第1のゲート13は、入力ノード(IN)に、図1に示されない抵抗器を介して接続されてもよい。
【0034】
第2の出力トランジスタ15は、第2のゲート16を有する。第2のゲート16は、入力ノード(IN)に、第1のゲート13を介して接続される。また、第2の出力トランジスタ15は、ソースおよびドレインを備え、ソースまたはドレインが、出力ノード(OUT)に直接に接続される。好ましくは、第2のゲート16は、第1の抵抗器14を介して第1のゲート13に接続される。
【0035】
第3の出力トランジスタ18は、第3のゲート19を有する。第3のゲート19は、入力ノード(IN)に、第1および第2のゲート13、16を介して接続される。また、第3の出力トランジスタ16は、ソースおよびドレインを備え、ソースまたはドレインが、出力ノード(OUT)に直接に接続される。好ましくは、第3のゲート19は、第2の抵抗器17を介して第2のゲート16に接続される。
【0036】
図1に示されるように、第1および第2のゲート13、16は、第1の方向(DR1)に、第3のゲート19を介さず、互いに接続される。また、第2および第3のゲート16、19は、第1の方向とは異なる第2の方向(DR2)に、第1のゲート13を介さず、互いに接続される。第1および第3のゲート13、19は、第2のゲート16を介して接続される。このように、第1、第2および第3のゲート13、16、19は、順次に直列接続されている。したがって、出力ノード(OUT)は、図2に示されるような特性を有する。なお、図1において、入力ノードに、入力信号(たとえば、図1に示されない論理回路からの信号)が入力され、第3のゲート19は、入力信号の最終端である。
【0037】
図2は、図1に示される出力回路10の動作を理解するためのタイミング図を示す。
図2において、符号IN(13)、16、19、OUTは、それぞれ、入力信号(第1のゲート13に入力される信号)、第2のゲート16に入力される信号、第3のゲート19に入力される信号、および、出力ノードにおける信号(出力信号)を表す。
【0038】
図2に示されるように、入力信号は、たとえば、HIGH側の駆動パルス(矢印22)を有する。また、図2において、第1のゲート13に入力される信号は、入力信号とほぼ同じであると想定する。HIGH側の駆動パルス(矢印22)により、第1の出力トランジスタ12は、たとえば、ONされて、たとえば、出力ノード(OUT)の電圧を低くする。第1および第2のゲート13、16は、順次に直列接続されているので、第2のゲート16に入力される信号は、入力信号(第1のゲート13に入力される信号)に対して、遅延量d1を有する。なお、遅延量d1は、抵抗成分と容量成分とで決定される時定数に依存し、抵抗低分は、第1のゲート13と第2のゲート16との間の配線14の抵抗、第2のゲート16の抵抗等を含み、容量成分は、第2のゲート16の容量、配線14の浮遊容量等を含む。第1の抵抗器14が、第1のゲート13と第2のゲート16との間に配置される場合、第1の抵抗器14の抵抗は、配線14の抵抗に含まれ、遅延量d1は、長くなる。
【0039】
第2のゲート16に入力される信号は、遅延量d1を有する駆動パルス(矢印24)を有する。駆動パルス(矢印24)により、第2の出力トランジスタ15は、ONされて、第1の出力トランジスタ12とともに、出力ノード(OUT)の電圧を低くする。第1、第2および第3のゲート13、16、19は、順次に直列接続されているので、第3のゲート19に入力される信号は、入力信号(第1のゲート13に入力される信号)に対して、更なる遅延量d2(総遅延量d1+d2)を有する。なお、更なる遅延量d2は、抵抗成分と容量成分とで決定される時定数に依存し、抵抗低分は、第2のゲート16と第3のゲート19との間の配線17の抵抗、第3のゲート19の抵抗等を含み、容量成分は、第3のゲート19の容量、配線17の浮遊容量等を含む。第2の抵抗器17が、第2のゲート16と第3のゲート19との間に配置される場合、第2の抵抗器17の抵抗は、配線17の抵抗に含まれ、更なる遅延量d2は、長くなる。
【0040】
第3のゲート19に入力される信号は、更なる遅延量d2を有する駆動パルス(矢印26)を有する。駆動パルス(矢印26)により、第3の出力トランジスタ18は、ONされて、第1および第2の出力トランジスタ12、15とともに、出力ノード(OUT)の電圧を低くする。このように、第1、第2および第3の出力トランジスタ12、15、18は、順次にONされる。したがって、出力ノード(OUT)からの出力信号は、矢印28および実線で示されるような立ち下がりを有する。
【0041】
ところで、従来の出力回路は、たとえば、特許文献1(特開平07−195727号公報)の図4に開示される。従来の出力回路は、1つの出力ノードに対して1つの出力トランジスタを有するので、出力ノードからの出力信号は、たとえば、図2の矢印29および破線で示されるような立ち下がりを有する。図2に示されるように、本発明に従う出力回路10の出力ノード(OUT)からの出力信号(28)は、従来の出力回路(1つの出力トランジスタ)の出力ノード(OUT)からの出力信号(29)と比べて、緩やかな立ち下がりを有する。同様に、第1、第2および第3の出力トランジスタ12、15、18が、順次にOFFされるので、本発明に従う出力回路10の出力ノード(OUT)からの出力信号(28)は、緩やかな立ち上がりを有する。このように、本発明に従う出力回路10は、サージ電圧の発生を抑制することができ、ノイズを発生させ難い。
【0042】
第1および第2の抵抗器14、17が配置される場合には、本発明に従う出力回路10の出力ノード(OUT)からの出力信号(28)は、より緩やかな立ち上がり乃至立ち下がりを有する。この場合、本発明に従う出力回路10は、ノイズをより発生させ難い。
なお、第1、第2および第3のゲート13、16、19は、抵抗成分を有する。したがって、第1および第2の抵抗器14、17が配置される場合とは、各抵抗器14、17の抵抗成分が、各ゲート13、16、19の抵抗成分に対して有意義である場合である。言い換えれば、各ゲート13、16、19の間を単に配線する金属(たとえば、不純物が含まれるポリシリコンを含む)線などは、第1または第2の抵抗器14、17として機能しない。
【0043】
1.2 出力回路の構成の変更例
図3は、図1に示される本発明に従う出力回路の変形例を示す。
