半導体圧力センサ及びその製造方法
【課題】半導体圧力センサの小型化に伴う性能のばらつきを抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体圧力センサの製造方法は、ポリシリコンダイヤフラム6と、その下方の真空室となるべき空間13側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗4bと、これらを内包し、犠牲層16と接するエッチング液導入孔15を有する絶縁膜群3,5,7とを含む積層構造を、犠牲層16上に形成する。そして、エッチング液を前記エッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16をエッチングすることにより積層構造を真空室上で機能するダイヤフラム体11として形成するとともに、シリコン基板1における第1絶縁膜2の第1開口2a下の表面をエッチングすることにより真空室となるべき空間13と、当該空間13中に配置され、ダイヤフラム体11の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパー12とを形成する。
【解決手段】半導体圧力センサの製造方法は、ポリシリコンダイヤフラム6と、その下方の真空室となるべき空間13側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗4bと、これらを内包し、犠牲層16と接するエッチング液導入孔15を有する絶縁膜群3,5,7とを含む積層構造を、犠牲層16上に形成する。そして、エッチング液を前記エッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16をエッチングすることにより積層構造を真空室上で機能するダイヤフラム体11として形成するとともに、シリコン基板1における第1絶縁膜2の第1開口2a下の表面をエッチングすることにより真空室となるべき空間13と、当該空間13中に配置され、ダイヤフラム体11の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパー12とを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体圧力センサ及びその製造方法に関し、特に、ポリシリコンゲージ抵抗を備える半導体圧力センサ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力センサの一形態として、半導体基板を利用した半導体圧力センサが存在している。この半導体圧力センサでは、印加された圧力に応じて抵抗が変化するゲージ抵抗となる拡散抵抗が、シリコン基板の表面上に複数形成されており、この拡散抵抗が抵抗値の低い拡散配線によってブリッジ結線されている。ゲージ抵抗は、例えば、矩形状のダイヤフラム(薄膜)の4辺のそれぞれの部分に配置される。一方、シリコン基板において、ゲージが配置される領域の反対側の面には、ダイヤフラムを形成するための凹部が形成される。特許文献1には、この種の半導体圧力センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−6824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体圧力センサにおいては、シリコン基板を所定の厚みにまで研磨した後、さらに所定のエッチングマスクを介してシリコン基板の裏面にエッチングを施すことによって、上述の凹部、つまりダイヤフラムが形成される。
【0005】
このような製造方法では、凹部下のシリコン基板の厚みが、エッチングの時間によって制御されることから、ダイヤフラムの厚みがばらつきやすいという問題があった。また、ダイヤフラムの厚みを薄くしようとしても、シリコン基板の研磨量とエッチング量のシリコン基板面内におけるばらつき量を考慮すると、その厚みは10μm程度が限界であった。また、シリコン基板のエッチングのばらつきにより、ゲージ抵抗に対して凹部の位置がずれてしまうことから高精度に小型化することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、半導体圧力センサの小型化に伴う性能のばらつきを抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体圧力センサの製造方法は、(a)半導体基板上に複数の第1開口を有する第1絶縁膜を形成する工程と、(b)前記第1絶縁膜上に、当該第1絶縁膜の前記複数の第1開口内において前記半導体基板と接する犠牲層を形成する工程とを備える。そして、(c)ポリシリコンダイヤフラムと、当該ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室となるべき空間側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗と、これらを内包し、前記犠牲層と接するエッチング液導入孔を有する絶縁膜群とを含む積層構造を、前記犠牲層上に形成する工程を備える。そして、(d)エッチング液を前記エッチング液導入孔に通じて、前記犠牲層をエッチングすることにより前記積層構造を前記真空室上で機能するダイヤフラム体として形成するとともに、前記半導体基板における前記第1絶縁膜の前記第1開口下の表面をエッチングすることにより前記真空室となるべき前記空間と、当該空間中に配置され、前記ダイヤフラム体の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパーとを形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度に膜厚、形状及び位置合わせを制御することが可能な積層構造からダイヤフラム体を形成する。したがって、半導体圧力センサの小型化に伴う性能のばらつきを抑制することができる。また、ダイヤフラムストッパーが、ダイヤフラム体において歪み易い中央付近を支持するように突出していることから、ダイヤフラム体の破壊を防止することができ、ダイヤフラム体の薄膜化、小型化が期待できる。また、ポリシリコンゲージ抵抗は、ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室側に配置されていることから、外部環境の影響を受けにくくなる。よって、信頼性の高い半導体圧力センサを得ることができる。また、エッチングにより、ダイヤフラム体での空間が犠牲層に隣接して形成されていく。したがって、エッチング液等の流れを良くすることができることから、エッチング等の工程にかかる時間を短縮することができ、半導体圧力センサの製造時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体圧力センサの回路構成を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図5】実施の形態1に係る半導体圧力センサのポリシリコン膜の厚みを説明するための図である。
【図6】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図7】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図8】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すB−B線での断面図である。
【図9】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すC−C線での断面図である。
【図10】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すD−D線での断面図である。
【図11】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すE−E線での断面図である。
【図12】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図13】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図14】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図15】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図16】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図17】実施の形態3に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図18】実施の形態3に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図19】実施の形態3に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図20】実施の形態4に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図21】実施の形態4に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図22】実施の形態5に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図23】実施の形態5に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図24】実施の形態5に係る半導体圧力センサを示すB−B線での断面図である。
【図25】実施の形態5に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図26】実施の形態5に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図27】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図28】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図29】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図30】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示すB−B線での断面図である。
【図31】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示すC−C線での断面図である。
【図32】実施の形態6に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図33】実施の形態6に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図34】実施の形態6に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図35】実施の形態6に係る半導体圧力センサの動作を示す図である。
【図36】実施の形態6に係る半導体圧力センサの動作を示す図である。
【図37】実施の形態6に係る半導体圧力センサの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る半導体圧力センサを示す平面図であり、図2は、図1に示されたA−A線における断面図である。
【0011】
本実施の形態に係る半導体圧力センサは、複数(ここでは4つ)の凹部1aが表面に形成された半導体基板であるシリコン基板1と、シリコン基板1上に形成され複数の第1開口2aを有する第1絶縁膜2と、積層構造からなるダイヤフラム体11と、第1金属層21(図1においては細い破線)と、第2金属層22(図1においては太い破線)と、ガラスコート23(図1においては細い一点鎖線)とを備える。
【0012】
ダイヤフラム体11は、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bと、これらの上側に形成されたポリシリコンダイヤフラム6と、これらを内包する第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7とからなる絶縁膜群とを含んでいる。ダイヤフラム体11は、凹部1a上の空間13を介してシリコン基板1の上側に形成されており、ダイヤフラム体11の周縁部は第1絶縁膜2に支持されている。このダイヤフラム体11は、シリコン基板1の表面側から裏面側に向かう方向(空間13に向かう方向)に、気圧などの圧力を受けると、その圧力に応じて下側に湾曲するように歪むようになっており、その歪み具合、つまり、圧力の大きさを示す電気信号を出力可能となっている。
【0013】
空間13は真空室となっており、複数の凹部1aの外側に位置する封止部22aによって封止されている。以下の説明においては、空間13を「真空室13」と呼ぶこともある。本実施の形態では、シリコン基板1の複数の凹部1aと、第1絶縁膜2の複数の第1開口2aと、ダイヤフラム体11の凹部1a側の表面とが、この真空室13(空間13)を形成している。そして、真空室13と連通するエッチング液導入孔15が、平面視(図1)においてダイヤフラム体11の外側の位置における絶縁膜群に設けられており、封止部22aによって封止されている。
【0014】
次に、本実施の形態に係る半導体圧力センサの構成要素について詳細に説明する。
【0015】
平面視(図1)において4つの凹部1aのそれぞれは、シリコン基板1表面に矩形状を有しており、縦及び横方向に2つずつ互いに離間させて配列されている。この凹部1aは、断面視(図2)においては下側に先細りの凸形状を有している。2つの凹部1a同士の間のシリコン基板1表面の高さは、第1絶縁膜2が形成されたシリコン基板1表面の高さと同じとなっており、シリコン基板1は、ダイヤフラム体11に向かう先細りの凸部1bを有している。凸部1bの先端には、絶縁膜をパターニングして第1絶縁膜2と同時に形成された先端絶縁膜2bが設けられている。
【0016】
真空室13におけるシリコン基板1には、ダイヤフラム体11の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパー12が配置されている。本実施の形態では、このダイヤフラムストッパー12は、凸部1b及び先端絶縁膜2bから構成されており、ダイヤフラム体11が外部から大きな圧力を受けて破壊されるのを防ぐ機能を有するとともに、製造時にダイヤフラム体11の第2絶縁膜2がシリコン基板1と固着するのを防ぐ機能を有する。
【0017】
本実施の形態では、ダイヤフラムストッパー12の先端部(ここでは先端絶縁膜2b)は、平面視(図1)において、4つの凹部1aの隙間に存在する十字型の形状を有している。そして、ダイヤフラムストッパー12の先端部(ここでは先端絶縁膜2b)の幅は5μm以下となっている。
【0018】
第1絶縁膜2は、シリコン基板1上に形成されており、複数の凹部1aにそれぞれ対応した複数の第1第1開口2aを有する。つまり、平面視(図1)において、複数の第1開口2aのそれぞれは、凹部1aと同様に、矩形状を有し、縦及び横方向に2つずつ配列されている。第1絶縁膜2は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)などにより形成した後パターニングして形成される。
【0019】
第2絶縁膜3は、図2に示されるように、互いに対向する封止部22aの外側では、概ね、第1絶縁膜2上に形成されているが、封止部22aの内側では、概ね、空隙14を介して第1絶縁膜2上方に形成されている。ただし、平面視(図1)に示されるアンカー17では、封止部22aの内側であっても第2絶縁膜3と第1絶縁膜2とが互いに接するように形成されている。つまり、第2絶縁膜2は、ダイヤフラム体11の周縁部(アンカー17)において第1絶縁膜2に支持されている。第2絶縁膜3は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVDにより形成した後パターニングして形成される。
【0020】
断面視(図2)において、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bは第2絶縁膜3上に形成されている。平面視(図1)においてポリシリコン配線4aは、上述のダイヤフラムストッパー12の先端部の十字型とほぼ同じ形状によって4つに区分されており、縦及び横方向に隣接するポリシリコン配線4a同士は、それぞれ、ポリシリコンゲージ抵抗4bを介して接続されている。4つのポリシリコン配線4aの全体の形状は、4隅のそれぞれにおいて外側に少し張り出した張出部4aaを有する略矩形状となっている。
【0021】
平面視(図1)において4つのポリシコンゲージ抵抗4bのそれぞれは、左右方向に延在するように形成されており、これらは互いに同サイズに形成される。本実施の形態では、横方向に隣接するポリシリコン配線4aを接続する2つのポリシリコンゲージ抵抗4baは、ダイヤフラム体11の中央付近において形成されており、縦方向に隣接するポリシリコン配線4aを接続する2つのポリシリコンゲージ抵抗4bbは、ダイヤフラム体11の互いに対向する二つのエッジ付近にそれぞれ形成されている。そして、4つのポリシリコンゲージ抵抗4bは、後述するホイートストンブリッジ回路を形成するように、ポリシリコン配線4aによってブリッジ結線されている。これらポリシリコンゲージ抵抗4bは、ピエゾ抵抗効果及び抵抗値が最適値となるように、ポリシリコンにB(ボロン)やP(リン)などの不純物注入が行われた後、アニールが行われて形成される。なお、本実施の形態では、ポリシリコンゲージ抵抗4bは、Bが注入されたp型のゲージ抵抗であるものとする。
【0022】
断面視(図2)において第3絶縁膜5は、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4b上、及びこれらの側面に形成されている。この第3絶縁膜5は、図1に示されるポリシリコン配線4aの張出部4aa上においてポリシリコン配線4aを露出する開口たるポリシリコン配線コンタクト部分5aを複数有する。このポリシリコン配線コンタクト部分5a内のポリシリコン配線4a上には第1金属層21(細い破線)が形成されている。なお、第3絶縁膜5は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVDにより形成した後パターニングして形成される。
【0023】
断面視(図2)においてポリシリコンダイヤフラム6は、第3絶縁膜5上に形成される。このポリシリコンダイヤフラムは、例えばドープドポリシリコンで形成されている。
【0024】
断面視(図2)において第4絶縁膜7は、ポリシリコンダイヤフラム6上及びその側面に形成されている。この第4絶縁膜7は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVDにより形成した後パターニングして形成される。
【0025】
