説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】処理管からボートを搬出する初期段階で発生する蓋の振動を抑制する。
【解決手段】基板を載置するボートと、ボートを収納する処理管と、ボートが載置され処理管の下端に設けられた炉口を開閉する蓋と、蓋を昇降させる昇降機構と、昇降機構を駆動するモータと、処理管の下端面と蓋との間を密封する密封部材と、処理管の下端面もしくは蓋の表面から密封部材を引き離す時に生じる蓋の変形の回復期に基板がボート内の載置位置に留まるようにモータのトルクを制御する制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程や表示装置の製造工程の一工程を実施する従来の基板処理装置は、基板を処理する処理管と、基板を載置するボートと、処理管の下端に設けた炉口を開閉する蓋と、ボートおよび蓋を共に昇降させて、ボートを処理管内に搬入するとともに炉口に蓋を押し圧する昇降機構と、昇降機構を駆動するモータと、蓋と処理管の下端との間を密封する密封部材と、を備えていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基板を処理した後、蓋を下降して処理管内からボートを搬出する。このとき、密封部材が処理管の下端面に張り付いた状態で蓋が下降し始める。この結果、密封部材が処理管下端の接触面から剥がされていく過程で蓋が撓み、その撓みを回復しようとする際に蓋が振動し、その振動が蓋に載置されたボートに伝わる。このため、ボートに載置されていた基板が跳ねたり、ボートから落下したりして損傷することがあった。
【0004】
そこで本発明は、処理管内からボートを搬出する初期段階で発生する蓋の振動を抑制することが可能な基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板を載置するボートと、前記ボートを収納する処理管と、前記ボートが載置され前記処理管の下端に設けられた炉口を開閉する蓋と、前記蓋を昇降させる昇降機構と、前記昇降機構を駆動するモータと、前記処理管の下端と前記蓋との間を密封する密封部材と、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記蓋の変形の回復期に前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記モータのトルクを制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、ボートに載置した基板を処理管内で処理した後、密封部材を介して前記処理管の炉口を密封していた蓋を下降させて前記炉口を開放するとともに、前記炉口から前記処理管内の前記ボートを搬出する半導体装置の製造方法において、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記蓋の変形の回復期に前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記蓋を下降させる昇降機構を駆動するモータのトルクを制御する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の基板処理装置および半導体装置の製造方法によれば、処理管内からボートを搬出する初期段階で発生する蓋の振動を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置の要部を示した概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置の概略を示した斜透視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置の処理炉の一例を示した縦断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示したフローチャートである。
【図5】モータのトルク比の上限を制限した場合における、シールキャップの位置と経過時間との関係図、シールキャップの移動速度と経過時間との関係図、およびモータのトルク比と経過時間との関係図である。
【図6】モータのトルク比の上限を制限した場合における、シールキャップの位置と経過時間との関係図、シールキャップの移動速度と経過時間との関係図、およびモータのトルク比と経過時間との関係図である。
【図7】モータのトルク比の上限を制限した場合における、シールキャップの位置と経過時間との関係図、シールキャップの移動速度と経過時間との関係図、およびモータのトルク比と経過時間との関係図である。
【図8】モータのトルク比に制限のない場合における、シールキャップの位置と経過時間との関係図、シールキャップの移動速度と経過時間との関係図、およびモータのトルク比と経過時間との関係図である。
【図9】シールキャップを微小移動させた場合における、シールキャップの位置と経過時間との関係図、シールキャップの移動速度と経過時間との関係図、およびモータのトルク比と経過時間との関係図である。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかる基板処理装置の要部を示した概略構成図である。
【図11】モータのトルク比の上限を制限した場合における、シールキャップの位置と経過時間との関係図、シールキャップの移動速度と経過時間との関係図、およびモータのトルク比と経過時間との関係図である。
【図12】本発明の第5の実施形態にかかる基板処理装置の要部を示した概略構成図である。
【図13】(a)は、本発明の第6の実施形態にかかる基板処理装置により実施される搬送動作を示す模式図であり、(b)は制御部により行われる搬送制御のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置について図面を参照して説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
まず、半導体装置の製造工程の一工程としての基板処理工程を実施する基板処理装置101の構成例について説明する。図1は、本実施形態にかかる基板処理装置101の要部を示した概略構成図であり、図2は、本実施形態にかかる基板処理装置101の斜透視図である。図3は、基板処理装置101の処理炉201の詳細を示した縦断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置101は、基板としてのウエハ10を処理する処理炉201を備えている。ウエハ10は、例えばシリコン基板であり、またはシリコン以外の半導体基板、ガラス基板、セラミックス基板、プラスチック基板等であってもよい。処理炉201には、処理室202が形成された後述するプロセスチューブを含む処理管203が設けられ、処理管203を包囲するように後述する加熱機構としてのヒータが備えられている。また処理炉201の側部に沿って昇降機構としてのボートエレベータ115が設置されている。ボートエレベータ115は、支持部としてのアーム128が駆動機構126によって昇降可能に構成されている。アーム128上には、処理管203の下端に設けられた炉口207を開閉する蓋としてのシールキャップ219が支持されている。またシールキャップ219上には、シールキャップ219と処理管203の下端面との間を密封する密封部材としてのシールリング221が設けられている。シール
リング221は、例えばOリングで構成されている。さらにシールキャップ219の上面は、基板としてのウエハ10を水平に保持した状態で多段に載置するボート11が載置できるように構成されている。
【0012】
駆動機構126は、例えばボールネジ構造に構成され、アーム128に設けられた図示しないナット部にボールを介してかみ合ってアーム128を鉛直方向に昇降させるボールネジ軸127と、アーム128を鉛直方向に摺動させつつ案内する図示しないガイド支柱と、を備えている。主に、ナット部と、ボールと、ボールネジ軸127と、ガイド支柱と、により、本実施形態にかかる駆動機構126が構成される。また、ボールネジ軸127の上端部(もしくは下端部)には、ボールネジ軸127を回転駆動させるモータ129が設けられている。これにより、モータ129を駆動してボールネジ軸127を回転させることでアーム128が昇降するようになっている。これらによって、シールキャップ219とその上面に載置されたボート11が上昇もしくは降下して、ボート11が処理室202内に対して搬入もしくは搬出されるようになっている。また、処理室202内にボート11が搬入されると、ボートエレベータ115によってアーム128に支持されたシールキャップ219がシールリング221を介して処理管203の下端面方向に押し圧せられ、処理室202内が気密に保持されるように構成されている。
【0013】
またモータ129の駆動軸には、その駆動軸のトルクを測定するトルクセンサ271が設けられている。さらにモータ129には、そのモータ129のトルクを所定値に制御する制御部281が設けられている。これによって、制御部281は、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す時に生じるシールキャップ219の変形(例えば振動による変形)の回復期にウエハ10がボート11内の載置位置に留まるようにモータ129のトルクを制御する。例えば、モータ129のトルクが一定の範囲内になるように制御する。トルク制御の詳細例については、後述する。なお、制御部281によるモータ129のトルクの制御は、制御部281を後述する駆動制御部に組み込み、駆動制御部で実行する構成とすることも可能である。
【0014】
続いて、基板処理装置101の全体構成を具体的に説明する。
【0015】
図2に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置101は筐体111を備えている。基板としてのウエハ10を筐体111内外へ搬送するには、複数のウエハ10を収納するウエハキャリア(基板収納容器)としてのカセット110が使用される。筐体111内側の前方には、カセット110の受渡し台となるカセットステージ114が設けられている。カセット110は、図示しない工程内搬送装置によってカセットステージ114上に載置され、また、カセットステージ114上から筐体111外へ搬出されるように構成されている。
【0016】
カセット110は、工程内搬送装置によって、カセット110内のウエハ10がほぼ鉛直姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が例えば上方向を向くように、カセットステージ114上に載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に向けて縦方向に90°回転させ、カセット110内のウエハ10を水平姿勢とさせ、カセット110のウエハ出し入れ口を筐体111内の後方を向かせることが可能なように構成されている。
【0017】
筐体111内の前後方向の略中央部には、カセット110の載置棚となるカセット棚105が設置されている。カセット棚105は、複数段、複数列にて複数個のカセット110を保管できるように構成されている。カセット棚105には、ウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。また、カセットステージ114の上方には、予備カセット棚107が設けられ、予備的にカセット1
