回転機構及び電子線描画装置
【課題】基板の中心を回転テーブルの回転中心に精度よく位置決めする。
【解決手段】基板トレイ40に形成された円形開口41a〜41cに、回転テーブル32に設けられた固定ロックピン50A,50C、及び移動ロックピン50Bが挿入した状態で、基板トレイ40を回転テーブル32に載置し、その後、回転テーブル32の移動ロックピン50Bを、半径方向に沿って、回転テーブル32の中心から離れる方向へ移動することで、基板トレイ40の円形開口41a〜41cが内接する円C1の中心を、回転テーブル32の回転中心に位置決めする。これにより、基板Wの中心を、回転中心に精度よく位置決めすることが可能となる。
【解決手段】基板トレイ40に形成された円形開口41a〜41cに、回転テーブル32に設けられた固定ロックピン50A,50C、及び移動ロックピン50Bが挿入した状態で、基板トレイ40を回転テーブル32に載置し、その後、回転テーブル32の移動ロックピン50Bを、半径方向に沿って、回転テーブル32の中心から離れる方向へ移動することで、基板トレイ40の円形開口41a〜41cが内接する円C1の中心を、回転テーブル32の回転中心に位置決めする。これにより、基板Wの中心を、回転中心に精度よく位置決めすることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機構及び電子線描画装置に係り、更に詳しくは、基板を回転する回転機構、及び基板にパターンを描画する電子線描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報のデジタル化に伴い、光ディスクやハードディスクの大容量化に対する要求が高まっており、CD(Compact Disk)や、DVD(Digital Versatile Disk)などの従来型光ディスクに代わり、例えば波長が400nm程度の紫外光により情報の記録及び再生が行なわれる次世代型の光ディスクや、高密度記録が可能なパターンドメディアの研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
次世代型光ディスクの原盤(スタンパ)やパターンドメディアの記録媒体等の製造工程では、記録層に形成されるパターンが従来型の光ディスクに比べて微細であることから、例えば、極細線描画が可能な電子線描画装置がよく用いられている。この電子線描画装置は、基板を回転させるとともに水平面内で移動可能に保持するステージ装置を備え、基板をステージ装置で駆動しながら電子線を照射することで、基板表面にスパイラル状又は同心円状の微細パターンを描画する装置である。
【0004】
この種の電子線描画装置では、パターンを描画する際に、基板の中心を回転中心に精度よく位置決めした状態で、基板を回転させることが、製品の品質や歩留まりの向上に大きく寄与することから、最近では、基板の保持方法に関する技術が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−139968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法は、基板の回転によって生じる遠心力を用いて、基板の中心と回転軸とを一致させる方法である。しかしながら、この方法は、基板に遠心力を作用させるために、基板をある程度以上の速度で回転させる必要がある。したがって、基板を低速で回転させてパターンを描画する際には、基板の位置決め精度が不安定になる場合がある。
【0007】
また、近年では、記録媒体の小型化の要求に伴って、電子線描画装置で描画される基板の大きさも、例えば大きいものでは8インチ、小さいものでは2インチと多種多様となっている。基板は、小型化するほど回転時に作用する遠心力が小さくなるため、従来の方法で位置決めを行うためには、基板の大きさに応じて回転テーブルを交換するなどの作業が必要となる。
【0008】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、基板の中心を精度よく回転中心に位置決めした状態で、前記基板を回転することが可能な回転機構を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、回転する基板に精度よくパターンを描画することが可能な電子線描画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は第1の観点からすると、基板を回転軸回りに回転する回転機構であって、所定の円に内接、又は外接するように形成された少なくとも3つの円形開口を有し、前記基板の中心を、前記所定の円の中心へ一致させた状態で、前記基板を保持するトレイと;前記トレイを載置して前記回転軸回りに回転し、前記回転軸を中心とする円の円周に沿って、対応する前記複数の円形開口にそれぞれ内接可能に配置された複数の位置決め部材を有する回転テーブルと;前記複数の位置決め部材のうちの少なくとも1つの位置決め部材を、前記回転軸を中心とする円の半径方向へ移動する移動機構と;を備える回転機構である。
【0011】
これによれば、トレイに形成された開口に、回転テーブルに設けられた位置決め部材が挿入した状態でトレイを回転テーブルに載置し、移動機構を介して回転テーブルの位置決め部材のいずれかを、半径方向に沿って移動することで、トレイの円形開口が内接又は外接する円の中心を、回転テーブルの回転中心に位置決めすることができる。これにより、中心が、トレイの円形開口が内接、又は外接する円の中心に一致した状態で保持される基板の中心は、回転テーブルの回転中心に位置決めされる。したがって、基板を、その中心を回転中心として回転させることが可能となる。
【0012】
また、本発明は第2の観点からすると、基板にパターンを描画する電子線描画装置であって、本発明の回転機構と;前記回転機構によって回転される基板に電子線を照射する照射装置と;を備える電子線描画装置である。
【0013】
これによれば、電子線描画装置は、本発明の回転機構を備えているため、基板を、基板の中心を回転中心として回転させることが可能となり、結果的に、基板にパターンを精度よく描画することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図8(B)に基づいて説明する。図1には本実施形態に係る電子線描画装置100の概略構成が示されている。この電子線描画装置100は、例えば真空度が10−4Pa程度の環境下において、レジスト材がコーティングされた基板Wに電子ビームを照射して、基板Wの描画面に微細パターンを描画する描画装置である。
【0015】
図1に示されるように、この電子線描画装置100は、基板Wが保持される基板ステージ30、電子ビームを基板Wに照射する照射装置10、基板ステージ30を収容する真空チャンバ20、及びこれらを統括的に制御する制御装置(不図示)などを備えている。
【0016】
前記真空チャンバ20は、内部空間が所定の真空度に維持された直方体状の中空部材であり、上面に照射装置10の下端部が挿入される開口が形成されている。
【0017】
前記照射装置10は、長手方向をZ軸方向とするケーシング10aと、該ケーシング10aの内部上方から下方に向かって配置された、電子銃11、電界レンズ12、ブランキング電極13、アパーチャ部材14、走査電極15、及び対物レンズ16を備えている。
【0018】
前記ケーシング10aは、下方が開放された円筒状のケーシングであり、真空チャンバ20上面に形成された開口に、上方から隙間なく嵌合されている。また、真空チャンバ20内部に収容された−Z側端部は、その直径が−Z方向に向かって小さくなるテーパー形状となっている。
【0019】
前記電子銃11は、前記ケーシング10aの内部上方に配置されている。この電子銃11は、陰極から熱と電界により取り出した電子を射出する熱電界放射型の電子銃であり、例えば、直径20〜50nm程度の電子ビームを下方(−Z方向)へ射出する。
【0020】
前記電界レンズ12は、電子銃11の下方に配置され、電子銃11から射出された電子ビームを、アパーチャ部材14の上方で集束させる。
【0021】
前記ブランキング電極13は、電界レンズ12の下方に配置されている。このブランキング電極13は、電界レンズ12の光軸の+X側及び−X側に配置された相互に対向する1対の電極を有し、電極間に印加される電圧に応じて、電界レンズ12を通過した電子ビームを+X方向又は−X方向へ偏向する。
【0022】
前記アパーチャ部材14は、中央に電子ビームが通過する開口が設けられた板状の部材である。このアパーチャ部材14は、ブランキング電極13の下方に、中央の開口が電界レンズ12の光軸上に位置するように配置されている。
【0023】
前記走査電極15は、アパーチャ部材14の下方に配置されている。この走査電極15は、電界レンズ12の光軸の+X側及び−X側に配置された相互に対向する1対の電極と、電界レンズ12の光軸の+Y側及び−Y側に配置された相互に対向する1対の電極とを有し、それぞれの電極間に印加される電圧に応じて、アパーチャ部材14を通過した電子ビームをX軸方向又Y軸方向へ偏向する。
【0024】
前記対物レンズ16は、走査電極15の下方に配置され、走査電極15を通過した電子ビームを、回転テーブル32に載置された基板Wの表面に収束する。
【0025】
上述した照射装置10では、電子銃11から射出された電子ビームは、電界レンズ12を通過することにより集束され、アパーチャ部材14に設けられた開口の近傍(以下、クロスオーバポイントという)で一旦交差される。次に、クロスオーバポイントを通過した電子ビームは、発散しつつアパーチャ部材14の開口を通過することによりそのビーム径が整形され、対物レンズ16によって、基板ステージ30に保持される基板Wの表面に収束される。
【0026】
また、この状態から走査電極15に印加する電圧を制御して、電子ビームをX軸方向及びY軸方向へ偏向させることで、基板Wの表面上で電子線の収束位置を制御することができるようになっている。また、上記動作と並行して、ブランキング電極13に印加する電圧を制御することで、一例として図1中に破線で示されるように電子ビームを−X方向に偏向させて、アパーチャ部材14で電子ビームを遮蔽し、基板Wに対する電子ビームのブランキングを行うことができるようになっている。
【0027】
前記基板ステージ30は、基板Wを保持する基板トレイ40、基板トレイ40が載置される回転テーブル32、回転テーブル32を所定の線速度又は角速度で回転する回転装置33、回転装置33をX軸方向に駆動する移動装置34、及び回転テーブル32に設けられた移動ロックピン50B(図1には不図示、図4参照)を動作させる解除機構35などを含んで構成されている。
【0028】
前記基板Wは、一例として、レジスト材がコーティングされたシリコンウエハである。この基板Wは、外径を基準として位置決めすることを想定したものであり、その真円度は極めて精密である。
【0029】
図2は、前記基板トレイ40の平面図である。図2に示されるように、基板トレイ40は、回転テーブル32に載置されるベース40a、とベース40aに装着された3つの保持ブロック45A〜45Cを備えている。