第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7(絶縁膜群)には、図2に示されるように、空隙14を介して空間13と連通するエッチング液導入孔15が設けられている。このエッチング液導入孔15内には、第2金属層22の一部が封止部22aとして充填されている。
【0026】
第2金属層22は、ポリシリコン配線コンタクト部分5a上と、当該ポリシリコン配線コンタクト部分5aと平面視(図1)において縦方向に隣接するエッチング液導入孔15上と、当該ポリシリコン配線コンタクト部分5aと平面視(図1)において横方向に隣接するエッチング液導入孔15上とに亘って形成されている。この第2金属層22は、ポリシリコン配線コンタクト部分5a内に形成された第1金属層21と接することによりポリシリコンゲージ抵抗4bをブリッジ結線する。また、第2金属層22は、上述したようにエッチング液導入孔15に充填されることにより空間13を真空封止する。この第2金属層22の材質には、例えば、Al(アルミニウム)が用いられる。
【0027】
第2金属層22上には、第2金属層22を保護するガラスコート23が形成されている。なお、ガラスコート23は、ポリシリコンダイヤフラム6の形状と等しい開口を有するとともに、ポリシリコン配線コンタクト部分5a及びエッチング液導入孔15に関し、ポリシリコンダイヤフラム6と反対側において、第2金属層22を露出する開口23aを有している。この開口23a内の第2金属層22は、電極パッド22bとして用いられる。
【0028】
次に、以上の構成からなる本実施の形態に係る半導体圧力センサの動作について説明する。この半導体圧力センサにおいて、ダイヤフラム体11に圧力が印加されると、ダイヤフラム体11がその圧力に応じて歪み、ダイヤフラム体11に含まれるポリシリコンゲージ抵抗4bの抵抗値が、その歪みに応じて変化する。
【0029】
図3は、上述の4つのポリシリコンゲージ抵抗4bが、ポリシリコン配線4aによってブリッジ結線されている様子を示す図である。ここでは、図1に示したダイヤフラム体11中央側の二つのポリシリコンゲージ抵抗4baは抵抗R1,R3を有するものとし、ダイヤフラム体11エッジ側の二つのポリシリコンゲージ抵抗4bbは抵抗R2,R4を有するものとする。
【0030】
図3においては、抵抗R1〜R4のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbはホイートストンブリッジ回路を構成しており、抵抗R1及び抵抗R2のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点と、抵抗R3及び抵抗R4のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点との間には、入力電圧Vin(=5V)が印加されている。
【0031】
この場合において、抵抗R1及び抵抗R4のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点と、抵抗R2及び抵抗R3のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点との間における出力電圧をVoutとすると、Vout=(R2/(R2+R3)−R1/(R1+R4))×Vinとなる。ダイヤフラム体11に圧力が加わっていない初期状態(例えばR1=R2=R3=R4=100Ω)である場合には、Vout=0Vとなる。
【0032】
さて、ポリシリコンゲージ抵抗4bは、その電流が流れる方向に対して垂直方向に応力を受けた場合には、その抵抗値はほとんど変化しないが、その電流が流れる方向に応力を受けた場合には、その抵抗値は変化する。
【0033】
ここで、ダイヤフラム体11に圧力が印加されると、ダイヤフラム体11の中央部分が下側に凸となるように歪む。この場合に、ポリシリコンダイヤフラム6中央においてその下側に設けられたp型のポリシリコンゲージ抵抗4baは、電流方向と同方向に引張応力を受けることから、その抵抗値が+側に変化し、その一方で、ポリシリコンダイヤフラム6エッジにおいてその下側に設けられたp型のポリシリコンゲージ抵抗4bbは、電流方向と同方向に圧縮応力を受けることから、その抵抗値が−側に変化する。
【0034】
例えば、ダイヤフラム体11に1atm(0.098MPa)の圧力が印加された場合の抵抗変化率が、ΔR1/R1=ΔR3/R3=+1%であり、ΔR2/R2=ΔR4/R4=−1%であるとすると、出力電圧Vout=(99/(99+101)−101/(101+99))×=50mVとなる。この出力電圧Voutの大きさは、ダイヤフラム体11に印加された圧力の大きさに応じて変化することから、ダイヤフラム体11は、ダイヤフラム体11に印加された圧力を示す出力電圧を発生するものとなっている。
【0035】
さて、一般に、半導体圧力センサの性能は、ダイヤフラム体11の面積及び厚みにより決定される。したがって、半導体圧力センサを小型化するためには、これらがばらつかないことが重要である。
【0036】
ここで、本実施の形態においては、ダイヤフラム体11の面積は、実質的にポリシリコンダイヤフラム6をアンカー17で支えた面積で決まり、また、ダイヤフラム体11の厚みは、実質的にポリシリコンダイヤフラム6のCVDデポ膜厚で決まる。そして、このポリシリコンダイヤフラム6が、面積及び厚みのばらつき、及び、積層構造の層の位置ずれを抑制することが可能な積層構造から形成される。したがって、本実施の形態では、半導体圧力センサを小型化しても、その性能のばらつきを抑制することが可能となっている。
【0037】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサでは、ダイヤフラムストッパー12が形成されているため、プロセス中などに過度な圧力が加わった場合でもダイヤフラム体11の破壊を防止することができる。したがって、ポリシリコンダイヤフラム6の薄膜化を容易に行うことができる。
【0038】
図4は、図2に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程の一部を示す断面図である。次に、この図4を用いて、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について説明する。
【0039】
まず、後工程においてエッチング液による結晶異方性エッチングを行うことができるように、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。
【0040】
そして、シリコン基板1の当該主面上に複数の第1開口2aを有する第1絶縁膜2を形成する。本実施の形態では、シリコン基板1の当該主面上に、熱酸化膜を0.1〜1.0μm程度成膜するか、または、TEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1〜1.0μm程度デポした後、当該膜に複数の第1開口2aを形成するパターニングを行って第1絶縁膜2を形成する。この際、第1開口2a同士の幅は5μm以下とする。
【0041】
次に、第1絶縁膜2上に、当該第1絶縁膜2の複数の第1開口2a内においてシリコン基板1と接する犠牲層16(図1においては二点鎖線)を形成する。本実施の形態では、第1絶縁膜2上にドープドポリシリコン膜をCVDによって0.1〜0.4μm程度デポした後、当該膜にパターニングを行って犠牲層16を形成する。後で詳細に説明するように、この犠牲層16はTMAHなどの結晶方位異存性のエッチング液によって除去され、その際にシリコン基板1の第1開口2a下側の部分も同エッチング液によって除去されることにより、上述の空間13及び空隙14が形成される。なお、本実施の形態では、犠牲層16は、平面視(図1)において二点鎖線で示される略矩形状を有し、その外周よりも少し内側において、アンカー17が形成される複数の開口16a(矩形状の二点鎖線)を有する。
【0042】
その後、ポリシリコンダイヤフラム6と、当該ポリシリコンダイヤフラム6の下方の真空室となるべき空間13側に形成されたポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bと、これらを内包する絶縁膜群とを含む積層構造を、犠牲層16上に形成する。以下、この積層構造の形成について説明する。
【0043】
本実施の形態では、犠牲層16上と、当該犠牲層16が形成されていない第1絶縁膜2上とに、TEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1〜0.3程度μmデポした後、当該膜にパターニングして第2絶縁膜3を形成する。なお、犠牲層16の開口16a内においては、第1絶縁膜2と第2絶縁膜3とが接することにより、アンカー17が形成される。
【0044】
それから、第2絶縁膜3上に、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bとなるポリシリコン膜を0.1〜0.3程度μmデポした後、当該膜にパターニングを行う。なお、ポリシリコン配線4aを形成するためのパターンは、できるだけ配線抵抗値が低くなるようにすること、及び、ポリシリコンダイヤフラム6への応力の影響を考慮して、ポリシリコンダイヤフラム6のほぼ全面に対称に形成する。なお、ここで形成されるポリシリコン膜の厚みは0.15μm程度にすることが好ましいが、このことについては後述する。
【0045】
次に、ポリシリコン膜上及びその側面に、TEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1μm程度デポして、第3絶縁膜5を形成する。それから、ポリシリコン膜にBなどのp型の不純物を注入することにより、第2絶縁膜3上、かつ、第3絶縁膜5下にポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bを形成する。その後、アニールが行われる。
【0046】
図5は、ポリシリコンゲージ抵抗4bの表面ボロン濃度に対する抵抗変化率を示す図である。この図では、ポリシリコンゲージ抵抗4bとなるポリシリコンの厚みが、0.05、0.15、0.45μmの場合について調べた結果が示されている。図に示されるように、その厚みが0.15μmである場合に、抵抗変化率と表面ボロン濃度の間に対数近似の関係が成り立ち、かつ、ばらつきが小さくなる。したがって、抵抗R1〜R4のポリシリコンゲージ抵抗4b(上述のポリシリコン膜)の厚みは、0.15μm程度、具体的には0.1〜0.3μmにすることが好ましい。これにより、ピエゾ抵抗効果が高く、ばらつきが小さいポリシリコンゲージ抵抗4bを得ることができる。
【0047】
その後、第3絶縁膜5をパターニングして、ポリシリコン配線4aの張出部4aa上に、複数のポリシリコン配線コンタクト部分5a(開口)を形成する。そして、各ポリシリコン配線コンタクト部分5a内に、ポリシリコン配線4aと第2金属層22とを接続するための第1金属層21を形成する。なお、この第1金属層21は、後工程において犠牲層16をエッチング液でエッチングする際に、ポリシリコン配線4aがエッチングされるのを防ぐ保護機能も兼ねる。
【0048】
次に、第3絶縁膜5上に、ポリシリコンダイヤフラム6となるドープドポリシリコン膜をCVDによって0.3〜2.0μm程度の膜厚にデポし、その膜にパターニングを行って、ポリシリコンダイヤフラム6を形成する。その後、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bに注入したBなどの不純物の活性化、及び、ポリシリコンダイヤフラム6の応力制御を行うために、1000℃以上で高温の熱処理を行う。
【0049】
それから、ポリシリコンダイヤフラム6上及びその側面に、第4絶縁膜7となるTEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1〜0.3μm程度デポして、パターニングする。こうして、犠牲層16上に、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bと、ポリシリコンダイヤフラム6と、これらを内包する絶縁膜群(第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7)とを含む積層構造が形成される。
【0050】
その後、当該絶縁膜群をパターニングして、犠牲層16と接するエッチング液導入孔15を形成する。なお、ここでは、第2〜第4絶縁膜3,5,7を積層してから当該絶縁膜群にエッチング液導入孔15を形成したが、これに限ったものではなく、各絶縁膜のパターニングごとに開口を形成することによりエッチング液導入孔15を形成してもよい。
【0051】
それから、Alなどの金属を腐食させないTMAHなどの特殊なエッチング液を、エッチング液導入孔15に通じて犠牲層16を等方性にエッチングすることにより、上述の積層構造を、真空室13上で機能するダイヤフラム体11として形成する。本実施の形態では、この犠牲層16のエッチングが開始してからしばらくすると、エッチング液導入孔15に通じていたエッチング液が、第1絶縁膜2の第1開口2aにも通じてシリコン基板1と接触するようになる。その結果、同エッチング液により、シリコン基板1における第1絶縁膜2の第1開口2a下の表面が異方性にエッチングされることになり、真空室となるべき空間13と、当該空間13中に配置され、ダイヤフラム体11の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパー12とが形成される。
【0052】
ここで、本実施の形態では、シリコン基板1での第1絶縁膜2が形成される表面の結晶方位は、(100)となっている。したがって、シリコン基板1の異方性エッチングは(111)面の重なった時点で実質的にストップすることから、エッチング時間が何らかの理由により長くなったとしても、エッチングが必要以上に進行するのを抑制することができる。
【0053】
また、本実施の形態ではポリシリコン配線4a、ポリシリコンゲージ抵抗4b、及び、ポリシリコンダイヤフラム6等を覆う第1〜第4絶縁膜2,3,5,7の材質は、TMAHに対してほとんどエッチングされないHTOやTEOSであることから、その厚さが0.1μm程度であっても十分に耐性を有している。よって、ポリシリコン配線4a等をエッチング液から保護することができる。なお、図1に示されるアンカー17では、エッチング後においても、第1絶縁膜2と第2絶縁膜3とが互いに接触された状態が維持され、このアンカー17の配置がダイヤフラムサイズを決定する。このダイヤフラムサイズ及びアンカー17とポリシリコンゲージ抵抗4bの重ね合わせ精度は、表面側のアライメント精度で決定され、このアライメント精度は高精度であることから、当該重ね合わせ精度を高精度に形成することができる。
【0054】
犠牲層16等のエッチング後、これまでの工程によって得られた構造物は、水洗され、乾燥される。この際、ダイヤフラムストッパー12は、ダイヤフラム体11とシリコン基板1とが固着するのを防止する。
【0055】
その後、第1金属層21と接し、かつ、エッチング液導入孔15内に充填されて空間13を真空封止するとともに、電極パッド22bとして機能する第2金属層22を形成する。本実施の形態では、この工程においてポリシリコンダイヤフラム6下側の空間13を真空にすべく、真空雰囲気下において、Alからなる第2金属層22を、スパッタまたは蒸着により0.5〜10μm程度デポして、エッチング液導入孔15に充填する。この際、第2金属層22をポリシリコン配線コンタクト部分5a内において第1金属層21とコンタクトさせる。そして、第2金属層22をパターニングする。
【0056】
最後に、第2金属層22を保護するガラスコート23をプラズマCVDで0.5〜1.0μmデポし、電極パッド22aを露出する開口23aを有するようにパターニングする。なお、ウェハ厚みを薄くする場合は、第4絶縁膜7を形成した後に、ウェハを薄くする処理を実施する。
【0057】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、高精度に膜厚、形状及び位置合わせを制御することが可能な積層構造からダイヤフラム体11を形成する。したがって、半導体圧力センサの小型化に伴う性能のばらつきを抑制することができる。また、ダイヤフラムストッパー12が、ダイヤフラム体11において歪み易い中央付近を支持するように突出することから、ダイヤフラム体11の破壊を防止することができるとともに、ダイヤフラム体11の薄膜化、小型化が期待できる。また、ポリシリコンゲージ抵抗4bは、ポリシリコンダイヤフラム6の下方の真空室(空間13)側に配置されていることから、外部環境の影響を受けにくくなる。よって、信頼性の高い半導体圧力センサを得ることができる。また、エッチング液を用いたエッチングを1回行うだけで、真空室となるべき空間13が形成される。ここで、空間13は犠牲層16に隣接して形成されていくことから、エッチング液、洗浄水及び空気等が流れる流路の断面積を大きくすることができる。したがって、エッチング液、洗浄水及び空気等の流れを良くすることができることから、エッチング、水洗、乾燥等の工程にかかる時間を短縮することができ、半導体圧力センサの製造時間を短縮することができる。
【0058】
また、ポリシリコンダイヤフラム6には、例えば犠牲層16エッチング用のエッチングホールが形成されておらず、第2金属層22及びガラスコート23の形成はアンカー17の途中までに留めている。そして、ダイヤフラム体11は、均一でかつ膜厚が薄い積層構造から形成されている。したがって、均一性が良いダイヤフラム体11を形成することができるとともに、金属層22等がダイヤフラム体11に与える膜応力を低減することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、第2金属層22は、ポリシリコン配線コンタクト部分5a内において第1金属層21と接して形成されており、空間13を真空封止するとともに、電極パッド22bとして機能する。したがって、第1金属層21の結線や空間13の封止等を同時に行うことができることから、プロセス工程数を少なくすることができる。よって、半導体圧力センサの製造を簡素化することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、ダイヤフラムストッパー12の先端部は、平面視において十字型の形状を有する。したがって、ダイヤフラム体11の破壊を確実に防止することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、ダイヤフラムストッパー12の先端部の幅は5μm以下となっている。したがって、犠牲層16のエッチングの後にダイヤフラム体11がダイヤフラムストッパー12に固着するのを低減することができる。
【0062】
<実施の形態2>
