説明

基板全域にわたって高められた均一性を有する埋め込みSi/Ge材質を伴うトランジスタ

【解決手段】
洗練された半導体デバイスにおいては、異なる結晶方位に対して異方性エッチング挙動を有し得るウエット化学的エッチングプロセスに基いてキャビティを形成することによって、チャネル領域の近くに歪誘起半導体合金を位置させることができる。1つの実施形態では、異方性エッチング挙動に加えて二酸化シリコンに関する高いエッチング選択性を呈するTMAHを用いることができ、それにより、チャネル領域からのオフセットを更に減少させる可能性を追加的に提供する一方で、全体的なプロセスばらつきの大きな原因となることのない極めて薄いエッチング停止層が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して集積回路の製造に関し、更に特定的にはトランジスタのチャネル領域内での電荷キャリア移動度を高めるように埋め込みSi/Ge(シリコン/ゲルマニウム)を用いることによって歪を与えられたチャネル領域を有するトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
複雑な集積回路の製造は、複雑な回路のための主要な回路要素を代表する多数のトランジスタ要素の提供を必要としている。例えば現在入手可能な複雑な集積回路においては、数百万のトランジスタが設けられているであろう。概して多くのプロセス技術がこれまでのところ実施されており、マイクロプロセッサ、記憶チップ等の複雑な回路に対しては、動作速度及び/又は電力消費及び/又は費用効果を考慮した優れた特性により、現在のところCMOS技術が最も有望な手法である。CMOS回路においては、高度に複雑な回路アセンブリ、例えばCPU、記憶チップ等を設計するために、相補型トランジスタ、即ちpチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタがインバータ及び他の論理ゲートのような回路要素を形成するのに用いられる。CMOS技術を用いる複雑な集積回路の製造においては、トランジスタ、即ちnチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタが結晶性の半導体層を含む基板上に形成される。MOSトランジスタ、又は一般的に電界効果トランジスタは、nチャネルトランジスタ又はpチャネルトランジスタのいずれが考慮されているかにかかわらず、複数の所謂pn接合を備えており、pn接合は、高濃度にドープされたドレイン及びソース領域と、ドレイン及びソース領域の間に配置される逆に又は低濃度にドープされたチャネル領域との界面によって形成されている。チャネル領域の伝導性、即ち伝導性チャネルの駆動電流能力は、チャネル領域の近傍に形成され且つ薄い絶縁層によってチャネル領域から隔てられているゲート電極によって制御される。ゲート電極への適切な制御電圧の印加により伝導性チャネルが形成されている場合、チャネル領域の伝導性はドーパント濃度、電荷キャリアの移動度に依存し、加えてトランジスタ幅方向におけるチャネル領域の所与の拡張に対しては、チャネル長とも称されるソース及びドレイン領域間の距離にも依存する。従って、チャネル長の減少、及びそれに付随するチャネル抵抗の減少は、集積回路の動作速度の向上を達成するための支配的設計基準である。
【0003】
しかし、トランジスタ寸法の継続的な減少は、それに伴い多くの問題を引き起こしており、それらの問題は、MOSトランジスタのチャネル長を堅実に減少させることによって得られる利益を過度に相殺することのないように対処される必要がある。例えばドレイン及びソース領域においては、低いシート抵抗及び接触抵抗を所望のチャネル可制御性と共に提供するように、垂直方向及び横方向における高度に洗練されたドーパントプロファイルが要求される。また、要求されるチャネル可制御性を維持するために、ゲート誘電体材質もまたチャネル長の減少に適合させられる。しかし、高いチャネル可制御性を維持するための幾つかのメカニズムもまた、トランジスタのチャネル領域内での電荷移動度にネガティブな影響をもたらし得るので、チャネル長の減少により得られる利益を部分的に相殺してしまうかもしれない。
【0004】
限界寸法、即ちトランジスタのゲート長の継続的な寸法減少は、高度に複雑なプロセス技術の適合及び場合によってはその新たな開発を必要とし、また移動度の低下に起因してあまり明白ではない性能向上の一因にもなり得るので、所与のチャネル長に対するチャネル領域内での電荷キャリア移動度を高めてトランジスタ要素のチャネル伝導性を向上させ、それにより、大幅に縮小化された限界寸法を必要とする技術標準への進歩と同等の性能改善を可能にする一方で、デバイス縮小化に関連するプロセス適合の多くを回避し又は先送りすることが提案されてきた。
【0005】
電荷キャリア移動度を高めるための1つの効果的なメカニズムは、例えば対応する歪をチャネル領域内に生じさせるようにチャネル領域の近傍に引張り又は圧縮応力を発生させることによるチャネル領域内の格子構造の改良であり、それにより電子及びホールに対する改良された移動度がそれぞれもたらされる。例えば、能動シリコン材質の標準的な結晶構造、即ち<110>方向に合わせられたチャネル長を伴う(100)表面方位に対してチャネル領域内に引張り歪を生じさせることは、電子の移動度を増大させ、次いで伝導性における対応する増大に直接的に形を変えるであろう。一方、チャネル領域内の圧縮歪はホールの移動度を高めることができ、それによりp型トランジスタの性能を高める可能性が提供される。歪を与えられたシリコンは、高価な半導体材質を必要とすることなしに高速且つ強力な半導体デバイスの製造を可能にする「新たな」種類の半導体材質であると考えることができる一方で、十分に確立された多くの製造技術がそのまま使用可能であるので、集積回路製造への応力又は歪エンジニアリングの導入は、極めて有望な手法である。
【0006】
そこで、対応する歪をもたらし得る圧縮応力を誘起するように、例えばチャネル領域に隣接してシリコン/ゲルマニウム材質を導入することが提案されてきた。Si/Ge材質を形成する場合、PMOSトランジスタのドレイン及びソース領域は選択的に窪まされてキャビティを形成し、一方NMOSトランジスタはマスキングされて次いでシリコン/ゲルマニウム材質がエピタキシャル成長によってPMOSトランジスタのキャビティ内に選択的に形成される。
【0007】
この技術はpチャネルトランジスタの性能向上に関して、従ってCMOSデバイス全体の性能向上に関して顕著な利益をもたらすが、多数のトランジスタ要素を含む最新の半導体デバイスにおいては、特に、最終的に達成される歪を増大させることを考慮して、シリコン/ゲルマニウム材質のチャネル領域からのオフセットが減少させられるべきである場合に、歪シリコン・ゲルマニウム合金をpチャネルトランジスタのドレイン及びソース領域内に組み込むための上述した技術に関連し得るデバイス性能の変動性の増加が観察されることがあると判明しており、これについて図1a乃至1eを参照して更に詳細に説明する。
