説明

半導体装置

【課題】通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を保ちつつ安定した動作で、不揮発な再構成可能論理回路を構築することが可能なスピンMOSFETを備えた半導体装置を提供することを可能にする。
【解決手段】半導体基板と、半導体基板に離間して形成された第1ソース領域12および第1ドレイン領域14と、第1ソース領域と第1ドレイン領域との間に設けられる第1チャネル領域と、第1チャネル領域上に形成された第1ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極18と、第1ソース領域上に形成され第1方向に磁化容易軸を有する強磁性層を含む第1ソース電極Ms1と、第1ドレイン領域上に形成され第1方向に対して0度より大きく180度未満の角度をなす第2方向に磁化した強磁性層を含む第1ドレイン電極Md1と、第1ドレイン領域上に第1ドレイン電極と離間して形成され第2方向と略反平行な方向に磁化した強磁性層を含む第2ドレイン電極Md2と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MOS構造のスピントランジスタを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波移動体通信の目覚しい普及に代表されるように、超高速高機能半導体装置の実現により社会生活の情報化が著しく進行している。これに伴い、これらに用いられる個々の半導体素子の高速化、微細化、大規模集積化、ワンチップ化に対する要求は時を追って増大している。しかし、これらの半導体素子の主要な構成要素であるMOSFETの微細化、高速化の追求は、現在、ほぼ極限にまで達している。
【0003】
そこで、電子回路の更なる高機能化に向けて、従来の相補型シリコンMOSFET(C−MOSFET)回路素子に、本来のMOSFET動作を超える新機能を付与することで、単なる微細化、高速化によって得られる以上の高付加価値を半導体装置にもたらそうとする試みが希求されている。
【0004】
こうした中、近年、電子のスピン自由度を利用したスピンエレクトロニクスの研究が注目されている。特に、微細化限界を超えるMOSFETの高機能化の有力候補として、通常の相補型シリコンMOSFET(C−MOSFET)回路との整合性、混載可能性を兼ね備えたMOSFET構造のスピントランジスタが脚光を浴びている。即ち、通常のMOSFET動作がチャネルを流れる電荷のみによって規定、制御されているのに対して、MOSFET構造のスピントランジスタ(以下、スピンMOSFETと略記する)は、チャネルを流れる荷電担体(carrier)のスピン自由度にも依存して動作するように構成される(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】M.Tanaka and S.Sugahara, IEEE Trans. ED 54 (2007) p.961
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、通常のC−MOSFET素子に、本来のMOSFET動作を超える新機能を付与することで、単なる微細化、高速化によって得られる以上の高付加価値を半導体装置にもたらすために、スピンMOSFETの利用が検討されている。
【0006】
しかし、後述するように、本発明者達の検討結果によれば、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を保ちつつ、安定した動作で、不揮発な再構成可能論理回路の構築が可能なスピンMOSFETを得ることは困難である。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、通常の相補型シリコンMOSFET回路との整合性、混載可能性を保ちつつ安定した動作で、不揮発な再構成可能論理回路を構築することができるスピンMOSFETを備えた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様による半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板に離間して形成された第1ソース領域および第1ドレイン領域と、前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間に設けられる第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域上に形成された第1ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、前記第1ソース領域上に形成され第1方向に磁化容易軸を有する強磁性層を含む第1ソース電極と、前記第1ドレイン領域上に形成され前記第1方向に対して0度より大きく180度未満の角度をなす第2方向に磁化した強磁性層を含む第1ドレイン電極と、前記第1ドレイン領域上に前記第1ドレイン電極と離間して形成され前記第2方向と略反平行な方向に磁化した強磁性層を含む第2ドレイン電極と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様による半導体装置は、第1導電型の第1半導体領域を有する半導体基板と、前記第1半導体領域に形成された第2導電型の第1ソース領域と、前記第1半導体領域にそれぞれが前記第1ソース領域と離間して形成されるとともに互いに分離して形成される第2導電型の第1および第2ドレイン領域と、前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間および前記第1ソース領域と第2ドレイン領域との間に設けられる第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域上に形成された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、前記第1ソース領域上に形成され第1方向に磁化容易軸を有する強磁性層を含む第1ソース電極と、前記第1ドレイン領域上に形成され前記第1方向に対して0度より大きく180度未満の角度をなす第2方向に磁化した強磁性層を含む第1ドレイン電極と、前記第2ドレイン領域上に形成され前記第2方向と概反平行な方向に磁化した強磁性層を含む第2ドレイン電極と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を保ちつつ、安定した動作で、不揮発な再構成可能論理回路を構築することが可能なスピンMOSFETを備えた半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明者達が、スピンMOSFETに関して行った検討結果について説明する。
【0013】
<スピンMOSFETの類型と動作原理>
荷電担体のスピン自由度に依存したMOSFET動作は、MOSFET構造において、ソース、ドレイン電極を磁性体で構成する、或いは、ソース電極とチャネルを形成する半導体を磁性体で構成する、ことで実現することが可能である。
【0014】
{タイプ1のスピンMOSFET}
例えば、ソース電極をハーフメタル強磁性体金属で構成すれば、ソースからチャネルに注入される荷電担体のスピンは、ソース電極を構成するハーフメタル強磁性体金属の磁化方向に偏極する。従って、ドレイン電極を構成するハーフメタル強磁性体金属の磁化方向が、ソース電極を構成するハーフメタル強磁性体金属の磁化方向と平行の場合、チャネルを経由してドレイン電極に至るスピン偏極した荷電担体は、そのまま、ドレイン電極に流入することが出来る。この結果、通常のMOSFETと同等の素子動作が実現される。
【0015】
これに対し、ドレイン電極を構成するハーフメタル強磁性体金属の磁化方向が、ソース電極を構成するハーフメタル強磁性体金属の磁化方向と反平行の場合、スピン偏極した荷電担体は、ドレイン電極に流入することが出来ず、ソース、ドレイン間に電流は流れなくなる。よって、MOSFETのソース、ドレイン電極は電気的に遮断される。尤も、ドレイン電圧が非常に大きくなり、スピン偏極した荷電担体が、ハーフメタル強磁性体の少数スピンキャリア(強磁性体金属の磁化方向と反平行に偏極したキャリア)のエネルギー準位に到達可能となった場合には、チャネル電流が流れ始める。このように、ドレイン電極を構成する強磁性体金属の磁化方向を、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向と平行、反平行にすることで、MOSFETの動作を変調することが出来るのである。
【0016】
このような、スピンMOSFET(以下、タイプ1のスピンMOSFETと云う)のドレイン電流のドレイン電圧依存性を、ゲート電圧をパラメータとして、ドレイン電極を構成する強磁性体金属の磁化方向が、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向と、平行、反平行の場合について、それぞれ、模式的に図1に示す。もちろん、ソース電極は接地されているとする。以降、それぞれの状態の素子動作を単に、平行、反平行状態の場合の素子動作と略記する。
【0017】
{タイプ2のスピンMOSFET}
一方、ソース電極を磁性体で構成し、更に、チャネルを磁性半導体とした場合は、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向とチャネルを構成する磁性半導体の磁化方向が、平行か、反平行かによって、MOSFETの動作が変調される。これは、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向とチャネルを構成する磁性半導体の磁化方向が平行の場合、ソース電極のスピン偏極した荷電担体からみて、チャネルを構成する磁性半導体へ移動するに際して乗り越えなければならないエネルギー障壁(Schottky Barrier,Φ)が、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向とチャネルを構成する磁性半導体の磁化方向が反平行の場合に出現するエネルギー障壁(Schottky Barrier,Φ)よりも小さくなることによる。このとき、ドレイン電極は通常の金属性物質でも良いし、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向と平行に磁化した強磁性体金属で有っても良い。いずれの場合でも、ソース電極から注入されたスピン偏極した荷電担体は、そのままドレイン電極に流入できる。この結果、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向とチャネルを構成する磁性半導体の磁化方向が反平行の場合は、平行の場合に比して、MOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)が、上記エネルギー障壁差に依存して、ほぼ一定の割合で、低減されることになる。このように、チャネルを構成する磁性半導体の磁化方向を、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向と平行、反平行にすることで、MOSFETの動作を変調することが出来るのである。
【0018】
このような、スピンMOSFET(以下、タイプ2のスピンMOSFETと云う)のドレイン電流のドレイン電圧依存性を、ゲート電圧をパラメータとして、チャネルを構成する磁性半導体の磁化方向が、ソース電極を構成する強磁性体金属の磁化方向と、平行の場合と反平行の場合について、それぞれ、模式的に図2に示す。もちろん、ソース電極は接地されているとする。以降、それぞれの状態の素子動作を単に、平行、反平行状態の場合の素子動作と略記する。
【0019】
<スピンMOSFETの問題点>
以上、スピンMOSFETの類型化と、それぞれの素子動作の磁気的変調の様子を概観したが、もちろん、これら異なる類型のスピンMOSFETには、異なる技術的課題がそれぞれ存在する。以下、これを逐次的に詳述する。
【0020】
(1)通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性
まず、スピンMOSFETの、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性について検討する。