10を保管するように構成されている。
【0018】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、基板収納容器搬送装置としてのカセット搬送装置118が設けられている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能な昇降機構としてのカセットエレベータ118aと、カセット110を保持したまま水平移動可能な搬送機構としてのカセット搬送機構118bと、を備えている。これらカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連係動作により、カセットステージ114、カセット棚105、予備カセット棚107、移載棚123の間で、カセット110を相互に搬送するように構成されている。
【0019】
カセット棚105の後方には、基板移載機構としてのウエハ移載機構125が設けられている。ウエハ移載機構125は、ウエハ10を水平方向に回転ないし直動可能な基板移載装置としてのウエハ移載装置125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させる基板移載装置の昇降機構としてのウエハ移載装置エレベータ125bと、を備えている。なお、ウエハ移載装置125aは、ウエハ10を水平姿勢で保持する基板移載用治具としてのツイーザ125cを備えている。これらウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連係動作により、ウエハ10を移載棚123上のカセット110内からピックアップして後述する基板保持具としてのボート11へ装填(チャージング)したり、ウエハ10をボート11から脱装(ディスチャージング)して移載棚123上のカセット110内へ収納したりするように構成されている。
【0020】
筐体111の後部上方には、処理炉201が設けられている。処理炉201の下端部には図示しない炉口としての開口が設けられている。かかる開口は、炉口を開閉する炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。処理炉201の構成については後に詳述する。
【0021】
処理炉201の下方には、ボート11を昇降させて処理炉201内外へ搬送させる昇降機構としてのボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115には昇降可能なアーム128が設けられている。アーム128上には、ボート11を鉛直に支持するとともに、処理炉201の下端部を気密に閉塞する蓋としてのシールキャップ119が水平姿勢で設けられている。
【0022】
ボート11は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜150枚程度)のウエハ10を、水平姿勢で、かつその中心を揃えた状態で鉛直方向に整列させて多段に保持するように構成されている。ボート11の詳細な構成については後述する。
【0023】
カセット棚105の上方には、供給ファンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット134aが設けられている。クリーンユニット134aは、清浄化した大気であるクリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
【0024】
また、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびボートエレベータ115側と反対側である筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するよう供給フアンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット(図示せず)が設置されている。図示しない前記クリーンユニットから吹き出されたクリーンエアは、ウエハ移載装置125a、ボート11を流通した後に、図示しない排気装置に吸い込まれて、筐体111の外部に排気されるように構成されている。
【0025】
(2)基板処理装置の動作
次に、本実施形態にかかる基板処理装置101の動作について説明する。
【0026】
まず、カセット110が、図示しない工程内搬送装置によって、ウエハ10がほぼ鉛直姿勢となりカセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように、カセットステージ114上に載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、筐体111の後方に向けて縦方向に90°回転させられる。その結果、カセット110内のウエハ10は水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口は筐体111内の後方を向く。
【0027】
次に、カセット110は、カセット搬送装置118によって、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へ自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚105ないし予備カセット棚107から移載棚123に移載されるか、もしくは移載棚123に直接搬送される。
【0028】
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ10は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによって、ウエハ出し入れ口を通じてカセット110からピックアップされ、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連係動作によって移載棚123の後方にあるボート11に装填(チャージング)される。ボート11にウエハ10を受け渡したウエハ移載機構125は、カセット110に戻り、次のウエハ10をボート11に装填する。
【0029】
予め指定された枚数のウエハ10がボート11に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉201の下端部の開口が、炉口シャッタ147を移動することによって開放される。続いて、図示しない蓋としてのシールキャップがボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理対象のウエハ10群を保持したボート11が処理炉201内へ気密に搬入(ローディング)される。ローディング後は、処理炉201内にてウエハ10に所定の処理が実施される。処理後は、ウエハ10およびカセット110は、上述の手順とは逆の手順で筐体111の外部へ搬出される。
【0030】
(3)処理炉の構成
続いて、本実施形態にかかる基板処理装置の処理炉201の構成について説明する。図3は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の処理炉の縦断面図である。なお、本実施形態にかかる処理炉201は、図3に示されているようにCVD装置(バッチ式縦形ホットウォール型減圧CVD装置)として構成されている。
【0031】
(プロセスチューブ)
処理炉201は、中心線が鉛直になるように縦向きに配されて筐体111によって固定的に支持された縦形のプロセスチューブを備えている。プロセスチューブは、インナチューブ204とアウタチューブ205とを備えている。インナチューブ204およびアウタチューブ205は、石英(SiO)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性の高い材料によって、円筒形状にそれぞれ一体成形されている。
【0032】
インナチューブ204は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。インナチューブ204内には、基板保持具としてのボート11によって水平姿勢で多段に積層されたウエハ10を収納して処理する処理室202が形成されている。インナチューブ204の下端開口は、ウエハ10群を保持したボート11を出し入れする炉口207を構成している。したがって、インナチューブ204の内径は、ウエハ10群を保持したボート11の最大外径よりも大きくなるように設計されている。アウタチューブ205は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成され、かつ側壁部がインナチューブ204に対して大きく例えば相似形状に形成されている。すなわち、上方から見てアウタチューブ205は、インナチューブ204の外側を取り囲むように同心円に被せられている。インナチューブ204の下端部とアウタチューブ205の下端部との間は、環状に形成されたマ
ニホールド209によって気密に封止されている。また、アウタチューブ205の下端部とマニホールド209の外周上端部との間はシールリング222によって気密に封止されている。マニホールド209は、インナチューブ204およびアウタチューブ205についての保守点検作業や清掃作業を行いやすくするように、インナチューブ204およびアウタチューブ205に対して着脱自在に取り付けられている。マニホールド209が筐体111(前記図2参照)に支持されることにより、プロセスチューブは鉛直に据え付けられた状態になっている。したがって、インナチューブ204およびアウタチューブ205からなるプロセスチューブと、マニホールド209と、により処理管203が構成される。
【0033】
(排気ユニット)
マニホールド209の側壁の一部には、処理室202内のガス気体を排気する排気系230が接続されている。排気系230は、インナチューブ204とアウタチューブ205との隙間によって形成される筒状空間からなる排気路250の下端部に配置されていて、排気系230を構成する排気管231が排気路250内に連通している。排気管231には、上流から順に、圧力センサ245、圧力調整バルブとしてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ242、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。真空ポンプ246は、処理室202内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。APCバルブ242および圧力センサ245には、圧力制御部236が電気的に接続されている。圧力制御部236は、処理室202内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力センサ245により検出された圧力に基づいてAPCバルブ242の開度を制御するように構成されている。主に、排気管231、排気路250、圧力センサ245、APCバルブ242、真空ポンプ246により、本実施形態に係る排気ユニットが構成される。なお、排気系230のAPCバルブ242の上流側には、過加圧防止処理を行う過加圧防止ライン233が接続されている。過加圧防止ライン233には、過加圧防止バルブ234が接続されている。処理室202内の圧力が過加圧になって、その過加圧が圧力センサ245により検出されると、圧力制御部236が過加圧防止バルブ234を開いて処理室202内の過加圧状態を開放させる。
