説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】不揮発性メモリで発生するディスターブを抑制して、半導体装置の信頼性を向上することができる技術を提供する。
【解決手段】半導体基板1S上に、第1電位障壁膜EB1と電荷蓄積膜ECと第2電位障壁膜EB2からなる積層絶縁膜を介してメモリゲート電極MGが形成されている。そして、このメモリゲート電極MGの両側の側壁に酸化シリコン膜OX3を介して補助ゲート電極AG1、AG2が形成されている。補助ゲート電極AG1、AG2の直下にある半導体基板1S内には浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されている。このように構成されているメモリセルの書き込み動作時において、非選択セルの補助ゲート電極AG1、AG2に負電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを有する半導体装置およびその製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2008−28410号公報(特許文献1)には、第1半導体領域上に、ゲート絶縁膜およびゲート窒化膜を介してメモリゲート電極が形成された不揮発性メモリセルにおいて、メモリゲート電極の両側の側壁に第1スイッチングゲート電極および第2スイッチングゲート電極(サイドゲート)を形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−28410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気的に書き込み・消去が可能な不揮発性半導体記憶装置として、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリが広く使用されている。現在広く用いられているEEPROMやフラッシュメモリに代表されるこれらの不揮発性半導体記憶装置(不揮発性メモリ)は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタのゲート電極下に、酸化シリコン膜で囲まれた導電性の浮遊ゲート電極やトラップ性絶縁膜など電荷蓄積膜を有しており、浮遊ゲート電極やトラップ性絶縁膜での電荷蓄積状態によってトランジスタのしきい値が異なることを利用して情報を記憶する。
【0005】
このトラップ性絶縁膜とは、電荷の蓄積可能なトラップ準位を有する絶縁膜をいい、一例として、窒化シリコン膜等があげられる。トラップ性絶縁膜を有する不揮発性半導体記憶装置では、トラップ性絶縁膜への電荷の注入・放出によってMOSトランジスタのしきい値をシフトさせ記憶素子として動作させる。このようなトラップ性絶縁膜を電荷蓄積膜とする不揮発性半導体記憶装置をMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタと呼んでおり、電荷蓄積膜に導電性の浮遊ゲート電極を使用する場合に比べ、離散的なトラップ準位に電荷を蓄積するためにデータ保持の信頼性に優れる。また、データ保持の信頼性に優れているためにトラップ性絶縁膜上下の酸化シリコン膜の膜厚を薄膜化でき、書き込み・消去動作の低電圧化が可能である等の利点を有する。
【0006】
MONOS型トランジスタでは、書き込み動作や消去動作時に、選択しているメモリセルだけでなく、非選択メモリセルにも高電圧が印加される。したがって、非選択メモリセルでも、メモリゲート電極、ソース領域あるいはドレイン領域に電圧が印加されており、例えば、半導体基板とソース領域との間に高電界が発生する。この高電界によって、非選択メモリセルにおいても、誤消去などのディスターブと呼ばれる現象が発生する問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、不揮発性メモリで発生するディスターブを抑制して、半導体装置の信頼性を向上することができる技術を提供することにある。
【0008】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
代表的な実施の形態による半導体装置は、半導体基板のメモリセル領域に形成された複数のメモリセルを備え、前記複数のメモリセルのそれぞれは、(a)前記半導体基板と、(b)前記半導体基板上に形成された第1電位障壁膜と、(c)前記第1電位障壁膜上に形成された電荷蓄積膜とを有する。さらに、(d)前記電荷蓄積膜上に形成された第2電位障壁膜と、(e)前記第2電位障壁膜上に形成された第1ゲート電極と、(f)前記半導体基板内に形成された第1ソース領域および第1ドレイン領域とを有する。ここで、前記第1ゲート電極の側壁に絶縁膜を介して補助ゲート電極が形成されており、前記補助ゲート電極の直下の前記半導体基板内には前記第1ソース領域あるいは前記第1ドレイン領域が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0012】
不揮発性メモリで発生するディスターブを抑制することができる。この結果、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態におけるICカードの外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態における半導体チップのレイアウト構成を示す図である。
【図3】MONOS型トランジスタの一般的なデバイス構造を示す断面図である。
【図4】アレイ状に配置された不揮発性メモリの一部を示す回路ブロック図である。
【図5】メモリセルで発生するディスターブを説明するための図である。
【図6】実施の形態における半導体装置のデバイス構造を示す断面図である。
【図7】実施の形態におけるメモリセルアレイのレイアウト構成を示す図である。
【図8】実施の形態におけるメモリセルの給電領域の構造を示す断面図である。
【図9】書き込み動作時のメモリセルアレイを示す回路図である。
【図10】非選択のメモリセルに印加される電圧条件を示す図である。
【図11】消去動作時のメモリセルアレイを示す回路図である。
【図12】読み出し動作時のメモリセルアレイを示す回路図である。
【図13】本実施の形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0015】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0017】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0019】
図1は、本実施の形態におけるICカードの外観構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態におけるICカード1Cは、矩形形状をしており、このICカード1Cの表面に端子TEが形成されている。ICカード1Cの内部には半導体チップが埋め込まれており、埋め込まれている半導体チップと端子TEとは電気的に接続されている。ICカード1Cは、端子TEを介して、ICカード1Cの外部にあるリーダ/ライタから電源供給を受けるとともに、リーダ/ライタとデータ通信を行なうように構成されている。ICカード1Cに形成されている端子TEには、供給電圧端子、グランド端子、リセット端子、入出力端子およびクロック端子が含まれている。
【0020】
本実施の形態では、端子TEを介してリーダ/ライタとデータ通信を行なう接触型ICカードを例に挙げているが、ICカード利用者の利便性を考慮した非接触型のICカードにも適用できる。非接触型のICカードとは、端子TEが形成されておらず、電磁誘導現象を利用して電源供給やリーダ/ライタとのデータ通信を行なうように構成されているICカードである。
【0021】
続いて、ICカード1Cの内部に埋め込まれている半導体チップのレイアウト構成について説明する。図2は、本実施の形態における半導体チップCHPのレイアウト構成を示す図である。図2において、半導体チップCHPは、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、アナログ回路3、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)4、フラッシュメモリ5およびI/O(Input/Output)回路6を有している。
【0022】
CPU(回路)1は、中央演算処理装置とも呼ばれ、コンピュータなどの心臓部にあたる。このCPU1は、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算や制御を行なうものである。
【0023】
RAM(回路)2は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出したり、記憶情報を新たに書き込んだりすることができるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。ICメモリとしてのRAMには、ダイナミック回路を用いたDRAM(Dynamic RAM)とスタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)の2種類がある。DRAMは、記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリであり、SRAMは、記憶保持動作が不要な随時書き込み読み出しメモリである。
【0024】
アナログ回路3は、時間的に連続して変化する電圧や電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。
【0025】
EEPROM4およびフラッシュメモリ5は、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。このEEPROM4およびフラッシュメモリ5のメモリセルは、記憶(メモリ)用の例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタやMNOS(Metal Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタから構成される。EEPROM4およびフラッシュメモリ5の書き込み動作および消去動作には、例えばファウラーノルドハイム型トンネル現象(FNトンネル現象)を利用する。なお、ホットエレクトロンやホットホールを用いて書き込み動作や消去動作させることも可能である。EEPROM4とフラッシュメモリ5の相違点は、EEPROM4が、例えば、バイト単位で消去のできる不揮発性メモリであるのに対し、フラッシュメモリ5が、例えば、ワード線単位(あるいはマット単位)で消去できる不揮発性メモリである点である。一般に、フラッシュメモリ5には、CPU1で種々の処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。これに対し、EEPROM4には、書き換え頻度の高い各種データが記憶されている。例えば、携帯電話機のICカード用半導体チップを例にとれば、EEPROM4には、電話番号、課金情報、通話メモなどのデータが記憶される。
【0026】
I/O回路6は、入出力回路であり、半導体チップCHP内から半導体チップCHPの外部に接続された機器へのデータの出力や、半導体チップCHPの外部に接続された機器から半導体チップ内へのデータの入力を行なうための回路である。
【0027】
次に、EEPROM4やフラッシュメモリ5を構成するメモリセルの一般的なデバイス構造について説明する。図3は、MONOS型トランジスタの一般的なデバイス構造を示す断面図である。図3において、半導体基板1S上にウェル分離層NISOを介してp型ウェルPWL1が形成されており、このp型ウェルPWL1上にMONOS型トランジスタが形成されている。具体的に、p型ウェルPWL1上には、例えば、酸化シリコン膜からなる第1電位障壁膜EB1と、窒化シリコン膜からなる電荷蓄積膜ECと、酸化シリコン膜からなる第2電位障壁膜EB2が順次形成されている。そして、第2電位障壁膜EB2上にメモリゲート電極MGが形成されている。このメモリゲート電極は、例えば、ポリシリコン膜PF1とコバルトシリサイド膜CSの積層膜から形成されている。
【0028】
メモリゲート電極MGの両側の側壁には、サイドウォールSWが形成され、サイドウォールSWの直下になる半導体基板1S(p型ウェルPWL1)内には、メモリゲート電極MGに整合して浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されている。そして、p型ウェルPWL1内であって、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1の外側には、サイドウォールSWに整合して深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1が形成されている。この深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1の表面には、低抵抗化のために例えばコバルトシリサイド膜CSが形成されている。このようにして、一般的なMONOS型トランジスタが形成されている。
【0029】
さらに、このMONOS型トランジスタを覆うように層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通して深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1(コバルトシリサイド膜CS)に達するコンタクトホールCNTが形成されている。このコンタクトホールCNTには、導電材料が埋め込まれてプラグPLGが形成され、プラグPLGと電気的に接続するように層間絶縁膜IL1上に配線L1が形成されている。
