説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】耐圧の異なるトランジスタが同一半導体基板上に混載されている場合においても、それらのトランジスタの性能が向上するようにストレスライナ膜を構成することが可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1上に混載された低耐圧トランジスタおよび高耐圧トランジスタ上に形成するストレスライナ膜11、12は、互いに膜質を異ならせることができる。ここで、ストレスライナ膜11は、低耐圧トランジスタの性能が効果的に改善され、高耐圧トランジスタの性能があまり改善されないように膜質を設定することができる。また、ストレスライナ膜11は、高耐圧トランジスタの性能が効果的に改善され、低耐圧トランジスタの性能があまり改善されないように膜質を設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、高耐圧トランジスタと低耐圧トランジスタとが同一基板上に混載された半導体装置のストレスライナ膜の構造に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
トランジスタの駆動能力を向上させるために、トランジスタが形成された半導体基板上にストレスライナ膜を形成し、Pチャンネル電界効果トランジスタではストレスライナ膜に圧縮応力を持たせ、Nチャンネル電界効果トランジスタではストレスライナ膜に引っ張り応力を持たせ与えることが行われている。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、ロジック領域におけるトランジスタの上を応力を有する膜で覆って能力を向上させると共に、SRAM領域において、各トランジスタの能力のバランスを保持し、リーク電流の発生を抑制する事ができるようにするために、N型ロジック領域におけるトランジスタを引っ張り応力を有する膜にて覆い、P型ロジック領域におけるトランジスタを圧縮応力を有する膜にて覆い、P型SRAM領域におけるトランジスタおよびN型SRAM領域におけるトランジスタは、引っ張り応力を有する膜および圧縮応力を有する膜からなる積層膜にて覆う方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、従来の半導体装置では、耐圧の異なるトランジスタが同一基板上に混載された場合、低耐圧トランジスタの性能が改善されるようにストレスライナ膜の膜質を設定すると、高耐圧トランジスタの性能が低下し、高耐圧トランジスタの性能が改善されるようにストレスライナ膜の膜質を設定すると、低耐圧トランジスタの性能が低下することがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−59473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐圧の異なるトランジスタが同一半導体基板上に混載されている場合においても、それらのトランジスタの性能が向上するようにストレスライナ膜を構成することが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、同一の半導体基板に形成された互いに耐圧の異なる第1および第2のPチャンネル電界効果トランジスタと、前記第1のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜と、前記第1のストレスライナ膜と異なり、前記第2のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、同一の半導体基板に形成された互いに耐圧の異なる第1および第2のPチャンネル電界効果トランジスタと、前記第1および第2のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜と、前記第1のストレスライナ膜と異なり、前記第1および第2のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0009】
本発明の一態様によれば、低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとを同一の半導体基板に形成する工程と、前記低耐圧トランジスタ上に圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜を形成する工程と、前記第1のストレスライナ膜と異なり、圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜を前記高耐圧トランジスタ上に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の一態様によれば、低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとを同一の半導体基板に形成する工程と、前記低耐圧トランジスタおよび前記高耐圧トランジスタ上に圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜を形成する工程と、前記第1のストレスライナ膜と異なり、圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜を前記第1のストレスライナ膜上に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐圧の異なるトランジスタが同一半導体基板上に混載されている場合においても、それらのトランジスタの性能が向上するようにストレスライナ膜を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1から図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図1(a)において、半導体基板1には低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2が設けられている。