【0034】
(基板保持具)
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を開閉する蓋としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端開口の外径と同等以上の円盤形状に形成されており、その上面外周には、マニホールド209の下端面に密着可能な密封部材としてのシールリング221が設けられている。シールリング221には、例えばOリングが用いられる。またシールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に鉛直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ115によって、ボート11の載置面が水平の状態で、鉛直方向に昇降されるように構成されている。したがって、ボートエレベータ115によって上昇されたシールキャップ219がシールリング221を介してマニホールド209の下端面に押し圧せられた状態で、マニホールド209の下端開口が密封されて処理室202が気密になる。
【0035】
(ボートエレベータ)
上述したボートエレベータ115は、一例として、シールキャップ219をその下面から支持するアーム128と、アーム128の昇降を鉛直方向に案内する図示しないガイド支柱と、ガイド支柱に沿ってアーム128を鉛直方向に昇降させる駆動機構126と、が備えられている。駆動機構126は例えばボールネジ構造で構成され、例えば、アーム128に設けられた図示しないナット部と、ナット部に図示しないボールを介してかみ合うボールネジ軸127と、で構成されている。また、ボールネジ軸127の上端部(もしくは下端部)には、ボールネジ軸127を回転駆動させるモータ129(前記図1参照)が
設けられている。これにより、モータ129を駆動してボールネジ軸127を所定の方向に回転させることでアーム128が昇降するように構成されている。
【0036】
シールキャップ219上には、ウエハ10を保持する基板保持具としてのボート11が鉛直に立脚されて支持されるようになっている。ボート11は、例えば石英(SiO)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ10を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート11の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板216が、水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板216は、ヒータ206からの熱をマニホールド209側に伝えにくくするように構成されている。
【0037】
シールキャップ219の処理室202と反対側には、ボート11を回転させる回転機構254が設けられている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート11を下方から支持している。回転軸255を回転させることで処理室202内にてウエハ10を回転させることが可能になるように構成されている。シールキャップ219は、上述のボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート11を処理室202内外に搬送することが可能となっている。
【0038】
回転機構254およびボートエレベータ115には、駆動制御部237が電気的に接続されている。駆動制御部237は、回転機構254およびボートエレベータ115のモータ129が所望のタイミングにて所望の動作をするよう制御するように構成されている。
【0039】
(ヒータユニット)
アウタチューブ205の外部には、プロセスチューブ203内を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱する加熱機構としてのヒータ206が、アウタチューブ205を包囲するように設けられている。ヒータ206は、基板処理装置101の筐体111(前記図2参照)に設けられたヒータベース251に支持されることにより鉛直に据え付けられた状態になっており、例えばカーボンヒータ等の抵抗加熱ヒータとして構成されている。
【0040】
プロセスチューブ203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ206と温度センサ263とには、温度制御部238が電気的に接続されている。温度制御部238は、処理室202内の温度が所望のタイミングにて所望の温度分布となるように、前記温度センサ263により検出された温度情報に基づいてヒータ206への通電具合を制御するように構成されている。
【0041】
主に、ヒータ206、温度センサ263により、ヒータユニットが構成される。
【0042】
(処理ガス供給ユニット)
マニホールド209に保持され処理室202内に鉛直に立ち上がっていて、処理室202内に処理ガスを供給するガス供給ノズル230が設けられている。ガス供給ノズル230は、下流側端部が鉛直に立ち上がったL字型タイプの他、図示していないストレートタイプ等がある。ガス供給ノズル230は石英等の耐熱性を有する非金属材料により構成されている。なお、ガス供給ノズル230の上流側端部は、処理炉201外に突出しており、処理室202内にガス供給ノズル230を介して処理ガスを供給するガス供給管232に接続されている。また、ガス供給管232の上流側には、ガス流量制御器としてのマスフローコントローラ(MFC)241を介して、図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続されている。マスフローコントローラ241には、ガス流量制御部235が電気的に接続されている。マスフローコントローラ241は、処理室202内に供給する
ガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。マスフローコントローラ241、ガス供給管232、およびガス供給ノズル230を通して処理室202内に処理ガスを供給する処理ガス供給ユニットは、複数系統を設けることも可能である。例えば、原料ガスを供給する系統、添加物を含むガスを供給する系統、希釈ガスを供給する系統、等がある。
【0043】
(コントローラ)
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、および温度制御部238は、表示部を含む操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、主制御部239は、コントローラ240として構成されている。
【0044】
(4)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置101により実施される半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程を、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
まず、プロセスチューブ203内から搬出されているボート11に、複数枚のウエハ10を装填(ウエハチャージ)する。これにより、ボート11に、薄膜が形成されるべき複数枚、例えば100枚、直径300mmのウエハ10が収容される。ウエハ10の装填が終了すると、複数枚のウエハ10を保持したボート11を、ボートエレベータ115によって持ち上げて、処理室202内に搬入(ボートローディング)する(処理管内へのボートの搬入:S1)。この状態で、マニホールド209の下端面は、シールリング221を介してシールキャップ219によりシール(密封)された状態となり、処理管203の内部が気密になる(処理管内を気密にする:S2)。
【0046】
処理室202内にウエハ10を搬入する工程が終了すると、処理室202内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気することで、処理室202内の雰囲気を排出する。この際、処理室202内の圧力を、圧力センサ245で測定する。この測定した圧力に基づいて、APCバルブ242の開度をフィードバック制御する。また、処理室202内が所望の温度となるようにヒータ206によって処理室202内を加熱する。そして、ヒータ206への通電具合は、温度センサ263が検出した温度情報に基づき、処理室202内が所望の温度分布となるようにフィードバック制御する。続いて、回転機構254によりボート11を回転させることで、ウエハ10を回転させる。
【0047】
次いで、処理室202内に処理ガスを供給して、ウエハ10上への成膜処理を実行する。すなわち、図示しない処理ガス供給源から供給され、MFC241にて所望の流量となるように制御された処理ガスをガス供給管232から供給して、ガス供給ノズル230を介して処理室202内へと導入する。導入された処理ガスは、処理室202内を上昇し、インナチューブ204の上端開口から排気路250内に流出して、排気系230から排気される。処理ガスは、処理室202内を通過する際にウエハ10の表面と接触し、この際に例えば熱CVD反応等によってウエハ10の表面上に薄膜が堆積(デポジション)される(基板処理:S3)。
【0048】
成膜処理が終了したら、アフタパージ処理を実行する。すなわち、ガス供給管232からガス供給ノズル230を介して処理室202内に不活性ガスを供給する。また、このとき、真空排気装置246によって真空排気処理を実行する。その結果、処理室202内の雰囲気が不活性ガスにより浄化される。
【0049】
アフタパージ処理が終了したら、大気戻し処理を実行する。すなわち、真空排気処理を
停止して、不活性ガスの供給処理だけを実行する。その結果、処理室202内の圧力が常圧に復帰する。
【0050】
大気戻し処理が終了したら、ボートの搬出を実行する。すなわち、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を下降させ、マニホールド209の下端の炉口207を開放させるとともに、成膜処理の済んだウエハ10を、ボート11に載置させた状態でマニホールド209の下端の炉口207からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンローディング)する(ボートの搬出:S4)。その後、成膜処理の済んだウエハ10を、ボート11より回収して(ウエハディスチャージ)、1バッチ目の処理を終了する。以下、同様に、2バッチ目以降も処理対象のウエハ10に対して上述の処理を実行する。
【0051】
ここで、ボート11の搬出工程S4の詳細を以下に説明する。
【0052】
(ステップS4−1)