【0030】
以上のように構成されているメモリセルがアレイ状に配置されることにより、EEPROM4やフラッシュメモリ5などの不揮発性メモリが構成される。図4は、アレイ状に配置された不揮発性メモリの一部を示す回路ブロック図である。図4では、2行2列のメモリセルアレイが示されている。具体的に、横方向に延在するようにゲート線G1、G2が配置され、縦方向に延在するようにソース線S1、S2およびデータ線D1、D2が配置されている。このとき、例えば、メモリセルMC1は、ゲート線G1、ソース線S1およびデータ線D1と接続されている。つまり、メモリセルMC1では、図3に示すメモリゲート電極MGが図4に示すゲート線G1と電気的に接続され、図3に示す深いn型高濃度不純物拡散領域NS1が図4に示すソース線S1と電気的に接続されている。また、図3に示す深いn型高濃度不純物拡散領域ND1が図4に示すデータ線D1と電気的に接続され、図3に示すp型ウェルPWL1が図4に示すウェルWとなっている。一方、メモリセルMC2は、ゲート線G2、ソース線S2およびデータ線D2と接続されている。この場合、メモリセルMC2では、図3に示すメモリゲート電極MGが図4に示すゲート線G2と電気的に接続され、図3に示す深いn型高濃度不純物拡散領域NS1が図4に示すソース線S2と電気的に接続されている。さらに、図3に示す深いn型高濃度不純物拡散領域ND1が図4に示すデータ線D2と電気的に接続され、図3に示すp型ウェルPWL1が図4に示すウェルWとなっている。
【0031】
次に、このように構成されている不揮発性メモリの書き込み動作について説明する。例えば、図4において、メモリセルMC1に情報を書き込む場合を説明する。この場合、メモリセルMC1が選択セルとなり、それ以外のメモリセル(例えば、メモリセルMC2)が非選択セルとなる。具体的に、メモリセルMC1に対して書き込み動作を行なう場合、ゲート線G1に6.5V、ゲート線G2に−6Vを印加する。そして、ソース線S1およびデータ線D1に−6Vを印加し、ソース線S2およびデータ線D2に3Vを印加する。さらに、ウェルWに−6Vを印加する。
【0032】
すると、メモリセルMC1では、図3に示す深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1(−6V)に対して、メモリゲート電極MG(6.5V)が大きな正電位となるため、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1(反転したチャネル領域も含む)とメモリゲート電極MGとの間にFN(Fowler-Nordheim)トンネル電流が流れる。この結果、メモリゲート電極MGとp型ウェルPWL1の間にある電荷蓄積膜ECに電子が注入される。これにより、メモリセルMC1のしきい値電圧が上昇し、情報の書き込みが行なわれる。
【0033】
以上のようにして、メモリセルMC1に情報が書き込まれるが、このとき、その他のメモリセルでは書き込み動作は行なわれない。しかし、上述したメモリセルMC1だけへの書き込みを実現するために、ゲート線G1、G2、ソース線S1、S2、データ線D1、D2およびウェルWに所定の電圧が印加される。この電圧条件によって、書き込み対象となっていない非選択セルで、誤って記憶されている情報が消去されるディスターブが発生する。具体的には、図4に示すメモリセルMC2で誤消去現象(ディスターブ)が発生する。以下に、このディスターブについて説明する。
【0034】
まず、図4において、メモリセルMC1に情報の書き込みを行なう場合、メモリセルMC2でディスターブが発生する。すなわち、メモリセルMC2では、ゲート線G2に−6V、ソース線S2とデータ線D2に3V、ウェルWに−6Vが印加される。この電圧印加条件により、メモリセルMC2でディスターブが発生する。このメカニズムについて図5を使用して説明する。
【0035】
図5は、メモリセルMC2で発生するディスターブを説明するための図である。図5において、メモリゲート電極MGに接続されているゲート線G2に−6V、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1に接続されているソース線S2、および、深いn型高濃度不純物拡散領域ND1に接続されているデータ線D2に3Vが印加されている。また、p型ウェルPWL1(ウェルW)には−6Vが印加されている。このとき、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1と浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とは電気的に接続されていることから、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1にも3Vが印加されていることになる。この電圧条件では、例えば、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1との間には9Vの電位差が生じ、かつ、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とメモリゲート電極MGとの間にも9Vの電位差が生じる。このため、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍、かつ、メモリゲート電極MGの端部で、バンドが極端に曲がり、このバンドの曲がりによってバンド間トンネリングが生じる。すなわち、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍、かつ、メモリゲート電極MGの右端部でバンド間トンネリングによる正孔・電子対が発生する。そして、発生した電子は、正電位が印加されているデータ線D2側に流れる一方、発生した正孔は負電位が印加されているp型ウェルPWL1側に流れる。この結果、例えば、深いn型高濃度不純物拡散領域ND1(データ線D2)と、p型ウェルPWL1との間に、GIDL(Gate Induced Drain Leakage)電流が流れる。
【0036】
同様に、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍、かつ、メモリゲート電極MGの左端部でバンド間トンネリングによる正孔・電子対が発生する。そして、発生した電子は、正電位が印加されているソース線S2側に流れる一方、発生した正孔は負電位が印加されているp型ウェルPWL1側に流れる。この結果、例えば、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1(ソース線S2)と、p型ウェルPWL1との間にも、GIDL電流が流れる。
【0037】
ここで、メモリセルMC2のメモリゲート電極MGには−6Vが印加されている。したがって、バンド間トンネリングにより発生した正孔は、負電位が印加されているp型ウェルPWL1へ流れるが、一部の正孔は、負電位が印加されているメモリゲート電極MG側に引き寄せられる。この結果、バンド間トンネリングにより発生した正孔の一部は、第1電位障壁膜EB1による障壁を乗り越えて電荷蓄積膜ECに注入される。つまり、メモリセルMC2では、上述した電圧条件により、意図しない正孔が電荷蓄積膜ECに注入されることになる。これは、メモリセルMC2に記憶されている情報が誤って消去されることを意味している。すなわち、非選択セルであるメモリセルMC2に印加される電圧条件により、電荷蓄積膜ECへの意図しない正孔の注入が生じ、誤って情報が消去されるディスターブが生じるのである。このようなディスターブが発生すると、正しい情報を保持することができず、不揮発性メモリ(半導体装置)の信頼性が低下することになる。
【0038】
そこで、本実施の形態では、誤って情報が消去されるディスターブを抑制することにより、不揮発性メモリの信頼性の向上を図ることを目的とし、この目的を達成するために、メモリセルのデバイス構造に工夫を施している。以下では、工夫を施した本実施の形態における不揮発性メモリ(半導体装置)について説明する。
【0039】
図6は、本実施の形態における半導体装置のデバイス構造を示す断面図である。図6では、3つの領域に形成されている半導体素子が図示されている。具体的に、図6において、左側領域はEEPROM4やフラッシュメモリ5が形成されるメモリセル形成領域を示しており、このメモリセル形成領域に形成されているメモリセルの1つが図示されている。図6の中央領域は周辺回路形成領域を示しており、この周辺回路形成領域に形成されているコア用MISFETが図示されている。一方、図6の右側領域は周辺回路形成領域を示しており、この周辺回路形成領域に形成されているI/O(Input/Output)(入出力回路)用MISFETが図示されている。
【0040】
図6の中央領域に形成されているコア用MISFETの構成について説明する。コア用MISFETとは、低電圧で駆動可能で、電流駆動能力の向上を図ることができる低耐圧MISFETのことである。このコア用MISFETは、例えば、図2に示すCPU1(論理回路)やRAM2などの回路や、EEPROM4やフラッシュメモリ5を制御する制御回路の一部を構成するMISFETである。図6では、nチャネル型MISFETが図示されており、このnチャネル型MISFETの構成について説明する。ただし、コア用MISFETには、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETがあり、pチャネル型MISFETの構成は、nチャネル型MISFETを構成する半導体領域の導電型を逆にした構成により実現される。
【0041】
まず、半導体基板1Sに素子を分離する素子分離領域STIが形成されている。そして、素子分離領域STIで分割された活性領域のうち、nチャネル型MISFET(コア用MISFET)を形成する領域(半導体基板1S内)には、p型ウェルPWL2が形成されている。
【0042】
nチャネル型MISFET(コア用MISFET)は、半導体基板1S内に形成されたp型ウェルPWL2上にゲート絶縁膜GOX1が形成されており、このゲート絶縁膜GOX1上にゲート電極Gaが形成されている。ゲート絶縁膜GOX1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、ゲート電極Gaは、低抵抗化のため、導電膜、例えば、ポリシリコン膜PF2とコバルトシリサイド膜CSの積層膜から形成されている。
【0043】
ゲート電極Gaの両側の側壁には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2が形成されている。サイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜などの絶縁膜から形成されている。そして、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2の外側に、半導体領域として深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2が形成され、この深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2の表面にシリサイド膜として例えばコバルトシリサイド膜CSが形成されている。
【0044】
サイドウォールSWは、nチャネル型トランジスタ(コア用MISFET)の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、nチャネル型トランジスタ(コア用MISFET)のソース領域およびドレイン領域は、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2と深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2より形成されている。このとき、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2の不純物濃度は、深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2とすることにより、ゲート電極Gaの端部下における電界集中を抑制できる。
【0045】
このように構成されているコア用MISFETでは、ゲート絶縁膜GOX1の膜厚が薄く、かつ、ゲート電極Gaのゲート長が短くなっている。これにより、低電圧駆動が可能となり、さらに、低電圧駆動でも電流駆動力を向上できるようになっている。
【0046】
コア用MISFET上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通するようにコンタクトホールCNTが形成されている。コンタクトホールCNTは、nチャネル型トランジスタ(コア用MISFET)のソース領域やドレイン領域に達するように形成されており、このコンタクトホールCNT内にプラグPLGが形成されている。プラグPLGは、コンタクトホールCNT内に、例えば、チタン/窒化チタン膜よりなるバリア導体膜と、タングステン膜とを埋め込むことにより形成されている。
【0047】
そして、プラグPLGを形成した層間絶縁膜IL1上に配線L1が形成されている。配線L1は、例えば、チタン/窒化チタン膜よりなるバリア導体膜とアルミニウム膜との積層膜から構成されている。このようにして、nチャネル型トランジスタ(コア用MISFET)のソース領域およびドレイン領域は、プラグPLGを介して配線L1と電気的に接続されていることになる。
【0048】