【0030】
前記ベース40aは、例えばステンレス鋼(SUS304)などの非磁性材料を素材とする円形板状の部材である。このベース40aは、その中心部に円形開口43が形成されるとともに、ベース40aの外縁に沿って3つの円形開口41a〜41cと3つのガイド溝42a〜42cとが、交互かつ等間隔にそれぞれ形成されている。
【0031】
前記円形開口41a〜41cそれぞれは、相互に同径の円形であり、ベース40aの中心を中心とする円C1に内接した状態で配置されている。
【0032】
前記ガイド溝42a〜42cそれぞれは、ベース40aの外縁から中心部に向かって形成された長手方向を半径方向とする溝である。これらのガイド溝42a〜42cそれぞれは、一例としてAA線に沿った断面図である図3に示されるガイド溝42cのように、その断面形状が凸字(T字)状に形成されている。
【0033】
前記保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、例えばステンレス鋼(SUS304)などの非磁性材料を素材とし、図3に示されるように、断面形状が凸字(T字)状に形成されたブロックである。これらの保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、ベース40aの外周面側からガイド溝42a〜42cに挿入されている。また、それぞれの保持ブロック45A〜45Cには、ベース40aの円周方向に隣接し、長手方向を半径方向とする1対の長孔が形成されており、それぞれの長孔には、下端部がベース40aに螺合したネジ47が挿入された状態となっている。これにより、保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、ネジ47が長孔に沿って摺動する範囲内で、ガイド溝42a〜42cに沿って移動可能であり、ネジ47が締め付けられることで、保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、ガイド溝42a〜42cに沿った所望の位置で位置決めされるようになっている。
【0034】
図4は、前記回転テーブル32の平面図である。図4に示されるように、回転テーブル32は、例えばA7075系の超々ジュラルミンなどの非磁性材料を素材とする円形板状の部材であり、上面には長手方向をZ軸方向とする円筒状の固定ロックピン50A,50Cと、半径方向へ移動可能な移動ロックピン50Bとが設けられている。
【0035】
また、図5(A)に示されるように、回転テーブル32には、長手方向をX軸方向(半径方向)とする段つきのシリンダ部32bが形成されている。このシリンダ部32bは、断面が円形で、回転テーブル32の中心側の小径部と外周側の大径部の2部分からなり、大径部は回転テーブル32の上面に形成された長手方向を半径方向(X軸方向)とする長孔部32aによって、回転テーブル32の上面上の空間と連通されている。そして、シリンダ部32bの小径部には、半径方向に弾性力を生じさせる押バネ52が挿入され、大径部には、段つき円筒状の可動体51が、押バネ52に+X方向(回転テーブル32の外周へ向かう方向)へ付勢された状態で挿入されている。なお。本実施形態では、押バネ52の素材として、例えばリン青銅が用いられ、可動体51の素材として、例えばステンレス鋼(SUS304)などの非磁性材料が用いられている。
【0036】
前記移動ロックピン50Bは、図5(A)に示されるように、上端部が、回転テーブル32に設けられた長孔部32aを介して、回転テーブル32の上面から突出した状態で、下端部が、可動体51に固定又は螺合されている。これにより、移動ロックピン50Bは、可動体51の移動にともなって、長孔部32aに沿って移動するようになっている。なお、本実施形態では、図4、図5(A)、及び図5(B)を参照するとわかるように、移動ロックピン50Bの移動範囲を規定する長孔部32aの寸法は、基板トレイ40が、その中心が回転テーブル32の中心と一致した状態で、回転テーブル32の上面に載置されたときに、基板トレイ40の円形開口41bに、移動ロックピン50Bが干渉することなく挿入される位置(図5(B)に示される移動ロックピン50Bの位置)と、移動ロックピン50Bが円形開口41bの+X側の内壁面に当接する位置(図5(A)に示される移動ロックピン50Bの位置)を含むように設定されている。また、可動体51は押バネ52によって外周側に付勢されているため、回転テーブル32に基板トレイ40が載置されていないときには、移動ロックピン50Bは、長孔部32aの+X側の内壁面に接した状態となっている。
【0037】
前記固定ロックピン50A,50Cそれぞれは、回転テーブル32の回転中心を中心とする円(不図示)の円周上に設けられている。また、固定ロックピン50A,50Cそれぞれは、図4に示されるように、基板トレイ40が回転テーブル32の上面に、それぞれの中心が一致した状態で載置されたときに、基板トレイ40の円形開口41a〜41cのいずれか2つ(ここでは円形開口41a,41c)に挿入され、かつ基板トレイ40上の円C1に内接する位置に配置されている。
【0038】
図1に戻り、前記回転装置33は、上端が回転テーブル32下面の中心部に固定された鉛直軸を回転軸とするモータ等を含んで構成され、回転テーブル32を、その中心を回転中心として、所定の線速度又は角速度で回転させる。また、前記移動装置34は、前記回転装置33をX軸方向に移動する。
【0039】
前記解除機構35は、一例として、回転装置33上面の+X側端部に設けられ、X軸方向に所定のストロークで移動する解除ロッド35aを備えている。この解除ロッド35aは、長手方向をX軸方向とする円筒状の部材であり、回転テーブル32の中心を通りX軸に平行な直線上に配置されている。
【0040】
解除機構35は、例えば図4及び図5(B)に示されるように、移動ロックピン50Bが回転テーブル32の中心の+X側に位置するときに、解除ロッド35aを、回転テーブル32のシリンダ部32bへ挿入して、可動体51を−X方向へ移動することにより、移動ロックピン50Bを−X方向へ移動する。
【0041】
前記制御装置(不図示)は、一例としてCPUや、上記各部を制御するプログラムやパラメータが格納されたメモリなどを含んで構成された制御用コンピュータである。この制御装置は、ユーザ又は上位装置から供給された指令に基づいて、照射装置10及び基板ステージ30を統括的に制御する。
【0042】
次に、上述した基板Wが載置された基板トレイ40を回転テーブル32の上面に載置する手順について説明する。
【0043】
本実施形態では、基板トレイ40を回転テーブル32に載置する前提として、基板Wの中心と基板トレイ40の中心とを予め一致させておく必要がある。そこで、基板Wの中心と基板トレイ40の中心を一致させるセンタリング装置200と、このセンタリング装置200を用いたセンタリング方法の一例について簡単に説明する。
【0044】
図8(A)は、基板トレイ40に載置された基板Wの中心を、基板トレイ40のベース40aの中心に一致させるセンタリング装置200を示す図である。このセンタリング装置200は、図8(A)に示されるように、板状のベース板201と、このベース板201の上面に支持部材202によってそれぞれ支持された3つのマイクロメータ203を含んで構成されている。
【0045】
前記ベース板201は、上面が平坦に整形されるとともに、中心部に上方に突出する中心ピン201bが配置され、中心ピン201bの+X側に位置決めピン201aが配置されている。図8(B)は、センタリング装置200に基板トレイ40がセットされた状態を示す図である。図8(B)に示されるように、基板トレイ40は、そのベース40aに形成された円形開口43、及び3つの円形開口41a〜41cのうちのいずれか(ここでは円形開口41b)に、センタリング装置200に設けられた中心ピン201b及び位置決めピン201aがそれぞれ挿入されることで、ベース板201上面での位置が規定される。
【0046】
前記マイクロメータ203は、中心ピン201bを中心とする円(不図示)の円周上にそれぞれ配置され、該円の半径方向に微小移動させることが可能な移動ヘッドを備えている。そして、上述のように基板トレイ40がセンタリング装置200にセットされたときに、基板トレイ40の保持ブロック45A〜45Cに対して、それぞれのマイクロメータ203の移動ヘッドが正対するようになっている。
【0047】
本実施形態では、図8(B)に示されるように、基板Wを保持した基板トレイ40をセンタリング装置200へセットし、各マイクロメータ203の移動ヘッドを微小移動させて、各保持ブロック45A〜45Cの位置を調整する。そして、各保持ブロック45A〜45Cをベース40aに固定することで、基板Wの中心をベース40aの中心へ位置決めする。上述のように基板Wの真円度は極めて精密であるため、センタリング装置200では、各マイクロメータ203のメモリを一致させて、移動ヘッドの突出量を等しくすることで、基板Wの中心をベース40aの中心へ位置決めすることができる。
【0048】
基板Wの位置決めが完了すると、制御装置は、不図示の搬送装置を介して基板トレイ40を真空チャンバ20の内部に搬入する。また、この搬入動作と並行して、解除機構35の解除ロッド35aを回転テーブル32のシリンダ部32bへ挿入し、可動体51を−X方向(回転テーブル32の中心へ向かう方向)へ移動させる。これにより、移動ロックピン50Bは、図5(B)に示されるように−X方向へ移動される。
【0049】
次に、制御装置は、図6に示されるように、基板トレイ40を、回転テーブル32から−X方向へ距離Tだけオフセットさせた状態で回転テーブル32の上面へ載置する。これにより、基板トレイ40は、ベース40aに形成された円形開口41a,41cそれぞれに、回転テーブル32に設けられた固定ロックピン50A,50Cが干渉することなく挿入され、円形開口41bに、移動ロックピン50Bが干渉することなく挿入された状態で、回転テーブル32の上面に載置される。
【0050】
基板トレイ40が回転テーブル32の上面に載置されると、制御装置は、解除装置35の解除ロッド35aを、回転テーブル32のシリンダ部32bから引き抜く。これにより、可動体51とこれに固定された移動ロックピン50Bは、押バネ52の付勢力により+X方向への移動を開始する。
【0051】
移動を開始した後には、移動ロックピン50Bは、まず基板トレイ40に設けられた円形開口41bの+X側の内壁に当接し、当接後は、基板トレイ40を伴ってさらに+X方向へ移動する。そして、移動ロックピン50Bは、図7に示されるように、基板トレイ40に設けられた円形開口41a,41cの内壁面に、回転テーブル32の固定ロックピン50A,50Cが当接し基板トレイ40の移動が規制されることで停止される。
【0052】
この状態のときには、固定ロックピン50A,50C、及び移動ロックピン50Bは、基板トレイ40に設けられた円形開口41a〜41cにそれぞれ内接するとともに、基板トレイ40のベース40aにおける円C1に内接した状態となり、結果的に、回転テーブル32の中心oに、基板トレイ40に設けられたベース40aの中心o’が位置決めされた状態となる。すなわち、基板Wの中心が、回転テーブル32の中心に位置決めされた状態となる。