【0008】
図1aはpチャネルトランジスタ150a及びnチャネルトランジスタ150bを備えた従来の半導体デバイス100の断面図を模式的に示しており、トランジスタ150aの性能が上述したような歪シリコン/ゲルマニウム合金に基いて高められることになる。半導体デバイス100は、埋め込み絶縁層102が形成されていてよいシリコン基板のような基板101を備えている。また、結晶性シリコン層103が埋め込み絶縁層102上に形成されており、それによりSOI(シリコン・オン・インシュレータ)構造が形成されている。例えばバルク構造、即ちシリコン層103の厚みが層103内へのトランジスタ150a、150bの垂直な拡張よりも著しく大きいであろう構造と比較して、トランジスタ150a、150bの寄生接合容量が低減され得るので、トランジスタ全体の性能を考慮すると、SOI構造は有利であろう。トランジスタ150a、150bは、それぞれ符号103a、103bで一般的に示されるそれぞれの「能動」領域の内部及び上方に形成することができ、ここでは、能動領域は、浅い溝分離(shallow trench isolation)のような分離構造104によって分離されているであろう。図示される製造段階においては、トランジスタ150a、150bはゲート電極構造151を備えており、ゲート電極構造151は、実際のゲート電極を代表する伝導性電極材質151aを含む構造として理解することができ、伝導性電極材質151aはゲート絶縁層151b上に形成することができ、それにより、それぞれ対応する能動領域103a、103b内に配置されるチャネル領域152からゲート電極材質151aを電気的に絶縁することができる。また、ゲート電極構造151は、例えば窒化シリコンからなるキャップ層151lを備えていることがある。更に、トランジスタ150a内のゲート電極構造151の側壁上にスペーサ構造105が形成されることがあり、それによりキャップ層151lと共にゲート電極材質151aを密閉することができる。一方、トランジスタ150bの上方にはマスク層105aが形成されてよく、それにより対応するゲート電極材質151aを密閉すると共に能動領域103bをも覆うことができる。更に、マスク層105aを覆う一方でトランジスタ150aを露出させるように、レジストマスク等のようなマスク106が形成され得る。
【0009】
図1aに示される従来の半導体デバイス100は、以下のプロセス戦略に基いて形成され得る。
【0010】
能動領域103a、103bは分離構造104に基いて画定することができ、分離構造104は、十分に確立されたフォトリソグラフィ、エッチング、堆積及び平坦化の技術を用いて形成することができる。その後、例えば適切なマスキングレジームに基いて実行される注入プロセスによって、対応する能動領域103a、103b内の基本ドーピングレベルを確立することができる。次いで、ゲート電極材質151a及びゲート絶縁層151bを得るための複雑なリソグラフィ及びパターニングのレジームを用いることによってゲート電極構造151が形成され、ここではキャップ層151cもまたパターニングされてよい。次いで、例えば十分に確立された低圧CVD(化学的気相堆積)技術によってマスク層105aを堆積させることができ、それにより、場合によっては二酸化シリコンとの組み合わせにおいてエッチング停止ライナとしてのシリコン窒化物を形成することができる。低圧CVD技術は高度な可制御性を提供するが、基板101にわたって一定の不均一性を呈し、基板の中央に比較して基板の縁で厚みの増加をもたらすことがある。その結果、先行して堆積させられたマスク層105aからスペーサ構造105を形成するためにマスク106を形成しデバイス100を異方性エッチング環境にさらす場合に、結果として得られる幅105wのある程度の不均一性が生成されることがあり、例えば基板101の中央部分と比較して基板101の外周では僅かに増加した幅がもたらされ得る。スペーサ構造105は、異方性エッチング技術によって能動領域103a内に形成されるべきキャビティの横方向のオフセットを実質的に規定するので、対応する横方向のオフセットはまた、マスク層105aの堆積及び後続の異方性エッチングプロセスの実行の間に導入される不均一性に従って僅かに変化し得る。一方、洗練された応用においては、隣接チャネル領域152の全体の歪を強化することを考慮して、対応する歪シリコン・ゲルマニウム合金の横方向のオフセットは低減させられるであろうから、歪シリコン/ゲルマニウム合金をチャネル領域152の近くに位置させるように幅105wを減少させる必要があろう。典型的には、チャネル領域152内の歪は幅105wの減少に対して超比例的に増加するであろうから、適度に小さい幅105wをもたらすプロセス戦略においては、層105aの堆積及び後続のエッチングプロセスに起因する変動性もまた超比例的に増大するであろうし、結果として得られるトランジスタ150aの性能の大きなばらつきの原因となり得る。
【0011】
図1bは異方性プラズマ支援エッチングプロセス107の間における半導体デバイス100を模式的に示しており、エッチングプロセス107においては、適切に選択されたプラズマ条件と共に対応する異方性エッチング挙動が得られるように、例えば臭化水素等に基く適切なエッチング薬品が適切な有機添加剤との組み合わせにおいて用いられ得る。しかし、上述したように、ある程度の変動性がプラズマ支援エッチングプロセス107の間にも誘起されるであろうから、それにより、特に横方向のオフセットにおける微小な差でさえもトランジスタ性能の顕著な変化をもたらし得る高度に洗練されたトランジスタが考えられている場合には、全体的なばらつきの原因になり得る。その結果、層105aの先行する堆積及びスペーサ構造105を形成するための対応する異方性エッチングプロセスが場合によってはそれぞれのキャビティ107aを形成するために用いられる異方性エッチングプロセス107と組み合わされることにより引き起こされる幅105wの変化に起因して、これらの位置及びサイズもまた対応する程度のばらつきを呈するであろう。
【0012】