次に、図6の右側領域に形成されているI/O用MISFETの構成について説明する。I/O用MISFETとは、耐圧の向上を図ることができる高耐圧MISFETのことである。このI/O用MISFETは、例えば、図2に示すI/O回路6を構成するMISFETである。図6では、nチャネル型MISFETが図示されており、このnチャネル型MISFETの構成について説明する。ただし、I/O用MISFETには、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETがあり、pチャネル型MISFETの構成は、nチャネル型MISFETを構成する半導体領域の導電型を逆にした構成により実現される。
【0049】
まず、半導体基板1Sに素子を分離する素子分離領域STIが形成されている。そして、素子分離領域STIで分割された活性領域のうち、nチャネル型MISFET(I/O用MISFET)を形成する領域(半導体基板1S内)には、p型ウェルPWL3が形成されている。
【0050】
nチャネル型MISFET(I/O用MISFET)は、半導体基板1S内に形成されたp型ウェルPWL3上にゲート絶縁膜GOX2が形成されており、このゲート絶縁膜GOX2上にゲート電極Gbが形成されている。ゲート絶縁膜GOX2は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、ゲート電極Gbは、低抵抗化のため、導電膜、例えば、ポリシリコン膜PF2とコバルトシリサイド膜CSの積層膜から形成されている。
【0051】
ゲート電極Gbの両側の側壁には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3が形成されている。サイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜などの絶縁膜から形成されている。そして、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3の外側に半導体領域として、深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3が形成され、この深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3の表面にシリサイド膜として例えばコバルトシリサイド膜CSが形成されている。
【0052】
サイドウォールSWは、nチャネル型トランジスタ(I/O用MISFET)の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、nチャネル型トランジスタ(I/O用MISFET)のソース領域およびドレイン領域は、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3と深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3より形成されている。このとき、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3の不純物濃度は、深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3とすることにより、ゲート電極Gbの端部下における電界集中を抑制できる。
【0053】
このように構成されているI/O用MISFETでは、ゲート絶縁膜GOX2の膜厚が厚く、かつ、ゲート電極Gbのゲート長が長くなっている。これにより、高耐圧を確保することができるようになっている。
【0054】
I/O用MISFET上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通するようにコンタクトホールCNTが形成されている。コンタクトホールCNTは、nチャネル型トランジスタ(I/O用MISFET)のソース領域やドレイン領域に達するように形成されており、このコンタクトホールCNT内にプラグPLGが形成されている。プラグPLGは、コンタクトホールCNT内に、例えば、チタン/窒化チタン膜よりなるバリア導体膜と、タングステン膜とを埋め込むことにより形成されている。
【0055】
そして、プラグPLGを形成した層間絶縁膜IL1上に配線L1が形成されている。配線L1は、例えば、チタン/窒化チタン膜よりなるバリア導体膜とアルミニウム膜との積層膜から構成されている。このようにして、nチャネル型トランジスタ(I/O用MISFET)のソース領域およびドレイン領域は、プラグPLGを介して配線L1と電気的に接続されていることになる。
【0056】
続いて、図6の左側領域(メモリセル形成領域)に形成されているメモリセルの構成について説明する。本実施の形態におけるメモリセルは、MONOS型トランジスタから構成されている。図6に示すように、メモリセル形成領域の半導体基板1S内には、ウェル分離層NISOが形成されており、このウェル分離層NISO上にp型ウェルPWL1が形成されている。半導体基板1Sおよびp型ウェルPWL1には、ボロン(ホウ素)などのp型不純物が導入されている。一方、ウェル分離層NISOには、リンや砒素などのn型不純物が導入されている。半導体基板1Sに形成されたp型ウェルPWL1上にMONOS型トランジスタが形成されている。
【0057】
具体的に、半導体基板1S内に形成されたp型ウェルPWL1上に第1電位障壁膜EB1が形成されており、この第1電位障壁膜EB1上に電荷蓄積膜ECが形成されている。そして、この電荷蓄積膜EC上に第2電位障壁膜EB2が形成され、この第2電位障壁膜EB2上に導電膜からなるメモリゲート電極MGが形成されている。このとき、第1電位障壁膜EB1と、電荷蓄積膜ECと、第2電位障壁膜EB2を合わせてゲート絶縁膜と呼ぶこともある。メモリゲート電極MGは、低抵抗化を図るため、例えば、ポリシリコン膜PF1とコバルトシリサイド膜CSの積層膜から構成されている。なお、本実施の形態では、シリサイド膜としてコバルトシリサイド膜CSを例示しているが、これに限られず、ニッケルシリサイド、チタンシリサイド、または、プラチナシリサイド等の他の膜を使用することもできる。以降の説明におけるコバルトシリサイド膜CSについても同様である。
【0058】
メモリゲート電極MGの両側の側壁には補助ゲート電極AG1、AG2が形成されている。補助ゲート電極AG1、AG2とメモリゲート電極MGの間には酸化シリコン膜OX3が形成されている。また、補助ゲート電極AG1、AG2と半導体基板1Sの間にも酸化シリコン膜OX3が形成されている。そして、補助ゲート電極AG1、AG2は、サイドウォール形状をしており、導電膜、例えば、ポリシリコン膜PF2とコバルトシリサイド膜CSの積層膜から構成されている。さらに、補助ゲート電極AG1、AG2の側壁には、LDD(Lightly Doped Drain)構造を形成するため、例えば、絶縁膜からなるサイドウォールSWが形成されている。
【0059】
補助ゲート電極AG1、AG2直下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されており、この浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1の外側に、半導体領域として深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1が形成されている。そして、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1の表面には、低抵抗化のためのコバルトシリサイド膜CSが形成されている。また、メモリゲート電極MG下部の半導体基板1Sはチャネル形成領域として作用し、チャネル形成領域は一対の浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1の間に構成される。
【0060】
上記のように構成されたMONOS型トランジスタにおいて、第1電位障壁膜EB1は、例えば、酸化シリコン膜からなる絶縁膜で形成されている。この第1電位障壁膜EB1は、電荷蓄積膜ECに蓄積された電荷が半導体基板1Sへリークすることを抑制する電位障壁膜として機能するとともに、トンネル絶縁膜としても機能する。すなわち、MONOS型トランジスタは、半導体基板1Sから第1電位障壁膜EB1を介して電荷蓄積膜ECに電子を注入したり、電荷蓄積膜ECに蓄積した電子を半導体基板1Sに放出したりすることにより、データの記憶や消去を行なうので、第1電位障壁膜EB1は、トンネル絶縁膜としても機能するのである。なお、この電位障壁膜EB1は、酸化シリコン膜に限らず、窒素を導入した酸化シリコン膜で形成することもできる。
【0061】
そして、この電位障壁膜EB1上に形成されている電荷蓄積膜ECは、電荷を蓄積する機能を有している。具体的に、本実施の形態では、電荷蓄積膜ECを窒化シリコン膜から形成している。本実施の形態におけるメモリセルの記憶部は、電荷蓄積膜ECに蓄積される電荷の有無によって、メモリゲート電極MG下の半導体基板1S内を流れる電流を制御することにより、情報を記憶するようになっている。つまり、電荷蓄積膜ECに蓄積される電荷の有無によって、メモリゲート電極MG下の半導体基板1S内を流れる電流のしきい値電圧が変化することを利用して情報を記憶している。
【0062】
本実施の形態では、電荷蓄積膜ECとしてトラップ準位を有する絶縁膜を使用している。このトラップ準位を有する絶縁膜の一例として窒化シリコン膜が挙げられるが、窒化シリコン膜に限らず、例えば、酸化アルミニウム膜(アルミナ)、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する高誘電率膜を使用してもよい。電荷蓄積膜ECとしてトラップ準位を有する絶縁膜を使用する場合、電荷は絶縁膜に形成されているトラップ準位に捕獲される。このようにトラップ準位に電荷を捕獲することにより、絶縁膜中に電荷を蓄積するようになっている。
【0063】
従来、電荷蓄積膜ECとしてポリシリコン膜が主に使用されてきたが、電荷蓄積膜ECとしてポリシリコン膜を使用した場合、電荷蓄積膜ECを取り囲む絶縁膜のどこか一部に欠陥があると、電荷蓄積膜ECが導電膜であるため、異常リークにより電荷蓄積膜ECに蓄積された電荷がすべて抜けてしまうことが起こりうる。
【0064】
そこで、本実施の形態では、電荷蓄積膜ECとして、絶縁膜である窒化シリコン膜が使用されている。この場合、データ記憶に寄与する電荷は、窒化シリコン膜中に存在する離散的なトラップ準位(捕獲準位)に蓄積される。したがって、電荷蓄積膜ECを取り囲む絶縁膜中の一部に欠陥が生じても、電荷は電荷蓄積膜ECの離散的なトラップ準位に蓄積されているため、すべての電荷が電荷蓄積膜ECから抜け出てしまうことがない。このため、本実施の形態におけるMONOS型トランジスタによれば、データ保持の信頼性向上を図ることができる。
【0065】
このような理由から、電荷蓄積膜ECとして、窒化シリコン膜に限らず、離散的なトラップ準位を含むような膜を使用することにより、データ保持特性の向上を図ることができる。さらに、本実施の形態では、電荷蓄積膜ECとしてデータ保持特性に優れた窒化シリコン膜を使用している。このため、電荷蓄積膜ECからの電荷の流出を防止するために設けられている電位障壁膜EB1および電位障壁膜EB2の膜厚を薄くすることができる。これにより、メモリセルを駆動する電圧を低電圧化することができる利点も有していることになる。また、電荷蓄積膜ECとして、シリコンを複数の粒状に形成したシリコン・ナノドットを用いてもよい。
【0066】
サイドウォールSWは、MONOS型トランジスタの半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、MONOS型トランジスタのソース領域およびドレイン領域は、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1と深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1より形成されている。このとき、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1の不純物濃度は、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、補助ゲート電極AG1、AG2直下のソース領域およびドレイン領域を浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とすることにより、メモリゲート電極MGの端部下における電界集中を抑制できる。
【0067】
以上のようにして、メモリセル形成領域にMONOS型トランジスタが形成されている。このMONOS型トランジスタ上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通するようにコンタクトホールCNTが形成されている。コンタクトホールCNTは、MONOS型トランジスタのソース領域やドレイン領域に達するように形成されており、このコンタクトホールCNT内にプラグPLGが形成されている。プラグPLGは、コンタクトホールCNT内に、例えば、チタン/窒化チタン膜よりなるバリア導体膜と、タングステン膜とを埋め込むことにより形成されている。
【0068】
そして、プラグPLGを形成した層間絶縁膜IL1上に配線L1が形成されている。配線L1は、例えば、チタン/窒化チタン膜よりなるバリア導体膜とアルミニウム膜との積層膜から構成されている。このようにして、MONOS型トランジスタのソース領域およびドレイン領域は、プラグPLGを介して配線L1と電気的に接続されていることになる。
【0069】
次に、本実施の形態におけるメモリセルの特徴について説明する。本実施の形態では、図6に示すように、メモリセルをMONOS型トランジスタから構成しているが、このMONOS型トランジスタに補助ゲート電極AG1、AG2を設けている点に特徴がある。つまり、通常のMONOS型トランジスタでは、図3に示すように、メモリゲート電極MGの側壁には絶縁膜からなるサイドウォールSWが形成されているのに対し、本実施の形態におけるMONOS型トランジスタでは、図6に示すように、メモリゲート電極MGの側壁に酸化シリコン膜OX3を介して補助ゲート電極AG1、AG2が形成されている。