図3に示される出力回路10は、入力ノード(IN)と出力ノード(OUT)との間に配置される第4の出力トランジスタ32を、さらに備える。好ましくは、出力回路10は、第3の抵抗器34を備える。また、出力回路10は、図3に示されない更なる出力トランジスタを備えてもよい(たとえば、図5、図7、図8、図9)。
第4の出力トランジスタ32は、第4のゲート33を有する。第4のゲート33は、入力ノード(IN)に、第1、第2および第3のゲート13、16、19を介して接続される。また、第4の出力トランジスタ32は、ソースおよびドレインを備え、ソースまたはドレインが、出力ノード(OUT)に直接に接続される。好ましくは、第4のゲート33は、第3の抵抗器34を介して第3のゲート19に接続される。
【0044】
図3に示されるように、第3および第4のゲート19、33は、第1の方向(DR1)に、第1および第2のゲート13、16を介さず、互いに接続される。このように、第1、第2、第3および第4のゲート13、16、19、33は、順次に直列接続されている。なお、図3において、第4のゲート33は、入力信号の最終端である。
図3に示される出力回路10の4つのトランジスタ12、15、18、32のトータルな能力(電流駆動能力)が、図1に示される出力回路10の3つのトランジスタ12、15、18のトータルな能力と等しい場合、言い換えれば、図3に示される出力回路10の各トランジスタ12、15、18、32の能力を低くすることができる場合、図3に示される出力回路10は、ノイズをより発生させ難い。
【0045】
図4は、図1に示される本発明に従う出力回路のもう1つの変形例を示す。
図4に示される出力回路10は、入力ノード(IN)と出力ノード(OUT)との間に配置される第4の出力トランジスタ42を、さらに備える。好ましくは、出力回路10は、第3の抵抗器44を備える。また、出力回路10は、図4に示されない更なる出力トランジスタを備えてもよい(たとえば、図5、図7、図8、図9)。
第4の出力トランジスタ42は、第4のゲート43を有する。第4のゲート33は、入力ノード(IN)に直接に接続される。また、第4の出力トランジスタ42は、ソースおよびドレインを備え、ソースまたはドレインが、出力ノード(OUT)に直接に接続される。好ましくは、第4のゲート33は、第4の抵抗器44を介して第1のゲート13に接続される。
【0046】
図4に示されるように、第4および第1のゲート43、13は、第1の方向(DR1)に、第2および第3のゲート16、19を介さず、互いに接続される。このように、第4、第1、第2、および第3のゲート43、13、16、19は、順次に直列接続されている。
図4に示される出力回路10の4つのトランジスタ42、12、15、18、33のトータルな能力が、図1に示される出力回路10の3つのトランジスタ12、15、18のトータルな能力と等しい場合、図4に示される出力回路10は、ノイズをより発生させ難い。
【0047】
1.3 出力回路の第1の実施形態
図5は、本発明に従う出力回路の具体例を示す。
図5に示される出力回路50は、入力ノード(IN)と、出力ノード(OUT)と、入力ノードと出力ノードとの間に配置される第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9と、を備える。好ましくは、出力回路50は、隣接する2つの出力トランジスタの間に、第1番目から第8番目の抵抗器54−1、・・・、54−9を備える。また、出力回路50は、図5に示されない更なる出力トランジスタを備えてもよい。代替的に、出力回路50は、幾つかの出力トランジスタを省略してもよい。
【0048】
図5に示される出力回路50は、図1(または図3、または図4)に示される出力回路10の構成を含む。たとえば、図1に示される第1、第2および第3の出力トランジスタ12、15、18は、それぞれ、図5に示される第2番目、第3番目、および第4番目の出力トランジスタ52−2、52−3、52−4に対応する。図1に示される第1、第2および第3の出力トランジスタ12、15、18は、それぞれ、図5に示される第7番目、第8番目、および第9番目の出力トランジスタ52−7、52−8、52−9に対応する。図3に示される第1、第2、第3および第4の出力トランジスタ12、15、18、32は、それぞれ、図5に示される第6番目、第7番目、第8番目、および第9番目の出力トランジスタ52−6、52−7、52−8、52−9に対応する。図4に示される第4、第1、第2、および第3の出力トランジスタ42、12、15、18は、それぞれ、図5に示される第1番目、第2番目、第3番目、および第4番目の出力トランジスタ52−1、52−2、52−3、52−4に対応する。
【0049】
図5において、第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9のそれぞれは、N型のトランジスタである。なお、出力回路50の目的に応じて、N型のトランジスタは、P型のトランジスタであってもよい。第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9のソースSは、たとえば、接地電源電圧GNDに接続される。第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9のドレインDは、出力回路50の出力ノード(OUT)を形成し、抵抗素子56を介して電源電圧VHに接続される。第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9の第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9は、順次に直列接続されているので、出力回路50は、ノイズをより発生させ難い。第1番目から第8番目の抵抗器54−1、・・・、54−9が配置される場合には、出力回路50は、ノイズをより発生させ難い。
【0050】
図6は、図5に示される第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9の配置例を示す。
図6に示される例において、破線で囲まれた領域は、第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9のソースSを表す。各ゲートGで囲まれた領域は、各出力トランジスタのドレインDを表す。第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9のドレインDは、図6に示されない配線を介して出力ノード(OUT)に接続される。第1番目のゲート53−1は、配線を介して入力ノード(IN)に接続される。