【0021】
タイプ1のスピンMOSFETの作成において、ソースおよびドレイン電極を磁性体で形成するには、MOS構造を通常のC−MOSFETの製造工程と共通して構成し、その後、ソースおよびドレイン領域に強磁性金属、例えば、NiFe合金などを堆積形成すればよい。従って、このような類型のスピントランジスタは、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備え、C−MOSFET回路の高付加価値化と言う目的からは好都合である。
【0022】
一方、タイプ2のスピンMOSFETの作成には磁性半導体が必要になる。このような磁性半導体は、例えば、CdTe、ZnSe、GaAs、InSbのような半導体原子の一部をMnなどの磁性を発現する原子で置換することにより得られるが、現在のところ、強磁性の発現は低温でのみ実現される。さらに、強磁性秩序の発現機構が、半導体中の荷電担体の濃度に依存するため、MOSFETのように、荷電担体濃度の急速で激しい変化を伴う素子動作を安定的に実現することは困難である。従って、通常のC−MOSFET回路を補完すべく、室温での安定した動作をタイプ2のスピンMOSFETに期待することは出来ない。その上、半導体基板自体をシリコンとは全く異なる磁性半導体としなければならず、タイプ2のスピンMOSFETは、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性に大きな問題を抱える事になる。勿論、通常のC−MOSFET素子に、本来のMOSFET動作を超える新機能を付与することで、高付加価値化を達成しようと言う目的からは不適である。
【0023】
従って、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性という観点からは、タイプ1のスピンMOSFETが優れていることが明らかとなった。
【0024】
(2)スピンMOSFET動作の有用性
次に、通常のC−MOSFET回路の高付加価値化と言う目的からスピンMOSFET動作の有用性について検討する。
【0025】
スピンMOSFETが有する素子動作の不揮発な磁気的変調機能を利用した、最も有用なMOSFETの高機能化の一つは、不揮発な再構成可能な(Reconfigurable)論理回路の構築にあることは言を待たない。
【0026】
このような、スピンMOSFETを用いた再構成可能な論理回路は、図3に示す、フローティングゲートを介して容量結合した2入力のインバータを含む回路によって構築することが可能である。即ち、前段のインバータを構成する一方のMOSFETQを、スピンMOSFETで置き換えることで、2入力A、Bの一方が昇圧されたときの出力を、スピンMOSFETの不揮発な磁気的変調機能に伴い変化させるのである。
【0027】
具体的に、図4(a),4(b)に、図3に示す回路のスピンMOSFETQに、タイプ1のスピンMOSFETまたはタイプ2のスピンMOSFETを用いた場合の、VO1出力特性を、それぞれ、スピンMOSFETの磁性体の磁化の平行、反平行状態に対応し、フローティングゲートの電圧VFBの関数として、それぞれ示す。
【0028】
この図4(a)、4(b)からわかるように、2入力A、Bの双方が接地された場合(GNDレベルに保持された場合)、フローティングゲートの電圧VFBはGNDレベルとなり、前段のインバータの出力VO1はスピンMOSFETQの磁性体の磁化が平行、或いは、反平行状態にあるかに係わらず、電源電圧VDDで一定となる。
【0029】
一方、2入力A、Bの一方が昇圧されたときは、フローティングゲートの電圧VFBが電源電圧VDDの半分程度となり、出力VO1は、スピンMOSFETQの磁性体の磁化が平行状態、或いは反平行状態にあるかによって変化する。平行状態の時はGNDレベルに近く、反平行状態の時はVDDに近い電位が出力される。
【0030】
最後に、2入力A、Bの双方が電源電圧VDDまで昇圧された場合、フローティングゲートの電圧VFBはVDDとなり、タイプ1のスピンMOSFETを使用したときは、出力VO1はスピンMOSFETが反平行状態でVDDに近く、平行状態でGNDレベルに近くになる(図4(a))。これに対し、タイプ2のスピンMOSFETを使用したときは、出力VO1は、平行状態、或いは反平行状態にあるかに係わらず、GNDレベルで一定となる(図4(b))。
【0031】
この結果、タイプ2のスピンMOSFETを使用したとき、後段のインバータの出力VO2の特性によって規定される、図3に示す2入力論理回路は、平行状態の時はOR回路、反平行状態の時AND回路と再構成される。従って、この回路を使って、任意の対称2入力の再構成可能な論理回路が構成できることになる。
【0032】
一方、タイプ1のスピンMOSFETを使用したとき、VO2の特性によって規定される、図3に示す2入力の論理回路は、平行状態の時はOR回路となるが、反平行状態の時は、単なる定値関数にしかならない。従って、この回路を使って、任意の2入力の再構成可能な論理回路を構成することは困難である。
【0033】
このことから、スピンMOSFETが有する、素子動作の不揮発な磁気的変調機能を利用した、最も有用なMOSFETの高機能化の一つとして、不揮発な再構成可能論理回路を構築するに当たっては、タイプ2のスピンMOSFETによって実現される素子動作が優れていることが明らかとなった。
【0034】
(3)スピンMOSFET動作の安定性
最後に、スピンMOSFET動作原理に起因した、スピンMOSFET動作の安定性について検討する。
【0035】
前述したように、タイプ2のスピンMOSFETの作成には磁性半導体が必要になる。このような磁性半導体は、現在のところ、室温では実現されていない。更に、強磁性秩序の発現機構が、半導体中の荷電担体の濃度に依存するため、MOSFETのように、荷電担体濃度の急速で激しい変化を伴う素子動作をタイプ2のスピンMOSFETによって室温で安定的に実現することは困難である。
【0036】
一方、タイプ1のスピンMOSFETでは、素子動作の不揮発な磁気的変調機能が、ドレイン電極への、スピン偏極した荷電担体の流入阻止能力に由来している。ゲート電極に電圧を印加し、ソース電極からの荷電担体注入が可能となった状態(On状態)で、ドレイン電極に荷電担体を引きつける電圧が印加された場合、ドレイン電極の磁化方向の如何にかかわらず、電気力学的作用により、ソース電極からは、スピン偏極した荷電担体がチャネル半導体中に注入される。この結果、図5に示す、MOSFETのチャネル表面近傍のエネルギーバンド図において、反平行状態に於いては、ドレイン電極近傍に、ドレイン電極に流入することが適わないスピン偏極した荷電担体が、逐次蓄積してゆく事になる。ドレイン電極近傍の電荷蓄積は、半導体中の静電ポテンシャルの経時的変動をもたらし、加えて、周辺の不純物、結晶欠陥とのスピンの反転を伴うような相互作用、或いは熱的擾乱などにより、蓄積された荷電担体の一部は、そのスピンを反転させ、ドレイン電極に流入を始めてしまう事になる。このように、素子動作の経時的変化が生じると、安定的な回路機能の確保が困難となる。更に、上述したように、結晶欠陥の有無等によって鋭敏に素子動作が変動してしまうと、目途の特性を持った素子を大量、且つ、均一に製造することが不可能となってしまう。
【0037】
従って、スピンMOSFET動作の安定性という観点からは、タイプ1のスピンMOSFET、タイプ2のスピンMOSFETとも、問題を抱えている。
【0038】
以上、総括すると、通常のC−MOSFET素子に、本来のMOSFET動作を超える新機能を付与することで、高付加価値化を達成しようと言う目的からはタイプ1のスピンMOSFETを利用しなければならないが、不揮発な再構成可能論理回路の構築と、動作の安定性に問題が生じてしまう。
【0039】
一方、不揮発な再構成可能論理回路の構築には、タイプ2のスピンMOSFETが適しているが、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性、動作の安定性に問題が生じてしまう。
【0040】
以上詳述したように、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を保ちつつ、安定した動作で、不揮発な再構成可能論理回路の構築が可能なスピンMOSFETを得ることは、困難である。
【0041】
そこで、本発明者達は、これらの問題を解決すべく鋭意研究に努めた結果、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を保ちつつ、安定した動作で、不揮発な再構成可能論理回路の構築が可能なスピンMOSFETを得ることができた。
【0042】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
【0043】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるスピンMOSFETの平面図を図6に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、図示しない半導体基板に離間して形成されたソース領域12およびドレイン領域14と、ソース領域12とドレイン領域14との間のチャネル領域となる半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜(図示せず)と、このゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極18と、ソース領域12上に形成され第1の方向Ds1に磁化されたハーフメタル強磁性体金属Ms1と、ドレイン領域14上に形成され上記第1の方向Ds1とは異なる第2の方向Dd1に磁化されたハーフメタル強磁性体金属Md1と、ドレイン領域14上に形成され上記第2の方向Dd1と反平行な第3の方向Dd2に磁化され且つ上記ハーフメタル強磁性体金属Md1と物理的に離間して配置されたハーフメタル強磁性体金属Md2と、を備えている。
【0044】
すなわち、ソース領域12上には第1の方向Ds1に磁化されたハーフメタル強磁性体金属Ms1が設けられ、ドレイン領域14上にはいずれも第1の方向Ds1とは異なる、互いに反平行な方向Dd1、Dd2に磁化された一対のハーフメタル強磁性体金属Md1、Md2が設けられている。そして、ハーフメタル強磁性体金属Ms1がソース電極となり、一対のハーフメタル強磁性体金属Md1、Md2がドレイン電極となる。ドレイン電極Md1、Md2の磁化方向は、それぞれ方向Dd1、Dd2に固着されている。ソース電極Ms1との磁化方向は、後述するように、方向Ds1またはこの方向Ds1と反平行な(180度異なる)方向に変化させることが可能となっている。方向Ds1またはこの方向Ds1と反平行な(180度異なる)方向がソース電極となる強磁性体金属Ms1の磁化容易軸に沿った方向となる。
【0045】
次に、スピンの性質について説明する。
【0046】
<スピンの性質>
そもそも、素粒子としての電子のスピン自由度は、その量子としての相対論的共変性に由来し、単なる実空間のベクトルではなく、非相対論的極限では、拡張された回転群SU(2)の表現空間(線形空間)の元、即ち、スピノルとして記述される。そして、物質中の電子、或いは、正孔に対しても、同様の性質は受け継がれる。
【0047】
非相対論的電子スピンの表現空間の次元は2であり、従って、電子のスピン状態は任意の一対の(線形空間の)正規直交基底の重ね合わせとして記述される。通常、この一対の正規直交基底を、「Up」、「Down」というような呼称で表現している。
【0048】
同値な正規直交基底の集まりは、実空間の一対の互いに反平行な方向の集まり(量子化軸)と1対1に対応させることが出来るので、電子スピンの表現空間の一対の正規直交基底を、実空間の一対の互いに反平行な方向によって指定し、表記することが可能である。
【0049】
強磁性体金属がある方向に磁化しているという場合、この中の大多数の自由電子のスピン状態は、この磁化方向に対応した第1基底成分のみを持ち、少数の自由電子のスピン状態は、この磁化方向と反平行な方向に対応した第2基底成分(第1基底成分と直交する)のみを持つことになる。特に、ハーフメタル強磁性体金属の場合、フェルミ準位近傍では、自由電子のスピン状態は、磁化方向に対応した基底成分しか持たない。このことから、一対の互いに反平行な方向に磁化した強磁性体金属中の自由電子の状態は、それぞれ一対となって、スピン状態の正規直交基底を形成することがわかる。
