説明

半導体装置、半導体装置の製造方法、半導体装置の設計方法、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法

【課題】半導体装置の特性の向上、特に、遮光性の向上による光リーク電流の低減を図る。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、基材(10A,10B)と、基材上に形成され、第1方向に延在する半導体膜(13)と、半導体膜上にゲート絶縁膜(15)を介して形成され、第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極(G)と、半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の凹部(12)と、凹部内に配置された充填材料と、を有し、凹部の底面と半導体膜の底部の第1方向に延在する中心線(CP)との距離をLcと、凹部の底面間の距離をtcと、nを基材の屈折率とした場合、ntc2<488Lcを満たす。本構成によれば、上記凹部(12)により、基板側からの光の入射が制限され、光リーク電流を低減できる。さらに、凹部の深さの関数であるLc等を上記式を満たすよう設定することで、光リーク電流を効果的に低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に、液晶パネルなどの電気光学装置に用いられる半導体装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置に用いられる液晶パネルは、例えば液晶パネルの一方の面から光の入射を受け、この光を空間的に変調する。そして空間的に変調された光を、当該液晶パネルの他方の面から出射させることで画像や文字のパターンを形成している。ここで、上記光が液晶パネルを駆動する薄膜トランジスタ(TFT: thin film transistor)のチャネル領域に侵入すると光リーク電流が発生し、画質の低下の要因となる。そこで、薄膜トランジスタと上記光の光源との間に遮光層を設け、光リーク電流を低減する技術が採用されている。
【0003】
しかし、上記遮光層によっては、戻り光による光リーク電流を低減することはできない。即ち、上記光源からの光が、液晶パネルを透過し、液晶パネルの他方の面に配置されている構成部位において反射すると戻り光が生じる。また、液晶パネルの他方の面から独自に光が入射する場合もある。このような液晶パネルの他方の面から入射する光をここでは「迷光」という。この迷光が、薄膜トランジスタのチャネル領域に侵入しても光リーク電流が発生する。よって、迷光の侵入を防ぐため、薄膜トランジスタと基板との間に別の遮光層を設ける技術が検討されている。
【0004】
一方、近年では装置の多画素化、1画素あたりの書き込み時間の短縮化や、高コントラスト化などの高性能化の要請に伴い、SOI(Silicon on Insulator)基板上にトランジスタを形成する技術が検討されている。SOI基板を用いることで、従来の多結晶の薄膜トランジスタに代えて、移動度が高い単結晶の薄膜トランジスタを形成することができる。よって、高速スイッチングなどトランジスタ特性の向上が可能となる。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、SOI作製プロセスにおいて単結晶シリコン層を支持基板と貼り合わせる前に支持基板側に予め遮光層(4)を形成しておく技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−293320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、液晶パネルなどの電気光学装置に係る研究・開発を行っており、上記迷光対策を含む装置特性の向上を検討している。
【0007】
特に、近年の装置の高性能化に伴い、装置を構成する光学部品やその他の部品点数が多くなっており、乱反射光(迷光)が生じやすくなっている。また、より明るい映像を得るために光源強度が上昇しており、戻り光の強度も増加する傾向にある。よって、迷光対策は益々重要となっている。
【0008】
加えて、結晶性に優れた単結晶シリコン層を用いた場合、トランジスタ特性は格段に向上するものの、結晶欠陥によるキャリアの再結合は期待できない。即ち、迷光による励起によって発生したキャリア(電子、正孔)は結晶欠陥にトラップされず、光リーク電流となってしまう。よって、単結晶の薄膜トランジスタを用いる場合は、多結晶の薄膜トランジスタを用いる場合と比べ、より高い遮光性を必要とする。例えば、本発明者の調査によると、結晶欠陥の多い多結晶シリコン層を用いた場合に比べて、単結晶シリコン層の場合では同様の条件下で光リーク電流が約10倍まで増加することが判明している。
【0009】
この迷光対策としては、前述の通り、ガラス基板上に遮光膜を予め形成しておき、その上部に単結晶シリコン基板(単結晶シリコン層)を貼り合わせる技術がある。しかしながら、遮光膜の凹凸によって貼り合わせ強度が悪くなるという問題がある。
【0010】
さらに、上記特許文献1においては、ガラス基板上の遮光膜上に、さらに絶縁層(5)を堆積し、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械研磨)法により、その表面を平坦化することにより、貼り合わせ強度を向上させている。
【0011】
しかしながら、本発明者の検討によると、特許文献1に記載の技術を用いても、貼り合わせ精度は十分ではない。即ち、CMP法によっても、その表面には、研磨ばらつきが生じ、特に、面内ばらつきが生じるため、基板表面の均一化には限界がある。
【0012】
従って、結局のところ、CMP法を行っても、遮光膜の厚さ以上の凹凸が生じる場合もあり、依然として、貼り合わせ不良が問題となる。その結果、安定した基板の製造が困難となり、基板製造コストが大きくなる。
【0013】
そこで、本発明に係る具体的態様は、半導体装置の特性の向上、特に、遮光性の向上による光リーク電流の低減を目的とする。また、当該半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る半導体装置は、基材と、前記基材上に形成され、第1方向に延在する半導体膜と、前記半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、前記半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の凹部と、前記凹部内に配置された充填材料と、を有し、前記凹部の底面と前記半導体膜の底部の第1方向に延在する中心線との距離をLcと、前記凹部の底面間の距離をtcと、nを前記基材の屈折率とした場合、
ntc2<488Lc
を満たす。
【0015】
かかる構成によれば、凹部およびその内部の充填材料により、基材側からの光の入射が制限され、半導体膜(特に、チャネル)において発生する光リーク電流を低減できる。さらに、凹部の深さの関数であるLc等を上記式を満たすよう構成(設定)することで、光リーク電流を効果的に低減することができる。
【0016】
例えば、前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、前記凹部は、その底部が前記基板まで到達している。
【0017】
本発明に係る半導体装置は、基材と、前記基材上に形成され、第1方向に延在し、離間して配置される第1および第2半導体膜と、前記第1および第2半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、前記第1半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の第1凹部と、前記第2半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の第2凹部と、前記第1および第2凹部内に配置された充填材料と、を有し、前記第1凹部間の距離をtcと、前記第1凹部と第2凹部間の最短距離をtpと、前記第1および第2凹部の深さをDEと、前記基材に入射し得る光の最短波長をλSと、最長波長をλLと、nを前記基材の屈折率とした場合、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2