なお、低耐圧トランジスタ形成領域R1には低耐圧トランジスタを形成することができ、高耐圧トランジスタ形成領域R2には高耐圧トランジスタを形成することができる。低耐圧トランジスタは、高耐圧トランジスタよりも耐圧が低く、高速動作することができる。また、低耐圧トランジスタおよび高耐圧トランジスタは同一導電型ならば、Pチャンネル電界効果トランジスタであってもよいし、Nチャンネル電界効果トランジスタであってもよい。なお、半導体基板1の材料は、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、GaP、GaN、GaAlAs、GaInAsPまたはZnSeなどの中から選択することができる。
【0015】
そして、例えば、LPCVDなどの方法を用いることにより、半導体基板21上にハードマスクを形成する。なお、このハードマスクの材料は、例えば、シリコン窒化膜を用いることができる。また、このハードマスクの膜厚は、例えば、150nm程度に設定することができる。
【0016】
そして、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、素子分離領域からハードマスクを除去する。そして、このハードマスクが除去された素子分離領域に対して半導体基板1をエッチングすることにより、半導体基板1の素子分離領域にトレンチを形成する。なお、トレンチの深さは、例えば、300nm程度に設定することができる。
【0017】
そして、例えば、CVDなどの方法を用いることにより、トレンチが埋め込まれるようにして埋め込み絶縁層2を半導体基板1上に形成する。そして、例えば、CMPなどの方法を用いて埋め込み絶縁層2を薄膜化することにより、素子形成領域の埋め込み絶縁層2を除去する。なお、埋め込み絶縁層2の材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。
【0018】
なお、素子形成領域の埋め込み絶縁層2を除去する場合、半導体基板1上に形成されたハードマスクをストッパとして用いることができる。そして、素子形成領域の埋め込み絶縁層2を除去した後、半導体基板1上に形成されたハードマスクを除去する。
なお、埋め込み絶縁層2の表面の位置と半導体基板1の表面の位置とを揃えるため、素子形成領域の埋め込み絶縁層2を除去した後、例えば、100nm程度だけ埋め込み絶縁層2の表層をエッチング除去してから、ハードマスクを除去するようにしてもよい。
【0019】
次に、B、As、Pなどの不純物を半導体基板1にイオン注入し、1000℃以上の熱処理を行うことにより、P型またはN型のウェル領域およびチャネル領域を形成する。
【0020】
次に、図1(b)に示すように、例えば、熱酸化などの方法を用いることにより、ゲート絶縁膜3a、3bを半導体基板1上の低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にそれぞれ形成する。なお、ゲート絶縁膜3a、3bの材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いるようにしてもよいし、Hfなどの高誘電体膜を用いるようにしてもよい。また、ゲート絶縁膜3bの膜厚は、ゲート絶縁膜3aの膜厚よりも大きくすることができる。
【0021】
そして、例えば、LPCVDなどの方法を用いることにより、ゲート絶縁膜3a、3bが形成された半導体基板1上に導電膜を積層する。そして、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて導電膜をパターニングすることにより、半導体基板1上の低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にゲート電極4a、4bをそれぞれ形成する。なお、ゲート電極4a、4bの材料は、例えば、多結晶シリコン膜を用いるようにしてもよいし、金属や合金などを用いるようにしてもよい。また、ゲート電極4a、4bの膜厚は、例えば、100nm程度に設定することができる。そして、ゲート電極4a、4bを半導体基板1上に形成した後、ウェットエッチングなどの方法にて半導体基板1上のゲート絶縁膜3a、3bを除去し、半導体基板1を露出させる。
【0022】
次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、ゲート電極4aの両側に配置された凹部を半導体基板1の低耐圧トランジスタ形成領域R1に形成する。
【0023】
