説明

化合物、組成物および方法

ある種の置換尿素誘導体は、例えば心臓ミオシンを増強することで心臓筋節を選択的にモジュレートし、うっ血性心不全などの収縮期心不全の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は置換尿素誘導体に関し、詳細には心臓筋節を選択的にモジュレートする化合物、具体的にはうっ血性心不全などの収縮期心不全を治療するための化合物、医薬製剤および治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓筋節
「筋節」は、互いに入り込んだ細いフィラメントと太いフィラメントからできている心筋や骨格筋に見られる見事に組織化された細胞構造であり、心臓の細胞容積の60%近くを占める。太いフィラメントは「ミオシン」から成っており、ミオシンは化学エネルギー(ATP加水分解)を力や有向運動に変換する役割を担っているタンパク質である。ミオシンおよびその機能的に類似しているいとこ分子は、運動タンパク質と呼ばれる。細いフィラメントはタンパク質複合体からできている。このタンパク質の1つが「アクチン」(フィラメント状ポリマー)であり、ミオシンが力発生の際に引っ張る基体である。アクチンに結合しているのが1組の調節タンパク質「トロポニン複合体」と「トロポミオシン」であり、これらによってアクチン−ミオシン相互作用が細胞内Ca2+濃度の変化によって決まるようになっている。心臓の鼓動毎にCa2+濃度は上昇および下降をし、心筋収縮次いで心筋弛緩を開始させる(Robbins J and Leinwand LA. (1999) Molecular Basis of Cardiovascular Disease, Chapter 8. editor Chien, K.R., W.B. Saunders, Philadelphia)。筋節の各構成要素はその収縮応答に寄与している。
【0003】
全ての運動タンパク質の中でもミオシンは最も広く研究されている。ヒト細胞において明確に区別されるミオシンの13クラスの中でも、ミオシン-IIのクラスは、骨格筋、心筋、および平滑筋の収縮で役割を演じる。このクラスのミオシンは、他の12の明確に区別されるクラスのミオシンとは、アミノ酸組成および全体構造が大きく異なる(Goodson HV and Spudich JA. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:659-663)。ミオシン-IIは、長いα−ヘリカル・コイルド−コイルド・テイル(alpha-helical coiled-coiled tail)によって一緒に連結されている2つの球状ヘッドドメイン(globular head domains)から成り、他のミオシンIIと集まって筋節の太いフィラメントのコア部を形成している。球状ヘッド部は触媒ドメインをもっており、ここでミオシンのアクチン結合およびATP作用が起る。アクチンフィラメントに結合すると、リン酸の放出(参考:ATP→ADP)により触媒ドメインの構造的配置の変化が起り、これにより次いで球状ヘッド部から延びている軽鎖結合レバー・アーム・ドメイン(light-chain binding lever arm domain)の方向が変わる。この運動はパワーストロークと呼ばれる。このアクチンと関連したミオシンヘッド部の方向変化により、ミオシンが一部となっている太いフィラメントが、ミオシンが結合している細いアクチンフィラメントに対して動かされる(Spudich JA. (2001) Nat Rev Mol Cell Biol. 2(5):387-92)。触媒ドメインおよび軽鎖がその最初の配置/方向に戻ることと合わさった球状ヘッド部のアクチンフィラメントからの結合解除(これもCa2+によりモジュレートされている)により、収縮と拡張のサイクルが完結する。
【0004】
哺乳動物の心筋は心臓ミオシンの2つの形態アルファとベータからなり、これらは十分にキャラクタリゼーションされている(上記Robbins)。ベータ体が、成人ヒト心筋では圧倒的に多い形態である( > 90パーセント)。いずれもヒトの心不全状態では転写レベルと翻訳レベルの両方でレギュレート(調節)されていることが確認されており(Miyata、上記)、心不全ではアルファ体がダウンレギュレートされている。
【0005】
全てのヒト骨格筋、心筋、および平滑筋のミオシンの配列は決定されている。ヒト心筋アルファミオシンおよびベータミオシンは非常に似ている(93%同一)が、それらはいずれもヒト平滑筋とはかなり異なり(42%同一)、骨格ミオシンにより近く似ている(80%同一)。都合の良いことに心筋ミオシンは、哺乳動物の種を通して信じられないくらいに保存されている。例えば、アルファ心筋ミオシンとベータ心筋ミオシンは両方とも、ヒトとラット間で>96%保存されており、利用可能なブタ心筋ベータミオシンの250個残基配列は対応するヒト心筋ベータミオシン配列と比較した場合100%保存されている。このような配列保存は、心不全の動物系モデルでの、ミオシンベースの治療薬の研究の予測能に寄与する。
【0006】
この心筋節の構成要素は心不全の治療の標的を提供するもので、例えば収縮能を高めるか、または、完全弛緩を促進することによって、それぞれ収縮期機能および拡張期機能をモジュレートする。
【0007】
心不全
うっ血性心不全(「CHF」)は特定の疾患ではなく、むしろ、全て、心拍出量の増大による心臓の激しい動きに心臓が適切に応答できなくなったことで起る徴候および症状の総称である。CHFについての優勢な病態生理は、収縮期機能障害、すなわち心臓収縮能の損傷(その結果、各心臓鼓動毎に吐出される血液の量が減る)である。心室腔の代償性拡張を伴う収縮期機能障害の結果、心不全の最も一般的な病態である「拡張型心筋症」になり、これは多くの場合CHFと同じであると考えられている。収縮期機能障害の対照となるものは拡張期機能障害すなわち心室を血液で満たす能力の損傷であり、これもまた左心室機能が保存されていても心不全になることがある。うっ血性心不全は最終的には心臓筋細胞それ自体の機能不適切化を伴ない、収縮および弛緩能力の低下が起る。
【0008】
アテローム性動脈硬化症、高血圧症、ウイルス感染症、弁機能障害、遺伝子障害などの同じ基礎をなす症状の多くは、収縮期および/または拡張期の機能障害を引き起こし得る。これらの症状をもつ患者は、典型的に同様の古典的な症状、すなわち息切れ、浮腫および激しい疲労を示す。拡張型心筋症をもつ患者のおよそ半分では、その心臓機能障害の原因はアテローム性冠動脈硬化症による虚血性心疾患である。これらの患者は過去に1回かまたは複数回の心筋梗塞を起している。この場合結果として生じた瘢痕および再造形により、拡張された、低収縮性の心臓となる。時々、その原因因子を明らかにすることができず、その結果この疾患は「特発性拡張型心筋症」と呼ばれる。虚血性あるいはその他の原因に関係なく、拡張型心筋症をもつ患者は、最悪の予後、異常に高い合併症発生率、および高い死亡率を共有する。
【0009】
人口の高齢化につれて、かつ心臓病専門医が、最も一般的なCHFの前触れである虚血性心疾患の死亡率の減少に成功するようになったので、CHFの有病率は流行伝染病のような勢いにまで増大している。米国では大雑把に言って460万人がCHFと診断されており、そのような診断件数は、年齢65歳以上では、1000人あたり10人に近づきつつある。CHFによる入院は一般に、外来患者の不適切な治療の結果である。CHFの退院は、年齢65歳以上の人口では、377,000(1979年)から957,000(1997年)に上昇しており、CHFが最も一般的な退院診断となっている。CHFの5年後死亡率は50%に近づいている(Levy D.(2002)New Engl J Med. 347(18):1442-4)。それゆえ、ここ数年の間に心臓疾患の治療は大きく改善され、平均寿命も延びたが、特にCHFに対して新規でより良い治療が引き続き求められている。
【0010】
「急性」うっ血性心不全(急性「代謝障害型」心不全とも呼ばれる)は、色々な原因で起る心臓機能の急低下が関与する。例えば以前にうっ血型心不全を患った患者では、新たな心筋梗塞、投薬の中断、食あたりによって、安静状態でさえも水腫液体の蓄積や代謝不全が引き起こされる。このような急性発作の間に心臓機能を向上させる治療薬は、この代謝不全を軽減し、水腫除去を加速するのを助けることができ、その結果より安定な「代償型」うっ血性心不全状態に戻るのを促進するものであると考えられる。非常に進行したうっ血性心不全をもつ患者、特に該疾患の最終段階にある患者もまた、心臓機能を向上させる治療薬から、例えば心臓移殖を待っている間安定化させるのに恩恵を受けることができると考えられる。また、バイパスポンプを入れるのが終わった患者に、例えばその停止したまたは遅くなった心臓が正常機能を取り戻すのを助ける薬剤を投与することにより、他の恩恵の可能性も提供することができると考えられる。拡張期機能障害(心筋の不十分な弛緩)をもつ患者は、筋弛緩をモジュレートする治療薬から恩恵を受けることができると考えられる。
【0011】
治療用活性薬剤
強心薬(Inotropes)は、心臓の収縮能力を高める薬である。1つの群として、現在ある強心薬は全て、心不全治療の判断基準を満たしていない、すなわち患者の生存を引き延ばしていない。加えて、現在ある薬剤は心臓組織に対する選択性に乏しく、このことは一部確認されている副作用を引き起こすので、その使用には限りがある。この事実にも拘わらず、経静脈強心薬は急性心不全に広く使われ続けており(例えば、経口投薬を再開させるため、あるいは患者を心臓移植へ橋渡しするため)、一方慢性心不全では経口的に投与されるジゴキシンが強心薬として使われており、患者の症状を和らげ、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を改善し、入院を減らしている。
【0012】
現在出回っている薬剤の限界が示された今、うっ血性心不全における心臓機能を改善する新しい治療法が必要である。最も最近に認可された短期用経静脈薬剤ミルリノンが登場してから今ではほぼ15年経つ。利用可能な唯一の経口薬剤ジゴキシンが登場してから200年経つ。新しい作用機序を利用し、かつ、短期および長期の両方において症状の軽減、安全性、および、患者死亡率に関してより良い結果を生むことができる薬剤に対する大きなニーズが依然としてある。現在ある薬剤よりも改善された治療指数をもつ新規な薬剤は、上記した臨床結果を達成する手段を提供すると思われる。
【発明の開示】
【0013】
心臓筋節を標的とする(例えば、心臓ベータミオシンを標的とすることによる)薬剤の選択性が、上記した改善された治療指数を達成する上での重要な手段であることが確認された。本発明はそのような薬剤(特に筋節活性化薬剤)およびその同定および使用方法を提供する。
【0014】
本発明は、CHF、特に収縮期心不全のような心不全を治療する化合物、医薬組成物および方法を提供する。この組成物は、心臓筋節の選択的モジュレーター、例えば心臓ミオシンを増強するためのモジュレーターである。
【0015】
1つの態様では、本発明は式I:
【化1】

【0016】
[式中:
R1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
R2は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル;置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、または置換されていてもよいヘテロシクリルである]
で表わされる、その単一立体異性体、立体異性体混合物、ならびに医薬的に許容される塩、溶媒和物、および医薬的に許容される塩の溶媒和物も含めた1つ以上の化合物群に関する。式Iで表わされる化合物は、本発明の治療方法を実施する上において、また、本発明の医薬製剤を製造する上において活性薬剤として、またそのような活性薬剤を合成する上において中間体として有用である。
【0017】
好ましい態様では、本発明は、R1が式II:
【化2】