および
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2
を満たす。
【0018】
かかる構成によれば、凹部およびその内部の充填材料により、基材側からの光の入射が制限され、半導体膜(特に、チャネル)において発生する光リーク電流を低減できる。さらに、凹部の深さの関数である上記式を満たすよう構成(設定)することで、光リーク電流を効果的に低減することができる。また、第1凹部と第2凹部間には、充分な光の透過が可能となる。
【0019】
例えば、前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、前記第1および第2凹部は、その底部が前記基板まで到達している。
【0020】
例えば、前記充填材料は、前記ゲート電極を構成する材料である。ゲート電極を構成する材料で溝を充填することにより、その構成が簡素化される。また、その製造が容易となる。
【0021】
例えば、前記ゲート電極を構成する材料は、多結晶シリコンである。このように、多結晶シリコンを用いてもよい。
【0022】
例えば、前記充填材料は、多結晶シリコンとその上部に配置された、前記多結晶シリコンより遮光性の大きい材料である。かかる構成によれば、さらに、遮光性を向上できる。
【0023】
例えば、前記多結晶シリコンより遮光性の大きい材料は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステンシリサイド、又はモリブデンシリサイドである。
【0024】
好ましくは、前記凹部の第1方向の長さは、前記半導体膜のチャネル領域の第1方向の長さより大きい。かかる構成によれば、光リーク電流が生じやすいチャネル領域を効果的に遮光することができる。
【0025】
例えば、前記半導体膜は、チャネル領域の両側に低濃度不純物拡散領域を有し、前記凹部の第1方向の長さは、前記チャネル領域および前記低濃度不純物拡散領域の第1方向の長さより大きい。このように、チャネル領域に準じて光の影響を受け易い低濃度不純物拡散領域も遮光してもよい。
【0026】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、基材上に第1方向に延在する半導体膜を形成する工程と、前記半導体膜の両側に前記第1方向に延在する一対の凹部を形成する工程と、前記凹部内に充填材料を埋め込む工程と、前記半導体膜の上方に前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極を形成する工程と、を有し、前記凹部の底面と前記半導体膜の底部の第1方向に延在する中心線との距離をLcと、前記凹部の底面間の距離をtcと、nを前記基材の屈折率とした場合、
ntc2<488Lc
を満たすよう前記凹部を形成する。
【0027】
かかる方法によれば、凹部およびその内部の充填材料により、遮光性を向上させた半導体装置を製造することができる。さらに、凹部の深さの関数であるLc等を上記式を満たすよう設定することで、光リーク電流を効果的に低減させた半導体装置を製造することができる。
【0028】
例えば、前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、前記凹部は、その底部が前記基板まで到達する凹部である。
【0029】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、基材上に、第1方向に延在し、離間して配置される第1および第2半導体膜を形成する工程と、前記第1および第2半導体膜のそれぞれの両側に前記第1方向に延在する第1凹部対および第2凹部対を形成する工程と、前記第1および第2凹部対内に充填材料を埋め込む工程と、前記第1および第2半導体膜の上方に前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極を形成する工程と、を有し、前記第1凹部対間の距離をtcと、前記第1凹部対と第2凹部対との間の最短距離をtpと、前記第1および第2凹部対の深さをDEと、前記基材に入射し得る光の最短波長をλSと、最長波長をλLと、nを前記基材の屈折率とした場合、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2
および
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2
を満たす。
【0030】
かかる方法によれば、凹部およびその内部の充填材料により、遮光性を向上させた半導体装置を製造することができる。さらに、凹部の深さの関数である上記式を満たすよう設定することで、光リーク電流を効果的に低減させ、また、第1凹部対と第2凹部対間には、充分な光の透過が可能となる半導体装置を製造することができる。
【0031】
例えば、前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、前記第1および第2凹部対は、その底部が前記基板まで到達する凹部である。
【0032】
本発明に係る半導体装置の設計方法は、基材と、前記基材上に形成され、第1方向に延在する半導体膜と、前記半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、前記半導体膜の両側に前記第1方向に延在する一対の凹部と、前記凹部内に配置された充填材料と、を有する半導体装置の設計方法であって、前記凹部の底面と前記半導体膜の底部の第1方向に延在する中心線との距離をLcと、前記凹部の底面間の距離をtcと、nを前記基材の屈折率とした場合、
ntc2<488Lc
を満たすよう設計する。
【0033】
かかる方法によれば、凹部およびその内部の充填材料により、遮光性を向上させた半導体装置を設計することができる。さらに、凹部の深さの関数であるLc等を上記式を満たすよう設定することで、光リーク電流を効果的に低減させることができる。
【0034】
例えば、前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、前記凹部は、その底部が前記基板まで到達する凹部である。
【0035】
本発明に係る半導体装置の設計方法は、基材と、前記基材上に形成され、第1方向に延在し、離間して配置される第1および第2半導体膜と、前記第1および第2半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、前記第1半導体膜の両側に前記第1方向に延在する一対の第1凹部と、前記第2半導体膜の両側に前記第1方向に延在する一対の第2凹部と、前記第1および第2凹部内に配置された充填材料と、を有する半導体装置の設計方法であって、前記第1凹部間の距離をtcと、前記第1凹部と第2凹部間の最短距離をtpと、前記第1および第2凹部の深さをDEと、前記基材に入射し得る光の最短波長をλSと、最長波長をλLと、nを前記基材の屈折率とした場合、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2
および
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2
を満たすよう設計する。
【0036】
かかる方法によれば、凹部およびその内部の充填材料により、遮光性を向上させた半導体装置を設計することができる。さらに、凹部の深さの関数である上記式を満たすよう設定することで、光リーク電流を効果的に低減させ、また、第1凹部対と第2凹部対間には、充分な光の透過が可能となる半導体装置を設計することができる。
【0037】
例えば、前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、前記第1および第2凹部は、その底部が前記基板まで到達する凹部である。
【0038】
本発明に係る電気光学装置は、上記半導体装置を有する。かかる構成によれば、電気光学装置特性を向上させることができる。
【0039】
本発明に係る電子機器は、上記電気光学装置を有する。かかる構成によれば、電子機器特性を向上させることができる。