【0053】
上述のように、回転テーブル32に基板Wを保持した基板ステージが載置されると、制御装置は、基板ステージ30を駆動して、所定の線速度又は角速度で回転する基板WをX軸方向へ送りつつ、照射装置10を介して、基板Wに描画パターンに基づいて変調された電子線を照射することで、基板Wの表面に同心円状又はスパイラル状のパターンを描画する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、基板Wの中心と回転テーブル32の中心とが精度よく一致するため、基板Wを、その中心を回転中心として精度よく回転させることができ、結果的に回転する基板Wに精度よくパターンを描画することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、基板トレイ40に対する基板Wのセンタリングを、センタリング装置200を用いて、大気中で行うことができる。これにより、真空チャンバ20の内部に配置された移動ステージ等に、センタリング用の余計なアクチュエータを備える必要がなく、従来の装置に比べて装置の簡素化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、基板トレイ40のセンタリングの際には、押バネ52の弾性力によって付勢される移動ロックピン50Bを、回転テーブル32以外に設けられた解除機構35によって操作するため、回転体としての回転テーブル32に、例えば電源からのケーブルや、圧縮空気などを供給するための配管を設ける必要がない。
【0057】
また、基板Wは、基板トレイ40のベース40a上で、ガイド溝42a〜42cに沿って移動する保持ブロック45A〜45Cに位置決めされた状態で保持される。したがって、基板トレイ40には、保持ブロック45A〜45Cの可動する範囲で、異なる径の基板を保持することができる。また、ガイド溝42a〜42cの長手方向の寸法を大きくすることで、更に小径の基板の位置決め及び保持が可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、回転テーブル32が回転しているときに、移動ロックピン50Bに、押バネ52の付勢力と、可動体51及び移動ロックピン50Bの質量に比例する遠心力が作用するため、回転テーブル32が回転するパターンの描画時に、回転テーブル32による基板トレイ40の位置決め精度が悪化することはない。
【0059】
また、本実施形態にかかる電子線描画装置100では、基板トレイ40の円形開口41a〜41cと、各円形開口41a〜41cに挿入される固定ロックピン50A,50Cと移動ロックピン50Bとの位置関係が上述の関係(それぞれが円C1に内接する関係)であれば、基板トレイ40又は回転テーブル32の外径は、特に限定されることはない。
【0060】
なお、本実施形態では、基板トレイ40に相互に同径の円形開口41a〜41cが形成されているが、これに限らず円形開口41a〜41cは、円C1に内接していれば、相互に同径でなくともよい。
【0061】
また、本実施形態では、基板トレイ40に3つの円形開口41a〜41cが形成されているが、これに限らず、基板トレイ40には、円C1に内接する4つ以上の円形開口を設け、そのうちのいずれかに挿入されるロックピンを、上述の移動ロックピン50Bと同様に駆動することとしてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、基板トレイ40に円C1に内接する円形開口41a〜41cが形成されているが、これに限らず、例えば円C1の同心円に外接する円形開口を複数設けるとともに、回転テーブル32には、それぞれの円形開口の中心側の内壁に当接可能なロックピンを設け、そのうちのいずれかのロックピンを、上述の移動ロックピン50Bとは反対の方向、すなわち回転テーブル32の中心に近づく方向に駆動することとしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、基板トレイ40に円形開口41a〜41cが直接形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば円形開口41a〜41cそれぞれに環状のブッシュ等を装着して、耐摩耗性を向上させることが可能である。
【0064】
また、回転テーブル32には、移動ロックピン50Bを設けたために、シリンダ部32bが形成され、また可動体51等が備えられている。これによって、回転テーブル32の回転バランスが悪化する場合には、例えば回転テーブル32にバランスウエイトを設けて、回転テーブル32のバランスを向上することができる。また、回転テーブル32の固定ロックピン50A,50Cの近傍にも移動ロックピン50Bの近傍と同様に、シリンダ部32bを形成し、バランスウエイトの代わりに可動体51等を備えることで、回転テーブル32の回転バランスを回転中心対称としてもよい。
【0065】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図9〜図18(B)に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略し、または省略するものとする。
【0066】
図9は、本実施形態にかかる基板トレイ40を示す図である。本実施形態にかかる基板トレイ40は、保持ブロック45A〜45Cを、ネジ等を用いることなく位置決めすることができる点で、第1の実施形態にかかる基板トレイと相違している。
【0067】
保持ブロック45A〜45Cは相互に同等の構成であるため、以下、保持ブロック45Cを代表的に取り上げて説明する。図10は、保持ブロック45Cの斜視図である。また、図11は、保持ブロック45Cの展開斜視図である。図10及び図11を総合して見るとわかるように、保持ブロック45Cは、ガイドプレート61、ロックプレート62、2つのピエゾ素子63A,63B、2本の電極64などから構成されている。
【0068】
前記ガイドプレート61は、長手方向をY軸方向とする板状の部材である。このガイドプレート61は、例えば、非磁性で高硬度の材料であるチタンなどを素材とし、上面(+Z側の面)には、−X側及び+X側の外縁に沿って長手方向をY軸方向とするガイド部61aが形成され、中央部には四角柱状の突出部61bが形成されている。そして、前記電極64それぞれは、ガイドプレート61に形成された突出部61bの+Y側及び−Y側にそれぞれ固定されている。
【0069】
前記ロックプレート62は、非磁性の材料であるSUS310S鋼を素材とし、2つの摺動部62aと、摺動部62aそれぞれを連結する2つの連結部62bの4部分が一体的に成形された部材である。前記摺動部62aそれぞれは、中央に長手方向をX軸方向とする長方形の開口部62cが形成され、摺動部62aそれぞれの相互に対向した部分は+X方向に突出するように湾曲した連結部62b、及び−X方向に突出するように湾曲した連結部62bによって連結されている。
【0070】
ガイドプレート61とロックプレート62とは、ロックプレート62に形成された2つの開口部62cに電極64がそれぞれ挿入され、2つの連結部62bの間にガイドプレート61に形成された突出部61bが位置する状態で、ロックプレート62がガイドプレート61の上面に載置され、前記ピエゾ素子63A,63Bそれぞれが、一端がガイドプレート61に形成された突出部61bに当接し、他端がロックプレート62の連結部62bに当接した状態で双方(61、62)に装着されることで、一体化されている。また、2本の電極64それぞれは、例えばガイドプレート61の上面又は内部の配線(不図示)を介して、ピエゾ素子63A,63Bそれぞれに電気的に接続されている。
【0071】
上述のように構成された保持ブロック45Cでは、図12(A)に示されるように、2本の電極64の間に電圧が印加されると、ピエゾ素子63A,63BそれぞれがX軸方向に伸張し、2つの連結部62bそれぞれには矢印aで示される向きの力が作用する。そして、この力により、図12(B)に示されるように、2つの連結部62bがさらに湾曲され、2つの摺動部62aが相互に近接する方向へ微小距離dだけ移動される。また、電圧の印加が停止されると、ピエゾ素子63A,63Bは収縮し、2つの摺動部62aは連結部62bの復元力(弾性力)により電圧の印加時とは逆向きに微小距離dだけ移動し、電圧印加前の状態に戻る。
【0072】
すなわち、本実施形態にかかる保持ブロック45Cは、2本の電極64の間に電圧が印加されると、ロックプレート62がY軸方向に収縮し、電圧の印加が停止されると、ロックプレート62がY軸方向に伸張するようになっている。以下説明の便宜上、ロックプレート62がY軸方向に収縮している状態を単に収縮状態と、ロックプレート62がY軸方向に伸張している状態を単に伸張状態というものとする。
【0073】
図13に示されるように、保持ブロック45Cは、ベース40aの外周面側からガイド溝42cに挿入されている。ガイド溝42cは、下段部のY軸方向の寸法が、ガイドプレート61のY軸方向の寸法と同等になるように整形され、上段部のY軸方向の寸法が、伸張状態にあるロックプレート62のY軸方向の寸法よりもわずかに短くなるように整形されている。このため、ガイド溝42cに挿入された保持ブロック45Cは、ロックプレート62が伸張状態にある場合には、摺動部62aそれぞれがガイド溝42cの側壁に圧接されることにより生じる摩擦力により基板トレイ40に対して固定される。そして、ロックプレート62が収縮状態にある場合には、摺動部62aそれぞれがガイド溝42cの側壁から離間し、基板トレイ40に対して摺動自在となる。
【0074】
同様に、他の保持ブロック45A,45Bも、それぞれベース40aの外周面側からガイド溝42a,42bに挿入されることで、基板トレイ40に取り付けられている。そして、基板トレイ40に載置される基板Wの位置決めは、まず、保持ブロック45A〜45Cのロックプレート62を収縮状態にして、それぞれの保持ブロック45A〜45Cの位置を、第1の実施形態で説明したように調整する。そして、保持ブロック45A〜45Cのロックプレート62を伸張状態にして、基板トレイ40に対して保持ブロック45A〜45Cを固定することにより行う。
【0075】
次に、基板トレイ40を介して回転テーブル32に載置された基板Wの位置調整方法について説明する。
【0076】
第2の実施形態にかかる電子線描画装置100では、基板Wを回転テーブル32に載置した後に、回転テーブル32の回転中心と基板Wの中心との偏心量(位置ずれ)を測定し、この偏心量をキャンセルするように各保持ブロック45A〜45Cの位置の再調整を行う。
【0077】
《偏心量測定》