【0051】
図6に示されるように、第1番目および第2番目のゲート53−1、53−2は、第1の方向(DR1)に、第1番目の配線54−1を介して、互いに接続される。図6に示される例において、第1の方向は、入力ノード(IN)および出力ノード(OUT)が配置される方向である。第2番目および第3番目のゲート53−2、53−3は、第1の方向(DR1)に、第2番目の配線54−2を介して、互いに接続される。第3番目および第4番目のゲート53−3、53−4は、第2の方向(DR2)に、第3番目の配線54−3を介して、互いに接続される。図6に示される例において、第2の方向(DR2)は、第1の方向(DR1)と垂直な方向である。第4番目および第5番目のゲート53−4、53−5は、第2の方向(DR2)に、第4番目の配線54−4を介して、互いに接続される。第5番目および第6番目のゲート53−5、53−6は、第1の方向(DR1)に、第5番目の配線54−5を介して、互いに接続される。第6番目および第7番目のゲート53−6、53−7は、第1の方向(DR1)に、第6番目の配線54−6を介して、互いに接続される。第7番目および第8番目のゲート53−7、53−8は、第2の方向(DR2)に、第7番目の配線54−7を介して、互いに接続される。第8番目および第9番目のゲート53−8、53−9は、第1の方向(DR1)に、第8番目の配線54−8を介して、互いに接続される。
【0052】
図7、図8、図9、図10および図11は、図5に示される出力回路50の変形例を示す。
図7および図8に示されるように、第1番目から第9番目の出力トランジスタ52−1、・・・、52−9の第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9は、順次に直列接続されている。また、図9に示されるように、ゲートの一部が、順次に直列接続されてもよい。さらに、図10に示されるように、1つの出力トランジスタを、互いに直列接続された複数(2つ)の出力トランジスタに変更してもよい。代替的に、図11に示されるように、複数(2つ)の出力トランジスタを、互いに直列接続された複数(2つ)の出力トランジスタに変更してもよい。
【0053】
図5において、出力回路50が、隣接する2つの出力トランジスタの間に、第1番目から第8番目の抵抗器54−1、・・・、54−9を備えない場合、各配線54の比抵抗は、各ゲートGの比抵抗と等しい。たとえば、第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9と第1番目から第8番目の配線54−1、・・・、54−8とは、均一なポリシリコン層で形成され、そのポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、均一である。
【0054】
図5において、出力回路50が、隣接する2つの出力トランジスタの間に、第1番目から第8番目の抵抗器54−1、・・・、54−9を備える場合、各配線54の比抵抗は、各ゲートGの比抵抗より高い。具体的な1例においては、各ゲートGのシート抵抗は、数十〜数百[Ω/□]であり、各配線54のシート抵抗は、各ゲートGのシート抵抗よりも大きければよく、たとえば、各配線54のシート抵抗が各ゲートGのシート抵抗の1.2倍であっても、出力回路50は、ノイズを発生させ難い。また、各配線54のシート抵抗は、各ゲートGのシート抵抗の100倍以上であってもよく、たとえば、50[kΩ/□]である。この場合、出力回路50は、ノイズをより発生させ難い。なお、各ゲートGのシート抵抗および各配線54のシート抵抗は、上記例に限定されない。言い換えれば、出力回路50の目的に応じて、各ゲートGのシート抵抗の値および各配線54のシート抵抗の値は、任意に設定可能である。
【0055】
図5において、出力回路50が、隣接する2つの出力トランジスタの間に、第1番目から第8番目の抵抗器54−1、・・・、54−9を備える場合、たとえば、第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9と第1番目から第8番目の配線54−1、・・・、54−8とは、不均一なポリシリコン層で形成され、各ゲートGに対応する領域のポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、第1の所定の濃度であり、各配線54に対応する領域のポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、第1の所定の濃度より低い第2の所定の濃度である。
【0056】
なお、第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9の領域と第1番目から第8番目の配線54−1、・・・、54−8の領域とが、同時に形成される場合、出力回路50の製造コストは、低い。言い換えれば、1つのフォトマスクを用いて各ゲートGの領域と各配線54の領域とを形成することで、追加的なフォトマスクは、不要となる。たとえば、各配線54の領域に対応するフォトマスクの一部に不純物が注入されない領域を設けることで、各配線54の領域に対応するポリシリコン層の一部の領域に注入された不純物の濃度は、各ゲートGの領域に対応するポリシリコン層のもう1つの一部の領域に注入された不純物の濃度より低くなる。代替的に、第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9の領域と第1番目から第8番目の配線54−1、・・・、54−8の領域とは、同時に形成されなくてもよい。言い換えれば、追加的なフォトマスクを用いて、各配線54の領域に対応するポリシリコン層の一部の領域に注入される不純物の量を独立して調整してもよい。
【0057】
図12は、スリットを有するフォトマスクの概略図である。
図12において、符号122は、ポリシリコン層に不純物を注入するための領域を表し、符号124は、不純物の注入を阻止する領域を表す。また、符号126は、低濃度領域を表し、符号128は、高濃度領域を表す。