【0040】
本発明に係る電気光学装置の製造方法は、上記半導体装置の製造方法を有する。かかる構成によれば、高性能の電気光学装置を製造することができる。
【0041】
本発明に係る電子機器の製造方法は、上記電気光学装置の製造方法を有する。かかる構成によれば、高性能の電子機器を製造することができる。
【0042】
なお、以下に、上記基材と凹部の底部との関係について説明する。上記基材は、例えば、基板とその上部に形成された「基板と同一材料の絶縁膜」よりなる。この場合、前記凹部の底部は、前記基板まで到達しても良いし、また、上記絶縁膜まで到達しても良い。また、上記基材は、例えば、基板とその上部に形成された「基板と異なる材料の絶縁膜」よりなり、前記凹部の底部が、上記絶縁膜まで到達している場合、上記各式において、nを基材中の上記「板と異なる材料の絶縁膜」の屈折率とすればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。なお、平面図においても図面を解り易くするため適宜ハッチングを付すことがある。
<実施の形態1>
[薄膜トランジスタの構造]
図1〜図13は、本実施の形態の薄膜トランジスタ(液晶パネル)の製造方法を示す断面図又は平面図である。
【0044】
まず、最終工程図である図10〜図13を参照しながら、本実施の形態の薄膜トランジスタ(半導体装置)の構成について説明する。図13は、平面図であり、図10、図11および図12は、それぞれ図13のA−A、B−B又はC−C断面に対応する。なお、断面図において、説明の便宜上スケールを変えて表示した部分がある。また、本実施の形態の薄膜トランジスタの構成は、後述する製造方法の説明においてより明確となるため、ここでは、その特徴的な構成について説明する。
【0045】
図10に示すように、本実施の形態の薄膜トランジスタは、単結晶シリコン膜13上にゲート絶縁膜15を介して形成されたゲート電極Gと、ゲート電極Gの両側の単結晶シリコン膜13中のLDD(Lightly Doped Drain)構造のソース、ドレイン領域(低濃度不純物領域13aおよび高濃度不純物領域13b)を有する。13cは、チャネル領域である。
【0046】
上記単結晶シリコン膜13は、y方向に延在する略矩形のパターンであり、ゲート電極(ゲート配線)Gは、主としてx方向に延在している(図13)。
【0047】
ここで、単結晶シリコン膜13の両側には、y方向に延在する略矩形状の凹部(溝)12が形成されている(後述の図3、図4参照)。この凹部12パターンのy方向の長さ(D)は、チャネル長D1および低濃度不純物領域のy方向の長さD2の2倍の和より大きい(D>D1+2D2、後述の図4、図5参照)。また、凹部12の底部は、基板10Aまで到達しており、凹部12の内部には、ゲート電極Gを構成する材料(ここでは、多結晶シリコン)が充填されている(図11、図12)。
【0048】
また、図10に示すように、本実施の形態の薄膜トランジスタの上部には、層間絶縁膜19および25が形成されている。また、一方の高濃度不純物領域13bの上部には、接続部P1を介して画素電極21が配置され、他方の高濃度不純物領域13bの上部には、接続部P2を介して配線(ソース配線)27が配置されている。なお、層間絶縁膜(19、25)中には、必要に応じて他の電極、配線又はキャパシタなどの素子を配置してもよい(図19(A)参照)。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、単結晶シリコン膜13の両側に、凹部12を設け、その内部に例えば、ゲート電極材料を埋め込んだので、チャネル領域13c等を凹部12内の材料で挟み込んだ構造とすることができる。よって、基板側からの光(前述の迷光)の入射が制限され(図11)、薄膜トランジスタのチャネル領域13cや低濃度不純物領域13aにおいて発生する光リーク電流を低減できる。よって、液晶パネルなどに用いた場合には、暗電流を防止し、画質の向上を図ることができる。なお、凹部12のパターンは、少なくともチャネル領域13cを覆うよう形成(D>D1)されていれば光リーク電流低減の効果がある。
[薄膜トランジスタの製造方法]
次いで、図1〜図13を参照しながら、本実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法について説明するとともに、その構成をより明確にする。
【0050】
図1に示すように、光透過性の基板10A、その上部の絶縁膜10Bおよび単結晶シリコン膜13を有するSOI基板Sを準備する。基板10Aは、例えば、透明の石英(SiO2)基板である。なお、他のガラス基板を用いてもよい。また、絶縁膜10Bは、例えば、酸化シリコン(SiO2)膜である。
【0051】
SOI基板Sは、例えば、以下の工程で形成することができる。石英基板(10A)上に、その表面を熱酸化した単結晶シリコン基板の熱酸化膜側を配置し、熱処理を施すことで、貼り合わせる。その結果、石英基板(10A)と単結晶シリコン基板との界面には、絶縁膜(酸化シリコン膜)10Bが残存する。但し、これらは同一材料(同一部材)である。ここでは、この基板10Aと絶縁膜10Bとの積層部材を基材(支持部材、支持層)とする。次いで、単結晶シリコン基板を研磨等により薄膜化し、単結晶シリコン膜13を形成する。
【0052】
次いで、図2〜図4に示すように、単結晶シリコン膜13を所望の形状、ここでは、y方向に長辺を有する略矩形状にパターニングする(図4)。即ち、単結晶シリコン膜13上に、フォトレジスト膜を形成し、露光・現像(フォトリソグラフィ)することにより略矩形状のフォトレジスト膜を形成する。次いで、フォトレジスト膜をマスクに、単結晶シリコン膜13をエッチングする。次いで、残存するフォトレジスト膜を除去する。このフォトレジスト膜の形成から除去までの一連の工程をパターニングという。
【0053】
次いで、単結晶シリコン膜13の表面を熱酸化することによりゲート絶縁膜(酸化シリコン膜)15を形成する。なお、単結晶シリコン膜13上に絶縁膜をCVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法などにより堆積し、パターニングすることによりゲート絶縁膜15を形成してもよい。
【0054】
次いで、単結晶シリコン膜13の両側に凹部(溝)12を形成する(図3)。この凹部12もフォトリソグラフィ及びエッチングにより形成する。即ち、単結晶シリコン膜13の下層の層(酸化シリコン膜10Bおよび石英基板10A)を、石英基板(10A)が露出するまでエッチングする。また、この凹部12は、y方向に延在する略矩形状のパターンである(図4)。
【0055】
次いで、図5〜図7に示すように、x方向に延在するゲート電極Gを形成する。この際、ゲート電極材料により凹部12内を埋め込む。
【0056】
例えば、凹部12上を含む絶縁膜10Bの上部に、ゲート電極材料として多結晶シリコン膜をCVD法などで全面に堆積する。この際、凹部12内は、ゲート電極材料で充填される。次いで、多結晶シリコン膜をパターニングすることにより、主としてx方向に延在し、凹部12上において幅広部を有するゲート電極Gを形成する(図7)。なお、ゲート電極Gのパターンをx方向に延在するライン状としてもよい。言い換えれば、幅広部を設けなくてもよい。即ち、多結晶シリコン膜を、下層の酸化シリコン膜(15、10B)が露出するまでエッチングする。この際、凹部12上のゲート電極Gの両側においては、多結晶シリコン膜が若干後退するが、凹部12内に多結晶シリコンが残存していれば問題はない。
【0057】
次いで、図5に示すように、ゲート電極Gをマスクとして、ゲート電極Gの両側の単結晶シリコン膜13中に不純物を注入し、低濃度不純物領域13aを形成する。次いで、例えば、ゲート電極Gの側壁に形成したサイドウォール膜(図示せず)をマスクに、不純物を注入し、高濃度不純物領域(ソース、ドレイン領域)13bを形成する。なお、上記不純物は、所望の形状のフォトレジスト膜などをマスクに注入してもよい。
【0058】
ここでは、ゲート電極Gと単結晶シリコン膜13との重なる領域(低濃度不純物領域13a間)が、チャネル領域13cとなる。チャネル長は、D1である。また、低濃度不純物領域13aのy方向の長さは、D2であり、D>D1+2D2と、なっている(図7)。以上の工程により、LDD型の薄膜トランジスタが形成される。