回転テーブル32の回転中心(図15中のX軸とY軸の交点)と基板Wの中心との偏心量(以下、単に基板Wの偏心量という)の測定は、まず、移動装置34を介して基板WをX軸方向へ移動させて、例えば図14の概略図に示されるように、照射装置10からの電子線が基板Wの外縁部に入射する位置へ基板Wを位置決めする。次に、図中の白抜き矢印に示されるように基板Wを回転させ、所定の角度毎に基板Wに入射した電子線の2次電子信号を不図示の検出器を介して取得する。本実施形態では、一例として図15を参照するとわかるように、基板Wが30度回転するごとに矩形状のフィールドF1〜F12を電子線で走査し、この走査により得られる電子線の2次電子信号に基づいて12枚の画像を形成する。
【0078】
これらの画像は、回転テーブル32の回転中心を中心とする所定の円周上に配置されるため、それぞれフィールドF1〜F12に対応する画像の、回転中心側の外縁と基板Wの外縁とまでの距離Rn(n=1,2,…,12)を計測することで、基板Wの偏心量を計測することができる。
【0079】
例えば、図15に示される例では、基板Wは、X軸及びY軸と45度の角度をなす直線Lに沿って、+X方向及び−Y方向へずれた状態で載置されている。このため、フィールドF5での距離R5の値よりフィールドF12での距離R12の値の方が大きくなっている。そして、フィールドF1の中心がX軸上に位置するときの基板Wの回転角θを零とすると、回転角θに対応する距離Rnを示す曲線は、一例として図16に示されるようなサイン波となり、その振幅の大きさが偏心量εとなる。本実施形態では、各フィールドF1〜F12に対応する回転角θと、距離Rnとをそれぞれ求め、これらの情報から図16に示される曲線を算出し、基板Wの偏心量εを算出する。
【0080】
《基板の位置調整》
基板Wの偏心量εを算出したら、次に偏心量εに基づいて保持ブロック45A〜45Cを移動させて、基板Wの中心を回転テーブル32の回転中心に位置決めする。保持ブロック45A〜45Cの移動は、保持ブロック45Cを代表的に取り上げて示す図である図17(A)及び図17(B)を参照するとわかるように、1組の接触電極70a(ただし、紙面奥側の接触電極70aは不図示)と、X軸方向に微小移動するマイクロヘッド70bとを備えた位置調整装置70を用いて行う。
【0081】
例えば図18の模式図に示されるように、偏心量がδで偏心方向がX軸に対し角度θである場合には、図17(A)に示されるように、まず、位置調整装置70の1組の接触電極70aを保持ブロック45A〜45Cそれぞれの2本の電極64に接触させて電極64間に電圧を印加し、保持ブロック45A〜45Cそれぞれのロックプレート62を収縮状態とする。これにより、すべての保持ブロック45A〜45Cが移動可能となる。
【0082】
次に、図17(B)に示されるように、位置調整装置70のマイクロヘッド70bで保持ブロック45A〜45Cそれぞれを微小移動させることにより基板Wを移動させて、基板Wの中心を回転中心に位置決めする。図18の模式図に示される場合では、まず、保持ブロック45Bの移動を行った後に、保持ブロック45A,45Cの移動を行う。
【0083】
次に、保持ブロック45A〜45Cそれぞれの電極64への電圧の印加を停止し、ロックプレート62を伸張状態とする。これにより、すべての保持ブロック45A〜45Cは基板トレイ40に対して固定され、基板Wは、その中心が回転テーブル32の回転中心に一致した状態で基板トレイ40に保持される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態では、電子線の2次電子信号から得られる画像から、基板Wの偏心量が直接算出され、この偏心量に基づいて基板Wの中心が回転中心へ位置決めされる。したがって、基板Wに精度よくパターンを描画することができる。
【0085】
また、本実施形態では、保持ブロック45A〜45Cの基板Wに当接する部分が摩耗しても、基板Wの中心が回転中心へ精度よく位置決めされる。したがって、基板Wに精度よくパターンを描画することができる。
【0086】
また、本実施形態では、保持ブロック45A〜45Cのピエゾ素子63A,63Bに電圧を印加することで、各保持ブロック45A〜45Cは基板トレイ40に対して移動可能となり、ピエゾ素子63A,63Bへの電圧の印加を停止することで、各保持ブロック45A〜45Cは基板トレイ40に対して固定される。このため、保持ブロック45A〜45Cに外部から大きな外力を作用させることが不要となる。したがって、保持ブロック45A〜45Cに大きな外力が作用することによる、基板Wの位置決め精度の悪化を回避することができる。特に真空チャンバ20内で、基板Wの位置決めを行う場合には、真空チャンバ20の内部に、保持ブロック45A〜45Cを動作させるための大きな外力を発生させる装置を配置する必要がなくなるので、装置構造の簡素化を図ることができ、また基板Wの位置決めの自動化の観点からも有利となる。
【0087】
また、本実施形態では、保持ブロック45A〜45Cの電極64に、保持ブロック45A〜45Cの移動方向と直交する方向へ接触電極70aが圧接される。これにより、保持ブロック45A〜45Cの位置決め精度の低下を回避することができる。
【0088】
また、保持ブロック45A〜45Cでは、ロックプレート62の連結部62bを湾曲させることで、摺動部62aを微小移動させる。これにより、ピエゾ素子63A,63Bの伸縮量(ストローク)よりも、3〜4倍程度大きなストロークで摺動部62aを移動させることができる。したがって、保持ブロック45A〜45Cの大型化を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明の回転機構は、基板を回転するのに適している。また、本発明の電子線描画装置は、電子線を用いたパターンの描画に適している。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子線描画装置100の概略的な構成を示す図である。
【図2】基板トレイ40の平面図である。
【図3】基板トレイ40に設けられたガイド溝42c近傍の断面図である。
【図4】回転テーブル32の平面図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、移動ロックピン50Bの動作等を説明するための図である。
【図6】基板トレイ40を回転テーブル32に載置する手順を説明するための図(その1)である。
【図7】基板トレイ40を回転テーブル32に載置する手順を説明するための図(その2)である。
【図8】図8(A)は、センタリング装置200の概略構成を示す図であり、図8(B)は、センタリング装置200によるセンタリング方法を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る基板トレイ40の平面図である。
【図10】保持ブロック45Cの斜視図である。
【図11】保持ブロック45Cの展開斜視図である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、保持ブロック45Cの動作を説明するための図である。
【図13】基板トレイ40に取り付けられた状態の保持ブロック45Cを示す図である。
【図14】基板Wの変位量を計測する手順を説明するための図(その1)である。
【図15】基板Wの変位量を計測する手順を説明するための図(その2)である。
【図16】基板Wの変位量を計測する手順を説明するための図(その3)である。
【図17】図17(A)及び図17(B)は、保持ブロック45A〜45Cの位置を調整するための手順を説明するための図(その1、その2)である。
【図18】保持ブロック45A〜45Cの位置を調整するための手順を説明するための図(その3)である。
【符号の説明】
【0091】
10…照射装置、10a…ケーシング、11…電子銃、12…電界レンズ、13…ブランキング電極、14…アパーチャ部材、15…走査電極、16…対物レンズ、20…真空チャンバ、30…基板ステージ、32…回転テーブル、32a…長孔部、32b…シリンダ部、33…回転装置、34…移動装置、35…解除機構、35a…解除ロッド、40…基板トレイ、40a…ベース、41a〜41c…円形開口、42a〜42c…ガイド溝、43…円形開口、45A〜45C…保持ブロック、50A,50C…固定ロックピン、50B…移動ロックピン、51…可動体、52…押バネ、61…ガイドプレート、61a…ガイド部、61b…突出部、62…ロックプレート、62a…摺動部、62b…連結部、62c…開口部、63A,63B…ピエゾ素子、64…電極、70…位置調整装置、70a…接触電極、70b…マイクロヘッド、100…電子線描画装置、W…基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機構及び電子線描画装置に係り、更に詳しくは、基板を回転する回転機構、及び基板にパターンを描画する電子線描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報のデジタル化に伴い、光ディスクやハードディスクの大容量化に対する要求が高まっており、CD(Compact Disk)や、DVD(Digital Versatile Disk)などの従来型光ディスクに代わり、例えば波長が400nm程度の紫外光により情報の記録及び再生が行なわれる次世代型の光ディスクや、高密度記録が可能なパターンドメディアの研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
次世代型光ディスクの原盤(スタンパ)やパターンドメディアの記録媒体等の製造工程では、記録層に形成されるパターンが従来型の光ディスクに比べて微細であることから、例えば、極細線描画が可能な電子線描画装置がよく用いられている。この電子線描画装置は、基板を回転させるとともに水平面内で移動可能に保持するステージ装置を備え、基板をステージ装置で駆動しながら電子線を照射することで、基板表面にスパイラル状又は同心円状の微細パターンを描画する装置である。
【0004】
この種の電子線描画装置では、パターンを描画する際に、基板の中心を回転中心に精度よく位置決めした状態で、基板を回転させることが、製品の品質や歩留まりの向上に大きく寄与することから、最近では、基板の保持方法に関する技術が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−139968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法は、基板の回転によって生じる遠心力を用いて、基板の中心と回転軸とを一致させる方法である。しかしながら、この方法は、基板に遠心力を作用させるために、基板をある程度以上の速度で回転させる必要がある。したがって、基板を低速で回転させてパターンを描画する際には、基板の位置決め精度が不安定になる場合がある。
【0007】
また、近年では、記録媒体の小型化の要求に伴って、電子線描画装置で描画される基板の大きさも、例えば大きいものでは8インチ、小さいものでは2インチと多種多様となっている。基板は、小型化するほど回転時に作用する遠心力が小さくなるため、従来の方法で位置決めを行うためには、基板の大きさに応じて回転テーブルを交換するなどの作業が必要となる。