上述した基板処理(S3)工程が終了し、処理室202内が大気雰囲気に戻された直後においては、ボートエレベータ115によって、シールキャップ219がシールリング221を介して処理管203(実質的にはマニホールド209)の下端面に押し圧せられている。このとき、モータ129は、アーム128を上昇させる方向に駆動されていて、シールリング221が押し圧せられるトルクを出力している(シールリングは処理管下端面に密着した状態:S4−1)。このときのトルクは、モータ129の例えば定格トルクの−37%であった。以下、モータ129のトルクが負(−)の場合は、モータ129を駆動することによって、シールリング221を介してシールキャップ219を処理管203の下端面に押し圧する方向(上方向)にモータ129を駆動している状態を示している。一方、モータ129のトルクが正(+)の場合は、モータ129を駆動することによって、シールリング221を介して処理管203の下端面に密着しているシールキャップ219を離す方向(下方向)にモータ129を駆動している状態を示している。
【0053】
シールリング221が処理管203の下端面に密着している上述の状態から、モータ129の回転方向を逆にして、シールキャップ219を降下させる方向にモータ129を駆動させる。このとき、制御部281によって、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す時に生じるシールキャップ219の変形(例えば振動)の回復期にウエハ10がボート11内の載置位置に留まるように、モータ129のトルクは制御される。かつ、モータ129のトルクは、処理管203の下端面からシールリング221を引き離せるようなトルク値に設定される。以下の説明では、シールリング221は、シールキャップ219側に固定されていて、処理管203の下端面に密着するように接触している場合について説明する。もちろん逆に、処理管203の下端面側にシールリング221が固定されていてシールキャップ219側に密着するように接触している場合も、モータ129のトルク制御を同様に行うことができる。
【0054】
シールキャップ219を降下させる方向にモータ129の駆動が開始された直後は、シールリング221は処理管203の下端面に張り付いた状態が持続されている。同時に、ボートエレベータ115によるシールキャップ219の下降動作による引っ張り力によってシールリング221は鉛直下方に引っ張られている。この状態では、モータ129のトルクは上昇していく。そして、モータ129のトルクは上限値によって制限されているので、上限値までモータ129のトルクは上昇する。その上限値は、処理管203の下端面(もしくはシールキャップ219の表面)からシールリング221を引き離す時に生じるシールキャップ219の変形(例えば振動)の回復期に、ボート11のウエハ載置位置からみてウエハ10が浮き上がることなく、ウエハ10がボート11内の載置位置に留まるようなトルク値に決められている。
【0055】
または、上記モータ129のトルクの上限値は、例えば、シールキャップ219の変形(振動)が元の状態に戻ろうとする回復期に、ボート11に生じる加速度が重力加速度以下になるように設定されている。すなわち、ボート11に載置されたウエハ10がその載置位置から浮き上がるように離れるには、ウエハ10よりもボート11のほうが速く降下する必要がある。したがって、ボート11に生じる加速度(下向きの加速度)が重力加速度よりも大きくなると、ウエハ10はボート11からみて浮き上がった状態になる。よって、ボート11に生じる加速度が重力加速度以下になるようにすることで、ボート11のウエハ載置位置からみてウエハ10が浮き上がるのが防止される。
【0056】
(ステップS4−2)
そして、設定したトルクの上限値に達するまで、ボートエレベータ115によってシールキャップ219が下降方向に引っ張られ続け、同時にシールリング221も下降方向に引っ張られ続ける。そして、設定したトルクの上限値に達する前であっても、処理管203の下端面へのシールリング221の密着力よりもシールリング221を下方に引っ張る力のほうが勝ったときに、処理管203の下端面からシールリング221が引き離される(シールリングが処理管下端面から剥離:S4−2)。
【0057】
(ステップS4−2の別の一例)
また、ボートエレベータ115によるシールキャップ219の下降動作の途中でモータ129のトルクが設定した上限値に達しても離れなかった場合でも、その上限値のトルクでモータ129が駆動され、ボートエレベータ115によってシールキャップ219が下降方向に引っ張られ続ける。このとき、シールキャップ219とともにシールリング221も下降方向に引っ張られ続ける。そして、シールリング221が引っ張られ続けると、処理管203の下端面に密着していたシールリング221が徐々に剥がされて、ある一定の期間が経過した時点でシールリング221の張り付き力よりシールリング221が引っ張られる力が勝り、処理管203の下端面からシールリング221が引き離される(シールリングが処理管下端面から剥離:S4−2)。
【0058】
このとき、モータ129は、設定した上限のトルク値に制限されて駆動しているので、処理管203の下端面からシールリング221が引き離された瞬間に、設定した上限のトルク値を超えるようなトルクを発生することはない。したがって、シールキャップ219が変形して振動を発生したとしても、その変形はウエハ10がボート11内の載置位置に留まる範囲内になっている。
【0059】
(ステップS4−3)
そして、シールリング221が引き離された後、モータ129は設定された上限値もしくはそれ以下のトルクで駆動され、ボートエレベータ115によってシールキャップ219は降下させられる(シールキャップとボートの降下(シールリングが処理管下端面から離れた後):S4−3)。したがって、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す時、ウエハ10はボート11内の載置位置に留まっている。
【0060】
また、制御部281は、処理管203の下端面およびシールキャップ219の表面にシールリング221が押し圧せられているときのモータ129のトルクよりも、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す動作が開始される直前のシールリング221を押し圧するモータ129のトルクが小さくなるように制御することも可能である。
【0061】
さらに、制御部281は、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す時に生じるアーム128の変形(例えば、振動)の回
復期にウエハ10がボート11内の載置位置に留まるようにモータ129のトルクを制御するように構成されていてもよい。
【0062】
さらにまた、制御部281は、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す時にモータ129のトルクを時系列的に変動させるように制御してもよい。
【0063】
(5)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0064】
(a)本実施形態にかかる制御部281は、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面にシールリング221が張り付いた状態から引き離される時に、ボート11内に載置されたウエハ10が載置位置に留まるように、モータ129のトルクが制御される。よって、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面にシールリング221が張り付いた状態でシールキャップ219の下降が開始されて、シールキャップ219の断面が伸ばされるように変形し、シールリング221が下端面から引き離される時に、シールキャップ219の変形が回復しようとして発生するシールキャップ219の振動(減衰振動)がボート11に伝わったとしても、ウエハ載置位置(基板載置位置)から見たウエハ10の浮き上がりが防止されて、ウエハ10を安定に載置した状態で処理管203内からボート11を搬出することが可能になる。
【0065】
(b)また、シールキャップ219の変形の回復期の初期においてウエハ載置位置(基板載置位置)から見たウエハ10の浮き上がりが生じる可能性があるので、それを防止すべくシールキャップ219の変形の回復期の初期の期間のみモータ129のトルク制御をすればよい。そして、それ以外の期間である処理管203(マニホールド209)の下端面からシールリング221を引き離した後は、モータ129をトルク制御とせず、例えば、モータ129のトルクを小さくして移動速度を速めることが可能になる。これによって、処理管203内からボート11を搬出するスループットを向上させることが可能になる。
【0066】
(c)制御部281によって、処理管203の下端面およびシールキャップ219の表面にシールリング221が押し圧せられているときのモータ129のトルクよりも、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す動作が開始される直前のシールリング221を押し圧するモータ129のトルクが小さくなるように制御する。これによって、シールキャップ219を下降させる動作の直前の処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面へのシールリング221の密着力が弱められるので、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を離しやすくなる。したがって、モータ129のトルクが小さい状態で処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離すことができるようになる。
【0067】
(d)制御部281によって、アーム128の変形(例えば、振動)の回復期にウエハ10がボート11内の載置位置に留まるようにモータ129のトルクが制御されるような構成では、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面にシールリング221が張り付いた状態でボート11およびシールキャップ219の下降が開始されて、シールキャップ219を支持するアーム128が変形し、シールリング221が処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面から引き離れる時に、アーム128の変形が回復しようとすることがある。このアーム128の変形が回復しようとするときに発生するアーム128の振動(減衰振動)がシールキャップ219を介してボート11に伝わる。その際、制御部281によってボート11内に載置されたウエハ10が載置位置に留まるようにモータ129のトルクが制御されるので、ウエハ10の載置位置から見たウエ
ハ10の浮き上がりが防止されて、ウエハ10を安定に載置した状態で処理管203の処理室202内からボート11を搬出することが可能になる。
【0068】
(e)モータ129のトルクを時系列的に変動させるように、例えば時系列的に増加させるように制御することによって、処理管203の下端面へのシールリング221の張り付き力を徐々に弱めてシールリング221を引き離すことが可能になる。これによって、シールキャップ219上に載置されたボート11のウエハの載置位置からウエハ10が振動して浮き上がることなく処理管203の下端面からシールリング221を引き離すことができる。ただし、モータ129のトルクを時系列的に変動させる期間を長くとり過ぎないようにすることが必要であり、例えば時間監視を行うことで、モータ129のトルクを時系列的に増加させる期間を例えば20秒以下程度に抑えることでスループットの大幅な低下を抑制することがきる。特に、例えばウエハ処理時の熱、ウエハ処理時に発生する副生成物、等の影響によって、処理管203の下端面へのシールリング221の張り付き力が増大する場合や、モータ129の出力トルクの上限値を設定した場合にその上限値のトルクではシールリング221を引き離すことが難しい場合に有効である。