【0059】
次いで、図8および図9に示すように、ゲート電極G上に層間絶縁膜19として例えば酸化シリコン膜をCVD法で堆積する。次いで、高濃度不純物領域13bの一方上の層間絶縁膜19およびゲート絶縁膜15をエッチングし、コンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホール内を含む層間絶縁膜19上に導電性膜を堆積し、エッチバックすることにより接続部(プラグ)P1を形成する。次いで、プラグP1上を含む層間絶縁膜19上に透明導電性膜として例えばITO(酸化インジウムスズ:Indium Tin Oxide)膜をスパッタリング法で堆積する。次いで、ITO膜をパターニングすることで画素電極21を形成する(図9)。なお、接続部P1と画素電極21を同時に形成してもよい。また、接続部P1と画素電極21を低抵抗配線で接続する構成としてもよい。
【0060】
次いで、図10〜図13に示すように、画素電極21上に層間絶縁膜25としてポリイミド膜を形成する。ポリイミド膜は、例えば、ポリイミド樹脂溶液を層間絶縁膜19上に塗布し、硬化させることにより形成する。ポリイミド膜により、平坦性が向上する。
【0061】
次いで、高濃度不純物領域13bの他方上の層間絶縁膜19、25をエッチングし、接続部P1と同様に、接続部P2を形成する。次いで、接続部P2上を含む層間絶縁膜25上に導電性膜を堆積し、パターニングすることで配線(ソース配線、導電性膜)27を形成する。この配線27は、y方向に延在するライン状のパターンである(図13)。なお、接続部P2と配線27を同時に形成してもよい。
【0062】
この後、配線27上に絶縁膜や配向膜等を形成し、液晶パネルのいわゆるTFT基板が完成する。さらに、ガラス基板上に、遮光膜、対向電極および配向膜などが形成された対向基板を準備し、TFT基板と対向基板との間に液晶を封入することにより液晶パネルが略完成する。
【0063】
このように、本実施の形態によれば、前述した光リーク電流を低減できる薄膜トランジスタを形成することができる。また、単結晶シリコン膜13の両側の凹部12に、ゲート電極材料を埋め込んだので、簡易な工程で薄膜トランジスタを形成することができる。
【0064】
さらに、上記特許文献1のように、薄膜トランジスタのチャネル領域の下部に予め遮光層を形成する必要が無く、SOI基板の貼り合せ精度の劣化による歩留まり低下を回避できる。
<実施の形態2>
図14〜図18は、本実施の形態の薄膜トランジスタ(液晶パネル)の第1〜第4の構成を示す断面図である。
(第1構成)
実施の形態1においては、単結晶シリコン膜13と基板10Aとの間の絶縁膜10Bが実施的に基板と同じ材料(酸化シリコン膜:SiO2)の場合について説明したが、これらを異なる材料層としてもよい。
【0065】
例えば、石英基板(10A)と単結晶シリコン基板とを樹脂材料で接着し、SOI基板を形成した場合、図14に示すように、単結晶シリコン膜13と基板10Aとの間には樹脂材料膜11Aが残存する。樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂などを用いることができる。
【0066】
なお、本例においては、SOI基板Sの構成および製造工程以外は、実施の形態1と同様である。
(第2構成)
また、図15に示すように、石英基板(10A)に変えて、樹脂基板11Bを用いてもよい。樹脂基板11Bとしては、例えば、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)などの樹脂を用いた基板を用いることができる。
【0067】
なお、本例においては、樹脂基板11Bを用いる点以外の構成および製造工程は、実施の形態1と同様である。
(第3構成)
また、単結晶シリコン膜13と基板10Aとの間に複数の異なる絶縁層を積層してもよい。図16は、2層の絶縁膜(11C、11D)を積層した場合の構成を示す図である。図17は、基板10A上にN層の絶縁層(11(1)…11(N−1)、11(N))を有する場合の構成を示す図である。Nは、1以上の自然数である。
【0068】
なお、本例においては、基板10A上に複数の絶縁層を有する点以外の構成および製造工程は、実施の形態1と同様である。
【0069】
このように、本実施の形態の第1〜第3構成においても、単結晶シリコン膜13の両側に、絶縁層を介して基板にまで到達する凹部12を設け、チャネル領域13c等を凹部12内の材料で挟み込んだ構造とすることができる。よって、実施の形態1と同様に、薄膜トランジスタのチャネル領域13cや低濃度不純物領域13aにおいて発生する光リーク電流を低減できる。よって、液晶パネルなどに用いた場合には、暗電流を防止し、画質の向上を図ることができる。なお、凹部12のパターンは、少なくともチャネル領域13cを覆うよう形成されていれば光リーク電流低減の効果がある。
【0070】
また、本実施の形態の薄膜トランジスタの製造工程によれば、前述した光リーク電流を低減できる薄膜トランジスタを形成することができる。さらに、単結晶シリコン膜13の両側の凹部12に、ゲート電極材料を埋め込むことで、簡易な工程で薄膜トランジスタを形成することができる等の効果を奏する。
(第4構成)
上記第1〜第3構成においては、凹部12の底部を基板まで到達させる、即ち、凹部12の形成の際に、基板10Aが露出するまでエッチングを行ったが、単結晶シリコン膜13の下層の層の途中でエッチングを終了してもよい。図18は、基板10A上にN層の絶縁層(11(1)…11(K)…11(N−1)、11(N))を有し、凹部12の底部がK層までしか到達していない場合の構成を示す図である。Nは、1以上の自然数(N≧1)、Kは、N以上で、かつ、1以上の自然数である(N≧K≧1)。
【0071】
なお、本例においては、基板10A上に複数の絶縁層を有する点、および凹部12の形成の際、複数の絶縁層の途中でエッチングを終了する点以外の構成および製造工程は、実施の形態1と同様である。
【0072】
このように、単結晶シリコン膜13の下層に位置する絶縁層中に凹部12を形成してもよい。
【0073】
この第4構成においても、単結晶シリコン膜13の両側に、単結晶シリコン膜13の下層に位置する絶縁層まで到達する凹部12を設け、チャネル領域13c等を凹部12内の材料で挟み込んだ構造とすることができる。よって、実施の形態1と同様に、薄膜トランジスタのチャネル領域13cや低濃度不純物領域13aにおいて発生する光リーク電流を低減できる。よって、液晶パネルなどに用いた場合には、暗電流を防止し、画質の向上を図ることができる。なお、凹部12のパターンは、少なくともチャネル領域13cを覆うよう形成されていれば光リーク電流低減の効果がある。
【0074】
また、本実施の形態の薄膜トランジスタの製造工程によれば、前述した光リーク電流を低減できる薄膜トランジスタを形成することができる。さらに、単結晶シリコン膜13の両側の凹部12に、ゲート電極材料を埋め込むことで、簡易な工程で薄膜トランジスタを形成することができる等の効果を奏する。
【0075】
上記の通り基板(基板上の絶縁層を含む)の形態には種々のものがある。なお、基板10A上に直接単結晶シリコン膜13を成膜し、SOI基板としてもよい。また、半導体膜として単結晶シリコン膜13の代わりに多結晶シリコン膜を用いてもよい。但し、前述したとおり、単結晶シリコン膜を用いた場合、結晶欠陥によるキャリアの再結合は期待できず、光リーク電流が増加する傾向にあるため、本実施の形態(以下のものも含む)は、単結晶シリコン膜を有するSOI基板に用いて効果的である。
<実施の形態3>
図19は、本実施の形態の薄膜トランジスタ(液晶パネル)の構成を示す断面図又は平面図である。
【0076】
図19(A)に示すように、層間絶縁膜19上にキャパシタCを形成し、下層電極と接続部P1bを接続した構成としてもよい。また、配線27の下層の層間絶縁膜25Aを黒色ポリイミド膜とし、遮光性を持たせてもよい。この場合、黒色ポリイミド膜を配線27と同様にライン状にパターニングし、ライン間には、透過性のポリイミド膜25を形成する。
【0077】