【0018】
[式中:
Xは、-O-、-O-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-O-、-S-、-S-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-S-、-SO2-、-SO2-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、または-(置換されていてもよい低級アルキレン)-SO2-であり;
YおよびZは、独立に-C=または-N=であり(但し、YまたはZのどちらか1つだけが-N=である);
R1.1は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロシクリルであり:
R1.2は、水素、ハロまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
R1.3は、水素、ハロ、置換されていてもよいヘテロアリールまたはニトロである]
により表わされる1つ以上の式Iの化合物に関する。
【0019】
もう1つの好ましい態様では、本発明は、R1が、以下:
Xは-O-である;
YおよびZはいずれも-C=である;
R1.1はテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、置換されていてもよい3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである;
R1.2は水素またはフルオロである;および
R1.3はピリジニルまたはフルオロである;
の1つ以上の条件を有する式IIで表わされる、式Iの1つ以上の化合物に関する。
【0020】
さらなる好ましい態様では、本発明は、R1が式IIで表わされ、R1.1が、さらなる低級アルコキシまたは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである式Iの1つ以上の化合物に関する。
【0021】
もう1つの態様では、本発明は、R2が置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである式Iで表わされる、その単一立体異性体、立体異性体混合物、ならびに医薬的に許容される塩、溶媒和物、および医薬的に許容される塩の溶媒和物も含めた化合物群、特にR2が:
置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいピロリル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいイソオキサゾリル、置換されていてもよいピラゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピラジニル、置換されていてもよいピリミジニルまたは置換されていてもよいピリダジニルである化合物群に関する。
【0022】
本発明のなおもう1つの態様は、R2が、置換されていてもよいアラルキル;置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルまたは置換されていてもよいヘテロシクリルである、その単一立体異性体、立体異性体混合物、ならびに医薬的に許容される塩、溶媒和物、および医薬的に許容される塩の溶媒和物も含めた式Iで表わされる化合物群、特に:
R2が、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、N-アセチル-ピロリジン-2-イル、N-アセチル-モルホリン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-4-イルまたはシクロヘキシルであるか、または
R2が、式 -W-R2.1[式中:
Wは、C1〜C3の、直鎖または分岐鎖の、置換されていてもよいアルキレンであり;
R2.1は、置換されていてもよいテトラヒドロフラニル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである]で表わされる、
化合物群に関する。
【0023】
本発明のなお別の態様は、医薬的に許容される賦形剤を含む医薬製剤、および、心臓疾患の治療方法に関するもので、それぞれ、式Iで表わされる化合物、異性体、塩、または溶媒和物の治療的に有効な量を必須とする。
【0024】
さらなる態様で、本発明は、ミオシン(特にミオシンIIまたはβミオシン)に結合する化合物、例えば式Iの化合物の結合と置き換わるかまたは競合する化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、標識化されていてもよい式Iの化合物、ミオシン、および少なくとも1種の候補薬剤を組み合わせること、およびその候補薬剤がミオシンに結合していることを測定することを含んでなる。
【0025】
さらなる態様で、本発明は、ミオシン活性のモジュレーターをスクリーニングする方法を提供する。その方法は、式Iの化合物、ミオシン、および少なくとも1種の候補薬剤を組み合わせること、およびその候補薬剤のミオシン活性への影響を測定することを含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
他の態様および実施形態は、以下の詳細な説明から、当業者には明らかであると思われる。
【0027】
詳細な説明
本発明は、例えば心臓ミオシンを増強することにより心臓筋節を選択的にモジュレートするのに有用な化合物を提供するものである。本化合物を用いて、CHF、特に収縮期心不全のような心不全を治療することができる。本発明はさらに、本発明の化合物を含む医薬製剤、および、そのような化合物または組成物を用いた治療方法に関する。本組成物は心臓筋節の選択的モジュレーターであり、例えば、心臓ミオシンを増強する。
【0028】
定義
本明細書で使用される場合、以下に示されている用語・表現は通常下記に記載されている意味をもつことが意図されるが、それらが使用されているところでそうでないと記載されている場合はこの限りではない。次の略号・記号は、全体を通して、記載されている意味をもつ:
Ac = アセチル
Boc = t-ブチルオキシカルボニル
c- = シクロ
CBZ = カルボベンゾキシ = ベンジルオキシカルボニル
DCM = ジクロロメタン = 塩化メチレン = CH2Cl2
DIEA = N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
Et = エチル
EtOAc = 酢酸エチル
EtOH = エタノール
GC = ガスクロマトグラフィー
h = 時間
Me = メチル
min = 分
mL = ミリリットル
Ph = フェニル
PyBroP = ブロモ-トリス-ピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート
rt = 室温
s- = 第二級
t- = 第三級
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
TLC = 薄層クロマトグラフィー。
【0029】
用語「任意の」または「〜されていてもよい」とは、それに関して記載される事象または状況が起る場合もあるし起らない場合もあることを意味し、またその記載には、そのような事象または状況が起る場合と起らない場合が含まれることを意味する。例えば、「置換されていてもよいアルキル」は、後に定義する「アルキル」もしくは「置換アルキル」を意味する。当業者なら、1つ以上の置換基を含む基に関して、そのような基は、立体的に実現性のない、合成の点から可能でない、および/または固有的に不安定である置換または置換パターン(例えば、置換アルキルには置換されていてもよいシクロアルキル基が含まれるが、これは置換されていてもよいアルキル基を含むと定義され、潜在的に際限がない)を導入するものではないことは理解されると思われる。
【0030】
「アルキル」には線状、分岐状、または環状炭化水素構造およびそれらの組み合せが含まれるものとする。低級アルキルは、炭素原子1〜5個のアルキル基を意味する。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-ブチル、t-ブチルなどが挙げられる。好ましいアルキル基はC20またはそれ以下のものである。より好ましいアルキル基はC13またはそれ以下のものである。さらにより好ましいアルキル基はC6またはそれ以下のものである。シクロアルキルはアルキルのサブセット(下位群)であり、炭素原子3〜13個の環状炭化水素基が含まれる。シクロアルキル基の例としては、c-プロピル、c-ブチル、c-ペンチル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。本出願では、アルキルは、アルカニル、アルケニルおよびアルキニル残基を意味する。それには、シクロヘキシルメチル、ビニル、アリル、イソプレニルなどが含まれるものとする。アルキレンはアルキルのもう1つのサブセットであり、アルキルと同じ残基を意味するが、2つの結合点をもっている。アルキレンの例としては、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、ジメチルプロピレン(-CH2C(CH3)2CH2-)およびシクロヘキシルプロピレン(-CH2CH2CH(C6H13)-)が挙げられる。ある特定の炭素数をもつアルキル残基が書かれている場合、その炭素数をもつ全ての幾何異性体も包含されるものとする。つまり、例えば「ブチル」には、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびt-ブチルが含まれることになり、「プロピル」にはn-プロピルおよびイソプロピルが含まれる。
【0031】
用語「アルコキシ」または「アルコキシル」は基 -O-アルキルを意味し、好ましくは親構造に酸素を介して結合している炭素数1〜8個の直鎖状、分岐状、環状構造およびこれらの組み合せが含まれる。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。低級アルコキシは、1〜4個の炭素を含む基を意味する。
【0032】
用語「置換アルコキシ」は、基 -O-(置換アルキル)を意味する。好ましい置換アルコキシ基の1つは「ポリアルコキシ」または-O-(置換されていてもよいアルキレン)(置換されていてもよいアルコキシ)であり、例えば-OCH2CH2OCH3のような基、および、ポリエチレングリコールおよび-O(CH2CH2O)xCH3[式中、xは、約2〜20、好ましくは約2〜10、より好ましくは約2〜5の整数である]のようなグリコールエーテルが挙げられる。もう1つの好ましい置換アルコキシ基はヒドロキシアルコキシまたは-OCH2(CH2)yOH[式中yは、約1〜10、好ましくは約1〜4の整数である]である。
【0033】
「アシル」は、親構造にカルボニル官能基を介して結合している飽和、不飽和および芳香族ならびにこれらの組み合せの1〜10個の炭素原子の直鎖状、分岐状、環状構造を有する基を意味する。アシル残基中の1つ以上の炭素は、親構造への結合点がカルボニル基に残っている限り、窒素、酸素または硫黄で置換されていてもよい。例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。「低級アシル」は1〜4個の炭素を含む基を意味し、また「アシルオキシ」は基 -O-アシルを意味する。
【0034】
用語「アミノ」は基 -NH2を意味する。用語「置換アミノ」は基 -NHRまたは-NRRを意味し、この場合各Rは次の群:置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、アシル、アルコキシカルボニル、スルファニル、スルフィニルおよびスルホニルから独立に選択され、例えばジエチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、フラニル-オキシ-スルホンアミノである。
【0035】
「アリール」は、5-または6-員芳香族環系、二環式9-または10-員芳香族環系、または三環式12-〜14-員芳香族環系を意味する。例としては、シクロペンタ-1,3-ジエン、フェニル、ナフチル、インダン、テトラリン、フルオレン、シクロペンタ[b]ナフタレンおよびアントラセンが挙げられる。
【0036】
「アラルコキシ」は基 -O-アラルキルを意味する。同様に、「ヘテロアラルコキシ」は基 -O-ヘテロアラルキルを意味し;「アリールオキシ」は-O-アリールを意味し;「ヘテロアリールオキシ」は基 -O-ヘテロアリールを意味する。
【0037】
「アラルキル」は、アリール部分構造が親構造にアルキル残基を介して結合している残基を意味する。例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルビニル、フェニルアリルなどが挙げられる。「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール部分構造が親構造にアルキル残基を介して結合している残基を意味する。例としては、フラニルメチル、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが挙げられる。
【0038】
「ATPアーゼ」はATPを加水分解する酵素を意味する。ATPアーゼは、ミオシンのような分子モーターを含むタンパク質を含む。
【0039】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素および臭素が好ましい。ジハロアリール、ジハロアルキル、トリハロアリールなどは、複数のハロゲン(ただし必ずしも複数の同じハロゲンではない)で置換されたアリールおよびアルキルを意味する。従って4-クロロ-3-フルオロフェニルはジハロアリールの範囲内である。
【0040】
「ヘテロアリール」は、1〜4個のヘテロ原子を含む5-または6-員芳香族環、1〜4(またはそれ以上)個のヘテロ原子を含む二環式8-、9-または10-員芳香族環系、または1〜4(またはそれ以上)個のヘテロ原子を含む三環式11〜14-員芳香族環系を意味し;ヘテロ原子は、O、NまたはSから選択される。例としては、フラン、ピロール、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ジチオール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チオピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリンおよびキノキサリンが挙げられる。
【0041】
「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」は、その炭素の1〜4個が酸素、窒素または硫黄などのヘテロ原子で置換されたシクロアルキル残基を意味し、1〜4個のヘテロ原子を含む4-、5-、6-または7-員非芳香族環系、1〜4(またはそれ以上)個のヘテロ原子を含む二環式8-、9-または10-員非芳香族環系、または1〜4(またはそれ以上)個のヘテロ原子を含む三環式11-〜14-員非芳香族環系があり;そのヘテロ原子はO、NまたはSから選択される。例としては、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロ-チオフェン、チアゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロ-ピラン、テトラヒドロ-チオピラン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンおよびジオキサンが挙げられる。ヘテロ環には不飽和結合を含む環系も含まれるが、この場合不飽和の数と配置はその基を芳香族にしないものとする。例としては、イミダゾリン、オキサゾリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソールおよび3,5-ジヒドロベンゾキサジニルが挙げられる。置換ヘテロ環の例としては、4-メチル-1-ピペラジニルおよび4-ベンジル-1-ピペリジニルが挙げられる。
【0042】
「異性体」は、同じ分子式をもつが異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間に配置される様式のみが異なる異性体である。「鏡像異性体」は、互いが重ね合わさることができない鏡像である立体異性体対である。1:1の鏡像異性体対混合物は「ラセミ」混合物である。記号「(.±.)」は適切な場合ラセミ混合物を表わすのに使用される。「ジアステレオマー」は、少なくとも2つの不斉原子をもつが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学はカーン-インゴールド-プレログ(Cahn-Ingold-Prelog)R-S系により規定される。ある化合物が純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素におけるその立体化学はRかSで規定することができる。絶対配置が分からない分割された化合物は、それらがナトリウムD線波長の面偏光を回転する方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(-)と表わすことができる。本明細書に記載される化合物の一部は1つ以上の不斉中心を含むので、絶対立体化学で(R)-または(S)-と定義することができる鏡像異性体、ジアステレオマー、およびその他の立体異性形を生じることがある。本発明には、ラセミ混合物、光学純粋体および中間混合物を含めたそのような全ての考えられ得る異性体が含まれるものとする。光学的に活性な(R)-および(S)-異性体はキラルシントンまたはキラル試薬を用いて調製することができ、あるいは慣用の手法を用いて分割することができる。本明細書に記載される化合物がオレフィン性二重結合またはその他の幾何的不斉中心を含む場合で特に特定されない場合、その化合物にはEおよびZの幾何異性体の両方が含まれるものとする。同様に、全ての互変異性体も含まれるものとする。
【0043】
用語「医薬的に許容される担体」または「医薬的に許容される賦形剤」にはあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張遅延剤および吸収遅延剤などが含まれる。そのような媒体および試剤を医薬的に活性な物質に使用することは当技術分野では周知である。在来の媒体または試剤が本活性成分と相溶性がない場合を除いて、本治療用組成物中にそれを使用することが検討される。本組成物の中には補足的な活性成分を組み込むこともできる。
【0044】
用語「医薬的に許容される塩」は、生物学的にあるいはその他の意味において望ましくないものではない、本発明の化合物の生物学的な効能および特性を保持している塩を意味する。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基またはそれらに似た基の存在によって酸塩および/または塩基塩を形成することが可能である。医薬的に許容される酸付加塩は無機酸および有機酸で生成させることができる。塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、シナモン酸、マンデリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サルチル酸などが挙げられる。医薬的に許容される塩基付加塩は無機塩基および有機塩基で生成させることができる。塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられ;特に好ましいのはアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムの塩である。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第一級、第二級、および第三級アミンや、天然に存在する置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含めた置換アミンが挙げられ、具体的にはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。
【0045】
用語「溶媒和物」は、医薬的に許容される溶媒の1個以上の分子と物理的会合状態にある化合物(例えば式Iで表わされる化合物またはその医薬的に許容される塩)を意味する。「式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物」のような表現には、その式Iの化合物、その化合物の医薬的に許容される塩、その化合物の溶媒和物、およびその化合物の医薬的に許容される塩の溶媒和物が包含されるものとすることは理解されると思われる。
【0046】
「置換」アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ1個以上(最大約5個、好ましくは最大約3個)の水素原子が、次の群:アシル、置換されていてもよいアルキル(例えば、フルオロアルキル)、置換されていてもよいアルコキシ、アルキレンジオキシ(例えば メチレンジオキシ)、置換されていてもよいアミノ(例えば、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ)、置換されていてもよいアミジノ、置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、置換されていてもよいアラルキル(例えば、ベンジル)、置換されていてもよいアリールオキシ(例えば、フェノキシ)、置換されていてもよいアラルコキシ(例えば、ベンジルオキシ)、カルボキシ(-COOH)、カルボアルコキシ(すなわち、アシルオキシまたは-OOCR)、アルコキシカルボニルまたはカルボキシアルキル(すなわち、エステルまたは-COOR)、カルボキサミド、アミノカルボニル、ベンジルオキシカルボニルアミノ(CBZ-アミノ)、シアノ、カルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアラルコキシ、ニトロ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、およびチオから独立に選択される置換基で置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルを意味する。
【0047】
用語「スルファニル」は基:-S-(置換されていてもよいアルキル)、-S-(置換されていてもよいアリール)、-S-(置換されていてもよいヘテロアリール)、および-S-(置換されていてもよいヘテロシクリル)を意味する。
【0048】
用語「スルフィニル」は基:-S(O)-H、-S(O)-(置換されていてもよいアルキル)、-S(O)-(置換されていてもよいアミノ)、-S(O)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O)-(置換されていてもよいヘテロアリール)、および-S(O)-(置換されていてもよいヘテロシクリル)を意味する。
【0049】
用語「スルホニル」は基:-S(O2)-H、-S(O2)-(置換されていてもよいアルキル)、-S(O2)-(置換されていてもよいアミノ)、-S(O2)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロアリール)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロシクリル)、-S(O2)-(置換されていてもよいアルコキシ)、-S(O2)置換されていてもよいアリールオキシ)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロアリールオキシ)、および-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ)を意味する。
【0050】
用語「治療的に有効な量」または「有効量」は、治療を必要とする哺乳動物に投与した場合、後に定義するように、治療を行うのに十分な式Iの化合物の量を意味する。治療的に有効な量は、患者や治療を受けている疾患の状態、患者の体重や年齢、疾患状態の重症度、選んだ式Iの特定の化合物、後に続く投薬計画、投与のタイミング、投与の方法などに応じて変わるもので、これら全ては当業者なら容易に決めることができる。
【0051】
用語「治療」または「治療する」は、下記:
a)疾患の予防、すなわち、疾患の臨床症状を発症させないこと;
b)疾患の抑制、すなわち、臨床症状の発症を遅延または停止させること;および/または
c)疾患の軽減、すなわち、臨床症状の退行を引き起こすこと;
などの哺乳動物における疾患のあらゆる治療を意味する。
【0052】
本発明の化合物
本発明は心臓筋節の選択的モジュレーターである(例えば、心臓ミオシンの活性を刺激するまたはそうでなければ増強することによる)化合物に関するもので、式I:
【化3】

【0053】
[式中:
R1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
R2は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル;置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、または置換されていてもよいヘテロシクリルである]
で表わされ、その単一立体異性体、立体異性体混合物、ならびに医薬的に許容される塩、溶媒和物、および医薬的に許容される塩の溶媒和物も包含される。式Iの化合物は、本治療方法を実施する上で、また本発明の医薬製剤を製造する上で活性薬剤として有用であり、またそのような活性薬剤を合成する上で中間体としても有用である。
【0054】
その態様の1つでは、本発明は、R1が式II:
【化4】

【0055】
[式中:
Xは、-O-、-O-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-O-、-S-、-S-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-S-、-SO2-、-SO2-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、または-(置換されていてもよい低級アルキレン)-SO2-であり;
YおよびZは、独立に-C=または-N=であり(但し、YまたはZのどちらか1つだけが-N=である);
R1.1は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、または、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシ基または置換アミノ基で置換された低級アルキルであり:
R1.2は、水素、ハロまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
R1.3は、水素、置換されていてもよいアルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、-C≡CH、置換されていてもよいヘテロアリール(好ましくはピリジニル、またはイミダゾリル)またはアルコキシカルボニルである]
で表わされる式Iの1つ以上の化合物に関する。
【0056】
もう1つの態様では、本発明は、R1が式IIで表わされ、以下:
Xは、-O-、-O-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-O-、-S-、-S-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-S-、-SO2-、-SO2-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、または-(置換されていてもよい低級アルキレン)-SO2-である;
YおよびZは独立に-C=または-N=である(但し、YまたはZのどちらか1つだけが-N=である);
R1.1は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロシクリルである;
R1.2は、水素、ハロまたは置換されていてもよいヘテロアリールである;および
R1.3は、水素、ハロ、置換されていてもよいヘテロアリールまたはニトロである;
の1つ以上を満たす、式Iの化合物の1つ以上に関する。
【0057】
本発明のもう1つの態様は、R1が式IIで表わされ、以下:
Xは-O-である;
YおよびZはいずれも-C=である;
R1.1は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである;
R1.2は水素またはフルオロである;および
R1.3はピリジニルまたはフルオロである;
の1つ以上を満たす、式Iの化合物の1つ以上に関する。
【0058】
なおもう1つの態様では、本発明は、R1が式IIで表わされ、R1.1が、さらなる低級アルコキシもしくは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである式Iの化合物の1つ以上に関する。
【0059】
本発明のもう1つの態様は、R2が置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである、その単一立体異性体、立体異性体混合物、ならびに医薬的に許容される塩、溶媒和物、および医薬的に許容される塩の溶媒和物も含めた式Iで表わされる化合物、特にR2が:
置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいピロリル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいイソオキサゾリル、置換されていてもよいピラゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピラジニル、置換されていてもよいピリミジニルまたは置換されていてもよいピリダジニルである化合物の1つ以上に関する。
【0060】
本発明のなおもう1つの態様は、R2が置換されていてもよいアラルキル;置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルまたは置換されていてもよいヘテロシクリルであり、その単一立体異性体、立体異性体混合物、ならびに医薬的に許容される塩、溶媒和物、および医薬的に許容される塩の溶媒和物も含めた式Iで表わされる化合物、特にR2が:
テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、N-アセチル-ピロリジン-2-イル、N-アセチル-モルホリン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-4-イルまたはシクロヘキシルであるか、または
R2が式 -W-R2.1[式中:
WはC1〜C3の直鎖または分岐鎖の置換されていてもよいアルキレンであり;
R2.1は置換されていてもよいテトラヒドロフラニル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである]である化合物の1つ以上に関する。
【0061】
命名法
式Iの化合物は、以下に示すように命名・位置番号付与することができる(例えば、AutoNom version 2.1を用いて)。例えば、式IAで表わされる化合物:
【化5】

【0062】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-O-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1がピリジン-3-イルであり、R1.2が水素であり、および、R1.3がニトロであり、ならびに、R2が4-フルオロフェニルである式Iによる化合物は、1-(4-フルオロ-フェニル)-3-[3-ニトロ-5-(ピリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-尿素と命名することができる。
【0063】
式IBで表わされる化合物:
【化6】

【0064】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-O-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1がN-アセチル-ピペリジン-3-イルであり、R1.2が水素であり、および、R1.3がフルオロであり、ならびに、R2がピリジン-3-イルである式Iによる化合物は、(S)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素と命名することができる。
【0065】
式ICで表わされる化合物:
【化7】

【0066】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-CH(CH3)-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1がピリジン-3-イルであり、R1.2が水素であり、および、R1.3がフルオロであり、ならびに、R2がピリジン-3-イルである式Iによる化合物は、1-[(3-フルオロ-5-(1-ピリジン-3-イル-エチル)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素と命名することができる。
【0067】
式IDで表わされる化合物:
【化8】

【0068】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-O-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1が1-(N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノ)-ピペリジン-3-イルであり、R1.2が水素であり、および、R1.3がフルオロであり、ならびに、R2が6-メチル-ピリジン-3-イルである式Iによる化合物は、(S)-3-[3-フルオロ-5-(2-メチル-ピリジン-5-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジンと命名することができる。
【0069】
式IEで表わされる化合物:
【化9】

【0070】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-O-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1が1-(エタン-2-スルホニル)-ピリジン-3-イルであり、R1.2が水素であり、および、R1.3がフルオロであり、ならびに、R2が6-メチル-ピリジン-3-イルである式Iによる化合物は、(S)-1-{3-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-5-フルオロ-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素と命名することができる。
【0071】
式IFで表わされる化合物:
【化10】

【0072】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-O-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1が1-(ジメチルアミノスルホニル)-ピロリジン-3-イルであり、R1.2が水素であり、および、R1.3がフルオロであり、ならびに、R2が6-メチル-ピリジン-3-イルである式Iによる化合物は、(S)-1-[3-(1-ジメチル-アミノスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素と命名することができる。
【0073】
式IGで表わされる化合物:
【化11】

【0074】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-O-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1が(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル)であり、R1.2が水素であり、および、R1.3がフルオロであり、ならびに、R2がピリジン-3-イルである式Iによる化合物は、1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素と命名することができる。
【0075】
式IHで表わされる化合物:
【化12】