【0050】
次に、本実施形態によるスピンMOSFETの動作を説明する。
【0051】
第1の方向Ds1と第2の方向Dd1とのなす内角をΦとする。話を簡単にするため、本実施形態のスピンMOSFETはシリコン上に形成されたnチャネルMOSFET構造とする。すなわち、ソース、ドレイン領域には、n型不純物が導入されているとする。このとき、ソース領域12上のハーフメタル強磁性体金属Ms1から、チャネル領域に注入される電子のスピン状態は、第1の方向Ds1に対応した基底|Ds1>で表現される。即ち、スピン偏極している。スピン軌道相互作用の小さいシリコン中では、チャネルを流れる電子のスピン状態は保存され、ドレイン領域14に至る。ドレイン領域14上のハーフメタル強磁性体金属Md1、Md2に流入できるスピン状態は、磁化方向Dd1、Dd2に対応した基底|Dd1>、|Dd2>で表現される状態に限定される。しかし、基底|Dd1>、|Dd2>は正規直交基となるので、その線形結合であるスピン状態|Ds1>の電子は、必ずハーフメタル強磁性体金属Md1、Md2のいずれかには流入できる。それぞれの電極に流入できる確率P1p、P2pは、スピン状態|Ds1>の各正規直交基底|Dd1>、|Dd2>への射影によって決まり、第1の方向Ds1と第2の方向Dd1のなす角Φのみに依存して、スピノルの性質により、
1p= cos(Φ/2)
2p= sin(Φ/2)
と表すことが出来る。
【0052】
従って、ソース電極Ms1から流入する電流Isのうち、ドレイン電極Md1に流入する電流Id1は、Id1=P1p・Isと表され、ドレイン電極Md2に流入する電流Id2は、Id2=P2p・Isと表される。対応するドレイン電流特性は、それぞれ図7(a)、7(b)に示すようになる。
【0053】
次に、図8に示すように、ソース電極Ms1の磁化方向Ds1を反転させて、磁化方向Ds2とする。この磁化反転の方法については、第2実施形態で説明する。このように、ソース電極Ms1の磁化方向Ds1を反転させて、磁化方向Ds2とした場合は、同様の計算により、ドレイン電極Md1、Md2にそれぞれ流入できる確率P1a,P2aは、
1a= sin(Φ/2)= P2p
2a= cos(Φ/2)= P1p
と表すことが出来る。
【0054】
従って、ソース電極Ms1から流入する電流Isのうち、Id1=P1aIs、Id2=P2aIsがそれぞれ、ドレイン電極Md1、Md2に流入し、対応するドレイン電流特性は、それぞれ図7(b)、7(a)に示すようになる。
【0055】
この結果、ドレイン電極Md1に流入する電流Id1に着目すれば、ソース電極Ms1の磁化を反転することによって、図7(c)に示すように、チャネルを構成する磁性半導体を必要とすることなく、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作を実現する。よって、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備えつつ、安定した動作が可能でかつ不揮発な再構成可能な論理回路を構築できる。
【0056】
このとき、ソース電極Ms1からドレイン領域14に流入する、スピン偏極した荷電単体は、必ずドレイン領域14上のどちらか一方の強磁性体金属に流入可能なので、ドレイン電極に流入することが適わないスピン偏極した荷電担体が、ドレイン電極Md1、Md2の近傍に大量に蓄積してゆく事を抑止でき、安定的な回路機能が確保でき、目途の特性を持った素子を得ることが可能となる。
【0057】
さらに、磁気変調の度合いを、各電極にどのような材料を使用するかににかかわらず、ソース電極Ms1とドレイン電極Md1、Md2の磁化の方向によって、任意に調節することが可能となり、回路設計の自由度が著しく向上することになる。
【0058】
また、ドレイン領域14上に、近接して互いに反平行な方向に磁化した強磁性体金属Md1、Md2を形成しているので、反磁場の効果が低減され、それぞれの磁化が安定化し、容易にソース領域12上に形成した強磁性体金属Ms1の磁化方向だけを変化させることが可能となる。
【0059】
図6および図8においては、ドレイン電極Md1、Md2の互いに反平行な磁化方向Dd1、Dd2は、ゲート電極18の長手方向と直行している場合を示した。しかし、上述の説明からわかるように、上記効果は、ソース電極Ms1とドレイン電極Md1、Md2の磁化の相対的方向のみに依存する。このため、図9に示すように、ドレイン電極Md1、Md2の互いに反平行な磁化方向Dd1、Dd2が、ゲート電極18の長手方向に傾いている場合でも、図7(a)、7(b)、7(c)と全く同様の作用を有する。
【0060】
以上説明したように、本実施形態のスピンMOSFETにおいては、ソース領域上に第1の方向に磁化した強磁性体金属が形成され、ドレイン領域上に、第1の方向とは異なる互いに反平行な方向に磁化し、且つ物理的に離間して配置された一対の強磁性体金属が形成されている。
【0061】
このように構成したことにより、ソース電極からドレイン領域に流入する、スピン偏極した荷電単体は、その偏極の方向と、ドレイン領域上の強磁性体金属の磁化方向とに依存した一定の割合で、必ず、どちらか一方のドレイン領域上の強磁性体金属に流入できるようになる。このため、ドレイン電極に流入することが適わないスピン偏極した荷電担体が、ドレイン電極近傍に逐次、大量に蓄積してゆく事を回避できる。従って、半導体中の静電ポテンシャルの経時的変動や、蓄積された荷電担体の、周辺不純物、欠陥とのスピンの反転を伴うような相互作用、或いは熱的擾乱などに伴う、スピン反転を阻止できる。この結果、素子動作の変動を抑止し、安定的な回路機能が確保できる。さらに、目途の特性を持った素子を得ることができる。
【0062】
更に、ドレイン領域に形成された一対の強磁性体金属に電気的に独立した金属配線を接続することが可能である。このような構成とすることにより、ドレイン領域上に形成された、互いに反平行な方向に磁化した強磁性体金属には異なる電位が印加可能となる。
【0063】
そして、スピン偏極した荷電単体は、その偏極の方向と、ドレイン領域上の強磁性体金属の磁化方向とに依存した一定の割合で、ドレイン領域上の強磁性体金属に流入するので、MOSFETのソース領域上に形成した強磁性体金属の磁化方向を変化させることで、個別のMOSFETを流れる電流(ドレイン電流)を、電極を構成する強磁性体金属の特性に依らず、ソース、ドレイン領域上の強磁性体の磁化方向を調節して、自由に一定の割合で変調できる。
【0064】
従って、チャネルを構成する磁性半導体を必要とすることなく、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作を実現できる。よって、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備えつつ、不揮発な再構成可能な論理回路を構築できる。
【0065】
なお、本実施形態においては、ソース電極およびドレイン電極は、強磁性体金属からなる単層膜であるとして説明したが、強磁性層が非磁性層を介して積層され強磁性結合または反強磁性結合した積層構造を有していてもよい。例えば、強磁性層/非磁性層/強磁性層の3層積層構造、強磁性層/非磁性層/強磁性層/非磁性層/強磁性層の5層積層構造であってもよい。ドレイン領域に形成された2つのドレイン電極がそれぞれ上記積層構造を有しているときは、ドレイン領域に一番近いそれぞれの強磁性層の磁化方向が反平行となっている必要がある。ソース電極またはドレイン電極が、強磁性層が非磁性層を介して積層され強磁性結合または反強磁性結合した積層構造を有することは、本実施形態ばかりでなく、後述する第2乃至第3実施形態にも適用することができる。
【0066】
また、図26に示すように、半導体基板100への強磁性体金属の拡散を防止し、注入される電子のスピン偏極率を保持するために、ソース電極となる強磁性体金属Ms1とソース領域12との間、および第1および第2ドレイン電極となる強磁性体金属Md1,Md2とドレイン領域14との間に、MgOのようなトンネルバリア層19を更に設けても良い。なお、図26においては、第2ドレイン電極となる強磁性体金属Md2は省略してある。また、符号16はゲート絶縁膜を示す。ソース電極とソース領域との間またはドレイン電極とドレイン領域との間にトンネルバリア層を設けることは、後述する第2乃至第3実施形態にも適用することができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態によるスピンMOSFETを、図10(a)乃至図17を参照して説明する。本実施形態のスピンMOSFETは、第1実施形態のスピンMOSFETにおいて、ソース電極を複数個備えた構成となっている。本実施形態のスピンMOSFETは、以下のように製造される。なお、以下の製造工程においては、スピンMOSFETは、n型であるとして説明するが、p型であっても導電型を逆にすることにより製造できる。
【0068】
まず、図10(a)に示すように、p型のシリコン基板100の{100}面に、周知のリソグラフィー工程およびRIE(Reactive Ion Etching)工程を用いて浅い溝を形成し、この溝を例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて絶縁物質で埋め込み、その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて平坦化することにより、素子分離領域101を形成する。この素子分離領域101は素子領域102を取り囲むように形成される。
【0069】
次に、図10(b)に示すように、シリコン基板100の素子形成領域102上に、ゲート絶縁膜16として、例えば熱酸化法などの技術を用いて、例えば膜厚が5nmの熱酸化膜を形成する。これに引き続き、この熱酸化膜上に、ゲート電極18として、例えばCVD法などの技術を用いて、例えば膜厚が200nmのポリシリコン膜を堆積する。その後、リソグラフィー法により、例えばフォトレジストからなるゲート電極形成用のマスク(図示せず)を、このマスクを用いてRIE工程等により、ポリシリコン膜および熱酸化膜をパターニングし、ゲート電極18およびゲート絶縁膜16を形成する。この後、ゲート電極18をマスクとして、ゲート電極18の両側の素子形成領域102に、ソース領域およびドレイン領域のエクステンション領域となる、シリコン基板100と逆の導電性を有した浅い拡散層12a、14a、14aを、シリコン基板100と逆の導電型(本実施形態ではn型)の不純物をイオン注入することで形成する。
【0070】
この時の上面図を図11に示す。なお、図10(b)は、図11に示す切断線A−Aで切断した断面図である。ドレイン領域の浅い拡散層14a、14aは、図11に示すように、不純物が注入されない高抵抗領域13を挟むように形成される。この高抵抗領域13は、浅い拡散層12a、14a、14aを形成する前に、高抵抗領域13となる領域上に例えば、例えばフォトレジストからなるマスクを形成した後に、浅い拡散層12a、14a、14aを形成するための不純物を注入し、上記マスクを除去することにより形成される。
【0071】
次いで、図12に示すように、例えばCVD法により、例えばシリコン窒化膜を20nm堆積し、続いて、RIE工程等の異方性エッチングを行って、ゲート電極18の側部に、シリコン窒化膜を選択的に残存させ、ゲート側壁30を形成する。その後、ドレイン領域の高抵抗領域13上に例えばフォトレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極18の両側に、ソース領域およびドレイン領域となる、シリコン基板と逆の導電性を有する拡散層12b、14b、14bを、n型の不純物をイオン注入することで形成する。拡散層12b、14b、14bは、エクステンション領域12a、14a、14aよりも不純物が高濃度となっている。
【0072】
この時の上面図を図13に示す。なお、図11は、図13に示す切断線A−Aで切断した断面図である。ドレイン領域の拡散層14b、14bは、図13に示すように、不純物が注入されない高抵抗領域13を挟むように形成される。続いて、急速昇降温熱処理を施す事で、不純物を活性化しておく。このとき、ゲート電極18に不純物を導入し、導電性にしても良いことはいうまでも無い。エクステンション領域12aおよび拡散層12bがソース領域12を構成し、エクステンション領域14a、14aおよび拡散層14b、14bがドレイン領域14を構成する。