図12に示されるフォトマスクを用いることにより、スリット124の領域に対応するポリシリコン層には、不純物が注入されず、スリット124のない領域に対応するポリシリコン層には、不純物が注入される。その後の熱工程によって、ポリシリコン層に注入された不純物は、拡散する。したがって、スリット124を含む低濃度領域126に対応するポリシリコン層に注入された不純物の濃度は、スリット124を含まない高濃度領域128に対応するポリシリコン層に注入された不純物の濃度より低くなる。スリット124は、たとえば、クロムを含む。
図12に示すようなフォトマスクを用いて、たとえば、図5の各配線54の領域を高抵抗化することができる。なお、図12において、スリットの数は、5つであるが、スリットの数は、任意であり、1つでもよい。複数のスリットが存在する場合、各スリットの幅は、同じであっても、異なってもよく、さらに、各スリットの間隔も、同じであってもよく、異なってもよい。スリットの数、スリットの寸法、スリットの間隔、および加熱条件を調整することによって、低濃度領域126のシート抵抗の値を、出力回路50の目的に応じて設定することができる。
【0058】
図5において、出力回路50が、隣接する2つの出力トランジスタの間に、第1番目から第8番目の抵抗器54−1、・・・、54−8を備える場合、図6に示される各配線54の比抵抗は、各ゲートGの比抵抗と等しくてもよい。言い換えれば、出力回路50は、図6に示される各配線54とは別の層に存在し、図6に示されていない高抵抗の配線ないし個別の抵抗器を備えてもよい。たとえば、第1のポリシリコン層は、各ゲートGに対応する領域と各配線54に対応する領域とを有し、各ゲートGに対応する領域の第1のポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、第1の所定の濃度であり、各配線54に対応する領域の第1のポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、第1の所定の濃度である。高抵抗の配線に対応する領域の第2のポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、第2の所定の濃度であり、好ましくは、第2の所定の濃度は、第1の第1の所定の濃度より低い。
【0059】
図5において、出力回路50が、隣接する2つの出力トランジスタの間に、第1番目から第8番目の抵抗器54−1、・・・、54−8を備える場合、第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9と第1番目から第8番目の配線54−1、・・・、54−8とは、均一なポリシリコン層で形成され、そのポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、均一であってもよい。ただし、各配線54の領域をマスクして、各ゲートGの領域に対応するポリシリコン層をシリサイド化する。具体的なもう1つの例においては、各ゲートGのシート抵抗は、数[Ω/□]であり、各配線54のシート抵抗は、数十〜数百[Ω/□]である。
各配線54の領域に対応するポリシリコン層がシリサイド化されず、かつ、各ゲートGの領域に対応するポリシリコン層がシリサイド化される場合、第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9と第1番目から第8番目の配線54−1、・・・、54−8とは、不均一なポリシリコン層で形成され、そのポリシリコン層に注入される不純物の濃度は、不均一であってもよい。すなわち、各配線54の領域に対応するポリシリコン層に注入される不純物の量を調整してもよい。具体的な更なる1つの例においては、各ゲートGのシート抵抗は、数[Ω/□]であり、各配線54のシート抵抗は、数十〜数百以上[Ω/□]である。
【0060】
図13は、図7に示される第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9の配置例を示す。
図13に示されるように、図5、図7〜図9の出力回路50は、バーゲート型のトランジスタで構成してもよい。
【0061】
図14は、図10に示されるゲートの配置例を示す。
図14に示されるように、図10の出力回路50は、リングゲート型のトランジスタで構成してもよい。
【0062】
図15は、図10に示されるゲートのもう1つの配置例を示す。
図15に示されるように、図10の出力回路50は、バーゲート型のトランジスタで構成してもよい。
【0063】
図16は、図11に示されるゲートの配置例を示す。
図16に示されるように、図11の出力回路50は、リングゲート型のトランジスタで構成してもよい。
【0064】
図17は、図11に示されるゲートのもう1つの配置例を示す。
図17に示されるように、図11の出力回路50は、バーゲート型のトランジスタで構成してもよい。
【0065】
1.4 出力回路の第2の構成
図18は、本発明に従う出力回路の第2の概略ブロック図を示す。
図18に示される出力回路180は、第1のゲート13を有する第1の出力トランジスタ12を備える。第1の出力トランジスタ12は、出力トランジスタ部182を構成し、第1のゲート13は、ゲート部183を構成する。出力トランジスタ部182は、出力トランジスタ領域185に形成される。出力トランジスタ部182は、入力ノード(IN)および出力ノード(OUT)を備え、第1の出力トランジスタ12は、入力ノードと出力ノードとの間に配置される。入力ノードに、入力信号が入力される。入力信号の生成に関連するトランジスタ186は、出力トランジスタ領域185以外の領域189に形成される。トランジスタ186は、ゲート187を有する。ゲート部183を形成する層の第1の比抵抗(184)は、トランジスタ186のゲート187を形成する層の第2の比抵抗(188)より高い。
【0066】
具体的な1例においては、ゲート部183の領域に対応する層(ポリシリコン層)の第1のシート抵抗は、数十〜数百[Ω/□]であり、ゲート187の領域に対応する層の第2のシート抵抗は、数[Ω/□]である。ゲート部183をマスクして、ゲート187のみをシリサイド化することができる。具体的なもう1つの例においては、ゲート部183の領域に対応する層(ポリシリコン層)の第1のシート抵抗は、数十〜数百より大きい値[Ω/□]であり、ゲート187の領域に対応する層の第2のシート抵抗は、数十〜数百[Ω/□]である。ゲート部183の領域に対応するポリシリコン層に含まれる不純物の濃度は、ゲート187の領域に対応するポリシリコン層に含まれる不純物の濃度より低くすることができる。