【0076】
すなわち、R1が式IIであり、その際Xが-O-であり、YおよびZがいずれも-C=であり、R1.1が(R)-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イル)であり、R1.2が水素であり、および、R1.3がフルオロであり、ならびに、R2がピリジン-3-イルである式Iによる化合物は、(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素と命名することができ、ここで(R)-の表示は、置換基R1.1がその分子の残りの部分と置換基Xを介して相対していることを説明するものである。別の命名法として、式IGの例におけるように、この化合物は1-{3-(R)-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素と命名することもできる。
【0077】
式 Iで表わされる化合物の合成
本発明の化合物は、後に反応図式を参照して説明するように、当技術分野で周知の手法を用いて合成することができる。
【0078】
合成反応のパラメーター
そうでないと規定されていない限り、本明細書に記載されている反応は大気圧で行われ、大体-10℃〜110℃の温度範囲内で行われる。さらに、実施例で用いられる場合、あるいは、そうでないと規定されている場合を除いて、反応時間および反応条件はおよそのものであるとし、例えばほぼ大気圧で、約-10℃〜約110℃の温度範囲内で、約1時間〜約24時間に亘って行われるものとし;反応はそのまま一晩平均約16時間放置されるものとする。
【0079】
用語「溶媒」、「有機溶媒」または「不活性溶媒」はそれぞれ、それらに関連して記載されている反応の条件の下では不活性である溶媒を意味する[例えば、以下が挙げられる:ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン("THF")、ジメチルホルムアミド("DMF")、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなど]。そうでないと規定されていない限り、本発明の反応で使用される溶媒は、不活性有機溶媒である。
【0080】
用語「q.s.」は、記載されている機能を達成する、例えば溶液を所望の容量(すなわち、100%)にするのに十分な量を加えることを意味する。
【0081】
本明細書に記載されている化合物および中間体の単離および精製が望まれている場合は適当な分離または精製方法により行うことができ、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーまたは厚層クロマトグラフィー、あるいはこれらの方法の組み合せによって行うことができる。適当な分離方法および単離方法の具体的な説明は、後にでてくる実施例を参照することで得ることができる。しかしながら、他の同等の分離または単離方法も当然用いることができる。
【0082】
望まれている場合は、(R)-および(S)-異性体は当業者に知られている方法により分割することができ、例えば、ジアステレオ異性体の塩または複合体を生成させ、それを例えば結晶化により分離することで;ジアステレオ異性体の誘導体を生成させ、それを例えば結晶化、ガス−リキッドクロマトグラフィーまたはリキッド−ガスクロマトグラフィーにより分離することにより;例えば酵素的酸化または還元で1つの鏡像異性体と鏡像異性体特異的試薬を選択的に反応させ、その後改変された鏡像異性体と改変されなかった鏡像異性体とを分離することにより;あるいは、例えばキラルリガンドが結合されているシリカなどのキラル支持体上あるいはキラル溶媒の存在下のようなキラルな環境中でガス−リキッドクロマトグラフィーまたはリキッドクロマトグラフィーを行うことにより分割することができる。例えば、式Iの化合物を低級アルカノールに溶解させ、ヘキサン中EtOAc70%に60分間調整済みのChiralpak AD(205 x 20mM)カラム(Chiral Technologies、Inc.)に入れることができる。所望の鏡像異性体が上記した分離方法のうちの1つによりもう1つの化学物質単体に変換された場合、さらなる工程が、その所望の鏡像異性体形を遊離させるのに必要とされるかも知れないことは分かると思われる。別のやり方として、特定の鏡像異性体は、光学的に活性な試薬、支持体、触媒または溶媒を用いて不斉合成することにより、あるいは、不斉変換により1つの鏡像異性体を他の鏡像異性体に変換させることにより合成することができる。
【0083】
反応図式1は、式Iの化合物の合成を示すものである。
【0084】
反応図式2は、式Iの化合物の別の合成を示すものである。
【0085】
反応図式3は、式Iの化合物の合成で中間体として有用である式305の化合物の調製を示すものである。
【0086】
反応図式4および5は、式Iの化合物の単一鏡像異性体の不斉合成に有用な立体特異的反応物質の調製を示すものである。
【0087】
当業者なら、反応図式中に記載されている反応物質、工程および/または条件の1つまたは複数が、R1およびR2に色々な置換基を入れるために、調整を必要とするかも知れないことを理解すると思われる。
【0088】
原料
置換されていてもよい出発化合物101、103、201、301aおよび301bならびにその他の反応物質の多くは市販されているか[例えば、Aldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)から]、または、当業者なら、一般に用いられている合成手法を用いて容易に調製することができる。
【0089】
反応図式 1
【化13】

【0090】
式 Iの化合物の調製
反応図式1を参照するに、マグネット式撹拌機、リフラックスコンデンサー(還流凝縮器)およびサーマルウェル(熱井戸)が装着された窒素下にあるフラスコに、ホスゲンまたはホスゲン同等体(代表的にはトリホスゲン)および非極性、非プロトン性溶媒(例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン)を入れる。非極性、非プロトン性溶媒(例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン)中の式101の化合物の溶液を約10〜60分かけて滴下で加え、この溶液を1〜15時間撹拌する。式103の化合物を少しずつ加え、この溶液を約10〜60分撹拌する。塩基(例えばDIEA)を約1時間滴下で加え、この溶液を約1〜15時間撹拌する。この生成物(式105の化合物)を単離し、精製する。
【0091】
反応図式 2
【化14】

【0092】
式 Iの化合物の調製
反応図式2は、式Iの化合物の別の方法による合成を示すものである。式201のイソシアネートは、ホスゲンまたはホスゲン同等体を用いて対応するアミン(すなわち、R2-NH2)から、または、カーチス(Curtius)転移またはホフマン(Hoffman)転移を使って対応するカルボン酸(すなわち、R2-COOH)から独立に生成および単離することができる。-40℃〜110℃の非プロトン性溶媒(例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン)中の式101の化合物および式201の化合物の混合物を1〜15時間撹拌する。この生成物(式Iの化合物)を単離し精製する。
【0093】
反応図式 3
【化15】

【0094】
式 303の調製
反応図式3の工程(Step)1aを参照するに、式301a(式中、pおよびqは独立に0〜2の完全整数であり、またp+q = 1〜4である)の化合物を、式R1.1-OH[式中R1.1は上記で定義したとおりである]の化合物約1当量;非プロトン性溶媒例えばDMF中の塩基例えば炭酸カリウムと合わせる。この混合物を約100℃で約1〜16時間加熱する。この生成物(式303の化合物)を単離し、精製する。
【0095】
別の方法として、図式3の工程1bにあるように、式301bの化合物を、式R1.1-OH[式中R1.1は上記に記載したとおりである]の化合物;非プロトン性溶媒例えばTHF中のアザジカルボキシレート例えばジエチル アザジカルボキシレートまたはジイソプロピル アザジカルボキシレートおよびホスフィン例えばトリフェニルホスフィンと合わせる。この混合物をおよそ室温にて約1〜16時間撹拌する。この生成物(式303の化合物)を単離し、精製する。別の方法として、図式3の工程1bにあるように、式301bの化合物を、0℃〜110℃の非プロトン性溶媒例えばDMF中の塩基例えば水素化ナトリウムで1〜16時間処理する。0℃〜110℃の非プロトン性溶媒例えばDMF中の式R1.1-X[式中R1.1は上記に記載したとおりであり、Xは脱離基例えばハロゲン、メタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、またはトリフルオロメタンスルホネートである]の化合物を加え、1〜16時間撹拌する。この生成物(式303の化合物)を単離し、精製する。
【0096】
式 305の調製
反応図式3の工程2を参照するに、パー水素化ボンベ(Parr hydrogenation bomb)に、窒素雰囲気下にある10% Pd/C、その後極性非プロトン性溶媒例えばエタノール中の式303の化合物溶液を入れる。この反応物をH2約70psi下で約24時間撹拌する。この反応混合物をセライト(celite)で濾過し、真空中で濃縮して式305の化合物を得るが、これは、反応図式1および2で示したように、式Iまで進めることができる。
【0097】
式 Iの特定の鏡像異性体の調製
前に説明したように、式Iの特定の鏡像異性体を、光学活性の試薬、支持体、触媒または溶媒を用いた不斉合成により、または、不斉変換により1つの鏡像異性体を別の鏡像異性体に変換することにより合成することができる。例えば、(R)-および(S)-3-ヒドロキシピペリジンは、(R)-および(S)-ヒドロキシピロリジンと同じようにSigma-Aldrich社から市販されている。これらはまた、例えば(6,6-ジメチル-2-オキソ-アダマンタン-1-イル)-メタンスルホン酸を用いて分割することができ[参照:Ringdahl et.al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. II, 1981, 4, 697-8]、また他の公開発表されている手法でも分割することができる。反応図式4および5に示されているように、さらなる不斉合成の方法を用いることもできる。図式中、PGは直角保護基(または水素[当業者なら分かるように、合成の段階によって決まる])を表わし、LGは脱離基を表わし、nは1、2または3である。これらの保護基および脱離基は、当業者なら一般に用いられている合成手法を用いて容易に付けたり外したりすることができる。
【0098】
反応図式 4
【化16】

【0099】
式 403の調製
反応図式4の工程1と2を参照するに、式401の化合物を、溶媒例えばジクロロメタンまたはDMF中の約1当量の式402で表わされる保護アミン(例えばベンジル アミン)と一緒にする。反応は-20℃〜100℃で1〜48時間かけて行う。この生成物(式403の化合物)を通常の方法で単離し、次いで非プロトン性溶媒例えばTHF中の還元剤(例えば水素化アルミニウムリチウムまたはボラン)で処理する。この反応は-20℃〜100℃で1〜48時間かけて行う。この生成物(式403の化合物)をこの後通常の方法で単離するが、これは、例えば上記したように、式Iの化合物にまで進めることができる。
【0100】
反応図式 5
【化17】