【0073】
次に、リソグラフィー法などにより、目途の位置に、所望の形状でソース領域およびドレイン領域に達する開口を有する、例えばフォトレジストからなる、マスクを形成し、このマスクを用いて、強磁性体金属を、例えばスパッタ法を用いて堆積する。その後に、フォトレジストからなる上記マスクを、このマスクの上部に形成された強磁性体金属とともに、除去する。すなわち、リフトオフ法を用いる。これにより、ソース領域14b上に強磁性体金属からなる複数のソース電極42が形成され、ドレイン領域14の拡散層14b上に強磁性体金属からなる第1ドレイン電極44が形成され、ドレイン領域14の拡散層14b上に強磁性体金属からなる第2ドレイン電極44が形成される(図14)。もちろん、これらのソース電極およびドレイン電極は、リフトオフ法以外の、従来のコンタクトビア形成工程を援用して、層間膜を形成し、これに、ソース領域、ドレイン領域に達するコンタクトホールを穿ち、このコンタクトホールに、強磁性体金属を充填することにより形成してもよいことはいうまでも無い。また、それぞれの強磁性体金属は、高濃度のソース領域およびドレイン領域上に形成されているので、ソース領域およびドレイン領域となる半導体層と強磁性体金属との間に形成されるエネルギー障壁(Schottky Barrier)が多少高くても、トンネル効果により、電子は各電極と半導体層中を容易に行き来できるようになっている。
【0074】
強磁性体金属としては、例えば、Co40Fe4020、CoMnX(ここでXはGa,Si、Al、Ge、Sn、Sbなどの元素を表す)や、Co(CrFe1−y)Al系、或いはCoFeAlSi1−y系のホイスラー合金(ハーフメタル)、NiFe合金、CoFe合金などを用いることが出来る。ソース電極42、第1ドレイン電極44、第2ドレイン電極44に用いる強磁性体金属は必ずしも同一である必要はない。加えて、第1ドレイン電極44、第2ドレイン電極44の上部に、それぞれの磁化を強固に且つ安定的に固着するために、例えばFeMn、PtMn、NiMn、IrMn、NiO、Feなどのような反強磁性膜を設けても良い。また、シリコン基板100への強磁性体金属の拡散を防止し、注入される電子のスピン偏極率を保持するために、ソース電極42となる強磁性体金属とソース領域12との間、および第1および第2ドレイン電極44,44となる強磁性体金属とドレイン領域14との間に、MgOのようなトンネルバリア層を更に設けても良い。加えて、ソース電極42および第1ならびに第2ドレイン電極44,44となる強磁性体金属の上部(すなわちソース領域およびドレイン領域と反対側)に、或いは強磁性体金属と反強磁性体膜との間に、例えばTaやRuを含む金属層を形成しても良い。
【0075】
また、強磁性体金属の膜面の形状は、例えば、所望の磁化方向に長辺を持つ長方形とすれば都合が良い。反磁場の効果により、このような形状の強磁性体金属の磁化方向は長辺の方向に平行になる。すなわち、上記長辺が磁化容易軸となる。もちろん、図14に示すように、第1ドレイン電極44、第2ドレイン電極44の長辺の方向は平行とし、ソース電極42の長辺の方向は、これらの方向と一定の角度Φを有するように形成する。
【0076】
また、本実施形態においては、図14に示すように、ソース電極42は互いに平行な長辺を持つ複数の電極であったが、第1実施形態と同様に、単一の電極から構成することも可能である。
【0077】
更に、第1ドレイン電44の形状は、その長辺の長さを短辺の長さで除した値が、第2ドレイン電極44、各ソース電極42の形状の対応する値より大きくなるように設定すると都合が良い。これにより、第1ドレイン電極44の反磁場係数を、その他の電極のそれよりも小さくすることが出来る。同様に、第2ドレイン電極44の形状は、その長辺の長さを短辺の長さで除した値が、各ソース電極42の形状の対応する値より大きくなるように設定することで、第2ドレイン電極44の反磁場係数を、各ソース電極42のそれよりも小さくすることが出来る。
【0078】
反磁場係数の大きい形状をした強磁性体は小さな磁場でその磁化方向が磁場の方向に揃うが、反磁場係数の小さい形状をした強磁性体は磁場が小さい間はその磁化の方向は変化しない。従って、まず、大きな磁場を、第1ドレイン電極44の長辺に平行な方向D1に印加し、第1ドレイン電極44をD1方向に磁化させる。次いで、第1ドレイン電極44の磁化を変化させないが、第2ドレイン電極44の磁化方向を変化させ得る強さの磁場を、D1方向と反平行なD2方向に印加し、第2ドレイン電極44をD2方向に磁化させる。もちろん、第1ドレイン電極44の磁化はD1方向のままである。最後に、第1、第2ドレイン電極44,44の磁化を変化させないが、ソース電極42の磁化方向を変化させ得る強さの磁場を、ソース電極42の長辺と平行なS1方向に印加し、ソース電極42をS1方向に磁化させる。もちろん、第1、第2ドレイン電極44,44の磁化方向はそれぞれD1方向、D2方向のままである。
【0079】
この結果、図15に示すような磁化方向を持つ、強磁性体金属からなるソース、ドレイン電極を形成することが出来る。
【0080】
それぞれの電極に磁化を与えるに当たっては、基板の温度を、それぞれの工程に適切な温度に設定することが望ましい。特に、強磁性体金属とともに、磁化を強固に且つ安定的に固着するために、反強磁性層を用いるばあい、反強磁性体のネール温度程度に昇温して行うことが効果的である。逆に異なるネール温度を持つ反強磁性層を各強磁性体金属電極に用いることで、適切な温度で磁化の付与を行えば、各電極への個別的な磁化の付与がより容易となる。
【0081】
また、第1ドレイン電極の強磁性体金属としてD1方向に磁化された単層の強磁性層からなる強磁性膜を用い、第2ドレイン電極の強磁性体金属として、D2方向に磁化された第1強磁性層が、非磁性層を介して第2強磁性層と互いに反強磁性結合した第1強磁性層/非磁性層/第2強磁性層からなる3層構造膜を用いてもよい。この場合、第2ドレイン電極の第1強磁性層はドレイン領域側に配置され、第2強磁性層はドレイン領域と反対側に配置されて磁化の向きがD1方向となる。すなわち、第1ドレイン電極の強磁性層と、第2ドレイン電極の第2強磁性層とは、磁化の向きがD1方向となるため、第1ドレイン電極の強磁性層と、第2ドレイン電極の第2強磁性層のそれぞれの上面(ドレイン領域と反対側の面)に同一の材料からなる反強磁性膜を形成すれば、同一の磁場中でのアニール温度処理により図15に示す磁化の配置が実現可能となる。
【0082】
また、本実施形態においては、各ソース電極42の強磁性体金属の反磁場係数を大きくしておく。これにより、ソース電極42の磁化方向は、小さな磁場でS1と反並行なS2方向に反転可能となる。このとき、第1、第2ドレイン電極44、44の強磁性体金属は反磁場係数が小さい上に、それぞれ、反平行な方向D1、D2に磁化されており、反磁場の効果で安定化されているため、小さな磁場で影響を受けることは無い。
【0083】
従って、ソース領域12上に、交差する一対の配線を形成し、この配線を流れる電流パルスから発生する合成磁場の強さ及び方向を調節することにより、ドレイン電極44,44の磁化方向を変化させることなく、各ソース電極42の磁化方向のみを安定的にS1方向からS2方向に、或いはS2方向からS1方向に変化させることが出来る。なお、ソース電極42の磁化方向のみを安定的に変化させる配線等については、後述する図17に示す。
【0084】
この結果、一つのドレイン電極に着目すれば、チャネルを構成する磁性半導体を必要とすることなく、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作を実現することができる。
【0085】
また、第1、第2ドレイン電極44,44の強磁性体金属の近接したそれぞれの端部を橋渡すように、比透磁率が100を超えるような高透磁率の物質(例えば、Fe−Ni合金をベースとするパーマロイなどの軟磁性体)を、電気的な絶縁を保ちつつ配置すれば、第1、第2ドレイン電極44,44の強磁性体金属の磁化を更に安定化できる。
【0086】
図15に示す構造を作成した後、図16に示すように、層間膜(図示せず)を形成し、これに、ソース電極42、第1、第2ドレイン電極44,44、ゲート電極18に達するコンタクトホールを穿ち、このコンタクトホールに、例えばAlのような配線金属を充填し、コンタクト72、74、74、73を形成する。
【0087】
更に、層間膜(図示せず)を堆積し、この上にコンタクト72、74、74、73に接続する金属配線を加工形成し、必要ならば、図17に示すように、発生磁場により各ソース電極の強磁性体金属の磁化方向のみを変化させるために、ソース領域12上に、交差する配線80,80を形成し、加えて、多層の配線(図示せず)を構築し、また実装工程などを経て、半導体装置を完成させる。なお、交差する配線のうちの一方の配線80は、ソース電極の強磁性金属の磁化容易軸方向に沿って配置され、他方の配線80は、磁化容易軸方向と直交する方向、すなわち磁化困難軸方向に沿って配置される。
【0088】
もちろん、ソース電極42の強磁性体金属の磁化反転には、スピン注入を利用することが出来ることはいうまでもない。例えば、図27に示すように、ソース電極42上にコンタクト72の他に、磁気固着導電層を含む積層膜CA、CBを設けるように構成してもよい。積層膜CAは、図28に示すように、ソース電極42の強磁性金属上に設けられた非磁性層CAと、この非磁性層CA上に設けられた磁気固着導電層CAと、この磁気固着導電層CA上に設けられた反強磁性層CAとを備えている。同様に、積層膜CBは、ソース電極42の強磁性金属上に設けられた非磁性層(図示せず)と、この非磁性層上に設けられた磁気固着導電層(図示せず)と、この磁気固着導電層上に設けられた反強磁性層(図示せず)とを備えている。そして、積層膜CAおよび積層膜CBのそれぞれの磁気固着導電層は、磁化の向きがS1およびS2となるように、すなわち互いに反平行となるように固着されている。これらの磁気固着導電層の磁化の向きの固着は、それぞれの積層膜の反強磁性層によって行われる。ソース電極42の強磁性金属の磁化をS1方向とするには、積層膜CAからコンタクト72へ、また、コンタクト72から積層膜CBに電子を注入すればよい。積層膜CAの磁気固着導電層からは目途の方向にスピン偏極した電子が、ソース電極42に注入され、また、積層膜CBの磁気固着導電層に流入できなかった目途の方向にスピン偏極した電子は、ソース電極42に還流される。この結果、ソース電極42中の電子には、目途の方向にスピンを偏極させようとするトルクが働き、ソース電極42の磁化方向をS1方向に揃えることが出来る。ソース電極42の磁化をS2方向とするには、電流の注入方向を逆にすればよいことは言うまでも無い。このようなスピン注入による磁化の反転は、微細な磁性体に対して非常に効率的に行うことが出来る。また、S1方向に磁化した磁気固着導電層を有する積層膜のみを各ソース電極に接続しても良い。この場合、ソース電極42の強磁性金属の磁化の方向をS1方向にする場合は、積層膜CAを通してソース電極42に電子を注入し、S2方向にする場合は、ソース電極42から積層膜CAに電子を流入させればよい。また、各ソース電極に、二つの積層膜CA、CBを設けても良いことは明らかである。
【0089】
このようにして、シリコンの{100}面上に形成されたn型MOSFETのソース領域12上に、第1の方向に磁化した強磁性体金属からなるソース電極42を具備し、ドレイン領域14上に、いずれも第1の方向とは異なる互いに反平行な方向に磁化し、且つ物理的に離間し、高抵抗層13を介して配置された強磁性体金属からなる第1および第2ドレイン電極を有し、それぞれに異なる電位が印加可能であるスピンMOSFETが実現できる。一つのドレイン電極に着目すれば、チャネルを構成する磁性半導体を必要とすることなく、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作が可能となる。よって、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備えつつ、不揮発な再構成可能論理回路を構築できる。
【0090】
この結果、