【0070】
この補助ゲート電極AG1、AG2をメモリゲート電極MGの側壁に形成することにより、非選択セルの誤消去(ディスターブ)を抑制することができる。
【0071】
ここでは、その概略的な説明をする。図6に示すメモリセルが非選択セルであると仮定する。この場合、図5で説明したように、非選択セルであっても、メモリゲート電極MG、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1(浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1)およびp型ウェルPWL1に所定電圧が印加される。そして、この電圧条件によって、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍、かつ、メモリゲート電極MGの端部で、バンドが極端に曲がり、このバンドの曲がりによってバンド間トンネリングが生じる。例えば、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍、かつ、メモリゲート電極MGの右端部でバンド間トンネリングによる正孔・電子対が発生する。この発生した正孔・電子対のうち正孔の一部は、メモリゲート電極MGに印加されている負電圧に引き寄せられる。この結果、半導体基板1S内で発生した正孔が第1電位障壁膜EB1による障壁を乗り越えて電荷蓄積膜ECに注入される。つまり、意図しない正孔が電荷蓄積膜ECに注入されることになる。これは、非選択セルに記憶されている情報が誤って消去されることを意味している。すなわち、非選択セルであるメモリセルに印加される電圧条件により、電荷蓄積膜ECへの意図しない正孔の注入が生じ、誤って情報が消去されるディスターブが生じるのである。このようなディスターブが発生すると、正しい情報を保持することができず、不揮発性メモリ(半導体装置)の信頼性が低下することになる。
【0072】
そこで、本実施の形態では、メモリゲート電極MGの両側の側壁に補助ゲート電極AG1、AG2を設け、かつ、この補助ゲート電極AG1、AG2に負電圧を印加する。これにより、バンド間トンネリングによって発生した正孔を補助ゲート電極AG1、AG2側に引き寄せることができるのである。つまり、補助ゲート電極AG1、AG2と半導体基板1S間に発生する電界強度が、メモリゲート電極MGと半導体基板1S間に発生する電界強度よりも高くするように、補助ゲート電極AG1、AG2に負電圧を印加する。これにより、バンド間トンネリングで発生した正孔は、電界強度の強い方向に引き寄せられるので、メモリゲート電極MG側ではなく、補助ゲート電極AG1、AG2側に引き寄せられる。このことは、バンド間トンネリングで発生した正孔が、メモリゲート電極MGの下層にある電荷蓄積膜に注入されることを抑制できることを意味する。すなわち、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍、かつ、メモリゲート電極MGの端部で発生した正孔を、補助ゲート電極AG1、AG2に強制的に引き寄せることにより、電荷蓄積膜EC中への正孔の注入を抑制することができるのである。
【0073】
このように本実施の形態では、メモリゲート電極MGの側壁に補助ゲート電極AG1、AG2を設けることにより、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制できるのである。特に、補助ゲート電極AG1、AG2に印加する電圧を調整することにより、バンド間トンネリングで発生した正孔が電荷蓄積膜ECに注入されることを防止できる。つまり、本実施の形態における補助ゲート電極AG1、AG2は、半導体基板1S内で発生した正孔を強制的に捕獲する機能を有しているということができる。言い換えれば、補助ゲート電極AG1、AG2は、非選択セルに印加される電圧条件で発生する正孔が引き寄せられる経路を強制的に変更することにより、非選択セルの電荷蓄積膜ECに注入される正孔の数を低減するものである。
【0074】
本実施の形態の技術的思想は、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を防止するために、非選択セルで発生する正孔の数を低減するという技術的思想ではなく、発生した正孔が引き寄せられる方向を変えることで、電荷蓄積膜ECに注入される正孔の数を低減するという技術的思想である。そして、この技術的思想を具現化する手段として、メモリゲート電極MGの側壁に補助ゲート電極AG1、AG2を形成し、この補助ゲート電極AG1、AG2に負電圧を印加することとしている。これにより、発生した正孔が電荷蓄積膜ECを通る経路(メモリゲート電極MGに引き寄せられる経路)から、電荷蓄積膜ECを通らない経路(補助ゲート電極AG1、AG2に引き寄せられる経路)に向きを変えることで、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制することができるのである。特に、補助ゲート電極AG1、AG2と半導体基板1S間に発生する電界強度が、メモリゲート電極MGと半導体基板1S間に発生する電界強度よりも高くするように、補助ゲート電極AG1、AG2に印加する負電圧を調整することで、効率よく非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制し、不揮発性メモリの信頼性を向上することができる。ただし、これに限らず、補助ゲート電極AG1、AG2に印加する電圧を負電圧にするだけでも効果がある。なぜなら、正孔は正電荷を有しているので、多少なりとも、負電圧の印加されている補助ゲート電極AG1、AG2に引き寄せられるからである。
【0075】
本実施の形態では、補助ゲート電極AG1、AG2に正孔を引き寄せるように負電圧を印加している。この補助ゲート電極AG1、AG2に印加される負電圧と、メモリゲート電極MGに印加される電圧とは一般的に異なると考えられる。このため、メモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2の間は絶縁する必要があり、メモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2間を絶縁するために、酸化シリコン膜OX3が設けられている。さらに、半導体基板1Sと補助ゲート電極AG1、AG2とを電気的に絶縁するため、半導体基板1Sと補助ゲート電極AG1、AG2の間にも、絶縁膜である酸化シリコン膜OX3が形成されている。
【0076】
続いて、本実施の形態における第2特徴点について説明する。本実施の形態における第2特徴点は、補助ゲート電極AG1、AG2直下の半導体基板1S内に浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されている点である。これにより、本実施の形態によれば、補助ゲート電極AG1、AG2は正孔を引き寄せる機能を果たすとともに、書き込み動作や読み出し動作において、補助ゲート電極AG1、AG2に対して印加する電圧条件を簡素化することができる。
【0077】
以下にこの理由について説明する。例えば、補助ゲート電極AG1、AG2の直下まで浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されていない場合を考える。この場合、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1がメモリゲート電極MGの端部近傍にまで延在していないことから、バンドの曲がりが緩和され、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍に発生する正孔・電子対を低減できる。つまり、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域にまで浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されていない場合は、メモリゲート電極MGの端部下で発生する正孔を抑制することができ、この結果、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制できる。したがって、補助ゲート電極AG1、AG2による正孔を引き寄せる機能はそれほど重要ではなくなると考えられる。一方で、補助ゲート電極AG1、AG2の直下まで浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されていない場合、選択セルにおける書き込み動作および読み出し動作で、補助ゲート電極AG1、AG2に印加する電圧条件が複雑となる。つまり、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されていない場合、書き込み動作や読み出し動作の際、補助ゲート電極AG1、AG2の直下の半導体基板1S内に反転層よりなるチャネル領域を形成する必要がある。例えば、書き込み動作時には、ソース領域およびドレイン領域からメモリゲート電極MG直下の領域までチャネル領域を形成することにより、選択セルではFNトンネル電流によって電子を電荷蓄積膜ECに注入することができる。さらに、選択セルの読み出し動作では、ソース領域とドレイン領域とを電気的に接続する必要があることから、メモリゲート電極MGの直下領域と、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域にチャネル領域を形成する必要がある。このことから、選択セルの書き込み動作時や読み出し動作時に補助ゲート電極AG1、AG2にチャネルが形成される所定電圧を印加する必要がある。このことは、書き込み動作時や読み出し動作時に補助ゲート電極AG1、AG2に印加する電圧を制御する必要があることを意味し、制御動作が複雑になる。
【0078】
これに対し、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が形成されている場合、すでに、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域にはソース領域やドレイン領域と同種のn型半導体領域が形成されていることから、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域にチャネル領域を形成する必要がない。このことは、選択セルの書き込み動作時や読み出し動作時に、補助ゲート電極AG1、AG2に印加する電圧を厳格に制御する必要がないことを意味している。したがって、メモリセルに補助ゲート電極AG1、AG2を形成しても、書き込み動作や読み出し動作の電圧条件が複雑化することを防止することができる。
【0079】
ただし、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成する場合、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界領域がメモリゲート電極MGの端部に近接することになる。このため、バンドの曲がりによるバンド間トンネリングが生じやすくなり、非選択セルにおいて不所望な正孔・電子対が発生する。この発生した正孔がメモリゲート電極MGに印加されている負電圧に引き寄せられると、メモリゲート電極MGの下層にある電荷蓄積膜ECに正孔が注入され、非選択セルにおいて誤消去(ディスターブ)が生じることになる。そこで、本実施の形態では、書き込み動作時の非選択セルにおいて、メモリゲート電極MGの側壁に形成されている補助ゲート電極AG1、AG2に負電圧を印加することにより、正孔が電荷蓄積膜ECを通る経路(メモリゲート電極MGに引き寄せられる経路)から、電荷蓄積膜ECを通らない経路(補助ゲート電極AG1、AG2に引き寄せられる経路)に向きを変えることで、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制することができるのである。
【0080】
以上のように、本実施の形態では、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域にまで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成することにより、まず、選択セルの書き込み動作時や読み出し動作の簡素化を図ることができる。ただし、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成すると、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界領域がメモリゲート電極MGの端部に近接することになるため、電荷蓄積膜ECの近傍領域で正孔・電子対が発生することになる。このため、書き込み動作時の非選択セルにおいて、補助ゲート電極AG1、AG2に負電圧を印加することにより、正孔を補助ゲート電極AG1、AG2に注入し、正孔が電荷蓄積膜ECに注入されないようにすることで、非選択セルでの誤消去(ディスターブ)を抑制できるのである。
【0081】
すなわち、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成しない構造では、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1がメモリゲート電極MGの端部にまで形成されないことで、非選択セルの誤消去(ディスターブ)を抑制できる。このことは、補助ゲート電極AG1、AG2に正孔を捕獲する機能がそれほど必要はなく、それよりも、選択セルの書き込み動作時および読み出し動作時に、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域にチャネル領域を形成する機能が要求されることになる。つまり、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成しない構造において、補助ゲート電極AG1、AG2はエンハンストMISFETのような機能が要求されることになる。