また、上記実施の形態においては、単結晶シリコン膜13を、y方向に延在する略矩形のパターンとしたが、図19(B)に示すように、単結晶シリコン膜13を、x方向に延在する略矩形のパターンとしてもよい。この場合、単結晶シリコン膜13の両側の凹部(溝)12をx方向に延在する略矩形状のパターンとなるよう形成する。
【0078】
即ち、主としてx方向に延在するゲート電極Gを形成する際、ゲート電極材料により凹部12内を埋め込む。この場合、ゲート電極Gは、x方向に延在する幹線Gaと、この幹線からy方向に延在する支線Gbとを有するよう形成する。ここでは、支線Gbの端部に幅広部Gcを設けてある。なお、他の構成および他の製造工程は、上記実施の形態1等と同様である。
<実施の形態4>
実施の形態1においては、凹部12内をゲート電極Gを構成する材料(ゲート電極材料)で埋め込んだ(図11参照)が、ゲート電極材料とは異なる材料で埋め込んでもよい。図20〜図22は、本実施の形態の薄膜トランジスタ(液晶パネル)の構成を示す断面図および平面図である。なお、実施の形態1等と同じ部位には、同一又は関連する符号を付しその説明を省略する。
【0079】
図20(A)および(B)に示すように、凹部(溝)12内に埋め込み材料として例えばタングステン(W)膜16を埋め込んでも良い。例えば、凹部(溝)12を形成した後、その上部に、埋め込み材料として例えばタングステン(W)膜16をスパッタリング法で形成する。次いで、下層の酸化シリコン膜(15、10B)が露出するまでエッチバックし、凹部12内にW膜16を形成する。次いで、W膜16上を含む石英基板10Aの上部に、ゲート電極材料として多結晶シリコン膜をCVD法などで全面に堆積する。次いで、多結晶シリコン膜をx方向に延在するライン状にパターニングし、ゲート電極Gを形成する。なお、他の構成および他の製造工程は、実施の形態1と同様である。
【0080】
このように、埋め込み材料としてゲート電極Gの材料と異なる材料を用いてもよい。例えば、ゲート電極Gの材料より遮光性の大きい材料を埋め込むことにより、遮光性を向上させることができる。
【0081】
また、図21(A)および(B)に示すように、ゲート電極材料で、凹部12の一部を埋め込んでもよい。例えば、凹部12上を含む石英基板10Aの上部にゲート電極材料として多結晶シリコン膜をCVD法などで全面に堆積する。この際、凹部12の側面および底面には所定の厚さの多結晶シリコンが形成されるが、凹部12内に、未充填の窪み12aが生じている。
【0082】
次いで、上記窪み12a上に、埋め込み材料として例えばタングステン(W)膜16をスパッタリング法で形成する。次いで、下層の多結晶シリコン膜(ゲート電極材料)が露出するまでエッチバックし、窪み12a内にW膜16を形成する。次いで、多結晶シリコン膜等をx方向に延在するライン状にパターニングし、ゲート電極Gを形成する。なお、他の構成および他の製造工程は、実施の形態1と同様である。特に、図21の構成は、ゲート電極Gの膜厚が小さい場合に有用である。
【0083】
また、図22(A)および(B)に示すように、ゲート電極Gをいわゆるポリメタルゲートとしてもよい。即ち、凹部12上を含む石英基板10Aの上部にゲート電極材料として多結晶シリコン膜16aをCVD法などで全面に堆積する。この際、凹部12の側面および底面には所定の厚さの多結晶シリコンが形成されるが、凹部12内に、未充填の窪み12aが生じている。次いで、上記窪み12a上を含む多結晶シリコン膜上に、例えばタングステン(W)膜16bをスパッタリング法で形成する。次いで、多結晶シリコン膜16aおよびW膜16bの積層膜をx方向に延在するライン状にパターニングし、ゲート電極Gを形成する。なお、他の構成および他の製造工程は、実施の形態1と同様である。この場合、多結晶シリコン膜16aとW膜16bとの間にバリアメタル(例えば、窒化タングステン)を形成してもよい。また、多結晶シリコン膜16aとW膜16bの接触部をシリサイド化させてもよい。この場合、ポリサイドゲートとなる。
【0084】
なお、図20〜図22においては、Wを用いたが、この他、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステンシリサイド、又はモリブデンシリサイドなどを用いてもよい。これらの材料は、多結晶シリコンより遮光性が高く、効果的である。また、これらの材料は、低抵抗材料であり、ゲート電極Gの低抵抗化を図ることができる。
【0085】
なお、本実施の形態のゲート電極の構成を実施の形態2および3のゲート電極に適用してもよい。
<実施の形態5>
上記実施の形態1〜4においては、チャネル領域13c等を凹部12内の材料で挟み込んだ構造とすることで、チャネル領域13c等における光リーク電流の低減を図っている。凹部12を形成しない場合と比較し、凹部12を形成することで、チャネル領域13c等に対する遮光性は向上する(図11参照)。さらに、凹部12の深さは、深いほど遮光性は向上する。しかしながら、凹部が深くなると、アスペクト比も大きくなり加工がし難くなる等の問題も生じるため、遮光性を効率よく確保できるよう薄膜トランジスタ構成(凹部の形状を含む)を最適化できることが好ましい。
【0086】
そこで、本実施の形態では、凹部深さ(Lc)と、凹部間距離tcを最適化することで、遮光性の更なる向上を図る。
【0087】
図23および図24は、本実施の形態の薄膜トランジスタ(液晶パネル)の構成を示す断面図である。本実施の形態の薄膜トランジスタは、凹部深さに関する下記の要素Lc、およびtcが、[式1]を満たすよう構成(設定)されていることを除いては、実施の形態1(図11、図12)と同様の構成を有する。
【0088】
即ち、図23に示すように、凹部12の底面と単結晶シリコン膜(チャネル領域)13の底部の中点CP(y方向に延在する中心線CL、図13参照)との距離をLcと、凹部12の底面間の距離をtcと、nを基板(同じ材料である絶縁膜10Bも含む)の屈折率とした場合、
ntc2<488Lc…[式1]
を満たすように構成することで、遮光性を向上させることができる。
【0089】
なお、単結晶シリコン膜13の低濃度不純物領域13a部においても[式1]を満たすように構成することが好ましい(図24参照)。[式1]を満たすように構成することにより、光リーク電流の更なる低減を図ることができる。以下に、詳細に説明する。
[Lc、nおよびtcの関係と遮光性について]
図23に示すように、凹部12の底面と単結晶シリコン膜13の底部の中点CPとの距離をLc(nm)と、距離Lcと中心線からの垂線とのなす角をθcと、凹部の底面間の距離をtc(nm)と、nを基板の屈折率とし、迷光の侵入角をθcとする。ここで、凹部12の底面とは、凹部12の底面のうち、単結晶シリコン膜13側の端部をいう。
【0090】
この際、ゲート電極Gの材料で埋め込まれた凹部12によって規定される光導波路(主に、チャネル領域)に迷光が侵入しないようにするためには、レイリーの回折限界式から、
tc<(0.61×λ)/(n×sinθc)…[式1a]
を満たせばよい。
【0091】
ここでλを、可視光波長の下限400(nm)とし、sinθcをtcとLcで表すと、
ntc2<488Lc…[式1]
となる。
【0092】
なお、nは、基板10Aの屈折率であり上記構成においては、n(SiO2)=1.5である。また、凹部12の深さをDEとした場合、DE=Lc×cosθcとなる。
【0093】
さらに、[式1]は、単結晶シリコン膜13と基板10Aとの間の絶縁膜10Bが基板と同じ屈折率(酸化シリコン膜、n=1.5)である場合に適用可能である。即ち、単一部材上に、単結晶シリコン膜13が配置されている場合に有用である。
【0094】
このように、上記[式1]を満たすようにtcとLcを制御することで、迷光のチャネル領域13cへの侵入を防ぐことができる。よって、光リーク電流による画質の低下を低減できる。
【0095】
本実施の形態の薄膜トランジスタは、実施の形態1と同様に形成することができる。但し、上記[式1]の関係を満たすようtcおよびLcが設定されている。
【0096】
また、本実施の形態の薄膜トランジスタの設計においては上記[式1]の関係を満たすようtcおよびLcが設定される。例えば、微細化が進み、tcが小さくなる場合には、上記[式1]を満たす範囲でLcを小さく、即ち、凹部12の深さ(DE)を浅くしても、遮光性を確保することができる。