(a) ドレイン領域上に、互いに反平行な方向に磁化した一対の強磁性体金属からなる第1および第2ドレイン電極を形成することで、これらのドレイン電極の近傍に、ドレイン電極に流入することが適わないスピン偏極した荷電担体が、大量に蓄積してゆく事を回避できる。従って、半導体中の静電ポテンシャルの経時的変動や、蓄積された荷電担体の、周辺不純物、欠陥とのスピンの反転を伴うような相互作用、熱的擾乱などに伴う、スピン反転による素子動作の変動を抑止し、安定的な回路機能が確保できる。
【0091】
(b) ドレイン領域上に、互いに反平行な方向に磁化した一対の強磁性体金属を、物理的に離間して配置することで、ドレイン領域に形成された一対の強磁性体金属に電気的に独立した金属配線を接続し、これらを独立に目途の回路のドレイン電極として活用できる。
【0092】
(c) ソース領域上に、ドレイン領域上の一対の互いに反平行な磁化方向とは異なる方向に磁化した強磁性体金属を設け、ソース領域上に形成した強磁性体金属の磁化方向を変化させることで、個別のMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を変調させることが出来る。このとき、電極を構成する強磁性体金属の特性に依らず、ソース領電極とドレイン電極の磁化方向を調整することで、変調割合を自由に調節できる。
【0093】
(d) シリコンの{100}面上に形成されたn型MOSFETのソース、ドレイン領域上に、強磁性体金属を設けているので、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備えつつ、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作が可能となり、不揮発な再構成可能論理回路を構築できる。
【0094】
(e) ドレイン領域上に、互いに反平行な方向に磁化した一対の強磁性体金属を配置することで、それぞれの磁化が反磁場の効果で安定化され、小さな磁場で影響を受けることがなくなる。
【0095】
(f) 第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の近接したそれぞれの端部を橋渡すように、高透磁率の物質を、電気的な絶縁を保ちつつ配置すれば、第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の磁化を更に安定化できる。
【0096】
(g) ソース電極の強磁性体金属の反磁場係数を、ドレイン電極の強磁性体金属の反磁場係数より大きくしておくことで、ソース電極の磁化方向が、小さな磁場で容易に反転可能となる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、チャネルを構成する磁性半導体を必要とすることなく、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作を実現できる。よって、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備えつつ、不揮発な再構成可能な論理回路を構築できる。
【0098】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による半導体装置を、図18(a)乃至図25を参照して説明する。本実施形態の半導体装置は、シリコンの{100}面上に形成されたn型スピンMOSFET及びp型MOSFETにより形成される2入力のインバータ回路であって、不揮発なメモリ機能を有し、図3に示す再構成可能な回路となっている。
【0099】
本実施形態の半導体装置の製造方法を以下に説明する。
【0100】
まず、図18(a)に示すように、p型シリコン半導体基板100の{100}面に周知の技術を用いて浅い溝を形成し、この溝を絶縁物質で埋め込むことにより、素子分離領域101を形成する。この素子分離領域101は、第1素子形成領域102aと第2素子形成領域102bとをそれぞれ取り囲むように形成され、第1素子形成領域102aと第2素子形成領域102bとは素子分離領域101によって素子分離される。その後、イオン注入法および熱処理等公知の技術を用いて、第1素子形成領域102aおよび第2素子形成領域102bを、p型ウェル領域102aおよびn型ウェル領域102bにする。
【0101】
次に、図18(b)に示すように、p型ウェル領域102aおよびn型ウェル領域102b上に、ゲート絶縁膜として、例えば熱酸化法などの公知の技術を用いて、例えば膜厚が5nmの熱酸化膜を形成する。これに引き続き、浮遊ゲート電極膜として、例えばCVD法などの公知の技術を用いて、例えば膜厚200nmの第1ポリシリコン膜を堆積する。なお、ポリシリコン膜を形成した後、p型ウェル領域およびn型ウェル領域の中の一方のウェル領域上の浮遊ゲート電極膜上に、この一方のウェル領域を覆う、例えばフォトレジストからなるマスクを形成し、このマスクを用いて、他方のウェル領域上に形成された第1ポリシリコン膜に、上記他方のウェル領域と逆の導電性を有した不純物を導入し活性化させておくことが望ましい。続いて、ブロック絶縁膜210として、例えば膜厚10nmのシリコン窒化膜を、第1ポリシリコン膜上に形成し、その後、上記シリコン窒化膜上に、制御ゲート電極として、例えば膜厚100nmの第2ポリシリコン膜を公知の技術を用いて堆積する。
【0102】
次いで、制御ゲート電極となる第2ポリシリコン膜上に、リソグラフィー法を用いて、例えばフォトレジストからなるマスクを形成する。続いて、上記マスクを用いてRIE工程を行うことにより、第2ポリシリコン膜および窒化シリコン膜を、制御ゲート電極形状に加工する。これにより、p型ウェル領域102a上には窒化シリコンからなるブッロク絶縁膜210aとポリシリコンからなる制御ゲート電極320aが形成され、n型ウェル領域102b上には窒化シリコンからなるブッロク絶縁膜210bとポリシリコンからなる制御ゲート電極320bが形成される。制御ゲート電極320aと制御ゲート電極320bは互いに物理的に離間するように加工される。その後、上記マスクを除去する。
【0103】
引き続き、同様に、リソグラフィー法を用いて、フォトレジストからなるマスクを形成し、RIE工程等により、第1ポリシリコン膜及びゲート絶縁膜を、浮遊ゲート電極形状に加工する。これにより、p型ウェル領域102a上にはポリシリコンからなるブッロク浮遊ゲート電極310aとゲート絶縁膜200aが形成され、n型ウェル領域102b上にはポリシリコンからなる浮遊ゲート電極310bとゲート絶縁膜200bが形成される。
【0104】
なお、浮遊ゲート電極310aと浮遊ゲート電極310bは素子分離領域101上で互い接続するように加工される。
【0105】
この後、ゲート電極をマスクとして、ゲート電極の両側に、ソース領域およびドレイン領域のエクステンション領域となる、それぞれのウェル領域と逆の導電性を有した浅い拡散層111a,112a、111b,112bを、不純物をイオン注入することで形成する。すなわち、拡散層111a、112aはn型となり、拡散層111b、112bはp型となっている。この段階の断面図を、図18(b)に示す。この断面図では、制御ゲート電極320a,320b、浮遊ゲート電極310a,310b、は互いに物理的に離間しているが、浮遊ゲート電極310a,310bは素子分離領域101上で互い接続するように加工されている。
【0106】
しかる後、図18(c)に示すように、例えばCVD法により、例えば膜厚が20nmのシリコン窒化膜を堆積し、RIE工程等の異方性エッチングを行うことにより、制御ゲート電極320a、320b、浮遊ゲート電極310a、310bの両側に、シリコン窒化膜を選択的に残存させ、ゲート側壁301a,301bを形成する。さらに、極性の異なるウェル領域を覆うフォトレジストからなるマスクを形成し、このマスクを用いて、ゲート電極の両側に、ソース領域およびドレイン領域となるウェル領域と逆の導電性を有した拡散層121a,122a、121b,122bを、ウェル領域と逆の導電性を有する不純物をイオン注入することで、それぞれ形成する。拡散層121a,122aはn型であり、エクステンション領域111a、112aよりも高い不純物濃度を有している。また、拡散層121a,122a、121b,122bはp型であり、エクステンション領域111b、112bよりも高い不純物濃度を有している。
【0107】
このとき、制御ゲート電極320a、320bにもそれぞれのウェル領域と逆の導電性不純物が注入される。さらに、これに急速昇降温熱処理を施す事で、不純物を活性化しておく。拡散層121a,122a、121b,122bは、シリコン半導体基板100表面より、例えば80nmの深さまで形成される。この段階の上面図を図19に示す。図18(a)乃至図18(c)は図19に示す切断線B−Bで切断した断面に対応している。n型スピンMOSFETのドレイン領域の拡散層形成に当たっては、図19に示すように、フォトレジストをイオン注入のマスクとして、第1の強磁性金属の形成予定領域となる拡散層122a以外に、高抵抗層となる不純物が注入されない領域122を挟んで、第2の強磁性金属の形成予定領域となる拡散層122aを設けるようにする。
【0108】
一方、p型MOSFETは、第1の強磁性金属形成予定領域122、第2の強磁性金属形成予定領域拡散層122に対応して、上記断面に示したソースおよびドレイン領域の拡散層121b,122bを有する第1のp型MOSFET以外に、これと対を成す、ソースおよびドレイン領域の拡散層121b,122bを有する第2のp型MOSFETが、制御ゲート電極320b、浮遊ゲート電極310bを共有しつつ形成されている。素子分離領域101上の浮遊ゲート電極310は、n型スピンMOSFETの浮遊ゲート電極310aとp型MOSFETの浮遊ゲート電極310bを接続していることは言うまでも無い。また、素子分離領域101上の浮遊ゲート電極310の上部は露出している。
【0109】
次いで、リソグラフィー工程、RIE工程、CMP工程等により、n型スピンMOSFETのソースおよびドレイン領域上のみに、例えば炭素膜を形成し、続いて、シリサイド化金属、例えばNiを公知の技術、例えばスパッタ法などを用いて、例えば12nmの膜厚で、全面に堆積する。必要に応じて、この上に更に、キャプ層となる金属物質、例えばTi,TiNのような物質を堆積形成しても良い。次いで、この半導体基板を、例えば450℃で30秒間、窒素中で急速熱処理し、Niと直接接しているシリコンとの間でシリサイド化反応を選択的に進行させる。未反応のNiは、硫酸と過酸化水素水の混合液に浸すことで選択的に除去する。n型スピンMOSFETのソースおよびドレイン領域上の炭素膜は酸素プラズマに晒すことで選択的に剥離する。
【0110】
この結果、図20に示すように、NiSi層521b,522b、521b,522bが、第1のp型MOSFETのソースおよびドレイン領域の拡散層121b1,122b1上、第2のp型MOSFETのソースおよびドレイン領域の拡散層121b,122b上にそれぞれ形成される。また、制御ゲート電極320a,320b上および素子分離領域101上の浮遊ゲート電極310の上部に、NiSi層520a,520b、510が形成される。
【0111】
ここで、浮遊ゲート電極310a,310bは、物理的に、素子分離領域101上の浮遊ゲート電極310よって接続されているが、それぞれが異なる極性の導電性を有するため必ずしも電気的な接続が確保されていなかったが、素子分離領域101上の浮遊ゲート電極310の上部に形成されたNiSi層510が、n型浮遊ゲート電極310aとp型浮遊ゲート電極310bとをさし渡すように形成できるので、浮遊ゲート電極の十全な電気的接続が確保される。
【0112】
引き続き、図20に示すように、リソグラフィー法などにより、目途の位置に、所望の形状でソース領域およびドレイン領域に達する開口を備えた、例えばフォトレジストからなるマスクを形成し、このマスクを用いて、強磁性体金属を、例えばスパッタ法などの方法で堆積する。しかる後に、上記マスクを、このマスクの上部に形成された強磁性体金属とともに除去する。すなわちリフトオフ法を用いて、ソース領域上に強磁性体金属からなるソース電極42、ドレイン領域の拡散層122a上に強磁性体金属からなる第1ドレイン電極422、ドレイン領域の拡散層122a2上に強磁性体金属からなる第2ドレイン電極422を形成する。もちろん、ソース電極およびドレイン電極の形成にリフトオフ法以外の方法を用いてもよい。例えば従来のコンタクトビア形成工程を援用して、層間膜を形成し、これに、ソース領域、ドレイン領域に達するコンタクトホールを穿ち、このコンタクトホールに、強磁性体金属を充填することにより、ソース電極およびドレイン電極を形成出来ることはいうまでも無い。また、それぞれの強磁性体は、高濃度のソースおよびドレイン領域上に形成されているので、半導体層と金属層の間に形成されるエネルギー障壁が多少高くても、トンネル効果により、電子は各電極と半導体層中を容易に行き来できるようになっていることに言及しておく。