【0082】
これに対し、本実施の形態のように、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成する構造では、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1がメモリゲート電極MGの端部にまで形成されることで、非選択セルに印加される電圧条件においても、正孔・電子対がメモリゲート電極MGの端部近傍で多数発生する。したがって、この場合、補助ゲート電極AG1、AG2で正孔を捕獲することにより、正孔の一部が電荷蓄積膜ECへ注入されることを抑制できる。つまり、本実施の形態のように、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域まで、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成する構造においては、補助ゲート電極AG1、AG2に正孔を捕獲する機能が重要となるのである。一方、選択セルの書き込み動作時や読み出し動作時に、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域にチャネル領域を形成する必要はない。したがって、本実施の形態における補助ゲート電極AG1、AG2には、デプレッションMISFETのような機能が要求されることになる。
【0083】
続いて、本実施の形態における第3特徴点について説明する。本実施の形態における第3特徴点は、メモリゲート電極MGの両側の側壁に形成されている補助ゲート電極AG1、AG2に同じ電圧を印加することにある。例えば、図6に示すように、本実施の形態におけるメモリセルでは、メモリゲート電極MGに対して、一対の浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1が対称になっている。そして、書き込み時の非選択セルでは、ソース領域とドレイン領域に印加される電圧が同じ電圧となっている。したがって、メモリゲート電極MGの左端部と右端部の両側で、同じように正孔・電子対が発生する。このことから、メモリゲート電極MGの右端部下で発生した正孔は、メモリゲート電極MGの右側に形成されている補助ゲート電極AG2に負電圧を印加することにより、補助ゲート電極AG2に引き寄せる。一方、メモリゲート電極MGの左端部下で発生した正孔は、メモリゲート電極MGの左側に形成されている補助ゲート電極AG1に負電圧を印加することにより、補助ゲート電極AG1に引き寄せる。このとき、メモリゲート電極MGの両端部下で発生する正孔・電子対は対等であることから、メモリゲート電極MGの右側の側壁に形成されている補助ゲート電極AG2と、メモリゲート電極MGの左側の側壁に形成されている補助ゲート電極AG1とに同じ電圧を印加する。これにより、メモリゲート電極MGの両端部下の半導体基板1S内で発生する正孔を、それぞれの補助ゲート電極AG1、AG2に引き寄せることができる。この結果、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制することができる。
【0084】
なお、上記の第3特徴点については、本願のメモリセルの書込み動作にFNトンネル現象を用いた場合に、特に効果が高い。すなわち、例えばチャネルホットエレクトロン(CHE)注入を用いた書き込み方式の場合では、ソース領域(深いn型高濃度不純物拡散領域NS1)とドレイン領域(深いn型高濃度不純物拡散領域ND1)には異なる電圧が印加されるため、メモリゲート電極MGの左端部と右端部の両側では、同じ正孔・電子対が発生する可能性は低い。そうすると、補助ゲート電極AG1、AG2に同じ電圧を印加することは不適切な回路動作となり、誤作動の原因と成り得る。これに対して、FNトンネル現象を用いた書込み方式の場合では、上述のように、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制することができる。
【0085】
このようにメモリゲート電極MGの両側の側壁に形成されている補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2には同じ電圧が印加される。このことは、補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2が電気的に接続されていることを意味している。以下では、補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2とに同じ電圧を供給することができるレイアウト構成について説明する。
【0086】
図7は本実施の形態におけるメモリセルアレイのレイアウト構成を示す図であり、図8は、図7のA−A線で切断した断面図である。図7において、ソース領域(深いn型高濃度不純物拡散領域NS1)とドレイン領域(深いn型高濃度不純物拡散領域ND1)が交互にY軸方向に沿って形成されている。そして、ソース領域(深いn型高濃度不純物拡散領域NS1)とドレイン領域(深いn型高濃度不純物拡散領域ND1)との間に、メモリゲート電極MGがX軸方向に延在している。メモリゲート電極MGの側壁には、補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2がX軸方向に沿って延在している。そして、メモリゲート電極MGは、X軸方向に延在して終端部で終端するように形成されている。このとき、メモリゲート電極MGの両側の側壁に形成されている補助ゲート電極AG1、AG2もX軸方向に延在し、かつ、メモリゲート電極MGの両側の側壁に形成されている補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2が、メモリゲート電極MGの終端部近傍に形成されている給電領域SURを介して接続されている。これにより、補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2とは電気的に接続され、同じ電圧が印加できるように構成されている。
【0087】
ソース領域(深いn型高濃度不純物拡散領域NS1)とドレイン領域(深いn型高濃度不純物拡散領域ND1)にはプラグPLGが接続され、このプラグPLG上に形成されている配線(図示せず)と電気的に接続されている。同様に、メモリゲート電極MGには、プラグPLG1が接続され、このプラグPLG1上に形成されている配線(図示せず)と電気的に接続されている。
【0088】
補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2の給電領域SURは、メモリゲート電極MGの終端部近傍に形成されている。図8に示すように、補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2の給電領域SURにおいては、補助ゲート電極AG1、AG2と同層の膜(ポリシリコン膜PF2とコバルトシリサイド膜CS)が、メモリゲート電極MGの終端部を覆い、さらに、メモリゲート電極MGと平面的に重ならない半導体基板上にまで延在するように形成されている。この給電領域SURが、メモリゲート電極MGの側壁において、補助ゲート電極AG1、AG2のそれぞれと接続している。すなわち、給電領域SURとサイドウォール状に形成された補助ゲートAG1、AG2は一体化して形成されている。そして、給電領域SURにおけるメモリゲート電極MGと平面的に重ならない領域でプラグPLG2と接続されている。すなわち、プラグPLG2は、サイドウォール状の補助ゲート電極AG1、AG2上には形成されておらず、パターニングされた給電領域SUR上に形成されている。このプラグPLG2は、プラグPLG2上に形成されている配線L1と電気的に接続されている。また、メモリゲート電極MGから離れる方向において、パターニングで形成された給電領域SURの幅は、サイドウォール状に形成された補助ゲートAG1、AG2の幅よりも十分に大きい。したがって、プラグPLG2と接続する面積を十分に大きくすることができる。さらに、本実施の形態のように、補助ゲート電極AG1、AG2の幅が、プラグPLG2の口径よりも小さい場合に、上記のように十分に幅の大きい給電領域SURを設けることが有効である。
【0089】
このように本実施の形態によれば、補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2がメモリゲート電極MGと並行するようにX軸方向に延在し、かつ、補助ゲート電極AG1、AG2の給電領域SURがメモリゲート電極MGの終端部を覆うように形成されている。また、メモリゲート電極MGの側壁において、給電領域SURと補助ゲート電極AG1、AG2がそれぞれ接続しているので、補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2には同じ電圧を印加することができるようになっている。
【0090】
本実施の形態における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、不揮発性メモリの動作について図面を参照しながら説明する。
【0091】
図9は書き込み動作時のメモリセルアレイを示す回路図である。図9では、3行3列のメモリセルが図示されている。中央に形成されているメモリセルMC1に情報を書き込む動作について説明する。まず、ゲート線G1、G3に−6Vを印加し、ゲート線G2に6.5Vを印加する。さらに、ソース線S1、S3に3Vを印加し、データ線D1、D3にも3Vを印加する。そして、ソース線S2およびデータ線D2に−6Vを印加する。また、補助ゲート電極AG1、AG2、AG5、AG6に−3Vを印加し、補助ゲート電極AG3、AG4に0Vを印加する。さらに、ウェルWに−6Vを印加する。
【0092】
この場合、メモリセルMC1が選択セルとして選択される。このメモリセルMC1では、ゲート線G2(6.5V)と、ソース線S2(−6V)、データ線D2(−6V)およびウェルW(−6V)との電位差によりFNトンネル電流が発生し、電荷蓄積膜に電子が注入される。これにより、メモリセルMC1のしきい値が上昇し、メモリセルMC1に情報が書き込まれる。
【0093】
以上のようにして、メモリセルMC1に情報が書き込まれるが、このとき、その他のメモリセルでは書き込み動作は行なわれない。しかし、上述したメモリセルMC1だけへの書き込みを実現するために、ゲート線G1、G3、ソース線S1、S3、データ線D1、D3およびウェルWにも所定の電圧が印加される。この電圧条件によって、書き込み対象となっていない非選択セルで、誤って記憶されている情報が消去されるディスターブが発生するおそれがある。しかし、本実施の形態によれば、非選択セルにおけるディスターブが抑制されることを説明する。非選択セルとしてメモリセルMC2に着目する。
【0094】
図10は、メモリセルMC2に印加される電圧条件を示す図である。図10に示すように、p型ウェルPWL1(ウェルW)に−6Vが印加され、メモリゲート電極MG(ゲート線G1)に−6Vが印加されている。そして、ソース領域(深いn型高濃度不純物拡散領域NS1と浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1)(ソース線S1)とドレイン領域(深いn型高濃度不純物拡散領域ND1と浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1)(データ線D1)との3Vが印加されている。このため、例えば、ドレイン領域とp型ウェルPWL1の境界領域近傍で、かつ、メモリゲート電極MGの右端部下近傍において、バンドが曲がる。この結果、バンド間トンネリングによる正孔・電子対が生成される。生成された正孔は、メモリゲート電極MGに印加されている負電圧(−6V)に引き寄せられて、メモリゲート電極MGの下層にある電荷蓄積膜ECに注入される可能性がある。電荷蓄積膜ECに正孔が注入されると、非選択セルであるメモリセルMC2で誤消去(ディスターブ)が生じてしまう。しかし、本実施の形態では、メモリゲート電極MGの側壁に形成されている補助ゲート電極AG1、AG2に−3Vが印加されている。つまり、補助ゲート電極AG1、AG2に半導体基板1S(p型ウェルPWL1)に印加される電圧よりも高く、かつ、負電圧が印加される。この結果、例えば、半導体基板1Sと補助ゲート電極AG1、AG2との間の電界強度は、半導体基板1Sとメモリゲート電極MGとの間の電界強度よりも大きくなる。
【0095】
したがって、バンド間トンネリングで発生した正孔は、電界強度の強い方向に引き寄せられるので、メモリゲート電極MG側ではなく、補助ゲート電極AG1、AG2側に引き寄せられる。このことは、バンド間トンネリングで発生した正孔が、メモリゲート電極MGの下層にある電荷蓄積膜に注入されることを抑制できることを意味する。すなわち、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1とp型ウェルPWL1の境界近傍、かつ、メモリゲート電極MGの端部で発生した正孔を、補助ゲート電極AG1、AG2に強制的に引き寄せることにより、電荷蓄積膜EC中への正孔の注入を抑制することができるのである。
【0096】