【0008】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、基板の中心を精度よく回転中心に位置決めした状態で、前記基板を回転することが可能な回転機構を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、回転する基板に精度よくパターンを描画することが可能な電子線描画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は第1の観点からすると、基板を回転軸回りに回転する回転機構であって、所定の円に内接、又は外接するように形成された少なくとも3つの円形開口を有し、前記基板の中心を、前記所定の円の中心へ一致させた状態で、前記基板を保持するトレイと;前記トレイを載置して前記回転軸回りに回転し、前記回転軸を中心とする円の円周に沿って、対応する前記複数の円形開口にそれぞれ内接可能に配置された複数の位置決め部材を有する回転テーブルと;前記複数の位置決め部材のうちの少なくとも1つの位置決め部材を、前記回転軸を中心とする円の半径方向へ移動する移動機構と;を備える回転機構である。
【0011】
これによれば、トレイに形成された開口に、回転テーブルに設けられた位置決め部材が挿入した状態でトレイを回転テーブルに載置し、移動機構を介して回転テーブルの位置決め部材のいずれかを、半径方向に沿って移動することで、トレイの円形開口が内接又は外接する円の中心を、回転テーブルの回転中心に位置決めすることができる。これにより、中心が、トレイの円形開口が内接、又は外接する円の中心に一致した状態で保持される基板の中心は、回転テーブルの回転中心に位置決めされる。したがって、基板を、その中心を回転中心として回転させることが可能となる。
【0012】
また、本発明は第2の観点からすると、基板にパターンを描画する電子線描画装置であって、本発明の回転機構と;前記回転機構によって回転される基板に電子線を照射する照射装置と;を備える電子線描画装置である。
【0013】
これによれば、電子線描画装置は、本発明の回転機構を備えているため、基板を、基板の中心を回転中心として回転させることが可能となり、結果的に、基板にパターンを精度よく描画することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図8(B)に基づいて説明する。図1には本実施形態に係る電子線描画装置100の概略構成が示されている。この電子線描画装置100は、例えば真空度が10−4Pa程度の環境下において、レジスト材がコーティングされた基板Wに電子ビームを照射して、基板Wの描画面に微細パターンを描画する描画装置である。
【0015】
図1に示されるように、この電子線描画装置100は、基板Wが保持される基板ステージ30、電子ビームを基板Wに照射する照射装置10、基板ステージ30を収容する真空チャンバ20、及びこれらを統括的に制御する制御装置(不図示)などを備えている。
【0016】
前記真空チャンバ20は、内部空間が所定の真空度に維持された直方体状の中空部材であり、上面に照射装置10の下端部が挿入される開口が形成されている。
【0017】
前記照射装置10は、長手方向をZ軸方向とするケーシング10aと、該ケーシング10aの内部上方から下方に向かって配置された、電子銃11、電界レンズ12、ブランキング電極13、アパーチャ部材14、走査電極15、及び対物レンズ16を備えている。
【0018】
前記ケーシング10aは、下方が開放された円筒状のケーシングであり、真空チャンバ20上面に形成された開口に、上方から隙間なく嵌合されている。また、真空チャンバ20内部に収容された−Z側端部は、その直径が−Z方向に向かって小さくなるテーパー形状となっている。
【0019】
前記電子銃11は、前記ケーシング10aの内部上方に配置されている。この電子銃11は、陰極から熱と電界により取り出した電子を射出する熱電界放射型の電子銃であり、例えば、直径20〜50nm程度の電子ビームを下方(−Z方向)へ射出する。
【0020】
前記電界レンズ12は、電子銃11の下方に配置され、電子銃11から射出された電子ビームを、アパーチャ部材14の上方で集束させる。
【0021】
前記ブランキング電極13は、電界レンズ12の下方に配置されている。このブランキング電極13は、電界レンズ12の光軸の+X側及び−X側に配置された相互に対向する1対の電極を有し、電極間に印加される電圧に応じて、電界レンズ12を通過した電子ビームを+X方向又は−X方向へ偏向する。
【0022】
前記アパーチャ部材14は、中央に電子ビームが通過する開口が設けられた板状の部材である。このアパーチャ部材14は、ブランキング電極13の下方に、中央の開口が電界レンズ12の光軸上に位置するように配置されている。
【0023】
前記走査電極15は、アパーチャ部材14の下方に配置されている。この走査電極15は、電界レンズ12の光軸の+X側及び−X側に配置された相互に対向する1対の電極と、電界レンズ12の光軸の+Y側及び−Y側に配置された相互に対向する1対の電極とを有し、それぞれの電極間に印加される電圧に応じて、アパーチャ部材14を通過した電子ビームをX軸方向又Y軸方向へ偏向する。
【0024】
前記対物レンズ16は、走査電極15の下方に配置され、走査電極15を通過した電子ビームを、回転テーブル32に載置された基板Wの表面に収束する。
【0025】
上述した照射装置10では、電子銃11から射出された電子ビームは、電界レンズ12を通過することにより集束され、アパーチャ部材14に設けられた開口の近傍(以下、クロスオーバポイントという)で一旦交差される。次に、クロスオーバポイントを通過した電子ビームは、発散しつつアパーチャ部材14の開口を通過することによりそのビーム径が整形され、対物レンズ16によって、基板ステージ30に保持される基板Wの表面に収束される。
【0026】
また、この状態から走査電極15に印加する電圧を制御して、電子ビームをX軸方向及びY軸方向へ偏向させることで、基板Wの表面上で電子線の収束位置を制御することができるようになっている。また、上記動作と並行して、ブランキング電極13に印加する電圧を制御することで、一例として図1中に破線で示されるように電子ビームを−X方向に偏向させて、アパーチャ部材14で電子ビームを遮蔽し、基板Wに対する電子ビームのブランキングを行うことができるようになっている。
【0027】
前記基板ステージ30は、基板Wを保持する基板トレイ40、基板トレイ40が載置される回転テーブル32、回転テーブル32を所定の線速度又は角速度で回転する回転装置33、回転装置33をX軸方向に駆動する移動装置34、及び回転テーブル32に設けられた移動ロックピン50B(図1には不図示、図4参照)を動作させる解除機構35などを含んで構成されている。
【0028】
前記基板Wは、一例として、レジスト材がコーティングされたシリコンウエハである。この基板Wは、外径を基準として位置決めすることを想定したものであり、その真円度は極めて精密である。
【0029】
図2は、前記基板トレイ40の平面図である。図2に示されるように、基板トレイ40は、回転テーブル32に載置されるベース40a、とベース40aに装着された3つの保持ブロック45A〜45Cを備えている。
【0030】
前記ベース40aは、例えばステンレス鋼(SUS304)などの非磁性材料を素材とする円形板状の部材である。このベース40aは、その中心部に円形開口43が形成されるとともに、ベース40aの外縁に沿って3つの円形開口41a〜41cと3つのガイド溝42a〜42cとが、交互かつ等間隔にそれぞれ形成されている。
【0031】
前記円形開口41a〜41cそれぞれは、相互に同径の円形であり、ベース40aの中心を中心とする円C1に内接した状態で配置されている。
【0032】
前記ガイド溝42a〜42cそれぞれは、ベース40aの外縁から中心部に向かって形成された長手方向を半径方向とする溝である。これらのガイド溝42a〜42cそれぞれは、一例としてAA線に沿った断面図である図3に示されるガイド溝42cのように、その断面形状が凸字(T字)状に形成されている。
【0033】
前記保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、例えばステンレス鋼(SUS304)などの非磁性材料を素材とし、図3に示されるように、断面形状が凸字(T字)状に形成されたブロックである。これらの保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、ベース40aの外周面側からガイド溝42a〜42cに挿入されている。また、それぞれの保持ブロック45A〜45Cには、ベース40aの円周方向に隣接し、長手方向を半径方向とする1対の長孔が形成されており、それぞれの長孔には、下端部がベース40aに螺合したネジ47が挿入された状態となっている。これにより、保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、ネジ47が長孔に沿って摺動する範囲内で、ガイド溝42a〜42cに沿って移動可能であり、ネジ47が締め付けられることで、保持ブロック45A〜45Cそれぞれは、ガイド溝42a〜42cに沿った所望の位置で位置決めされるようになっている。
【0034】
図4は、前記回転テーブル32の平面図である。図4に示されるように、回転テーブル32は、例えばA7075系の超々ジュラルミンなどの非磁性材料を素材とする円形板状の部材であり、上面には長手方向をZ軸方向とする円筒状の固定ロックピン50A,50Cと、半径方向へ移動可能な移動ロックピン50Bとが設けられている。
【0035】
また、図5(A)に示されるように、回転テーブル32には、長手方向をX軸方向(半径方向)とする段つきのシリンダ部32bが形成されている。このシリンダ部32bは、断面が円形で、回転テーブル32の中心側の小径部と外周側の大径部の2部分からなり、大径部は回転テーブル32の上面に形成された長手方向を半径方向(X軸方向)とする長孔部32aによって、回転テーブル32の上面上の空間と連通されている。そして、シリンダ部32bの小径部には、半径方向に弾性力を生じさせる押バネ52が挿入され、大径部には、段つき円筒状の可動体51が、押バネ52に+X方向(回転テーブル32の外周へ向かう方向)へ付勢された状態で挿入されている。なお。本実施形態では、押バネ52の素材として、例えばリン青銅が用いられ、可動体51の素材として、例えばステンレス鋼(SUS304)などの非磁性材料が用いられている。
【0036】