そして、低耐圧トランジスタ形成領域R1にPチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、エピタキシャル成長によって凹部に埋め込まれた埋め込み半導体層5を半導体基板1に形成する。なお、埋め込み半導体層5の材料は半導体基板1の材料と異なるように選択することができ、Pチャンネル電界効果トランジスタのチャンネル領域に圧縮応力を与えることにより、Pチャンネル電界効果トランジスタの駆動力を向上させることができる。例えば、埋め込み半導体層5は半導体基板1よりも格子定数が大きな材料を選択することができ、半導体基板1の材料がSiの場合、埋め込み半導体層5の材料はSiSeを用いることができる。
【0024】
次に、図2(a)に示すように、ゲート電極4a、4bをマスクとしてB、As、Pなどの不純物を半導体基板1および埋め込み半導体層5にイオン注入し、1000℃以上の熱処理を行うことにより、ゲート電極4a、4bに自己整合的にそれぞれ配置されたLDD層8a、8bを半導体基板1および埋め込み半導体層5に形成する。
【0025】
次に、CVDなどの方法にてゲート電極4a、4bが覆われるように半導体基板1上にエッチストップ膜6を形成し、さらにエッチストップ膜6上に絶縁膜を形成する。
【0026】
次に、エッチストップ膜6をストッパとして絶縁膜の異方性エッチングを行うことにより、エッチストップ膜6を介してゲート電極4a、4bの側壁にサイドウォール7a、7bをそれぞれ形成する。次に、エッチストップ膜6のエッチングを行うことにより、半導体基板1およびゲート電極4a、4bの表面を露出させる。なお、エッチストップ膜6は、サイドウォール7a、7bをエッチングにて形成する際のストッパとして機能させることができる。ここで、エッチストップ膜6およびサイドウォール7a、7bの材料は互いに異なるように選択することができ、例えば、エッチストップ膜6の材料としてシリコン酸化膜、サイドウォール7a、7bの材料としてシリコン窒化膜を用いることができる。
【0027】
次に、ゲート電極4a、4bおよびサイドウォール7a、7bをマスクとしてB、As、Pなどの不純物を半導体基板1および埋め込み半導体層5にイオン注入し、1000℃以上の熱処理を行うことにより、サイドウォール7a、7bに対して自己整合的にそれぞれ配置された不純物拡散層9a、9bを埋め込み半導体層5および半導体基板1に形成する。
【0028】
次に、スパッタまたは蒸着などの方法を用いることで、半導体基板1、埋め込み半導体層5bおよびゲート電極4a、4b上にシリサイド形成用金属膜を形成する。なお、シリサイド形成用金属膜としては、例えば、Ni、Co、W、Moなどを用いることができる。
【0029】
そして、シリサイド形成用金属膜が形成された半導体基板1の熱処理を行うことにより、シリサイド形成用金属膜をその下地層と反応させ、ゲート電極4aおよび不純物拡散層9aの上層にシリサイド層10aを形成するとともに、ゲート電極4bおよび不純物拡散層9bの上層にシリサイド層10bを形成する。その後、未反応の金属膜を半導体基板1上から除去する。
【0030】
次に、図2(b)に示すように、プラズマCVD、熱CVDまたは光CVDなどの方法を用いることにより、半導体基板1上の低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にストレスライナ膜11、12を順次積層する。なお、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にPチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜11、12には圧縮応力を持たせることができ、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にNチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜11、12には引っ張り応力を持たせることができる。また、ストレスライナ膜11、12には圧縮応力を持たせる場合、例えば、成膜中にプラズマパワーを上げてストレスライナ膜11、12を叩くようにすればよい。一方、ストレスライナ膜11、12には引っ張り応力を持たせる場合、例えば、成膜中に水素を抜いてストレスライナ膜11、12にダングリングボンドが形成されるようにすればよい。
【0031】
また、ストレスライナ膜11、12は、互いに膜質を異ならせることができる。ここで、ストレスライナ膜11は、低耐圧トランジスタの性能が効果的に改善され、高耐圧トランジスタの性能があまり改善されないように膜質を設定することができる。また、ストレスライナ膜11は、高耐圧トランジスタの性能が効果的に改善され、低耐圧トランジスタの性能があまり改善されないように膜質を設定することができる。例えば、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にPチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜11は、ストレスライナ膜12に比べてステップカバレージを高くすることができる。すなわち、ストレスライナ膜11は、ストレスライナ膜12に比べて横方向の応力が大きくかつ縦方向の応力が小さくなるようにすることができる。また、ストレスライナ膜11、12の材料は、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、ハフニウム酸化膜、アルミニウム酸化膜、アルミニウム窒化膜、タンタル酸化膜、チタン酸化膜、またはこれらの材料の積層膜から選択することができる。また、ストレスライナ膜11、12の膜厚の合計は、例えば、60nm程度に設定することができる。