図6は本発明の実施の形態2に係る半導体圧力センサの平面図であり、図7〜図11は、それぞれ、図6に示されたA−A線〜E−E線における断面図である。また、図12〜16は、それぞれ、図7〜図11に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態2に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態1に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0063】
図6、図9及び図11に示されるように、本実施の形態に係る半導体圧力センサにおいては、第1絶縁膜2は、平面視(図6)において、複数の第1開口2aより外側に形成され、エッチング液導入孔15と連通する複数の第2開口2cをさらに有している。そして、第2開口2cと隣接するV字形状の小流路31(第1流路)が、空間13の一部としてシリコン基板1に形成されている。本実施の形態では、エッチング液等が当該小流路31を通ることから、エッチング液等の流れを実施の形態1よりも良くすることが可能となっている。
【0064】
以下、このような本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について説明する。まず、実施の形態1と同様に、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。
【0065】
そして、実施の形態1と同様にして、シリコン基板1の当該主面上に第1絶縁膜2を形成する。ただし、本実施の形態では、第1絶縁膜2は、複数の第1開口2aを有するだけでなく、平面視(図6)において、第1開口2aより外側に形成された複数の第2開口2cを有している。具体的には、複数の第2開口2cは、複数のアンカー17同士の間にそれぞれ形成されている。
【0066】
次に、実施の形態1と同様にして、第1絶縁膜2上に犠牲層16を形成する。ただし、本実施の形態では、犠牲層16は、複数の第1開口2a内においてシリコン基板1と接するだけでなく、複数の第2開口2c内においてもシリコン基板1と接している。
【0067】
それから、実施の形態1と同様にして、犠牲層16上に上述の積層構造を形成する。ただし、本実施の形態では、絶縁膜群(第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7)のエッチング液導入孔15は、第1絶縁膜2の複数の第2開口2cと連通している。
【0068】
この状態で、実施の形態1と同様に、エッチング液をエッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16を等方性にエッチングすると、積層構造からダイヤフラム体11が形成されるとともに、空間13、空隙14及びダイヤフラムストッパー12が形成される。本実施の形態では、この際に、エッチング液導入孔15に通じていたエッチング液が、第1絶縁膜2の第2開口2cにも通じてシリコン基板1と接触するようになる。その結果、シリコン基板1における第2開口2c下の表面が異方性にエッチングされることになり、小流路31が空間13の一部としてシリコン基板1に形成されていく。その後、実施の形態1と同様にして、第2金属層22により空間13を真空封止した後、ガラスコート23を形成する。
【0069】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、犠牲層16のエッチングの際に小流路31が形成される。これにより、エッチング液等が通る流路のうち、実施の形態1では断面積が小さかった部分(図9に示される空間13とエッチング液導入孔15との間の部分)の断面積を大きくすることができる。したがって、エッチング液等の流れを良くすることができることから、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、それ以外については実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
なお、図6及び図9に示されるように、本実施の形態では、シリコン基板1は、真空室13(ここでは小流路31)と隣接する面に結晶方位(111)面を有している。この場合に、その面の端部が、平面視においてエッチング液導入孔15と重なるようにすれば、エッチング液等が通る流路の断面積を大きくすることができる。よって、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、第2金属層22(封止部22a)による封止性も向上させることができる。
【0071】
<実施の形態3>
図17は本発明の実施の形態3に係る半導体圧力センサの平面図であり、図18は図17に示されたA−A線における断面図である。また、図19は、図18に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態3に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態2に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0072】
図17及び図19に示されるように、本実施の形態に係る半導体圧力センサにおいては、第1絶縁膜2の第1開口2aは、平面視において外側に突出し、エッチング液導入孔15と連通する突出部分2dを有している。そして、突出部分2dと隣接する中流路32(第2流路)が、空間13の一部としてシリコン基板1に形成されている。本実施の形態では、エッチング液等が中流路32を通ることから、エッチング液等の流れを実施の形態2よりも良くすることが可能となっている。
【0073】
以下、このような本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について説明する。まず、実施の形態2と同様に、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。
【0074】
そして、実施の形態2と同様にして、シリコン基板1の当該主面上に第1絶縁膜2を形成する。ただし、本実施の形態では、第1絶縁膜2の第1開口2aは、平面視(図17)において外側に突出する突出部分2dを有している。具体的には、突出部分2dは、複数のアンカー17同士の間に形成されている。
【0075】
次に、実施の形態2と同様にして、第1絶縁膜2上に犠牲層16を形成する。
【0076】
それから、実施の形態2と同様にして、犠牲層16上に上述の積層構造を形成する。ただし、本実施の形態では、絶縁膜群(第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7)のエッチング液導入孔15は、第1開口2aの突出部分2dと連通している。
【0077】
この状態で、実施の形態2と同様に、エッチング液をエッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16を等方性にエッチングすると、積層構造からダイヤフラム体11が形成されるとともに、空間13,空隙14,ダイヤフラムストッパー12及び小流路31が形成される。本実施の形態では、この際に、エッチング液導入孔15に通じていたエッチング液が、第1開口2aの突出部分2dにも通じてシリコン基板1と接触するようになる。その結果、シリコン基板1における突出部分2d下の表面が異方性にエッチングされることになり、中流路32が空間13の一部としてシリコン基板1に形成されていく。その後、実施の形態2と同様にして、第2金属層22により真空封止された後、ガラスコート23を形成する。
【0078】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、犠牲層16のエッチングの際に中流路32が形成される。これにより、エッチング液等が通る流路のうち、実施の形態2では断面積が小さかった部分(図18に示される空間13とエッチング液導入孔15との間の部分)の断面積を大きくすることができる。したがって、エッチング液等の流れを良くすることができることから、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、それ以外については実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0079】
なお、実施の形態2と同様に、本実施の形態では、シリコン基板1は、真空室13(ここでは中流路32)と隣接する面にも結晶方位(111)面を有している。この場合に、その面の端部が、平面視においてエッチング液導入孔15と重なるようにすれば、エッチング液等が通る流路の断面積を大きくすることができる。よって、半導体圧力センサの製造時間を短縮することができるとともに、第2金属層22(封止部22a)による封止性も向上させることができる。
【0080】
また、本実施の形態のように中流路32を形成すると、エッチング液の流れが良くなりすぎて、サイドエッチングレートが速くなり、その結果、シリコン基板1に設計通りのパターンを形成することが困難になる可能性がある。そこで、本実施の形態では、第1絶縁膜2の第1開口2a内に、犠牲層16等のエッチングの際にシリコン基板1のサイドエッチングを抑制するサイドエッチング防止用補償パターンである中流路補償パターン2eが設けられている。したがって、シリコン基板1でのサイドエッチングを抑制することができ、設計通りのパターン(所望のパターン)を形成することができる。なお、本実施の形態では、中流路補償パターン2eは、絶縁膜をパターニングして第1絶縁膜2と同時に形成される。
【0081】
また、本実施の形態のように、結晶異方性エッチングにおいてエッチングパターンが矩形以外の場合には、そのエッチングで得られる形状は複雑化する。したがって、最終的な形状が予測困難である場合などには、実施の形態2のように小流路31のみを形成してもよい。
【0082】
<実施の形態4>
図20及び図21は本発明の実施の形態4に係る半導体圧力センサの平面図である。以下、本実施の形態に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態3に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態3と異なる部分を中心に説明する。
【0083】
図20及び図21に示されるように、本実施の形態では、シリコン基板1の上述の表面には、複数の凹部1aの代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの凹部1aが形成されている。そして、第1絶縁膜2は、複数の第1開口2aの代わりに、これらを部分的に結合してなる第3開口2fを有している。具体的には、図20に示される第1絶縁膜2は、縦方向に隣接する2つの第1開口2aの代わりに、これらを部分的に結合してなる第3開口2fを有しており、図21に示される第1絶縁膜2は、縦または横方向に隣接する4つの第1開口2aの代わりに、これらを部分的に結合してなる第3開口2fを有している。
【0084】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法においては、上述の犠牲層16のエッチングの際に、犠牲層16に沿って形成されていく、エッチング液等が通る流路を大きくすることができる。つまり、大流路33を形成することができることから、エッチング液等の流れを良くすることができる。よって、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、それ以外については実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、本実施の形態のように面積が大きい第3開口2fを形成すると、エッチング液の流れが良くなりすぎて、サイドエッチングレートが速くなり、その結果、シリコン基板1に設計通りのパターンを形成することが困難になる可能性がある。そこで、本実施の形態では、第3開口2f内に、犠牲層16等のエッチングの際にシリコン基板1のサイドエッチングを抑制するサイドエッチング防止用補償パターンである大流路補償パターン2gが設けられている。したがって、シリコン基板1でのサイドエッチングを抑制することができ、設計通りのパターン(所望のパターン)を形成することができる。なお、本実施の形態では、大流路補償パターン2gは、絶縁膜をパターニングして第1絶縁膜2と同時に形成される。
【0086】
また、本実施の形態のように、結晶異方性エッチングにおいてエッチングパターンが矩形以外の場合には、そのエッチングで得られる形状は複雑化することから、最終的な形状が予測困難である場合などには、実施の形態2のように小流路31のみを形成してもよい。
【0087】
<実施の形態5>
図22は本発明の実施の形態5に係る半導体圧力センサの平面図であり、図23及び図24は、それぞれ、図22に示されたA−A線及びB−B線における断面図である。また、図25及び図26は、それぞれ、図23及び図24に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態5に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態2に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0088】
図22〜図26に示されるように、ダイヤフラム体11(積層構造)は、上述の絶縁膜群に内包され、平面視(図22)においてポリシリコン配線4a、ポリシリコンゲージ抵抗4b、ポリシリコンダイヤフラム6及びアンカー17と離間してその外側に形成された外枠部6aをさらに含んでいる。なお、外枠部6aは、第3絶縁膜5上において第4絶縁膜7により覆われており、本実施の形態では、ドープドポリシリコン膜をパターニングしてポリシリコンダイヤフラム6と同時に形成される。
【0089】
そして、エッチング液導入孔15及び第2金属層22は、平面視(図22)において外枠部6aから外側に形成され、ガラスコート23も、平面視(図22)において外枠部6aから外側に形成されている。
【0090】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、ダイヤフラム体11におけるポリシリコンダイヤフラム6及びアンカー17上には、ダイヤフラム体11に応力を多少与える第2金属層22及びガラスコート23が被らないようになっている。したがって、それらの膜応力を低減することができることから、高精度の半導体圧力センサを得ることができる。それ以外については実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0091】
<実施の形態6>
図27及び図28は本発明の実施の形態6に係る半導体圧力センサの平面図であり、図29〜図31は、それぞれ、図27及び図28に示されたA−A線〜C−C線における断面図である。なお、図27に示される右端と図28に示される左端とは、X−X線において連続している。また、図32〜図34は、それぞれ、図29〜図31に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態6に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態2に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0092】
図27及び図28に示されるように、本実施の形態に係る半導体圧力センサは、実施の形態2において説明した半導体圧力センサを、第1及び第2部分圧力センサ41,42として備えている。この第1及び第2部分圧力センサ41,42のそれぞれは、これまで説明した1つの半導体圧力センサとほぼ同様に構成されており、1つのポリシリコンダイヤフラム6を有している。
【0093】
本実施の形態において、第1部分圧力センサ41は、上述の4つのp型のポリシリコン配線4aの代わりに、横方向に隣接する2つのp型のポリシリコン配線4ap1と、横方向に隣接する2つのn型のポリシリコン配線4an1とを有している。そして、第1部分圧力センサ41は、上述の4つのp型のポリシリコンゲージ抵抗4bの代わりに、互いに異なる導電型(p型及びn型)を有する2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bn1を有している。この2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bn1は、第1部分圧力センサ41のポリシリコンダイヤフラム6の中央付近において自身の長手方向(電流が流れる方向)が互いに平行となるように対称配置されている。そして、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1は、2つのp型のポリシリコン配線4ap1同士を接続しており、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1は、2つのn型のポリシリコン配線4an1同士を接続している。
【0094】
同様に、第2部分圧力センサ42は、上述の4つのp型のポリシリコン配線4aの代わりに、横方向に隣接する2つのp型のポリシリコン配線4ap2と、横方向に隣接する2つのn型のポリシリコン配線4an2とを有している。そして、第2部分圧力センサ42は、上述の4つのp型のポリシリコンゲージ抵抗4bの代わりに、互いに異なる導電型(p型及びn型)を有する2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp2,4bn2を有している。この2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp2,4bn2は、第2部分圧力センサ42のポリシリコンダイヤフラム6の中央付近において自身の長手方向(電流が流れる方向)が互いに平行となるように対称配置されている。そして、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp2は、2つのp型のポリシリコン配線4ap2同士を接続しており、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn2は、2つのn型のポリシリコン配線4an2同士を接続している。
【0095】
また、第1部分圧力センサ41のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bn1と、第2部分圧力センサ42のポリシリコンゲージ抵抗4bp2,4bn2とは、図3に示したホイートストンブリッジ回路を構成している。このホイートストンブリッジ回路において、第1部分圧力センサ41のp型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1の両端は、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2の一端とそれぞれ接続されており、第2部分圧力センサ42のp型のポリシリコンゲージ抵抗4bp2の両端は、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2の他端とそれぞれ接続されている。換言すれば、上述のホイートストンブリッジ回路において、第1部分圧力センサ41のn型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1の両端は、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2の一端とそれぞれ接続されており、第2部分圧力センサ42のn型のポリシコンゲージ抵抗4bn2の両端は、p型のポリシコンゲージ抵抗4bp1,4bp2の他端とそれぞれ接続されている。