図1cは更なる製造段階における半導体デバイス100を模式的に示している。即ち、キャビティ107a(図1b参照)を形成した後、マスク106(図1b参照)が除去されると共に、トランジスタ150a内にシリコン/ゲルマニウム合金109を堆積させるように選択的エピタキシャル成長プロセスが実行される一方、トランジスタ150bはマスク層105によって覆われている。対応する選択的エピタキシャル成長レシピは十分に確立されており、ここでは、露出させられた結晶性シリコン表面上へのシリコン/ゲルマニウム材質の顕著な堆積を得る一方で、誘電体表面区域上への対応する材質の堆積が著しく小さくなるかあるいは無視し得るように、圧力、温度、先駆体流量等の対応するプロセスパラメータが適切に選択される。従って、シリコン/ゲルマニウムの固有の格子定数はシリコンの格子定数よりも大きいので、シリコン/ゲルマニウム材質109は歪を与えられた状態で成長することができ、それにより、圧縮歪を与えられた材質が得られ、また対応する圧縮歪が隣接チャネル領域152内にもたらされ得る。圧縮歪の大きさは、先行して形成されたキャビティの位置及びサイズ並びに材質109内のゲルマニウム濃度に依存し得る。このように、材質109を形成するための選択的エピタキシャル成長プロセスの間における所与のプロセスパラメータに対して、マスク層105aを形成し、スペーサ構造105をパターニングし、そしてキャビティ107aを形成するための先行する製造プロセスの変動性は、結果として基板101にわたるトランジスタ性能の一定の不均一性をもたらし得る。
【0013】
図1dは更に進んだ製造段階における半導体デバイス100を模式的に示しており、その製造段階においては、マスク層105a、スペーサ構造105及びキャップ層151c(図1a参照)は除去され、このことは十分に確立された選択的エッチング技術によって達成され得る。その後、デバイス要求に従ってドレイン及びソース領域を形成することによって更なる処理が継続され得る。
【0014】
図1eは基本的トランジスタ構造が実質的に完成される製造段階における半導体デバイス100を模式的に示している。図示されるように、トランジスタ150a、150bは側壁スペーサ構造153を備えているであろうし、側壁スペーサ構造153は、ドレイン及びソース領域154のドーパントプロファイルの必要な複雑性に応じて、場合によっては対応するエッチング停止ライナ153bと組み合わされる1つ以上のスペーサ要素153aを含んでいるであろう。スペーサ構造153は、十分に確立された技術に従って、即ち、エッチング停止ライナ153b及び対応するマスク層を堆積させ、次いでスペーサ要素153aを形成するように異方性エッチングプロセスによってパターニングすることによって形成され得る。スペーサ構造153を形成するのに先立ち、スペーサ構造153に基いて形成され得る深いドレイン及びソース区域154dとの組み合わせにおいてドレイン及びソース領域154を代表する拡張領域154eを画定するように、適切な注入プロセスが実行され得る。その後、デバイス100を焼鈍することによってドーパントを活性化させることができ、注入誘起損傷もまた少なくともある程度は再結晶化される。その後、場合によっては十分に確立されたプロセス戦略に従って応力を与えられた誘電体材質に基いて金属シリサイド領域を形成しまた対応するコンタクト構造を形成することによって、更なる処理が継続され得る。上述のように、洗練された応用に対しては、トランジスタ150aの性能は、シリコン/ゲルマニウム合金109によってもたらされる歪誘起メカニズムにより実質的に決定されるであろうし、この場合、特にチャネル領域152からのシリコン/ゲルマニウム材質109の減少させられた横方向の望ましいオフセットに対する適度に大きな変動性が製造歩留まりの低下を引き起こすであろう一方で、他の場合には、チャネル領域152からの対応するオフセットは望ましいものよりも大きく維持されざるを得ないから、材質109によってもたらされる歪誘起メカニズムの能力は、完全には生かされないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した事情に鑑み、本開示は、上で特定された問題の1つ以上による影響を回避し又は少なくとも低減することにより、エピタキシャル的に成長させられる半導体合金によって高いトランジスタ性能を達成することができる技術及び半導体デバイスに関連している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
概して本開示は、洗練されたスペーサ構造を必要とせずに横方向のオフセットが達成され得るように高い結晶学的異方性を有するウエット化学的エッチングプロセスに基きチャネル領域に対して十分に制御される横方向のオフセットでトランジスタデバイスの能動領域内にキャビティが形成され得る半導体デバイス及び技術を提供する。ここに開示される幾つかの例示的な側面においては、結晶学的異方性エッチングプロセスはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を用いることによって達成することができ、TMAHは二酸化シリコンに対して高度な選択性でシリコンをエッチングするための効果的なウエット化学的エッチング薬品であり得るので、ゲート電極構造を保護するためのエッチング停止材質の著しく小さい厚みが可能になる一方で、高度に安定で且つ再現性のあるウエット化学的エッチングプロセスを提供することができる。その結果、ウエット化学的エッチングプロセスそれ自体の小さな程度の変動性及び、高いエッチング選択性との組み合わせにおけるその良好な可制御性に起因して、スペーサをパターニングしそして対応するキャビティを形成するための対応するプラズマ支援エッチングプロセスとの組み合わせにおけるスペーサ材質の堆積によって従来的には生じている基板全域でのばらつきに実質的に悩まされることなしに、対応するキャビティのオフセットを著しく小さくすることができる。また、高度に制御可能なウエット化学的エッチングプロセスを用いることによって、そして対応するスペーサ材質のための明白な層厚の堆積を回避することによって、特にスペーサ材質をパターニングしまたキャビティを得るためのエッチングプロセスが典型的には単一ウエハプロセスとして実行される従来の戦略と比較して、全体的なプロセス処理能力を顕著に高めることができる。
【0017】
ここに開示される1つの例示的な方法は、シリコン含有結晶性半導体領域の上方に形成されるトランジスタのゲート電極構造の露出させられた表面区域上に誘電体エッチング停止材質を形成することを備えている。方法は更に、結晶性半導体領域の少なくとも2つの異なる結晶方位において異なる除去速度を有するウエット化学的エッチングプロセスを実行することによってゲート電極構造に隣接する結晶性半導体領域内にキャビティを形成することを備えている。また方法は、選択的エピタキシャル成長プロセスを実行することによって少なくともキャビティ内に歪誘起半導体合金を形成することを備えている。最後に方法は、歪誘起半導体合金の少なくとも一部分内にドレイン及びソース領域を形成することを備えている。
【0018】