【0113】
強磁性体金属としては、例えば、Co40Fe4020、CoMnX(ここでXはGa、Si、Al、Ge、Sn、Sbなどの元素を表す)や、Co(CrFe1−y)Al系、或いは、CoFeAlSi1−y系のホイスラー合金(ハーフメタル)、NiFe合金、CoFe合金などを用いることが出来る。ソース電極の強磁性体金属、第1ドレイン電極の強磁性体金属、第2ドレイン電極の強磁性体金属に用いる金属は必ずしも同一である必要はない。加えて、第1ドレイン電極の強磁性体金属、第2ドレイン電極の強磁性体金属の上部に、それぞれの磁化を強固に且つ安定的に固着するために、例えば、FeMn、PtMn、NiMn、IrMn、NiO、Feなどのような反強磁性膜を設けても良い。また、シリコン基板への強磁性体金属の拡散を防止し、注入される電子のスピン偏極率を保持するために、MgOのようなトンネルバリア層を、強磁性体と半導体層(拡散層)との間に更に設けても良い。加えて、強磁性体金属の上部、或いは反強磁性体層との間に、例えばTaやRuを含む金属層を形成しても良い。
【0114】
また、強磁性体金属の上面形状は、例えば、所望の磁化方向に長辺を持つ長方形とすれば都合が良い。反磁場の効果により、このような形状の強磁性体金属の磁化方向は長辺の方向に平行になる。
【0115】
もちろん、図20に示すように、第1ドレイン電極の強磁性体金属422、第2ドレイン電極の強磁性体金属422の長辺の方向は平行とし、ソース電極強磁性体金属421の長辺の方向は、これらの方向と一定の角度Φを有するように形成する。
【0116】
また、本実施形態においては、図20に示すように、ソース電極は、互いに平行な長辺を持つ複数の電極から構成されているが、第1実施形態のように単一の電極であってもよい。
【0117】
さらに、第1ドレイン電極の強磁性体金属422の形状を、その長辺の長さを短辺の長さで除した値が、第2ドレイン電極の強磁性体金属422の形状および各ソース電極の強磁性体金属421の形状の対応する値より大きくなるように設定すると都合が良い。これにより、第1ドレイン電極の強磁性体金属の反磁場係数を、その他の電極のそれよりも小さくすることが出来る。同様に、第2ドレイン電極の強磁性体金属422の形状を、その長辺の長さを短辺の長さで除した値が、各ソース電極の強磁性体金属421の形状の対応する値より大きくなるように設定することで、第2ドレイン電極の強磁性体金属の反磁場係数を、各ソース電極の強磁性体金属のそれよりも小さくすることが出来る。
【0118】
反磁場係数の大きい形状をした強磁性体は小さな磁場でその磁化方向が磁場の方向に揃うが、反磁場係数の小さい形状をした強磁性体は磁場が小さい間はその磁化の方向は変化しない。従って、まず、大きな磁場を、第1ドレイン電極の強磁性体金属422の長辺に平行な方向D1に印加し、第1ドレイン電極の強磁性体金属422をD1方向に磁化させる。次いで、第1ドレイン電極の強磁性体金属の磁化を変化させないが、第2ドレイン電極の強磁性体金属の磁化方向を変化させ得る強さの磁場を、D1方向と反平行なD2方向に印加し、第2ドレイン電極の強磁性体金属422をD2方向に磁化させる。もちろん、第1ドレイン電極の強磁性体金属の磁化方向はD1方向のままである。最後に、第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の磁化を変化させないが、ソース電極の強磁性体金属の磁化方向を変化させうる強さの磁場を、ソース電極の強磁性体金属の長辺と平行なS1方向に印加し、ソース電極の強磁性体金属421をS1方向に磁化させる。もちろん、第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の磁化方向はそれぞれ、D1方向、D2方向のままである。この結果、図21に示すような磁化方向を持つ、ソース電極およびドレイン電極の強磁性体金属を形成することが出来る。
【0119】
それぞれの電極に磁化を与えるに当たっては、基板の温度を、それぞれの工程に適切な温度に設定することが望ましい。特に、強磁性体金属とともに、磁化を強固に且つ安定的に固着するために、反強磁性膜を用いるばあい、反強磁性体のネール温度程度に昇温して行うことが効果的である。逆に異なるネール温度を持つ反強磁性膜を各強磁性体金属からなる電極に付加することで、適切な温度で磁化付与を行えば、各電極への個別的な磁化付与がより容易となる。
【0120】
また、第1ドレイン電極としてD1方向に磁化された強磁性単層膜を用い,第2ドレイン電極として、D2方向に磁化される第1強磁性層と、D1方向に磁化される第2強磁性層が非磁性層を介して互いに反強磁性結合した第1強磁性層/非磁性層/第2強磁性層の3層積層構造膜を用い、第1ドレイン電極のD1方向に磁化される強磁性単層膜と、第2ドレイン電極のD1方向に磁化される第2強磁性層とにそれぞれ同一材料からなる反強磁性膜を設ければ、同一の磁場中アニール温度処理により図21に示す磁化の配置が実現可能となる。
【0121】
ここで、各ソース電極の強磁性体金属421の反磁場係数を大きくしておくことで、ソース電極の磁化方向は、小さな磁場でS1と反並行なS2方向に反転可能となっている。このとき、第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属は反磁場係数が小さい上に、それぞれ、反平行な方向D1、D2に磁化されており、反磁場の効果で安定化されているため、小さな磁場で影響を受けることは無い。
【0122】
従って、第2実施形態で説明したように、ソース領域上に交差する一対の配線を形成し、この配線を流れる電流パルスから発生する合成磁場の強さ及び方向を調節することにより、ドレイン電極の強磁性体金属を変化させることなく、各ソース電極の強磁性体金属の磁化方向のみを、安定的に、S1方向からS2方向に、或いはS2方向からS1方向に変化させることが出来る。
【0123】
もちろん、ソース電極強磁性体金属の磁化反転には、スピン注入を利用することが出来ることはいうまでも無い。例えば、第2実施形態で説明したように、それぞれ反強磁性層を上面に積層することによってS1方向及びS2方向に磁化が固着された電気的に絶縁された一対の磁気固着導電層を、それぞれ非磁性層を介して、ソース電極の強磁性体金属に接続し、目途の磁化方向を持つ磁気固着導電層から、ソース電極に、スピン偏極した電子を注入することで、ソース電極の磁化方向を、電子が流入する磁気固着導電層の磁化方向にそろえることが出来る。
【0124】
また、第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の近接したそれぞれの端部を橋渡すように、第1、第2ドレイン電極の電気的な絶縁を保ちつつ高透磁率の物質を配置すれば、第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の磁化を更に安定化できる。
【0125】
図21に示す構造を形成した後、図22に示すように、層間膜(図示せず)を形成し、これを貫き、n型スピンMOSFETのソース電極421に達するコンタクトホール、n型スピンMOSFETの第1ドレイン電極422と第1のp型MOSFETのドレイン領域上のNiSi層521bに達するコンタクトホール、n型スピンMOSFETの第2ドレイン電極422と第2のp型MOSFETのドレイン領域上のNiSi層521bに達するコンタクトホール、第1のp型MOSFETのソース領域上のNiSi層522bに達するコンタクトホール、第2のp型MOSFETのソース領域上のNiSi層522bに達するコンタクトホール、制御ゲート電極320a上のNiSi層520aに達するコンタクトホール、制御ゲート電極320b上のNiSi層520bに達するコンタクトホール、浮遊ゲート電極310上のNiSi層510に達するコンタクトホールを形成し、これらのコンタクトホールに、例えばAlのような配線金属を充填し、コンタクト721、721、721、722、722、720a、720b、710をそれぞれ形成する。
【0126】
更に、層間膜を堆積し、この層間膜上に上記コンタクトに接続する金属配線を加工形成し、必要ならば、多層の配線を構築し、また実装工程などを経て、本実施形態の半導体装置を完成させる。
【0127】
この半導体装置を、図3に示す再構成可能な回路の一部を構成する2入力のインバータ回路として使用するときは、コンタクト721をGNDに、コンタクト722、722を電源電圧VDDに保持し、コンタクト721a、721bを入力A、B端子として利用する。コンタクト7201或いはコンタクト7202にVO1に対応する出力が得られる。このとき、コンタクト7202或いは7201には、VO1と相補的な出力が得られる事になる。即ち、ソース電極の磁化を反転させることによって、コンタクト7201とコンタクト7202の出力は入れ替わる。このようにして、チャネルを構成する磁性半導体を必要とすることなく、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作を実現できる。その結果、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備えつつ、不揮発な再構成可能論理回路を構築できる。
【0128】
ここで、第1ドレイン電極の強磁性体金属422、第2ドレイン電極の強磁性体金属422の間に、高抵抗層となる不純物が注入されない領域122が存在するので、各電極は、異なる電位を持つことが可能である。ソース電極の近傍には、ドレイン領域の電位配置からきまる単一の実効的な電位が印加され、ソース電極からのスピン編極した電子の注入が進行する。微細化した素子では、チャネルに注入された電子は、殆ど散乱されることなくドレイン電極に到達するので、ドレイン各電極の電位の高低にあまり係わらず、注入可能な電極に流入する。直近に、一対の互いに反平行な方向に磁化した強磁性体金属が存在するので、ドレイン近傍にスピン偏極した荷電担体が、際限なく蓄積してゆく事を回避できる。
【0129】
従って、半導体層中の静電ポテンシャルの経時的変動や、蓄積された荷電担体の、周辺不純物または欠陥とのスピンの反転を伴う相互作用、熱的擾乱などに伴うスピン反転による素子動作の変動を抑止し、安定的な回路機能が確保できる。さらに、目途の特性を持った素子を大量、且つ均一に製造することが可能となる。
【0130】
また、コンタクト7201とコンタクト7202に、相補的な出力が得られる事から、この装置を、不揮発なSRAM型のメモリとして利用することも出来る。このときは、コンタクト721をGNDに、コンタクト722、722を電源電圧VDDに保持し、コンタクト710を入力端子として利用する。これに、電源電圧VDDの半分程度の電圧を印加すると、コンタクト7201とコンタクト7202に、ソース電極の磁化方向、即ちメモリに格納された情報に対応した相補的な出力が得られる。不揮発なので、情報を参照するときにだけ、コンタクト722、コンタクト722を電源電圧VDDに保持するようにすれば、消費電力の増大を回避できることは言うまでも無い。
【0131】
なお、本実施形態においては、スピンMOSFETの第1および第2ドレイン電極に第1および第2のp型MOSFETをそれぞれ接続したが、第1および第2のp型MOSFETの代わりに他の半導体素子(例えば、抵抗素子等)を接続してもよい。
【0132】
第1乃至第3実施形態に関して、以下、付言する。
【0133】
<ドレイン電極に関して>
第1乃至第3実施形態では、ドレイン電極として、ドレイン領域上に、一対の互いに反平行な方向に磁化した強磁性体金属を形成したが、強磁性体金属からなるドレイン電極を、図23に示すように、3つ以上の電極で構成しても、各電極の磁化の方向の集まりが、互いに反平行な方向を構成していれば良い。例えば、ドレイン領域122a上に、D1方向に磁化された2つの強磁性体金属からなる第1ドレイン電極422a、422bを形成し、ドレイン領域122a上に、D2方向に磁化された2つの強磁性体金属からなる第1ドレイン電極422a、422bを形成してもよい。