【0096】
なお、本実施の形態では、部分圧力センサ41と部分圧力センサ42とは互いに同一のパターンで形成されている。したがって、半導体圧力センサのパターン作成を容易化することができる。また、本実施の形態では、ポリシリコン配線4ap1,4an1,4ap2,4an2のパターンは対称に形成されていることから、半導体圧力センサを容易に高精度化することができる。
【0097】
次に、以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について、実施の形態2と異なる工程を中心に説明する。まず、実施の形態2と同様に、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。そして、実施の形態2と同様にして、シリコン基板1の当該主面上に第1絶縁膜2を形成し、その後、第1絶縁膜2上に犠牲層16を形成する。
【0098】
それから、上述の積層構造を形成する。ここで、本実施の形態では、第2絶縁膜3と第3絶縁膜5との間に形成されたポリシリコン膜に、Bなどのp型の不純物を選択的に注入することにより、p型のポリシリコン配線4ap1,4ap2及びポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2を形成し、同ポリシリコン膜にPなどのn型の不純物を選択的に注入することにより、n型のポリシリコン配線4an1,4an2及びポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2を形成する。このときの不純物の濃度は、ピエゾ抵抗効果及び抵抗値が最適値となるように調整される。その後、実施の形態2と同様にして、アニール等が行われ、積層構造が形成される。
【0099】
それから、実施の形態2と同様にして、エッチング液をエッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16等をエッチングし、第2金属層22により真空封止された後、ガラスコート23を形成する。
【0100】
次に、以上の構成からなる本実施の形態に係る半導体圧力センサの効果について説明する。
【0101】
図35は、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2において、長手方向(電流が流れる方向)と引張応力の印加方向との間の角度と、その抵抗値の変化率との関係を示す図であり、図36は、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2における同様の関係を示す図である。これらの図に示される横軸において、0°は長手方向(電流が流れる方向)と同じ方向に引張応力が印加されていることを示し、90°は、長手方向(電流が流れる方向)に対して垂直方向に引張応力が印加されていることを示す。
【0102】
これら図35,36から明らかなように、長手方向と同じ方向に引張応力が印加されている場合には、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2の抵抗値は−側に変化し、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2の抵抗値は+側に変化する。したがって、引張応力及び圧縮応力がそれぞれ印加される上述の半導体圧力センサとは異なり、本実施の形態に係る半導体圧力センサでは、ポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2,4bn1,4bn2に引張応力のみ印加されれば、上述の半導体圧力センサと同様の動作を行うことができる。その結果、本実施の形態では、次に説明するように、半導体圧力センサの感度を向上させることが可能となっている。
【0103】
図37は、ダイヤフラム体11(ポリシリコンダイヤフラム6)が圧力を受けた場合に、ダイヤフラム体11(ポリシリコンダイヤフラム6)での各位置に生じる応力の大きさを示す図である。この図に示される横軸において、0μmはダイヤフラム体11のエッジ付近での位置を示し、100μmはダイヤフラム体11の中央付近での位置を示す。また、縦軸において、正の値である場合には圧縮応力が生じていることを示し、負の値である場合には引張応力が生じていることを示している。
【0104】
この図に示されるように、ダイヤフラム体11に同じ圧力が印加される場合であっても、中央付近に印加される引張応力の絶対値は、エッジ付近に印加される圧縮応力の絶対値よりも大きい。また、中央付近において位置が少しずれたときの引張応力の値の変化は、エッジ付近において位置が少しずれたときの圧縮応力の値の変化よりも小さい。
【0105】
ここで、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法では、上述したように、ポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2,4bn1,4bn2は、引張応力のみ印加されれば動作するものとなっており、中央付近に配置されている。したがって、半導体圧力センサの感度を向上させることができる。また、ポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2,4bn1,4bn2の配置位置が設計から多少ずれたとしても、それに伴う応力の変化は小さいことから、半導体圧力センサの性能のばらつきを抑制することができる。それ以外については実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0106】
なお、本実施の形態では、2個の部分圧力センサ41,42を備えるため、チップサイズは多少大きくなるが、ダイヤフラムサイズは、例えば一辺が30〜200μmの正方形の面積程度であり、十分に小さいことからその影響はほとんどないと考えられる。
【0107】
なお、図35及び図36に示されるように、n型及びp型のポリシリコンゲージ抵抗において各不純物濃度が異なるため、同じ応力が印加されたときの抵抗変化率の絶対値も互いに異なることがあるが、このことが問題となるのであれば、そのときの一方の絶対値が他方の絶対値と等しくなるようにどちらかの絶対値を補正すればよい。
【符号の説明】
【0108】
1 シリコン基板、1a 凹部、2 第1絶縁膜、2a 第1開口、2c 第2開口、2d 突出部分、2e 中流路補償パターン、2f 第3開口、2g 大流路補償パターン、3 第2絶縁膜、4a ポリシリコン配線、4b ポリシリコンゲージ抵抗、5 第3絶縁膜、5a ポリシリコン配線コンタクト部分、6 ポリシリコンダイヤフラム、6a 外枠部、7 第4絶縁膜、11 ダイヤフラム体、12 ダイヤフラムストッパー、13 空間、15 エッチング液導入孔、16 犠牲層、21 第1金属層、22 第2金属層、22b 電極パッド、23 ガラスコート、31 小流路、32 中流路、41 第1部分圧力センサ、42 第2部分圧力センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体圧力センサ及びその製造方法に関し、特に、ポリシリコンゲージ抵抗を備える半導体圧力センサ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力センサの一形態として、半導体基板を利用した半導体圧力センサが存在している。この半導体圧力センサでは、印加された圧力に応じて抵抗が変化するゲージ抵抗となる拡散抵抗が、シリコン基板の表面上に複数形成されており、この拡散抵抗が抵抗値の低い拡散配線によってブリッジ結線されている。ゲージ抵抗は、例えば、矩形状のダイヤフラム(薄膜)の4辺のそれぞれの部分に配置される。一方、シリコン基板において、ゲージが配置される領域の反対側の面には、ダイヤフラムを形成するための凹部が形成される。特許文献1には、この種の半導体圧力センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−6824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体圧力センサにおいては、シリコン基板を所定の厚みにまで研磨した後、さらに所定のエッチングマスクを介してシリコン基板の裏面にエッチングを施すことによって、上述の凹部、つまりダイヤフラムが形成される。
【0005】
このような製造方法では、凹部下のシリコン基板の厚みが、エッチングの時間によって制御されることから、ダイヤフラムの厚みがばらつきやすいという問題があった。また、ダイヤフラムの厚みを薄くしようとしても、シリコン基板の研磨量とエッチング量のシリコン基板面内におけるばらつき量を考慮すると、その厚みは10μm程度が限界であった。また、シリコン基板のエッチングのばらつきにより、ゲージ抵抗に対して凹部の位置がずれてしまうことから高精度に小型化することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、半導体圧力センサの小型化に伴う性能のばらつきを抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体圧力センサの製造方法は、(a)半導体基板上に複数の第1開口を有する第1絶縁膜を形成する工程と、(b)前記第1絶縁膜上に、当該第1絶縁膜の前記複数の第1開口内において前記半導体基板と接する犠牲層を形成する工程とを備える。そして、(c)ポリシリコンダイヤフラムと、当該ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室となるべき空間側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗と、これらを内包し、前記犠牲層と接するエッチング液導入孔を有する絶縁膜群とを含む積層構造を、前記犠牲層上に形成する工程を備える。そして、(d)エッチング液を前記エッチング液導入孔に通じて、前記犠牲層をエッチングすることにより前記積層構造を前記真空室上で機能するダイヤフラム体として形成するとともに、前記半導体基板における前記第1絶縁膜の前記第1開口下の表面をエッチングすることにより前記真空室となるべき前記空間と、当該空間中に配置され、前記ダイヤフラム体の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパーとを形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度に膜厚、形状及び位置合わせを制御することが可能な積層構造からダイヤフラム体を形成する。したがって、半導体圧力センサの小型化に伴う性能のばらつきを抑制することができる。また、ダイヤフラムストッパーが、ダイヤフラム体において歪み易い中央付近を支持するように突出していることから、ダイヤフラム体の破壊を防止することができ、ダイヤフラム体の薄膜化、小型化が期待できる。また、ポリシリコンゲージ抵抗は、ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室側に配置されていることから、外部環境の影響を受けにくくなる。よって、信頼性の高い半導体圧力センサを得ることができる。また、エッチングにより、ダイヤフラム体での空間が犠牲層に隣接して形成されていく。したがって、エッチング液等の流れを良くすることができることから、エッチング等の工程にかかる時間を短縮することができ、半導体圧力センサの製造時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体圧力センサの回路構成を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図5】実施の形態1に係る半導体圧力センサのポリシリコン膜の厚みを説明するための図である。
【図6】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図7】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図8】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すB−B線での断面図である。
【図9】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すC−C線での断面図である。
【図10】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すD−D線での断面図である。
【図11】実施の形態2に係る半導体圧力センサを示すE−E線での断面図である。
【図12】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図13】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図14】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図15】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図16】実施の形態2に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図17】実施の形態3に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図18】実施の形態3に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図19】実施の形態3に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図20】実施の形態4に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図21】実施の形態4に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図22】実施の形態5に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図23】実施の形態5に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図24】実施の形態5に係る半導体圧力センサを示すB−B線での断面図である。
【図25】実施の形態5に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図26】実施の形態5に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図27】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図28】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示す平面図である。
【図29】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示すA−A線での断面図である。
【図30】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示すB−B線での断面図である。
【図31】実施の形態6に係る半導体圧力センサを示すC−C線での断面図である。
【図32】実施の形態6に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図33】実施の形態6に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図34】実施の形態6に係る半導体圧力センサの製造工程を示す断面図である。
【図35】実施の形態6に係る半導体圧力センサの動作を示す図である。
【図36】実施の形態6に係る半導体圧力センサの動作を示す図である。
【図37】実施の形態6に係る半導体圧力センサの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る半導体圧力センサを示す平面図であり、図2は、図1に示されたA−A線における断面図である。
【0011】
本実施の形態に係る半導体圧力センサは、複数(ここでは4つ)の凹部1aが表面に形成された半導体基板であるシリコン基板1と、シリコン基板1上に形成され複数の第1開口2aを有する第1絶縁膜2と、積層構造からなるダイヤフラム体11と、第1金属層21(図1においては細い破線)と、第2金属層22(図1においては太い破線)と、ガラスコート23(図1においては細い一点鎖線)とを備える。
【0012】
ダイヤフラム体11は、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bと、これらの上側に形成されたポリシリコンダイヤフラム6と、これらを内包する第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7とからなる絶縁膜群とを含んでいる。ダイヤフラム体11は、凹部1a上の空間13を介してシリコン基板1の上側に形成されており、ダイヤフラム体11の周縁部は第1絶縁膜2に支持されている。このダイヤフラム体11は、シリコン基板1の表面側から裏面側に向かう方向(空間13に向かう方向)に、気圧などの圧力を受けると、その圧力に応じて下側に湾曲するように歪むようになっており、その歪み具合、つまり、圧力の大きさを示す電気信号を出力可能となっている。
【0013】
空間13は真空室となっており、複数の凹部1aの外側に位置する封止部22aによって封止されている。以下の説明においては、空間13を「真空室13」と呼ぶこともある。本実施の形態では、シリコン基板1の複数の凹部1aと、第1絶縁膜2の複数の第1開口2aと、ダイヤフラム体11の凹部1a側の表面とが、この真空室13(空間13)を形成している。そして、真空室13と連通するエッチング液導入孔15が、平面視(図1)においてダイヤフラム体11の外側の位置における絶縁膜群に設けられており、封止部22aによって封止されている。
【0014】
次に、本実施の形態に係る半導体圧力センサの構成要素について詳細に説明する。
【0015】
平面視(図1)において4つの凹部1aのそれぞれは、シリコン基板1表面に矩形状を有しており、縦及び横方向に2つずつ互いに離間させて配列されている。この凹部1aは、断面視(図2)においては下側に先細りの凸形状を有している。2つの凹部1a同士の間のシリコン基板1表面の高さは、第1絶縁膜2が形成されたシリコン基板1表面の高さと同じとなっており、シリコン基板1は、ダイヤフラム体11に向かう先細りの凸部1bを有している。凸部1bの先端には、絶縁膜をパターニングして第1絶縁膜2と同時に形成された先端絶縁膜2bが設けられている。