ここに開示される更なる例示的な方法は、結晶性半導体領域の一部分の上方に形成されるトランジスタのゲート電極構造に隣接する結晶性半導体領域内に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に基くウエット化学的エッチングプロセスを実行することによってキャビティを形成することを備えている。方法は更に、キャビティ内に歪誘起半導体合金を形成することと、ゲート電極構造に隣接する半導体領域内にドレイン及びソース領域を形成することとを備えている。
【0019】
ここに開示される1つの例示的な半導体デバイスは基板の上方に形成されるトランジスタを備えている。トランジスタはゲート電極構造を備えており、ゲート電極構造は、結晶性半導体領域の上方に形成され、そしてゲート電極材質を備えている。また、歪誘起半導体合金が、概ね30°以上の側壁角度で先細になる様態で深さ方向に沿って延びるように、結晶性半導体領域内に形成されている。最後にトランジスタは、結晶性半導体領域内に且つ少なくとも部分的に前記半導体合金内に形成されるドレイン及びソース領域を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の種々の実施形態は、添付の特許請求の範囲において画定されており、また添付の図面を参照したときに以下の詳細な説明と共に更に明らかになろう。
【0021】
【図1a】図1aは複雑な堆積プロセス及びプラズマ支援エッチング技術に基いてシリコン/ゲルマニウム合金を形成する種々の製造段階の間におけるpチャネルトランジスタを備えた従来の半導体デバイスを模式的に示す断面図(その1)である。
【図1b】図1bは複雑な堆積プロセス及びプラズマ支援エッチング技術に基いてシリコン/ゲルマニウム合金を形成する種々の製造段階の間におけるpチャネルトランジスタを備えた従来の半導体デバイスを模式的に示す断面図(その2)である。
【図1c】図1cは複雑な堆積プロセス及びプラズマ支援エッチング技術に基いてシリコン/ゲルマニウム合金を形成する種々の製造段階の間におけるpチャネルトランジスタを備えた従来の半導体デバイスを模式的に示す断面図(その3)である。
【図1d】図1dは複雑な堆積プロセス及びプラズマ支援エッチング技術に基いてシリコン/ゲルマニウム合金を形成する種々の製造段階の間におけるpチャネルトランジスタを備えた従来の半導体デバイスを模式的に示す断面図(その4)である。
【図1e】図1eは複雑な堆積プロセス及びプラズマ支援エッチング技術に基いてシリコン/ゲルマニウム合金を形成する種々の製造段階の間におけるpチャネルトランジスタを備えた従来の半導体デバイスを模式的に示す断面図(その5)である。
【図2a】図2aは例示的な実施形態に従いウエット化学的エッチングプロセスに基いてトランジスタがキャビティを受け入れる種々の製造段階での半導体デバイスを模式的に示す断面図(その1)である。
【図2b】図2bは例示的な実施形態に従いウエット化学的エッチングプロセスに基いてトランジスタがキャビティを受け入れる種々の製造段階での半導体デバイスを模式的に示す断面図(その2)である。
【図2c】図2cは例示的な実施形態に従いウエット化学的エッチングプロセスに基いてトランジスタがキャビティを受け入れる種々の製造段階での半導体デバイスを模式的に示す断面図(その3)である。
【図2d】図2dは例示的な実施形態に従うウエット化学的エッチングプロセスの間におけるシリコン材質の結晶学的構造を模式的に示す図である。
【図2e】図2eは例示的な実施形態に従い低減された変動性を伴う歪誘起半導体合金をチャネル領域の近くに形成する更に進んだ製造段階の間におけるトランジスタを模式的に示す断面図(その1)である。
【図2f】図2fは例示的な実施形態に従い低減された変動性を伴う歪誘起半導体合金をチャネル領域の近くに形成する更に進んだ製造段階の間におけるトランジスタを模式的に示す断面図(その2)である。
【図2g】図2gは例示的な実施形態に従い半導体合金をそのうちの1つが受け取ることができる複数の異なるトランジスタが設けられてよい半導体デバイスを模式的に示す断面図である。
【図2h】図2hは更なる例示的な実施形態に従いウエット化学的エッチングプロセスの制御を強化するように基本的半導体層内の特定の深さに種を設ける種々の変形に従う半導体デバイスを模式的に示す断面図(その1)である。
【図2i】図2iは更なる例示的な実施形態に従いウエット化学的エッチングプロセスの制御を強化するように基本的半導体層内の特定の深さに種を設ける種々の変形に従う半導体デバイスを模式的に示す断面図(その2)である。
【図2j】図2jは更なる例示的な実施形態に従いウエット化学的エッチングプロセスの制御を強化するように基本的半導体層内の特定の深さに種を設ける種々の変形に従う半導体デバイスを模式的に示す断面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明と共に図面に示される実施形態を参照して本開示が説明されるが、以下の詳細な説明及び図面は本開示を特定の例示的に開示されている実施形態に限定することを意図するものではなく、むしろ説明されている例示的な実施形態は単に本開示の種々の側面を例証しているにすぎず、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって画定されていることが理解されるべきである。
【0023】
概して本開示は、トランジスタデバイスのチャネル領域に隣接して歪半導体合金を組み込むための製造シーケンスの間に高い均一性が達成され得る一方で、対応する半導体合金をチャネル領域の直近に位置させる可能性をももたらす技術及び半導体デバイスを提供する。この目的で、対応するキャビティを形成するために十分に制御可能で且つ再現性のあるウエット化学的エッチング技術を用いることができ、この場合、ウエット化学的エッチング薬品は、パターニングされるべき半導体材質の異なる結晶方位に対して固有の「異方的な」エッチング挙動を有し得る。その結果、幾つかの例示的な側面においては、エッチング速度の固有の差が「自己制限の(self-restricting)」エッチング挙動を横方向にもたらし得るように、基本的な半導体材質の結晶学的構造が適切に選択されてよく、エッチングプロセスの開始に際しての所与の初期横方向オフセットに対しては、個々の基板全域にわたり高い全体的な均一性でそれぞれのキャビティを得ることができる。例えば幾つかの例示的な実施形態では、シリコン材質の標準的な結晶方位、即ち<110>方向に沿って方位付けられるトランジスタ長手方向を伴う(100)表面方位が用いられてよく、それにより、<110>、<100>方向等の他の方向と比較して顕著に小さい<111>方向に沿ったエッチング速度を活用することができる。