このように本実施の形態では、メモリゲート電極MGの側壁に補助ゲート電極AG1、AG2を設けることにより、非選択セルにおける誤消去(ディスターブ)を抑制できるのである。特に、補助ゲート電極AG1、AG2に印加する電圧を負電圧とすることにより、バンド間トンネリングで発生した正孔が電荷蓄積膜ECに注入されることを防止できる。つまり、本実施の形態における補助ゲート電極AG1、AG2は、半導体基板1S内で発生した正孔を強制的に捕獲する機能を有しているということができる。言い換えれば、補助ゲート電極AG1、AG2は、非選択セルに印加される電圧条件で発生する正孔が引き寄せられる経路を強制的に変更することにより、非選択セルの電荷蓄積膜ECに注入される正孔の数を低減することができる。この結果、非選択セルでのディスターブを抑制でき、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0097】
続いて、消去動作について説明する。図11は消去動作時のメモリセルアレイを示す回路図である。図11では、3行3列のメモリセルが図示されており、すべてのメモリセルに記憶されている情報を消去する動作について説明する。まず、ゲート線G1、G2、G3に−4.4Vを印加する。さらに、ソース線S1、S2、S3に6.5Vを印加し、データ線D1、D2、D3にも6.5Vを印加する。また、補助ゲート電極AG1、AG2、AG3、AG4、AG5、AG6に0Vを印加し、ウェルWに6.5Vを印加する。
【0098】
この場合、すべてのメモリセルが選択セルとして選択される。そして、このすべてのメモリセルでは、ゲート線G1〜G3(−4.4V)と、ソース線S1〜S3(6.5V)、データ線D1〜D3(6.5V)およびウェルW(6.5V)との電位差によりFNトンネル電流が発生し、電荷蓄積膜に蓄積されている電子が半導体基板1Sへ放出される。これにより、すべてのメモリセルのしきい値が低下し、すべてのメモリセルに記憶されている情報が消去される。
【0099】
次に、メモリセルに記憶されている情報の読み出し動作について説明する。図12は読み出し動作時のメモリセルアレイを示す回路図である。図12では、3行3列のメモリセルが図示されており、メモリセルMC1に記憶されている情報を読み出す動作について説明する。まず、ゲート線G1、G3に−2Vを印加し、ゲート線G2に0Vを印加する。さらに、ソース線S1、S2、S3に0Vを印加し、データ線D1、D3にも0Vを印加する。一方、データ線D2に0.8Vを印加する。また、補助ゲート電極AG1、AG2、AG3、AG4、AG5、AG6に0Vを印加し、ウェルWに−2Vを印加する。
【0100】
この場合、メモリセルMC1が選択セルとなる。選択セルであるメモリセルMC1に情報が書き込まれている場合(電荷蓄積膜に電子が蓄積されている状態)は、メモリセルMC1のしきい値電圧が高くなるので、メモリセルMC1のデータ線D2とソース線S2の間を流れる電流はほとんど流れない。これに対し、メモリセルMC1に情報が書き込まれていない場合(電荷蓄積膜に電子が蓄積されていない状態)は、メモリセルMC1のしきい値電圧が低くなるので、メモリセルMC1のデータ線D2とソース線S2の間に電流が流れる。このようにメモリセルMC1に記憶されている情報によって、メモリセルMC1を流れる電流が変化することから、この電流の大小を検出することにより、メモリセルMC1に記憶されている情報を読み出すことができる。
【0101】
なお、メモリセルMC1以外のメモリセルでは蓄積されている情報によらず電流は流れない。なぜなら、ゲート線G1、G3には消去時のしきい値電圧よりも低い電圧しか印加されておらず、かつ、ソース線S1、S3とデータ線D1、D3との間の電位差もないことから、ゲート線G1、G3に接続されているメモリセルはオンせず非選択セルとなる。さらに、ゲート線G2に接続されているメモリセルであっても、メモリセルMC1以外のメモリセルでは、ソース線S1、S3とデータ線D1、D3との間の電位差がないことから電流が流れないのである。以上のようにして、メモリセルMC1に記憶されている情報を読み出すことができる。
【0102】
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、図13に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板1Sを用意する。このとき、半導体基板1Sは、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板1Sの活性領域を分離する素子分離領域STIを形成する。素子分離領域STIは、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域STIは、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。例えば、STI法では、以下のようにして素子分離領域STIを形成している。すなわち、半導体基板1Sにフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板1S上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域STIを形成することができる。
【0103】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、メモリセル形成領域にウェル分離層NISOを形成する。ウェル分離層NISOは、例えば、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1S内に導入することにより形成されたn型半導体領域である。その後、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、メモリセル形成領域にp型ウェルPWL1を形成する。p型ウェルPWL1は、例えば、ボロン(ホウ素)などのp型不純物を半導体基板1S内に導入することにより形成されたp型半導体領域である。さらに、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、コア用MISFET形成領域にp型ウェルPWL2を形成し、I/O用MISFET形成領域にp型ウェルPWL3を形成する。このp型ウェルPWL2やp型ウェルPWL3も、例えば、ボロン(ホウ素)などのp型不純物を半導体基板1S内に導入したp型半導体領域である。
【0104】
次に、図14に示すように、半導体基板1Sの主面の全面に、酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SINおよび酸化シリコン膜OX2を順次形成する。酸化シリコン膜OX1は、例えば、熱酸化法を使用して形成され、酸化シリコン膜OX2は、例えば、ISSG(In situ Steam Generation)酸化法を使用して形成され、窒化シリコン膜SINは、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。そして、酸化シリコン膜OX2上にポリシリコン膜PF1を形成する。ポリシリコン膜PF1は、例えば、CVD法により形成することができる。なお、酸化シリコン膜OX1と窒化シリコン膜SINと酸化シリコン膜OX2とを合わせた膜厚は、例えば、約20nm程度であり、ポリシリコン膜PF1の膜厚は、例えば、約200nm程度である。
【0105】
その後、図15に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜PF1を加工して、メモリセル形成領域にポリシリコン膜PF1よりなるメモリゲート電極MGを形成する。さらに、メモリゲート電極MGを加工した後、このメモリゲート電極MGの下層にある酸化シリコン膜OX2、窒化シリコン膜SINおよび酸化シリコン膜OX1も加工される。これにより、メモリゲート電極MGの下層に、酸化シリコン膜OX1からなる第1電位障壁膜EB1を形成し、この第1電位障壁膜EB1上に形成されている窒化シリコン膜からなる電荷蓄積膜ECを形成することができる。そして、この電荷蓄積膜EC上に酸化シリコン膜OX2からなる第2電位障壁膜EB2を形成することができる。
【0106】
続いて、図16に示すように、メモリゲート電極MGを形成した半導体基板1S上に酸化シリコン膜OX3を形成する。この酸化シリコン膜OX3は、メモリゲート電極MGの側壁および上部にも形成される。酸化シリコン膜OX3は、例えば、ISSG酸化法を使用して形成することができ、例えば、その膜厚は、約10nm程度である。このとき、酸化シリコン膜OX3は、コア用MISFET形成領域とI/O用MISFET形成領域にも形成される。酸化シリコン膜OX3は、I/O用MISFET形成領域に形成されるI/O用MISFETのゲート絶縁膜(厚い膜)となる膜である。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、コア用MISFET形成領域の酸化シリコン膜OX3を除去した後、メモリゲート電極MGを形成した半導体基板1S上に酸化シリコン膜OX4を形成する。酸化シリコン膜OX4は、例えば、ISSG酸化法を使用して形成することができ、例えば、その膜厚は、2〜3nm程度である。酸化シリコン膜OX4は、コア用MISFET形成領域に形成されるコア用MISFETのゲート絶縁膜(薄い膜)となる膜である。このとき、メモリセル形成領域の半導体基板1S上、および、メモリゲート電極MGの側壁および上部に形成されている酸化シリコン膜OX3、および、I/O用MISFET形成領域に形成されている酸化シリコン膜OX3は厚膜化される。
【0107】
次に、図17に示すように、酸化シリコン膜OX3および酸化シリコン膜OX4を形成した半導体基板1Sの全面にポリシリコン膜PF2を形成する。ポリシリコン膜PF2は、例えば、CVD法を使用することにより形成することができ、例えば、その膜厚は約150nm程度である。
【0108】
その後、図18に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜PF2を加工する。まず、メモリセル形成領域では異方性エッチングにより、メモリゲート電極MGの側壁に酸化シリコン膜OX3を介して補助ゲート電極AG1と補助ゲート電極AG2を形成する。補助ゲート電極AG1、AG2はマスクで覆われていないので、サイドウォール状に形成される。このとき、補助ゲート同時に、コア用MISFET形成領域では、マスクを用いたエッチングにより、ゲート電極Gaを形成し、I/O用MISFET形成領域では、マスクを用いたエッチングにより、ゲート電極Gbを形成する。
【0109】
また、メモリゲート電極MGの終端部近傍においては、補助ゲートAG1、AG2の給電領域SURを形成するために、メモリゲート電極MGの終端部近傍を覆うようにマスクを形成し、エッチングを行う。このエッチングによって、メモリゲート電極MGの終端部近傍(マスクで覆われた領域)には補助ゲートAG1,AG2の給電領域SURとなるポリシリコン膜PF2が残り、メモリゲート電極MGの側壁において、この給電領域SURとサイドウォール状に形成された補助ゲートAG1、AG2がそれぞれ接続される(図7および図8参照)。すなわち、給電領域SURとサイドウォール状に形成された補助ゲートAG1、AG2は一体化して形成されている。また、メモリゲート電極MGから離れる方向において、パターニングで形成された給電領域SURの幅は、サイドウォール状に形成された補助ゲートAG1,AG2の幅よりも充分に大きい。
【0110】
続いて、図19に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、メモリセル形成領域に浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成する。浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1は、例えば、半導体基板1Sの主面に対して斜め方向からイオンを注入することにより形成することができる。このように半導体基板1Sの主面に対して斜め方向からイオン注入することにより、メモリゲート電極MGに整合して浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成することができる。つまり、補助ゲート電極AG1、AG2の直下領域の半導体基板1S内にも浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1を形成することができる。この浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1は、例えば、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1S内に導入することにより形成される。
【0111】
次に、図20に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、コア用MISFET形成領域に浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2を形成する。この浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2は、例えば、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1Sに導入することより形成される。具体的には、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1Sの主面に垂直な方向から導入することで、ゲート電極Gaに整合した浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2を形成することができる。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、I/O用MISFET形成領域に浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3を形成する。この浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3は、例えば、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1Sに導入することより形成される。具体的には、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1Sの主面に垂直な方向から導入することで、ゲート電極Gbに整合した浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3を形成することができる。