【0016】
真空室13におけるシリコン基板1には、ダイヤフラム体11の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパー12が配置されている。本実施の形態では、このダイヤフラムストッパー12は、凸部1b及び先端絶縁膜2bから構成されており、ダイヤフラム体11が外部から大きな圧力を受けて破壊されるのを防ぐ機能を有するとともに、製造時にダイヤフラム体11の第2絶縁膜2がシリコン基板1と固着するのを防ぐ機能を有する。
【0017】
本実施の形態では、ダイヤフラムストッパー12の先端部(ここでは先端絶縁膜2b)は、平面視(図1)において、4つの凹部1aの隙間に存在する十字型の形状を有している。そして、ダイヤフラムストッパー12の先端部(ここでは先端絶縁膜2b)の幅は5μm以下となっている。
【0018】
第1絶縁膜2は、シリコン基板1上に形成されており、複数の凹部1aにそれぞれ対応した複数の第1第1開口2aを有する。つまり、平面視(図1)において、複数の第1開口2aのそれぞれは、凹部1aと同様に、矩形状を有し、縦及び横方向に2つずつ配列されている。第1絶縁膜2は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)などにより形成した後パターニングして形成される。
【0019】
第2絶縁膜3は、図2に示されるように、互いに対向する封止部22aの外側では、概ね、第1絶縁膜2上に形成されているが、封止部22aの内側では、概ね、空隙14を介して第1絶縁膜2上方に形成されている。ただし、平面視(図1)に示されるアンカー17では、封止部22aの内側であっても第2絶縁膜3と第1絶縁膜2とが互いに接するように形成されている。つまり、第2絶縁膜2は、ダイヤフラム体11の周縁部(アンカー17)において第1絶縁膜2に支持されている。第2絶縁膜3は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVDにより形成した後パターニングして形成される。
【0020】
断面視(図2)において、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bは第2絶縁膜3上に形成されている。平面視(図1)においてポリシリコン配線4aは、上述のダイヤフラムストッパー12の先端部の十字型とほぼ同じ形状によって4つに区分されており、縦及び横方向に隣接するポリシリコン配線4a同士は、それぞれ、ポリシリコンゲージ抵抗4bを介して接続されている。4つのポリシリコン配線4aの全体の形状は、4隅のそれぞれにおいて外側に少し張り出した張出部4aaを有する略矩形状となっている。
【0021】
平面視(図1)において4つのポリシコンゲージ抵抗4bのそれぞれは、左右方向に延在するように形成されており、これらは互いに同サイズに形成される。本実施の形態では、横方向に隣接するポリシリコン配線4aを接続する2つのポリシリコンゲージ抵抗4baは、ダイヤフラム体11の中央付近において形成されており、縦方向に隣接するポリシリコン配線4aを接続する2つのポリシリコンゲージ抵抗4bbは、ダイヤフラム体11の互いに対向する二つのエッジ付近にそれぞれ形成されている。そして、4つのポリシリコンゲージ抵抗4bは、後述するホイートストンブリッジ回路を形成するように、ポリシリコン配線4aによってブリッジ結線されている。これらポリシリコンゲージ抵抗4bは、ピエゾ抵抗効果及び抵抗値が最適値となるように、ポリシリコンにB(ボロン)やP(リン)などの不純物注入が行われた後、アニールが行われて形成される。なお、本実施の形態では、ポリシリコンゲージ抵抗4bは、Bが注入されたp型のゲージ抵抗であるものとする。
【0022】
断面視(図2)において第3絶縁膜5は、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4b上、及びこれらの側面に形成されている。この第3絶縁膜5は、図1に示されるポリシリコン配線4aの張出部4aa上においてポリシリコン配線4aを露出する開口たるポリシリコン配線コンタクト部分5aを複数有する。このポリシリコン配線コンタクト部分5a内のポリシリコン配線4a上には第1金属層21(細い破線)が形成されている。なお、第3絶縁膜5は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVDにより形成した後パターニングして形成される。
【0023】
断面視(図2)においてポリシリコンダイヤフラム6は、第3絶縁膜5上に形成される。このポリシリコンダイヤフラムは、例えばドープドポリシリコンで形成されている。
【0024】
断面視(図2)において第4絶縁膜7は、ポリシリコンダイヤフラム6上及びその側面に形成されている。この第4絶縁膜7は、例えば、HTOやTEOSなどの酸化膜をCVDにより形成した後パターニングして形成される。
【0025】
第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7(絶縁膜群)には、図2に示されるように、空隙14を介して空間13と連通するエッチング液導入孔15が設けられている。このエッチング液導入孔15内には、第2金属層22の一部が封止部22aとして充填されている。
【0026】
第2金属層22は、ポリシリコン配線コンタクト部分5a上と、当該ポリシリコン配線コンタクト部分5aと平面視(図1)において縦方向に隣接するエッチング液導入孔15上と、当該ポリシリコン配線コンタクト部分5aと平面視(図1)において横方向に隣接するエッチング液導入孔15上とに亘って形成されている。この第2金属層22は、ポリシリコン配線コンタクト部分5a内に形成された第1金属層21と接することによりポリシリコンゲージ抵抗4bをブリッジ結線する。また、第2金属層22は、上述したようにエッチング液導入孔15に充填されることにより空間13を真空封止する。この第2金属層22の材質には、例えば、Al(アルミニウム)が用いられる。
【0027】
第2金属層22上には、第2金属層22を保護するガラスコート23が形成されている。なお、ガラスコート23は、ポリシリコンダイヤフラム6の形状と等しい開口を有するとともに、ポリシリコン配線コンタクト部分5a及びエッチング液導入孔15に関し、ポリシリコンダイヤフラム6と反対側において、第2金属層22を露出する開口23aを有している。この開口23a内の第2金属層22は、電極パッド22bとして用いられる。
【0028】
次に、以上の構成からなる本実施の形態に係る半導体圧力センサの動作について説明する。この半導体圧力センサにおいて、ダイヤフラム体11に圧力が印加されると、ダイヤフラム体11がその圧力に応じて歪み、ダイヤフラム体11に含まれるポリシリコンゲージ抵抗4bの抵抗値が、その歪みに応じて変化する。
【0029】
図3は、上述の4つのポリシリコンゲージ抵抗4bが、ポリシリコン配線4aによってブリッジ結線されている様子を示す図である。ここでは、図1に示したダイヤフラム体11中央側の二つのポリシリコンゲージ抵抗4baは抵抗R1,R3を有するものとし、ダイヤフラム体11エッジ側の二つのポリシリコンゲージ抵抗4bbは抵抗R2,R4を有するものとする。
【0030】
図3においては、抵抗R1〜R4のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbはホイートストンブリッジ回路を構成しており、抵抗R1及び抵抗R2のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点と、抵抗R3及び抵抗R4のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点との間には、入力電圧Vin(=5V)が印加されている。
【0031】
この場合において、抵抗R1及び抵抗R4のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点と、抵抗R2及び抵抗R3のポリシリコンゲージ抵抗4ba,4bbの接点との間における出力電圧をVoutとすると、Vout=(R2/(R2+R3)−R1/(R1+R4))×Vinとなる。ダイヤフラム体11に圧力が加わっていない初期状態(例えばR1=R2=R3=R4=100Ω)である場合には、Vout=0Vとなる。
【0032】
さて、ポリシリコンゲージ抵抗4bは、その電流が流れる方向に対して垂直方向に応力を受けた場合には、その抵抗値はほとんど変化しないが、その電流が流れる方向に応力を受けた場合には、その抵抗値は変化する。
【0033】
ここで、ダイヤフラム体11に圧力が印加されると、ダイヤフラム体11の中央部分が下側に凸となるように歪む。この場合に、ポリシリコンダイヤフラム6中央においてその下側に設けられたp型のポリシリコンゲージ抵抗4baは、電流方向と同方向に引張応力を受けることから、その抵抗値が+側に変化し、その一方で、ポリシリコンダイヤフラム6エッジにおいてその下側に設けられたp型のポリシリコンゲージ抵抗4bbは、電流方向と同方向に圧縮応力を受けることから、その抵抗値が−側に変化する。
【0034】
例えば、ダイヤフラム体11に1atm(0.098MPa)の圧力が印加された場合の抵抗変化率が、ΔR1/R1=ΔR3/R3=+1%であり、ΔR2/R2=ΔR4/R4=−1%であるとすると、出力電圧Vout=(99/(99+101)−101/(101+99))×=50mVとなる。この出力電圧Voutの大きさは、ダイヤフラム体11に印加された圧力の大きさに応じて変化することから、ダイヤフラム体11は、ダイヤフラム体11に印加された圧力を示す出力電圧を発生するものとなっている。
【0035】
さて、一般に、半導体圧力センサの性能は、ダイヤフラム体11の面積及び厚みにより決定される。したがって、半導体圧力センサを小型化するためには、これらがばらつかないことが重要である。
【0036】
ここで、本実施の形態においては、ダイヤフラム体11の面積は、実質的にポリシリコンダイヤフラム6をアンカー17で支えた面積で決まり、また、ダイヤフラム体11の厚みは、実質的にポリシリコンダイヤフラム6のCVDデポ膜厚で決まる。そして、このポリシリコンダイヤフラム6が、面積及び厚みのばらつき、及び、積層構造の層の位置ずれを抑制することが可能な積層構造から形成される。したがって、本実施の形態では、半導体圧力センサを小型化しても、その性能のばらつきを抑制することが可能となっている。
【0037】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサでは、ダイヤフラムストッパー12が形成されているため、プロセス中などに過度な圧力が加わった場合でもダイヤフラム体11の破壊を防止することができる。したがって、ポリシリコンダイヤフラム6の薄膜化を容易に行うことができる。
【0038】
図4は、図2に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程の一部を示す断面図である。次に、この図4を用いて、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について説明する。
【0039】
まず、後工程においてエッチング液による結晶異方性エッチングを行うことができるように、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。
【0040】
そして、シリコン基板1の当該主面上に複数の第1開口2aを有する第1絶縁膜2を形成する。本実施の形態では、シリコン基板1の当該主面上に、熱酸化膜を0.1〜1.0μm程度成膜するか、または、TEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1〜1.0μm程度デポした後、当該膜に複数の第1開口2aを形成するパターニングを行って第1絶縁膜2を形成する。この際、第1開口2a同士の幅は5μm以下とする。
【0041】
次に、第1絶縁膜2上に、当該第1絶縁膜2の複数の第1開口2a内においてシリコン基板1と接する犠牲層16(図1においては二点鎖線)を形成する。本実施の形態では、第1絶縁膜2上にドープドポリシリコン膜をCVDによって0.1〜0.4μm程度デポした後、当該膜にパターニングを行って犠牲層16を形成する。後で詳細に説明するように、この犠牲層16はTMAHなどの結晶方位異存性のエッチング液によって除去され、その際にシリコン基板1の第1開口2a下側の部分も同エッチング液によって除去されることにより、上述の空間13及び空隙14が形成される。なお、本実施の形態では、犠牲層16は、平面視(図1)において二点鎖線で示される略矩形状を有し、その外周よりも少し内側において、アンカー17が形成される複数の開口16a(矩形状の二点鎖線)を有する。
【0042】
その後、ポリシリコンダイヤフラム6と、当該ポリシリコンダイヤフラム6の下方の真空室となるべき空間13側に形成されたポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bと、これらを内包する絶縁膜群とを含む積層構造を、犠牲層16上に形成する。以下、この積層構造の形成について説明する。
【0043】
本実施の形態では、犠牲層16上と、当該犠牲層16が形成されていない第1絶縁膜2上とに、TEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1〜0.3程度μmデポした後、当該膜にパターニングして第2絶縁膜3を形成する。なお、犠牲層16の開口16a内においては、第1絶縁膜2と第2絶縁膜3とが接することにより、アンカー17が形成される。
【0044】
それから、第2絶縁膜3上に、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bとなるポリシリコン膜を0.1〜0.3程度μmデポした後、当該膜にパターニングを行う。なお、ポリシリコン配線4aを形成するためのパターンは、できるだけ配線抵抗値が低くなるようにすること、及び、ポリシリコンダイヤフラム6への応力の影響を考慮して、ポリシリコンダイヤフラム6のほぼ全面に対称に形成する。なお、ここで形成されるポリシリコン膜の厚みは0.15μm程度にすることが好ましいが、このことについては後述する。
【0045】
次に、ポリシリコン膜上及びその側面に、TEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1μm程度デポして、第3絶縁膜5を形成する。それから、ポリシリコン膜にBなどのp型の不純物を注入することにより、第2絶縁膜3上、かつ、第3絶縁膜5下にポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bを形成する。その後、アニールが行われる。
【0046】
図5は、ポリシリコンゲージ抵抗4bの表面ボロン濃度に対する抵抗変化率を示す図である。この図では、ポリシリコンゲージ抵抗4bとなるポリシリコンの厚みが、0.05、0.15、0.45μmの場合について調べた結果が示されている。図に示されるように、その厚みが0.15μmである場合に、抵抗変化率と表面ボロン濃度の間に対数近似の関係が成り立ち、かつ、ばらつきが小さくなる。したがって、抵抗R1〜R4のポリシリコンゲージ抵抗4b(上述のポリシリコン膜)の厚みは、0.15μm程度、具体的には0.1〜0.3μmにすることが好ましい。これにより、ピエゾ抵抗効果が高く、ばらつきが小さいポリシリコンゲージ抵抗4bを得ることができる。
【0047】
その後、第3絶縁膜5をパターニングして、ポリシリコン配線4aの張出部4aa上に、複数のポリシリコン配線コンタクト部分5a(開口)を形成する。そして、各ポリシリコン配線コンタクト部分5a内に、ポリシリコン配線4aと第2金属層22とを接続するための第1金属層21を形成する。なお、この第1金属層21は、後工程において犠牲層16をエッチング液でエッチングする際に、ポリシリコン配線4aがエッチングされるのを防ぐ保護機能も兼ねる。
【0048】
次に、第3絶縁膜5上に、ポリシリコンダイヤフラム6となるドープドポリシリコン膜をCVDによって0.3〜2.0μm程度の膜厚にデポし、その膜にパターニングを行って、ポリシリコンダイヤフラム6を形成する。その後、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bに注入したBなどの不純物の活性化、及び、ポリシリコンダイヤフラム6の応力制御を行うために、1000℃以上で高温の熱処理を行う。
【0049】
それから、ポリシリコンダイヤフラム6上及びその側面に、第4絶縁膜7となるTEOS、HTOなどの酸化膜をCVDによって0.1〜0.3μm程度デポして、パターニングする。こうして、犠牲層16上に、ポリシリコン配線4a及びポリシリコンゲージ抵抗4bと、ポリシリコンダイヤフラム6と、これらを内包する絶縁膜群(第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7)とを含む積層構造が形成される。
【0050】
その後、当該絶縁膜群をパターニングして、犠牲層16と接するエッチング液導入孔15を形成する。なお、ここでは、第2〜第4絶縁膜3,5,7を積層してから当該絶縁膜群にエッチング液導入孔15を形成したが、これに限ったものではなく、各絶縁膜のパターニングごとに開口を形成することによりエッチング液導入孔15を形成してもよい。
【0051】
それから、Alなどの金属を腐食させないTMAHなどの特殊なエッチング液を、エッチング液導入孔15に通じて犠牲層16を等方性にエッチングすることにより、上述の積層構造を、真空室13上で機能するダイヤフラム体11として形成する。本実施の形態では、この犠牲層16のエッチングが開始してからしばらくすると、エッチング液導入孔15に通じていたエッチング液が、第1絶縁膜2の第1開口2aにも通じてシリコン基板1と接触するようになる。その結果、同エッチング液により、シリコン基板1における第1絶縁膜2の第1開口2a下の表面が異方性にエッチングされることになり、真空室となるべき空間13と、当該空間13中に配置され、ダイヤフラム体11の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパー12とが形成される。
【0052】
ここで、本実施の形態では、シリコン基板1での第1絶縁膜2が形成される表面の結晶方位は、(100)となっている。したがって、シリコン基板1の異方性エッチングは(111)面の重なった時点で実質的にストップすることから、エッチング時間が何らかの理由により長くなったとしても、エッチングが必要以上に進行するのを抑制することができる。
【0053】