【0069】
(実施例1)
本実施形態にかかる基板処理装置101では、制御部281によって、モータ129から出力されるトルクを、所定の上限値以下に制御する。これによって、処理管203の下端面からシールリング221を引き離す時にウエハ10がボート11内の載置位置に留まるように、モータ129から出力されるトルクを、所定の上限値以下に制御する。この場合についてのシールキャップ219の位置と経過時間との関係図、シールキャップ219の移動速度と経過時間との関係図、モータ129のトルク比と経過時間との関係図を図5に示す。
【0070】
グラフ中、上段のグラフの縦軸は処理管203が気密に密封された状態のシールキャップ219の位置からのシールキャップ219の移動量を示している。中段のグラフの縦軸はシールキャップ219の下降速度を示している。下段のグラフの縦軸はモータ129の定格トルクに対する出力されたトルクの割合(トルク比)をパーセントで示している。トルクを示す縦軸において、シールキャップ219を下降させる方向にモータ129を駆動させたときのモータ129のトルク比を正(+)とし、シールキャップ219を上昇させる方向にモータ129を駆動させたときのモータ129のトルク比を負(−)として示している。また、各グラフの横軸は、経過時間を示している。なお、以降に説明するシールキャップ219の位置と経過時間との関係図、シールキャップ219の移動速度と経過時間との関係図、モータ129のトルク比と経過時間との関係図においても、縦軸および横軸は上記と同様である。
【0071】
図5に示すように、制御部281によって、モータ129の出力トルクの上限値をトルク比で8%に制限する。上限値は、処理管203の下端面からシールリング221が引き離された瞬間に、シールキャップ219の上面に載置されているボート11や、ボート11に載置されているウエハ10がシールキャップ219の表面を基準とした位置からみて浮き上がることがないトルク比に設定されている。また、トルク比の上限値は、モータ129の定格出力、ボート11、シールリング221、アーム128などの重さ等によって、適宜選定されて決定される。処理管203の下端面に密着しているシールリング221を引き離そうとして、モータ129からトルクが出力されると、2秒間程度、上限値のトルク比での出力が持続した後、処理管203の下端面からシールリング221が引き離される。この引き離された瞬間に、シールキャップ219に下降方向の加速度が加わったとしても、上限値に設定されているトルク比では、シールキャップ219の上面に載置されているボート11や、ボート11に載置されているウエハ10がシールキャップ219の表面を基準とした位置からみて浮き上がるような状態にならない。そして、処理管203
の下端面に密着しているシールリング221を引き離された後は、モータ129のトルク出力がトルク比で8%以下の設定されたトルク状態で、シールキャップ219とともにその上に載置されているボート11が下降され、処理管203の処理室202内から搬出される。トルク比と経過時間の関係図に示すように、およそ6%ないし7%のトルク比でシールキャップ219は降下されていることがわかる。このとき、位置と経過時間との関係図および移動速度の経過時間との関係図に示すように、ほぼ一定の速度で降下されていることがわかる。このように、モータ129からの出力トルクが6%ないし7%のトルク比であれば、ウエハ10を収納したボート11が載置されたシールキャップ219を高速に降下させることが可能になる。したがって、モータ129の出力トルクのトルク比を8%以下とすることで、シールリング221の引き離し時の振動を抑制してボート11搬出の高速動作が可能になる。
【0072】
(実施例2)
次に、モータ129のトルク値の上限を5%に制限した場合について、図6を参照して説明する。図6に示すように、モータ129の出力トルクの上限値を低く、例えば、トルク比で5%に設定すると、処理管203の下端面からシールリング221を引き離すまでに2秒ないし3秒程度かかるばかりか、シールリング221を引き離した後の動作時間もかかる。この場合では、処理管203の処理室202内からボート11を搬出し終えるまでに298秒かかった。また、モータ129の出力トルクが5%程度と小さいような場合には、処理管203の下端面からシールリング221を引き離した後、シールキャップ219とともにボート11を降下させているときの移動速度が一定せず、微小な変動とともにやや大きな変動を繰り返す現象が見られた。このように、ボート11の下降中に速度変動のうねりがあると、ボート11に収納されたウエハ10がその載置位置からずれるような問題が発生することがある。さらに、最悪の場合、シールリング221を引き離す力が弱く、処理管203の下端面からシールリング221を引き離せない場合も考えられる。したがって、モータ129のトルク比を小さくし過ぎるのも好ましくない。例えば、トルク比で5%よりも大きくする必要がある。しかしながら、トルク値の上限を小さくすれば、引き離し時のシールキャップの変形をより小さくできるので、振動抑制効果が高いことは容易に想像できる。
【0073】
(実施例3)
次に、ほぼ張り付きの無い状態のシールリング221を引き離す場合について、図7を参照して説明する。この場合では、モータ129のトルク比の上限値を7%に制限し、シールキャップ219の移動位置を制御して、シールリング221の引き離しを行った。図7に示すように、処理管203の下端面に対してシールリング221がほぼ張り付きの無い状態にもかかわらず、シールリング221が引き離される瞬間、速度変動とトルク比の変動とが検出されている。これによって、ほぼ張り付きの無い状態といっても多少の張り付きがあることが見て取れる。また一瞬ではあるが、トルク比が7%でモータ129に対してトルク制限が掛かっていることがわかる。なお、シールリング221を引き離した後のトルク比が2%〜3%で動作しているのは、引き離し後の動作トルクの指令速度が低いためである。このように、シールリング221の張り付きがないとされる場合であっても、多少の張り付きがある場合があるので、モータ129の出力トルクに制限となる上限値を設定しておくことで、過剰なトルクが出力されて、処理管203の下端面からシールリング221が引き剥がされる期間において、ボート11に振動を与えて収納されているウエハ10に悪影響を及ぼすようなシールキャップ219の変形(例えば、振動)を抑えることができる。したがって、処理管203の下端面にシールリング221が張り付いていないような場合であっても、モータ129の出力のトルクの上限値を設定しておくことは必要である。
【0074】
(比較例)
ここで、従来のボートの搬出工程について、図8によって説明する。
【0075】
ボートエレベータ115によって、シールキャップ219がシールリング221を介して処理管203(実質的にはマニホールド209)の下端面に、図8に示すように、例えば−37%のトルク比で押し圧せられている。このとき、モータ129のトルク制限はなく、モータ129の定格トルクまでトルクを出力させることができる。このため、処理管203の下端面に密着しているシールリング221を引き離そうとして、シールリング221が引き離されるまでモータ129から出力されるトルクが増大していく。そして、シールリング221が引き離された瞬間、処理管203の下端面からシールリング221が引き離される。このときのモータ129のトルクはトルク比で17%の出力であった。また、処理管203下端面からシールリング221が引き離された瞬間、シールキャップ219に下降方向の急速な加速度が加わって、その上面に載置されているボート11や、ボート11に載置されているウエハ10がシールキャップ219の表面を基準とした位置からみて浮き上がるような状態になり、この結果、ウエハ10の破損、パーティクル落下、位置ずれ等の問題が発生していた。その後は、位置と移動速度との関係図から、一定の移動速度でシールキャップ219とともにボート11は下降されていることがわかる。また位置と経過時間との関係図から、シールキャップ219が下降方向に移動して降下されていることがわかる。このときのモータ129から出力されるトルクは、微小な変動はあるもののトルク比がおよそ5%でほぼ一定であった。
【0076】
なお参考例として、図9に示すように、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す際に、シールキャップ219の移動初期からシールリング221が完全に引き離されるまで、シールキャップ219を少しずつ移動させるようにして、シールリング221の密着力を少しずつ弱めるようにすることが考えられる。図9では、40秒くらいから100秒くらいのおよそ60秒間は、わずかではあるがシールキャップ219が下降されている。これによって、シールキャップ219が引き離されたときに生じるシールキャップ219の振動を抑制して、ボート11に載置されたウエハ10を振動させないようにし、パーティクルの発生を抑制することができるとされている(特開2005−56905号公報参照)。この場合、図示したように、モータ129の出力トルクが段階的に高められている。そして、ある一定のトルクがモータ129から出力された時点でシールリング221は引き離されている。しかしながら、シールキャップ219の下降動作を開始してから処理管203の下端面からシールリング221を引き離すまでに時間がかかりすぎる。そして図9に示した場合では、ボート11の搬出におよそ254秒間かかっている。一方、前述の図5示した場合では、159秒間でボート11の搬出が完了している。ボート11の搬出に関して図9に示した場合と図5に示した場合とを比較すると、図9に示した場合のほうが95秒も長くかかることになる。これは、微少移動が不要なシールリング221が張り付いていない期間での動作時間は、図5、図9に示した場合はともにほぼ同等であるものの、図9に示した場合のほうがシールキャップ219を微小移動させる過程に時間がかかるためである。この結果、処理室202からウエハ10を取り出す時間が大幅に長くなり、トータルのウエハ10の搬送時間が長くなることで、スループットが悪化するという問題が生じる。また、シールリング221の張り付き期間のみをシールキャップ219を低速移動させることも考えられるが、シールリング221の張り付き期間を見極めることが困難であるため、シールリング221が張り付いていると想定される期間を広く取らざるを得ない。このような問題を解決すべく、スループットを速める手段を以下に説明する。
【0077】
本発明の実施形態にかかる基板処理装置は、前記図1〜図3によって説明した基板処理装置101において、制御部281は、処理管203の下端面もしくは蓋としてのシールキャップ219の表面から密封部材としてのシールリング221を引き離す期間よりもシールリング221を引き離した後のシールキャップ219の移動速度を速めるようにモー