【0067】
トランジスタ186は、たとえば、論理回路、ラッチ、フリップフロップ等の回路を構成する少なくとも1つのトランジスタに対応する。言い換えれば、トランジスタ186の基板は、出力トランジスタ部182の基板と同一である。さらに、出力ノード(OUT)は、たとえば、図18に示されないサーマル抵抗素子(広義には発熱素子、発熱抵抗体)、有機LED(広義には発光素子)等に接続される。出力トランジスタ部182は、たとえば図1に示されるように、複数のトランジスタを含んでもよい。
【0068】
図19は、図18に示される出力回路180の動作を理解するためのタイミング図を示す。
図19に示されるように、入力信号は、たとえば、HIGH側の駆動パルス(矢印192)を有する。第1のゲート13(183)に入力される信号は、入力信号に対して遅延する。遅延量は、ゲート部183の抵抗に依存する。第1のゲート13(183)に入力される信号は、遅延量を有する駆動パルス(矢印194)を有する。駆動パルス(矢印194)により、第1の出力トランジスタ12(182)は、ONされて、たとえば、出力ノード(OUT)の電圧を低くする。
【0069】
ところで、従来の出力回路は、たとえば、特許文献1(特開平07−195727号公報)の図4に開示される。従来の出力回路を構成するトランジスタ部は、ロジック回路を構成するトランジスタと同時に形成される。言い換えれば、従来の出力回路のトランジスタ部のゲート部は、ロジック回路のトランジスタのゲートとともに、同一のポリシリコン層で形成され、ポリシリコン層に含まれる不純物の濃度は、均一である。したがって、従来の出力回路のトランジスタ部のゲート部に対応する領域のポリシリコン層の比抵抗は、ロジック回路のトランジスタのゲートに対応する領域のポリシリコン層の比抵抗と等しい。したがって、従来の出力回路に従えば、出力ノードからの出力信号は、たとえば、図19の矢印199および破線で示されるような立ち下がりを有する。図19に示されるように、本発明に従う出力回路180の出力ノード(OUT)からの出力信号(198)は、従来の出力回路(出力回路のトランジスタ部のゲート部に対応するポリシリコン層の比抵抗は、ロジック回路のトランジスタのゲートに対応するポリシリコン層の比抵抗と等しい。)の出力ノード(OUT)からの出力信号(199)と比べて、緩やかな立ち下がりを有する。このように、本発明に従う出力回路180は、サージ電圧の発生を抑制することができ、ノイズを発生させ難い。
【0070】
ゲート部183を形成する層の第1の比抵抗(184)がより高く設定される場合には、本発明に従う出力回路180の出力ノード(OUT)からの出力信号(198)は、より緩やかな立ち上がり乃至立ち下がりを有する。この場合、本発明に従う出力回路180は、ノイズをより発生させ難い。
【0071】
なお、ゲート部183を形成する層の第1の比抵抗(184)は、たとえば、ゲート部183そのもの(たとえば、第1のゲート13)の比抵抗、または、ゲート部183と直接に接続される配線(たとえば、第1のゲート13と入力ノード(IN)とを配線する金属(たとえば、不純物が含まれるポリシリコンを含む)線)の比抵抗で表すことができる。
好ましくは、ゲート部183と直接に接続される配線の比抵抗は、ゲート部183そのもの(たとえば、第1のゲート13)の比抵抗より高い。このように、配線の比抵抗が高く設定される場合、本発明に従う出力回路180は、ノイズをより発生させ難い。なお、ゲート部183そのもの比抵抗(シート抵抗)は、たとえば、出力トランジスタ部182(たとえば、第1の出力トランジスタ12)の閾値が変化しない範囲まで、高く設定してもよい。
【0072】
出力トランジスタ部182が、たとえば図1に示されるような複数のトランジスタを含む場合、各ゲート間に抵抗器が配置されることが好ましい。言い換えれば、図18に示される出力回路の第2の構成を、図1等に示される出力回路の第1の構成(図5等に示される出力回路の第1の実施形態)に適用することが好ましい。この場合、本発明に従う出力回路180、10は、第1の構成(第1の実施形態)による効果に加えて、第2の構成による効果を有する。
【0073】
2. サーマルヘッドドライバ、サーマルヘッド、電子機器、および印刷システム
2.1 サーマルヘッド
図20は、本発明に従うサーマルヘッドの概略ブロック図を示す。
図20に示されるサーマルヘッド200は、セラミック板202の上に、複数のサーマル抵抗素子(広義には発熱素子、発熱抵抗体)が形成されている。図20において、セラミック板202の長辺の1つの縁部に、画素の間隔に合わせて複数のサーマル抵抗素子が配列されている。複数のサーマル抵抗素子の一端には、電源電圧VHが供給されている。この電源電圧は、サーマルヘッド200(セラミック板202)の外部から供給される、例えば24Vや18Vといった高電圧である。また、サーマルヘッド200は、第1〜第M(Mは2以上の整数)のサーマルヘッドドライバ210−1、210−2、…、210−Mを含む。複数のサーマル抵抗素子の他端には、第1〜第Mのサーマルヘッドドライバ210−1、210−2、…、210−Mの出力が電気的に接続される。
【0074】
第1〜第Mのサーマルヘッドドライバ210−1、210−2、…、210−Mの各サーマルヘッドドライバは、サーマル抵抗素子に接続される出力ドライバの出力を例えば接地電源電圧に設定することで、該サーマル抵抗素子に電流を流す(駆動する)ことができる。
【0075】
2.2 サーマルヘッドドライバ
図21は、図20に示される各サーマルヘッドドライバ210の具体例を示す。
サーマルヘッドドライバ210は、複数のドライバブロックDB〜DB(Nは2以上の整数)を含む。ドライバブロックDB(1≦j≦N、jは整数)は、出力ドライバODと、ラッチLTと、フリップフロップDFFとを含むことができる。図18に示されるトランジスタ186は、たとえば、ラッチLTおよび/またはフリップフロップDFFを構成する少なくとも1つのトランジスタに対応する。
【0076】
サーマルヘッドドライバ210には、クロック信号CLK、シリアルデータSI、ラッチ信号LATおよびストローブ信号STBが、入力される。画素データは、シリアルデータSIとして、クロック信号CLKに同期してシリアルに入力される。ラッチ信号LATは、ラッチLT〜LTに1ライン分の画素データを取り込むための信号である。ストローブ信号STBは、ドライバブロックDB〜DBに供給される。