また、本実施の形態ではポリシリコン配線4a、ポリシリコンゲージ抵抗4b、及び、ポリシリコンダイヤフラム6等を覆う第1〜第4絶縁膜2,3,5,7の材質は、TMAHに対してほとんどエッチングされないHTOやTEOSであることから、その厚さが0.1μm程度であっても十分に耐性を有している。よって、ポリシリコン配線4a等をエッチング液から保護することができる。なお、図1に示されるアンカー17では、エッチング後においても、第1絶縁膜2と第2絶縁膜3とが互いに接触された状態が維持され、このアンカー17の配置がダイヤフラムサイズを決定する。このダイヤフラムサイズ及びアンカー17とポリシリコンゲージ抵抗4bの重ね合わせ精度は、表面側のアライメント精度で決定され、このアライメント精度は高精度であることから、当該重ね合わせ精度を高精度に形成することができる。
【0054】
犠牲層16等のエッチング後、これまでの工程によって得られた構造物は、水洗され、乾燥される。この際、ダイヤフラムストッパー12は、ダイヤフラム体11とシリコン基板1とが固着するのを防止する。
【0055】
その後、第1金属層21と接し、かつ、エッチング液導入孔15内に充填されて空間13を真空封止するとともに、電極パッド22bとして機能する第2金属層22を形成する。本実施の形態では、この工程においてポリシリコンダイヤフラム6下側の空間13を真空にすべく、真空雰囲気下において、Alからなる第2金属層22を、スパッタまたは蒸着により0.5〜10μm程度デポして、エッチング液導入孔15に充填する。この際、第2金属層22をポリシリコン配線コンタクト部分5a内において第1金属層21とコンタクトさせる。そして、第2金属層22をパターニングする。
【0056】
最後に、第2金属層22を保護するガラスコート23をプラズマCVDで0.5〜1.0μmデポし、電極パッド22aを露出する開口23aを有するようにパターニングする。なお、ウェハ厚みを薄くする場合は、第4絶縁膜7を形成した後に、ウェハを薄くする処理を実施する。
【0057】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、高精度に膜厚、形状及び位置合わせを制御することが可能な積層構造からダイヤフラム体11を形成する。したがって、半導体圧力センサの小型化に伴う性能のばらつきを抑制することができる。また、ダイヤフラムストッパー12が、ダイヤフラム体11において歪み易い中央付近を支持するように突出することから、ダイヤフラム体11の破壊を防止することができるとともに、ダイヤフラム体11の薄膜化、小型化が期待できる。また、ポリシリコンゲージ抵抗4bは、ポリシリコンダイヤフラム6の下方の真空室(空間13)側に配置されていることから、外部環境の影響を受けにくくなる。よって、信頼性の高い半導体圧力センサを得ることができる。また、エッチング液を用いたエッチングを1回行うだけで、真空室となるべき空間13が形成される。ここで、空間13は犠牲層16に隣接して形成されていくことから、エッチング液、洗浄水及び空気等が流れる流路の断面積を大きくすることができる。したがって、エッチング液、洗浄水及び空気等の流れを良くすることができることから、エッチング、水洗、乾燥等の工程にかかる時間を短縮することができ、半導体圧力センサの製造時間を短縮することができる。
【0058】
また、ポリシリコンダイヤフラム6には、例えば犠牲層16エッチング用のエッチングホールが形成されておらず、第2金属層22及びガラスコート23の形成はアンカー17の途中までに留めている。そして、ダイヤフラム体11は、均一でかつ膜厚が薄い積層構造から形成されている。したがって、均一性が良いダイヤフラム体11を形成することができるとともに、金属層22等がダイヤフラム体11に与える膜応力を低減することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、第2金属層22は、ポリシリコン配線コンタクト部分5a内において第1金属層21と接して形成されており、空間13を真空封止するとともに、電極パッド22bとして機能する。したがって、第1金属層21の結線や空間13の封止等を同時に行うことができることから、プロセス工程数を少なくすることができる。よって、半導体圧力センサの製造を簡素化することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、ダイヤフラムストッパー12の先端部は、平面視において十字型の形状を有する。したがって、ダイヤフラム体11の破壊を確実に防止することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、ダイヤフラムストッパー12の先端部の幅は5μm以下となっている。したがって、犠牲層16のエッチングの後にダイヤフラム体11がダイヤフラムストッパー12に固着するのを低減することができる。
【0062】
<実施の形態2>
図6は本発明の実施の形態2に係る半導体圧力センサの平面図であり、図7〜図11は、それぞれ、図6に示されたA−A線〜E−E線における断面図である。また、図12〜16は、それぞれ、図7〜図11に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態2に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態1に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0063】
図6、図9及び図11に示されるように、本実施の形態に係る半導体圧力センサにおいては、第1絶縁膜2は、平面視(図6)において、複数の第1開口2aより外側に形成され、エッチング液導入孔15と連通する複数の第2開口2cをさらに有している。そして、第2開口2cと隣接するV字形状の小流路31(第1流路)が、空間13の一部としてシリコン基板1に形成されている。本実施の形態では、エッチング液等が当該小流路31を通ることから、エッチング液等の流れを実施の形態1よりも良くすることが可能となっている。
【0064】
以下、このような本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について説明する。まず、実施の形態1と同様に、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。
【0065】
そして、実施の形態1と同様にして、シリコン基板1の当該主面上に第1絶縁膜2を形成する。ただし、本実施の形態では、第1絶縁膜2は、複数の第1開口2aを有するだけでなく、平面視(図6)において、第1開口2aより外側に形成された複数の第2開口2cを有している。具体的には、複数の第2開口2cは、複数のアンカー17同士の間にそれぞれ形成されている。
【0066】
次に、実施の形態1と同様にして、第1絶縁膜2上に犠牲層16を形成する。ただし、本実施の形態では、犠牲層16は、複数の第1開口2a内においてシリコン基板1と接するだけでなく、複数の第2開口2c内においてもシリコン基板1と接している。
【0067】
それから、実施の形態1と同様にして、犠牲層16上に上述の積層構造を形成する。ただし、本実施の形態では、絶縁膜群(第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7)のエッチング液導入孔15は、第1絶縁膜2の複数の第2開口2cと連通している。
【0068】
この状態で、実施の形態1と同様に、エッチング液をエッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16を等方性にエッチングすると、積層構造からダイヤフラム体11が形成されるとともに、空間13、空隙14及びダイヤフラムストッパー12が形成される。本実施の形態では、この際に、エッチング液導入孔15に通じていたエッチング液が、第1絶縁膜2の第2開口2cにも通じてシリコン基板1と接触するようになる。その結果、シリコン基板1における第2開口2c下の表面が異方性にエッチングされることになり、小流路31が空間13の一部としてシリコン基板1に形成されていく。その後、実施の形態1と同様にして、第2金属層22により空間13を真空封止した後、ガラスコート23を形成する。
【0069】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、犠牲層16のエッチングの際に小流路31が形成される。これにより、エッチング液等が通る流路のうち、実施の形態1では断面積が小さかった部分(図9に示される空間13とエッチング液導入孔15との間の部分)の断面積を大きくすることができる。したがって、エッチング液等の流れを良くすることができることから、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、それ以外については実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
なお、図6及び図9に示されるように、本実施の形態では、シリコン基板1は、真空室13(ここでは小流路31)と隣接する面に結晶方位(111)面を有している。この場合に、その面の端部が、平面視においてエッチング液導入孔15と重なるようにすれば、エッチング液等が通る流路の断面積を大きくすることができる。よって、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、第2金属層22(封止部22a)による封止性も向上させることができる。
【0071】
<実施の形態3>
図17は本発明の実施の形態3に係る半導体圧力センサの平面図であり、図18は図17に示されたA−A線における断面図である。また、図19は、図18に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態3に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態2に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0072】
図17及び図19に示されるように、本実施の形態に係る半導体圧力センサにおいては、第1絶縁膜2の第1開口2aは、平面視において外側に突出し、エッチング液導入孔15と連通する突出部分2dを有している。そして、突出部分2dと隣接する中流路32(第2流路)が、空間13の一部としてシリコン基板1に形成されている。本実施の形態では、エッチング液等が中流路32を通ることから、エッチング液等の流れを実施の形態2よりも良くすることが可能となっている。
【0073】
以下、このような本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について説明する。まず、実施の形態2と同様に、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。
【0074】
そして、実施の形態2と同様にして、シリコン基板1の当該主面上に第1絶縁膜2を形成する。ただし、本実施の形態では、第1絶縁膜2の第1開口2aは、平面視(図17)において外側に突出する突出部分2dを有している。具体的には、突出部分2dは、複数のアンカー17同士の間に形成されている。
【0075】
次に、実施の形態2と同様にして、第1絶縁膜2上に犠牲層16を形成する。
【0076】
それから、実施の形態2と同様にして、犠牲層16上に上述の積層構造を形成する。ただし、本実施の形態では、絶縁膜群(第2絶縁膜3、第3絶縁膜5及び第4絶縁膜7)のエッチング液導入孔15は、第1開口2aの突出部分2dと連通している。
【0077】
この状態で、実施の形態2と同様に、エッチング液をエッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16を等方性にエッチングすると、積層構造からダイヤフラム体11が形成されるとともに、空間13,空隙14,ダイヤフラムストッパー12及び小流路31が形成される。本実施の形態では、この際に、エッチング液導入孔15に通じていたエッチング液が、第1開口2aの突出部分2dにも通じてシリコン基板1と接触するようになる。その結果、シリコン基板1における突出部分2d下の表面が異方性にエッチングされることになり、中流路32が空間13の一部としてシリコン基板1に形成されていく。その後、実施の形態2と同様にして、第2金属層22により真空封止された後、ガラスコート23を形成する。
【0078】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、犠牲層16のエッチングの際に中流路32が形成される。これにより、エッチング液等が通る流路のうち、実施の形態2では断面積が小さかった部分(図18に示される空間13とエッチング液導入孔15との間の部分)の断面積を大きくすることができる。したがって、エッチング液等の流れを良くすることができることから、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、それ以外については実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0079】
なお、実施の形態2と同様に、本実施の形態では、シリコン基板1は、真空室13(ここでは中流路32)と隣接する面にも結晶方位(111)面を有している。この場合に、その面の端部が、平面視においてエッチング液導入孔15と重なるようにすれば、エッチング液等が通る流路の断面積を大きくすることができる。よって、半導体圧力センサの製造時間を短縮することができるとともに、第2金属層22(封止部22a)による封止性も向上させることができる。
【0080】
また、本実施の形態のように中流路32を形成すると、エッチング液の流れが良くなりすぎて、サイドエッチングレートが速くなり、その結果、シリコン基板1に設計通りのパターンを形成することが困難になる可能性がある。そこで、本実施の形態では、第1絶縁膜2の第1開口2a内に、犠牲層16等のエッチングの際にシリコン基板1のサイドエッチングを抑制するサイドエッチング防止用補償パターンである中流路補償パターン2eが設けられている。したがって、シリコン基板1でのサイドエッチングを抑制することができ、設計通りのパターン(所望のパターン)を形成することができる。なお、本実施の形態では、中流路補償パターン2eは、絶縁膜をパターニングして第1絶縁膜2と同時に形成される。
【0081】
また、本実施の形態のように、結晶異方性エッチングにおいてエッチングパターンが矩形以外の場合には、そのエッチングで得られる形状は複雑化する。したがって、最終的な形状が予測困難である場合などには、実施の形態2のように小流路31のみを形成してもよい。
【0082】
<実施の形態4>
図20及び図21は本発明の実施の形態4に係る半導体圧力センサの平面図である。以下、本実施の形態に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態3に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態3と異なる部分を中心に説明する。
【0083】
図20及び図21に示されるように、本実施の形態では、シリコン基板1の上述の表面には、複数の凹部1aの代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの凹部1aが形成されている。そして、第1絶縁膜2は、複数の第1開口2aの代わりに、これらを部分的に結合してなる第3開口2fを有している。具体的には、図20に示される第1絶縁膜2は、縦方向に隣接する2つの第1開口2aの代わりに、これらを部分的に結合してなる第3開口2fを有しており、図21に示される第1絶縁膜2は、縦または横方向に隣接する4つの第1開口2aの代わりに、これらを部分的に結合してなる第3開口2fを有している。
【0084】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法においては、上述の犠牲層16のエッチングの際に、犠牲層16に沿って形成されていく、エッチング液等が通る流路を大きくすることができる。つまり、大流路33を形成することができることから、エッチング液等の流れを良くすることができる。よって、半導体圧力センサの製造時間をより短縮することができる。また、それ以外については実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、本実施の形態のように面積が大きい第3開口2fを形成すると、エッチング液の流れが良くなりすぎて、サイドエッチングレートが速くなり、その結果、シリコン基板1に設計通りのパターンを形成することが困難になる可能性がある。そこで、本実施の形態では、第3開口2f内に、犠牲層16等のエッチングの際にシリコン基板1のサイドエッチングを抑制するサイドエッチング防止用補償パターンである大流路補償パターン2gが設けられている。したがって、シリコン基板1でのサイドエッチングを抑制することができ、設計通りのパターン(所望のパターン)を形成することができる。なお、本実施の形態では、大流路補償パターン2gは、絶縁膜をパターニングして第1絶縁膜2と同時に形成される。
【0086】
また、本実施の形態のように、結晶異方性エッチングにおいてエッチングパターンが矩形以外の場合には、そのエッチングで得られる形状は複雑化することから、最終的な形状が予測困難である場合などには、実施の形態2のように小流路31のみを形成してもよい。
【0087】
<実施の形態5>
図22は本発明の実施の形態5に係る半導体圧力センサの平面図であり、図23及び図24は、それぞれ、図22に示されたA−A線及びB−B線における断面図である。また、図25及び図26は、それぞれ、図23及び図24に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態5に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態2に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0088】
図22〜図26に示されるように、ダイヤフラム体11(積層構造)は、上述の絶縁膜群に内包され、平面視(図22)においてポリシリコン配線4a、ポリシリコンゲージ抵抗4b、ポリシリコンダイヤフラム6及びアンカー17と離間してその外側に形成された外枠部6aをさらに含んでいる。なお、外枠部6aは、第3絶縁膜5上において第4絶縁膜7により覆われており、本実施の形態では、ドープドポリシリコン膜をパターニングしてポリシリコンダイヤフラム6と同時に形成される。
【0089】
そして、エッチング液導入孔15及び第2金属層22は、平面視(図22)において外枠部6aから外側に形成され、ガラスコート23も、平面視(図22)において外枠部6aから外側に形成されている。
【0090】
以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法によれば、ダイヤフラム体11におけるポリシリコンダイヤフラム6及びアンカー17上には、ダイヤフラム体11に応力を多少与える第2金属層22及びガラスコート23が被らないようになっている。したがって、それらの膜応力を低減することができることから、高精度の半導体圧力センサを得ることができる。それ以外については実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0091】