尚、本出願を通して、対応する結晶方位は物理的に等価な方位を代表するものとして理解されるべきであり、即ち(100)方位は(010)、(001)、(−100)等の物理的に等価な方位を包含するものとして理解されるべきである。任意の他の結晶方位についても同様である。元来の高度な均一性及び再現性を有するウエット化学的エッチングプロセスに基いて、適切なマスキングレジームもまた提供することができ、ウエット化学的エッチングプロセスによって得られる対応するキャビティ内に形成されるべき半導体合金の横方向のオフセットの顕著な減少が可能になる。ここに開示される幾つかの例示的な実施形態では、ウエット化学的エッチングプロセスはTMAHに基いて実行することができ、TMAHは、結晶学的な異方性エッチング挙動に加えて、シリコン及び二酸化シリコンに対して極めて明白な選択性をも呈し、ここでは二酸化シリコンはシリコンと比較して著しく小さい速度でエッチングされ得る。従って、ゲート電極構造を密閉するためのエッチング停止材質として、極めて薄い二酸化シリコン層でさえも効果的に用いることができ、歪強化を考慮すると有利である極めて小さい横方向のオフセットであっても小さな程度の変動性で達成され得るように、対応する厚みを高度な均一性で調節する可能性を提供することができる。また幾つかの例示的な実施形態では、ウエット化学的エッチングプロセスは標識種(indicator species)又はエッチング停止種に基いて制御することができ、エッチング停止種は、例えばイオン注入、選択的エピタキシャル成長等によって基本的な半導体層内に導入することができる。幾つかの例示的な実施形態では、例えばTMAHはn型シリコン材質に対して著しく小さな除去速度を有しているであろうから、効果的なエッチング制御をもたらすために、n型ドーパント種がシリコン材質内の特定の深さに位置させられてよい。他の場合には、ウエット化学的エッチング溶液内で検出可能な優れた標識種を組み込むことができ、それによりウエット化学的エッチングプロセスの高い可制御性をもたらすことができる。
【0024】
図2a〜2jを参照して更なる例示的な実施形態を以下により詳細に説明し、適切である場合には図1a〜1eも参照する。
【0025】
図2aは早い製造段階におけるトランジスタ250の断面図を模式的に示している。トランジスタ250は任意の種類のトランジスタを代表してよく、その性能は、特定の種類の歪を生成するように埋め込み半導体合金を設けることによって強化されることになる。トランジスタ250は基板201を備えていてよく、その上方には半導体領域203が形成されていてよい。半導体領域203は、全体的なデバイス要求に応じて、同一の又は異なる伝導性タイプの単一又は複数のトランジスタを収容するための能動領域を代表してよい。基板201及び半導体領域203に対しては、デバイス100を参照して前述したのと同様の基準を適用することができる。即ち、半導体領域203は対応するシリコンベースの半導体層の一部を代表してよく、その半導体層の一部は、対応する分離構造(図示せず)を設けることによって個々の能動領域に分離されてよい。また、対応する埋め込み絶縁層(図示せず)が領域203と基板201の間に位置させられている場合には、領域203及び基板201はSOI構造を代表してよい。他の場合には、領域203及び基板201は、デバイス100を参照しても説明したように、バルク構造を画定してよい。トランジスタ250はゲート電極構造251を備えていてよく、ゲート電極構造251は、ゲート絶縁層251bとの組み合わせにおける多結晶シリコン等のゲート電極材質251aを代表してよい。例えば、洗練された半導体デバイスが考慮される場合には、ゲート電極構造251は、概ね50nm、そしてそれより著しく小さいゲート長、即ちゲート電極材質251aの水平方向の伸長を有していてよい。また、幾つかの例示的な実施形態では、キャップ層251cがゲート電極材質251aの上方に形成されていてよく、そしてエッチング停止層251dがゲート電極材質251aとキャップ層251cの間に形成されていてよい。例えば、デバイス100に関して前述したような従来の戦略との高度な互換性が適切であると考えられる場合には、キャップ層251cは窒化シリコンから構成されてよい。一方、エッチング停止層251dは二酸化シリコンから構成されてよい。更に、エッチング停止ライナ205aが半導体領域203及びゲート電極構造251上に形成されてよい。1つの例示的な実施形態では、エッチング停止ライナ205aは二酸化シリコンから構成されてよい。
【0026】
図2aに示されるトランジスタデバイス250は以下のプロセスに基いて形成することができる。例えばデバイス100に関しても説明されているような例えば分離構造に基いて半導体領域203を画定した後、ゲート電極構造251が形成されてよく、ゲート電極構造251は前述したような十分に確立されたプロセス技術に基いて完成させることができるが、ゲート電極材質251aを堆積させた後にエッチング停止材質251dもまた形成されてよく、キャップ層251cの堆積がそれに続いてよい。その後、キャップ層251c及びエッチング停止材質251dをパターニングするようにパターニング戦略が用いられてよく、図2aに示されるゲート電極材質251aを得るために十分に確立されたシリコンエッチング技術がそれに続いてよい。次いで、例えば十分に確立されたプロセス技術を用いる堆積によってエッチング停止ライナ205aが形成されてよく、ここでは、厚み205tは、領域203内に更に形成されるべきキャビティの望ましいオフセットを得ることを考慮して、プロセス要求に従って選択されてよい。例えば、ゲート電極材質251aに対して対応する小さなオフセットが望ましい場合には、厚み205tは概ね5nm以下、例えば2nm以下に選択されてよい。この目的のために、低圧CVD等のような適切なプロセス技術が用いられてよく、この場合、減少させられた厚み205tは全体的な基板にわたる高い均一性をもたらすことができる。他の場合には、層205aは酸化プロセスによって形成されてよく、この場合、層205aはキャップ層251cを覆わなくてよい。この場合にもまた、望ましい厚み205tを得るための高度に制御可能なプロセスが達成され得る。
【0027】
図2bは層205aの材質を半導体領域203に対して、そして場合によってはキャップ層251cに対して選択的に除去するように設計される異方性エッチングプロセス211の間におけるトランジスタ250を模式的に示している。二酸化シリコンに対してそれぞれ高度に選択的なプラズマ支援のエッチングプロセスが当該分野で十分に確立されており、そしてプロセス211のために用いられ得ることが理解されるべきである。その結果、ゲート電極構造251の側壁上には、それぞれの「側壁スペーサ」205が、エッチングプロセス211に起因するごく少量の厚み減少を除いて実質的に厚み205tに対応する厚みで得られる。しかし、小さな厚み205tに起因して、プロセス211の環境への露出は適度に短いであろうから、対応するエッチングプロセス関連のばらつきは極めて小さいであろうことが理解されるべきである。