【0077】
ドライバブロックDB〜DBのフリップフロップDFF〜DFFは、シリアルデータSIとして入力される画素データがシフト方向SDRにシフトされるシフトレジスタを構成する。シフトレジスタを構成する各フリップフロップは、クロック信号CLKの変化タイミングに同期して、前段のフリップフロップの出力を取り込むと共に、フリップフロップに取り込んだデータを出力する。
【0078】
ラッチLTは、ラッチ信号LATが例えばHレベルのとき、フリップフロップDFFに取り込んだデータをラッチ(保持)する。ラッチLTにラッチされたデータは、出力制御回路OCに入力される。出力制御回路OCは、出力ドライバODの出力制御を行う出力制御信号cntを生成する。
【0079】
出力ドライバODは、N型金属酸化膜半導体(Metal Oxide Semiconductor:MOS)トランジスタ(以下、単にMOSトランジスタと略す)により構成される。このMOSトランジスタのドレインが、ドライバ出力DOjとなる。ドライバブロックDB〜DBの出力ドライバOD〜ODを構成するMOSトランジスタのソースには、接地電源電圧GNDが供給される。出力ドライバODを構成するMOSトランジスタのゲートには、出力制御回路OCからの出力制御信号cntが供給される。図21では、出力制御信号cntにより、出力ドライバODを構成するMOSトランジスタのソース・ドレイン間が電気的に導通することで、ドライバ出力DOjが接地電源電圧GNDに設定される。
【0080】
図21において、ドライバブロックDB〜DB内の出力ドライバODは、1つの出力トランジスタで表されているが、上述の出力回路(たとえば、図1、図3、図4に示される出力回路10、図5、図7〜図11に示される出力回路50、図18に示される出力回路)である。
【0081】
出力制御回路OCは、ストローブ信号STBと、ドライバブロックDBに対応した画素データ(ラッチLTにラッチされた画素データ)とに基づいて、出力制御信号cntを生成する。
【0082】
図22は、図21に示される出力制御回路OCの具体例を示す。
図21において、出力制御回路OCは、AND回路で表されているが、たとえば、図22に示されるNAND回路およびインバータ回路で、構成することができる。
図22に示される論理演算回路は、たとえば、4つのトランジスタP1、P2、N1、N2からなるNAND回路と、2つのトランジスタP3、N3からなるインバータ回路とで、構成される。インバータ回路は、図21の出力ドライバOD(具体的には、たとえば、図5の入力ノード(IN))に接続される。図18に示されるトランジスタ186は、たとえば、図14に示される少なくとも1つのトランジスタP1、P2、P3、N1、N2、N3に対応する。
【0083】
図21の例を考慮すると、図22において、たとえば、出力ドライバODと直接に接続されるN型のトランジスタN3の能力(電流駆動能力)は、論理演算回路の他のトランジスタN1またはN2の能力より低い。
N型のトランジスタN3のチャネル長およびチャネル幅がそれぞれLn3およびWn3であり、N型のトランジスタN1のチャネル長およびチャネル幅がそれぞれLn1およびWn1であると想定する。たとえば、Wn3/Ln3が、Wn1/Ln1より小さい場合、N型のトランジスタN3のON抵抗は、N型のトランジスタN1のON抵抗より高い。このように、たとえば、N型のトランジスタN3の能力は、論理演算回路の他のトランジスタN1の能力より低い。好ましくは、Wn3/Ln3:Wn1/Ln1=1:10〜1:100である。
なお、出力ドライバODおよび出力制御回路OCを出力回路と呼ぶこともできる。また、特許文献1(特開平07−195727号公報)に開示されるように、出力ドライバODと直接に接続されるN型のトランジスタN3の能力は、ラッチLTを構成するN型の1つのトランジスタ(図示されていない)の能力より低くてもよく、あるいは、フリップフロップDFFを構成するN型の1つのトランジスタ(図示されていない)の能力より低くてもよい。
【0084】
2.2.1 変形例
サーマルヘッドドライバ210以外の集積回路(たとえば、表示用ドライバ(たとえば、液晶ドライバ、プラズマパネルドライバ、LED表示ドライバ、有機EL表示ドライバ)、プリンタ用のドライバ(たとえば、LEDプリントヘッドドライバ、有機ELプリントヘッドドライバ)などのドライバ)も、上述の出力回路を備えることができる。また、ディスクリート素子を使用する回路も、上述の出力回路を備えることができる。
【0085】
2.3 電子機器
図23は、図20に示されるサーマルヘッド200を備えるサーマルプリンタの具体例の主要部分のみの縦断面図を示す。
プリンタ装置230内には、感熱紙がロール紙232としてセットされる用に構成されている。ロール紙232の印刷対象部分は、所与の紙送り機構(紙送り手段)により1ラインずつ紙送り方向233の方向に送り出される。そして、この印刷対象部分は、ハウジング234内で印刷ヘッド235の方に導かれる。印刷ヘッド235は、図20のサーマルヘッド200を搭載する。ロール紙232の印刷対象部分が、印刷ヘッド235およびプラテン236の間を通過する際に、印刷ヘッド235により該印刷対象部分に所定の印刷が行われる。
【0086】
紙送り機構は、印刷対象部分を更に紙送り方向233に送り出し、カッター237によりロール紙232が切断されて、切断後の用紙がレシート238として取り出し可能となる。
【0087】
またハウジング234内には、印刷ヘッド235の前段に、用紙エンドセンサ239が設けられており、ロール紙232が紙送り方向233に送られる際にロール紙232の端を検知できる。
【0088】
2.3.1 変形例
サーマルプリンタ230以外の電子機器(たとえば、液晶装置)も、上述の出力回路を備えることができる。
【0089】
2.4 印刷システム
図24は、図20に示されるサーマルヘッド200を含む印刷システムの具体例を示す。
図24に示される印刷システム240は、ホストコンピュータ242(広義には制御部)と、レシート248等を発行するプリンタ装置244とを含む。ホストコンピュータ242は、本体245と、表示装置246と、キーボード247と、ポインティングデバイスとしてのマウス248とを含む。
プリンタ装置244は、たとえば、図23に示されるプリンタ装置230で構成される。
【0090】
図25は、図24に示されるホストコンピュータ242の概略ブロック図を示す。