タ129を制御することができる。
【0078】
<本発明の第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態にかかる基板処理装置は、一例として前記図1〜図3によって説明した基板処理装置101において、以下のような構成を有する。
【0079】
基板処理装置101において、モータ129にはパルス駆動するモータが用いられている。例えば、サーボモータが用いられている。サーボモータを用いた場合、前記図1に示すように、シールリング221が処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面に何らかの理由(例えば、処理時の熱、副生成物の付着、等)により張り付いているとき、モータ129を駆動するパルスがモータ129に入力され続けていてもシールキャップ219が一定の位置に留まり降下しない状態がある。このとき、モータ129のトルクは設定可能なトルク(トルク比)の上限値となっている。そして、モータ129を駆動するパルスが溜まる。そして処理管203の下端面からシールリング221が引き離される直前で、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面に対してシールリング221が微小な張り付き状態で張り付いているとき、モータ129の駆動は、溜まったパルスを回復(消化)しようとして、モータ129は急激な高速回転で駆動され、アーム部128を介してシールキャップ219が降下される。このとき、シールキャップ219には急激な下向きの加速度が加えられるので、ボート11に載置された基板としてのウエハ10が基板載置位置より跳ねあがったり落下したしたりすることがあった。
【0080】
そこで、この実施形態にかかる基板処理装置101の制御部281は、モータ129へ入力されるパルスが溜まった状態から当該溜まったパルスによりモータ129が駆動されてシールリング221が処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面から引き離される時に生じるパルスの回復期に、ウエハ10がボート11内の載置位置に留まるようにモータ129のトルクを制御するように構成されている。具体的には、モータ129の出力トルクの上限値を例えばトルク比で7%以下に制限する。この上限値は、パルスの回復期に、ウエハ10がボート11内の載置位置に留まるように、モータ129の定格トルク値から適宜決定されるものである。
【0081】
図10に示すように、モータ129の出力トルクの上限値は7%に制限されている。このような状態でモータ129を駆動させてボートエレベータ115を動作させ、処理管203の下端面に張り付いているシールリング221を引き離す方向にアーム128を介してシールキャップ219を降下させる。このとき、上述したような何らかの理由によって、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面にシールリング221が張り付いた状態になっている。この状態でモータ129を駆動させていくと、モータ129の出力トルク(トルク比)はトルク比の上限値を越えることなく上限値で一定になり、それ以上のトルクがかからないようになる。そして、処理管203の下端面にシールリング221が張り付いた状態が持続される。この状態ではモータ129を駆動するパルスがモータ129に入力され続けていてもシールキャップ219が降下しない。すなわち、モータ129が駆動できない状態となりモータ129を駆動するパルスが溜まる。
【0082】
やがて、処理管203の下端面からシールリング221が引き離される直前で、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面に対してシールリング221が微小な張り付き状態となったとき、モータ129の駆動によるシールキャップ219を降下させる力が上記下端面にシールリング221が張り付いている力よりも勝るようになる。このとき、上記下端面からシールキャップ219は引き離される。そしてモータ129は溜まったパルスを回復(消化)しようとして急に高速回転で駆動される、これによって、ボートエレベータ115を介してシールキャップ219が急速に降下されそうになる。しかしながら、本実施形態では、シールリング221が引き離される瞬間はモータ129のト
ルク比の上限値が例えば7%以下に設定されていることから、それを超えるトルク比でモータ129からトルクが出力されることはない。よって、シールキャップ219の表面に載置されているボート11内に収納されているウエハ10が跳ねあがったりして、損傷するような、もしくはパーティクルを発生するような振動を発生することはない。したがって、処理管203の処理室202内からウエハ10が収納されたボート11を安定的に搬出することが可能になる。
【0083】
なお、モータ129に上述のようなトルク制御が適用されていない場合で、モータ129が急速に高速回転を始めたときには、シールキャップ219を位置制御しようとしても制御することはできない。この場合、モータ129の急速な駆動速度によりシールキャップ219に下向きの大きな加速度が生じ、シールキャップ219の表面に載置されたボート11に収納されているウエハ10が浮き上がるような問題が発生することになる。
【0084】
よって、モータ129のトルク比に上限値を設けることでモータ129をトルク制御することになるので、処理管203の下端面にシールリング221が接触していても張り付いていない期間(実質的にはシールリング221を引き離す直前の期間)はトルク比の制限内の指令速度でモータ129が駆動し、シールリング221が引き離された直後もトルク比の制限内の指令速度でモータ129が高速駆動することになる。このため、シールリング221が引き離される直前の速度が低く抑えられるように指令することができ、それに伴って加速度も低く抑えることが期待される。これによって、シールリング221を引き離す際のシールキャップ219の変形による振動を抑えることが可能になる。
【0085】
また、シールキャップ219を降下させて処理管203の炉口207が開放される時にはモータ129のトルクを制御し、その後はモータ129の駆動速度を速めることでシールキャップ219の下降速度(移動速度)を速めてボート11を搬出することも可能になる。これによって、ボート11の搬出時間のさらなる短縮ができる。すなわち、ウエハ10の搬出にかかるスループットを高めることができる。
【0086】
<本発明の第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態にかかる基板処理装置ついて説明する。本説明では、前記図1〜図3によって説明した基板処理装置101と同様な構成部品には同一符号を付与して説明する。
【0087】
前述した第2の実施形態において、溜まったパルスを回復(消化)しようとして、モータ129(サーボモータ)が急激な高速回転で駆動するのを防ぐ方法として、パルスが溜まらない速度制御を用いる方法が挙げられる。具体的にはシールリング221が張り付いていると想定される期間を速度制御とし、処理管203の炉口207が開放された後は位置制御に切り替え、シールキャップ219を降下させる。速度制御から位置制御への切り替えは、シールリング221が張り付いていると想定される位置(例えば密封状態の位置から10mm下降した位置)にて行う。位置の認識は、モータ129の図示しないエンコーダを制御部281にて監視することにより行う。そして、予め設定されたシールリング221が張り付いていると想定される位置を認識したときに速度制御から位置制御へと切り替える。
【0088】
速度制御は、図示しない上位制御装置によって行われる。上位制御装置は、サーボモータであるモータ129の回転数(または回転角度)を指令し、モータ129に設けられた図示しないエンコーダにより取得されたエンコーダ値を判断して、サーボモータ制御装置としての制御部281にモータ129の駆動または停止の指令を出すように構成されている。このため、エンコーダ値を取得してから上位制御装置から指令が出されるまで通信時間がかかり、所望の位置でシールキャップ219を停止させることができない。しかしな
がら、速度制御では、モータ129の回転数(回転角度)を指令することでモータ129を制御するため、指令にパルスを用いる必要がない。このため、制御部281が指定したトルク比の上限値でシールキャップ219が一定の位置に留まり降下しない状態であっても、パルスが溜まることが無い。したがって、シールリング221が処理管203の下端面から引き離された後でも、モータ129は、急激な高速回転をせず、指令した速度で動作する。
【0089】
そこで、パルス列が溜まらない特性を有する速度制御は、上述したようにシールリング221が張り付いていると想定される期間のみ実施する。その間、上位制御装置は、エンコーダ値を常に監視する。そして、シールリング221が張り付いていると想定される位置まで動作したことをエンコーダ値にて確認した後、一旦、モータ129の駆動を停止させる指令を制御部281に出す。その後、速度制御を正確な位置決めができる位置制御に切り替える。
【0090】
位置制御では、上位制御装置が、パルス列を用いてシールキャップ219の最終目標位置を指示する指令を制御部281に出す。そしてシールキャップ219を引き離した後の位置をエンコーダ値から読み取り、読み取ったエンコーダ値と最終目標位置との差分を計算し、その差分を位置指令値として制御部281に指令する。この指令は差分が0になるまで行う。制御部281では、位置指令値通りの位置にシールキャップ219が移動するようにモータ129を動作させる。このように位置制御することによって、シールキャップ219を正確な位置に停止させることができる。
【0091】
上述の速度制御から位置制御への切り替えと同時に、モータ129の設定トルク比の上限値を切り替えることで、前述の第2の実施形態同様、モータ129の駆動速度を速めることができ、シールキャップ219の下降速度を速めてボート11を搬出することが可能になる。なお、上述の速度抑制の代わりに、同様に指令にパルスを用いないトルク制御を使用することも可能である。トルク制御の場合は直接駆動させるトルク値を指令するため、引き離しの際は司令したトルク値が使用される。
【0092】
<本発明の第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態にかかる基板処理装置ついて、図11を参照して説明する。図11では、前記図1〜図3によって説明した基板処理装置101と同様な構成部品には同一符号を付与して説明する。
【0093】
図11に示すように、例えば制御部281内に、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す動作時間を計測して、所定の動作時間内に引き離し動作が終了していない場合には、その旨のメッセージMを制御部281に接続されている表示部283に送信するアラーム284を有している。アラーム284は、制御部281外に設けられていてもよい。要するに、アラーム284は、制御部281でモータ129のトルクを制御する際に、モータ129の駆動時間を計測し、その計測結果に基づいて、予め設定されていたモータ129の駆動制限時間を超えた場合に、アラーム284によって所定の動作時間内に引き離し動作が終了していない旨のメッセージMを表示部283に送信する構成となっている。アラーム284のメッセージMを操作者(オペレータ)に知らせる手段は、表示部283における表示に限定されず、警告音のような音であってもよい。また、アラーム284によって所定の動作時間内に引き離し動作が終了していない旨のメッセージMが発せられた場合、モータ129の駆動が自動停止されるように、制御部281からモータ129に指示できるような構成としてもよい。