また、ストレスライナ膜11、12としてシリコン窒化膜を用いる場合、ストレスライナ膜11を成膜する時のソースガスとしてSiHを含むガスを用い、ストレスライナ膜12を成膜する時のソースガスとしてトリメチルシランを含むガスを用いることができ、成膜中にソースガスを切り替えることができる。なお、SiHを含むソースガスを用いた場合では、トリメチルシランを含むガスを用いた場合に比べてシリコン窒化膜のステップカバレージを高くすることができる。トリメチルシランを含むガスを用いてシリコン窒化膜を形成した場合には、ソースガス中に含まれている炭素原子が膜中に取り込まれるため、膜中の炭素原子濃度が2atm%以上となる。一方、SiHを含むガスを用いてシリコン窒化膜を形成した場合には、膜中には炭素原子は実質的に含まれない。
【0032】
ここで、低耐圧トランジスタでは、ソース/ドレイン層に埋め込み半導体層5が形成されるため、ストレスライナ膜11のステップカバレージを高くして横方向の応力を大きくすることにより、性能を効果的に改善することができる。一方、高耐圧トランジスタでは、ソース/ドレイン層に埋め込み半導体層5が形成されないため、ストレスライナ膜11のステップカバレージを低くして縦方向の応力を大きくすることにより、性能を効果的に改善することができる。
【0033】
次に、図3に示すように、LPCVDなどの方法を用いることにより、ストレスライナ膜12上の全面に層間絶縁層13を積層する。なお、層間絶縁層13の材料は、例えば、シリコン窒化膜を用いることができる。また、層間絶縁層13の膜厚は、例えば、400nm程度に設定することができる。そして、CMPなどの方法にて層間絶縁層13を薄膜化することにとり、層間絶縁層13を平坦化する。
次に、プラズマCVDなどの方法を用いることにより、層間絶縁層13上の全面に層間絶縁層14を積層する。なお、層間絶縁層14の材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。また、層間絶縁層14の膜厚は、例えば、200nm程度に設定することができる。
【0034】
次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、シリサイド層10a、10bを露出させる開口部を層間絶縁層14、15に形成する。そして、例えば、スパッタなどの方法を用いることにより、バリアメタル膜16a、16bとして用いられる導体膜を開口部が形成された層間絶縁層14、15に形成する。そして、例えば、熱CVDなどの方法を用いることにより、プラグ電極17a、17bとして用いられる導体膜にて層間絶縁層14、15に形成された開口部を埋め込む。
【0035】
そして、例えば、CMPなどの方法を用いて層間絶縁層14の表面が露出するまで層間絶縁層14上に形成された導体膜を薄膜化することにより、これらの導体膜をシリサイド層10a、10bごとに分離し、バリアメタル膜16a、16bをそれぞれ介してシリサイド層10a、10bにそれぞれ接続されたプラグ電極17a、17bを層間絶縁層14、15に埋め込む。なお、バリアメタル膜16a、16bの材料は、例えば、Ta、TaN、TiまたはTiNあるいはそれらの積層構造を用いることができる。また、プラグ電極17a、17bの材料は、例えば、Cu、Al、WまたはSnを主成分とする材料を用いることができる。また、バリアメタル膜16a、16bの膜厚は、例えば、5nm程度に設定することができ、プラグ電極17a、17b膜厚は、例えば、250nm程度に設定することができる。
【0036】
次に、例えば、プラズマCVDなどの方法を用いることにより、層間絶縁層14上に層間絶縁層15を積層する。なお、層間絶縁層15の材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。また、層間絶縁層15の膜厚は、例えば、200nm程度に設定することができる。
【0037】
次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、プラグ電極17a、17bを露出させる開口部を層間絶縁層15に形成する。そして、例えば、スパッタなどの方法を用いることにより、バリアメタル膜18a、18bとして用いられる導体膜を開口部が形成された層間絶縁層15に形成する。そして、例えば、メッキなどの方法を用いることにより、配線19a、19bとして用いられる導体膜にて層間絶縁層15に形成された開口部を埋め込む。
【0038】
そして、例えば、CMPなどの方法を用いて層間絶縁層15の表面が露出するまで層間絶縁層15上に形成された導体膜を薄膜化することにより、これらの導体膜をプラグ電極17a、17bごとに分離し、バリアメタル膜18a、18bをそれぞれ介してプラグ電極17a、17bにそれぞれ接続された配線19a、19bを層間絶縁層15に埋め込む。なお、バリアメタル膜18a、18bの材料は、例えば、Ta、TaN、TiまたはTiNあるいはそれらの積層構造を用いることができる。また、配線19a、19bの材料は、例えば、Cu、Al、WまたはSnを主成分とする材料を用いることができる。また、バリアメタル膜18a、18bの膜厚は、例えば、5nm程度に設定することができる。
【0039】
ここで、ストレスライナ膜11のみしか形成されない場合には、低耐圧トランジスタの性能は効果的に改善することができるが、高耐圧トランジスタの性能があまり改善することができない。ストレスライナ膜12のみしか形成されない場合には、高耐圧トランジスタの性能は効果的に改善することができるが、低耐圧トランジスタの性能があまり改善することができない。