前記移動ロックピン50Bは、図5(A)に示されるように、上端部が、回転テーブル32に設けられた長孔部32aを介して、回転テーブル32の上面から突出した状態で、下端部が、可動体51に固定又は螺合されている。これにより、移動ロックピン50Bは、可動体51の移動にともなって、長孔部32aに沿って移動するようになっている。なお、本実施形態では、図4、図5(A)、及び図5(B)を参照するとわかるように、移動ロックピン50Bの移動範囲を規定する長孔部32aの寸法は、基板トレイ40が、その中心が回転テーブル32の中心と一致した状態で、回転テーブル32の上面に載置されたときに、基板トレイ40の円形開口41bに、移動ロックピン50Bが干渉することなく挿入される位置(図5(B)に示される移動ロックピン50Bの位置)と、移動ロックピン50Bが円形開口41bの+X側の内壁面に当接する位置(図5(A)に示される移動ロックピン50Bの位置)を含むように設定されている。また、可動体51は押バネ52によって外周側に付勢されているため、回転テーブル32に基板トレイ40が載置されていないときには、移動ロックピン50Bは、長孔部32aの+X側の内壁面に接した状態となっている。
【0037】
前記固定ロックピン50A,50Cそれぞれは、回転テーブル32の回転中心を中心とする円(不図示)の円周上に設けられている。また、固定ロックピン50A,50Cそれぞれは、図4に示されるように、基板トレイ40が回転テーブル32の上面に、それぞれの中心が一致した状態で載置されたときに、基板トレイ40の円形開口41a〜41cのいずれか2つ(ここでは円形開口41a,41c)に挿入され、かつ基板トレイ40上の円C1に内接する位置に配置されている。
【0038】
図1に戻り、前記回転装置33は、上端が回転テーブル32下面の中心部に固定された鉛直軸を回転軸とするモータ等を含んで構成され、回転テーブル32を、その中心を回転中心として、所定の線速度又は角速度で回転させる。また、前記移動装置34は、前記回転装置33をX軸方向に移動する。
【0039】
前記解除機構35は、一例として、回転装置33上面の+X側端部に設けられ、X軸方向に所定のストロークで移動する解除ロッド35aを備えている。この解除ロッド35aは、長手方向をX軸方向とする円筒状の部材であり、回転テーブル32の中心を通りX軸に平行な直線上に配置されている。
【0040】
解除機構35は、例えば図4及び図5(B)に示されるように、移動ロックピン50Bが回転テーブル32の中心の+X側に位置するときに、解除ロッド35aを、回転テーブル32のシリンダ部32bへ挿入して、可動体51を−X方向へ移動することにより、移動ロックピン50Bを−X方向へ移動する。
【0041】
前記制御装置(不図示)は、一例としてCPUや、上記各部を制御するプログラムやパラメータが格納されたメモリなどを含んで構成された制御用コンピュータである。この制御装置は、ユーザ又は上位装置から供給された指令に基づいて、照射装置10及び基板ステージ30を統括的に制御する。
【0042】
次に、上述した基板Wが載置された基板トレイ40を回転テーブル32の上面に載置する手順について説明する。
【0043】
本実施形態では、基板トレイ40を回転テーブル32に載置する前提として、基板Wの中心と基板トレイ40の中心とを予め一致させておく必要がある。そこで、基板Wの中心と基板トレイ40の中心を一致させるセンタリング装置200と、このセンタリング装置200を用いたセンタリング方法の一例について簡単に説明する。
【0044】
図8(A)は、基板トレイ40に載置された基板Wの中心を、基板トレイ40のベース40aの中心に一致させるセンタリング装置200を示す図である。このセンタリング装置200は、図8(A)に示されるように、板状のベース板201と、このベース板201の上面に支持部材202によってそれぞれ支持された3つのマイクロメータ203を含んで構成されている。
【0045】
前記ベース板201は、上面が平坦に整形されるとともに、中心部に上方に突出する中心ピン201bが配置され、中心ピン201bの+X側に位置決めピン201aが配置されている。図8(B)は、センタリング装置200に基板トレイ40がセットされた状態を示す図である。図8(B)に示されるように、基板トレイ40は、そのベース40aに形成された円形開口43、及び3つの円形開口41a〜41cのうちのいずれか(ここでは円形開口41b)に、センタリング装置200に設けられた中心ピン201b及び位置決めピン201aがそれぞれ挿入されることで、ベース板201上面での位置が規定される。
【0046】
前記マイクロメータ203は、中心ピン201bを中心とする円(不図示)の円周上にそれぞれ配置され、該円の半径方向に微小移動させることが可能な移動ヘッドを備えている。そして、上述のように基板トレイ40がセンタリング装置200にセットされたときに、基板トレイ40の保持ブロック45A〜45Cに対して、それぞれのマイクロメータ203の移動ヘッドが正対するようになっている。
【0047】
本実施形態では、図8(B)に示されるように、基板Wを保持した基板トレイ40をセンタリング装置200へセットし、各マイクロメータ203の移動ヘッドを微小移動させて、各保持ブロック45A〜45Cの位置を調整する。そして、各保持ブロック45A〜45Cをベース40aに固定することで、基板Wの中心をベース40aの中心へ位置決めする。上述のように基板Wの真円度は極めて精密であるため、センタリング装置200では、各マイクロメータ203のメモリを一致させて、移動ヘッドの突出量を等しくすることで、基板Wの中心をベース40aの中心へ位置決めすることができる。
【0048】
基板Wの位置決めが完了すると、制御装置は、不図示の搬送装置を介して基板トレイ40を真空チャンバ20の内部に搬入する。また、この搬入動作と並行して、解除機構35の解除ロッド35aを回転テーブル32のシリンダ部32bへ挿入し、可動体51を−X方向(回転テーブル32の中心へ向かう方向)へ移動させる。これにより、移動ロックピン50Bは、図5(B)に示されるように−X方向へ移動される。
【0049】
次に、制御装置は、図6に示されるように、基板トレイ40を、回転テーブル32から−X方向へ距離Tだけオフセットさせた状態で回転テーブル32の上面へ載置する。これにより、基板トレイ40は、ベース40aに形成された円形開口41a,41cそれぞれに、回転テーブル32に設けられた固定ロックピン50A,50Cが干渉することなく挿入され、円形開口41bに、移動ロックピン50Bが干渉することなく挿入された状態で、回転テーブル32の上面に載置される。
【0050】
基板トレイ40が回転テーブル32の上面に載置されると、制御装置は、解除装置35の解除ロッド35aを、回転テーブル32のシリンダ部32bから引き抜く。これにより、可動体51とこれに固定された移動ロックピン50Bは、押バネ52の付勢力により+X方向への移動を開始する。
【0051】
移動を開始した後には、移動ロックピン50Bは、まず基板トレイ40に設けられた円形開口41bの+X側の内壁に当接し、当接後は、基板トレイ40を伴ってさらに+X方向へ移動する。そして、移動ロックピン50Bは、図7に示されるように、基板トレイ40に設けられた円形開口41a,41cの内壁面に、回転テーブル32の固定ロックピン50A,50Cが当接し基板トレイ40の移動が規制されることで停止される。
【0052】
この状態のときには、固定ロックピン50A,50C、及び移動ロックピン50Bは、基板トレイ40に設けられた円形開口41a〜41cにそれぞれ内接するとともに、基板トレイ40のベース40aにおける円C1に内接した状態となり、結果的に、回転テーブル32の中心oに、基板トレイ40に設けられたベース40aの中心o’が位置決めされた状態となる。すなわち、基板Wの中心が、回転テーブル32の中心に位置決めされた状態となる。
【0053】
上述のように、回転テーブル32に基板Wを保持した基板ステージが載置されると、制御装置は、基板ステージ30を駆動して、所定の線速度又は角速度で回転する基板WをX軸方向へ送りつつ、照射装置10を介して、基板Wに描画パターンに基づいて変調された電子線を照射することで、基板Wの表面に同心円状又はスパイラル状のパターンを描画する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、基板Wの中心と回転テーブル32の中心とが精度よく一致するため、基板Wを、その中心を回転中心として精度よく回転させることができ、結果的に回転する基板Wに精度よくパターンを描画することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、基板トレイ40に対する基板Wのセンタリングを、センタリング装置200を用いて、大気中で行うことができる。これにより、真空チャンバ20の内部に配置された移動ステージ等に、センタリング用の余計なアクチュエータを備える必要がなく、従来の装置に比べて装置の簡素化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、基板トレイ40のセンタリングの際には、押バネ52の弾性力によって付勢される移動ロックピン50Bを、回転テーブル32以外に設けられた解除機構35によって操作するため、回転体としての回転テーブル32に、例えば電源からのケーブルや、圧縮空気などを供給するための配管を設ける必要がない。
【0057】
また、基板Wは、基板トレイ40のベース40a上で、ガイド溝42a〜42cに沿って移動する保持ブロック45A〜45Cに位置決めされた状態で保持される。したがって、基板トレイ40には、保持ブロック45A〜45Cの可動する範囲で、異なる径の基板を保持することができる。また、ガイド溝42a〜42cの長手方向の寸法を大きくすることで、更に小径の基板の位置決め及び保持が可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、回転テーブル32が回転しているときに、移動ロックピン50Bに、押バネ52の付勢力と、可動体51及び移動ロックピン50Bの質量に比例する遠心力が作用するため、回転テーブル32が回転するパターンの描画時に、回転テーブル32による基板トレイ40の位置決め精度が悪化することはない。
【0059】
また、本実施形態にかかる電子線描画装置100では、基板トレイ40の円形開口41a〜41cと、各円形開口41a〜41cに挿入される固定ロックピン50A,50Cと移動ロックピン50Bとの位置関係が上述の関係(それぞれが円C1に内接する関係)であれば、基板トレイ40又は回転テーブル32の外径は、特に限定されることはない。
【0060】
なお、本実施形態では、基板トレイ40に相互に同径の円形開口41a〜41cが形成されているが、これに限らず円形開口41a〜41cは、円C1に内接していれば、相互に同径でなくともよい。
【0061】
また、本実施形態では、基板トレイ40に3つの円形開口41a〜41cが形成されているが、これに限らず、基板トレイ40には、円C1に内接する4つ以上の円形開口を設け、そのうちのいずれかに挿入されるロックピンを、上述の移動ロックピン50Bと同様に駆動することとしてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、基板トレイ40に円C1に内接する円形開口41a〜41cが形成されているが、これに限らず、例えば円C1の同心円に外接する円形開口を複数設けるとともに、回転テーブル32には、それぞれの円形開口の中心側の内壁に当接可能なロックピンを設け、そのうちのいずれかのロックピンを、上述の移動ロックピン50Bとは反対の方向、すなわち回転テーブル32の中心に近づく方向に駆動することとしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、基板トレイ40に円形開口41a〜41cが直接形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば円形開口41a〜41cそれぞれに環状のブッシュ等を装着して、耐摩耗性を向上させることが可能である。