【0112】
続いて、図21に示すように、半導体基板1Sの主面の全面に絶縁膜として、例えば酸化シリコン膜を形成した後、この酸化シリコン膜に対して異方性エッチングを施すことによりサイドウォールSWを形成する。具体的に、メモリセル形成領域では、補助ゲート電極AG1、AG2の側壁にサイドウォールSWが形成され、メモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2の間、および、補助ゲート電極AG1、AG2と半導体基板1Sとの間に酸化シリコン膜OX3が残る。同様に、コア用MISFET形成領域では、ゲート電極Gaの側壁にサイドウォールSWが形成され、ゲート電極Gaの直下にゲート絶縁膜GOX1が形成される。I/O用MISFET形成領域では、ゲート電極Gbの側壁にサイドウォールSWが形成され、ゲート電極Gbの直下にゲート絶縁膜GOX2が形成される。
【0113】
本実施の形態においては、ゲート絶縁膜GOX1、GOX2およびメモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2の間、および、補助ゲート電極AG1、AG2と半導体基板1Sとの間に形成される酸化シリコン膜OX3は、酸化シリコン膜に限定されず、酸窒化シリコン膜(SiON)、あるいは、酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成してもよい。酸窒化シリコン膜から形成した場合は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制し、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜GOX1、GOX2のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。一方、ゲート絶縁膜を高誘電率膜から形成した場合、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。例えば、高誘電体膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0114】
次に、図22に示すように、メモリセル形成領域において、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、補助ゲート電極AG1、AG2の側壁に形成されているサイドウォールSWに整合した半導体基板1S内に深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1を形成する。この深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1は、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1S内に導入した半導体領域である。このとき、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1には、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1よりも高濃度にn型不純物が導入されている。浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1と深いn型不純物拡散領域NS1により、MONOS型トランジスタのソース領域が形成され、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX1と深いn型高濃度不純物拡散領域ND1により、MONOS型トランジスタのドレイン領域が形成される。
【0115】
同様に、コア用MISFET形成領域において、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極Gaの側壁に形成されたサイドウォールSWに整合した半導体基板1S内に深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2を形成する。この深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2もリンや砒素などのn型不純物を半導体基板1S内に導入した半導体領域である。このとき、深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2には、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2よりも高濃度にn型不純物が導入されている。浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2と深いn型高濃度不純物拡散領域NS2により、コア用MISFETのソース領域が形成され、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX2と深いn型高濃度不純物拡散領域ND2により、コア用MISFETのドレイン領域が形成される。
【0116】
同様に、I/O用MISFET形成領域において、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極Gbの側壁に形成されたサイドウォールSWに整合した半導体基板1S内に深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3を形成する。この深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3もリンや砒素などのn型不純物を半導体基板1S内に導入した半導体領域である。このとき、深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3には、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3よりも高濃度にn型不純物が導入されている。浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3と深いn型高濃度不純物拡散領域NS3により、I/O用MISFETのソース領域が形成され、浅いn型低濃度不純物拡散領域EX3と深いn型高濃度不純物拡散領域ND3により、I/O用MISFETのドレイン領域が形成される。
【0117】
次に、シリサイド工程について図23を参照しながら説明する。半導体基板1S上にコバルト膜を形成する。このとき、メモリセル形成領域では、露出しているメモリゲート電極MGと、補助ゲート電極AG1、AG2と、半導体基板1Sに露出している深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1にもコバルト膜が直接接する。一方、コア用MISFET形成領域でも、ゲート電極Ga、深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2に直接コバルト膜が接触し、I/O用MISFET形成領域でも、ゲート電極Gb、深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3に直接コバルト膜が接触する。
【0118】
その後、半導体基板1Sに対して熱処理を実施する。これにより、メモリセル形成領域においては、メモリゲート電極MGと、補助ゲート電極AG1、AG2と、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1にコバルトシリサイド膜CSを形成する。これにより、メモリゲート電極MGは、ポリシリコン膜PF1とコバルトシリサイド膜CSの積層構造となる。コバルトシリサイド膜CSは、メモリゲート電極MGの低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、補助ゲート電極AG1、AG2は、ポリシリコン膜PF2とコバルトシリサイド膜の積層構造となる。さらに、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜CSが形成される。このため、深いn型高濃度不純物拡散領域NS1、ND1においても低抵抗化を図ることができる。
【0119】
さらに、コア用MISFET形成領域においても、ゲート電極Gaを構成するポリシリコン膜PF2とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜CSを形成する。これにより、ゲート電極Gaは、それぞれ、ポリシリコン膜PF2とコバルトシリサイド膜CSの積層構造となる。コバルトシリサイド膜CSは、ゲート電極Gaの低抵抗化のために形成される。上述した熱処理により、深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜CSが形成される。このため、深いn型高濃度不純物拡散領域NS2、ND2においても低抵抗化を図ることができる。
【0120】
同様に、I/O用MISFET形成領域においても、ゲート電極Gbを構成するポリシリコン膜PF2とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜CSを形成する。これにより、ゲート電極Gbは、それぞれ、ポリシリコン膜PF2とコバルトシリサイド膜CSの積層構造となる。コバルトシリサイド膜CSは、ゲート電極Gbの低抵抗化のために形成される。上述した熱処理により、深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜CSが形成される。このため、深いn型高濃度不純物拡散領域NS3、ND3においても低抵抗化を図ることができる。
【0121】
そして、未反応のコバルト膜は、半導体基板1S上から除去される。なお、本実施の形態では、コバルトシリサイド膜CSを形成するように構成しているが、例えば、コバルトシリサイド膜CSに代えてニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、または、プラチナシリサイド膜を形成するようにしてもよい。以上のようにして、半導体基板1Sのメモリセル形成領域にメモリセル(MONOS型トランジスタ)を形成することができる。また、コア用MISFET形成領域にコア用MISFET(nチャネル型MISFET)を形成し、I/O用MISFET形成領域にI/O用MISFET(nチャネル型MISFET)を形成することができる。
【0122】
次に、配線工程について、図6を参照しながら説明する。図6に示すように、半導体基板1Sの主面上に層間絶縁膜IL1を形成する。この層間絶縁膜IL1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えばTEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料としたCVD法を使用して形成することができる。その後、層間絶縁膜IL1の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。なお、層間絶縁膜IL1を窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜から形成してもよい。つまり、窒化シリコン膜を層間絶縁膜IL1にコンタクトホールを形成する際のエッチングストッパ膜として使用することもできる(SAC(Self Align Contact))。
【0123】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、層間絶縁膜IL1にコンタクトホールCNTを形成する。
【0124】
次に、コンタクトホールCNTの底面および内壁を含む層間絶縁膜IL1上にチタン/窒化チタン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜は、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
【0125】
続いて、コンタクトホールCNTを埋め込むように、半導体基板1Sの主面の全面にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法を使用して除去することにより、プラグPLGを形成することができる。
【0126】
次に、図6に示すように、プラグPLGを形成した層間絶縁膜IL1上に、チタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜からなる積層膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、この積層膜を加工して配線L1を形成する。さらに、配線L1の上層に多層配線を形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、最終的に本実施の形態における半導体装置を製造することができる。
【0127】