<実施の形態6>
図27及び図28は本発明の実施の形態6に係る半導体圧力センサの平面図であり、図29〜図31は、それぞれ、図27及び図28に示されたA−A線〜C−C線における断面図である。なお、図27に示される右端と図28に示される左端とは、X−X線において連続している。また、図32〜図34は、それぞれ、図29〜図31に対応する図であり、本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造工程においてエッチング液でエッチングする前の状態を示す断面図である。以下、本発明の実施の形態6に係る半導体圧力センサにおいて、実施の形態2に係る半導体圧力センサと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0092】
図27及び図28に示されるように、本実施の形態に係る半導体圧力センサは、実施の形態2において説明した半導体圧力センサを、第1及び第2部分圧力センサ41,42として備えている。この第1及び第2部分圧力センサ41,42のそれぞれは、これまで説明した1つの半導体圧力センサとほぼ同様に構成されており、1つのポリシリコンダイヤフラム6を有している。
【0093】
本実施の形態において、第1部分圧力センサ41は、上述の4つのp型のポリシリコン配線4aの代わりに、横方向に隣接する2つのp型のポリシリコン配線4ap1と、横方向に隣接する2つのn型のポリシリコン配線4an1とを有している。そして、第1部分圧力センサ41は、上述の4つのp型のポリシリコンゲージ抵抗4bの代わりに、互いに異なる導電型(p型及びn型)を有する2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bn1を有している。この2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bn1は、第1部分圧力センサ41のポリシリコンダイヤフラム6の中央付近において自身の長手方向(電流が流れる方向)が互いに平行となるように対称配置されている。そして、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1は、2つのp型のポリシリコン配線4ap1同士を接続しており、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1は、2つのn型のポリシリコン配線4an1同士を接続している。
【0094】
同様に、第2部分圧力センサ42は、上述の4つのp型のポリシリコン配線4aの代わりに、横方向に隣接する2つのp型のポリシリコン配線4ap2と、横方向に隣接する2つのn型のポリシリコン配線4an2とを有している。そして、第2部分圧力センサ42は、上述の4つのp型のポリシリコンゲージ抵抗4bの代わりに、互いに異なる導電型(p型及びn型)を有する2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp2,4bn2を有している。この2つのポリシリコンゲージ抵抗4bp2,4bn2は、第2部分圧力センサ42のポリシリコンダイヤフラム6の中央付近において自身の長手方向(電流が流れる方向)が互いに平行となるように対称配置されている。そして、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp2は、2つのp型のポリシリコン配線4ap2同士を接続しており、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn2は、2つのn型のポリシリコン配線4an2同士を接続している。
【0095】
また、第1部分圧力センサ41のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bn1と、第2部分圧力センサ42のポリシリコンゲージ抵抗4bp2,4bn2とは、図3に示したホイートストンブリッジ回路を構成している。このホイートストンブリッジ回路において、第1部分圧力センサ41のp型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1の両端は、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2の一端とそれぞれ接続されており、第2部分圧力センサ42のp型のポリシリコンゲージ抵抗4bp2の両端は、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2の他端とそれぞれ接続されている。換言すれば、上述のホイートストンブリッジ回路において、第1部分圧力センサ41のn型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1の両端は、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2の一端とそれぞれ接続されており、第2部分圧力センサ42のn型のポリシコンゲージ抵抗4bn2の両端は、p型のポリシコンゲージ抵抗4bp1,4bp2の他端とそれぞれ接続されている。
【0096】
なお、本実施の形態では、部分圧力センサ41と部分圧力センサ42とは互いに同一のパターンで形成されている。したがって、半導体圧力センサのパターン作成を容易化することができる。また、本実施の形態では、ポリシリコン配線4ap1,4an1,4ap2,4an2のパターンは対称に形成されていることから、半導体圧力センサを容易に高精度化することができる。
【0097】
次に、以上のような本実施の形態に係る半導体圧力センサの製造方法について、実施の形態2と異なる工程を中心に説明する。まず、実施の形態2と同様に、主面の結晶方位が(100)であるシリコン基板1を用意する。そして、実施の形態2と同様にして、シリコン基板1の当該主面上に第1絶縁膜2を形成し、その後、第1絶縁膜2上に犠牲層16を形成する。
【0098】
それから、上述の積層構造を形成する。ここで、本実施の形態では、第2絶縁膜3と第3絶縁膜5との間に形成されたポリシリコン膜に、Bなどのp型の不純物を選択的に注入することにより、p型のポリシリコン配線4ap1,4ap2及びポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2を形成し、同ポリシリコン膜にPなどのn型の不純物を選択的に注入することにより、n型のポリシリコン配線4an1,4an2及びポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2を形成する。このときの不純物の濃度は、ピエゾ抵抗効果及び抵抗値が最適値となるように調整される。その後、実施の形態2と同様にして、アニール等が行われ、積層構造が形成される。
【0099】
それから、実施の形態2と同様にして、エッチング液をエッチング液導入孔15に通じて、犠牲層16等をエッチングし、第2金属層22により真空封止された後、ガラスコート23を形成する。
【0100】
次に、以上の構成からなる本実施の形態に係る半導体圧力センサの効果について説明する。
【0101】
図35は、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2において、長手方向(電流が流れる方向)と引張応力の印加方向との間の角度と、その抵抗値の変化率との関係を示す図であり、図36は、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2における同様の関係を示す図である。これらの図に示される横軸において、0°は長手方向(電流が流れる方向)と同じ方向に引張応力が印加されていることを示し、90°は、長手方向(電流が流れる方向)に対して垂直方向に引張応力が印加されていることを示す。
【0102】
これら図35,36から明らかなように、長手方向と同じ方向に引張応力が印加されている場合には、n型のポリシリコンゲージ抵抗4bn1,4bn2の抵抗値は−側に変化し、p型のポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2の抵抗値は+側に変化する。したがって、引張応力及び圧縮応力がそれぞれ印加される上述の半導体圧力センサとは異なり、本実施の形態に係る半導体圧力センサでは、ポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2,4bn1,4bn2に引張応力のみ印加されれば、上述の半導体圧力センサと同様の動作を行うことができる。その結果、本実施の形態では、次に説明するように、半導体圧力センサの感度を向上させることが可能となっている。
【0103】
図37は、ダイヤフラム体11(ポリシリコンダイヤフラム6)が圧力を受けた場合に、ダイヤフラム体11(ポリシリコンダイヤフラム6)での各位置に生じる応力の大きさを示す図である。この図に示される横軸において、0μmはダイヤフラム体11のエッジ付近での位置を示し、100μmはダイヤフラム体11の中央付近での位置を示す。また、縦軸において、正の値である場合には圧縮応力が生じていることを示し、負の値である場合には引張応力が生じていることを示している。
【0104】
この図に示されるように、ダイヤフラム体11に同じ圧力が印加される場合であっても、中央付近に印加される引張応力の絶対値は、エッジ付近に印加される圧縮応力の絶対値よりも大きい。また、中央付近において位置が少しずれたときの引張応力の値の変化は、エッジ付近において位置が少しずれたときの圧縮応力の値の変化よりも小さい。
【0105】
ここで、本実施の形態に係る半導体圧力センサ及びその製造方法では、上述したように、ポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2,4bn1,4bn2は、引張応力のみ印加されれば動作するものとなっており、中央付近に配置されている。したがって、半導体圧力センサの感度を向上させることができる。また、ポリシリコンゲージ抵抗4bp1,4bp2,4bn1,4bn2の配置位置が設計から多少ずれたとしても、それに伴う応力の変化は小さいことから、半導体圧力センサの性能のばらつきを抑制することができる。それ以外については実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0106】
なお、本実施の形態では、2個の部分圧力センサ41,42を備えるため、チップサイズは多少大きくなるが、ダイヤフラムサイズは、例えば一辺が30〜200μmの正方形の面積程度であり、十分に小さいことからその影響はほとんどないと考えられる。
【0107】
なお、図35及び図36に示されるように、n型及びp型のポリシリコンゲージ抵抗において各不純物濃度が異なるため、同じ応力が印加されたときの抵抗変化率の絶対値も互いに異なることがあるが、このことが問題となるのであれば、そのときの一方の絶対値が他方の絶対値と等しくなるようにどちらかの絶対値を補正すればよい。
【符号の説明】
【0108】
1 シリコン基板、1a 凹部、2 第1絶縁膜、2a 第1開口、2c 第2開口、2d 突出部分、2e 中流路補償パターン、2f 第3開口、2g 大流路補償パターン、3 第2絶縁膜、4a ポリシリコン配線、4b ポリシリコンゲージ抵抗、5 第3絶縁膜、5a ポリシリコン配線コンタクト部分、6 ポリシリコンダイヤフラム、6a 外枠部、7 第4絶縁膜、11 ダイヤフラム体、12 ダイヤフラムストッパー、13 空間、15 エッチング液導入孔、16 犠牲層、21 第1金属層、22 第2金属層、22b 電極パッド、23 ガラスコート、31 小流路、32 中流路、41 第1部分圧力センサ、42 第2部分圧力センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板上に複数の第1開口を有する第1絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記第1絶縁膜上に、当該第1絶縁膜の前記複数の第1開口内において前記半導体基板と接する犠牲層を形成する工程と、
(c)ポリシリコンダイヤフラムと、当該ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室となるべき空間側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗と、これらを内包し、前記犠牲層と接するエッチング液導入孔を有する絶縁膜群とを含む積層構造を、前記犠牲層上に形成する工程と、
(d)エッチング液を前記エッチング液導入孔に通じて、前記犠牲層をエッチングすることにより前記積層構造を前記真空室上で機能するダイヤフラム体として形成するとともに、前記半導体基板における前記第1絶縁膜の前記第1開口下の表面をエッチングすることにより前記真空室となるべき前記空間と、当該空間中に配置され、前記ダイヤフラム体の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパーとを形成する工程と
を備える半導体圧力センサの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(c)で形成される前記積層構造は、
前記犠牲層上に形成される、前記絶縁膜群に含まれる前記第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に形成されるポリシリコン配線と、
前記ポリシリコン配線上において当該ポリシリコン配線を露出する開口を有する、前記絶縁膜群に含まれる前記第3絶縁膜と
を含み、
(e)前記第3絶縁膜の前記開口内の前記ポリシリコン配線上に第1金属層を形成する工程と、
(f)前記第1金属層と接し、かつ、前記エッチング液導入孔内に充填されて前記空間を真空封止するとともに、電極パッドとして機能する第2金属層を形成する工程と
を備える半導体圧力センサの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(d)で形成される前記ダイヤフラムストッパーの先端部は、平面視において十字型の形状を有する、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記ダイヤフラムストッパーの前記先端部の幅は5μm以下である、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記半導体基板での前記第1絶縁膜が形成される表面の結晶方位は、(100)である、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(a)で形成される前記第1絶縁膜は、平面視において前記複数の第1開口より外側に形成された複数の第2開口をさらに有し、
前記工程(b)で形成される前記犠牲層は、前記第1絶縁膜の前記複数の第1及び第2開口内において前記半導体基板と接し、
前記工程(c)で形成される前記エッチング液導入孔は、前記第2開口と連通し、
前記工程(d)において、前記第2開口と隣接する第1流路を、前記空間の一部として前記半導体基板に形成していく、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(a)で形成される前記第1絶縁膜の前記第1開口は、平面視において外側に突出する突出部分を有し
前記工程(c)で形成される前記エッチング液導入孔は、前記第1開口の前記突出部分と連通し、
前記工程(d)において、前記突出部分と隣接する第2流路を、前記空間の一部として前記半導体基板に形成していく、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記第1絶縁膜は、前記複数の第1開口の代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの第3開口を有する、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記第1絶縁膜の前記第1開口内には、前記工程(d)のエッチングの際に前記半導体基板のサイドエッチングを抑制するサイドエッチング防止用補償パターンが設けられている、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(d)のエッチングにより前記半導体基板に現れる、前記空間と隣接する結晶方位(111)面の端部は、平面視において前記エッチング液導入孔と重なる、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記ポリシリコンゲージ抵抗のポリシリコン膜の厚さは、0.1〜0.3μmである、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項12】
請求項2に記載の半導体圧力センサの製造方法であって
前記工程(c)で形成される前記積層構造は、
前記絶縁膜群に内包され、平面視において前記ポリシリコンダイヤフラムと離間してその外側に形成される外枠部をさらに含み、
前記エッチング液導入孔及び前記第2金属層は、平面視において前記外枠部から外側に形成され、
(g)平面視において前記外枠部から外側の前記第2金属層上にガラスコートを形成する工程
をさらに備える、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法を用いて形成される半導体圧力センサを、第1及び第2部分圧力センサとして備える半導体圧力センサの製造方法であって、
前記第1及び第2部分圧力センサのそれぞれは、互いに異なる導電型を有するとともに、対応する前記ポリシリコンダイヤフラムの中央付近において互いに平行に配置された2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗を有し、
前記第1及び第2部分圧力センサの前記ポリシリコンゲージ抵抗からなるホイートストンブリッジ回路において、一方の部分圧力センサでの一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の一端とそれぞれ接続され、他方の部分圧力センサでの当該一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の他端とそれぞれ接続されている、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項14】
複数の凹部が表面に形成された半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、前記複数の凹部にそれぞれ対応した複数の第1開口を有する第1絶縁膜と、
ポリシリコンダイヤフラムと、当該ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗と、これらを内包する絶縁膜群とを含むダイヤフラム体と