【0064】
また、回転テーブル32には、移動ロックピン50Bを設けたために、シリンダ部32bが形成され、また可動体51等が備えられている。これによって、回転テーブル32の回転バランスが悪化する場合には、例えば回転テーブル32にバランスウエイトを設けて、回転テーブル32のバランスを向上することができる。また、回転テーブル32の固定ロックピン50A,50Cの近傍にも移動ロックピン50Bの近傍と同様に、シリンダ部32bを形成し、バランスウエイトの代わりに可動体51等を備えることで、回転テーブル32の回転バランスを回転中心対称としてもよい。
【0065】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図9〜図18(B)に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略し、または省略するものとする。
【0066】
図9は、本実施形態にかかる基板トレイ40を示す図である。本実施形態にかかる基板トレイ40は、保持ブロック45A〜45Cを、ネジ等を用いることなく位置決めすることができる点で、第1の実施形態にかかる基板トレイと相違している。
【0067】
保持ブロック45A〜45Cは相互に同等の構成であるため、以下、保持ブロック45Cを代表的に取り上げて説明する。図10は、保持ブロック45Cの斜視図である。また、図11は、保持ブロック45Cの展開斜視図である。図10及び図11を総合して見るとわかるように、保持ブロック45Cは、ガイドプレート61、ロックプレート62、2つのピエゾ素子63A,63B、2本の電極64などから構成されている。
【0068】
前記ガイドプレート61は、長手方向をY軸方向とする板状の部材である。このガイドプレート61は、例えば、非磁性で高硬度の材料であるチタンなどを素材とし、上面(+Z側の面)には、−X側及び+X側の外縁に沿って長手方向をY軸方向とするガイド部61aが形成され、中央部には四角柱状の突出部61bが形成されている。そして、前記電極64それぞれは、ガイドプレート61に形成された突出部61bの+Y側及び−Y側にそれぞれ固定されている。
【0069】
前記ロックプレート62は、非磁性の材料であるSUS310S鋼を素材とし、2つの摺動部62aと、摺動部62aそれぞれを連結する2つの連結部62bの4部分が一体的に成形された部材である。前記摺動部62aそれぞれは、中央に長手方向をX軸方向とする長方形の開口部62cが形成され、摺動部62aそれぞれの相互に対向した部分は+X方向に突出するように湾曲した連結部62b、及び−X方向に突出するように湾曲した連結部62bによって連結されている。
【0070】
ガイドプレート61とロックプレート62とは、ロックプレート62に形成された2つの開口部62cに電極64がそれぞれ挿入され、2つの連結部62bの間にガイドプレート61に形成された突出部61bが位置する状態で、ロックプレート62がガイドプレート61の上面に載置され、前記ピエゾ素子63A,63Bそれぞれが、一端がガイドプレート61に形成された突出部61bに当接し、他端がロックプレート62の連結部62bに当接した状態で双方(61、62)に装着されることで、一体化されている。また、2本の電極64それぞれは、例えばガイドプレート61の上面又は内部の配線(不図示)を介して、ピエゾ素子63A,63Bそれぞれに電気的に接続されている。
【0071】
上述のように構成された保持ブロック45Cでは、図12(A)に示されるように、2本の電極64の間に電圧が印加されると、ピエゾ素子63A,63BそれぞれがX軸方向に伸張し、2つの連結部62bそれぞれには矢印aで示される向きの力が作用する。そして、この力により、図12(B)に示されるように、2つの連結部62bがさらに湾曲され、2つの摺動部62aが相互に近接する方向へ微小距離dだけ移動される。また、電圧の印加が停止されると、ピエゾ素子63A,63Bは収縮し、2つの摺動部62aは連結部62bの復元力(弾性力)により電圧の印加時とは逆向きに微小距離dだけ移動し、電圧印加前の状態に戻る。
【0072】
すなわち、本実施形態にかかる保持ブロック45Cは、2本の電極64の間に電圧が印加されると、ロックプレート62がY軸方向に収縮し、電圧の印加が停止されると、ロックプレート62がY軸方向に伸張するようになっている。以下説明の便宜上、ロックプレート62がY軸方向に収縮している状態を単に収縮状態と、ロックプレート62がY軸方向に伸張している状態を単に伸張状態というものとする。
【0073】
図13に示されるように、保持ブロック45Cは、ベース40aの外周面側からガイド溝42cに挿入されている。ガイド溝42cは、下段部のY軸方向の寸法が、ガイドプレート61のY軸方向の寸法と同等になるように整形され、上段部のY軸方向の寸法が、伸張状態にあるロックプレート62のY軸方向の寸法よりもわずかに短くなるように整形されている。このため、ガイド溝42cに挿入された保持ブロック45Cは、ロックプレート62が伸張状態にある場合には、摺動部62aそれぞれがガイド溝42cの側壁に圧接されることにより生じる摩擦力により基板トレイ40に対して固定される。そして、ロックプレート62が収縮状態にある場合には、摺動部62aそれぞれがガイド溝42cの側壁から離間し、基板トレイ40に対して摺動自在となる。
【0074】
同様に、他の保持ブロック45A,45Bも、それぞれベース40aの外周面側からガイド溝42a,42bに挿入されることで、基板トレイ40に取り付けられている。そして、基板トレイ40に載置される基板Wの位置決めは、まず、保持ブロック45A〜45Cのロックプレート62を収縮状態にして、それぞれの保持ブロック45A〜45Cの位置を、第1の実施形態で説明したように調整する。そして、保持ブロック45A〜45Cのロックプレート62を伸張状態にして、基板トレイ40に対して保持ブロック45A〜45Cを固定することにより行う。
【0075】
次に、基板トレイ40を介して回転テーブル32に載置された基板Wの位置調整方法について説明する。
【0076】
第2の実施形態にかかる電子線描画装置100では、基板Wを回転テーブル32に載置した後に、回転テーブル32の回転中心と基板Wの中心との偏心量(位置ずれ)を測定し、この偏心量をキャンセルするように各保持ブロック45A〜45Cの位置の再調整を行う。
【0077】
《偏心量測定》
回転テーブル32の回転中心(図15中のX軸とY軸の交点)と基板Wの中心との偏心量(以下、単に基板Wの偏心量という)の測定は、まず、移動装置34を介して基板WをX軸方向へ移動させて、例えば図14の概略図に示されるように、照射装置10からの電子線が基板Wの外縁部に入射する位置へ基板Wを位置決めする。次に、図中の白抜き矢印に示されるように基板Wを回転させ、所定の角度毎に基板Wに入射した電子線の2次電子信号を不図示の検出器を介して取得する。本実施形態では、一例として図15を参照するとわかるように、基板Wが30度回転するごとに矩形状のフィールドF1〜F12を電子線で走査し、この走査により得られる電子線の2次電子信号に基づいて12枚の画像を形成する。
【0078】
これらの画像は、回転テーブル32の回転中心を中心とする所定の円周上に配置されるため、それぞれフィールドF1〜F12に対応する画像の、回転中心側の外縁と基板Wの外縁とまでの距離Rn(n=1,2,…,12)を計測することで、基板Wの偏心量を計測することができる。
【0079】
例えば、図15に示される例では、基板Wは、X軸及びY軸と45度の角度をなす直線Lに沿って、+X方向及び−Y方向へずれた状態で載置されている。このため、フィールドF5での距離R5の値よりフィールドF12での距離R12の値の方が大きくなっている。そして、フィールドF1の中心がX軸上に位置するときの基板Wの回転角θを零とすると、回転角θに対応する距離Rnを示す曲線は、一例として図16に示されるようなサイン波となり、その振幅の大きさが偏心量εとなる。本実施形態では、各フィールドF1〜F12に対応する回転角θと、距離Rnとをそれぞれ求め、これらの情報から図16に示される曲線を算出し、基板Wの偏心量εを算出する。
【0080】
《基板の位置調整》
基板Wの偏心量εを算出したら、次に偏心量εに基づいて保持ブロック45A〜45Cを移動させて、基板Wの中心を回転テーブル32の回転中心に位置決めする。保持ブロック45A〜45Cの移動は、保持ブロック45Cを代表的に取り上げて示す図である図17(A)及び図17(B)を参照するとわかるように、1組の接触電極70a(ただし、紙面奥側の接触電極70aは不図示)と、X軸方向に微小移動するマイクロヘッド70bとを備えた位置調整装置70を用いて行う。
【0081】
例えば図18の模式図に示されるように、偏心量がδで偏心方向がX軸に対し角度θである場合には、図17(A)に示されるように、まず、位置調整装置70の1組の接触電極70aを保持ブロック45A〜45Cそれぞれの2本の電極64に接触させて電極64間に電圧を印加し、保持ブロック45A〜45Cそれぞれのロックプレート62を収縮状態とする。これにより、すべての保持ブロック45A〜45Cが移動可能となる。
【0082】
次に、図17(B)に示されるように、位置調整装置70のマイクロヘッド70bで保持ブロック45A〜45Cそれぞれを微小移動させることにより基板Wを移動させて、基板Wの中心を回転中心に位置決めする。図18の模式図に示される場合では、まず、保持ブロック45Bの移動を行った後に、保持ブロック45A,45Cの移動を行う。
【0083】
次に、保持ブロック45A〜45Cそれぞれの電極64への電圧の印加を停止し、ロックプレート62を伸張状態とする。これにより、すべての保持ブロック45A〜45Cは基板トレイ40に対して固定され、基板Wは、その中心が回転テーブル32の回転中心に一致した状態で基板トレイ40に保持される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態では、電子線の2次電子信号から得られる画像から、基板Wの偏心量が直接算出され、この偏心量に基づいて基板Wの中心が回転中心へ位置決めされる。したがって、基板Wに精度よくパターンを描画することができる。
【0085】
また、本実施形態では、保持ブロック45A〜45Cの基板Wに当接する部分が摩耗しても、基板Wの中心が回転中心へ精度よく位置決めされる。したがって、基板Wに精度よくパターンを描画することができる。
【0086】