【0097】
なお、上記[式1]は、凹部12の深さ(DE)の下限を示しているとも言える(DE>1.5×cosθc×tc2/488)。
<実施の形態6>
本実施の形態においては、隣接する薄膜トランジスタを考慮した下記の要素tc、tpおよびDEの設定について説明する。
【0098】
図25は、本実施の形態の薄膜トランジスタ(液晶パネル)の構成を示す断面図である。本実施の形態の薄膜トランジスタは、下記の要素tc、tpおよびDEが、[式2]および[式3]を満たすよう構成(設定)されていることを除いては、実施の形態1(図11、図12)と同様の構成を有する。
【0099】
即ち、図25に示すように、隣接する2つの薄膜トランジスタT1、T2について、凹部(対)12−1、12−2の深さをDEと、凹部12−1間の距離をtcと、また、一の薄膜トランジスタT1の凹部12−1とx方向に隣接する他の薄膜トランジスタT2の凹部12−2の間の距離をtp(nm)と、nを基板の屈折率と、迷光の侵入角をθcとする。ここでλLを、液晶パネルの使用波長範囲の最長波長、λSを、使用波長範囲の最短波長とする。例えば、可視光を使用する場合、最短波長λSは400(nm)程度で、最長波長λLは800(nm)程度である。
上記の場合に、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2…[式2]
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2…[式3]
を満たすように薄膜トランジスタを構成することで、遮光性を向上させることができる。
【0100】
なお、単結晶シリコン膜13の低濃度不純物領域13a部においても[式2]および[式3]を満たすように構成することが好ましい(図26参照)。これらの式を満たすように薄膜トランジスタを構成することにより、光リーク電流の更なる低減を図ることができる。以下に、詳細に説明する。
[tc、tpおよびDEの関係と遮光性について]
図25に示す構成において、ゲート電極Gの材料で埋め込まれた凹部12によって規定される光導波路(主に、チャネル領域、tc)に迷光が侵入しないようにするためには、レイリーの回折限界式から、
tc<(0.61×λS)/(n×sinθc)…[式2A]
ここで、sinθc=(tc/2)/(DE2+(tc/2)21/2…[式2B]であるから、
[式2B]を[式2A]に代入すると、
tc<1.22λS(DE2+(tc/2)21/2)/ntc…[式2C]
ntc2<1.22λS(DE2+(tc/2)21/2)…[式2D]
両辺を2乗すると、
2tc4<1.49λS2(DE2+(tc/2)2)…[式2E]
よって、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2…[式2]
となる。
【0101】
一方、図25に示す構成において、画素電極21下(tp)に、十分な光を透過させるためには、上記[式2]において、tcをtpに、λSをλLに、置き換え、不等号の向きを逆向きにすればよい。
よって、
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2…[式3]
となる。
【0102】
前述の通り、可視光を使用する場合、最短波長λSは400(nm)程度で、最長波長λLは800(nm)程度である。また、nは、基板10Aの屈折率であり上記構成においては、n(SiO2)=1.5である。また、凹部12の深さをDEとした場合、DE=Lc×cosθcとなる。さらに、上記[式2]および[式3]は、単結晶シリコン膜13と基板10Aとの間の絶縁膜10Bが基板と同じ屈折率(酸化シリコン膜、n=1.5)である場合に適用可能である。
【0103】
このように、上記[式2]および[式3]を満たすようにtc、tpとLcを制御することで、迷光のチャネル領域13cへの侵入を防ぎつつ、画素部には十分な光が透過することとなる。よって、高精細な画質を提供することができる。
【0104】
本実施の形態の薄膜トランジスタは、実施の形態1と同様に形成することができる。但し、上記[式2]および[式3]の関係を満たすようtc、tpおよびDEが設定されている。
【0105】
また、本実施の形態の薄膜トランジスタの設計においては上記[式2]および[式3]の関係を満たすようtc、tpおよびDEが設定される。例えば、微細化が進み、tcおよびtpが小さくなる場合には、DEを[式2]および[式3]を満たす範囲でできるだけ大きくなるよう調整して、遮光性を向上させる。上記[式2]および[式3]は、凹部12の深さ(DE)の下限および上限を示しているとも言える。
【0106】
なお、凹部12−1の底面と単結晶シリコン膜(チャネル領域)13の底部の中点CP(y方向に延在する中心線CL)との距離をLcとすると、DEとLcの関係は、DE=Lc×cosθcである。また、tpは、凹部対12−1と凹部対12−2との最短距離とも定義できる。
【0107】
なお、実施の形態5および6では、凹部(12、12−1、12−2)の底部が、基板10Aまで達している場合を例に説明したが、凹部の底部が、絶縁膜10B中に位置していてもよい。前述したように、基板10Aと絶縁膜10Bとは同一材料であるため、凹部の底部が、絶縁膜10B中に位置していても、上記各式([式1]〜[式3])が成立する。
【0108】
さらに、基板10Aと絶縁膜10Bとが異なる材料で構成されていても、凹部の底部が、絶縁膜10B中に位置していれば、上記式のnを「基板10Aと異なる材料よりなる絶縁膜10B」の屈折率naと代替することで、上記各式([式1]〜[式3])が成立する。なお、基板10Aと絶縁膜10Bとが異なる材料で構成されていても、凹部の底部が、絶縁膜10B中に位置している場合とは、例えば、実施の形態2の(第4構成)のN=K=1の場合である。
<電気光学装置および電子機器>
図27は、本実施形態の薄膜トランジスタを用いた電気光学装置(表示装置)の構成例を示す回路図である。図27に示すように、表示装置1は、表示領域(1a)内にマトリクス状に配置された複数の画素を有する。この画素は、配線(27)とゲート電極線(G)との交点に配置されている。また、各画素は、画素電極(21)および薄膜トランジスタ(T)を有している。例えば、配線(27)は、Xドライバにより駆動され、また、ゲート電極線(G)は、Yドライバにより駆動される。
【0109】
このような電気光学装置(液晶パネル)において高輝度光源が用いられることがあり、本発明の半導体装置(薄膜トランジスタ)を適用して効果的である。特に、液晶パネルの上部に遮光膜を用いる場合には高輝度光源が用いられることが多く、迷光が生じやすい。よって、本発明を適用して効果的である。
【0110】
図28は、表示装置1を適用可能な電子機器の例を示す図である。上述した表示装置1は、種々の電子機器に適用可能である。
【0111】
図28(A)は携帯電話への適用例であり、当該携帯電話120は、アンテナ部121、音声出力部122、音声入力部123、操作部124、及び本発明の表示装置1を備えている。このように本発明の表示装置1を携帯電話の表示部として組み込むことができる。
【0112】
図28(B)はビデオカメラへの適用例であり、当該ビデオカメラ130は、受像部131、操作部132、音声入力部133、及び本発明の表示装置1を備えている。このように本発明の表示装置1は、ビデオカメラやデジタルカメラ等のファインダや表示部として組み込むことができる。
【0113】
図28(C)は携帯型パーソナルコンピュータ(いわゆるPDA)への適用例であり、当該コンピュータ140は、カメラ部141、操作部142、及び本発明の表示装置1を備えている。このように本発明の表示装置1は、コンピュータ装置の表示部として組み込むことができる。
【0114】
図28(D)はヘッドマウントディスプレイへの適用例であり、当該ヘッドマウントディスプレイ150は、バンド151、光学系収納部152及び本発明の表示装置1を備えている。このように本発明の表示装置1はヘッドマウントディスプレイ等の画像表示源として組み込むことができる。
【0115】