ホストコンピュータ242では、CPU(Central Processing Unit)251に、バスライン252を介して、プログラムデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)253、データ処理の作業エリアや印刷データがバッファリングされるRAM(Random Access Memory)254、プリンタ装置244に印刷データや印刷コマンド等を送信する通信インタフェース255、表示装置246を駆動制御して表示データに対応する文字等を表示させるディスプレイコントローラ256、キーボード247から入力キーに対応するキー信号を取り込むキーボードコントローラ257、マウス248とのデータ等のやり取りを制御するマウスコントローラ258が接続されている。また、プリンタ装置244は、通信インタフェース255からの印刷データ等を受信する通信インタフェース259を含む。
【0091】
CPU251は、ROM253又はRAM254に格納されたプログラムに従って所定の印刷処理を実行し、印刷データをRAM254に展開したり、RAM254の印刷データを、通信インタフェース255を介してプリンタ装置244に転送したりすることができる。
【0092】
2.4.1 変形例
印刷システム240以外のシステムも、上述の出力回路を含む電子機器を備えることができる。
【0093】
当業者は、上述した本発明に従う各実施形態が、本発明の精神を逸脱することなく、(場合によって技術常識を参照することによって、)変形され得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に従う出力回路の概略ブロック図。
【図2】図1に示される出力回路10の動作を理解するためのタイミング図。
【図3】図1に示される本発明に従う出力回路の変形例。
【図4】図1に示される本発明に従う出力回路のもう1つの変形例。
【図5】本発明に従う出力回路の具体例。
【図6】図5に示される第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9の配置例。
【図7】図5に示される出力回路50の変形例。
【図8】図5に示される出力回路50のもう1つの変形例。
【図9】図5に示される出力回路50の更なる変形例。
【図10】図5に示される出力回路50の更なる変形例。
【図11】図5に示される出力回路50の更なる変形例。
【図12】スリットを有するフォトマスクの概略図。
【図13】図7に示される第1番目から第9番目のゲート53−1、・・・、53−9の配置例。
【図14】図10に示されるゲートの配置例。
【図15】図10に示されるゲートのもう1つの配置例。
【図16】図11に示されるゲートの配置例。
【図17】図11に示されるゲートのもう1つの配置例。
【図18】本発明に従う出力回路の第2の概略ブロック図。
【図19】図18に示される出力回路180の動作を理解するためのタイミング図。
【図20】本発明に従うサーマルヘッドの概略ブロック図。
【図21】図20に示される各サーマルヘッドドライバ210の具体例。
【図22】図21に示される出力制御回路OCの具体例。
【図23】図20に示されるサーマルヘッド200を備えるサーマルプリンタの具体例の主要部分のみの縦断面図。
【図24】図20に示されるサーマルヘッド200を含む印刷システムの具体例。
【図25】図24に示されるホストコンピュータ242の概略ブロック図。
【符号の説明】
【0095】
10、50 出力回路、 12、15、18、32、42、52 出力トランジスタ、
13、16、19、33、43、53 ゲート、
14、17、34、44、54 抵抗器、 200 サーマルヘッド、
202 セラミック板、 210、210−1〜210−M サーマルヘッドドライバ、
230 プリンタ装置、 232 ロール紙、 233 紙送り方向、
234 ハウジング、 235 印刷ヘッド、 236 プラテン、
237 カッター、 238 レシート、 240 印刷システム、
242 ホストコンピュータ、 245 本体、 246 表示装置、
247 キーボード、 248 マウス、 CLK クロック信号、 D ドレイン、
D’ 中間ドレイン、 DB〜DB ドライバブロック、
DFF〜DFF フリップフロップ、DO1〜DON ドライバ出力、
d1、d2 遅延量、 G ゲート、 IN 入力ノード、 LT〜LT ラッチ、
LAT ラッチ信号、 OC〜OC 出力制御回路、
OD〜OD 出力ドライバ(出力トランジスタ)、 OUT 出力ノード、
S ソース、 SI シリアルデータ、 STB ストローブ信号、
VDD、VH 電源電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力回路であって、
入力ノードと、
出力ノードと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に配置され、第1のゲートを有する第1の出力トランジスタと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に配置され、第2のゲートを有する第2の出力トランジスタと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に配置され、第3のゲートを有する第3の出力トランジスタと、
を備え、
前記第1のゲートおよび前記第2のゲートは、第1の方向に、前記第3のゲートを介さず、互いに接続され、
前記第2のゲートおよび前記第3のゲートは、前記第1の方向とは異なる第2の方向に、前記第1のゲートを介さず、互いに接続され、
前記第1のゲートおよび前記第3のゲートは、前記第2のゲートを介して接続される、出力回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の出力トランジスタ、前記第2の出力トランジスタおよび前記第3の出力トランジスタは、出力トランジスタ部を形成し、
前記第1のゲート、前記第2のゲートおよび前記第3のゲートは、ゲート部を形成し、
前記ゲート部を形成する層の第1の比抵抗は、前記出力トランジスタ部が形成される領域以外の領域に形成されるトランジスタのゲートを形成する層の第2の比抵抗より高い、出力回路。
【請求項3】
出力回路であって、
出力トランジスタ領域に形成され、ゲート部を有する出力トランジスタ部を、
備え、