また、本実施形態では、保持ブロック45A〜45Cのピエゾ素子63A,63Bに電圧を印加することで、各保持ブロック45A〜45Cは基板トレイ40に対して移動可能となり、ピエゾ素子63A,63Bへの電圧の印加を停止することで、各保持ブロック45A〜45Cは基板トレイ40に対して固定される。このため、保持ブロック45A〜45Cに外部から大きな外力を作用させることが不要となる。したがって、保持ブロック45A〜45Cに大きな外力が作用することによる、基板Wの位置決め精度の悪化を回避することができる。特に真空チャンバ20内で、基板Wの位置決めを行う場合には、真空チャンバ20の内部に、保持ブロック45A〜45Cを動作させるための大きな外力を発生させる装置を配置する必要がなくなるので、装置構造の簡素化を図ることができ、また基板Wの位置決めの自動化の観点からも有利となる。
【0087】
また、本実施形態では、保持ブロック45A〜45Cの電極64に、保持ブロック45A〜45Cの移動方向と直交する方向へ接触電極70aが圧接される。これにより、保持ブロック45A〜45Cの位置決め精度の低下を回避することができる。
【0088】
また、保持ブロック45A〜45Cでは、ロックプレート62の連結部62bを湾曲させることで、摺動部62aを微小移動させる。これにより、ピエゾ素子63A,63Bの伸縮量(ストローク)よりも、3〜4倍程度大きなストロークで摺動部62aを移動させることができる。したがって、保持ブロック45A〜45Cの大型化を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明の回転機構は、基板を回転するのに適している。また、本発明の電子線描画装置は、電子線を用いたパターンの描画に適している。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子線描画装置100の概略的な構成を示す図である。
【図2】基板トレイ40の平面図である。
【図3】基板トレイ40に設けられたガイド溝42c近傍の断面図である。
【図4】回転テーブル32の平面図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、移動ロックピン50Bの動作等を説明するための図である。
【図6】基板トレイ40を回転テーブル32に載置する手順を説明するための図(その1)である。
【図7】基板トレイ40を回転テーブル32に載置する手順を説明するための図(その2)である。
【図8】図8(A)は、センタリング装置200の概略構成を示す図であり、図8(B)は、センタリング装置200によるセンタリング方法を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る基板トレイ40の平面図である。
【図10】保持ブロック45Cの斜視図である。
【図11】保持ブロック45Cの展開斜視図である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、保持ブロック45Cの動作を説明するための図である。
【図13】基板トレイ40に取り付けられた状態の保持ブロック45Cを示す図である。
【図14】基板Wの変位量を計測する手順を説明するための図(その1)である。
【図15】基板Wの変位量を計測する手順を説明するための図(その2)である。
【図16】基板Wの変位量を計測する手順を説明するための図(その3)である。
【図17】図17(A)及び図17(B)は、保持ブロック45A〜45Cの位置を調整するための手順を説明するための図(その1、その2)である。
【図18】保持ブロック45A〜45Cの位置を調整するための手順を説明するための図(その3)である。
【符号の説明】
【0091】
10…照射装置、10a…ケーシング、11…電子銃、12…電界レンズ、13…ブランキング電極、14…アパーチャ部材、15…走査電極、16…対物レンズ、20…真空チャンバ、30…基板ステージ、32…回転テーブル、32a…長孔部、32b…シリンダ部、33…回転装置、34…移動装置、35…解除機構、35a…解除ロッド、40…基板トレイ、40a…ベース、41a〜41c…円形開口、42a〜42c…ガイド溝、43…円形開口、45A〜45C…保持ブロック、50A,50C…固定ロックピン、50B…移動ロックピン、51…可動体、52…押バネ、61…ガイドプレート、61a…ガイド部、61b…突出部、62…ロックプレート、62a…摺動部、62b…連結部、62c…開口部、63A,63B…ピエゾ素子、64…電極、70…位置調整装置、70a…接触電極、70b…マイクロヘッド、100…電子線描画装置、W…基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転軸回りに回転する回転機構であって、
所定の円に内接、又は外接するように形成された少なくとも3つの円形開口を有し、前記基板の中心を、前記所定の円の中心へ一致させた状態で、前記基板を保持するトレイと;
前記トレイを載置して前記回転軸回りに回転し、前記回転軸を中心とする円の円周に沿って、対応する前記複数の円形開口にそれぞれ内接可能に配置された複数の位置決め部材を有する回転テーブルと;
前記複数の位置決め部材のうちの少なくとも1つの位置決め部材を、前記回転軸を中心とする円の半径方向へ移動する移動機構と;を備える回転機構。
【請求項2】
前記円形開口は相互に大きさが等しく、前記複数の位置決め部材それぞれは、前記円形開口がそれぞれ内接する前記所定の円に内接可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機構。
【請求項3】
前記円形開口は相互に大きさが等しく、前記複数の位置決め部材それぞれは、前記円形開口がそれぞれ外接する前記所定の円に外接可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機構。
【請求項4】
前記円形開口は前記所定の円の円周に沿って等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転機構。
【請求項5】
前記トレイは、前記基板が載置される面の上面を、前記所定の円の半径方向へ移動する複数のブロックを更に備え、前記基板は、前記複数のブロックによって、前記基板の中心が前記所定の円の中心に位置決めされた状態で、前記トレイに保持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転機構。
【請求項6】
前記ブロックは、前記トレイに前記所定の円の半径方向に形成された溝に沿って摺動することにより、前記トレイ上を移動することを特徴とする請求項5に記載の回転機構。
【請求項7】
前記ブロックを、任意の位置で固定するロック機構を更に備える請求項6に記載の回転機構。
【請求項8】
前記ロック機構は、前記溝内に位置する前記ブロックの少なくとも一部を、前記所定の円の半径方向に直交する方向に伸張させることにより得られる摩擦力によって、前記ブロックを固定することを特徴とする請求項7に記載の回転機構。
【請求項9】
前記ロック機構は、印加される電圧に応じて前記ブロックの少なくとも一部を伸縮させる圧電素子を備えていることを特徴とする請求項8に記載の回転機構。
【請求項10】
前記圧電素子に所望の電圧を印加する電圧印加装置と;
前記保持ブロックを前記溝に沿って摺動させる移動機構とを;を更に備える請求項9に記載の回転機構。
【請求項11】
基板にパターンを描画する電子線描画装置であって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の回転機構と;
前記回転機構によって回転される基板に電子線を照射する照射装置と;を備える電子線描画装置。
【請求項1】
基板を回転軸回りに回転する回転機構であって、
所定の円に内接、又は外接するように形成された少なくとも3つの円形開口を有し、前記基板の中心を、前記所定の円の中心へ一致させた状態で、前記基板を保持するトレイと;
前記トレイを載置して前記回転軸回りに回転し、前記回転軸を中心とする円の円周に沿って、対応する前記複数の円形開口にそれぞれ内接可能に配置された複数の位置決め部材を有する回転テーブルと;
前記複数の位置決め部材のうちの少なくとも1つの位置決め部材を、前記回転軸を中心とする円の半径方向へ移動する移動機構と;を備える回転機構。
【請求項2】
前記円形開口は相互に大きさが等しく、前記複数の位置決め部材それぞれは、前記円形開口がそれぞれ内接する前記所定の円に内接可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機構。
【請求項3】
前記円形開口は相互に大きさが等しく、前記複数の位置決め部材それぞれは、前記円形開口がそれぞれ外接する前記所定の円に外接可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機構。
【請求項4】
前記円形開口は前記所定の円の円周に沿って等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転機構。
【請求項5】
前記トレイは、前記基板が載置される面の上面を、前記所定の円の半径方向へ移動する複数のブロックを更に備え、前記基板は、前記複数のブロックによって、前記基板の中心が前記所定の円の中心に位置決めされた状態で、前記トレイに保持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転機構。
【請求項6】
前記ブロックは、前記トレイに前記所定の円の半径方向に形成された溝に沿って摺動することにより、前記トレイ上を移動することを特徴とする請求項5に記載の回転機構。
【請求項7】
前記ブロックを、任意の位置で固定するロック機構を更に備える請求項6に記載の回転機構。
【請求項8】
前記ロック機構は、前記溝内に位置する前記ブロックの少なくとも一部を、前記所定の円の半径方向に直交する方向に伸張させることにより得られる摩擦力によって、前記ブロックを固定することを特徴とする請求項7に記載の回転機構。
【請求項9】
前記ロック機構は、印加される電圧に応じて前記ブロックの少なくとも一部を伸縮させる圧電素子を備えていることを特徴とする請求項8に記載の回転機構。
【請求項10】
前記圧電素子に所望の電圧を印加する電圧印加装置と;
前記保持ブロックを前記溝に沿って摺動させる移動機構とを;を更に備える請求項9に記載の回転機構。
【請求項11】
基板にパターンを描画する電子線描画装置であって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の回転機構と;
前記回転機構によって回転される基板に電子線を照射する照射装置と;を備える電子線描画装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−54269(P2009−54269A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99914(P2008−99914)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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