【0028】
図2cはウエット化学的エッチングプロセス207の間におけるトランジスタ250を模式的に示しており、プロセス207は垂直方向と比べて水平方向で異なるエッチング速度を有していてよい。即ち、結晶性の半導体領域203はそのシリコンベースの材質の結晶学的構造に応じて当該方向に対して異なる結晶方位を有するから、プロセス207のウエット化学的エッチング薬品は、異なる結晶方位に対して固有の除去速度を有しているであろうし、従って垂直及び横方向において異なるようにエッチングするであろう。例えば、ウエット化学的エッチング薬品は、<111>結晶方位に沿って小さいエッチング速度を有するであろうし、その小さいエッチング速度はエッチング前線の横方向の制限をもたらすであろうから、対応する<111>方向の空間的方位に従って傾斜する対応するキャビティ207aの側壁207sが生成され得る。1つの例示的な実施形態では、プロセス207のウエット化学的エッチング薬品はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に基き確立することができ、TMAHはレジスト生成材質としても用いることができ、そしてシリコン材質に対して高いエッチング速度を有しており、ここでも二酸化シリコンに対して選択的な高度なエッチングを得ることができる。その結果、プロセス207の環境に対するデバイス250の露出に際して、キャビティ207aのオフセットが幅205tによって実質的に決定されるようにスペーサ205はゲート電極構造251を効果的に保護することができ、この場合、ウエット化学的エッチングプロセス207の進行の間に、領域203の結晶軸の空間的な方位に従って、高度に制御可能で且つ予測可能な様態で横方向のオフセットは増加するであろう。キャップ層251cがプロセス207に対して特定のエッチング抵抗を呈しない場合には、エッチング停止層251dがゲート電極材質251aの完全性を提供することができることが理解されるべきである。また幾つかの例示的な実施形態では、エッチングプロセス207を制御するために、即ちキャビティ207aの深さを高い均一性で調節するために、エッチング制御種203cが特定の深さを中心に置かれてよい。例えば、エッチング制御種203cは、nドープのシリコン区域を得るように、ヒ素のようなn型ドーパント種の形態で設けられてよく、nドープのシリコン区域は、TMAHに基くプロセス207のウエット化学的薬品に露出させられるときに顕著に小さいエッチング速度を有することができる。エッチング制御種203cはイオン注入、エピタキシャル成長の技術等によって設けることができ、これについては後で更に詳細に説明する。
【0029】
図2dは1つの例示的な実施形態に従う半導体領域203の結晶学的構造を模式的に示しており。その実施形態においては、<111>方向に沿うエッチング前線の前進が他の結晶方向と比較して顕著に減少させられるように、(111)平面に基いて明白なエッチング抵抗が得られている。図示されるように、シリコン材質の立方格子構造の一部分が示されており、ここでは半導体産業において用いられる標準的な基本的半導体ウエハに従って、(100)表面層が提供されている。また、ゲート電極構造251は、その長さ方向、即ち図2cにおいては<110>方向に沿ったゲート電極材質251aの水平方向の伸長を有するように位置させられていてよい。この場合、(111)面は対応する(110)面に対して概ね35.26度の角度をなしてよく、その対応する(110)面は従って、ウエット化学的エッチングプロセスの進行の間における側壁207s(図2c参照)の側壁角度を実質的に代表してよい。しかし、異なる側壁角度が望ましいであろう場合には、対応するエッチング薬品の所与の異方性エッチング挙動に対して、それぞれの異なる結晶学的構造が基本的材質203のために選択されてよいことが理解されるべきである。即ち、トランジスタ性能における対応する利益がそれぞれの「回転させられた」結晶方位に対しても得られる限りにおいて、基本的材質203の結晶方位は、異なる側壁角度を得るように適切に「回転させられて」よい。
【0030】
図2eは特定の深さまで延びるキャビティ207aを伴うトランジスタ250を模式的に示しており、その特定の深さは、例えばエッチング制御種203c(図2c参照)によって決定されてよく、あるいは時間制御のエッチング戦略に基いて調節されてよい。対応するウエット化学的エッチング反応装置内で多数の基板が同時に処理され得るので、キャビティ207aを高い処理能力のエッチングプロセスに基いて得ることができ、それにより、典型的には単一基板プロセス技術を必要とする従来のプラズマ支援エッチングステップと比較して顕著な利点がもたらされ得ることが理解されるべきである。
【0031】
図示されるように、キャップ層251c(図2c参照)が明白なエッチング抵抗を呈さないであろう場合には、先行するウエット化学的エッチングプロセスの間にエッチング停止層251dが露出させられるかもしれない。従って、エッチング停止層251dは、ゲート電極材質251aの完全性を維持するために機能することができる一方、選択的エピタキシャル成長プロセス210の間には成長マスクとしても機能することができる。トランジスタ250がチャネル領域252内に圧縮応力を必要とするトランジスタを代表してよい場合には、プロセス210の間、シリコン/ゲルマニウム合金、シリコン/ゲルマニウム/錫合金、シリコン/錫合金のような適切な半導体合金が堆積させられてよい。他の場合には、シリコン/炭素材質がプロセス210の間に堆積させられてよく、それにより引張り応力を与えられた半導体合金を提供することができ、結果としてチャネル領域252内には対応する引張り歪がもたらされる。適切に選択されたプロセスパラメータに基いて実行され得る選択的エピタキシャル成長プロセスの間、個々の成分の割合が調整されてよく、必要であればドーパント種が添加され、この場合において適切であると考えられるときには、任意のドーパント種の濃度及び対応する合金成分の濃度はプロセス210の間に変化させられてよい。前述したような従来のプロセス技術によって生じる大きなばらつきに対して、ドーパント濃度及び/又は半導体合金の成分の濃度を変化させることに基くデバイス特性の任意の特定の適合が重ね合わされ得るので、キャビティ207aの高い均一性及び制御可能な形成に起因して、高い柔軟性もまたプロセス210に対して達成され得る。
【0032】