【0101】
式 502の調製
反応図式5の工程1を参照するに、式501の化合物を溶媒例えばTHF中の還元剤(例えば水素化アルミニウムリチウムまたはホウ水素化リチウム)で処理する。反応は-20℃〜100℃で1〜48時間かけて行う。この生成物(式502の化合物)を通常の方法で単離する。
【0102】
式 503の調製
反応図式5の工程2および3を参照するに、式502の化合物を、溶媒例えばTHF中のアシル化剤例えばトリフルオロ酢酸無水物と一緒にして-78℃から70℃に1〜12時間撹拌する。塩基例えばトリエチルアミンを加えた後、その混合物を20℃還流で8〜48時間撹拌する。この生成物(式503の化合物)を通常の方法で単離する(例えば米国特許第6,316,626号を参照)が、これは、例えば上記したように、式Iの化合物にまで進めることができる。
【0103】
上記した本発明の製法により調製された化合物は、例えば、検出可能な量の式101、103、201または305の存在によって同定することができる。医薬は認可および/または市販される前に薬局方標準を満たしていなければならないこと、および、合成用試剤(各種の置換アミンやアルコール)および前駆体は薬局方標準で規定されている限界値を越えてはならないことは周知であるが、本発明の製法により調製される最終化合物には、僅かであるが検出可能な量のそのような物質が存在している(例えば純度95%の値域で全ての不純物が1%未満のレベルで)可能性がある。これらのレベルは、例えば発光分光分析により検出することができる。医薬化合物の純度をそのような物質の存在についてモニターすることは重要なことであり、そのものが、本発明の合成方法の使用を検出する方法として追加的に開示されている。
【0104】
好ましい製法と最終の工程
式Iの化合物の異性体のラセミ混合物は場合によりクロマトグラフィーカラムに入れて、(R)-および(S)-鏡像異性体に分離される。
【0105】
式Iの化合物は場合により医薬的に許容される酸と接触させて対応する酸付加塩を生成させる。
【0106】
式Iの医薬的に許容される酸付加塩は場合により塩基と接触させて対応する式Iの遊離塩基を生成させる。
【0107】
好ましい化合物
本発明の好ましい実施形態には、以下に示す置換基群の組み合せおよび順列(好ましい程度が大きくなるほどそれぞれ字下げ/下位群化されている)をもつ式Iの化合物が含まれているまたは用いられている。これらは添付の特許請求の範囲をサポートするために提供されるもので、簡潔を期すために詳細には特許請求しなかったが本開示の教示内に包含されると解すべきその他の置換基群の組み合せおよび順列をサポートするものである。これに関して、以下に記載されている各置換基の好ましいサブセット(下位群)は、その置換基だけに、または、記載されている他の置換基のサブセットの1つ、数個、あるいは全部との組み合せで当てはまるものとする。
【0108】
1つの実施形態では、R1は置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはピリジニルであり、この場合その芳香族環は、以下の基:低級アルキル(好ましくは、メチル、ヒドロキシメチル、またはヒドロキシエチル);低級アルコキシ(好ましくはメトキシ);ハロゲン(好ましくは、クロロまたはフルオロ);ヒドロキシ;シアノ;または置換アミノ(好ましくはカルボニル)の1つ、2つ、または3つで置換されていてもよい。
【0109】
好ましい実施形態では、R1は式IIで表わされ、この場合:
・Xは、-O-、-O-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、または-(置換されていてもよい低級アルキレン)-O-である。
【0110】
・Xは-O-である。
【0111】
・YおよびZはいずれも-C=である。
【0112】
・R1.1は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロシクリル;好ましくは 置換されていてもよいアゼパニル、置換されていてもよいアゼチジニル、置換されていてもよい3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ-[1,2-c]-オキサゾリル、置換されていてもよいテトラヒドロフラニル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである。
【0113】
・R1.1は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾリル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである。
【0114】
・R1.1は、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロシクリルである。
【0115】
・R1.1は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換ピロリジニル、3 オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾリル、置換ピペリジニル、ピリジニルまたはヒドロキシ-低級アルキル-フェニルである。
【0116】
・R1.1は、さらなる低級アルコキシまたは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1 アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1 アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1 スルホニル-ピペリジン-3-イルである。
【0117】
・R1.1は、1-アセチル-ピペリジン-3-イル、1-メトキシアセチル-ピペリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-カルボニル)-ピペリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-エトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-ジメチルアミノカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-イル-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピペリジン-3-イル、1-(N1-アゼチジン-1-イル-N2-シアノ-アミジノ)-ピペリジン-3-イル、1-(N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノ)-ピペリジン-3-イル、1-アセチル-ピロリジン-3-イル、1-メトキシアセチル-ピロリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-カルボニル)-ピロリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-メタンスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-4-メトキシ-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-5-メトキシメチル-ピロリジン-3-イル、1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-イル-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-(N1-アゼチジン-1-イル-N2-シアノ-アミジノ)-ピロリジン-3-イル、1-(N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノ)-ピロリジン-3-イル、または3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルである。
【0118】
・R1.1は、1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1 アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである。
【0119】
・R1.1は、1-メトキシカルボニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-5-メトキシメチル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-メトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イル、または1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルである。
【0120】
・R1.2は水素またはフルオロである。
【0121】
・R1.2は水素である。
【0122】
・R1.3は置換されていてもよいヘテロアリール(好ましくはピリジニル、またはイミダゾリル)、ニトロまたはハロである。
【0123】
・R1.3はピリジニルまたはフルオロである。
【0124】
・R1.3はフルオロである。
【0125】
R1は式IIで表わされ、その際R1.1は:
・置換されていてもよいアリール(好ましくはフェニルまたは、アシル、アルコキシ、置換されていてもよいアルキルもしくはハロ基で置換されたフェニル);
・置換されていてもよいヘテロアリール(好ましくはアシル、アルコキシ、置換されていてもよいアルキル、またはハロ基で置換されたピリジニルまたはピリジニル);
・置換されていてもよいヘテロアラルキル(好ましくはピリジニルメチル-、ピリジニルエチル-、またはピリジニルプロピル);
・置換されていてもよいヘテロシクリル(好ましくは置換されていてもよいピペリジニル、テトラヒドロフラニル-、オキソ-ピペリジニル-、またはモルホリニル-);または
・ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシ基で置換されたもしくは置換アミノ基で置換された低級アルキル[特に好ましいアミノ置換基は-SO2R'、-(CO)R'、または-(CO)N(R')2(式中R'は水素または置換されていてもよい低級アルキルである)である];
である。
【0126】
R1が式IIで表わされるもう1つの好ましい実施形態では、R1.1は次の群:2-置換アゼチジン-1-イル、N-置換ピロリジン-3-イル、N-置換ピペリジン-3または4-イルおよびN-置換アゼパン-3または4-イルから選択され、この場合:
・この2-置換アゼチジン置換基またはN-置換基は、アセチル、メトキシアセチル、アゼチジン-1-イル、アセチル、エタン-2-カルボニル、プロパン-2-カルボニル、メトキシカルボニル、(エタ-2-オキシ)-カルボニル、(プロパ-2-オキシ)-カルボニル、ジメチルアミノカルボニル、N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノまたはN1-アゼチジン-1-イル-N2-シアノ-アミジノである。
【0127】
・それぞれは:メトキシおよびメトキシメチルから選択される0、1または2個のさらなる環置換基を有している。
【0128】
R2は置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
【0129】
・R2は、置換されていてもよいピリジニル、ピリミジニル、またはピリダジニルである。
【0130】
・R2のアリールまたはヘテロアリール環は次の群:置換されていてもよい低級アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、置換アミノ、ニトロ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、置換されていてもよいヘテロシクリル、スルファニル、スルホニル、-OR'、-COR'、-(CO)OR'および/または-(CO)N R'R'[式中各R'は独立に水素または置換されていてもよい低級アルキルである(-OR'および-COR'の場合は、R'は特にメチルである)]の1、2、または3個で置換されている。
【0131】
・置換されていてもよい低級アルキルは好ましくは、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、エチル、(アミノ)カルボニルメチル、(メチルアミノ)カルボニルメチル、アセチルアミノメチル、またはヒドロキシエチルである。
【0132】
・置換されていてもよいヘテロシクリルは特には置換されていてもよいモホニリルである。
【0133】
・スルファニルは特にはメチルスルファニルである。
【0134】
・R2は、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいピロリル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいイソオキサゾリル、置換されていてもよいピラゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピラジニル、置換されていてもよいピリミジニル、または置換されていてもよいピリダジニルである。
【0135】
・R2は:アセチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルコキシ カルボニル、ヒドロキシ 低級アルキル、アルコキシ 低級アルキル、カルボキシ、ハロ、トリフルオロメチルから選択される1または2個の置換基を有していてもよい。
【0136】
・R2は、イソオキサゾール-3-イル、5-メチル-イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-5-イル、ピラゾール-3-イル、ピラジニル、置換フェニルまたは置換されていてもよいピリジニルである。
【0137】
・R2は:低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ヒドロキシおよびヒドロキシ 低級アルキルから選択される1または2個の置換基を有しているフェニルである。
【0138】
・R2は:アセチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルコキシ カルボニル、カルボキシおよびトリフルオロメチルから選択される置換基を有していてもよいピリジン-2-イル、ピリジン-3-イルまたはピリジン-4-イルである。
【0139】
・R2はp-置換されていてもよいピリジン-3-イルである。
【0140】
・R2は、群:アセチル、メチル、エチル、メトキシ、メトキシメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルの構成員でp-置換されていてもよいピリジン-3-イルである。
【0141】
・R2はピリジン-3-イルまたは6-メチル-ピリジン-3-イルである。
【0142】
R2は、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルまたは置換されていてもよいヘテロシクリルである。
【0143】
・R2は、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、N-アセチル-ピロリジン-2-イル、N-アセチル-モルホリン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-4-イルまたはシクロヘキシルである。
【0144】
・R2は式 -W-R2.1で表わされ、この場合:
・WはC1〜C3直鎖または分岐鎖アルキレンである。
【0145】
・Wはメチレンである。
【0146】
・R2.1は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである。
【0147】
・R2.1は、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、N-アセチル-ピロリジン-2-イル、N-アセチル-モルホリン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-4-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、置換されていてもよいピペリジニル p-メトキシ-フェニルまたはp-フルオロ-フェニルである。
【0148】
もう1つの実施形態では、R1および/またはR2が置換されていてもよいヘテロアリールである場合、R1および/またはR2の他方は、置換されていてもよい2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾール-4-イル;オキサゾール-4-イル;2H-ピラゾール-3-イル;1H-イミダゾール-4-イル;オキサゾール-2-イル;トリアゾール-2-イル;トリアゾール-4-イル;トリアゾール-5-イル;1H-イミダゾール-2-イル;2H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル;5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル;5-オキソ-4,5-ジヒドロ-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル;ピリジン-3-イル;ピリジン-2-イル;ピリミジン-2-イル;ピリダジン-3-イル;6-オキソ-1,6-ジヒドロ-ピリジン-2-イル;2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ピリミジン-4-イル;2-オキソ-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-イル;イソオキサゾール-3-イル;および1H-ピラゾール-3-イルからなる群から独立に選択される。
【0149】
もう1つの好ましい実施形態では、R1は置換されていてもよい5-または6-員ヘテロ環である。特に好ましいヘテロ環としては、置換されていてもよい2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾール-4-イル;オキサゾール-4-イル;2H-ピラゾール-3-イル;1H-イミダゾール-4-イル;オキサゾール-2-イル;トリアゾール-2-イル;トリアゾール-4-イル;トリアゾール-5-イル;1H-イミダゾール-2-イル;2H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル;5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル;5-オキソ-4,5-ジヒドロ-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル;ピリジン-3-イル;ピリジン-2-イル;ピリミジン-2-イル;ピリダジン-3-イル;6-オキソ-1,6-ジヒドロ-ピリジン-2-イル;2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ピリミジン-4-イル;2-オキソ-1,2-ジヒドロ- ピリジン-3-イル;イソオキサゾール-3-イル;および1H-ピラゾール-3-イルが挙げられる。
【0150】
もう1つの好ましい実施形態では、R2は置換されていてもよいシクロアルキルまたはヘテロ環式環である。
【0151】
・より好ましくは、R2は、インダン-1-イル;インダン-2-イル;1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル;1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル;6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-6-イル;ピペリジニル;オキソ-ピペリジニル;ピロリジニル;オキソ-ピロリジニル;テトラヒドロ-フラニルまたはモルホリニルであり、それぞれは、次のもの:アセチル、アシル、アシルオキシ、置換されていてもよいアルコキシ(好ましくはメトキシ)、アルコキシカルボニル、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアミノ、アミノカルボニル、アジド、シアノ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルコキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、スルファニル、スルホンアミド、スルホニルおよびトリフルオロメチルの1つまたは複数で置換されていてもよい。
【0152】
・上記の好ましい実施形態では、R1は、置換されていてもよいフェニル、ピリジニル、インダゾリル、キノリニル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、またはオキサジアゾリルである。
【0153】
・より好ましくは、R1はフェニルまたはピリジニルであり、それぞれは、次のもの:アミノ、置換アミノ、ハロゲン、アルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ(好ましくはメチル-ピリジニルオキシ-またはメトキシ-ピリジニルオキシ-)、置換されていてもよい低級アルキル(特に、メチル)、またはヒドロキシの1つまたは複数で置換されていてもよい。
【0154】
好ましい置換基の好適な組み合せおよび順列を例証するのが、R1が式IIで表わされ、その際Xが-O-であり、YおよびZのいずれもが-C=であり、R1.2が水素であり、R1.3がフルオロであり、R1.1およびR2の1つまたは複数が上記パラグラフに記載されているとおりである化合物、医薬的に許容される塩および溶媒和物であり、例えば:
・R1.1が、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換ピロリジニル、3 オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾリル、置換ピペリジニル、ピリジニルまたはヒドロキシ-低級アルキル-フェニルである。
【0155】
・R1.1が、さらなる低級アルコキシまたは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである。
【0156】
・R1.1が、1-アセチル-ピペリジン-3-イル、1-メトキシアセチル-ピペリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-カルボニル)-ピペリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-エトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-ジメチルアミノカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-イル-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピペリジン-3-イル、1-(N1-アゼチジン-1-イル-N2-シアノ-アミジノ)-ピペリジン-3-イル、1-(N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノ)-ピペリジン-3-イル、1-アセチル-ピロリジン-3-イル、1-メトキシアセチル-ピロリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-カルボニル)-ピロリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-メタンスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-4-メトキシ-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-5-メトキシメチル-ピロリジン-3-イル、1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-イル-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-(N1-アゼチジン-1-イル-N2-シアノ-アミジノ)-ピロリジン-3-イル、1-(N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノ)-ピロリジン-3-イル、または3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルである。
【0157】
・R1.1が、1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである。
【0158】
・R1.1が、1-メトキシカルボニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-5-メトキシメチル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-メトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イル、または1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルである。
【0159】
・R2がピリジン-3-イルまたは6-メチル-ピリジン-3-イルである。
【0160】
・R2がピリジン-3-イルまたは6-メチル-ピリジン-3-イルである。
【0161】
・R2が、群:アセチル、メチル、エチル、メトキシ、メトキシメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルの構成員でp-置換されていてもよいピリジン-3-イルである。
【0162】
・R2がp-置換されていてもよいピリジン-3-イルである。
【0163】
・R2が:低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ヒドロキシおよびヒドロキシ 低級アルキルから選択される置換基1個または2個を有しているフェニルである。
【0164】
・R2が:アセチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルコキシ カルボニル、カルボキシおよびトリフルオロメチルから選択される置換基を有していてもよいピリジン-2-イル、ピリジン-3-イルまたはピリジン-4-イルである。
【0165】
・R2が置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよいピリジニルである。
【0166】
・R2が:低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ヒドロキシおよびヒドロキシ 低級アルキルから選択される置換基1個または2個を有しているフェニルである。
【0167】
・R2が:アセチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルコキシ カルボニル、カルボキシおよびトリフルオロメチルから選択される置換基を有していてもよいピリジン-2-イル、ピリジン-3-イルまたはピリジン-4-イルである。
【0168】
・R2がp-置換されていてもよいピリジン-3-イルである。
【0169】
・R2が、群:アセチル、メチル、エチル、メトキシ、メトキシメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルの構成員でp-置換されていてもよいピリジン-3-イルである。
【0170】
・R2がピリジン-3-イルまたは6-メチル-ピリジン-3-イルである。
【0171】
つまり、R1が式IIで表わされ、その際Xが-O-であり、YおよびZのいずれもが-C=であり、R1.2が水素であり、R1.3がフルオロである化合物は、上記した置換基のグルーピング(グループ分け)およびサブグループ(下位群)が個別におよび/または一緒に組み合せで取り入れられている化合物も含めて、R1.1がテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換ピロリジニル、置換ピペリジニル、ピリジニルまたはヒドロキシ-低級アルキル-フェニルである化合物に関して説明したように、本発明を実施する上で特に好ましいものである。
【0172】
以下に掲げる化合物の郡は、本発明の化合物として、またその製剤、製造方法および使用との関連において好ましいものである(個別的および集合的に):
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリミジン-5-イル-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(2-メチル-ピリミジン-5-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(2-メトキシ-ピリミジン-5-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピラジン-2-イル-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(5-メトキシ-ピラジン-2-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリダジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・3-{3-[3-(6-シアノ-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-5-フルオロ-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-シアノ-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチルスルファニル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-アセチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-[6-(1-ヒドロキシ-エチル)-ピリジン-3-イル]-尿素;
・3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(6-オキソ-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・1-(6-シアノ-ピリジン-3-イル)-3-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-尿素;
・3-{3-[3-(6-シアノ-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-5-フルオロ-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・3-{3-[3-(6-カルボニル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-5-フルオロ-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・1-[3-フルオロ-5-(2-オキソ-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(6-オキソ-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メトキシメチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・3-(3-{3-[6-(アセチルアミノ-メチル)-ピリジン-3-イル]-ウレイド}-5-フルオロ-フェノキシ)-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・5-{3-[3-(1-ジメチルカルボニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-ウレイド}-ピリジン-2-カルボン酸アミド;
・3-(3-{3-[6-(アセチルアミノ-メチル)-ピリジン-3-イル]-ウレイド}-5-フルオロ-フェノキシ)-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メトキシメチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メトキシメチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-{3-フルオロ-5-[1-(モルホリン-4-カルボニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-{3-フルオロ-5-[1-(4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-(3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボニル)-ピペリジン-4-カルボン酸エチルエステル;
・5-{3-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-ウレイド}-ピリジン-2-カルボン酸アミド;
・5-{3-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-ウレイド}-ピリジン-2-カルボン酸アミド;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-エチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・2-(5-{3-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-ウレイド}-ピリジン-2-イル)-N-メチル-アセトアミド;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシメチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・2-(5-{3-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-ウレイド}-ピリジン-2-イル)-アセトアミド;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリダジン-4-イル-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-4,5-ジフルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(ピリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・N'-シアノ-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-N,N-ジメチル-ピペリジン-1-カルボキサミジン;
・N'-シアノ-3-{3-フルオロ-5-[3-(ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-N,N-ジメチル-ピペリジン-1-カルボキサミジン;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(2-メチル-ピリミジン-5-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(2-メトキシ-ピリミジン-5-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(5-メトキシ-ピラジン-2-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピラジン-2-イル-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリダジン-4-イル-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリダジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリダジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(ピリダジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリミジン-5-イル-尿素;および
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-尿素;
もしくはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【0173】
以下に掲げる化合物の郡は、本発明の化合物として、またその製剤、製造方法および使用との関連においてより好ましいものである(個別的および集合的に):
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・(R)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
・(R)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル;
・(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(R)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(S)-3-[3-フルオロ-5-(ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
・(S)-3-[3-フルオロ-5-(2-メチル-ピリジン-5-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
・(S)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(S)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(S)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(S)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル;
・(S)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル;
・(S)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
もしくはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【0174】
以下に掲げる化合物の郡も、本発明の化合物として、またその製剤、製造方法および使用との関連においてより好ましいものである(個別的および集合的に):
・(S)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(R)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(S)-3-[3-フルオロ-5-(2-メチル-ピリジン-5-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
・(R)-3-[3-フルオロ-5-(2-メチル-ピリジン-5-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
・(S)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(S)-3-[3-フルオロ-5-(ピリジン-2-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
・(R)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(R)-3-[3-フルオロ-5-(ピリジン-2-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
・(S)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(S)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(R)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(R)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(メタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(R)-4-メトキシ]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;および
・1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素,
もしくはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【0175】
以下に掲げる化合物の郡は、本発明の化合物として、またその製剤、製造方法および使用との関連において特に好ましいものである(個別的および集合的に):
・(S)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(S)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・(R)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
・(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
・(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
・(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
・1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;および
・1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
もしくはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【0176】
用途、試験法、投与
用途
本発明の化合物は心臓筋節に対し選択的でありかつそれをモジュレートするので、心臓ミオシンに結合させるのに、および/または、心臓ミオシンの活性を増強するのに有用であり、ミオシンがATPを加水分解する速度を増大させる。本明細書で使用される場合、「モジュレートする」とは、ミオシン活性を増大させるか減少させることを意味し、一方「増強する」は活性を増大させることを意味する。また、本発明の代表的な化合物の試験において、該化合物を投与することにより心筋線維の収縮力を増大させることもできることが確認された。
【0177】
本発明の化合物、医薬製剤および医療方法は、限定するものではないが:急性(または代償不全性)うっ血性心不全、および慢性うっ血性心不全;特に収縮期心臓機能障害が関与する疾患;の心臓疾患を治療するのに使用される。さらなる治療用途としては、心臓移殖を待っている患者の心臓機能を安定化させるための投与、および、停止したまたは遅くなった心臓がバイパスポンプの使用の後、正常機能を取り戻すのを支援するための投与が挙げられる。
【0178】
試験
筋節中のミオシンはATP加水分解によって力をつくる。従って、ATP加水分解の増加は筋肉収縮の力または速度の増加に対応すると考えられる。アクチンの存在下では、ミオシンATPアーゼ活性は > 100倍刺激される。つまりATP加水分解により、ミオシンの酵素的活性のみならずそのアクチンフィラメントとの相互作用も測定される。心臓筋節をモジュレートする化合物は、ミオシンによるATP加水分解の速度が増加または減少することによって確定することができ、好ましくは10μM未満(より好ましくは、1μM未満)の濃度で1.4倍の増加を呈する。そのような活性の好ましいアッセイではヒトから採ったミオシンを使うが、他の生物から採ったミオシンを使うこともできる。ミオシン結合におけるカルシウムの調節的役割を模擬するシステムも好ましい。
【0179】
別の方法として、生化学的に機能する筋節プレパラートを用いて、インビトロATPアーゼ活性を測定することもでき、これは、例えば2000年3月29日に出願の米国特許出願第09/539,164号に記載されている。ATPアーゼ加水分解のカルシウム感受性も含めた、筋節の機能的生化学挙動は、その精製された個々の成分(好ましくはその調節成分およびミオシンも含んだ)を合わせることにより再生することができる。もう1つの機能するプレパラートは、インビトロ運動性アッセイである。これは、ミオシンを結合したスライドガラスに試験化合物を加え、ミオシンでカバーされたスライドガラス表面上をアクチンフィラメントが滑る速度を観測することにより行うことができる(Kron SJ.(1991)Methods Enzymol. 196:399-416)。
【0180】
インビトロのATP加水分解速度はミオシンの増強化活性と相関しており、これはADPかまたはリン酸塩の生成を追跡することにより測定することができ、例えば1999年5月18日に出願の出願番号第09/314,464号に記載されている。ADPの産生は、ADP産生をNADH酸化にカップリングし(酵素ピルビン酸キナーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼを用いて)、吸光度かまたは蛍光発光によりNADHのレベルを追跡することにより追跡することもできる(Greengard, P., Nature 178(Part 4534): 632-634(1956);Mol Pharmacol 1970 Jan;6(1):31-40)。リン酸塩の産生は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼを用いてリン酸塩産生をプリン類似体の開裂にカップリングさせることで追跡することができ、これは吸光度の変化を生じる(Proc Natl Acad Sci U S A 1992 Jun 1;89(11):4884-7)か、蛍光発光の変化を生じる(Biochem J 1990 Mar 1;266(2):611-4)。タンパク質活性の絶対速度を決定するためには、単一の測定で行うこともできるが、同一のサンプルの異なる時間における複数の測定を行うのが好ましい。そのような測定は、特に酵素についての読み出し値の吸光度特性または蛍光発光特性と似たものをもつ試験化合物の存在下ではより高い特異性をもっている。
【0181】
試験化合物は、マルチウェルプレートを用いた高度に並行的な方法で、化合物を個々にウェル中に配置するか、またはそれらを混合物で試験することによりアッセイすることができる。次に、標的タンパク質複合体、カップリング酵素と基質、およびATPを含むアッセイ成分をウェルに加えることができ、各プレートウェルの吸光度または蛍光発光をプレート読取機で測定することができる。
【0182】
好ましい方法では、384ウェル方式および25μL反応容量が用いられる。ピルビン酸キナーゼ/乳酸デヒドロゲナーゼがカップリングされた酵素システム(Huang TG and Hackney DD.(1994)J Biol Chem 269(23): 16493-16501)を用いて、各ウェル中のATP加水分解速度が測定される。当業者なら解かるように、アッセイ成分は緩衝液および試薬に加えられる。ここで概要を記した方法によって反応速度の測定が可能になるので、バックグラウンド信号を越える適切な検出用信号を得るためのインキュベーション期間が最適化される。このアッセイはリアルタイムで行われのでATP加水分解の動態が得られ、これによりアッセイのシグナル対ノイズ比が大きくなる。
【0183】
例えば、Haikala H, et al(1995)J Cardiovasc Pharmacol 25(5):794-801に記載されているように、心筋線維収縮力のモジュレーションは、界面活性剤を浸透可能にした心筋線維(スキンド(除膜)心筋線維とも呼ばれる)を用いて測定することができる。スキンド心筋線維はその固有の筋節組織を保持しているが、細胞カルシウム周期の全側面は保持していないので、このモデルは2つの利点を提供する。第1に細胞膜が化合物の進入に対してバリアー(障壁)とならないことと、第2にカルシウム濃度が制御されていることである。それゆえ、収縮力の増加は筋節タンパク質に対する試験化合物の影響の直接の測定となる。張力測定は、筋線維の一方を固定柱に取り付け、もう一方を、力を計ることができるトランスデューサに取り付けることで行われる。線維を伸ばして弛みをとった後、線維が収縮を開始したときに力トランスデューサが張力の増加を記録する。この測定は、線維を縮めさせないので等尺性張力と呼ばれる。浸透可能筋肉線維の活性化は、それを緩衝化カルシウム溶液に入れ、その後試験化合物または対照化合物を加えることで行われる。このような方法で試験された場合、本発明の化合物は、生理的収縮活性を引き起こすカルシウム濃度において力の増大を引き起こしたが、低カルシウム濃度やカルシウムの不存在下の弛緩緩衝液中では力の増加はほとんどなかった(EGTAデータポイント)。
【0184】
心臓筋節および心臓ミオシンに対する選択性は、上記で説明したアッセイの1つまたは複数において非心臓筋節の成分およびミオシンを代りに使い、得られた結果を、心臓筋節成分および心臓ミオシンを用いて得られた結果と比較することにより測定することができる。
【0185】
インビトロ再生筋節アッセイで観測されるATPアーゼの速度を増大させる化合物の能力は、S1-ミオシンの代謝回転率の増加、あるいは修飾されたアクチンフィラメントのCa++-活性に対する感受性の増大から生じると考えられる。これら2つの考えられる作用モードを互いに区別するには、修飾されていないアクチンフィラメントをもつS1のATPアーゼ活性に対するその化合物の影響を最初に測定する。活性の増大が観測された場合は、Ca応答性調節機構に対するその化合物の影響はないことになると考えられる。第2の、より感度の高いアッセイを用いて、修飾されたアクチンの存在下ではS1-ミオシンに対する活性化作用が増強されている(純粋なアクチンフィラメントと比較して)化合物を確定することができる。この第2のアッセイでは、心臓-S1および骨格-S1の心臓調節アクチンフィラメントおよび骨格調節アクチンフィラメントに対する活性が(4つの並べ替え全てで)比較される。心臓-S1/心臓アクチンシステム、および、心臓-S1/骨格アクチンシステムに対してはその効果を示すが、骨格-S1/骨格アクチンシステム、および、骨格-S1/心臓アクチンシステムに対してはその効果を示さない化合物は、確信して心臓-S1アクチベーターと分類することができる。
【0186】
インビボ活性の最初の評価は筋細胞収縮能の細胞モデルで行うことができ、例えば、Popping S 他[(1996)Am. J. Physiol. 271: H357-H364]およびWolska BM 他[(1996)Am. J. Physiol. 39:H24-H32]が報告している。この筋細胞モデルの1つの優位点は、収縮能の変化を生じる成分システムを単離でき、また、その主な作用部位を決定することができることである。細胞活性をもつ化合物[例えば、次の特徴をもつ化合物を選択する:2μMで元の長さに対する短縮率が > 120%の増加、拡張期長さの限定的な変化( < 5%の変化)、および、収縮能または弛緩速度の有意な低下がないこと]は次に、心臓機能の全臓器モデル例えば摘出心臓(Langendorff)モデルで心エコー検査または侵襲性血行動態測定によりインビボで評価することができ、また、動物を使った心不全モデル例えばラット左冠動脈閉塞(Rat Left Coronary Artery Occlusion)モデルで評価することもできる。最終的には、心疾患を治療するための活性は、プラセボを対照としたヒトによるブラインド(盲検)臨床試験で立証する。
【0187】
投与
式Iの化合物は、治療的に有効な用量、例えば前に記載した疾患状態に対して治療を加えるのに十分な用量で投与される。本発明の化合物に対してはヒトに用いる用量レベルはなお最適化されなければならないが、一般には、1日あたりの投与は、約0.05〜100mg/kg-体重、好ましくは 約0.10〜10.0mg/kg-体重、最も好ましくは 約0.15〜1.0mg/kg-体重である。つまり、70kgの人についての投与に対しては、用量範囲は、約3.5〜7000mg/日、好ましくは 約7.0〜700.0mg/日、および最も好ましくは 約10.0〜100.0mg/日になると考えられる。投与される活性化合物の量は当然治療を受けている患者およびその疾患状態、疾患の重症度、投与の方法およびスケジュール、ならびに処方をだす医師の判断に依存するものである。例えば、経口投与のあり得る用量範囲は約70〜700mg/日であると考えられ、一方経静脈投与のあり得る用量範囲は約700〜7000mg/日であると考えられ、活性薬剤は、より長いあるいはより短い血漿半減期のものがそれぞれ選択される。
【0188】
本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の投与は、同様の用途に役に立つ薬剤の認められている投与方式のいずれにもよることができ、例えば限定するものではないが、経口的、皮下的、経静脈的、経鼻的、局所的、経皮的、腹腔内的、筋内的、肺内的、膣的、直腸的、あるいは眼内的が挙げられる。経口的投与および非経口的投与が、本発明の被対象課題である症状の治療では通例である。
【0189】
医薬的に許容される組成物の剤形としては固体、半固体、液体、エアロゾルが挙げられ、例えば錠剤、カプセル剤、粉剤、液体剤、懸濁液剤、坐剤などである。本化合物は持続放出型剤形あるいは制御放出型剤形で投与することもでき、予め決められた量での長期的および/または時限的パルス式投与用のデポー注射、浸透圧ポンプ、経皮(電気的移送も含める)パッチなどが挙げられる。好ましくは、本組成物はちょうどその薬量を1回で投与するのに適した単一の剤形で提供される。
【0190】
本組成物は、単独でか、または、より典型的には在来の医薬用担体や賦形剤(例えば、マンニトール、ラクトース、スターチ(デンプン)、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルカム[滑石紛]、セルロース、ナトリウムクロスカルメロース[sodium crosscarmellose;カルメロースナトリウムの架橋重合物(崩壊剤)]、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウム、他)と組み合せて投与することができる。望ましいなら、本医薬組成物には、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤、他(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンアセテート、トリエタノールアミンオレエート、他)の少量の無毒補助的物質を入れることができる。意図する投与方式に依るが、本医薬製剤には通常本発明の化合物を約0.005%〜95%、好ましくは 約0.5%〜50%(重量)入れる。そのような剤形を調製する実際の方法は当業者には知られているか、または明らかであると思われ;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。
【0191】
さらに、本発明の化合物は、他の医薬、医薬製剤、アジュバント(補助薬)などと並行投与することができ、本医薬製剤にはそれらを入れることができる。適した付加的に加える活性薬剤としては、例えば:心臓の神経ホルモンによる刺激を下方調節することで心不全の進行を遅らせ、心臓のリモデリング(再形成)を妨げようとする治療薬(例えば、ACE阻害薬またはβ-遮断薬);心臓が収縮するのを刺激することで心臓機能を改善する治療薬(例えば、陽性強心薬で、β-アドレナリン作動薬であるドブタミンやホスホジエステラーゼ阻害薬であるミルリノンなど);および、心臓前負荷を減らす治療薬(例えば、利尿薬で、フロセミドなど)が挙げられる。
【0192】
1つの好ましい実施形態では、本組成物はピル(丸薬)またはタブレット(錠剤)の形態をとることがあり、つまり本組成物は、本活性成分とともに、希釈剤例えばラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなど;潤滑剤例えばステアリン酸マグネシウムなど;および、結合剤例えばスターチ、ガムアカシア、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体など;を含むことになる。もう1つの固体剤形では、粉剤、粒剤(marume)、溶液剤または懸濁剤(例えば、プロピレンカーボネート、植物油またはトリグリセリド中の)がゼラチン製カプセルの中にカプセル化される。
【0193】
医薬として投与可能な液体組成物は、例えば、上記で定義した活性化合物、および、任意的な医薬アジュバントを担体(例えば、水、生理食塩水、水性のデキストロース、グリセロール、グリコール、エタノール他)中に溶解、分散等させて溶液または懸濁液をつくることで調製することができる。注射可能な薬剤は、液体の溶液または懸濁液として、乳液として、あるいは、注射する前に液体中に溶解または懸濁させるのに適した固体の形態で、慣用の剤形で調製することができる。このような非経口投与用組成物に入っている活性化合物のパーセントは、その特異的な特性ならびにその化合物の活性および患者のニーズによって大きく変わる。そうは言うものの、溶液中の活性成分のパーセントが0.01%〜10%であるものは採用可能で、その組成物が、後に上記パーセントに希釈されることになる固体剤である場合は、この値はもっと高くなる。好ましくは本組成物は、溶液で活性成分0.2〜2%を含むようにする。
【0194】
本活性化合物または塩の製剤は、単独で、あるいは、ラクトースのような不活性担体と組み合せて、呼吸器路にネブライザー用エアロゾルまたは溶液として、あるいは、通気法用微細粉末として投与することもできる。このような場合、製剤粒子直径は50ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満である。
【0195】
スクリーニングにおける使用
本発明の化合物をミオシン結合についてのスクリーニング法において用いるには通常、ミオシンを支持体に結合させ、本発明の化合物をアッセイに加える。別のやり方としては、本発明の化合物を支持体に結合させ、そうしておいてミオシンを加えることもできる。新規な結合性作用物質を捜し求めることができるかも知れない化合物の群としては、特異的抗体、ケミカルライブラリー、ペプチド類似体などのスクリーニングで明らかにされた非天然の結合性作用物質が挙げられる。特に興味を引くのは、ヒト細胞に対して低い毒性をもつ候補作用物質についてのスクリーニングアッセイである。各種のアッセイをこの目的のために用いることができ、例えば標識化インビトロタンパク質・タンパク質結合アッセイ、電気泳動度シフトアッセイ(electrophoretic mobility shift assay)、タンパク質結合の免疫学的アッセイ、機能性アッセイ(ホスホリル化アッセイ、他)が挙げられる。例えば、米国特許第6,495,337号を参照されたい(参照で本明細書に組み込む)。
【実施例】
【0196】
以下の実施例は、上記した発明を利用する方法をより完全に説明しようとするもの、ならびに、本発明の様々な態様を実施するのに想致される最上の実施形態を示そうとするものである。これらの実施例は決して本発明の真の範囲を限定しようとするものではなく、むしろ説明目的のために提供されていることは理解されるところである。本明細書に引用された全ての参考文献はその全体が参照で組み入れられる。
【0197】
実施例 1
(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素
1A. SM 3の調製
【化18】