【0094】
アラーム284を設けたことは、モータ129を駆動しても所定の時間内に処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離すこと
ができないような場合として、以下のような場合に有効である。例えばシールリング221の劣化による処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面への接着力が強くなって引き離すことが困難になっている場合、そのままモータ129を駆動し続けるとモータ129が焼き付き等のトラブルを起こすことがある。このようなモータ129のトラブルの発生を事前に防止することができる。
【0095】
<本発明の第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態にかかる基板処理装置は、前記図1〜図3によって説明した基板処理装置101において、図12に示したように、シールキャップ219とアーム128との間に弾性体としてのばね311を有するように構成されたものである。以下、その詳細について図12を参照して説明する。
【0096】
図12に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置101は、前記図1を参照して説明した基板処理装置101と同様の処理炉201を備えている。処理炉201には、処理室202が形成された後述するプロセスチューブを含む処理管203が設けられ、処理管203を包囲するように加熱機構としてのヒータが備えられている。また処理炉201の側部に沿って昇降機構としてのボートエレベータ115が設置されている。ボートエレベータ115は、支持部としてのアーム128が駆動機構126によって昇降可能に構成されている。アーム128上には、過減衰する弾性体としてのばね311を介して、処理管203の下端に設けられた炉口207を開閉する蓋としてのシールキャップ219が支持されている。またシールキャップ219上には、シールキャップ219と処理管203の下端面との間を密封する密封部材としてのシールリング221が設けられている。シールリング221は、例えばOリングで構成されている。さらにシールキャップ219の上面は、基板としてのウエハ10を水平に保持した状態で多段に載置するボート11が載置できるように構成されている。
【0097】
ばね311は、例えば、過減衰する条件に設定された空気ばね、液体ばね、板ばね、コイルばね、等のばねを用いることができる。空気ばねとしてはエアダンパがあげられ、液体ばねとしては油圧ダンパがあげられる。
【0098】
駆動機構126は、前述したのと同様にボールネジ構造に構成されている。また、ボールネジ軸127の上端部(もしくは下端部)には、ボールネジ軸127を回転駆動させるモータ129が設けられている。これにより、モータ129を駆動してボールネジ軸127を回転させることでアーム128が昇降するようになっている。これらによって、シールキャップ219とその上面に載置されたボート11が上昇もしくは降下して、ボート11が処理室202内に対して搬入もしくは搬出されるようになっている。また、処理室202内にボート11が搬入されると、ボートエレベータ115によってアーム128に支持されたシールキャップ219がシールリング221を介して処理管203の下端面方向に押し圧せられ、処理室202内が気密に保持されるように構成されている。
【0099】
またモータ129の駆動軸には、その図示しない駆動軸のトルクを測定するトルクセンサ271が設けられている。さらにモータ129には、そのモータ129のトルクを所定値に制御する制御部281が設けられている。制御部281は、トルクセンサ271によって処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す時に生じるシールキャップ219の変形(例えば振動による変形)の回復期にウエハ10がボート11内の載置位置に留まるようにモータ129のトルクを制御する。例えば、モータ129のトルクが一定の範囲内になるように制御する。トルク制御の詳細例については、前述したとおりである。
【0100】
なお、基板処理装置101の全体構成および処理炉の詳細は前述したのと同様であるの
で、前述を参照されたい。
【0101】
ばね311を設けた基板処理装置101では、シールキャップ219とアーム128との間に過減衰となるバネ特性を有するばね311を設けたことにより、シールキャップ219とともにボート11の急激な降下が抑制される。
【0102】
例えば、シールキャップ219とともにその表面上に載置されたウエハ10を含むボート11およびシールリング221の質量をMとすると、ばね311にかかる力Fは、F=Mgで表わされる。ここでgは重力加速度である。またばね311による変位をx、ばね311のばね定数をKとすると、ばね311による力FsはFs=Kxで表わされる。ここで、シールキャップ219に何らかの振動が与えられた場合、Mが減衰振動せずに過減衰となるには、Kx<Mgとする必要がある。このようにばね311の運動を過減衰として、ばね311に荷重がかけられても振動しないようにしている。したがって、ばね311が過減衰するので、処理管203の下端面からシールリング221を引き離すとき、シールキャップ219は振動せずに静かにアーム128の表面に対して静止した状態になる。
【0103】
ここで、モータ129を駆動してボートエレベータ115によってアーム128を降下させていく場合について説明する。処理管203の下端面にシールリング221が密着して張り付いている状態でアーム128を降下させていくと、ばね311が伸ばされる。このときのばね311の伸びをxとし、xだけ伸びたところで処理管203の下端面からシールリング221が引き離されたとする。すると、このときのばね311による力FsはKxとなり、またシールキャップ219とともにその表面上に載置されたウエハ10を含むボート11およびシールリング221によって、ばね311にかかる力FはF=Mgとなる。ここで、ばね311の運動が過減衰となるようにKx<Mgと設定されていることから、シールキャップ219とともにその表面上に載置されたウエハ10を含むボート11およびシールリング221の振動は過減衰となり、アーム128の表面に対して静かに静止した状態になる。
【0104】
また、Fsを発生させたときのモータ129のトルクをT、ボールネジのリードをlとすると、力Fsはモータ129からみると、Fs=2πT/lになる。ここでFs=Kxであることから、2πT/l=Kxとなり、さらにKx<Mgであることから、2πT/l<Mgとなる。さらに変形すると、T<Mg/2πとなる。ここで、アーム128を下降させるのに必要なモータ129のトルクをトルクT’とすると、処理管203の下端面からシールリング221を引き離すときに必要なモータ129の総トルクTallは、Tall=T+T’となる。したがって、モータ129は、Tall=T+T’以下のトルクで使用されることが望ましい。
【0105】
<本発明の第6の実施形態>
本発明の第6の実施形態に係る基板処理装置は、ボート11の搬送動作、すなわちモータ129の駆動制御を、シールキャップ219の高さ位置に応じて変化させるように構成されている。以下、その詳細について図13を参照して説明する。図13(a)は、本実施形態にかかる基板処理装置により実施される搬送動作を示す模式図であり、(b)は制御部により行われる搬送制御のフロー図である。
【0106】
本実施形態に係る搬出工程(S4)が開始されると、制御部281は、まず、シールキャップ219の現在の高さ位置を測定する(S4a)。シールキャップ219の高さ位置の測定は、例えばボールネジ軸127やアーム128に設けられた図示しない光学センサやモータ129に設けられたエンコーダ等を用いて行う。そして、測定したシールキャップ219の高さ位置と、所定の「動作切替位置」とを比較する(S4b)。「動作切替位
置」とは、後述する搬送動作の切り替えを行う高さ位置のことである。搬出工程(S4)の開始直後は、シールキャップ219の高さ位置は「封止位置」であって「動作切替位置」よりも上であるため、図13(a)の「Yes」に進み、制御部281は、シールキャップ219の降下を開始させるように、モータ129に対して所定の設定情報(動作指示情報)を送信する(S4c)。この際、所定の設定情報により定義されるモータ129の最大トルクは、上述の実施形態と同様のトルクとする。すなわち、処理管203の下端面もしくはシールキャップ219の表面からシールリング221を引き離す時に生じるシールキャップ219の変形(例えば振動)の回復期にウエハ10がボート11内の載置位置に留まるようなトルクであって、例えば、定格トルクの10%以下、好ましくは1%程度のトルクとする。これにより、シールキャップ219の降下が開始された際、ウエハ載置位置(基板載置位置)から見たウエハ10の浮き上がり等が防止されて、ウエハ10を安定に載置した状態で処理管203内からボート11を搬出することが可能になる。以下、係る設定情報に基づく搬出動作を「初期搬送動作」とも呼ぶ。
【0107】
そして、制御部281は、モータ129への設定情報の送信と共に、モータ129へ送信した設定情報を、例えば制御部281が備える不揮発性メモリ等に読み出し可能に格納する(S4d)。これにより、仮に基板処理装置に供給される電源が不意に遮断される等して制御部281が再起動した場合であっても、再起動直前の設定情報を制御部281が速やかに読み出してモータ129へ再送信することが出来るようになり、上述の「初期搬送動作」を速やかに再開できるようになる。
【0108】
モータ129の動作を開始させたら、制御部281は、所定の時間間隔(例えば200msec間隔)でシールキャップ219の高さ位置を繰り返し測定する。そして、シールキャップ219が「動作切替位置」よりも上方に存在する場合には、モータ129への最大トルクの設定を変更せずに(上述の値に制限したまま)、上述の「初期搬送動作」をモータ129に継続させる。
【0109】
シールキャップ219を降下させる方向にモータ129の駆動が開始された直後は、上述したように、シールリング221が処理管203の下端面等に張り付いた状態が持続されている。そして、設定したトルクの上限値に達するまで、ボートエレベータ115によってシールキャップ219が下降方向に引っ張られ続け、同時にシールリング221も下降方向に引っ張られ続ける。そして、処理管203の下端面へのシールリング221の密着力よりもシールリング221を下方に引っ張る力のほうが勝ったときに、処理管203の下端面からシールリング221が引き離される。その後、シールキャップ219は、実際に降下を始めることとなる。
【0110】