【0040】
これに対して、ストレスライナ膜11、12を成膜する際にソースガスを途中で切り替え、膜質が互いに異ならストレスライナ膜11、12の積層構造を形成することにより、ストレスライナ膜11にて低耐圧トランジスタの性能を効果的に改善することが可能となるとともに、ストレスライナ膜12にて高耐圧トランジスタの性能を効果的に改善することが可能となる。このため、低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとが同一の半導体基板1に混載されている場合においても、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2においてストレスライナ膜11、12を作り分けることなく、低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとの性能の両立を図ることができる。
【0041】
例えば、低耐圧トランジスタの性能未達分が高耐圧トランジスタに比べて大きい場合には、ストレスライナ膜12よりもストレスライナ膜11の比率を大きくして、低耐圧トランジスタの性能を改善することができる。また、高耐圧トランジスタの性能未達分が低耐圧トランジスタに比べて大きい場合には、ストレスライナ膜11よりもストレスライナ膜12の比率を大きくして、高耐圧トランジスタの性能を改善することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図4および図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4(a)において、図1および図2と同様の工程を行うことにより、低耐圧トランジスタ形成領域R1に低耐圧トランジスタを形成し、高耐圧トランジスタ形成領域R2に高耐圧トランジスタを形成する。
【0043】
次に、プラズマCVD、熱CVDまたは光CVDなどの方法を用いることにより、半導体基板1上の低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にストレスライナ膜21を積層する。なお、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にPチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜21には圧縮応力を持たせることができ、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にNチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜21には引っ張り応力を持たせることができる。
【0044】
次に、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、高耐圧トランジスタ形成領域R2のストレスライナ膜21を選択的に除去する。
【0045】
次に、図5(a)に示すように、半導体基板1上の低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にストレスライナ膜22を積層する。なお、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にPチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜22には圧縮応力を持たせることができ、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にNチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜22には引っ張り応力を持たせることができる。
【0046】
また、ストレスライナ膜21、22は、互いに膜質を異ならせることができる。例えば、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にPチャンネル電界効果トランジスタを形成する場合、ストレスライナ膜21は、ストレスライナ膜22に比べてステップカバレージを高くすることができる。また、ストレスライナ膜21、22の材料は、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、ハフニウム酸化膜、アルミニウム酸化膜、アルミニウム窒化膜、タンタル酸化膜、チタン酸化膜、またはこれらの材料の積層膜から選択することができる。また、ストレスライナ膜21、22としてシリコン窒化膜を用いる場合、ストレスライナ膜21を成膜する時のソースガスとしてSiHを含むガスを用い、ストレスライナ膜22を成膜する時のソースガスとしてトリメチルシランを含むガスを用いることができる。
【0047】
次に、図5(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、低耐圧トランジスタ形成領域R1のストレスライナ膜22を選択的に除去する。
【0048】
次に、図3と同様の工程を行うことにより、低耐圧トランジスタ形成領域R1および高耐圧トランジスタ形成領域R2にプラグ電極17a、17bおよび配線19a、19bをそれぞれ形成する。
【0049】