【0198】
(以下に記載された量は使用した全量である;したがって、全量の1/4が各50Lフラスコに加えられたことになる)
窒素下にある、機械式撹拌機が装着された50L三首RBF抽出器4個に、10.76kg(46.14モル)の(1S)-(+)-カンファ-10-スルホン酸(SM 2)、23.3L(2.5容量)のエタノール(乾燥)、および9.34kg(92.27モル)の 3-ヒドロキシピペリジンSM 1)を入れた。この溶液を次に、142L MTBEを加えることで白濁にもっていった。この溶液を一晩撹拌し、その固形物を濾過し、8Lの(1:1)MTBE:EtOH、8Lの(2:1)MTBE:EtOH、および8LのMTBEでリンスして10.68kgの白色の固形物(収率 35%、ee 75.8%、これらの数値は2つのロットの平均である)を得た。この固形物を、機械式撹拌機、温度計、および還流凝縮器が装着された22L三首RBFに入れた。このフラスコに10.7L(1容量)のエタノール(乾燥)を入れ、その溶液を55℃に加温した。加熱スイッチを切り、この溶液を一晩室温に冷ました。その固形物を濾過し、1.5L(2x)の(1:1)MTBE:EtOH、および3L(2x)のMTBEでリンスして、6.95kgのSM 3を収率 22.6%(理論収率=30.79kg、純度=ee97.2%)で白色の固形物として得た。
【0199】
1B. CMP 2の調製
【化19】

【0200】
(以下に記載された量は使用した全量である;したがって、各フラスコには比例した量が加えられた:1/2が50Lに、1/4が各22L抽出器に)
機械式撹拌機、ストッパー、および窒素バブラーが装着された50L抽出器1個および22L抽出器2個を窒素で少なくとも10分間パージした。この抽出器に3.21kg(38.21モル)の炭酸水素ナトリウムおよび27.9L(4容量)のを入れた。SM 3 6.95kg(20.84モル)をこの抽出器に入れ、その後27.9L(4容量)のジクロロメタンを加えた。この溶液を30分間撹拌し、次に2.36L(25.0モル)の無水酢酸を2時間かけて少しずつ加えて確実にゆっくりとガスを出ていかせた。この反応物に一晩撹拌を加え、その水層と有機層をTLCで分析(100%メタノール/ニンヒドリン染色)することで反応完結とみなした。この反応物を濃縮し、28Lのトルエンを使って水の除去に役立たせた。この固形物が乾燥したら、2個の20L丸底フラスコに分けて入れた(5.8kg/フラスコ)。24L(1:1)のMTBE:DCM、8kg(1.2重量当量)の硫酸ナトリウム、および4kg(47.61モル)の炭酸水素ナトリウムを加え、その溶液を一晩撹拌した(真空なしで)。その固形物を濾過し、24L(フラスコあたり12L)のジクロロメタンでリンスした。この濾液を20Lカーボイ(大型のガラスビン)あたり4Lの量に分け、1690L(1カーボイあたり8L)のMTBEで希釈した。この溶液を12時間静置し、沈殿した固形物を濾過し、濃縮して2.92kgのCMP 2を収率 98%で黄色油状物(理論収量=2.98kg、純度=95.2%、ee 97.4%)として得た。
【0201】
1C. CMP 3およびCMP 3Aの調製
【化20】

【0202】
(以下に記載された量は使用した全量である;したがって、全量の1/2が各22Lフラスコに加えられた)
冷却用バス、機械式撹拌機、熱ウェル(thermowell)、ゴム製セプタム(隔壁)、および窒素バブラーが装着された22L三首RBF2個を窒素で少なくとも10分間パージした。このフラスコに0.884kg(22.1モル)の水素化ナトリウム(1個あたり0.442kg)および4.86L(2容量)のNMP(1個あたり2.43L)を入れた。このフラスコを氷/ブラインのバス中で0±5℃まで冷却した。4.86L(2容量)のNMP(各個2.43L)中の2.43kg(17モル)のCMP 2(1.22kg各個)および0.058kg(0.85モル)のイミダゾール(各個0.029kg)の溶液を、内部温度を5±5℃内に維持しながらそのフラスコに1.5時間かけて滴下で加えた。この溶液を2時間撹拌し、その後、冷却用バス、機械式撹拌機、熱井戸(thermowell)、Y字型アダプター、ゴム製セプタム、および、窒素で少なくとも10分間パージしてある窒素バブラー、が装着された22L三首RBF2個の中にカニューレ挿入(cannulated)し、氷/ブラインのバス中で0±5℃内に冷却された2.43L(1容量)のNMP(各個1.22L)中の2.70kg(16.97モル)の3,5-ジフルオロニトロベンゼン(各個1.35L)の溶液を導入した。カニューレ挿入は2時間続き、内部温度を10±5℃内に維持した。この溶液を70±5℃に11時間加温し、TLC(1:1 ヘキサン:アセトン/PMA染色)およびGC(IPC取付)により反応完結とみなした。この溶液を冷却し、54LのMTBEおよび54Lのが入った4個の50L抽出器の中に注いだ。層を分離し、水層を54LのMTBEで再抽出した。合わせた有機層を54L(3x)のおよび54Lのブラインで洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、4.54kgのCMP 3 & CMP 3aの混合物を収率 95%(理論収量=4.79kg、純度=CMP 3 83.2%、CMP 3a 9.2%、ee 98.0%)で得た。
【0203】
1D. CMP 5aの調製
【化21】

【0204】
(以下に記載された量は使用した全量である;したがって、全量の1/3を各22Lフラスコに加えた)
加熱マントル、機械式撹拌機、熱井戸、凝縮器、および窒素バブラーを装着した22L三首RBF3個を窒素下で少なくとも10分間パージした。このフラスコに0.454kgの(10 重量t%)Pd/C、および13.62L(3容量)のメタノールをいれた。4.54kg(約16.1モル)のCMP 3 & CMP 3a混合物の4.54L(1容量)メタノール溶液をこの後このフラスコに入れ、そしてさらなる4.54L(1容量)のメタノールをこのフラスコに入れた。この溶液を穏やかな還流で加温し、5.07kg(80.4モル)のギ酸アンモニウムの3.63L水溶液を次に滴下で10時間かけて加えた。TLC(1:1 ヘキサン:アセトン/PMA染色)およびHPLC(IPC取付)により反応は完結とみなされ、セライトで濾過し、濃縮した。この濃縮物を50L抽出器2個に移し、47.2LのMTBEと17.7Lの3N HClとの間に分配させた。層を分離し、有機層を6L(2x)の3N HClで抽出した。水層を3.54kgのNaOHでpH約7に中和し、その後9.6Lの飽和炭酸水素ナトリウムを加えた。水層を次に6L(3x)のDCMで抽出した。合わせた有機層を18Lのブラインで洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して3.06kgのCMP 5aを収率 75%で高粘度の茶色の油状物(理論収量=4.06kg、純度=90.7%、ee 95.4%)として得た。
【0205】
1E. RSM 1の調製
【化22】

【0206】
(この工程は以下の代表的な手順により5バッチで行った)
冷却バス、もう1つの漏斗、機械式撹拌機、温度計および窒素バブラーを装着した22L三首RBFを窒素で少なくとも10分間パージした。このフラスコに0.612kg(2.43モル)のCMP 5aおよび12.2L(20容量)の酢酸エチルを入れた。この溶液を氷/ブラインバス中で0±5℃に冷やし、内部温度を10℃以下に維持しながら1.46L(2.92モル)のエーテル中2M HClを滴下で20分かけて加えた。この溶液を0±5℃にて2時間撹拌し、その固形物を窒素雰囲気下で濾過し、6.0L(10容量)の酢酸エチルでリンスした。この固形物を50±5℃の真空下で2日間乾燥させて、693gのRSM 1を収率 99%で灰色の固形物(理論収量=0.700kg、純度=94.2%、ee 97.6%)として得た。
【0207】
1F. 式 Iの調製
【化23】