なお、本実施の形態では、メモリセル形成領域において、メモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2との間に形成される酸化シリコン膜OX3を、I/O用MISFET形成領域に形成されるI/O用MISFETのゲート絶縁膜GOX2(酸化シリコン膜OX3)と同じ膜で形成する例を示した。ただし、これに限らず、例えば、メモリゲート電極MGと半導体基板1Sの間、および、メモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2との間に形成される酸化シリコン膜OX3を、I/O用MISFETのゲート絶縁膜GOX2と別工程で形成してもよい。具体的には、図15に示された、メモリゲート電極MGおよび第1電位障壁膜EB1、電荷蓄積膜EC、第2電位障壁膜EB2を形成する工程の後で、図16に示された、酸化シリコン膜OX3を形成する工程の前に、メモリゲート電極MGを形成した半導体基板1S上に犠牲酸化膜を形成し、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、メモリセル形成領域にのみ、犠牲酸化膜を残す(図示は省略)。その後、図16で示された工程により、メモリセル形成領域においては、半導体基板1S、および、メモリゲート電極MGの側壁および上部に形成された犠牲膜上に、酸化シリコン膜OX3を形成し、周辺回路形成領域においては、半導体基板上に酸化シリコン膜OX3を形成する。以降の工程は上述の製造工程と同様に行う。
【0128】
このように、例えば、犠牲酸化を行う工程を加えることで、メモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2との間に形成される酸化シリコン膜OX3を、I/O用MISFETのゲート絶縁膜GOX2と別工程で形成することができ、所望の膜厚の酸化膜をメモリゲート電極MGと半導体基板1Sの間、および、メモリゲート電極MGと補助ゲート電極AG1、AG2との間に形成することが可能である。
【0129】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0131】
1 CPU
1C ICカード
1S 半導体基板
2 RAM
3 アナログ回路
4 EEPROM
5 フラッシュメモリ
6 I/O回路
AG1〜AG6 補助ゲート電極
CHP 半導体チップ
CNT コンタクトホール
CS コバルトシリサイド膜
D1〜D3 データ線
EB1 第1電位障壁膜
EB2 第2電位障壁膜
EC 電荷蓄積膜
EX1 浅いn型低濃度不純物拡散領域
EX2 浅いn型低濃度不純物拡散領域
EX3 浅いn型低濃度不純物拡散領域
G1〜G3 ゲート線
Ga ゲート電極
Gb ゲート電極
IL1 層間絶縁膜
L1 配線
MC1 メモリセル(選択セル)
MC2 メモリセル(非選択セル)
MG メモリゲート電極
ND1 深いn型高濃度不純物拡散領域
ND2 深いn型高濃度不純物拡散領域
ND3 深いn型高濃度不純物拡散領域
NISO ウェル分離層
NS1 深いn型高濃度不純物拡散領域
NS2 深いn型高濃度不純物拡散領域
NS3 深いn型高濃度不純物拡散領域
OX1 酸化シリコン膜
OX2 酸化シリコン膜
OX3 酸化シリコン膜
PF1 ポリシリコン膜
PF2 ポリシリコン膜
PLG プラグ
PLG1 プラグ
PLG2 プラグ
PWL1 p型ウェル
PWL2 p型ウェル
PWL3 p型ウェル
S1〜S3 ソース線
SIN 窒化シリコン膜
STI 素子分離領域
SUR 給電領域
SW サイドウォール
TE 端子
W ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板のメモリセル領域に形成された複数のメモリセルを備え、
前記複数のメモリセルのそれぞれは、
(a)前記半導体基板と、
(b)前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
(c)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、
(d)前記半導体基板内に形成された第1ソース領域および第1ドレイン領域とを有する半導体装置であって、
前記第1ゲート電極の側壁に補助ゲート電極が形成されており、
前記第1ゲート電極と前記補助ゲート電極との間、および、前記補助ゲート電極と前記半導体基板との間には、第1絶縁膜が形成されており、
前記補助ゲート電極の直下の前記半導体基板内には前記第1ソース領域あるいは前記第1ドレイン領域が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記複数のメモリセルへの情報の書き込み動作時には、書き込み動作を行なう対象となる選択メモリセルと、書き込み動作を行なわない非選択メモリセルとがあり、
前記非選択メモリセルにおいて、前記補助ゲート電極に印加される電圧は、前記半導体基板に印加される電圧よりも高く、かつ、負電圧であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記非選択メモリセルにおいて、前記半導体基板と前記補助ゲート電極との間の電界強度は、前記半導体基板と前記第1ゲート電極との間の電界強度よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記補助ゲート電極は、サイドウォール形状をしていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記半導体基板の周辺回路形成領域には、複数のMISFETが形成されており、
前記複数のMISFETのそれぞれは、
(e)前記半導体基板と、
(f)前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
(g)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
(h)前記半導体基板内に形成された第2ソース領域および第2ドレイン領域とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記メモリセルの前記補助ゲート電極と、前記MISFETの前記第2ゲート電極とは、同一の導体膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート絶縁膜は、
(b1)第1電位障壁膜と、
(b2)電荷蓄積膜と、
(b3)第2電位障壁膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記補助ゲート電極は、前記第1ゲート電極の両側の側壁に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート絶縁膜は、電荷を蓄積する電荷蓄積膜を含み、
前記複数のメモリセルへの情報の書き込み動作時には、書き込み動作を行なう対象となる選択メモリセルと、書き込み動作を行なわない非選択メモリセルとがあり、
前記選択メモリセルへの書き込み動作は、FNトンネル電流を使用して、前記選択メモリセルの前記電荷蓄積膜に電子を注入することにより行なわれることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置であって、
前記非選択メモリセルにおいて、前記補助ゲート電極に印加される電圧は、前記半導体基板に印加される電圧よりも高く、かつ、負電圧であり、
前記第1ゲート電極の両側の側壁に形成されている両方の前記補助ゲート電極には同じ電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記複数のメモリセルへの情報の消去動作時には、すべてのメモリセルに対して一括して消去することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート絶縁膜は、電荷を蓄積する電荷蓄積膜を含み、
すべての前記メモリセルへの消去動作は、FNトンネル電流を使用して、前記メモリセルの前記電荷蓄積膜から前記半導体基板に電子を引き抜くことにより行なわれることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置であって、
すべての前記メモリセルにおいて、前記第1ゲート電極の両側の側壁に形成されている両方の前記補助ゲート電極には同じ電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート電極の終端部には、前記補助ゲート電極に電圧を供給するためのプラグが形成される給電領域が形成されており、
前記給電領域は、前記補助ゲート電極と同層の膜で形成され、かつ、前記第1ゲート電極の両側の側壁に形成されている前記補助ゲート電極のそれぞれと接続されていて、
前記複数のメモリセルのそれぞれに形成されている前記補助ゲート電極はサイドウォール状に形成されており、前記給電領域はパターニングされた領域であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
半導体基板のメモリセル形成領域にメモリセルを形成し、前記半導体基板の周辺回路形成領域にMISFETを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(c)前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記メモリセル形成領域に、前記メモリセルの第1ゲート電極を形成し、前記第1絶縁膜をパターニングすることにより、前記メモリセルの第1ゲート絶縁膜とを形成する工程と、
(d)前記第1ゲート電極の側壁を含む前記半導体基板上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(e)前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、
(f)前記第2導体膜をエッチング加工することにより、前記メモリセル形成領域に形成されている前記第1ゲート電極の側壁に補助ゲート電極を形成し、かつ、前記周辺回路形成領域に前記MISFETの第2ゲート電極を形成する工程と、
(g)前記第2絶縁膜をパターニングして、前記第1ゲート電極と前記補助ゲート電極との間、および、前記補助ゲート電極と前記半導体基板との間に前記第2絶縁膜を残し、かつ、前記MISFETの第2ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(h)前記第1ゲート電極に整合し、かつ、前記補助ゲート電極の直下を含む前記半導体基板内の領域に第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成する工程と、
(i)前記第2ゲート電極に整合した前記半導体基板内の領域に第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(i)工程は、前記第1ゲート電極の側壁に前記補助ゲート電極を形成した後、前記半導体基板に対して斜め方向からイオンを導入することにより、前記補助ゲート電極の直下にも前記第1ソース領域あるいは前記第1ドレイン領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法であって、
前記補助ゲート電極は、サイドウォール形状をしていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項15記載の半導体装置の製造方法であって、
前記補助ゲート電極は、前記第1ゲート電極の両側の側壁に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項15記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2導体膜はポリシリコン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項15記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a)工程において、前記第1絶縁膜を形成する工程は、
(a1)前記半導体基板上に第1電位障壁膜を形成する工程と、
(a2)前記第1電位障壁膜上に電荷蓄積膜を生成する工程と、
(a3)前記電荷蓄積膜上に第2電位障壁膜を形成する工程とを有し、
前記電荷蓄積膜は窒化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項15記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程においては、
前記第1ゲート電極の終端部近傍にレジスト膜を形成して前記第2導体膜をエッチング加工することで、
前記レジスト膜で覆われていない領域では、前記第1ゲート電極の側壁に前記補助ゲート電極がサイドウォール状に形成され、かつ、前記レジスト膜で覆われていた領域には、前記第2導体膜が残って前記補助ゲート電極の給電領域が形成され、
前記第1ゲート電極の側壁で、前記補助ゲート電極と前記給電領域が接続し、
前記(i)工程の後、
(j)前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(k)前記層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程と、
(l)前記コンタクトホール内に第3導体膜を埋め込むことにより前記給電領域に接続するプラグを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−278314(P2010−278314A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130761(P2009−130761)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】