図2fは更に進んだ製造段階におけるトランジスタ250を模式的に示している。図示されるように、上述した合金によるような半導体合金209が、特定の種類の歪を隣接チャネル領域252内に誘起するように領域203内に形成されてよく、ここでは減少させられた横方向のオフセットが歪転移の効率の増大をもたらすことができる。また、ドレイン及びソース領域254が領域203内に画定され、一部は半導体合金209内に画定される。更に、ゲート電極構造251の側壁上には側壁スペーサ構造253が形成されてよい。図2fに示されるトランジスタ250は、デバイス100を参照して前述したのと同様なプロセス戦略に基いて形成することができるが、半導体合金209のチャネル領域252への近接近に起因して、同一のデバイス及びプロセスパラメータに対して高い全体的なトランジスタ性能を得ることができる一方で、対応するトランジスタ特性の全体的な変動性、即ち基板にわたる均一性が従来戦略と比較して高まり得る。
【0033】
図2gは早い製造段階においてトランジスタ250a、250bを備えている半導体デバイス200を模式的に示している。図示されるように、トランジスタ250a、250bは、図2aを参照して説明したのと同様の構造を有していてよい。即ち、トランジスタ250a、250bは、対応する能動領域203a、203bの上方に形成されるゲート電極構造251を備えていてよい。能動領域203a、203bは、デバイス100を参照して説明したように、分離構造204によって分離されていてよい。また、図示される製造段階においては、ゲート電極構造251の側壁上にはスペーサ205が形成されてよい一方で、トランジスタ250bの構造251はマスク層205aによって覆われてよい。更に、レジストマスクのようなマスク206がトランジスタ250bを覆いトランジスタ250aを露出させるように設けられてよい。
【0034】
半導体デバイス200を形成するための製造技術に関しては、トランジスタ250を参照して説明したような対応するプロセス戦略を参照することができる。即ち、マスク層205aを形成した後、スペーサ205を得るためにレジストマスク又は任意の他のエッチングマスク206が形成されてよく、そして用いられてよく、一方アクティブ領域203bの上方のマスク層205aは維持される。その後、ウエット化学的エッチングプロセス207(図2b参照)に関するエッチング抵抗性に応じて、マスク206は除去されてよく、あるいは維持されてよい。このように、マスク206が除去させられることになる場合にはマスク層205aはエッチングマスクとして機能することができ、また後続の選択的エピタキシャル成長プロセスの間には成長マスクとしても機能することができる。従って、適度に小さい層厚を有するマスク層205aが、半導体合金が要求されないトランジスタ250bのようなデバイス区域を覆うためにここでも効果的に用いられ得る。トランジスタ250a内に半導体合金を形成した後に、デバイス100を参照して説明したような更なる処理が十分に確立されたプロセス戦略に基いて継続されてよい。
【0035】
図2hは早い製造段階、即ちゲート電極構造251を形成する前における半導体デバイス200を模式的に示している。この製造段階においては、注入マスク214によって能動領域203bを覆いながら、領域203aに対する基本的なドーピング濃度が、対応する注入シーケンス213に基いて規定されてよい。1つの例示的な実施形態では、注入シーケンス213もまたエッチング制御種203lを特定の深さ203dで導入するための注入ステップを備えていてよく、特定の深さ203dは、後の製造段階において領域203a内に形成されるべきキャビティの所望の深さに実質的に対応していてよい。例えば、領域203aがpチャネルトランジスタの能動領域を代表する場合には、追加的なn型ドーパント種203cは全体的なトランジスタ特性に実質的に影響を与えないであろう。他の例示的な実施形態においては、例えば図2aを参照して示しまた説明したように、エッチング制御種203cを導入するための対応する注入ステップは、ゲート電極構造251を設けた後に実行されてよいことが理解されるべきである。
【0036】
図2iは更に他の例示的な実施形態に従う半導体デバイス200を模式的に示しており、その実施形態においては、半導体領域又は層203がエピタキシャル成長プロセス215によって基板201上に形成されてよく、ここでは成長プロセス215の特定の段階の間にエッチング制御種203cが組み込まれてよい。例えば、種203cを特定の深さで位置させるように、対応するn型ドーパント種が適切な先駆体ガスの形態でプロセス215の堆積環境に供給されてよい。その後、n型ドーパント先駆体ガスの供給は中止されてよく、それにより対応するエッチング制御種203cの明確な深さ及び厚みをもたらすことができる。
【0037】
図2jは更に進んだ製造段階におけるデバイス200を模式的に示しており、その製造段階においては、層203がその最終的な厚みで設けられ、ここでは分離構造204が能動領域203a、203bを分離する。また、エッチング制御種203cの存在が能動領域203b内に修正された電気的挙動をもたらし得るとみなされてよい。この場合、例えば能動領域203b内の基本的ドーパント濃度を規定するためのシーケンスの間に適切な注入プロセス216が実行されてよく、能動領域203b内にはエッチング制御種203cを「相殺する(compensate)」ために適切な程度のカウンタドーピングが導入されてよい一方で、エッチング制御種203cの存在が望ましいであろう能動領域203aについては、対応する注入マスク217が覆ってよい。
【0038】
その後、ウエット化学的エッチングプロセスに基きキャビティを形成するための上述のプロセスシーケンスが上述のようにして実行されてよく、ここでは、エッチング制御種203cが、結果として得られるキャビティの深さ及びこれに伴いサイズに関して高い可制御性をもたらすことができる。
【0039】
結果として、本開示は、隣接チャネル領域の近くに位置させられてよい半導体合金に基き高いトランジスタ性能を得ることができる半導体デバイス及び技術を提供する。この目的のために、キャビティの横方向のオフセットを規定しそしてキャビティを形成するための対応するシーケンスの間における変動性を顕著に低減し得るウエット化学的エッチングプロセスを用いることができる。また、スペーサ材質の明白な堆積は必要でないであろうし、またウエット化学的エッチングプロセスはバッチプロセスにおいて高い可制御性で実行され得るという事実によって、プラズマ支援エッチングレシピが単一ウエハプロセス戦略を必要とするであろう従来の戦略と比較して全体的な処理能力を顕著に高めることができる。
【0040】