【0208】
(この工程は以下の代表的な手順により3バッチで行った)
冷却バス、機械式撹拌機、温度計、および窒素バブラーを装着した22L三首RBFを窒素で少なくとも10分間パージした。このフラスコに1.441kg(4.990モル)のRSM 1および14.4L(10容量)のジクロロメタンを入れた。この溶液を撹拌し、そして0.710kg(5.489モル)のDIPEAを入れた。溶液を氷/ブラインバス中で10±5℃に冷やした。この反応系に0.659kg(5.489モル)のRSM 2を入れ、その溶液を室温まで加温し、3時間撹拌した。反応をTLC(1:9 メタノール:酢酸エチル/PMA染色)およびHPLC(IPC取付)により追跡した。反応物を室温にてさらに5時間撹拌し、さらなる0.009kg(0.075モル)のRSM 2を加えた。この溶液をさらに15時間撹拌し、反応は完結とみなされた。溶液を、14.4L(10容量)の飽和炭酸水素ナトリウムが入った50L抽出器の中に注ぎ、フラスコをさらなる1.44L(1容量)のジクロロメタンでリンスした。層を分離し、有機層を14.4L(2 x 10容量)ので洗った。有機層を1.69kgの硫酸ナトリウムで少なくとも20分乾燥させ、その後次の工程に進めた。
【0209】
1G. 式Iの精製
【化24】

【0210】
(この工程は以下の代表的な手順により2バッチで行った)
DCM中の実施例 1F粗生成物を35±5℃の減圧下で凝縮しなくなるまで濃縮し、その後45±5℃にてさらに1時間長く濃縮した。この内容物を、加熱マントル、凝縮器、機械式撹拌機、温度計、および、窒素で少なくとも10分間パージしてある窒素バブラーを装着した22L三首RBFに移した。この回転蒸発フラスコ(rotovap flask)を14.5Lの酢酸エチルでリンスし、このリンス液を上記22L三首RBFの中に注いだ。この溶液を55±5℃に加温し、その後室温に10分間冷ました。この懸濁液を次に60±5℃に1時間加熱した。加熱器のスイッチを切り、溶液を緩やかに室温まで冷ました。この固形物を濾過し、8.7Lの酢酸エチルで洗った。この結晶物を45±5℃で13.5時間乾燥させた。結晶物をこの後、加熱マントル、凝縮器、機械式撹拌機、温度計、および、窒素で少なくとも10分間パージしてある窒素バブラーを装着した22L三首RBFに移した。このフラスコに次に14.5Lのを入れ、その懸濁液を50±5℃に34時間加熱した。この固形物を濾過し、真空下45±5℃で乾燥させて、2.46kgの灰色の固形物を得た。この結晶物を次に、加熱マントル、凝縮器、機械式撹拌機、温度計、および、窒素で少なくとも10分間パージしてある窒素バブラーを装着した22L三首RBFに移した。11.6Lのを次に入れ、この溶液を50±5℃に5時間加温した。熱を切り、溶液を室温まで冷却させた。溶液を50±5℃に第2の周期20時間加温した。この固形物を濾過し、14.5Lのでリンスした。これらを次に、加熱マントル、凝縮器、機械式撹拌機、温度計、および、窒素で少なくとも10分間パージしてある窒素バブラーを装着した22L三首RBFに入れ、12.5Lのを加えた。この溶液を50±5℃に5.5時間加熱した。この結晶物を濾過し、14.5Lのでリンスし、50±5℃の真空下で乾燥させて、2.38kgの灰色の固形物を得た。この固形物を次に8Lの中に取り込み、50±5℃のバス温度にて回転蒸発器で濃縮した。16Lのをこのフラスコに少しずつ加え、その固形物を濾過し、15.5Lのでリンスした。この結晶物を50±5℃の真空下で乾燥させて、2.28kgの精製標題化合物、(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル
]-3-ピリジン-3-イル-尿素、を収率 61%で灰色の固形物(mp = 145°C、理論収量=3.74kg、純度=98.7%、ee 99.2%)として得た。
【0211】
実施例 2
3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド
2A.(R)-t-ブチル-3-(3-フルオロ-5-ニトロフェノキシ)-ピロリジン-1-カルボキシレート
【化25】

【0212】
丸底フラスコにDMF(300mL)とNaH(12.8g、320ミリモル、1.2当量)を入れ、氷バス中で撹拌した。N-t-ブチル-(R)-3-ヒドロキシピロリジン(50g、267ミリモル、1当量)のDMF(100mL)溶液をこのフラスコの中に緩やかに加え、そして約30分間撹拌した。ジフルオロニトロベンゼン(51g、320ミリモル、1.2当量)およびDMF(50mL)の溶液を滴下で約30分間かけて加えた。得られた溶液を室温まで昇温させ、約4時間撹拌した。水をこの反応混合物に加えた。この反応混合物を酢酸エチルで抽出した。その有機層を、水、飽和炭酸水素ナトリウムおよびブライン溶液で洗った。この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。この残留物を、溶出液としてジクロロメタンおよびジクロロメタン中5%メタノールを用いたシリカクロマトグラフィーにより精製して、39gの(R)-t-ブチル-3-(3-ニトロ-5-フルオロフェノキシ)-ピロリジン-1-カルボキシレートを橙色/黄色の油状物として得た。
【0213】
2B.(R)-t-ブチル-3-(3-アミノ-5-フルオロフェノキシ)-ピロリジン-1-カルボキシレート
【化26】

【0214】
H2雰囲気(55psi)下にある、MeOH 200mL中の45gの(R)-t-ブチル-3-(3-アミノ-5-フルオロフェノキシ)-ピロリジン-1-カルボキシレートと4.5gの水酸化パラジウム(10重量%)の混合物を16時間撹拌した。この不均質混合物を珪藻土パッドで濾過し、メタノール、ジクロロメタンでリンスし、その後赤茶色の粘稠な油状物(R)-t-ブチル-3-(3-アミノ-5-フルオロフェノキシ)-ピロリジン-1-カルボキシレート(収率 89%)に濃縮した。
【0215】
2C. 3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル
【化27】

【0216】
丸底フラスコにトリホスゲン(3g、10ミリモル、1当量)およびTHF(33mL)を入れ、0℃まで冷やした。5-アミノ-2-メチル ピリジン(3.3g、10ミリモル、3当量)、ジイソプロピルエチルアミン(10.3mL、60ミリモル、6当量)およびTHF(33mL)の溶液をこのトリホスゲン溶液に滴下で加えた。この混合物を室温まで昇温させ、30分間撹拌した。(R)-t-ブチル-3-(3-アミノ-5-フルオロフェノキシ)-ピロリジン-1-カルボキシレート(3.0g、10ミリモル、1当量)のTHF(33mL)溶液を滴下で加えた。得られた反応混合物を一晩室温にて撹拌した。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、THFを真空下で除いた。この混合物をジクロロメタンで抽出した。このジクロロメタン溶液を飽和の炭酸水素ナトリウムとブラインで洗った。この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。この残留物を、濃度勾配溶離液として酢酸エチル500mL、酢酸エチル中2.5%メタノール500mL、酢酸エチル中5%メタノール500mL、酢酸エチル中7.5%メタノール500mL、および酢酸エチル中10%メタノールを用いてシリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、3.4gの3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルを薄黄色の固形物として得た。
【0217】
2D. 1-[3-フルオロ-5-(ピロリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素
【化28】

【0218】
6.5gの3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルに室温にて、トリフルオロ酢酸とジクロロメタンの1:1混合物20mLを加え、得られた反応混合物を2時間撹拌した。この反応混合物を濃縮した。この残留物に飽和ブライン溶液5mLを加え、1 N NaOHをpH 10となるまで加えた。この混合物を酢酸エチルで抽出した。この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過し、1-[3-フルオロ-5-(ピロリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素すなわち式Iの化合物に油状物として濃縮し、これを直接この後の反応に使用した。
【0219】
2E. 3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド
【化29】

【0220】
丸底フラスコに1-[3-フルオロ-5-(ピロリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素(3g、9.1ミリモル、1当量)、トリエチルアミン(3.6mL、27ミリモル、3当量)、ジメチルスルファモイルクロリド(1.2g、11ミリモル、1.2当量)、およびジクロロメタン(20mL)を入れた。この反応混合物を室温にて1時間撹拌した。この反応物に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えた。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。これの有機層をブラインで洗い、濃縮した。この残留物を、溶出液として酢酸エチル中10%メタノールを用いたシリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、2.8gの標題化合物3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミドを灰色の固形物として得た。MS(M+1)438。
【0221】
実施例 3
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル 尿素および
(S)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル
3A. 3 の調製
【化30】

【0222】
4Lエルレンマイヤーフラスコ6個に(1R)-(-)-カンファ-10-スルホン酸(215.2g)、乾燥 エタノール(480mL)、および3-ヒドロキシピペリジン(186.8g)を入れた。この溶液を次にt-ブチル メチルエーテル(MTBE、4.84L)を加えることで白濁にもってきた。この溶液を48時間撹拌し、その固形物を合わせ、濾過し、(1:1)MTBE:EtOH(960mL)、(2:1)MTBE:EtOH(960mL)、MTBE(960mL)でリンスして、白色の固形物(1.27kg、収率 35%、ee 90.8%)を得た。得られた固形物を、乾燥アルコール1.27Lが入った4Lエルレンマイヤーフラスコに入れた。この混合物を撹拌し、固形物が完全に溶解するまで60℃に1時間加温した。熱を切り、溶液を室温まで冷やし、一晩撹拌した。この固形物を濾過し、(1:1)MTBE:EtOH(2 X 180mL)、MTBE(2 X 360mL)でリンスして所望生成物850gを白色の固形物(収率 23%、e.e. 99.2%)として得た。
【0223】
3B. 3-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルの調製
【化31】

【0224】
炭酸水素ナトリウム(403.3g、4.8モル)と水(1.6L)の混合物に(S)-3-ヒドロキシピペリジン(1R)-(-)-カンファ-10-スルホン酸塩(3、400.14g、1.2モル)およびジクロロメタン(1.6L)を加えた。この混合物を30分間撹拌し、氷バスで冷やした。この混合物にジ-t-ブチルジカーボネート(288.1g、1.32モル)を少しずつ30分で加えた。この混合物を室温にて一晩撹拌した。混合物をジクロロメタン(4.8L)およびH2O(4.8L)で希釈し、分液漏斗で分離した。有機層をブライン(2L)で洗い、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して所望生成物(4)を定量的収量(241.5g)で得た。
【0225】
3C. 3-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-ピペリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルの調製
【化32】

【0226】
3L三首丸底フラスコに水素化ナトリウム(油中60%、54.24g、1.356モル)およびDMF(1L)を入れた。このフラスコを氷バス中で冷やし、内部温度を5℃以下に維持しながらこのフラスコにDMF(500mL)中アルコール(4、210g、1.043モル)溶液を滴下で30分かけて加えた。この溶液を1時間撹拌し、次に、氷バス中で冷やされた3,5-ジフルオロニトロベンゼン(169.25g、1.064モル)溶液が入った5L三首 丸底フラスコの中にカニューレを介して加えた。この添加は、内部温度を5℃以下に維持しながら、1時間に亘った。反応混合物を室温まで温め、4時間撹拌し、6Lの酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和塩化アンモニウム(4L)、炭酸水素ナトリウム(2L)およびブライン(2L)で洗い、乾燥し(Na2SO4)、濃縮して所望生成物をシロップ(5、360g、純度 約95%)として得た。
【0227】
3D. 3-(5-アミノ-3-フルオロ-フェノキシ)-ピペリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルの調製
【化33】

【0228】
5(50g)、10% Pd(OH)2/C(5.0g)およびMeOH(300mL)が入った4本のシリンダーを50psi H2下で水素化反応に付した。混合物を一晩激しく撹拌した。この混合物を珪藻土パッドで濾過し、メタノールでリンスした。このアルコール性溶液を合わせ、濃縮してアニリン(6)をシロップとして定量的収量で得た。
【0229】
3E. 3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルの調製
【化34】

【0230】
氷バスで冷やしたアニリン 6(83.0g、0.267モル)のジクロロメタン(830mL)溶液にイソシアネート(7、トルエン中73%、46.67g、0.254モル)を滴下で加えた。混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。この混合物をシリカゲルパッド(830g)に置き、ジクロロメタン(4L)でリンスして不純物を除去し、その後EtOAc(4L)中4% MeOHで生成物を溶離した。MeOH-EtOAc溶液の濃縮により、所望生成物を非晶質固形物(109.35g、92%)として得た。
【0231】
3F. 1-[3-フルオロ-5-(ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素の調製
【化35】

【0232】
氷バスで冷やした 8(65.15g、147ミリモル)のMeOH(147mL)溶液に4M HCl/1,4-ジオキサン(147mL、588ミリモル)溶液を滴下で加えた。この混合物を室温まで温め、3時間撹拌した。濃縮したら、生成物 9 を薄黄色の固形物として得た。この生成物(式Iの化合物でもある)を次の工程反応で直接使用した。
【0233】
3G.(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素の調製
【化36】

【0234】
アミン 9(147ミリモル)、ジクロロメタン(650mL)およびトリエチルアミン(80mL、586ミリモル)の氷バスで冷やした混合物に塩化エタンスルホニル(13.89mL、147ミリモル)を滴下で加えた。混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。混合物を次に飽和炭酸水素ナトリウム(500mL)およびブライン(500mL)で洗い、乾燥し(Na2SO4)、濃縮した。得られた残留物を、溶離液としてをヘキサン-アセトン(3:2)用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望生成物を白色の固形物(50.2g、78.4%)として得た。
【0235】
3H.(S)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステルの調製
【化37】

【0236】
THF(400mL)中の出発物質 9(19.6g)をトリエチルアミン(38mL、277ミリモル)、その後ゆっくりとクロロギ酸メチル(5.1mL、66.6ミリモル)で順番に処理した。2時間撹拌した後、飽和NaHCO3 溶液50mLを加え、この混合物を30分間撹拌した。蒸発させた後、その残留物をEtOAcに溶解させ、飽和の塩化アンモニウムと水で洗い、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。70% アセトン/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより所望生成物(11)を白色の泡状物(17.5g、92%)として得た。
【0237】
実施例 4
式 Iのその他の化合物用の出発物質および中間体
4A. 4-ヒドロキシ-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸 1-t-ブチルエステル
【化38】

【0238】
丸底フラスコに20gの4-ヒドロキシ-ピロリジン-2-カルボン酸(1)、100mLのTHF、および60mLのH2Oを入れた。この反応混合物に36mLの20% NaOH水溶液を加え、混合物を0℃まで冷やした。この混合物に40gのBoc2O(182ミリモル、1.2当量)を加え、得られた混合物を一晩室温まで昇温させた。反応混合物を濃縮し、約45mLの4N HClを加えることでpH 2に調整した。混合物を200mLのEtOACで3回抽出した。有機層をブライン、水で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して4-ヒドロキシ-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸 1-t-ブチルエステル(収率 100%、2)を得た。
【0239】
4B. 4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル
【化39】

【0240】
丸底フラスコにTHF 200mL中のLiBH4 6.53gを入れ、この混合物を0℃に冷やした。この混合物に窒素下でTMSCl(600ミリモル、4当量)65gを加えた。この反応混合物を0℃で30分間撹拌し、その後もう30分室温まで昇温させた。この混合物を0℃まで冷やし、THF 150mL中の4-ヒドロキシ-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸 1-t-ブチルエステル(2)35gを1時間で加えた。反応物を2時間撹拌し、その後MeOH 25mLおよびH2O 12mLを順次加えた。混合物を、4N NaOH約75mLを加えることでpH 7に調整した。混合物を濃縮してTHFを除去し、EtOAc 500mLで2度抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮して4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(3、収率 90%)を得た。
【0241】
4C. 2-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル
【化40】

【0242】
丸底フラスコにDMF 270mL中の4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(3)29.3gを入れ、この溶液を0℃まで冷やした。この溶液にイミダゾール23gおよびTBDMSCL 24.4gを順次数回に分けて加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、2時間撹拌した。この反応混合物に飽和NH4Cl 500mLおよびEtOAc 500mLを加えた。有機層を除去し、飽和NH4Cl 500mLで洗い、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して2-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(4)を定量的収率で得た。
【0243】
4D. 2-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル
【化41】

【0244】
0℃の窒素下にある無水DMF 150mL中の2-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(4)33gに60% NaH 4.8gを何回かに分けて加えた。上記混合物を次に、0℃にあるDMF 50mL中の3,5-ジフルオロニトロベンゼン19.1gの中にカニューレを介して加えた。温度を10℃以下に保ち、混合物を1時間撹拌した。0℃にある反応混合物に飽和NH4Cl 400mLおよびEtOAc 400mLを加えた。有機層を除去し、水層をEtOAc 400mLで抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、溶離液として1 EtOAC:10 ヘキサンを用いるシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(5)30gを黄色の固形物として得た。
【0245】
4E. 4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル
【化42】

【0246】
0℃にあるMeOH 240mL中の2-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(5)30gに1N HCl 2.6mLを滴下で加えた。反応混合物を室温まで温め、さらに4時間撹拌した。0℃に冷やした後、この反応混合物にNaHCO3 5gを加え、この混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(6)22.7gを得た。
【0247】
4F. 4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-2-メトキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル
【化43】

【0248】
0℃にある4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(6)22.7g、無水DMF 250mL、およびMeI 36.3gに60% NaH 3.1gを数回に分けて加えた。この反応混合物を2時間室温にて撹拌した。反応混合物を濃縮して余剰MeIを除去し、次いでH2Oで希釈した。この混合物を飽和NH4Cl 500mLで希釈し、EtOAc 500mLで3回抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮して4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-2-メトキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(7)23gを得た。
【0249】
4G. 4-(3-アミノ-5-フルオロ-フェノキシ)-2-メトキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル
【化44】