【0134】
加えて、ドレイン電極の強磁性体金属の磁化方向は微視的に見れば必ずしも厳密に一方向に配向しているわけではなく、その方向は、一般に、強磁性体金属の端部でスピンの方向が傾いている。しかし、第1乃至第3実施形態で説明したように、磁化容易方向を電極の形状によって調整し、ドレイン電極の強磁性体金属電極の平均的磁化の方向を反平行とすることで、必ず、局所的には互いに反平行な方向に磁化した強磁性体金属部分が出現するので、第1乃至第3実施形態の効果はそのまま発現する。また、強磁性体金属の端部のスピンの方向の傾きは、例えば、端部幅を細めるなど強磁性体の形状を工夫することで単磁区化が可能となる。
【0135】
<ソース電極に関して>
また、第2乃至第3実施形態では、ソース強磁性体金属電極として、複数の同一の矩形形状の電極を用いたが、図23に示すように、磁化容易方向(例えば、矩形の長辺、楕円体の長軸の方向)を持ち、且つ例えば反磁場係数(矩形の長辺と短辺の比などに依存する)を異ならせる、或いは異なる強磁性金属を用いることにより、磁化反転に必要な磁場の大きさに違いを持たせた、複数の強磁性体金属からなるソース電極421a、421bを用いても良い。この場合、磁化容易方向は、ドレイン電極の磁化方向と所定の角度を保つように配置される。
【0136】
このとき、例えば、ソース領域上に、交差する配線を形成し、この配線を流れる電流パルスから発生する合成磁場の強さ及び方向を調節して、強磁性体金属からなるソース電極の中の一部の電極の磁化のみを反転させ、これと異なるソース電極の磁化は反転させないような強さの磁場を発生させることにより、図23に示すように、強磁性体金属からなるソース電極の磁化を、すべての電極が同一のS1方向或いはS2方向に磁化している場合とは異なる状態にすることが出来る。
【0137】
この状態の素子の電気特性は、ソース強磁性体金属電極の磁化がすべての電極がS1に磁化している場合と、すべての電極がS2に磁化している場合の中間となる。よって、スピンMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0138】
このようなスピンMOSFETを、第3実施形態で説明したメモリに適用すれば、多値の不揮発メモリが形成できる事になる。
【0139】
また、ソース領域の強磁性体金属の磁化の配向状態を多段階に変化できるようすれば、対応して、スピンMOSFETの素子特性を多段階に変調させることが可能となる。従って、このようなスピンMOSFETを、製造後にその素子特性を微調整可能なMOSFETとして利用することが出来る。集積化回路の製造には、目途の特性を持った素子を大量、且つ、均一に製造することが不可欠であるが、微細化に伴い、加工寸法や不純物濃度のばらつきにより素子間の特性をそろえる事がきわめて困難となってきている。この点で、製造後に、その素子特性を微調整可能なMOSFETとして、第3実施形態のスピンMOSFETを利用すれば、事後的に特性ばらつきを矯正でき、製造歩留まりの飛躍的な向上をもたらすことを付言しておく。
【0140】
加えて、<動作原理>の説明の際に詳述したように、互いに反平行な方向に磁化した各ドレイン電極にスピン偏極した電子が流入する確率は、角度Φの偶関数となっているので、ソース領域の磁化の方向を、各ドレイン電極の磁化方向を回転軸として180度回転させても、素子動作に影響は無い。従って、図24に示すように、S1方向,S2方向に磁化容易方向を有する強磁性体金属からなるソース電極421aと共に、ドレイン電極の磁化方向を回転軸として、これに対応するS1’方向,S2’方向に磁化容易方向を有する強磁性体金属からなるソース電極421bを用いても良い。この場合、S1’方向,S2’方向と、ドレイン電極のD1方向、D2方向となす方向余弦のそれぞれの絶対値は、S1方向,S2方向とドレイン電極のD1方向、D2方向となす方向余弦のそれぞれの絶対値に等しくなる。
【0141】
このとき、例えばソース領域上に、交差する一対の配線を形成し、この配線を流れる電流パルスから発生する合成磁場の強さ及び方向を調節して、S1方向,S2方向に磁化容易方向を有する強磁性体金属からなるソース電極421aの磁化のみを反転させ、S1’方向,S2’方向に磁化容易方向を有する強磁性体金属からなるソース電極421bの磁化は反転させないような強さの磁場を発生させることにより、ソース電極の磁化を、すべての電極がS1方向、S1’方向に磁化している場合、S2方向、S2’方向に磁化している場合とは何れとも異なる状態にすることが出来る。これにより、スピンMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。この結果、前述の多値の不揮発メモリの形成、製造後にその素子特性を微調整可能なMOSFETとして利用がかなうことはいうまでも無い。
【0142】
もちろん、ソース領域上に方向の異なる磁化容易方向を持った複数の強磁性体金属からなる電極を形成することによっても、スピンMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0143】
加えて、ソース領域上には、図25に示すように、ソース電極として、複数の磁区から構成された強磁性体金属から構成することも出来る。磁区と磁区の境界である磁壁は、強磁性体中に存在する非磁性体領域に束縛されやすい性質がある。このため、強磁性体金属からなる電極の一部を図示したように楔状に掘削する(即ち非磁性体の食い込みを入れることと同等)ことで、磁壁をこの部分(磁壁誘導部)に誘導できる。複数の磁壁誘導部を強磁性体に設けることで、印加する磁場に強さに応じて、磁壁は磁壁誘導部から別の磁壁誘導部へと転移していく。従って、磁区の構成を不連続的に変化させることが出来、MOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0144】
<MOEFETの製造に関して>
第3実施形態は、n型スピンMOSFETとp型MOSFETを用いて説明してきたが、上記手法がp型スピンMOSFETとn型MOSFETに対しても同様に適応可能であること、複数組の素子に対しても同様に適応可能であること、はいうまでもない。
【0145】
また、同様な手法で、n型或いはp型スピンMOSFETと、n型或いはp型MOSFETを混載したその他の回路の素子群も形成可能であることは言を待たない。
【0146】
また、第3実施形態では、各ゲート電極の上部の一部をシリサイド化するとしてきたが、ゲート電極をすべてシリサイド化する場合(Fully-Silicidated Gate)に対しても、同様に適応可能である。
【0147】
もちろん、Si面上にMOSFET構造を形成するときは、エレベーティッド・ソースドレイン構造を使用しても良いことは明らかである。また、Si基板として、SOI基板を用いることも出来る。
【0148】
更に、スピンMOSFETを形成する半導体基板は、Siに限定されるものではなく、Ge、GaAsのような半導体基板、或いはこれらとSiが同一基体上に形成された複合基板などを使用することが可能である。例えば、シリコン基板のチャネル領域の一部にGaAs半導体を埋め込み、ここにゲート電極から印加される電界を利用してソース電極から流入するスピン偏極した電子の偏極の方向を変調させる(Rashba効果と呼ばれる)ことにより、スピンMOSFETの素子特性の磁気的変調に、更なる自由度を与えても良い。
【0149】
この結果、第2実施形態に示された利点に加え、
(a) ドレイン領域上に、一対の、互いに反平行な方向に磁化した、強磁性体金属を、物理的に離間して配置し、これらを独立に目途の回路のドレイン電極として活用することにより、各ドレイン電極に、ソース電極の磁化方向に対応した相補的な出力が得られ不揮発なSRAM型のメモリが形成できる。
【0150】
(b) ソース電極として、磁化反転に必要な磁場の大きさに違いを持たせた、複数の強磁性体金属からなる電極を用いることで、スピンMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0151】
(c) ソース領域上に方向の異なる磁化容易方向を持った複数の強磁性体金属からなる電極を形成することで、スピンMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0152】
(d) ソース領域上に複数の磁区から構成された強磁性体金属を構成し、この磁区の構成を不連続的に変化させることにより、MOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0153】
(e) ソース領域の磁化の配向状態を多段階に変化できるようにすれば、スピンMOSFETを、製造後にその素子特性を微調整可能なMOSFETとして利用することが出来る。
【0154】
(f) ソース領域の磁化の配向状態を多段階に変化できるようすれば、多値の不揮発メモリが形成できる。
【0155】
以上、詳述してきた様に、本発明の実施形態によれば、
(1) ドレイン領域上に、一対の、互いに反平行な方向に磁化した、強磁性体金属を形成することで、通常のC−MOSFET回路との整合性、混載可能性を備えつつ、タイプ2のスピンMOSFETの磁気変調素子動作が可能となり、不揮発な再構成可能論理回路を構築できる。
【0156】
(2) ドレイン領域上に、互いに反平行な方向に磁化した、一対の強磁性体金属を形成することで、ドレイン電極の近傍にドレイン電極に流入することが適わないスピン偏極した荷電担体が、大量に蓄積してゆく事を回避できる。従って、半導体中の静電ポテンシャルの経時的変動や、蓄積された荷電担体の、周辺不純物、欠陥とのスピンの反転を伴うような相互作用、熱的擾乱などに伴う、スピン反転による素子動作の変動を抑止し、安定的な回路機能が確保できる。
【0157】
(3) ドレイン領域上に、互いに反平行な方向に磁化した一対の強磁性体金属を、物理的に離間して配置することで、ドレイン領域に形成された一対の強磁性体金属に電気的に独立した金属配線を接続し、これらを独立に目途の回路のドレイン電極として活用できる。特に、各ドレイン電極に、ソース電極の磁化方向に対応した相補的な出力が得られ不揮発なSRAM型のメモリが形成できる。
【0158】
(4) ソース領域上に、ドレイン領域上の一対の互いに反平行な磁化方向とは異なる方向に磁化した強磁性体金属を設け、ソース領域上に形成した強磁性体金属の磁化方向を変化させることで、個別のMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を変調させることが出来る。このとき、電極を構成する強磁性体金属の特性に依らず、ソース電極とドレイン電極の磁化方向を調整することで、変調割合を自由に調節できる。
【0159】
(5) ドレイン領域上に、一対の、互いに反平行な方向に磁化した、強磁性体金属を、配置することで、それぞれの磁化が反磁場の効果で安定化され、小さな磁場で影響を受けることがなくなる。
【0160】
(6) 第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の近接したそれぞれの端部を橋渡すように、高透磁率の物質を、電気的な絶縁を保ちつつ配置すれば、第1、第2ドレイン電極の強磁性体金属の磁化を更に安定化できる。
【0161】
(7) ソース電極の強磁性体金属の反磁場係数を、ドレイン電極の強磁性体金属の反磁場係数より大きくしておくことで、ソース電極の磁化方向が、小さな磁場で容易に反転可能となる。
【0162】
(8) ソース電極として、磁化反転に必要な磁場の大きさに違いを持たせた、複数のソース電極を用いることで、スピンMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0163】
(9) ソース領域上に方向の異なる磁化容易方向を持った複数の強磁性体金属からなる電極を形成することで、スピンMOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0164】
(10) ソース領域上に複数の磁区から構成された強磁性体金属を構成し、この磁区の構成を不連続的に変化させることにより、MOSFETを流れる電流(即ちドレイン電流)を、2段階以上に変調できる。