ここで、低耐圧トランジスタ上にストレスライナ膜21を形成し、高耐圧トランジスタ上にストレスライナ膜22を形成することにより、トランジスタの耐圧に応じてストレスライナ膜21、22の膜質を最適化することができ、低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとの性能の両立を図ることができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとを同一半導体基板に形成する方法について説明したが、低耐圧トランジスタと中耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとを同一半導体基板に形成するようにしてもよい。この場合、低耐圧トランジスタ上にはストレスライナ膜21を形成し、中耐圧トランジスタ上と高耐圧トランジスタ上にはストレスライナ膜22を形成すればよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、耐圧の異なるPチャンネル電界効果トランジスタを同一半導体基板に形成する方法について説明したが、耐圧の異なるPチャンネル電界効果トランジスタとNチャンネル電界効果トランジスタとを同一半導体基板に形成するようにしてもよい。この場合、Pチャンネル電界効果トランジスタ上ではストレスライナ膜に圧縮応力を持たせ、Nチャンネル電界効果トランジスタ上ではストレスライナ膜に引っ張り応力を持たせるようにすればよい。
【符号の説明】
【0052】
R1 低耐圧トランジスタ形成領域、R2 高耐圧トランジスタ形成領域、1 半導体基板、2 埋め込み絶縁層、3a、3b ゲート絶縁膜、4a、4b ゲート電極、5 埋め込み半導体層、6 エッチストップ層、7a、7b サイドウォール、8a、8b LDD層、9a、9b 不純物拡散層、10a、10b シリサイド層、11、12、21、22 ストレスライナ膜、13、14、15 層間絶縁層、16a、16b、18a、18b バリアメタル膜、17a、17b プラグ電極、19a、19b 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の半導体基板に形成された互いに耐圧の異なる第1および第2のPチャンネル電界効果トランジスタと、
前記第1のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜と、
前記第1のストレスライナ膜と異なり、前記第2のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
同一の半導体基板に形成された互いに耐圧の異なる第1および第2のPチャンネル電界効果トランジスタと、
前記第1および第2のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜と、
前記第1のストレスライナ膜と異なり、前記第1および第2のトランジスタ上に設けられた圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記第1のトランジスタは前記第2のトランジスタよりも耐圧が低く、前記第1のトランジスタのソース/ドレイン層には、前記半導体基板と材料の異なる埋め込み半導体層が埋め込まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のストレスライナ膜は、前記第2のストレスライナ膜に比べてステップカバレージが高いことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のストレスライナ膜の炭素濃度は前記第2のストレスライナ膜の炭素濃度よりも低く、前記第2のストレスライナ膜の炭素濃度は2atm%以上であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとを同一の半導体基板に形成する工程と、
前記低耐圧トランジスタ上に圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜を形成する工程と、
前記第1のストレスライナ膜と異なり、圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜を前記高耐圧トランジスタ上に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
低耐圧トランジスタと高耐圧トランジスタとを同一の半導体基板に形成する工程と、
前記低耐圧トランジスタおよび前記高耐圧トランジスタ上に圧縮応力を有する第1のストレスライナ膜を形成する工程と、
前記第1のストレスライナ膜と異なり、圧縮応力を有する第2のストレスライナ膜を前記第1のストレスライナ膜上に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1のストレスライナ膜はSiHを含むソースガスを用いて成膜し、前記第2のストレスライナ膜はトリメチルシランを含むソースガスを用いて成膜することを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−181781(P2011−181781A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45928(P2010−45928)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】