図28(E)はリア型プロジェクタへの適用例であり、当該プロジェクタ160は、筐体161に、光源162、合成光学系163、ミラー164、165、スクリーン166、及び本発明の表示装置1を備えている。このように本発明の表示装置1はリア型プロジェクタの画像表示源として組み込むことができる。
【0116】
図28(F)はフロント型プロジェクタへの適用例であり、当該プロジェクタ170は、筐体172に光学系171及び本発明の表示装置1を備え、画像をスクリーン173に表示可能になっている。このように本発明の表示装置1はフロント型プロジェクタの画像表示源として組み込むことができる。
【0117】
特に、プロジェクタに用いられる液晶パネルに侵入する光強度は極めて高く、また、当該液晶パネルには、高画質が要求される。よって、迷光が生じやすいが、本発明を適用することで、迷光の影響を低減でき、出力画像の高画質化を実現することができる。
【0118】
また、本発明に係る表示装置1は、上述した例に限らず表示装置を適用可能な各種電子機器に組み込むことができる。例えば、表示機能付きファックス装置、携帯型TV、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなどにも組み込むことができる。
【0119】
このように本発明に係る薄膜トランジスタ(半導体装置)を電気光学装置および電子機器に組み込むことにより、装置性能の向上や製造の簡略化を図ることができる。
【0120】
なお、上記実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではない。
【0121】
例えば、上記実施の形態において、λ、λS、λLについては、可視光を例に説明したが、これらの数値については、液晶パネル(装置)に用いられる光源の波長に応じて適宜変更可能である。また、上記実施の形態における各種要素(DE、Lc、tc、tp、l、CPなど)は、製造ばらつきなどのため、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、ある程度のばらつきや範囲をもって考慮されるべきものである。また、上記実施の形態においては、液晶パネルに用いられる薄膜トランジスタを例に説明したが、この他、基板側からの遮光性を要する薄膜トランジスタおよびそれを用いた装置に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図2】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図3】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図4】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す平面図である。
【図5】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図6】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図7】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す平面図である。
【図8】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図9】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す平面図である。
【図10】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図11】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図12】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図13】実施の形態1の薄膜トランジスタの製造方法を示す平面図である。
【図14】実施の形態2の薄膜トランジスタの第1構成例を示す断面図である。
【図15】実施の形態2の薄膜トランジスタの第2構成例を示す断面図である。
【図16】実施の形態2の薄膜トランジスタの第3構成例を示す断面図である。
【図17】実施の形態2の薄膜トランジスタの第3構成例を示す断面図である。
【図18】実施の形態2の薄膜トランジスタの第4構成例を示す断面図である。
【図19】実施の形態3の薄膜トランジスタの構成を示す断面図又は平面図である。
【図20】実施の形態4の薄膜トランジスタの構成を示す断面図および平面図である。
【図21】実施の形態4の薄膜トランジスタの構成を示す断面図および平面図である。
【図22】実施の形態4の薄膜トランジスタの構成を示す断面図および平面図である。
【図23】実施の形態5の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。
【図24】実施の形態5の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。
【図25】実施の形態6の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。
【図26】実施の形態6の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。
【図27】実施の形態1〜6の薄膜トランジスタを用いた電気光学装置(表示装置)の構成例を示す回路図である。
【図28】表示装置を適用可能な電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
1…表示装置、1a…表示領域、10A…基板、10B…絶縁膜、11A…樹脂材料膜、11B…樹脂基板、11C、11D…絶縁膜、11(1)〜11(N)…絶縁層、12、12−1、12−2…凹部(溝)、12a…窪み、13…単結晶シリコン膜、13a…低濃度不純物領域、13b…高濃度不純物領域、13c…チャネル領域、15…ゲート絶縁膜、16、16b…W膜、16a…多結晶シリコン膜、19…層間絶縁膜、21…画素電極、25、25A…層間絶縁膜、27…配線、16…W膜(埋め込み材料)、16a…多結晶シリコン膜、16b…W膜、120…携帯電話、121…アンテナ部、122…音声出力部、123…音声入力部、124…操作部、130…ビデオカメラ、131…受像部、132…操作部、133…音声入力部、140…コンピュータ、141…カメラ部、142…操作部、150…ヘッドマウントディスプレイ、151…バンド、152…光学系収納部、160…プロジェクタ、161…筐体、162…光源、163…合成光学系、164、165…ミラー64、65、166…スクリーン、170…プロジェクタ、171…光学系、172…筐体、173…スクリーン、C…キャパシタ、CP…中点、G…ゲート電極(線)、Ca…幹線、Gb…支線、Gc…幅広部、P1、P2…接続部、S…SOI基板、T、T1、T2…薄膜トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に形成され、第1方向に延在する半導体膜と、
前記半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、
前記半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の凹部と、
前記凹部内に配置された充填材料と、
を有し、
前記凹部の底面と前記半導体膜の底部の第1方向に延在する中心線との距離をLcと、前記凹部の底面間の距離をtcと、nを前記基材の屈折率とした場合、
ntc2<488Lc
を満たすことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、
前記凹部は、その底部が前記基板まで到達していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
基材と、
前記基材上に形成され、それぞれ第1方向に延在し、離間して配置される第1および第2半導体膜と、
前記第1および第2半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、