本開示の更なる修正及び変更は、この明細書を考慮することによって当業者には明白になろう。従って、この明細書は、例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、また本開示を実施する一般的な手法を当業者に教示することを目的としている。ここに示されまた説明される形態は目下のところ望ましい実施形態として解釈されるべきことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン含有結晶性半導体領域の上方に形成されるトランジスタのゲート電極構造の露出させられた表面区域上に誘電体エッチング停止材質を形成することと、
前記結晶性半導体領域の少なくとも2つの異なる結晶方位において異なる除去速度を有するウエット化学的エッチングプロセスを実行することによって前記ゲート電極構造に隣接する前記結晶性半導体領域内にキャビティを形成することと、
選択的エピタキシャル成長プロセスを実行することによって少なくとも前記キャビティ内に歪誘起半導体合金を形成することと、
前記歪誘起半導体合金の少なくとも一部分内にドレイン及びソース領域を形成することとを備えた方法。
【請求項2】
前記ウエット化学的エッチングプロセスはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に基いて実行される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記誘電体エッチング停止材質を形成することは前記ゲート電極構造の少なくとも側壁表面上に二酸化シリコン層を形成することを備えている、請求項1の方法。
【請求項4】
前記二酸化シリコン層の厚みは概ね5ナノメートル以下である、請求項3の方法。
【請求項5】
n型ドーパント種を前記結晶性半導体領域内の特定の深さに位置させることと、前記n型ドーパント種を用いて前記ウエット化学的エッチングプロセスを制御することとを更に備えた、請求項1の方法。
【請求項6】
前記n型ドーパント種はイオン注入プロセスを実行することによって前記特定の深さに位置させられる、請求項5の方法。
【請求項7】
前記イオン注入プロセスは前記ゲート電極構造を形成することに先立ち実行される、請求項6の方法。
【請求項8】
前記イオン注入プロセスは前記ゲート電極構造を形成することの後に実行される、請求項6の方法。
【請求項9】
前記結晶性半導体領域はエピタキシャル成長プロセスによって形成され、
前記n型ドーパント種は前記エピタキシャル成長プロセスの間に前記特定の深さに位置させられる、請求項5の方法。
【請求項10】
前記半導体合金は前記トランジスタのチャネル領域内に圧縮歪を誘起するように形成される、請求項5の方法。
【請求項11】
前記半導体合金はシリコン及びゲルマニウムから構成されている、請求項10の方法。
【請求項12】
前記半導体合金は錫を備えている、請求項10の方法。
【請求項13】
結晶性半導体領域の一部分の上方に形成されるトランジスタのゲート電極構造に隣接する前記結晶性半導体領域内に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に基くウエット化学的エッチングプロセスを実行することによってキャビティを形成することと、
前記キャビティ内に歪誘起半導体合金を形成することと、
前記ゲート電極構造に隣接する前記半導体領域内にドレイン及びソース領域を形成することとを備えた方法。
【請求項14】
前記キャビティを形成することは、n型ドーパント種を前記半導体領域内の特定の深さに位置させることと、前記n型ドーパント種を用いて前記ウエット化学的エッチングプロセスを制御することとを更に備えている、請求項13の方法。
【請求項15】
前記キャビティを形成することに先立ちゲート電極材質の少なくとも側壁上にエッチング停止材質を形成することを更に備えた、請求項13の方法。
【請求項16】
前記エッチング停止材質は概ね5ナノメートル以下の厚みを有している、請求項15の方法。
【請求項17】
前記ドレイン及びソース領域を形成することは前記キャビティ内に半導体合金を形成することを備えており、
前記半導体合金は前記トランジスタのチャネル領域内に圧縮歪を誘起する、請求項13の方法。
【請求項18】
前記キャビティを形成し、そして前記キャビティ内に前記半導体合金を形成する間に第2のトランジスタの上方にマスク層を設けることを更に備えた、請求項17の方法。
【請求項19】
前記半導体合金はゲルマニウム及び錫の少なくとも一方を備えている、請求項17の方法。
【請求項20】
基板の上方に形成されるトランジスタを備えた半導体デバイスであって、
前記トランジスタは、
結晶性半導体領域の上方に形成され、ゲート電極材質を備えているゲート電極構造と、
概ね30°以上の側壁角度で先細になる様態で深さ方向に沿って延びるように前記結晶性半導体領域内に形成される歪誘起半導体合金と、
前記結晶性半導体領域内に且つ少なくとも部分的に前記半導体合金内に形成されるドレイン及びソース領域とを備えている半導体デバイス。
【請求項21】
前記半導体合金の底を中心として増加させられたn型ドーパント濃度を更に備えた、請求項20の半導体デバイス。
【請求項22】
前記ゲート電極材質からの前記半導体合金の最小横方向オフセットは概ね5ナノメートル以下である、請求項20の半導体デバイス。
【請求項23】
前記ゲート電極材質からの前記半導体合金の最小横方向オフセットは概ね2ナノメートル以下である、請求項22の半導体デバイス。
【請求項24】
前記半導体合金は前記トランジスタのチャネル領域内に圧縮歪を誘起する、請求項20の半導体デバイス。
【請求項25】
前記ゲート電極材質のゲート長は概ね50ナノメートル以下である、請求項24の半導体デバイス。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図2g】
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【図2h】
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【図2i】
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【図2j】
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【公表番号】特表2012−504326(P2012−504326A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528255(P2011−528255)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007001
【国際公開番号】WO2010/037522
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】