【0250】
4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-2-メトキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(7)23g、MeOH 100mLおよびPd(OH)2/C 2gの混合物を50psiの水素雰囲気下で2時間撹拌した。この混合物を珪藻土パッドを通して濾過除去し、濃縮して4-(3-アミノ-5-フルオロ-フェノキシ)-2-メトキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(8)の定量的収量を得た。
【0251】
4H. [4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-ピロリジン-2-イル]-メタノール
【化45】

【0252】
ジクロロメタン5mL中の4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステル(6)2.0gにTFA10mLを加えた。この混合物を室温にて0.5時間撹拌し、次に溶媒を真空中で除去した。得られた残留物をEtOAc 50mLに溶解させ、NaOH水溶液(3 x 25mL)およびブライン(25mL)で洗った。有機層をこの後Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、[4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-ピロリジン-2-イル]-メタノール1.29g(90 %)を高粘度黄色の油状物として得、これを次の反応で直接使用した。
【0253】
4I. 6-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-3-オン
【化46】

【0254】
[4-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-ピロリジン-2-イル]-メタノール1.29gの無水ジクロロメタン20mL溶液に1,1'-カルボニルジイミダゾール0.82gを1回で加え、得られた混合物をN2下室温で3時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン30mLで希釈し、H2O(2 x 25mL)およびブライン(25mL)で洗った。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、薄黄色の混合物1.82gを得た。シリカゲル上の精製により6-(3-フルオロ-5-ニトロ-フェノキシ)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2 c]オキサゾール-3-オン0.825gを白色の固形物として得た。
【0255】
実施例 5
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式5に対応する以下の化合物が得られた。
【化47】

【表1】

【0256】
実施例 6
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式6に対応する以下の化合物が得られた。
【化48】

【表2】

【0257】
実施例 7
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、以下の化合物が得られた。
【化49】

【表3】

【0258】

【0259】
実施例 8
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式8に対応する以下の化合物が得られた。
【化50】

【表4】

【0260】
実施例 9
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式9に対応する以下の化合物が得られた。
【化51】

【表5】

【0261】

【0262】

【0263】

【0264】

【0265】

【0266】

【0267】
実施例 10
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式10に対応する以下の化合物が得られた。
【化52】

【表6】

【0268】

【0269】
実施例 11
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式11に対応する以下の化合物が得られた。
【化53】

【表7】

【0270】
実施例 12
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、以下の化合物が得られた。
【化54】

【表8】

【0271】

【0272】

【0273】
実施例 13
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式11に対応する以下の化合物が得られた。
【化55】

【表9】

【0274】
実施例 14
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式14に対応する以下の化合物が得られた。
【化56】

【表10】

【0275】

【0276】

【0277】

【0278】

【0279】

【0280】

【0281】

【0282】

【0283】

【0284】

【0285】

【0286】

【0287】

【0288】

【0289】

【0290】

【0291】

【0292】

【0293】

【0294】
実施例 15
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式11に対応する以下の化合物が得られた。
【化57】

【表11】

【0295】

【0296】

【0297】

【0298】
実施例 16
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式16に対応する以下の化合物が得られた。
【化58】

【表12】

【0299】

【0300】

【0301】
実施例 17
式 Iのその他の化合物
同様にして、実施例1〜4で示した手順、および、反応図式1〜5における手順に従うことで、式17に対応する以下の化合物が得られた。
【化59】

【表13】

【0302】
実施例 18
標的同定アッセイ
特異性アッセイ:心臓ミオシンに対する化合物の特異性は、単一の50μMの化合物濃度におけるミオシンアイソフォームのパネル(一団)、すなわち心筋、骨格筋および平滑筋、のアクチン刺激によるATPアーゼに対する化合物の影響を比べることで評価する。
【0303】
筋原線維アッセイ:天然筋節での全長心臓ミオシンのATPアーゼ活性に対する化合物の影響を評価するのにスキンド筋原線維アッセイを行った。界面活性剤の存在下にラット心臓組織をホモジネートすることでラット心臓筋原線維を得た。このような処理は膜および可溶性細胞質タンパク質の大部分を除去するが、心臓筋節のアクトミオシン器官はそのまま残す。筋原線維プレパラートは、ATPをCa++制御方式で加水分解する能力を維持している。化合物の存在下および不存在下におけるそのような筋原線維調製物のATPアーゼ活性は、最大速度の50%および100%を示すCa++濃度においてアッセイした。
【0304】
実施例 19
用量依存性心臓ミオシンATPアーゼモジュレーションのインビトロモデル
用量応答は、以下の試薬(記載されている濃度は最終アッセイ濃度である):カリウムPIPES(12mM)、MgCl2(2mM)、ATP(1mM)、DTT(1mM)、BSA(0.1mg/mL)、NADH(0.5mM)、PEP(1.5mM)、ピルビン酸キナーゼ(4 U/mL)、乳酸デヒドロゲナーゼ(8 U/mL)、および消泡剤(90 ppm)を含む、カルシウム緩衝の、ピルビン酸キナーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼ結合ATPアーゼアッセイを用いて測定する。pH は、水酸化カリウムを加えることで22℃にて6.8に調整する。カルシウム濃度は、0.6mM EGTAおよび様々な濃度のカルシウムを含有する緩衝システムにより制御して、1x10-4 M〜1x10-8 Mの遊離カルシウム濃度を達成する。
【0305】
このアッセイに特異的なタンパク質成分は、ウシ心臓ミオシンサブフラグメント-1(典型的には0.5μM)、ウシ心臓アクチン(14μM)、ウシ心臓トロポミオシン(典型的には3μM)、およびウシ心臓トロポニン(典型的には3〜8μM)である。1mM EGTAの存在下で測定した場合のATPアーゼ活性と、0.2mM CaCl2の存在下で測定した場合のATPアーゼ活性との間に最大差を達成するトロポミオシンおよびトロポニンの正確な濃度は、滴定により経験的に決定される。アッセイにおいて、所望のATP加水分解速度を達成するミオシンの正確な濃度も滴定により経験的に決定される。これは、各タンパク質プレパラートにおける活性分子の割合がばらついていることからプレパラート間で変わる。
【0306】
化合物用量応答は、典型的には最大ATPアーゼ活性の50%に対応するカルシウム濃度(pCa50)において測定するので、予備的な実験を行って、1x10-4 M〜1x10-8 Mの遊離カルシウム濃度に対するATPアーゼ活性の応答を試験する。その後、アッセイ混合物をpCa50(典型的には3x10-7 M)に調整する。アッセイは、最初に試験化合物の希釈シリーズを調製することで行い、各々には、カリウムPipes、MgCl2、BSA、DTT、ピルビン酸キナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ミオシンサブフラグメント-1、泡消剤、EGTA、CaCl2、および水を含むアッセイ混合物が入っている。このアッセイは、カリウムPipes、MgCl2、BSA、DTT、ATP、NADH、PEP、アクチン、トロポミオシン、トロポニン、泡消剤、および水を含む溶液の等容量を加えることで開始する。ATP加水分解は340nmにおける吸光度で追跡する。得られた用量応答曲線は、4パラメーター方程式 y = Bottom +((Top - Bottom)/(1+((EC50/X)^Hill)))で近似する。AC1.4 は、ATPアーゼ活性が用量曲線のBottom(底)よりも1.4倍高い濃度と定義される。
【0307】
実施例 20
筋細胞アッセイ
20A. ラット成体心臓心室筋細胞の調製
成体雄性Sprague-Dawleyラットをイソフルランガス・酸素混合物で麻酔する。心臓を素早く切除し、リンスし、その上行大動脈にカニューレを挿入する。心臓に対し灌流圧力60cm H20で連続的逆行灌流を開始する。心臓を、以下の成分:110mM NaCl、2.6mM KCL、1.2mM KH2PO4 7H20、1.2m MmgSO4、2.1mM NaHCO3、11mM グルコースおよび4mM Hepes(全てSigma社)の、名目上Ca2+が入っていない変性Krebs溶液で最初に灌流を行う。この培地は循環させず、絶えずO2をガス供給する。約3分後、心臓が十分に白化、軟化するまで、3.3%コラゲナーゼ(169 μ/mg活性、Class II、Worthington Biochemical Corp., Freehold, NJ)および25 μM最終カルシウム濃度が補足された変性Krebs緩衝液で心臓を灌流した。心臓をカニューレから取り外し、心房と血管を捨て、心室を小片にカットする。心室組織をコラゲナーゼ含有新鮮Krebs中に穏やかに掻き混ぜることで筋細胞を分散させ、その後50ccの管の中にある200μMナイロンメッシュを穏やかに通過させる。得られた筋細胞を、25 μmカルシウム含有変性Krebs溶液中に再懸濁させる。カルシウム溶液(100mMストック液)を10分間隔で100 μMカルシウムが達成されるまで加えることで、筋細胞をカルシウム耐性にする。30分後、上澄み液を捨て、Tyrode緩衝液(137mM NaCL、3.7mM KCL、0.5mM MgCL、11mM グルコース、4mM Hepes、および1.2mM CaCl2、pH 7.4)30〜50mLを細胞に加える。細胞を37℃に60分間保持してから実験を開始し、単離して5時間以内に使用した。細胞が標準(ベース[基準]の >150%)およびイソプロテレノール(イソ;ベースの > 250%)にこたえることでQC判定基準をパスした場合のみ、細胞のプレパラートは用いる。さらに、ベース収縮能が3〜8%である細胞のみを以下の実験に用いた。
【0308】
20B. 成体心室筋細胞収縮能の実験
筋細胞が入っているTyrode緩衝液のアリコートを、加熱台を備えた灌流チャンバー(RC-27NE シリーズ20; Warner Instruments)に入れた。筋細胞をくっ付かせ、チャンバーを37℃に加熱し、細胞をこの後37℃のTyrode緩衝液で灌流した。筋細胞を白金電極間の中で1 Hzで場励起する(閾値の20%上で)。はっきりとした条線をもちかつペーシング(pacing)の前に無活動である細胞のみを収縮能実験に使用する。ベース収縮能を測定するため、可変フレーム速度(60〜240 Hz)式電荷結合型デバイスカメラを用いて、筋細胞を40x対物レンズで撮像し、その画像をデジタル化し、サンプリングスピード240 Hzでコンピュータースクリーン上に表示する。[フレームグラッバー(Framegrabber)、ミオペーサー(myopacer)、収集(acquisition)、および細胞収縮能についての分析ソフトウエアは、IonOptix(Milton, MA)から入手可能である。]最低5分のベース収縮期間の後、試験化合物(0.01〜15 μM)を筋細胞に5分間灌流する。この時点以降、新鮮なTyrode緩衝液を灌流して、化合物のウォッシュアウト(washout)特性を評価する。端部検出法を用いて、筋細胞の収縮能ならびに収縮速度および弛緩速度を連続的に記録する。
【0309】
20C. 収縮能の分析:2つまたはそれ以上の異なる筋細胞プレパラートを用いて、化合物1つあたり3つまたはそれ以上の個別の筋細胞を試験した。各細胞について、ベースにおける(化合物インフュージョン(注入)の前1分と定義する)、および、化合物を加えたあとの収縮能トランジエントの20個またはそれ以上を平均し、比べる。これらの平均トランジエントを分析して拡張期長さの変化を決定し、Ionwizard分析プログラム(IonOptix)を用いて短縮率(拡張期長さの減少%)、ならびに最大収縮速度および弛緩速度(um/秒)を決定する。個々の細胞の分析データを合わせる。ベースに対する短縮率の増加は、筋細胞収縮能の増強を意味する。
【0310】
20D.カルシウムトランジエント分析
Fura負荷:細胞透過性Fura-2(Molecular Probes社)をプルロニック(Mol Probes社)およびFBSの等量中にRT(室温)にて10分間溶解させる。1 μMのFuraストック溶液を、500mMのプロベネシド(Sigma社)を含有するTyrode緩衝液でつくる。細胞を負荷するため、この溶液をRTにて筋細胞に加えた。10分後緩衝液を除去し、細胞をプロベネシド含有Tyrodeで洗い、RTにて10分間インキュベートする。洗浄とインキュベートを繰り返す。収縮能とカルシウムの同時測定を負荷の40分内に行う。
【0311】
撮像:試験化合物を細胞に灌流する。同時の収縮能とカルシウムトランジエント比をベースライン(baseline)および化合物を加えた後において測定する。蛍光発光によるカルシウム測定との干渉を避けるため光路中に赤色フィルターを使用して、細胞をデジタル的に撮像し、収縮能を上記したようにして測定する。カルシウムトランジエント分析についての収集、分析用ソフトウエアおよびハードウエアはIonOptixから得られる。この蛍光発光測定用機器中にはキセノンアークランプ、および、ガルバノ駆動ミラー(galvo-driven mirror)により波長340と380との間で交互するHyperswitchデュアル励起光源が入っている。液体充満ライト(光)ガイドによりこのデュアル励起光が顕微鏡まで送達され、発光蛍光が光電子増倍管[photomultiplier tube(PMT)]を用いて測定される。蛍光発光システムインターフェイス(fluorescence system interface)がこのPMT信号の配信路を決め、その比がIonWizard収集プログラムを用いて記録される。
【0312】
分析:各細胞について、ベースにおける、および化合物を加えた後における10またはそれ以上の収縮能/カルシウム比トランジエントを平均し、比較した。収縮能平均過渡データをIonwizard分析プログラムを用いて分析して、拡張期長さにおける変化、および、短縮率(拡張期長さの低下%)を決定する。平均カルシウム比トランジエントをIonwizard分析プログラムを用いて分析して、拡張期比および収縮期比における変化、および、ベースライン(基準線)の75%時間(T75)を決定する。
【0313】
持続性:応答の持続性を評価するため、筋細胞を、試験化合物に25分間曝露し、その後2分間ウォッシュアウト(washout;洗い出し)を行った。収縮能応答を、化合物インフュージョン後5分および25分において比較する。
【0314】
20F. 閾値電圧:筋細胞は閾値より約20%高い電圧で場励起する。これらの実験では閾値電圧(細胞をペース運動させる最低電圧)は経験的に決められ、細胞をこの閾値においてペース運動させ、そうして試験化合物をインフュージョンする。化合物活性が定常状態になった後、電圧を20秒間下げ、その後再スタートさせる。イオンチャネルの交互変化は、閾値作用電圧を上げることまたは下げることに相当する。
【0315】
20G. HZ 周波数:筋細胞の収縮性は3 Hzで以下のようにして測定される:1分のベース時間点の後試験化合物を5分間灌流、その後2分間のウォッシュアウト。細胞の収縮が完全にベースラインに戻った後Hz周波数を1に下げる。初期の順化期間の後、細胞を同じ化合物に曝露する。この種(ラット)は1 Hzにおいて負の力収縮頻度(force frequency)を示すので、3 Hzにおいてはその細胞のFS(fractional shortening;左室内径短縮率)はもっと小さいと考えられるが、細胞は、本化合物の存在下ではその短縮率を大きくすることでなお応答すると考えられる。
【0316】
20H. イソプロテレノールによる添加物:化合物がアドレナリン刺激薬イソプロテレノールとは異なるメカニズムで作用することを実証するため、細胞にfura-2を負荷し、収縮/カルシウム比の同時測定を行う。筋細胞を、5 μmの試験化合物、緩衝液、2nMのイソプロテレノール、緩衝液、および、試験化合物とイソプロテレノールの組み合せに順次曝露する。
【0317】
実施例 21
用量依存性心臓ミオシンATPアーゼモジュレーションのインビトロモデル
ウシおよびラットの心臓ミオシンをそれぞれの心臓組織から精製する。特異性試験に使用する骨格筋ミオシンおよび平滑筋ミオシンはウサギ骨格筋およびニワトリ砂嚢からそれぞれ精製する。アッセイに使用するミオシンを全て、キモトリプシンによる限定的タンパク分解により単頭型可溶形(single-headed soluble form;S1)に変換する。その他の筋節構成要素:トロポニン複合体、トロポミオシンおよびアクチンは、ウシ心臓(心臓筋節)またはニワトリ胸筋(骨格筋節)から精製した。
【0318】
ミオシンの活性は、ATPの加水分解速度を測定することで追跡する。ミオシンATPアーゼはアクチンフィラメントにより極めて顕著に活性化される。ATPターンオーバーは、ピルビン酸キナーゼ(PK)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を用いる結合酵素的アッセイで検出する。このアッセイでは、ATP加水分解の結果として生成したADPのそれぞれは、LDHによるNADH分子の同時酸化でPKによりATPに再生される。NADH酸化は、340nmの波長における吸光度の減少により都合よく追跡することができる。
【0319】
用量応答は、以下の試薬(記載されている濃度は最終アッセイ濃度である):カリウムPIPES(12mM)、MgCl2(2mM)、ATP(1mM)、DTT(1mM)、BSA(0.1mg/mL)、NADH(0.5mM)、PEP(1.5mM)、ピルビン酸キナーゼ(4 U/mL)、乳酸デヒドロゲナーゼ(8 U/mL)、および消泡剤(90 ppm)を含む、カルシウム緩衝の、ピルビン酸キナーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼ結合ATPアーゼアッセイを用いて測定する。pH は、水酸化カリウムを加えることで22℃にて6.8に調整する。カルシウム濃度は、0.6mM EGTAおよび様々な濃度のカルシウムを含有する緩衝システムにより制御して、1x10-4 M〜1x10-8 Mの遊離カルシウム濃度を達成する。
【0320】
このアッセイに特異的なタンパク質成分は、ウシ心臓ミオシンサブフラグメント-1(典型的には0.5μM)、ウシ心臓アクチン(14μM)、ウシ心臓トロポミオシン(典型的には3μM)、およびウシ心臓トロポニン(典型的には3〜8μM)である。1mM EGTAの存在下で測定した場合のATPアーゼ活性と、0.2mM CaCl2の存在下で測定した場合のATPアーゼ活性との間に最大差を達成するトロポミオシンおよびトロポニンの正確な濃度は、滴定により経験的に決定される。アッセイにおいて、所望のATP加水分解速度を達成するミオシンの正確な濃度も滴定により経験的に決定される。これは、各タンパク質プレパラートにおける活性分子の割合がばらついていることからプレパラート間で変わる。
【0321】
化合物用量応答は、典型的には最大ATPアーゼ活性の50%に対応するカルシウム濃度(pCa50)において測定するので、予備的な実験を行って、1x10-4 M〜1x10-8 Mの遊離カルシウム濃度に対するATPアーゼ活性の応答を試験する。その後、アッセイ混合物をpCa50(典型的には3x10-7 M)に調整する。アッセイは、最初に試験化合物の希釈シリーズを調製することで行い、各々には、カリウムPipes、MgCl2、BSA、DTT、ピルビン酸キナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ミオシンサブフラグメント-1、泡消剤、EGTA、CaCl2、および水を含むアッセイ混合物が入っている。このアッセイは、カリウムPipes、MgCl2、BSA、DTT、ATP、NADH、PEP、アクチン、トロポミオシン、トロポニン、泡消剤、および水を含む溶液の等容量を加えることで開始する。ATP加水分解は340nmにおける吸光度で追跡する。得られた用量応答曲線は、4パラメーター方程式 y = Bottom +((Top - Bottom)/(1+((EC50/X)^Hill)))で近似する。AC1.4 は、ATPアーゼ活性が用量曲線のBottom(底)よりも1.4倍高い濃度と定義される。
【0322】
化合物が心臓ミオシンを活性化する化合物の能力は、S1サブフラグメントのアクチン刺激によるATPアーゼに対する化合物の効果により評価する。アッセイにおけるアクチンフィラメントはトロポニンおよびトロポミオシンで修飾し、Ca++濃度は、最大活性の50%を生じると考えられる値に調整する。S1 ATPアーゼを、化合物の希釈系の存在下で測定する。コントロール(等容量のDMSO)の存在下で測定されたATPアーゼ速度よりも40%高い活性化に必要な化合物濃度をAC40として報告する。
【0323】
実施例 22
インビトロ短縮率アッセイ
22A. 動物
Charles River Laboratoriesの雄Sprague Dawleyラット(275〜350g)をボーラス効果およびインフュージョン実験に使用する。心不全動物は後に述べる。ラットは1ケージあたり2匹入れ、エサおよび水に自由にアクセスできるようにしておく。実験の前に最低3日の順化期間を置く。
【0324】
22B. 心エコー検査
動物をイソフルランで麻酔し、手術の間、手術平面内に保持する。中心体温を、加熱パッドを使って37℃に維持する。麻酔をしたら、動物の毛を剃り、脱毛器(hair remover)をあてて、胸部から残っている全ての柔皮毛を除去する。胸部をさらに70% ETOHで下準備し、超音波ジェルをつける。GE System Vingmed超音波システム(General Electric Medical Systems)を使用して、10 MHzプローブを胸壁上に置き、乳頭筋のレベルにおいて短軸ビューで画像を得る。左心室の2-D(二次元)M-モードの画像を、化合物ボーラスのインジェクション(注射)またはインフュージョンの前および後に撮る。インビボ短縮率[(拡張末期径−収縮末期径)/拡張末期径×100]を、GE EchoPakソフトウエアプログラムを用いたM-モード画像分析により決定する。
【0325】
22C. ボーラスおよびインフュージョンの効果
ボーラスおよびインフュージョンのプロトコルについては、短縮率は上述した心エコー検査により測定する。ボーラスおよびインフュージョンのプロトコルに対しては、5つの投薬前M-Mode画像を化合物のボーラスインジェクションまたはインフュージョンの前に30秒間隔で撮る。インジェクションの後は、M-モード画像を1分間隔および5分間隔で、その後は最大30分間隔で撮る。ボーラスインジェクション(0.5〜5mg/kg)またはインフュージョンは、尾静脈カテーテルによる。インフュージョンパラメーターは化合物の薬物速度論プロファイルから決定する。インフュージョンについては、動物に尾静脈カテーテルから1分の負荷用量、その後直ちに29分のインフュージョン用量を入れる。負荷用量は、目標濃度×定常状態分布容量を決めることで計算される。維持用量濃度は、目標濃度×クリアランス(clearance)を計算することで決める。化合物を25%キャビトロン賦形剤(cavitron vehicle)中に調剤してボーラスおよびインフュージョンのプロトコルを行う。血液サンプルを採って化合物の血漿濃度を測定する。
【0326】
実施例 23
正常動物および心不全動物の血流力学
動物をイソフルランで麻酔し、手術平面内に維持して、カテーテル挿入に備えて毛を剃る。首部を切開し、右頸動脈を除去分離する。この右頸動脈の中に2本組French Millar Micro-tip Pressure Catheter(Millar Instruments, Houston, TX)をカニューレ挿入し、大動脈を過ぎて左心室の中まで通す。化合物または賦形剤がインフュージョンされる間、拡張末期圧、最大 + / - dp/dt、収縮期圧および心拍数を連続測定する。PowerLab機とそのChart 4ソフトウエアプログラム(Adinstruments, Mountain View, CA)を用いて測定を記録・分析する。血流力学測定を選択インフュージョン濃度において行う。血液サンプルを採取して化合物の血漿濃度を測る。
【0327】
実施例 24
うっ血性心不全の左冠動脈閉塞モデル
24A. 動物
雄Sprague-Dawley CD(220〜225g;Charles River)ラットをこの実験に使用した。動物は、標準的な実験室条件下に置いて水と市販のげっ歯類用餌に自由にアクセスできるようにしておいた。部屋の温度を20〜23℃に維持し、部屋の灯かりを12/12時間・明/暗の周期においた。動物は実験の前に5〜7日この実験室環境に順応させた。動物は手術の前一晩絶食させた。
【0328】
24B. 閉塞手術
動物をケタミン/キシラジン(95mg/kgおよび5mg/kg)で麻酔し、14〜16ゲージ改良型静脈内カテーテルを挿管した。麻酔レベルを足指をピンチすることでチェックした。中心体温を加熱ブランケットを用いて37℃に維持した。手術部域をクリップ留めし、スクラブした。ラットを右側面横臥に置き、初めにピーク吸息圧10〜15cm H2Oおよび呼吸速度60〜110呼吸/分の人工呼吸器上に置いた。動物には人工呼吸器により100% O2を送達した。手術部位を手術用スクラブとアルコールでスクラブした。胸郭を4本目の肋骨と5本目の肋骨の肋間腔で切開した。下に在る筋肉を、外側胸静脈を避けるように注意しながら切り裂いて、肋間筋を露出させた。胸腔に4本目と5本目の肋骨の肋間腔から進入し、切開部を広げて心臓を目視できるようにした。心膜を開口して心臓を露出させた。テーパー状ニードル(taper needle)を用いて6-0 絹縫合糸を、左心耳の挿入部から約1mmのところに肺動脈円錐左縁と接触して存在する、左冠動脈の起点近傍のその左冠動脈の周りに通した。縫合糸を動脈の周りに縛ることで左冠動脈を閉塞させた(「LCO」)。偽(sham)ラットを、縫合糸を縛らない以外は同じに処置した。切開部を3層に閉鎖した。ラットは、自分で呼吸できるまで人工呼吸に付された。ラットから抜管し、加熱パッド上で回復させた。手術後鎮痛のためにブプレノルフィン(0.01-0.05mg/kg SQ)をラットに投与した。覚醒したら、ラットをそのケージに戻した。感染または苦痛の徴候についてラットを毎日追跡調査した。感染したまたは瀕死のラットは安楽死させた。ラットの体重を1週間に1度計った。
【0329】
24C. 薬効分析
梗塞形成術の約8週間後に、心エコー検査によって心筋梗塞の徴候についてラットを調べた。偽ラットに比べて短縮率が減っているラットだけをさらに薬効実験に利用した。全ての実験において、4つのグループ、すなわち偽+賦形剤、偽+化合物、LCL+賦形剤、およびLCL+化合物が存在した。LCLの10〜12週間後に、ラットに選択インフュージョン濃度でインフュージョンした。前と同じように、化合物をインフュージョンする前に5つの投与前M-Mode画像を30秒間隔で撮り、その後M-モード画像を30秒間隔で10分まで、その後毎分または5分間隔で撮った。このM-モード画像から短縮率を決定した。投与前短縮率と化合物処理短縮率間の比較は、ANOVAとポスドク学生Newman・Keulsによって行われた。ラットを回復させ、7〜10日内にラットに化合物を血流力学プロトコルにより再びインフュージョンして、心不全ラットにおける化合物の血流力学的変化を測った。インフュージョンの終了とともに、ラットを殺し、心臓の重量を測定した。
【0330】
実施例18〜24に述べられたようにして試験したら、式Iの化合物は所望の作用をもっていることが示された。
【0331】
本発明をその特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、当業者なら、本発明の真の精神および範囲を逸脱することなく様々な変形体をつくることができること、また等価体で置き換えることができることを理解すべきである。加えて、本発明の目的、精神および範囲に、特定の状況、物質、物質の組成物、製法、製法工程を適応させて多くの改良をなすこともできる。そのような改良の全ては本明細書に添付の特許請求の範囲の中にあるものとみなす。これまでに引用した全ての特許および文献は本明細書に参照で組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式 I:
【化1】