前記ゲート部を形成する層の第1の比抵抗は、前記出力トランジスタ領域以外の領域に形成されるトランジスタのゲートを形成する層の第2の比抵抗より高い、出力回路。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記第1の比抵抗は、前記ゲート部そのものの比抵抗、または、前記ゲート部と直接に接続される配線の比抵抗であり、
前記第2の比抵抗は、前記ゲートそのものの比抵抗、または、前記ゲートと直接に接続される配線の比抵抗である、出力回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の比抵抗に対応する前記ゲート部と直接に接続される配線の比抵抗は、前記第1の比抵抗に対応する前記ゲート部そのものの比抵抗より高い、出力回路。
【請求項6】
請求項3において、
前記出力トランジスタ部は、
入力ノードと、
出力ノードと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に配置され、第1のゲートを有する第1の出力トランジスタと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に配置され、第2のゲートを有する第2の出力トランジスタと、を含む、出力回路。
【請求項7】
請求項6において、
前記出力トランジスタ部は、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に配置され、第3のゲートを有する第3の出力トランジスタを、さらに含む、出力回路。
【請求項8】
請求項1または7において、
前記第1のゲートおよび前記第2のゲートは、第1の抵抗器を介して、接続され、
前記第2のゲートおよび前記第3のゲートは、第2の抵抗器を介して、接続される、出力回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1の抵抗器は、前記第1のゲートおよび前記第2のゲートを直接に接続する第1の配線であり、
前記第2の抵抗器は、前記第2のゲートおよび前記第3のゲートを直接に接続する第2の配線である、出力回路。
【請求項10】
請求項1または7において、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に配置される、少なくとも1つの出力トランジスタを、
さらに備え、
前記第1の出力トランジスタ、前記第2の出力トランジスタ、前記第3の出力トランジスタ、および前記少なくとも1つの出力トランジスタは、第1番目から第N番目の出力トランジスタを構成し、Nは、4以上の整数であり、
前記第1番目から第N番目の出力トランジスタの第1番目から第N番目のゲートは、順次に接続され、
前記第1番目から第N番目のゲートは、前記入力ノードを介して、入力信号を順次に入力する、出力回路。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかの出力回路を備える電子機器。
【請求項12】
出力方法であって、
第1の出力トランジスタの第1のゲートにおいて、入力信号を入力ノードから入力すること、
前記入力信号に応じて第1の出力信号を出力ノードにおいて出力するように、前記第1の出力トランジスタを動作させること、
第2の出力トランジスタの第2のゲートであって、前記第1のゲートと第1の配線を介して直接に接続される第2のゲートにおいて、前記入力信号を前記第1の配線を介して入力すること、
前記第2のゲートに入力され、遅延した入力信号に応じて第2の出力信号を前記出力ノードにおいて出力するように、前記第2の出力トランジスタを動作させること、
第3の出力トランジスタの第3のゲートであって、前記第2のゲートと第2の配線を介して直接に接続される第3のゲートにおいて、前記入力信号を前記第1の配線および前記第2の配線を介して入力すること、および
前記第3のゲートに入力され、さらに遅延した入力信号に応じて第3の出力信号を前記出力ノードにおいて出力するように、前記第3の出力トランジスタを動作させること、
を含む出力方法。
【請求項13】
出力方法であって、
入力ノードにおいて、入力信号を準備すること、および
出力トランジスタ部のゲート部に入力され、遅延した入力信号に応じて出力信号を出力ノードにおいて出力するように、前記出力トランジスタ部を動作させること、
を含み、
前記ゲート部を形成する層の第1の比抵抗は、前記入力信号の生成に関連するトランジスタのゲートを形成する層の第2の比抵抗より高い、出力方法。
【請求項14】
出力回路の製造方法であって、前記出力回路は、第1のゲートを有する第1の出力トランジスタと、前記第1のゲートと第1の配線を介して直接に接続される第2のゲートを有する第2の出力トランジスタと、前記第2のゲートと第2の配線を介して直接に接続される第3のゲートを有する第3の出力トランジスタと、を備え、
前記第1のゲート、前記第2のゲート、前記第3のゲート、前記第1の配線、および前記第2の配線の領域を、ポリシリコンで同時に形成すること、および
前記第1のゲート、前記第2のゲート、前記第3のゲート、前記第1の配線、および前記第2の配線の前記領域に、不純物を注入すること、
を含み、
前記第1の配線のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、前記第1のゲートのポリシリコンに含まれる不純物の濃度、または前記第2のゲートのポリシリコンに含まれる不純物の濃度より低く、
前記第2の配線のポリシリコンに含まれる不純物の濃度は、前記第2のゲートのポリシリコンに含まれる前記不純物の濃度、または前記第3のゲートのポリシリコンに含まれる不純物の濃度より低い、出力回路の製造方法。
【請求項15】
出力回路の製造方法であって、
入力信号の生成に関連するトランジスタのゲート、および、出力トランジスタ部のゲート部をポリシリコンで形成すること、および
前記ゲート部をマスクして、前記ゲートをシリサイド化すること、
を含む出力回路の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2009−177296(P2009−177296A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11306(P2008−11306)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】