【0165】
(11) ソース領域の磁化の配向状態を多段階に変化できるようすれば、スピンMOSFETを、製造後にその素子特性を微調整可能なMOSFETとして利用することが出来る。
【0166】
(12) ソース領域の磁化の配向状態を多段階に変化できるようすれば、多値の不揮発メモリが形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】タイプ1のスピンMOSFETのドレイン電流のドレイン電圧依存性を示す図。
【図2】タイプ2のスピンMOSFETのドレイン電流のドレイン電圧依存性を示す図。
【図3】スピンMOSFETを用いた再構成可能な論理回路の一例を示す回路図。
【図4】図3に示す回路のトランジスタに、タイプ1およびタイプ2のスピンMOSFETを用いた場合のVO1出力特性を示す図。
【図5】タイプ1のスピンMOSFETの反平行状態に置ける素子動作を説明するエネルギーバンド図。
【図6】本発明の第1実施形態によるスピンMOSFETの上面図。
【図7】図6に示す第1実施形態のスピンMOSFETのドレイン電流のゲート・ソース間電圧依存性を示す図。
【図8】第1実施形態のスピンMOSFETの上面図。
【図9】第1実施形態の第1変形例によるスピンMOSFETの上面図。
【図10】本発明の第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す断面図。
【図11】第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す断面図。
【図12】第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す上面図。
【図13】第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す上面図。
【図14】第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す上面図。
【図15】第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す上面図。
【図16】第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す上面図。
【図17】第2実施形態によるスピンMOSFETの製造工程を示す上面図。
【図18】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図19】第3実施形態による半導体装置の製造工程を示す上面図。
【図20】第3実施形態による半導体装置の製造工程を示す上面図。
【図21】第3実施形態による半導体装置の製造工程を示す上面図。
【図22】第3実施形態による半導体装置の製造工程を示す上面図。
【図23】第3実施形態の第1変形例による半導体装置の上面図。
【図24】第3実施形態の第2変形例による半導体装置の上面図。
【図25】第3実施形態の第3変形例による半導体装置の上面図。
【図26】第1実施形態の第2変形例によるスピンMOSFETの断面図。
【図27】第2実施形態においてソース電極の磁化の向きをスピン注入によって反転させる方法を説明する図。
【図28】図27に示す切断線C−C’で切断した断面図。
【符号の説明】
【0168】
12 ソース領域
12a ソースのエクステンション領域
12b ソースの高濃度拡散層
13 高抵抗領域
14 ドレイン領域
14a ドレインのエクステンション領域
14a ドレインのエクステンション領域
14b ドレインの高濃度拡散層
14b ドレインの高濃度拡散層
16 ゲート絶縁膜
18 ゲート電極
19 トンネルバリア層
30 ゲート側壁
42 ソース電極
44 ドレイン電極
44 ドレイン電極
72 コンタクト
74 コンタクト
74 コンタクト
80 配線
80 配線
100 シリコン基板
101 素子分離領域
102a p型ウェル領域
102b n型ウェル領域、
111a,112a ソース、ドレインのエクステンション領域となる浅い拡散層
111b,112b ソース、ドレインのエクステンション領域となる浅い拡散層
121 ソース領域
121a ソース領域
122a 第1ドレイン領域
122a 第2ドレイン領域
122 高抵抗層
121b、121b p型MOSFETのドレイン領域
122b、122b p型MOSFETのソース領域
200a、200b ゲート絶縁膜
210a、210b ブロック絶縁膜
301a、301b ゲート側壁
310a,310b 浮遊ゲート電極
320a,320b 制御ゲート電極
421 ソース領域上にソース電極強磁性体金属
422 第1ドレイン電極の強磁性体金属
422 第2ドレイン電極の強磁性体金属
510 NiSi層
521b,522b NiSi層
521b,522b NiSi層
520a,520b NiSi層
701 ソース電極に達するコンタクト
702 第1ドレイン電極に達するコンタクト
702 第2ドレイン電極に達するコンタクト
703 ゲート電極に達するコンタクトホール
721 n型スピンMOSFETのソース電極に達するコンタクト
721 n型スピンMOSFETの第1ドレイン電極と第1のp型MOSFETのドレイン領域上のNiSi層に達するコンタクト
721 n型スピンMOSFETの第2ドレイン電極と第2のp型MOSFETのドレイン領域上のNiSi層に達するコンタクト
722 第1のp型MOSFETのソース領域上のNiSi層に達するコンタクト
722 第2のp型MOSFETのソース領域上のNiSi層に達するコンタクト
720a 制御ゲート電極320a上のNiSi層に達するコンタクト
720b 制御ゲート電極320b上のNiSi層に達するコンタクト
710 浮遊ゲート電極310上のNiSi層に達するコンタクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に離間して形成された第1ソース領域および第1ドレイン領域と、
前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間に設けられる第1チャネル領域と、
前記第1チャネル領域上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、
前記第1ソース領域上に形成され第1方向に磁化容易軸を有する強磁性層を含む第1ソース電極と、
前記第1ドレイン領域上に形成され前記第1方向に対して0度より大きく180度未満の角度をなす第2方向に磁化した強磁性層を含む第1ドレイン電極と、
前記第1ドレイン領域上に前記第1ドレイン電極と離間して形成され前記第2方向と略反平行な方向に磁化した強磁性層を含む第2ドレイン電極と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1導電型の第1半導体領域を有する半導体基板と、
前記第1半導体領域に形成された第2導電型の第1ソース領域と、
前記第1半導体領域にそれぞれが前記第1ソース領域と離間して形成されるとともに互いに分離して形成される第2導電型の第1および第2ドレイン領域と、
前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間および前記第1ソース領域と第2ドレイン領域との間に設けられる第1チャネル領域と、
前記第1チャネル領域上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、
前記第1ソース領域上に形成され第1方向に磁化容易軸を有する強磁性層を含む第1ソース電極と、
前記第1ドレイン領域上に形成され前記第1方向に対して0度より大きく180度未満の角度をなす第2方向に磁化した強磁性層を含む第1ドレイン電極と、
前記第2ドレイン領域上に形成され前記第2方向と概反平行な方向に磁化した強磁性層を含む第2ドレイン電極と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板は、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体領域を有し、
前記第2半導体領域に離間して形成された第1導電型の第2ソース領域および第3ドレイン領域と、
前記第2ソース領域と前記第3ドレイン領域との間の第2チャネル領域となる前記第2半導体領域上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1ゲート電極上に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成された制御ゲート電極と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1ドレイン電極に接続される第1半導体素子と、前記第2ドレイン電極に接続される第2半導体素子とを更に備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1ソース電極は、それぞれが前記第1方向に磁化容易軸を有する強磁性層を含む複数の電極を備えていることを特徴する、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1ソース領域上に強磁性層を含む第2ソース電極が更に設けられ、前記第2ソース電極の強磁性層の磁化容易軸が前記第1および第2ドレイン電極のいずれかの強磁性層の磁化方向とのなす方向余弦の絶対値が、前記第1方向が前記第1及び第2ドレイン電極のいずれかの強磁性層の磁化方向となす方向余弦の絶対値に等しいことを特徴する請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1ソース領域上に、前記第1ソース電極の強磁性層と異なる反磁場係数を有する強磁性層を含む第2ソース電極が更に設けられていることを特徴する請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1ソース領域上に、前記第1ソース電極の強磁性層と異なる組成の強磁性層を含む第2ソース電極を更に備えていることを特徴する請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1ソース電極の強磁性層は、非磁性体からなる磁壁誘導領域を有し、複数の磁区を有していることを特徴する請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
互いに反平行な方向に磁化が固着された2つの磁気固着導電層が、それぞれ非磁性層を介して前記第1ソース電極の強磁性層に接続されていることを特徴する請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1ソース電極上に、前記第1ソース電極の強磁性層の磁化方向を反転させる配線が設けられていることを特徴する請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1ドレイン電極と前記第2ドレイン電極の間に、電気的に絶縁された軟磁性体物質が設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1ドレイン電極或いは前記第2ドレイン電極に反強磁性体膜が積層されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1ソース電極、前記第1ドレイン電極、或いは前記第2ドレイン電極と前記半導体基板との間にトンネルバリア層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1ドレイン電極と前記第2ドレイン電極の反磁場係数が異なることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1ドレイン電極或いは前記第2ドレイン電極が複数の電極に分割されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−188230(P2009−188230A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27360(P2008−27360)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】