を備え、
前記半導体基板の前記複数の凹部と、前記第1絶縁膜の前記複数の第1の開口と、前記ダイヤフラム体の前記凹部側の表面とは、前記真空室を形成し、
前記真空室と連通するエッチング液導入孔が前記絶縁膜群に設けられ、
前記真空室における前記半導体基板には、前記ダイヤフラム体の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパーが配置されている、半導体圧力センサ。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラム体は、
当該ダイヤフラム体の周縁部において前記第1絶縁膜に支持される、前記絶縁膜群に含まれる第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に形成されるポリシリコン配線と、
前記ポリシリコン配線上において当該ポリシリコン配線を露出する開口を有する、前記絶縁膜群に含まれる第3絶縁膜と
を含み、
前記第3絶縁膜の前記開口内の前記ポリシリコン配線上に形成された第1金属層と、
前記第1金属層と接し、かつ、前記エッチング液導入孔内に充填されて前記真空室を真空封止するとともに、電極パッドして機能する第2金属層と
をさらに備える半導体圧力センサ。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラムストッパーの先端部は、平面視において十字型の形状を有する、半導体圧力センサ。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラムストッパーの前記先端部の幅は5μm以下である、半導体圧力センサ。
【請求項18】
請求項14乃至請求項17のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板での前記第1絶縁膜が形成された表面の結晶方位は、(100)である、半導体圧力センサ。
【請求項19】
請求項14乃至請求項18のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記第1絶縁膜は、平面視において前記複数の第1開口より外側に形成され、前記エッチング液導入孔と連通する複数の第2開口をさらに有し、
前記第2開口と隣接する第1流路が、前記真空室の一部として前記半導体基板に形成されている、半導体圧力センサ。
【請求項20】
請求項14乃至請求項19のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記第1絶縁膜の前記第1開口は、平面視において外側に突出し、前記エッチング液導入孔と連通する突出部分を有し、
前記突出部分と隣接する第2流路が、前記真空室の一部として前記半導体基板に形成されている、半導体圧力センサ。
【請求項21】
請求項14乃至請求項20のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板の前記表面には、前記複数の凹部の代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの凹部が形成され、
前記第1絶縁膜は、前記複数の第1開口の代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの第3開口を有する、半導体圧力センサ。
【請求項22】
請求項19乃至21のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板は、前記真空室と隣接する面に結晶方位(111)面を有し、その面の端部は、平面視において前記エッチング液導入孔と重なる、半導体圧力センサ。
【請求項23】
請求項14乃至請求項22のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記ポリシリコンゲージ抵抗のポリシリコン膜の厚さは、0.1〜0.3μmである、半導体圧力センサ。
【請求項24】
請求項15に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラム体は、
前記絶縁膜群に内包され、平面視において前記ポリシリコンダイヤフラムと離間してその外側に形成された外枠部をさらに含み、
前記エッチング液導入孔及び前記第2金属層は、平面視において前記外枠部から外側に形成され、
平面視において前記外枠部から外側の前記第2金属層上に形成されたガラスコート
をさらに備える、半導体圧力センサ。
【請求項25】
請求項14乃至請求項24のいずれかに記載の半導体圧力センサを、第1及び第2部分圧力センサとして備える半導体圧力センサであって、
前記第1及び第2部分圧力センサのそれぞれは、互いに異なる導電型を有するとともに、対応する前記ポリシリコンダイヤフラムの中央付近において互いに平行に配置された2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗を有し、
前記第1及び第2部分圧力センサの前記ポリシリコンゲージ抵抗からなるホイートストンブリッジ回路において、一方の部分圧力センサでの一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の一端とそれぞれ接続され、他方の部分圧力センサでの当該一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の他端とそれぞれ接続されている、半導体圧力センサ。
【請求項1】
(a)半導体基板上に複数の第1開口を有する第1絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記第1絶縁膜上に、当該第1絶縁膜の前記複数の第1開口内において前記半導体基板と接する犠牲層を形成する工程と、
(c)ポリシリコンダイヤフラムと、当該ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室となるべき空間側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗と、これらを内包し、前記犠牲層と接するエッチング液導入孔を有する絶縁膜群とを含む積層構造を、前記犠牲層上に形成する工程と、
(d)エッチング液を前記エッチング液導入孔に通じて、前記犠牲層をエッチングすることにより前記積層構造を前記真空室上で機能するダイヤフラム体として形成するとともに、前記半導体基板における前記第1絶縁膜の前記第1開口下の表面をエッチングすることにより前記真空室となるべき前記空間と、当該空間中に配置され、前記ダイヤフラム体の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパーとを形成する工程と
を備える半導体圧力センサの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(c)で形成される前記積層構造は、
前記犠牲層上に形成される、前記絶縁膜群に含まれる前記第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に形成されるポリシリコン配線と、
前記ポリシリコン配線上において当該ポリシリコン配線を露出する開口を有する、前記絶縁膜群に含まれる前記第3絶縁膜と
を含み、
(e)前記第3絶縁膜の前記開口内の前記ポリシリコン配線上に第1金属層を形成する工程と、
(f)前記第1金属層と接し、かつ、前記エッチング液導入孔内に充填されて前記空間を真空封止するとともに、電極パッドとして機能する第2金属層を形成する工程と
を備える半導体圧力センサの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(d)で形成される前記ダイヤフラムストッパーの先端部は、平面視において十字型の形状を有する、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記ダイヤフラムストッパーの前記先端部の幅は5μm以下である、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記半導体基板での前記第1絶縁膜が形成される表面の結晶方位は、(100)である、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(a)で形成される前記第1絶縁膜は、平面視において前記複数の第1開口より外側に形成された複数の第2開口をさらに有し、
前記工程(b)で形成される前記犠牲層は、前記第1絶縁膜の前記複数の第1及び第2開口内において前記半導体基板と接し、
前記工程(c)で形成される前記エッチング液導入孔は、前記第2開口と連通し、
前記工程(d)において、前記第2開口と隣接する第1流路を、前記空間の一部として前記半導体基板に形成していく、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(a)で形成される前記第1絶縁膜の前記第1開口は、平面視において外側に突出する突出部分を有し
前記工程(c)で形成される前記エッチング液導入孔は、前記第1開口の前記突出部分と連通し、
前記工程(d)において、前記突出部分と隣接する第2流路を、前記空間の一部として前記半導体基板に形成していく、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記第1絶縁膜は、前記複数の第1開口の代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの第3開口を有する、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記第1絶縁膜の前記第1開口内には、前記工程(d)のエッチングの際に前記半導体基板のサイドエッチングを抑制するサイドエッチング防止用補償パターンが設けられている、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記工程(d)のエッチングにより前記半導体基板に現れる、前記空間と隣接する結晶方位(111)面の端部は、平面視において前記エッチング液導入孔と重なる、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法であって、
前記ポリシリコンゲージ抵抗のポリシリコン膜の厚さは、0.1〜0.3μmである、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項12】
請求項2に記載の半導体圧力センサの製造方法であって
前記工程(c)で形成される前記積層構造は、
前記絶縁膜群に内包され、平面視において前記ポリシリコンダイヤフラムと離間してその外側に形成される外枠部をさらに含み、
前記エッチング液導入孔及び前記第2金属層は、平面視において前記外枠部から外側に形成され、
(g)平面視において前記外枠部から外側の前記第2金属層上にガラスコートを形成する工程
をさらに備える、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の半導体圧力センサの製造方法を用いて形成される半導体圧力センサを、第1及び第2部分圧力センサとして備える半導体圧力センサの製造方法であって、
前記第1及び第2部分圧力センサのそれぞれは、互いに異なる導電型を有するとともに、対応する前記ポリシリコンダイヤフラムの中央付近において互いに平行に配置された2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗を有し、
前記第1及び第2部分圧力センサの前記ポリシリコンゲージ抵抗からなるホイートストンブリッジ回路において、一方の部分圧力センサでの一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の一端とそれぞれ接続され、他方の部分圧力センサでの当該一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の他端とそれぞれ接続されている、半導体圧力センサの製造方法。
【請求項14】
複数の凹部が表面に形成された半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、前記複数の凹部にそれぞれ対応した複数の第1開口を有する第1絶縁膜と、
ポリシリコンダイヤフラムと、当該ポリシリコンダイヤフラムの下方の真空室側に形成されたポリシリコンゲージ抵抗と、これらを内包する絶縁膜群とを含むダイヤフラム体と
を備え、
前記半導体基板の前記複数の凹部と、前記第1絶縁膜の前記複数の第1の開口と、前記ダイヤフラム体の前記凹部側の表面とは、前記真空室を形成し、
前記真空室と連通するエッチング液導入孔が前記絶縁膜群に設けられ、
前記真空室における前記半導体基板には、前記ダイヤフラム体の中央付近に向かって突出するダイヤフラムストッパーが配置されている、半導体圧力センサ。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラム体は、
当該ダイヤフラム体の周縁部において前記第1絶縁膜に支持される、前記絶縁膜群に含まれる第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に形成されるポリシリコン配線と、
前記ポリシリコン配線上において当該ポリシリコン配線を露出する開口を有する、前記絶縁膜群に含まれる第3絶縁膜と
を含み、
前記第3絶縁膜の前記開口内の前記ポリシリコン配線上に形成された第1金属層と、
前記第1金属層と接し、かつ、前記エッチング液導入孔内に充填されて前記真空室を真空封止するとともに、電極パッドして機能する第2金属層と
をさらに備える半導体圧力センサ。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラムストッパーの先端部は、平面視において十字型の形状を有する、半導体圧力センサ。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラムストッパーの前記先端部の幅は5μm以下である、半導体圧力センサ。
【請求項18】
請求項14乃至請求項17のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板での前記第1絶縁膜が形成された表面の結晶方位は、(100)である、半導体圧力センサ。
【請求項19】
請求項14乃至請求項18のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記第1絶縁膜は、平面視において前記複数の第1開口より外側に形成され、前記エッチング液導入孔と連通する複数の第2開口をさらに有し、
前記第2開口と隣接する第1流路が、前記真空室の一部として前記半導体基板に形成されている、半導体圧力センサ。
【請求項20】
請求項14乃至請求項19のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記第1絶縁膜の前記第1開口は、平面視において外側に突出し、前記エッチング液導入孔と連通する突出部分を有し、
前記突出部分と隣接する第2流路が、前記真空室の一部として前記半導体基板に形成されている、半導体圧力センサ。
【請求項21】
請求項14乃至請求項20のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板の前記表面には、前記複数の凹部の代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの凹部が形成され、
前記第1絶縁膜は、前記複数の第1開口の代わりに、これらを部分的に結合してなる一つの第3開口を有する、半導体圧力センサ。
【請求項22】
請求項19乃至21のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板は、前記真空室と隣接する面に結晶方位(111)面を有し、その面の端部は、平面視において前記エッチング液導入孔と重なる、半導体圧力センサ。
【請求項23】
請求項14乃至請求項22のいずれかに記載の半導体圧力センサであって、
前記ポリシリコンゲージ抵抗のポリシリコン膜の厚さは、0.1〜0.3μmである、半導体圧力センサ。
【請求項24】
請求項15に記載の半導体圧力センサであって、
前記ダイヤフラム体は、
前記絶縁膜群に内包され、平面視において前記ポリシリコンダイヤフラムと離間してその外側に形成された外枠部をさらに含み、
前記エッチング液導入孔及び前記第2金属層は、平面視において前記外枠部から外側に形成され、
平面視において前記外枠部から外側の前記第2金属層上に形成されたガラスコート
をさらに備える、半導体圧力センサ。
【請求項25】
請求項14乃至請求項24のいずれかに記載の半導体圧力センサを、第1及び第2部分圧力センサとして備える半導体圧力センサであって、
前記第1及び第2部分圧力センサのそれぞれは、互いに異なる導電型を有するとともに、対応する前記ポリシリコンダイヤフラムの中央付近において互いに平行に配置された2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗を有し、
前記第1及び第2部分圧力センサの前記ポリシリコンゲージ抵抗からなるホイートストンブリッジ回路において、一方の部分圧力センサでの一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の一端とそれぞれ接続され、他方の部分圧力センサでの当該一方の導電型を有する前記ポリシリコンゲージ抵抗の両端は、他方の導電型を有する2つの前記ポリシリコンゲージ抵抗の他端とそれぞれ接続されている、半導体圧力センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
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【図18】
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【図22】
【図23】
【図24】
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【図28】
【図29】
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【図32】
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【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2012−127902(P2012−127902A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281549(P2010−281549)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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