その後、シールキャップ219が上述の「動作切替位置」以下まで降下したら、図13(b)の「No」に進み、制御部281は、シールキャップ219の降下速度を所定の速度(初期搬送動作における降下速度よりも大きな速度)まで増加(或いは維持)させるように、モータ129に対して新たな設定情報を送信する(S4e)。なお、このときのモータ129の最大トルクは、初期搬送動作のときの最大トルクよりも大きくてもよく、例えば定格トルクの20%程度としてもよい。このように、シールキャップ219が「動作切替位置」にまで降下したら、シールキャップ219の降下速度を高める(或いは維持する)ようにモータ129の動作を制御することで、搬出工程(S4)の所要時間を低減させることができ、基板処理の生産性を向上させることができる。以下、係る設定に基づく搬出動作を「後期搬送動作」とも呼ぶ。なお、「初期搬送動作」から「後期搬送動作」へ切り替える際には、これらの速度差に起因するウエハ10への衝撃を低減するように、シールキャップ219の降下速度を徐々に変化させるようにしてもよい。
【0111】
そして、制御部281は、モータ129への新たな設定情報の送信と共に、モータ12
9へ送信した新たな設定情報を、例えば制御部281が備える不揮発性メモリ等に読み出し可能に格納する(S4f)。これにより、仮に基板処理装置に供給される電源が不意に遮断される等して制御部281が再起動した場合であっても、再起動直前の設定情報を制御部281が速やかに読み出してモータ129へ再送信することが出来るようになり、上述の「後期搬送動作」を速やかに再開できるようになる。
【0112】
その後、制御部219は、新たに設定したトルクの許容範囲内の最大限の速度でモータ129を動作させ、図13(a)に示す「搬出終了位置」までシールキャップ219を速やかに降下させて搬出工程(S4)を完了する。なお、制御部219は、シールキャップ219が「搬出終了位置」に近づいたら、モータ129への設定情報を変更し、シールキャップ219の降下速度を所定の速度まで減速させるようにしてもよい。これにより、シールキャップ219が「搬出終了位置」に到達した際(シールキャップ219の降下を停止した際)のウエハ10に加わる衝撃を低減できる。
【0113】
なお、上述の実施形態では、「初期搬送動作」と「後期搬送動作」との切り替えを、シールキャップ219の降下を停止することなく、すなわち、モータ129を停止することなく連続して行ったが、本発明は係る形態に限定されない。すなわち、モータ129を一旦停止してから上述の切り替えを行ってもよい。その場合、「動作切替位置」の周辺でのシールキャップ219の降下速度を、所定の速度まで減速させるようにしてもよい。これにより、シールキャップ219が「動作切替位置」に到達するとき(シールキャップ219の降下を停止するとき)や、シールキャップ219が「動作切替位置」を離れるとき(シールキャップ219の降下を再開するとき)のウエハ10に加わる衝撃をそれぞれ低減できる。
【0114】
また、上述の実施形態では、「初期搬送動作」と「後期搬送動作」との切り替えをボート11の搬出時に行う場合について説明したが、本発明は係る形態に限定されず、ボート11の搬入時に行ってもよい。この場合、「搬出終了位置」から「動作切替位置」までの搬入動作、および「動作切替位置」から「封止位置」までの搬入動作を、それぞれ、上述の「後期搬送動作」及び「初期搬送動作」と同様にすればよい(但し搬送方向はそれぞれ上昇方向とする)。なお、「後期搬送動作」におけるモータ129の最大トルクは、例えば定格トルクの60%程度とすればよい。
【0115】
また、上述の実施形態では、「初期搬送動作」と「後期搬送動作」との2段階の切り替えを行う場合について説明したが、本発明が係る形態に限定されず、3段階以上の動作の切り替えを順次行うようにしてもよい。
【0116】
<本発明の好ましい態様>
以下に本発明の好ましい態様について付記する。
【0117】
本発明の第1の態様は、
基板を載置するボートと、
前記ボートを収納する処理管と、
前記ボートが載置され前記処理管の下端に設けられた炉口を開閉する蓋と、
前記蓋を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構を駆動するモータと、
前記処理管の下端面と前記蓋との間を密封する密封部材と、
前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記蓋の変形の回復期に前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記モータのトルクを制御する制御部と、
を有する基板処理装置である。
【0118】
本発明の第2の態様は、
前記制御部は、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す期間よりも前記密封部材を引き離した後の前記蓋の移動速度を速めるように前記モータを制御する
第1の態様に記載した基板処理装置である。
【0119】
本発明の第3の態様は、
前記制御部は、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時のみ前記モータのトルクを制御し、
前記モータのトルクを制御している期間以外の前記モータの駆動期間は、前記蓋の移動速度を制御する
第1または第2の態様に記載した基板処理装置である。
【0120】
本発明の第4の態様は、
前記制御部は、前記処理管の下端面および前記蓋の表面に前記密封部材が押し圧せられているときの前記モータのトルクよりも、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す動作が開始される直前の前記密封部材を押し圧する前記モータのトルクが小さくなるように制御する
第1ないし第3の態様のいずれか1つの態様に記載の基板処理装置である。
【0121】
本発明の第5の態様は、
前記制御部は、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に前記モータのトルクを時系列的に変動させる
第1ないし第4の態様のいずれか1つの態様に記載の基板処理装置である。
【0122】
本発明の第6の態様は、
前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す動作時間を計測して、所定の動作時間内に前記引き離し動作が終了していない旨のメッセージを前記制御部に接続されている表示部に送信するアラームを有する
第1ないし第5の態様のいずれか1つの態様に記載の基板処理装置である。
【0123】
本発明の第7の態様は、
前記モータはパルス駆動するモータであり、
前記制御部は、前記モータへ入力されるパルスが溜まった状態から当該溜まったパルスにより前記モータが駆動されて前記密封部材が前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から引き離される時に生じる前記蓋の変形の回復期に、前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記モータのトルクを制御する
第1ないし第6の態様のいずれか1つの態様に記載の基板処理装置である。
【0124】
本発明の第8の態様は、
前記蓋と、前記蓋を支持していて前記昇降機構に備えられた昇降可能な支持部との間に、過減衰する弾性体を有する
第1ないし第7の態様のいずれか1つの態様に記載の基板処理装置である。
【0125】
本発明の第9の態様は、
前記制御部は、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記蓋の変形の回復期に前記ボートの加速度が重力加速度以下になるように前記モータのトルクを制御する
第1ないし第8の態様のいずれか1つの態様に記載の基板処理装置である。
【0126】
本発明の第10の態様は、
前記昇降機構は、支柱と、前記蓋を支持していて前記モータが駆動されることで前記支柱に沿って昇降する支持部とを有し、
前記制御部は、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記支持部の変形の回復期に前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記モータのトルクを制御する
第1ないし第9の態様のいずれか1つの態様に記載の基板処理装置である。
【0127】
本発明の第11の態様は、
ボートに載置した基板を処理管内で処理した後、密封部材を介して前記処理管の炉口を密封していた蓋を下降させて前記炉口を開放するとともに、前記炉口から前記処理管内の前記ボートを搬出する半導体装置の製造方法において、
前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記蓋の変形の回復期に前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記蓋を下降させる昇降機構を駆動するモータのトルクを制御する
半導体装置の製造方法である。
【符号の説明】
【0128】
10 ウエハ(基板)
11 ボート
101 基板処理装置
115 ボートエレベータ115(昇降機構)
201 処理炉
202 処理室
203 処理管
219 シールキャップ(蓋)
221 シールリング(密封部材)
281 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置するボートと、
前記ボートを収納する処理管と、
前記ボートが載置され前記処理管の下端に設けられた炉口を開閉する蓋と、
前記蓋を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構を駆動するモータと、
前記処理管の下端面と前記蓋との間を密封する密封部材と、
前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記蓋の変形の回復期に前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記モータのトルクを制御する制御部と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す期間よりも前記密封部材を引き離した後の前記蓋の移動速度を速めるように前記モータを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
ボートに載置した基板を処理管内で処理した後、密封部材を介して前記処理管の炉口を密封していた蓋を下降させて前記炉口を開放するとともに、前記炉口から前記処理管内の前記ボートを搬出する半導体装置の製造方法において、
前記処理管の下端面もしくは前記蓋の表面から前記密封部材を引き離す時に生じる前記蓋の変形の回復期に前記基板が前記ボート内の載置位置に留まるように前記蓋を下降させる昇降機構を駆動するモータのトルクを制御する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−166112(P2011−166112A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227766(P2010−227766)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】