前記第1半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の第1凹部と、
前記第2半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の第2凹部と、
前記第1および第2凹部内に配置された充填材料と、
を有し、
前記第1凹部間の距離をtcと、前記第1凹部と第2凹部間の最短距離をtpと、前記第1および第2凹部の深さをDEと、前記基材に入射し得る光の最短波長をλSと、最長波長をλLと、nを前記基材の屈折率とした場合、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2
および
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2
を満たすことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、
前記第1および第2凹部は、その底部が前記基板まで到達していることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記充填材料は、前記ゲート電極を構成する材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート電極を構成する材料は、多結晶シリコンであることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記充填材料は、多結晶シリコンとその上部に配置された、前記多結晶シリコンより遮光性の大きい材料を有することを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記多結晶シリコンより遮光性の大きい材料は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステンシリサイド、又はモリブデンシリサイドであることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記凹部の第1方向の長さは、前記半導体膜のチャネル領域の第1方向の長さより大きいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体膜は、チャネル領域の両側に低濃度不純物拡散領域を有し、
前記凹部の第1方向の長さは、前記チャネル領域および前記低濃度不純物拡散領域の第1方向の長さより大きいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項11】
基材上に第1方向に延在する半導体膜を形成する工程と、
前記半導体膜の両側に前記第1方向に延在する一対の凹部を形成する工程と、
前記凹部内に充填材料を埋め込む工程と、
前記半導体膜の上方に前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極を形成する工程と、を有し、
前記凹部の底面と前記半導体膜の底部の第1方向に延在する中心線との距離をLcと、前記凹部の底面間の距離をtcと、nを前記基材の屈折率とした場合、
ntc2<488Lc
を満たすよう前記凹部を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、
前記凹部は、その底部が前記基板まで到達する凹部であることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
基材上に、それぞれ第1方向に延在し、離間して配置される第1および第2半導体膜を形成する工程と、
前記第1および第2半導体膜のそれぞれの両側に前記第1方向に延在する第1凹部対および第2凹部対を形成する工程と、
前記第1および第2凹部対内に充填材料を埋め込む工程と、
前記第1および第2半導体膜の上方に前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極を形成する工程と、を有し、
前記第1凹部対間の距離をtcと、前記第1凹部対と第2凹部対との間の最短距離をtpと、前記第1および第2凹部対の深さをDEと、前記基材に入射し得る光の最短波長をλSと、最長波長をλLと、nを前記基材の屈折率とした場合、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2
および
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2
を満たすよう前記凹部を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、
前記第1および第2凹部対は、その底部が前記基板まで到達する凹部であることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
基材と、
前記基材上に形成され、第1方向に延在する半導体膜と、
前記半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、
前記半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の凹部と、
前記凹部内に配置された充填材料と、
を有する半導体装置の設計方法であって、
前記凹部の底面と前記半導体膜の底部の第1方向に延在する中心線との距離をLcと、前記凹部の底面間の距離をtcと、nを前記基材の屈折率とした場合、
ntc2<488Lc
を満たすよう設計することを特徴とする半導体装置の設計方法。
【請求項16】
前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、
前記凹部は、その底部が前記基板まで到達する凹部であることを特徴とする請求項15記載の半導体装置の設計方法。
【請求項17】
基材と、
前記基材上に形成され、第1方向に延在し、離間して配置される第1および第2半導体膜と、
前記第1および第2半導体膜上にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延在するゲート電極と、
前記第1半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の第1凹部と、
前記第2半導体膜の両側に前記第1方向に延在するよう形成された一対の第2凹部と、
前記第1および第2凹部内に配置された充填材料と、
を有する半導体装置の設計方法であって、
前記第1凹部間の距離をtcと、前記第1凹部と第2凹部間の最短距離をtpと、前記第1および第2凹部の深さをDEと、前記基材に入射し得る光の最短波長をλSと、最長波長をλLと、nを前記基材の屈折率とした場合、
tc2(n2tc2−0.37λS2)<1.49λS2DE2
および
tp2(n2tp2−0.37λL2)>1.49λL2DE2
を満たすよう設計することを特徴とする半導体装置の設計方法。
【請求項18】
前記基材は、基板とその上部に形成された絶縁膜よりなり、
前記第1および第2凹部は、その底部が前記基板まで到達する凹部であることを特徴とする請求項17記載の半導体装置の設計方法。
【請求項19】
請求項1乃至10のいずれか一項記載の半導体装置を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項20】
請求項19記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項21】
請求項11乃至14のいずれか一項記載の半導体装置の製造方法を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の電気光学装置の製造方法を有することを特徴とする電子機器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2009−158840(P2009−158840A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337877(P2007−337877)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】