[式中:
R1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
R2は、置換されていてもよいアリール, 置換されていてもよいアラルキル;置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、または置換されていてもよいヘテロシクリルである]
で表わされる化合物、またはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【請求項2】
R1が式 II:
【化2】

[式中:
Xは、-O-、-O-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-O-、-S-、-S-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、-(置換されていてもよい低級アルキレン)-S-、-SO2-、-SO2-(置換されていてもよい低級アルキレン)-、または-(置換されていてもよい低級アルキレン)-SO2-であり;
YおよびZは、独立に-C=または-N=であり(但し、YまたはZのどちらか1つだけが-N=である);
R1.1は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロシクリルであり:
R1.2は、水素、ハロまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
R1.3は、水素、ハロ、置換されていてもよいヘテロアリールまたはニトロである]
で表わされる請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
次の条件の1つ以上を満たしている請求項2に記載の化合物:
Xは-O-である;
YおよびZはいずれも-C=である;
R1.1はテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、置換されていてもよい3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである;
R1.2は水素またはフルオロである;および
R1.3はピリジニルまたはフルオロである。
【請求項4】
以下:
YおよびZはいずれも-C=であり;
R1.1はテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換ピロリジニル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、置換ピペリジニル、ピリジニルまたはヒドロキシ-低級アルキル-フェニルであり;
R1.2は水素であり;かつ
R1.3はフルオロである、
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Xが-O-である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R1.1が、さらなる低級アルコキシまたは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
R1.1が、さらなる低級アルコキシまたは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
R1.1が、さらなる低級アルコキシまたは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
R1.1が、さらなる低級アルコキシまたは低級アルコキシアルキル環置換基を有していてもよい1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-アミジノ-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アシル-ピペリジン-3-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-アミジノ-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
R1.1が、1-アセチル-ピペリジン-3-イル、1-メトキシアセチル-ピペリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-カルボニル)-ピペリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-エトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-ジメチルアミノカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-イル-スルホニル)-ピペリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピペリジン-3-イル、1-(N1-アゼチジン-1-イル-N2-シアノ-アミジノ)-ピペリジン-3-イル、1-(N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノ)-ピペリジン-3-イル、1-アセチル-ピロリジン-3-イル、1-メトキシアセチル-ピロリジン-3-イル、1 (アゼチジン-1-カルボニル)-ピロリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-ピロリジン-3-イル、1-メトキシカルボニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-メタンスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-4-メトキシ-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-5-メトキシメチル-ピロリジン-3-イル、1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(アゼチジン-1-イル-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-(N1-アゼチジン-1-イル-N2-シアノ-アミジノ)-ピロリジン-3-イル、1-(N2-シアノ-N1,N1-ジメチルアミジノ)-ピロリジン-3-イル、または3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルである請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
R1.1が、1-アシル-ピロリジン-3-イル、1-スルホニル-ピロリジン-3-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-アルコキシカルボニル-ピペリジン-3-イルまたは1-スルホニル-ピペリジン-3-イルである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R1.1が、1-メトキシカルボニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イル、1-(エタン-2-スルホニル)-5-メトキシメチル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-ピロリジン-3-イル、1-ジメチルアミノスルホニル-2-メトキシメチル-ピロリジン-4-イル、3-オキソ-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イル、1-メトキシカルボニル-ピペリジン-3-イル、1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イル、または1-(エタン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R2が、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
R2が、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいピロリル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいイソオキサゾリル、置換されていてもよいピラゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピラジニル、置換されていてもよいピリミジニル、または置換されていてもよいピリダジニルである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R2が、次のもの:アセチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、カルボキシ、ハロおよびトリフルオロメチルから選択される任意的置換基1個または2個を有している請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
R2が、イソオキサゾール-3-イル、5-メチル-イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-5-イル、ピラゾール-3-イル、ピラジニル、置換フェニルまたは置換されていてもよいピリジニルである請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
R2が、
低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ヒドロキシおよびヒドロキシ低級アルキルから選択される置換基1個または2個を有しているフェニルであるか;または
アセチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルコキシカルボニル、カルボキシおよびトリフルオロメチルから選択される置換基を有していてもよいピリジン-2-イル、ピリジン-3-イルまたはピリジン-4-イルである、
請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
R2が、p-置換されていてもよいピリジン-3-イルである請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
R2が、次の群:アセチル、メチル、エチル、メトキシ、メトキシメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルの構成メンバーでp-置換されていてもよいピリジン-3-イルである請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
R2が、ピリジン-3-イルまたは6-メチル-ピリジン-3-イルである請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
R2が、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルまたは置換されていてもよいヘテロシクリルである請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
R2が、式 -W-R2.1[ここで:
WはC1〜C3直鎖または分岐鎖アルキレンであり;
R2.1はテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されていてもよいピロリジニル、置換されていてもよいモルホリニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいピリジニルまたは置換されていてもよいフェニルである]
で表わされる請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Wが、メチレンであり;
R2.1が、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、N-アシル-ピロリジン-2-イル、N-アシル-モルホリン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-4-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、置換されていてもよいピペリジニル p-メトキシ-フェニルまたはp-フルオロ-フェニルである、
請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
R2が、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、N-アシル-ピロリジン-2-イル、N-アシル-モルホリン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-3-イル、N-アシル-ピペリジン-4-イルまたはシクロヘキシルである請求項21に記載の化合物。
【請求項25】
次の群:
1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-尿素;
1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
(R)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(R)-1-[3-(1-アセチル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸ジメチルアミド;
(R)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル;
(R)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(R)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(S)-3-[3-フルオロ-5-(ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
(S)-3-[3-フルオロ-5-(2-メチル-ピリジン-5-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
(S)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(S)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(S)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(S)-1-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル;
(S)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピペリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル;および
(S)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
から選択される化合物、またはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【請求項26】
次の群:
(S)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(R)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(S)-3-[3-フルオロ-5-(2-メチル-ピリジン-5-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
(R)-3-[3-フルオロ-5-(2-メチル-ピリジン-5-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
(S)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(S)-3-[3-フルオロ-5-(ピリジン-2-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
(R)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(R)-3-[3-フルオロ-5-(ピリジン-2-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-N,N-ジメチル-N-シアノ-カルボキサミジン;
(S)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(S)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(R)-3-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(R)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[1-(メタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(プロパン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(R)-4-メトキシ]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;および
1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
から選択される化合物、またはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【請求項27】
次の群:
(S)-1-[3-(1-エタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(S)-1-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(S)-1-[3-フルオロ-5-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-3-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;
(R)-3-[3-フルオロ-5-(3-ピリジン-3-イル-ウレイド)-フェノキシ]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(R)-1-{3-フルオロ-5-[1-(エタン-2-スルホニル)-ピロリジン-3-イルオキシ]-フェニル}-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-スルホン酸ジメチルアミド;
(S)-4-{3-フルオロ-5-[3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-ウレイド]-フェノキシ}-[(S)-2-メトキシメチル]-ピロリジン-1-カルボン酸メチルエステル;
(R)-1-{3-(1-エタンスルホニル-[(S)-5-メトキシメチル]-ピロリジン-3-イルオキシ)-5-フルオロ-フェニル}-3-ピリジン-3-イル-尿素;
1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-ピリジン-3-イル-尿素;および
1-[3-フルオロ-5-(R)-(3-オキソ-(S)-テトラヒドロ-ピロロ[1,2-c]オキサゾール-6-イルオキシ)-フェニル]-3-(6-メチル-ピリジン-3-イル)-尿素;
から選択される化合物、またはその単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは医薬的に許容される塩の溶媒和物。
【請求項28】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または、医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項29】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項13に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項30】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項14に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項31】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項15に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項32】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項16に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項33】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項17に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項34】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項18に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項35】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項19に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項36】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項20に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項37】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項21に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項38】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項22に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項39】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項23に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項40】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項24に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項41】
心不全の治療を必要としている哺乳動物に、請求項25〜27のいずれか1項に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、心不全の治療方法。
【請求項42】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項43】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項13に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項44】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項14に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項45】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項15に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項46】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項16に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項47】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項17に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項48】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項18に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項49】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項19に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項50】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項20に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項51】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項21に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項52】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項22に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項53】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項23に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項54】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項24に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。
【請求項55】
医薬的に許容される賦形剤、および請求項25〜27のいずれか1項に記載の化合物、単一立体異性体、立体異性体混合物、医薬的に許容される塩、溶媒和物、または医薬的に許容される塩の溶媒和物の治療的に有効な量を含む医薬製剤。

【公表番号】特表2006−515884(P2006−515884A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500973(P2006−500973)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/001069
【国際公開番号】WO2004/064730
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(501327514)サイトキネティクス・インコーポレーテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】Cytokinetics Incorporated
【Fターム(参考)】